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特許7709631自動取引装置、人物検知方法及び人物検知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】自動取引装置、人物検知方法及び人物検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250710BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20250710BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20250710BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G07D11/60
G08B21/24
G06T7/00 660Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022021387
(22)【出願日】2022-02-15
(65)【公開番号】P2023118436
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】525184980
【氏名又は名称】株式会社富士通フロンテックシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木山 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】大浪 直也
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-188103(JP,A)
【文献】特開2008-040581(JP,A)
【文献】特開2004-348429(JP,A)
【文献】特開2002-117429(JP,A)
【文献】特開2014-002564(JP,A)
【文献】特開2002-197463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G07D 11/60
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する撮影部と、
前記撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知する範囲検知部と、
自動取引装置に対する前記人物の接近を検知する接近検知部と、を備え
前記接近検知部は、
前記範囲検知部により検知された人物の範囲を示す値を因子とする第1の関数に基づいて、前記人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定し、
前記人物の姿勢が立位であるとき、前記第1の関数と異なる第2の関数であって、前記範囲検知部により検知された人物の範囲を示す値を因子とする第2の関数に基づいて、前記人物が前記自動取引装置に接近したか否かを検知し、
前記人物の姿勢が座位であるとき、前記第1の関数および前記第2の関数と異なる第3の関数であって、前記範囲検知部により検知された人物の範囲を示す値を因子とする第3の関数に基づいて、前記人物が前記自動取引装置に接近したか否かを検知する、
自動取引装置。
【請求項2】
前記人物の範囲は、前記撮影画像内に写る人物の高さと幅で示される、
請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記第1の関数、前記第2の関数および前記第3の関数は、前記人物の高さと幅を変数とする一次関数である、
請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記範囲検知部は、バウンディングボックスを用いて前記人物を検知し、検知された人物を囲うバウンディングボックスの高さ、幅を、それぞれ、前記人物の高さ、幅として取得する、
請求項2又は請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記人物が所定の媒体を受け取ったか否かを判定する媒体受取判定部と、
前記媒体の受け取り忘れを報知する報知部と、を更に備え、
前記接近検知部は、前記第2の関数または前記第3の関数に基づいて、前記自動取引装置に接近した前記人物が前記自動取引装置から遠ざかったか否かを検知し、
前記媒体受取判定部が前記媒体を前記人物が受け取っていないと判定し且つ前記接近検知部が前記自動取引装置から前記人物が遠ざかったことを検知したとき、前記報知部は、前記媒体の受け取り忘れを報知する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記自動取引装置の動作モードを通常モードと省電力モードとに切り替えるモード切替部を更に備え、
前記モード切替部は、前記接近検知部による検知結果に応じて前記動作モードを切り替える、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知し、
前記検知された人物の範囲を示す値を因子とする第1の関数に基づいて、前記人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定し、
前記人物の姿勢が立位であるとき、前記第1の関数と異なる第2の関数であって、前記検知された人物の範囲を示す値を因子とする第2の関数に基づいて、前記人物が自動取引装置に接近したか否かを検知し、
前記人物の姿勢が座位であるとき、前記第1の関数および前記第2の関数と異なる第3の関数であって、前記検知された人物の範囲を示す値を因子とする第3の関数に基づいて、前記人物が前記自動取引装置に接近したか否かを検知する、処理を、コンピュータに実行させる、
