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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】接着用治具および接着方法
(51)【国際特許分類】
   B60G 21/055 20060101AFI20250710BHJP
【FI】
B60G21/055
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022002607
(22)【出願日】2022-01-11
(65)【公開番号】P2023102183
(43)【公開日】2023-07-24
【審査請求日】2024-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】藤原 佑貴
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-143376(JP,A)
【文献】特開2020-83128(JP,A)
【文献】特開2006-170292(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1941858(KR,B1)
【文献】米国特許第5843264(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
C09J 1/00- 5/10 9/00-201/10
F16F 1/38,15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接着部材に緩和部材を構成する第1および第2部材を圧着させて接着するための接着用治具であって、
前記第1部材を保持する第1接着部材と、
前記第2部材を保持し、前記第1接着部材に被せることによって、前記第1および第2部材を前記被接着部材に圧着させる第2接着部材と、
前記第1接着部材が前記第1部材を保持する空間において、前記第1部材の前記第2部材との圧着面に連なる一部の側面と前記第1接着部材との間に隙間を形成する第1状態と、前記隙間を充填して前記第1部材の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構と、
を備えることを特徴とする接着用治具。
【請求項2】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に付勢するばねを有し、
前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記第1接着部材に前記第2接着部材を被せたときに加わる荷重に応じて前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項3】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
前記第1接着部材に形成される穴部と、
前記第2接着部材に設けられ、前記第1接着部材に前記第2接着部材を被せたときに前記穴部に挿入されるピンと、
を有し、
前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記ピンが前記穴部に挿入することによって前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項4】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
前記底面部に固定される支点部と、
前記第2接着部材の前記第1接着部材への距離に応じて加わる荷重によって移動する力点部と、
前記力点部の移動に連動して移動し、該移動によって前記第1または第2壁部を移動させる作用部と、
を有し、
前記切替機構は、前記第1および第2壁部に対してそれぞれ設けられ、
前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項5】
前記切替機構は、
前記支点部と前記力点部とが連結するとともに、前記力点部と前記作用部とが連結している、
ことを特徴とする請求項4に記載の接着用治具。
【請求項6】
前記切替機構は、
前記支点部と前記作用部とが連結部材によって連結し、
前記力点部の移動によって前記連結部材に荷重が加わって前記作用部が移動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の接着用治具。
【請求項7】
前記第1接着部材には、前記第1部材を収容する穴形状をなす収容部が設けられ、
前記切替機構は、第1および第2爪部を有し、
前記第2状態において、前記第1および第2爪部が、前記収容部と前記第1部材との間の隙間に位置して該隙間を充填する、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項8】
前記第1接着部材には、前記第1部材を収容する穴形状をなす収容部が設けられ、
前記切替機構は、前記収容部に対して挿抜自在に設けられ、前記収容部と前記第1部材との間の隙間に位置する第1および第2プレートである、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項9】
前記第1接着部材は、
底面部と、
板状部材を屈曲させてなり、屈曲部の一方を互いに向かい合わせて前記底面部に載置され、前記第1部材を保持可能な第1および第2保持部と、
を有し、
前記切替機構は、前記第1および第2保持部の屈曲位置にそれぞれ設けられ、該第1および第2保持部を回転自在に保持する軸であり、
前記第1状態では前記第1および第2保持部において前記底面部からそれぞれ立ち上がる壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記第1接着部材に前記第1部材を載置したときに加わる荷重に応じて各壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項10】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部に対してそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
前記底面部から下方に傾斜して延び、前記第1壁部を移動可能に支持する第1傾斜部と、
前記底面部の前記第1傾斜部とは反対側から下方に傾斜して延び、前記第2壁部を移動可能に支持する第2傾斜部と、
を有し、
前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項11】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部からそれぞれ立設され、磁性体からなる第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
磁力を発生する第1および第2磁性部、
を有し、
前記第1状態では、前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記第1および第2磁性部が発する磁力によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項12】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部に対してそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
回転自在な棒状をなし、回転によって前記第1壁部を長手軸方向に移動させる第1ねじ部と、
回転自在な棒状をなし、回転によって前記第2壁部を長手軸方向に移動させる第2ねじ部と、
を有し、
前記第1状態では、第1および第2ねじ部の回転によって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、第1および第2ねじ部の回転によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項13】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
前記第1および第2壁部をそれぞれ支持する第1および第2支持部を互いに近付く方向、または、互いに遠ざかる方向に移動させるリンク機構、
を有し、
前記第1状態では、前記リンク機構による前記第1および第2支持部の移動によって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記リンク機構による前記第1および第2支持部の移動によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項14】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、
前記第1および第2壁部にそれぞれ形成され、前記底面部に対向する壁面をなす切替面であって、前記第1部材と対向する壁面とのなす角度が鋭角をなす切替面、
を有し、
前記第1状態では、前記切替面が前記底面部と接触することによって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記切替面が前記底面部から離間することによって前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項15】
前記第1接着部材は、
前記第1部材が載置される底面部と、
前記底面部に対してそれぞれ立設される第1および第2壁部と、
を有し、
前記切替機構は、エアの吹き付け、または、エアの吸引によって前記第1および第2壁部を移動させ、
前記第1状態では、前記エアの吹き付けによって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、
前記第2状態では、前記エアの吸引によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の接着用治具。
【請求項16】
被接着部材に緩和部材を構成する第1および第2部材を第1接着部材および第2接着部材に取り付け、前記第1接着部材に前記第2接着部材を被せることによって前記第1および第2部材を圧着させて接着する接着方法であって、
前記第1部材の前記第2部材との圧着面に連なる一部の側面と前記第1接着部材との間に隙間が形成される第1状態において前記第1接着部材に前記第1部材を取り付け、
前記第1および第2部材の間に被接着部材を配置して、前記第2部材を取り付けた前記第2接着部材を前記第1接着部材に被せることによって前記第1および第2部材を接触させ、かつ前記隙間が充填されて前記第1部材の位置が規制される第2状態とし、
前記第1および第2部材と前記被接着部材とを加熱圧着することによって、前記被接着部材に前記第1および第2部材を接着する、
