(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-08
(45)【発行日】2025-07-16
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250709BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20250709BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/0631
(21)【出願番号】P 2022010716
(22)【出願日】2022-01-27
【審査請求日】2024-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石塚 雄大
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-60644(JP,A)
【文献】特開2020-52524(JP,A)
【文献】特開2022-23571(JP,A)
【文献】特開2021-189149(JP,A)
【文献】特開2001-163403(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116438558(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゴミ収集地点それぞれについてのゴミ収集を行うゴミ収集車両と前記ゴミ収集地点への到着予定時刻とを示す収集計画に基づいて、前記ゴミ収集地点への到着時刻が前記到着予定時刻よりも遅い前記ゴミ収集車両である遅延車両と、前記ゴミ収集地点への到着時刻が前記到着予定時刻よりも遅くない前記ゴミ収集車両である不遅延車両と、を特定する特定部と、
前記遅延車両と、前記不遅延車両と、について、前記収集計画を修正する修正部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記不遅延車両は、前記ゴミ収集地点への到着時刻が、前記収集計画が示す前記到着予定時刻よりも早い前記ゴミ収集車両である請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記遅延車両は、前記ゴミ収集地点への到着時刻が前記収集計画の示す前記到着予定時刻よりも既定の閾値以上に遅い前記ゴミ収集車両である請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記閾値は、ゴミ収集の開始時刻からの経過期間が長いほど大きい値となる請求項3に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴミ収集業務を支援する技術がある。特許文献1には、各収集地点での産出量に応じて各ゴミ収集車両が効率良く荷物コンテナを満載するような収集ルートを動的に定める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のゴミ収集地点を、作業員が乗車する複数のゴミ収集車両で回るゴミ収集業務において、ゴミ収集車両ごとにルートが予め定められる場合がある。このような場合、複数のゴミ収集車両それぞれの作業終了時刻がばらつく可能性があるという問題がある。例えば、あるゴミ収集車両は、予定時間よりも早く作業を終了し、他のゴミ収集車両は、予定時間よりも遅く作業を終了する場合がある。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、ゴミ収集車両の作業終了時刻のばらつきの軽減に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、情報処理システムは、複数のゴミ収集地点それぞれについてのゴミ収集を行うゴミ収集車両とゴミ収集の予定時刻とを示す収集計画に基づいて、前記ゴミ収集地点への到着時刻が前記予定時刻よりも遅い前記ゴミ収集車両である遅延車両と、前記ゴミ収集地点への到着時刻が、前記収集計画が示す前記予定時刻よりも遅くない前記ゴミ収集車両である不遅延車両と、を特定する特定部と、前記遅延車両と、前記不遅延車両と、について、前記収集計画を修正する修正部と、を備える。
【0006】
情報処理システムは、ゴミ収集地点への到着時刻が予定よりも遅い遅延車両と、遅延していない不遅延車両と、について収集計画を修正する。これにより、情報処理システムは、遅延車両の遅延分を不遅延車両がフォローするように、収集計画を修正することで、ゴミ収集車両の作業終了時刻のばらつきの軽減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ゴミ収集支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2Aは、位置情報の一例を示す図であり、
