(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H10D 8/60 20250101AFI20250710BHJP
H10D 8/01 20250101ALI20250710BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250710BHJP
H10D 62/10 20250101ALI20250710BHJP
H10D 12/00 20250101ALI20250710BHJP
H10D 64/64 20250101ALI20250710BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20250710BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20250710BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20250710BHJP
【FI】
H10D8/60 E
H10D8/60 D
H10D8/60 F
H10D8/60 M
H10D8/01 S
H10D30/66 103Q
H10D30/66 101F
H10D30/66 103S
H10D30/66 201C
H10D30/66 102S
H10D30/66 101H
H10D30/66 103B
H10D62/10 101V
H10D62/10 101G
H10D62/10 101M
H10D12/00 101A
H10D64/64 S
H01L21/88 T
(21)【出願番号】P 2022532388
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2021018090
(87)【国際公開番号】W WO2021261102
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2020110898
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】上野 真弥
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101662(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111642(WO,A1)
【文献】特開2016-015482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 8/60
H10D 8/01
H10D 30/66
H10D 62/10
H10D 12/00
H10D 64/64
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆対象と、
前記被覆対象を被覆し、前記被覆対象の上に電極側壁を有する電極と、
前記電極側壁を露出させるように前記電極を被覆する内被覆部を有する無機絶縁膜と、
前記電極側壁を被覆する有機絶縁膜と、を含
み、
前記有機絶縁膜は、前記内被覆部を被覆している、電子部品。
【請求項2】
前記内被覆部は、前記電極の周縁部を露出させており、
前記有機絶縁膜は、前記電極の周縁部を被覆している、請求項
1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記内被覆部は、前記電極の内方部を露出させている、請求項1
または2のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項4】
前記内被覆部は、前記電極の内方部を取り囲んでいる、請求項
3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記有機絶縁膜は、前記電極の内方部側において前記内被覆部の縁部を露出させている、請求項
3または
4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記無機絶縁膜は、前記電極側壁を露出させるように前記被覆対象を被覆する外被覆部を有している、請求項1~
5のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記有機絶縁膜は、前記外被覆部を被覆している、請求項
6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記外被覆部は、前記電極側壁から間隔を空けて前記被覆対象を被覆し、
前記有機絶縁膜は、前記被覆対象において前記電極および前記外被覆部の間から露出した部分を被覆している、請求項
6または
7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記外被覆部は、平面視において前記電極を取り囲んでいる、請求項
6~
8のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項10】
被覆対象と、
前記被覆対象を被覆し、前記被覆対象の上に電極側壁を有する電極と、
前記電極側壁を露出させるように前記被覆対象を被覆する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜および前記電極を被覆し、前記無機絶縁膜および前記電極の間で前記電極側壁を被覆する有機絶縁膜と、を含む、電子部品。
【請求項11】
前記無機絶縁膜は、前記電極側壁から間隔を空けて前記被覆対象を被覆し、
前記有機絶縁膜は、前記電極および前記無機絶縁膜の間で前記被覆対象を被覆している、請求項
10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記無機絶縁膜は、平面視において前記電極を取り囲んでいる、請求
項10または
11に記載の電子部品。
【請求項13】
電極側壁を有する電極と、
前記電極の内方部および前記電極の前記電極側壁を露出させるように前記電極を被覆する無機絶縁膜と、
前記電極の内方部を露出させ、前記電極側壁を被覆する有機絶縁膜と、
前記電極の内方部の上に形成されたパッド電極と、を含
み、