ことを特徴とする接着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着用治具および接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に用いられるスタビライザは、車両に取り付けられて、該車両の姿勢を安定させる。スタビライザの車両のボディへの接続部分には、路面などから伝わったスタビライザの振動等を緩和する緩和部材としてブシュが設けられ、ブシュを介してスタビライザと車両のボディとが連結される。ブシュは、ゴム等の弾性部材を用いて形成され、スタビライザの振動がボディに伝わるのを抑制する。一般に、スタビライザ本体に接着されるブシュは、二つの部材からなり、接着用治具に取り付けられ、該接着用治具によって加圧されてスタビライザ本体に取り付けられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-143376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接着用治具において、作業性を確保するために部材を保持する保持部に隙間(クリアランス)を設けた場合、部材をスタビライザ本体に圧着させた際、部材が変形して一部が隙間に入り込んで広がり、スタビライザ本体への面圧が低下してしまう。これに対し、部材の大きさと同等の空間を保持部として形成した場合、クリアランスがないために、接着用治具への部材の取り付け、取り外しに手間を要したり、適切に取り付けまたは取り外しができなかったりして、作業性が低下するおそれがあった。接着用治具には、接着時のスタビライザの本体部に対するブシュの各部材の面圧を確保するとともに、治具への部材の設置時や、接着後の治具の取り外し時の作業性を低下させないことが求められていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被接着部材に対して緩和部材の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる接着用治具および接着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る接着用治具は、被接着部材に緩和部材を構成する第1および第2部材を圧着させて接着するための接着用治具であって、前記第1部材を保持する第1接着部材と、前記第2部材を保持し、前記第1接着部材に被せることによって、前記第1および第2部材を前記被接着部材に圧着させる第2接着部材と、前記第1接着部材が前記第1部材を保持する空間において、前記第1部材の前記第2部材との圧着面に連なる一部の側面と前記第1接着部材との間に隙間を形成する第1状態と、前記隙間を充填して前記第1部材の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に付勢するばねを有し、前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記第1接着部材に前記第2接着部材を被せたときに加わる荷重に応じて前記第1および前記第2壁部を近付けることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、前記第1接着部材に形成される穴部と、前記第2接着部材に設けられ、前記第1接着部材に前記第2接着部材を被せたときに前記穴部に挿入されるピンと、を有し、前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記ピンが前記穴部に挿入することによって前記第1および前記第2壁部を近付けることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、前記底面部に固定される支点部と、前記第2接着部材の前記第1接着部材への距離に応じて加わる荷重によって移動する力点部と、前記力点部の移動に連動して移動し、該移動によって前記第1または第2壁部を移動させる作用部と、を有し、前記切替機構は、前記第1および第2壁部に対してそれぞれ設けられ、前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記第1および前記第2壁部を近付けることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記切替機構は、前記支点部と前記力点部とが連結するとともに、前記力点部と前記作用部とが連結していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記切替機構は、前記支点部と前記作用部とが連結部材によって連結し、前記力点部の移動によって前記連結部材に荷重が加わって前記作用部が移動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材には、前記第1部材を収容する穴形状をなす収容部が設けられ、前記切替機構は、第1および第2爪部を有し、前記第2状態において、前記第1および第2爪部が、前記収容部と前記第1部材との間の隙間に位置して該隙間を充填することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材には、前記第1部材を収容する穴形状をなす収容部が設けられ、前記切替機構は、前記収容部に対して挿抜自在に設けられ、前記収容部と前記第1部材との間の隙間に位置する第1および第2プレートであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、底面部と、板状部材を屈曲させてなり、屈曲部の一方を互いに向かい合わせて前記底面部に載置され、前記第1部材を保持可能な第1および第2保持部と、を有し、前記切替機構は、前記第1および第2保持部の屈曲位置にそれぞれ設けられ、該第1および第2保持部を回転自在に保持する軸であり、前記第1状態では前記第1および第2保持部において前記底面部からそれぞれ立ち上がる壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記第1接着部材に前記第1部材を載置したときに加わる荷重に応じて各壁部を近付けることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部に対してそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、前記底面部から下方に傾斜して延び、前記第1壁部を移動可能に支持する第1傾斜部と、前記底面部の前記第1傾斜部とは反対側から下方に傾斜して延び、前記第2壁部を移動可能に支持する第2傾斜部と、を有し、前記第1状態では前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記第1および前記第2壁部を近付ける、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部からそれぞれ立設され、磁性体からなる第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、磁力を発生する第1および第2磁性部、を有し、前記第1状態では、前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記第1および第2磁性部が発する磁力によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部に対してそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、回転自在な棒状をなし、回転によって前記第1壁部を長手軸方向に移動させる第1ねじ部と、回転自在な棒状をなし、回転によって前記第2壁部を長手軸方向に移動させる第2ねじ部と、を有し、前記第1状態では、第1および第2ねじ部の回転によって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、第1および第2ねじ部の回転によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、前記第1および第2壁部をそれぞれ支持する第1および第2支持部を互いに近付く方向、または、互いに遠ざかる方向に移動させるリンク機構、を有し、前記第1状態では、前記リンク機構による前記第1および第2支持部の移動によって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記リンク機構による前記第1および第2支持部の移動によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部からそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、前記第1および第2壁部にそれぞれ形成され、前記底面部に対向する壁面をなす切替面であって、前記第1部材と対向する壁面とのなす角度が鋭角をなす切替面、を有し、前記第1状態では、前記切替面が前記底面部と接触することによって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記切替面が前記底面部から離間することによって前記第1および前記第2壁部を近付ける、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る接着用治具は、上記発明において、前記第1接着部材は、前記第1部材が載置される底面部と、前記底面部に対してそれぞれ立設される第1および第2壁部と、を有し、前記切替機構は、エアの吹き付け、または、エアの吸引によって前記第1および第2壁部を移動させ、前記第1状態では、前記エアの吹き付けによって前記第1および第2壁部を互いに離れる方向に位置させ、前記第2状態では、前記エアの吸引によって前記第1および前記第2壁部を近付ける、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る接着方法は、被接着部材に緩和部材を構成する第1および第2部材を第1接着部材および第2接着部材に取り付け、前記第1接着部材に前記第2接着部材を被せることによって前記第1および第2部材を圧着させて接着する接着方法であって、前記第1部材の前記第2部材との圧着面に連なる一部の側面と前記第1接着部材との間に隙間が形成される第1状態において前記第1接着部材に前記第1部材を取り付け、前記第1および第2部材の間に被接着部材を配置して、前記第2部材を取り付けた前記第2接着部材を前記第1接着部材に被せることによって前記第1および第2部材を接触させ、かつ前記隙間が充填されて前記第1部材の位置が規制される第2状態とし、前記第1および第2部材と前記被接着部材とを加熱圧着することによって、前記被接着部材に前記第1および第2部材を接着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被接着部材に対して緩和部材の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施の形態1において製造されるスタビライザの一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すスタビライザにおけるブシュ部材近傍の構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態1にかかるブシュ接着処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その1)である。
