(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】再構成可能なデバイスを備える光学システムおよび光学システム制御方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/291 20130101AFI20250710BHJP
G02F 1/31 20060101ALN20250710BHJP
H04J 14/02 20060101ALN20250710BHJP
【FI】
H04B10/291
G02F1/31
H04J14/02
(21)【出願番号】P 2022525947
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2020060372
(87)【国際公開番号】W WO2021090205
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】102019000020554
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】525226453
【氏名又は名称】フォトンパス ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリケッティ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】メローニ、アンドレア イヴァーノ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェイラ モライス デ アギアール ダグラス
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-264943(JP,A)
【文献】特開平07-281215(JP,A)
【文献】特表2005-528650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/291
G02F 1/31
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システム(100;400)であって、
複数のアクチュエータ(A
1~A
N)を備え、光チャネ
ルの関連する数Mと、前記アクチュエータ(A
1~A
N)の
数によって定義され
前記光チャネルの前記数Mより小さい、自由度の数Nとを有する再構成可能な波長分割多重型光学デバイス(103)と、
前記光チャネルに関連する複数の波長を含む波長帯域を有する刺激光信号(S
in)を提供するために前記再構成可能な光学デバイス(103)に接続された刺激光源(106)と、
前記刺激光信号(S
in)に応答して生成され
た監視用
光信号(S
out)を前記再構成可能な光学デバイス(103)から受信し、前記
波長帯域内に含まれるそれぞれの波長で評価された前記監視用光信号(S
out)の強度をそれぞれが表す、強度電気信号のグループ(S
EL1~S
ELK)を提供するように構成された光電変換デバイス(200)と、
前記強度電気信号
のグループ(S
EL1~S
ELK)の関数として、かつ制御則に従って、前記複数のアクチュエータ(A
1~A
N)を制御するように構成された制御デバイス(110)であって、
前記強度電気信号
のグループ(S
EL1~S
ELK)は、自由度Nの前記数に基づいて選択され、第1の最小値K1min=N-20%Nと第1の最大値K1max=N+100%Nとの間に含まれるカーディナリティKを有
し、前記カーディナリティKは、前記光チャネルの前記数Mより小さい、制御デバイス(110)と
を備える、光学システム(100;400)。
【請求項2】
前記カーディナリティKが、第2の最小値K2min=N-5%Nと第2の最大値K2max=N+50%Nとの間に含まれ、
または
前記カーディナリティKが、前記第2の最小値K2minと第3の最大値K3max=N+20%Nとの間に含まれる、
請求項1に記載の
光学システム(100;400)。
【請求項3】
前記カーディナリティKが、自由度Nの数に等しい、請求項1に記載の
光学システム(100
;400)。
【請求項4】
前記制御デバイス(110)が、
強度電気信号の前記グループ(S
EL1~S
ELK)および刺激光信号(S
in)によって、前記再構成可能な光学デバイス(103)の有効伝達関数を評価し、
前記再構成可能な光学デバイス(103)の有効伝達関数を所望の伝達関数と比較し、
前記再構成可能なデバイス(103)に前記所望の伝達関数を持たせるための前記複数のアクチュエータ(A
1~A
N)の複数の制御信号(S
1~S
N)を生成する
ように構成される、請求項1に記載の
光学システム(100
;400)。
【請求項5】
前記制御デバイス(110)が、前記有効伝達関数および所望の伝達関数に適用される以下の方法:平均二乗誤差の最小化、非線形最適化、遺伝的アルゴリズム、粒子群最適化、機械学習、ニューラルネットワークの方法の1つを使用して前記複数の制御信号(S
1~S
N)を定義するように構成される、請求項4に記載の
光学システム(100;400)。
【請求項6】
前記再構成可能なデバイス(103)が、
入力光信号(I)のための動作可能入力(101;403)と、
前記入力光信号(I)に対応する出力光信号(O)のための動作可能出力(102;402)と、
前記刺激
光信号(S
in)を受信するための刺激入力(111;408)と、
前記監視用光信号(S
out)を前記光電変換デバイス(200)に提供するための監視出力(112;405)と
を備える、請求項1に記載の
光学システム(100;400)。
【請求項7】
前記光電変換デバイス(200)が、
複数の出力光ポート(109)を備え、前記監視用光信号(S
out)を受信し、前記監視用光信号(S
out)