前記有機絶縁膜は、前記電極の内方部側において前記無機絶縁膜の縁部を露出させるように前記無機絶縁膜を被覆し、
前記パッド電極は、前記無機絶縁膜の前記縁部を被覆している、電子部品。
【請求項14】
前記パッド電極は、前記無機絶縁膜に接している、請求項
13に記載の電子部品。
【請求項15】
前記パッド電極は、前記有機絶縁膜に接している、請求項
13または14に記載の電子部品。
【請求項16】
前記無機絶縁膜は、前記電極側壁から間隔を空けて前記電極を被覆し、
前記有機絶縁膜は、前記電極において前記電極側壁および前記無機絶縁膜の間から露出した部分を被覆している、請求項
13~
15のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項17】
前記無機絶縁膜は、平面視において前記電極の内方部を取り囲んでいる、請求項
13~
16のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項18】
前記パッド電極は、前記無機絶縁膜に接するNiめっき膜を含む、請求項
13~
17のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年6月26日に日本国特許庁に提出された特願2020-110898号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれる。本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体基板、層間絶縁層、電極、無機保護層および有機保護層を含む半導体装置を開示している。層間絶縁層は、半導体基板の上に形成され、半導体基板を露出させる開口部を有している。電極は、層間絶縁層の上から開口部に入り込み、開口部内において半導体基板に電気的に接続されている。無機保護層は、電極の縁部を被覆する内縁部、および、層間絶縁層を被覆する外縁部を有している。有機保護層は、無機保護層を挟んで電極および層間絶縁層を被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2019/0080976号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、信頼性を向上できる電子部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、被覆対象と、前記被覆対象を被覆し、前記被覆対象の上に電極側壁を有する電極と、前記電極側壁を露出させるように前記電極を被覆する内被覆部を有する無機絶縁膜と、前記電極側壁を被覆する有機絶縁膜と、を含む、電子部品を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態は、被覆対象と、前記被覆対象を被覆し、前記被覆対象の上に電極側壁を有する電極と、前記電極側壁を露出させるように前記被覆対象を被覆する無機絶縁膜と、前記無機絶縁膜および前記電極を被覆し、前記無機絶縁膜および前記電極の間で前記電極側壁を被覆する有機絶縁膜と、を含む、電子部品を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態は、電極側壁を有する電極と、前記電極の内方部および前記電極の前記電極側壁を露出させるように前記電極を被覆する無機絶縁膜と、前記電極の内方部を露出させ、前記電極側壁を被覆する有機絶縁膜と、前記電極の内方部の上に形成されたパッド電極と、を含む、電子部品を提供する。
【0008】
本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るSiC半導体装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すSiC半導体装置の内部構造を第1形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す構造の要部を拡大した断面図である。
【
図5A】
図5Aは、
図2に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第2形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図5B】
図5Bは、
図2に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第3形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図5C】
図5Cは、
図2に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第4形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図5D】
図5Dは、
図2に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第5形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図5E】
図5Eは、
図2に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第6形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図5F】
図5Fは、
図2に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第7形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図6A】
図6Aは、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は、
図4に対応し、本発明の第2実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、
図4に対応し、本発明の第3実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、
