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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-08
(45)【発行日】2025-07-16
(54)【発明の名称】車両のアンテナ設置構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20250709BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20250709BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20250709BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20250709BHJP
【FI】
B60R11/02 A
H01Q1/22 A
H01Q1/32 Z
B60K37/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023165477
(22)【出願日】2023-09-27
(65)【公開番号】P2025056048
(43)【公開日】2025-04-08
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】武本 健児
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 隆太
(72)【発明者】
【氏名】一村 延宏
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-152411(JP,A)
【文献】特開2005-028983(JP,A)
【文献】特開2002-009522(JP,A)
【文献】特開2018-016144(JP,A)
【文献】特開2024-130921(JP,A)
【文献】特開2000-108725(JP,A)
【文献】特開2002-187422(JP,A)
【文献】特開2001-213139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H01Q 1/22
H01Q 1/32
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンダクトと、
無線にて情報を少なくとも受信するアンテナと、
ステアリングハンガーと、を車両のインストルメントパネル内に備え、
前記アンテナは、前記エアコンダクト上に設置され
前記エアコンダクトは、車両後方側に伸出し前記ステアリングハンガーに固定するブラケットを備え、
前記ブラケット上には、前記アンテナを固定するためのアンテナ固定台座が固定されている、
車両のアンテナ設置構造。
【請求項2】
記エアコンダクトの前方に配置されたボディ部材を車両のインストルメントパネル内に備え、
前記エアコンダクトは、前記ステアリングハンガー及び前記ボディ部材に固定されている、
請求項1に記載の車両のアンテナ設置構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前方及び車幅方向両側方を前記エアコンダクトに囲まれる位置に配置され、
前記ブラケットの前方及び車幅方向両側方は、前記エアコンダクトに接続されている、
請求項に記載の車両のアンテナ設置構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記エアコンダクトに樹脂で一体成形されている、
請求項に記載の車両のアンテナ設置構造。
【請求項5】
前記アンテナ固定台座には、複数の凹部から成る補強部が形成されている、
請求項に記載の車両のアンテナ設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のアンテナ設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のインストルメントパネル内には、空調装置のエアコンダクトが配置されている(例えば、特許文献1参照)。また、インストルメントパネルには、スピードメータ、タコメータ、距離計、燃料計等の計器類や、ナビゲーションシステム等が設置されている。このため、インストルメントパネル内は、種々の装置に配線や、空調装置の配管等が配置されて、煩雑化されている。
【0003】
一方、車両に無線で情報を送受信可能なアンテナを配置したものとしては、車両情報システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。アンテナを車体等に取り付ける場合は、走行中に車体が振動するので、アンテナを車体の骨格部材等にしっかりと固定する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-89727号公報
