(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】マルチシステムマルチバンドアンテナ及びアンテナアレイアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/29 20060101AFI20250708BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20250708BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20250708BHJP
H01Q 1/28 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
H01Q21/29
H01Q21/06
H01Q21/30
H01Q1/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021021374
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2024-02-14
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヘンリー ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴィヴェロ, ギジェルモ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クマール, アニール
(72)【発明者】
【氏名】エリス, ダニエル ジェイ.
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-522191(JP,A)
【文献】特表2010-508771(JP,A)
【文献】特開2001-244719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0099370(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0319345(US,A1)
【文献】特開平11-231037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/29
H01Q 21/06
H01Q 21/30
H01Q 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの外表面に連結されるように適合された基部(202)、
前記基部(202)に連結された第1の端部と、第2の端部とを有するブレード部(204)、
前記ブレード部(204)の前記第1の端部から遠位にある前記ブレード部(204)の前記第2の端部に連結された頂部(206)
を備えたアンテナアセンブリであって、前記頂部(206)が、
前記基部(202)の反対側に向く第1の表面(216)であって、複数の第1のアンテナ要素(250)を含む第1のアンテナアレイ(208)を有する前記第1の表面(216)
;
前記基部(202)に向く第2の表面(205);及び
前記第1の表面(216)と前記第2の表面(205)の間に配置された、前記頂部(206)の周囲の外周面(212)であって、複数の更なるアンテナ要素(252)を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)を含む前記外周面(212)
を含む、アンテナアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のアンテナアレイ(208)が、天頂の方向に向く第1の視野を有し、
前記1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)が前記第1の視野を増大させて、前記第1の視野より大きな視野を有する結合された視野を提供する、
請求項1に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項3】
前記外周面(212)の一部が前記第1の表面(216)と角度θを形成する、請求項1又は2に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項4】
前記角度θが45度より大きい、請求項3に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項5】
前記1つ又は複数の更なるアレイが、まとまって360度の方位角視野を提供する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項6】
前記外周面(212)が、
3つの側面を含み、前記3つの側面のうちの少なくとも1つが前記更なるアンテナアレイ(210)のうちの少なくとも1つを有するか、
若しくは
4つの側面を含み、前記4つの側面のうちの少なくとも1つの側面が前記更なるアンテナアレイ(210)のうちの少なくとも1つを有するか、
又は
前記第1の表面(216)と前記外周面(212)との境界が、
実質的に円形であり
、前記1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)