図2Bは、コストテーブルの一例を示す図である。
【
図5】修正処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ゴミ収集支援システムの構成:
(2)修正処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)ゴミ収集支援システムの構成:
図1は、本実施形態にかかるゴミ収集支援システム10の構成の一例を示す図である。ゴミ収集支援システム10は、複数のゴミ収集車両を用いて複数のゴミ収集地点を回るゴミ収集業務において、ゴミ収集車両それぞれのルートを決定してゴミ収集業務を支援するシステムである。
ゴミ収集支援システム10は、管理者端末100と、情報処理システム200と、複数の作業員端末300と、を含む。
管理者端末100は、ゴミ収集作業を管理する管理者が用いる端末であり、情報処理システム200への各種指示、各ゴミ収集車両の作業状況の確認等に用いられ、ディスプレイや操作入力部等を備えている。情報処理システム200は、複数のゴミ収集車両についての収集計画を生成し、収集計画に応じたルートを各作業員端末300に通知する。収集計画とは、ゴミ収集の計画であって、本実施形態では、複数のゴミ収集地点それぞれについて、どのゴミ収集車両がどの時刻に巡回するかを示す情報である。作業員端末300は、ゴミ収集車両に乗る作業員が保持する端末である。本実施形態では、ゴミ収集車両1台につき、1台の作業員端末300が携行される。
【0010】
情報処理システム200と作業員端末300とのハードウェア構成について説明する。
情報処理システム200は、制御部210と、通信部220と、記憶媒体230と、を備える。制御部210は、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、記憶媒体、ROM等に記憶される各種プログラムを実行することで、情報処理システム200を制御する。通信部220は、管理者端末100、作業員端末300等の外部の装置との間での通信に用いられる回路を備える。
【0011】
記憶媒体230は、収集支援プログラム211等の各種プログラム、位置情報230a、コストテーブル230b、収集計画230c、地図情報230d等を記憶する。
位置情報230aは、ゴミ収集の対象となる複数のゴミ収集地点、ゴミ収集を行う複数のゴミ収集車両それぞれの出発地点及び終了地点それぞれの位置情報である。本実施形態では、ゴミ収集を行う複数のゴミ収集車両は、同じ出発地点から出発し、最終的に同じ終了地点に到着する。以下では、複数のゴミ収集地点、ゴミ収集を行う複数のゴミ収集車両それぞれの出発地点及び終了地点の各地点を、拠点とする。
図2Aに、位置情報230aの一例を示す。本実施形態では、位置情報230aが示す各拠点の位置情報は、S
*(X*、Y*)等のように、拠点の識別情報(S
*)と、拠点の位置((X*、Y*))と、が対応づけられた情報である。ここで、*は、何れの拠点であるかを示す添字であり、A、B、C・・・の何れかである。
【0012】
コストテーブル230bは、拠点間の移動コストを記憶するためのテーブルである。本実施形態では、コストテーブル230bは、拠点の中から2個の地点を選択して得られる組み合わせの全てについての、拠点間の移動コストを示す。
図2B、コストテーブル230bの一例を示す。
図2Bの例では、コストテーブル230bには、移動コストの情報として、何れの拠点間であるかを示す情報(S
*1→S
*2)と、対応する拠点間の移動コストを示す(C
*1*2)と、の対応情報が記憶される。移動コストとは、対応する区間の移動にかかる負担の程度を示す指標値であり、本実施形態では、ゴミ収集車両による区間の移動にかかる期間である。例えば、拠点S
Aと拠点S
Bとの拠点間については、(S
A→S
B:C
AB)という情報が記憶される。
【0013】
収集計画230cは、収集計画を示す情報であり、後述する生成部の機能により生成される。本実施形態では、収集計画230cは、各ゴミ収集車両が、どのゴミ収集地点を、どの到着予定時刻に巡回するかを示す情報である。
地図情報230dは、全ての拠点を包含する領域の地図を示す。本実施形態では、地図情報230dは、ノードデータ、形状補間点データ、リンクデータ、道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含む。リンクデータにはリンクデータが示す道路区間毎の移動コストを示す情報が対応付けられている。
