(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-08
(45)【発行日】2025-07-16
(54)【発明の名称】検知装置付き車両用灯具
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20250709BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20250709BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20250709BHJP
【FI】
G01S7/03 232
G01S7/03 246
G01S13/931
F21S45/00
(21)【出願番号】P 2023123411
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 裕希
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴斗
(72)【発明者】
【氏名】塩見 圭史
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-068630(JP,A)
【文献】国際公開第2021/010483(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112050164(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0011106(US,A1)
【文献】特開2023-068629(JP,A)
【文献】特開2023-069556(JP,A)
【文献】特開2023-068628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
13/00 - 13/95
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される灯具ユニットと、所定の検知方向側の物体の検知を行う検知ユニットと、を備える検知装置付き車両用灯具であって、
前記灯具ユニットは、光源と、前記光源を前記検知方向側から覆うレンズと、を備え、前記レンズには、前記検知方向とは反対の反検知方向に凹む格納凹部が形成されており、
前記検知ユニットは、前記格納凹部に少なくとも一部が格納される検知装置と、前記検知装置を前記反検知方向側から支持するブラケットと、前記検知装置を前記検知方向側から覆うカバーと、を備え、
前記カバーには、前記反検知方向に突出するフランジが設けられており、
前記ブラケットに対して前記フランジが所定の係合箇所で係合することによって、前記ブラケットに対して前記カバーが取り付けられており、
前記検知装置は、前記検知方向の端部に前記検知を行うための検知面を有し、
前記フランジは、前記検知装置よりも上方において前記検知面よりも前記反検知方向側にまで突出しており、
前記ブラケットには、前記検知方向に突出する係合突起が設けられており、前記係合突起に対して前記フランジが前記係合箇所で係合しており、
前記ブラケットには、前記係合突起における少なくとも一部の直下を含む範囲に突出する受け部が設けられており、
前記係合突起における幅方向の両端よりも、前記受け部における前記幅方向の両端の方が、前記幅方向の外側に位置しており、
前記受け部の上面は、前記反検知方向に進むに従い下がる側に傾斜している、
検知装置付き車両用灯具。
【請求項2】
前記フランジは、前記検知装置よりも上方において前記検知装置における前記反検知方向側の端面よりも前記反検知方向側にまで突出している、
請求項
1に記載の検知装置付き車両用灯具。
【請求項3】
前記係合箇所は、前記検知面よりも前記反検知方向側に位置する、
請求項1
又は2に記載の検知装置付き車両用灯具。
【請求項4】
前記ブラケットには、囲繞部が設けられており、
前記囲繞部は、前記検知方向に直交する方向に並んで前記検知方向に突出する内側突起および外側突起を有し、
前記内側突起と前記外側突起との間に前記フランジが配されている、
請求項1