は前記外周面(212)の上に配置されるか、
若しくは
実質的に楕円形であり
、前記1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)
は前記外周面(212)の上に配置される、
請求項5に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項7】
前記ブレード部(204)がブレードアンテナを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記ブレード部(204)の内部に配置された1つ又は複数のモノポールアンテナを更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のアンテナアレイ(208)及び前記1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)が第1の周波数帯で動作し、前記1つ又は複数のモノポールアンテナが第2の周波数帯で動作する、請求項8に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項10】
前記ブレード部(204)が、前記ビークルの速度ベクトルと実質的に同一直線上にある軸を中心とした細長い断面を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項11】
前記頂部(206)が、天頂に実質的に直角な面内に配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項12】
アンテナアセンブリからRF信号を送信する方法であって、
前記RF信号を前記アンテナアセンブリに提供することであって、前記アンテナアセンブリが、
ブレード部(204)、
前記ブレード部(204)の第1の端部に配置された、ビークルの外表面に連結されるように適合された基部(202)、及び
前記ブレード部(204)の前記第1の端部から遠位にある前記ブレード部(204)の第2の端部に配置された頂部(206)
を備え、前記頂部(206)が、
前記基部(202)の反対側に向く第1の表面(216)であって、複数の第1のアンテナ要素を含む第1のアンテナアレイ(208)を有する前記第1の表面(216)
;
前記基部(202)に向く第2の表面(205);及び
前記第1の表面(216)と前記第2の表面(205)の間に配置された、前記頂部(206)の周囲の外周面(212)であって、複数の更なるアンテナ要素(252)を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)を含む前記外周面(212)
を含む、前記RF信号を前記アンテナアセンブリに提供することと、
前記第1のアンテナアレイ(208)
と、前記更なるアンテナアレイ(210)のうちの少なくとも1つ
と、のいずれかを選択することと、
選択された前記第1のアンテナアレイ(208)
と前記更なるアンテナアレイ(210)のうちの
前記少なくとも1つ
とのいずれかを介して
、前記RF信号を送信することと
を含む方法。
【請求項13】
前記RF信号が第1のRF信号であり、前記方法が、
第2のRF信号を前記アンテナアセンブリに提供することと、
前記複数の第1のアンテナ要素を介した前記第1のRF信号と、少なくとも一組の前記複数の更なるアンテナ要素(252)を介した前記第2のRF信号とを、同時に送信することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アンテナアセンブリが、前記ブレード部(204)の内部に配置された1つ又は複数のモノポールアンテナを更に備え、前記方法が、
第3のRF信号を前記1つ又は複数のモノポールアンテナを介して送信すること
を更に含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のアンテナアレイ(208)及び前記1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)が第1の周波数帯で動作し、前記1つ又は複数のモノポールアンテナが第2の周波数帯で動作する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナを介して、特にマルチバンドアンテナのシステムを介して情報を通信するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
既存の無線通信システムは、全方向性カバーエリアのための単一バンド用にそれ自体のアンテナを展開する。複数のシステムは、指定されたバンド及びカバー範囲のために複数のアンテナを展開する必要がある。複数のアンテナの構成には、大きな表面積が必要とされる。それは、限定された表面積を有するビークル内で、非常に価値のある物的財産について他のシステムと競合する。加えて、混雑したアンテナファームは、ビークルに設置された他のシステムに干渉する。複数のアンテナはまた、ビークルの重量及び空力抵抗を増加させ、マイナスに作用する。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、発明を実施するための形態において更に後述される選択された概念を、単純な形式で紹介する。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を制限するために使用されることを意図してもいない。
