IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-08
(45)【発行日】2025-07-16
(54)【発明の名称】濁り判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20250709BHJP
【FI】
G01N21/27 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2024210944
(22)【出願日】2024-12-04
(65)【公開番号】P2025098957
(43)【公開日】2025-07-02
【審査請求日】2024-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2023215098
(32)【優先日】2023-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清家 光
(72)【発明者】
【氏名】綾戸 健二
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-141986(JP,A)
【文献】特開平08-086751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記濁り判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差を、基準階調差と比較することによって、上記作動油の濁りの程度を判定する動作であり、
上記基準階調差は、上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間に濁りの無い状態の上記作動油が存在する状態で上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における、上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差であ
り判定装置。
【請求項2】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記濁り判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差を、基準階調差と比較することによって、上記作動油の濁りの程度を判定する動作であり、
上記判定部(25)は、
上記判定用画像(50)に基づいて上記作動油の色を判定する色判定動作を行い、
上記濁り判定動作において、上記色判定動作において判定した上記作動油の色に対応する上記基準階調差を、上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差と比較す
り判定装置。
【請求項3】
上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)だけを含む部分が、第1領域(56)であり、
上記色判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)の上記第1領域(56)に基づいて上記作動油の色を判定する動作である
請求項2に記載の濁り判定装置。
【請求項4】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記被撮影部材(40)は、上記明部(51)と上記暗部(52)とを複数ずつ形成し、
上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)と上記暗部(52)を複数ずつ含む領域が、第2領域(57)であり、
上記濁り判定動作において、上記判定部(25)は、上記第2領域(57)における上記明部(51)の階調値の最大値と上記暗部(52)の階調値の最小値の差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定す
り判定装置。
【請求項5】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記判定部(25)は、上記作動油の濁りの原因を判定する原因判定動作を行
り判定装置。
【請求項6】
上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)と上記暗部(52)の両方を含む領域が、第2領域(57)であり、
上記原因判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)の上記第2領域(57)における階調値の平均値に基づいて、上記作動油の濁りの原因を判定する動作である
請求項5に記載の濁り判定装置。
【請求項7】
上記被撮影部材(40)は、上記明部(51)と上記暗部(52)とを複数ずつ形成し、
上記第2領域(57)は、上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)と上記暗部(52)を複数ずつ含む領域である
請求項6に記載の濁り判定装置。
【請求項8】
上記原因判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)の上記第2領域(57)における階調値の平均を、基準階調値と比較することによって、上記作動油の濁りの原因を判定する動作である
請求項6に記載の濁り判定装置。
【請求項9】
上記基準階調値は、上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間に濁りの無い状態の上記作動油が存在する状態で上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における、上記明部(51)の階調値である
請求項8に記載の濁り判定装置。
【請求項10】
上記原因判定動作において、上記判定部(25)は、上記判定用画像(50)の上記第2領域(57)における階調値の平均値が上記基準階調値よりも高いときに、上記作動油の濁りの原因が、上記作動油に対する水の混入であると判定する
請求項8に記載の濁り判定装置。
【請求項11】
上記原因判定動作において、上記判定部(25)は、上記判定用画像(50)の上記第2領域における階調値の平均値が上記基準階調値よりも低いときに、上記作動油の濁りの原因が、上記作動油に対する固形物の混入であると判定する
請求項8に記載の濁り判定装置。
【請求項12】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記被撮影部材(40)には、上記撮像部(35)に向かい合う面に開口する貫通孔(43)が形成され、
上記被撮影部材(40)のうちの上記貫通孔(43)以外の部分が上記明部(51)を形成し、上記貫通孔(43)が上記暗部(52)を形成す
り判定装置。
【請求項13】
上記被撮影部材(40)には、上記貫通孔(43)が複数形成される
請求項12に記載の濁り判定装置。
【請求項14】
上記被撮影部材(40)は、白色である
請求項12に記載の濁り判定装置。
【請求項15】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記被撮影部材(40)は、上記撮像部(35)に対して固定され、
上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間の空間(32)を囲う網状の仕切り部材(31)を備え
定装置。
【請求項16】
油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、
明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、
上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、
上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備え、
上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間に配置され、透明な材質からなり、作動油を流すための油通路(74)が内部に形成された中間部材(73)を備え
り判定装置。
【請求項17】
上記中間部材(73)は、第1側面(73a)と第2側面(73b)とを有し、
上記第1側面(73a)と上記第2側面(73b)のそれぞれは、平坦面であり、
上記第1側面(73a)と上記第2側面(73b)は、互いに平行であり、
上記中間部材(73)では、上記第1側面(73a)と上記第2側面(73b)の間に上記油通路(74)が配置され、
上記被撮影部材(40)は、上記中間部材(73)の上記第1側面(73a)に接して設けられ、
上記撮像部(35)は、上記中間部材(73)の上記第2側面(73b)と向かい合う位置に設けられる
請求項16に記載の濁り判定装置。
【請求項18】
上記油通路(74)の一端に連通し、上記作動油が流れる油配管(63)に接続する第1継手部材(75a)と、
上記油通路(74)の他端に連通し、上記油配管(63)に接続する第2継手部材(75b)とを備える
請求項16に記載の濁り判定装置。
【請求項19】
上記被撮影部材(40)と、上記撮像部(35)と、上記中間部材(73)と収容するケース(71)を備える
請求項16に記載の濁り判定装置。
【請求項20】
上記ケース(71)に収容されて発光する光源(36)を備え、
上記ケース(71)は、光を透過しない材質から成る
請求項19に記載の濁り判定装置。
【請求項21】
上記中間部材(73)の上記油通路(74)は、直線状の通路であり、
上記光源(36)は、第1光源(36a)と第2光源(36b)とを含み、
上記第1光源(36a)と上記撮像部(35)と上記第2光源(36b)とが、上記油通路(74)の伸長方向に沿って順に一列に並ぶ
請求項20に記載の濁り判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作動油の濁りの程度を判定する濁り判定装置及び濁り判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば工作機械に設けられた油圧シリンダ等の油圧機器を作動させるために、作動油が用いられる。作動油は、異物の混入や酸化などによって、次第に劣化する。従来より、作動油の状態を判定する装置が知られている。特許文献1には、作動油の劣化を判定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/060457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作動油の状態を判定する従来の装置は、作動油の検査用サンプルを油圧機器から採取して装置にセットしなければならないものが多く、使い勝手が悪かった。
【0005】
本開示の目的は、作動油の濁りを判定する、使い勝手のよい濁り判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定装置(10)であって、明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備える。
【0007】
第1の態様において、撮像部(35)は、被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。撮像部(35)と被撮影部材(40)の間には、濁り判定の対象となる作動油が存在する。判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差は、撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在る作動油の濁りの程度によって異なる。そこで、判定部(25)は、判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差に基づいて、作動油の濁りの程度を判定する。
【0008】
第1の態様の濁り判定装置(10)は、濁り判定の対象となる作動油が撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在れば、作動油の濁りの程度を判定できる。そのため、この濁り判定装置(10)を用いれば、作動油の検査用サンプルを油圧機器から採取せずに、作動油の濁りの程度を判定できる。
【0009】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記濁り判定動作において、上記判定部(25)は、上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差が小さいほど、上記作動油の濁りの程度が高いと判定する。
【0010】
作動油の濁りの程度が高くなるにつれて、判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差は小さくなる。そのことを利用して、第2の態様の判定部(25)は、作動油の濁りの程度を判定する。
【0011】
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、上記濁り判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差を、基準階調差と比較することによって、上記作動油の濁りの程度を判定する動作である。
