(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20250708BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20250708BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20250708BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20250708BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20250708BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20250708BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250708BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20250708BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20250708BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/211
H01M50/293
H01M50/204 401F
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/658
(21)【出願番号】P 2023539042
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2022005156
(87)【国際公開番号】W WO2022216122
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0046488
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・チャン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ソウン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンソク・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
【審査官】式部 玲
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067654(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137062(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03792999(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03790104(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/588
H01M 50/593
H01M 50/211
H01M 50/293
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/658
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池モジュール;および
前記電池モジュールが収納されるパックフレームを含み、
少なくとも2個の電池モジュールが水平方向に並べられて第1電池モジュール群を形成し、
少なくとも2個の電池モジュールが水平方向に並べられて第2電池モジュール群を形成し、
前記第2電池モジュール群は前記第1電池モジュール群の上部に位置し、
前記第1電池モジュール群と前記第2電池モジュール群との間に、第1電池モジュール群を構成するすべての電池モジュール
及び当該電池モジュール間の隙間を上から覆う隔壁部材が配置され、
前記隔壁部材は、断熱性および電気的絶縁性を有する絶縁シートを含む電池パック。
【請求項2】
前記隔壁部材は、前記第1電池モジュール群の上面全体を覆う、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池セルのセル本体一面が前記パックフレームの底部と垂直になるように直立したまま、前記電池セルが幅方向と平行な方向に沿って積層される、
請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1電池モジュール群に含まれている前記電池モジュールは、前記幅方向に沿って1列に配置される、
請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第2電池モジュール群に含まれている前記電池モジュールは、前記幅方向に沿って1列に配置される、
請求項3に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池セルは、パウチ型電池セルである、
請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項7】
前記絶縁シートは、高分子樹脂を含む、
請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項8】
前記隔壁部材は、ベースプレートをさらに含み、
前記絶縁シートが前記ベースプレートの間に挿入される、
請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項9】
請求項1または2に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2021年4月9日付韓国特許出願第10-2021-0046488号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池パックおよびこれを含むデバイスに関し、より具体的には火炎発生に対する安全性が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