【0004】
上述の要件に対処するために、本書は、ビークルの外表面に連結されるように適合された基部、基部に連結された第1の端部と第2の端部とを有するブレード部、ブレード部の第1の端部から遠位にあるブレード部の第2の端部に連結された頂部を含むマルチバンドアンテナアセンブリであって、頂部が、基部の反対側に向く第1の表面であって、複数の第1のアンテナ要素を含む第1のアンテナアレイを有する第1の表面と、基部に向く第2の表面と、第1の表面と第2の表面の間に配置された、頂部の周囲の外周面であって、複数の更なるアンテナ要素を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイを含む外周面とを含む、マルチバンドアンテナアセンブリを開示する。
【0005】
一実施例において、第1のアンテナアレイは、天頂の方向に向く第1の視野を有し、1つ又は複数の更なるアンテナアレイは、第1の視野を増大させて第1の視野より大きな視野を有する結合された視野を提供する。いくつかの実施例では、外周面の少なくとも一部は、第1の表面と角度θを形成する。そのような実施例の1つでは、θ>45である。また別の実施例では、1つ又は複数の更なるアレイは、まとまって360度の方位角視野を提供する。
【0006】
いくつかの実施例は、同じアンテナアセンブリを介して第1のRF信号を送信し且つ第2のRF信号を送信する方法により実証される。この方法は、第1のRF信号及び第2のRF信号を、上述のようなアンテナアセンブリに提供することを含む。この方法は、送信することを含み、複数の第1のアンテナ要素を介した第1のRF信号と、複数の更なるアンテナ要素の少なくとも1つのサブセットを介した第2のRF信号とを同時に送信することも含む。
【0007】
前述のアンテナアセンブリは、複数の無線システム及び広範な周波数帯をサポートする。このアンテナアセンブリは、パネルの頂部及び側面にアンテナアレイを含む頂冠パネルを有するブレードアンテナを備える。パネルの頂部のアンテナアレイは垂直放射エリア(最大90度の仰角)をカバーし、側面のアンテナアレイは水平範囲全体(360度の方位角)をカバーする。ブレードアンテナは、同じ又は異なる周波数帯に関して典型的な全方向性放射カバー範囲を同時に提供し、MIMO動作のための複数のモノポールアンテナを収容するパネルで置き換えることができる。
【0008】
上述の特徴、機能、及び利点は、本開示の種々の実施例において単独で達成することができるか、又は他の実施例において組み合わせることができ、これらの更なる詳細は以下の記載及び図面を参照して見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面では、複数の図面を通して同様の参照番号が対応する部品を表す。
【0010】
【
図2】A-Cは、統合アンテナアセンブリの一実施例の略図である。
【
図3】A-Cは、統合アンテナアセンブリを用いて達成されるカバー範囲を示す略図である。
【
図4】A-Cは、外周面が上表面に対して角度を成すように角度付けされている統合アンテナアセンブリの一実施例を示す略図である。
【
図5】A-Bは、外周面の異なる実施例を示す略図である。
【
図6】A及びBは、統合アンテナアセンブリのいくつかの実施例を示す略図である。
【
図7】RF信号を送信するための使用事例を示す略図である。
【
図8】第1の使用事例においてアンテナアセンブリからRF信号を送信するための例示的方法を示す略図である。
【
図9】第2の使用事例においてアンテナアセンブリから第1のRF信号と第2のRF信号とを送信するための例示的方法を示す略図である。
【
図11】上記開示の処理要素を実装するために使用することのできる例示的なコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の記載において、複数の実施例の例示を目的として示される、その一部を形成する添付図面に言及する。他の実施例が利用可能であり、本開示の範囲から逸脱せずに構造的変更を加えることができると理解されたい。
【0012】
概説
ここに開示されるシステム及び方法は、複数の使用事例を有する複数のシステムのための複数のアンテナ及びアンテナアレイを、1つの単一アンテナアセンブリへと統合する。これは、4G/ロングタームエボリューション(LTE)/第5世代(5G)-サブ6GHz帯(6GHz未満)といったより低い周波数帯には全方向性カバー範囲を、5G-ミリ波(mm Wave)帯といったより高い周波数帯には指向性ビームカバー範囲を、同時に提供する。これは、航空機、地上車両、海上車両、又は宇宙船といった制約のある環境において複数の無線通信システムを展開することに内在する、設置、動作、性能及び保全性の課題に対処する。このアセンブリの小型の物理的サイズは、有限の設置表面積とその結果としての共同サイト制限により生じる設置の制限、及びビークルに掛かる重量と空力抵抗を低減する。アンテナアレイを含むアセンブリは、より高い周波数帯に関する不十分なアンテナ利得の懸念を解決する。アンテナアレイを含むアセンブリは、電気スキャン能が無い、空間多重化が不可能、及び接続リンク範囲が制限されているといった電気的性能の懸念も解決する。単一アセンブリは、複数のアンテナの保全及び交換といった保全性の課題を解決する。
