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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】インパクト工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20250710BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20250710BHJP
【FI】
B25B21/02 A
B25B21/02 G
B25F5/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021171211
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2023061296
(43)【公開日】2023-05-01
【審査請求日】2024-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 辰夫
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-141984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00 - 21/02
B25F 5/00 - 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転可能であり前記モータにより駆動される打撃機構と、
前記打撃機構よりも前方に配置されるアンビル軸部と、前記アンビル軸部の後端部から径方向外側に突出し前記打撃機構により前記出力回転軸を中心とする回転方向に打撃されるアンビル突起部と、を有するアンビルと、
前記打撃機構を収容するハンマケースと、
前記ハンマケースに保持され前記アンビル軸部の周囲に配置されるアンビル軸受と、
前記出力回転軸を囲むように前記アンビル軸部の外周面に形成される第1溝部と、
前記アンビル軸部の外周面において前記第1溝部よりも後方に設けられた大径部と、
前記出力回転軸を囲むように前記アンビル軸受の内周面に形成される第2溝部と、
前記第1溝部に配置される第1部分と前記第2溝部に配置される第2部分とを含む抑制部材と、を備え
前後方向において、前記第2溝部は、前記第1溝部と前記大径部とに重複する、
インパクト工具。
【請求項2】
前記抑制部材は、前記出力回転軸を囲むリング状である、
請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項3】
前記抑制部材は、前記第1溝部の内面及び前記第2溝部の内面のそれぞれに接触するOリングである、
請求項1又は請求項2に記載のインパクト工具。
【請求項4】
モータと、
前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転可能であり前記モータにより駆動される打撃機構と、
前記打撃機構よりも前方に配置されるアンビル軸部と、前記アンビル軸部の後端部から径方向外側に突出し前記打撃機構により前記出力回転軸を中心とする回転方向に打撃されるアンビル突起部と、を有するアンビルと、
前記打撃機構を収容するハンマケースと、
前記ハンマケースに保持され前記アンビル軸部の周囲に配置されるアンビル軸受と、
前記出力回転軸を囲むように前記アンビル軸部の外周面に形成される第1溝部と、
前記出力回転軸を囲むように前記アンビル軸受の内周面に形成される第2溝部と、
前記第1溝部に配置される第1部分と前記第2溝部に配置される第2部分とを含む抑制部材と、を備え
前記アンビル軸部は、前記第1溝部よりも後方に配置され前記第1溝部における前記アンビル軸部の断面係数よりも小さい断面係数の折損起点部を有する、
インパクト工具。
【請求項5】
前記第1溝部よりも後方において前記出力回転軸を囲むように前記アンビル軸部の外周面に形成される第3溝部を備え、
前記第3溝部における前記アンビル軸部の直径は、前記第1溝部における前記アンビル軸部の直径よりも小さく、
前記折損起点部は、前記第3溝部における前記アンビル軸部を含む、
請求項4に記載のインパクト工具。
【請求項6】
前記第1溝部の内面は、後方を向く第1前側面と、前記第1前側面よりも後方に配置され前方を向く第1後側面と、前記第1前側面の径方向内側の端部及び前記第1後側面の径方向内側の端部のそれぞれに接続され径方向外側を向く第1周面と、を含み、
前記第2溝部の内面は、後方を向く第2前側面と、前記第2前側面の径方向外側の端部に接続され径方向内側を向く第2周面と、を含む、
請求項4又は請求項5に記載のインパクト工具。
【請求項7】
前記折損起点部において前記アンビル軸部が折損した状態において、前記抑制部材は、前記第1後側面と前記第2前側面とのそれぞれに接触する、
請求項6に記載のインパクト工具。
【請求項8】
前記ハンマケースは、前記アンビル軸受の前端部に接触する軸受支持面を有する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【請求項9】
前記アンビル軸受は、滑り軸受である、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のインパクト工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、インパクト工具に関する。
【背景技術】
【0002】
インパクト工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなインパクトレンチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6801571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インパクト工具は、アンビルを有する。アンビルに高い負荷が作用してアンビルが折損した場合、アンビルの少なくとも一部がインパクト工具から脱落する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、アンビルの脱落を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、インパクト工具を開示する。インパクト工具は、モータと、モータにより駆動される打撃機構と、打撃機構により回転方向に打撃されるアンビルと、打撃機構を収容するハンマケースと、アンビル軸受とを備えてもよい。打撃機構は、前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転可能でもよい。アンビルは、打撃機構よりも前方に配置されるアンビル軸部と、アンビル軸部の後端部から径方向外側に突出するアンビル突起部と、を有してもよい。アンビル突起部は、打撃機構により出力回転軸を中心とする回転方向に打撃されてもよい。アンビル軸受は、ハンマケースに保持されアンビル軸部の周囲に配置されてもよい。出力回転軸を囲むようにアンビル軸部の外周面に第1溝部が形成されてもよい。出力回転軸を囲むようにアンビル軸受の内周面に第2溝部が形成されてもよい。インパクト工具は、第1溝部に配置される第1部分と第2溝部に配置される第2部分とを含む抑制部材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、アンビルの脱落が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るインパクト工具を示す左前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るインパクト工具を示す右後方からの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るインパクト工具を右方から見た図である。
図4図4は、実施形態に係るインパクト工具を左方から見た図である。
図5図5は、実施形態に係るインパクト工具を後方から見た図である。
図6図6は、実施形態に係るインパクト工具を前方から見た図である。
図7図7は、実施形態に係るインパクト工具を上方から見た図である。
図8図8は、実施形態に係るインパクト工具を下方から見た図である。
図9図9は、実施形態に係るインパクト工具を示す断面図である。
図10図10は、実施形態に係るインパクト工具を示す断面図である。
図11図11は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す断面図である。
図12図12は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す断面図である。
図13図13は、実施形態に係るアンビル軸部の一部が破断した状態を示す断面図である。
図14図14は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す断面図である。
図15図15は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す断面図である。
図16図16は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す断面図である。
図17図17は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す分解斜視図である。
図18図18は、実施形態に係るインパクト工具の一部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、モータと、モータにより駆動される打撃機構と、打撃機構により回転方向に打撃されるアンビルと、打撃機構を収容するハンマケースと、アンビル軸受とを備えてもよい。打撃機構は、前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転可能でもよい。アンビルは、打撃機構よりも前方に配置されるアンビル軸部と、アンビル軸部の後端部から径方向外側に突出するアンビル突起部と、を有してもよい。アンビル突起部は、打撃機構により出力回転軸を中心とする回転方向に打撃されてもよい。アンビル軸受は、ハンマケースに保持されアンビル軸部の周囲に配置されてもよい。出力回転軸を囲むようにアンビル軸部の外周面に第1溝部が形成されてもよい。出力回転軸を囲むようにアンビル軸受の内周面に第2溝部が形成されてもよい。インパクト工具は、第1溝部に配置される第1部分と第2溝部に配置される第2部分とを含む抑制部材を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、第1溝部に配置される第1部分と第2溝部に配置される第2部分とを含む抑制部材が設けられるので、アンビル軸部の少なくとも一部が折損した場合、アンビル軸部は、第2溝部に支持された抑制部材に引っ掛かる。そのため、アンビル軸部がハンマケースから前方に抜けることが抑制される。したがって、インパクト工具からのアンビルの脱落が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、抑制部材は、出力回転軸を囲むリング状でもよい。
