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特許7708959エネルギー利用システム、管理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】エネルギー利用システム、管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20250708BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20250708BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20250708BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20250708BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20250708BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
G06Q50/06
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J7/00 303E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024215211
(22)【出願日】2024-12-10
【審査請求日】2024-12-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】水野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇
(72)【発明者】
【氏名】甲本 直輝
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-024514(JP,A)
【文献】特開2021-157516(JP,A)
【文献】国際公開第2020/202912(WO,A1)
【文献】特開2021-060794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 3/00
H02J 7/00
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池式発電装置と、前記燃料電池式発電装置に使用される水素を貯留する複数のカートリッジと、を有する複数の建物と、
前記建物ごとに、水素で満たされたカートリッジの配送の必要性を判定する管理装置と、を備えるエネルギー利用システムであって、
前記管理装置が、前記建物ごとに、
前記複数のカートリッジの総数に占める空のカートリッジの数の割合を算出する第1算出処理と、
前記第1算出処理によって算出された前記割合を所定値と比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジの配送が必要と判定する判定処理と、
を実行する
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記建物が、充放電可能なバッテリーを有し、
前記管理装置が、前記建物ごとに、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリーの残留電力量の値を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置が前記カートリッジの水素残量から発電可能な電力量の値を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物における使用電力量の値を予測する予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記予測処理により予測された使用電力量の値と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項3】
請求項1に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記建物が、充放電可能なバッテリーと、前記建物に電力を供給する自然エネルギー発電装置とを有し、
前記管理装置が、前記建物ごとに、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリーの残留電力量の値を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置が前記カートリッジの水素残量から発電可能な電力量の値を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記自然エネルギー発電装置の発電電力量の値を予測する第1予測処理、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物における使用電力量の値を予測する第2予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値と、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項4】
請求項3に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第2判定処理が、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値未満である場合に、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送が必要と判定する処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値以上である場合に、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送が不要と判定する処理と、
を含む
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のエネルギー利用システムにおいて、
水素で満たされたカートリッジの配送が必要と判定された前記建物へ、水素で満たされたカートリッジを配送する輸送機
を更に備えることを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第2予測処理が、
前記建物にある負荷の総消費電力を使用電力として計測する電力計の出力に基づいて、前記建物における使用電力量の実績値を算出することによって、日ごとの使用電力量の実績値を有する第1の日次データを蓄積する第2算出処理と、
補正係数を算出することによって、日ごとの補正係数を有する第2の日次データを蓄積する第3算出処理と、
前記第1の日次データにおける過去の日の使用電力量の実績値に、前記第3算出処理によって算出された補正係数を乗じて、その積を将来の日の使用電力量の予測値として算出することによって、日ごとの使用電力量の予測値を有する第3の日次データを蓄積する第4算出処理と、
を有し、
前記第3算出処理が、前記第1の日次データにおける前記過去の日の使用電力量の実績値と、前記第3の日次データにおける前記過去の日の使用電力量の予測値とに基づいて、前記将来の日の補正係数を算出する
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項7】
請求項6に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記将来の日が翌日であり、前記過去の日が前記翌日の一週間前の日である
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項8】
請求項6に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第3算出処理が、前記第1の日次データにおける前記過去の日の使用電力量の実績値を、前記第3の日次データにおける前記過去の日の使用電力量の予測値除して、その比である判定値に基づいて、前記将来の日の補正係数を算出する
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項9】
請求項8に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第3算出処理が、
前記判定値を第1閾値及びそれよりも大きい第2閾値と比較する第2比較処理と、
前記第2比較処理による比較の結果、前記判定値が前記第1閾値を超えるとともに前記第2閾値以下である場合に、前記第2の日次データにおける前記過去の日の補正係数を前記将来の日の補正係数に当て嵌める処理と、
前記第2比較処理による比較の結果、前記判定値が前記第1閾値以下である場合に、前記第2の日次データにおける前記過去の日の補正係数を減らすことで得られる値を、前記将来の日の補正係数に当て嵌める処理と、
前記第2比較処理による比較の結果、前記判定値が前記第2閾値を超える場合に、前記第2の日次データにおける前記過去の日の補正係数を増やすことで得られる値を、前記将来の日の補正係数に当て嵌める処理と、
を含む
ことを特徴とするエネルギー利用システム。
【請求項10】
燃料電池式発電装置に使用される水素を貯留する複数のカートリッジと、を有する複数の建物へ、水素で満たされたカートリッジの配送の必要性を判定する管理装置であって、
前記複数のカートリッジの総数に占める空のカートリッジの数の割合を算出する第1算出処理と、
前記第1算出処理によって算出された前記割合を所定値と比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジの配送が必要と判定する判定処理と、
を実行する
ことを特徴とする管理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の管理装置であって、
前記建物が、充放電可能なバッテリーを有し、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリーの残留電力量の値を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置が前記カートリッジの水素残量から発電可能な電力量の値を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物における使用電力量の値を予測する予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記予測処理により予測された使用電力量の値と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とする管理装置。
【請求項12】
請求項10に記載の管理装置であって、
前記建物が、充放電可能なバッテリーと、前記建物に電力を供給する自然エネルギー発電装置とを有し、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリーの残留電力量の値を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置が前記カートリッジの水素残量から発電可能な電力量の値を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記自然エネルギー発電装置の発電電力量の値を予測する第1予測処理、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物における使用電力量の値を予測する第2予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値と、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とする管理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の管理装置であって、
前記第2判定処理が、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値未満である場合に、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送が必要と判定する処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値以上である場合に、水素で満たされたカートリッジの前記建物への配送が不要と判定する処理と、
を含む
ことを特徴とする管理装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の管理装置であって、
前記第2予測処理が、
前記建物にある負荷の総消費電力を使用電力として計測する電力計の出力に基づいて、前記建物における使用電力量の実績値を算出することによって、日ごとの使用電力量の実績値を有する第1の日次データを蓄積する第2算出処理と、
補正係数を算出することによって、日ごとの補正係数を有する第2の日次データを蓄積する第3算出処理と、
前記第1の日次データにおける過去の日の使用電力量の実績値に、前記第3算出処理によって算出された補正係数を乗じて、その積を将来の日の使用電力量の予測値として算出することによって、日ごとの使用電力量の予測値を有する第3の日次データを蓄積する第4算出処理と、
を有し、
前記第3算出処理が、前記第1の日次データにおける前記過去の日の使用電力量の実績値と、前記第3の日次データにおける前記過去の日の使用電力量の予測値とに基づいて、前記将来の日の補正係数を算出する
ことを特徴とする管理装置。
【請求項15】
燃料電池式発電装置に使用される水素を貯留する複数のカートリッジと、を有する複数の建物へ、水素で満たされたカートリッジの配送の必要性を判定する管理装置のコンピューターに、
前記複数のカートリッジの総数に占める空のカートリッジの数の割合を算出する第1算出処理と、
前記第1算出処理によって算出された前記割合を所定値と比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジの配送が必要と判定する判定処理と、
を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー利用システム、管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の建物、配送車及びデータセンターを備えるエネルギー輸送システムを開示する。各建物は太陽光発電装置及び蓄電池を有する。配送車は車両蓄電池を有する。配送車はこれら建物を巡回する。配送車が建物に到着した時、余剰エネルギーが建物の蓄電池から配送車の車両蓄電池に蓄えられるか、不足エネルギーが配送車の車両蓄電池から建物の蓄電池に蓄えられる。
【0003】
ところで、電力送電網の構築には膨大な費用と時間が必要となることから、山岳地帯、離島又は森林地帯等のように、電力送電網が構築されていない地域では、オフグリッド社会の実現が望まれる。つまり、建物が電力送電網に繋がらず、各建物が電力会社に頼らずに電力を自給自足できるような社会の実現が望まれる。オフグリッド社会の実現のためには、自家発電装置が各建物に必要である。環境に与える負荷が軽減されるためには、太陽光エネルギー、風力、水力又は地熱のような自然エネルギーから電力を生成する自然エネルギー発電装置の利用が建物の自家発電装置に利用されることが好ましい。また、燃料電池式発電装置が水素から電力を生成する際には、二酸化炭素が発生しないことから、環境負荷の軽減のために燃料電池式発電装置が自家発電装置に利用されることが好ましい。但し、燃料電池式発電装置が自家発電装置に利用される場合、工場等の水素製造設備によって製造された水素を住宅に配送する必要がある。また、住宅における水素の欠乏を防止するために、ある程度の量の水素を住宅に保管しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5565351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、適切な量の水素を住宅等の建物に保管できるようにしつつ、水素を建物に配送する必要性を判定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の括弧書きで示された参照符号は図1図6において参照される。