人物検知方法。
【請求項8】
撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知し、
前記検知された人物の範囲を示す値を因子とする第1の関数に基づいて、
前記人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定し、
前記人物の姿勢が立位であるとき、前記第1の関数と異なる第2の関数であって、前記検知された人物の範囲を示す値を因子とする第2の関数に基づいて、前記人物が自動取引装置に接近したか否かを検知し、
前記人物の姿勢が座位であるとき、前記第1の関数および前記第2の関数と異なる第3の関数であって、前記検知された人物の範囲を示す値を因子とする第3の関数に基づいて、前記人物が前記自動取引装置に接近したか否かを検知する、処理を、コンピュータに実行させる、
人物検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、人物検知方法及び人物検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
取引操作を行う利用者がない間、省電力モードに遷移する自動取引装置が知られている。例えば特許文献1に、この種の自動取引装置の具体的構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の自動取引装置は、光学式の距離センサを用いて利用者の有無を検知する。この自動取引装置は、利用者が一定時間検知されなければ省電力モードに遷移し、また、利用者が検知されると通常の動作モードに復旧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-2564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、光学式の距離センサでは、人物以外も検知する可能性が比較的高い。そのため、光学式の距離センサを採用した構成では、利用者である人物の接近を高い精度で検知することが難しい。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、人物の接近を高い精度で検知することができる自動取引装置、人物検知方法及び人物検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る自動取引装置は、画像を撮影する撮影部と、撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知する範囲検知部と、自動取引装置に対する人物の接近を検知する接近検知部と、を備える。本発明の一実施形態に係る自動取引装置は、画像を撮影する撮影部と、撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知する範囲検知部と、自動取引装置に対する人物の接近を検知する接近検知部と、を備える。接近検知部は、範囲検知部により検知された人物の範囲を示す値を因子とする第1の関数に基づいて、人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定し、人物の姿勢が立位であるとき、第1の関数と異なる第2の関数であって、範囲検知部により検知された人物の範囲を示す値を因子とする第2の関数に基づいて、人物が自動取引装置に接近したか否かを検知し、人物の姿勢が座位であるとき、第1の関数および第2の関数と異なる第3の関数であって、範囲検知部により検知された人物の範囲を示す値を因子とする第3の関数に基づいて、人物が自動取引装置に接近したか否かを検知する。
【0008】
本発明の一実施形態に係る人物検知方法は、撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知し、検知された人物の範囲を示す値を因子とする第1の関数に基づいて、人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定し、人物の姿勢が立位であるとき、第1の関数と異なる第2の関数であって、検知された人物の範囲を示す値を因子とする第2の関数に基づいて、人物が自動取引装置に接近したか否かを検知し、人物の姿勢が座位であるとき、第1の関数および第2の関数と異なる第3の関数であって、検知された人物の範囲を示す値を因子とする第3の関数に基づいて、人物が自動取引装置に接近したか否かを検知する、処理を、コンピュータに実行させる方法である。
【0009】
本発明の一実施形態に係る人物検知プログラムは、撮影部による撮影画像内に写る人物の範囲を検知し、検知された人物の範囲を示す値を因子とする第1の関数に基づいて、人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定し、人物の姿勢が立位であるとき、第1の関数と異なる第2の関数であって、検知された人物の範囲を示す値を因子とする第2の関数に基づいて、人物が自動取引装置に接近したか否かを検知し、人物の姿勢が座位であるとき、第1の関数および第2の関数と異なる第3の関数であって、検知された人物の範囲を示す値を因子とする第3の関数に基づいて、人物が自動取引装置に接近したか否かを検知する、処理を、コンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、人物の接近を高い精度で検知することができる自動取引装置、人物検知方法及び人物検知プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る自動取引装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る自動取引装置を