【0012】
上記の構成では、アンビル軸部の少なくとも一部が折損した場合、アンビル軸部は、第2溝部に支持された抑制部材に十分に引っ掛かることができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、抑制部材は、第1溝部の内面及び第2溝部の内面のそれぞれに接触するOリングでもよい。
【0014】
上記の構成では、Oリングにより第1溝部の内面と第2溝部の内面との境界がシールされる。そのため、例えば打撃機構に供給されたグリスが第1溝部の内面と第2溝部の内面との境界から漏出することが抑制される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アンビル軸部は、第1溝部におけるアンビル軸部の断面係数よりも小さい断面係数の折損起点部を有してもよい。折損起点部は、第1溝部よりも後方に配置されてもよい。
【0016】
上記の構成では、アンビル軸部に高い負荷が作用した場合、折損起点部においてアンビル軸部が折損する。第1溝部よりも後方においてアンビル軸部が折損するので、アンビル軸部の第1溝部は、第2溝部に支持された抑制部材に引っ掛かることができる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インパクト工具は、第1溝部よりも後方において出力回転軸を囲むようにアンビル軸部の外周面に形成される第3溝部を備えてもよい。第3溝部におけるアンビル軸部の直径は、第1溝部におけるアンビル軸部の直径よりも小さくてもよい。折損起点部は、第3溝部におけるアンビル軸部を含んでもよい。
【0018】
上記の構成では、第3溝部が形成されることにより、折損起点部が簡単に形成される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1溝部の内面は、後方を向く第1前側面と、第1前側面よりも後方に配置され前方を向く第1後側面と、第1前側面の径方向内側の端部及び第1後側面の径方向内側の端部のそれぞれに接続され径方向外側を向く第1周面と、を含んでもよい。第2溝部の内面は、後方を向く第2前側面と、第2前側面の径方向外側の端部に接続され径方向内側を向く第2周面と、を含んでもよい。
【0020】
上記の構成では、第1溝部及び第2溝部のそれぞれが適正に形成されるので、折損起点部においてアンビル軸部が折損した場合、アンビル軸部の第1溝部は、第2溝部に支持された抑制部材に引っ掛かることができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、折損起点部においてアンビル軸部が折損した状態において、抑制部材は、第1後側面と第2前側面とのそれぞれに接触してもよい。
【0022】
上記の構成では、折損起点部においてアンビル軸部が折損した場合、第2溝部の第2前側面に支持された抑制部材に第1溝部の第1後側面が引っ掛かるので、アンビル軸部がハンマケースから前方に抜けることが抑制される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ハンマケースは、アンビル軸受の前端部に接触する軸受支持面を有してもよい。
【0024】
上記の構成では、アンビル軸受の前端部がハンマケースの軸受支持面に接触するので、アンビル軸受がハンマケースから前方に抜けることが抑制される。アンビル軸部が折損しても、アンビル軸受はハンマケースから前方に抜けないので、アンビル軸受の第2溝部に支持される抑制部材もハンマケースから前方に抜けない。したがって、アンビル軸部の少なくとも一部が折損した場合、アンビル軸部が第2溝部に支持された抑制部材に引っ掛かることにより、アンビル軸部がハンマケースから前方に抜けることが抑制される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、アンビル軸受は、滑り軸受でもよい。
【0026】
上記の構成では、第2溝部は、滑り軸受であるアンビル軸受の内周面に適正に形成される。
【0027】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0028】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、インパクト工具1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。左右方向と前後方向と上下方向とは直交する。
【0029】
[インパクト工具]
図1は、実施形態に係るインパクト工具1を示す左前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係るインパクト工具1を示す右後方からの斜視図である。図3は、実施形態に係るインパクト工具1を右方から見た図である。図4は、実施形態に係るインパクト工具1を左方から見た図である。図5は、実施形態に係るインパクト工具1を後方から見た図である。図6は、実施形態に係るインパクト工具1を前方から見た図である。図7は、実施形態に係るインパクト工具1を上方から見た図である。図8は、実施形態に係るインパクト工具1を下方から見た図である。図9は、実施形態に係るインパクト工具1を示す断面図であり、図7のB-B線断面矢視図に相当する。図10は、実施形態に係るインパクト工具1を示す断面図であり、図3のA-A線断面矢視図に相当する。
【0030】
実施形態において、インパクト工具1は、締結工具の一種であるインパクトレンチである。インパクト工具1は、本体ハウジング2と、グリップハウジング3と、モータハウジング4と、ギヤケース5と、ハンマケース6と、サイドハンドル7と、バンパ8と、バッテリ装着部9と、モータ10と、コントローラ11と、ファン12と、減速機構13と、スピンドル14と、打撃機構15と、アンビル16と、トリガスイッチ17と、ライトアセンブリ18とを備える。
【0031】
本体ハウジング2は、ギヤケース5を収容する。本体ハウジング2の少なくとも一部は、グリップハウジング3よりも前方に配置される。本体ハウジング2の少なくとも一部は、モータハウジング4よりも上方に配置される。本体ハウジング2は、ハンマケース6よりも後方に配置される。本体ハウジング2は、グリップハウジング3に連結される。本体ハウジング2は、モータハウジング4に接続される。本体ハウジング2は、ハンマケース6に固定される。
【0032】
本体ハウジング2は、合成樹脂製である。本体ハウジング2を形成する合成樹脂として、ナイロン樹脂が例示される。本体ハウジング2は、左本体ハウジング2Lと、左本体ハウジング2Lの右方に配置される右本体ハウジング2Rとを含む。左本体ハウジング2Lと右本体ハウジング2Rとは、一対の半割れハウジングを構成する。左本体ハウジング2Lと右本体ハウジング2Rとは、複数のねじ19により固定される。
【0033】
本体ハウジング2は、本体部20と、本体部20から後方に突出する突出部21とを有する。本体部20は、ギヤケース5を収容するギヤケース収容部22と、モータハウジング4に接続されるモータハウジング接続部23とを有する。ギヤケース収容部22は、ギヤケース5の周囲に配置される筒部24と、筒部24の後端部に配置される後壁部25とを有する。モータハウジング接続部23は、ギヤケース収容部22の後部から下方に突出するように配置される。モータハウジング接続部23は、モータハウジング4よりも後方に配置される。突出部21は、グリップハウジング3に連結される。突出部21の一部は、ギヤケース収容部22から後方に突出する。突出部21の一部は、モータハウジング接続部23から後方に突出する。
【0034】
グリップハウジング3は、作業者に握られる。グリップハウジング3は、コントローラ11を収容する。グリップハウジング3は、トリガスイッチ17を支持する。グリップハウジング3の少なくとも一部は、本体ハウジング2よりも後方に配置される。グリップハウジング3は、本体ハウジング2に対して相対移動可能に本体ハウジング2に連結される。
【0035】
グリップハウジング3は、合成樹脂製である。グリップハウジング3を形成する合成樹脂として、ナイロン樹脂が例示される。グリップハウジング3は、左グリップハウジング3Lと、左グリップハウジング3Lの右方に配置される右グリップハウジング3Rとを含む。左グリップハウジング3Lと右グリップハウジング3Rとは、一対の半割れハウジングを構成する。左グリップハウジング3Lと右グリップハウジング3Rとは、複数のねじ26により固定される。
【0036】
グリップハウジング3は、作業者に握られるグリップ部27と、コントローラ11を収容するコントローラ収容部28と、バッテリ装着部9が配置されるバッテリコネクト部29と、本体ハウジング2の突出部21に連結される連結部30とを有する。グリップ部27は、コントローラ収容部28の後部から上方に延びる後グリップ部31と、後グリップ部31の上端部から前方に延びる上グリップ部32と、上グリップ部32の前端部から下方に延びる前グリップ部33とを含む。前グリップ部33は、上グリップ部32の前端部と連結部30の上部とを繋ぐように配置される。グリップ部27は、実質的に環状に形成される。トリガスイッチ17は、後グリップ部31の上部に配置される。バッテリコネクト部29は、コントローラ収容部28の下部に配置される。バッテリコネクト部29の少なくとも一部は、コントローラ収容部28よりも前方に配置される。連結部30は、コントローラ収容部28の前部に配置される。
【0037】
モータハウジング4は、モータ10を収容する。モータハウジング4は、ギヤケース5よりも下方に配置される。モータハウジング4は、本体ハウジング2に接続される。モータハウジング4は、ギヤケース5に固定される。
【0038】
モータハウジング4は、合成樹脂製である。モータハウジング4を形成する合成樹脂として、ポリカーボネート樹脂が例示される。
【0039】
モータハウジング4は、モータ10の周囲に配置される筒部34と、筒部34の下端部に配置される下壁部35とを有する。
【0040】
モータハウジング4の上部に開口36が設けられる。ギヤケース収容部22の下部に開口37が形成される。
【0041】
モータハウジング4の後部に開口38が設けられる。モータハウジング接続部23に開口39が設けられる。本体ハウジング2の後部に開口40Aが設けられる。グリップハウジング3の前部に開口40Bが設けられる。モータハウジング4の内部空間とコントローラ収容部28の内部空間とは、開口38、開口39、開口40A、及び開口40Bを介して接続される。
【0042】
ギヤケース5は、減速機構13の少なくとも一部を収容する。ギヤケース5は、ハンマケース6よりも後方に配置される。ギヤケース5は、ハンマケース6に固定される。
【0043】
ギヤケース5は、金属製である。ギヤケース5を形成する金属として、アルミニウム又はマグネシウムが例示される。
【0044】
ギヤケース5は、実質的に筒状である。ギヤケース5の前部に開口41が設けられる。ギヤケース5の後部に開口42が設けられる。ギヤケース5の下部に開口43が設けられる。ギヤケース5の開口42にベアリングカバー44が配置される。ベアリングカバー44は、ねじ45によりギヤケース5の後部に固定される。