【0007】
請求項1によれば、
燃料電池式発電装置(23)と、前記燃料電池式発電装置(23)に使用される水素を貯留する複数のカートリッジ(20)と、を有する複数の建物(10)と、
前記建物(10)ごとに、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送の必要性を判定する管理装置(40)と、を備えるエネルギー利用システムであって、
前記管理装置(40)が、前記建物(10)ごとに、
前記複数のカートリッジ(20)の総数に占める空のカートリッジ(20)の数の割合を算出する第1算出処理と、
前記第1算出処理によって算出された前記割合を所定値と比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送が必要と判定する判定処理と、
を実行する
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0008】
請求項10によれば、
燃料電池式発電装置(23)に使用される水素を貯留する複数のカートリッジ(20)と、を有する複数の建物(10)へ、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送の必要性を判定する管理装置(40)であって、
前記複数のカートリッジ(20)の総数に占める空のカートリッジ(20)の数の割合を算出する第1算出処理と、
前記第1算出処理によって算出された前記割合を所定値と比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送が必要と判定する判定処理と、
を実行する
ことを特徴とする管理装置(40)が提供される。
【0009】
請求項15によれば、
燃料電池式発電装置(23)に使用される水素を貯留する複数のカートリッジ(20)と、を有する複数の建物(10)へ、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送の必要性を判定する管理装置(40)のコンピューターに、
前記複数のカートリッジ(20)の総数に占める空のカートリッジ(20)の数の割合を算出する第1算出処理と、
前記第1算出処理によって算出された前記割合を所定値と比較する比較処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送が必要と判定する判定処理と、
を実行させる
ことを特徴とするプログラムが提供される。
【0010】
以上のような請求項1,10,15によれば、建物(10)の複数のカートリッジ(20)の総数に占める空のカートリッジ(20)の数の割合と所定値との比較に基づき、水素で満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することの必要性が判定される。空のカートリッジ(20)の数の割合が所定値を超えれば、建物(10)へのカートリッジ(20)の配送が必要と判定されることから、空でないカートリッジ(20)が建物(10)にある状態で、空のカートリッジ(20)を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することができる。
【0011】
請求項2によれば、
請求項1に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記建物(10)が、充放電可能なバッテリー(30)を有し、
前記管理装置(40)が、前記建物(10)ごとに、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリー(30)の残留電力量の値(W1)を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置(23)が前記カートリッジ(20)の水素残量から発電可能な電力量の値(W2)を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物(10)における使用電力量の値(W4)を予測する予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記予測処理により予測された使用電力量の値(W4)と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0012】
請求項11によれば、
請求項10に記載の管理装置(40)であって、
前記建物(10)が、充放電可能なバッテリー(30)を有し、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリー(30)の残留電力量の値(W1)を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置(23)が前記カートリッジ(20)の水素残量から発電可能な電力量の値(W2)を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物(10)における使用電力量の値(W4)を予測する予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記予測処理により予測された使用電力量の値(W4)と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とする管理装置(40)が提供される。
【0013】
以上のような請求項2,11によれば、空のカートリッジ(20)の数の割合が所定値以下であっても、水素で満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することの必要性が、バッテリー(30)の残留電力量と、カートリッジ(20)の水素残量に基づく燃料電池式発電装置(23)の発電可能電力量と、建物(10)における予測使用電力量と、に基づき判定されることから、空でないカートリッジ(20)が、バッテリー(30)の残留電力量と燃料電池式発電装置(23)の発電可能電力量と建物(10)の予測使用電力量とに応じた数だけ建物(10)にある状態で、空のカートリッジ(20)を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することができる。
【0014】
請求項3によれば、
請求項1に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記建物(10)が、充放電可能なバッテリー(30)と、前記建物(10)に電力を供給する自然エネルギー発電装置(27)とを有し、
前記管理装置(40)が、前記建物(10)ごとに、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリー(30)の残留電力量の値(W1)を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置(23)が前記カートリッジ(20)の水素残量から発電可能な電力量の値(W2)を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量の値(W3)を予測する第1予測処理、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物(10)における使用電力量の値(W4)を予測する第2予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値(W3)と、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値(W4)と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0015】
請求項12によれば、
請求項10に記載の管理装置(40)であって、
前記建物(10)が、充放電可能なバッテリー(30)と、前記建物(10)に電力を供給する自然エネルギー発電装置(27)とを有し、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記バッテリー(30)の残留電力量の値(W1)を取得する第1取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記燃料電池式発電装置(23)が前記カートリッジ(20)の水素残量から発電可能な電力量の値(W2)を取得する第2取得処理と、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量の値(W3)を予測する第1予測処理、
前記比較処理による比較の結果、前記割合が前記所定値以下である場合に、前記建物(10)における使用電力量の値(W4)を予測する第2予測処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値(W3)と、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値(W4)と、に基づいて、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送の必要性を判定する第2判定処理と、
を実行する
ことを特徴とする管理装置(40)が提供される。
【0016】
以上のような請求項3,12によれば、空のカートリッジ(20)の数の割合が所定値以下であっても、水素で満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することの必要性が、バッテリー(30)の残留電力量と、カートリッジ(20)の水素残量に基づく燃料電池式発電装置(23)の発電可能電力量と、自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量と、建物(10)における予測使用電力量と、に基づき判定されることから、空でないカートリッジ(20)が、バッテリー(30)の残留電力量と燃料電池式発電装置(23)の発電可能電力量と自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量と建物(10)の予測使用電力量とに応じた数だけ建物(10)にある状態で、空のカートリッジ(20)を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することができる。
【0017】
請求項4によれば、
請求項3に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第2判定処理が、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値(W3)との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値(W4)未満である場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送が必要と判定する処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値(W3)との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値(W4)以上である場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送が不要と判定する処理と、
を含む
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0018】
請求項13によれば、
請求項12に記載の管理装置(40)であって、
前記第2判定処理が、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値(W3)との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値(W4)未満である場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送が必要と判定する処理と、
前記第1取得処理により取得された残留電力量の値(W1)と、前記第2取得処理により取得された発電可能な電力量の値(W2)と、前記第1予測処理により予測された発電電力量の値(W3)との和が、前記第2予測処理により予測された使用電力量の値(W4)以上である場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の前記建物(10)への配送が不要と判定する処理と、
を含む
ことを特徴とする管理装置(40)が提供される。
【0019】
以上のような請求項4,13によれば、バッテリー(30)の残留電力量と、燃料電池式発電装置(23)の発電可能電力量と、自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量との和が、建物(10)の予測使用電力量未満である場合に、建物(10)において電力量の不足が生じる虞があることを意味する。そうした場合、建物(10)へのカートリッジ(20)の配送が必要と判定されることから、空でないカートリッジ(20)が建物(10)にある状態で、空のカートリッジ(20)を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ(20)を建物(10)に配送することができる。一方、バッテリー(30)の残留電力量と、燃料電池式発電装置(23)の発電可能電力量と、自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量との和が、建物(10)の予測使用電力量以上であることは、自然エネルギー発電装置(27)の発電電力量が建物(10)の消費電力量に対して不足しても、バッテリー(30)及び燃料電池式発電装置(23)が不足分を十分に補えることを意味する。そうした場合、建物(10)へのカートリッジ(20)の配送が不要と判定されることから、カートリッジ(20)が必要以上の数だけ建物(10)に保管されることが防止され、建物(10)へのカートリッジ(20)の配送が必要以上に行われることも防止できる。
【0020】
請求項5によれば、
請求項1から4の何れか一項に記載のエネルギー利用システムにおいて、
水素で満たされたカートリッジ(20)の配送が必要と判定された前記建物(10)へ、水素で満たされたカートリッジ(20)を配送する輸送機
を更に備えることを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0021】
以上のような請求項5によれば、水素で満たされたカートリッジ(20)が、輸送機によって、配送の必要性のある建物(10)へ配送される。
【0022】
請求項6によれば、
請求項3又は4に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第2予測処理が、
前記建物(10)にある負荷の総消費電力を使用電力として計測する電力計の出力に基づいて、前記建物(10)における使用電力量の実績値を算出することによって、日ごとの使用電力量の実績値を有する第1の日次データ(61)を蓄積する第2算出処理と、
補正係数を算出することによって、日ごとの補正係数を有する第2の日次データ(62)を蓄積する第3算出処理と、
前記第1の日次データ(61)における過去の日の使用電力量の実績値に、前記第3算出処理によって算出された補正係数を乗じて、その積を将来の日の使用電力量の予測値として算出することによって、日ごとの使用電力量の予測値を有する第3の日次データ(63)を蓄積する第4算出処理と、
を有し、
前記第3算出処理が、前記第1の日次データ(61)における前記過去の日の使用電力量の実績値と、前記第3の日次データ(63)における前記過去の日の使用電力量の予測値とに基づいて、前記将来の日の補正係数を算出する
