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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】バッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20250710BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20250710BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/264
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021025452
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127354
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】圷 重光
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真二
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104781947(CN,A)
【文献】特開2016-033985(JP,A)
【文献】中国実用新案第206422117(CN,U)
【文献】特開2019-016503(JP,A)
【文献】特開2019-216073(JP,A)
【文献】特開2015-149238(JP,A)
【文献】特開2017-037789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュールを構成する複数のバッテリセルの積層体を積層方向の両端側から挟圧保持するエンドプレートであって、
前記両端側のエンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材によって連結され、前記積層体への対向面が凸面部を有し、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
前記連結部材によって前記両端側のエンドプレートの間隔が狭める方向に締め付けられ、前記対向面が平面になるにつれ、前記複数のバッテリセルの面内での面圧が均一されるよう前記両端側の両エンドプレートが変形し、
前記複数の貫通孔は、当該一のエンドプレートにおける二つの前記受圧部間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている、エンドプレート。
【請求項2】
前記複数の貫通孔は、前記受圧部間の中央位置に近いものほど開口面積が大きくかつ前記受圧部に近いものほど開口面積が小さい請求項に記載のエンドプレート。
【請求項3】
前記複数の貫通孔は、隣接する相互間の隔壁部が当該エンドプレートの幅方向に対して傾斜したトラス状に形成されている請求項に記載のエンドプレート。
【請求項4】
複数のバッテリセルの積層体を積層方向の両端側からエンドプレートによって挟圧保持したバッテリモジュールであって、
前記両端側の両エンドプレートに対し当該両エンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材を備え、
前記エンドプレートは、前記積層体への対向面が凸面部を有し、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
前記連結部材によって前記両端側のエンドプレートの間隔が狭める方向に締め付けられ、前記対向面が平面になるにつれ、前記複数のバッテリセルの面内での面圧が均一されるよう前記両端側のエンドプレートが変形し、
前記複数の貫通孔は、当該一のエンドプレートにおける二つの前記受圧部間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている、バッテリモジュール。
【請求項5】
前記複数の貫通孔は、前記受圧部間の中央位置に近いものほど開口面積が大きくかつ前記受圧部に近いものほど開口面積が小さい請求項に記載のバッテリモジュール。
【請求項6】
前記複数の貫通孔は、隣接する相互間の隔壁部が当該エンドプレートの幅方向に対して傾斜したトラス状に形成されている請求項に記載のバッテリモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などの動力源となるバッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両などの動力源となるバッテリモジュールを適切に機能させるためには、積層されるバッテリセルに積層方向の圧力を与えて加圧する必要がある。加圧方法として、バッテリセルの積層体両側端面に端部固定部材(エンドプレート)を設け、複数のボルト或いはボルト・ナットにて締結することで、バッテリセルに面圧荷重をかける方法がある。一般に、端部固定部材はボルト間で断面係数がほぼ均一であり、かつ、加圧面は略平面である。そうすると、所定のボルト軸力が付加された場合には端部固定部材が弧状に変形するため、加圧面は加圧対象から見て凹形状となる。このため、積層されたバッテリセルにかかる面圧が各バッテリセルの面内で不均一となってしまい、所定の性能を発揮することができない。一方、平板状の端部固定部材に撓みを付与することで、高さの高い積層体の面圧を抑制して積層されたバッテリセル間の面圧を均等化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4211561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバッテリモジュールは、エンドプレートに対して、ネジ機構などを備えた保持手段を使用して撓みを調整するため、部品点数が多い。