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態においてプロセッサにより実行されるプログラムによる人物検知処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るカメラによる撮影画像内で人物が検知されたときのバウンディングボックスの一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るカメラによる撮影画像内に写る人物の高さ及び幅並びに人物と自動取引装置との距離の関係を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る第1の関数を視覚的に示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る第2の関数を視覚的に示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る第3の関数を視覚的に示す図である。
図9】本発明の一実施形態においてプロセッサにより実行されるプログラムによる媒体取り忘れ報知処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態においてプロセッサにより実行されるプログラムによるモード切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る自動取引装置、人物検知方法及び人物検知プログラムについて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動取引装置10の概略構成を示す図である。自動取引装置10は、例えば銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストアの店舗等に設置されるATM(Automated Teller Machine)である。自動取引装置10は、例えば現金自動預け払い機と呼称されてもよい。
【0014】
図1に示されるように、自動取引装置10は、カード出入口11、通帳出入口12、紙幣出入口13、硬貨出入口14、表示部120及びカメラ190を備える。カード出入口11、通帳出入口12、紙幣出入口13、硬貨出入口14は、それぞれ、キャッシュカード、通帳、紙幣、硬貨を、自動取引装置10内に挿入し且つ自動取引装置10から排出する出入口である。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る自動取引装置10を示すブロック図である。なお、自動取引装置10は、図2に示されていない他の構成を備えていてもよい。すなわち、自動取引装置10の態様には自由度があり、各種の設計変更が可能である。
【0016】
自動取引装置10は、プロセッサ100、メモリ110、表示部120、入力部130、通帳処理部140、カード処理部150、紙幣処理部160、硬貨処理部170、通信部180、カメラ190、スピーカ200及び電源ユニット210を有する。
【0017】
プロセッサ100は、メモリ110に記憶されたプログラム112を実行するコンピュータの一例である。プロセッサ100は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM(Read Only Memory)等を備えており、自動取引装置10全体を制御する。例えば、プロセッサ100は、メモリ110に記憶されたプログラム112をはじめとする各種プログラムをワークエリアであるRAM上に展開し、展開されたプログラムに従って自動取引装置10を制御する。
【0018】
プロセッサ100は、例えばシングルプロセッサ又はマルチプロセッサであり、少なくとも1つのプロセッサを含む。複数のプロセッサを含む構成とした場合、プロセッサ100は、単一の装置としてパッケージ化されたものであってもよく、自動取引装置10内で物理的に分離した複数の装置で構成されてもよい。
【0019】
メモリ110に記憶されたプログラム112は、撮影部の一例であるカメラ190による撮影画像内に写る人物の範囲を検知し、検知された人物の範囲を示す値を因子とする所定の関数に基づいて、自動取引装置10に対する人物の接近を検知する、処理を、コンピュータであるプロセッサ100に実行させる。
【0020】
プログラム112の実行により、例えば光学式の距離センサを採用した従来構成と比べて、自動取引装置10の利用者である人物の接近を、高い精度で検知することができる。
【0021】
プロセッサ100は、機能ブロックとして、範囲検知部100A、接近検知部100B、媒体受取判定部100C、報知部100D及びモード切替部100Eを備える。各機能ブロックは、コンピュータの一例であるプロセッサ100が実行するプログラム112により実現される。各機能ブロックは、一部又は全部が専用の論理回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0022】
メモリ110は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0023】
表示部120は、例えばタッチパネルを搭載したLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等である。表示部120は、プロセッサ100の指示により、操作画面、メニュー画面、取引画像等を表示する。
【0024】
入力部130は、利用者により操作される、ハードウェア又はソフトウェア若しくはこれらを組み合わせたユーザインタフェースである。本実施形態では、表示部120がタッチパネルを搭載するため、表示部120が入力部130も兼ねる。
【0025】