【0045】
ハンマケース6は、打撃機構15を収容する。ハンマケース6は、本体ハウジング2の前部に接続される。ハンマケース6は、ギヤケース5の前部に接続される。
【0046】
ハンマケース6は、金属製である。ハンマケース6を形成する金属として、アルミニウムが例示される。
【0047】
ハンマケース6は、実質的に筒状である。ハンマケース6は、第1筒部46と、第2筒部47とを有する。第1筒部46は、打撃機構15の周囲に配置される。第2筒部47は、第1筒部46よりも前方に配置される。第2筒部47の外径は、第1筒部46の外径よりも小さい。第1筒部46の後部に開口48が設けられる。第2筒部47の前部に開口49が設けられる。ギヤケース5の前端部は、開口48に挿入される。
【0048】
ギヤケース5とハンマケース6とは、複数のねじ50により固定される。ギヤケース5は、複数のねじボス51を有する。本体ハウジング2の少なくとも一部は、ねじボス51を覆うように配置される。本体ハウジング2も、複数のねじ50によりハンマケース6に固定される。ハンマケース6は、複数のねじボス52を有する。本体ハウジング2に設けられたスルーホール及びギヤケース5のねじボス51に設けられたスルーホールにねじ50が挿入される。ねじ50は、ハンマケース6のねじボス52に設けられたねじ孔に挿入される。ねじ50は、ねじボス51の後方から本体ハウジング2のスルーホール及びねじボス51のスルーホールに挿入された後、ねじボス52のねじ孔に挿入される。
【0049】
モータハウジング4とギヤケース5とは、複数のねじ53により固定される。モータハウジング4は、複数のねじボス54を有する。モータハウジング4のねじボス54に設けられたスルーホールにねじ53が挿入される。ねじ53は、ギヤケース5の下部に設けられたねじ孔に挿入される。ねじ53は、ねじボス54の下方からねじボス54のスルーホールに挿入された後、ギヤケース5のねじ孔に挿入される。
【0050】
モータハウジング4の内部空間とギヤケース5の内部空間とは、開口36及び開口43を介して接続される。
【0051】
ギヤケース5の内部空間とハンマケース6の内部空間とは、開口41及び開口48を介して接続される。
【0052】
サイドハンドル7は、作業者に握られる。サイドハンドル7は、作業者に握られるハンドル部55と、ハンマケース6に固定されるベース部56とを有する。ハンドル部55は、ハンマケース6の左方に配置される。ベース部56は、第1ベース部57と、第1ベース部57よりも下方に配置される第2ベース部58とを含む。第1ベース部57及び第2ベース部58のそれぞれは、円弧状である。第1ベース部57と第2ベース部58とは、ハンマケース6の第1筒部46を挟むように配置される。第1筒部46の上部にカバー460が配置される。第1ベース部57の少なくとも一部は、カバー460に重複する。第1ベース部57の右端部と第2ベース部58の右端部とは、ヒンジ59を介して連結される。第1ベース部57の左端部及び第2ベース部58の左端部のそれぞれは、ハンドル部55に接続される。第1ベース部57の左端部と第2ベース部58の左端部とは、締付機構60を介して連結される。締付機構60は、第2ベース部58の左端部に設けられたねじ孔に配置されるねじ61と、ねじ61に対して回転可能なダイヤル部62とを有する。作業者は、ダイヤル部62を操作して、ダイヤル部62を回転することができる。ダイヤル部62が回転することにより、第1ベース部57の左端部と第2ベース部58の左端部との距離が調整される。第1ベース部57の左端部と第2ベース部58の左端部との距離が短くなるようにねじ61が回転されることにより、ハンマケース6がベース部56に締め付けられ、サイドハンドル7がハンマケース6に固定される。
【0053】
なお、実施形態においては、ハンドル部55がハンマケース6の左方に配置されることとするが、ハンドル部55は、ハンマケース6の周囲の任意の位置に配置可能である。ハンドル部55は、例えば、ハンマケース6の左方に配置可能であり、ハンマケース6の上方に配置可能であり、ハンマケース6の下方に配置可能である。ハンマケース6に対するハンドル部55の位置(角度)は、360度調整可能である。
【0054】
バンパ8は、ハンマケース6の表面の少なくとも一部を覆うように配置される。実施形態において、バンパ8は、第1筒部46の表面を覆うように配置される。バンパ8は、ハンマケース6を保護する。バンパ8は、ハンマケース6とインパクト工具1の周囲の物体と接触を抑制する。バンパ8は、ハンマケース6よりも軟らかい弾性体により形成されている。バンパ8を形成する弾性体として、スチレン・ブタジエンゴムが例示される。
【0055】
バッテリ装着部9は、バッテリコネクト部29に設けられる。バッテリパック63がバッテリ装着部9に装着される。バッテリコネクト部29の一部は、バッテリ装着部9に装着されたバッテリパック63よりも上方に配置される。バッテリコネクト部29の一部は、バッテリ装着部9に装着されたバッテリパック63よりも前方に配置される。バッテリパック63は、インパクト工具1の電源として機能する。バッテリパック63は、バッテリ装着部9に着脱可能である。バッテリパック63は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック63は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部9に装着されることにより、バッテリパック63は、インパクト工具1に電力を供給可能である。モータ10は、バッテリパック63から供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ11は、バッテリパック63から供給される電力に基づいて作動する。
【0056】
バッテリ装着部9は、プレート状のターミナル64を含む。ターミナル64は、合成樹脂製のプレートと、プレートに配置される金属製の接続端子とを有する。バッテリパック63がバッテリ装着部9に装着されることにより、バッテリパック63の接続端子とターミナル64の接続端子とが接続される。ターミナル64は、ターミナルホルダ65に保持される。ターミナルホルダ65は、左グリップハウジング3Lと右グリップハウジング3Rとに挟まれる。バッテリパック63よりも前方に配置されるバッテリコネクト部29の一部にばね66及び緩衝部材67が配置される。ばね66は、ターミナルホルダ65の前方に配置される。ばね66は、ターミナル64よりも前方に配置されるバッテリコネクト部29の一部に支持される。ばね66は、ターミナルホルダ65を後方に付勢する。緩衝部材67は、バッテリ装着部9に装着されたバッテリパック63の前方に配置される。緩衝部材67は、バッテリ装着部9に装着されたバッテリパック63よりも前方に配置されるバッテリコネクト部29の一部に支持される。緩衝部材67としてゴムが例示される。緩衝部材67は、バッテリパック63の前部に接触する。例えばインパクト工具1が落下した場合、ばね66の弾性力によりターミナル64に作用する衝撃が緩和され、緩衝部材67によりバッテリパック63に作用する衝撃が緩和される。
【0057】
モータ10は、インパクト工具1の動力源として機能する。モータ10は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ10は、ステータ68と、ロータ69と、ロータシャフト70とを有する。ステータ68は、モータハウジング4に支持される。ロータ69の少なくとも一部は、ステータ68の内側に配置される。ロータシャフト70は、ロータ69に固定される。ロータ69は、上下方向に延びるモータ回転軸MXを中心にステータ68に対して回転可能である。
【0058】
ステータ68は、ステータコア71と、インシュレータ72と、コイル73とを有する。
【0059】
ステータコア71は、ロータ69の径方向外側に配置される。ステータコア71は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア71は、筒状のヨークと、ヨークの内周面からヨークの径方向内側に突出する複数のティースとを有する。
【0060】
インシュレータ72は、合成樹脂製の電気絶縁部材である。インシュレータ72の少なくとも一部は、ステータコア71の上部に設けられる。インシュレータ72の少なくとも一部は、ステータコア71の下部に設けられる。インシュレータ72の少なくとも一部は、ステータコア71のティースの表面を覆うように配置される。
【0061】
コイル73は、インシュレータ72を介してステータコア71のティースに装着される。ステータコア71とコイル73とは、インシュレータ72により電気的に絶縁される。複数のコイル73は、バスバーユニット74を介して接続される。
【0062】
ロータ69は、モータ回転軸MXを中心に回転する。ロータ69は、ロータコア75と、ロータ磁石76とを有する。
【0063】
ロータコア75は、積層された複数の鋼板を含む。ロータコア75は、筒状である。
【0064】
ロータ磁石76は、ロータコア75に固定される。実施形態において、ロータ磁石76は、ロータコア75の内部に配置される。
【0065】
センサ基板77がインシュレータ72に固定される。センサ基板77は、ロータ69の回転方向の位置を検出する。センサ基板77は、環状の回路基板と、回路基板に支持される回転検出素子とを有する。センサ基板77の少なくとも一部は、ロータ磁石76に対向する。回転検出素子は、ロータ磁石76の位置を検出することにより、ロータ69の回転方向の位置を検出する。
【0066】
ロータシャフト70は、ロータコア75の内側に配置される。ロータシャフト70は、ロータコア75に固定される。ロータ69とロータシャフト70とは、モータ回転軸MXを中心に一緒に回転する。ロータシャフト70の上端部は、ロータコア75の上端面から上方に突出する。ロータシャフト70の下端部は、ロータコア75の下端面から下方に突出する。
【0067】
ロータシャフト70は、ロータ軸受78及びロータ軸受79のそれぞれに回転可能に支持される。ロータ軸受78は、ロータコア75の上端面よりも上方に配置されるロータシャフト70の上部を回転可能に支持する。ロータ軸受79は、ロータコア75の下端面よりも下方に配置されるロータシャフト70の下部を回転可能に支持する。ロータ軸受78は、ギヤケース5に保持される。ロータ軸受79は、モータハウジング4に保持される。
【0068】
ロータシャフト70の上端部に第1ベベルギヤ80が固定される。第1ベベルギヤ80は、減速機構13の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト70は、第1ベベルギヤ80を介して減速機構13に連結される。
【0069】
コントローラ11は、モータ10を制御する制御信号を出力する。コントローラ11は、複数の電子部品が実装された回路基板を含む。回路基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、及び抵抗器が例示される。
【0070】
コントローラ11は、グリップハウジング3のコントローラ収容部28に収容される。コントローラ11は、コントローラ収容部28において、コントローラケース81に保持される。