また、エンドプレートの分厚さが増し、積層されたバッテリセル同士の間やエンドプレートとバッテリセルとの間にスペースができてしまうなど、電池の体積密度が低くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされものであり、簡易かつコンパクトな構成で、積層された各バッテリセルの面内での面圧が均一化されるバッテリモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)バッテリモジュール(例えば、後述するバッテリモジュール1)を構成する複数のバッテリセル(例えば、後述するバッテリセル2)の積層体(例えば、後述する積層体3)を積層方向の両端側から挟圧保持するエンドプレート(例えば、後述する第1エンドプレート4および第2エンドプレート5)であって、前記積層体への対向面(例えば、後述する対向面S1)が凸面部を有するエンドプレート。
【0007】
(2)前記対向面と反対側の面が凹面部(例えば、後述する対向面と反対側の面S2)を有する、上記(1)のエンドプレート。
【0008】
(3)前記両端側のエンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材(例えば、後述する連結ボルト6)によって相互に連結され、自己の二つの前記受圧部間での断面係数が当該受圧部間の中間位置で小さくかつ当該受圧部側で大きい、上記(1)又は(2)のエンドプレート。
【0009】
(4)バッテリモジュール(例えば、後述するバッテリモジュール1a)を構成する複数のバッテリセル(例えば、後述するバッテリセル2)の積層体(例えば、後述する積層体3)を積層方向の両端側から挟圧保持するエンドプレート(例えば、後述する第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5a)であって、前記両端側のエンドプレート間で対を成す複数対の受圧部(例えば、後述する受圧部11、12)の間を連結する複数の連結部材(例えば、後述する連結ボルト6)によって連結され、前記積層体への対向面(例えば、後述する対向面S1a)が凸面部を有し、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を(例えば、後述するH00、H11、…、H15、H16、(H00)、H21、…、H25、H26)有する、エンドプレート。
【0010】
(5)前記複数の貫通孔は、当該一のエンドプレートにおける二つの前記受圧部間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている上記(4)のエンドプレート。
【0011】
(6)前記複数の貫通孔は、前記受圧部間の中央位置に近いものほど開口面積が大きくかつ前記受圧部に近いものほど開口面積が小さい上記(5)のエンドプレート。
【0012】
(7)前記複数の貫通孔は、隣接する相互間の隔壁部が当該エンドプレートの幅方向に対して傾斜したトラス状に形成されている上記(5)のエンドプレート。
【0013】
(8)複数のバッテリセルの積層体を積層方向の両端側からエンドプレート(例えば、後述する第1エンドプレート4および第2エンドプレート5)によって挟圧保持したバッテリモジュール(例えば、後述するバッテリモジュール1)であって、前記エンドプレートは、前記積層体への対向面(例えば、後述する対向面S1)が凸面部を有するバッテリモジュール。
【0014】
(9)前記エンドプレートは、前記対向面と反対側の面(例えば、後述する対向面と反対側の面S2)が凹面部を有する、上記(8)のバッテリモジュール。
【0015】
(10)前記両端側の両エンドプレートに対し当該両エンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材を備え、前記エンドプレートは、自己の二つの前記受圧部間での断面係数が当該受圧部間の中間位置で小さくかつ当該受圧部側で大きい上記((8)又は(9)のバッテリモジュール。
【0016】
(11)複数のバッテリセルの積層体を積層方向の両端側からエンドプレートによって挟圧保持したバッテリモジュールであって、前記両端側の両エンドプレートに対し当該両エンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材を備え、前記エンドプレートは、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を有する、バッテリモジュール。
【0017】
(12)前記複数の貫通孔は、当該一のエンドプレートにおける二つの前記受圧部間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている上記(11)のエンドプレート。
【0018】
(6)前記複数の貫通孔は、前記受圧部間の中央位置に近いものほど開口面積が大きくかつ前記受圧部に近いものほど開口面積が小さい上記(12)のバッテリモジュール。
【0019】
(14)前記複数の貫通孔は、隣接する相互間の隔壁部が当該エンドプレートの幅方向に対して傾斜したトラス状に形成されている上記(12)のバッテリモジュール。
【発明の効果】
【0020】
(1)のエンドプレートでは、積層体への対向面が凸面部を有するため、バッテリセルの積層体の挟圧時に、エンドプレートのバッテリセル側の面が略平面となり、また挟圧時の面圧を面内で均一化することができる。
【0021】
(2)のエンドプレートでは、積層体への対向面が凸面部を有し、かつ、積層体への対向面と反対側の面が凹面部を有する。このため、エンドプレートの断面係数が、面内における中央部で周辺部より相対的に小さくなり、バッテリセル側の面が略平面となり易くなる。
【0022】