の部分にそれぞれ対応する複数のサンプリングされた光信号(S
S1~S
SK)を前記複数の出力光ポート(109)に送達するように構成されたスペクトルスライサ(105)と、;
前記複数のサンプリングされた光信号(S
S1~S
SK)を受信するための前記複数の出力光ポート(109)に接続され、前
記強度電気信号
のグループ(S
EL1~S
ELK)を前記制御デバイス(110)に送信するように構成された複数の電気端子(108)を備える光電変換器(104)と
を備える、請求項1に記載の
光学システム(100;400)。
【請求項8】
前記光電変換デバイス(200)が、
前記監視用光信号(S
out)を受信し、前記監視用光信号(S
out)
の部分にそれぞれ対応す
る複数のサンプリングされた光信号(S
S1~S
SK)をシリアル送信によって出力光ポート(109)に送達するように構成された波長可変フィルタ(205)と、
前記複数のサンプリングされた光信号(S
S1~S
SK)を受信するために前記出力光ポート(109)に接続され、シリアル伝送によって前
記強度電気信号
のグループ(S
EL1~S
ELK)を前記制御デバイス(110)に送信するように構成された電気端子(108)を備える光学検出器(204)と
を備える、請求項1に記載の
光学システム(100;400)。
【請求項9】
前記再構成可能なデバイス(103)が、入力光信号(I)のための動作可能入力(101)と出力光信号(O)のための動作可能出力(102)とを備える2つのポートデバイスであり、前記
光学システム
(100;400)は、
第1の光サーキュレータ(401)であって、外部から前記入力光信号(I)を受信するための第1の光ポート(403)と、前記再構成可能なデバイス(103)に前記入力光信号(I)を送達し、前記再構成可能なデバイス(103)から前記監視用光信号(S
out)を受信するための、前記動作可能入力(101)に接続された第2の光ポート(404)と、前記監視用光信号(S
out)を前記光電変換デバイス(200)に送達するための第3の光ポート(405)とを有する、第1の光サーキュレータ(401)と、
第2の光サーキュレータ(402)であって、前記動作可能出力(102)に接続されたそれぞれの第1の光ポート(406)と、前記出力光信号(O)を外部に提供するためのそれぞれの第2の光ポート(407)と、前記刺激光信号(S
in)を受信し、前記刺激光信号を、前記動作可能出力(102)によって前記再構成可能な光学デバイス(103)に送信するためのそれぞれの第3の光ポート(408)とを有する、第2の光サーキュレータ(402)と
を備える、請求項1に記載の
光学システム(
100;400)。
【請求項10】
前記再構成可能なデバイス(103)が、光フィルタ、等化フィルタ、分散補償フィルタ、FIRフィルタ、IIRフィルタ、格子フィルタ、二分木フィルタの群に属するデバイスである、請求項1に記載の
光学システム(100
;400)。
【請求項11】
前記再構成可能なデバイス(103)が、二分木干渉計、格子干渉計、AWG(アレイ導波路グレーティング)、電力分配器、マルチモード干渉計、方向性結合器、y分岐の光学構成要素(Gi)のうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載の
光学システム(100
;400)。
【請求項12】
前記複数のアクチュエータ(A
1~A
N)が、熱光学アクチュエータ、電気光学アクチュエータ、圧電アクチュエータ、電気吸収アクチュエータ、電気機械アクチュエータ、電気化学アクチュエータ、線形光学効果に基づく完全光学アクチュエータ、非線形光学効果に基づく完全光学アクチュエータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光学システム(100
;400)。
【請求項13】
少なくとも前記再構成可能なデバイス(103)および光電変換デバイス(200)が、集積光学技術によって作製される、請求項1に記載の光学システム(100
;400)。
【請求項14】
前記再構成可能なデバイスが、前記複数のアクチュエータ(A
1~A
N)によって調整可能な複数の光学素子(Gi)を備え、各光学素子は、波長多重化技術に従って動作するように構成される、請求項1に記載の光学システム(100
;400)。
【請求項15】
前記刺激光源(106)が、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、ファイバ増幅器のASEノイズ、半導体光増幅器のASEノイズ、「スーパーコンティニュウムレーザ」タイプの光源、レーザアレイ、分布帰還型レーザDFB、ファイバコーム発生器、光チップ上の集積コーム発生器を含む群において選択される、請求項1に記載の光学システム(100
;400)。
【請求項16】
光デバイスを再構成する方法であって、
複数のアクチュエータ(A
1~A
N)を備え、光チャネルの関連する数Mと、前記アクチュエータ(A
1~A
N)の数によって定義され
前記光チャネルの前記数Mより小さい、自由
度の数Nとを有する波長分割多重型の再構成可能な光学デバイス(103)を提供することと、
前記光チャネルに関連付けられた複数の波長を含む波長帯域を有する刺激光信号(S
in)を前記再構成可能な光学デバイス(103)に送達することと、
前記再構成可能な光学デバイス(103)から、前記刺激光信号(S
in)に応答して生成された監視用光信号(S
out)を受信し、前記
波長帯域に含まれるそれぞれの波長で評価された前記監視用光信号(S
out)の強度をそれぞれ表す、強度電気信号
のグループ(S
EL1~S
ELK
)を提供することによって光電変換を実行することと、
電気信号の前記グループ(S
EL1~S
ELK)の関数として、かつ制御則に従って、前記複数のアクチュエータ(A
1~A
N)を制御することと
を含み、