【0013】
このアセンブリは、マルチシステム及びマルチバンド通信のための複数のアンテナアレイを組み合わせたものであり、頂冠パネル(例えば、5Gミリ波セルラー/衛星通信)を含む1つ又は複数のモノポールアンテナ(例えば、LTE/5G-サブ6GHzセルラー通信用)を有するブレードを備える。ブレード/モノポールアンテナはより低い周波数帯で動作し、頂冠パネルに位置するアンテナアレイはより高い周波数帯で動作する。アセンブリは、小型で、360°のカバー範囲を提供し、空中、地上、又は海上を含む制約のある環境内を移動するビークルの、限られた物的財産、重量及び空力抵抗の懸念に対処する。
【0014】
アセンブリは、ビークルの設計及び製造を単純化すると共に、全体の重量も低減する。アセンブリは、宇宙空間、自動推進、及び/又は海上といった物理的に制約のある環境を有する他の用途においても使用することができる。
【0015】
通信システム
図1は、通信システム100の略図である。この通信システムは、航空機などのビークル104と、地上送受信器102T及び空中又は衛星送受信器102Sのうちの1つ又は複数を含むことのできる送受信器102と、他のビークル110とを備える。これは、同様の通信能を備えた他のビークルとの通信を含む。ビークル104は、1つ又は複数の統合アンテナアセンブリ(IAA)106を含む。一実施例において、IAA 106は、ビークルの上側外表面に取り付けられた第1の、即ち上側IAA 106Uと、ビークル104の下側外表面に取り付けられた第2の、即ち下側IAA 106とを含む。IAA 106は、IAA 106を含む他の航空機のサブシステムからデータ及びコントロールを供給及び受信する通信コントローラ108に通信可能に連結される。IAA 106は、乗客又は乗員の通信データ(例えば携帯電話の個人対個人の通信、乗客のインターネットサービスプロバイダ(ISP)又は航空機104によって提供されるISPを介したインターネット通信)を含み得るデータ、並びにアビオニクス及び/又はコックピットデータを通信するために使用される。
【0016】
統合アンテナアセンブリ
図2のA-Cは、IAA 106の一実施例の略図である。
図2のAは、IAA 106の側面図を示している。IAA 106は、基部202、ブレード部204及び頂部206を含んでいる。基部202は、ブレード部204の第1の端部に配置され、ビークル(例えば、ビークル104)に連結されるように適合される。頂部206は、ブレード部204の第2の端部に配置される。
【0017】
いくつかの実施例では、基部202は、ビークルの外表面に、例えば、基部202の第1の表面201をビークルの外表面又は外板に取り付けることにより、連渇される。いくつかの実施例では、ビークル104がRFエネルギーを透過させる外側外板を有する場合、IAA 106はビークル104の内表面に取り付けることができる。
【0018】
IAA 106は、第1の端部及び第2の端部を有するブレード部204も含む。図示のように、ブレード部204の第1の端部は基部202の第2の表面203に連結され、ブレード部204の第2の端部は、ブレード部204の第1の端部から遠位にある頂部206の第2の表面205に連結される。いくつかの実施例では、ブレード部204は、ビークル104の速度ベクトルと実質的に同一直線上にある軸を中心とした細長い断面を有する。ブレード部は、空気力学的ティアドロップ形状の断面を有してもよい。
【0019】
頂部206は、基部202の反対側に向く、複数の第1のアンテナ要素250を有する第1の表面216も含む。図示の実施例では、複数の第1のアンテナ要素250は、8x8の寸法の第1のアンテナアレイ208に構成される。他の第1のアンテナアレイ208の寸法及びサイズを使用してもよい。
【0020】
頂部は、頂部の周囲の外周面212も含み、第1の表面216と第2の表面205の間に配置される。外周面212は、1つ又は複数のアンテナアレイ210を含む。図示の実施例では、外周面212は、実質的に矩形であり、4つの側面又は表面212A-212Dを含む。側面212の各々は、複数の第1のアンテナ要素250を含む。頂部は通常、水平飛行中のビークルの天頂(観察者の真上の空又は天球の一点)に対して実質的に直角な面内に配置される。
【0021】
外周面212は、各々が複数の更なるアンテナ要素252を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイ210を含む。図示の実施例では、外周は、各々が頂部のそれぞれの側面212A-212Dに配置され、且つ各々がそれぞれのアンテナ要素252A-252Dを有する4つの更なるアンテナアレイ210A-210Dを含む。図示の実施例では、更なるアンテナアレイ210の各々の要素は2x8であるが、他の数及び構成の更なるアンテナ要素252を使用することができる。これらアレイは、機内オフボード通信の間のビークル対ビークル(1対1又は1対多)のために特に有用である。
【0022】
いくつかの実施例では、第1のアンテナアレイ208及び更なるアンテナアレイ210は、Ku、K、Ka及びV-バンド周波数(10-86GHzの範囲)で動作する。
