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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】プレイングカード
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/02 20060101AFI20250708BHJP
【FI】
A63F1/02 M
A63F1/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023000466
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2022016045の分割
【原出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2023036942
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2017192634
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第7022228(JP,B2)
【文献】特開2011-024603(JP,A)
【文献】特開2006-347030(JP,A)
【文献】特開2003-302519(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118734(WO,A1)
【文献】特開2016-093458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームに用いるゲーミングカードであって、
カード原紙の一面に前記ゲーミングカードの種類を表す図柄が印刷され、裏面には複数
の前記ゲーミングカードに共通の裏柄が印刷され、
前記図柄の印刷には実質的にカーボンを含まないインクを使用して印刷することによっ
て、
実質的にカーボンを含まないインクにより印刷された前記図柄は赤外線を透過させるこ
とで、可視光線と赤外線の両方で裏面から前記ゲーミングカードの種類の判別がつきにく
い構成を備えた、ゲーミングカード。
【請求項2】
前記カード原紙から切断機によりカッティングされた個別のカードによってデッキの一
組又は数組を構成する、請求項1に記載のゲーミングカード。
【請求項3】
カーボンを含むインクにより前記裏柄を印刷することによって、前記裏柄のカーボンを
含むインクにより裏面からの赤外線の透過を実質的に防止する構成である、請求項2に記
載のゲーミングカード。
【請求項4】
前記カード原紙には可視光線を通しにくくするための黒層または黒に類似した色層を有
する中間層が設けられ、
裏面からの可視光線の透過を前記中間層で実質的に防止し、
前記中間層は実質的にカーボンを含まない、請求項1から3のいずれかに記載のゲーミ
ングカード。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の複数の前記ゲーミングカードで構成されるゲーミン
グカードセットであって、前記ゲーミングカードセットを特定するIDコードが付与され
た、ゲーミングカードセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイングカードに関する。
【背景技術】
【0002】
ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のプレイングカードゲ
ームにおいては、ディーラーが、1デッキもしくは複数デッキのプレイングカードをカー
ドシュータ等にセットし、そこから一枚ずつ繰り出して、ゲーム参加者にカードを配る。
このとき、ゲームの公平性を担保するために、それらのカードはランダムに配られる必要
があるので、ゲーム主催者は、カードシュータにセットする前に、プレイングカードを十
分にランダムにシャッフルしておかなければならない。
【0003】
しかしながら、ゲーム主催者がゲームに先立ってシャッフルを行う場合、シャッフルに
長い時間を要することがあり、ゲームの効率的な運用を妨げる要因となっていた。また、
ゲーム主催者がシャッフルを行うと、カードの抜き差しや差し替えなどの不正行為が行わ
れる余地があるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、国際公開第2009/069708号では、所定数
のデッキを構成するプレイングカードがシャッフルされた状態で個別に包装されたシャッ
フルプレイングカードが提案されている。このシャッフルプレイングカードの包装には、
シャッフルプレイングカードのシャッフルを行ったシャッフル機またはシャッフル機群を
特定可能な情報にデータベース上でアクセスするためのシャッフルプレイングカードID
が、IDコードとして付与されている。
【0005】
元来、印刷業界では三原色に加えて、黒色部分にはより鮮明で濃い黒色を表現するため
に、カーボンブラックインクを使用することが不可欠である。当然、プレイングカードの
場合も、通常は黒色部分はカーボンブラックインクで印刷することが常識である。
【発明の概要】
【0006】
カーボンには、赤外線の放射率(吸収率)が高いという特性があることから、カーボン
ブラックインクは、赤外線カメラを通してみると黒く映ることになる。
【0007】
近年、電子デバイスの超小型化および高性能化が進んでおり、性能の良い赤外線カメラ
であっても、悪質な不正行為者により超小型化されることで、外部から気づかれることな
く遊技場に持ち込まれる危険性が生じている。
【0008】
性能の良い赤外線カメラを通して通常のプレイングカードを見ると、プレイングカード
の裏側からであってもカーボンブラックインクが使われている表側の印刷が透けて見える
。すなわち、裏から見て表のランク、スートが分かってしまう可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、赤外線カメラを通して見たとしても表側の印刷が透けて見えにくいプ