(3)のエンドプレートでは、前記両端側のエンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材によって相互に連結され、自己の二つの前記受圧部間での断面係数が当該受圧部間の中間位置で小さくかつ当該受圧部側で大きい。このため、エンドプレートにおける断面係数の変化を連続的にすることが容易であるため、より一層、バッテリセル側の面が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0023】
(4)のエンドプレートでは、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を有する。このため、貫通孔による肉抜きによって断面係数の変化を疑似連続的に変化させ、バッテリセル側の面が略平面となり易くすることができる。また、肉抜きによって軽量化がはかられる。しかも、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。さらに、加圧面であるバッテリセル側の面の反対側を平面状にすることができ、他の要素部品の取付等に際して扱い易い。
【0024】
(5)のエンドプレートでは、前記複数の貫通孔は、当該一のエンドプレートにおける二つの前記受圧部間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている。このため、バッテリセル側の面が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0025】
(6)のエンドプレートでは、エンドプレートにおける断面係数を受圧部間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0026】
(7)のエンドプレートでは、エンドプレートにおける断面係数を受圧部間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0027】
(8)のバッテリモジュールでは、エンドプレートは、積層体への対向面が凸面部を有するため、バッテリセルの積層体の挟圧時に、エンドプレートのバッテリセル側の面が略平面となり、また挟圧時の面圧を面内で均一化することができる。
【0028】
(9)のバッテリモジュールでは、エンドプレートは、積層体への対向面が凸面部を有し、かつ、積層体への対向面と反対側の面が凹面部を有する。このため、エンドプレートの断面係数が、面内における中央部で周辺部より相対的に小さくなり、バッテリセル側の面が略平面となり易くなる。
【0029】
(10)のバッテリモジュールでは、積層体の両端側の両エンドプレートに対し当該両エンドプレート間で対を成す複数対の受圧部の間を連結する複数の連結部材を備え、エンドプレートは、自己の二つの受圧部間での断面係数が当該受圧部間の中間位置で小さくかつ当該受圧部側で大きい。このため、エンドプレートにおける断面係数の変化を連続的にすることが容易であるため、より一層、バッテリセル側の面が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0030】
(11)のバッテリモジュールでは、エンドプレートは、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を有する。このため、貫通孔による肉抜きによって断面係数の変化を疑似連続的に変化させ、バッテリセル側の面が略平面となり易くすることができる。また、肉抜きによって軽量化がはかられる。しかも、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。さらに、加圧面であるバッテリセル側の面の反対側を平面状にすることができ、他の要素部品の取付等に際して扱い易い。
【0031】
(12)のバッテリモジュールでは、前記複数の貫通孔は、当該一のエンドプレートにおける二つの前記受圧部間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている。このため、バッテリセル側の面が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0032】
(13)のバッテリモジュールでは、エンドプレートにおける断面係数を受圧部間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0033】
(14)のバッテリモジュールでは、エンドプレートにおける断面係数を受圧部間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態としてのバッテリモジュールを平面視で示す図である。
図2図1のバッテリモジュールを側面視で示す図である。
図3図1のバッテリモジュールを一方のエンドプレート側から見た図である。
図4図1のバッテリモジュールを他方のエンドプレート側から見た図である。
図5図1のバッテリモジュールの一方のエンドプレートを単体で表す図である。
図6図5のエンドプレートの加圧途中の面圧の分布を示す図である。
図7図5のエンドプレートの加圧完了時の面圧の分布を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態としてのバッテリモジュールを平面視で示す図である。
図9図8のバッテリモジュールを側面視で示す図である。
図10図8のバッテリモジュールを一方のエンドプレート側から見た図である。
図11図8のバッテリモジュールを他方のエンドプレート側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す各図において、同一部分ないし対応部分には同一の符号を附してある。
図1は、本発明の第1実施形態としてのバッテリモジュールを表す平面図、図2図1のバッテリモジュールを側面視で示す図、図3図1のバッテリモジュールを一方のエンドプレート側から見た図、図4図1のバッテリモジュールを他方のエンドプレート側から見た図である。