前記強度電気信号
のグループ(S
EL1~S
ELK)が、自由度Nの前記数に基づいて選択され、第1の最小値K1min=N-20%Nから第1の最大値K1max=N+100%Nの間に含まれるカーディナリティKを有
し、前記カーディナリティKは、前記光チャネルの前記数Mより小さい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、それだけに限定されないが、再構成可能な光ネットワーク内の電気通信セクタで使用することができる再構成可能な光学デバイスを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再構成可能な光学デバイスの一例が、米国特許第6892021号明細書に記載されている。この文献は、使用される光チャネルの相対波長にそれぞれ関連付けられたマッハツェンダ調整可能光減衰器を備えている導波路グレーティングルータを有する光利得等化器フィルタを説明している。
【0003】
さらに、Schiffer,P.M.J.,らの文献「Smart dynamic wavelength equalizer with on-chip spectrum analyzer」,IEEE Photonics Technology Letters 12.8(2000):1019-1021は、2つのWGRを使用し、スペクトラムアナライザを介したフィードバック制御を使用する動的波長等化器を説明している。
【0004】
加えてSchlipf,T.R.,らの文献「Design and analysis of a control system for an optical delay-line circuit used as reconfigurable gain equalizer」Journal of lightwave technology 21.9(2003):1944は、2ポート格子状光遅延線回路によって形成された再構成可能な利得等化器用の開ループ制御システムを説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Schiffer,P.M.J.らの文献「Smart dynamic wavelength equalizer with on-chip spectrum analyzer」,IEEE Photonics Technology Letters 12.8(2000):1019-1021
【文献】Schlipf,T.R.らの文献「Design and analysis of a control system for an optical delay-line circuit used as reconfigurable gain equalizer」Journal of lightwave technology 21.9(2003):1944
【発明の概要】
【0007】
本出願人は、既知の技術の閉ループ制御技術が、計算上および制御回路の構造関連の両方において複雑すぎることに留意している。
【0008】
本発明は、計算上特に面倒でなく、構造的な観点から複雑でない、システム自体の再構成可能なデバイスの制御技術を示す光学システムを提供するという課題に対処する。
【0009】
第1の態様によれば、本発明の目的は、請求項1に記載の光学システムおよび請求項2~15に定義されるその好ましい実施形態である。
【0010】
本発明の別の目的は、請求項16に記載の光学システムを制御する方法でもある。
【0011】
本発明は、限定ではなく例として、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】再構成可能な光学デバイスと制御デバイスとを含む光学システムの第1の実施形態を示す図である。
【
図2】
図1の光学システムの数値シミュレーションを示し、監視用信号のスペクトルおよびそのサンプリングバージョンを示す図である。
【
図3】
図1の光学システムの数値シミュレーションを示し、従来技術の方法および記載された解決策の方法によって得られた伝達関数の傾向を示す図である。
【
図4】
図1の光学システムの第2の実施形態を示す図である。
【
図5】
図4の光学システムの数値シミュレーションを示す図である。
【
図6】
図1の光学システムの第3の実施形態を示す図である。
【
図7】光学システムで使用することができる再構成可能なデバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この説明では、類似または同一の要素または構成要素は、同じ識別記号で図に示される。
【0014】
図1は、再構成可能な光学デバイス103と、制御デバイス110(CONT-DEV)と、光源106(OP-SR)と、光電変換デバイス200とを含む光学システム100の第1の実施形態を概略的に示す。
【0015】
特に、光学システム100は、300nmから5000nmの間、好ましくは1480nmから1620nmの間の波長の電磁放射線で動作するようなものである。
【0016】
例えば、光学システム100は、光通信の分野で、特に再構成可能な光ネットワークで動作するシステムである。
【0017】
再構成可能な光学デバイス103(短縮して再構成可能なデバイス)は、複数のM個の光チャネル(少なくとも2つの光チャネル)、すなわち異なる波長のキャリアを有するM個の光信号でWDM(波長分割多重)技術に従って動作するようなものである。
【0018】
特に、再構成可能なデバイス103は、WDMで動作するように構成された少なくとも1つの調整可能な光素子Gi(例えば、光遅延線、調整可能な光カプラ、または調整可能な減衰器など)を含む。一例として、M個のチャネルを有する単一の調整可能な光素子Gi、またはM個のチャネルで動作する複数の調整可能な光素子Giを使用することができる。
【0019】
