IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス株式会社の特許一覧

特許7708977カバーステントの製造方法およびカバーステント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】カバーステントの製造方法およびカバーステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/90 20130101AFI20250708BHJP
【FI】
A61F2/90
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024534787
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2022027996
(87)【国際公開番号】W WO2024018505
(87)【国際公開日】2024-01-25
【審査請求日】2024-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 守
(72)【発明者】
【氏名】野口 俊
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕太
(72)【発明者】
【氏名】林 俊明
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-52419(JP,A)
【文献】特表2017-522091(JP,A)
【文献】特表2018-517464(JP,A)
【文献】特表2003-511151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーステントの製造方法であって、
ワイヤを編むことによって形成されたメッシュ構造のステント本体の内側に内カバーを配置し、前記ステント本体は前記ワイヤの2つの屈曲部が相互に引っ掛かった掛合部を有する、こと、
前記ステント本体の外側に外カバーを配置すること、
前記内カバーおよび前記外カバーの少なくとも一方に前記ステント本体の径方向に膨らむ弛み部を形成し、該弛み部が、前記ステント本体の長手方向および前記径方向における前記2つの屈曲部の移動を許容する弛みを前記内カバーおよび前記外カバーの前記少なくとも一方に付与する、こと、および、
前記内カバーおよび前記外カバーを、前記メッシュ構造の網目の内側の領域において相互に接合すること、を含む、カバーステントの製造方法。
【請求項2】
柱状の第1治具の外面上に前記内カバーを配置することをさらに含み、
前記弛み部を形成することが、前記外カバーを配置することの前に、前記第1治具の外面に形成された凹部内に前記内カバーを入れ込むことによって前記内カバーに前記弛み部を形成することを含む、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項3】
前記弛み部を形成することが、前記外カバーを配置することの後に、前記第1治具の前記凹部内に前記外カバーを入れ込むことによって前記外カバーに前記弛み部を形成することを含む、請求項2に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項4】
柱状の第1治具の外面上に前記内カバーを配置することをさらに含み、
前記弛み部を形成することが、前記外カバーを配置することの後に、前記第1治具の外面に形成された凹部内に前記内カバーおよび前記外カバーを同時に入れ込むことによって前記内カバーおよび前記外カバーに前記弛み部を形成することを含む、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項5】
前記弛み部を形成することおよび前記接合することが、接合具を使用して前記内カバーおよび前記外カバーを前記凹部内に押し込みながら前記接合具によって前記内カバーおよび前記外カバーを相互に接合することによって、同時に行われる、請求項4に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項6】
柱状の第1治具の外面上に前記内カバーを配置することをさらに含み、
前記ステント本体を配置することが、前記第1治具の外面に設けられた突起を前記メッシュ構造の網目の内側の領域に位置合わせして前記ステント本体を前記内カバーの外面上に配置することであり、それにより前記内カバーに前記弛み部を形成する、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項7】
第2治具の載置面上に前記外カバーを配置することをさらに含み、
前記弛み部を形成することが、前記ステント本体の外側に外カバーを配置することの前に、前記第2治具の載置面に形成された凹部内に前記外カバーを入れ込むことによって前記外カバーに前記弛み部を形成することを含む、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項8】
前記第2治具は、内面が前記載置面である円筒状の部材、および、平坦な前記載置面を有する平坦な部材のいずれかを有する、請求項7に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項9】
前記弛み部が、前記ステント本体の周方向に延びる、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項10】
前記内カバーおよび前記外カバーが、前記弛み部内に配置された隣接する2つの前記掛合部間の領域において相互に接合される、請求項9に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項11】
前記ステント本体の長手方向に相互に間隔をあけて配列する複数の前記弛み部が形成され、
前記内カバーおよび前記外カバーが、隣接する2つの前記弛み部間の領域において相互に接合される、請求項9に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項12】
前記弛み部が、前記径方向の圧縮力によって所定の折り畳み形状に変形する形状を有し、
前記所定の折り畳み形状において、前記弛み部を構成する前記カバーの一部分が、前記弛み部の開口部の外側において前記径方向に重なる、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項13】
前記内カバーはePTFE製であり、前記ステント本体が径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きに前記内カバーを前記ステント本体に対して配置する、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項14】
前記外カバーはePTFE製であり、前記ステント本体が径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きに前記外カバーを前記ステント本体に対して配置する、請求項1に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項15】
ワイヤを編むことによって形成されたメッシュ構造のステント本体であって、前記ワイヤの2つの屈曲部が相互に引っ掛かった掛合部を有するステント本体と、
該ステント本体の内側を被覆する内カバーと、
前記ステント本体の外側を被覆する外カバーと、を備え、
前記内カバーおよび前記外カバーの少なくとも一方が、前記ステント本体の径方向に膨らむ弛み部を有し、該弛み部は、前記ステント本体の長手方向および前記径方向における前記2つの屈曲部の移動を許容する弛みを前記内カバーおよび前記外カバーの前記少なくとも一方に付与し、