【0036】
第1実施形態のバッテリモジュール1は、例えば、ラミネートパックリチウムイオン電池セルなどの積層体である複数の扁平形状のバッテリセル2の積層体3を積層方向の両端側から第1エンドプレート4および第2エンドプレート5によって挟圧保持して構成される。個々のバッテリセル2は、積層電極LEがラミネートシートでパックされ、所定のセル内接続を介して正極端子(正極タブ)TPと負極端子(負極タブ)TNとが導出されて構成される。バッテリセル2は、正極タブTPと負極タブTNとの端子対が右端側に寄って配置されたタイプのものと、それを裏返しに配置し左端側に寄って配置されたタイプのものとが交互に積層されて積層体3を構成する。第1エンドプレート4と第2エンドプレート5は、4本の連結部材である連結ボルト6によって、双方のエンドプレート4,5の間隔を狭める方向に締め付けられる。第1エンドプレート4および第2エンドプレート5について、それらの積層体3への対向面をS1と称し、対向面S1とは反対側の面をS2と称する。後述するように積層体3への対向面S1が凸面部を有し、対向面S1とは反対側の面S2が凹面部を有する。
【0037】
連結ボルト6は、本体を成す軸部7と、軸部7の一方端側に形成されたヘッド部8と、軸部7の他方端側に形成された雄ねじ部9とを有し、雄ねじ部9にナット10が螺着される。一方、第1エンドプレート4にはナット10が面接触して、ナット10からの押圧力を受ける受圧部11が形成されている。また、第2エンドプレート5には、連結ボルト6のヘッド部8が面接触して、ナット10からの押圧力を受ける受圧部12が形成されている。第1エンドプレート4の受圧部11と第2エンドプレート5の受圧部12とは1本の連結ボルト6の両端側に位置して対を成している。4本の連結ボルト6に対応して、受圧部11と受圧部12との対は4対ある。即ち、4本の連結ボルト6は、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5の間で対を成す複数対(4対)の受圧部11および12の間を連結する。
【0038】
詳細には、4本の連結ボルト6は、図1から図4に図示の通り、第1連結ボルト61、第2連結ボルト62、第3連結ボルト63、および、第4連結ボルト64である。ここで、第1連結ボルト61周りに注目すると、雄ねじ部9に螺着されたナット10からの押圧力が第1エンドプレート4の受圧部11に作用する。なお、各ナット10は、締結状態では、第1エンドプレート4の積層体3への対向面S1とは反対側の面S2の四隅に厚み方向に形成された凹部41に収まる。
【0039】
また、ヘッド部8からの押圧力が第2エンドプレート5の受圧部12に作用する。第1エンドプレート4および第2エンドプレート5には、それぞれ、4本の連結ボルト6を挿通させる4つの挿通孔13が設けられている。連結ボルト6の雄ねじ部9にナット10が螺着される位置の近傍であって挿通孔13に挿通される部位に、雄ねじ部9および軸部7より大径のナット側大径部14が同軸状に形成されている。ナット側大径部14は挿通孔13に形成されたナット側インロー部15と密に嵌り合って、ナット10側で連結ボルト6が芯出しされる。
【0040】
また、連結ボルト6のヘッド部8に連なる挿通孔13に挿通される部位に、軸部7より大径のヘッド部側大径部16が同軸状に形成されている。ヘッド部側大径部16は挿通孔13に形成されたヘッド部側インロー部17と密に嵌り合って、ヘッド部8側で連結ボルト6が芯出しされる。
【0041】
一方、第1連結ボルト61、第2連結ボルト62、第3連結ボルト63、および、第4連結ボルト64のヘッド部8は、概略円盤状であり、その外周の一部分に図4にて視認されるような回り止め用の切欠き部81が形成されている。各切欠き部81は、第2エンドプレート5の積層体3への対向面S1とは反対側の面S2の四隅に厚み方向に形成された凹部51の当接面52と当接して軸周りの変位が規制される。
【0042】
図5は、図1のバッテリモジュール1の第1エンドプレート4を単体で表す図である。図5では、第1エンドプレート4単体を図1と同じ視座で拡大して示してある。第1エンドプレート4の幅方向両端側に、図1を参照して説明した挿通孔13、ナット側インロー部15、凹部41、受圧部11が設けられている。図示のとおり、受圧部11の中央が挿通孔13を通る連結ボルト6の軸心と一致する。第1エンドプレート4の幅方向の位置を右端側(図5で下の受圧部11側)から左端側(図5で上の受圧部11側)までの中央位置をw5として、そこから右端側(図5で下側)に向かって等間隔でw4、w3、w2、w1とする。同様にw5から左端側(図5で上側)に向かって等間隔でw6、w7、w8、w9とする。
【0043】
第1エンドプレート4は、積層体3への対向面S1が凸面部を有する。図5の例では、対向面S1の略全面が積層体3への接触方向に向けて凸面を成している。即ち、積層体3への対向面S1の両端を通る仮想平面VPに対し、対向面S1は、上述の中央位置をw5で離間幅が最大になる。詳細には、第1エンドプレート4の対向面S1は、位置w1から、w2、w3、w4、w5と、積層体3への接触方向に向けて仮想平面VPから徐々に離隔し、中央位置w5で仮想平面VPとの離間幅が最大になり、中央位置w5から位置w6、w7、w8、w9と離間幅が徐々に小さくなる曲面を呈している。
【0044】
一方、第1エンドプレート4の積層体3への対向面S1とは反対側の面S2は、凹面部を有する。図5の例では、対向面S1とは反対側の面S2の略全面が積層体3への接触方向に向けて凹面を成している。詳細には、第1エンドプレート4の面S2は、位置w1から、w2、w3、w4、w5と、積層体3への接触方向に向けて徐々に凹陥し、中央位置w5で凹陥の深さが最大になり、中央位置w5から位置w6、w7、w8、w9と凹陥の深さが徐々に小さくなる曲面を呈している。