【文献】特開2012-163447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の車両情報システム等のアンテナを車両に設置する場合は、アンテナの受送信性能を鑑み受送信に適した場所に設置することが望ましい。アンテナは、車両の外表面に設置すると感度が良好となるが、異物に接触する等して破損することが考慮される。そこで、アンテナは、インストルメントパネルの内側に取り付けることが考えられる。
【0006】
しかし、インストルメントパネル内は、種々の配線や、配管や、装置等が配置されているので、必ずしもステアリングハンガー等の固定部材がアンテナに適した位置に配置できるとは限らない。このため、アンテナを受送信に適した場所にしっかりと固定をするためのアンテナの設置構造が課題となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、インストルメントパネル内にアンテナの取付スペースを確保することができると共に、アンテナをインストルメントパネル内にしっかりと設置することができる車両のアンテナ設置構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る車両のアンテナ設置構造は、エアコンダクトと、無線にて情報を少なくとも受信するアンテナと、ステアリングハンガーと、を車両のインストルメントパネル内に備え、前記アンテナは、前記エアコンダクト上に設置され 前記エアコンダクトは、車両後方側に伸出し前記ステアリングハンガーに固定するブラケットを備え、前記ブラケット上には、前記アンテナを固定するためのアンテナ固定台座が固定されている
【発明の効果】
【0009】
本発明は、インストルメントパネル内にアンテナの取付スペースを確保することができると共に、アンテナをインストルメントパネル内にしっかりと設置することができる車両のアンテナ設置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車両のアンテナ設置構造におけるアンテナの設置状態を示す要部概略斜視図である。
図2】アンテナの設置状態を示す図であり、インストルメントパネルの要部拡大概略縦断面図である。
図3】アンテナの設置状態を示す図であり、エアコンダクトの要部拡大概略斜視図である。
図4】エアコンダクトの概略拡大斜視図である。
図5】エアコンダクトの要部分解拡大斜視図である。
図6】車体ボディに取り付けたデフダクトの設置状態を示す要部拡大断面図である。
図7】アンテナ固定台座の拡大斜視図である。
図8】アンテナ固定台座に取り付けたアンテナの拡大概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図8を参照して、本発明の実施形態に係る車両Aのアンテナ設置構造を説明する。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両Aのフロント側、「後」は車両Aのリア側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車両Aの車幅方向側とする。
【0012】
≪車両≫
図1に示す車両Aには、車室R内の空気の温度や、湿度を調整するための空調装置2(図4参照)が搭載されている。車両Aの車室R内の前部には、インストルメントパネル1が設けられている。インストルメントパネル1の中央部及び車幅方向両端部等には、エアコンダクト3の吹出口30が配置されている。
【0013】
≪インストルメントパネル≫
図1に示すように、インストルメントパネル1は、スピードメータ、タコメータ、距離計、燃料計等の計器類11や、ディスプレイや、空調装置2の吹出口30及び操作部(図示省略)等が設置される部材である。図1または図2に示すように、インストルメントパネル1内には、エアコンダクト3と、無線にて情報を少なくとも受信するアンテナ4と、ステアリングハンガー5と、ボディ部材6と、を備えている。インストルメントパネル1は、アンテナ4に送受信される電波を通過させることが可能な合成樹脂製の部材によって形成されている。
【0014】
図2に示すように、インストルメントパネル1の前端部の下面には、エアコンダクト連結部12が突設されている。インストルメントパネル1の前端部は、デフダクト31のデフダクト固定ブラケット部315に植設された連結ピン等から成る固定具91をエアコンダクト連結部12の固定具設置孔12aに圧入することで、デフダクト31に固定されている。インストルメントパネル1の後部は、ボディピン等から成る固定具93によってステアリングハンガー5に固定されている。