【0071】
ファン12は、モータ10及びコントローラ11を冷却するための気流を生成する。ファン12は、モータ10のステータ68よりも上方に配置される。ファン12は、ロータシャフト70の上部に固定される。ファン12は、ロータ軸受78とステータコア71との間に配置される。ファン12とロータシャフト70とは、一緒に回転する。モータハウジング4の下壁部35に吸気口82が設けられる。モータハウジング4の筒部34の上部の前部、左部、及び右部のそれぞれに排気口83が設けられる。コントローラ収容部28の左部及び右部のそれぞれに吸気口84が設けられる。ファン12が回転することにより、モータハウジング4の外部空間の空気が、吸気口82を介してモータハウジング4の内部空間に流入する。モータハウジング4の内部空間に流入した空気は、モータハウジング4の内部空間を流通することにより、モータ10を冷却する。モータハウジング4の内部空間を流通した空気の少なくとも一部は、ファン12の回転により、排気口83を介してモータハウジング4の外部空間に流出する。また、ファン12が回転することにより、グリップハウジング3の外部空間の空気が、吸気口84を介してコントローラ収容部28の内部空間に流入する。コントローラ収容部28の内部空間に流入した空気は、コントローラ収容部28の内部空間を流通することにより、コントローラ11を冷却する。コントローラ収容部28の内部空間を流通した空気は、ファン12の回転により、排気口83を介してモータハウジング4の外部空間に流出する。
【0072】
実施形態において、ファン12とステータ68との間にバッフルプレート85が配置される。バッフルプレート85は、ファン12の回転により流通する空気をガイドする。
【0073】
減速機構13は、スピンドル14を介してモータ10の回転力を打撃機構15に伝達する。減速機構13は、ロータシャフト70とスピンドル14とを連結する。減速機構13は、ロータシャフト70の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル14を回転させる。
【0074】
減速機構13は、第1ベベルギヤ80に噛み合う第2ベベルギヤ86と、第2ベベルギヤ86を介して伝達されたモータ10の回転力に基づいて駆動する遊星歯車機構87とを有する。
【0075】
遊星歯車機構87は、サンギヤ88と、サンギヤ88の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ89と、複数のプラネタリギヤ89の周囲に配置されるインターナルギヤ90とを有する。遊星歯車機構87は、ギヤケース5に収容される。
【0076】
第2ベベルギヤ86は、サンギヤ88の周囲に配置される。第2ベベルギヤ86は、サンギヤ88に固定される。第2ベベルギヤ86とサンギヤ88とは、一緒に回転する。第2ベベルギヤ86及びサンギヤ88は、前後方向に延びる出力回転軸BXを中心に回転可能である。出力回転軸BXとモータ回転軸MXとは、直交する。サンギヤ88の後端部は、ギヤ軸受91に支持される。サンギヤ88の中間部は、ギヤ軸受92に支持される。ギヤ軸受91は、ベアリングカバー44に保持される。ギヤ軸受92は、ギヤケース5に保持される。ロータシャフト70が回転して第1ベベルギヤ80が回転することにより、第2ベベルギヤ86が回転する。第2ベベルギヤ86が回転することにより、サンギヤ88が回転する。
【0077】
複数のプラネタリギヤ89のそれぞれは、サンギヤ88に噛み合う。プラネタリギヤ89は、ピン93を介してスピンドル14に回転可能に支持される。スピンドル14は、プラネタリギヤ89により回転される。インターナルギヤ90は、プラネタリギヤ89に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ90は、ギヤケース5に固定される。インターナルギヤ90の外周面に複数の凸部が設けられる。インターナルギヤ90の凸部は、ギヤケース5の内周面に設けられた凹部に嵌まる。インターナルギヤ90は、ギヤケース5に対して常に回転不可能である。
【0078】
モータ10の駆動によりロータシャフト70及び第1ベベルギヤ80が回転すると、第2ベベルギヤ86及びサンギヤ88が回転する。サンギヤ88が回転すると、プラネタリギヤ89がサンギヤ88の周囲を公転する。プラネタリギヤ89は、インターナルギヤ90の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ89の公転により、ピン93を介してプラネタリギヤ89に接続されているスピンドル14は、ロータシャフト70の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0079】
スピンドル14は、減速機構13により伝達されたモータ10の回転力により回転する。スピンドル14は、減速機構13を介して伝達されたモータ10の回転力を打撃機構15に伝達する。スピンドル14は、出力回転軸BXを中心に回転可能である。スピンドル14の後部は、ギヤケース5に収容される。スピンドル14の前部は、ハンマケース6に収容される。スピンドル14の少なくとも一部は、減速機構13の前方に配置される。スピンドル14は、アンビル16の後方に配置される。
【0080】
スピンドル14は、フランジ部94と、フランジ部94から前方に突出するスピンドル軸部95と、フランジ部94から後方に突出する突出部96とを有する。プラネタリギヤ89は、ピン93を介してフランジ部94及び突出部96のそれぞれに回転可能に支持される。スピンドル14は、スピンドル軸受97に回転可能に支持される。スピンドル軸受97は、突出部96を回転可能に支持する。スピンドル軸受97は、ギヤケース5に保持される。
【0081】
打撃機構15は、出力回転軸BXを中心とする回転方向にアンビル16を打撃する。打撃機構15は、モータ10により駆動される。打撃機構15は、出力回転軸BXを中心に回転可能である。モータ10の回転力は、減速機構13及びスピンドル14を介して打撃機構15に伝達される。打撃機構15は、モータ10により回転するスピンドル14の回転力に基づいて、アンビル16を回転方向に打撃する。
【0082】
打撃機構15は、ハンマケース6の第1筒部46に収容される。打撃機構15は、ハンマ98と、ボール99と、第1コイルばね100と、第2コイルばね101と、第3コイルばね102と、第1ワッシャ103と、第2ワッシャ104とを有する。
【0083】
ハンマ98は、減速機構13よりも前方に配置される。ハンマ98は、スピンドル14の周囲に配置される。ハンマ98は、スピンドル14に保持される。ボール99は、スピンドル14とハンマ98との間に配置される。ハンマ98は、筒状のハンマボディ105と、ハンマボディ105の前部に設けられるハンマ突起部106とを有する。ハンマボディ105の後面に環状の凹部107が設けられる。凹部107は、ハンマボディ105の後面から前方に窪む。
【0084】
ハンマ98は、スピンドル軸部95の周囲に配置される。ハンマ98は、スピンドル軸部95が配置される孔108を有する。
【0085】
ハンマ98は、モータ10により回転される。モータ10の回転力は、減速機構13及びスピンドル14を介してハンマ98に伝達される。ハンマ98は、モータ10により回転するスピンドル14の回転力に基づいて、スピンドル14と一緒に回転可能である。ハンマ98及びスピンドル14のそれぞれは、出力回転軸BXを中心に回転する。
【0086】
第1ワッシャ103は、凹部107の内側に配置される。第1ワッシャ103は、複数のボール109を介してハンマ98に支持される。ボール109は、第1ワッシャ103よりも前方に配置される。
【0087】
第2ワッシャ104は、凹部107の内側において第1ワッシャ103よりも後方に配置される。第2ワッシャ104の外径は、第1ワッシャ103の外径よりも小さい。第2ワッシャ104とハンマ98とは前後方向に相対移動可能である。
【0088】
第1コイルばね100は、スピンドル軸部95の周囲に配置される。第1コイルばね100の後端部は、フランジ部94に支持される。第1コイルばね100の前端部は、凹部107の内側に配置され、第1ワッシャ103に支持される。第1コイルばね100は、ハンマ98を前方に移動させる弾性力を常時発生する。
【0089】
第2コイルばね101は、スピンドル軸部95の周囲に配置される。第2コイルばね101は、第1コイルばね100の径方向内側に配置される。第2コイルばね101の後端部は、フランジ部94に支持される。第2コイルばね101の前端部は、凹部107の内側に配置され、第2ワッシャ104に支持される。第2コイルばね101は、ハンマ98が後方に移動したときにハンマ98を前方に移動させる弾性力を発生する。
【0090】
第3コイルばね102は、スピンドル軸部95の周囲に配置される。第3コイルばね102は、第1コイルばね100の径方向内側に配置される。第3コイルばね102は、凹部107の内側に配置される。第3コイルばね102の後端部は、第2ワッシャ104に支持される。第3コイルばね102の前端部は、第1ワッシャ103に支持される。第3コイルばね102は、第2コイルばね101を後方に移動させる弾性力を発生する。第3コイルばね102の弾性力により、第2コイルばね101の後端部がフランジ部94に押し付けられる。これにより、フランジ部94に対して第2コイルばね101が遊動することが抑制される。
【0091】
ボール99は、鉄鋼のような金属製である。ボール99は、スピンドル軸部95とハンマ98との間に配置される。スピンドル14は、ボール99の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝110を有する。スピンドル溝110は、スピンドル軸部95の外面の一部に設けられる。ハンマ98は、ボール99の少なくとも一部が配置されるハンマ溝111を有する。ハンマ溝111は、ハンマ98の内面の一部に設けられる。ボール99は、スピンドル溝110とハンマ溝111との間に配置される。ボール99は、スピンドル溝110の内側及びハンマ溝111の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ98は、ボール99に伴って移動可能である。スピンドル14とハンマ98とは、スピンドル溝110及びハンマ溝111により規定される可動範囲において、出力回転軸BXに平行な方向及び出力回転軸BXを中心とする回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0092】
アンビル16は、モータ10の回転力に基づいて回転するインパクト工具1の出力部である。アンビル16の少なくとも一部は、ハンマ98よりも前方に配置される。
【0093】
アンビル16は、アンビル凹部112を有する。アンビル凹部112は、アンビル16の後端部に設けられる。アンビル凹部112は、アンビル16の後端部から前方に窪む。アンビル16の後方にスピンドル14が配置される。スピンドル軸部95の前端部は、アンビル凹部112に配置される。
【0094】