レイングカードを提供することにある。
【0010】
本発明の一態様に係るプレイングカードは、
カード原紙の一面にスートとランクとが印刷され、裏面には裏柄が印刷され、
前記カード原紙は中間層としてカーボンを含む赤外線透視防止層を有しており、
前記スートとランクの印刷にはカーボンを含まないインクが使用され、
前記カード原紙から切断機によりカッティングされた個別のカードによってデッキの一
組又は複数組を構成する。
【0011】
このような態様によれば、カード原紙には中間層としてカーボンを含む赤外線透視防止
層が設けられているため、カードの表側の印刷部分から放射される赤外線は中間層で吸収
され、裏側には透過しにくい。さらに、スートとランクの印刷にはカーボンを含まないイ
ンクが使用されているため、印刷部分から放射される赤外線の強度とその周囲の領域から
放射される赤外線の強度との差が小さく、たとえ表側の印刷部分から放射された赤外線で
あって中間層で吸収しきれずに裏側に透過する赤外線があったとしても、透過した微量の
赤外線分布からスートとランクを判別することは極めて難しい。したがって、赤外線カメ
ラを通して見たとしても表側の印刷が透けて見えにくいプレイングカードを提供すること
ができる。
【0012】
本発明の一態様に係るプレイングカードにおいて、
前記カード原紙の裏面の裏柄はカーボンを含むインクにより印刷されてもよい。
【0013】
このような態様によれば、カードの裏柄がカーボンを含むインクにより印刷されている
ため、カードの裏側には裏柄と同じ模様の赤外線分布があらわれる。したがって、表側の
印刷部分から放射された赤外線であって中間層で吸収しきれずに裏側に透過する赤外線が
あったとしても、透過した微量の赤外線分布は、カードの裏柄から放射される赤外線分布
に重ね合わされて埋もれてしまい、赤外線カメラを通して見たとしても、表側の印刷を判
別することは、より一層難しくなっている。
【0014】
本発明の一態様に係るプレイングカードは、
カード原紙の一面にスートとランクとが印刷され、裏面には裏柄が印刷され、
前記カード原紙は中間層としてカーボンを含む赤外線透視防止層を有しており、
前記カード原紙の裏面の裏柄はカーボンを含むインクにより印刷され、
前記カード原紙から切断機によりカッティングされた個別のカードによってデッキの一
組又は複数組を構成する。
【0015】
このような態様によれば、カード原紙には中間層としてカーボンを含む赤外線透視防止
層が設けられているため、カードの表側から放射される赤外線は中間層で吸収され、裏側
には透過しにくい。さらに、カードの裏柄がカーボンを含むインクにより印刷されている
ため、カードの裏側には裏柄と同じ模様の赤外線分布があらわれる。したがって、表側の
印刷部分から放射された赤外線であって中間層で吸収しきれずに裏側に透過する赤外線が
あったとしても、透過した微量の赤外線分布は、カードの裏柄から放射される赤外線分布
に重ね合わされて埋もれてしまい、このような赤外線分布からスートとランクを判別する
ことは極めて難しい。したがって、赤外線カメラを通して見たとしても表側の印刷が透け
て見えにくいプレイングカードを提供することができる。
【0016】
本発明の一態様に係るプレイングカードは、
カード原紙の一面にスートとランクとが印刷され、裏面には裏柄が印刷され、
前記スートとランクの印刷にはカーボンを含まないインクが使用され、
前記カード原紙の裏面の裏柄はカーボンを含むインクにより印刷され、
前記カード原紙から切断機によりカッティングされた個別のカードによってデッキの一
組又は複数組を構成する。
【0017】
このような態様によれば、スートとランクの印刷にはカーボンを含まないインクが使用
されているため、印刷部分から放射される赤外線の強度とその周囲の領域から放射される
赤外線の強度との差が小さく、たとえ表側の印刷部分から放射された赤外線であって裏側
に透過する赤外線があったとしても、透過した微量の赤外線分布からスートとランクを判
別することは難しい。さらに、カードの裏柄がカーボンを含むインクにより印刷されてい
るため、カードの裏側には裏柄と同じ模様の凹凸のはっきりした赤外線分布があらわれる
。したがって、表側の印刷部分から放射された赤外線であって裏側に透過する赤外線があ
ったとしても、透過した微量の赤外線分布は、カードの裏柄から放射される赤外線分布に
重ね合わされて埋もれてしまい、このような赤外線分布からスートとランクを判別するこ
とは極めて難しくなっている。したがって、赤外線カメラを通して見たとしても表側の印
刷が透けて見えにくいプレイングカードを提供することができる。
【0018】
本発明の一態様に係るシャッフルプレイングカードは、
上記したいずれかの特徴を有するプレイングカードの所定組分をシャッフル機によりシ
ャッフルして1組のシャッフルプレイングカードが組まれ、前記1組のシャッフルプレイ
ングカードを個別に包装して封印した、シャッフルプレイングカードである。
【0019】
このような態様によれば、ゲームに先立ち、ゲーム主催者が長時間をかけてシャッフル
を行う必要がなく、かつ、カードの抜き差しや差し替えなどの不正行為の入り込む余地の
ないシャッフルプレイングカードを提供することができる。
【0020】
本発明の一態様に係るシャッフルプレイングカードにおいて、
前記個別に包装して封印した前記シャッフルプレイングカードには、個別に異なるシャ
ッフルプレイングカードIDがIDコードとして付与されてもよい。
【0021】
このような態様によれば、たとえば、シャッフルプレイングカードIDがシャッフルプ
レイングカードのシャッフルを行ったシャッフル機またはシャッフル機群を特定可能な情
報に関連づけられていれば、シャッフルプレイングカードIDが個別に包装して封印され
たシャッフルプレイングカードに付与されていることにより、プレイングカードに何らか