【0015】
≪空調装置≫
図4に示す空調装置2は、車室R内の空気の温度及び湿度を調整するための装置である。空調装置2の吐出口(図示省略)は、エアコンダクト3に連結されている。空調装置2によって温度、湿度を調整された空気は、空調装置2からエアコンダクト3を介して吹出口30から車室R内に吹き出される。
【0016】
<吹出口>
吹出口30は、後記するフロントデフ吹出口312と、サイドデフ吹出口314と、センタベント吹出口322と、サイドベント吹出口324と、から成る。
【0017】
≪エアコンダクト≫
エアコンダクト3は、空調装置2で調整された空気を吹出口30に送るための管状部材である。エアコンダクト3は、ブロー成形等によって成形された樹脂製の部材から成る。エアコンダクト3は、デフダクト31と、ベントダクト32と、ブラケット33と、を一体化して構成されている。
【0018】
<デフダクト>
図3及び図4に示すように、デフダクト31は、温調空気をウィンドウシールドガラス内面に送るための略管状の部材である。デフダクト31は、フロントデフダクト311と、フロントデフ吹出口312と、サイドデフダクト313と、サイドデフ吹出口314と、デフダクト固定ブラケット部315と、デフダクト固定ブラケット部316と、インパネ固定孔317と、車体固定孔318(図6参照)と、デフダクト取付部品34(図6参照)と、を有している。
【0019】
図5に示すように、デフダクト31は、フロントデフダクト311がある側に形成されたデフダクト半体31Aと、サイドデフダクト313がある側に形成されたデフダクト半体31Bと、を固定具92,98で連結して構成されている。デフダクト半体31Aには、フロントデフダクト311の車幅方向外側端部に、固定具設置穴311aと、固定具98と、が設けられている。デフダクト半体31Bには、固定具設置穴311aに対向するサイドデフダクト313の車幅方向内側端部の連結部313aに、固定具92と、固定具設置穴313bと、が設けられている。デフダクト半体31Aは、固定具設置穴311aに固定具92を圧入し、固定具98を固定具設置穴313bに圧入することで、デフダクト半体31Bに連結されている。
【0020】
図4に示すように、フロントデフダクト311は、フロントガラスに温調空気を送るための略管状の部材である。フロントデフダクト311は、フロントガラスに温調空気を吐出するフロントデフ吹出口312を先端部に有している。
【0021】
サイドデフダクト313は、サイドガラスに温調空気を送るための略管状の部材である。サイドデフダクト313は、サイドガラスに温調空気を吐出するサイドデフ吹出口314を先端部に有している。
【0022】
デフダクト固定ブラケット部315は、デフダクト31をインストルメントパネル1に固定するための複数の突出片から成る。デフダクト固定ブラケット部315は、デフダクト31の先端部のフロントデフ吹出口312の近傍から前側に突出形成されている。複数のデフダクト固定ブラケット部315の少なくとも1つには、インパネ固定孔317が形成されている。また、図6に示すように、複数のデフダクト固定ブラケット部315の少なくとも1つには、係止片315aと、係止突起315bと、インパネ固定片315cと、車体固定孔318と、が一体に形成されている。
【0023】
係止片315aは、デフダクト31をデフダクト固定ブラケット部315にしっかりと固定するためのデフダクト取付部品34の係合部34aに係止される突出片である。係止片315aは、デフダクト固定ブラケット部315の下端部に一体形成されている。
【0024】
係止突起315bは、デフダクト取付部品34に複数形成された貫通孔を有して成る固定部34bに係止される延出片である。係止突起315bは、デフダクト固定ブラケット部315の上側部位に一体形成されている。
【0025】
インパネ固定片315cは、デフダクト31のデフダクト固定ブラケット部315をインストルメントパネル1の車体固定部1aに固定するための固定具99が挿着される突出片である。インパネ固定片315cは、デフダクト固定ブラケット部315の上端部に一体形成されている。
【0026】
図6に示すように、車体固定孔318は、ボディ部材6をデフダクト固定ブラケット部315に固定するための固定具90が圧入される穴である。車体固定孔318は、デフダクト固定ブラケット部315の前側中央部に穿設されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、デフダクト固定ブラケット部316は、デフダクト31をベントダクト32のブラケット33に固定するための突出片から成る。デフダクト固定ブラケット部316は、サイドデフダクト313からデフダクト固定台座部339に向けて突設されて、デフダクト固定台座部339にねじ止めされている。