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0023】
請求項14によれば、請求項12又は13に記載の管理装置(40)であって、
前記第2予測処理が、
前記建物(10)にある負荷の総消費電力を使用電力として計測する電力計の出力に基づいて、前記建物(10)における使用電力量の実績値を算出することによって、日ごとの使用電力量の実績値を有する第1の日次データ(61)を蓄積する第2算出処理と、
補正係数を算出することによって、日ごとの補正係数を有する第2の日次データ(62)を蓄積する第3算出処理と、
前記第1の日次データ(61)における過去の日の使用電力量の実績値に、前記第3算出処理によって算出された補正係数を乗じて、その積を将来の日の使用電力量の予測値として算出することによって、日ごとの使用電力量の予測値を有する第3の日次データ(63)を蓄積する第4算出処理と、
を有し、
前記第3算出処理が、前記第1の日次データ(61)における前記過去の日の使用電力量の実績値と、前記第3の日次データ(63)における前記過去の日の使用電力量の予測値とに基づいて、前記将来の日の補正係数を算出する
ことを特徴とする管理装置(40)が提供される。
【0024】
以上のような請求項6,14によれば、将来の日の補正係数が、過去の日の使用電力量の実績値と、過去の日の使用電力量の予測値とに基づいて算出される。そのような補正係数が過去の日の使用電力量の実績値に乗じられる。その積が将来の日の使用電力量の予測値であることから、将来の日の使用電力量の予測値は、過去の日の使用電力量の実績値と、過去の日の使用電力量の予測値とを反映したものとなる。そのため、将来の使用電力量の予測値が、過去の日の使用電力量の実績値から正確に算出される。
【0025】
請求項7によれば、
請求項6に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記将来の日が翌日であり、前記過去の日が前記翌日の一週間前の日である
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0026】
以上のような請求項7によれば、将来の日の使用電力量の予測値は、その将来の日の1週間前の日の使用電力量の実績値と、その将来の日の1週間前の日の使用電力量の予測値とを反映したものとなる。人は同じ曜日に同じような行動パターンをとることが一般的であるから、将来の使用電力量の予測値が、その将来の日の1週間前の日の使用電力量の実績値から正確に算出される。
【0027】
請求項8によれば、
請求項6に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第3算出処理が、前記第1の日次データ(61)における前記過去の日の使用電力量の実績値を、前記第3の日次データ(63)における前記過去の日の使用電力量の予測値除して、その比である判定値に基づいて、前記将来の日の補正係数を算出する
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0028】
以上のような請求項8によれば、将来の日の補正係数が、過去の日の使用電力量の実績値と、過去の日の使用電力量の予測値との比である判定値に基づいて算出される。そのような補正係数が過去の日の使用電力量の実績値に乗じられる。その積が将来の日の使用電力量の予測値であることから、将来の日の使用電力量は、過去の日の使用電力量の実績値と、過去の日の使用電力量の予測値とを反映したものとなる。そのため、将来の使用電力量の予測値が、過去の日の使用電力量の実績値から正確に算出される。
【0029】
請求項9によれば、
請求項8に記載のエネルギー利用システムにおいて、
前記第3算出処理が、
前記判定値を第1閾値及びそれよりも大きい第2閾値と比較する第2比較処理と、
前記第2比較処理による比較の結果、前記判定値が前記第1閾値を超えるとともに前記第2閾値以下である場合に、前記第2の日次データ(62)における前記過去の日の補正係数を前記将来の日の補正係数に当て嵌める処理と、
前記第2比較処理による比較の結果、前記判定値が前記第1閾値以下である場合に、前記第2の日次データ(62)における前記過去の日の補正係数を減らすことで得られる値を、前記将来の日の補正係数に当て嵌める処理と、
前記第2比較処理による比較の結果、前記判定値が前記第2閾値を超える場合に、前記第2の日次データ(62)における前記過去の日の補正係数を増やすことで得られる値を、前記将来の日の補正係数に当て嵌める処理と、
を含む
ことを特徴とするエネルギー利用システムが提供される。
【0030】
以上のような請求項9によれば、判定値が第1閾値を超えるとともに第2閾値以下である場合、第1の日次データ(61)における過去の日の使用電力量の実績値が適切である。こうした場合、第2の日次データ(62)における過去の日の補正係数を将来の日の補正係数に当て嵌めれても、将来の日の使用電力量の予測値が正確に算出されやすい。
判定値が第1閾値以下である場合、第1の日次データ(61)における過去の日の使用電力量の実績値が大きすぎる。こうした場合、第2の日次データ(62)における過去の日の補正係数を減らすことで得られる値が将来の日の補正係数に当て嵌められると、将来の日の使用電力量の予測値が小さめに算出される。そのため、将来の日の使用電力量の予測値が正確に算出されやすい。
判定値が第2閾値を超える場合、第1の日次データ(61)における過去の日の使用電力量の実績値が小さすぎる。こうした場合、第2の日次データ(62)における過去の日の補正係数を増やすことで得られる値が将来の日の補正係数に当て嵌められると、将来の日の使用電力量の予測値が小さめに算出される。そのため、将来の日の使用電力量の予測値が正確に算出されやすい。
【発明の効果】
【0031】
適切な量の水素を住宅等の建物に保管できるようにしつつ、水素を建物に配送する必要性を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、予測装置を示す。
図2図2は、第1、第2及び第3の日次データの一例を示す。
図3図3は、エネルギー利用システムをした図である。
図4図4は、住宅を示した図である。
図5図5は、エネルギー利用システムの管理システムを示した図である。
図6図6は、全体管理装置のコンピューターが実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0034】
〔第1実施形態〕
<1. 予測装置>
図1は、予測装置340のブロック図である。
予測装置340は、電力使用領域310における翌日の使用電力量を予測する。予測装置340は、翌日の使用電力量の予測以外の機能を有してもよい。予測装置340は、予測した使用電力量を各種の演算に利用してもよい。
【0035】
電力使用領域310は、電力を使用する1つの単位である。電力使用領域310は例えば1棟の戸建て住宅、1棟の集合住宅、1戸の住戸、1つの店舗、1つの事務所又は1つの工場である。
【0036】
電力使用領域310には、電源323から電力が供給される。電源323は、例えば自家発電装置、バッテリー若しくは商用電源又はこれらのうち2以上の組合せである。商用電源のことを系統電源ともいう。
【0037】
自家発電装置の種類は問わない。例えば、自家発電装置は燃料電池式発電装置、太陽光発電パネル、水力発電装置、風力発電装置、地熱発電装置又は原動機式発電装置である。自家発電装置は、燃料電池式発電装置、太陽光発電パネル、水力発電装置、風力発電装置、地熱発電装置及び原動機式発電装置の中から選択された2以上の組み合わせでもよい。太陽光発電パネル、水力発電装置、風力発電装置及び地熱発電装置などのことを総称して、自然エネルギー発電装置という。自然エネルギー発電装置は、太陽光エネルギー、水力、風力又は地熱などのような自然エネルギーを利用して電力を生成する。自家発電装置は、必要に応じて、直流電力を交流電力に変換するDC-AC変換器を有してもよい。
【0038】
自家発電装置として利用される燃料電池式発電装置は、水素、炭化水素系燃料又はアルコール系燃料等のような燃料を利用して、電力を生成する。燃料電池式発電装置は燃料電池及び補器類を有する。燃料電池式発電装置は、必要に応じて、炭化水素系燃料又はアルコール系燃料を水素に改質する改質器を有してもよい。燃料電池式発電装置に供給される燃料の供給源は、例えば高圧ガス容器、燃料吸蔵器又はガス導管網である。燃料の供給源は、高圧ガス容器又は燃料貯蔵器のように、電力使用領域310に配送されたものでもよい。ガス導管網は、社会インフラとして構築されたものである。
【0039】
バッテリーの種類は問わない。例えば、バッテリーは鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池若しくは全固体電池又はこれらのうち2以上の組合せである。バッテリーは電気自動車に搭載されてもよい。バッテリーは定置型又は携帯型であってもよい。バッテリーは、電力使用領域310に配送された携帯型バッテリーであってもよい。バッテリーは、必要に応じて、直流電力を交流電力に変換するDC-AC変換器を有してもよい。バッテリーが自家発電装若しくは商用電源又はこれら両方と併用される場合、バッテリーが余剰電力を蓄積したり、不足電力を放電したりする。余剰電力とは、後述の負荷311によって消費しきれない電力をいう。不足電力とは、負荷311によって消費される総消費電力のうち、自家発電装若しくは商用電源又はこれら両方では賄いきれない電力をいう。
【0040】
電力使用領域310には、電力設備313が設置されている。電力設備313は、例えば配電盤、分電盤、動力盤、制御盤、変圧器、パワーコンディショナー、開閉器、継電器、断路器、遮断器、変成器又は切換器である。電力設備313は、配電盤、分電盤、動力盤、制御盤、変圧器、パワーコンディショナー、開閉器、継電器、断路器、遮断器、変成器又は切換器の中から選択された2以上の組合せであってもよい。電力設備313は電源323から電力の供給を受ける。電力設備313は、電源323から供給された電力を後述の負荷311に配分する。
【0041】
電力使用領域310には、宅内配線網等のような電気配線網が張り巡らされている。電気配線網は電力設備313に接続されている。電力使用領域310に設置又は配置された多数の負荷311が電力配線網に接続されている。負荷311は、例えば照明器、冷蔵庫、空調機器、給湯器、通信ネットワーク機器(ルーター、無線親機、無線中継機、電話機等)、テレビ、音響機器、録画機、調理家電又は電動機などのような電気機器である。負荷311は、電力設備313から受けた電力を消費して、動作する。これら負荷311の総消費電力は、電力使用領域310における使用電力である。これら負荷311の総消費電力量は、電力使用領域310における使用電力量である。
【0042】
電力使用領域310には、電力計314が設置されている。電力計314は、電力使用領域310の全負荷311の総消費電力、つまり電力使用領域310における使用電力を計測する。電力計314は、予測装置340に使用電力の測定値を転送する。電力計314は、使用電力の測定値をインターネット等のようなネットワークを通じて、予測装置340に使用電力の測定値を送信してもよい。電力計314がコンピューターシステム及びネットワークを介して予測装置340に使用電力の測定値を転送してもよい。
【0043】
予測装置340は汎用コンピューターシステム又は専用コンピューターシステムから構成される。汎用コンピューターシステムとは、汎用OS(Operating System)がインストールされた例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ラップトップ型コンピューター及びデスクトップ型コンピューターなどのようなコンピューターシステムをいう。汎用OSは、例えば、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)又はUnix(登録商標)である。専用コンピューターシステムとは、電力使用領域310における電力の管理又は制御に特化したコンピューターをいう。専用コンピューターシステムとしては、HEMS(Home Energy Management System)又はBEMS(Building Energy Management System)コントローラーが挙げられる。予測装置340は、電力使用領域310に設置されてもよい。予測装置340は、電力使用領域310内の内壁に設置されてもよい。予測装置340は、電力使用領域310から離れた箇所、例えばデーターセンターに設置されてもよい。
【0044】
予測装置340は、コンピューター、入力デバイス及び表示デバイスを有する。予測装置340のコンピューターは、メインボード、1又は複数のハードウェアプロセッサー、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、メモリデバイス及び通信デバイスなどを有する。
【0045】
メインボードは、バス、バスコントローラ及びインターフェース回路などを有するとともに、ハードウェアプロセッサー、GPU、RAM、メモリデバイス、入力デバイス、表示デバイス及び通信デバイスの間で情報を伝送する。ハードウェアプロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ハードウェアプロセッサーは、各種の演算処理を行う。RAMは、ハードウェアプロセッサーによる演算処理に際して、ハードウェアプロセッサーに記憶領域又は作業領域を提供する。GPUは、ハードウェアプロセッサーよりも高速に行える処理(例えば、画像処理及び行列演算処理)をハードウェアプロセッサーの指令の下で行う。入力デバイスは、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド、スタライス、ポインティングデバイス、キー及び押しボタンなどのような入力装置である。入力デバイスは、ユーザーが入力デバイスに対して行った操作の内容に応じた信号をメインボードに出力する。予測装置340は、入力デバイスから転送された信号に従って、管理者による入力及び指令を認識する。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイデバイス又は有機ELディスプレイデバイスであってもよい。表示デバイスは、メインボードから入力した映像信号に従った映像を表示する。通信デバイスは、例えばネットワークカード又はWiFi(登録商標)子機であってもよい。
【0046】
予測装置340は、ストレージ装置350に接続されている。ストレージ装置350は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。予測装置340は、ストレージ装置350に情報を記録したり、ストレージ装置350に記録された情報を読み込んだりする。ストレージ装置350は、インターフェース回路により予測装置340に接続されてもよいし、ネットワークを介して予測装置340によってアクセスされてもよい。ストレージ装置350は、予測装置340に内蔵されてもよいし、予測装置340に外付けされてもよいし、ネットワークを介して予測装置340に接続されてもよい。
【0047】
プログラム346が予測装置340のメモリデバイスに格納されている。プログラム346は予測装置340、特にそのコンピューターにとって実行可能である。
【0048】
<2. 処理の流れ>
プログラム346が予測装置340、特にそのコンピューターに実行させる処理について以下に詳細に説明する。更に、予測装置340がプログラム346を実行することによって実現される予測装置340の機能について以下に詳細に説明する。
【0049】
(1) 予測装置340は、電力計314から使用電力の測定値を測定時刻を受信するごとに、使用電力の測定値を測定時刻に対応付けてストレージ装置350に記録する。使用電力の測定値及び測定時刻の記録に際して、予測装置340は使用電力の測定値及び測定時刻を時系列データ351に追加記録する。これにより、予測装置340は、使用電力の測定値を時系列で並べた時系列データ351をストレージ装置350に蓄積する。
【0050】