又は2に記載の検知装置付き車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダなどの検知装置を備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々に配慮した持続可能な輸送システムを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、本出願人は、運転支援技術に関する研究開発を通して、交通の安全性や利便性をより一層改善することに注力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、運転支援技術に用いられるレーダなどの検知装置を備える検知装置付き車両用灯具において、以下の構成を採用することを検討した。検知装置付き車両用灯具は、灯具ユニットと検知ユニットとを備える。検知ユニットは、所定の検知方向側の物体の検知を行う。
【0005】
灯具ユニットは、光源とレンズとを備える。レンズは、光源を検知方向側から覆う。レンズには、検知方向とは反対の反検知方向に凹む格納凹部が形成されている。検知ユニットは、検知装置とブラケットとカバーとを備える。検知装置は、格納凹部に少なくとも一部が格納されている。検知装置は、検知方向側の端部に物体の検知を行うための検知面を有する。ブラケットは、検知装置を反検知方向側から支持している。
【0006】
カバーは、検知装置を検知方向側から覆っている。カバーには、反検知方向側に向けて突出するフランジが設けられている。ブラケットに対してフランジが所定の係合箇所で係合することによって、ブラケットに対してカバーが取り付けられている。
【0007】
本発明者らは、このような検知装置付き車両用灯具について、以下に示す問題が発生し得る点に着目した。カバーの上端部と格納凹部の内周面との間の隙間から、格納凹部の内側に雪や水が浸入した場合には、それらの雪や水が、検知面とカバーの裏面との間に入り込んで、検知装置による検知の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、雪や水が検知面とカバーの裏面との間に入り込むのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、カバーに、検知装置よりも上方において検知面よりも反検知方向側にまで突出するフランジを設ければ、上記目的を達成できることを見出して、本発明に至った。本発明は、以下(1)~(5)の構成の検知装置付き車両用灯具である。
【0010】
(1)車両に搭載される灯具ユニットと、所定の検知方向側の物体の検知を行う検知ユニットと、を備える検知装置付き車両用灯具であって、
前記灯具ユニットは、光源と、前記光源を前記検知方向側から覆うレンズと、を備え、前記レンズには、前記検知方向とは反対の反検知方向に凹む格納凹部が形成されており、
前記検知ユニットは、前記格納凹部に少なくとも一部が格納される検知装置と、前記検知装置を前記反検知方向側から支持するブラケットと、前記検知装置を前記検知方向側から覆うカバーと、を備え、
前記カバーには、前記反検知方向に突出するフランジが設けられており、
前記ブラケットに対して前記フランジが所定の係合箇所で係合することによって、前記ブラケットに対して前記カバーが取り付けられており、
前記検知装置は、前記検知方向の端部に前記検知を行うための検知面を有し、
前記フランジは、前記検知装置よりも上方において前記検知面よりも前記反検知方向側にまで突出している、
検知装置付き車両用灯具。
【0011】
本構成によれば、フランジが、検知装置よりも上方において検知面よりも反検知方向にまで突出している。そのため、カバーの上端部と格納凹部の内周面との間の隙間から、格納凹部の内側に雪や水が浸入した場合にも、それらの雪や水が検知面とカバーの裏面との間に入り込むのを、フランジによって抑制できる。
【0012】
(2)前記フランジは、前記検知装置よりも上方において前記検知装置における前記反検知方向側の端面よりも前記反検知方向側にまで突出している、
前記(1)に記載の検知装置付き車両用灯具。
【0013】
本構成によれば、たとえフランジにおける反検知方向側の端から下方に雪や水が落ちた場合にも、それらの雪や水は検知装置よりも反検知方向側に落ちる。そのため、雪や水が検知面とカバーの裏面との間に入り込むのを、より強固に抑制できる。
【0014】
(3)前記係合箇所は、前記検知面よりも前記反検知方向側に位置する、
前記(1)又は(2)に記載の検知装置付き車両用灯具。
【0015】
本構成によれば、係合箇所が検知面よりも反照射方向側に位置するため、たとえ係合箇所からその下方に雪や水が落ちた場合にも、それらの雪や水は検知面よりも反検知方向側に落ちる。これによって、雪や水が検知面とカバーの裏面との間に入り込むのを、より強固に抑制できる。