【0028】
図3に示すように、インパネ固定孔317は、デフダクト31の上側前端部に形成された複数の貫通孔から成る。図2に示すインパネ固定孔317には、デフダクト31をインストルメントパネル1に固定するための固定具91が挿着される。また、インパネ固定孔317には、インストルメントパネル1に一体に突出形成された突出片(図示省略)が係合される。
【0029】
<デフダクト取付部品>
図6に示すように、デフダクト取付部品34は、デフダクト31を後側から支持する樹脂製の支持具である。デフダクト31は、デフダクト31の前側を支持するデフダクト固定ブラケット部315と、デフダクト31の後側を支持するデフダクト取付部品34と、で保持されてインストルメントパネル1及びボディ部材6に固定されている。デフダクト取付部品34は、前記した係合部34aと、固定部34bと、を有する。
【0030】
<ボディ部材>
図6に示すボディ部材6は、エアコンダクト3の前方に配置されて、車体の一部を形成する部材である。ボディ部材6は、モータルームMRと車室Rとを仕切る隔壁61,62から成る。隔壁61は、例えば、2枚の金属製板部材によって構成されている。なお、隔壁61,62は、どちらか一方から成る1枚の金属製板部材であってもよい。
【0031】
<ベントダクト>
図4に示すように、ベントダクト32は、温調空気を運転席や助手席に送るための略管状の部材である。つまり、ベントダクト32は、空調装置2からの温調空気を、センタベント吹出口322及びサイドベント吹出口324に送るための管状部材である。ベントダクト32は、センタベントダクト321と、センタベント吹出口322と、サイドベントダクト323と、サイドベント吹出口324と、ダクト連結部325(図5参照)と、ブラケット33と、を有している。ベントダクト32(エアコンダクト3)は、車両後方側に伸出し、ステアリングハンガー5に固定するブラケット33を備えている。図3に示すように、ベントダクト32(エアコンダクト3)は、ステアリングハンガー5及びボディ部材6(図2参照)に固定されている。
【0032】
図4に示すように、センタベントダクト321は、前席中央部に温調空気を送る管状部材である。センタベントダクト321の基端部には、空調装置2が設けられている。センタベントダクト321の先端部には、前席に向けて温調空気を吐出するセンタベント吹出口322が形成されている。
【0033】
サイドベントダクト323は、前席の車幅方向外側に温調空気を送る管状部材である。サイドベントダクト323の基端部には、空調装置2が設けられている。サイドベントダクト323の先端部には、前席の車幅方向外側に向けて温調空気を吐出するサイドベント吹出口324が形成されている。右側のサイドベントダクト323は、基端部から車幅方向にほぼ水平に延出した後、車体右側部で屈曲して後方に延出している。
【0034】
図5に示すダクト連結部325は、ベントダクト32とデフダクト31とを連結するための連結片である。ダクト連結部325は、ベントダクト32の外周部前側から側面視して略円弧状に突出した突出片から成る。ダクト連結部325は、ベントダクト32に樹脂によって一体に形成されている。ダクト連結部325の先端部には、ダクト連結部325をデフダクト31に固定すると共に、デフダクト半体31Aにデフダクト半体31Bを連結するための連結ピンから成る固定具98が取り付けられている。
【0035】
<ブラケット>
図3に示すように、ブラケット33は、エアコンダクト3を車体(ステアリングハンガー5)に固定するための固定部位である。ブラケット33は、樹脂によってベントダクト32に一体形成されている。ブラケット33の前方及び車幅方向両側方は、エアコンダクト3に接続されている。ブラケット33は、前方及び車幅方向両側方をエアコンダクト3に囲まれる位置に配置されている。つまり、ブラケット33は、センタベントダクト321とサイドベントダクト323とに架設するようにして設置されている。ブラケット33上には、アンテナ4を固定するためのアンテナ固定台座8が固定されている。
【0036】
図4に示すように、ブラケット33は、台座設置部331と、台座支持部332,333,334と、位置決め孔335,336と、ハンガー固定部ブラケット部337と、ハンガー固定孔338と、デフダクト固定台座部339と、を有している。
【0037】