の不具合があり、その不具合が生じた原因がシャッフル機にあると考えられる場合に、ど
のシャッフル機またはシャッフル機群で不具合が生じたかを製造者側で容易に特定し、早
急に対策をとることが可能となる。
【0022】
本発明の一態様に係るプレイングカードにおいて、
前記カード原紙一枚もしくは複数枚ごとに異なるシートIDが前記カード原紙に印刷さ
れ、
前記シートIDは、デッキの組を構成するカードの印刷面に印刷されてもよい。
【0023】
このような態様によれば、カード原紙一枚もしくは複数枚ごとに異なるシートIDが印
刷されたカード原紙がカッティングされて一デッキまたは複数デッキのプレイングカード
が作成されるため、そのカードがいつ印刷されたものであるか、またいつ検査されたもの
であるかという情報まで、プレイングカードの流通履歴をさかのぼってデータベース上で
確認することが可能となる。これにより、悪質な不正行為者により、包装されたシャッフ
ルプレイングカードの中身が、並びが分かっている一組のカードとすり替えられた場合で
あっても、中身のカードからシートIDを読み取ってデータベース上で履歴を確認するこ
とにより、正しく製造、流通された真正品であるかどうかをシート単位で確認することが
可能となる。
【0024】
本発明の一態様に係るプレイングカードにおいて、
前記カード原紙一枚もしくは複数枚ごとに異なるシートIDが前記カード原紙に印刷さ
れ、
前記シートIDは、デッキの組を構成するカード以外のカードに印刷されてもよい。
【0025】
本発明の一態様に係るシャッフルプレイングカードにおいて、
前記カード原紙一枚もしくは複数枚ごとに異なるシートIDが前記カード原紙に印刷さ
れ、
前記シートIDは、デッキの組を構成するカードの印刷面に印刷され、
前記個別に包装して封印した前記シャッフルプレイングカードには、個別に異なるシャ
ッフルプレイングカードIDがIDコードとして付与され、
前記シャッフルプレイングカードを構成する所定組のカードの前記シートIDと、前記
シャッフルプレイングカードに付与された前記シャッフルトランプIDとは、相互にデー
タベースで関連付けられていてもよい。
【0026】
本発明の一態様に係るプレイングカードは、
カード原紙の一面にスートとランクとが印刷され、裏面には裏柄が印刷され、
前記カード原紙には可視光線を通しにくくするための黒層または黒に類似した色層を有
する中間層が設けられ、前記スートとランクの印刷にはカーボンを含まないインクを使用
して印刷することによって、
裏面からの可視光線の透過を前記中間層で防止するとともに、カーボンを含まないイン
クにより印刷された前記スートとランクは赤外線を透過させることで、可視光線と赤外線
の両方で裏面からスートとランクの判別がつきにくい構成を備え、
前記カード原紙から切断機によりカッティングされた個別のカードによってデッキの一
組又は数組を構成する。
【0027】
本発明の一態様に係るプレイングカードにおいて、
前記カード原紙の裏柄はカーボンを含むインクにより印刷することによって、裏面から
の赤外線の透過を前記裏柄のカーボンを含むインクにより防止する構成であってもよい。
【0028】
本発明の一態様に係るプレイングカードにおいて、
前記中間層はカーボンを含む赤外線の透視を防止する構成であってもよい。
【0029】
本発明の一態様に係るシャッフルプレイングカードは、
上記したいずれかの特徴を有するプレイングカードの所定組分をシャッフル機によりシ
ャッフルして1組のシャッフルプレイングカードが組まれ、前記1組のシャッフルプレイ
ングカードを構成したものである。
【0030】
本発明の一態様に係るシャッフルプレイングカードにおいて、
前記シャッフルプレイングカードには、個別に異なるシャッフルプレイングカードID
がIDコードとして付与されてもよい。
【0031】
本発明の一態様に係るテーブルゲームシステムは、
一面にスートとランクとが印刷されたプレイングカードと、
前記プレイングカードを用いてゲームを行うための遊技テーブルと、
前記遊技テーブルにおいて前記プレイングカードを一枚毎に引き出すためのカード配布
装置と、を備えたテーブルゲームシステムで、
前記プレイングカードは、前記スートとランクがカーボンを含まないインクにより印刷
されていると共に、前記スートとランクを表すコードが目に見えないインクで印刷されて
おり、
前記カード配布装置は、前記目に見えないインクで印刷された前記コードかランクを読
み取ると共に当該ランクの情報から各ゲームの勝敗結果を判定し表示する機能を備える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、一実施の形態に係るプレイングカードの分解図である。
図2図2は、図1に示すプレイングカードの断面の一部を拡大して示す図である。
図3図3(a)は、一実施の形態に係るプレイングカードのうちデッキの組を構成するカードの表面を示す図であり、図3(b)は、その裏面を示す図である。
図4図4(a)は、一実施の形態に係るプレイングカードのうちデッキの組を構成するカード以外のカードの表面を示す図であり、図4(b)は、その裏面を示す図である。
図5図5は、一実施の形態に係るプレイングカードの製造方法を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、一実施の形態に係るプレイングカードの製造方法で利用されるカード原紙であって、シートIDが印刷されたカード原紙を示す図である。
図7図7は、一実施の形態に係るプレイングカードの製造方法で利用されるカード原紙であって、シートIDが印刷されたカード原紙の一変形例を示す図である。
図8図8は、一実施の形態に係るプレイングカードの製造方法で製造されるシャッフルプレイングカードであって、包装の蓋がシールで封緘される前のシャッフルプレイングカードを示す図である。
図9図9は、一実施の形態に係るシャッフルプレイングカードであって、包装の蓋を封緘するシールにシャッフルプレイングカードIDが付与されたシャッフルプレイングカードを示す図である。