【0045】
上述のような形状の第1エンドプレート4について、断面係数(曲げ剛性)の視点からその特性を説明する。第1エンドプレート4の断面係数は、位置w1から、w2、w3、w4、w5と漸減し、中央位置w5で最小になり、中央位置w5から位置w6、w7、w8、w9と漸増して、位置w9で、位置w1での断面係数と略等しくなる傾向を呈している。即ち、第1エンドプレート4は、左右二つの受圧部11、11の間での断面係数が、二つの受圧部11、11の間の中間位置である位置w5で小さくかつ二つの受圧部11、11側(位置w1、w9側)で大きい。
【0046】
図6は、図5を参照して説明した第1エンドプレート4の加圧途中の面圧の分布を示す図である。図中、矢線の向きが積層体3から対向面S1への面圧の作用する向きを、長さがその矢線の位置での面圧の大きさを表している。対向面S1の各位置(微小単位面積)での面圧Ptrを対向面S1の全面に渡って面積分した値が対向面S1への全圧となる。この現象は第2エンドプレート5についても同様である。即ち、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5が4本の連結ボルト6で積層体3を挟圧保持してこの全圧が生じる。従って、1本の連結ボルト6の軸力をFtrとすると、その本数倍(4倍)の力が上記全圧と拮抗する。図6におけるような加圧途中の段階では、対向面S1の面内での各部位での面圧は、図5にて仮定した各位置に着目すると、次のような傾向を呈する。即ち、位置w1から、w2、w3、w4、w5と漸増して中央位置w5で微小単位面積の面圧が最大になり、中央位置w5から位置w6、w7、w8、w9と漸減して、位置w9での微小単位面積の面圧が位置w1での値と略等しくなる傾向を呈している。即ち、対向面S1の面内での各部位での面圧は、凸面である対向面S1の中央で大きく周辺で小さくなるような、位置によって異なる分布を呈し全面で一様にはならない。このため、図6の状態では、積層体3を構成する各バッテリセル2は十分な性能を発揮することができない。この状態から、4本の連結ボルト6の各ナット10を更に締め付けて連結ボルト6の軸力を強める。すると、締め付けの当初は凸面であった対向面S1が、図5を参照して説明した断面係数の分布に応じて中央位置w5ほど容易に撓んで平面に近づいていく。
【0047】
図7は、図5を参照して説明した第1エンドプレート4の加圧完了時の面圧の分布を示す図である。図6におけると同様に、矢線の向きが積層体3から対向面S1への面圧の作用する向きを、長さがその矢線の位置での面圧の大きさを表している。図6の加圧途中の段階では、対向面S1の面内での各部位での面圧は、凸面である対向面S1の中央で大きく周辺で小さくなるような、位置によって異なる分布を呈し全面で一様にはなっていない。この段階から4本の連結ボルト6の各ナット10を更に締め付けて連結ボルト6の軸力を強めると、図5を参照して説明した断面係数の分布に応じて第1エンドプレート4の対向面S1は中央位置w5ほど容易に撓み、図7のように略完全な平面になる。この場合の4本の連結ボルト6の各軸力は図5の段階におけるFtrよりも大きな軸力Ftargetとなる。また、対向面S1の面内での各部位置(微小単位面積)での面圧は、略完全な平面になった対向面S1の全面に渡って均一な仕様上の目標値Ptargetとなる。従って、この値Ptargetに単純に対向面S1の面積をかけた値が全圧となる。この全圧が1本の連結ボルト6の軸力Fの本数倍(4倍)と拮抗する。図7の状態では、対向面S1の面内での面圧が全面で一様な目標値Ptargetとなる。このため積層体3を構成する各バッテリセル2の面内での面圧が均一化され、バッテリモジュールは十分な性能を発揮することができる。
【0048】
図5から図7を参照して、第1エンドプレート4の構造と力学的特性について説明したが、第2エンドプレート5の構造と力学的特性も第1エンドプレート4について上述したところに準じた形態のものである。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す各図において、同一部分ないし対応部分には同一の符号を附してある。
図8は、本発明の第2実施形態としてのバッテリモジュールを表す平面図、図9図8のバッテリモジュールを側面視で示す図、図10図8のバッテリモジュールを一方のエンドプレート側から見た図、図11図8のバッテリモジュールを他方のエンドプレート側から見た図である。
【0050】
第2実施形態のバッテリモジュール1aは、例えば、ラミネートパックリチウムイオン電池セルなどの積層体である複数のバッテリセル2の積層体3を積層方向の両端側から第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aによって挟圧保持して構成される。個々のバッテリセル2は、積層電極LEがラミネートシートでパックされ、所定のセル内接続を介して正極端子(正極タブ)TPと負極端子(負極タブ)TNとが導出されて構成される。バッテリセル2は、正極タブTPと負極タブTNとの端子対が右端側に寄って配置されたタイプと左端側に寄って配置されたタイプとのものが交互に積層されて積層体3を構成する。第1エンドプレート4aと第2エンドプレート5aは、4本の連結部材である連結ボルト6によって、双方のエンドプレート4a,5aの間隔を狭める方向に締め付けられる。第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aについて、それらの積層体3への対向面をS1aと称し、対向面S1aとは反対側の面をS2aと称する。
【0051】