図5図5は、実施の形態1における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する斜視図である。
図6図6は、実施の形態1における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その2)である。
図7図7は、実施の形態1における、ブシュの本体部への接着について説明する平面図(その1)である。
図8図8は、実施の形態1における、ブシュの本体部への接着について説明する斜視図(その1)である。
図9図9は、実施の形態1における、ブシュの本体部への接着について説明する平面図(その2)である。
図10図10は、実施の形態1における、ブシュの本体部への接着について説明する斜視図(その2)である。
図11図11は、実施の形態2における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図12図12は、実施の形態3における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その1)である。
図13図13は、実施の形態3における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その2)である。
図14図14は、実施の形態4における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その1)である。
図15図15は、実施の形態4における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その2)である。
図16図16は、実施の形態5における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図17図17は、実施の形態6における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図18図18は、実施の形態7における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その1)である。
図19図19は、実施の形態7における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図(その2)である。
図20図20は、実施の形態8における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図21図21は、図20に示す矢視A方向からみた接着用治具の構成を示す平面図である。
図22図22は、実施の形態9における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図23図23は、実施の形態10における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図24図24は、実施の形態11における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図25図25は、実施の形態12における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図26図26は、実施の形態13における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図27図27は、実施の形態14における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
図28図28は、実施の形態15における、ブシュ部材の構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1において製造されるスタビライザの一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すスタビライザにおけるブシュ部材近傍の構成を示す図である。スタビライザ1は、金属や、各種繊維(例えば炭素繊維)によって形成される。スタビライザ1は、両端が屈曲し、中央部が直線状に延びる本体部2と、本体部2に取り付けられるブシュ部材3とを有する。
【0026】
本体部2は、柱状、例えば円柱状をなして延び、両端部が屈曲してなる。本体部2は、中実であってもよいし、中空であってもよい。
【0027】
例えばスタビライザ1が自動車に設けられる場合、一方の端部が左右に配置されるサスペンションのうちの一方のサスペンションに接続し、他方の端部が他方のサスペンションに接続する。この際、各端部は、貫通孔を介してサスペンションに固定される。また、スタビライザ1は、ブシュ部材3を介して車体にも固定される。
【0028】
スタビライザ1は、母材を加工することによって作製される。例えば、柱状の母材を屈曲させた後、両端部をそれぞれ加圧して平板状とし、各端部に貫通孔を形成する。
【0029】
ブシュ部材3は、ブシュ31と、ブラケット32とを有する。
ブラケット32は、ネジ等を介して車体に取り付けられるとともに、ブシュ31を介して本体部2を支持する。
【0030】
ブシュ31は、ゴムや、弾性を有する樹脂等の弾性材料を用いて形成され、路面などから伝わったスタビライザ1の振動等を緩和する緩和部材として機能する。ブシュ31は、二つの部材(第1部材301および第2部材302)からなる。ブシュ31は、第1部材301および第2部材302によって本体部2を挟み込んで、該本体部2に接着することによって形成れる。
【0031】
続いて、上述したブシュ31を本体部2に接着する接着処理について、図3を参照して説明する。図3は、実施の形態1にかかるブシュ接着処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
まず、第1部材301および第2部材302に接着剤が塗布される(ステップS101:接着剤塗布ステップ)。ステップS101では、第1部材301および第2部材302の本体部接着面に接着剤が塗布される。第1部材301および第2部材302は、接着剤塗布後、乾燥処理が施される。その後、第1部材301および第2部材302は、接着用治具にセットされる。接着用治具については、後述する。
【0033】
接着剤塗布後、本体部2のブシュ31の接着部分の加熱処理が施される(ステップS102:加熱ステップ)。加熱処理は、例えば、IH用コイルによって、本体部2のブシュ31接着部分を含む領域が加熱される。加熱処理では、例えば数十秒程度加熱することによって本体部2を加熱する。加熱処理の温度は、ブシュ31や接着剤の種別によって適宜設定される。
なお、加熱処理前に、プラズマ処理によって本体部2に対して接着性を向上させるための表面処理を施してもよい。
【0034】
その後、第1部材301および第2部材302を接着用治具にセットし、本体部2に対してブシュの組付け処理を実施する(ステップS103:ブシュ組付け処理)。ブシュ組付け処理では、接着治具によって、第1部材301および第2部材302を本体部2に圧着させる荷重が加えられる。
なお、加熱ステップとブシュ組付けステップとは、順序が逆であってもよい。
【0035】
本体部2に接着用治具を組付け後、ブシュ31を本体部2に接着するための圧着保持処理を実施する(ステップS104:圧着保持処理)。圧着保持処理は、例えば、接着が完了する時間、組付けた状態で保持される。この際、圧力と、本体部2の熱とによって、本体部2とブシュ31とが接着する。この際の接着態様としては、例えば加硫接着が挙げられる。
【0036】
その後、接着用治具をブシュ31から取り外すことによって、本体部2にブシュ31が固着したスタビライザ1が得られる。ブシュ31には、ブラケット32が取り付けられる。
【0037】
続いて、図4図10を参照して、接着用治具について説明する。図4図6図7および図9は、実施の形態1における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。図5図8および図10は、実施の形態1における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する斜視図である。図4図6は、接着用治具のみを示す図である。また、図7図10は、接着用治具にブシュの第1および第2部材を装着した図である。
【0038】
接着用治具10は、第1接着部材11と、第2接着部材12とを備える。接着用治具10は、第1接着部材11に第2接着部材12を被せることによって、第1部材301および第2部材302を本体部2に圧着する。この際、例えば、エアシリンダを用いて、第1接着部材11および第2接着部材12を加圧する。
【0039】
第1接着部材11は、第1部材301が載置される底面部111と、底面部111の両端部から、該底面部111に対して立設される第1壁部112および第2壁部113と、底面部111に対して離れる方向に壁部をそれぞれ付勢するコイルばね114とを有する。
【0040】
第2接着部材12は、第2部材302を保持する本体部121と、本体部121の両端部から該本体部121に対して立設される第1壁部122および第2壁部123とを有する。
【0041】
ここで、第1接着部材11が第2接着部材12からの荷重を受けていない状態において、第1壁部112の外壁と第2壁部113の外壁との間の距離をd1、第1壁部122の内壁と第2壁部123の内壁との間の距離をd2、第1壁部112の内壁と第2壁部113の内壁との間の距離をd3、第1部材301の幅をd4とする(図7参照)。距離d1は距離d2よりも大きく、距離d3は幅d4よりも大きい。また、距離d1と距離d2との差(d1-d2)は、例えば、距離d3と幅d4との差(d3-d4)と同程度に設定される。差(d1-d2)と、差(d3-d4)とを同程度とすることによって、第1接着部材11に第2接着部材12を被せたときに、第1壁部112の内壁と第2壁部113の内壁との間の距離を、幅d4と同程度にして、第1壁部112および第2壁部113を第1部材301に接触または圧接させる。
【0042】