前記内カバーおよび前記外カバーが、前記メッシュ構造の網目の内側の領域において相互に接合されている、カバーステント。
【請求項16】
前記内カバーはePTFE製であり、前記ステント本体が径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きに前記内カバーが前記ステント本体に対して配置されている、請求項15に記載のカバーステント。
【請求項17】
前記外カバーはePTFE製であり、前記ステント本体が径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きに前記外カバーが前記ステント本体に対して配置されている、請求項15に記載のカバーステント。
【請求項18】
ステント本体の内側および外側の少なくとも一方にePTFE製のカバーを径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きで配置し、
前記カバーを部分的に前記ステント本体に接続し、
前記ステント本体を径方向に収縮させ前記カバーを延伸させることで前記カバーに弛みを生成する、カバーステントの製造方法。
【請求項19】
前記ステント本体を径方向に収縮させ前記カバーを延伸させることは、前記カバーが接続された前記ステント本体をデリバリシステムに搭載する工程において行われる、請求項18に記載のカバーステントの製造方法。
【請求項20】
ステント本体と、
該ステント本体の内側および外側の少なくとも一方を被覆し前記ステント本体に部分的に接続されたePTFE製のカバーと、を備え、
該カバーは、径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きで配置され、かつ、
前記カバーは、前記ステント本体が前記径方向に拡張した状態において前記ステント本体の長手方向に弛みを有する、カバーステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーステントの製造方法およびカバーステントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、狭窄を解除するために管腔の狭窄部に配置されるカバーステントが知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。カバーステントは、管状のステント本体の内側および外側の少なくとも一方を被覆するカバーを備える。管腔内に留置されたステントの内部への組織の浸潤が、カバーによって防止される。
【0003】
特許文献1のカバーステントにおいて、メッシュ状のステント本体の網目部分において内側のカバーと外側のカバーとが接着されている。これにより、ステント本体の拡張時のカバーのねじれが防止され、ステント本体と共に内側および外側のカバーも屈曲することができる。
特許文献2のカバーステントは、内側のカバーと外側のカバーとが接着される複数の接着部分が相互に間隔を置いて形成され、隣接する接着部分間にステント本体の動きを許容するポケットが形成されている。これにより、カバーステントを小さい力で径方向に圧縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-52419号公報
【文献】特許第4592953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステントは管腔の形状に沿って容易に湾曲し管壁に負荷をかけないことが望まれ、そのためにはステントのアキシャルフォースが低いことが要求される。アキシャルフォースは、湾曲したステントが直線形状に戻ろうとする力である。ワイヤの2つの屈曲部が相互に絡み合った掛合部を有するステント本体は、湾曲時の2つの屈曲部の3次元的な相対変位によって高可撓性および低アキシャルフォースを実現している。特許文献1および2のカバーステントの場合、カバーが2つの屈曲部の3次元的な変位を阻害するため、カバーが無い場合と比較して可撓性が低下しアキシャルフォースが増大する。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、低アキシャルフォースを実現することができるカバーステントの製造方法およびカバーステントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、カバーステントの製造方法であって、ワイヤを編むことによって形成されたメッシュ構造のステント本体の内側に内カバーを配置し、前記ステント本体は前記ワイヤの2つの屈曲部が相互に引っ掛かった掛合部を有する、こと、前記ステント本体の外側に外カバーを配置すること、前記内カバーおよび前記外カバーの少なくとも一方に前記ステント本体の径方向に膨らむ弛み部を形成し、該弛み部が、前記ステント本体の長手方向および前記径方向における前記2つの屈曲部の移動を許容する弛みを前記内カバーおよび前記外カバーの前記少なくとも一方に付与する、こと、および、前記内カバーおよび前記外カバーを、前記メッシュ構造の網目の内側の領域において相互に接合すること、を含む、カバーステントの製造方法である。
【0008】
本発明の他の態様は、ワイヤを編むことによって形成されたメッシュ構造のステント本体であって、前記ワイヤの2つの屈曲部が相互に引っ掛かった掛合部を有するステント本体と、該ステント本体の内側を被覆する内カバーと、前記ステント本体の外側を被覆する外カバーと、を備え、前記内カバーおよび前記外カバーの少なくとも一方が前記ステント本体の径方向に膨らむ弛み部を有し、該弛み部は、前記ステント本体の長手方向および前記径方向における前記2つの屈曲部の移動を許容する弛みを前記内カバーおよび前記外カバーの前記少なくとも一方に付与し、前記内カバーおよび前記外カバーが、前記メッシュ構造の網目の内側の領域において相互に接合されている、カバーステントである。
【0009】
本発明の他の態様は、ステント本体の内側および外側の少なくとも一方にePTFE製のカバーを径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きで配置し、前記カバーを部分的に前記ステント本体に接続し、前記ステント本体を径方向に収縮させ前記カバーを延伸させることで前記カバーに弛みを生成する、カバーステントの製造方法である。
【0010】
本発明の他の態様は、ステント本体と、該ステント本体の内側および外側の少なくとも一方を被覆し前記ステント本体に部分的に接続されたePTFE製のカバーと、を備え、該カバーは、径方向に収縮するときの前記ステント本体の延伸方向にePTFEの延伸方向が一致する向きで配置され、かつ、前記カバーは、前記ステント本体が前記径方向に拡張した状態において前記ステント本体の長手方向に弛みを有する、カバーステントである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーステントの低アキシャルフォースを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るカバーステントの側面図である。
図2A】ステント本体の部分拡大平面図である。
図2B図2AのI-I線におけるカバーステントの断面図である。
図3】直線形状のカバーステントにおけるステント本体、内カバーおよび外カバーの形状を説明する図である。
図4】湾曲形状のカバーステントにおけるステント本体、内カバーおよび外カバーの形状を説明する図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るカバーステントの製造方法のフローチャートである。
図6図5の製造方法において使用される芯棒を示す図である。
図7図5の製造方法のステップSA1~SA5を説明する図である。
図8A】凹部の一変形例を示す図である。
図8B図8Aの凹部が圧縮された状態を示すカバーステントの断面図である。