【0023】
図2Bは、コントロール/RFモジュール262の使用も示している。コントロール/RFモジュール262は、リンク264を介してビークル104からコマンド及びRF信号を受け取り、ビークルからアンテナアレイ208及び210へRF信号を提供し、1つ又は複数のリンク260を介したビーム形成及びスキャンを実施するようにアレイ208及び210のアンテナ要素を制御するために使用される。アンテナアレイ208及び210と並置されたコントローラは、それぞれのアレイのアンテナ要素にRFエネルギーを分配することができる。コントロールモジュール262及びIAA 106の他の要素のための電力は、リンク266によって提供される。
【0024】
図3のA-Cは、IAA 106を用いて達成されるカバー範囲を示す略図である。
図3のAは、IAA 106によって提供される視野302を示すIAA 106の正面図である。第1のアンテナアレイ208は、天頂Zの方向に第1の視野302を提供する。走査角の増加に伴う利得の減少は、このアレイの典型的なコサインロールオフに追従する。2D-アレイは、方位角面及び仰角面の両方において操作可能である。視野302の中心は、名目上天頂の方に向いており、すべての方向の水平線に向かって角度θ
Zで広がり、天頂Zに直角なすべての方向に180度又はほぼ180度のカバー範囲を提供する。
図3のBに示すように、更なるアンテナアレイ210の各々は、角度θ
Hの天頂Zに直角な水平面からに延びる垂直視野304を提供する。
図3のCに示すように、カバー範囲は、天頂を中心とする360度の方位角視野内に提供され、更なるアンテナアレイ210A-210Dの各々が全体の視野に寄与している。図示のように、更なるアンテナアレイ210のいくつかは、更なるアンテナアレイの他のアンテナアレイとは異なる視野を有することができ、更なるアンテナアレイ210の各々の視野は重複し得る。図示のように、更なるアンテナアレイ210のうちの1つ又は複数は、第1の視野302を増大させ、第1の視野302より大きな結合された視野を提供する。例えば、視野304の追加は、水平面内で天頂からθ
H360度だけ第1の視野302を拡大する。更に、視野304は、視野302に接するか又は視野302と重複するように選択することができるので、垂直視野304の下側範囲に天頂から連続視野を提供する。
【0025】
図4のA-Cは、外周面212が第1の(上)表面216に対して角度θ
Pを形成するように角度付けされている、IAA 106の一実施例を示す略図である。この実施例は、垂直視野304の中心が、天頂Zを中心として視野302に向かってθ
P-90度の量だけ上方に角度付けされることを可能にする。これにより、垂直視野304のボアサイトが、天頂を中心とする視野302のエッジに向かってもたらされ、したがって、視野302、304が交差又は重複する領域において性能が向上する。この実施例ではθ
P>90度であるが、θ
P<90度であり、外周面212が天頂から離れる方向に角度付けされている他の実施例を利用することができる。
【0026】
図5のA-Bは、外周面212のいくつかの実施例を示す略図である。
図2のA-Cに示される実施例では、外周面は、各々が更なるアンテナアレイ210A-210Dのうちの1つを有する4つの側面212A-212Dを有していた。図では矩形に示されているが、外周面は、正方形の断面でもよく、又は異なる長さの4辺を有してもよい(例えば四辺形)。
【0027】
図5のAは、外周面が三角形であり、各々が対応する更なるアレイ510A-510C又は更なるアンテナ要素252を有する3つの側面512A-512Cを有する一実施例の略図である。空気力学的目的のために、三角形は、速度ベクトルの方向に向く最小角度がビークル104を有する、二等辺三角形とすることができる。いくつかの実施例では、各側面の更なるアンテナアレイの視野は、水平面内において完全なカバー範囲が実現されるようなものである。
図5のBは、外周面が、実質的に円形であり、外周面に沿って等しい角度間隔に配置された更なるアンテナアレイ511A-511Aのうちの1つ又は複数を有する一実施例の略図である。4つのこのような更なるアンテナアレイ511A-511Dが図示されているが、これよりも少ないか又は多いアレイを利用することができる。図示されていないが、外周面は、やはりその上に更なるアンテナアレイのうちの1つ又は複数が配置されている楕円形とすることもできる。この実施例では、楕円の長軸は、典型的にはビークル104の速度ベクトルと整列する。
【0028】
いくつかの実施例では、ブレード部204はブレードアンテナを含む。ブレードアンテナは、モノポールアンテナの変形例であり、典型的には、多くの場合空気力学的な目的のために台形である平坦な導体を含む。導体はしばしば、広帯域性を改善するためのノッチを含む。このようなブレードアンテナは、LTE周波数帯(約100MHzの帯域幅を有する2GHz)及び/又は5Gサブ6GHz周波数帯のサービスに使用することができる。
【0029】