【0014】
作業員端末300は、制御部310と、通信部320と、UI(User Interface)部330と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部340と、を備える。また、作業員端末300は、各種プログラム、各種データを記憶する記憶媒体を備える。制御部210は、プロセッサ、RAM、ROM等を備え、記憶媒体、ROM等に記憶される各種プログラムを実行することで、作業員端末300を制御する。通信部320は、情報処理システム200等の外部の装置との間での通信に用いられる回路を備える。UI部330は、タッチパネルの操作部、ハードボタン等の情報の入力部と、タッチパネルの表示部、ディスプレイ等の情報の表示部と、を備える。GNSS受信部340は、位置測定用の衛星からの信号を受信する。
【0015】
続いて、情報処理システム200と作業員端末300との機能について説明する。
情報処理システム200の制御部210は、記憶媒体230に記憶された収集支援プログラム211を実行することで、生成部211a、ルート探索部211b、特定部211c、修正部211dとして機能する。
生成部211aは、収集計画を生成する機能である。制御部210は、生成部211aの機能により、記憶媒体230に記憶されたコストテーブル230bに基づいて、複数のゴミ収集車両それぞれについての拠点の巡回順を決定する。より具体的には、制御部210は、以下のようにする。本実施形態では、拠点間の移動にかかる移動コストに関する目的関数が設定されている。本実施形態では、この目的関数は、複数のゴミ収集車両の移動コストの合計が大きくなるほど値が大きくなる関数である。制御部210は、既定の配送計画問題の公知のアルゴリズムを用いて、既定の制約のもと、複数のゴミ収集車両それぞれについて、巡回する拠点、及び、拠点の巡回順を決定する。この既定の制約は、複数のゴミ収集車両それぞれが同一の時刻に出発し、全てのゴミ収集地点を何れか1台のゴミ収集車両が巡回し、既定の期間内にゴミ収集の終了地点に到着するという制約である。より具体的には、制御部210は、コストテーブル230bが示す各拠点間の移動コストと、この目的関数と、に基づいて、複数のゴミ収集車両それぞれについて、この目的関数を最小化するように、ゴミ収集車両が巡回する拠点と、拠点の巡回順を決定する。
【0016】
制御部210は、決定した複数のゴミ収集車両についての巡回する拠点、及び、拠点の巡回順に基づいて、各拠点について、巡回するゴミ収集車両を特定する。また、制御部210は、決定した複数のゴミ収集車両についての拠点の巡回順と、コストテーブル230bが示す各拠点間の移動コスト(各拠点間の移動にかかる期間)と、に基づいて、各拠点におけるゴミ収集車両の到着予定時刻を特定する。より具体的には、制御部210は、あるゴミ収集車両が最初に巡回するゴミ収集地点における到着予定時刻として、ゴミ収集の開始時刻に、ゴミ収集の開始地点からこのゴミ収集地点までの移動コストが示す期間を加えた時刻を特定する。また、制御部210は、このゴミ収集車両が次に巡回するゴミ収集地点における到着予定時刻として、最初に巡回するゴミ収集地点における到着予定時刻に、最初に巡回するゴミ収集地点から次に巡回するゴミ収集地点までの移動コストが示す期間を加えた時刻を特定する。このように、制御部210は、ある拠点におけるゴミ収集車両の到着予定時刻として、この拠点に到着するまでに、このゴミ収集車両が移動した全ての拠点間の移動コストが示す期間の合計を、ゴミ収集の開始時刻に加えた時刻を特定する。制御部210は、ゴミ収集車両それぞれについて、巡回する拠点と、拠点への到着予定時刻と、の情報を、収集計画230cとして記憶媒体230に記憶する。
【0017】
ルート探索部211bは、複数のゴミ収集車両それぞれについて、巡回する拠点間のルートを探索する機能である。
制御部210は、ルート探索部211bの機能により、収集計画230cに基づいて、各ゴミ収集車両について、以下の処理を行う。すなわち、制御部210は、ゴミ収集車両の拠点の巡回順を特定する。制御部210は、位置情報230aに基づいて、ゴミ収集車両が巡回する拠点の位置を特定する。制御部210は、特定した位置と、地図情報230dと、に基づいて、ゴミ収集車両が巡回する各拠点間の経路(ルート)を探索する。より具体的には、制御部210は、既定の経路探索アルゴリズムによって、選択した移動地点の一方から他方までのルートであって、移動コストが最も低くなるルートを探索する。制御部210は、探索した各拠点間のルートの情報を、ゴミ収集車両の搭乗者に携行される作業員端末300に送信する。作業員端末300では、送信されたルートの情報に基づいて、ゴミ収集車両が移動するルートが表示される。
