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特許7709063アタッチメント、及びこれを備えた給湯用具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-08
(45)【発行日】2025-07-16
(54)【発明の名称】アタッチメント、及びこれを備えた給湯用具
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/00 20060101AFI20250709BHJP
【FI】
A47J31/00 103
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022565228
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2021041806
(87)【国際公開番号】W WO2022113789
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2024-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2020194592
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021046688
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 英俊
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特許第2942715(JP,B2)
【文献】米国特許第4974643(US,A)
【文献】米国特許第6058986(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0066826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/46
E03C 1/00- 1/33
G07F 15/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向きに開口する排出口を有するノズル部と、前記排出口の下方で、且つ前記排出口よりも水平方向の後方に配置される押込ボタンと、を有し、前記押込ボタンが後方に押圧されると、前記排出口から湯が排出される、給湯用水栓に取り付けられるアタッチメントであって、
アタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体を前記給湯用水栓に固定するための固定手段と、
を備え、
前記アタッチメント本体は、
前記ノズル部に取り付け可能な支点部と、
前記支点部から下方に延びる本体部と、
前記本体部の下端部に取り付けられる支持部と
備え、
前記本体部は、前記押込ボタンの前面を通過し、下方に延びるように形成され、
湯を入れる容器により、前記支持部を押圧したときに、前記アタッチメント本体が前記支点部を支点として旋回し、前記押込ボタンを押圧するように構成されている、アタッチメント。
【請求項2】
前記本体部には、前記容器に接する突出部が形成されており、
前記容器と前記本体部との間に隙間を形成するように構成されている、請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記支持部の少なくとも一部が、前記本体部よりも前方に配置されるように、前記本体部から延びている、請求項1または2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
下向きに開口する排出口を有するノズル部と、前記排出口の下方で、且つ前記排出口よりも水平方向の後方に配置される押込ボタンと、を有し、前記押込ボタンが後方に押圧されると、前記排出口から湯が排出される、給湯用水栓と、
前記給湯用水栓に取り付けられる、請求項1からのいずれかに記載のアタッチメントと、
を備えている、給湯用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメント及びこれを備えた給湯用具に関する。
【背景技術】
【0002】
回転寿司等の店舗には、各客席に、お茶を提供するための給湯用水栓が設置されている。例えば、特許文献1の給湯用水栓は、湯が流れる循環パイプから分岐する給湯枝管に接続される水栓本体と、この水栓本体の前端側に取り付けられる開閉機構と、この水栓本体の前後方向の中央付近から上方に延び、排出口が形成されたノズル部と、を備えている。