図10図10は、シャッフルプレイングカードIDとシートIDとを相互に関連付けて記憶するデータベースを説明するための図である。
図11A図11Aは、従来のプレイングカードの断面を示す図である。
図11B図11Bは、従来のプレイングカードに中間層を加えたプレイングカードの断面を示す図である。
図11C図11Cは、一実施の形態に係るプレイングカードの断面を示す図である。
図11D図11Dは、一実施の別の形態に係るプレイングカードの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図に
おいて同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい
説明は繰り返さない。
【0034】
一実施の形態に係るテーブルゲームシステムは、一面にスート21aとランク21bと
が印刷されたプレイングカード2(図1参照)と、プレイングカード2を用いてゲームを
行うための遊技テーブルと、遊技テーブルにおいてプレイングカード2を一枚毎に引き出
すためのカード配布装置と、を備えている。
【0035】
後述するように、プレイングカード2には、スート21aとランク21bが、カーボン
を含まないインクで印刷されている。また、プレイングカード2には、スート21aとラ
ンク21bを表すコードが、目に見えないインク(たとえば、紫外線が当たると発光する
紫外線発光インクや光に対して特定の波長を発光するDNA含有塗料)で印刷されている
【0036】
カード配布装置は、目に見えないインクで印刷されたコードかランクを読み取ると共に
、当該ランクの情報から各ゲームの勝敗結果を判定し表示する機能を有している。このよ
うなカード配布装置としては、たとえば、国際公開第2012/053179号に記載さ
れたカードシュータ装置、または国際公開第2013/161284号に記載されたカー
ドシュータ装置を利用することができる。
【0037】
次に、一実施の形態に係るプレイングカード2の構造を説明する。図1は、一実施の形
態に係るプレイングカード2の分解図である。図2は、図1に示すプレイングカード2の
断面の一部を拡大して示す図である。
【0038】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係るプレイングカード2は、一面にスー
ト21aとランク21bとが印刷され、裏面に裏柄29が印刷されており、中間層として
赤外線透視防止層28を有している。
【0039】
本実施の形態では、中間層としての赤外線透視防止層28は、カーボンを含んでいる。
カーボンには、赤外線の放射率(吸収率)が高いという特性があることから、図2に示す
ように、表面の印刷部分(たとえば、後述するシートID31)から放射される赤外線は
、中間層としての赤外線透視防止層28で吸収され、裏側には透過しにくくなっている。
なお、本明細書において「可視光線」とは、目に入って、視感覚を起こすことができる放
射を意味し、「赤外線」とは、単色光成分の波長が可視放射(可視光線)の波長より長く
、およそ1nmより短い放射を意味し、JIS Z8120:2001の定義による。
【0040】
なお、赤外線透視防止層28は、赤外線の透過を防止できるものであれば、カーボンの
ような赤外線を吸収する材質を含む態様に限定されず、たとえば、アルミホイルのように
赤外線を反射する材質を含む態様であってもよい。
【0041】
本実施の形態に係るプレイングカード2では、スート21aとランク21bの印刷部分
にはカーボンを含まないインクが使用されている。カーボンを含まないインクを使用する
ことは一般常識からは外れるが、プレイングカードのランク・スートや柄には、漆黒が要
求されないため、カーボンを含まないインクを使用しても問題ない。スート21aとラン
ク21bの印刷部分にはカーボンを含まないインクが使用されていることにより、当該印
刷部分21a、21bから放射される赤外線の強度とその周囲の領域から放射される赤外
線の強度との差が小さく、たとえ表側の印刷部分21a、21bから放射された赤外線で
あって中間層28で吸収しきれずに裏側に透過する赤外線があったとしても、透過した微
量の赤外線分布からスート21aとランク21bの形状を判別することは極めて難しくな
っている。
【0042】
また、本実施の形態に係るプレイングカード2では、カードの裏柄29がカーボンを含
むインク(たとえば、カーボンブラックインク)により印刷されている。そのため、図2
に示すように、カードの裏側には裏柄29と同じ模様の赤外線分布があらわれる。したが
って、表側の印刷部分(たとえば、シートID31)から放射された赤外線であって中間
層28で吸収しきれずに裏側に透過する赤外線があったとしても、透過した微量の赤外線
分布は、カードの裏柄29から放射される赤外線分布に重ね合わされて埋もれてしまい、
赤外線カメラを通して見たとしても、表側の印刷31を判別することは、より一層難しく
なっている。
【0043】
図3(a)は、一実施の形態に係るプレイングカード2のうちデッキの組を構成するカ
ード21の表面を示す図であり、図3(b)は、その裏面を示す図である。図4(a)は
、一実施の形態に係るプレイングカード2のうちデッキの組を構成するカード以外のカー
ド22の表面を示す図であり、図4(b)は、その裏面を示す図である。
【0044】
図3に示すように、本実施の形態に係る1組のプレイングカード2は、デッキの組を構
成するカード21として、4つのスート21a(すなわち、スペード、クラブ、ダイヤ、
ハート)と、13のランク21b(すなわち、A(エース)、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、J(ジャック)、Q(クイーン)、K(キング))との組み合わせからな
る、4×13=52枚のカードを有している。
【0045】