(2) 予測装置340は、毎日の所定時刻、例えば1時に、時系列データ351における前日の0時から24時までの使用電力の測定値を時間で積分することによって前日の使用電力量の実績値を算出する。予測装置340は、算出した使用電力量の実績値を日付け及び曜日に対応付けてストレージ装置350に記録する。使用電力量の実績値、日付け及び曜日の記録に際して、予測装置340は使用電力量の実績値、日付け及び曜日を日次データ361に追加記録する。これにより、予測装置340は、日ごとの使用電力量の実績値の日次データ361をストレージ装置350に蓄積する。使用電力量の実績値に対応付けられる日付けは、使用電力量の実績値を算出した日の前日の年月日である。使用電力量の実績値に対応付けられる曜日は、使用電力量の実績値を算出した日の前日の曜日である。
【0051】
(3) 予測装置340は、毎日の所定時刻、例えば15時に、補正係数を算出する。予測装置340は、補正係数を日付け及び曜日に対応付けてストレージ装置350に記憶する。補正係数、日付け及び曜日の記録に際して、予測装置340は補正係数、日付け及び曜日を日次データ362に追加記録する。これにより、予測装置340は、日ごとの補正係数の日次データ362をストレージ装置350に蓄積する。補正係数に対応付けられる日付けは、補正係数を算出した日に対して将来の日(具体的には、翌日)の年月日である。使用電力量の実績値に対応付けられる曜日は、補正係数を算出した日に対して将来の日(具体的には、翌日)の曜日である。
【0052】
(4) 予測装置340は、毎日の所定時刻、例えば15時に、日次データ361における過去の日(具体的には、将来の日である翌日の1週間前の日)の使用電力量の実績値に、(3)において算出した補正係数を乗じることによって、その積を将来の日(具体的には、翌日)の使用電力量の予測値として算出する。予測装置340は、算出した使用電力量の予測値を日付け及び曜日に対応付けてストレージ装置350に記録する。使用電力量の予測値、日付け及び曜日の記録に際して、予測装置340は使用電力量の予測値、日付け及び曜日を日次データ363に追加記録する。これにより、予測装置340は、日ごとの使用電力量の予測値の日次データ363をストレージ装置350に蓄積する。使用電力量の予測値に対応付けられる日付けは、使用電力量の実績値を算出した日に対して将来の日(具体的に、翌日)の年月日である。使用電力量の予測値に対応付けられる曜日は、使用電力量の予測値を算出した日に対して将来の日(具体的には、翌日)の曜日である。
【0053】
図2は、上述のように算出される日次データ361,362,363の一例を示す。
(3)における補正係数の毎日の算出は以下の(3-1)~(3-9)通りである。なお、以下の説明において、補正係数の初期値は1.0であり、変動量は補正係数の初期値よりも小さい正の値であり、(3)における補正係数の毎日の算出により補正係数が変動する。変動量は例えば0.1であるが、0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08又は0.09などのように他の値であってもよい。
【0054】
(3-1) 予測装置340は、日次データ361から、過去の日(具体的には、将来の日である翌日の1週間前の日)の使用電力量の実績値(Ri-1 [kWh])を読み込む。「R」は使用電力量の実績値を表し、下付けの添え字は週の番号を表す。「Ri-1」は、将来の日である翌日の1週間前の日における使用電力量の実績値を表す。勿論、翌日の1週間前の日の曜日は翌日の曜日と同じである。
【0055】
(3-2) 予測装置340は、日次データ363から、過去の日(具体的には、将来の日である翌日の1週間前の日)の使用電力量の予測値(Pi-1 [kWh])を読み込む。「P」は使用電力量の予測値を表し、下付けの添え字は週の番号を表する。「Pi-1」は、将来の日である翌日の1週間前の日における使用電力量の予測値を表す。
【0056】
(3-3) 予測装置340は、(3-1)における使用電力量の実績値(Ri-1)を、(3-2)における使用電力量の予測値(Pi-1除することによって、その比(Ri-1 / Pi-1)を判定値として算出する。
【0057】
(3-4) 予測装置340は、判定値(Ri-1 / Pi-1)を所定の第1閾値(Th1)及びそれよりも大きい所定の第2閾値(Th2)と比較する。判定値(Ri-1 / Pi-1)が第1閾値(Th1)以下である場合には、予測装置340は判定値(Ri-1 / Pi-1)を所定の第3閾値(Th3)と比較する。判定値(Ri-1 / Pi-1)が第2閾値(Th2)を超える場合には、予測装置340は判定値(Ri-1 / Pi-1)を第2閾値(Th2)よりも大きい所定の第4閾値(Th4)と比較する。第1閾値(Th1)は1.0未満であって、第2閾値(Th2)は1.0であってよい。例えば、第1閾値(Th1)、第2閾値(Th2)、第3閾値(Th3)及び第4閾値(Th4)は「Th1 = 0.8, Th2 = 1.0, Th3 = 0.5, Th4 = 1.5」である。
【0058】
(3-5) Th1 < Ri-1 / Pi-1 ≦ Th2の場合
(3-4)の比較の結果、判定値(Ri-1 / Pi-1)が第1閾値(Th1)を超え、第2閾値(Th2)以下である場合、過去の日(つまり、将来の日である翌日の1週間前の日)における使用電力量の予測値(Pi-1)が適切である。こうした場合、予測装置340は、日次データ362から、将来の日である翌日の1週間前の日における補正係数(Ki-1)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-1)を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、将来の日である翌日の補正係数(Ki)が算出される。このように算出された翌日の補正係数(Ki)が、上記(4)において、翌日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられることによって、翌日の使用電力量の予測値(Pi)が算出される。
【0059】
(3-6) Th3 < Ri-1 / Pi-1 ≦ Th1の場合
(3-4)の比較の結果、判定値(Ri-1 / Pi-1)が第3閾値(Th3)を超え、第1閾値(Th1)以下である場合、将来の日である翌日の1週間前の日における使用電力量の予測値(Pi-1)が大きすぎる。こうした場合、予測装置340は、日次データ362から、翌日の1週間前の日における補正係数(Ki-1)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-1)を減らすよう補正し、それを翌日の補正係数(Ki)に当て嵌める。つまり、予測装置340は、補正係数(Ki-1)から一定の変動量(例えば0.1)を減算し、その差を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、翌日の補正係数(Ki)が算出される。このように算出された翌日の補正係数(Ki)が、上記(4)において、翌日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられることによって、翌日の使用電力量の予測値(Pi)が算出される。
【0060】
(3-7) Th2 < Ri-1 / Pi-1 ≦ Th4の場合
(3-4)の比較の結果、判定値(Ri-1 / Pi-1)が第2閾値(Th2)を超え、第4閾値(Th4)以下である場合、翌日の1週間前の日における使用電力量の予測値(Pi-1)が小さ過ぎる。こうした場合、予測装置340は、日次データ362から、翌日の1週間前の日における補正係数(Ki-1)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-1)を増やすよう補正し、それを翌日の補正係数(Ki)に当て嵌める。つまり、予測装置340は、補正係数(Ki-1)に変動量(例えば0.1)を加算し、その和を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、翌日の補正係数(Ki)が算出される。このように更新された翌日の補正係数(Ki)が、上記(4)において、翌日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられることによって、翌日の使用電力量の予測値(Pi)が算出される。
【0061】
(3-8) Ri-1/ Pi-1 ≦ Th3の場合
(3-4)の比較の結果、判定値(Ri-1 / Pi-1)が第3閾値(Th3)以下である場合、通常では起こりえない電力の使用増大が過去の日(つまり、将来の日である翌日の1週間前の日)に発生したとみられる。こうした場合、予測装置340は、日次データ361から、更に過去の日(具体的には、将来の日である翌日の2週間前の日)における使用電力量の実績値(Ri-2)を読み込む。更に、予測装置340は、日次データ363から、更に過去の日(具体的には、将来の日である翌日の2週間前の日)における使用電力量の予測値(Pi-2)を読み込む。予測装置340は、使用電力量の実績値(Ri-2)を、使用電力量の予測値(Pi-2除することによって、その比(Ri-2 / Pi-2)を判定値として算出する。予測装置340は、判定値(Ri-2 / Pi-2)を第1閾値(Th1)及び第2閾値(Th2)と比較する。比較の結果、判定値(Ri-2 / Pi-2)が第1閾値(Th1)を超え、第2閾値(Th2)以下である場合、予測装置340は、日次データ362から、将来の日である翌日の2週間前の日における補正係数(Ki-2)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-2)を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、将来の日である翌日の補正係数(Ki)が算出される。比較の結果、判定値(Ri-2 / Pi-2)が第1閾値(Th1)以下である場合、予測装置340は、日次データ362から、翌日の2週間前の日における補正係数(Ki-2)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-2)を減らすよう補正し、それを翌日の補正係数(Ki)に当て嵌める。つまり、予測装置340は、補正係数(Ki-2)から一定の変動量(例えば0.1)を減算し、その差を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、翌日の補正係数(Ki)が算出される。比較の結果、判定値(Ri-2 / Pi-2)が第2閾値(Th2)を超える場合、翌日の2週間前の日における補正係数(Ki-2)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-2)を増やすよう補正し、それを翌日の補正係数(Ki)に当て嵌める。つまり、予測装置340は、補正係数(Ki-2)に変動量(例えば0.1)を加算し、その和を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、翌日の補正係数(Ki)が算出される。以上のように算出された翌日の補正係数(Ki)が、上記(4)において、翌日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられることによって、翌日の使用電力量の予測値(Pi)が算出される。
【0062】
(3-9) Th4 < Ri-1/ Pi-1 の場合
(3-4)の比較の結果、判定値(Ri-1 / Pi-1)が第4閾値(Th4)を超える場合、通常では起こりえない電力の使用減少が過去の日(つまり、将来の日である翌日の1週間前の日)に発生したとみられる。こうした場合、予測装置340は、日次データ361から、更に過去の日(具体的には、将来の日である翌日の2週間前の日)における使用電力量の実績値(Ri-2)を読み込む。更に、予測装置340は、日次データ363から、更に過去の日(具体的には、将来の日である翌日の2週間前の日)における使用電力量の予測値(Pi-2)を読み込む。予測装置340は、使用電力量の実績値(Ri-2)を、使用電力量の予測値(Pi-2除することによって、その比(Ri-2 / Pi-2)を判定値として算出する。予測装置340は、判定値(Ri-2 / Pi-2)を第1閾値(Th1)及び第2閾値(Th2)と比較する。比較の結果、判定値(Ri-2 / Pi-2)が第1閾値(Th1)を超え、第2閾値(Th2)以下である場合、予測装置340は、日次データ362から、将来の日である翌日の2週間前の日における補正係数(Ki-2)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-2)を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、将来の日である翌日の補正係数(Ki)が算出される。比較の結果、判定値(Ri-2 / Pi-2)が第1閾値(Th1)以下である場合、予測装置340は、日次データ362から、翌日の2週間前の日における補正係数(Ki-2)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-2)を減らすよう補正し、それを翌日の補正係数(Ki)に当て嵌める。つまり、予測装置340は、補正係数(Ki-2)から一定の変動量(例えば0.1)を減算し、その差を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、翌日の補正係数(Ki)が算出される。比較の結果、判定値(Ri-2 / Pi-2)が第2閾値(Th2)を超える場合、翌日の2週間前の日における補正係数(Ki-2)を読み込む。予測装置340は、補正係数(Ki-2)を増やすよう補正し、それを翌日の補正係数(Ki)に当て嵌める。つまり、予測装置340は、補正係数(Ki-2)に変動量(例えば0.1)を加算し、その和を翌日の補正係数(Ki)に当て嵌めることによって、翌日の補正係数(Ki)が算出される。以上のように算出された翌日の補正係数(Ki)が、上記(4)において、翌日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられることによって、翌日の使用電力量の予測値(Pi)が算出される。以上のように算出された翌日の補正係数(Ki)が、上記(4)において、翌日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられることによって、翌日の使用電力量の予測値(Pi)が算出される。
【0063】
<3. まとめ>
以上のように、将来の日(具体的には、翌日)の補正係数(Ki)が、過去の日(具体的には、翌日の1週間前の日)の使用電力量の実績値(Ri-1)と、過去の日の使用電力量の予測値(Pi-1)とに基づいて算出される。そのような補正係数(Ki)が過去の日の使用電力量の実績値(Ri-1)に乗じられる。その積(Ki×Ri-1)が将来の日の使用電力量の予測値(Pi)であることから、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)は、過去の日の使用電力量の実績値(Ri-1)と、過去の日の使用電力量の予測値(Pi-1)とを反映したものとなる。そのため、将来の使用電力量の予測値(Pi)が、過去の日の使用電力量の実績値(Ri-1)から正確に算出される。
【0064】
将来の日が翌日であり、過去の日が将来の日の1週間前の日である。そのため、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)は、その将来の日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri-1)と、その将来の日の1週間前の日の使用電力量の予測値(Pi-1)とを反映したものとなる。人は同じ曜日に同じような行動パターンをとることが一般的であるから、将来の使用電力量の予測値(Pi)が、その将来の日の1週間前の日の使用電力量の実績値(Ri)から正確に算出される。
【0065】