再構成可能なデバイス103はまた、複数のN個のアクチュエータA1~ANを備えており、この複数のアクチュエータは、調整可能な光素子Giに関連付けられ、制御デバイス110によって供給される対応するS1~SN制御信号に従って光学特性(例えば、調整可能なデバイス103が作製される媒体の屈折率および/または減衰)を修正するようなものである。再構成可能なデバイス103は、N個の制御信号S1~SNによって制御されるそのN個の状態変数θ1、...、θNの値に応じて離散数の状態をとることができる。
【0020】
N個のA1~ANアクチュエータは、再構成可能なデバイス103の自由度の数、すなわち、再構成可能なデバイス103自体の状態を完全に判定するために必要な独立変数の数を規定することに留意されたい。
【0021】
有利には、再構成可能なデバイス103の自由度Nの数は、再構成可能なデバイス自体が動作するチャネルMの数よりも少ない。
【0022】
アクチュエータA1~ANは、関連する調整可能な光素子Giの光学パラメータ(例えば、位相または振幅)の変化を誘発するようなものとすることができる。例えば、以下のデバイスをアクチュエータA1~ANとして使用することができる:熱光学、電気光学、圧電、電気吸収性、電気機械、電気化学、または完全光学アクチュエータ(非線形光学効果に基づくか否かにかかわらず)。
【0023】
再構成可能な光ネットワークの例示的なセクタに関して、再構成可能なデバイス103は、例えば、光フィルタ、等化器フィルタ、分散補償器フィルタ、FIRフィルタ、IIRフィルタ、格子フィルタ、二分木フィルタとすることができる。
【0024】
例えば、再構成可能なデバイス103は、光プラットフォーム(または光チップ)上で集積導波路技術を使用して作製することができる。使用することができる光プラットフォームのいくつかの例は、半導体プラットフォーム(例えば、シリコン、リン化インジウム、ヒ化ガリウム)、アモルファスガラス(二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸フッ化ケイ素、酸炭素ケイ素、炭化ケイ素)、場合によっては二次元材料(グラフェン、シリセン)と統合されたポリマーおよび結晶(ニオブ酸リチウム)、およびそれらの可能なハイブリッド統合を含む。
【0025】
図1の例によれば、再構成可能な光学デバイス103は、少なくとも4つの光ポートを有するデバイスである。より詳細には、再構成可能な光学デバイス103は、光入力ポート101と光出力ポート102とを含む。光学入力光ポート101は、入力信号Iに乗算される複数のM個の光入力信号を受信するように構成され、光学出力光ポート102は、再構成可能な光学デバイス103の動作の結果として、光出力信号O、特に乗算されたM個の光学出力信号を送信するように構成される。
【0026】
加えて、再構成可能な光学デバイス103は、光源106に接続された光学刺激ポート111と、光電変換デバイス200に接続された光学監視ポート112とを備えている。
【0027】
入力信号I内の複数のM個の光入力信号は、再構成可能なデバイス103の動作波長範囲を特定する全帯域Δλを占有する。
【0028】
特に、線形モードの用途を参照すると、状態変数θ1、...、θNによって特定される各状態において、再構成可能なデバイス103は、これが取り得る状態のそれぞれにおいて、時不変線形システムとして挙動する。
【0029】
光入力ポート101から光出力ポート102への入力信号Iの伝送は、再構成可能なデバイス103の周波数応答H12,i(f)を介して、または等価的に波長応答H12,i(λ)によって記述することができ、ここでは下付き文字「i」は、デバイス自体がとる一般的な状態を示す。
【0030】
光源106は、刺激ポート111に供給される光学Sin刺激信号を生成するように構成される。光源106は、再構成可能なデバイス103の動作波長Δλ範囲以上の波長範囲にわたって光放射を発するように構成される。光学監視ポート112は、光学刺激信号Sinに対応する出力として光学監視用信号Soutを提供するように構成される。
【0031】
集積型光学デバイスの場合、光源106は、再構成可能なデバイス103と同じ光プラットフォーム(すなわち、光チップ)上に集積することができ、またはそのプラットフォームの外部にあって光ファイバを介して再構成可能なデバイス103に接続することができる。
【0032】
好ましくは、光源106はスーパールミネッセントダイオード(SLD)を含むが、例えば、ファイバ増幅器(例えば、エルビウムドープ繊維増幅器、EDFA)または半導体光学半導体増幅器(SOA)の「増幅された自然放出」ノイズ(ASEノイズ)、「超連続レーザ」タイプの光源から、レーザアレイ(例えば、分布レーザフィードバック、DFB)から、ファイバコーム発生器によって生成された、または光チップに集積されたコームスペクトルアレイ(コーム)などの他の広帯域光源を使用することができる。
【0033】
光電変換デバイス200は、監視用光信号Soutを受信し、相対波長で評価された監視用信号Soutの強度をそれぞれ表す電気強度信号のセットSEL1~SELNを(例えば、電気端子108上に)提供するように構成される。強度電気信号のセットSEL1-SELKはKに等しいカーディナリティを有することに留意されたい。好ましくは、このカーディナリティKはNに等しく、すなわち、強度電気信号のグループSEL1~SELKは、再構成可能なデバイス103の自由度の数に等しいカーディナリティを有する。
【0034】
再び
図1に示す特定の例によれば、光電変換デバイス200は、以下、スペクトルスライサとも呼ばれるスペクトル範囲セレクタ105(SP-SL)と、光電変換器104(DET-ARR)とを含む。スペクトルスライサ105は、S
out監視用信号を受信するように光学監視ポート112に接続された対応する光入力ポートと、複数の光出力ポート109(K個の光ポート109、好ましくはK=数Nの自由度)とを備えている。