【0003】
開閉機構は、水栓本体の内部に収容される弁部材と、この弁部材を開閉するための押込ボタンと、を備えている。弁部材が閉状態になっているときには、水栓本体からノズル部側へ湯が供給されないように規制されており、押込ボタンが押圧され、開状態になったときには、水栓本体からノズル部側へ湯が流れ、排出口から湯が排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第29426153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような給湯用水栓では、湯の排出を行うため、弁部材の開閉に要する力が強くなるように設定されていることが多い。したがって、押込ボタンを押圧するために要する力が大きく、押込し難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、押込ボタンを押圧する力を低減することができる、アタッチメント及びこれを備えた給湯用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下向きに開口する排出口を有するノズル部と、前記排出口の下方で、且つ前記排出口よりも水平方向の後方に配置される押込ボタンと、を有し、前記押込ボタンが後に押圧されると、前記排出口から湯が排出される、給湯用水栓に取り付けられるアタッチメントであって、アタッチメント本体と、前記アタッチメント本体を前記給湯水栓に固定するための固定手段と、を備え、前記アタッチメント本体は、前記ノズル部に取り付けられる支点部と、前記支点部から下方に延びる本体部と、前記本体部の下端部に取り付けられる支持部と、を備え、前記本体部は、前記押込ボタンの前面を通過し、下方に延びるように形成され、湯を入れる容器により、前記支持部を押圧したときに、前記アタッチメント本体が前記支点部を支点として旋回し、前記押込ボタンを押圧するように構成されている。
【0008】
上記アタッチメントにおいて、前記本体部には、前記容器に接する突出部が形成されており、前記容器と前記本体部との間に隙間を形成するように構成することができる。
【0009】
上記アタッチメントにおいては、前記支持部の少なくとも一部が、前記本体部よりも前方に配置されるように、前記本体部から延びるように構成することができる。
【0010】
上記アタッチメントにおいて、前記支持部には、前記容器の外周面の周方向に沿うように延びる当接部を設けることができる。
【0011】
上記アタッチメントにおいて、前記固定手段は、前記押込ボタンの周縁の少なくとも1箇所に係合する係合部を有し、前記係合部の1つが前記押込ボタンの上縁に係合するように構成することができる。
【0012】
上記アタッチメントにおいて、前記固定手段は、前記本体部を貫通し、当該本体部を前記押込ボタンに固定するためのねじと、前記ねじが挿通され、前記本体部と前記押込ボタンとの間に配置され、前記押込ボタンよりも小径のワッシャと、を備えることができる。
【0013】
上記アタッチメントでは、前記ワッシャにおいて、前記押込ボタンと接触する部分を、環状の突部により形成することができる。
【0014】
前記アタッチメントが前記給湯用水栓に取付けられた初期状態において、前記本体部は、前記ワッシャに対して斜めに延びるとともに、前記ワッシャの上端付近に接するように構成することができる。
【0015】
上記アタッチメントにおいて、前記支持部は、前記本体部に対して上下方向に移動可能に構成することができる。
【0016】
本発明に係る給湯用具は、下向きに開口する排出口を有するノズル部と、前記排出口の下方で、且つ前記排出口よりも水平方向の後方に配置される押込ボタンと、を有し、前記押込ボタンが後方に押圧されると、前記排出口から湯が排出される、給湯用水栓と、前記給湯用水栓に取り付けられ、上述したいずれかのアタッチメントと、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、押込ボタンを押圧する力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るアタッチメントが取り付けられる給湯用水栓の側面図である。
図2図1の給湯用水栓に第1実施形態に係るアタッチメントが取り付けられた状態を示す側面図である。
図3】アタッチメント本体を前方から見た斜視図である。
図4】アタッチメント本体を後方から見た斜視図である。
図5A】ワッシャの斜視図である。
図5B】ワッシャの断面図である。