図9A】凹部の他の変形例を示す図である。
図9B図9Aの凹部が圧縮された状態を示すカバーステントの断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るカバーステントの製造方法のフローチャートである。
図11図10の製造方法のステップSB1~SB5を説明する図である。
図12A】接合部の一例を示すステント本体の部分拡大平面図である。
図12B】接合部の他の例を示すステント本体の部分拡大平面図である。
図13図10の製造方法の第1変形例のフローチャートである。
図14図13の製造方法のステップSB1~SB5を説明する図である。
図15図10の製造方法の第2変形例のフローチャートである。
図16図15の製造方法のステップSB45を説明する図である。
図17図10の製造方法の第3変形例のフローチャートである。
図18図17の製造方法のステップSB1~SB5を説明する図である。
図19】本発明の第3実施形態に係るカバーステントの製造方法のフローチャートである。
図20図19の製造方法において使用される芯棒を示す図である。
図21図19の製造方法のステップSC1~SC4を説明する図である。
図22】本発明の第4実施形態に係るカバーステントの製造方法のフローチャートである。
図23A図22の製造方法において使用される芯棒および治具を示す図である。
図23B】2つの半体から構成される図23Aの治具の一例を示す図である。
図23C】2つの半体から構成される図23Aの治具の他の例を示す図である。
図24図22の製造方法のステップSD1~SD6を説明する図である。
図25A】本発明の第5実施形態に係るカバーステントの製造方法において使用される治具の斜視図である。
図25B図25Aの治具の変形例の斜視図である。
図26A】ステップSD5を説明する図である。
図26B】ステップSD5を説明する図である。
図27A】凹部の他の変形例を示す図である。
図27B】凹部の他の変形例を示す図である。
図28A】本発明の第6実施形態に係るカバーステントの側面図である。
図28B図28Aのカバーステントの収縮状態を示す側面図である。
図29】本発明の第6実施形態に係るカバーステントの製造方法のフローチャートである。
図30図29の製造方法のステップSE1を説明する図である。
図31図29の製造方法のステップSE2~SE6を説明する図である。
図32】本発明の第7実施形態に係るカバーステントの側面図である。
図33】本発明の第7実施形態に係るカバーステントの製造方法のフローチャートである。
図34図33の製造方法のステップSF2~SF6を説明する図である。
図35】第6および第7実施形態のカバーステントの変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係るカバーステント1は、管状のステント本体2と、ステント本体2の内側を被覆する管状の内カバー3と、ステント本体2の外側を被覆する管状の外カバー4とを備える。
【0014】
ステント本体2は、1本以上のワイヤ2aをジグザグに折り曲げ中心軸回りに巻きながら編むことによって形成され、多数の菱形の網目が周方向および長手方向に配列したメッシュ構造を有する。ステント本体2は径方向に収縮可能である。カバーステント1は、収縮状態でデリバリシステムに搭載され、デリバリシステムによって体腔内に運ばれ、体腔内において径方向に拡張させられる。
【0015】
図2Aに示されるように、ステント本体2は、ワイヤ2aの2つの屈曲部2c,2dがステント本体2の長手方向に相互に引っ掛かった掛合部2bを有する。一方の屈曲部2cは、ステント本体2の一端に向かって屈曲し他端に向かって突出する山部である。他方の屈曲部2dは、ステント本体2の他端に向かって屈曲し一端に向かって突出する谷部である。ジグザグのワイヤ2aは、周方向に交互に配列する山部2cおよび谷部2dを有する。一の列の山部2cが隣接する他の列の谷部2dと引っ掛かることによって掛合部2bを形成している。
【0016】
このように、2つの屈曲部2c,2dは長手方向および径方向に相互に変位自在に連結されている。掛合部2bにおける屈曲部2c,2dの3次元的な変位によって、ステント本体2は、アキシャルフォースをほとんどまたは全く発生することなく容易に湾曲することができる。
【0017】
内カバー3および外カバー4は、ePTFE(Expanded polytetrafluoroethylene)製のシートである。カバー3,4の材料は、生体適合性および柔軟性を有しステントに一般に使用される他の材料、例えばシリコーン等であってもよい。内カバー3および外カバー4は、網目の内側の領域の一部である接合部5において相互に接合され、接合部5以外の部分では相互に分離されている。
【0018】
図2Bに示されるように、内カバー3は、長手方向に間隔を空けて配列する複数の弛み部6を有する。各弛み部6は、内カバー3の全周にわたって延び径方向内方に膨らむ凹部からなり、例えば、長手方向の縦断面において矩形の断面形状を有するU字溝状である。一部の掛合部2bは、弛み部6と外カバー4との間に配置される。
【0019】
弛み部6は、内カバー3と外カバー4との間に空間を形成し、また、内カバー3に弛みを付与する。弛みを有する内カバー3は、外力に従って自在に変形することができ、掛合部2bを形成する一対の屈曲部2c,2dの長手方向および径方向の移動を許容する。したがって、掛合部2bにおける屈曲部2c,2dの可動域が増大し、カバーステント1の屈曲時にカバー3,4が屈曲部2c,2dの3次元的な変位を妨げることが防止される。これにより、カバーステント1の低アキシャルフォースおよび高可撓性が実現される。
【0020】
図3および図4は、カバーステント1の湾曲による屈曲部2c,2dの変位と弛みを有するカバー3,4の変形との関係を説明している。図3および図4において、左図は、湾曲の内側のステント本体2を正面から見た図であり、中央図は、湾曲の内側および外側のカバー3,4の模式図であり、右図は、湾曲の内側および外側のワイヤ2aの模式図である。図3および図4において、内カバー3および外カバー4の両方が弛みを有する。
【0021】
図3の直線形状から図4の湾曲形状にカバーステント1が湾曲するとき、掛合部2bにおける2つの屈曲部2c,2dの頂点は、湾曲の内側および外側において、相互に逆方向に向かって長手方向に変位し、かつ、径方向内方に変位する。このとき、弛みを有するカバー3,4は、屈曲部2c,2dの長手方向および径方向内方の変位に従って変形する。したがって、カバーステント1の湾曲時、2つの屈曲部2c,2dは、カバー3,4が存在しない場合と同じように変位することができ、低アキシャルフォースを実現することができる。
【0022】
次に、本実施形態に係るカバーステントの製造方法について説明する。
図5に示されるように、カバーステントの製造方法は、内カバー3を第1治具20に配置するステップSA1と、内カバー3に弛み部6を形成するステップSA2と、ステント本体2の内側に内カバー3を配置するステップSA3と、ステント本体2の外側に外カバー4を配置するステップSA4と、内カバー3および外カバー4を相互に接合するステップSA5と、カバーステント1を治具20から取り外すステップSA6と、を含む。
【0023】
図6に示されるように、治具20は、円柱状の芯棒であり、芯棒20の外面には、長手方向に間隔を空けて配列する複数の凹部20aが形成されている。複数の凹部20aは、弛み部6を形成するための構造である。各凹部20aは、全周にわたって延び、径方向内方に凹む。隣接する凹部20a間には、凸部20bが形成されている。
図7に示されるように、内カバー3が芯棒20の外面上に配置される(ステップSA1)。内カバー3の形態は、チューブ、テープおよびシートの中から選択される。テープ状またはシート状の場合、内カバー3は、チューブ状に予め成型し接合してから芯棒20に配置されるか、または、芯棒20に隙間なく巻き付けられる。