また、図4に示すように、本実施の形態に係る1組のプレイングカード2は、デッキの
組を構成するカード以外のカードとして、「ジョーカー」のカード22をさらに有してい
る。1組のプレイングカード2に含まれる「ジョーカー」のカード22は、1枚であって
もよいし、2枚であってもよい。「ジョーカー」のカード22は、後述するシャッフルプ
レイングカードの作成時には、シャッフル工程の前に抜き取られて捨てられるカードであ
る。
【0046】
本実施の形態に係る1組のプレイングカード21、22は、一枚のカード原紙20(図
6参照)から切断機により個別にカッティングされることにより形成されている。
【0047】
図3および図4に示すように、1組のプレイングカード21、22の各々の表面には、
共通のシートID31、32が印刷されており、裏面には、共通の裏柄29が印刷されて
いる。シートID31、32は、複数の数字やアルファベット、記号からなる文字コード
であってもよいし、文字コードが符号化されたバーコードまたは2次元コードであっても
よい。
【0048】
図3に示すように、デッキの組を構成するカード21に印刷されたシートID31は、
人の目で見えないインク(たとえば、透明UVインク)で印刷されていてもよいし、人の
目で見えるインク(たとえば、黒色のインク)で印刷されていてもよい。シートID31
が人の目で見えないインク(たとえば、透明UVインク)で印刷されている場合には、従
来のカードと見た目が同様になり、カードの使用者は、違和感なくカードを使用すること
が可能である。一方、シートID31が人の目で見えるインク(たとえば、黒色のインク
)で印刷されている場合には、カードの使用者に違和感を抱かせる可能性があるものの、
シートID31は単なるIDコードであるため、ゲームにおいて特段の問題が生じるわけ
ではない。
【0049】
また、図4に示すように、デッキの組を構成するカード以外のカード22に印刷された
シートID32は、人の目で見えないインク(たとえば、透明UVインク)で印刷されて
いてもよいし、人の目で見えるインク(たとえば、黒色のインク)で印刷されていてもよ
い。人の目で見えるインク(たとえば、黒色のインク)で印刷されている場合には、後述
する製造工程において、製造者が、印刷されたカード原紙の品質の検査を行う際に、シー
トID32を容易に確認することが可能である。
【0050】
図10に示すように、各プレイングカード21、22に印刷されたシートID31、3
2は、元となるカード原紙20へのシートIDの印刷日の記録および個別のプレイングカ
ード21、22にカッティングされた日の記録の一方または両方とデータベースで関連付
けられて記憶されている。
【0051】
図8は、本実施の形態に係るシャッフルプレイングカード12であって、包装11がシ
ール13で封印される前のシャッフルプレイングカード12を示す図である。図7は、本
実施の形態に係るシャッフルプレイングカード12であって、包装11を封印するシール
13にシャッフルプレイングカードID13aが付与されたシャッフルプレイングカード
12を示す図である。
【0052】
本実施の形態に係るシャッフルプレイングカード12は、上述のプレイングカード2の
うちのデッキを構成するカード21の複数デッキ分(たとえば4デッキ分または8デッキ
分)が1組として、シャッフル機により十分にシャッフルされたものである。シャッフル
プレイングカード12には、組ごとに異なるシャッフルプレイングカードID13aがI
Dコードとして付与されている。図示された例では、シャッフルプレイングカード12は
、箱形状の包装11に収納され、その蓋がシール13により封印されててる。シャッフル
プレイングカードID13aは、バーコードとして符号化されており、包装11を封印す
るシール13に印刷されている。
【0053】
図10に示すように、シャッフルプレイングカード12を構成するプレイングカード2
1のシートID31と、シャッフルプレイングカードID13aとは、相互にデータベー
スで関連付けられて記憶されている。また、図10に示す例では、シャッフルプレイング
カードID13aには、シャッフルプレイングカード12をシャッフルしたシャッフル機
またはシャッフル機群を特定するシャッフル機IDと、シャッフル日とが、データベース
で関連付けられて記憶されている。
【0054】
次に、本実施の形態に係るプレイングカード2およびシャッフルプレイングカード12
の製造方法について説明する。図5は、本実施の形態に係るプレイングカード2およびシ
ャッフルプレイングカード12の製造方法を示すフローチャートである。
【0055】
本実施の形態に係るプレイングカード2およびシャッフルプレイングカード12の製造
工程においては、工程管理システムによって、受注から出荷まで一貫した工程管理がなさ
れることが好ましい。本実施の形態では、そのような工程管理システムを利用した製造方
法について説明する。
【0056】
まず、中間層として赤外線透過防止層28を有するカード原紙20が用意される。そし
て、図5および図6に示すように、印刷工程として、印刷機により、カード原紙20の表
面にスート21aとランク21bとが印刷され、裏面に裏柄29を印刷される(ステップ
S40)。本実施の形態では、スート21aとランク21bの印刷には、カーボンを含ま
ないインクが使用される。また、裏柄29の印刷には、カーボンを含むインクが使用され
る。
【0057】
図6に示す例では、4つのスートと13のランクとの組み合わせからなる52枚のカー
ド21と、1枚の「ジョーカー」のカード22と、その他の3枚のカード23とからなる
、合計56枚のカードが、8行×7列の行列配置にて印刷される。
【0058】
一変形例として、図7に示すように、4つのスートと13のランクとの組み合わせから
なる52枚のカード21を2デッキ分と、その他の1枚のカード23とからなる、合計1
05枚のカードが、7行×15列の行列配置にて印刷されてもよい。
【0059】