図4に対応し、本発明の第4実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、
図4に対応し、本発明の第5実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第6実施形態に係るSiC半導体装置を示す平面図である。
【
図12】
図12は、
図11に示すSiC半導体装置の内部構造を第1形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図19A】
図19Aは、
図12に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第2形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図19B】
図19Bは、
図12に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第3形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図19C】
図19Cは、
図12に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第4形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図19D】
図19Dは、
図12に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第5形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図19E】
図19Eは、
図12に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第6形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図19F】
図19Fは、
図12に対応し、SiC半導体装置の内部構造を第7形態例に係る第2無機絶縁膜と共に示す平面図である。
【
図20】
図20は、
図17に対応し、本発明の第7実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図22】
図22は、
図15に対応し、本発明の第8実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図23】
図23は、
図15に対応し、本発明の第9実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図24】
図24は、
図13に対応し、本発明の第10実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための拡大図である。
【
図26】
図26は、
図14に対応し、本発明の第11実施形態に係るSiC半導体装置を説明するための断面図である。
【
図27】
図27は、半導体パッケージを一方側から見た平面図である。
【
図33】
図33は、
図3に対応し、第1実施形態に係るSiC半導体装置の変形例を説明するための断面図である。
【
図34】
図34は、
図17に対応し、第6実施形態に係るSiC半導体装置の変形例を説明するための断面図である。
【
図35】
図35は、
図18に対応し、第6実施形態に係るSiC半導体装置の変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係るSiC半導体装置1を示す平面図である。
図2は、
図1に示すSiC半導体装置1の内部構造を第1形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。
図3は、
図1に示すIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図3に示す構造の要部を拡大した断面図である。
【0011】
SiC半導体装置1は、この形態(this embodiment)では、六方晶のSiC単結晶からなるSiCチップ2(チップ/半導体チップ)を含む電子部品である。また、SiC半導体装置1は、この形態では、SiC-SBD(Schottky Barrier Diode)を含む半導体整流デバイスである。六方晶のSiC単結晶は、2H(Hexagonal)-SiC単結晶、4H-SiC単結晶、6H-SiC単結晶等を含む複数種のポリタイプを有している。この形態では、SiCチップ2が4H-SiC単結晶からなる例を示すが、他のポリタイプを除外するものではない。
【0012】
SiCチップ2は、直方体形状に形成されている。SiCチップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。第1主面3は、機能デバイスが形成されるデバイス面である。第2主面4は、機能デバイスが形成されない非デバイス面である。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。
【0013】
第1主面3および第2主面4は、SiC単結晶のc面に面している。c面は、SiC単結晶のシリコン面((0001)面)およびカーボン面((000-1)面)を含む。第1主面3はシリコン面に面し、第2主面4はカーボン面に面していることが好ましい。第1主面3および第2主面4は、c面に対してオフ方向に所定の角度で傾斜したオフ角を有していてもよい。オフ方向は、SiC単結晶のa軸方向([11-20]方向)であることが好ましい。オフ角は、0°を超えて10°以下であってもよい。オフ角は、5°以下であることが好ましい。オフ角は、2°以上4.5°以下であることが特に好ましい。
【0014】
第2主面4は、研削痕およびアニール痕(具体的にはレーザ照射痕)のいずれか一方または双方を有する粗面からなっていてもよい。アニール痕は、非晶質化したSiC、および/または、金属とシリサイド化(合金化)したSiC(具体的にはSi)を含んでいてもよい。第2主面4は、少なくともアニール痕を有するオーミック面からなることが好ましい。
【0015】