図6】第1実施形態に係るアタッチメントの使用方法を示す側面図である。
図7】第1実施形態に係るアタッチメントの使用方法を示す側面図である。
図8A】ワッシャの動作メカニズムを示す側面図である。
図8B】ワッシャの動作メカニズムを示す側面図である。
図9図1の給湯用水栓に第2実施形態に係るアタッチメントが取り付けられた状態を示す側面図である。
図10】第2実施形態に係るアタッチメントを前方から見た斜視図である。
図11】第2実施形態に係るアタッチメントを後方から見た斜視図である。
図12】第2実施形態に係るアタッチメントと給湯用水栓との寸法の関係を示す側面図である。
図13】第2実施形態に係るアタッチメントの取り付け方法を示す側面図である。
図14】第2実施形態に係るアタッチメントの取り付け方法を示す側面図である。
図15】第2実施形態に係るアタッチメントの使用方法を示す側面図である。
図16】第2実施形態に係るアタッチメントの使用方法を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<A.第1実施形態>
以下、本発明に係る給湯用水栓に取り付けられるアタッチメントの第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る給湯用水栓の側面図、図2図1の給湯用水栓にアタッチメントが取り付けられた状態を示す側面図である。以下では、まず、給湯用水栓10について説明した後、これに取り付けられるアタッチメント20について説明する。なお、以下では、説明の便宜のため、図1に示す方向に基づいて説明を行うこととする。また、図1の紙面に垂直な方向を左右方向として説明を行うこととする。そして、他の図面についても、この方向にしたがって説明を行う。但し、この方向は、本実施形態を説明するための規定であり、本発明は、この方向に限定されない。
【0020】
<1.給湯用水栓>
本実施形態に係る給湯用水栓10は、例えば、回転寿司などの店舗で使用され、店舗内の湯が流れるパイプ(図示省略)から分岐する給湯枝管30に接続されるものである。図1に示すように、この給湯用水栓10は、前後方向に延び、給湯枝管30に接続される管状の水栓本体1と、この水栓本体1の前端側に取り付けられる開閉機構と、この水栓本体1の前後方向の中央付近から上方に延びるノズル部2と、を備えている。
【0021】
水栓本体1は、円筒状に形成され、後端部には給湯枝管30に接続するための雄ねじ11が形成されている。そして、給湯枝管30から水栓本体1に湯が供給されるようになっている。開閉機構は、水栓本体1の内部に収容される弁部材(図示省略)と、この弁部材を開閉するための押込ボタン3と、を備えている。弁部材は、水栓本体1において、ノズル部2が取り付けられている部分に配置されており、弁部材が閉状態になっているときには、水栓本体1からノズル部2側へ湯が供給されないように規制されており、開状態になったときには、水栓本体1からノズル部2側へ湯が流れるようになっている。
【0022】
押込ボタン3は、水栓本体1の前端部に取り付けられている。より詳細に説明すると、この押込ボタン3は、ストッパ(図示省略)により前後方向に所定の長さだけ移動できるように、取り付けられている。また、この押込ボタン3は、常時はバネ(図示省略)によって前方に付勢されている。そして、このバネに抗して押込ボタン3を後方に押し込むと、弁部材が開状態になり、湯が水栓本体1からノズル部2側へ流れるようになっている。また、押込ボタン3の前面には、後述するように、アタッチメント20を取り付けるための雌ねじ31が形成されている。この雌ねじ31が形成されている押込ボタン3の最前部を構成する部分は、円板状に形成されている。
【0023】
ノズル部2は、水栓本体1から流れる湯を排出するための部材であり、水栓本体1から上方に延びる管状の第1部位21と、第1部位21の上端から前方に延びる管状の第2部位22とを備え、側面視で略L字状に形成されている。但し、第1部位21と第2部位22との連結部分は、側面視において滑らかな曲線状に形成されている。
【0024】
第2部位22の先端部の下面には、円筒状の排出口23が下向きにやや突出しており、この排出口23から湯が排出されるようになっている。また、第1部位21及び第2部位22を設けることで、排出口23は、押込ボタン3よりも上方で、且つ前方に位置するように構成されている。
【0025】
そして、押込ボタン3を後方に押し込むと、弁部材が開状態となり、水栓本体1からノズル部2に湯が流れ込み、排出口23から下方に湯が流れ落ちるようになっている。
【0026】