接着用治具10では、第1接着部材11に対して第2接着部材12を被せると(図4参照)、第1壁部122および第2壁部123が、第1壁部112および第2壁部113にそれぞれ当接して、該第1壁部112および第2壁部113を底面部111側に移動させる。これにより、第1壁部112と第2壁部113との間の距離(距離d3に相当)が縮まる。なお、第1壁部112、122および第2壁部113、123の当接部分は、角部を面取りしてなるテーパ形状をなしており、当接時、第2接着部材12内に第1壁部112および第2壁部113を収容しつつ、移動させることができる。また、このテーパ形状は、互いに接触する壁部の少なくとも一方に形成されていればよい。例えば、第1壁部112、122のうちの一方がテーパ形状をなしていれば、円滑に動作させることができる。
【0043】
第1部材301を第1接着部材11に取り付け、第2部材302を第2接着部材12に取り付けた状態(図7および図8参照)で、第1部材301および第2部材302の間に本体部2を配置し、第2接着部材12を第1接着部材11に被せると、本体部2と、第1部材301および第2部材302とが接触しつつ、第1壁部112および第2壁部113によって第1部材301が挟まれて保持される(図9および図10参照)。この際、第1部材301および第2部材302が接触した直後に、第1壁部112および第2壁部113によって第1部材301が挟まれるが、第1部材301および第2部材302の接触と、第1壁部112および第2壁部113による第1部材301の挟み込みとは、順序が逆であってもよいし、同時であってもよい。
【0044】
この際、第1壁部112および第2壁部113が第1部材301を挟んで保持することによって、第1部材301を位置決めすることができる。さらに、第1壁部112および第2壁部113の移動は、第2接着部材12の接触によるものであるため、第1壁部112および第2壁部113の位置と、第2接着部材12の位置との相対的な位置関係を固定させることができる。これにより、第1接着部材11が保持する第1部材301の位置と、第2接着部材12が保持する第2部材302の位置との相対的なずれを抑制しつつ、本体部2に圧着させることができる。
【0045】
また、ブシュ31を本体部2に接着後、第2接着部材12を第1接着部材11から取り外すと、第1壁部112および第2壁部113が、コイルばね114の付勢力によって互いに離れる方向に移動し、第1壁部112および第2壁部113と、第1部材301との間に隙間が生じる。この隙間の発生によって、第1部材301を第1接着部材11から容易に取り外すことができる。
【0046】
コイルばね114は、第1接着部材11が第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11との間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。実施の形態1では、第1壁部112および第2壁部113の移動によって、第1部材301と第1接着部材11との間の隙間が充填される。
【0047】
本実施の形態1では、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112および第2壁部113と、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112および第2壁部113によって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態1によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0048】
なお、実施の形態1において、第1壁部112および第2壁部113が、自重によって互いに離れる方向に移動できれば、コイルばね114を有しない構成することができる。
【0049】
また、実施の形態1では、ブシュ31に接着剤を塗布する例について説明したが、本体部2に接着剤を塗布するようにしてもよいし、ブシュ31および本体部2にそれぞれ接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0050】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図11を参照して説明する。図11は、実施の形態2における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。なお、実施の形態1にかかる接着用治具10と同じ部分には同じ符号が付してある。
【0051】
実施の形態2にかかる接着用治具10Aは、第1接着部材11Aと、第2接着部材12Aとを備える。接着用治具10Aは、第1接着部材11Aに第2接着部材12Aを被せることによって、第1部材301および第2部材302を本体部2に圧着する。
【0052】
第1接着部材11Aは、第1部材301が載置される底面部111と、底面部111の両端部から、該底面部111に対して立設される第1壁部112および第2壁部113と、底面部111に対して離れる方向に付勢するコイルばね114とを有する。第1接着部材11Aにおいて、第1壁部112および第2壁部113には、底面部111に接続する側と反対側の端部から穿孔されてなる穴部112a、113aがそれぞれ形成される。穴部112a、113aは、それぞれ外壁側に向かって傾斜して延びる穴形状をなす。
【0053】
第2接着部材12Aは、第2部材302を保持する本体部124と、本体部124の両端部から延びる第1ピン125および第2ピン126とを有する。第1ピン125および第2ピン126は、穴部112a、113aの傾斜に応じて、互いに反対側に延びる。本実施の形態2では、第1ピン125および第2ピン126、ならびに穴部112a、113aによって切替機構を構成する。
【0054】
ここで、第1接着部材11Aが第2接着部材12Aからの荷重を受けていない状態において、第1壁部112の内壁と第2壁部113の内壁との間の距離(距離d3に相当)は、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)よりも大きく、かつ、第1接着部材11Aに第2接着部材12Aを被せたときに、第1壁部112の内壁と第2壁部113の内壁との間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0055】
接着用治具10Aでは、第1接着部材11Aに対して第2接着部材12Aを被せると、第1ピン125および第2ピン126が、穴部112a、113aにそれぞれ挿入される。第1ピン125および第2ピン126が穴部112a、113aの壁面に対して摺動することによって、第1壁部112および第2壁部113を底面部111側に移動させる。これにより、第1壁部112と第2壁部113との間の距離(距離d3に相当)が縮まる。この距離の変化によって、実施の形態1と同様に、第1壁部112および第2壁部113の位置と、第2接着部材12の位置との相対的な位置関係を固定させることができるとともに、第1部材301の第1接着部材11への取り付け、取り外しが容易となる。
【0056】
本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112および第2壁部113と、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112および第2壁部113によって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態2によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0057】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、図12および図13を参照して説明する。図12および図13は、実施の形態3における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態3では、第1接着部材の構成について説明する。
【0058】
実施の形態3にかかる第1接着部材11Bは、第1部材301が載置される底面部115と、底面部115に載置される第1壁部116Aおよび第2壁部116Bと、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bを移動させる第1移動機構117Aおよび第2移動機構117Bとを有する。第1接着部材11Bにおいて、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bは、互いに近付く、または遠ざかる方向に移動可能に設けられる。第1移動機構117Aおよび第2移動機構117Bは、切替機構に相当する。
【0059】
第1移動機構117Aは、底面部115に固定される支点部117aと、第2接着部材からの荷重が加わる力点部117bと、力点部117bに加わった荷重に応じて第1壁部116Aを移動させる作用部117cとを有する。支点部117aおよび力点部117bと、力点部117bおよび作用部117cとは、それぞれ連結部材によって連結されている。
【0060】
第1移動機構117Aでは、力点部117bに図12の矢印方向の荷重が加わると、力点部117bが底面部115側に移動する。力点部117bの移動によって、作用部117cが支点部117aから離れる方向に移動する。これにより、第1壁部116Aが、第2壁部116B側に移動する。
【0061】
第2移動機構117Bについても、第1移動機構117Aと同様の構成を備える。第2移動機構117Bでは、力点部117bに荷重が加わると、力点部117bが底面部115側に移動する。力点部117bの移動によって、作用部117cが支点部117aから離れる方向に移動する。これにより、第2壁部116Bが、第1壁部116A側に移動する。
この際、第1移動機構117Aは、重力以外の荷重が加わっていない状態において、図12に示すような、第1壁部116Aと第2壁部116Bとが互いに離間した状態の形状を維持するように構成される。また、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bは、図示しない付勢部材によって、互いに離れる方向に付勢されている。
【0062】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、力点部117bに当接して荷重を加えることができるものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置や、第2接着部材12Aの第1ピン125および第2ピン126の位置を調整することで適用可能となる。
【0063】
ここで、第1接着部材11Bが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1壁部116Aの内壁と第2壁部116Bの内壁との間の距離(距離d3に相当)は、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)よりも大きく、かつ、第1接着部材11Bに第2接着部材を被せたときに、第1壁部112の内壁と第2壁部113の内壁との間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0064】