現代社会では、携帯電話、ノートパソコン、カムコーダ、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常的になることに伴い、このようなモバイル機器と関連した分野の技術に対する開発が活発になってきている。また、充放電が可能な二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として利用されているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうちリチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所のため、脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを間に置いて配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースとを備える。
【0006】
一般的にリチウム二次電池は、外装材の形状により、電極組立体が金属カンに内蔵されているカン型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0007】
小型機器に利用される二次電池の場合、2~3個の電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに利用される二次電池の場合は、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が利用される。このような電池モジュールは、多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
多数の電池モジュールが集まった電池パックは、多数の電池セルから出る熱が狭い空間で合算されて温度が速くかつ激しく上がることがある。言い換えると、多数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、 高い出力を得ることができるが、充電および放電時に電池セルで発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱が良好になされない場合、電池セルの劣化が速くなって寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0009】
また、車両用電池パックに含まれる電池モジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。また、車両の走行距離を増やすために多数の電池モジュールを集約的に配置するため、いずれか一つの電池モジュールで発生した火炎や熱が隣接した電池モジュールに簡単に伝播されて、最終的に電池パック自体の爆発や発火につながることがある。
【0010】
そこで、いずれか一つの電池セルで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、電池パック自体の火災や爆発につながらないモデルに対する設計が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、いずれか一つの電池セルで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、前記熱暴走現象が火災や爆発につながることを防止することができる電池パックおよびこれを含むデバイスを提供することにある。
【0012】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による電池パックは、複数の電池セルを含む電池モジュール;および前記電池モジュールが収納されるパックフレームを含む。少なくとも2個の電池モジュールが集まって第1電池モジュール群を形成し、少なくとも2個の電池モジュールが集まって第2電池モジュール群を形成し、前記第2電池モジュール群は前記第1電池モジュール群の上部に位置する。前記第1電池モジュール群と前記第2電池モジュール群との間に隔壁部材が配置され、前記隔壁部材は、断熱性および電気的絶縁性を有する絶縁シートを含む。
【0014】
前記隔壁部材は、前記第1電池モジュール群の上面全体を覆うことができる。
【0015】
前記電池セルのセル本体一面が前記パックフレームの底部と垂直になるように直立したまま、前記電池セルが幅方向と平行な方向に沿って積層され得る。
【0016】
前記第1電池モジュール群に含まれている前記電池モジュールは、前記幅方向に沿って1列に配置され得る。
【0017】
前記第2電池モジュール群に含まれている前記電池モジュールは、前記幅方向に沿って1列に配置され得る。
【0018】
前記電池セルは、パウチ型電池セルであり得る。
【0019】
前記絶縁シートは、高分子樹脂を含むことができる。
【0020】
前記隔壁部材は、ベースプレートをさらに含むことができ、前記絶縁シートが前記ベースプレートの間に挿入され得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によれば、いずれか一つの電池セルで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、順次に熱伝播(thermal propagation)が行われるように設計することによって、電池パック単位での火災や爆発を防止することができる。
【0022】
また、各層を区分する隔壁部材に絶縁シートを設けることによって、層間に熱伝播が行われることを抑制することができ、最終的に電池パック単位での火災や爆発を防止することができる。
【0023】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による電池モジュールおよび連結部材を示す斜視図である。
【
図3】
図2の電池モジュールに含まれている電池セルの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電池パックの断面図である。
【
図5】