アンビル16は、アンビル軸部113と、アンビル突起部114とを有する。アンビル軸部113は、打撃機構15よりも前方に配置される。アンビル突起部114は、アンビル軸部113の後端部からアンビル軸部113の径方向外側に突出する。アンビル突起部114は、打撃機構15により出力回転軸BXを中心とする回転方向に打撃される。
【0095】
アンビル軸部113の前端部は、開口49を介してハンマケース6よりも前方に配置される。アンビル軸部113の前端部に先端工具としてソケットが装着される。
【0096】
アンビル16は、アンビル軸受115に回転可能に支持される。アンビル軸受115は、アンビル軸部113の周囲に配置される。アンビル16は、出力回転軸BXを中心に回転可能である。アンビル軸受115は、ハンマケース6に保持される。アンビル軸受115は、ハンマケース6の第2筒部47の内側に配置される。アンビル軸受115は、ハンマケース6の第2筒部47に保持される。
【0097】
トリガスイッチ17は、モータ10を駆動するために作業者に操作される。モータ10の駆動とは、ステータ68のコイル73が通電されてロータ69が回転することをいう。トリガスイッチ17は、後グリップ部31の上部に設けられる。トリガスイッチ17は、トリガレバー116と、スイッチ本体117とを含む。スイッチ本体117は、後グリップ部31の内部空間に配置される。トリガレバー116は、後グリップ部31の前部の上部から前方に突出する。トリガレバー116は、後方に移動するように作業者に操作される。トリガレバー116が後方に移動するように操作されることにより、モータ10が駆動する。トリガレバー116の操作が解除されることにより、モータ10の駆動が停止する。
【0098】
ライトアセンブリ18は、照明光を射出する。ライトアセンブリ18は、アンビル16及びアンビル16の周辺を照明光で照明する。ライトアセンブリ18は、アンビル16の前方を照明光で照明する。また、ライトアセンブリ18は、アンビル16に装着されたソケット及びソケットの周辺を照明光で照明する。実施形態において、ライトアセンブリ18は、回路基板118と、回路基板118の前面に実装させる発光素子119と、回路基板118よりも前方に配置されるリング状のライトカバー120とを有する。ライトカバー120は、発光素子119を覆うように配置される。ライトアセンブリ18は、ハンマケース6の第2筒部47の周囲に配置される。ライトアセンブリ18の前方には、ライトアセンブリ18が第2筒部47から前方に抜けることを抑制するリングスプリング181が配置される。
【0099】
[抑制部材]
図11は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す断面図であり、図9の一部を拡大した図に相当する。図12は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す断面図であり、図10の一部を拡大した図に相当する。
【0100】
図11及び図12において、出力回転軸BXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、出力回転軸BXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、出力回転軸BXの放射方向を適宜、径方向、と称する。また、径方向において、出力回転軸BXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、出力回転軸BXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0101】
出力回転軸BXに直交する断面において、アンビル軸部113の外周面の形状は、円形状である。出力回転軸BXに直交する断面において、アンビル軸受115の内周面の形状は、円形状である。
【0102】
図11及び図12に示すように、アンビル軸部113の外周面に第1溝部121が形成される。第1溝部121は、出力回転軸BXを囲むようにアンビル軸部113の外周面に形成される。
【0103】
アンビル軸受115の内周面に第2溝部122が形成される。第2溝部122は、出力回転軸BXを囲むようにアンビル軸受115の内周面に形成される。
【0104】
実施形態において、アンビル軸受115は、滑り軸受である。第2溝部122は、滑り軸受の内周面に形成される。アンビル軸受115は、筒状である。実施形態において、アンビル軸受115としてスリーブが使用される。なお、例えば粉末冶金法により製造された筒状の多孔質金属体に潤滑油を含浸させることにより滑り軸受が形成されてもよい。
【0105】
インパクト工具1は、アンビル軸部113がハンマケース6から前方に抜けることを抑制する抑制部材123を備える。抑制部材123は、第1溝部121に配置される第1部分124と、第2溝部122に配置される第2部分125とを含む。第1部分124は、径方向内側の抑制部材123の一部分である。第2部分125は、第1部分124よりも径方向外側の抑制部材123の一部分である。
【0106】
抑制部材123は、出力回転軸BXを囲むリング状である。実施形態において、抑制部材123は、第1溝部121の内面及び第2溝部122の内面のそれぞれに接触するOリングである。
【0107】
第1溝部121の内面は、第1前側面126と、第1後側面127と、第1周面128とを含む。第1前側面126は、後方を向く。第1後側面127は、第1前側面126よりも後方に配置される。第1後側面127は、前方を向く。第1周面128は、第1前側面126の径方向内側の端部及び第1後側面127の径方向内側の端部のそれぞれに接続される。第1周面128は、径方向外側を向く。
【0108】
第2溝部122の内面は、第2前側面129と、第2後側面130と、第2周面131とを含む。第2前側面129は、後方を向く。第2後側面130は、第2前側面129よりも後方に配置される。第2後側面130は、前方を向く。第2周面131は、第2前側面129の径方向外側の端部及び第2後側面130の径方向外側の端部のそれぞれに接続される。第2周面131は、径方向内側を向く。
【0109】
実施形態において、第1溝部121の深さと第2溝部122の深さとは、実質的に等しい。なお、第1溝部121の深さが第2溝部122の深さよりも深くてもよいし、第2溝部122の深さが第1溝部121の深さよりも深くてもよい。第1溝部121の深さとは、径方向における第1溝部121の寸法をいう。すなわち、第1溝部121の深さとは、径方向におけるアンビル軸部113の外周面と第1周面128との距離をいう。第2溝部122の深さとは、径方向における第2溝部122の寸法をいう。すなわち、第2溝部122の深さとは、径方向におけるアンビル軸受115の内周面と第2周面131との距離をいう。
【0110】
軸方向における第1溝部121の寸法は、軸方向における第2溝部122の寸法よりも短い。軸方向における第1溝部121の寸法とは、第1前側面126と第1後側面127との距離をいう。軸方向における第2溝部122の寸法とは、第2前側面129と第2後側面130との距離をいう。図11及び図12に示す例において、軸方向における第1前側面126の位置と第2前側面129の位置とは、実質的に等しい。第1後側面127は、第2後側面130よりも前方に配置される。
【0111】
なお、軸方向における第1前側面126の位置と第2前側面129の位置とは、異なってもよい。第1後側面127は、第2後側面130よりも前方に配置されなくてもよく、第2後側面130よりも後方に配置されてもよい。
【0112】
抑制部材123は、第1周面128及び第2周面131のそれぞれに接触するように配置される。上述のように、実施形態において、抑制部材123は、Oリングである。抑制部材123は、第1周面128と第2周面131とにより僅かに押し潰される。抑制部材123は、第1周面128と第2周面131との境界をシールする。
【0113】
図11及び図12に示す例において、抑制部材123は、第1前側面126及び第2前側面129のそれぞれに接触するように配置される。抑制部材123は、アンビル軸部113とアンビル軸受115との境界をシールする。
【0114】
ハンマケース6は、アンビル軸受115の前端部に接触する軸受支持面132を有する。軸受支持面132は、第2筒部47の前端部に設けられる。軸受支持面132は、後方を向く。軸受支持面132は、アンビル軸受115を前方から押さえる。軸受支持面132は、アンビル軸受115がハンマケース6から前方に抜けることを抑制する。出力回転軸BXと直交する面内において、軸受支持面132は、リング状である。開口49は、軸受支持面132よりも径方向内側に規定される。
【0115】
アンビル軸部113の前端部は、開口49を介して第2筒部47よりも前方に配置される。アンビル軸部113の少なくとも一部は、開口49の内側に配置される。第2筒部47の前端部にシール部材133が設けられる。シール部材133は、開口49の内側に配置される。シール部材133は、第2筒部47の前端部とアンビル軸部113との境界をシールする。シール部材133は、抑制部材123よりも前方に配置される。
【0116】
アンビル軸部113は、第1溝部121よりも後方に配置される折損起点部134を有する。折損起点部134におけるアンビル軸部113の断面係数は、第1溝部121におけるアンビル軸部113の断面係数よりも小さい。すなわち、折損起点部134を通り出力回転軸BXに直交するアンビル軸部113の断面係数は、第1溝部121を通り出力回転軸BXに直交するアンビル軸部113の断面係数よりも小さい。アンビル軸部113において、折損起点部134は、曲げモーメントに対する強度が最も低い部分である。すなわち、アンビル軸部113において、折損起点部134は、アンビル軸部113に高い負荷が作用したときに最も折損し易い部分である。
【0117】
アンビル軸部113の外周面に第3溝部135が形成される。第3溝部135は、第1溝部121よりも後方に形成される。第3溝部135は、出力回転軸BXを囲むようにアンビル軸部113の外周面に形成される。
【0118】
第3溝部135の深さは、第1溝部121の深さよりも深い。第3溝部135の深さとは、径方向における第3溝部135の寸法をいう。第3溝部135におけるアンビル軸部113の直径Dbは、第1溝部121におけるアンビル軸部113の直径Daよりも小さい。折損起点部134は、第3溝部135におけるアンビル軸部113を含む。軸方向において、第1溝部121と第3溝部135との間には、直径Da及び直径Dbよりも大きい直径のアンビル軸部113の大径部136が設けられる。大径部136の前部に第1後側面127が配置される。
【0119】
図13は、実施形態に係るアンビル軸部113の一部が破断した状態を示す断面図である。例えば締結作業においてアンビル軸部113に高い負荷が作用した場合、アンビル軸部113の少なくとも一部が折損する可能性がある。実施形態においては、アンビル軸部113に折損起点部134が設けられる。そのため、アンビル軸部113に高い負荷が作用した場合、図13に示すように、アンビル軸部113は、折損起点部134において折損する。
【0120】