【0018】
特定部211cは、収集計画230cに基づいて、ゴミ収集地点への到着時刻が到着予定時刻よりも遅いゴミ収集車両である遅延車両と、ゴミ収集地点への到着時刻が到着予定時刻よりも遅くないゴミ収集車両である不遅延車両と、を特定する機能である。
制御部210は、特定部211cの機能により、周期的に、複数のゴミ収集車両それぞれの搭乗者に携行される作業員端末300それぞれから、作業員端末300の位置情報をゴミ収集車両の位置情報として取得する。制御部210は、取得したゴミ収集車両の位置情報が示す位置と、このゴミ収集車両が巡回するゴミ収集地点の位置と、の距離が既定の閾値(例えば、10m、30m、50m等)である場合、ゴミ収集車両がゴミ収集地点に到着したと判断する。以下では、この閾値を距離閾値とする。制御部210は、ゴミ収集車両がゴミ収集地点に到着したと判断した場合、このゴミ収集地点における巡回が完了したと判断する。また、制御部210は、現時刻(処理時刻)を、このゴミ収集車両のこのゴミ収集地点への到着時刻として特定する。制御部210は、記憶媒体230、RAM等に巡回が完了したゴミ収集地点の情報を記憶する。以下では、この情報を、完了情報とする。また、特定部211cは、ゴミ収集車両がゴミ収集地点に到着したと判断した場合、特定した到着時刻と、収集計画230cが示す到着予定時刻と、を比較する。本実施形態では、制御部210は、特定した到着時刻が到着予定時刻よりも既定の閾値(以下では、期間閾値とする)以上に遅い場合、ゴミ収集に遅延が生じたと判断し、対応するゴミ収集車両を、遅延車両として特定する。本実施形態では、期間閾値は、ゴミ収集の開始時刻から、対応するゴミ収集地点への到着予定時刻までの期間の10%の期間であるとする。また、制御部210は、特定した到着時刻が到着予定時刻よりも期間閾値以上に遅くない場合、ゴミ収集に遅延が生じていないと判断し、対応するゴミ収集車両を、不遅延車両として特定する。
【0019】
修正部211dは、特定部211cの機能により特定された遅延車両と不遅延車両とについて、収集計画230cを修正する機能である。
制御部210は、修正部211dの機能により、遅延車両及び不遅延車両が特定部211cの機能により特定されている場合、遅延車両と不遅延車両とから取得した位置情報に基づいて、遅延車両と不遅延車両との位置それぞれを特定する。また、制御部210は、収集計画230cと完了情報とに基づいて、特定した遅延車両と不遅延車両とにより巡回される拠点のうち、巡回されていない拠点を特定する。以下では、ここで、特定された拠点を、未到着拠点とする。
【0020】
制御部210は、位置情報230aと地図情報230dと、に基づいて、遅延車両と不遅延車両との位置それぞれから、未到着拠点それぞれへの各ルートを探索し、探索したルートの移動期間を、このルートの移動コストとして特定する。また、制御部210は、コストテーブル230bから、未到着拠点間の移動コストを特定する。制御部210は、遅延車両と不遅延車両との位置、及び、未到着拠点それぞれの間の移動コストに基づいて、遅延車両と不遅延車両それぞれについての巡回する未到着拠点、及び、巡回順を決定する。より具体的には、制御部210は、既定の配送計画問題の公知のアルゴリズムを用いて、既定の制約のもと、遅延車両及び不遅延車両それぞれについて、巡回する拠点、及び、拠点の巡回順を決定する。この制約は、遅延車両と不遅延車両それぞれが現時刻(処理時刻)に出発し、未到着拠点が示す全てのゴミ収集地点を何れか1台のゴミ収集車両が巡回し、既定の期間内にゴミ収集の終了地点に到着するという制約である。制御部210は、遅延車両と不遅延車両との位置、及び、未到着拠点それぞれの間の移動コストと、この目的関数と、に基づいて、この目的関数を最小化するように、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれについて、巡回する拠点と、拠点の巡回順を決定する。
【0021】
制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれについて決定した巡回する拠点と拠点の巡回順とに基づいて、収集計画230cを修正する。より具体的には、制御部210は、決定した複数のゴミ収集車両についての拠点の巡回順と、コストテーブル230bが示す各拠点間の移動コスト(各拠点間の移動にかかる期間)と、に基づいて、以下の処理を行う。制御部210は、未到着拠点の各拠点についての巡回するゴミ収集車両、及び、ゴミ収集車両の到着予定時刻を特定する。そして、制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれが、特定した拠点を、特定した到着予定時刻に巡回することを示すように、収集計画230cを修正する。