連結ボルト6は、本体を成す軸部7と、軸部7の一方端側に形成されたヘッド部8と、軸部7の他方端側に形成された雄ねじ部9とを有し、雄ねじ部9にナット10が螺着される。一方、第1エンドプレート4aにはナット10が面接触して、ナット10からの押圧力を受ける受圧部11が形成されている。また、第2エンドプレート5aには、連結ボルト6のヘッド部8が面接触して、ナット10からの押圧力を受ける受圧部12が形成されている。第1エンドプレート4aの受圧部11と第2エンドプレート5aの受圧部12とは1本の連結ボルト6の両端側に位置して対を成している。4本の連結ボルト6に対応して、受圧部11と受圧部12との対は4対ある。即ち、4本の連結ボルト6は、第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの間で対を成す複数対(4対)の受圧部11および12の間を連結する。
【0052】
詳細には、4本の連結ボルト6は、図8から図11に図示の通り、第1連結ボルト61、第2連結ボルト62、第3連結ボルト63、および、第4連結ボルト64である。ここで、第1連結ボルト61周りに注目すると、雄ねじ部9に螺着されたナット10からの押圧力が第1エンドプレート4aの受圧部11に作用する。なお、各ナット10は、締結状態では、第1エンドプレート4aの積層体3への対向面S1とは反対側の面S2の四隅に厚み方向に形成された凹部41に収まる。
【0053】
また、ヘッド部8からの押圧力が第2エンドプレート5aの受圧部12に作用する。第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aには、それぞれ、4本の連結ボルト6を挿通させる4つの挿通孔13が設けられている。連結ボルト6の雄ねじ部9にナット10が螺着される位置の近傍であって挿通孔13に挿通される部位に、雄ねじ部9および軸部7より大径のナット側大径部14が同軸状に形成されている。ナット側大径部14は挿通孔13に形成されたナット側インロー部15と密に嵌り合って、ナット10側で連結ボルト6が芯出しされる。
【0054】
一方、第1連結ボルト61、第2連結ボルト62、第3連結ボルト63、および、第4連結ボルト64のヘッド部8は、概略円盤状であり、その外周の一部分に図11にて視認されるような回り止め用の切欠き部81が形成されている。各切欠き部81は、第2エンドプレート5aの積層体3への対向面S1aとは反対側の面S2aの四隅に厚み方向に形成された凹部51の当接面52と当接して軸周りの変位が規制される。
【0055】
図8から図11に示す本発明の第2実施形態では、第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの形態が第1実施形態とは異なる。第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aは、それらの各内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔Hを有する。各貫通孔Hの長手方向は面内方向であって第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの上下方向(各バッテリセル2の電極TP、TNが設けられている側とその反対側とを結ぶ方向)である。即ち、各貫通孔Hの長手方向は、図8において紙面に垂直に交差する方向であり、図9において上下方向であり、図10および図11において左右方向である。
【0056】
図示のとおり、複数の貫通孔Hは、第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの上下方向の中央位置の貫通孔H00が開口面積が最も大きい。中央位置の貫通孔H00から右側(図8で下側)に向かう位置での順次の貫通孔H11、…、H15、H16は、開口面積が順次漸減する形態をとる。また、中央位置の貫通孔H00から左側(図8で上側)に向かう位置での順次の貫通孔H21、…、H25、H26は、開口面積が順次漸減する形態をとる。
或いは貫通孔間のリブを互いに平行に設けず、斜めにトラス状に設定するなどして断面係数(断面剛性)が中央部に向かって漸減する形態をとってもよい。
【0057】
第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aは、上述のように貫通孔H00、H11、…、H15、H16、(H00)、H21、…、H25、H26が設けられている。このため、第1エンドプレート4aは、左右二つの受圧部11、11、の間での断面係数が、二つの受圧部11、11の間の中間位置の貫通孔H00が設けられた箇所で小さくかつ二つの受圧部11、11側(貫通孔H16、貫通孔H26が設けられた側)で大きい。同様に、第2エンドプレート5aは、左右二つの受圧部12、12、の間での断面係数が、二つの受圧部12、12の間の中間位置の貫通孔H00が設けられた箇所で小さくかつ二つの受圧部12、12側(貫通孔H16、貫通孔H26が設けられた側)で大きい。第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの断面係数は、左右二つの受圧部間で非連続的に段階的に変化することになる。貫通孔の開口面積の段階的変化が多数の段階で漸次変化する構造をとることにより、断面係数が疑似連続的な変化を示すような形態のエンドプレートを得ることもできる。第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aは、上述のように断面係数が段階的或いは疑似連続的に変化する構造を有するため、図6および図7を参照して説明したように、複数のバッテリセル2の積層体3を挟圧保持するときの面内での面圧が全面で一様な値となる。このため積層体3を構成する各バッテリセル2の面内での面圧が均一化され、バッテリモジュール1aは十分な性能を発揮することができる。
【0058】
本発明の実施形態のエンドプレート及びバッテリモジュールによれば、以下の効果を奏する。
【0059】