【0016】
(4)前記ブラケットには、前記検知方向に突出する係合突起が設けられており、前記係合突起に対して前記フランジが前記係合箇所で係合しており、
前記ブラケットには、前記係合突起における少なくとも一部の直下を含む範囲に突出する受け部が設けられており、
前記係合突起における幅方向の両端よりも、前記受け部における前記幅方向の両端の方が、前記幅方向の外側に位置しており、
前記受け部の上面は、前記反検知方向に進むに従い下がる側に傾斜している、
前記(1)又は(2)に記載の検知装置付き車両用灯具。
【0017】
本構成によれば、突起における幅方向の端から雪や水が下方に落ちた場合にも、それらの雪や水を、受け部によって受け止めて、反検知方向に導くことができる。そのため、雪や水が検知面とカバーの裏面との間に入り込むのを、より強固に抑制できる。
【0018】
(5)前記ブラケットには、囲繞部が設けられており、
前記囲繞部は、前記検知方向に直交する方向に並んで前記検知方向に突出する内側突起および外側突起を有し、
前記内側突起と前記外側突起との間に前記フランジが配されている、
前記(1)又は(2)に記載の検知装置付き車両用灯具。
【0019】
本構成によれば、係合箇所に加えて囲繞部があるため、ブラケットに対してカバーを、より安定的に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上の通り、前記(1)の構成によれば、雪や水が検知面とカバーの裏面との間に入り込むのを抑制できる。さらに、前記(1)を引用する前記(2)~(5)の構成によれば、それぞれの追加の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の検知装置付き車両用灯具を示す正面図である。
【
図3】
図2のiii-iii線の断面を示す図である。
【
図4】検知装置付き車両用灯具を示す分解斜視図である。
【
図6】ブラケットおよび検知装置を示す斜視図である。
【
図7】ブラケットにおける係合突起およびその周辺を示す斜視図である。
【
図8】
図2のviii-viii線の断面を示す図である。
【
図9】
図3におけるixの部分を拡大した図である。
【
図10】
図8に示す状態から係合を解除する際の様子を示す図である。
【
図11】
図9に示す状態から係合を解除する際の様子を示す図である。
【
図12】
図2のxii-xii線の断面を示す図である。
【
図14】
図2のxiv-xiv線の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0023】
[第1実施形態]
図1に示す検知装置付き車両用灯具100は、車両の左側のヘッドライトであって、車両に搭載されている。検知装置付き車両用灯具100は、灯具ユニット102と検知ユニット106とを備える。灯具ユニット102は、ハウジング10と、光源20と、レンズ30と、を備える。検知ユニット106は、検知装置60と、ブラケット50と、カバー70と、を備える。本実施形態において、検知装置60は、電波を照射すると共にその反射波を検知することによって物体を検知するレーダ装置である。
【0024】
以下、
図3に示すように、検知装置60が電波を照射する方向、つまり物体を検知する方向を「Y-方向」といい、その反対方向を「Y+方向」という。なお、「Y-方向」は、「検知方向」と読み替えてもよく、「Y+方向」は、「反検知方向」と読み替えてもよい。以下、「Y-方向」および「Y+方向」をまとめて「Y方向」という。Y方向は、水平面内において車長方向CLに対して斜めをなす方向である。以下、水平面内において、Y方向に直交する方向を「X方向」という。また、X方向における車幅方向CWの内方寄りの方向を「X-方向」といい、その反対方向を「X+方向」という。
【0025】
図1に示すハウジング10は、Y-方向に向けて開口する箱状である。光源20は、ハウジング10の内側に設置されており、光をY-方向側に照射する。レンズ30は、ハウジング10に取り付けられており、光源20をY-方向側から覆っている。
図4に示すように、レンズ30には、Y+方向側に向けて凹む格納凹部36が形成されている。格納凹部36は、Y-方向および下方に向けて開口している。
【0026】
図4に示すように、ブラケット50は、格納凹部36の内側に設置されている。