【0024】
次に、押し込み具30を使用して内カバー3を凹部20a内に押し込むことによって、弛み部6が形成される(ステップSA2)。押し込み具30は、例えば、棒状またはリング状の部材である。内カバー3が凹部20aの内面に沿って変形させられることによって、凹部20aの寸法および形状に応じた寸法および形状を有する弛み部6が形成される。内カバー3を凹部20aの内面に沿って確実に変形させるために、押し込み具30の先端部は、凹部20aの内面形状と相補的な外面形状を有していてもよい。
次に、ステント本体2内に芯棒20を挿入することによって、内カバー3の外面上にステント本体2が配置される(ステップSA3)。掛合部2bが弛み部6に配置される位置にステント本体2および内カバー3は相互に位置合わせされる。
【0025】
次に、ステント本体2上に外カバー4が配置され、ステント本体2が外カバー4によって被覆される(ステップSA4)。内カバー3と同様に、外カバー4の形態は、チューブ、テープおよびシートの中から選択される。チューブ状の場合、内カバー3およびステント本体2が配置された芯棒20が外カバー4内に挿入される。テープ状またはシート状の場合、チューブ状に予め成型された外カバー4内に芯棒20が挿入されるか、または、外カバー4が芯棒20に全周にわたって巻き付けられる。
【0026】
次に、ステント本体2の網目の内側の一部領域において、接合具40を使用して内カバー3および外カバー4が熱圧着等の方法で接合され、それにより接合部5が形成される(ステップSA5)。接合される領域は、凸部20b上の網目の内側の領域であり、接合部5は、隣接する2つの弛み部6に配置された2つの掛合部2bの間に形成される(図2A参照。)。
次に、内カバー3内から芯棒20を抜くことによって、弛み部6を有するカバーステント1が製造される(ステップSA6)。
【0027】
このように、本実施形態の製造方法によれば、内カバー3が弛み部6に因る弛みを有し、カバー3,4がステント本体2の屈曲を妨げない低アキシャルフォースおよび高可撓性のカバーステント1を製造することができる。
また、屈曲部2c,2dの可動域は弛み部6の寸法に依存する。ステップSA2において、芯棒20の凹部20a内に内カバー3を入れ込むことによって、凹部20aと同等の寸法の弛み部6が形成される。これにより、弛み部6の深さおよび幅等の寸法を容易にかつ正確に制御して所望の寸法の弛み部6を形成することができ、カバーステント1の所望の曲げ特性を確実に達成することができる。また、凹部20aの寸法および形状等を位置毎に異ならせることによって、位置毎に異なる大きさおよび形状の弛み部6を容易に形成することができる。
【0028】
内カバー3の過剰な弛みは収縮状態でのカバーステント1の直径の増大を招き、それにより、デリバリシステムからカバーステント1をリリースする際に、デリバリシステムに対するカバーステント1の摺動抵抗が増大し大きな操作力が必要となる。また、内カバー3の過剰な弛みは、体腔内において物質が通過するカバーステント1の内側の中空部の体積を減少させ得る。したがって、弛み部6を所望の寸法に制御することが重要である。本実施形態によれば、上記のように、凹部20aを有する芯棒20を使用することによって、弛み部6の寸法を容易にかつ正確に制御することができる。
また、2重のカバー3,4の内、内カバー3のみが弛み部6を有し、外カバー4は弛み部を有しない。したがって、デリバリシステムからカバーステント1をリリースする際の摺動抵抗を低減することができる。
【0029】
本実施形態において、弛み部6が、平坦な底壁を有するU字溝状であることとしたが、弛み部6の形状はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図8Aおよび図9Aは、弛み部6の縦断面形状の他の例を示している。図8Aの弛み部6は、略M字型であり、径方向に平行な2つの側壁と、径方向外方に突出する屈曲した底壁とを有する。図9Aの弛み部6は、相互に角度を成す2つの側壁を有する略V字型であり、一方の側壁は径方向に平行であり、他方の側壁は径方向に対して傾斜する。このような弛み部6は、略M字型または略V字型の凹部20aに内カバー3を入れ込むことによって形成される。押し込み具30の先端部が、凹部20aの形状に応じた形状を有していてもよい。
【0030】
図8Bおよび図9Bは、径方向の圧縮力によって折り畳まれた弛み部6を示している。
略M字型の弛み部6の場合、2つの側壁が、外方向に向かって倒れ、弛み部6の開口部の外側において弛み部6を構成する内カバー3の一部分が径方向に重なる。略V字型の弛み部6の場合、2つの側壁が、外方向に向かって同一方向に倒れ、弛み部6の開口部の外側において弛み部6を構成する内カバー3の一部分が径方向に重なる。
このように、略M字型および略V字型の弛み部6は、径方向の圧縮力によって所定の折り畳み形状に変形する。したがって、デリバリシステムにカバーステント1を搭載する際、カバーステント1を径方向に圧縮するだけで、弛み部6を所定の形状に折り畳むことができる。
【0031】
弛み部6の折り畳みによって内カバー3の一部分が径方向に重なる部分は、厚くなる(図8Bおよび図9Bにおいて、矢印で示される範囲参照。)。このような厚い部分は、ワイヤ2aの2つの部分2c,2dが径方向に重なる掛合部2bからずれた位置に配置されることが好ましい。図8Aから図9Bの弛み部6によれば、厚い部分が掛合部2bと干渉しない領域に配置されるように弛み部6の折り畳み形状を制御することができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて説明する。
本実施形態において、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るカバーステントは、ステント本体2、内カバー3および外カバー4を備える。本実施形態のカバーステントは、内カバー3および外カバー4が弛み部6,7(図11参照。)をそれぞれ有する点において、第1実施形態のカバーステント1と相違する。
【0033】
外カバー4は、外カバー4の長手方向に間隔を空けて配列し弛み部6と同一位置に形成された複数の弛み部7を有する。各弛み部7は、弛み部6と同様に、外カバー4の全周にわたって延び径方向内方に膨らむ凹部からなり、例えば、長手方向の縦断面において矩形の断面形状を有するU字溝状である。一部の掛合部2bは、弛み部6と弛み部7との間に配置される。
【0034】
弛み部7によって弛みが付与された外カバー4は、内カバー3と同様に、外力に従って自在に変形することができ、掛合部2bを形成する一対の屈曲部2c,2dの長手方向および径方向の移動を許容する。したがって、カバーステント1の屈曲時にカバー3,4が屈曲部2c,2dの3次元的な変位を妨げることが防止される。これにより、カバーステントの低アキシャルフォースおよび高可撓性が実現される。
【0035】
図10に示されるように、本実施形態に係るカバーステントの製造方法は、内カバー3を治具20に配置するステップSB1と、ステント本体2の内側に内カバー3を配置するステップSB2と、ステント本体2の外側に外カバー4を配置するステップSB3と、内カバー3および外カバー4に弛み部6,7を形成するステップSB41,SB42と、内カバー3および外カバー4を相互に接合するステップSB5と、カバーステントを治具20から取り外すステップSB6と、を含む。
弛み部6,7を形成するステップは、ステップSB3の前に内カバー3に弛み部6を形成するステップSB41と、ステップSB3の後に外カバー4に弛み部7を形成するステップSB42と、を含む。
【0036】
図11に示されるように、ステップSA1と同様に、内カバー3が芯棒20の外面上に配置される(ステップSB1)。