アンビル軸部113が折損起点部134において折損した場合、折損起点部134よりも前方のアンビル軸部113がハンマケース6に対して前方に移動する可能性がある。アンビル軸部113が前方に移動した場合、第1溝部121の第1後側面127が抑制部材123に引っ掛かる。
【0121】
アンビル軸受115の前端部は、ハンマケース6の軸受支持面132に接触する。アンビル軸部113が折損しても、アンビル軸受115は、ハンマケース6に対して前方に移動しない。抑制部材123は、第2溝部122の第2前側面129に支持される。アンビル軸受115の第2前側面129に支持される抑制部材123も、ハンマケース6に対して前方に移動しない。図13に示すように、折損起点部134においてアンビル軸部113が折損した状態において、抑制部材123は、第1後側面127と第2前側面129とのそれぞれに接触する。アンビル軸部113は、ハンマケース6に対して前方に移動しない抑制部材123に引っ掛かる。そのため、アンビル軸部113が折損起点部134において折損した場合において、アンビル軸部113がハンマケース6から前方に抜けることが抑制される。すなわち、アンビル軸部113が折損した場合、折損起点部134よりも前方のアンビル軸部113がインパクト工具1から脱落することが抑制される。
【0122】
[防振機構]
図14は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す断面図であり、図9のC-C線断面矢視図に相当する。図15は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す断面図であり、図14のD-D線断面矢視図に相当する。図16は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す断面図であり、図14のE’-E’線断面を上方(E方向)から見た図に相当する。図17は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す分解斜視図である。図18は、実施形態に係るインパクト工具1の一部を示す分解斜視図である。
【0123】
図14図15図16図17、及び図18に示すように、インパクト工具1は、防振機構137を有する。防振機構137は、ハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達することを抑制する。締結作業におけるアンビル16の回転、打撃機構15によるアンビル16の打撃、及びアンビル16が作業対象から受ける負荷の少なくとも一つに起因して、ハンマケース6に振動が発生する可能性がある。ハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達され、グリップハウジング3が振られると、締結作業の作業性が低下したり、グリップハウジング3を握る作業者に不快感を与えたりする可能性がある。ハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達することが防振機構137により抑制されることにより、締結作業の作業性が低下したり、グリップハウジング3を握る作業者に不快感を与えたりすることが抑制される。また、実施形態において、コントローラ11は、グリップハウジング3のコントローラ収容部28に収容される。コントローラ11が振動すると、コントローラ11の作動不良が発生する可能性がある。ハンマケース6の振動がグリップハウジング3に伝達することが防振機構137により抑制されることにより、コントローラ11が振動することが抑制される。
【0124】
防振機構137は、本体ハウジング2とグリップハウジング3との間に配置される防振部材138及び防振部材139を備える。防振部材138及び防振部材139のそれぞれは、ハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達することを抑制する。
【0125】
上述のように、本体ハウジング2は、本体部20と、本体部20から後方に突出する突出部21とを有する。グリップハウジング3は、突出部21に連結される連結部30を有する。防振部材138及び防振部材139のそれぞれは、突出部21と連結部30との間に配置される。
【0126】
なお、図14及び図15に示すように、突出部21において、左本体ハウジング2Lと右本体ハウジング2Rとは、ねじ190により固定される。
【0127】
防振部材138は、出力回転軸BXに平行な軸方向のハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達することを抑制する第1防振部材である。防振部材138は、ゴムを含む。実施形態において、防振部材138は、クッションラバーである。
【0128】
防振部材139は、出力回転軸BXを中心とする回転方向のハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達することを抑制する第2防振部材である。防振部材139は、スプリングを含む。実施形態において、防振部材139は、コンプレッションスプリングである。
【0129】
図17及び図18に示すように、突出部21の外形は、実質的に円柱状である。突出部21は、出力回転軸BXに平行な仮想軸CXを囲むように配置される外周面140と、外周面140の少なくとも一部に形成される溝部141とを有する。開口40Aは、突出部21に設けられる。
【0130】
図14図16図17、及び図18に示すように、溝部141は、外周面140に複数設けられる。実施形態において、溝部141は、外周面140に4つ設けられる。以下の説明において、仮想軸CXに対して左上に設けられる溝部141を適宜、溝部141A、と称し、仮想軸CXに対して左下に設けられる溝部141を適宜、溝部141B、と称し、仮想軸CXに対して右上に設けられる溝部141を適宜、溝部141C、と称し、仮想軸CXに対して右下に設けられる溝部141を適宜、溝部141D、と称する。
【0131】
溝部141(141A,141B,141C,141D)は、仮想軸CXを中心とする周方向に延びるように形成される。仮想軸CXと直交する面内において、溝部141は、円弧状に形成される。
【0132】
また、図14図15図17、及び図18に示すように、突出部21は、外周面140において溝部141の隣に形成される凹部142を有する。凹部142は、外周面140に複数設けられる。実施形態において、凹部142は、外周面140に2つ設けられる。以下の説明において、仮想軸CXに対して左方に設けられる凹部142を適宜、凹部142A、と称し、仮想軸CXに対して右方に設けられる凹部142を適宜、凹部142B、と称する。
【0133】
凹部142は、複数の溝部141のうち、相互に隣り合う第1の溝部141と第2の溝部141との間に形成される。実施形態において、凹部142Aは、溝部141Aと、溝部141Aの隣に配置された溝部141Bとの間に設けられる。溝部141Bは、溝部141Aの下方に設けられる。凹部142Bは、溝部141Cと、溝部141Cの隣に配置された溝部141Dとの間に設けられる。溝部141Dは、溝部141Cの下方に設けられる。
【0134】
凹部142(142A,142B)は、上下方向に延びるように形成される。
【0135】
凹部142Aの内側の空間と溝部141Aの内側の空間及び溝部141Bの内側の空間のそれぞれとは、繋がる。凹部142Bの内側の空間と溝部141Cの内側の空間及び溝部141Dの内側の空間のそれぞれとは、繋がる。
【0136】
図14及び図18に示すように、溝部141Aの上端部と溝部141Cの上端部との間に区画壁151が設けられる。溝部141Bの下端部と溝部141Dの下端部との間に区画壁152が設けられる。
【0137】
溝部141Cの下端部と凹部142Bの上端部との間に区画壁155が設けられる。溝部141Cの内側の空間と凹部142Bの内側の空間とは、区画壁155に設けられた切欠部165を介して繋がる。溝部141Dの上端部と凹部142Bの下端部との間に区画壁156が設けられる。溝部141Dの内側の空間と凹部142Bの内側の空間とは、区画壁156に設けられた切欠部166を介して繋がる。同様に、溝部141Aの下端部と凹部142Aの上端部との間に区画壁153が設けられる。溝部141Aの内側の空間と凹部142Aの内側の空間とは、区画壁153に設けられた切欠部163を介して繋がる。溝部141Bの上端部と凹部142Aの下端部との間に区画壁154が設けられる。溝部141Bの内側の空間と凹部142Aの内側の空間とは、区画壁154に設けられた切欠部164を介して繋がる。
【0138】
図14及び図17に示すように、グリップハウジング3の連結部30の内面に凸部143が設けられる。
【0139】
グリップハウジング3の連結部30に設けられた凸部143は、本体ハウジング2の突出部21に設けられた溝部141に配置される。凸部143は、複数の溝部141のそれぞれに配置されるように複数設けられる。実施形態において、凸部143は、連結部30の内面に4つ設けられる。以下の説明において、溝部141Aに配置される凸部143を適宜、凸部143A、と称し、溝部141Bに配置される凸部143を適宜、凸部143B、と称し、溝部141Cに配置される凸部143を適宜、凸部143C、と称し、溝部141Dに配置される凸部143を適宜、凸部143D、と称する。
【0140】
凸部143(143A,143B,143C,143D)は、仮想軸CXを中心とする周方向に延びるように形成される。仮想軸CXと直交する面内において、凸部143は、円弧状に形成される。
【0141】
図14図16図17、及び図18に示すように、防振部材138は、溝部141に配置される。防振部材138は、複数の溝部141のそれぞれに配置される。実施形態において、防振部材138は、4つ設けられる。以下の説明において、溝部141Aに配置される防振部材138を適宜、防振部材138A、と称し、溝部141Bに配置される防振部材138を適宜、防振部材138B、と称し、溝部141Cに配置される防振部材138を適宜、防振部材138C、と称し、溝部141Dに配置される防振部材138を適宜、防振部材138D、と称する。
【0142】
防振部材138(138A,138B,138C,138D)は、仮想軸CXを中心とする周方向に延びる。仮想軸CXと直交する面内において、防振部材138は、円弧状である。
【0143】
図14図15図17、及び図18に示すように、防振部材139は、凹部142に配置される。防振部材139は、複数の凹部142にのそれぞれに配置される。実施形態において、防振部材139は、2つ設けられる。以下の説明において、凹部142Aに配置される防振部材139を適宜、防振部材139A、と称し、凹部142Bに配置される防振部材139を適宜、防振部材139B、と称する。
【0144】
防振部材139(139A,139B)は、上下方向に延びる。防振部材139は、上端部と下端部とを有する。
【0145】
防振部材139は、回転方向(上下方向)に伸縮するように凹部142に配置される。防振部材139は、少なくとも回転方向に弾性変形する。
【0146】