次に、シートID付与工程として、工程管理システムにより、カード原紙一枚もしくは
複数枚ごとに異なるシートIDが起番され、印刷機により、カード原紙20の表面にシー
トID31、32が印刷される(ステップS41)。また、工程管理システムにより、シ
ートID31、32と、カード原紙20へのシートID31、32の印刷日とが、データ
ベースにて相互に関連付けられて記憶される(図10参照)。図示は省略するが、シート
ID31、32は、工場名、製造ライン、顧客名(カジノ名)のうちの1つまたは2つ以
上と関連付けられてデータベースに記憶されてもよい。
【0060】
本実施の形態では、デッキの組を構成するカード21には、人の目で見えないインク(
たとえば、透明UVインク)にてシートID31が印刷される。これにより、デッキの組
を構成するカード21は、従来のカードと見た目が同様になり、カードの使用者は、違和
感なくカードを使用することが可能である。なお、シートID31は、デッキの組を構成
するカード21のうちの特定のカード(たとえば、スペードのA)のみに印刷されてもよ
いし、全てのカードに印刷されてもよい。
【0061】
一方、デッキの組を構成するカード以外のカード22、23には、人の目で見えるイン
ク(たとえば、黒色のインク)にてシートID32が印刷される。これにより、製造者が
、印刷されたカード原紙の品質の検査を行う際に、シートIDを容易に確認することが可
能である。
【0062】
なお、本実施の形態では、印刷工程(ステップS40)の後に、シートID付与工程(
ステップS41)が行われたが、これに限定されず、シートID付与工程(ステップS4
1)の後に、印刷工程(ステップS40)が行われてもよい。
【0063】
次に、印刷工程(ステップS40)及びシートID付与工程(ステップS41)を経た
カード原紙20が、切断機により個別のカード21、22、23にカッティングされる(
ステップS42)。カッティングされたカードから、デッキの組を構成するカード以外の
カード22、23が取り除かれることにより、一デッキ分(図7に示すカード原紙20か
らは2デッキ分)のプレイングカード21が作成される。
【0064】
後述するシャッフル機によりシャッフルされる前またはシャッフル中に、工程管理シス
テムにより、デッキの組を構成するプレイングカード21からシートID31が読み取ら
れ、シャッフル機(またはシャッフル機群)およびシャッフルされた日時と関連付けてデ
ータベースに記憶される(図10参照)。
【0065】
次に、シャッフル工程として、プレイングカード21の複数デッキ分(たとえば4デッ
キ分または8デッキ分)が、シャッフル機によりシャッフルされ、シャッフルプレイング
カード12の組が作られる(ステップS43)。シャッフル機としては、たとえば国際公
開第2009/069708号に記載されたシャッフル機を利用することができる。
【0066】
次に、包装機により、シャッフル工程(ステップS43)を経たシャッフルプレイング
カード12の組が包装される(ステップS44)。本実施の形態では、図8に示すように
、シャッフルプレイングカード12の組が、箱形状の包装11に収納される。包装11の
材質は、特に限定されるものではなく、紙であってもよいし、樹脂フィルムであってもよ
い。図7に示すように、包装11の蓋は、シール13により封緘される。
【0067】
次に、工程管理システムにより、シャッフルプレイングカードの組毎に異なるシャッフ
ルプレイングカードIDを生成され、シャッフルプレイングカード12の組に、シャッフ
ルプレイングカードID13aがIDコードとして付与される(ステップS45)。図示
された例では、シャッフルプレイングカードID13aは、バーコードとして符号化され
、印刷機により、包装11の蓋を封緘するシール13に印刷される。
【0068】
図示された例では、シール13には、シャッフルプレイングカードID13aに加えて
、仕様表13bが印刷される。仕様表13bには、たとえば、このシャッフルプレイング
カードの製造番号、品番、品名、色、製造年月日などの任意の情報が記載される。
【0069】
また、工程管理システムにより、シャッフル工程(ステップS43)の前にデッキの組
を構成するプレイングカード21から読み取られたシートID31が、当該デッキが所属
するシャッフルプレイングカード12の組のシャッフルプレイングカードID13aとデ
ータベースで関連付けて記憶される(図10参照)。図示された例では、4デッキ分のプ
レイングカード21から1組のシャッフルプレイングカード12が構成されており、シャ
ッフルプレイングカードID13aごとに4つのシートID31が、データベースで関連
付けて記憶される。また、工程管理システムにより、シャッフルプレイングカードID1
3aに、シャッフルプレイングカード12をシャッフルしたシャッフル機またはシャッフ
ル機群を特定するシャッフル機IDとシャッフル日とが、データベースにて関連付けられ
て記憶される。
【0070】
以上のような本実施の形態によれば、図1に示すように、カード原紙20には中間層と
してカーボンを含む赤外線透視防止層28が設けられているため、カードの表側の印刷部
分から放射される赤外線は中間層28で吸収され、裏側には透過しにくい。さらに、スー
ト21aとランク21bの印刷にはカーボンを含まないインクが使用されているため、印
刷部分から放射される赤外線の強度とその周囲の領域から放射される赤外線の強度との差
が小さく、たとえ表側の印刷部分から放射された赤外線であって中間層28で吸収しきれ
ずに裏側に透過する赤外線があったとしても、透過した微量の赤外線分布からスート21
aとランク21bを判別することは極めて難しい。したがって、赤外線カメラを通して見
たとしても表側の印刷が透けて見えにくいプレイングカード2を提供することができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、カード原紙20の裏面の裏柄29はカーボンを含むイン