接着用治具では、第1接着部材11Bに対して第2接着部材を被せると、第1壁部116Aと第2壁部116Bとの間の距離(距離d3に相当)が縮まる。この距離の変化によって、実施の形態1と同様に、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bの位置と、第2接着部材の位置との相対的な位置関係を固定させることができるとともに、第1部材301の第1接着部材11への取り付け、取り外しが容易となる。
【0065】
本実施の形態3では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態3によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0066】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について、図14および図15を参照して説明する。図14および図15は、実施の形態4における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。
【0067】
実施の形態4にかかる第1接着部材11Cは、第1部材301が載置される底面部115と、底面部115に載置される第1壁部116Aおよび第2壁部116Bと、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bを移動させる第1移動機構117Cおよび第2移動機構117Dとを有する。第1移動機構117Cおよび第2移動機構117Dは、切替機構に相当する。
【0068】
第1移動機構117Cは、底面部115に固定される支点部117dと、第2接着部材からの荷重が加わる力点部117eと、力点部117eに加わった荷重に応じて第1壁部116Aを移動させる作用部117fとを有する。支点部117dおよび作用部117cは、連結部材117gによって連結されている。
【0069】
第1移動機構117Cでは、力点部117eに図14の矢印方向の荷重が加わると、力点部117eが底面部115側に移動する。力点部117eは移動によって連結部材117gに当接し、連結部材117gを押し下げる。連結部材117gは、支点部117dのまわりに回転し、作用部117fを移動させる。作用部117fは、第1壁部116Aに対して摺動する。これにより、第1壁部116Aが、第2壁部116B側に移動する。
【0070】
第2移動機構117Dについても、第1移動機構117Cと同様の構成を備える。第1移動機構117Cでは、力点部117eに荷重が加わると、力点部117eが底面部115側に移動する。力点部117eの移動によって、作用部117fが第2壁部116Bに対して摺動する。これにより、第2壁部116Bが、第1壁部116A側に移動する。
【0071】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、力点部117eに当接して荷重を加えることができるものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置や、第2接着部材12Aの第1ピン125および第2ピン126の位置を調整することで適用可能となる。また、第2接着部材の端部に力点部117eを設けた構成としてもよい。
【0072】
ここで、第1接着部材11Cが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1壁部116Aの内壁と第2壁部116Bの内壁との間の距離(距離d3に相当)は、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)よりも大きく、かつ、第1接着部材11Bに第2接着部材を被せたときに、第1壁部112の内壁と第2壁部113の内壁との間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0073】
接着用治具では、第1接着部材11Cに対して第2接着部材を被せると、第1壁部116Aと第2壁部116Bとの間の距離(距離d3に相当)が縮まる。この距離の変化によって、実施の形態1と同様に、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bの位置と、第2接着部材の位置との相対的な位置関係を固定させることができるとともに、第1部材301の第1接着部材11への取り付け、取り外しが容易となる。
【0074】
本実施の形態4では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部116Aおよび第2壁部116Bによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態4によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0075】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について、図16を参照して説明する。図16は、実施の形態5における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。なお、実施の形態1にかかる接着用治具10と同じ部分には同じ符号が付してある。
【0076】
実施の形態5にかかる接着用治具10Bは、第1接着部材11Dと、第2接着部材12Bと、くさび13とを備える。接着用治具10Bは、第1接着部材11Dに第2接着部材12Bを被せることによって、くさび13が第1接着部材11Dに入り込んで第1部材301および第2部材302を本体部2に圧着する。
【0077】
第1接着部材11Dは、第1部材301が収容される収容部115aが形成される本体部115Aを有する。収容部115aは、第1部材301が載置される底面115bと、底面115bに対して内部空間を拡大する方向に傾斜して延びる側面115cとからなる。
【0078】
第2接着部材12Bは、第2部材302を保持する本体部124を有する。
【0079】
くさび13は、錐状に延びる第1爪部131および第2爪部132を有する。第1爪部131および第2爪部132は、第1接着部材11Dに入り込んだ際に、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)と同等となるように設計される。くさび13(第1爪部131および第2爪部132)は、切替機構を構成する。
【0080】
ここで、第1接着部材11Dが第2接着部材12Bからの荷重を受けていない状態において、向かい合う側面115c間の距離の最短距離は、底面115bに連なる側の端部間の距離であり、第1部材301と同等である。また、向かい合う側面115c間の距離の最短距離は、底面115bに連なる側の端部間の距離であり、第1部材301(幅d4)と同等である。また、向かい合う側面115c間の距離の最長距離は、底面115b側と反対側の端部(開口)間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)よりも大きい(距離d3に相当)。
【0081】
接着用治具10Bでは、第1接着部材11Dに対して第2接着部材12Bを被せると、第1爪部131および第2爪部132が、収容部115aに入り込む。第1爪部131および第2爪部132の収容部115aへの挿入によって、収容部115a内の壁面間の距離(距離d3に相当)が縮まる。この距離の変化によって、第1接着部材11Dにおける第1部材301の位置と、第2接着部材12における第2部材302の位置との相対的な位置関係を固定させることができるとともに、第1部材301の第1接着部材11への取り付け、取り外しが容易となる。
【0082】
本実施の形態5では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、収容部115aにおいて第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1爪部131および第2爪部132によって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態5によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0083】
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について、図17を参照して説明する。図17は、実施の形態6における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態6では、第1接着部材の構成について説明する。
【0084】
実施の形態6にかかる第1接着部材11Eは、第1部材301が収容される収容部118aが形成される本体部118を有する。本体部118は、収容部118aの開口端に設けられ、収容部118aの角部を支点として回動可能な第1プレート118bおよび第2プレート118cを有する。第1プレート118bおよび第2プレート118cは、本体部118から離脱しないように接続されていてもよいし、本体部118とは別体であってもよい。第1プレート118bおよび第2プレート118cは、切替機構を構成する。
【0085】
第1プレート118bおよび第2プレート118cは、重力以外の荷重が加わっていない状態において、収容部118aに対して外部側が広がるように傾斜することによって、第1部材301を容易に収容することができる。一方、接着処理後、第1プレート118bおよび第2プレート118cを引き抜くことによって、プレートの板厚分、収容部118aと第1部材301との間に隙間が生じ、第1部材301が収容部118aから抜き出しやすくなる。
【0086】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Eに被せた際に、第1プレート118bおよび第2プレート118cと干渉しないものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置を調整することで適用可能となる。
【0087】
ここで、第1接着部材11Eが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1プレート118bと第2プレート118cとの間の距離のうち、最大の距離d5は、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)よりも大きい。また、第1プレート118bおよび第2プレート118cが収容部118aに収容されたときに、第1プレート118bおよび第2プレート118cの間の距離d6が幅d4と同程度になるように設定される。
【0088】