第1~第4側面5A~5Dは、第1主面3の周縁および第2主面4の周縁を形成している。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1主面3に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。この形態では、第1方向XがSiC単結晶のm軸方向([1-100]方向)であり、第2方向YがSiC単結晶のa軸方向である。つまり、第1側面5Aおよび第2側面5Bは、SiC単結晶のa面によって形成され、第3側面5Cおよび第4側面5Dは、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0016】
第1~第4側面5A~5Dは、ダイシングブレードによる切削によって形成された研削痕を有する研削面からなっていてもよいし、レーザ光照射によって形成された改質層を有する劈開面からなっていてもよい。改質層は、具体的には、SiCチップ2の結晶構造の一部が別の性質に改質した領域からなる。つまり、改質層は、密度、屈折率または機械的強度(結晶強度)、もしくは、その他の物理的特性がSiCチップ2とは異なる性質に改質された領域からなる。
【0017】
改質層は、非晶質層(アモルファス層)、溶融再硬化層、欠陥層、絶縁破壊層または屈折率変化層のうちの少なくとも1つの層を含んでいてもよい。非晶質層は、SiCチップ2の一部が非晶質化した層である。溶融再硬化層は、SiCチップ2の一部が溶融した後再度硬化した層である。欠陥層は、SiCチップ2に形成された空孔や亀裂等を含む層である。絶縁破壊層は、SiCチップ2の一部が絶縁破壊した層である。屈折率変化層は、SiCチップ2の一部がSiCチップ2とは異なる屈折率に変化した層である。
【0018】
第1~第4側面5A~5Dが劈開面からなる場合、第1側面5Aおよび第2側面5Bは、オフ角に起因する傾斜角を有する傾斜面を形成していてもよい。オフ角に起因する傾斜角は、法線方向Zを0°としたとき、当該法線方向Zに対する角度である。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、法線方向Zに対してSiC単結晶のc軸方向([0001]方向)に沿って延びる傾斜面を形成していてもよい。
【0019】
オフ角に起因する傾斜角は、オフ角とほぼ等しい。オフ角に起因する傾斜角は、0°を超えて10°以下(好ましくは2°以上4.5°以下)であってもよい。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、オフ方向(a軸方向)に延びているため、オフ角に起因する傾斜角を有さない。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに平面的に延びている。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、具体的には、第1主面3および第2主面4に対してほぼ垂直に形成されている。
【0020】
SiC半導体装置1は、SiCチップ2の第2主面4の表層部に形成されたn型(第1導電型)の第1半導体領域6(高濃度領域)を含む。第1半導体領域6は、厚さ方向にほぼ一定のn型不純物濃度を有している。第1半導体領域6のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第1半導体領域6は、SBDのカソードを形成している。第1半導体領域6は、カソード領域と称されてもよい。
【0021】
第1半導体領域6は、第2主面4の表層部の全域に形成され、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dから露出している。つまり、第1半導体領域6は、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dの一部を有している。第1半導体領域6の厚さは、5μm以上300μm以下であってもよい。第1半導体領域6の厚さは、典型的には、50μm以上250μm以下である。第1半導体領域6の厚さは、第2主面4の研削によって調整される。第1半導体領域6は、この形態では、n型の半導体基板(SiC基板)によって形成されている。
【0022】
SiC半導体装置1は、SiCチップ2の第1主面3の表層部に形成されたn型の第2半導体領域7(低濃度領域)を含む。第2半導体領域7は、第1半導体領域6のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。第2半導体領域7は、第1半導体領域6に電気的に接続され、第1半導体領域6と共にSBDのカソードを形成している。第2半導体領域7は、ドリフト領域と称されてもよい。
【0023】
第2半導体領域7は、第1主面3の表層部の全域に形成され、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dから露出している。つまり、第2半導体領域7は、第1主面3および第1~第4側面5A~5Dの一部を有している。第2半導体領域7のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。第2半導体領域7の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。第2半導体領域7は、この形態では、n型のエピタキシャル層(SiCエピタキシャル層)によって形成されている。
【0024】
SiC半導体装置1は、SiCチップ2において第1半導体領域6および第2半導体領域7の間に介在するn型の第3半導体領域8(濃度遷移領域)を含む。第3半導体領域8は、第1半導体領域6のn型不純物濃度から第2半導体領域7のn型不純物濃度に向けてn型不純物濃度が低下(具体的には漸減)する濃度勾配を有している。第3半導体領域8は、第1半導体領域6および第2半導体領域7の間の全域に介在し、第1~第4側面5A~5Dから露出している。つまり、第3半導体領域8は、第1~第4側面5A~5Dの一部を有している。
【0025】