【0022】
制御部210は、収集計画230cを修正した場合、ルート探索部211bの機能により、遅延車両と不遅延車両とについて、未到着拠点を巡回するルートを探索する。より具体的には、制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれの位置と、未到着拠点それぞれの位置と、地図情報230dと、に基づいて、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれが巡回する各拠点間のルートを探索する。より具体的には、制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれについて、ゴミ収集車両の位置から巡回順で最初の拠点までのルート、最初の拠点から次の拠点までのルート、・・・と探索する。制御部210は、既定の経路探索アルゴリズムによって、拠点の一方から他方までのルートであって、移動コストが最も低くなるルートを探索する。制御部210は、探索した各拠点間のルートの情報を、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれの搭乗者に携行される作業員端末300それぞれに送信する。作業員端末300では、送信されたルートの情報に基づいて、修正された収集計画230cゴミ収集車両が移動するルートが表示される。
【0023】
ここで、
図3、4を用いて、ゴミ収集車両Aとゴミ収集車両Bとの2台で、ゴミ収集を行う場合における、特定部211c、修正部211dに係る処理について説明する。ここで、収集計画230cは、
図3のように、ゴミ収集車両Aが、12:00をゴミ収集の開始時刻として、ゴミ収集地点1~4を、それぞれ到着予定時刻13:00、14:00、14:30、15:00に巡回することを示すとする。また、収集計画230cは、
図3のように、ゴミ収集車両Bが、12:00をゴミ収集の開始時刻として、ゴミ収集地点5~6をそれぞれ到着予定時刻14:00、15:00に巡回することを示すとする。このように、ゴミ収集車両A、Bそれぞれは、最後のゴミ収集地点に15:00に到着する予定である。
【0024】
ゴミ収集車両Aがゴミ収集地点1に到着予定時刻13:00よりも遅れて13:30に到着したとする。この場合、ゴミ収集車両Aは、開始地点から本来60分かかるところを、90分かかっている。また、ゴミ収集車両Bは、到着予定時刻14:00よりも早い13:30に、ゴミ収集地点5に到着したとする。この場合、ゴミ収集車両Bは、開始地点から本来120分かかるところを、90分で到着したとする。このような場合、ゴミ収集車両Aは、ゴミ収集の完了時刻が予定よりも遅くなり、ゴミ収集車両Aは、ゴミ収集の完了時刻が予定よりも早くなる。これにより、ゴミ収集車両ごとにゴミ収集の完了時刻にばらつきが生じてしまう。
【0025】
ゴミ収集車両Aがゴミ収集地点1に到着した際の到着時刻と、到着予定時刻の差(到着時刻13:30-到着予定時刻13:00)=30分が、期間閾値(到着予定時刻13:00-開始時刻12:00)×10%=6分よりも大きい。そのため、制御部210は、特定部211cの機能により、ゴミ収集車両Aを遅延車両として特定する。
【0026】
また、ゴミ収集車両Bがゴミ収集地点5に到着した際の到着時刻と、到着予定時刻の差(到着時刻13:30-到着予定時刻14:00)=-30分が、期間閾値(到着予定時刻14:00-開始時刻12:00)×10%=12分よりも小さい。そのため、制御部210は、特定部211cの機能により、ゴミ収集車両Bを不遅延車両として特定する。
【0027】
制御部210は、修正部211dの機能により、遅延車両と不遅延車両との位置それぞれを特定する。また、制御部210は、収集計画230cと完了情報とに基づいて、特定した遅延車両と不遅延車両とにより巡回される拠点のうち、巡回されていない拠点であるゴミ収集地点2~4、6及びゴミ収集の終了地点を、未到着拠点として特定する。制御部210は、遅延車両と不遅延車両との位置それぞれから、未到着拠点それぞれへの各ルートを探索し、探索したルートの移動期間を、このルートの移動コストとして特定する。また、制御部210は、コストテーブル230bから、未到着拠点間の移動コストを特定する。制御部210は、遅延車両と不遅延車両との位置、及び、未到着拠点それぞれの間の移動コストに基づいて、遅延車両と不遅延車両それぞれについての巡回する未到着拠点、及び未到着拠点の巡回順を決定する。ここでは、制御部210は、ゴミ収集車両Aが巡回する未到着拠点として、ゴミ収集地点3~4及び、ゴミ収集の終了地点を決定し、巡回順として、ゴミ収集地点3、ゴミ収集地点4、ゴミ収集の終了地点の順を決定する。また、制御部210は、ゴミ収集車両Bが巡回する未到着拠点として、ゴミ収集地点2、6及び、ゴミ収集の終了地点を決定し、巡回順として、ゴミ収集地点2、ゴミ収集地点6、ゴミ収集の終了地点の順を決定する。