図3または図4に示すように、台座設置部331は、アンテナ固定台座8が設置される箇所である。台座設置部331は、平面視して略凹形状に配置されたベントダクト32のセンタベントダクト321とサイドベントダクト323との間に、ベントダクト32と一体に略平らに形成されている。
【0038】
図4に示す台座支持部332,333,334は、図7及び図8に示すアンテナ固定台座8の固定片83,84,85の下端部が載設される箇所である。
図4に示すように、台座支持部332は、台座設置部331の後端部から一段下がった位置に平らに形成された箇所から成る。台座支持部332には、雄ねじ部材から成る固定具96(図2及び図7参照)が螺着される雌ねじ部材73が固定されている。
【0039】
台座支持部333は、台座設置部331から車幅方向中央側に一段上がった位置に、平らに形成された箇所から成る。台座支持部333には、雄ねじ部材から成る固定具95(図2及び図7参照)が螺着される雌ねじ部材72と、アンテナ固定台座8の位置決め突起84b(図7参照)が挿入される位置決め孔335と、が形成されている。
【0040】
図4に示すように、台座支持部334は、台座設置部331から車幅方向外側に一段上がった位置に、平らに形成された箇所から成る。台座支持部334には、雄ねじ部材から成る固定具97(図7参照)が螺着される雌ねじ部材71と、アンテナ固定台座8の位置決め突起83b(図7参照)が挿入される位置決め孔336と、が形成されている。
【0041】
図3に示すように、ハンガー固定部ブラケット部337は、ステアリングハンガー5のエアコンダクト支持部51に連結するための舌状片から成る。ハンガー固定部ブラケット部337は、台座支持部332の後端部から下方に延出されている。ハンガー固定部ブラケット部337には、エアコンダクト支持部51にねじ止めするための固定具94が取り付けられるハンガー固定孔338が複数形成されている。
【0042】
図4に示すように、デフダクト固定台座部339は、サイドデフダクト313から下方に突出したデフダクト固定ブラケット部316の平らな下端部が載設される台座である。デフダクト固定台座部339は、台座支持部334の車幅方区外側から上方に膨出している。デフダクト固定台座部339の上端部は、サイドデフダクト313がねじ止めされることで、サイドデフダクト313を下側から支えると共に、ベントダクト32とデフダクト31とを連結している。
【0043】
<ステアリングハンガー>
図3に示すステアリングハンガー5は、車幅方向に沿って延設された金属パイプ等の梁部材から成る車体骨格部材である。ステアリングハンガー5は、インストルメントパネル1内に配置されている。ステアリングハンガー5の車幅方向の両側の端部には、車室Rの前部寄りの側方に配置された側壁部材53が結合されている。ステアリングハンガー5の車幅方向中央部には、エアコンダクト支持部51と、ハンガーブラケット部52と、が溶接されている。
【0044】
エアコンダクト支持部51は、エアコンダクト3のブラケット33を下側から支持する支持部材である。エアコンダクト支持部51は、固定具94によってハンガー固定部ブラケット部337に固定されている。
ハンガーブラケット部52は、不図示のダッシュアッパー部材及び車体部材を連結部材を介在して支持する支持部材である。
【0045】
≪アンテナ≫
図1に示すアンテナ4は、移動体としての車両Aに設置される車載用アンテナ装置である。アンテナ4は、車両Aの車室R内におけるインストルメントパネル1(ダッシュボード)の内部のエアコンダクト3(図3参照)上に設置されている。アンテナ4は、例えば、第1アンテナ41と、第2アンテナ42と、を備えて構成されている。
なお、アンテナ4の通信方法は、特に限定されるものではない。
【0046】
<第1アンテナ>
図8に示すように、第1アンテナ41は、例えば、道路情報や事故関連情報等を受信するためのテレマティクスアンテナから成る。第1アンテナ41は、電波を透過する樹脂製箱体から成る筐体41aと、筐体41aに内設された回路基板(図示省略)と、回路基板に接続されたコネクタ(図示省略)と、を備えて構成されている。コネクタ(図示省略)は、車内LAN用ケーブルに接続されている。これにより、第1アンテナ41の通信装置と、車内LANに接続された各車載機器とが、通信可能になっている。
【0047】
<第2アンテナ>
第2アンテナ42は、例えば、人工衛星からの車両位置情報等を受信するためのGPSアンテナ、または、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)アンテナから成る。第2アンテナ42は、第1アンテナ41と同様、電波を透過する樹脂製箱体から成る筐体42aと、筐体42aに内設された回路基板(図示省略)と、回路基板に接続されたコネクタ(図示省略)と、を備えて構成されている。