【0012】
第3の態様において、判定部(25)は、判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差を基準階調差と比較することによって、作動油の濁りの程度を判定する。
【0013】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記基準階調差は、上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間に濁りの無い状態の上記作動油が存在する状態で上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における、上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差である。
【0014】
第4の態様において、判定部(25)は、被撮影部材(40)と撮像部(35)の間に存在する作動油が濁りの無い状態であるときの明部(51)と暗部(52)の階調差を、基準階調差として用いる。
【0015】
本開示の第5の態様は、上記第3又は第4の態様において、上記判定部(25)は、上記判定用画像(50)に基づいて上記作動油の色を判定する色判定動作を行い、上記濁り判定動作において、上記色判定動作において判定した上記作動油の色に対応する上記基準階調差を、上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差と比較する。
【0016】
第5の態様の判定部(25)は、色判定動作において、作動油の色を判定する。濁り判定動作において、判定部(25)は、作動油の色に対応した基準階調差を、撮像部(35)が取得した判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差と比較する。そのため、作動油の使用中に作動油の色が変化した場合でも、判定部(25)は、作動油の濁りの程度を適切に判定できる。
【0017】
本開示の第6の態様は、上記第5の態様において、上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)だけを含む部分が、第1領域(56)であり、上記色判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)の上記第1領域(56)に基づいて上記作動油の色を判定する動作である。
【0018】
第6の態様において、判定部(25)は、判定用画像(50)の一部分であって明部(51)だけを含む第1領域(56)に基づいて、作動油の色を判定する。
【0019】
本開示の第7の態様は、上記第1~第6のいずれか一つの態様において、上記被撮影部材(40)は、上記明部(51)と上記暗部(52)とを複数ずつ形成し、上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)と上記暗部(52)を複数ずつ含む領域が、第2領域(57)であり、上記濁り判定動作において、上記判定部(25)は、上記第2領域(57)における上記明部(51)の階調値の最大値と上記暗部(52)の階調値の最小値の差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する。
【0020】
第7の態様では、判定用画像(50)の第2領域(57)に、明部(51)と暗部(52)が複数ずつ含まれる。判定部(25)は、第2領域(57)における“明部(51)の階調値の最大値”と“暗部(52)の階調値の最小値”の差に基づいて、作動油の濁りの程度を判定する。
【0021】
本開示の第8の態様は、上記第1~第6のいずれか一つの態様において、上記判定部(25)は、上記作動油の濁りの原因を判定する原因判定動作を行う。
【0022】
第8の態様では、判定部(25)が作動油の濁りの原因を判定する。
【0023】
本開示の第9の態様は、上記第8の態様において、上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)と上記暗部(52)の両方を含む領域が、第2領域(57)であり、上記原因判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)の上記第2領域(57)における階調値の平均値に基づいて、上記作動油の濁りの原因を判定する動作である。
【0024】
第9の態様では、判定用画像(50)の第2領域(57)に、明部(51)と暗部(52)の両方が含まれる。原因判定動作において、判定部(25)は、第2領域(57)における階調値の平均値に基づいて、作動油の濁りの原因を判定する。
【0025】
本開示の第10の態様は、上記第9の態様において、上記被撮影部材(40)は、上記明部(51)と上記暗部(52)とを複数ずつ形成し、上記第2領域(57)は、上記判定用画像(50)のうち上記明部(51)と上記暗部(52)を複数ずつ含む領域である。
【0026】
第10の態様では、判定用画像(50)の第2領域(57)に、明部(51)と暗部(52)が複数ずつ含まれる。
【0027】
本開示の第11の態様は、上記第9又は第10の態様において、上記原因判定動作は、上記判定部(25)が、上記判定用画像(50)の上記第2領域(57)における階調値の平均を、基準階調値と比較することによって、上記作動油の濁りの原因を判定する動作である。
【0028】
第11の態様の判定部(25)は、原因判定動作において、判定用画像(50)の第2領域(57)における階調値の平均値を基準階調値と比較することによって、作動油の濁りの原因を判定する。
【0029】
本開示の第12の態様は、上記第11の態様において、上記基準階調値は、上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間に濁りの無い状態の上記作動油が存在する状態で上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における、上記明部(51)の階調値である。
【0030】
第12の態様において、判定部(25)は、被撮影部材(40)と撮像部(35)の間に存在する作動油が濁りの無い状態であるときの明部(51)の階調値を、基準階調値として用いる。
【0031】
本開示の第13の態様は、上記第11又は第12の態様において、上記原因判定動作において、上記判定部(25)は、上記判定用画像(50)の上記第2領域(57)における階調値の平均値が上記基準階調値よりも高いときに、上記作動油の濁りの原因が、上記作動油に対する水の混入であると判定する。
【0032】
第13の態様の判定部(25)は、原因判定動作において、判定用画像(50)の第2領域(57)における階調値の平均値が基準階調値よりも「白色」の階調値に近いときに、作動油の濁りの原因が、作動油に対する水の混入であると判定する。
【0033】
本開示の第14の態様は、上記第11~第13のいずれか一つの態様において、上記原因判定動作において、上記判定部(25)は、上記判定用画像(50)の上記第2領域における階調値の平均値が上記基準階調値よりも低いときに、上記作動油の濁りの原因が、上記作動油に対する固形物の混入であると判定する。
【0034】
第14の態様の判定部(25)は、原因判定動作において、判定用画像(50)の第2領域(57)における階調値の平均値が基準階調値よりも「黒色」の階調値に近いときに、作動油の濁りの原因が、作動油に対する固形物(例えば、スラッジ等の粒子)の混入であると判定する。
【0035】
本開示の第15の態様は、上記第1~第14のいずれか一つの態様において、上記被撮影部材(40)には、上記撮像部(35)に向かい合う面に開口する貫通孔(43)が形成され、上記被撮影部材(40)のうちの上記貫通孔(43)以外の部分が上記明部(51)を形成し、上記貫通孔(43)が上記暗部(52)を形成する。
【0036】
第15の態様の被撮影部材(40)には、貫通孔(43)が形成される。被撮影部材(40)のうち貫通孔(43)以外の部分は、光を反射するので、明部(51)を形成する。被撮影部材(40)の貫通孔(43)は、光を反射しないので、暗部(52)を形成する。
【0037】
本開示の第16の態様は、上記第15の態様において、上記被撮影部材(40)には、上記貫通孔(43)が複数形成される。
【0038】
第16の態様の被撮影部材(40)には、複数の貫通孔(43)が形成される。そのため、被撮影部材(40)は、明部(51)と暗部(52)を複数ずつ形成する。
【0039】
本開示の第17の態様は、上記第15又は第16の態様において、上記被撮影部材(40)は、白色である。
【0040】
第17の態様では、白色の被撮影部材(40)が明部(51)を形成する。
【0041】
本開示の第18の態様は、上記第1~第18のいずれか一つの態様において、上記被撮影部材(40)は、上記撮像部(35)に対して固定される。
【0042】
第18の態様では、被撮影部材(40)と撮像部(35)の間隔が一定に保持される。
【0043】
本開示の第19の態様は、上記第18の態様において、上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間の空間(32)を囲う網状の仕切り部材(31)を備える。
【0044】
第19の態様では、被撮影部材(40)と撮像部(35)の間の空間(32)が仕切り部材(31)によって囲われる。仕切り部材(31)は、網状である。そのため、被撮影部材(40)と撮像部(35)の間の空間(32)への作動油の流入は許容しつつ、被撮影部材(40)と撮像部(35)の間の空間(32)への異物の侵入を仕切り部材(31)によって抑制できる。
【0045】
本開示の第20の態様は、上記第1~第14の態様において、上記被撮影部材(40)と上記撮像部(35)の間に配置され、透明な材質からなり、作動油を流すための油通路(74)が内部に形成された中間部材(73)を備える。
【0046】
第20の態様では、中間部材(73)が被撮影部材(40)と撮像部(35)の間に設けられる。中間部材(73)の油通路(74)を作動油が流れる状態では、撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に、濁り判定の対象となる作動油が存在する。この状態において、撮像部(35)は、被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。
【0047】
第20の態様において、濁り判定の対象となる作動油は、中間部材(73)の内部に形成された油通路(74)を流れる。この態様において、作動油は、被撮影部材(40)及び撮像部(35)と接触しない。そのため、作動油に含まれる異物は、被撮影部材(40)及び撮像部(35)に付着しない。
【0048】
本開示の第21の態様は、上記第20の態様において、上記中間部材(73)は、第1側面(73a)と第2側面(73b)とを有し、上記第1側面(73a)と上記第2側面(73b)のそれぞれは、平坦面であり、上記第1側面(73a)と上記第2側面(73b)は、互いに平行であり、上記中間部材(73)では、上記第1側面(73a)と上記第2側面(73b)の間に上記油通路(74)が配置され、上記被撮影部材(40)は、上記中間部材(73)の上記第1側面(73a)に接して設けられ、上記撮像部(35)は、上記中間部材(73)の上記第2側面(73b)と向かい合う位置に設けられる。
【0049】
第21の態様において、被撮影部材(40)が接する中間部材(73)の第1側面(73a)は、平坦面である。撮像部(35)は、中間部材(73)の第2側面(73b)と向かい合い、中間部材(73)の向こう側に配置された被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。中間部材(73)の第2側面(73b)は、第1側面(73a)と平行な平坦面である。そのため、撮像部(35)は、歪みが比較的少ない被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得することができる。
【0050】
本開示の第22の態様は、上記第20又は第21の態様において、上記油通路(74)の一端に連通し、上記作動油が流れる油配管(63)に接続する第1継手部材(75a)と、上記油通路(74)の他端に連通し、上記油配管(63)に接続する第2継手部材(75b)とを備える。
【0051】
第22の態様では、中間部材(73)に形成された油通路(74)が、第1継手部材(75a)及び第2継手部材(75b)を介して、油配管(63)と連通する。そのため、油配管(63)を流れる作動油が、中間部材(73)の油通路(74)を通過する。
【0052】
本開示の第23の態様は、上記第20~第22のいずれか一つの態様において、上記被撮影部材(40)と、上記撮像部(35)と、上記中間部材(73)と収容するケース(71)を備える。
【0053】
第23の態様では、被撮影部材(40)と撮像部(35)と中間部材(73)とが、ケース(71)の中に配置される。
【0054】
本開示の第24の態様は、上記第23の態様において、上記ケース(71)に収容されて発光する光源(36)を備え、上記ケース(71)は、光を透過しない材質から成る。