<2.アタッチメント>
次に、本実施形態に係るアタッチメントについて、図3図5も参照しつつ説明する。図3はアタッチメントを前方から見た斜視図、図4はアタッチメントを後方から見た斜視図、図5Aはアタッチメントに設けられるワッシャを前方から見た斜視図、図5Bはアタッチメントに設けられるワッシャの断面図である。
【0027】
図2に示すように、このアタッチメント20は、板材から形成されたアタッチメント本体4と、このアタッチメント本体4を給湯用水栓10に固定するための皿ねじ6と、アタッチメント本体4と押込ボタン3との間に配置されるワッシャ5と、を備えている。
【0028】
図3及び図4に示すように、アタッチメント本体4は、本体部41と、この本体部41の上端に連結された支点部42と、本体部41の下端に連結された支持部43と、を備えており、これらが一体的に形成されている。
【0029】
本体部41は、正面視矩形状の板材よって形成されており、上下方向の中央付近に矩形状の第1貫通孔411が形成されている。この第1貫通孔411の上縁には、下方に延びる突出部412が連結されている。この突出部412は、第1貫通孔411の上縁に連結される矩形状の上部位413と、この上部位413の下端に連結される下部位414とを備えている。上部位413は、第1貫通孔411の上縁から前方に向かって斜め下方に延びており、下部位414は上部位413の下端から後方に向かって斜め下方に延びている。したがって、上部位413及び下部位414を有する突出部412は、側面視において山形状に前方に突出するように形成されている。
【0030】
この突出部412の上方には、円形の第2貫通孔415が形成されており、この第2貫通孔415に上述した皿ねじ6が挿通されるようになっている。そのため、この第2貫通孔415の内径は、皿ねじ6の頭部の外径よりも小さくなっている。
【0031】
支点部42は、本体部41の上端部から上方に延びる矩形状の第1部位421と、この第1部位421の上端から前方に延びる第2部位422と、を備えている。第1部位421は、本体部41よりもやや幅が狭い板状に形成されており、本体部41から後方に向かってやや斜めに延びている。第2部位422は、板状に形成されており、前端部に円弧状の凹部423が形成されている。この凹部423は、ノズル部2に設けられた排出口23の外周面に後方から係合するようになっている。
【0032】
支持部43は、本体部41の下端から前方に延びる段部431と、この段部431の前端から下方に延びる延在部432と、この延在部432の下端から前方に延びる底壁部433と、延在部432の両側縁から前方に延びる一対の挟持部434と、を備えており、これらが一体的に形成されている。
【0033】
延在部432と底壁部433とは、側面視においてL字状に連結されており、後述するように、給湯する際には、湯飲み6の底部61を底壁部433に載せ、湯飲み6の外周面を延在部432に押し付ける。一対の挟持部434は、延在部432から前方にいくにしたがって、互いに離間するように、延在部432に対して斜めに連結されている。これにより、底壁部433に湯飲み6を置いたときには、湯飲み6の外周面が挟持部434によって挟まれるようになっている。
【0034】
アタッチメント本体4を形成する材料は特には限定されないが、例えば金属、樹脂材料などで形成することができる。
【0035】
次に、ワッシャ5について説明する。上述したように、ワッシャ5は、アタッチメント本体4と押込ボタン3との間に配置されるが、図5A及び図5Bに示すように、アタッチメント本体4側は、平坦面51が形成されており、この平坦面51がアタッチメント本体4の本体部41の後面に接するようになっている。一方、押込ボタン3と接する側は、断面が環状の頂部(突部)52を有する山形状に形成されている。すなわち、ワッシャ5の外縁から径方向内方に頂部52に向かって後方に斜めに延びており、頂部52から径方向内方に貫通孔53の内縁に向かって前方に斜めに延びている。そして、ワッシャ5の頂部52が、押込ボタン3の前面に接するようになっている。
【0036】
<3.アタッチメントの取付方法>