通帳処理部140は、通帳搬送部、通帳センサ、印字部及びMS(Magnetic Stripe)記録再生部を有する。通帳搬送部は、自動取引装置10の正面に設けられた通帳出入口12に挿入された通帳を自動取引装置10の内部に搬送し、また、自動取引装置10の内部に挿入された通帳を通帳出入口12から排出する。
【0026】
通帳センサは、通帳出入口12付近に設置されており、通帳出入口12に対する通帳の挿入、排出及び排出された通帳が利用者に受け取られたこと(言い換えると、通帳の全体が通帳出入口12から自動取引装置10の外部に出たことであり、便宜上「受け取り」と記す。)を検知する。
【0027】
通帳処理部140は、通帳センサにより検知された通帳の挿入、排出及び受け取りをプロセッサ100に通知する。印字部は、自動取引装置10の内部に搬送された通帳に取引内容を印字する。MS記録再生部は、通帳に貼付された磁気ストライプのデータへの読み取りと書き込みを行う。
【0028】
カード処理部150は、カード搬送部、カードセンサ、印字部及びMS記録再生部を有する。カード搬送部は、自動取引装置10の正面に設けられたカード出入口11に挿入されたカード(例えばキャッシュカード)を自動取引装置10の内部に搬送し、また、自動取引装置10の内部に挿入されたカードをカード出入口11から排出する。
【0029】
カードセンサは、カード出入口11付近に設置されており、カード出入口11に対するカードの挿入、排出及び排出されたカードが利用者に受け取られたこと(言い換えると、カードの全体がカード出入口11から自動取引装置10の外部に出たことであり、便宜上「受け取り」と記す。)を検知する。
【0030】
カード処理部150は、カードセンサにより検知されたカードの挿入、排出及び受け取りをプロセッサ100に通知する。印字部は、自動取引装置10の内部に搬送されたカードに取引内容を印字する。MS記録再生部は、カードの磁気ストライプのデータへの読み取りと書き込みを行う。
【0031】
紙幣処理部160は、紙幣を一時的に格納する一時保留部、紙幣の真偽等を鑑別する紙幣鑑別部、紙幣を種類別に格納する紙幣スタッカ、紙幣出入口13のシャッタ解放後に取り忘れた紙幣を保管する紙幣取り忘れボックス、紙幣出入口13と一時保留部と紙幣鑑別部や紙幣スタッカ及び紙幣取り忘れボックス間で紙幣を搬送する搬送路等を有する。
【0032】
紙幣処理部160は、紙幣スタッカ内の紙幣の量を検知する紙幣量センサを有する。紙幣処理部160は、紙幣量センサにより紙幣スタッカ内の紙幣の量を検知して、プロセッサ100に通知する。紙幣量センサは、紙幣出入口13に排出された紙幣の取り忘れも検知して、プロセッサ100に通知することもできる。
【0033】
硬貨処理部170は、硬貨の真偽等を鑑別する硬貨鑑別部、硬貨を種類別に格納する硬貨スタッカ、硬貨出入口14のシャッタ解放後に取り忘れた硬貨を保管する硬貨取り忘れボックス、硬貨出入口14と硬貨鑑別部や硬貨スタッカ及び硬貨取り忘れボックス間で硬貨を搬送する搬送路等を有する。
【0034】
硬貨処理部170は、硬貨スタッカ内の硬貨の量を検知する硬貨量センサを有する。硬貨処理部170は、硬貨量センサにより硬貨スタッカ内の硬貨の量を検知して、プロセッサ100に通知する。硬貨量センサは、硬貨出入口14に排出された硬貨の取り忘れも検知して、プロセッサ100に通知することもできる。
【0035】
通信部180は、例えば、専用線やVPN(Virtual Private Network)等の閉域網の通信回線を介して、自動取引装置10を、ホストコンピュータ等の管理システムと相互通信可能に接続する。
【0036】
カメラ190は、所定の時間間隔で(例えば200ミリ秒毎に)自動取引装置10の前方領域を撮影する。カメラ190による撮影画像の解像度は、例えばQVGA(Quarter Video Graphics Array)である。撮影画像は、プロセッサ100からのコマンドに応じて、逐次、プロセッサ100のRAMに保存され、例えば後述の図3に示される人物検知処理で使用された後、RAMから削除される。
【0037】
なお、撮影画像は、不正利用等された場合の証拠資料として、n(nは自然数)回に一回の割合でメモリ110に保存されてもよい。
【0038】
電源ユニット210は、自動取引装置10の各ブロックに電源を供給する。ここで、自動取引装置10は、通常モードと省電力モードの一方のモードで動作する。
【0039】
通常モード時、プロセッサ100は、図2に示される自動取引装置10内の全てのブロックへの電源供給を許可する。すなわち、通常モード時、電源ユニット210は、図2に示される自動取引装置10内の全てのブロックに電源を供給する。
【0040】
省電力モード時、プロセッサ100は、図2に示される自動取引装置10内の一部のブロック(例えば表示部120、通帳処理部140、カード処理部150、紙幣処理部160、硬貨処理部170等)への電源供給を遮断して、そのブロックの動作を停止させる。これにより、例えば待機時における自動取引装置10の消費電力が低減する。
【0041】
上述したように、光学式の距離センサを採用した従来構成では、自動取引装置10の利用者である人物の接近を高い精度で検知することが難しい。
【0042】
そこで、本実施形態に係る自動取引装置10では、以下に説明される人物検知処理が実行される。人物検知処理の実行により、人物以外を誤検知する不具合を避けることができるとともに、自動取引装置10の利用者である人物の接近を高い精度で検知することができる。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態においてプロセッサ100により実行されるプログラム112による人物検知処理を示すフローチャートである。例えば自動取引装置10の電源投入後、図3に示される人物検知処理の実行が開始される。人物検知処理の実行は、例えば自動取引装置10の電源が切断されるまで継続する。