図6に示すように、ブラケット50は、ブラケット本体52と取付部51とを備える。ブラケット本体52は、上下方向およびX方向に延在する板状である。取付部51は、ブラケット本体52の下端部から下方に突出している。
図1に示すように、取付部51の下端部が、レンズ30よりも下方において車体又はハウジング10に固定されている。これによって、ブラケット本体52が、格納凹部36の内側に設置されている。
【0027】
図6に示すように、ブラケット本体52におけるY-方向側の面に、検知装置60が、
図2に示すように螺子などによって取り付けられている。つまり、ブラケット50は、検知装置60をY+方向側から支持している。これによって、
図3に示すように、検知装置60が、格納凹部36に格納されている。なお、本実施形態では、検知装置60の全体が格納凹部36に格納されている。ただし、これに代えて、検知装置60一部のみが格納凹部36に格納させていてもよい。具体的には、例えば、検知装置60におけるY-方向側の端部が格納凹部36の開口からY-方向に突出すると共に、カバー70における中央部分が格納凹部36の開口からY-方向に突出していてもよい。
【0028】
図6に示すように、検知装置60は、Y-方向側の端部に、検知を行うための検知面60sを有する。具体的には、検知装置60は、検知面60sからY-方向側に向けて電波を照射すると共に、その反射波を検知面60sで検知することによって、Y-方向側の検知を行う。
【0029】
ブラケット本体52には、複数の囲繞部57と、複数の係合突起53と、複数の受け部54と、が設けられている。
【0030】
図6に示すように、囲繞部57は、ブラケット本体52における上縁と下縁とX+方向側の縁とに設けられている。各囲繞部57は、Y-方向に突出している。以下、ブラケット本体52における上縁にある囲繞部57を「上側の囲繞部57」といい、下縁にある囲繞部57を「下側の囲繞部57」といい、X+方向側の縁とにある囲繞部57を「X+側の囲繞部57」という。
【0031】
各囲繞部57は、内側突起57aと外側突起57bとを有する。上側および下側の囲繞部57における内側突起57aおよび外側突起57bは、上下方向に並んでY-方向に突出している。X+側の囲繞部57における内側突起57aおよび外側突起57bは、X方向に並んでY-方向に突出している。つまり、内側突起57aと外側突起57bとは、Y方向に直交する方向側に並んで、それぞれY-方向に突出している。
図13に示すように、上側の囲繞部57における外側突起57bの先端部は、上方に突出しており、格納凹部36の内周部に係合している。
【0032】
図6に示すように、係合突起53は、ブラケット本体52における上縁と下縁とX-方向側の縁とX+方向側の縁とに設けられている。各係合突起53は、Y-方向に突出している。以下、ブラケット本体52における上縁にある係合突起53を「上側の係合突起53」といい、下縁にある係合突起53を「下側の係合突起53」という。また、ブラケット本体52におけるX-方向側の縁にある係合突起53を「X-側の係合突起53」といい、X+方向側の縁とにある係合突起53を「X+側の係合突起53」という。上側および下側の係合突起53の幅方向はX方向であり、X-側およびX+側の係合突起53の幅方向は上下方向である。
【0033】
各係合突起53におけるY-方向側の端部には、フック53fが設けられている。係合突起53には、フック53fが内側に、つまり検知装置60側に突出するものと、フック53fが外側に、つまり検知装置60側の反対側に突出するものとが存在する。具体的には、本実施形態においては、上側の係合突起53のフック53fについては、外側に、つまり上方に突出している。また、下側の係合突起53のフック53fについては、内側に、つまり上方に突出している。また、X-側の係合突起53のフック53fついては、内側に、つまりX+方向に突出している。また、X+側の係合突起53のフック53fについては、外側に、つまりX+方向に突出している。
【0034】
図6に示すように、受け部54は、上側の係合突起53毎に存在する。