次に、アタッチメント本体4の給湯用水栓10への取付方法について説明する。まず、アタッチメント本体4をノズル部2の下側に配置し、支点部42の凹部423を排出口23の外周面に後側から係合させる。次に、アタッチメント本体4と押込ボタン3との間にワッシャ5を配置した状態で、前方から第2貫通孔415に皿ねじ6を挿通し、皿ねじ6の雄ねじを押込ボタン3の前面の雌ねじ31にねじ込む。このとき、ワッシャ5の平坦面51の一部がアタッチメント本体4の後面に接し、頂部52が押込ボタン3の前面に接するまで、皿ねじ6をねじ込む。こうして、図2に示すように、アタッチメント20の取り付けが完了する。このとき、支点部42の第2部位422の長さ、及び第1部位421と第2部位422との角度、支点部42と本体部41の角度などを調整することで、本体部41は、押込ボタン3の前面に対し、やや斜めに下方に延びるように配置される。そのため、初期状態においては、本体部41の後面が、ワッシャ5の平坦面51の上端部に接するように配置される(図8A参照)。
【0037】
<4.給湯用水栓の使用方法>
上記のようにアタッチメント20が給湯用水栓10に取り付けられると、次のように給湯を行う。まず、図6に示すように、ティーパックや粉末茶が入った湯飲み(容器)6の底部61をアタッチメント本体4の底壁部433に置きつつ、湯飲み6の外周面の下端部を延在部432に押し付ける。なお、単に湯飲み6の外周面の下端部を延在部432に押し付けるだけでもよい。このとき、湯飲み6の外周面は突出部412に接するため、本体部41には接しない。また、湯飲み6の外周面が一対の挟持部434によって両側から支えられる。
【0038】
こうして、湯飲み6を延在部432に押し付けると、図7に示すように、支点部42の先端、つまり排出口23に係合する凹部423が支点となって、アタッチメント本体4が後方に旋回する。この過程において、アタッチメント本体4によって押込ボタン3が押し込まれ、排出口23から湯が排出される。排出された湯はその下方に配置された湯飲み6に溜まっていくが、所望の量の湯が湯飲み6に溜まると、湯飲み6による延在部432の押圧を解除する。これにより、押込ボタン3の押込が解除され、排出口23からの湯の排出が停止する。その後、湯飲み6をアタッチメント本体4から取り外す。
【0039】
<5.特徴>
上記のように構成されたアタッチメント20によれば、次の効果を得ることができる。
(1)本実施形態に係るアタッチメント本体4においては、支点部42を支点とし、押込ボタン3よりも下方にあるアタッチメント本体4の下端付近、つまり延在部432を湯飲み6で押圧するように構成している。このとき、アタッチメント本体4の上下方向の中央付近で押込ボタン3を押圧するため、押込ボタン3を直接押圧するのに比べ、弱い力で押込ボタン3を押圧することができる。
【0040】
(2)本体部41に突出部412が形成されているため、湯飲み6の上部開口付近の外周面、つまり利用者が口を付ける部分が本体部41に接触するのが防止される。したがって、衛生的である。
【0041】
(3)湯飲み6で延在部432を押圧する際に、湯飲み6が一対の挟持部434によって側方から挟まれるため、湯飲み6が左右方向にずれるのを抑制することができる。したがって、湯飲み6を押圧する力を後方へ効率的に作用させることができる。
【0042】
(4)押込ボタン3の外径よりも小さいワッシャ5が押込ボタン3とアタッチメント本体4との間に配置されているため、押込の力をワッシャ5を介して効率よく押込ボタン3に伝達することができる。この点について、図8を参照しつつ説明する。
【0043】
図8Aに示すように、初期状態では、アタッチメント本体4の本体部41がワッシャ5の平坦面51に対して斜めに接している。すなわち、平坦面51の上端付近に本体部41が接し、平坦面51の下端と本体部41との間には隙間が形成されている。この状態からアタッチメント本体4が押し込まれると、平坦面51の下端付近に本体部41が接し、平坦面51の上端と本体部41との間には隙間が形成される。このように、本体部41とワッシャ5とは面接触しているのではなく、アタッチメント本体4の旋回に対応できるように、接触箇所が変化するように点接触あるいは線接触により接触している。したがって、アタッチメント本体4が旋回しても、力を効率的に伝達することができる。
【0044】
さらに、ワッシャ5において押込ボタン3と接する部分は、環状の頂部52であり、押込ボタン3とは概ね線接触している。また、この頂部52はワッシャ5の外径よりも小さい径を有している。したがって、ワッシャ5に作用する力を押込ボタン3の中央付近に集中させることができ、湯飲み6を押し込む力を効率的に押込ボタン3に伝達することができる。その結果、押込ボタン3を押圧するための力を低減することができる。
【0045】
<6.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜、組み合わせることができる。
【0046】