次に、ステップSA2と同様に、押し込み具30を使用して内カバー3を凹部20a内に押し込むことによって、弛み部6が形成される(ステップSB41)。
次に、ステップSA3と同様に、ステント本体2内に芯棒20を挿入することによって内カバー3の外面上にステント本体2が配置される(ステップSB2)。
【0037】
次に、ステップSA4と同様に、ステント本体2上に外カバー4が配置され、ステント本体2が外カバー4によって被覆される(ステップSB3)。
次に、押し込み具30を使用して外カバー4を凹部20a内に押し込むことによって弛み部7が形成される(ステップSB42)。
【0038】
次に、ステント本体2の網目の内側の一部領域において、接合具40を使用して内カバー3および外カバー4が熱圧着等の方法で接合され、それにより接合部5が形成される(ステップSB5)。図12Aに示されるように、接合される領域は、同一の弛み部6,7に配置された隣接する2つの掛合部2b間の領域であり、接合部5は、弛み部6,7に形成される。接合される領域は、第1実施形態の接合部5と同一であってもよい。また、図12Bに示されるように、幅広の弛み部6,7に面積の大きい接合部5が形成されてもよい。
次に、内カバー3内から芯棒20を抜くことによって、弛み部6,7を有するカバーステントが製造される(ステップSB6)。
【0039】
このように、本実施形態の製造方法によれば、両カバー3,4が弛み部6,7に因る弛みを有し、カバー3,4がステント本体2の屈曲を妨げない低アキシャルフォースおよび高可撓性のカバーステントを製造することができる。
また、芯棒20の凹部20a内にカバー3,4を入れ込むことによって、凹部20aと同等の寸法の弛み部6,7が形成される。これにより、弛み部6,7の寸法を容易にかつ正確に制御して所望の寸法の弛み部6,7を形成することができる。
本実施形態において、弛み部6,7は、第1実施形態と同様に、図8Aおよび図9Aに示されるような所定の折り畳み形状に変形する形状を有していてもよい。
【0040】
本実施形態において、弛み部6および弛み部7を異なるステップSB41,SB42において形成することとしたが、これに代えて、弛み部6,7を1つのステップSB4において同時に形成してもよい。
図13および図14は、第2実施形態の製造方法の第1変形例を説明している。この変形例において、弛み部6,7を形成するステップSB4は、ステップSB3の後、押し込み具30を使用して内カバー3および外カバー4を同時に凹部20a内に押し込むことによって行われる。本変形例によれば、工程数を減らすことができる。
【0041】
弛み部6,7の形成およびカバー3,4の接合は、1つのステップSB45において同時に行われてもよい。
図15および図16は、第2実施形態の製造方法の第2変形例を説明している。この変形例において、ステップSB45は、ステップSB3の後、加圧または加熱用のピンのような接合具40を使用してカバー3,4を同時に凹部20a内に押し込みながら接合具40によってカバー3,4を相互に接合することによって行われる。本変形例によれば、工程数をさらに減らすことができる。
【0042】
本実施形態において、弛み部6を形成し、その後にカバー3,4を接合することとしたが、これに代えて、カバー3,4を接合し(ステップSB5)、その後に弛み部6,7を形成してもよい(ステップSB4)。
図17および図18は、第2実施形態の製造方法の第3変形例を説明している。本変形例において、第1実施形態の接合部5(図2A参照。)のように、凸部20b上の網目の内側の領域において内カバー3および外カバー4が相互に接合され、接合部5が形成される(ステップSB5)。その後、カバー3,4が凹部20a内に押し込まれ、弛み部6,7が、カバー3,4の延伸によって形成される(ステップSB4)。
【0043】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて説明する。
本実施形態において、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るカバーステントは、ステント本体2、内カバー3および外カバー4を備える。本実施形態のカバーステントは、内カバー3の弛み部6にステント本体2が配置される(図21参照。)点において、第1実施形態のカバーステント1と相違する。
【0044】
内カバー3は、周方向に延び長手方向に配列する複数の弛み部6に加えて、長手方向に延び周方向に配列する複数の弛み部6を有する。これらの弛み部6は相互に連続し、全体として格子状の凹部が内カバー3に形成されている。ステント本体2のワイヤ2aは、弛み部6内に配置される。
【0045】
図19に示されるように、本実施形態に係るカバーステントの製造方法は、内カバー3を第1治具21に配置するステップSC1と、内カバー3の外側にステント本体2を配置し弛み部6を形成するステップSC2と、ステント本体2の外側に外カバー4を配置するステップSC3と、内カバー3および外カバー4を相互に接合するステップSC4と、カバーステントを治具21から取り外すステップSC5と、を含む。
【0046】
図20に示されるように、治具21は、長手方向および周方向に間隔を空けて配列する複数の凸部21bを有する。凸部21bは、治具21の外周面から径方向外方に突出する柱状の突起である。凸部21b間に、周方向に延びる凹部21aおよび長手方向に延びる凹部21aが形成され、これらの凹部21aは相互に連続している。
図21に示されるように、内カバー3は、芯棒20の凸部21b上に配置される(ステップSC1)。
【0047】
次に、網目の内側に凸部21bが位置するように内カバー3の外面上にステント本体2が配置される。これにより、内カバー3が凹部21aの領域において径方向内方に凹み、凹部21aに弛み部6が形成される(ステップSC2)。
次に、内カバー3の外側に外カバー4が配置され、ステント本体2が外カバー4によって被覆される(ステップSC3)。
次に、凸部21bの領域において内カバー3および外カバー4を接合することよって接合部5が形成される(ステップSC4)。
次に、内カバー3内から芯棒21を抜くことによって、弛み部6を有するカバーステントが製造される(ステップSC5)。
【0048】
このように、本実施形態の製造方法によれば、ステント本体2を内カバー3上に配置することによって弛み部6が形成されるので、特別な押し込み具30が不要である。また、ステント本体2によって内カバー3全体が均等に径方向内方に押圧されるので、押し込み具30を使用せずとも、弛み部6の寸法を容易にかつ正確に制御して所望の寸法の弛み部6を形成することができる。
また、内カバー3のみが弛み部6を有し、外カバー4は弛み部を有しないので、デリバリシステムからカバーステントをリリースする際の摺動抵抗を低減することができる。
本実施形態において、周方向および長手方向の複数の凹部21aが相互に連続することとしたが、これに代えて、第1実施形態の凹部20aのように、相互に独立していてもよい。
【0049】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて説明する。
本実施形態において、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るカバーステントは、ステント本体2、内カバー3および外カバー4を備える。本実施形態のカバーステントは、内カバー3が弛み部6を有さず、外カバー4が径方向外方に膨らむ弛み部7を有する点において、第1実施形態のカバーステント1と相違する。
【0050】