判定値(Ri-1 / Pi-1)が第1閾値(Th1)を超えるとともに第2閾値(Th2)以下である場合、日次データ361における過去の日の使用電力量の実績値(Ri-1)が適切である。こうした場合、日次データ362における過去の日の補正係数(Ki-1)を将来の日の補正係数(Ki)に当て嵌めれても、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)が正確に算出されやすい。
判定値(Ri-1 / Pi-1)が第1閾値(Th1)以下である場合、日次データ361における過去の日の使用電力量の実績値(Ri-1)が大きすぎる。こうした場合、日次データ362における過去の日の補正係数(Ki-1)を減らすことで得られる値が将来の日の補正係数(Ki)に当て嵌められると、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)が小さめに算出される。そのため、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)が正確に算出されやすい。
判定値(Ri-1 / Pi-1)が第2閾値(Th2)を超える場合、日次データ361における過去の日の使用電力量の実績値(Ri-1)が小さすぎる。こうした場合、日次データ62における過去の日の補正係数(Ki-1)を増やすことで得られる値が将来の日の補正係数(Ki)に当て嵌められると、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)が小さめに算出される。そのため、将来の日の使用電力量の予測値(Pi)が正確に算出されやすい。
【0066】
〔第2実施形態〕
<1. エネルギー利用システムの概要>
図3は、エネルギー利用システムを示した図である。
エネルギー利用システムは、或る国の或る地域(以下、特定地域という。)に存在するオフグリッドシティである。エネルギー利用システムは、プラント1、配送センター9、ストック施設8、輸送機70及び多数の建物10を備える。建物10が特定地域に分布する。プラント1が特定地域の特定の場所に設立されている。配送センター9がプラント1に隣接して設立されている。ストック施設8は、特定地域のうち、建物10の密集地に設立されている。
【0067】
プラント1では、各建物10の余剰電力若しくは自然エネルギー又はこれら両方を利用した水の電気分解による水素の製造がなされている。プラント1は、外部から水素を受入れてもよい。プラント1で生成された水素は、各建物10に配送される。各建物10では、太陽光エネルギーなどのような自然エネルギーから電気エネルギーの生成と、水素の電気化学反応による電気エネルギーの生成とが実現されている。建物10は電力会社に頼らずとも電力を自給する。各建物10の余剰電力は、例えば化学エネルギー等に変換された上で、送電網を用いずに配送によりプラント1に供給されてもよい。特定地域に住む人々は温室効果ガス等を極力排出しない暮らしを送れる。このエネルギー利用システムは、カーボンニュートラルの推進と、脱炭素社会の実現と、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成とに貢献する。
【0068】
このエネルギー利用システムは、複数の建物10、プラント1、配送センター9及びストック施設8の間での後述の可搬なカートリッジ20の流通の実現に貢献する。このエネルギー利用システムは、カートリッジ20の流通を通じて、各建物10の自然エネルギー発電装置27及びプラント1の自然エネルギー発電設備2によって生成された電気エネルギーをカートリッジ20内の水素の化学エネルギーに利用し合えるような社会の実現に貢献する。
【0069】
特に、エネルギー利用システムは、建物10から回収する空のカートリッジ20の数及びその回収タイミングの適正化に寄与する。エネルギー利用システムは、建物10へ配送する満量のカートリッジ20の数及びその配送タイミングの適正化に寄与する。よって、このエネルギー利用システムは、各建物10における電力量不足の発生を抑制することに貢献するとともに、特定地域におけるオフグリッド社会の実現に貢献する。
【0070】
<2. プラント>
プラント1には、自然エネルギー発電設備2、水素製造設備3、水素貯蔵設備4、水素
充填設備5及び送電設備7が設置されている。
【0071】
自然エネルギー発電設備2は、自然エネルギーから電力を生成する。自然エネルギー発電設備2は、例えば太陽光発電設備、水力発電設備、風力発電設備若しくは地熱発電設備又はこれら2以上の組み合わせを有する。太陽光発電設備は、太陽光エネルギーを電力に変換する。水力発電装置は、水の運動エネルギーを電力に変換する。風力発電設備は、風の運動エネルギーを電力に変換する。地熱発電設備は、地熱エネルギーを電力に変換する。自然エネルギー発電設備2は生成した電力を送電設備7に出力して、その電力が送電設備7を介して水素製造設備3、水素貯蔵設備4及び水素充填設備5に送られる。自然エネルギー発電設備2が水素製造設備3、水素貯蔵設備4及び水素充填設備5の敷地から離れた敷地に設置されて、自然エネルギー発電設備2で生成された電力が送電設備7により水素製造設備3、水素貯蔵設備4及び水素充填設備5に送られてもよい。
【0072】
水素製造設備3は、電力を利用して水素を製造し、その水素を水素貯蔵設備4に送る。例えば水素製造設備3は電気分解装置を有してもよい。電気分解装置は、自然エネルギー発電設備から供給された電力を利用して水を電気分解することによって、水素を生成する。
【0073】
水素貯蔵設備4は、水素製造設備3によって製造された水素を貯蔵する。
【0074】
水素充填設備5は、水素貯蔵設備4から水素の供給を受けて、人が持ち運べる程度の小型なカートリッジ20に水素を小分けして充填する。
【0075】
<3. カートリッジ及びその輸送>
カートリッジ20は、低圧又は高圧な気体状態、液体状態又は吸蔵状態の水素を貯蔵する。吸蔵状態とは、水素が合金に吸蔵されて可逆的に放出可能な状態にあることをいう。カートリッジ20は、ボンベ又は水素貯蔵合金を有する。
【0076】
バッテリー30は、例えばリチウムイオン電池、全個体電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池又はナトリウム硫黄電池などのような二次電池を有する。
【0077】
カートリッジ20は、プラント1、配送センター9、ストック施設8及び多数の建物10の間で輸送される。例えば、水素が満たされた満量のカートリッジ20がプラント1から、配送センター9を経由して、必要に応じてストック施設8を経由して、建物10に輸送される。例えば、空(から)のカートリッジ20が、建物10から、必要に応じてストック施設8を経由して、配送センター9を経由してプラント1に輸送される。
【0078】
図3に示すように、配送センター9は、カートリッジ20の配送拠点である。つまり、輸送機70がカートリッジ20を配送センター9から建物10及びストック施設8に輸送したり、建物10及びストック施設8から配送センター9に輸送したりする。配送センター9の設置場所は、プラント1の隣り、プラント1内、或いは、プラント1から離れた土地である。
【0079】
ストック施設8は、配送センター9と建物10の間の中継点であって、カートリッジ20の一時保管施設である。具体的には、例えば、輸送機70がカートリッジ20を配送センター9からストック施設8に輸送し、建物10の居住者がストック施設8に一時保管されたカートリッジ20をストック施設8から建物10に持ち運ぶ。例えば、建物10の居住者がカートリッジ20を建物10からストック施設8に持ち運び、輸送機70がカートリッジ20をストック施設8から配送センター9に輸送する。輸送機70がカートリッジ20を建物10から配送センター9に直接輸送する場合、それらカートリッジ20がストック施設8に保管されない。ストック施設8は、カートリッジ20を一時保管するために施錠・解錠可能なロッカーを有してもよい。ストック施設8は、商業施設などに設置されてもよい。
【0080】
カートリッジ20がプラント1、配送センター9、ストック施設8、建物10及び輸送機70の何れかに運び入れられたり、プラント1、配送センター9、ストック施設8、建物10及び輸送機70の何れに運び出されたりする際にも、そのカートリッジ20の識別番号がリーダーによって読み取られ、その識別番号が、運び入れ先又は運び出し元の識別情報とともに全体管理装置40に転送される。これにより、カートリッジ20が追跡されて、カートリッジ20の位置及び移動が全体管理装置40によって管理される。
【0081】
輸送機70は、例えば貨物自動車及びマルチコプターである。輸送機70は、カートリッジ20を荷積みするとともに荷降ろしする荷役装置を有してもよい。オペレータが輸送機70に乗って輸送機70を操縦してもよいし、輸送機70を遠隔的に操縦してもよい。輸送機70は自動運転されてもよい。輸送機70が、蓄電池及びモーターを有し、その蓄電池から放電されたエネルギーにより駆動されるモーターの動力で移動する電動輸送機であってもよい。輸送機70が貨物自動車である場合、輸送機70が通る道路は、輸送機70に専用であってもよいし、輸送機70以外の一般車と共用されてもよい。
【0082】
なお、以下では、建物10にあるカートリッジ20のことを第1カートリッジ20といい、輸送機70によって輸送されるカートリッジ20のことを第2カートリッジ20という。
【0083】
輸送機70は、定期的に例えば毎日、毎週又は毎月、配送センター9とストック施設8と建物10の間を巡回する。
輸送機70が建物10に到着した時、建物10にある第1カートリッジ20が、輸送機70によって輸送される第2カートリッジ20と交換されて、回収される。建物10から輸送機70に回収される第1カートリッジ20の水素残量は、輸送機70から建物10に引き渡される第2カートリッジ20の水素残量よりも少なく、例えば、建物10から輸送機70に回収される第1カートリッジ20は空であり、輸送機70から建物10に引き渡される第2カートリッジ20は水素で満たされている。
【0084】
<4. 建物>
図4は、建物10を示した図である。建物10は、例えば戸建て住宅又は店舗等のような一般建築物である。
【0085】
各建物10は、第1実施形態における電力使用領域310に相当する。各建物10は、電気配線網12、分電盤13、電力計14、電力計15、パワーコンディショナー16、充放電装置18、カートリッジホルダー19、カートリッジ20、水素供給器21、エア供給器22、燃料電池式発電装置23、貯水槽24、残量計25、電力計26、自然エネルギー発電装置27、バッテリー30及び個別管理装置35を備える。電気配線網12、分電盤13、自然エネルギー発電装置27、電力計15、パワーコンディショナー16、充放電装置18、カートリッジホルダー19、水素供給器21、エア供給器22、燃料電池式発電装置23、貯水槽24、残量計25、電力計26、自然エネルギー発電装置27及びバッテリー30は建物10に設置されている。これらの設置箇所は屋外と屋内のどちらであってもよい。
【0086】
電気配線網12は、建物10に張り巡らされている。建物10に設置又は配置された多数の負荷11が電気配線網12に接続されている。電気配線網12が分電盤13に接続されている。
【0087】
分電盤13は、パワーコンディショナー16から分電盤13に供給された交流電力を負荷11に分配する。負荷11は、分電盤13から電気配線網12を通じて交流電力の供給を受けるとともに、その交流電力を消費する。負荷11は、照明器、冷蔵庫、空調機器、給湯器、通信ネットワーク機器(ルーター、無線親機、無線中継機、電話機等)、テレビ
、音響機器、録画機及び調理家電などのような電気機器である。
【0088】
カートリッジホルダー19は、複数のカートリッジ20を保持する。カートリッジ20はカートリッジホルダー19に対して着脱可能である。カートリッジ20がカートリッジホルダー19に装着されると、カートリッジ20が水素供給器21を介して燃料電池式発電装置23の燃料極に接続される。
【0089】
カートリッジホルダー19は、宅配の受領ボックスを兼ねてもよい。具体的には、カートリッジホルダー19は物理的な鍵、電子的な鍵又は暗号などのツールを利用して施錠可能・解錠可能な扉を有し、その扉が解錠されて開かれることによってカートリッジホルダー19に対するカートリッジ20の着脱が可能になり、扉が閉じられて施錠されることによってカートリッジホルダー19内のカートリッジ20の盗難が防止される。この場合、カートリッジホルダー19は、複数のカートリッジ20が装着される領域のほか、カートリッジ20以外の配送物が収容される領域を内側に有してもよい。
【0090】
残量計25はカートリッジ20ごとにカートリッジホルダー19に設けられている。残量計25は、カートリッジ20に残留した水素の量を測定し、その測定値を個別管理装置35に出力する。水素の量の単位は、水素ガスの体積若しくは圧力又はこれら両方で表現されてもよいし、水素の重量で表現されてもよい。残量計25によるカートリッジ20の水素残量測定の手法はどのようなものでもよい。例えば、残量計25は、カートリッジ20内の水素の圧力を圧力計によって測定して、その測定圧力を水素の残量に換算してもよい。残量計25は、カートリッジ20の全重量を重量計によって測定して、その測定重量からカートリッジ20自体の重量を減算することによって、測定重量を水素の残量に換算してもよい。残量計25は、カートリッジ20から水素供給器21に送られる水素の流量を流量計により測定して、その測定流量の時間積分からカートリッジ20の最大水素貯留量を減算することによって、その測定流量を水素の残量に換算してもよい。
【0091】
水素供給器21は、バルブなどのような流体機器を有する。水素供給器21は、カートリッジホルダー19に保持されたカートリッジ20を順次選択して、選択したカートリッジ20から燃料電池式発電装置23の燃料極へ水素を供給する。選択されたカートリッジ20内の水素の残量が少なくなったら、水素供給器21が次のカートリッジ20を選択して、選択した複数のカートリッジ20から燃料電池式発電装置23へ水素を供給する。選択されたカートリッジ20が空になったら、水素供給器21がそのカートリッジ20の選択を解除して、そのカートリッジ20からの供給を停止する。水素供給器21は、選択中のカートリッジ20から燃料電池式発電装置23への水素の供給流量若しくは供給圧又はこれら両方を調整する。カートリッジホルダー19に保持されたカートリッジ20のうち選択中のカートリッジ20は水素の消費中である。未選択のカートリッジ20は水素を満たしている。選択解除済みのカートリッジ20は空である。
【0092】
エア供給器22は、燃料電池式発電装置23の酸素極に接続されている。エア供給器22は、バルブ及びブロワなどのような流体機器を有する。エア供給器22は、燃料電池式発電装置23の酸素極へ空気を供給する。エア供給器22は、燃料電池式発電装置23への水素の供給流量若しくは供給圧又はこれら両方を調整する。
【0093】
燃料電池式発電装置23の燃料極及び酸素極はパワーコンディショナー16に接続されている。燃料電池式発電装置23は、水素供給器21によって供給された水素と、エア供給器22によって供給された空気中の酸素とを電解質膜を通じて反応させることによって直流電力及び水を生成する。燃料電池式発電装置23は、生成した直流電力をパワーコンディショナー16に出力する。燃料電池式発電装置23は、生成した水を一又は複数の貯水槽24へ排出する。
【0094】
電力計26は、燃料電池式発電装置23の発電電力を測定し、その測定値を個別管理装置35に出力する。電力計26は、燃料電池式発電装置23の出力電流又は出力電圧を計測して、出力電流又は出力電圧から算出するものでもよい。
【0095】
貯水槽24は、燃料電池式発電装置23から供給された水を貯める。貯水槽24がカートリッジ式であり、貯水槽24がその設置箇所に対して着脱可能であってもよい。なお、燃料電池式発電装置23によって生成された水が下水設備に排出されてもよい。
【0096】