【0044】
図3に示されるように、プログラム112は、カメラ190から出力された撮影画像を取得して、プロセッサ100のRAMに保存する(ステップS101)。なお、プロセッサ100のRAMに保存された撮影画像は、例えば所定時間経過後にRAMから削除される。
【0045】
プログラム112は、撮影画像内に写る人物を検知する(ステップS102)。概略的には、プログラム112は、撮影画像内の物体をバウンディングボックスで囲い、バウンディングボックスで囲われた物体のスコアを算出し、算出されたスコアが所定の閾値以上の場合、この物体を人物として検知する。バウンディングボックスは、撮影画像の垂直方向(高さ方向)と水平方向(幅方向)とを辺とした矩形状のボックスである。なお、バウンディングボックスを用いた検知処理には、例えば本件特許出願に係る発明が属する技術分野において周知の方法が採用される。そのため、ステップS102の検知処理の詳細な説明は省略する。
【0046】
小さいサイズ(所定サイズ未満)のバウンディングボックスで囲われた物体は、たとえ人物であったとしても、自動取引装置10との距離が離れている。また、小さいサイズのバウンディングボックスで囲われた物体に対しては、物体検出の精度やスコア算出の精度が低くなる。そのため、ステップS102において、例えば、所定サイズ未満のバウンディングボックスで囲われた物体に対しては、スコアの算出を行わなくてもよい。
【0047】
バウンディングボックスを用いた検知処理は、撮影画像内に写る人物の範囲(例示的には、人物の高さと幅で示される範囲)を検知する処理ともいえる。従って、ステップS102において、プログラム112を実行するプロセッサ100は、撮影部の一例であるカメラ190による撮影画像内に写る人物の範囲を検知する範囲検知部100Aとして動作する。
【0048】
プログラム112は、ステップS102において人物が検知されたか否かを判定する(ステップS103)。人物が検知された場合(ステップS103:YES)、プログラム112は、検知された人物を囲うバウンディングボックスの高さ、幅を、それぞれ、人物の高さh、幅wとして取得する(ステップS104)。人物が検知されなかった場合(ステップS103:NO)、プログラム112は、ステップS101の処理に戻り、次の撮影画像がカメラ190から出力されるまで待機する。
【0049】
図4は、撮影画像内で人物が検知されたときのバウンディングボックスの一例を示す図である。以下、便宜上、バウンディングボックスに符号BBを付す。
【0050】
図4に示されるように、バウンディングボックスBBは、高さHと幅Wの情報を有する。ステップS104では、バウンディングボックスBBの高さH、幅Wが、それぞれ、人物の高さh、幅wとして取得される。
【0051】
ステップS102~S104において、プログラム112を実行するプロセッサ100は、範囲検知部100Aとして動作する。範囲検知部100Aとして動作するプロセッサ100は、バウンディングボックスBBを用いて撮影画像内に写る人物を検知し、検知された人物を囲うバウンディングボックスBBの高さH、幅Wを、それぞれ、その人物の高さh、幅wとして取得する。附言するに、人物の範囲は、撮影画像内に写る人物の高さと幅で示される。
【0052】
プログラム112は、第1の関数F1に基づいて、ステップS102において検知された人物の姿勢が立位か否かを判定する(ステップS105)。
【0053】
第1の関数F1は、ステップS102において検知された人物の範囲を示す値を因子とする所定の関数であり、より具体的には、当該人物の高さhと幅wを変数とする一次関数である。第1の関数F1は、次式により示される。f、Cは、それぞれ、傾き、切片である。傾きf及び切片Cの値は、日本人の身長の統計データを考慮したうえで予め決められている。
【0054】
h=f(w)+C ・・・(F1)
【0055】
ここで、図5に、撮影画像内に写る人物の高さh及び幅w並びに人物と自動取引装置10との距離の関係を示す。図5中、縦軸は、高さ(言い換えると、撮影画像の垂直方向のピクセル数)を示し、横軸は、幅(言い換えると、撮影画像の水平方向のピクセル数)を示す。
【0056】
日本人青年女性の身長(立位姿勢のときの床面から頭頂までの高さ)の5パーセンタイル値は、身長151cmである。日本人青年男性の身長の95パーセンタイル値は、身長182cmである。すなわち、日本人青年男女のほぼ全ての身長は、151cm~182cmに属する。
【0057】
図5中、黒菱形(◆)のデータ点は、身長151cmの人物(言い換えると、日本人のなかで身長が実質的に最も低いとみなされる人物)と自動取引装置10との距離が各距離Dのときの、当該人物の高さh及び幅w(言い換えると、身長151cmの人物を囲うバウンディングボックスBBの高さH、幅W)を示す。なお、各距離Dは、30cm~110cmの間の10cm刻みの各距離であり、具体的には、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm、110cmである。
【0058】
図5中、黒四角(■)のデータ点は、身長182cmの人物(言い換えると、日本人のなかで身長が実質的に最も高いとみなされる人物)と自動取引装置10との距離が各距離Dのときの、当該人物の高さh及び幅w(言い換えると、身長182cmの人物を囲うバウンディングボックスBBの高さH、幅W)を示す。
【0059】
また、車椅子に座った日本人青年女性の身長(すなわち、座位姿勢のときの床面から頭頂までの高さを示す、着座全高)の5パーセンタイル値は、身長120cmである。車椅子に座った日本人青年男性の身長(着座全高)の95パーセンタイル値は、身長138cmである。すなわち、車椅子に座った日本人青年男女のほぼ全ての身長(着座全高)は、120cm~138cmに属する。