【0048】
≪アンテナ固定台座≫
図3に示すように、アンテナ固定台座8は、アンテナ4を固定具95,96,97(図7参照)によって、エアコンダクト3のブラケット33に固定するための部材である。図7に示すように、アンテナ固定台座8は、第1アンテナユニット設置部81と、第2アンテナユニット設置部82と、固定片83,84,85と、補強部86と、リブ87と、を樹脂で一体成形して成る。アンテナ固定台座8は、平面視して車幅方向に細長く形成されている。アンテナ固定台座8は、車幅方向中央部と、車幅方向両端部との三か所を、雄ねじ部材等から成る固定具95,96,97でブラケット33に締結している。
【0049】
図7または図8に示すように、第1アンテナユニット設置部81は、第1アンテナ41を載設するための部位である。第1アンテナユニット設置部81は、車幅方向に延設された平らな箇所から成る。第1アンテナユニット設置部81は、縦断面視して逆凹形状に形成されている。第1アンテナユニット設置部81には、左右一対の位置決め凸部81aと、左右一対のアンテナ取付孔81bと、が形成されている。
【0050】
位置決め凸部81aは、第1アンテナ41の筐体41aの下面に形成された位置決め穴(図示省略)に挿入される円柱形状の凸部から成る。
アンテナ取付孔81bは、筐体41aを第1アンテナユニット設置部81に固定するためのねじ部材が挿通されるねじ設置孔から成る。
【0051】
図7または図8に示すように、第2アンテナユニット設置部82は、第2アンテナ42を載設するための部位である。第2アンテナユニット設置部82は、第1アンテナユニット設置部81から車幅方向中央側に延設された略平らな箇所から成る。第2アンテナユニット設置部82には、左右一対の位置決め凸部82aと、車幅方向外側両端部の前部及び後部に穿設されたアンテナ取付孔82bと、凹部86a,86bから成る補強部86と、が形成されている。第2アンテナユニット設置部82は、第1アンテナユニット設置部81よりも前後方向の幅寸法が大きい。
【0052】
位置決め凸部82aは、第2アンテナ42の筐体42aの下面に形成された位置決め穴(図示省略)に挿入される円柱形状の凸部から成る。
アンテナ取付孔82bは、筐体42aを第2アンテナユニット設置部82に固定するためのねじ部材が挿通されるねじ設置孔から成る。
補強部86は、多数の四角形の凹部86a,86bを略格子状に配置して第2アンテナユニット設置部82の強度を向上させた部分である。補強部86は、多数の凹部86a,86bによって、肉抜き状に形成されているので、アンテナ固定台座8の軽量化に寄与する。
【0053】
図7または図8に示すように、固定片83,84,85は、アンテナ固定台座8をブラケット33上に固定具95,96,97によって三点支持させるための突出片である。
固定片83は、第1アンテナユニット設置部81の車幅方向外側に突出形成されている。固定片83には、雌ねじ部材71(図4参照)に螺着される固定具97を挿設するための固定孔83aと、位置決め孔336(図4参照)に挿入される位置決め突起83bと、が形成されている。
【0054】
固定片84は、第2アンテナユニット設置部82の車幅方向中央側に突出形成されている。固定片84には、雌ねじ部材72(図4参照)に螺着される固定具95を挿設するための固定孔84aと、位置決め孔335(図4参照)に挿入される位置決め突起84bと、が形成されている。
【0055】
固定片85は、第2アンテナユニット設置部82の車幅方向外側前端部に、下方向に突出形成されている。固定片85には、雌ねじ部材73(図4参照)に螺着される固定具96を挿設するための固定孔85aと、固定片85を補強するための固定片85の車幅方向両側に上下方向に延設された補強用リブ85bと、が形成されている。
【0056】
図7に示すように、リブ87は、背面視して矩形に形成された第2アンテナユニット設置部82の下側部分を補強するための突出片である。リブ87は、第2アンテナユニット設置部82の下側部分の外周縁部に形成されている。
【0057】
このように、本発明の実施形態に係る車両Aのアンテナ設置構造は、図1図2図3あるいは図4に示すように、エアコンダクト3と、無線にて情報を少なくとも受信するアンテナ4と、を車両Aのインストルメントパネル1内に備え、アンテナ4は、エアコンダクト3上に設置されている。
【0058】
かかる構成によれば、本発明の車両Aのアンテナ設置構造は、インストルメントパネル1内のエアコンダクト3上にアンテナ4を設置したことで、インストルメントパネル1内にアンテナ4の取付スペースを確保することができる。さらに、アンテナ4は、エアコンダクト3上に設置したことで、インストルメントパネル1内にしっかりと設置することができる。また、アンテナ4は、インストルメントパネル1内での専有面積が広いエアコンダクト3上に固定したことで、アンテナ4が良好に機能する場所に設置することができる。