図4の電池パックでいずれか一つの電池セルに熱暴走現象が発生した様子を概略的に表現した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0026】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0027】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0028】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0029】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態による電池モジュールおよび連結部材を示す斜視図である。
図2は
図1の電池モジュールの分解斜視図である。
図3は
図2の電池モジュールに含まれている電池セルの斜視図である。
【0032】
図1乃至
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110を含む。電池セル110は、パウチ型電池セルであることが好ましく、長方形のシート型構造で形成され得る。例えば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111、112が互いに対向して一端部と他の一端部からそれぞれ突出している構造を有する。
【0033】
特に、
図3を参照すれば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111、112が互いに対向してセル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳しくは、電極リード111、112は、電極組立体(図示せず)と連結され、電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出している。
【0034】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態でセルケース114の両端部114a、114bとこれらを連結する一側部114cとを接着することによって製造され得る。言い換えると、本実施形態による電池セル110は、総3ケ所のシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは熱融着などの方法によりシーリングされる構造であり、他の一側部は連結部115からなることができる。セルケース114は、樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなることができる。
【0035】
また、連結部115は、電池セル110の一縁に沿って長く伸びることができ、連結部15の端部にはバットイヤー(bat-ear)と呼ばれる電池セル110の突出部110pが形成され得る。ただし、突出部110pは一つの例示的構造であり、本発明の他の一実施形態による電池セル110は、突出部が形成されず、連結部115が一直線に伸びる形態を有することができる。
【0036】
図3には電極リード111、112が両方向に突出した構造の電池セル110のみについて説明したが、本発明の他の実施形態として、電極リードが一方向に共に突出した単方向のパウチ型電池セルも可能であることはもちろんである。
【0037】
このような電池セル110は、複数で構成され得、複数の電池セル110は、互いに電気的に連結され得るように積層されて電池セル積層体120を形成する。特に、
図2に示されているようにy軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層され得る。そのために、電池セル110のうちの一つの電極リード111はx軸方向に向かって突出し、他の電極リード112は-x軸方向に向かって突出することができる。
【0038】
電池セル積層体120は、モジュールフレーム200に収納され得る。モジュールフレーム200は、両面が開放された形態の金属フレームであり得る。より具体的には、電池セル積層体120を基準に、電極リード111、112が突出する両方向にモジュールフレーム200が開放され得る。
【0039】
モジュールフレーム200の開放された両面にはエンドプレート410、420が位置することができる。2個のエンドプレート410、420をそれぞれ第1エンドプレート410と第2エンドプレート420と称する。エンドプレート410、420はモジュールフレーム200の開放された両面をそれぞれ覆うことができる。このようなモジュールフレーム200とエンドプレート410、420が形成する空間に電池セル積層体120が収納されることによって、電池セル積層体120を物理的に保護することができる。このために、モジュールフレーム200とエンドプレート410、420はアルミニウムのように所定の強度を有する金属材質を含むことができる。モジュールフレーム200とエンドプレート410、420は互いに対応する縁部位が接触された状態で、溶接などの方法により接合され得る。
【0040】
一方、本実施形態による電池モジュール100は、バスバー510およびターミナルバスバー520が装着されたバスバーフレーム300をさらに含むことができる。
【0041】
バスバー510およびターミナルバスバー520は、複数の電池セル110を電気的に連結するために電池セル110の電極リード111、112と接合され得る。具体的には、バスバー510およびターミナルバスバー520が装着されたバスバーフレーム300が電池セル積層体120の一側(x軸方向)および他側(-x軸方向)にそれぞれ位置することができる。言い換えると、いずれか一つのバスバーフレーム300は、エンドプレート410、420のうちのいずれか一つと電池セル積層体120との間に位置することができる。
図2で電池セル積層体120の他側(-x軸方向)に位置したバスバーフレームは図示を省略した。
【0042】
バスバーフレーム300にはリードスリットが形成され、電極リード111、112が前記リードスリットを通過した後に曲がってバスバー510やターミナルバスバー520に接合され得る。物理的、電気的連結が可能であれば、接合の方式に特別な制限はなく、一例として溶接接合が行われ得る。
【0043】
一方、ターミナルバスバー520の一部分は電池モジュール100の外側に露出することができる。具体的には、第1エンドプレート410に第1ターミナルバスバー開口部410Hが形成されてターミナルバスバー520の一部分が露出することができる。露出したターミナルバスバー520の一部分は、他の電池モジュールやBDU(Battery Disconnect Unit)などと連結されてHV(High Voltage)連結を形成するために、