図6のA及びBは、IAA 106のいくつかの実施例を示す略図である。この実施例では、ブレード部は、ブレード204内部に配置された1つ又は複数のモノポールアンテナ602A-602Dを含む。この実施例では、ブレードはRFエネルギーを透過させる。いくつかの実施例では、第1のアンテナアレイ208及び更なるアンテナアレイ210は第1の周波数帯で動作し、1つ又は複数のモノポールアンテナ602は第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯で動作する。例えば、第1のアンテナアレイ208及び更なるアンテナアレイ210は、12-86GHzのKu及び5Gミリ波帯で動作することができ、1つ又は複数のモノポールアンテナは、6GHzより低い第2の周波数帯で動作する。
【0030】
図7は、RF信号を送信するための使用事例を示す略図である。一使用事例において、第1のアンテナアレイ208及び更なるアンテナアレイ210は、ビークルが地上に又は地上付近にある間に、ビークル104の上方に位置する衛星送受信器100S又は他のエンティティ(例えば、航空機)と情報を送受信するために使用される。ビークル104の真上に位置する衛星送受信器100Sとは、第1のアンテナアレイ208を用いて通信することができ、より水平線の近くに位置する衛星100Sとは、1つ又は複数の更なるアンテナアレイ210により通信することができる。
【0031】
図8は、この第1の使用事例においてアンテナアセンブリからRF信号を送信するための例示的方法を示す略図である。ブロック802において、RF信号がIAA 106に提供される。ブロック804では、第1のアンテナアレイ208又は更なるアンテナアレイ210のうちの1つ又は複数は、例えば、いずれの視野の内部に衛星送受信器102Sがあるかに応じて、RF信号を送信するために選択される。いずれのアレイ210が使用されるかも、通信されている通信データの優先度又は種類に依存しうる。ブロック806において、信号は、選択された第1のアレイ又は1つ又は複数の更なるアンテナアレイ210を介して送信される。
【0032】
第2の使用事例では、第1のアンテナアレイ208は、衛星100Sと第1のRF信号を通信するために使用され、更なるアンテナアレイ210のうちの1つ又は複数は、地上送受信器102Tと第2のRF信号を通信するために使用される。このような通信は、独立しており、且つ同時に発生し得る。
【0033】
図9は、第2の使用事例において、アンテナアセンブリから第1のRF信号と第2のRF信号とを送信するための例示的方法を示す略図である。ブロック902において、第1のRF信号及び第2のRF信号がIAA 106に提供される。ブロック904では、第1のRF信号が第1のアンテナアレイ208を介して同時に送信され、第2のRF信号が更なるアンテナアレイ210のうちの少なくとも1つを介して送信される。一実施例において、第1のRF信号は第1のアンテナアレイ208を介して衛星に送信され、第2のRF信号は更なるアンテナアレイを介して地上送受信器102Tに送信される。さらなる実施例は、ブレード部に1つのアンテナを含み、このようなアンテナは、例えば地上送受信器102T又は地上送受信器102Tに、第3のRF信号を通信するために使用することができる。
【0034】
図10は、別の使用事例を示す略図である。この使用事例では、上側IAA 106U及び下側IAA 106Lを含む2つのIAA 106が使用されている。上側IAA 106Uは、衛星100Sといった第1のエンティティと通信するために使用される。名目上、第1のアンテナアレイ208が使用されるが、特に衛星送受信器102Sが水平線に近い場合に、更なるアンテナアレイ210も使用することができる。同様に、下側IAA 106Lは、地上送受信器102Tといった第2のエンティティと通信するために使用される。この場合も、第1のアンテナアレイ208が一般に使用されるが、特に地上送受信器102Tが水平線に近い場合に、更なるアンテナアレイ210も使用することができる。
【0035】
ハードウエア環境
図11は、コントロール/RFモジュール262を含む、上記開示の処理要素を実装するために使用することのできる例示的なコンピュータシステム1100を示している。コンピュータ1102は、プロセッサ1104及びランダムアクセスメモリ(RAM)1106などのメモリを含む。コンピュータ1102は、グラフィカルユーザインターフェース1118B上でユーザにウインドウなどの画像を提示するディスプレイ1122に動作可能に連結される。コンピュータ1102は、キーボード1114、マウスデバイス1116、プリンタ1128などといったの他のデバイスに連結することができる。言うまでもなく、当業者であれば、上記構成要素のあらゆる組み合わせ、又は任意の数の異なる構成要素、周辺機器、及び他のデバイスがコンピュータ1102に使用可能であることを認識するであろう。
【0036】