自然エネルギー発電装置27はパワーコンディショナー16に接続される。自然エネルギー発電装置27は、自然エネルギーから直流電力を生成する。自然エネルギー発電装置27は、生成した直流電力をパワーコンディショナー16に供給する。例えば、自然エネルギー発電装置27は、太陽光のエネルギーから直流電力を生成する太陽光発電パネルを有する。その太陽光発電パネルは例えば建物10の屋根に設置される。なお、自然エネルギー発電装置27は、太陽光発電パネル以外の装置、例えば水力発電装置、風力発電装置又は地熱発電装置を有してもよい。自然エネルギー発電装置27は、太陽光発電パネル、水力発電装置、風力発電装置及び地熱発電装置の中の2つ以上の組み合わせでもよい。
【0097】
電力計15は、自然エネルギー発電装置27の発電電力を測定し、それらの測定値を個別管理装置35に出力する。電力計15は、自然エネルギー発電装置27の出力電流又は出力電圧を測定して、出力電流又は出力電圧から自然エネルギー発電装置27の発電電力を算出するものでもよい。
【0098】
バッテリー30は充放電装置18に接続されている。バッテリー30の数は1又は2以上である。バッテリー30は定置型バッテリーであってよい。バッテリー30は、建物10又はその近くに駐留された電動輸送機に搭載されたバッテリーであってもよい。電動輸送機は例えば電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車である。
【0099】
充放電装置18は充電機能及び放電機能を有する。充放電装置18は、パワーコンディショナー16から充放電装置18に供給された余剰電力をバッテリー30に充電する。充放電装置18は、バッテリー30からパワーコンディショナー16に直流の不足電力を出力する。
【0100】
充放電装置18は、充電量測定器を有する。充放電装置18は、充電量測定器によってバッテリー30の残留電力量を測定する。充放電装置18は、バッテリー30の残留電力量の測定値を個別管理装置35に出力する。これにより、個別管理装置35は、バッテリー30の残留電力量の測定値を取得する。なお、個別管理装置35は、非常に短い周期で周期的に、バッテリー30の残留電力量の測定値を測定時刻に対応付けて記憶してもよい。
バッテリー30、燃料電池式発電装置23及び自然エネルギー発電装置27の組合せは、第1実施形態における電源323に相当する。
【0101】
パワーコンディショナー16は、DC-ACコンバータ、リレー及び制御回路等を有する。パワーコンディショナー16は、分電盤13に接続されている。電力計14が分電盤13とパワーコンディショナー16の間に設けることができる。
【0102】
パワーコンディショナー16は、自然エネルギー発電装置27から供給された直流電力を交流電力に変換した上で、その交流電力を分電盤13に供給する。パワーコンディショナー16は、燃料電池式発電装置23から供給された直流電力を交流電力に変換した上で、その交流電力を分電盤13に供給する。パワーコンディショナー16は、充放電装置18から供給された直流電力を交流電力に変換した上で、その交流電力を分電盤13に供給する。分電盤13は、パワーコンディショナー16から分電盤13に供給された交流電力を負荷11に分配する。
【0103】
パワーコンディショナー16は、自然エネルギー発電装置27の発電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力と充放電装置18の放電電力のうち、自然エネルギー発電装置27の発電電力を最優先に分電盤13に供給する。
【0104】
負荷11の総消費電力が自然エネルギー発電装置27の発電電力未満である場合、パワーコンディショナー16は、その発電電力からその総消費電力を差し引いた余剰電力を充放電装置18に供給する。そのため、余剰電力が充放電装置18によってバッテリー30に供給される。
【0105】
建物10は、燃料電池式発電装置23の発電電力とバッテリー30の電力とのうち優先的に消費するものを選択可能に構成されている。具体的には、負荷11の総消費電力が自然エネルギー発電装置27の発電電力を超える場合、パワーコンディショナー16は、充放電装置18の放電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力のどちらを優先消費するかの選択が可能である。パワーコンディショナー16は、個別管理装置35から入力した指令に基づいて、充放電装置18の放電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力のうち、優先消費するものを選択する。
【0106】
充放電装置18の放電電力の優先的な消費が選択された場合、パワーコンディショナー16は、充放電装置18の放電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力を分電盤13に供給する。それでも、充放電装置18の放電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力が負荷11の総消費電力に対して不足した場合、パワーコンディショナー16は燃料電池式発電装置23の発電電力も分電盤13に供給する。なお、充放電装置18の放電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力が負荷11の総消費電力に対して不足した場合、水素供給器21、エア供給器22及び燃料電池式発電装置23が稼働し、充放電装置18の放電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力が負荷11の総消費電力に対して満たした場合、水素供給器21、エア供給器22及び燃料電池式発電装置23が停止する。
【0107】
燃料電池式発電装置23の発電電力の優先的な消費が選択された場合、パワーコンディショナー16は、燃料電池式発電装置23の発電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力を分電盤13に供給する。それでも、燃料電池式発電装置23の発電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力が負荷11の総消費電力に対して不足した場合、パワーコンディショナー16は充放電装置18の放電電力も分電盤13に供給する。燃料電池式発電装置23の発電電力の優先的な消費が選択された場合、水素供給器21、エア供給器22及び燃料電池式発電装置23が常に稼働してもよいし、自然エネルギー発電装置27の発電電力が負荷11の総消費電力に対して不足した時に水素供給器21、エア供給器22及び燃料電池式発電装置23が稼働してもよい。水素供給器21、エア供給器22及び燃料電池式発電装置23が常に稼働する場合、燃料電池式発電装置23の発電電力及び自然エネルギー発電装置27の発電電力が負荷11の総消費電力に対して余剰した時には、パワーコンディショナー16が余剰電力を充放電装置18に供給する。そのため、余剰電力が充放電装置18によってバッテリー30に供給される。
【0108】
自然エネルギー発電装置27の発電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力と充放電装置18の放電電力は様々な優先順位で消費されてもよい。
充放電装置18、パワーコンディショナー16及び分電盤13の組合せは、第1実施形態における電力設備313に相当する。
【0109】
電力計14は、負荷11の総消費電力、つまり建物10における使用電力を測定して、それらの測定値を個別管理装置35に出力する。
【0110】
個別管理装置35は、居住者によって使用される端末である。
【0111】
個別管理装置35は、汎用コンピューターシステム又は専用コンピューターシステムから構成される。汎用コンピューターシステムとは、汎用OS(Operating System)がインストールされた例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ラップトップ型コンピューター及びデスクトップ型コンピューターなどのようなコンピューターシステムをいう。汎用OSは、例えば、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)又はUnix(登録商標)である。専用コンピューターシステムとは、建物の内壁などに設置されているとともに、建物10の負荷11の監視又は制御をする機能を有するコンピューターシステムをいう。例えば、専用コンピューターシステムとしては、HEMS(Home Energy Management System)又はBEMS(Building Energy Management System)コントローラーが挙げられる。個別管理装置35は、汎用コンピューターシステムと専用コンピューターシステムの組み合わせでもよい。ユーザーの端末装置が宅内ネットワークと、必要に応じて通信ネットワーク90とを通じて個別管理装置35にアクセス可能であってもよい。
【0112】
個別管理装置35は、表示装置を有する。個別管理装置35は、表示装置により各種の表示をする。個別管理装置35は、タッチパネル、押しボタン、キー、キーボード、マウス、タッチパッド、スタライス及びポインティングデバイスなどのような入力装置を有する。居住者が入力装置を操作することによって、個別管理装置35がその操作に応じた指令及び情報などを受け付ける。例えば、居住者が個別管理装置35の入力装置により第1優先モード(バッテリー優先モード)を選択したら、第1優先モードの選択の旨が個別管理装置35からパワーコンディショナー16及び全体管理装置40に転送され、パワーコンディショナー16は、充放電装置18の放電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力のうち、充放電装置18の放電電力を優先的に供給する。例えば、居住者が個別管理装置35の入力装置により第2優先モード(燃料電池優先モード)を選択したら、第2優先モードの選択の旨が個別管理装置35からパワーコンディショナー16及び全体管理装置40に転送され、パワーコンディショナー16は、充放電装置18の放電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力のうち、燃料電池式発電装置23の発電電力を優先的に消費する。なお、居住者が第1優先モードと第2優先モードのどちらかを選択するのに対して、個別管理装置35が演算処理により自動的に第1優先モードと第2優先モードのどちらかを選択し、パワーコンディショナー16が選択されたモードに従って上述のように動作してもよい。また、管理者が第1優先モードと第2優先モードのどちらかを選択して、選択されたモードを後述の全体管理装置40に入力し、全体管理装置40が、選択されたモードを個別管理装置35に転送し、パワーコンディショナー16が選択されたモードに従って上述のように動作してもよい。
【0113】
個別管理装置35は、携帯電話回線通信モジュール、ネットワークカード及びWiFi(登録商標)子機などのような通信器を有する。個別管理装置35は、通信器によって、インターネットなどのような通信ネットワーク90に接続されている。個別管理装置35は、通信ネットワーク90を通じて全体管理装置40にアクセス可能である。例えばVPN(Virtual Private Network)などのようなセキュアな通信プロトコルが、個別管理装置35と全体管理装置40の間の通信に採用されてもよい。
【0114】
個別管理装置35は、プログラムを記憶した記憶媒体を有する。このプログラムは個別管理装置35を以下のように機能させる。
【0115】
個別管理装置35は、時間を計って現在時刻(現在の年月日時分秒及び曜日)を認識する計時機能を有する。
個別管理装置35は、非常に短い周期で周期的に、貯水計によって測定された貯水槽24の貯水量の測定値と測定時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置35は、貯水量の測定値を時系列で並べた時系列データを蓄積する。個別管理装置35は、貯水量の測定値の時系列データに基づいて、貯水量の測定値と測定時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、即時的な(リアルタイムの)測定値及び測定時刻も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に(リアルタイムで)、貯水計によって測定された貯水槽24の貯水量の測定値と測定時刻を対応付けて、その測定値と測定時刻を全体管理装置40に転送する。
【0116】
個別管理装置35は、非常に短い周期で周期的に、電力計26によって測定された燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値を測定時刻に対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置35は、その発電電力の測定値を時系列で並べた時系列データを蓄積する。個別管理装置35は、その発電電力の測定値の時系列データに基づいて、その発電電力の測定値と測定時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、即時的な測定値及び測定時刻も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に、電力計26によって測定された燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値を測定時刻に対応付けて、その測定地と測定時刻を全体管理装置40に転送する。
【0117】
個別管理装置35は、燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値の時系列データを時間で積分することによって、燃料電池式発電装置23の発電電力量の値を算出する。積分期間は例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月又は1年間でもよい。つまり、個別管理装置35は、毎時、毎日、毎週、毎月又は毎年の燃料電池式発電装置23の発電電力量の値を算出してもよい。
【0118】
個別管理装置35は、非常に短い周期で周期的に、電力計15によって測定された自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値を測定時刻に対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置35は、その発電電力の測定値の時系列データを蓄積する。個別管理装置35は、その発電電力の測定値の時系列データに基づいて、その発電電力の測定値と測定時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、即時的な測定値及び測定時刻も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に、電力計15によって測定された自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値を測定時刻に対応付けて、その測定値と測定時刻を全体管理装置40に転送する。
【0119】
個別管理装置35は、自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値の時系列データを時間で積分することによって、自然エネルギー発電装置27の発電電力量の値を算出する。積分期間は例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月又は1年間でもよい。つまり、個別管理装置35は、毎時、毎日、毎週、毎月又は毎年の自然エネルギー発電装置27の発電電力量の値を算出してもよい。
【0120】
個別管理装置35は、非常に短い周期で周期的に、電力計14によって測定された建物10の使用電力の測定値を測定時刻に対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置35は、その使用電力の測定値を時系列で並べた時系列データを蓄積する。個別管理装置35は、その使用電力の測定値の時系列データに基づいて、その使用電力の測定値と測定時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、即時的な測定値及び測定時刻も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に、電力計14によって測定された使用電力の測定値を測定時刻に対応付けて、その測定値と測定時刻を全体管理装置40に転送する。