(1)第1エンドプレート4および第2エンドプレート5では、積層体3への対向面S1が凸面部を有するため、バッテリセル2の積層体3の挟圧時に、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5のバッテリセル2側の面が略平面となり、また挟圧時の面圧を面内で均一化することができる。
【0060】
(2)積層体3への対向面S1が凸面部を有し、かつ、積層体3への対向面S1と反対側の面S2が凹面部を有する。このため、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5の断面係数が、面内における中央部で周辺部より相対的に小さくなり、バッテリセル2側の面が略平面となり易くなる。
【0061】
(3)第1エンドプレート4および第2エンドプレート5間で対を成す複数対の受圧部11、12の間を連結する複数の連結ボルト6によって相互に連結され、自己の二つの受圧部11、11;12、12間での断面係数が当該受圧部間の中間位置で小さくかつ当該受圧部側で大きい。このため、)第1エンドプレート4および第2エンドプレート5における断面係数の変化を連続的にすることが容易であるため、より一層、バッテリセル2側の面が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセル2の面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によって第1エンドプレート4および第2エンドプレート5の厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0062】
(4)積層体3への対向面S1aが凸面部を有する第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aは、その内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔H00、H11、H15、H16、H21、H25、H26を有する。このため、貫通孔H00、H11、H15、H16、H21、H25、H26による肉抜きによって断面係数の変化を疑似連続的に変化させ、バッテリセル2側の面S1aが略平面となり易くすることができる。また、肉抜きによって軽量化がはかられる。しかも、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によって第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。さらに、加圧面であるバッテリセル2側の面の反対側を平面状にすることができ、他の要素部品の取付等に際して扱い易い。
【0063】
(5)第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aは、複数の貫通孔H00、H11、H15、H16、H21、H25、H26は、当該一のエンドプレート第1エンドプレート4a(第2エンドプレート5a)における二つの受圧部11、11;12、12間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている。このため、バッテリセル2側の面が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセル2の面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0064】
(6)第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aの複数の貫通孔H00、H11、H15、H16、H21、H25、H26は、受圧部11、11;12、12間の中央位置に近いものほど開口面積が大きくかつ受圧部11;12に近いものほど開口面積が小さい。このため、第1エンドプレート4aおよび第2エンドプレート5aにおける断面係数を受圧部11、11;12、12間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセル2の面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0065】
(7)第1エンドプレートおよび第2エンドプレートの複数の貫通孔は、隣接する相互間の隔壁部が当該エンドプレートの幅方向に対して傾斜したトラス状に形成されている。このためエンドプレートにおける断面係数を受圧部間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0066】
(8)バッテリモジュール1は、複数のバッテリセル2の積層体3を積層方向の両端側から挟圧保持する第1エンドプレート4および第2エンドプレート5が、積層体3への対向面S1が凸面部を有する。このため、バッテリセル2の積層体3の挟圧時に、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5のバッテリセル2側の面S1が略平面となり、また挟圧時の面圧を面内で均一化することができる。
【0067】
(9)バッテリモジュール1は、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5が、積層体3への対向面S1とは反対側の面S2に凹面部を有する。このため、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5の断面係数が、当該エンドプレートの端部側よりも中央側で小さい傾向を呈する。従って、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5は、断面係数の分布に応じて積層体3への対向面S1の中央位置w5ほど容易に撓み、積層体3を積層方向の両端側から挟圧保持した状態で略完全な平面になる。この結果、積層体3への対向面S1の面圧が面内で均一になる。このため積層体3を構成する各バッテリセル2は十分な性能を発揮することができる。