一般的に、コンピュータ1102は、メモリ1106に記憶されたオペレーティングシステム1108の制御下で動作し、ユーザと相互作用して、入力及びコマンドを受け取り、結果をグラフィカルユーザインターフェース(GUI)モジュール1118Aを通して提示する。GUIモジュール1118Bは別個のモジュールとして図示されているが、GUI機能を実施する命令は、オペレーティングシステム1108、コンピュータプログラム1110に常駐若しくは分散させることができるか、又は専用メモリ及びプロセッサを用いて実装することができる。コンピュータ1102は、COBOL、C++、FORTRANなどのプログラム言語、又は他の言語に記述されるアプリケーションプログラム1110がプロセッサ1104可読コードに翻訳されることを可能にするコンパイラ1112も実装することができる。完了後、アプリケーション1110は、コンパイラ1112を使用して生成された関係性及びロジックを使用して、コンピュータ1102のメモリ1106に記憶されたデータにアクセスしてこれを操作する。コンピュータ1102は、随意で、モデム、衛星リンク、イーサネットカード、又は他のコンピュータとの通信のための他のデバイスといった外部通信デバイスも含む。
【0037】
いくつかの実施例では、オペレーティングシステム1108、コンピュータプログラム1110、及びコンパイラ1112を実装する命令は、zipドライブ、フロッピーディスクドライブ1124、ハードドライブ、CD-ROMドライブ、テープドライブなどといった1つ又は複数の固定又は取り外し可能のデータ記憶デバイスを含みうるコンピュータ可読媒体、例えばデータ記憶デバイス1120に明確に具現化される。更に、オペレーティングシステム1108及びコンピュータプログラム1110は、コンピュータ1102によって読み込まれて実行されると、コンピュータ1102に、ここに記載される動作を実施させる命令から構成される。コンピュータプログラム1110及び/又は動作命令は、メモリ1106及び/又はデータ通信デバイス1130に明確に具現化することもでき、それによりコンピュータプログラム製品又は製造品を作製する。そのため、ここで使用される用語「製造品」、「プログラム記憶デバイス」及び「コンピュータプログラム製品」は、任意のコンピュータ可読デバイス又は媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを包含することが意図される。
【0038】
当業者であれば、本開示の範囲を逸脱せずに、この構成に多数の修正を加えることが可能であることを認識するであろう。例えば、当業者であれば、上記の構成要素の任意の組み合わせ、又は任意の数の異なる構成要素、周辺機器、及びその他デバイスが使用可能であることを認識するであろう。更に、本開示には、以下を含む実施例が含まれる。
【0039】
ビークルの外表面に連結されるように適合された基部、基部に連結された第1の端部と、第2の端部とを有するブレード部、ブレード部の第1の端部から遠位にあるブレード部の第2の端部に連結された頂部を含み、頂部が、基部の反対側に向く第1の表面であって、複数の第1のアンテナ要素を含む第1のアンテナアレイを有する第1の表面、基部に向く第2の表面、及び第1の表面と第2の表面の間に配置された、頂部の周囲の外周面であって、複数の更なるアンテナ要素を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイを含む外周面を含む、アンテナアセンブリ。
【0040】
実装態様は、以下の特徴のうちの一又は複数を含み得る:
第1のアンテナアレイが天頂の方向に向く第1の視野を有し、1つ又は複数の更なるアンテナアレイが、第1の視野を増大させて、第1の視野より大きな視野を有する結合された視野を提供する、前述のアンテナアセンブリ。
【0041】
外周面の一部が第1の表面と角度θを形成する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0042】
θ>45度である、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0043】
1つ又は複数の更なるアレイが、まとまって360度の方位角視野を提供する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0044】
外周面が3つの側面を含み、3つの側面のうちの少なくとも1つの側面が更なるアンテナアレイのうちの少なくとも1つを有する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0045】
外周面が4つの側面を含み、4つの側面のうちの少なくとも1つが更なるアンテナアレイのうちの少なくとも1つを有する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0046】
外周面が実質的に円形であり、その上に配置された1つ又は複数の更なるアンテナアレイを有する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0047】
外周面が実質的に楕円形であり、その上に配置された1つ又は複数の更なるアンテナアレイを有する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0048】
ブレード部がブレードアンテナを含む、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0049】
ブレード部の内部に配置された1つ又は複数のモノポールアンテナを更に含む、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0050】