溝部141の内面は、第1支持面144と、第2支持面145と、周面146とを含む。第1支持面144は、後方を向く。第2支持面145は、第1支持面144よりも後方に配置される。第2支持面145は、前方を向く。周面146は、第1支持面144の径方向内側の端部及び第2支持面145の径方向内側の端部のそれぞれに接続される。周面146は、径方向外側を向く。
【0147】
防振部材138は、第1支持面144に支持される第1防振部147と、第2支持面145に支持される第2防振部148と、周面146に支持される第3防振部149とを含む。第1防振部147は、少なくとも軸方向(前後方向)に弾性変形する。第2防振部148は、少なくとも軸方向(前後方向)に弾性変形する。第1防振部147は、第1支持面144に接触する。第2防振部148は、第2支持面145に接触する。第3防振部149は、周面146に接触する。
【0148】
第1防振部147と第2防振部148とは、前後方向に配置される。第2防振部148は、第1防振部147よりも後方に配置される。第1防振部147と第2防振部148とは、間隙を介して対向する。
【0149】
グリップハウジング3の凸部143は、第1防振部147と第2防振部148との間に配置される。凸部143Aは、防振部材138Aの第1防振部147と第2防振部148との間に配置される。凸部143Bは、防振部材138Bの第1防振部147と第2防振部148との間に配置される。凸部143Cは、防振部材138Cの第1防振部147と第2防振部148との間に配置される。凸部143Dは、防振部材138Dの第1防振部147と第2防振部148との間に配置される。
【0150】
凸部143の前面は、第1防振部147に接触する。凸部143の後面は、第2防振部148に接触する。凸部143の径方向内側の内面は、第3防振部149に接触する。
【0151】
また、凸部143の少なくとも一部は、凹部142に配置された防振部材139の端部に接触する。凸部143の回転方向の端部が、凹部142に配置された防振部材139の端部に接触する。
【0152】
溝部141Aに配置された凸部143Aの下端部は、溝部141Aの下端部の区画壁153に形成された切欠部163を介して、凹部142Aに配置された防振部材139Aの一方の端部である上端部に接触する。防振部材139Aの上端部は、切欠部163の内側に入り込んだ状態で、凸部143Aの下端部に接触する。溝部141Aに配置された凸部143Aの上端部は、溝部141Aの上端部の区画壁151から離れている。本体ハウジング2に対してグリップハウジング3が回転したときに、凸部143Aの上端部と区画壁151とが接触する。
【0153】
溝部141Bに配置された凸部143Bの上端部は、溝部141Bの上端部の区画壁154に形成された切欠部164を介して、凹部142Aに配置された防振部材139Aの他方の端部である下端部に接触する。防振部材139Aの下端部は、切欠部164の内側に入り込んだ状態で、凸部143Bの上端部に接触する。溝部141Bに配置された凸部143Bの下端部は、溝部141Bの下端部の区画壁152から離れている。本体ハウジング2に対してグリップハウジング3が回転したときに、凸部143Bの下端部と区画壁152とが接触する。
【0154】
防振部材139Aは、凸部143Aの下端部と凸部143Bの上端部との間に挟まれる。
【0155】
溝部141Cに配置された凸部143Cの下端部は、溝部141Cの下端部の区画壁155に形成された切欠部165を介して、凹部142Bに配置された防振部材139Bの一方の端部である上端部に接触する。防振部材139Bの上端部は、切欠部165の内側に入り込んだ状態で、凸部143Cの下端部に接触する。溝部141Cに配置された凸部143Cの上端部は、溝部141Cの上端部の区画壁151から離れている。本体ハウジング2に対してグリップハウジング3が回転したときに、凸部143Cの上端部と区画壁151とが接触する。
【0156】
溝部141Dに配置された凸部143Dの上端部は、溝部141Dの上端部の区画壁156に形成された切欠部166を介して、凹部142Bに配置された防振部材139Bの他方の端部である下端部に接触する。防振部材139Bの下端部は、切欠部166の内側に入り込んだ状態で、凸部143Dの上端部に接触する。溝部141Dに配置された凸部143Dの下端部は、溝部141Dの下端部の区画壁152から離れている。本体ハウジング2に対してグリップハウジング3が回転したときに、凸部143Dの下端部と区画壁152とが接触する。
【0157】
防振部材139Bは、凸部143Cの下端部と凸部143Dの上端部との間に挟まれる。
【0158】
出力回転軸BXに平行な軸方向にハンマケース6が振動した場合、ハンマケース6から本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達される振動は、凸部143の前面に接触する第1防振部147及び凸部143の後面に接触する第2防振部148の弾性変形により減衰される。すなわち、防振部材138の軸方向の弾性変形により、出力回転軸BXに平行な軸方向のハンマケース6の振動がグリップハウジング3に伝達することが抑制される。
【0159】
出力回転軸BXを中心とする回転方向にハンマケース6が振動した場合、ハンマケース6から本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達される振動は、凸部143の回転方向の端部に接触する防振部材139の弾性変形により減衰される。すなわち、防振部材139の回転方向の弾性変形により、出力回転軸BXを中心とする回転方向のハンマケース6の振動がグリップハウジング3に伝達することが抑制される。
【0160】
[インパクト工具の動作]
次に、インパクト工具1の動作について説明する。例えば、作業対象の締結作業を実施するとき、締結作業に使用されるソケットが、アンビル16の前端部に装着される。ソケットがアンビル16に装着された後、作業者は、サイドハンドル7を左手で握り、グリップ部27を右手で握って、トリガレバー116が後方に移動するようにトリガレバー116を右手の人差し指及び中指で操作する。トリガレバー116が後方に移動するように操作されると、バッテリパック63からモータ10に電力が供給され、モータ10が駆動し、ライトアセンブリ18が点灯する。モータ10の駆動により、ロータ69及びロータシャフト70が回転する。ロータシャフト70が回転すると、ロータシャフト70の回転力が第1ベベルギヤ80、第2ベベルギヤ86、及びサンギヤ88を介してプラネタリギヤ89に伝達される。プラネタリギヤ89は、インターナルギヤ90の内歯に噛み合った状態で、自転しながらサンギヤ88の周囲を公転する。プラネタリギヤ89は、ピン93を介してスピンドル14に回転可能に支持される。プラネタリギヤ89の公転により、スピンドル14は、ロータシャフト70の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0161】
ハンマ突起部106とアンビル突起部114とが接触している状態で、スピンドル14が回転すると、アンビル16は、ハンマ98及びスピンドル14と一緒に回転する。アンビル16が回転することにより、締結作業が進行する。
【0162】
締結作業の進行により、アンビル16に所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル16及びハンマ98の回転が停止する。ハンマ98の回転が停止している状態で、スピンドル14が回転すると、ハンマ98は、後方に移動する。ハンマ98が後方に移動することにより、ハンマ突起部106とアンビル突起部114との接触が解除される。後方に移動したハンマ98は、第1コイルばね100及び第2コイルばね101の弾性力により、回転しながら前方に移動する。ハンマ98が回転しながら前方に移動することにより、アンビル16は、ハンマ98により回転方向に打撃される。これにより、アンビル16は、高いトルクで出力回転軸BXを中心に回転する。そのため、ボルト又はナットは高いトルクで締め付けられる。
【0163】
締結作業においてアンビル軸部113に高い負荷が作用した場合、アンビル軸部113の少なくとも一部が折損する可能性がある。実施形態においては、アンビル軸部113に折損起点部134が設けられる。そのため、アンビル軸部113に高い負荷が作用した場合、図13を参照して説明したように、アンビル軸部113は、折損起点部134において折損する。アンビル軸部113が折損起点部134において折損して、折損起点部134よりも前方のアンビル軸部113がハンマケース6に対して前方に移動した場合、第1溝部121の第1後側面127が抑制部材123に引っ掛かる。そのため、折損起点部134よりも前方のアンビル軸部113がインパクト工具1から脱落することが抑制される。
【0164】
締結作業において発生したハンマケース6の振動は、防振機構137により減衰される。これにより、ハンマケース6の振動が本体ハウジング2を介してグリップハウジング3に伝達することが抑制される。したがって、締結作業の作業性が低下したり、グリップハウジング3を握る作業者に不快感を与えたりすることが抑制される。グリップハウジング3のコントローラ収容部28に収容されるコントローラ11の振動が抑制される。したがって、コントローラ11の作動不良の発生が抑制される。
【0165】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、インパクト工具1は、モータ10と、モータ10により駆動される打撃機構15と、打撃機構15により回転方向に打撃されるアンビル16と、打撃機構15を収容するハンマケース6と、アンビル軸受115とを備える。打撃機構15は、前後方向に延びる出力回転軸BXを中心に回転可能である。アンビル16は、打撃機構15よりも前方に配置されるアンビル軸部113と、アンビル軸部113の後端部から径方向外側に突出するアンビル突起部114と、を有する。アンビル突起部114は、打撃機構15により出力回転軸BXを中心とする回転方向に打撃される。アンビル軸受115は、ハンマケース6に保持されアンビル軸部113の周囲に配置される。出力回転軸BXを囲むようにアンビル軸部113の外周面に第1溝部121が形成される。出力回転軸BXを囲むようにアンビル軸受115の内周面に第2溝部122が形成される。インパクト工具1は、第1溝部121に配置される第1部分124と第2溝部122に配置される第2部分125とを含む抑制部材123を備える。
【0166】
上記の構成では、第1溝部121に配置される第1部分124と第2溝部122に配置される第2部分125とを含む抑制部材123が設けられるので、アンビル軸部113の少なくとも一部が折損した場合、アンビル軸部113は、第2溝部122に支持された抑制部材123に引っ掛かる。そのため、アンビル軸部113がハンマケース6から前方に抜けることが抑制される。したがって、インパクト工具1からのアンビル16の脱落が抑制される。
【0167】
実施形態において、抑制部材123は、出力回転軸BXを囲むリング状である。
【0168】
上記の構成では、アンビル軸部113の少なくとも一部が折損した場合、アンビル軸部113は、第2溝部122に支持された抑制部材123に十分に引っ掛かることができる。
【0169】