【0055】
第24の態様では、被撮影部材(40)と撮像部(35)と中間部材(73)と光源(36)とが、ケース(71)の内部に配置される。ケース(71)は、光を透過しない。ケース(71)の内部において、撮像部(35)は、光源(36)が発した光だけを受けた被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。そのため、撮像部(35)は、ケース(71)の外部の光の影響を受けずに、被撮影部材(40)の画像を取得できる。
【0056】
本開示の第25の態様は、上記第24の態様において、上記中間部材(73)の上記油通路(74)は、直線状の通路であり、上記光源(36)は、第1光源(36a)と第2光源(36b)とを含み、上記第1光源(36a)と上記撮像部(35)と上記第2光源(36b)とが、上記油通路(74)の伸長方向に沿って順に一列に並ぶ。
【0057】
第25の態様において、撮像部(35)は、第1光源(36a)と第2光源(36b)のそれぞれが発した光を受けた被撮影部材(40)の画像を取得する。この態様では、直線状の油通路(74)に沿って、第1光源(36a)と撮像部(35)と第2光源(36b)とが一列に並ぶ。そのため、撮像部(35)は、強度が比較的均一な光を受けた被撮影部材(40)の画像を取得できる。
【0058】
本開示の第26の態様は、油圧機器の作動油の濁りを判定する濁り判定システム(15)であって、明部(51)と暗部(52)とを形成する被撮影部材(40)と、上記被撮影部材(40)との間に上記作動油が存在するように上記被撮影部材(40)から離れた位置に設けられ、上記被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する撮像部(35)と、上記撮像部(35)が取得した上記判定用画像(50)における上記明部(51)と上記暗部(52)の階調差に基づいて、上記作動油の濁りの程度を判定する濁り判定動作を行う判定部(25)とを備える。
【0059】
第26の態様において、撮像部(35)は、被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。撮像部(35)と被撮影部材(40)の間には、濁り判定の対象となる作動油が存在する。判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差は、撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在る作動油の濁りの程度によって異なる。そこで、判定部(25)は、判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差に基づいて、作動油の濁りの程度を判定する。
【0060】
第26の態様の濁り判定システム(15)は、濁り判定の対象となる作動油が撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在れば、作動油の濁りの程度を判定できる。そのため、この濁り判定装置(10)を用いれば、作動油の検査用サンプルを油圧機器から採取せずに、作動油の濁りの程度を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、実施形態1の濁り判定装置の設置状態を示す作動油タンクの概略断面図である。
図2図2は、実施形態1の濁り判定装置の概略正面図である。
図3図3は、実施形態1の濁り判定装置の要部の概略断面図である。
図4図4は、実施形態1の濁り判定装置の被撮影部材の平面図である。
図5図5は、実施形態1の濁り判定装置の被撮影部材の斜視図である。
図6図6は、実施形態1の濁り判定装置の判定部の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態1の濁り判定装置のカメラが取得した判定用画像の一例である。
図8図8は、第1領域を示す判定用画像の一例である。
図9図9は、第2領域を示す判定用画像の一例である。
図10図10は、作動油の濁りが無い場合における判定用画像の第2領域の階調値を示すグラフである。
図11図11は、基準階調差ΔVC_rのレベルの区分を示す図である。
図12図12は、実施形態1の濁り判定装置の判定部の動作を示すフロー図である。
図13図13は、実施形態1の第2変形例の被撮影部材の斜視図である。
図14図14は、実施形態1の第3変形例の被撮影部材の斜視図である。
図15図15は、実施形態1の第4変形例の被撮影部材の斜視図である。
図16図16は、実施形態2の濁り判定装置の設置状態を示す作動油タンクの概略断面図である。
図17図17は、実施形態2の撮像ユニットの断面図であって、図18のXVII-XVII断面を示す。
図18図18は、実施形態2の撮像ユニットの断面図であって、図17のXVIII-XVIII断面を示す。
図19図19は、実施形態2の撮像ユニットの断面図であって、図18のXIX-XIX断面を示す。
図20図20は、実施形態2の撮像ユニットの断面図であって、図18のXX-XX断面を示す。
図21図21は、実施形態2の濁り判定装置の被撮影部材の平面図である。
図22図22は、実施形態2の濁り判定装置における判定用画像である。
図23図23は、実施形態2の濁り判定装置における判定用画像である。
図24図24は、実施形態2の第1変形例の撮像ユニットの断面図であって、図18に相当する断面を示す。
図25図25は、実施形態2の第2変形例の被撮影部材の平面図である。
図26図26は、実施形態2の第2変形例の被撮影部材の平面図である。
図27図27は、実施形態2の第3変形例の濁り判定装置の構成を示す撮像ユニットの概略の平面図である。
図28図28は、その他の実施形態の第1変形例の濁り判定装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態は、作動油の濁りの程度を判定する濁り判定装置(10)である。本実施形態の濁り判定装置(10)は、濁り判定システム(15)でもある。本実施形態の濁り判定装置(10)は、油圧回路を構成する作動油タンク(60)に設けられる。
【0063】
-作動油タンク-
本実施形態の濁り判定装置(10)が設けられる作動油タンク(60)について、図1を参照しながら説明する。
【0064】
作動油タンク(60)は、タンク本体(61)と、送出管(62)と、戻り管(63)と、フィルタ(64)とを備える。作動油タンク(60)は、作動油を貯留する。作動油タンク(60)に貯留された作動油は、油圧シリンダ等の油圧機器を駆動するために用いられる。
【0065】
タンク本体(61)は、直方体状の容器である。送出管(62)は、タンク本体(61)を油圧ポンプに接続する配管である。送出管(62)は、入口端がタンク本体(61)の内部空間に連通する。フィルタ(64)は、送出管(62)の入口端に接続される。フィルタ(64)は、送出管(62)へ流入する作動油に含まれるスラッジ等の固形物を捕集する。戻り管(63)は、油圧機器から排出された作動油をタンク本体(61)に導入する配管である。戻り管(63)は、出口端がタンク本体(61)の内部空間に連通する。
【0066】
-濁り判定装置の構成-
図2に示すように、濁り判定装置(10)は、本体ユニット(20)と、鞘管(30)と、カメラ(35)と、仕切り部材(31)と、被撮影部材(40)と、判定部(25)とを備える。
【0067】
〈本体ユニット〉
本体ユニット(20)は、直方体の箱状の部材である。本体ユニット(20)の内部には、判定部(25)が収容される。本体ユニット(20)の上面には、表示部(21)が設けられる。この表示部(21)は、一つ又は複数のLED(Light Emitting Diode)ランプである。
【0068】
〈鞘管〉
鞘管(30)は、金属製または樹脂製の円管である。鞘管(30)の基端は、本体ユニット(20)の下面に接続される。
【0069】
〈カメラ〉
図3にも示すように、カメラ(35)は、小型の円柱状に形成される。カメラ(35)は、鞘管(30)の内部に設けられる。カメラ(35)の先端は、鞘管(30)の先端から外部に露出する。カメラ(35)は、カラー画像を取得する。カメラ(35)は、被撮影部材(40)の画像を取得する撮像部である。
【0070】
カメラ(35)は、光源(36)を備える。光源(36)は、白色LEDランプである。光源(36)は、カメラ(35)の先端付近に配置され、カメラ(35)の先端から前方に向けて光を照射する。カメラ(35)の接続ケーブル(37)は、本体ユニット(20)内の判定部(25)に、電気的に接続される。カメラ(35)は、接続ケーブル(37)を通じて、画像信号を判定部(25)に送る。
【0071】
〈仕切り部材〉
仕切り部材(31)は、円筒状の金網である。仕切り部材(31)の基端は、鞘管(30)の先端に取り付けられる。仕切り部材(31)は、鞘管(30)の先端から前方(図2における下方)へ延びる。仕切り部材(31)の直径は、鞘管(30)の直径以上である。
【0072】
仕切り部材(31)の内側の空間は、判定用空間(32)である。判定用空間(32)は、円筒状の金網である仕切り部材(31)によって囲われる。
【0073】
〈被撮影部材〉
被撮影部材(40)は、全体として厚肉の円板状に形成された部材である。被撮影部材(40)の直径は、例えば13mm程度である。被撮影部材(40)の材質は、白色の樹脂である。
【0074】
図3に示すように、被撮影部材(40)は、仕切り部材(31)の先端を塞ぐように設けられる。被撮影部材(40)は、仕切り部材(31)及び鞘管(30)を介して、カメラ(35)に固定される。被撮影部材(40)は、カメラ(35)に対して相対的に移動不能である。そのため、カメラ(35)から被撮影部材(40)までの距離Lが一定に保持される。
【0075】
図4及び図5に示すように、被撮影部材(40)は、一つのリング部(41)と、二つのブリッジ部(42)とを備える。リング部(41)は、被撮影部材(40)の外縁に沿ったリング状の部分である。各ブリッジ部(42)は、リング部(41)の内側の空間を横断する真っ直ぐな棒状の部分である。リング部(41)と各ブリッジ部(42)は、一体に形成される。
【0076】
被撮影部材(40)において、二つのブリッジ部(42)は、互いに間隔をおいて実質的に平行に配置される。リング部(41)の内側の空間は、二つのブリッジ部(42)によって、三つの部分に区分される。二つのブリッジ部(42)によって区分された三つの空間は、それぞれが被撮影部材(40)を厚さ方向に貫通する貫通孔(43)である。
【0077】
〈判定部〉
図6に示すように、判定部(25)は、基板上に搭載されたCPU(26)と、CPU(26)を動作させるためのプログラムを記憶するメモリーデバイス(27)とを備える。メモリーデバイス(27)は、半導体メモリである。
【0078】
CPU(26)は、メモリーデバイス(27)が記憶するプログラムを実行することによって、色判定動作と、濁り判定動作と、原因判定動作とを行う。色判定動作、濁り判定動作、及び原因判定動作の詳細は、後述する。
【0079】
-濁り判定装置の設置状態-
図1に示すように、濁り判定装置(10)は、作動油タンク(60)に設けられる。濁り判定装置(10)は、鞘管(30)が本体ユニット(20)から下方へ延びる姿勢で、作動油タンク(60)のタンク本体(61)に取り付けられる。
【0080】
濁り判定装置(10)の本体ユニット(20)は、タンク本体(61)の外部に位置する。濁り判定装置(10)の鞘管(30)は、タンク本体(61)の天板を貫通し、タンク本体(61)の内部空間に差し込まれる。濁り判定装置(10)の鞘管(30)は、例えば、作動油タンク(60)の予備ポートに挿し通される。予備ポートは、追加の戻り管(63)を作動油タンク(60)に取り付けるための部材である。
【0081】
濁り判定装置(10)を作動油タンク(60)に設置した状態において、カメラ(35)を内蔵する鞘管(30)の先端部と、鞘管(30)の先端部に固定された仕切り部材(31)及び被撮影部材(40)とは、タンク本体(61)における油面(65)よりも下方に位置する。言い換えると、鞘管(30)の先端部、仕切り部材(31)、及び被撮影部材(40)は、作動油タンク(60)に貯留された作動油に浸かった状態になる。
【0082】
カメラ(35)と被撮影部材(40)の間に形成された判定用空間(32)には、金網状の仕切り部材(31)を通ってタンク本体(61)内の作動油が流入する。そのため、判定用空間(32)は、作動油タンク(60)に貯留された作動油に満たされた状態になる。
【0083】
-濁り判定装置の動作-
濁り判定装置(10)の動作を説明する。
【0084】
濁り判定装置(10)では、撮像部であるカメラ(35)が、被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する。また、濁り判定装置(10)では、判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、色判定動作と、濁り判定動作と、原因判定動作とを行う。判定部(25)は、色判定動作と濁り判定動作とを順に行う。また、判定部(25)は、濁り判定動作において作動油の濁りの程度が高い(言い換えると、作動油の状態が悪い)と判定した場合に、原因判定動作を行う。
【0085】
〈判定用画像〉