接着用治具では、第1プレート118bおよび第2プレート118cが、収容部118aの外部において傾斜した状態から収容部118aに収容されると、第1プレート118bおよび第2プレート118cの間の距離が縮まる。この距離の変化によって、実施の形態1と同様に、第1プレート118bおよび第2プレート118cによる第1部材301の位置と、第2接着部材の第2部材302の位置との相対的な位置関係を固定させることができるとともに、第1部材301の第1接着部材11への取り付け、取り外しが容易となる。
【0089】
本実施の形態6では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、収容部118aと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1プレート118bおよび第2プレート118cによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態6によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0090】
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7について、図18および図19を参照して説明する。図18および図19は、実施の形態7における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態7では、第1接着部材の構成について説明する。
【0091】
実施の形態7にかかる第1接着部材11Fは、本体部119aと、板状部材を折り曲げてなる第1保持部119bおよび第2保持部119cを有する。第1保持部119bは、軸119dのまわりに回転する。第2保持部119cは、軸119eのまわりに回転する。軸119d、119eは、本体部119aに固定され、各保持部の折り曲げ部に取り付けられる。第1保持部119bおよび第2保持部119cは、本体部119aから立ち上がって延びる部分(以下、壁部119f、119gという)の間に第1部材301を収容する。第1保持部119bおよび第2保持部119cは、切替機構を構成する。
【0092】
第1保持部119bおよび第2保持部119cは、重力以外の荷重が加わっていない状態において、壁部119f、119gが外部側に広がるように傾斜することによって、第1部材301を容易に収容および取り出しをすることができる(図18参照)。一方、第1部材301を載置すると、第1保持部119bおよび第2保持部119cが回転し、壁部119f、119gが第1部材301を挟みこむ(図19参照)。
【0093】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Fに被せた際に、第1保持部119bおよび第2保持部119cと干渉しないものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置を調整することで適用可能となる。
【0094】
ここで、第1接着部材11Fが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、壁部119f、119gの間の距離のうち、最大の距離d7は、第1部材301の幅(図7に示す距離d4)よりも大きい。また、第1部材301が載置され、第1保持部119bおよび第2保持部119cが回転したときに、壁部119f、119gの間の距離d8が幅d4と同程度になるように設定される。
【0095】
接着用治具では、壁部119f、119gが、互いに離れる方向に傾斜した状態から、第1保持部119bおよび第2保持部119cに第1部材301に載置されると、壁部119f、119gの間の距離が縮まる。この距離の変化によって、実施の形態1と同様に、第1保持部119bおよび第2保持部119cによる第1部材301の位置と、第2接着部材の第2部材302の位置との相対的な位置関係を固定させることができるとともに、第1部材301の第1接着部材11への取り付け、取り外しが容易となる。
【0096】
本実施の形態7では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1保持部119bおよび第2保持部119c(壁部119f、119g)と、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、壁部119f、119gによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態7によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0097】
(実施の形態8)
次に、本発明の実施の形態8について、図20および図21を参照して説明する。図20は、実施の形態8における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。図21は、図20に示す矢視A方向からみた接着用治具の構成を示す平面図である。本実施の形態8では、第1接着部材の構成について説明する。
【0098】
実施の形態8にかかる第1接着部材11Gは、第1部材301が載置される底面部111Aと、底面部111Aの両端部側において、該底面部111Aに対してそれぞれ立設される第1壁部112Aおよび第2壁部113Aと、底面部111Aに対して離れる方向に壁部をそれぞれ付勢する板ばね114Aとを有する。
【0099】
板ばね114Aは、第1接着部材11Gが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Gとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。実施の形態8では、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aの移動によって、第1部材301と第1接着部材11Gとの間の隙間が変化する。
【0100】
板ばね114Aは、中央部が底面部111Aに接続し、両端部が第1壁部112A(または第2壁部113A)に接続する。板ばね114Aは、接続する壁部が底面部111Aから離れる方向に付勢している。板ばね114Aは、ねじ止めや溶接等によって底面部111Aおよび壁部に固着される。
【0101】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Gに被せた際に、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aに接触して、該第1壁部112Aおよび第2壁部113Aを底面部111A側に移動させるものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置を調整することで適用可能となる。
【0102】
ここで、第1接着部材11Gが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aとの間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、第2接着部材が第1接着部材に取り付けられたときに、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0103】
本実施の形態8では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態8によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0104】
(実施の形態9)
次に、本発明の実施の形態9について、図22を参照して説明する。図22は、実施の形態9における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態9では、第1接着部材の構成について説明する。
【0105】
実施の形態9にかかる第1接着部材11Hは、第1部材301が載置される底面部111Aと、底面部111Aの両端部側において、該底面部111Aに対してそれぞれ立設される第1壁部112Bおよび第2壁部113Bと、壁部をそれぞれ移動可能に保持する第1傾斜部141および第2傾斜部142とを有する。
【0106】
第1傾斜部141および第2傾斜部142は、底面部111Aから離れるにしたがって下方側に傾斜して延びる。このため、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bは、重力以外の荷重が加わっていない状態では、自重によって底面部111Aから離れる方向に移動する。第1傾斜部141および第2傾斜部142は、第1接着部材11Hが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Hとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。
【0107】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Hに被せた際に、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bに接触して、該第1壁部112Bおよび第2壁部113Bを底面部111A側に移動させるものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置を調整することで適用可能となる。
【0108】
この際、第2接着部材の取り付けによって、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bは、それぞれ第1傾斜部141および第2傾斜部142を上昇して底面部111Aに近付く。また、第2接着部材を取り外すと、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bは、それぞれ自重によって第1傾斜部141および第2傾斜部142を下降して底面部111Aから遠ざかる。
【0109】
ここで、第1接着部材11Hが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bとの間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、第2接着部材が第1接着部材に取り付けられたときに、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0110】
本実施の形態9では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態9によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0111】
(実施の形態10)