【0059】
また、図2に示すように、ステアリングハンガー5と、エアコンダクト3の前方に配置されたボディ部材6と、を車両Aのインストルメントパネル1内に備え、エアコンダクト3は、ステアリングハンガー5及びボディ部材6に固定されている。
【0060】
かかる構成によれば、エアコンダクト3は、ステアリングハンガー5及びボディ部材6に固定されていることで、ガタツキなくしっかりと固定することができる。エアコンダクト3は、前部をボディ部材6に固定し、後部をステアリングハンガー5に固定することで、アンテナ4をしっかりと固定することができると共に、且つ、アンテナ4として良好に機能する場所に設置することができる。
【0061】
また、図2及び図3に示すように、ステアリングハンガー5を車両Aのインストルメントパネル1内に備え、エアコンダクト3は、車両後方側に伸出しステアリングハンガー5に固定するブラケット33を備え、ブラケット33上には、アンテナ4を固定するためのアンテナ固定台座8が固定されている。
【0062】
かかる構成によれば、エアコンダクト3は、剛性部材であるステアリングハンガー5に固定するブラケット33を備えていることで、ステアリングハンガー5にしっかりと固定することができる。ブラケット33は、アンテナ4を固定するためのアンテナ固定台座8が固定されていることで、アンテナ4の荷重を受けても、ステアリングハンガー5に固定されているため、アンテナ4をしっかりと支えることができる。エアコンダクト3は、空調通路であるため、そのままではアンテナ4の設置場所を確保し難いが、エアコンダクト3から伸出するブラケット33に固定台座を介して固定することができる。
【0063】
また、図4に示すように、ブラケット33は、前方及び車幅方向両側方をエアコンダクト3に囲まれる位置に配置され、ブラケット33の前方及び車幅方向両側方は、エアコンダクト3に接続されている。
【0064】
かかる構成によれば、ブラケット33は、前方及び車幅方向両側方をエアコンダクト3によって囲まれていることで、ブラケット33に外力が直接負荷がかからないように配置することができる。また、他部品の配置によって余裕のないレイアウトのインストルメントパネル1内においても、アンテナ4が良好に機能する場所に配置することができる。また、ブラケット33の前方及び車幅方向両側方は、エアコンダクト3に接続されて一体化されていることで、アンテナ4をエアコンダクト3にしっかりと固定することができる。
【0065】
また、ブラケット33は、エアコンダクト3に樹脂で一体成形されている。
【0066】
かかる構成によれば、ブラケット33は、エアコンダクト3に樹脂で一体成形されていることで、部品点数及び組付工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0067】
また、図7に示すように、アンテナ固定台座8には、複数の凹部86a,86bから成る補強部86が形成されている。
【0068】
かかる構成によれば、アンテナ固定台座8は、複数の凹部86a,86bから成る補強部86を有することで、剛性を向上させることができるため、アンテナ4をしっかりと支えることができる。
【0069】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0070】
例えば、前記実施形態では、アンテナ4は、第1アンテナ41と、第2アンテナ42と、を備える場合を説明したが、これに限定されず、第1アンテナ41と第2アンテナ42のどちらか一方のみを備えたものでもよい。
かかる構成によれば、アンテナ4は、一つのアンテナユニットから成るので、小型にすることができるため、レイアウトの自由度及び効率を向上させることができる。
また、アンテナ4は、3つのアンテナユニットを配置したであってもよい。
【0071】
アンテナ4は、テレマティクスアンテナ、GPSアンテナ、GNSSアンテナを例に挙げて説明したが、テレマティクスシステムの無線通信よりも指向性の強い電波を受信するETCアンテナや、DSRCアンテナでもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 インストルメントパネル
3 エアコンダクト
4 アンテナ
5 ステアリングハンガー
6 ボディ部材
8 アンテナ固定台座
33 ブラケット
86 補強部
86a,86b 凹部
A 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8