【0060】
図5中、黒三角(▲)のデータ点は、身長120cmの人物(言い換えると、車椅子に座った日本人のなかで着座全高が実質的に最も低いとみなされる人物)と自動取引装置10との距離が各距離Dのときの、当該人物の高さh及び幅w(言い換えると、身長120cmの人物を囲うバウンディングボックスBBの高さH、幅W)を示す。
【0061】
図5中、黒丸(●)のデータ点は、身長138cmの人物(言い換えると、車椅子に座った日本人のなかで着座全高が実質的に最も高いとみなされる人物)と自動取引装置10との距離が各距離Dのときの、当該人物の高さh及び幅w(言い換えると、身長138cmの人物を囲うバウンディングボックスBBの高さH、幅W)を示す。
【0062】
図5に示されるように、黒菱形(◆)と黒四角(■)のデータ点(言い換えると、立位姿勢の日本人青年男女の身長)は、図5のグラフ内の上方領域に分布する。また、黒三角(▲)と黒丸(●)のデータ点(言い換えると、車椅子に座った日本人青年男女の身長)は、図5のグラフ内の下方領域に分布する。
【0063】
ここで、図6に、第1の関数F1を視覚的に示す。図6は、図5に対し、第1の関数F1を追加するとともに、第1の関数F1より上側の領域に符号A1を付し、かつ第1の関数F1より下側の領域に符号A2を付した図である。
【0064】
図6から判るように、黒菱形(◆)と黒四角(■)のデータ点は上側領域A1に分布し、黒三角(▲)と黒丸(●)のデータ点は下側領域A2に分布する。言い換えると、h≧f(w)+Cを満たすデータ点は、上側領域A1に属し、h<f(w)+Cを満たすデータ点は、下側領域A2に属する。
【0065】
従って、h≧f(w)+Cを満たすとき、プログラム112は、ステップS102において検知された人物の姿勢が立位であると判定する。また、h<f(w)+Cを満たすとき、プログラム112は、ステップS102において検知された人物の姿勢が座位であると判定する。
【0066】
ステップS105において、プログラム112を実行するプロセッサ100は、接近検知部100Bとして動作する。接近検知部100Bとして動作するプロセッサ100は、第1の関数F1に基づいて、ステップS102において検知された人物の姿勢が立位と座位の何れであるかを判定する。
【0067】
ステップS102において検知された人物の姿勢が立位である場合(ステップS105:YES)、プログラム112は、第2の関数F2に基づいて、当該人物が自動取引装置10に接近したか否かを検知する(ステップS106)。本実施形態では、一例として、人物と自動取引装置10との距離が50cm以下の場合、当該人物が自動取引装置10に接近したと判定する。
【0068】
第2の関数F2は、ステップS102において検知された人物の範囲を示す値を因子とする所定の関数であり、より具体的には、当該人物の高さhと幅wを変数とする一次関数である。第2の関数F2は、次式により示される。f、Cは、それぞれ、傾き、切片である。傾きf及び切片Cの値も、傾きf及び切片Cと同様に、日本人の身長の統計データを考慮したうえで予め決められている。
【0069】
h=f(w)+C ・・・(F2)
【0070】
図7に、第2の関数F2を視覚的に示す。図7は、図5に対し、第2の関数F2を追加するとともに、第2の関数F2より上側の領域に符号A3を付し、かつ第2の関数F2より下側の領域に符号A4を付した図である。
【0071】
図7から判るように、黒菱形(◆)と黒四角(■)のデータ点のうち、50cm以下の距離に対応するデータ点は、上側領域A3に分布し、50cmを超える距離に対応するデータ点は、下側領域A4に分布する。言い換えると、黒菱形(◆)と黒四角(■)のデータ点のうち、h≧f(w)+Cを満たすデータ点は、上側領域A3に属し、h<f(w)+Cを満たすデータ点は、下側領域A4に属する。
【0072】
従って、h≧f(w)+Cを満たすとき、プログラム112は、ステップS102において検知された人物が自動取引装置10に接近したと判定する。また、h<f(w)+Cを満たすとき、プログラム112は、ステップS102において検知された人物が自動取引装置10に接近していないと判定する。
【0073】
このように、ステップS106において、プログラム112を実行するプロセッサ100は、第2の関数F2に基づいて、自動取引装置10に対する立位の人物の接近を検知する接近検知部100Bとして動作する。
【0074】
ステップS106において自動取引装置10に対する立位の人物の接近が検知されると(ステップS106:YES)、プログラム112は、自動取引装置10を操作できる位置に利用者が居ることを示す利用者フラグをオンして(ステップS107)、ステップS101の処理に戻り、次の撮影画像がカメラ190から出力されるまで待機する。
【0075】
ここでオンされた利用者フラグは、自動取引装置10に対する立位の人物の接近状態が保たれる限り(言い換えると、自動取引装置10と立位の人物との距離が50cm以内にある限り)、オンされたままである。この利用者フラグは、例えばステップS103においてNO判定となる場合(すなわち、人物が検知されない場合)や、ステップS106においてNO判定となる場合(すなわち、接近状態にあった立位の人物が自動取引装置10から遠ざかったことが検知された場合)、オフされる。
【0076】
ステップS102において検知された人物の姿勢が座位である場合(ステップS105:NO)、プログラム112は、第3の関数F3に基づいて、当該人物が自動取引装置10に接近したか否かを検知する(ステップS108)。
【0077】
第3の関数F3は、ステップS102において検知された人物の範囲を示す値を因子とする所定の関数であり、より具体的には、当該人物の高さhと幅wを変数とする一次関数である。第3の関数F3は、次式により示される。f、Cは、それぞれ、傾き、切片である。傾きf及び切片Cの値も、傾きf及び切片Cと同様に、日本人の身長の統計データを考慮したうえで予め決められている。