次に、本発明の実施の形態10について、図23を参照して説明する。図23は、実施の形態10における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態10では、第1接着部材の構成について説明する。
【0112】
実施の形態10にかかる第1接着部材11Iは、第1部材301が載置される底面部111Bと、底面部111Bに対して移動可能に立設される第1壁部112Cおよび第2壁部113Cと、壁部を移動させる力を発生する第1磁性部143および第2磁性部144とを有する。
【0113】
第1壁部112Cおよび第2壁部113Cは、磁性体によって形成される。
【0114】
第1磁性部143および第2磁性部144は、例えば電磁石を用いて構成され、図示しない制御装置によって通電が制御される。このため、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cは、第1磁性部143および第2磁性部144への通電状態によって底面部111Aから離れる方向に移動する。例えば、第1磁性部143および第2磁性部144が通電すると、該第1磁性部143および第2磁性部144が発する磁力によって、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cが互いに離れる方向に移動する。第1磁性部143および第2磁性部144は、第1接着部材11Iが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Iとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。
【0115】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Iに被せた際に、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cに接触して、該第1壁部112Cおよび第2壁部113Cを底面部111B側に移動させるものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置を調整することで適用可能となる。
なお、第2接着部材の装着によって第1壁部112Cおよび第2壁部113Cの位置を制御できれば、第1磁性部143および第2磁性部144を常に通電させるようにしてもよいし、必要なタイミングで通電させるようにしてもよい。また、磁力によって第1壁部112Cおよび第2壁部113Cの移動を制御できれば、第2接着部材は、第1壁部122および第2壁部123を有しないものであってもよい。
【0116】
ここで、第1接着部材11Iが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cとの間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、第2接着部材が第1接着部材に取り付けられたときに、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0117】
本実施の形態10では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Cおよび第2壁部113Cによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態9によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0118】
(実施の形態11)
次に、本発明の実施の形態11について、図24を参照して説明する。図24は、実施の形態11における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態11では、第1接着部材の構成について説明する。
【0119】
実施の形態11にかかる第1接着部材11Jは、第1部材301が載置される底面部111と、底面部111の両端部側において、該底面部111に対してそれぞれ立設される第1壁部112Dおよび第2壁部113Dと、壁部をそれぞれ移動可能に保持する第1ねじ部145および第2ねじ部146とを有する。
【0120】
第1ねじ部145は、底面部111から延びる棒状をなし、第1壁部112Dを貫通する。第1ねじ部145には、ねじ山が形成されており、第1壁部112Dと螺合する。第1ねじ部145の長手軸のまわりの回転によって第1壁部112Dがこの長手軸方向に移動する。また、第1ねじ部145の回転方向に応じて第1壁部112Dの移動方向が決まる。第1ねじ部145の回転は、使用者が手動で回転させてもよいし、モータ等によって電気的に回転させてもよい。なお、第2ねじ部146は、底面部111から第1ねじ部145とは反対方向に延び、第1壁部112Dを貫通する。第2ねじ部146は、第1ねじ部145と同様にねじ山が形成され、回転によって第2壁部113Dを移動させる。
【0121】
第1ねじ部145および第2ねじ部146は、第1接着部材11Jが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Jとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。
【0122】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Jに被せた際に、第2部材302を、該第1接着部材11Jが保持する第1部材301に接触させることができるものであればよい。
【0123】
実施の形態11では、第2接着部材を取り付ける際に、第1ねじ部145および第2ねじ部146を回転させて、第1壁部112Dおよび第2壁部113Dを底面部111側に移動させる。また、接着処理後、第1ねじ部145および第2ねじ部146を回転させて、第1壁部112Dおよび第2壁部113Dを底面部111から離れる方向に移動させる。
【0124】
ここで、第1部材301を取り付けまたは取り外す際には、第1壁部112Dおよび第2壁部113Dとの間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、第1部材301と第2部材302を接着する際には、第1壁部112Dおよび第2壁部113Dの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0125】
本実施の形態11では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Dおよび第2壁部113Dと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Dおよび第2壁部113Dによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態11によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0126】
(実施の形態12)
次に、本発明の実施の形態12について、図25を参照して説明する。図25は、実施の形態12における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態11では、第1接着部材の構成について説明する。
【0127】
実施の形態12にかかる第1接着部材11Kは、第1部材301が載置される底面部111Cと、底面部111Cの両端部側において、該底面部111Cに対してそれぞれ立設される第1壁部112Dおよび第2壁部113Dと、壁部をそれぞれ移動可能に保持するリンク機構15とを有する。
【0128】
リンク機構15は、底面部111Cに設けられる操作部151と、第1壁部112Aに取り付けられる第1支持部152と、第2壁部113Aに取り付けられる第2支持部153と、操作部151および第1支持部152を接続する第1リンク154と、操作部151および第2支持部153を接続する第2リンク155とを有する。リンク機構15では、操作部151が底面部111Cに押し込まれると、第1リンク154および第2リンク155を経て第1支持部152および第2支持部153が互いに離れる方向に移動する。これにより、各支持部が支持している壁部も移動する。
【0129】
リンク機構15は、第1接着部材11Kが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Kとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構を構成する。
【0130】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Kに被せた際に、第2部材302を、該第1接着部材11Kが保持する第1部材301に接触させることができるものであればよい。
【0131】
実施の形態12では、第2接着部材を取り付ける際に、操作部151を押し込んで、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aが互いに近付く方向に移動させる。また、接着処理後、操作部151の押圧を解除して、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aを互いに離れる方向に移動させる。
【0132】
ここで、操作部151を押し込んだ状態では、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aとの間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、操作部151に重力以外の荷重が加わっていない状態では、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0133】
本実施の形態12では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態12によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0134】
(実施の形態13)
次に、本発明の実施の形態13について、図26を参照して説明する。図26は、実施の形態13における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態13では、第1接着部材の構成について説明する。
【0135】
実施の形態13にかかる第1接着部材11Lは、第1部材301が載置される底面部111Dと、底面部111Dの両端部側において、該底面部111Dに対してそれぞれ立設される第1壁部112Eおよび第2壁部113Eとを有する。
【0136】