実施形態において、抑制部材123は、第1溝部121の内面及び第2溝部122の内面のそれぞれに接触するOリングである。
【0170】
上記の構成では、Oリングにより第1溝部121の内面と第2溝部122の内面との境界がシールされる。そのため、例えば打撃機構15に供給されたグリスが第1溝部121の内面と第2溝部122の内面との境界から漏出することが抑制される。
【0171】
実施形態において、アンビル軸部113は、第1溝部121におけるアンビル軸部113の断面係数よりも小さい断面係数の折損起点部134を有する。折損起点部134は、第1溝部121よりも後方に配置される。
【0172】
上記の構成では、アンビル軸部113に高い負荷が作用した場合、折損起点部134においてアンビル軸部113が折損する。第1溝部121よりも後方においてアンビル軸部113が折損するので、アンビル軸部113の第1溝部121は、第2溝部122に支持された抑制部材123に引っ掛かることができる。
【0173】
実施形態において、インパクト工具1は、第1溝部121よりも後方において出力回転軸BXを囲むようにアンビル軸部113の外周面に形成される第3溝部135を備える。第3溝部135におけるアンビル軸部113の直径Dbは、第1溝部121におけるアンビル軸部113の直径Daよりも小さい。折損起点部134は、第3溝部135におけるアンビル軸部113を含む。
【0174】
上記の構成では、第3溝部135が形成されることにより、折損起点部134が簡単に形成される。
【0175】
実施形態において、第1溝部121の内面は、後方を向く第1前側面126と、第1前側面126よりも後方に配置され前方を向く第1後側面127と、第1前側面126の径方向内側の端部及び第1後側面127の径方向内側の端部のそれぞれに接続され径方向外側を向く第1周面128と、を含む。第2溝部122の内面は、後方を向く第2前側面129と、第2前側面129の径方向外側の端部に接続され径方向内側を向く第2周面131と、を含む。
【0176】
上記の構成では、第1溝部121及び第2溝部122のそれぞれが適正に形成されるので、折損起点部134においてアンビル軸部113が折損した場合、アンビル軸部113の第1溝部121は、第2溝部122に支持された抑制部材123に引っ掛かることができる。
【0177】
実施形態において、折損起点部134においてアンビル軸部113が折損した状態において、抑制部材123は、第1後側面127と第2前側面129とのそれぞれに接触する。
【0178】
上記の構成では、折損起点部134においてアンビル軸部113が折損した場合、第2溝部122の第2前側面129に支持された抑制部材123に第1溝部121の第1後側面127が引っ掛かるので、アンビル軸部113がハンマケース6から前方に抜けることが抑制される。
【0179】
実施形態において、ハンマケース6は、アンビル軸受115の前端部に接触する軸受支持面132を有する。
【0180】
上記の構成では、アンビル軸受115の前端部がハンマケース6の軸受支持面132に接触するので、アンビル軸受115がハンマケース6から前方に抜けることが抑制される。アンビル軸部113が折損しても、アンビル軸受115はハンマケース6から前方に抜けないので、アンビル軸受115の第2溝部122に支持される抑制部材123もハンマケース6から前方に抜けない。したがって、アンビル軸部113の少なくとも一部が折損した場合、アンビル軸部113が第2溝部122に支持された抑制部材123に引っ掛かることにより、アンビル軸部113がハンマケース6から前方に抜けることが抑制される。
【0181】
実施形態において、アンビル軸受115は、滑り軸受である。
【0182】
上記の構成では、第2溝部122は、滑り軸受であるアンビル軸受115の内周面に適正に形成される。
【0183】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、抑制部材123は、ゴム製のOリングであることとした。抑制部材123は、Oリングでなくてもよく、合成樹脂製又は金属製のリング状の部材でもよい。また、抑制部材123は、リング状でなくてもよく、例えばスナップリングでもよい。
【0184】
上述の実施形態において、出力回転軸BXに直交する面内において、第1溝部121におけるアンビル軸部113の外形は、円形状であり、第3溝部135におけるアンビル軸部113の外形は、円形状であることとした。また、第3溝部135におけるアンビル軸部113の直径Dbは、第1溝部121におけるアンビル軸部113の直径Daよりも小さいこととした。折損起点部134におけるアンビル軸部113の外形は、円形状でなくてもよい。折損起点部134の断面係数が第1溝部121におけるアンビル軸部113の断面係数よりも小さければよい。
【0185】
上述の実施形態において、アンビル軸受115は、滑り軸受であることとした。また、第2溝部122は、滑り軸受の内周面に形成されることとした。例えば、アンビル軸受115が、前後方向に間隔をあけて配置される2つのボール軸受により構成されてもよい。2つのボール軸受の間隙が第2溝部122として機能してもよい。
【0186】
上述の実施形態において、防振部材138は、ゴムであることとした。防振部材138は、スプリングを含んでもよい。上述の実施形態において、防振部材139は、スプリングであることとした。防振部材139は、ゴムを含んでもよい。
【0187】
上述の実施形態において、本体ハウジング2に設けられた溝部141に防振部材138が配置され、本体ハウジング2に設けられた凹部142に防振部材139が配置されることとした。また、グリップハウジング3に設けられた凸部143が、本体ハウジング2に支持された防振部材138及び防振部材139のそれぞれに接触することとした。防振部材138及び防振部材139のそれぞれがグリップハウジング3に支持され、本体ハウジング2に設けられた凸部が、グリップハウジング3に支持された防振部材138及び防振部材139のそれぞれに接触してもよい。
【0188】
上述の実施形態において、防振機構137は、出力回転軸BXに平行な軸方向のハンマケース6の振動がグリップハウジング3に伝達することを抑制する防振部材138と、出力回転軸BXを中心とする回転方向のハンマケース6の振動がグリップハウジング3に伝達することを抑制する防振部材139とを含むこととした。防振機構137は、防振部材138を有し、防振部材139を有しなくてもよい。防振機構137は、防振部材139を有し、防振部材138を有しなくてもよい。
【0189】
上述の実施形態において、インパクト工具1は、インパクトレンチであることとした。インパクト工具は、インパクトドライバでもよい。インパクトドライバのアンビルは、先端工具が挿入される挿入孔と、先端工具を保持するチャック機構とを有する。
【0190】
上述の実施形態においては、インパクト工具1の電源としてバッテリ装着部9に装着されるバッテリパック63が使用されることとした。インパクト工具1の電源として、商用電源(交流電源)が使用されてもよい。
【0191】
上述の実施形態においては、モータ10がインナロータ型のブラシレスモータであることとした。モータ10は、アウタロータ型でもよいし、ブラシ付きモータでもよい。
【符号の説明】
【0192】
1…インパクト工具、2…本体ハウジング、2L…左本体ハウジング、2R…右本体ハウジング、3…グリップハウジング、3L…左グリップハウジング、3R…右グリップハウジング、4…モータハウジング、5…ギヤケース、6…ハンマケース、7…サイドハンドル、8…バンパ、9…バッテリ装着部、10…モータ、11…コントローラ、12…ファン、13…減速機構、14…スピンドル、15…打撃機構、16…アンビル、17…トリガスイッチ、18…ライトアセンブリ、19…ねじ、20…本体部、21…突出部、22…ギヤケース収容部、23…モータハウジング接続部、24…筒部、25…後壁部、26…ねじ、27…グリップ部、28…コントローラ収容部、29…バッテリコネクト部、30…連結部、31…後グリップ部、32…上グリップ部、33…前グリップ部、34…筒部、35…下壁部、36…開口、37…開口、38…開口、39…開口、40A…開口、40B…開口、41…開口、42…開口、43…開口、44…ベアリングカバー、45…ねじ、46…第1筒部、47…第2筒部、48…開口、49…開口、50…ねじ、51…ねじボス、52…ねじボス、53…ねじ、54…ねじボス、55…ハンドル部、56…ベース部、57…第1ベース部、58…第2ベース部、59…ヒンジ、60…締付機構、61…ねじ、62…ダイヤル部、63…バッテリパック、64…ターミナル、65…ターミナルホルダ、66…ばね、67…緩衝部材、68…ステータ、69…ロータ、70…ロータシャフト、71…ステータコア、72…インシュレータ、73…コイル、74…バスバーユニット、75…ロータコア、76…ロータ磁石、77…センサ基板、78…ロータ軸受、79…ロータ軸受、80…第1ベベルギヤ、81…コントローラケース、82…吸気口、83…排気口、84…吸気口、85…バッフルプレート、86…第2ベベルギヤ、87…遊星歯車機構、88…サンギヤ、89…プラネタリギヤ、90…インターナルギヤ、91…ギヤ軸受、92…ギヤ軸受、93…ピン、94…フランジ部、95…スピンドル軸部、96…突出部、97…スピンドル軸受、98…ハンマ、99…ボール、100…第1コイルばね、101…第2コイルばね、102…第3コイルばね、103…第1ワッシャ、104…第2ワッシャ、105…ハンマボディ、106…ハンマ突起部、107…凹部、108…孔、109…ボール、110…スピンドル溝、111…ハンマ溝、112…アンビル凹部、113…アンビル軸部、114…アンビル突起部、115…アンビル軸受、116…トリガレバー、117…スイッチ本体、118…回路基板、119…発光素子、120…ライトカバー、121…第1溝部、122…第2溝部、123…抑制部材、124…第1部分、125…第2部分、126…第1前側面、127…第1後側面、128…第1周面、129…第2前側面、130…第2後側面、131…第2周面、132…軸受支持面、133…シール部材、134…折損起点部、135…第3溝部、136…大径部、137…防振機構、138…防振部材(第1防振部材)、138A…防振部材、138B…防振部材、138C…防振部材、138D…防振部材、139…防振部材(第2防振部材)、139A…防振部材、139B…防振部材、140…外周面、141…溝部、141A…溝部、141B…溝部、141C…溝部、141D…溝部、142…凹部、142A…凹部、142B…凹部、143…凸部、143A…凸部、143B…凸部、143C…凸部、143D…凸部、144…第1支持面、145…第2支持面、146…周面、147…第1防振部、148…第2防振部、149…第3防振部、151…区画壁、152…区画壁、153…区画壁、154…区画壁、155…区画壁、156…区画壁、163…切欠部、164…切欠部、165…切欠部、166…切欠部、181…リングスプリング、190…ねじ、460…カバー、BX…出力回転軸、CX…仮想軸、MX…モータ回転軸、Da…直径、Db…直径。
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