クにより印刷されているため、図2に示すように、カードの裏側には裏柄29と同じ模様
の赤外線分布があらわれる。したがって、表側の印刷部分から放射された赤外線であって
中間層28で吸収しきれずに裏側に透過する赤外線があったとしても、透過した微量の赤
外線分布は、カードの裏柄29から放射される赤外線分布に重ね合わされて埋もれてしま
い、赤外線カメラを通して見たとしても、表側の印刷を判別することは、より一層難しく
なっている。
【0072】
また、本実施の形態によれば、上述したプレイングカード2の所定組分をシャッフル機
によりシャッフルして1組のシャッフルプレイングカード12が組まれ、1組のシャッフ
ルプレイングカード12は、個別に包装して封印されているため、ゲームに先立ち、ゲー
ム主催者が長時間をかけてシャッフルを行う必要がなく、かつ、カードの抜き差しや差し
替えなどの不正行為の入り込む余地のないシャッフルプレイングカードを提供することが
できる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、個別に包装して封印したシャッフルプレイングカード1
2には、個別に異なるシャッフルプレイングカードID13aがIDコードとして付与さ
れているため、たとえば、図10に示すように、シャッフルプレイングカードID13が
シャッフルプレイングカード12のシャッフルを行ったシャッフル機またはシャッフル機
群を特定可能な情報に関連づけられていれば、プレイングカードに何らかの不具合があり
、その不具合が生じた原因がシャッフル機にあると考えられる場合に、どのシャッフル機
またはシャッフル機群で不具合が生じたかを製造者側で容易に特定し、早急に対策をとる
ことが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、カード原紙20一枚もしくは複数枚ごとに異なるシート
ID31が印刷されたカード原紙20がカッティングされて一デッキまたは複数デッキの
プレイングカード21が作成されるため、そのカードがいつ印刷されたものであるか、ま
たいつ検査されたものであるかという情報まで、プレイングカードの流通履歴をさかのぼ
ってデータベース上で確認することが可能となる。これにより、悪質な不正行為者により
、包装されたシャッフルプレイングカード12の中身が、並びが分かっている一組のカー
ドとすり替えられた場合であっても、中身のカードからシートID31を読み取ってデー
タベース上で履歴を確認することにより、正しく製造、流通された真正品であるかどうか
をシート単位で確認することが可能となる。
【0075】
また、カード原紙20一枚もしくは複数枚ごとに異なるシートID31が印刷されるこ
とで、工場内でのカード原紙20のID管理が可能となり、たとえばカード原紙20を途
中で廃棄する場合であっても、どの段階で廃棄したのかをデータベースで管理することが
できる。これにより、製造段階での各工程での歩留まりを把握することが可能となる。ま
た、各工程で不良と判断され、廃棄されるカード原紙のカードが商品に誤って混入してい
ないかどうかが分かるようになる(すなわち、良品のカード原紙のカードのみが商品に使
われているかどうかが分かるようになる)。さらに、悪質な不正行為者が、廃棄されたカ
ード原紙20を不正に入手して自らカッティングすることにより偽造カードを作成し、作
成した偽造カードをゲームに持ち込んで利用したとしても、そのカードからシートID3
1を読み取ってデータベース上で履歴を確認することにより、偽造カードであることを容
易に検出することが可能であり、ゲームのセキュリティを高めることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態では、シートID付与工程において、図6および図7に示す
ように、カード原紙20のうちのカード21~23が印刷される部分にシートID31、
32が印刷されたが、これに限定されるものではなく、カード原紙20のうちのカードが
印刷されない部分にシートIDが印刷されてもよい。この場合、カード原紙20からカー
ド21~23を抜いた後の残りの部分(いわゆる、抜きカス)からシートIDを取得する
ことが可能である。
【0077】
また、上述した実施の形態では、(1)カード原紙20が中間層として赤外線透視防止
層28を有していることに加えて、(2)スート21aとランク21bとの印刷にはカー
ボンを含まないインクが使用され、(3)さらに、カード原紙20の裏面の裏柄29はカ
ーボンを含むインクにより印刷されていたが、(1)カード原紙20が中間層として赤外
線透視防止層28を有していることに加えて、(2)スート21aとランク21bとの印
刷にはカーボンを含まないインクが使用されている場合には、(3)カード原紙20の裏
面の裏柄29がカーボンを含むインクにより印刷されていることは、必ずしも必須ではな
く、裏柄29がカーボンを含まないインクにより印刷されていてもよい。
【0078】
また、(1)カード原紙20が中間層として赤外線透視防止層28を有していることに
加えて、(3)カード原紙20の裏面の裏柄29がカーボンを含むインクにより印刷され
ている場合には、(2)スート21aとランク21bとの印刷にはカーボンを含まないイ
ンクが使用されていることは、必ずしも必須ではなく、スート21aとランク21bとの
印刷にカーボンを含むインクが使用されていてもよい。このような態様であっても、(1
)カード原紙20には中間層としてカーボンを含む赤外線透視防止層28が設けられてい
るため、カードの表側から放射される赤外線は中間層28で吸収され、裏側には透過しに
くく、さらに、(3)カードの裏柄29がカーボンを含むインクにより印刷されているた
め、カードの裏側には裏柄29と同じ模様の赤外線分布があらわれる。したがって、表側
の印刷部分21a、21bから放射された赤外線であって中間層28で吸収しきれずに裏