第3半導体領域8は、第1半導体領域6および第2半導体領域7に電気的に接続され、第1半導体領域6および第2半導体領域7と共にSBDのカソードを形成している。第3半導体領域8は、バッファ領域と称されてもよい。第3半導体領域8の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよい。第3半導体領域8は、この形態では、n型のエピタキシャル層(SiCエピタキシャル層)によって形成されている。
【0026】
SiC半導体装置1は、第1主面3の表層部に形成されたp型(第2導電型)のガード領域9を含む。ガード領域9のp型不純物は、活性化されていてもよいし、活性化されていなくてもよい。ガード領域9のp型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。ガード領域9は、第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)から内方に間隔を空けて第1主面3に形成され、第1主面3の内方部を露出させている。ガード領域9は、第1主面3の周縁に沿って帯状に延びている。
【0027】
ガード領域9は、平面視において第1主面3の内方部を取り囲む環状に形成されている。ガード領域9は、具体的には、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。これにより、ガード領域9は、ガードリング領域として形成されている。ガード領域9は、第1主面3の内方部側の内縁部、および、第1主面3の周縁側の外縁部を有している。
【0028】
SiC半導体装置1は、被覆対象の一例として第1主面3の上に形成された第1無機絶縁膜10を含む。第1無機絶縁膜10は、層間絶縁膜と称されてもよい。第1無機絶縁膜10は、複数の絶縁膜を含む積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。第1無機絶縁膜10は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第1無機絶縁膜10は、複数の酸化シリコン膜を含む積層構造、複数の窒化シリコン膜を含む積層構造、または、複数の酸窒化シリコン膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0029】
第1無機絶縁膜10は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも2種を任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。第1無機絶縁膜10は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる単層構造を有していてもよい。第1無機絶縁膜10は、この形態では、酸化シリコン膜からなる単層構造を有している。
【0030】
第1無機絶縁膜10は、この形態では、SiCチップ2(第2半導体領域7)の酸化物を含むフィールド酸化膜からなる。したがって、第1無機絶縁膜10は、絶縁体(酸化シリコン)中に第2半導体領域7のn型不純物と同一種のn型不純物を含む。第1無機絶縁膜10は、第1絶縁厚さT1を有している。第1絶縁厚さT1は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1絶縁厚さT1は、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0031】
第1無機絶縁膜10は、第1主面3の内方部を露出させている。第1無機絶縁膜10は、この形態では、平面視において第1主面3の内方部を取り囲む環状に形成されている。第1無機絶縁膜10は、具体的には、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。第1無機絶縁膜10は、ガード領域9の外縁部を全周に亘って被覆し、ガード領域9の内縁部を全周に亘って露出させている。
【0032】
第1無機絶縁膜10は、具体的には、第1主面3の内方部側の内壁部11、および、第1主面3の周縁側の外壁部12を有している。内壁部11は、第1主面3の内方部(第2半導体領域7)およびガード領域9の内縁部を露出させるようにガード領域9の内縁部から外縁部側に間隔を空けて形成されている。これにより、内壁部11は、第1主面3の内方部(第2半導体領域7)およびガード領域9の内縁部を露出させるコンタクト開口13を区画している。内壁部11(コンタクト開口13)は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に平行な4辺を有する四角形状に形成され、ガード領域9の内縁部を取り囲んでいる。
【0033】
外壁部12は、第1主面3の周縁から第1主面3の内方部側に間隔を空けて形成され、第1主面3の周縁部(第2半導体領域7)を露出させている。外壁部12は、ガード領域9の外縁部から第1主面3の周縁側に間隔を空けて形成されている。これにより、外壁部12は、第1主面3の周縁部(第2半導体領域7)を露出させる切欠き開口14を区画している。外壁部12(切欠き開口14)は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する四角形状に形成され、ガード領域9の外縁部を取り囲んでいる。
【0034】
第1無機絶縁膜10は、第1主面3において隠蔽面15(hidden surface)、活性面16(active surface)および外側面17(outer surface)を区画している。換言すると、第1主面3は、第1無機絶縁膜10によって区画された隠蔽面15、活性面16および外側面17を含む。
【0035】
隠蔽面15は、第1主面3において第1無機絶縁膜10によって被覆(隠蔽)された部分からなり、平面視において四角環状に形成されている。活性面16は、第1主面3の内方部において第1無機絶縁膜10から露出する部分からなり、平面視において内壁部11(コンタクト開口13)によって四角形状に区画されている。外側面17は、第1主面3の周縁部において第1無機絶縁膜10から露出する部分からなり、平面視において外壁部12(切欠き開口14)によって四角環状に区画されている。
【0036】