【0028】
制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれについて決定した巡回する拠点と拠点の巡回順とに基づいて、収集計画230cを修正する。修正された収集計画230cが示すゴミ収集車両A、Bのゴミ収集の予定を
図4に示す。
図4に示すように、元々ゴミ収集車両Aが巡回予定だったゴミ収集地点2にゴミ収集車両Bが巡回することとなる。また、ゴミ収集車両A、Bの何れも、最後のゴミ収集地点に15:00に到着予定となっている。このように、制御部210は、ゴミ収集車両Aの遅延をゴミ収集車両Bによりフォローするように、収集計画230cを修正することで、ゴミ収集の完了時刻のばらつきが
図3の場合に比べて低減できることが分かる。
【0029】
作業員端末300の制御部310は、作業員端末300の記憶媒体に記録された情報表示プログラム311を実行することで、表示制御部311a、位置特定部311bとして機能する。
表示制御部311aは、情報処理システム200から受信したゴミ収集車両の移動ルート(拠点間のルート)をUI部330に表示する機能である。制御部310は、表示制御部311aの機能により、自装置である作業員端末300が携行されるゴミ収集車両の拠点間のルートの情報を、情報処理システム200から受信する。そして、制御部310は、受信した拠点間のルートの情報をUI部330に表示する。これにより、ゴミ収集車両に載っている作業員は、移動ルートを確認できる。また、制御部310は、修正部211dの機能による収集計画230cの修正に応じて再度探索された拠点間のルートの情報を情報処理システム200から受信し、受信した拠点間のルートの情報をUI部330に表示する。これにより、ゴミ収集車両に載っている作業員は、修正された収集計画230cに応じた移動ルートを確認できる。
【0030】
位置特定部311bは、作業員端末300の位置を、この作業員端末300を携行するゴミ収集車両の位置として特定する機能である。制御部310は、位置特定部311bの機能により、周期的に、GNSS受信部340を介してGNSS信号を受信し、受信したGNSS信号に基づいて作業員端末300の位置を特定する。制御部310は、特定した位置を情報処理システム200に送信する。
【0031】
以上、本実施形態の構成により、情報処理システム200は、遅延車両と不遅延車両とについて、収集計画230cを修正することで、各ゴミ収集車両のゴミ収集の完了時刻のばらつきの低減に寄与できる。
また、本実施形態では、情報処理システム200は、既定の期間閾値以上遅れて拠点に到着したゴミ収集車両を、遅延車両として特定するとした。拠点への到着に遅延が生じたとしても、遅延が微小である場合、収集計画230cを修正しないことが要望される場合がある。情報処理システム200は、既定の期間閾値以上遅れて拠点に到着したゴミ収集車両を、遅延車両として特定することで、収集計画230cの不要な修正処理にかかる負担を低減できる。
【0032】
(2)修正処理:
図5を用いて、情報処理システム200が実行する修正処理を説明する。
情報処理システム200の制御部210は、ゴミ収集の開始に応じて管理者端末100から処理の開始の指示がなされると、
図5の処理を開始する。
【0033】
ステップS100において、制御部210は、特定部211cの機能により、ゴミ収集に用いられる複数のゴミ収集車両それぞれの搭乗者に携行される作業員端末300それぞれから、ゴミ収集車両それぞれの位置情報を受信する。制御部210は、ステップS100の処理の完了後に、処理をステップS105に進める。
【0034】