【0121】
個別管理装置35は、建物10の使用電力の測定値の時系列データを時間で積分することによって、建物10の使用電力量の値を算出する。積分期間は例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月又は1年間でもよい。つまり、個別管理装置35は、毎時、毎日、毎週
、毎月又は毎年の建物10の使用電力量の値を算出してもよい。
【0122】
個別管理装置35は、即時的に、カートリッジ20ごとに水素残量の測定値を取得する。具体的には、残量計25がカートリッジ20の水素の残量を測定し、その測定値が個別管理装置35に出力されることによって、個別管理装置35がカートリッジ20の水素残量の測定値を取得する。個別管理装置35は、即時的に、これらカートリッジ20の水素の残量を合計することによって、総残量を算出する。個別管理装置35は、即時的に、水素総残量から、燃料電池式発電装置23が発電可能な電力量の値を算出する。個別管理装置35は、即時的に、水素総残量及び発電可能電力量の値と算出時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置35は、水素総残量及び発電可能電力量を時系列で並べた時系列データを蓄積する。個別管理装置35は、水素総残量及び発電可能電力量の時系列データに基づいて、水素総残量及び発電可能電力量と算出時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、即時的な水素総残量、発電可能電力量及び算出時刻も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に、水素総残量及び発電可能電力量と算出時刻を全体管理装置40に送信する。
【0123】
個別管理装置35は、即時的に、残量計25によって測定されたカートリッジ20ごとの水素の残量に基づき、空のカートリッジ20の数と空でないカートリッジ20の数とを算出する。例えば、カートリッジ20の水素の残量が所定値以下であれば、個別管理装置35がそのカートリッジ20を空と認識し、個別管理装置35がそのような空のカートリッジ20の数を数える。カートリッジ20の水素の残量が所定値を超えれば、個別管理装置35がそのカートリッジ20を空でないと認識し、個別管理装置35がそのような空でないカートリッジ20の数を数える。
【0124】
個別管理装置35は、即時的に、算出した空のカートリッジ20の数を表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に、算出した空でないカートリッジ20の数を表示装置に表示する。
【0125】
個別管理装置35は、即時的に、算出した空のカートリッジ20の数を全体管理装置40に送信する。個別管理装置35は、即時的に、算出した空でないカートリッジ20の数を全体管理装置40に送信する。
【0126】
個別管理装置35は、即時的に、充放電装置18から、バッテリー30の残留電力量の測定値を取得する。個別管理装置35は、即時的に、残留電力量の値と算出時刻を対応付けて記憶する。これにより、個別管理装置35は、残留電力量を時系列で並べた時系列データを蓄積する。個別管理装置35は、残留電力量の時系列データに基づいて、残留電力量と算出時刻との関係を表した推移をグラフ等で表示装置に表示するとともに、即時的な残留電力量及び算出時刻も推移と一緒に表示装置に表示する。個別管理装置35は、即時的に、残留電力量の値と算出時刻を対応付けて、残留電力量の値と算出時刻を全体管理装置40に送信する。
【0127】
なお、後述の全体管理装置40が、以上の個別管理装置35の機能と同様な機能を有してもよい。
【0128】
<5. 管理システム>
エネルギー利用システムは、図5に示すような管理システムを有している。この管理システムは、エネルギー利用システムを全体的に管理する。管理システムは、各建物10の居住者によって使用される個別管理装置35と、配送センター9の運営者によって使用される全体管理装置40と、気象情報用ストレージ装置80と、輸送機70のオペレータによって使用される第1端末91と、プラント1の事業者によって使用される第2端末92と、ストック施設8に設置される第3端末93と、を備える。全体管理装置40は、データセンターなどに設置されている。個別管理装置35は、建物10に設置されているか、建物10の居住者によって持ち運び可能である。第1端末91は、輸送機70に設置されているか、輸送機70のオペレータによって持ち運び可能である。第2端末92は、プラント1に設置されているか、プラント1の事業者によって持ち運び可能である。
【0129】
全体管理装置40は、コンピューター41、メモリデバイス45、入力デバイス43、表示デバイス44及び通信器42を備える。
【0130】
コンピューター41は、全体管理装置40の全体的な制御を司る。コンピューター41は、時間を計って現在時刻(現在の年月日時分秒及び曜日)を認識する計時機能を有する。コンピューター41は、メインボード、1又は複数のハードウェアプロセッサー、GPU(Graphics Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを有する。メインボードは、バス、バスコントローラ及びインターフェース回路などを有するとともに、ハードウェアプロセッサー、GPU、RAM、メモリデバイス45、入力デバイス43、表示デバイス44及び通信器42の間で情報を伝送する。ハードウェアプロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ハードウェアプロセッサーは、各種の演算処理を行う。RAMは、ハードウェアプロセッサーによる演算処理に際して、ハードウェアプロセッサーに記憶領域又は作業領域を提供する。GPUは、ハードウェアプロセッサーよりも高速に行える処理(例えば、画像処理及び行列演算処理)をハードウェアプロセッサーの指令の下で行う。
【0131】
入力デバイス43は、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド、スタライス、ポインティングデバイス、キー及び押しボタンなどのような入力装置である。入力デバイス43は、管理者が入力デバイス43に対して行った操作の内容に応じた信号をコンピューター41に出力する。コンピューター41は、入力デバイス43から転送された信号に従って、管理者による入力及び指令を認識する。
【0132】
表示デバイス44は、例えば液晶ディスプレイデバイス又は有機ELディスプレイデバイスであってもよい。表示デバイス44は、コンピューター41から入力した映像信号に従った映像を表示する。
【0133】
通信器42は、例えばネットワークカード又はWiFi(登録商標)子機であってもよい。通信器42は、ルーターなどを介して通信ネットワーク90に接続される。
【0134】
メモリデバイス45は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などのようなメモリデバイスであってもよい。OS(Operating System)がメモリデバイス45に格納され、OSがコンピューター41によって実行されるように全体管理装置40にインストールされている。メモリデバイス45には、コンピューター41、特にハードウェアプロセッサーがOS上で実行可能なプログラム46が格納されている。
【0135】
全体管理装置40は、ストレージ装置50に接続されている。ストレージ装置50は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。全体管理装置40のコンピューター41は、ストレージ装置50に情報を記録したり、ストレージ装置50に記録された情報を読み込んだりする。ストレージ装置50は、インターフェース回路によりコンピューター41に接続されてもよいし、通信ネットワーク90を介してコンピューター41によってアクセスされてもよい。
【0136】
続いて、プログラム46によって実現されるコンピューター41の機能について説明する。
【0137】
コンピューター41は、建物10ごとに、個別管理装置35から送られた情報を収集して蓄積する。具体的には、以下の通りである。
【0138】
コンピューター41は、個別管理装置35から貯水槽24の貯水量の測定値及び測定時刻を受信するごとに、貯水槽24の貯水量の測定値と測定時刻を対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、貯水槽24の貯水量の測定値を時系列で並べた時系列データ51をストレージ装置50に蓄積する。
【0139】
コンピューター41は、個別管理装置35から燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値及び測定時刻を受信するごとに、燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値を測定時刻に対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値を時系列で並べた時系列データ52をストレージ装置50に蓄積する。コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電電力の測定値の時系列データ52を時間で積分することによって、燃料電池式発電装置23の発電電力量の値を算出する。積分期間は例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月又は1年間でもよい。つまり、コンピューター41は、毎時、毎日、毎週、毎月又は毎年の燃料電池式発電装置23の発電電力量の値を算出してもよい。
【0140】
コンピューター41は、個別管理装置35から自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値及び測定時刻を受信するごとに、自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値を測定時刻に対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値を時系列で並べた時系列データ53をストレージ装置50に蓄積する。コンピューター41は、自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値の時系列データ53を時間で積分することによって、自然エネルギー発電装置27の発電電力量の値を算出する。積分期間は例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月又は1年間でもよい。つまり、コンピューター41は、毎時、毎日、毎週、毎月又は毎年の自然エネルギー発電装置27の発電電力量の値を算出してもよい。
【0141】
コンピューター41は、個別管理装置35から建物10の使用電力の測定値及び測定時刻を受信するごとに、建物10の使用電力の測定値を測定時刻に対応付けてストレージ装置50に記録する。使用電力の測定値及び測定時刻の記録に際して、コンピューター41は使用電力の測定値及び測定時刻を時系列データ54に追加記録する。これにより、コンピューター41は、建物10の使用電力の測定値を時系列で並べた時系列データ54をストレージ装置50に蓄積する。コンピューター41は、建物10の使用電力の測定値の時系列データ54を時間で積分することによって、建物10の使用電力量の値を算出する。積分期間は例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月又は1年間でもよい。つまり、コンピューターは、毎時、毎日、毎週、毎月又は毎年の建物10の使用電力量の値を算出してもよい。
【0142】
コンピューター41は、個別管理装置35からカートリッジ20の水素総残量及び算出時刻を受信するごとに、カートリッジ20の水素総残量を算出時刻に対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、カートリッジ20の水素総残量を時系列で並べた時系列データ55をストレージ装置50に蓄積する。
コンピューター41は、個別管理装置35から、カートリッジ20の水素総残量に基づく燃料電池式発電装置23の発電可能電力量の値及び算出時刻を受信するごとに、燃料電池式発電装置23の発電可能電力量の値を算出時刻に対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電可能電力量を時系列で並べた時系列データ56をストレージ装置50に蓄積する。
【0143】
コンピューター41は、個別管理装置35からバッテリー30の残留電力量の値及び算出時刻を受信するごとに、バッテリー30の残留電力量の値を算出時刻に対応付けてストレージ装置50に記録する。これにより、コンピューター41は、バッテリー30の残留電力量を時系列で並べた時系列データ57をストレージ装置50に蓄積する。
【0144】
時系列データ51~57は建物10ごとのデータである。
【0145】
コンピューター41は、毎日、建物10の前日の使用電力量の実績値、建物10の将来の日(具体的には、翌日)の使用電力量の予測値及び補正係数を算出する。コンピューター41が建物10の前日の使用電力量の実績値、将来の日の使用電力量の予測値及び補正係数を算出する処理は、第1実施形態において予測装置340が電力使用領域310の前日の使用電力量の実績値、将来の日の使用電力量の予測値及び補正係数を算出する処理と同じである。従って、全体管理装置40が予測装置として機能する。コンピューター41が建物10の前日の使用電力量の実績値、将来の日の使用電力量の予測値及び補正係数を算出する結果、日ごとの使用電力量の実績値の日次データ61と、日ごとの補正係数の日次データ62と、日ごとの使用電力量の予測値の日次データ63とがストレージ装置50に蓄積される。日次データ61~63は建物10ごとのデータである。
【0146】
なお、個別管理装置35が、毎日、その個別管理装置35が設けられる建物10の前日の使用電力量の実績値、建物10の将来の日の使用電力量の予測値及び補正係数を算出してもよい。つまり、個別管理装置35は予測装置として機能してもよい。
【0147】
居住者が個別管理装置35の入力装置により第1優先モード(バッテリー優先モード)を選択することによって、第1優先モードの選択の旨が個別管理装置35から全体管理装置40に転送され、全体管理装置40が第1優先モードの選択の旨を認識する。居住者が個別管理装置35の入力装置により第2優先モード(燃料電池優先モード)を選択することによって、第2優先モードの選択の旨が個別管理装置35から全体管理装置40に転送され、全体管理装置40が第2優先モードの選択の旨を認識する。
【0148】
管理者が入力デバイス43により建物10を指定して第1優先モード(バッテリー優先モード)を選択することによって、コンピューター41が第1優先モードの選択の旨をその建物10の個別管理装置35に転送すると、個別管理装置35が第1優先モードの選択の旨の指令をパワーコンディショナー16に出し、パワーコンディショナー16が、充放電装置18の放電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力のうち、充放電装置18の放電電力を優先的に分電盤13に供給する。管理者が入力デバイス43により建物10を指定して第2優先モード(燃料電池優先モード)を選択することによって、コンピューター41が第2優先モードの選択の旨をその建物10の個別管理装置35に転送すると、個別管理装置35が第2優先モードの選択の旨の指令をパワーコンディショナー16に出し、パワーコンディショナー16が、充放電装置18の放電電力と燃料電池式発電装置23の発電電力のうち、燃料電池式発電装置23の発電電力を優先的に分電盤13に供給する。