上述したように、カメラ(35)は、被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する。カメラ(35)は、取得した判定用画像(50)を判定部(25)に送信する。判定部(25)は、カメラ(35)から受信した判定用画像(50)を、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれが256階調のカラー画像として、メモリーデバイス(27)に記憶させる。なお、ここに示したRGBの階調は、単なる一例である。
【0086】
判定用画像(50)の一例を、図7に示す。判定用画像(50)は、被撮影部材(40)の平面の画像である。
【0087】
カメラ(35)の光源(36)が発した光は、被撮影部材(40)のリング部(41)及びブリッジ部(42)に当たって反射する。そのため、判定用画像(50)では、被撮影部材(40)のリング部(41)及びブリッジ部(42)に対応する部分が、明度が相対的に高い明部(51)になる。
【0088】
一方、カメラ(35)の光源(36)が発した光は、被撮影部材(40)の貫通孔(43)を通過する。被撮影部材(40)から作動油タンク(60)の底まではある程度以上の距離があるため、被撮影部材(40)の貫通孔(43)を通過した光は、作動油タンク(60)の底まで殆ど到達しない。そのため、判定用画像(50)では、被撮影部材(40)の貫通孔(43)に対応する部分が、明度が相対的に低い暗部(52)になる。
【0089】
なお、判定用画像(50)のうち被撮影部材(40)のリング部(41)の外側の領域には、金網で構成された仕切り部材(31)が映り込んでいる。
【0090】
〈色判定動作〉
色判定動作について説明する。色判定動作は、“判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、作動油の色を判定する動作”である。
【0091】
図8に示すように、判定部(25)は、カラー画像である判定用画像(50)に四つの第1領域(56)を設定する。第1領域(56)は、判定用画像(50)の一部分であって、明部(51)だけを含む。なお、第1領域(56)の数は、単なる一例であり、一つであってもよい。判定部(25)は、判定用画像(50)のうち被撮影部材(40)のリング部(41)に対応する部分に、第1領域(56)を設定する。ただし、判定部(25)は、判定用画像(50)のうち被撮影部材(40)のブリッジ部(42)に対応する部分に、第1領域(56)を設定してもよい。
【0092】
判定部(25)は、ASTM色に基づいて、作動油の色を判定する。ASTM色は、ASTM D1500の規定に基づいて石油製品の色を16段階に分類したものである。本実施形態の判定部(25)は、作動油の色を、「透明」「黄色」「山吹色」「黒色」の四つに分類する。「透明」「黄色」「山吹色」「黒色」のそれぞれには、ASTM色の一つ又は複数の段階が対応する。なお、作動油の色の区分の数は、単なる一例である。
【0093】
判定部(25)のメモリーデバイス(27)は、「透明」「黄色」「山吹色」「黒色」のそれぞれについて、RGBそれぞれの階調値の範囲を、色判定用基準範囲として予め記憶している。階調値は、256階調の段番目かを示す数値である。
【0094】
被撮影部材(40)のリング部(41)およびブリッジ部(42)は、白色である。また、カメラ(35)が判定用画像(50)を取得した時点において、カメラ(35)と被撮影部材(40)の間の判定用空間(32)は、作動油タンク(60)内の作動油で満たされている。そのため、判定用画像(50)のうちリング部(41)及びブリッジ部(42)に対応する部分の色は、判定用空間(32)を満たす作動油の色と概ね同じである。
【0095】
そこで、判定部(25)は、全ての第1領域(56)を対象として、RGBそれぞれの階調値の平均値を算出する。そして、判定部(25)は、算出した第1領域(56)に関するRGBそれぞれの階調値の平均値を、メモリーデバイス(27)から読み出した色判定用基準範囲と比較することによって、作動油の色が「透明(n=1)」「黄色(n=2)」「山吹色(n=3)」「黒色(n=4)」のどれに該当するかを判定する。
【0096】
〈基準階調差〉
詳しくは後述するが、濁り判定動作において、判定部(25)は、基準階調差を用いて、作動油の濁りの程度を判定する。ここでは、基準階調差について説明する。
【0097】
基準階調差は、濁りの無い状態の作動油が判定用空間(32)を満たしているときにカメラ(35)が取得した判定用画像(50)に基づいて定められる。基準階調差ΔVC_rは、この判定用画像(50)の第2領域(57)における最大基準階調値VC_max(n)と最小基準階調値 VC_min(n)の差である(ΔVC_r=VC_max(n)-VC_min(n))。第2領域(57)については、後述する。基準階調差を算出するための最大基準階調値VC_max(n)及び最小基準階調値 VC_min(n)は、濁り判定装置(10)を設計する過程で定められ、判定部(25)のメモリーデバイス(27)に予め記録される。
【0098】
図9に示すように、第2領域(57)は、判定用画像(50)の一部分である。第2領域(57)は、被撮影部材(40)のブリッジ部(42)と実質的に直交する直線状の領域である。第2領域(57)は、被撮影部材(40)のリング部(41)の中心を通る。
【0099】
第2領域(57)は、リング部(41)と、各ブリッジ部(42)と、全ての貫通孔(43)とを横断する。第2領域(57)は、リング部(41)が形成する二つの明部(51)と、各ブリッジ部(42)が一つずつ形成する明部(51)と、各貫通孔(43)が一つずつ形成する暗部(52)とを含む。このように、第2領域(57)は、四つの明部(51)と三つの暗部(52)とを含む。また、第2領域(57)では、その一端から他端に向かって、明部(51)と暗部(52)が交互に配置される。
【0100】
図10は、256階調のグレースケール画像に変換された判定用画像(50)における、第2領域(57)の階調値を示す。この判定用画像(50)は、濁り判定装置(10)を設計する過程で基準階調差を定めるためにカメラ(35)が取得した判定用画像(50)である。この判定用画像(50)は、濁りの無い状態の作動油が判定用空間(32)を満たしているときにカメラ(35)が取得した判定用画像(50)である。
【0101】
上述したグレースケールの階調は、単なる一例である。256階調のグレースケールでは、最も低い階調値である「0」が「黒色」に対応し、最も高い階調値である「255」が「白色」に対応する。階調値は、「0(黒色)」から「255(白色)」までの何段階目の灰色であるかを示す値である。グレースケールでは、階調値が低い灰色ほど黒色に近くなり、階調値が高い灰色ほど白色に近くなる。
【0102】
図10に示すように、第2領域(57)では、明部(51)の階調値が相対的に高く、暗部(52)の階調値が相対的に低い。判定部(25)のメモリーデバイス(27)は、第2領域(57)における明部(51)の階調値の最大値を、第2領域(57)の最大基準階調値VC_max(n)として記憶する。また、判定部(25)のメモリーデバイス(27)は、第2領域(57)における暗部(52)の階調値の最小値を、第2領域(57)の最小基準階調値 VC_min(n)として記憶する。
【0103】
ここで、第2領域(57)の最大基準階調値VC_max(n)及び最小基準階調値 VC_min(n)は、作動油の色に応じて変化する。作動油の色が濃くなる(言い換えると、透明から黒色に近づく)につれて、第2領域(57)における最大基準階調値VC_max(n)と最小基準階調値 VC_min(n)の差が次第に小さくなる。図10において、VC_max(1)とVC_min(1)は、作動油の色が「透明(n=1)」である場合の最大基準階調値と最小基準階調値である。また、VC_max(3)とVC_min(3)は、作動油の色が「山吹色(n=3)」である場合の最大基準階調値と最小基準階調値である。
【0104】
そのため、判定部(25)のメモリーデバイス(27)は、濁りの無い状態の作動油の色が「透明(n=1)」「黄色(n=2)」「山吹色(n=3)」「黒色(n=4)」のそれぞれである場合について、最大基準階調値VC_max(n)と最小基準階調値 VC_min(n)とを個別に記憶する。判定部(25)のメモリーデバイス(27)が記憶する“基準階調値VC_max(n)と最小基準階調値 VC_min(n)の組”の数は、色判定動作における作動油の色の区分の数と同じである。
【0105】
〈濁り判定動作〉
濁り判定動作について説明する。濁り判定動作は、“判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、作動油の濁りの程度を判定する動作”である。
【0106】
濁り判定動作において、判定部(25)は、色判定動作において判定した作動油の色に対応する最大基準階調値VC_max(n)及び最小基準階調値 VC_min(n)を、メモリーデバイス(27)から読み出す。例えば、色判定動作において作動油の色が「黄色(n=2)」であると判定された場合、判定部(25)は、「黄色」に対応する最大基準階調値VC_max(2)及び最小基準階調値 VC_min(2)を、メモリーデバイス(27)から読み出す。判定部(25)は、メモリーデバイス(27)から読み出した最大基準階調値VC_max(n)と最小基準階調値 VC_min(n)の差を、基準階調差ΔVC_rとする(ΔVC_r=VC_max(n)-VC_min(n))。
【0107】
図11に示すように、判定部(25)は、基準階調差ΔVC_rを複数のレベルに区分する。具体的に、判定部(25)は、基準階調差ΔVC_rをh段階に等分する。「h」は、2以上の整数である。本実施形態の判定部(25)は、基準階調差ΔVC_rを10段階に等分する(h=10)。判定部(25)は、下記の数式1を用いて、階調差に関する閾値ΔVC_s(m)を算出する。数式1の「m」は、0(ゼロ)からhまでの整数である。
ΔVC_s(m) = m×(ΔVC_r/h) (数式1)
【0108】
そして、判定部(25)は、h個のレベル(LEVEL(m))を設定する。各レベルは、下記の数式2で示される数値範囲である。
ΔVC_s(m-1) < LEVEL(m) ≦ ΔVC_s(m) (数式2)
【0109】
濁り判定動作において、判定部(25)は、判定用画像(50)を、カラー画像からグレースケール画像に変換する。本実施形態の判定部(25)は、判定用画像(50)を、256階調のグレースケール画像に変換する。
【0110】
上述したグレースケールの階調は、単なる一例である。256階調のグレースケールでは、最も低い階調値である「0」が「黒色」に対応し、最も高い階調値である「255」が「白色」に対応する。階調値は、「0(黒色)」から「255(白色)」までの何段階目の灰色であるかを示す値である。グレースケールでは、階調値が低い灰色ほど黒色に近くなり、階調値が高い灰色ほど白色に近くなる。
【0111】
判定部(25)は、グレースケール画像に変換された判定用画像(50)における第2領域(57)の最大階調値VC1と最小階調値VC2とを特定する。第2領域(57)の最大階調値VC1は、第2領域(57)における明部(51)の階調値の最大値である。第2領域(57)の最小階調値VC2は、第2領域(57)における暗部(52)の階調値の最小値である。判定部(25)は、第2領域(57)の最大階調値VC1と最小階調値VC2の差を算出し、その値を第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC(=VC1-VC2)とする。
【0112】
上述したように、濁り判定装置(10)の使用状態において、カメラ(35)と被撮影部材(40)の間の判定用空間(32)は、作動油タンク(60)に貯留された作動油で満たされる。判定用空間(32)を満たす作動油の濁りの程度が高いほど、判定用画像(50)の第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC(=VC1-VC2)が小さくなる。
【0113】
そこで、判定部(25)は、算出した明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC(=VC1-VC2)が、図11に示すレベルのどれに属するかを判定する。そして、判定部(25)は、階調差ΔVCが属するレベルに応じて、作動油の濁りの程度が“実質的に無い”と“低い”と“高い”のどれに該当するかを判定する。
【0114】
これら3つの段階と、階調差ΔVCが属するレベルとの対応関係の一例を示す。階調差ΔVCがLEVEL(8)からLEVEL(10)までに属する場合、判定部(25)は、“作動油の濁りが実質的に無く、作動油が良好な状態である”と判定する。階調差ΔVCがLEVEL(3)からLEVEL(7)までに属する場合、判定部(25)は、“作動油の濁りの程度が低く、作動油が使用可能な状態である”と判定する。階調差ΔVCがLEVEL(1)からLEVEL(2)までに属する場合、判定部(25)は、“作動油の濁りの程度が高く、作動油が使用に適さない状態である”と判定する。
【0115】
〈原因判定動作〉