図1に示されたように連結部材1400と接合され得る。ここでHV連結は、電力を供給するための電源の役割の連結であり、電池セル間の連結や電池モジュール間の連結を意味する。
【0044】
連結部材1400は、電気的連結が可能であれば、その素材に特別な制限はなく、金属素材が適用され得る。
【0045】
以下、
図4を参照して、本発明の一実施形態による電池パック1000について詳しく説明する。
【0046】
図4は本発明の一実施形態による電池パックの断面図である。具体的には、
図1および
図2に示された電池モジュール100がパックフレーム1200に収納された状態の電池パック1000をyz平面で切断した様子を示したものである。
【0047】
図2乃至
図4を参照すれば、本発明の一実施形態による電池パック1000は、複数の電池セル110を含む電池モジュール100、および電池モジュール100を収納するパックフレーム1200を含む。本実施形態において電池モジュール100は、
図1および
図2に示された電池モジュール100であり得る。
図4では電池モジュール100に含まれている電池セル110を説明の便宜のために点線で概略的に表現した。また、電池モジュール100は、連結部材1400を通じて互いに電気的に連結されて、HV連結を形成することができる。
図4ではこのような連結部材1400を
図1とは異なり、概略的に表現した。
【0048】
パックフレーム1200は、上部フレーム1210および下部フレーム1220を含むことができる。上部フレーム1210は板状形態であり得、下部フレーム1220は電池モジュール100が置かれる底部1200Fを含み、上部が開放された形態であり得る。下部フレーム1220の開放された上部に上部フレーム1210が位置し、上部フレーム1210と下部フレーム1220が対応する縁同士で接合されてパックフレーム1200が完成され得る。上部フレーム1210と下部フレーム1220との間の空間が電池モジュール100が収納される空間である。ただし、前記構造は本実施形態によるパックフレーム1200が有する例示的構造であり、電池モジュール100を収納できれば変形された形態も可能であることはもちろんである。
【0049】
パックフレーム1200内部で、少なくとも2個の電池モジュール100が集まって第1電池モジュール群100Gaを形成し、少なくとも2個の電池モジュール100が集まって第2電池モジュール群100Gbを形成し、第2電池モジュール群100Gbは第1電池モジュール群100Gaの上部に位置する。つまり、本実施形態による電池パック1000は、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbの2層構造を形成する。ただし、これは例示的構造であり、3層以上の複層構造を有する電池パックも可能である。
【0050】
一方、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbとの間に隔壁部材1300が配置され、隔壁部材1300は断熱性(thermal insulation)および電気的絶縁性(electrical insulation)を有する絶縁シート1310を含む。絶縁シート1310については後述する。
【0051】
電池モジュール100内部で電池セル110が幅方向d1に沿って積層されて電池セル積層体を形成する。具体的には、電池セル110のセル本体113(
図3参照)一面がパックフレーム1200の底部1200Fの一面と垂直になるように直立したまま、電池セル110が幅方向d1に沿って積層され得る。本明細書で幅方向d1は、地面またはパックフレーム1200の底部1200Fの一面と平行な方向のうちの一つであり、言い換えると、xy平面と平行な方向のうちの一つである。
【0052】
この時、第1電池モジュール群100Gaに含まれている電池モジュール100が幅方向d1に沿って1列に配置され、第2電池モジュール群100Gbに含まれている電池モジュール100が幅方向d1に沿って1列に配置され得る。つまり、電池モジュール群100Ga、100Gbの内で電池モジュール100が配置される方向と電池セル110が積層される方向とは一致することができる。
【0053】
前述した隔壁部材1300は、板状形態であり得、第1電池モジュール群100Gaの上面全体を覆うことができる。隔壁部材1300に含まれている絶縁シート1310は断熱性(thermal insulation)および電気的絶縁性(electrical insulation)を有する部材であればその素材に特別な制限はなく、一例として、高分子樹脂を含むことができる。また、絶縁シート1310は、一例としてFRSパッドであり得る。FRSパッドは、MORGAN社製品であって、MICAおよびSuperwoolを含むことができる。FRSパッドである絶縁シート1310は、1mm乃至3mmの厚さを有することができ、摂氏810度乃至820度の温度範囲で0.12W/mK以上0.18W/mK以下の熱伝導率を有することができる。
【0054】
隔壁部材1300は、ベースプレート1320をさらに含むことができ、絶縁シート1310がベースプレート1320の間に挿入され得る。同時に、絶縁シート1310とベースプレート1320は両面テープで付着され得る。
【0055】
隔壁部材1300により第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbは空間的に分離され、隔壁部材1300に含まれている絶縁シート1310により第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbは熱的および電気的に互いに分離される。
【0056】
以下、
図3乃至
図5を参照して、電池セルの熱暴走(thermal runaway)現象の発生時、本実施形態による電池パック1000が有する長所について説明する。
【0057】
図5は
図4の電池パックでいずれか一つの電池セルに熱暴走現象が発生した様子を概略的に表現した断面図である。
【0058】
図3乃至