【0035】
スペクトルスライサ105は、k番目の波長λkを中心とする監視用信号Soutの一部に対応する選択されたSoutk光信号をその一般的なk番目の出力ポートに送信するように構成される。
【0036】
監視されるK個の波長kを選択するために使用されるスペクトルスライサ105は、異なる技術的およびアーキテクチャ解決策に従って実現することができる。例えば、スペクトルスライサ105は、λk波長を選択するための外部能動制御を必要としない受動デバイスである。
【0037】
スペクトルスライサ105に使用することができる可能なアーキテクチャは、アレイ導波路グレーティング(Array Waveguide Gratings)(AWG)、エセルグレーティング(echelle gratings)、ならびにマッハツェンダ干渉計(Mach Zehnder interferometers)、ブラッググレーティング(Bragg gratings)、リング共振器、およびそれらの任意の組み合わせなどの他のタイプの干渉フィルタを含む。
【0038】
スペクトルスライサ105は、好ましくは導波路内で作製され、例えば、再構成可能な光学デバイス103と同じ光プラットフォーム上に集積される。スペクトルスライサ105はまた、例えば自由空間内の個別の光学構成要素、光ファイバ構成要素、およびそれらの組み合わせを使用して、代替技術で実現することもできる。
【0039】
この例によれば、104光電変換器は、K個のサンプリングされた光信号Sout(λk)をK個の強度の電気信号SEL1~SELKに変換するように構成された複数の光検出器を備える。
【0040】
制御デバイス110は、前記セットの強度電気信号SEL1~SELKに従って、予め確立された制御則に従ってN個の制御信号S1~SNを生成しながら、複数のアクチュエータA1~ANを制御するように構成される。
【0041】
制御則に関して、再構成可能性の目的のために、制御デバイス110は、再構成可能なデバイス103によってとられるi番目の状態が、動作条件において、i番目の「所望」の状態に可能な限り近くなるように動作する。例えば、制御デバイス110は、再構成可能なデバイス103の実際の伝達関数と再構成可能なデバイス103の所望の伝達関数との間の平均二乗誤差を最小化する方法を使用して複数の制御信号S1~SNを定義するようなものである。
【0042】
制御デバイス110は、一例として、マイクロコントローラ、CPU(中央処理ユニット)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、またはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)によって実現することができ、以下に説明する制御方法に従ってプログラムされる。
【0043】
光学システム100はまた、再構成可能な光学デバイス103と動作可能に関連付けられた光学装置300(APP)を含むことができることに留意されたい。
【0044】
例えば、光学装置300は、光電変換および再生を伴わずに光信号の長距離伝送を可能にする(特に、ドープされた繊維タイプの)光増幅器とすることができる。光増幅器は、一般に、多数の光信号、例えば100を超える信号で動作する。
【0045】
この例によれば、再構成可能な光学デバイス103は、等化器フィルタとすることができ、この等化器フィルタは、信号によって占有される周波数範囲全体にわたって一定の利得を有さない光増幅器300のエルビウムドープ繊維の利得帯域を等化するように構成される。
【0046】
再構成可能な等化器フィルタ103の使用は、光増幅器300を再構成可能な光ネットワークの必要性に適合させることを可能にする。例えば、エルビウムドープファイバ光増幅器300の場合、再構成可能な等化器フィルタ103は、自由度の数N=20を有し、光チャネルの数M=100で動作することができる。
【0047】
以下では、光学システム100が再構成可能なデバイス103を再構成するために用いることができる制御方法の一例について説明する。
【0048】
波長領域を参照すると、光出力ポート102に供給される光出力信号O(λ)は、以下の式によって与えられる。
O(λ)=H12、i(λ)I(λ) (1)
ここで、I(λ)は波長領域で表される入力信号Iであり、H12、i(λ)は再構成可能なデバイス103の既に定義された波長応答であり、下付き文字「i」は、入力光ポート101から出力光ポート102への入力信号Iの送信に関して、デバイス自体がとる一般的な状態を示す。
【0049】
以下の数学的表記の理解を容易にするために、
図1では、番号1、2、3および4は、再構成可能なデバイス103の関連する光ポートで括弧内に追加されている。
【0050】
制御方法は、光学システム100、特に再構成可能なデバイス103を再構成する要求があるときに開始する。
【0051】
既に述べたように、説明する制御方法は、動作条件下で再構成可能なデバイス103がとる、有効波長応答
【数1】
によって定義される、i番目の「有効」状態が、H
12,i(λ)における応答によって定義されるi番目の「所望の」状態に可能な限り近くなるように、波長H
12,i(λ)における応答の監視および制御を実行する。
【0052】
光源106によって生成された光学刺激信号Sinは、実際の状態Hi、e(λ)をリアルタイムで測定し、所望の状態Hi、d(λ)に対する偏差(すなわち、距離)を評価するために、再構成可能なデバイス103の刺激ポート111の入力に供給される。
【0053】
所望のHi,d(λ)状態は、予め特定されて制御デバイスメモリ110内の例えばルックアップテーブルに記憶されているが、再構成可能なデバイス103の動作中に動的に更新および変更することができることにも留意されたい。
【0054】