ステップS105において、制御部210は、特定部211cの機能により、直前のステップS100で受信した位置情報に基づいて、処理時刻における各ゴミ収集車両の位置を特定する。また、制御部210は、収集計画230cに基づいて、各ゴミ収集車両が次に巡回する拠点を特定する。制御部210は、特定したゴミ収集車両の位置と、特定したゴミ収集車両が次に巡回する拠点と、の距離が既定の距離閾値以下であるゴミ収集車両を、この拠点に到着したゴミ収集車として特定する。また、制御部210は、処理時刻を、到着時刻として特定する。また、制御部210は、この拠点の情報を、完了情報として記憶する。制御部210は、収集計画230cから、特定したゴミ収集車両それぞれについて、到着した拠点への到着予定時刻を特定する。制御部210は、特定したゴミ収集車両それぞれについて、到着時刻から、特定した到着予定時刻を引いた差を求める。そして、制御部210は、求めた差が既定の期間閾値以上であるゴミ収集車両を、遅延車両として特定する。また、制御部210は、求めた差が期間閾値以上でないゴミ収集車両を、不遅延車両として特定する。制御部210は、特定した遅延車両、及び、不遅延車両の情報をRAMに記憶する。制御部210は、ステップS105の処理の完了後に、処理をステップS110に進める。
【0035】
ステップS110において、制御部210は、修正部211dの機能により、RAMに1台以上の遅延車両の情報が記憶されているか否かを判定する。制御部210は、RAMに1台以上の遅延車両の情報が記憶されていると判定した場合、処理をステップS115に進め、RAMに遅延車両の情報が記憶されていないと判定した場合、処理をステップS130に進める。
【0036】
ステップS115において、制御部210は、修正部211dの機能により、RAMに1台以上の不遅延車両の情報が記憶されているか否かを判定する。制御部210は、RAMに1台以上の不遅延車両の情報が記憶されていると判定した場合、処理をステップS120に進め、RAMに不遅延車両の情報が記憶されていないと判定した場合、処理をステップS130に進める。
【0037】
ステップS120において、制御部210は、修正部211dの機能により、直前のステップS100で取得した位置情報に基づいて、RAMに記憶されている遅延車両と不遅延車両との位置それぞれを特定する。また、制御部210は、収集計画230cと完了情報とに基づいて、遅延車両と不遅延車両とにより巡回される拠点のうち、巡回されていない拠点を未到着拠点として特定する。
【0038】
制御部210は、位置情報230aと地図情報230dと、に基づいて、遅延車両と不遅延車両との位置それぞれから、未到着拠点それぞれへの各ルートを探索し、探索したルートの移動期間を、このルートの移動コストとして特定する。また、制御部210は、コストテーブル230bから、未到着拠点間の移動コストを特定する。制御部210は、遅延車両と不遅延車両との位置、及び、未到着拠点それぞれの間の移動コストに基づいて、遅延車両と不遅延車両それぞれについての巡回する未到着拠点、及び、巡回順を決定する。そして、制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれについて決定した巡回する拠点と拠点の巡回順とに基づいて、収集計画230cを修正する。より具体的には、制御部210は、決定した複数のゴミ収集車両についての拠点の巡回順と、コストテーブル230bが示す各拠点間の移動コストと、に基づいて、未到着拠点の各拠点についての巡回するゴミ収集車両、及び、ゴミ収集車両の到着予定時刻を特定する。制御部210は、収集計画230cにおける遅延車両と不遅延車両とのそれぞれの情報を、処理時刻以降に、特定した拠点を、特定した到着予定時刻に巡回することを示すように修正する。制御部210は、ステップS120の処理の完了後に、処理をステップS125に進める。
【0039】
ステップS125において、制御部210は、ルート探索部211bの機能により、RAMに記憶された遅延車両と不遅延車両とのそれぞれの位置と、未到着拠点それぞれの位置と、地図情報230dと、に基づいて、以下の処理を行う。すなわち、制御部210は、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれが巡回する各拠点間のルートを探索する。制御部210は、探索した各拠点間のルートの情報を、遅延車両と不遅延車両とのそれぞれの搭乗者に携行される作業員端末300それぞれに送信する。また、制御部210は、RAMから遅延車両と不遅延車両との情報を削除する。制御部210は、ステップS125の処理の完了後に、処理をステップS130に進める。
【0040】
ステップS130において、制御部210は、ルート探索部211bの機能により、完了情報が示す巡回が完了した拠点に全てのゴミ収集地点が含まれる場合、
図5の処理を完了する。また、制御部210は、ルート探索部211bの機能により、完了情報が示す巡回が完了した拠点に含まれないゴミ収集地点がある場合、処理をステップS100に進める。