側に透過する赤外線があったとしても、透過した微量の赤外線分布は、カードの裏柄29
から放射される赤外線分布に重ね合わされて埋もれてしまい、このような赤外線分布から
スート21aとランク21bを判別することは極めて難しい。したがって、このような態
様によっても、赤外線カメラを通して見たとしても表側の印刷が透けて見えにくいプレイ
ングカードを提供することができる。
【0079】
さらに、(2)スート21aとランク21bとの印刷にはカーボンを含まないインクが
使用され、(3)さらに、カード原紙20の裏面の裏柄29はカーボンを含むインクによ
り印刷されている場合には、(1)カード原紙20が中間層として赤外線透視防止層28
を有していることは、必ずしも必須ではなく、カード原紙20が中間層として赤外線透視
防止層28を有していなくてもよい。このような態様であっても、(2)スート21aと
ランク21bの印刷にはカーボンを含まないインクが使用されているため、印刷部分から
放射される赤外線の強度とその周囲の領域から放射される赤外線の強度との差が小さく、
たとえ表側の印刷部分から放射された赤外線であって裏側に透過する赤外線があったとし
ても、透過した微量の赤外線分布からスート21aとランク21bを判別することは難し
い。さらに、カードの裏柄29がカーボンを含むインクにより印刷されているため、カー
ドの裏側には裏柄29と同じ模様の赤外線分布があらわれる。したがって、表側の印刷部
分から放射された赤外線であって裏側に透過する赤外線があったとしても、透過した微量
の赤外線分布は、カードの裏柄29から放射される赤外線分布に重ね合わされて埋もれて
しまい、このような赤外線分布からスート21aとランク21bを判別することは極めて
難しくなっている。したがって、このような態様によっても、赤外線カメラを通して見た
としても表側の印刷が透けて見えにくいプレイングカードを提供することができる。
【0080】
図11Aは、従来のプレイングカード111の断面を示す図である。従来のプレイング
カード111は、可視光線103及び赤外線104が透過してしまうため、裏面からラン
クやスートを表す印刷131を判別できてしまうという問題があった。
【0081】
図11Bは、従来のプレイングカード111に中間層128を加えたプレイングカード
112の断面を示す図である。プレイングカード112は、黒層または黒に類似した色層
を有する中間層128を備えることによって可視光線103の透過を防ぎ、可視光線10
3では裏面からランクやスートを表す印刷131の判別がつきにくくなっている。しかし
、赤外線104は透過する力が強く、中間層128を透過するため、依然として裏面から
赤外線104を利用してランクやスートを表す印刷131を判別できてしまうという問題
があった。
【0082】
図11Cは、一実施の形態に係るプレイングカード113の断面を示す図である。本実
施の形態のプレイングカード113では、黒層または黒に類似した色層を有する中間層1
28を備え、さらに、ランクやスートを表す印刷132にはカーボンを含まないインクを
用いて印刷を行っている。まず、黒層または黒に類似した色層を有する中間層128によ
って、可視光線103の透過を防ぎ、可視光線103では裏面からランクやスートを表す
印刷132の判別がつきにくくなっている。赤外線104は中間層128を透過してしま
うが、さらに、ランクやスートを表す印刷132にはカーボンを含まないインクを用いて
印刷を行うことによって、赤外線104はランクやスートを表す印刷132を透過し、赤
外線104でも裏面からランクやスートを表す印刷132の判別がつきにくくなっている
。上記のように、本実施の形態のプレイングカード113では、可視光線103と赤外線
104の両方で裏面からランクやスートを表す印刷132の判別がつきにくくなっている
【0083】
図11Dは、一実施の別の形態に係るプレイングカード114の断面を示す図である。
本実施の別の形態のプレイングカード114では、黒層または黒に類似した色層を有する
中間層129を備え、さらに、ランクやスートを表す印刷132にはカーボンを含まない
インクを用いて印刷を行い、さらに、中間層129にはカーボンを含んでいる。黒層また
は黒に類似した色層を有する中間層129によって、可視光線103の透過を防ぐととも
に、カーボンを中間層128に含むことによって、赤外線104の透過量を減らしている
。赤外線104は完全には中間層129で止まらず、一部は中間層129を透過してしま
うが、さらに、ランクやスートを表す印刷132にはカーボンを含まないインクを用いて
印刷を行うことによって、赤外線104はランクやスートを表す印刷132を透過し、赤
外線104でも裏面からランクやスートを表す印刷132の判別がつきにくくなっている
。上記のように、本実施の別の形態のプレイングカード114では、プレイングカード1
13に比べて、中間層129を透過する赤外線104の量を減らすことで、可視光線10
3と赤外線104の両方で裏面からランクやスートを表す印刷132の判別がさらにつき
にくくなっている。
【0084】
上述した実施の形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発
明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の様々の変形例は
、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適
用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはな
く、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである
。上述した実施の形態および個々の変形例の構成要素は、発明の主旨を逸脱しない範囲で
任意に組み合わせることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D