再構成可能なデバイス103は、刺激信号Sinを受信し、監視用信号Sout(λ)を光学監視ポート112に戻す。光モニタ信号Sout(λ)は、以下の関係で記述される。
Sout(λ)=H34,i(λ)Sin(λ) (2)
【0055】
関数H34,i(λ)は、入力光ポート101から出力光ポート102への送信に関して、伝達関数H12,i(λ)が関連付けられたi番目の状態にデバイス自体があるとき、刺激ポート111から監視光ポート112への再構成可能なデバイス103の伝達関数を特定する。
【0056】
以下の説明の目的のために、再構成可能なデバイス103は、デバイス自体の光ポート間の伝達関数に従って以下に定義される以下の特性を有すると見なされることに留意されたい。
-逆数:Hmn,i(λ)=Hnm,i(λ);
-すべての光ポート(101、102、111、112)に再帰反射がない:H11,i(λ)=H22,i(λ)=H33,i(λ)=H44,i(λ)=0;
-ポート1~4間の結合なし(H14、i(λ)=H41,i(λ)=0)およびポート2~3間の結合なし(H23,i(λ)=H32,i(λ)=0);
-漏れがない。
【0057】
上記で示した特性において、「ない」という用語は、上記で示した再帰反射、結合または損失が以下の論議の目的のために無効または無視できるという意味で理解されるものとする。
【0058】
当業者が認めるように、上記で説明した特性は、以下の関係に適用される。
|H12,i(λ)|2+|H13,i(λ)|2=1
|H31i(λ)|2+|H34,i(λ)|2=1
そこから、
|H12,i(λ)|2=|H34,i(λ)|2(3)
が分かる。
【0059】
関係(3)は、伝達関数|H34,i(λ)|2に関連する光監視用信号Sout(λ)監視が、伝達関数|H12,i(λ)|2に関連する光出力信号O(λ)の直接監視と同じ情報をどのように提供するかを示す。
【0060】
再構成可能なデバイス103の逆数を考えると、伝達関数|H34,i(λ)|2e|H43,i(λ)|2は、理論的に同一であり、両方を監視することができる。しかし、実際の場合には、対象の信号とは反対方向(逆伝播)に伝播する刺激信号を使用することが好都合である。実際、共伝播信号の場合、再構成可能なデバイス103は、クロストーク現象に関与しており、入力刺激信号の一部をポート4にポート2に向けて伝送することができる。したがって、可能な唯一の構成ではなくても、逆伝播構成が好ましい。
【0061】
Sin(λ)刺激信号のスペクトルは既知であるため、伝達関数H34,i(λ)は、(監視ポート112における)監視用信号Sout(λ)から関係式(2)を介して直接導出することができる。
【0062】
また、システム100は、好ましくは等しく離間され、好ましくはデバイス103の自由度Nの数に等しい数Kの波長(K=N)についてのみ、信号Sout(λ)のスペクトルの知識に基づいて動作することに留意されたい。
【0063】
信号Sout(λ)のスペクトルが考慮される波長の数Kは、自由度の数Nよりも大きくなるように選択することもできることに留意されたい:K>N。この場合、システム100は、ノイズに対して特に堅牢であるが、KがNに等しい場合よりも複雑である。
【0064】
一方、自由度の数未満の数K(K<N)を選択すると、システム100は、K≧Nよりも悪い性能を発揮する。
【0065】
数Kは、最小Kminと最大Kmax値との間とすることができる。例えば、最小値は、Kmin=N-20%N、またはKmin=N-5%Nによって与えることができる。例えば、最大値に関して、Kmax=N+100%N、またはKmax=N+50%N、またはKmax=N+20%Nである。
【0066】
数Kの選択に関して、システム100では、光チャネルMの数に等しくする必要はなく、光チャネルMの数よりも少なくてもよく、またははるかに少なくてもよい(K<M)ことが留意されよう。例えば、再構成可能なデバイス103がM=130チャネルを有する増幅システムで使用される場合、監視される波長Kの数は15%未満、すなわちK<15%Mであってもよい。他の可能な例の値は、K<50%MおよびK<30%Mである。
【0067】
数Kは、用途に応じて、堅牢性と複雑性との間の妥協点を考慮して、自由度Nの数に関する上述の関係と光チャネルのMの数に関する上述の関係の両方を適切に組み合わせることによって選択される。
【0068】
さらに、制御方法については、様々な波長における光モニタリング信号|Sout(λ)|2の位相ではなく、その強度のみを知るだけで十分であることに留意されたい。
【0069】
したがって、制御デバイス110によって使用される情報は、光監視用信号の強度である。
|Sout(λk)|2 (4)
式中、下付き文字k=1.2,...Kは、スペクトル電力密度|Sout(λ)|2がサンプリングされる離散周波数を示す。
【0070】
スペクトルスライサ105は、監視用光信号Sout(λ)を受信し、k番目の波長λkを中心とする監視用光信号Sout(λ)の一部に対応するサンプリングされた光信号Sout(λk)を各関連出力ポート109に送信する。特に、スペクトルスライサ105は、その出力ポート109上に、複数のサンプリングされた光信号SS1~SSKを並列モードで提供する。
【0071】
図2は数値シミュレーションを参照し、例えば、再構成可能なデバイス103の可能な構成のための信号S
out(λ)のスペクトル702、ならびに各々がそれ自体の帯域B
λ,kを有する同じ信号およびそのサブ帯域S
out(λ
k)の分割バージョン701を示す。
【0072】
スペクトルスライサ105の各光出力109は、入力光強度を測定する光電変換器104の光検出器に光学的に接続され、それ自体のサブ帯域Bλ,kに積分された光監視用信号Sout(λk)の強度|Sout(λk)|2に比例する電流または電圧を有する電気信号SELjを関連端子108上に提供する。光電変換器104は、複数の端子108に並列にN個の電気信号SEL1~SELNを生成する。