図5を参照すれば、本実施形態による電池パック1000に含まれている電池セル110のうちのいずれか一つに熱暴走(thermal runaway)現象が発生することがある。熱暴走(thermal runaway)現象の一つの例示は次のとおりである。過充電を始めとして電池セル110に物理的、熱的、電気的損傷が発生して、電池セル110の内部圧力が増加することがある。電池セル110のセルケース114の融着強度の限界値を超える場合、電池セル110で発生した高温の熱、ベンティングガスなどが電池セル110の外部に噴出され得る。
【0059】
いずれか一つの電池セルで発生した熱暴走現象は、対流効果により隣接した電池セルに拡大されることがあり、さらには隣接した電池モジュールにまで拡大され得る。特に、空間活用率を高めるために電池モジュール同士で密集している電池パックの構造上、電池モジュールに順次に熱暴走現象が伝播されるのではなく、密集した多くの電池モジュールに同時多発的に熱暴走現象が発生することがある。つまり、電池セルで始まって多くの電池モジュールに同時多発的に拡大された熱暴走現象は、電池パック自体の発火および爆発につながって深刻な問題になる。
【0060】
しかし、本実施形態による電池パック1000では、電池モジュール群100Ga、100Gbの間に隔壁部材1300を配置し、電池モジュール群100Ga、100Gbの内で電池モジュール100を1列に配置することによって、熱暴走(thermal runaway)現象の伝播(propagation)が電池モジュール100単位だけでなく電池セル110単位でも順次に行われるようにした。つまり、
図5に示されているように、第1電池モジュール群100Gaのいずれか一つの電池モジュール内部の電池セルで熱暴走現象が発生する場合、隣接した電池セル110に順次にベンティングガスおよび熱などが伝播され得る。一例として、
図5では、第1電池モジュール群100Gaで最も左側に位置した電池モジュールの電池セル110’と第1電池モジュール群100Gaで左側から3番目に位置した電池モジュールの電池セル110”に熱暴走現象が伝播される様子が示されている。
【0061】
また、断熱性を備えた絶縁シート1310を含む隔壁部材1300により第2電池モジュール群100Gbにベンティングガスおよび熱が直ちに伝播されない。本実施形態では、電池モジュール群100Ga、100Gbの間で連結部材1400のHV連結順序を飛び越えて熱暴走現象が伝播されないように断熱構造を設計した。
【0062】
前述のように、順次に伝播が行われるように設計することによってベンティングガスおよび熱が伝播される時間を増やすことができ、また順次に伝播される過程で熱暴走の強度が次第に減ることができる。つまり、本実施形態による電池パック1000は、いずれか一つの電池セル110で熱暴走現象が発生しても、これが電池パック1000自体の発火や爆発につながることを防止することができる。もし隔壁部材1300がない場合、いずれか一つの電池セル110で始まった熱暴走現象が直ちに他の電池モジュール群100Gb内の電池モジュール100に伝播されて、短時間に多くの電池モジュール100から同時にベンティングガスと高温の熱が多量排出されることがある。これは電池パック1000の発火と爆発につながる可能性が高い。
【0063】
一方、前述したとおり、本実施形態では、電池モジュール群100Ga、100Gb内で電池モジュール100が配置される方向と電池セル110が積層される方向とが一致することができる。そのために、電池モジュール群100Ga、100Gb内で、電池セル110の間の熱暴走現象の伝播も順次に行われ得る。電池モジュール100の配置方向と電池セル110の積層方向とを一致させることによって、熱暴走現象の伝播をさらに遅延させようとした。
【0064】
一方、具体的に示されていないが、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbそれぞれに個別的に熱暴走現象が発生する場合があり得る。この場合、絶縁シート1310が電気的絶縁性および断熱性を有するため、熱暴走現象の順次伝播が第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbそれぞれで個別的に行われる。第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbが絶縁シート1310により電気的に分離されてスパーク(spark)および短絡(short-circiut)の発生を防止する。総合すれば、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbそれぞれで発生した熱暴走現象が互いに別個の経路に沿って伝播されるように設計することによって、電池パック1000の発火と爆発を防止することができる。もし絶縁シート1310を備えていなければ、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbそれぞれで発生した熱暴走現象が合わされて一つの大きい熱暴走現象に広がり、電池パック単位でベンティングガスと高温の熱が多量排出されて、結局、電池パックが爆発することがある。
【0065】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されているが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得る。
【0066】
前述した本実施形態による電池パックは、電池モジュールだけでなく、BMS(Battery Management System)、BDU(Battery Disconnect Unit)、冷却システムなどの各種制御および保護システムを含むことができる。
【0067】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用され得るが、これに制限されず、二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0068】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0069】
1000:電池パック
100:電池モジュール
100Ga:第1電池モジュール群
100Gb:第2電池モジュール群
1300:隔壁部材
1310:絶縁シート