図7に示すように、受け部54は、Y方向に見てU字形の形状をしている。受け部54は、ブラケット本体52から、係合突起53における少なくとも付け根寄りの部分の直下を含む範囲に突出している。係合突起53のX方向の幅よりも、受け部54のX方向の幅の方が大きい。そのことから、係合突起53におけるX方向の両端よりも、受け部54におけるX方向の両端の方が、X方向外側に位置している。より具体的には、係合突起53におけるX方向の両端よりも、受け部54におけるX方向両側の内側面54i,54jの方が、X方向外側に位置している。受け部54の底部の上面54sは、Y+方向に進むに従い下がる側に緩やかに傾斜している。ブラケット本体52における受け部54の付け根の内側に位置する部分には、排水孔52hが設けられている。
【0035】
図5に示すように、カバー70は、カバー本体77とフランジ75とを備える。カバー本体77は、上下方向およびX方向に延在する板状である。フランジ75は、カバー本体77における縁よりも若干内側に位置する部分から、Y+方向に向けて延在している。フランジ75における複数個所には、係合孔75hが設けられている。具体的には、係合孔75hは、各フック53fに対応する箇所に設けられている。
【0036】
図13に示すように、囲繞部57における内側突起57aと外側突起57bとの間にフランジ75が挿入されると共に、
図5に示すように、各フック53fに対して係合孔75hの内周面が係合することによって、ブラケット50に対してカバー70が取り付けられている。以下、フック53fに対して係合孔75hの内周面が係合している箇所を、「係合箇所Ep」という。
図3に示すように、カバー本体77は、検知装置60をY-方向側から覆っている。カバー70は、樹脂などであり、電波を透過可能に構成されている。
【0037】
図14に示すように、フランジ75は、検知面60sよりもY+方向側にまで突出している。より具体的には、フランジ75は、検知装置60におけるY+方向側の端面60tよりもY+方向側にまで突出している。
図8に示すように、係合箇所Epは、検知面60sよりもY+方向側に位置する。
【0038】
図8,
図9に示すように、カバー本体77の縁と格納凹部36の内周面との間には、隙間Gが形成されている。具体的には、
図8に示すように、カバー本体77の上端部と格納凹部36の内周面との間には、上側の隙間Gが形成されている。また、
図9に示すように、カバー本体77におけるX-方向の端部と格納凹部36の内周面との間には、X-側の隙間Gが形成されている。また、カバー本体77におけるX+方向の端部と格納凹部36の内周面との間には、X+側の隙間(図示略)が形成されている。
【0039】
以下、
図8に示すように、それらの隙間Gにおける係合箇所Epに隣接する部分から当該係合箇所Epに向かう仮想直線を、「差込み仮想線vL」という。格納凹部36の内周面における差込み仮想線vLに隣接する部分、つまり隙間Gに面する部分には、差込み仮想線vLに沿って延在するレンズ側ガイド面36sが設けられている。カバー本体77における差込み仮想線vLに隣接する部分には、差込み仮想線vLに沿って延在するカバー側ガイド面77sが設けられている。具体的には、レンズ側ガイド面36sおよびカバー側ガイド面77sは、いずれも差込み仮想線vLに対して平行である。また、レンズ側ガイド面36sとカバー側ガイド面77sとは、互いに平行である。
【0040】
次に本実施形態のカバー取外し方法について説明する。まず、以上に示した
図1に示す検知装置付き車両用灯具100を用意する。次に、
図10,
図11に示すように、隙間Gから棒状の治具Jを、レンズ側ガイド面36sおよびカバー側ガイド面77sに沿って、つまり差込み仮想線vLに沿って、係合箇所Epに向けて挿入する。それによって、係合箇所Epでのフック53fに対する係合孔75hの内周面の係合を、治具Jの先端部で解除する。
【0041】
具体的には、
図10に示すように、上側の係合突起53については、治具Jの先端部でフック53fを押し込むことによって、当該フック53fに対する係合孔75hの内周面の係合を解除する。これと同様に、X+側の係合突起53についても、当該係合を解除する。つまり、外側に突出するフック53fについては、治具Jの先端部で当該フック53fを押し込むことによって、当該フック53fに対する係合孔75hの内周面の係合を解除する。
【0042】
他方、
図11に示すように、X-側の係合突起53については、治具Jの先端部を、フック53fと係合孔75hの内周面との間に押し込む。これによって、治具Jの先端部でフック53fをX-方向側に押し出して、当該フック53fに対する係合孔75hの内周面の係合を解除する。これと同様に、下側の係合突起53についても、当該係合を解除する。つまり、内側に突出するフック53fについては、治具Jの先端部を、当該フック53fと係合孔75hの内周面との間に押し込むことによって、当該フック53fに対する係合孔75hの内周面の係合を解除する。