【0073】
複数の電気信号S
EL1~S
ELKは、制御デバイス110に送信され、制御デバイスは、k番目の波長λ
kにおける動作状態下で再構成可能なデバイス103がとる有効周波数応答
【数2】
をリアルタイムで監視し、
【数3】
を解く。
【0074】
制御デバイス110は、現在の状態
【数4】
を所望の状態H
12,i(λ)と比較し、制御端子107を介して再構成可能なデバイス103のアクチュエータA
1~A
Nに印加される制御信号S
1~S
Nを特定して、これを所望の状態にして保つ。
【0075】
例えば、制御信号S
1~S
Nの決定は、平均二乗誤差を最小化する方法に従って、現在の状態
【数5】
および所望の状態H
12,i(λ)に基づいて実施することができる。しかし、他の方法も使用できることに留意されたい。平均二乗誤差を最小化する方法の一例は、制御方法のシミュレーションを参照してこれ以後説明される。
【0076】
光学システム100の初期化段階の間、印加される制御信号S1~SNの値は、再構成可能なデバイス103の数値シミュレーションから得られるルックアップテーブルから得ることができることが留意されよう。これらの値が再構成可能なデバイス103に適用されると、上記で説明した方法を適用して、これをルックアップテーブルによって示される所望の状態にすることに進む。
【0077】
シミュレーション
図3は、光学システム100の有効性を示す数値シミュレーションを示す。自由度N=15を有する一般的な再構成可能なデバイス103を考える。このシミュレーションでは、デバイス103の再構成は、1528nmから1568nmの間の波長範囲におけるその周波数応答が、3つの所定の傾向(301、302、303)をとることができるように考慮している。任意の初期構成から開始し、再構成可能なデバイス103をi番目の状態(301、302または303)にもっていきたい場合、平均二乗誤差
【数6】
を、現在の伝達関数
【数7】
と一般状態iについての所望の伝達関数H
12,i(λ)との間で計算する。再構成可能なデバイス103の伝達関数の最適化については、式(5)によって表されるものの代替コスト関数、ならびに非線形最適化、遺伝的アルゴリズム、粒子群最適化、機械学習、ニューラルネットワーク、および文献で知られている他のものなどの他の最適化アルゴリズムを使用することができる。
【0078】
このシミュレーションでは、本発明者らは、既知の技術の方法を最初に適用し、それに従って、対象の波長範囲で使用される光チャネルの数に等しい多数の波長(白丸)(K=M=130)で測定された3つの異なる状態(301、302および303)における伝達関数|H
12,i(λ
k)|
2を考慮した。この従来の方法を適用することにより、破線で
図3に示す曲線を得た。
【0079】
代わりに、光学システム100を参照して説明した制御方法論を適用して、伝達関数|H
12,i(λ
k)|
2を、再構成可能なデバイス103の自由度の数(完全な円)に等しい限られた数の波長(K=N=15)で測定する。システム100を参照して説明した方法を適用して、連続線で
図3に示す曲線を得た。
【0080】
図3は、破線曲線(従来の方法)と連続曲線(システム100の方法)との差が全動作帯域にわたって0.2dBより小さい様子を示しており、説明した方法の効率を確認している。
【0081】
図4に概略的に示す光学システム100の別の実現形態によれば、光電変換デバイス200は、波長可変モニタによって実現され、波長可変モニタは、光監視用信号S
outから開始して、経時的に連続的に(すなわち、シリアルモードで)制御デバイス110に強度の電気信号のセットS
EL1~S
ELNを供給するように構成される。
【0082】
この波長可変検出器200は、一例によれば、単一の光出力209を有する波長可変光フィルタ205(TUN-FIL)と、それに続く、単一の電気出力208を有する光検出器204(DET)とを含む。波長可変検出器200は、λk波長を選択するための外部能動制御(SCR制御信号)を受信する能動デバイスである。
【0083】
波長可変光フィルタ205の光出力209は、光検出器204に光学的に接続され、光検出器は、入力光強度を測定し、強度|Sout(λk)|2に比例する電流または電圧を有する電気信号SELkを提供する。
【0084】
波長可変検出器200を経時的に順次調整することにより、対象のすべての周波数の周りで、再構成可能なデバイス10の現在の伝達関数
【数8】
に関する情報を取得することが可能である。
【0085】
204の光検出器から順次出力される電気S
EL1~S
ELK信号は、制御デバイス110に送られ、動作条件下で再構成可能なデバイス103の実際の周波数応答
【数9】
の監視を提供する。
【0086】
波長可変光フィルタ205に使用することができる可能なアーキテクチャは、光リング共振器、マッハツェンダ干渉計、ブラッググレーティング、およびこれらの可能な組み合わせを含む。
【0087】
波長可変検出器200は、好ましくは導波路内で実現され、好ましくは既に説明した再構成可能な光学デバイス103と同じフォトニックプラットフォーム上に集積され、または自由空間内の別個の光要素、光ファイバ構成要素およびそれらの組み合わせで実現することができる。
【0088】
例えば、波長可変光フィルタ205を調整するために、(制御デバイス110によって生成された)電気制御信号SCRを使用することができ、これは、波長可変光フィルタ205に組み込まれたアクチュエータ(図示せず)上に作用する。これらのアクチュエータは、例えば、熱光学効果、電気光学効果、または弾性光学効果を利用して光放射が伝播する材料媒体の光学パラメータを変更することによって、波長可変フィルタ205の挙動を変更する。あるいは、デバイス内の光放射の経路を変更するマイクロメカニカルアクチュエータ(MEMS)を使用することができる。