判定部(25)は、“作動油の濁りの程度が高く、作動油が使用に適さない状態である”と判定した場合に、原因判定動作を行う。原因判定動作は、“判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、作動油の濁りの原因を判定する動作”である。
【0116】
原因判定動作において、判定部(25)は、判定用画像(50)の第2領域(57)における階調値の平均値VC_aveを算出する。また、判定部(25)は、メモリーデバイス(27)から読み出した最大基準階調値VC_max(n)を、原因判定動作の基準階調値に設定する。そして、判定部(25)は、算出した第2領域(57)の階調値の平均値VC_aveを基準階調値と比較することによって、作動油の濁りの原因を判定する。
【0117】
水が混入することによって作動油が濁っている場合は、作動油の濁りの程度が高くなるにつれて、判定用画像(50)の階調が全体的に「白色」に近づいてゆく。そのため、判定用画像(50)の第2領域(57)の階調は、全体的に高くなる。そこで、算出した第2領域(57)の階調値の平均値VC_aveが基準階調値よりも高い場合(VC_max(n)<VC_ave)、判定部(25)は、作動油の濁りの原因が“水の混入”であると判定する。
【0118】
一方、スラッジ等の粒子状固形物が混入することによって作動油が濁っている場合は、作動油の濁りの程度が高くなるにつれて、判定用画像(50)の階調が全体的に「黒色」に近づいてゆく。そのため、判定用画像(50)の第2領域(57)の階調は、全体的に低くなる。そこで、算出した第2領域(57)の階調値の平均値VC_aveが基準階調値以下である場合(VC_ave≦VC_max(n))、判定部(25)は、作動油の濁りの原因が“スラッジ等の固形物の混入”であると判定する。
【0119】
-濁り判定装置の動作の全体的な流れ-
濁り判定装置(10)の動作の全体的な流れを、図12のフロー図を参照しながら説明する。
【0120】
濁り判定装置(10)の判定部(25)は、メモリーデバイス(27)に記録されたプログラムをCPU(26)が実行することによって、図12のフロー図に示す一連の処理を行う。図12のフロー図において、ステップST2の処理は、判定部(25)が実行する色判定動作であり、ステップST3からステップST9までの処理は、判定部(25)が実行する濁り判定動作であり、ステップST10からステップST11までの処理は、判定部(25)が実行する原因判定動作である。
【0121】
〈ステップST1〉
ステップST1の処理では、カメラ(35)が判定用画像(50)を取得する。具体的には、判定用空間(32)が作動油タンク(60)内の作動油で満たされた状態で、カメラ(35)の光源(36)が被撮影部材(40)に対して光を照射し、カメラ(35)が被撮影部材(40)を撮影する。カメラ(35)は、取得した判定用画像(50)を、判定部(25)に送信する。判定部(25)は、カメラ(35)から送られた判定用画像(50)を、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれが256階調のカラー画像として、メモリーデバイス(27)に記憶させる。判定部(25)は、ステップST1の処理が終了すると、ステップST2の処理を行う。
【0122】
〈ステップST2〉
ステップST2の処理は、判定部(25)が行う色判定動作である。色判定動作の詳細な内容は、上述した通りである。ステップST2の処理において、判定部(25)は、カラー画像である判定用画像(50)に設定した四つの第1領域(56)に基づいて、判定用空間(32)を満たす作動油の色が「透明(n=1)」「黄色(n=2)」「山吹色(n=3)」「黒色(n=4)」のどれに該当するかを判定する。
【0123】
判定用空間(32)を満たす作動油の色は、作動油タンク(60)内の作動油の色と同じである。従って、ステップST2の処理において、判定部(25)は、作動油タンク(60)内の作動油の色を判定する。判定部(25)は、ステップST2の処理が終了すると、ステップST3の処理を行う。
【0124】
〈ステップST3〉
ステップST3の処理において、判定部(25)は、濁り判定動作を開始する。
【0125】
ステップST3の処理において、判定部(25)は、基準階調差ΔVC_rを設定する。具体的に、判定部(25)は、ステップST2の処理において決定した作動油の色に対応する最大基準階調値VC_max(n)及び最小基準階調値 VC_min(n)を、メモリーデバイス(27)から読み出す。そして、判定部(25)は、メモリーデバイス(27)から読み出した最大基準階調値VC_max(n)と最小基準階調値 VC_min(n)の差を、基準階調差ΔVC_rとする(ΔVC_r=VC_max(n)-VC_min(n))。判定部(25)は、ステップST3の処理が終了すると、ステップST4の処理を行う。
【0126】
〈ステップST4〉
ステップST4の処理において、判定部(25)は、ステップST3の処理において設定した基準階調差ΔVC_rを用い、上記数式1に示す演算処理を行うことによって、複数個(歩実施形態では、10個)のレベル(LEVEL(m))を設定する。判定部(25)は、ステップST4の処理が終了すると、ステップST5の処理を行う。
【0127】
〈ステップST5〉
ステップST5の処理において、判定部(25)は、ステップST1の処理においてカメラ(35)が取得したカラー画像である判定用画像(50)を、256階調のグレースケール画像に変換する。判定部(25)は、ステップST5の処理が終了すると、ステップST6の処理を行う。
【0128】
〈ステップST6〉
ステップST6の処理において、判定部(25)は、ステップST5の処理においてグレースケール画像に変換された判定用画像(50)に基づき、その判定用画像(50)における第2領域(57)の最大階調値VC1と最小階調値VC2とを特定する。そして、判定部(25)は、第2領域(57)の最大階調値VC1と最小階調値VC2の差を算出し、その値を第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC(=VC1-VC2)とする。判定部(25)は、ステップST6の処理が終了すると、ステップST7の処理を行う。
【0129】
〈ステップST7〉
ステップST7の処理において、判定部(25)は、「ΔVC_s(10)<ΔVC」という条件の成否を判定する。この条件が成立する場合は、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCがLEVEL(10)を超えていることになる。ステップST1の処理においてカメラ(35)が取得した判定用画像(50)が正常であれば、階調差ΔVCはLEVEL(10)を超えない。そのため、階調差ΔVCがLEVEL(10)を超える場合は、例えば、被撮影部材(40)に対する気泡の付着等の不具合が生じており、ステップST1の処理においてカメラ(35)が取得した判定用画像(50)に基づいて作動油の状態を適切に判定できない可能性が高い。
【0130】
そこで、「ΔVC_s(10)<ΔVC」という条件が成立した場合、判定部(25)は、ステップST1からステップST6までの処理を再び行う。つまり、この場合、判定部(25)は、カメラ(35)が再び取得した判定用画像(50)を用いて、色判定動作を行い、判定用画像(50)の第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCを算出する。一方、この条件が成立しない場合、判定部(25)は、ステップST8の処理を行う。
【0131】
〈ステップST8〉
ステップST8の処理において、判定部(25)は、「ΔVC_s(7)<ΔVC」という条件の成否を判定する。この条件が成立する場合は、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCがLEVEL(8)からLEVEL(10)までに属する。階調差ΔVCがLEVEL(8)からLEVEL(10)までに属する場合は、作動油の濁りの程度が“実質的に無い”に該当する。そこで、この条件が成立した場合、判定部(25)は、ステップST12の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合は、判定部(25)は、ステップST9の処理を行う。
【0132】
〈ステップST9〉
ステップST9の処理において、判定部(25)は、「ΔVC_s(2)<ΔVC」という条件の成否を判定する。この条件が成立する場合は、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCがLEVEL(3)からLEVEL(7)までに属する。階調差ΔVCがLEVEL(3)からLEVEL(7)までに属する場合は、作動油の濁りの程度が“低い”に該当する。そこで、この条件が成立した場合、判定部(25)は、ステップST13の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合は、判定部(25)は、ステップST10の処理を行う。
【0133】
〈ステップST10〉
ステップST9の処理において「ΔVC_s(2)<ΔVC」という条件が成立しなかった場合は、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCがLEVEL(1)からLEVEL(2)までに属する。階調差ΔVCがLEVEL(1)からLEVEL(2)までに属する場合は、作動油の濁りの程度が“高い”に該当する。作動油の濁りの程度が“高い”に該当する場合、判定部(25)は、“作動油の濁りの程度が高く、作動油が使用に適さない状態である”と判定する。そして、判定部(25)は、ステップST10の処理において、原因判定動作を開始する。
【0134】
ステップST10の処理において、判定部(25)は、ステップST5の処理においてグレースケール画像に変換した判定用画像(50)を対象として、その第2領域(57)における階調値の平均値VC_aveを算出する。判定部(25)は、ステップST10の処理が終了すると、ステップST11の処理を行う。
【0135】
〈ステップST11〉
ステップST11の処理において、判定部(25)は、ステップST3の処理においてメモリーデバイス(27)から読み出した最大基準階調値VC_max(n)を、原因判定動作の基準階調値に設定する。そして、判定部(25)は、「VC_max(n)<VC_ave」という条件の成否を判定する。
【0136】
「VC_max(n)<VC_ave」という条件が成立する場合は、判定用画像(50)の第2領域(57)の階調が全体的に「白色」に近づいている。そこで、判定部(25)は、作動油の濁りの原因が“水の混入”であると判定し、ステップST14の処理を行う。
【0137】
一方、「VC_max(n)<VC_ave」という条件が成立しない場合は、判定用画像(50)の第2領域(57)の階調が全体的に「黒色」に近づいている。そこで、判定部(25)は、作動油の濁りの原因が“スラッジ等の固形物の混入”であると判定し、ステップST15の処理を行う。
【0138】
〈ステップST12〉
ステップST12の処理は、ステップST8の処理において、作動油の濁りの程度が“実質的に無い”に該当すると判定された場合に行われる。
【0139】
ステップST12の処理において、判定部(25)は、第1表示動作を行う。第1表示動作は、“作動油の濁りが実質的に無く、作動油が良好な状態である”という情報を、本体ユニット(20)の表示部(21)に表示させるための動作である。この第1表示動作として、判定部(25)は、 “表示部(21)であるLEDランプを緑色に点灯させるための動作”を行う。なお、表示部(21)が発する光の色は、単なる一例である。
【0140】
〈ステップST13〉
ステップST13の処理は、ステップST9の処理において、作動油の濁りの程度が“低い”に該当すると判定された場合に行われる。
【0141】
ステップST13の処理において、判定部(25)は、第2表示動作を行う。第2表示動作は、“作動油の濁りの程度が低く、作動油が使用可能な状態である”という情報を、本体ユニット(20)の表示部(21)に表示させるための動作である。この第2表示動作として、判定部(25)は、例えば“表示部(21)であるLEDランプをオレンジ色に点灯させるための動作”を行う。なお、表示部(21)が発する光の色は、単なる一例である。
【0142】
〈ステップST14〉
ステップST14の処理は、ステップST11処理において、作動油の濁りの原因が“水の混入”であると判定された場合に行われる。
【0143】
ステップST14の処理において、判定部(25)は、第3表示動作を行う。第3表示動作は、作動油の濁りの原因が“水の混入”であることを示す情報を、本体ユニット(20)の表示部(21)に表示させるための動作である。この第3表示動作動作として、判定部(25)は、例えば“表示部(21)であるLEDランプを赤色と青色に交互に点灯させるための動作”を行う。なお、表示部(21)が発する光の色は、単なる一例である。
【0144】
〈ステップST15〉
ステップST15の処理は、ステップST11処理において、作動油の濁りの原因が“固形物の混入”であると判定された場合に行われる。
【0145】