外カバー4は、長手方向に間隔を空けて配列する複数の弛み部7を有する。各弛み部7は、外カバー4の全周にわたって延び径方向外方に膨らむ凹部からなる。一部の掛合部2bは、内カバー3と弛み部7との間に配置される。弛み部7は、内カバー3と外カバー4との間に空間を形成し、また、外カバー4に弛みを付与する。したがって、第1実施形態の内カバー3と同様に、外カバー4は、掛合部2bを形成する一対の屈曲部2c,2dの長手方向および径方向の移動を許容し、カバーステント1の屈曲時にカバー3,4が屈曲部2c,2dの3次元的な変位を妨げることが防止される。これにより、カバーステントの低アキシャルフォースおよび高可撓性が実現される。
【0051】
図22に示されるように、本実施形態に係るカバーステントの製造方法は、内カバー3を第1治具22に配置するステップSD1と、ステント本体2の内側に内カバー3を配置するステップSD2と、第2治具23に外カバー4を配置するステップSD3と、外カバー4に弛み部7を形成するステップSD4と、内カバー3の外側に外カバー4を配置するステップSD5と、内カバー3および外カバー4を相互に接合するステップSD6と、カバーステントを治具22,23から取り外すステップSD7と、を含む。
【0052】
図23Aから図23Cは、本実施形態において使用される治具22,23を示している。
第1治具22は、円柱状の芯棒であり、芯棒22の外面は凹凸のない円筒面である。
第2治具23は、円筒状の部材であり、第2治具23の円筒状の内面(載置面)23aには、長手方向に間隔を空けて配列する複数の凹部23bが形成されている。複数の凹部23bは、弛み部7を形成するための構造である。各凹部23bは、全周にわたって延び、径方向外方に凹む。図23Bおよび図23Cに示されるように、内面23aを露出可能にするために、第2治具23は、半円筒状の2つの半体231,232から構成されていてもよい。2つの半体231,232は、相互に分離されていてもよく(図23B参照。)、または、開閉可能に連結されていてもよい(図23C参照。)。
【0053】
図24に示されるように、ステップSA1と同様に、内カバー3が芯棒22の外面上に配置される(ステップSD1)。
次に、ステップSA3と同様に、内カバー3の外面上にステント本体2が配置される(ステップSD2)。
次に、第2治具23の内面23a上に外カバー4が配置される(ステップSD3)。
次に、押し込み具30(図示略)を使用して外カバー4を凹部23b内に押し込むことによって、弛み部7が形成される(ステップSD4)。
【0054】
次に、第2治具23内に芯棒22を挿入することによって、ステント本体2の外側に外カバー4が配置される(ステップSD5)。ここで、第2治具23に設けられた接合機構(図示略)がステント本体2の網目の中央に配置される位置にステント本体2に対して外カバー4が位置合わせされる。接合機構は、カバー3,4の接合用の機構である。例えば、接合機構は、第2治具23の内面23aから突出しカバー3,4を加圧または加熱するピンであるか、または、第2治具23の外側から内側へ別体の接合具が挿入される貫通孔である。
【0055】
次に、接合機構を利用してカバー3,4が網目の内側の一部領域において接合され、それにより接合部5が形成される(ステップSD6)。
次に、内カバー3内から芯棒22を抜くことによって、弛み部7を有するカバーステントが製造される(ステップSD7)。
【0056】
このように、本実施形態の製造方法によれば、外カバー4が弛み部7に因る弛みを有し、カバー3,4がステント本体2の屈曲を妨げない低アキシャルフォースおよび高可撓性のカバーステントを製造することができる。
また、第2治具23の凹部23b内に外カバー4を入れ込むことによって、凹部23bと同等の寸法の弛み部7が形成される。これにより、弛み部7の寸法を容易にかつ正確に制御して所望の寸法の弛み部7を形成することができる。
また、2重のカバー3,4の内、外カバー4のみが弛み部7を有し、内カバー3は弛み部を有しない。したがって、カバーステントの内面が凹凸の無い滑らかな面となり、カバーステントの内側の中空部を体内の物質がスムーズに流れることができる。
【0057】
本実施形態において、内カバー3が弛み部を有しないこととしたが、これに代えて、内カバー3が、第1から第3実施形態において説明した弛み部6を有していてもよい。
この場合、第1治具22に代えて、第1から第3実施形態の芯棒20,21のような凹部を有する第1治具が、第2治具23と組み合わせて使用される。これにより、内カバー3が径方向内方に膨らむ弛み部6を有し、外カバー4が径方向外方に膨らむ弛み部7を有するカバーステントを製造することができる。さらに、弛み部6と弛み部7の寸法および形状を相互に異ならせることもできる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて説明する。
本実施形態は、第4実施形態の変形例であり、カバーステントの製造方法において第4実施形態と相違する。本実施形態において、第1および第4実施形態と異なる構成について説明し、第1および第4実施形態と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るカバーステントは、ステント本体2、内カバー3および外カバー4を備え、外カバー4が径方向外方に膨らむ弛み部7を有する。
【0059】
本実施形態に係るカバーステントの製造方法は、第4実施形態において説明したステップSD1,SD2,SD3,SD4,SD5,SD6,SD7を含む。
図25Aは、本実施形態において使用される第2治具24を示している。第2治具24は、矩形の平坦な載置面24aを有する平坦な部材であり、載置面24aには、長手方向に間隔を空けて配列する複数の凹部24bが形成されている。凹部24bは、弛み部7を形成するための構造である。各凹部24bは、載置面24aの全幅にわたって延びる溝からなる。第2治具24は、硬い材料から形成されていてもよく、例えばシリコーンのような柔軟な材料から形成されていてもよい。
【0060】
本実施形態において、第2治具24の載置面24a上に外カバー4が配置される(ステップSD3)。
次に、押し込み具30を使用して外カバー4を凹部24b内に押し込むことによって、弛み部7が形成される(ステップSD4)。
次に、図26Aに示されるように、芯棒22回りに載置面24aを回転させ外カバー4を芯棒21に巻くことによって、ステント本体2上に外カバー4が配置される(ステップSD5)。外カバー4を配置後、第2治具24は取り外される。図26Aおよび図26Bにおいて、ステント本体2および内カバー3の図示は省略されている。
【0061】
第2治具24が柔軟性を有する場合、図26Bに示されるように、第2治具24を芯棒22に巻くことによって、外カバー4をステント本体2上に配置してもよい。この場合、第2治具24を芯棒22に巻いた状態のまま第4実施形態において説明した接合機構等を使用して内カバー3と外カバー4とが接合され(ステップSD6)、その後に第2治具24が取り外されてもよい。
【0062】
このように、本実施形態の製造方法によれば、第2治具24は、平坦な載置面24aに凹部24bが加工された単純な形状である。したがって、様々な形状および寸法の凹部24bを高い精度で形成することができ、様々な形状および寸法の弛み部7を有するカバーステントを製造することができる。
図25Bは、第2治具24の他の例を示している。このように、斜め方向の凹部24bも容易に形成することができる。図26Bの第2治具24は、ワイヤ2aをらせん状に巻きながら編むことによって形成され、掛合部2bがらせん状に配列するステント本体2と組み合わせて使用される。
【0063】
本実施形態において、第4実施形態と同様に、凹部を有する第1治具を第2治具24と組み合わせて使用することによって、内カバー3が弛み部6を有し、外カバー4が弛み部7を有するカバーステントを製造してもよい。
本実施形態おいて、第1実施形態と同様に、弛み部6,7が、図8Aおよび図9Aに示されるような所定の折り畳み形状に変形する形状を有していてもよい。図27Aおよび図27Bは、径方向の圧縮によって所定の折り畳み形状に変形する弛み部6,7の形状の他の例を示している。このように、弛み部6,7の形状は様々に変更可能である。