【0089】
図5は、波長可変光フィルタ205を含む、
図4に説明するものと同様の光学システム100の数値シミュレーションを示す。
【0090】
図5の曲線802は、再構成可能な光学デバイス103の特定の構成に対する光監視用信号S
out(λ)のスペクトルを示す。
図5はまた、動作帯域全体にわたって調整することができる波長可変フィルタ205を介して得られる、その帯域B
λ,kを有する光監視用信号およびそのサブ帯域の「サンプリングされた」バージョンを示す(曲線801)。
【0091】
図6は、
図1を参照して既に説明した光学システム100と同様であるが、2つのポート(入力光ポート101および出力光ポート102)を有する再構成可能な光学デバイス103を使用するさらなる光学システム400を概略的に示す。
【0092】
さらなる光学システム400は、第1のサーキュレータ401と第2の光サーキュレータ402とを備える。第1の光サーキュレータ401は、入力信号I用の第1のポート403と、入力信号Iが供給され得る再構成可能なデバイス103の光入力ポート101に接続された第2のポート404とを備える。再構成可能なデバイス103の光入力ポート101はまた、第1の光サーキュレータ401の第2のポート404に監視用光信号Soutを供給するようなものである。第1の401のサーキュレータは、スペクトルスライサ105に接続されてスペクトルスライサに光監視用信号Soutを供給する第3のポート405を備えている。
【0093】
第2の光サーキュレータ402は、再構成可能なデバイス103の出力ポート102に接続された関連する第1のポート406を含む。光出力ポート102は、出力信号Oを第2の光サーキュレータ406に供給するためのようなものであり、刺激信号Sinを受信するためのようなものである。
【0094】
第2の光サーキュレータ402はまた、出力信号Oを供給するように構成された相対的な第2のポート407と、光源106によって生成され、対応する第1のポート406に、次いで(出力ポート102を介して)再構成可能なデバイス103に送信される刺激信号Sinを受信するように構成された関連する第3のポート408とを備えている。
【0095】
再構成可能な2ポート光学デバイス103が逆数である場合、伝達関数H21は伝達関数H12と等しい。
【0096】
2つの光サーキュレータ401および402を備えた再構成可能な2ポート光学デバイス103を有する構造は、
図4の構造の形態にも適用可能であることに留意されたい。
【0097】
図7は、再構成可能なデバイス103の一例を示す光格子フィルタ203の概略図である。
【0098】
光格子フィルタ103は、複数の光カプラK1~K14と、合計13個のアクチュエータについて光チャネルに遅延または不均衡を導入するのに適した複数のアクチュエータBal1、2...7およびUnbal1、2、...6とを備える。
【0099】
図7の格子フィルタ103は、13に等しい、すなわち使用されるアクチュエータの数に等しい自由度Nの数を有し、96に等しい数Mまでの光チャネルを処理することができる。N=13に等しい波長の数Kのみを監視することによって、格子フィルタ103の再構成可能性を管理することが可能である。
【0100】
光カプラK1~K14は、
図1を参照して説明した光素子Giの一例であり、複数のアクチュエータBal1、2...7およびUnbal1、2、...6は、
図1を参照して説明したA
1~A
Nアクチュエータの一例である。
【0101】
アクチュエータBal1、2...7およびUnbal1、2、...6のそれぞれは、WDMモードで動作する対応するKj光カプラの光学的挙動に作用し、すなわち、いくつかの光チャネルの伝搬を可能にすることに留意されたい。
【0102】
全般的に、再構成可能なデバイス103は、光素子Giとして、二分木または格子干渉計、AWG(アレイ導波路回折格子)、または電力分配器として使用する同様の構造、例えば、マルチモード干渉計(MMI)、方向性結合器、またはy分岐などを含む光フィルタとすることができる。
【0103】
上記で説明した解決策は、通信業界、特に再構成可能な光ネットワークの分野で主に適用されるが、排他的ではないことが留意されよう。説明されている教訓の他の可能な応用例は以下の通りである:
1)センサ読み取り値を処理するために光回路の安定化を必要とする、ファイバセンサおよび導波路センサの両方のための光学デバイス、
2)非常に広い動作温度範囲を必要とし、本発明によって得られる安定化を利用することができる、LIDARなどの距離測定のための光学デバイス、
3)例えば、本発明に説明する方法によって制御される集積フォトニック回路を有するビームフォーミングネットワークを使用して、モバイルネットワークカバレッジの性能を改善するためにフォトニック回路を利用することができる、5G無線ネットワーク用の光回路、
4)例えば、光干渉法、光トモグラフィ、および2つ以上の光信号間の相対遅延を同期させる必要がある他の用途で使用される調整可能な遅延時間を導入することができる、再構成可能な光回路。
【0104】
上記で説明した光学システムは、簡便性および性能の点で特に有利である。実際、これらの光学システムは、システム自体が動作する光チャネルの数よりも少ない数の信号(すなわち、サンプリングされた光信号SS1~SSK)を監視することによってそれらの再構成を管理することを可能にし、所望の性能を維持する。
【0105】
さらに、説明する光学システムは、制御デバイスによって制御されるアクチュエータシステムの高い複雑性を必要とせずに、閉回路制御によって提供される利点を有する。
【0106】
監視される信号の数が少ないことは、必要な構成要素に関連するコスト、制御システムの物理的寸法における削減を意味し、パッケージング作業を容易にする。あ