ステップST15の処理において、判定部(25)は、第4表示動作を行う。第4表示動作は、作動油の濁りの原因が“スラッジ等の固形物の混入”であることを示す情報を、本体ユニット(20)の表示部(21)に表示させるための動作である。この第4表示動作として、判定部(25)は、例えば“表示部(21)であるLEDランプを赤色に点灯させるための動作”を行う。なお、表示部(21)が発する光の色は、単なる一例である。
【0146】
-実施形態1の特徴(1)-
本実施形態の濁り判定装置(10)において、カメラ(35)は、被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。カメラ(35)と被撮影部材(40)の間には、濁り判定の対象となる作動油が介在する。判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差は、撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在る作動油の濁りの程度によって異なる。そこで、判定部(25)は、判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差に基づいて、作動油の濁りの程度を判定する。
【0147】
なお、本実施形態の説明における「階調差」は、「色の濃淡の差」を示す指標である。グレースケール画像おける「階調差」の意義は、「コントラスト」の意義と実質的に同じである。
【0148】
本実施形態の濁り判定装置(10)は、濁り判定の対象となる作動油が撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在れば、作動油の濁りの程度を判定できる。そのため、この濁り判定装置(10)を用いれば、作動油の検査用サンプルを油圧機器から採取せずに、作動油の濁りの程度を判定できる。
【0149】
特に、本実施形態の濁り判定装置(10)は、作動油タンク(60)に設置された状態で、作動油の濁りの程度を判定する。そのため、実際に使用されている作動油の状態を継続的に判定し、作動油の状態が悪化した場合には速やかに油圧機器の使用者や管理者に報知することが可能となる。従って、本実施形態の濁り判定装置(10)によれば、劣化した作動油を使い続けることに起因する油圧機器のトラブルの防止に役立つ情報を、油圧機器の使用者や管理者に提供することができる。
【0150】
-実施形態1の特徴(2)-
本実施形態の濁り判定装置(10)において、判定部(25)は、色判定動作によって作動油の色を判定する。そして、判定部(25)は、作動油の色に対応した基準階調差ΔVC_rを、撮像部(35)が取得した判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCと比較することによって、作動油の濁りの程度を判定する。そのため、本実施形態の濁り判定装置(10)は、作動油を使用する間に作動油の色が変化した場合でも、作動油の濁りの程度を適切に判定することができる。
【0151】
特に、本実施形態の判定部(25)は、判定用画像(50)の明部(51)だけを含む第1領域(56)に基づいて、色判定動作を行う。また、本実施形態において、判定用画像(50)の明部(51)を形成する被撮影部材(40)のリング部(41)は、白色である。そのため、判定用画像(50)の第1領域(56)の色は、判定用空間(32)を満たす作動油の色と概ね同じになる。従って、本実施形態の濁り判定装置(10)では、判定部(25)の色判定動作によって、作動油タンク(60)に貯留された作動油の色を正確に判定できる。
【0152】
-実施形態1の特徴(3)-
本実施形態の濁り判定装置(10)の判定部(25)は、濁り判定動作において、判定用画像(50)の第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCに基づき、作動油の濁りの程度を判定する。
【0153】
濁り判定動作において用いられる判定用画像(50)の第2領域(57)には、明部(51)と暗部(52)が複数ずつ含まれる。本実施形態の判定部(25)は、第2領域(57)における明部(51)の階調値の最大値である最大階調値VC1と、第2領域(57)における暗部(52)の階調値の最小値である最小階調値VC2の差を、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC(=VC1-VC2)とする。そのため、本実施形態によれば、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVCを正確に算出することができ、その結果、作動油の濁りの程度を正確に判定することが可能となる。
【0154】
-実施形態1の特徴(4)-
本実施形態の濁り判定装置(10)において、判定部(25)は、作動油の濁りの程度が高い場合に原因判定動作を行う。原因判定動作において、判定部(25)は、作動油の濁りの原因が“水の混入”と“固形物の混入”のどちらであるかを判定する。
【0155】
作動油の濁りの原因が“水の混入”である場合と、“固形物の混入”である場合とでは、行うべき対策が異なる。従って、本実施形態の濁り判定装置(10)は、作動油の濁りの原因を判定することによって、油圧機器の使用者や管理者に対して、行うべき対策を判断するための情報を提供することができる。
【0156】
-実施形態1の特徴(5)-
ここで、カメラ(35)から被撮影部材(40)までの距離が変化すると、“作動油の濁りの程度”と“判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC”の相関関係が変化してしまう。一方、本実施形態の濁り判定装置(10)では、被撮影部材(40)が仕切り部材(31)を介して鞘管(30)に固定されており、カメラ(35)から被撮影部材(40)までの距離Lが一定に保たれる。そのため、実施形態の濁り判定装置(10)では、“作動油の濁りの程度”と“判定用画像(50)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC”の相関関係を一定に保つことができ、作動油の濁りの程度を正確に判定することができる。
【0157】
-実施形態1の特徴(6)-
濁り判定装置(10)では、被撮影部材(40)を貫通孔(43)の無い平板状に形成すると共に、被撮影部材(40)の上面に白色と黒色の領域を形成し、この黒色の領域によって判定用画像(50)の暗部(52)を形成することも可能である。しかし、この場合において、被撮影部材(40)の黒色の領域の上に白っぽい色の異物が載ると、判定部(25)が、判定用画像(50)の暗部(52)の階調値を、実際よりも高く誤判定するおそれがあり、その結果、作動油の濁りの程度を誤判定するおそれがある。
【0158】
これに対し、本実施形態の濁り判定装置(10)では、被撮影部材(40)の貫通孔(43)が、判定用画像(50)の暗部(52)を形成する。被撮影部材(40)の貫通孔(43)に異物が留まることは無い。そのため、判定部(25)は、判定用画像(50)の暗部(52)の階調値を正確に判定することができ、その結果、作動油の濁りの程度を正確に判定することができる。
【0159】
-実施形態1の特徴(7)-
カメラ(35)と被撮影部材(40)の間の判定用空間(32)に異物が入り込むと、その異物が判定用画像(50)に映り込むおそれがある。判定用画像(50)に被撮影部材(40)以外のものが映り込むと、色判定動作における作動油の色の判定結果と、濁り判定動作における作動油の濁りの程度の判定結果と、原因判定動作における作動油の濁りの原因の判定結果とが、不正確になるおそれがある。
【0160】
一方、本実施形態の濁り判定装置(10)では、カメラ(35)と被撮影部材(40)の間の判定用空間(32)が、金網状の仕切り部材(31)によって囲われる。そのため、判定用空間(32)に対する作動油の出入りを可能としつつ、比較的大きな異物が判定用空間(32)に入り込むのを防ぐことができる。従って、本実施形態の濁り判定装置(10)によれば、判定用空間(32)に入り込んだ異物に起因する誤判定の可能性を低減することができる。その結果、色判定動作における作動油の色の判定と、濁り判定動作における作動油の濁りの程度の判定と、原因判定動作における作動油の濁りの原因の判定とを、正確に行うことが可能となる。
【0161】
-実施形態1の変形例-
上記実施形態1の濁り判定装置(10)については、次のような変形例を適用してもよい。なお、以下の変形例は、濁り判定装置(10)の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0162】
〈第1変形例〉
被撮影部材(40)の色は、白色に限定されない。ただし、被撮影部材(40)のうち明部(51)を形成する部分の色は、明度の高い色であるのが望ましい。
【0163】
〈第2変形例〉
被撮影部材(40)のブリッジ部(42)の形状は、真っ直ぐな棒状に限定されない。例えば、図13に示すように、ブリッジ部(42)はX字状に形成されていてもよい。図13に示す被撮影部材(40)では、リング部(41)の内側に、X字状のブリッジ部(42)によって区切られた四つの貫通孔(43)が形成される。
【0164】
〈第3変形例〉
被撮影部材(40)は、貫通孔(43)が形成されない平板状の部材であってもよい。
【0165】
図14及び図15に示すように、本変形例の被撮影部材(40)では、撮像部(35)と向かい合う面に、白色領域(44)と黒色領域(45)とが形成される。白色領域(44)は、判定用画像(50)の明部(51)を形成する。黒色領域(45)は、判定用画像(50)の暗部(52)を形成する。
【0166】
図14に示す被撮影部材(40)において、カメラ(35)と向かい合う面は、白色領域(44)と黒色領域(45)に二等分される。図15に示す被撮影部材(40)において、カメラ(35)と向かい合う面には、それぞれ円環状の白色領域(44)と黒色領域(45)が、同心円状に交互に配置される。
【0167】
〈第4変形例〉
本実施形態の濁り判定装置(10)は、判定部(25)の濁り判定動作および原因判定動作において得られた判定結果を、例えばスマートフォン等の外部機器に表示させるように構成されていてもよい。この場合、濁り判定装置(10)は、スマートフォン等の外部機器と無線通信できるように構成される。
【0168】
《実施形態2》
実施形態2の濁り判定装置(10)について説明する。実施形態1の濁り判定装置(10)と同様に、本実施形態の濁り判定装置(10)は、濁り判定システム(15)でもある。
【0169】
図16に示すように、本実施形態の濁り判定装置(10)は、撮像ユニット(70)と、判定ユニット(80)とを備える。撮像ユニット(70)と判定ユニット(80)は、接続ケーブル(85)を介して電気的に接続される。撮像ユニット(70)と判定ユニット(80)は、接続ケーブル(85)を介して通信する。撮像ユニット(70)は、作動油タンク(60)に接続された戻り管(63)の途中に設けられる。戻り管(63)は、作動油が流れる油配管である。
【0170】
-撮像ユニット-
撮像ユニット(70)について、図17~21を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明における「上」「下」「右」「左」「前」「後」は、図17及び図18に示す方向を意味する。
【0171】
図17及び図18に示すように、撮像ユニット(70)は、ケース(71)を備える。ケース(71)の内部には、カメラ(35)、第1光源(36a)、第2光源(36b)、通路ブロック(73)、被撮影部材(40)、及びベース板(72)が収容される。また、通路ブロック(73)には、第1継手部材(75a)及び第2継手部材(75b)が接続される。
【0172】
〈ケース〉
ケース(71)は、直方体形状の箱状の部材である。図18に示すように、ケース(71)は、ケース本体(71a)とケース蓋(71b)とを備える。ケース蓋(71b)は、ケース本体(71a)の前側に配置され、ケース本体(71a)の開口部を覆う。図17に示すように、ケース(71)の側部(本実施形態では、右側部)には、接続ケーブル(85)を連結するためのカプラー(77)が設けられる。
【0173】
ケース(71)を構成するケース本体(71a)及びケース蓋(71b)の材質は、光を透過しない合成樹脂である。なお、ケース本体(71a)とケース蓋(71b)の一方または両方の材質は、金属であってもよい。
【0174】
〈ベース板〉
ベース板(72)は、長方形の厚板状の部材である。ベース板(72)の材質は、透明な合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)である。
【0175】
図17及び図18に示すように、ベース板(72)は、ケース本体(71a)に収容される。ベース板(72)は、ケース本体(71a)の底部と概ね平行となる姿勢で、ケース本体(71a)の底部に固定される。ベース板(72)は、その長辺が上下方向となる姿勢で、ケース本体(71a)の左右方向の中央部に配置される。
【0176】
〈被撮影部材〉
図21に示すように、本実施形態の被撮影部材(40)は、長方形のシート状の部材である。被撮影部材(40)の材質は、光を透過しない白色の合成樹脂である。
【0177】