【0078】
h=f(w)+C ・・・(F3)
【0079】
図8に、第3の関数F3を視覚的に示す。図8は、図5に対し、第3の関数F3を追加するとともに、第3の関数F3より上側の領域に符号A5を付し、かつ第3の関数F3より下側の領域に符号A6を付した図である。
【0080】
図8から判るように、黒三角(▲)と黒丸(●)のデータ点のうち、50cm以下の距離に対応するデータ点は、上側領域A5に分布し、50cmを超える距離に対応するデータ点は、下側領域A6に分布する。言い換えると、黒三角(▲)と黒丸(●)のデータ点のうち、h≧f(w)+Cを満たすデータ点は、上側領域A5に属し、h<f(w)+Cを満たすデータ点は、下側領域A6に属する。
【0081】
従って、h≧f(w)+Cを満たすとき、プログラム112は、ステップS102において検知された人物が自動取引装置10に接近したと判定する。また、h<f(w)+Cを満たすとき、プログラム112は、ステップS102において検知された人物が自動取引装置10に接近していないと判定する。
【0082】
このように、ステップS108において、プログラム112を実行するプロセッサ100は、第3の関数F3に基づいて、自動取引装置10に対する座位の人物の接近を検知する接近検知部100Bとして動作する。
【0083】
ステップS108において自動取引装置10に対する座位の人物の接近が検知されると(ステップS108:YES)、プログラム112は、利用者フラグをオンして(ステップS107)、ステップS101の処理に戻り、次の撮影画像がカメラ190から出力されるまで待機する。
【0084】
ここでオンされた利用者フラグは、自動取引装置10に対する座位の人物の接近状態が保たれる限り(言い換えると、自動取引装置10と座位の人物との距離が50cm以内にある限り)、オンされたままである。この利用者フラグは、例えばステップS103においてNO判定となる場合(すなわち、人物が検知されない場合)や、ステップS106においてNO判定となる場合(すなわち、接近状態にあった座位の人物が自動取引装置10から遠ざかったことが検知された場合)、オフされる。
【0085】
なお、ステップS108において自動取引装置10に対する座位の人物の接近が検知された場合、プロセッサ100は、表示部120に表示される画面(操作画面、メニュー画面、取引画像等)を車椅子の利用者向けの画面に切り替えてもよい。車椅子の利用者向けの画面では、例えば操作用のソフトボタンが画面内の下方に(利用者により近い側に)レイアウトされる。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る自動取引装置10では、検知された人物の範囲を示す値(バウンディングボックスBBの高さH、幅Wで示される人物の高さh、幅w)を因子とする関数を用いることにより、当該人物が自動取引装置10に接近したことを高い精度で検知することができる。また、本実施形態に係る自動取引装置10では、光学式の距離センサが不要になる点から、製造コストを抑えることができる。
【0087】
本実施形態では、プログラム112による人物検知結果(例えば利用者フラグ)を活用して、媒体(例えば通帳、カード、紙幣、硬貨)の取り忘れを自動取引装置10の利用者に適切に報知することができる。
【0088】
図9は、本発明の一実施形態においてプロセッサ100により実行されるプログラム112による媒体取り忘れ報知処理を示すフローチャートである。例えば、利用者による所定の取引操作(例えば現金の引き出し、預入、通帳記入、残高照会、振込等)が開始されると、図9に示される媒体取り忘れ報知処理の実行が開始される。
【0089】
図9に示されるように、自動取引装置10から媒体が排出されると(ステップS201)、プログラム112は、各種センサ類(通帳処理部140、カード処理部150、紙幣処理部160、硬貨処理部170)より受信した通知に基づいて、排出された媒体が受け取られたか否かを判定する(ステップS202)。
【0090】
このように、ステップS202において、プログラム112を実行するプロセッサ100は、自動取引装置10の利用者である人物が所定の媒体(例えば通帳、カード、紙幣、硬貨)を受け取ったか否かを判定する媒体受取判定部100Cとして動作する。
【0091】
なお、利用者による所定の取引操作が開始されてから(言い換えると、図9に示される媒体取り忘れ報知処理の実行が開始されてから)、自動取引装置10から媒体が排出されるまでの間、プロセッサ100の処理負荷を軽減するため、図3に示される人物検知処理を停止してもよい。
【0092】
自動取引装置10から排出された媒体が受け取られると(ステップS202:YES)、プログラム112は、図9に示される媒体取り忘れ報知処理を終了する。
【0093】
自動取引装置10から排出された媒体が受け取られていないと(ステップS202:NO)、プログラム112は、利用者フラグがオフ状態であるか否かを判定する(ステップS203)。言い換えると、接近検知部100Bとして動作するプログラム112は、利用者フラグをオン/オフするための第2の関数(又は第3の関数)に基づいて、自動取引装置10に接近した人物が自動取引装置10から遠ざかったか否かを検知する。
【0094】
利用者フラグがオン状態であれば(ステップS203:NO)、取引操作を行った利用者が自動取引装置10の前から離れていないものと推定される。そのため、プログラム112は、ステップS202の処理に戻り、引き続き、媒体が受け取られたか否かを監視する。
【0095】