(1)ワッシャ5の構造は特には限定されず、頂部52が設けられてない通常のワッシャ、つまり軸方向の両面がいずれも平坦面であるワッシャでもよい。また、ワッシャ5は必ずしも必要ではなく、本体部41を直接押込ボタン3に固定することもできる。また、皿ねじ6を以外であってもよく、ボルトなどの固定具でもよい。また、皿ねじ6等を取り付ける位置も特には限定されず、押込ボタン3以外であってもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、アタッチメント本体4が、押込ボタン3に対してやや斜めになるように設置されているが、アタッチメント本体4と押込ボタン3の前面とが平行になるように、アタッチメント本体4が設置されてもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、アタッチメント本体4は、板材により一体的に形成されているが、複数の部材を組み合わせることで形成することもできる。
【0049】
(4)支持部43が本体部41に対して前方に位置するように配置されているが、本体部41の延長上に支持部43が配置されていてもよい。
【0050】
(5)突出部412の構成は特には限定されず、アタッチメント本体4と湯飲み6との間に隙間が形成されるように構成されればよい。但し、突出部412は必ずしも必要ではなく、設けなくてもよい。また、挟持部434についても同様に、必ずしも必要ではない。
【0051】
(6)アタッチメント本体4の支点部42に凹部423を形成し、排出口23の外周面に取り付けているが、これに限定されず、押込ボタン3よりも上方で、旋回時の支点となるようにノズル部2に取り付けられていれば、取付位置、及び、取り付け方法は特には限定されない。また、アタッチメント本体4は、押込ボタン3に直接または間接的に接したときに、支点部42が支点になるように排出口23等のノズル部2のいずれかの位置に取り付けられるような寸法であればよい。
【0052】
(7)上記実施形態のアタッチメント20は、皿ねじ6を取り外せば、アタッチメント本体4を給湯用水栓10から容易に取り外すことができるため、例えば、アタッチメント本体4が汚れた場合には、取り外して清掃することができる。また、アタッチメント本体4が損傷した場合には、容易に交換することもできる。さらに、アタッチメント20を取り外した状態で、給湯用水栓10を使用することもできる。
【0053】
<B.第2実施形態>
次に、本発明のアタッチメントの第2実施形態について、図9図12を参照しつつ説明する。図9は給湯用水栓にアタッチメントが取り付けられた状態を示す側面図、図10はアタッチメントを前方から見た斜視図、図11はアタッチメントを後方から見た斜視図、図12はアタッチメントと給湯用水栓との寸法の関係を説明する側面図である。なお、給湯用水栓については、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0054】
<1.アタッチメント>
図9図11に示すように、このアタッチメント70は、板材から形成されたアタッチメント本体7と、このアタッチメント本体7の下端部から延びる支持部8と、を備えている。
【0055】
アタッチメント本体7は、本体部71と、この本体部71の上端に連結された支点部72と、を備え、これらが一体的に形成されている。また、本体部71の背面には、押込ボタン3の上縁と係合する第1係合部73と、この第1係合部73の下方に配置され、押込ボタン3と接触可能な突出部材74とが設けられている。
【0056】
本体部71は、矩形状に形成された第1部位711と、この第1部位711の下端部に一体的に連結された第2部位712とを有しており、第2部位712の幅が第1部位711よりも大きくなっている。第1部位711には、後述するように支点部72が連結されている。第2部位712の両側は、その上端部及び下端部が後方にU字状に折り曲げられており、後述する支持部8が挿通される挿通部713がそれぞれ形成されている。また、第2部位712の両側において、上下に並ぶ挿通部713の間の部位は、後方にU字状に折り曲げられており、押込ボタン3の外縁に係合する第2係合部714が形成されている。各第2係合部714は、挿通部713よりも後方に突出している。
【0057】
本体部71の下端には、矩形状の切り欠き715が形成されており、この切り欠き715の上縁には、下方に延びる突出部716が連結されている。この突出部716は、第1実施形態の突出部412と同様の機能を有するものである。すなわち、この突出部716は、切り欠き715の上縁に連結される矩形状の上部位717と、この上部位717の下端に連結される下部位718とを備えている。上部位717は、切り欠き715の上縁から前方に向かって斜め下方に延びており、下部位718は上部位717の下端から後方に向かって斜め下方に延びている。したがって、上部位717及び下部位718を有する突出部716は、側面視において山形状に前方に突出するように形成されている。