被撮影部材(40)の表面には、判定用図形(46)が描かれている。本実施形態の判定用図形(46)は、黒色の格子状の図形である。この判定用図形(46)は、互いに一定の間隔をおいて配置された複数のやや太い黒い縦線と、互いに一定の間隔をおいて配置された複数のやや太い黒い横線とによって構成される。
【0178】
本実施形態の被撮影部材(40)では、黒色の判定用図形(46)が判定用画像(50)の暗部(52)を形成し、判定用図形(46)以外の白色の部分が判定用画像(50)の明部(51)を形成する。
【0179】
図18及び図20に示すように、シート状の被撮影部材(40)は、判定用図形(46)が描かれた面が前方を向く姿勢で、ベース板(72)の前面に貼り付けられる。被撮影部材(40)は、ベース板(72)の上下方向および左右方向の中央部に配置される。
【0180】
〈通路ブロック〉
通路ブロック(73)は、被撮影部材(40)とカメラ(35)の間に配置される中間部材である。
【0181】
通路ブロック(73)は、直方体形状のブロック状の部材である。通路ブロック(73)は、六つの側面を有する六面体である。通路ブロック(73)の各側面は、実質的に平坦面である。通路ブロック(73)において、対向する一対の側面は、実質的に平行である。通路ブロック(73)の材質は、透明な合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)である。
【0182】
図18及び図19に示すように、通路ブロック(73)には、作動油を流すための油通路(74)が形成される。油通路(74)は、通路ブロック(73)の長手方向(図18における上下方向)に延びる貫通孔である。油通路(74)の断面は、円形である。油通路(74)の一端は、通路ブロック(73)の一端面(図18における上端面)に開口する。油通路(74)の他端は、通路ブロック(73)の他端面(図18における下端面)に開口する。
【0183】
図18に示すように、通路ブロック(73)は、ベース板(72)の前方に配置される。通路ブロック(73)は、ベース板(72)に貼り付けられた被撮影部材(40)と密着する。図20に示すように、通路ブロック(73)は、被撮影部材(40)の全体を覆う。
【0184】
図18に示すように、通路ブロック(73)では、被撮影部材(40)と密着する後面が第1側面(73a)であり、被撮影部材(40)とは反対側の前面が第2側面(73b)である。通路ブロック(73)において、油通路(74)は、互いに平行な第1側面(73a)と第2側面(73b)の間に配置される。
【0185】
〈カメラ〉
本実施形態のカメラ(35)は、実施形態1のカメラ(35)と同様に、被撮影部材(40)の画像を取得する撮像部である。本実施形態のカメラ(35)は、レンズ(35a)を備え、カラー画像を取得する。
【0186】
図17及び図18に示すように、カメラ(35)は、支持板(76)を介してケース蓋(71b)に固定される。また、カメラ(35)は、カプラー(77)と電気的に接続される。
【0187】
ケース(71)の内部空間において、カメラ(35)は、通路ブロック(73)の前方に配置される。カメラ(35)のレンズ(35a)は、通路ブロック(73)の第2側面(73b)と向かい合う。図19にも示すように、カメラ(35)のレンズ(35a)は、第2側面(73b)のうち上下方向の中央付近の領域と向かい合う。
【0188】
カメラ(35)は、通路ブロック(73)の第2側面(73b)と向かい合い、通路ブロック(73)の向こう側に配置された被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。言い換えると、カメラ(35)は、通路ブロック(73)の第2側面(73b)側から見た被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。
【0189】
〈第1光源、第2光源〉
第1光源(36a)及び第2光源(36b)は、発光する光源(36)である。第1光源(36a)と第2光源(36b)のそれぞれは、白色LEDランプである。
【0190】
第1光源(36a)及び第2光源(36b)は、カメラ(35)と共に支持板(76)に固定される。また、第1光源(36a)及び第2光源(36b)は、カプラー(77)と電気的に接続される。
【0191】
ケース(71)の内部空間において、第1光源(36a)とカメラ(35)と第2光源(36b)とは、油通路(74)の伸長方向(図17及び図18における上下方向)に順に一列に並ぶ。図17及び図18において、第1光源(36a)はカメラ(35)の上方に配置され、第2光源(36b)はカメラ(35)の下方に配置される。
【0192】
〈第1継手部材、第2継手部材〉
図18及び図19に示すように、第1継手部材(75a)と第2継手部材(75b)のそれぞれは、金属製の円管状の部材である。
【0193】
第1継手部材(75a)は、図18におけるケース本体(71a)の上側の側部を貫通する。第1継手部材(75a)の一端部(図18における下端部)は、図18における通路ブロック(73)の上面における油通路(74)の開口部に挿し込まれる。第1継手部材(75a)の他端部(図18における上端部)は、作動油が流れる戻り管(63)に接続される。
【0194】
第2継手部材(75b)は、図18におけるケース本体(71a)の下側の側部を貫通する。第2継手部材(75b)の一端部(図18における上端部)は、図18における通路ブロック(73)の下面における油通路(74)の開口部に挿し込まれる。第2継手部材(75b)の他端部(図18における下端部)は、作動油が流れる戻り管(63)に接続される。
【0195】
-判定ユニット-
図16に示すように、判定ユニット(80)は、判定部(25)と表示部(21)とを備える。
【0196】
〈判定部〉
本実施形態の判定部(25)は、実施形態1の判定部(25)と同様に構成される。具体的に、本実施形態の判定部(25)は、CPU(26)と、メモリーデバイス(27)とを備える。
【0197】
本実施形態の判定部(25)は、実施形態1の判定部(25)と同じ動作を行う。具体的に、本実施形態の判定部(25)は、判定用画像(50)を用いて、色判定動作と、濁り判定動作と、原因判定動作とを行う。
【0198】
〈表示部〉
本実施形態の表示部(21)は、実施形態1の表示部(21)と同様に、一つ又は複数のLEDランプである。
【0199】
-濁り判定装置の動作-
濁り判定装置(10)の動作を説明する。
【0200】
濁り判定装置(10)は、撮像ユニット(70)を作動油が通過する状態において、後述する動作を行う。戻り管(63)を流れる作動油は、第1継手部材(75a)を通って通路ブロック(73)の油通路(74)へ流入し、油通路(74)を流れる。油通路(74)を通過した作動油は、第2継手部材(75b)を通って撮像ユニット(70)から流出し、再び戻り管(63)を通って作動油タンク(60)へ流入する。
【0201】
濁り判定装置(10)では、撮像部であるカメラ(35)が、被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する。また、濁り判定装置(10)では、判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、色判定動作と、濁り判定動作と、原因判定動作とを行う。判定部(25)は、色判定動作と濁り判定動作とを順に行う。また、判定部(25)は、濁り判定動作において作動油の濁りの程度が高い(言い換えると、作動油の状態が悪い)と判定した場合に、原因判定動作を行う。これらの動作は、実施形態1の濁り判定装置(10)が行う動作と同じである。
【0202】
〈判定用画像〉
上述したように、カメラ(35)は、被撮影部材(40)の画像を判定用画像(50)として取得する。カメラ(35)は、取得した判定用画像(50)を判定部(25)に送信する。判定部(25)は、カメラ(35)から受信した判定用画像(50)を、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれが256階調のカラー画像として、メモリーデバイス(27)に記憶させる。なお、ここに示したRGBの階調は、単なる一例である。
【0203】
第1光源(36a)及び第2光源(36b)が発した光は、透明な通路ブロック(73)を透過し、被撮影部材(40)に当たって反射する。被撮影部材(40)に当たって反射した光は、通路ブロック(73)と、油通路(74)を流れる作動油とを透過し、カメラ(35)に入射する。
【0204】
カメラ(35)が取得した判定用画像(50)の一例を、図22及び図23に示す。判定用画像(50)は、被撮影部材(40)の平面の画像である。被撮影部材(40)では、被撮影部材(40)の表面に描かれた黒色の判定用図形(46)に対応する部分が、明度が相対的に低い暗部(52)になる。また、被撮影部材(40)では、被撮影部材(40)の表面のうち判定用図形(46)以外の白色の領域に対応する部分が、明度が相対的に高い明部(51)になる。
【0205】
〈色判定動作〉
色判定動作について説明する。色判定動作は、“判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、作動油の色を判定する動作”である。
【0206】
図22に示すように、判定部(25)は、カラー画像である判定用画像(50)に四つの第1領域(56)を設定する。第1領域(56)は、判定用画像(50)の一部分であって、明部(51)だけを含む。なお、第1領域(56)の数は、単なる一例であり、一つであってもよい。判定部(25)は、判定用画像(50)のうち被撮影部材(40)の判定用図形(46)以外の領域に対応する部分に、第1領域(56)を設定する。
【0207】
判定部(25)は、ASTM色に基づいて、作動油の色を判定する。作動油の色を判定するための処理は、実施形態1の判定部(25)が行う処理と同じである。具体的に、判定部(25)は、全ての第1領域(56)を対象として、RGBそれぞれの階調値の平均値を算出する。そして、判定部(25)は、算出した第1領域(56)に関するRGBそれぞれの階調値の平均値に基づいて、作動油の色が「透明」「黄色」「山吹色」「黒色」のどれに該当するかを判定する。
【0208】
〈濁り判定動作〉
濁り判定動作について説明する。濁り判定動作は、“判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、作動油の濁りの程度を判定する動作”である。
【0209】
本実施形態の判定部(25)が行う濁り判定動作は、実施形態1の判定部(25)が行う濁り判定動作と同じである。ただし、本実施形態の判定部(25)が濁り判定動作において設定する第2領域(57)は、実施形態1の判定部(25)が濁り判定動作において設定する第2領域(57)と異なる。
【0210】
本実施形態の判定部(25)が濁り判定動作において設定する第2領域(57)について、図23を参照しながら説明する。
【0211】
第2領域(57)は、判定用画像(50)の一部分である。第2領域(57)は、判定用画像(50)に写り込んだ判定用図形(46)の左右方向の中央に位置する直線状の領域である。第2領域(57)は、判定用画像(50)に写り込んだ判定用図形(46)のうち、通路ブロック(73)の第2側面(73b)側から見て油通路(74)と重なる部分に位置する。
【0212】
第2領域(57)は、判定用図形(46)を構成する複数の横線を横断する。従って、第2領域(57)では、判定用図形(46)によって形成された暗部(52)と、被撮影部材(40)のうち判定用図形(46)以外の部分によって形成された明部(51)とが、第2領域(57)の一端から他端に向かって交互に現れる。
【0213】
濁り判定動作において、本実施形態の判定部(25)は、実施形態1の判定部(25)と同様に、第2領域(57)における明部(51)と暗部(52)の階調差ΔVC(=VC1-VC2)を算出し、算出した階調差ΔVCが、図11に示すレベルのどれに属するかを判定する。そして、判定部(25)は、階調差ΔVCが属するレベルに応じて、作動油の濁りの程度が“実質的に無い”と“低い”と“高い”のどれに該当するかを判定する。
【0214】
〈原因判定動作〉
判定部(25)は、“作動油の濁りの程度が高く、作動油が使用に適さない状態である”と判定した場合に、原因判定動作を行う。原因判定動作は、“判定部(25)が、判定用画像(50)に基づいて、作動油の濁りの原因を判定する動作”である。
【0215】
原因特定動作において、本実施形態の判定部(25)は、実施形態1の判定部(25)と同様に、判定用画像(50)の第2領域(57)における階調値の平均値VC_aveを算出し、算出した第2領域(57)の階調値の平均値VC_aveを基準階調値と比較することによって、作動油の濁りの原因を判定する。
【0216】
具体的に、本実施形態の判定部(25)は、第2領域(57)の階調値の平均値VC_aveが基準階調値よりも高い場合(VC_max(n)<VC_ave)、作動油の濁りの原因が“水の混入”であると判定する。また、本実施形態の判定部(25)は、第2領域(57)の階調値の平均値VC_aveが基準階調値以下である場合(VC_ave≦VC_max(n))、作動油の濁りの原因が“スラッジ等の固形物の混入”であると判定する。
【0217】
-濁り判定装置の動作の全体的な流れ-