【0149】
気象情報用ストレージ装置80は、全体管理装置40に接続されている。気象情報用ストレージ装置80は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。気象情報用ストレージ装置80は、インターフェース回路により全体管理装置40のコンピューター41に接続されてもよいし、通信ネットワーク90を介してコンピューター41によってアクセスされてもよい。
【0150】
気象情報用ストレージ装置80は、特定地域の天気予報をデータ81として記憶する。つまり、気象情報用ストレージ装置80は、特定地域の気象の将来推移のデータ81を記憶する。気象とは、大気状態(晴天・曇天・雨天・降雪などのことをいう)、気温、湿度、日射量及び降水量などのようなことをいう。
【0151】
<6. プログラム>
プログラム46は、毎日の所定時刻、例えば17時に、以下のような建物10ごとの処理を全体管理装置40のコンピューター41に実行させる。なお、プログラム46は、毎日の所定時刻に、第2優先モード(燃料電池優先モード)が選択された建物10ごとの以下のような処理を全体管理装置40のコンピューター41に実行させてもよい。
【0152】
図6に示すように、まず、コンピューター41は、建物10における最新の空のカートリッジ20の数と空でないカートリッジ20の数を取得する(ステップS1)。最新の空のカートリッジ20の数と空でないカートリッジ20の数とは、所定時刻になった直後のステップS1の時点で、コンピューター41が建物10の個別管理装置35から受信した最新の空のカートリッジ20の数と空でないカートリッジ20の数のことをいう。
【0153】
次に、コンピューター41は、空のカートリッジ20の数の割合を算出する(ステップS2)。具体的には、コンピューター41は、空のカートリッジ20の数を、空のカートリッジ20の数と空でないカートリッジ20の数の和で除することで、空のカートリッジ20の数の割合を算出する。その後、コンピューター41は、空のカートリッジ20の数の割合が所定値を超えるか否か判定する(ステップS2)。空のカートリッジ20の数の割合が所定値を超えれば(ステップS2:YES)、コンピューター41の処理がステップS8に移行し、空のカートリッジ20の数の割合が所定値以下であれば、コンピューター41の処理がステップS3に移行する。
【0154】
ステップS3では、コンピューター41は、バッテリー30の残留電力量の時系列データ57から、最新の残留電力量の実測値(W1 [kWh])を取得する。最新の残留電力量の実測値(W1)とは、ステップS4の時点で最後に時系列データ57に追加された残留電力量の値のことをいう。
【0155】
次に、コンピューター41は、燃料電池式発電装置23の発電可能電力量の時系列データ56から、最新の発電可能電力量の値(W2 [kWh])を取得する(ステップS4)。最新の発電可能電力量の値(W2)とは、ステップS4の時点で最後に時系列データ56に追加された発電可能電力量の値のことをいう。
【0156】
次に、コンピューター41は、自然エネルギー発電装置27の翌日の発電電力量の予測値(W3 [kWh])を予測する(ステップS5)。発電電力量の予測値(W3)の予測には、自然エネルギー発電装置27の発電電力の測定値の時系列データ53若しくは天気予報データ81又はこれら両方が用いられて参照されてもよい。時系列データ53若しくは天気予報データ81又はこれら両方が予め機械学習された学習済みモデルに入力されることによって、自然エネルギー発電装置27の発電電力量の値が予測されてもよく、例えばその学習済みモデルは様々な家庭における過去の日々の太陽光発電パネルの発電電力、発電電力量、暦、気温、天気等のような教師データにより学習されたものである。ここで、予測される発電電力量の値の算定期間は輸送機70の定期的な巡回のサイクルに等しく、輸送機70が毎日巡回するので、予測される発電電力量は、建物10の自然エネルギー発電装置27により翌日の24時間の間に生成されるであろう電力量である。
【0157】
次に、コンピューター41は、日次データ63から、建物10における翌日の消費電力量の予測値(W4 [kWh])を取得する(ステップS6)。なお、この時点で、翌日の使用電力量の予測値(W4)が日次データ63に含まれていなければ、コンピューター41は建物10の翌日の使用電力量の予測値(W4)を算出する。コンピューター41が建物10の翌日の使用電力量の予測値(W4)を算出する処理は、第1実施形態において予測装置340が翌日の使用電力量の予測値を算出する処理と同じである。
【0158】
次に、コンピューター41は、残留電力量の実測値(W1)、発電可能電力量の値(W2)及び発電電力量の予測値(W3)の和と使用電力量の予測値(W4)を比較する(ステップS7)。比較の結果、和が使用電力量の予測値(W4)未満である場合、コンピューター41の処理がステップS8に移行する。比較の結果、和が使用電力量の予測値(W4)以上である場合、コンピューター41の処理がステップS9に移行する。
【0159】
ステップS8では、コンピューター41は、建物10への満量のカートリッジ20の配送を必要と判断する。更に、コンピューター41は、建物10への満量のカートリッジ20の配送数を、ステップS1において取得した空のカートリッジ20の数と等しく設定する。更に、コンピューター41は、建物10への満量のカートリッジ20の配送が必要である旨とカートリッジ20の配送数を個別管理装置35に送信する。個別管理装置35がそれらの情報を受信したら、個別管理装置35が、翌日にカートリッジ20の配送がある旨を表示装置に表示するとともに、カートリッジ20の配送数を表示装置に表示する。
【0160】
ステップS9では、コンピューター41は、建物10への満量のカートリッジ20の配送を不要と判断する。更に、コンピューター41は、建物10への満量のカートリッジ20の配送数をゼロに設定する。更に、コンピューター41は、建物10への満量のカートリッジ20の配送が不要である旨とカートリッジ20の配送数「ゼロ」を個別管理装置35に送信する。個別管理装置35がそれらの情報を受信したら、個別管理装置35が、翌日にカートリッジ20の配送が無い旨を表示装置に表示するとともに、カートリッジ20の配送数「ゼロ」を表示装置に表示する。
【0161】
なお、上述の説明では、コンピューター41が、建物10ごとに、ステップS1~ステップS9の処理を実行する。それに対して、各々の個別管理装置35が、その記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、ステップS1~ステップS9の処理を実行してもよい。この場合、ステップS8では、各々の個別管理装置35が、建物10への満量のカートリッジ20の配送が必要である旨とカートリッジ20の配送数をコンピューター41に送信する。更に、ステップS8では、個別管理装置35が、翌日にカートリッジ20の配送がある旨を表示装置に表示するとともに、カートリッジ20の配送数を表示装置に表示する。ステップS9では、個別管理装置35が、建物10への満量のカートリッジ20の配送が不要である旨とカートリッジ20の配送数「ゼロ」をコンピューター41に送信する。更に、ステップS9では、個別管理装置35が、翌日にカートリッジ20の配送が無い旨を表示装置に表示するとともに、カートリッジ20の配送数「ゼロ」を表示装置に表示する。
【0162】
<7. 配送>
上記の処理の後、全体管理装置40のコンピューター41が、各建物10及びストック施設8の所在情報と、上記の処理による各建物10に対する判定結果とに基づいて、建物10及びストック施設8を巡る順番(以下、配送順という。)を演算する。また、全体管理装置40のコンピューター41が、各建物10及びストック施設8の所在情報と、上記の処理による各建物10に対する判定結果と地図情報とに基づいて、建物10及びストック施設8を巡る経路(以下、配送経路という。)を演算する。
【0163】
全体管理装置40のコンピューター41が、演算された配送順及び配送経路を表す情報を作成して、その情報を第1端末91に送信する。第1端末91は、その情報に基づいて、配送順及び配送経路を表示してもよい。
【0164】
その後、水素が満たされた第2カートリッジ20が配送センター9において輸送機70に積み込まれる。
【0165】
その後、輸送機70が配送センター9を出発して、第1端末91が受けた配送順及び配送経路の情報に従って輸送機70が移動して建物10及びストック施設8を巡る。オペレータが輸送機70を操縦してもよいし、輸送機70が自動運転されてもよい。第1端末91が輸送機70を制御する機能を有する場合、輸送機70が配送順及び配送経路に従って移動するように第1端末91が輸送機70を制御することによって、輸送機70が自動運転されてもよい。
【0166】
輸送機70が建物10に到着したら、建物10の第1カートリッジ20が輸送機70の第2カートリッジ20に交換される。カートリッジ20の交換数は上述のように算出された配送数に等しい。交換はオペレータと居住者のどちらが行ってもよいし、輸送機70の荷役装置によって自動的に行われてもよい。カートリッジホルダー19から第1カートリッジ20の取り外しは、オペレータと居住者のどちらが行ってもよいし、輸送機70の荷役装置によって自動的に行われてもよい。カートリッジホルダー19への第2カートリッジ20の取り付けは、オペレータと居住者のどちらが行ってもよいし、輸送機70の荷役装置によって自動的に行われてもよい。
【0167】
輸送機70がストック施設8に到着したら、ストック施設8の第1カートリッジ20が輸送機70の第2カートリッジ20に交換される。交換はオペレータが行ってもよいし、ストック施設8の者が行ってもよいし、輸送機70の荷役装置によって自動的に行われてもよい。建物10の居住者は、自宅の第1カートリッジ20をカートリッジホルダー19から取り外し、その第1カートリッジ20をストック施設8まで持ち運び、その第1カートリッジ20をストック施設8の第2カートリッジ20と交換し、その第2カートリッジ20を自身の建物10に持ち帰り、その第2カートリッジ20を元のカートリッジホルダー19に装着する。
【0168】
建物10及びストック施設8の巡回後、輸送機70が配送センター9に戻る。
【0169】
<8. 融通>
或る建物10(以下、第1建物10という。)において電力量が余剰し、別の建物10(以下、第2建物10という。)において電力量が不足する場合、第1建物10のカートリッジ20が第2建物10に引き渡されて、カートリッジ20が第2建物10において使用されてもよい。カートリッジ20の引き渡し後、第1建物10の個別管理装置35が対価の値を計算するとともに全体管理装置40に対価の値を送信し、全体管理装置40が対価の値を第2建物10の個別管理装置35に送信し、第2建物10の個別管理装置35が対価の値を表示する。全体管理装置40は複数の建物10の間における対価の移動を管理して、建物10ごとの引き渡し・受け取り対価を計算する。対価は通貨又は暗号資産(仮想通貨)であってもよいし、経済的な価値を有する点数であってもよい。
【0170】
<9. まとめ>
建物10の複数のカートリッジ20の総数に占める空のカートリッジ20の数の割合と所定値との比較に基づき、水素で満たされたカートリッジ20を建物10に配送することの必要性が判定される。空のカートリッジ20の数の割合が所定値を超えれば、建物10へのカートリッジ20の配送が必要と判定されることから、空でないカートリッジ20が建物10にある状態で、空のカートリッジ20を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ20を建物10に配送することができる。
【0171】
空のカートリッジ20の数の割合が所定値以下であっても、水素で満たされたカートリッジ20を建物10に配送することの必要性が、建物10におけるバッテリー30の残留電力量と、建物10におけるカートリッジ20の水素残量に基づく燃料電池式発電装置23の発電可能電力量と、建物10における予測使用電力量と、に基づき判定されることから、空でないカートリッジ20が、バッテリー30の残留電力量と燃料電池式発電装置23の発電可能電力量と建物10の予測使用電力量とに応じた数だけ建物10にある状態で、空のカートリッジ20を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ20を建物10に配送することができる。
【0172】
建物10における空のカートリッジ20の数の割合が所定値以下であっても、水素で満たされたカートリッジ20を建物10に配送することの必要性が、建物10におけるバッテリー30の残留電力量と、建物10におけるカートリッジ20の水素残量に基づく燃料電池式発電装置23の発電可能電力量と、建物10における自然エネルギー発電装置27の発電電力量と、建物10における予測使用電力量と、に基づき判定されることから、空でないカートリッジ20が、バッテリー30の残留電力量と燃料電池式発電装置23の発電可能電力量と自然エネルギー発電装置27の発電電力量と建物10の予測使用電力量とに応じた数だけ建物10にある状態で、空のカートリッジ20を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ20を建物10に配送することができる。
【0173】
建物10におけるバッテリー30の残留電力量と、建物における燃料電池式発電装置23の発電可能電力量と、建物10における自然エネルギー発電装置27の発電電力量との和が、建物10の予測使用電力量未満である場合に、建物10において電力量の不足が生じる虞があることを意味する。そうした場合、建物10へのカートリッジ20の配送が必要と判定されることから、空でないカートリッジ20が建物10にある状態で、空のカートリッジ20を交換すべく、水素が満たされたカートリッジ20を建物10に配送することができる。一方、建物10におけるバッテリー30の残留電力量と、建物10における燃料電池式発電装置23の発電可能電力量と、建物10における自然エネルギー発電装置27の発電電力量との和が、建物10の予測使用電力量以上であることは、自然エネルギー発電装置27の発電電力量が建物10の消費電力量に対して不足しても、バッテリー30及び燃料電池式発電装置23が不足分を十分に補えることを意味する。そうした場合、建物10へのカートリッジ20の配送が不要と判定されることから、カートリッジ20が必要以上の数だけ建物10に保管されることが防止され、建物10へのカートリッジ20の配送が必要以上に行われることも防止できる。
【符号の説明】
【0174】
10 建物
14 電力計
20 カートリッジ
23 燃料電池式発電装置
27 自然エネルギー発電装置
30 バッテリー
35 個別管理装置
40 全体管理装置
41 コンピューター
46 プログラム
61 第1の日次データ
62 第2の日次データ
63 第3の日次データ
310 電力使用領域
314 電力計
340 予測装置
346 プログラム
361 第1の日次データ
362 第2の日次データ
363 第3の日次データ
【要約】
【課題】課題は、適切な量の水素を住宅等の建物に保管できるようにしつつ、水素を建物に配送する必要性を判定できるようにすることである。
【解決手段】エネルギー利用システムが、複数の建物(10)及び管理装置(40)を備える。建物(10)は、燃料電池式発電装置(23)、複数のカートリッジ(20)、を有する。管理装置(40)は、建物(10)ごとに、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送の必要性を判定する。管理装置(40)は、建物(10)ごとに、カートリッジ(20)の総数に占める空のカートリッジ(20)の数の割合を算出する第1算出処理と、第1算出処理によって算出された割合を所定値と比較する比較処理と、比較処理による比較の結果、割合が所定値を超える場合に、水素で満たされたカートリッジ(20)の配送が必要と判定する判定処理と、を実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6