【0041】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上述の実施形態を構成する情報処理システム200が、複数の装置で構成される例が挙げられる。この場合、情報処理システム200の一部の機能が外部の装置等で実現されてもよい。例えば、ルート探索部211bの機能を外部の装置により実現してもよい。また、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、ステップS105とステップS110との処理の順序が逆でもよい。
【0042】
上述の実施形態では、制御部210は、不遅延車両として、拠点への到着時刻が到着予定時刻よりも期間閾値以上遅れていないゴミ収集車両を特定するとした。ただし、制御部210は、異なる方法で、不遅延車両を特定してもよい。例えば、制御部210は、巡回する拠点への到着時刻が、到着予定時刻よりも早いゴミ収集車両を、不遅延車両として特定してもよい。例えば、制御部210は、ステップS105で、拠点に到着したゴミ収集車を特定する際に、以下の処理を行う。すなわち、制御部210は、拠点への到着時刻が、収集計画230cが示す拠点への到着予定時刻よりも既定の期間閾値以上に早い場合、このゴミ収集車両を、余裕有車両として特定する。そして、制御部210は、ステップS110で、余裕有車両が存在する場合、余裕有車両を不遅延車両として特定してもよい。これにより、制御部210は、スケジュールに余裕のあるゴミ収集車が遅延車両をフォローするように収集計画230cを修正する。結果として、制御部210は、遅延はないがスケジュールに余裕のないゴミ収集車両のスケジュールを変更させずに、遅延車両をフォローするように、収集計画230cを修正できる。
また、例えば、制御部210は、不遅延車両として、拠点への到着時刻が到着予定時刻以前であるゴミ収集車両を特定してもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、期間閾値は、ゴミ収集の開始時刻から、対応するゴミ収集地点への到着予定時刻までの期間の10%の期間であるとした。ただし、期間閾値は、他の値でもよい。例えば、期間閾値は、ゴミ収集の開始時刻から、対応するゴミ収集地点への到着予定時刻までの期間の5%、15%、20%の期間であってもよい。また、期間閾値は、10分、15分、20分等であってもよい。
また、期間閾値は、ゴミ収集の開始時刻からの経過期間の長さに応じた期間としてもよい。例えば、期間閾値は、ゴミ収集の開始時刻からの経過期間が長いほど大きくなる値であってもよい。例えば、期間閾値は、ゴミ収集の開始時刻からの経過期間に、既定の割合(例えば、10%、15%等)をかけた期間を、期間閾値として用いてもよい。例えば、ゴミ収集の序盤における遅延は、まだ巡回する拠点の残りが多いため、ゴミ収集の終盤における遅延に比べて、影響が大きい。そこで、制御部210は、ゴミ収集の序盤において、終盤に比べて、より短い期間閾値を用いて遅延車両を特定することで、後々の影響が大きい遅延が生じたゴミ収集車両ほど、よりフォローできるように収集計画230cを修正できる。
【0044】
また、上述の実施形態では、制御部210は、遅延車両と不遅延車両との双方が特定されたタイミングで、遅延車両と不遅延車両とについて収集計画230cを修正するとした。ただし、制御部210は、他のタイミングで、収集計画230cを修正してもよい。例えば、制御部210は、ゴミ収集の開始時刻から、一定期間周期で、収集計画230cを修正してもよい。例えば、制御部210は、何れかのゴミ収集車両が何れかのゴミ収集地点に到着した場合にこのゴミ収集車両が遅延車両か否か、不遅延車両か否かを特定する。そして、制御部210は、収集計画230cの修正のタイミングが来たら、これまで特定した遅延車両と不遅延車両とについて収集計画230cを修正してもよい。
【0045】
さらに、本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0046】
10…ゴミ収集支援システム、100…管理者端末、200…情報処理システム、210…制御部、211…収集支援プログラム、211a…生成部、211b…ルート探索部、211c…特定部、211d…修正部、220…通信部、230…記憶媒体、230a…位置情報、230b…コストテーブル、230c…収集計画、230d…地図情報、300…作業員端末、310…制御部、311…情報表示プログラム、311a…表示制御部、311b…位置特定部、320…通信部、330…UI部、340…GNSS受信部