【0058】
図11に示すように、第1係合部73は、本体部71の背面に接着剤等で固定された板状の第1部位731と、この第1部位731の上端から下方に延びる板状の第2部位732とを有している。第2部位732は、第1部位731の上端から後方に向かって斜め下方に延びており、第1部位731との間に隙間が形成されている。また、第1部位731と第2部位732とは弾性変形可能に連結されており、第2部位732に対して前方に力を加えると、第2部位732が第1部位731に対して近接するようになっている。
【0059】
突出部材74は、水平方向に延びる円柱状の棒状の部材であり、本体部71の背面において、第1係合部73と突出部716の間に、接着剤等で固定されている。
【0060】
支点部72は、本体部71と直交するように、本体部71の上端部から前方に延びるように形成されている。支点部72は、板状に形成されており、前端部に円弧状の凹部721が形成されている。この凹部721は、ノズル部2に設けられた排出口23の外周面に後方から係合するようになっている。
【0061】
次に、支持部8について説明する。支持部8は、線材を曲げることで形成された部材であり、後述するように湯飲み6の下端付近を支持するものである。支持部8は、一対の第1部位81、一対の第2部位82、及び第3部位83により構成されている。第1部位81は、支持部8の両端を構成する直線状の部位であり、上述した挿通部713に挿通されて下方に延びている。第1部位81の上端には、外形の大きい抜け止め部811が設けられており、これによって支持部8が挿通部713から下方に離脱するのを防止している。各第1部位81の下端には、第2部位82がそれぞれ設けられている。各第2部位82は、第1部位81から前方に向かって、且つ互いに近接するように斜めに延び、さらにそこから下方に直線状に延びている。そして、両第2部位82の下端部同士を連結するように第3部位83が設けられている。第3部位83は、水平方向に長い楕円状に形成されており、その両端部が前方に突出するように、平面視において円弧状に形成されている。このように、第3部位83が円弧状に形成されることで、湯飲み6の外周面に当接可能となっている。
【0062】
上記のように第1部位81が挿通部713に挿通されることで、支持部8は、本体部71に対し、上下動可能となっている。これにより、湯飲み6の上下方向の長さに応じて、支持部8の位置を調整可能となっている。
【0063】
また、図12に示すように、本実施形態では、給湯用水栓10とアタッチメント70との寸法の関係を以下のように設定している。同図に示すように、給湯用水栓10の押込ボタン3の前面と排出口23の後端部との水平方向の距離D1は、アタッチメント70の本体部71が鉛直方向に延びるように配置したとき、突出部材74の後端と、支点部72の凹部721の後端との水平方向の距離D2よりも短くなっている。これにより、後述するように、アタッチメント70を押込ボタン3や第1係合部73の付勢力を利用して給湯用水栓10に取り付けることができる。
【0064】
<2.アタッチメントの取付方法>
次に、アタッチメント70の給湯用水栓10への取付方法について、図13及び図14を参照しつつ説明する。まず、アタッチメント70の突出部材74及び第1係合部73を押込ボタン3の前面に押しつけ、押込ボタン3を押圧しつつ、第2係合部714を押込ボタン3の外縁に下側から係合させる。このとき、第1係合部73は押し込まれているため、第2部位732が弾性変形により第1部位731に近接する。この状態で、図13に示すように、アタッチメント70を上方にスライドさせながら、支点部72の凹部721を、給湯用水栓10の排出口23の後端に係合させる。この過程で、第1係合部73が押込ボタン3の上方まで移動すると、図14に示すように、第2部位732の押込みが解除されるため、第2部位732は元の状態に復元する。これにより、第2部位732が押込ボタン3の上縁に係合する。このとき、突出部材74は、押込ボタン3の前面と接触可能な位置に配置される。
【0065】