【0064】
上記の第1、第2、第4および第5実施形態において、カバー3,4を凹部20a,23b,24b内に入れ込む手段として押し込み具30を使用することとしたが、これに代えて、他の手段を使用してもよい。
例えば、凹部20a,23b,24bの内面に吸引口が開口し、吸引によってカバー3,4を凹部20a,23b,24b内に吸い込んでもよい。このような手段によっても、カバー3,4を凹部20a,23b,24b内に入れ込み凹部20a,23b,24bの内面に沿って変形させることができる。
【0065】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて説明する。
本実施形態において、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図28Aに示されるように、本実施形態に係るカバーステント10は、ステント本体2と、ステント本体2の外側を被覆する管状の外カバー41と、ステント本体2の両端部の内側に配置された固定用カバー8と、を備える。
【0066】
ステント本体2は、径方向の収縮によって拡張状態から収縮状態に変形可能であり、収縮状態でデリバリシステムに搭載される。図28Bに示されるように、ステント本体2は、径方向の収縮によって長手方向に延び、収縮状態のステント本体2の長さL2は、拡張状態のステント本体2の長さL1と比較して、例えば20%から50%程度、増加する。
固定用カバー8は、ePTFEから形成され、ステント本体2の両端部の内側に全周にわたって配置されている。外カバー41の両端部は固定用カバー8と接合され、それにより外カバー41は両端部においてステント本体2に接続されている。
【0067】
外カバー41は、ePTFEから形成され、高い延性を示す延伸方向Aを有する。すなわち、外カバー41は、延伸方向Aに延びやすく、延伸方向に直交する方向に延び難い。このような外カバー41の延伸特性は、ePTFEの製造方法に起因する。ePTFEの製造方法は、PTFEを延伸する工程と、延伸されたPTFEを焼結する工程とを含む。PTFEの延伸によって、島状に分布するノードと、ノード間で延伸方向に延びるフィブリルとが形成され、フィブリルが配向する延伸方向AにおいてePTFEは高い延性を有する。
【0068】
外カバー41は、延伸方向Aがステント本体2の長手方向に一致する向きで配置されている。また、拡張状態において、外カバー41は、長手方向に弛みを有する。すなわち、外カバー41の全長は、拡張状態のステント本体2の長さL1に余長を加えた長さである。このような外カバー41は、拡張状態において外力に従って変形自在であり、掛合部2bを形成する一対の屈曲部2c,2dの長手方向および径方向の移動を許容する。したがって、カバーステント10の屈曲時に外カバー41が屈曲部2c,2dの3次元的な変位を妨げることが防止され、カバーステント10の低アキシャルフォースおよび高可撓性が実現される。
【0069】
さらに、外カバー41の延伸方向Aが、収縮する際のステント本体2の延伸方向と一致するので、ステント本体2の延伸によって外カバー41が破れたりステント本体2から剥がれたりすることが防止される。ステント本体の延伸方向において外カバーの延性が低い場合、カバーステントの収縮によって、外カバーが破れたりステント本体から剥がれたりする等の破損が生じ得る。
【0070】
次に、本実施形態に係るカバーステントの製造方法について説明する。
図29に示されるように、カバーステントの製造方法は、外カバー41および固定用カバー8を準備するステップSE1と、治具22に固定用カバー8を配置するステップSE2と、ステント本体2の内側に固定用カバー8を配置するステップSE3と、ステント本体2の外側に外カバー41を配置するステップSE4と、外カバー41をステント本体2に部分的に接続するステップSE5と、ステント本体2を径方向に収縮させ外カバー41を延伸させるステップSE6と、を含む。
【0071】
図30に示されるように、ePTFEの延伸方向Aを考慮して、ePTFEのシートから矩形の外カバー41および帯状の固定用カバー8が切り出される(ステップSE1)。外カバー41は、ステント本体2の長手方向および周方向にそれぞれ対応する長さ方向および幅方向を有する。外カバー41の長さ方向がePTFEの延伸方向Aと一致するように、外カバー41はシートから切り出される。
【0072】
次に、図31に示されるように、治具22の2箇所に固定用カバー8が巻き付けられる(ステップSE2)。治具22は、凹凸のない円筒状の外面を有する芯棒である。
次に、ステント本体2内に芯棒22を挿入することによって、ステント本体2の両端部の内側に固定用カバー8が配置される(ステップSE3)。
次に、外カバー41の長さ方向をステント本体2の長手方向に一致させ外カバー41を芯棒22に全周にわたって巻くことによって、ステント本体2の外側に外カバー41が配置される(ステップSE4)。
【0073】
次に、外カバー41の両端部を熱圧着または接着剤等の任意の接合方法で固定用カバー8に接合することによって、外カバー41がステント本体2に接続される(ステップSE5)。ステップSE5において、外カバー41の幅方向の端部も外カバー41の他の部分と全長にわたって接合することによって、外カバー41は管状に形成される。接合後、ステント本体2内から芯棒22を抜くことによって、ステント本体2、外カバー41および固定用カバー8の組立体が芯棒22から取り外される。
【0074】
次に、ステント本体2を径方向に収縮させることによって、外カバー41がステント本体2と共に長手方向に延伸させられる(ステップSE6)。ステップSE6は、拡張状態の組立体の直径よりも小さい内径を有するチューブ50内に組立体を挿入することによって行われてもよい。これにより、外カバー41の長さが増大し、拡張状態のステント本体2の長さに対して弛みが外カバー41に形成される。
【0075】
このように、本実施形態の製造方法によれば、外カバー41が部分的に接続されたステント本体2を径方向に収縮させるだけで、湾曲時の屈曲部2c,2dの3次元的な変位を許与するための弛みが外カバー41に形成される。これにより、低アキシャルフォースおよび高可撓性のカバーステント10を容易に製造することができる。
さらに、外カバー41の延伸方向Aが収縮時のステント本体2の延伸方向と一致するので、破損し難く信頼性の高いカバーステント10を容易に製造することができる。
【0076】
本実施形態において、外カバー41が、両端部においてステント本体2に接続されることとしたが、外カバー41のステント本体2への接続部の数および位置は、適宜変更可能である。例えば、ステント本体2への外カバー41の固定力を高めるために、外カバー41は、両端部に加えて中心部においてステント本体2に接続されてもよい。
熱圧着等により接合される接続部において、ノードおよびフィブリルの構造が壊れるためePTFEの延性は損なわれる。したがって、接続部の数は少ないことが好ましい。
【0077】
本実施形態において、組立体をチューブ50内に挿入することによって外カバー41を延伸させることとしたが、これに代えて、組立体をデリバリシステムに搭載することによって外カバー41を延伸させてもよい。
デリバリシステムは、体腔内に挿入される管状のシースを有し、シースの先端部にカバーステント10が搭載される。ステップSE5の後、組立体をシース内に挿入することによって、デリバリシステムへの搭載と同時に、ステント本体2を収縮させ外カバー41を延伸させることができる。
【0078】
本実施形態において、製造方法が、外カバー41を延伸させるステップSE6を含むこととしたが、ステップSE6を含んでいなくてもよい。この場合、カバーステント10は、外カバー41が未延伸の状態で提供される。