【0068】
(10)バッテリモジュール1は、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5に対し当該両エンドプレート間で対を成す複数対の受圧部11-12の間を連結する複数の連結部材である連結ボルト6(61、62、63、64)を備え、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5は、自己の二つの受圧部11,11および12,12間での断面係数が当該受圧部間の中間位置で小さくかつ当該受圧部側で大きい。このため、断面係数の分布に応じて積層体3への対向面S1の中央位置w5ほど容易に撓み、積層体3を積層方向の両端側から挟圧保持した状態で略完全な平面になる。この結果、積層体3への対向面S1の面圧が面内で均一になる。この結果、積層体3を構成する各バッテリセル2は十分な性能を発揮することができる。
【0069】
(11)バッテリモジュール1aは、複数のバッテリセル2の積層体3を積層方向の両端側から挟圧保持する第1エンドプレート4および第2エンドプレート5に対し当該両エンドプレート間で対を成す複数対の受圧部11-12の間を連結する複数の連結部材である連結ボルト6(61、62、63、64)を備え、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5は、積層体3への対向面S1aが凸面部を有し、自己の内部を面内方向に貫通する複数の順次大きさの変化する貫通孔H00、H11、…、H15、H16、(H00)、H21、…、H25、H26を有する。このため、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5は、端部側よりも中央部側で断面係数が小さくなる構成をとることができる。従って、複数のバッテリセル2の積層体3を挟圧保持するときの面内での面圧を全面で一様にすることができ、これにより、積層体3を構成する各バッテリセル2は十分な性能を発揮することができる。
【0070】
(12)バッテリモジュール1aは、順次大きさの変化する貫通孔H00、H11、…、H15、H16、(H00)、H21、…、H25、H26は、当該一のエンドプレート第1エンドプレート4a(第2エンドプレート5a)における二つの受圧部11、11(12、12)間の断面係数が当該受圧部近傍で相対的に大きく当該受圧部から離隔した部位で相対的に低くなる形態に形成されている。このため、バッテリセル2側の面S1が略平面となり易くすることができる。即ち、バッテリセル2の面内での面圧の均一化がより一層容易になる。しかも、このために、部品点数を増加させることを要さず、従って、それらの部品によってエンドプレートの厚みが増加することもないため、コンパクト化がはかられる。
【0071】
(13)バッテリモジュール1aは、第1エンドプレート4および第2エンドプレート5の複数の貫通孔H00、H11、…、H15、H16、(H00)、H21、…、H25、H26は、複数対の受圧部11-12の間の中央位置に近いものほど開口面積が大きくかつ受圧部11、12に近いものほど開口面積が小さい。従って、バッテリセルの面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0072】
(14)バッテリモジュール1aは、複数の貫通孔H00、H11、…、H15、H16、(H00)、H21、…、H25、H26は、隣接する相互間の隔壁部が当該エンドプレート第1エンドプレート4a(第2エンドプレート5a)の幅方向に対して傾斜したトラス状に形成されているため、エンドプレート第1エンドプレート4a(第2エンドプレート5a)における断面係数を受圧部間の中央位置に近い位置ほど疑似連続的に小さくできる。従って、バッテリセル2の面内での面圧の均一化がより一層容易になる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。例えば、上述の第1実施形態例および第2実施形態では、複数のバッテリセルの積層体を積層方向の両端側からエンドプレートによって挟圧保持するために両エンドプレートを連結部材としての連結ボルトを用いて連結する構成を採ったが、連結部材は連結ボルトに限られず、板状の長尺部材を用いる構成を採ることもできる。
【0074】
また、第2実施形態では、両エンドプレートとして、自己の内部を面内方向に貫通する複数の貫通孔を有するものを適用したが、これに替えて、押出し材または引抜き材もしくは異なる材料からなる部材を重ねた部材であって、その断面係数が既述の態様のエンドプレートの如くに変化するものを適用してもよい。その場合も、断面係数の変化は、段階を踏んで非連続的に変化するようにしてもよく、或いはまた、疑似連続的に変化するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,1a…バッテリモジュール
2…バッテリセル
3…積層体
4…第1エンドプレート
5…第2エンドプレート
6…連結ボルト
7…軸部
8…ヘッド部
9…雄ねじ部
10…ナット
11、12…受圧部
13…挿通孔
14…ナット側大径部
15…ナット側インロー部
16…ヘッド部側大径部
17…ヘッド部側インロー部
41…凹部
51…凹部
52…当接面
61…第1連結ボルト
62…第2連結ボルト
63…第3連結ボルト
64…第4連結ボルト
81…切欠き部
H00、H11、H15、H16、H21、H25、H26…貫通孔
S1,S1a…積層体への対向面
S2,S2a…積層体への対向面とは反対側の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11