【0043】
以下に、本実施形態の構成および効果をまとめる。
【0044】
図14に示すように、検知装置60よりも上方において、フランジ75は検知面60sよりもY+方向側にまで突出している。そのため、カバー70の上端部と格納凹部36の内周面との間の隙間Gから、格納凹部36の内側に雪や水が浸入した場合にも、それらの雪や水が検知面60sとカバーの裏面70sとの間に入り込むのを、当該フランジ75によって抑制できる。
【0045】
より具体的には、フランジ75は、検知装置60よりも上方において、検知装置60におけるY+方向側の端面60tよりもY+方向側にまで延在している。そのため、たとえフランジ75におけるY+方向側の端から下方に雪や水が落ちた場合にも、それらの雪や水は検知装置60よりもY+方向側に落ちる。これによって、雪や水が検知面60sとカバーの裏面70sとの間に入り込むのを、より強固に抑制できる。
【0046】
しかも、
図8に示すように、係合箇所Epは、検知面60sよりもY+方向側に位置する。そのため、たとえ係合箇所Epの係合孔75hからその下方に雪や水が落ちた場合にも、それらの雪や水は検知面60sよりもY+方向側に落ちる。これによっても、雪や水が検知面60sとカバーの裏面70sとの間に入り込むのを、より強固に抑制できる。
【0047】
さらに、
図7に示すように、ブラケット50には、係合突起53における少なくとも一部の直下を含む範囲に突出する受け部54が設けられている。係合突起53におけるX方向の両端よりも、受け部54におけるX方向の両端の方が、X方向外側に位置している。受け部54の底部の上面54sは、Y+方向に進むに従い下がる側に傾斜している。そのため、
図5に示す係合突起53におけるX方向の端から雪や水が落ちた場合にも、それらの雪や水を、
図7に示す受け部54によって受け止めて、Y+方向側に導くことができる。それによって、雪や水を、排水孔52hからブラケットよりもY+方向側に排水することができる。そのため、これによっても、雪や水が検知面60sとカバーの裏面70sとの間に入り込むのを、より強固に抑制できる。
【0048】
図6に示すように、ブラケット50には、囲繞部57が設けられている。各囲繞部57は、Y方向に直交する方向側に並んでY-方向側に突出する内側突起57aおよび外側突起57bを有する。
図13に示すように、それらの囲繞部57における内側突起57aと外側突起57bとの間にフランジ75が配されている。このように係合箇所Epに加えて囲繞部57があるため、ブラケット50に対してカバー70を、より安定的に取り付けることができる。
【0049】
図8,
図9に示すように、レンズ側ガイド面36sおよびカバー側ガイド面77sは、いずれも差込み仮想線vLに沿って延在している。そのため、
図10,
図11に示すように、これらレンズ側ガイド面36sおよびカバー側ガイド面77sに沿って棒状の治具Jを挿入するだけで、治具Jの先端部を係合箇所Epに到達させることができる。その治具Jによって、ブラケット50に対するカバー70の係合を解除することができる。そのため、本実施形態によれば、カバー70以外の部品の取り外しや、カバー取外し用の特殊形状の導入を極力抑えつつも、ブラケット50からカバー70を取り外し可能にすることができる。
【0050】
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、例えば次のように変更できる。検知装置付き車両用灯具100が、
図1とは左右反対に設けられた右側のヘッドライトであってもよい。
図3に示す検知装置60が、音波を照射すると共にその反射波を検知するソナー装置であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
20 光源
30 レンズ
36 格納凹部
50 ブラケット
53 係合突起
54 受け部
54s 受け部の上面
57 囲繞部
57a 内側突起
57b 外側突起
60 検知装置
60s 検知面
60t 検知装置におけるY+方向側の端面
70 カバー
75 フランジ
100 検知装置付き車両用灯具
102 灯具ユニット
106 検知ユニット
Ep 係合箇所
X 係合突起の幅方向
Y- 検知方向
Y+ 反検知方向