そして、押込ボタン3の押込みを解除すると、図12で示したように、距離D1が距離D2よりも短く、また、第1係合部73が押込ボタン3の上縁に係合するため、これが抜け止めになって、アタッチメント70が下方に離脱するのが防止される。また、第2係合部714が押込ボタン3の外縁の両側に係合するため、アタッチメント70が押込ボタン3に対して水平方向にずれるのが防止される。こうして、アタッチメント70の取り付けが完了する。
【0066】
<3.給湯用水栓の使用方法>
上記のようにアタッチメント70が給湯用水栓10に取り付けられると、次のように給湯を行う。まず、図15に示すように、ティーパックや粉末茶が入った湯飲み6を、アタッチメント70の突出部716及び支持部8の第3部位83付近に接触させつつ、湯飲み6の下端部を第3部位83に押し付ける。
【0067】
これにより、図16に示すように、支点部72の先端、つまり排出口23に係合する凹部721が支点となって、アタッチメント70が後方に旋回する。この過程において、アタッチメント70によって押込ボタン3が押し込まれ、排出口23から湯が排出される。排出された湯はその下方に配置された湯飲み6に溜まっていくが、所望の量の湯が湯飲み6に溜まると、湯飲み6による支持部8の押圧を解除する。これにより、押込ボタン3の押込が解除され、排出口23からの湯の排出が停止する。その後、湯飲み6をアタッチメント70から取り外す。
【0068】
<4.特徴>
上記のように構成されたアタッチメント70によれば、第1実施形態のアタッチメントで得られる効果のほか、次の効果を得ることができる。
【0069】
(1)アタッチメント70をスライドさせながら、給湯用水栓10に取り付けることができるため、工具を使用する必要がなく、取付が容易である。
【0070】
(2)突出部材74は、第1実施形態のアタッチメントのワッシャと同様の効果を得ることができる。すなわち、突出部材74は棒状に形成されているため、湯飲み6を介してアタッチメント70を押圧する力を押込ボタン3に集中的に作用させることができる。また、突出部材74は、水平方向に延びる円柱状に形成されているため、その外周面の曲面が押込ボタン3に接触する。そのため、アタッチメント70が傾きながら押込ボタン3に接しても、突出部材74の外周面が押込ボタン3に常に線接触するため、力を効率的に押込ボタン3に伝達することができる。
【0071】
(3)支持部8の位置を本体部71に対して調節可能であるため、湯飲み6の高さに応じて、支持部8の位置を変化させることができる。
【0072】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜、組み合わせることができる。
【0073】
(1)上記第2実施形態では、アタッチメント本体7に対して支持部8を移動可能に設けているが、アタッチメント本体7に支持部8を固定してもよい。支持部8の形状は特には限定されず、線材ではなく、板材で形成することもできる。
【0074】
(2)第1係合部73及び第2係合部714の構成は特には限定されず、押込ボタン3に係合するように構成されていれば特には限定されない。したがって、押込みボタンの形状に合わせて適宜変更することができる。
【0075】
(3)突出部材74は、上記のような棒状以外の形状でもよく、押込ボタン3と小さい面積で接触するような部材、例えば、点接触または線接触するような部材であればよい。但し、突出部材74は必須ではなく、必要に応じて設ければよい。突出部材74を設けない場合、図12で示した寸法の関係において、距離D2はアタッチメント70において押込ボタン3に接する箇所から支点部72の凹部721の後端部までの距離になる。また、突出部716も必須ではなく、必要に応じて設ければよい。
【0076】
(4)上記各実施形態では、本発明に係るアタッチメント0を、回転寿司の給湯用水栓に適用する例について説明したが、これに限定されるものではなく、種々の給湯用水栓に適用することができる。但し、本発明に係るアタッチメントが取り付けられる給湯用水栓は、少なくとも、下向きに開口する排出口23を有するノズル部2と、この排出口23の下方で、且つ排出口23よりも水平方向の後方に配置される押込ボタン3と、を有していればよく、その他の構成は特には限定されない。
【符号の説明】
【0077】
10 給湯用水栓
23 排出口
3 押込ボタン
20 アタッチメント
4 アタッチメント本体
41 本体部
412 突出部
42 支点部
43 支持部
431 段部
5 ワッシャ(固定手段
52 頂部(突部)
6 皿ねじ(固定手段
7 アタッチメント
71 本体部
72 支点部
715 突出部
8 支持部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16