第1のアンテナアレイ及び1つ又は複数の更なるアンテナアレイが第1の周波数帯で動作し、1つ又は複数のモノポールアンテナが第2の周波数帯で動作する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0051】
第1の周波数帯が、10から86GHz、又はKu、K、Ka及びV-バンドであり、第2の周波数帯が6GHz未満である、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0052】
ブレード部が、ビークルの速度ベクトルと実質的に同一直線上にある軸を中心とした細長い断面を有する、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0053】
頂部が、天頂に実質的に直角な面内に配置されている、前述のアンテナアセンブリのいずれか。
【0054】
いくつかの実施例は、アンテナアセンブリからRF信号を送信する方法で実証され、この方法は、第1のRF信号をアンテナアセンブリに提供することを含み、このアンテナアセンブリは、ブレード部、ブレード部の第1の端部に配置され、ビークルの外表面に連結されるように適合された基部;及びブレード部の第1の端部から遠位にあるブレード部の第2の端部に配置された頂部を含み、頂部が、基部の反対側に向く第1の表面であって、複数の第1のアンテナ要素を含む第1のアンテナアレイを有する第1の表面、基部に向く第2の表面;及び第1の表面と第2の表面の間に配置された、頂部の周囲の外周面であって、複数の更なるアンテナ要素を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイを含む外周面を含む。この送信する方法は、第1のアンテナアレイ又は更なるアンテナアレイのうちの少なくとも1つを選択することも含む。
【0055】
上記方法は、選択された第1のアンテナアレイ又は更なるアンテナアレイのうちの少なくとも1つを介してRF信号を送信することも含み得る。
【0056】
RF信号が第1のRF信号であり、前記方法が、第2のRF信号をアンテナアセンブリに提供すること、及び複数の第1のアンテナ要素を介した第1のRF信号と、少なくとも一組の複数の更なるアンテナ要素を介した第2のRF信号とを同時に送信することを更に含む、前述の方法のいずれか。
【0057】
アンテナアセンブリが、ブレード部の内部に配置された1つ又は複数のモノポールアンテナを更に含み、前記方法が、1つ又は複数のモノポールアンテナを介して第3のRF信号を送信することを更に含む、前述の方法のいずれか。
【0058】
第1のアンテナアレイ(208)及び1つ又は複数の更なるアンテナアレイ(210)が第1の周波数帯で動作し、1つ又は複数のモノポールアンテナが第2の周波数帯で動作する、前述の方法のいずれか。
【0059】
更なる実施例は、同じアンテナアセンブリを介して第1のRF信号を送信し且つ第2のRF信号を送信する方法で実証され、この方法は、第1のRF信号及び第2のRF信号をアンテナアセンブリに提供することを含み、このアンテナアセンブリは、ブレード部、ブレード部の第1の端部に配置され、ビークルの外表面に連結されるように適合された基部、及びブレード部の第1の端部から遠位にあるブレード部の第2の端部に配置された頂部を含み、頂部が、基部の反対側に向く第1の表面であって、複数の第1のアンテナ要素を含む第1のアンテナアレイを有する第1の表面、基部に向く第2の表面、第1の表面と第2の表面の間に配置された、頂部の周囲の外周面であって、複数の更なるアンテナ要素を有する1つ又は複数の更なるアンテナアレイを含む外周面を含む。
【0060】
実装態様は、以下の特徴のうちの一又は複数を含み得る:
複数の第1のアンテナ要素を介した第1のRF信号と、複数の更なるアンテナ要素の少なくとも1つのサブセットを介した第2のRF信号とを同時に送信することを含む、前述の方法。
【0061】
アンテナアセンブリが、ブレード部の内部に配置された1つ又は複数のモノポールアンテナを更に含み、前記方法が、1つ又は複数のモノポールアンテナを介して第3のRF信号を送信することを更に含む、前述の方法のいずれか。
【0062】
第1のアンテナアレイ及び1つ又は複数の更なるアンテナアレイが第1の周波数帯で動作し、1つ又は複数のモノポールアンテナが第2の周波数帯で動作する、上述の方法のいずれか。
【0063】
第1の周波数帯が、10から86GHz、又はKu、K、Ka、V-バンドであり、第2の周波数帯が6GHz未満である、上述の方法のいずれか。アンテナアセンブリは、マルチシステムマルチバンドアンテナ及びアンテナアレイアセンブリも含み得る。
【0064】
結論
ここで本開示の好適な実施例の記載を結論づける。好適な実施例の前述の記載は、例示及び説明を目的として提示された。前述の記載は、包括的であること又は本開示を開示された詳細な形態に限定することを意図していない。上記の教示を踏まえて、多くの修正例及び変形例が可能である。権利の範囲が、この詳細な説明ではなく、特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。
【0065】
用語「含む」、「有する」、及びそれらの変形がここで使用される限りにおいて、これら用語は、用語「備える」と同様に、いずれの追加的要素又は他の要素も除外せずに、広い転換語として包括的であることが意図されている。