利用者フラグがオフ状態になると(ステップS203:YES)、取引操作を行った利用者が媒体を受け取ることなく自動取引装置10から遠ざかったものと推定される。そこで、プログラム112は、利用者が自動取引装置10から排出された媒体を取り忘れたことを報知する(ステップS204)。
【0096】
ステップS204では、例えば媒体の取り忘れを報知する所定の警告音がスピーカ200から発せられる。この警告音とともに、媒体の取り忘れを報知する所定の警告画面を表示部120に表示させてもよい。
【0097】
このように、ステップS204において、プログラム112は、媒体受取判定部100Cが媒体を利用者が受け取っていないと判定し且つ接近検知部100Bが自動取引装置10から当該利用者が遠ざかったことを検知したとき、媒体の受け取り忘れを報知する報知部100Dとして動作する。
【0098】
また、本実施形態では、プログラム112による人物検知結果(例えば利用者フラグ)を活用して、自動取引装置10の動作モードを通常モードと省電力モードとに適切に切り替えることができる。
【0099】
図10は、本発明の一実施形態においてプロセッサ100により実行されるプログラム112によるモード切替処理を示すフローチャートである。例えば自動取引装置10の電源投入後、図10に示されるモード切替処理の実行が開始される。モード切替処理の実行は、例えば自動取引装置10の電源が切断されるまで継続する。なお、モード切替処理の実行の開始時、プロセッサ100に内蔵されるカウンタのカウント値がリセットされる。また、自動取引装置10は、通常モードで動作する。
【0100】
図10に示されるように、プログラム112は、利用者フラグがオン状態であるか否かを判定する(ステップS301)。利用者フラグがオン状態である場合(ステップS301:YES)、プログラム112は、カウンタのカウント値がリセットするとともに、自動取引装置10の動作モードとして、通常モードを継続する(ステップS302)。
【0101】
利用者フラグがオフ状態である場合(ステップS301:NO)、プログラム112は、カウンタのカウント値を1インクリメントする(ステップS303)。
【0102】
プログラム112は、自動取引装置10の前に利用者が居ない時間が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS304)。具体的には、プログラム112は、カウンタのカウント値が所定値に達したか否か(言い換えると、利用者フラグがオフ状態である時間が所定時間継続したか否か)を判定する。
【0103】
自動取引装置10の前に利用者が居ない時間が所定時間継続していなければ(ステップS304:NO)、プログラム112は、ステップS301の処理に戻り、引き続き、利用者フラグを監視する。
【0104】
自動取引装置10の前に利用者が居ない時間が所定時間継続した場合(ステップS304:YES)、プログラム112は、カウンタのカウント値をリセットするとともに、自動取引装置10の動作モードを省電力モードに切り替える(ステップS305)。利用者フラグがオフ状態である限り(ステップS306:NO)、プログラム112は、省電力モードを継続させる。
【0105】
利用者フラグがオン状態になると(ステップS306:YES)、プログラム112は、カウンタのカウント値がリセットするとともに、自動取引装置10の動作モードを通常モードを切り替えて(ステップS302)、ステップS301の処理に戻り、引き続き、利用者フラグを監視する。
【0106】
このように、図10に示されるモード切替処理時、プログラム112を実行するプロセッサ100は、自動取引装置10の動作モードを通常モードと省電力モードとに切り替えるモード切替部100Eとして動作する。モード切替部100Eとして動作するプロセッサ100は、接近検知部100Bによる検知結果(例示的には、利用者フラグ)に応じて自動取引装置10の動作モードを切り替える。
【0107】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0108】
上記の実施形態では、1つの撮影画像に対する人物検知結果に基づいて自動取引装置10の利用者の有無を検知しているが、別の実施形態では、連続して撮影された複数の撮影画像の人物検知結果に基づいて自動取引装置10の利用者の有無を検知してもよい。
【0109】
連続して撮影された複数の撮影画像の各々におけるバウンディングボックスの大きさを比較することにより、バウンディングボックスで囲われた人物が自動取引装置10に徐々に近付いていることや、自動取引装置10から徐々に遠ざかっていること、自動取引装置10付近で静止していること等を推定することができる。
【0110】
例えば立位の人物が自動取引装置10に徐々に近付いていると推定される場合、例えば、図3のステップS106において、プログラム112は、第4の関数F4に基づいて、当該人物が自動取引装置10に接近したか否かを検知してもよい。第4の関数F4は、傾きと切片が第2の関数F2と異なる一次関数であり、例えば、立位の人物と自動取引装置10との距離が100cm以下の場合に、当該人物が自動取引装置10に接近したと判定するための関数である。
【符号の説明】
【0111】
10 :自動取引装置
11 :カード出入口
12 :通帳出入口
13 :紙幣出入口
14 :硬貨出入口
100 :プロセッサ
100A :範囲検知部
100B :接近検知部
100C :媒体受取判定部
100D :報知部
100E :モード切替部
110 :メモリ
112 :プログラム
120 :表示部
130 :入力部
140 :通帳処理部
150 :カード処理部
160 :紙幣処理部
170 :硬貨処理部
180 :通信部
190 :カメラ
200 :スピーカ
210 :電源ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10