未延伸の外カバー41は、例えば、ユーザがカバーステント10をデリバリシステムに自身で搭載することによって、延伸させられる。これにより、外カバー41に弛みを形成し、カバーステント10の低アキシャルフォースを実現することができる。
【0079】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係るカバーステントの製造方法およびカバーステントについて説明する。
本実施形態において、第1および第6実施形態と異なる構成について説明し、第1および第6実施形態と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図32に示されるように、本実施形態に係るカバーステント11は、ステント本体2および外カバー41に加えて、ステント本体2の内側を被覆する管状の内カバー31をさらに備える点において、第6実施形態のカバーステント10と相違する。
【0080】
カバー31,41は部分的に相互に接合され、それによりステント本体2に部分的に接続されている。例えば、カバー31,41は、ステント本体2の網目の内側の一部領域である接合部5において相互に接合され、接合部5以外の部分では相互に分離されている。
内カバー31は、外カバー41と同様に、ePTFEから形成され、高い延性を示す延伸方向Aを有し、延伸方向Aがステント本体2の長手方向に一致する向きで配置されている。また、拡張状態において、内カバー31は、長手方向に弛みを有する。すなわち、内カバー31の全長は、拡張状態のステント本体2の長さL1に余長を加えた長さである。
【0081】
このような内カバー31は、外カバー41と同様に、掛合部2bを形成する一対の屈曲部2c,2dの長手方向および径方向の移動を許容する。したがって、カバーステント11の湾曲時にカバー31,41が屈曲部2c,2dの3次元的な変位を妨げることが防止され、カバーステント11の低アキシャルフォースおよび高可撓性が実現される。
さらに、カバー31,41の延伸方向Aが、収縮する際のカバーステント11の延伸方向と一致するので、ステント本体2の延伸によってカバー31,41が破損したりステント本体2から剥がれたりすることが防止される。
【0082】
次に、本実施形態に係るカバーステントの製造方法について説明する。
図33に示されるように、カバーステントの製造方法は、内カバー31および外カバー41を準備するステップSF1と、治具22に内カバー31を配置するステップSF2と、ステント本体2の内側に内カバー3を配置するステップSF3と、ステント本体2の外側に外カバー41を配置するステップSF4と、内カバー31および外カバー41をステント本体2に部分的に接続するステップSF5と、ステント本体2を径方向に収縮させ内カバー31および外カバー41を延伸させるステップSF6と、を含む。
【0083】
ステップSE1と同様に、ePTFEの延伸方向Aを考慮して、カバー31,41の長さ方向が延伸方向Aと一致するように、ePTFEのシートから矩形の外カバー41および矩形の内カバー31が切り出される(ステップSF1)。
次に、図34に示されるように、内カバー31の長さ方向を芯棒22の長手方向に一致させ内カバー31を芯棒22に全周にわたって巻くことによって、芯棒22の外面上に内カバー31が配置される(ステップSF2)。ステップSF2において、内カバー31の幅方向の端部が内カバー31の他の部分と全長にわたって接合され、内カバー31が管状に形成される。
【0084】
次に、ステント本体2内に芯棒22を挿入することによって、内カバー31の外側にステント本体2が配置される(ステップSF3)。
次に、外カバー41の長さ方向をステント本体2の長手方向に一致させ外カバー41を芯棒22に全周にわたって巻くことによって、ステント本体2の外側に外カバー41が配置される(ステップSF4)。ステップSF4において、外カバー41の幅方向の端部が外カバー41の他の部分と全長にわたって接合され、外カバー41が管状に形成される。
【0085】
次に、編目の内側の一部領域において外カバー41および内カバー31を、熱圧着または接着剤等の任意の接合方法で相互に接合し接合部5を形成することによって、カバー31,41がステント本体2に接続される(ステップSF5)。接合後、内カバー31から芯棒22を抜くことによって、ステント本体2およびカバー31,41の組立体が芯棒22から取り外される。
【0086】
次に、ステップSE6と同様に、ステント本体2を径方向に収縮させることによって、カバー31,41がステント本体2と共に長手方向に延伸させられる(ステップSF6)。これにより、各カバー31,41の長さが増大し、拡張状態のステント本体2の長さに対して弛みが各カバー31,41に形成される。
【0087】
このように、本実施形態の製造方法によれば、2重のカバー31,41が部分的に接続されたステント本体2を径方向に収縮させるだけで、湾曲時の屈曲部2c,2dの3次元的な変位を許容するための弛みがカバー31,41に同時に形成される。これにより、低アキシャルフォースおよび高可撓性のカバーステント11を容易に製造することができる。さらに、カバー31,41の延伸方向Aが収縮時のステント本体2の延伸方向と一致するので、カバー31,41が破損し難く信頼性の高いカバーステント11を容易に製造することができる。
【0088】
本実施形態のステップSF6において、第6実施形態と同様に、組立体を、チューブ50に代えてデリバリシステムに搭載することによって、カバー31,41を延伸させてもよい。
本実施形態において、第6実施形態と同様に、製造方法がステップSF6を含まず、カバー31,41が未延伸の状態でカバーステント11が提供されてもよい。
【0089】
第6および第7実施形態において、カバー31,41の延伸方向Aがステント本体2の長手方向と一致することとしたが、ワイヤ2aがらせん状に巻かれたステント本体2の場合、延伸方向Aが、ステント本体2の収縮時にワイヤ2aが延びる方向に一致していてもよい。
図35に示されるように、ワイヤ2aをらせん状に巻きながら編むことによって形成されたステント本体2は、径方向の縮径時に、ねじれが解放される方向に回転しながら延伸する。したがって、延伸方向Aをワイヤ2aの延伸方向に一致させることによって、カバー31,41を効果的に延伸させることができる。この場合、ステップSE1,SF1において、カバー31,41の長さ方向が、ワイヤ2aの延伸方向の角度に応じた角度だけ延伸方向Aに対して傾斜するように、カバー31,41はePTFEのシートから切り出される。
【0090】
第6および第7実施形態において、ステント本体2は、掛合部2bを有するものに限定されず、径方向の収縮によって長手方向に延伸する他の構造のステント本体であってもよい。また、カバー31,41がステント本体2の全長に配置されている事例を開示しているが、ステント本体2の一部にカバーが配置されている場合でも同様の効果を奏する。
【0091】
さらに、第1から第5実施形態においても、ePTFE製のカバーとステント本体との配置において、カバー31,41の延伸方向とステント本体2の延伸方向とを一致させるようにすることもできる。
【0092】
以上、本発明の実施形態および変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は上記各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1,10,11 カバーステント
2 ステント本体
2a ワイヤ
2b 掛合部
2c,2d 屈曲部
3,31 内カバー
4,41 外カバー
5 接合部
6,7 弛み部
20,21,22 第1治具(芯棒)
23,24 第2治具
23a,24a 載置面
20a,21a,23b,24b 凹部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35