第1壁部112Eおよび第2壁部113Eには、底面部111Dに対向する壁面をなす切替面であって、第1部材301と対向する壁面とのなす角度が鋭角をなす切替面112b、113bが形成される。このため、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eは、重力以外の荷重が加わっていない自然状態では、自重によって切替面と底面部111Dとが面接触する態様で傾斜する。これにより、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eは、自然状態では、第1部材301に対向する壁面が傾斜した状態となり、第1部材301との間に隙間が形成される。第1壁部112Eおよび第2壁部113E、特に切替面112b、113bは、第1接着部材11Lが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Lとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。
【0137】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Lに被せた際に、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eに接触して、該第1壁部112Eおよび第2壁部113Eを底面部111A側に移動させるものであればよい。例えば、第2接着部材12の第1壁部122および第2壁部123の位置を調整することで適用可能となる。
【0138】
この際、第2接着部材の取り付けによって、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bが回転し、切替面112b、113bが底面部111Dから離間して、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bが互いに近付く。また、第2接着部材を取り外すと、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bは、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bが回転して、切替面112b、113bが底面部111Dと接触し、第1壁部112Bおよび第2壁部113Bが互いに遠ざかる。
【0139】
ここで、第1接着部材11Lが第2接着部材からの荷重を受けていない状態において、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eとの間の最大距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、第2接着部材が第1接着部材11Lに取り付けられたときに、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0140】
本実施の形態13では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Eおよび第2壁部113Eによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態13によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0141】
(実施の形態14)
次に、本発明の実施の形態14について、図27を参照して説明する。図27は、実施の形態14における、ブシュを本体部に接着するための接着用治具の構成を説明する平面図である。本実施の形態14では、第1接着部材の構成について説明する。
【0142】
実施の形態14にかかる第1接着部材11Mは、第1部材301が載置される底面部111Eと、底面部111Eの両端部側において、該底面部111Eに対してそれぞれ立設される第1壁部112Aおよび第2壁部113Aとを有する。
【0143】
底面部111Eは、一方の端部が二股に分岐した筒状をなし、内部にエアの流路が形成されるとともに、第1部材301が載置される。底面部111Eは、第1開口部111aと、第1開口部111aに連通し、二股に分岐した一方の端部に設けられ、第1壁部112Aに対向する第2開口部111bと、二股に分岐した他方の端部に設けられ、第2壁部113Aに対向する第3開口部111cとを有する。第1開口部111aに導入または第1開口部111aから吸引されるエアによって、第2開口部111bおよび第3開口部111cから吸引または吹き出すエアが調整される。第2開口部111bおよび第3開口部111cからエアが吹き出せば、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aは互いに離れる方向に移動し、第2開口部111bおよび第3開口部111cからエアが吸引されれば、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aが互いに近付く方向に移動する。
【0144】
底面部111Eは、第1接着部材11Mが第1部材301を保持する空間において、第1部材301の第2部材302との圧着面に連なる一部の側面と第1接着部材11Mとの間に隙間を形成する第1状態と、この隙間を充填して第1部材301の位置を規制する第2状態とを切り替える切替機構に含まれる。
【0145】
第2接着部材は、第2部材302を保持し、第1接着部材11Mに被せた際に、第2部材302を、該第1接着部材11Mが保持する第1部材301に接触させることができるものであればよい。
【0146】
実施の形態14では、第2接着部材を取り付ける際に、第1開口部111aからエアを吸引して、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aを互いに近付ける。また、接着処理後、第1開口部111aにエアを導入して第1壁部112Aおよび第2壁部113Aにエアを吹き付け、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aを互いに離れる方向に移動させる。
【0147】
ここで、第1部材301を取り付けまたは取り外す際、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aとの間の距離は、第1部材301の幅(図7に示す幅d4)よりも大きい。また、第1部材301と第2部材302を接着する際、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aの間の距離が幅d4と同程度になるように設定される。
【0148】
本実施の形態14では、実施の形態1と同様に、各接着部材へのブシュ31の構成部材を取り付け時および取り外し時には、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aと、第1部材301との間に隙間を設けて作業性を確保するとともに、第1部材301および第2部材302の本体部2への圧着時は、第1壁部112Aおよび第2壁部113Aによって第1部材301を挟み込んで位置を固定するため、第1部材301および第2部材302の本体部2に対する圧着面のずれを抑制した圧着を行うことができる。本実施の形態14によれば、本体部2に対してブシュ31の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制することができる。
【0149】
(実施の形態15)
次に、本発明の実施の形態15について、図28を参照して説明する。図28は、実施の形態15における、ブシュ部材の構成を説明するための斜視図である。本実施の形態15では、ブシュ部材の構成について説明する。
【0150】
ブシュ部材3Aは、ブシュ31と、ブラケット32とを有する。
【0151】
ブシュ31は、実施の形態1と同様に、ゴムや、弾性を有する樹脂等の弾性材料を用いて形成され、路面などから伝わったスタビライザ1の振動等を緩和する緩和部材として機能する。ブシュ31は、二つの部材(第1部材301および第2部材302)からなる。本実施の形態15においては、ブシュ31を構成する第1部材301および第2部材302は、本体部2の長手方向と平行、かつ、実施の形態1に対して直交する方向に分割されてなる。
【0152】
本実施の形態15に係る態様で分割されてなるブシュ31であっても、実施の形態1~14と同様の接着用治具を用いて部材同士を接着することができるため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0153】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、加熱圧着処理を施して製造する製品に対して適用可能である。
【0154】
また、上述した実施の形態では、加熱処理用の加熱部材としてIH用コイルを用いる例について説明したが、加熱部材はこれらに限らず、公知のもの(例えば通電による加熱や、熱風による加熱)を使用することができ、加熱効率等に応じて適宜選択できる。
【0155】
また、上述した実施の形態では、スタビライザに対し、車両のボディに連結するブシュを接着する例について説明したが、スタビライザに限らず、連結対象との間に介在し、連結対象同士の振動等を緩和する緩和部材が接着される被接着部材であって、加熱/非加熱に限らず緩和部材が接着される被接着部材であれば適用可能である。被接着部材としては、スタビライザのほか、巻きばね、板ばね、トーションバー、皿ばね等が挙げられる。例えば、巻きばねには、緩和部材としてインシュレータが用いられる。
【0156】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0157】
以上説明したように、本発明に係る接着用治具および接着方法は、被接着部材に対して緩和部材の圧着を確実に行いつつ、作業性の低下を抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0158】
1 スタビライザ
2 本体部
3、3A ブシュ部材
10、10A、10B 接着用治具
11、11A~11M 第1接着部材
12、12A、12B 第2接着部材
13 くさび
31 ブシュ
32 ブラケット
111、111A~111E、115 底面部
112、112A~112E、116A、122 第1壁部
112a、113a 穴部
112b、113b 切替面
113、113A~113E、116B、123 第2壁部
114 コイルばね
115A、118、119a、121、124 本体部
115a、118a 収容部
115b 底面
115c 側面
117A、117C 第1移動機構
117B、117D 第2移動機構
117a、117d 支点部
117b、117e 力点部
117c、117f 作用部
118b 第1プレート
118c 第2プレート
119b 第1保持部
119c 第2保持部
119d 軸
119f、119g 壁部
125 第1ピン
126 第2ピン
131 第1爪部
132 第2爪部
301 第1部材
302 第2部材
図1
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