本実施形態の濁り判定装置(10)の動作の全体的な流れは、図12のフロー図に示す実施形態1の濁り判定装置(10)の動作の全体的な流れと同じである。本実施形態の濁り判定装置(10)は、色判定動作と、濁り判定動作と、原因判定動作とを行い、濁り判定動作および原因判定動作によって得られた結果を、LEDランプによって構成された表示部(21)に表示させる。
【0218】
-実施形態2の特徴(1)-
実施形態1の濁り判定装置(10)と同様に、本実施形態の濁り判定装置(10)は、濁り判定の対象となる作動油が撮像部(35)と被撮影部材(40)の間に在れば、作動油の濁りの程度を判定できる。そのため、この濁り判定装置(10)を用いれば、作動油の検査用サンプルを油圧機器から採取せずに、作動油の濁りの程度を判定できる。
【0219】
特に、本実施形態の濁り判定装置(10)は、戻り管(63)を通って作動油タンク(60)に戻る作動油の濁りの程度を判定する。そのため、実際に使用されている作動油の状態を継続的に判定し、作動油の状態が悪化した場合には速やかに油圧機器の使用者や管理者に報知することが可能となる。従って、本実施形態の濁り判定装置(10)によれば、劣化した作動油を使い続けることに起因する油圧機器のトラブルの防止に役立つ情報を、油圧機器の使用者や管理者に提供することができる。
【0220】
また、本実施形態の濁り判定装置(10)によれば、実施形態1の濁り判定装置(10)と同様の効果が得られる。
【0221】
-実施形態2の特徴(2)-
本実施形態の濁り判定装置(10)では、濁り判定の対象となる作動油が通路ブロック(73)に形成された油通路(74)を流れ、通路ブロック(73)の外部にカメラ(35)と被撮影部材(40)とが配置される。そのため、本実施形態の濁り判定装置(10)では、濁り判定の対象となる作動油が、被撮影部材(40)及びカメラ(35)と接触しない。
【0222】
ここで、作動油に含まれる異物が被撮影部材(40)又はカメラ(35)に付着すると、作動油の状態を正確に反映した判定用画像(50)を得られなくなり、作動油の状態を誤判定するおそれがある。
【0223】
一方、本実施形態の濁り判定装置(10)では、濁り判定の対象となる作動油が被撮影部材(40)及びカメラ(35)と接触しないため、作動油に含まれる異物は、被撮影部材(40)及び撮像部(35)に付着しない。従って、本実施形態によれば、作動油の状態の判定の精度を向上させることができる。
【0224】
-実施形態2の特徴(3)-
本実施形態の濁り判定装置(10)において、被撮影部材(40)が接する通路ブロック(73)の第1側面(73a)は、平坦面である。カメラ(35)は、通路ブロック(73)の第2側面(73b)と向かい合い、通路ブロック(73)の向こう側に配置された被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。通路ブロック(73)の第2側面(73b)は、第1側面(73a)と平行な平坦面である。そのため、歪みが比較的少ない被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)としてカメラ(35)に取得させることができる。
【0225】
従って、本実施形態によれば、歪みの少ない判定用画像(50)を用いて濁り判定装置(10)に作動油の状態を判定させることができ、作動油の状態の判定の精度を向上させることができる。
【0226】
-実施形態2の特徴(4)-
本実施形態の濁り判定装置(10)では、被撮影部材(40)とカメラ(35)と通路ブロック(73)と第1光源(36a)と第2光源(36b)とが、ケース(71)の中に配置される。ケース(71)は、光を透過しない。ケース(71)の内部において、カメラ(35)は、第1光源(36a)及び第2光源(36b)が発した光だけを受けた被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。そのため、カメラ(35)は、ケース(71)の外部の光の影響を受けること無く、被撮影部材(40)の画像を取得できる。
【0227】
従って、本実施形態の濁り判定装置(10)によれば、作動油の状態を正確に反映した判定用画像(50)を用いて作動油の状態を判定することができ、作動油の状態の判定の精度を向上させることができる。
【0228】
-実施形態2の特徴(5)-
本実施形態の濁り判定装置(10)では、ケース(71)の内部空間において、第1光源(36a)とカメラ(35)と第2光源(36b)とが、直線状の油通路(74)に沿って一列に並ぶ。カメラ(35)は、第1光源(36a)と第2光源(36b)のそれぞれが発した光を受けた被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得する。そのため、カメラ(35)は、強度が比較的均一な光を受けた被撮影部材(40)の画像を、判定用画像(50)として取得することができる。
【0229】
被撮影部材(40)に当たる光の強度が均一であれば、作動油の状態を正確に反映した判定用画像(50)を、カメラ(35)に取得させることができる。従って、本実施形態の濁り判定装置(10)によれば、作動油の状態を正確に反映した判定用画像(50)を用いて作動油の状態を判定することができ、作動油の状態の判定の精度を向上させることができる。
【0230】
-実施形態2の変形例-
上記実施形態2の濁り判定装置(10)については、次のような変形例を適用してもよい。なお、以下の変形例は、濁り判定装置(10)の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0231】
〈第1変形例〉
図18に示すように、本実施形態の濁り判定装置(10)の撮像ユニット(70)では、カメラ(35)のレンズ(35a)が通路ブロック(73)の第2側面(73b)から離れている。しかし、撮像ユニット(70)におけるカメラ(35)と通路ブロック(73)の配置は、図18に示す配置に限定されない。
【0232】
例えば、撮像ユニット(70)において、カメラ(35)は、そのレンズ(35a)が通路ブロック(73)の第2側面(73b)に接するように配置されていてもよい。また、図24に示すように、カメラ(35)のレンズ(35a)の先端部に円筒状のレンズフード(38)が設けられていてもよい。この場合、レンズフード(38)の先端部(レンズ(35a)とは逆側の端部)が通路ブロック(73)の第2側面(73b)に接触するような位置に、カメラ(35)を配置するのが望ましい。
【0233】
レンズ(35a)又はレンズフード(38)が通路ブロック(73)の第2側面(73b)に接触した状態において、通路ブロック(73)の第2側面(73b)で反射した光は、カメラ(35)に入射しない。そのため、カメラ(35)は、通路ブロック(73)の第2側面(73b)で反射した光の影響を受けない状態で、被撮影部材(40)の画像を取得することができる。従って、本変形例の濁り判定装置(10)によれば、作動油の状態を正確に反映した判定用画像(50)を用いて作動油の状態を判定することができ、作動油の状態の判定の精度を向上させることができる。
【0234】
〈第2変形例〉
本実施形態の濁り判定装置(10)において、被撮影部材(40)に描かれた判定用図形(46)は、図21に示す格子状の図形に限定されない。
【0235】
例えば、判定用図形(46)は、図25又は図26に示す図形であってもよい。図25及び図26に示す判定用図形(46)は、長方形状の一つの枠と、互いに平行な複数の横線とによって構成される。これらの判定用図形(46)において、複数の横線は、一定の間隔をおいて配置される。図25に示す判定用図形(46)において、複数の横線は、枠の短辺と実質的に平行である。図26に示す判定用図形(46)において、複数の横線は、枠の短辺に対して傾斜している。
【0236】
〈第3変形例〉
図27に示すように、本実施形態の濁り判定装置(10)では、撮像ユニット(70)に判定部(25)と表示部(21)とが設けられていてもよい。本変形例の濁り判定装置(10)では、判定部(25)がケース(71)の内部空間に配置され、表示部(21)がケース(71)の外面に配置され、判定ユニット(80)が省略される。
【0237】
〈第4変形例〉
本実施形態の濁り判定装置(10)は、判定部(25)の濁り判定動作および原因判定動作において得られた判定結果を、例えばスマートフォン等の外部機器に表示させるように構成されていてもよい。この場合、濁り判定装置(10)は、スマートフォン等の外部機器と無線通信できるように構成される。
【0238】
〈第5変形例〉
図16において、濁り判定装置(10)の撮像ユニット(70)は、第1継手部材(75a)が上方に位置して第2継手部材(75b)が下方に位置する姿勢で、戻り管(63)に設置される。しかし、戻り管(63)に設置された状態の撮像ユニット(70)の姿勢は、図16に示す姿勢に限定されない。撮像ユニット(70)の姿勢は、例えば、第1継手部材(75a)及び第2継手部材(75b)の伸長方向が概ね水平方向となる姿勢であってもよいし、第1継手部材(75a)及び第2継手部材(75b)の伸長方向が鉛直方向に対して傾斜した姿勢であってもよい。
【0239】
《その他の実施形態》
上記実施形態1及び2の濁り判定装置(10)については、次のような変形例を適用してもよい。なお、以下の変形例は、濁り判定装置(10)の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0240】
-第1変形例-
上記実施形態1及び2の濁り判定装置(10)において、判定部(25)は、アプリケーションプログラムを実行する汎用のコンピュータによって構成されていてもよい。この明細書において、「コンピュータ」は、「計算の手順(アルゴリズム)を記述したプログラムを記憶し、記憶するプログラムに従って計算を実行する機械」を指す。従って、この明細書の「コンピュータ」は、大型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等を含む。
【0241】
図28は、本変形例を適用した実施形態2の濁り判定装置(10)を示す。この濁り判定装置(10)は、濁り判定システム(15)でもある。図28に示す濁り判定装置(10)では、判定ユニット(80)が省略され、スマートフォン(92)が判定部(25)を構成する。
【0242】
図28に示す濁り判定装置(10)では、撮像ユニット(70)が通信モジュール(91)を備える。通信モジュール(91)は、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に基づく無線通信を行う。本変形例の撮像ユニット(70)は、カメラ(35)が取得した判定用画像(50)を、インターネット等の通信回線(93)を介して、判定部(25)を構成するスマートフォン(92)に送信する。
【0243】
スマートフォン(92)には、スマートフォン(92)を判定部(25)及び表示部(21)として機能させるためのアプリケーションプログラムがインストールされている。判定部(25)として機能するスマートフォン(92)は、判定用画像(50)に基づいて作動油の状態を判定し、判定した結果をスマートフォン(92)のディスプレイに表示する。本変形例では、スマートフォン(92)のディスプレイが、表示部(21)を構成する。
【0244】
-第2変形例-
上記実施形態1及び2の濁り判定装置(10)において、判定部(25)は、いわゆる機械学習によって作動油の状態を判定するように構成されていてもよい。
【0245】
本変形例の濁り判定装置(10)において、判定部(25)のメモリーデバイス(27)には、学習済みモデルが記録される。この学習モデルは、様々な状態の作動油を対象とする多数の判定用画像(50)を入力データとして用い、各判定用画像(50)に対応する作動油の状態を教師データとして用いた機械学習によって、生成される。
【0246】
本変形例の判定部(25)は、カメラ(35)が取得した判定用画像(50)を学習済みモデルに入力することによって、作動油の濁りの程度が“実質的に無い”、“低い”及び“高い”のどれに該当するのかを判定すると共に、作動油の濁りの程度が“高い”に該当する場合は、作動油の濁りの原因が“水の混入”と“固形物の混入”のどちらなのかを判定する。
【0247】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書および特許請求の範囲の「第1」及び「第2」という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0248】
以上説明したように、本開示は、作動油の濁りの程度を判定する濁り判定装置及び濁り判定システムについて有用である。
【符号の説明】
【0249】
10 濁り判定装置
15 濁り判定システム
25 判定部
31 仕切り部材
35 カメラ(撮像部)
36 光源
36a 第1光源
36b 第2光源
40 被撮影部材
43 貫通孔
50 判定用画像
51 明部
52 暗部
56 第1領域
57 第2領域
71 ケース
73 中間部材
73a 第1側面
73b 第2側面
74 油通路
75a 第1継手部材
75b 第2継手部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28