活性面16は、この形態では、隠蔽面15に対して第2半導体領域7の底部側(第2主面4側)に窪んでいる。活性面16は、具体的には、内壁部11(コンタクト開口13)を起点に隠蔽面15に対して第2半導体領域7の底部側に一段窪んでいる。活性面16は、法線方向Zに関して、ガード領域9の底部および隠蔽面15の間の深さ位置に形成されている。
【0037】
活性面16は、第2半導体領域7およびガード領域9の内縁部を露出させている。活性面16は、法線方向Zに関して隠蔽面15に対して0μmを超えて1μm以下(好ましくは0.5μm以下)の範囲で窪んでいることが好ましい。活性面16の表層部における第2半導体領域7のn型不純物濃度は、隠蔽面15の表層部における第2半導体領域7のn型不純物濃度よりも高い。
【0038】
外側面17は、この形態では、隠蔽面15に対して第2半導体領域7の底部側(第2主面4側)に窪んでいる。外側面17は、具体的には、外壁部12(切欠き開口14)を起点に隠蔽面15に対して第2半導体領域7の底部側に一段窪んでいる。外側面17は、法線方向Zに関して、ガード領域9の底部および隠蔽面15の間の深さ位置に形成されている。
【0039】
外側面17は、第2半導体領域7を露出させている。外側面17は、法線方向Zに関して隠蔽面15に対して0μmを超えて1μm以下(好ましくは0.5μm以下)の範囲で窪んでいることが好ましい。外側面17は、活性面16とほぼ同一の平面上に位置していることが好ましい。外側面17の表層部における第2半導体領域7のn型不純物濃度は、隠蔽面15の表層部における第2半導体領域7のn型不純物濃度よりも高い。
【0040】
SiC半導体装置1は、第1主面3の上に形成された第1主面電極20を含む。第1主面電極20は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。第1主面電極20は、ショットキ電極である。第1主面電極20は、第1主面3とショットキ接合を形成している。第1主面電極20は、具体的には、隠蔽面15に対して第2半導体領域7の底部側に窪んだ活性面16において、第2半導体領域7およびガード領域9の内縁部に電気的に接続されている。第1主面電極20は、活性面16において第2半導体領域7とショットキ接合を形成している。
【0041】
これにより、機能デバイスの一例としてのSiC-SBDが、活性面16に形成されている。SiC-SBDは、アノードとしての第1主面電極20、および、カソードとしての第2半導体領域7(第1半導体領域6および第3半導体領域8)を含む。
【0042】
第1主面電極20は、第1無機絶縁膜10の上に位置する電極側壁21を有している。電極側壁21は、平面視において第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)から第1無機絶縁膜10の内壁部11側(活性面16側)に間隔を空けて形成されている。電極側壁21は、具体的には、第1無機絶縁膜10の上において第1無機絶縁膜10の内壁部11および外壁部12の間に形成されている。
【0043】
電極側壁21は、この形態では、平面視においてガード領域9の外縁部から第1無機絶縁膜10の内壁部11側に間隔を空けて形成されている。電極側壁21は、第1無機絶縁膜10を挟んでガード領域9に対向している。電極側壁21は、第1主面電極20の主面から斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。電極側壁21は、この形態では、第1無機絶縁膜10に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0044】
第1主面電極20は、さらに具体的には、活性面16を被覆する本体部22、および、第1無機絶縁膜10を被覆する引き出し部23を含む。本体部22がショットキ電極部と称され、引き出し部23がフィールド電極部と称されてもよい。本体部22は、コンタクト開口13内に位置し、第2半導体領域7およびガード領域9の内縁部に電気的に接続されている。本体部22は、第1無機絶縁膜10よりも上方に突出するように活性面16からコンタクト開口13を埋め戻している。本体部22は、活性面16に沿ってほぼ平坦に延びている。
【0045】
引き出し部23は、本体部22から第1無機絶縁膜10の上に引き出され、第1無機絶縁膜10の上で電極側壁21を形成している。引き出し部23は、第1無機絶縁膜10に沿ってほぼ平坦に延びている。引き出し部23は、第1無機絶縁膜10を挟んでガード領域9に対向している。この形態では、引き出し部23の全体が、ガード領域9に対向している。
【0046】
引き出し部23は、第1主面電極20の周縁部において、本体部22よりも上方(SiCチップ2から離れる方向)に突出した突出部24を形成している。換言すると、第1主面電極20は、第1主面3を被覆する内方部(本体部22)、および、第1無機絶縁膜10を被覆し、内方部(本体部22)よりも上方に突出した突出部24(引き出し部23)を有する周縁部を含む。つまり、第1主面電極20の周縁部(本体部22および引き出し部23の間の領域)には、突出部24に起因した勾配(段差)が形成されている。
【0047】
第1主面電極20は、SiCチップ2側からこの順に積層された第1電極膜25、第2電極膜26および第3電極膜27を含む積層構造を有している。第1電極膜25は、活性面16、第1無機絶縁膜10の内壁部11(つまりコンタクト開口13)および第1無機絶縁膜10の主面に沿って膜状に形成されている。第1電極膜25は、ショットキバリア電極膜からなり、第1主面3(第2半導体領域7)とショットキ接合を形成している。第1電極膜25の電極材料は、第1主面3(第2半導体領域7)とショットキ接合が形成される限り任意である。
【0048】
第1電極膜25は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、および、金(Au)のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0049】
第1電極膜25は、前記金属種のうちの少なくとも1種を含む合金膜からなっていてもよい。第1電極膜25は、この形態では、チタン膜からなる。第1電極膜25は、第1電極厚さTE1を有している。第1電極厚さTE1は、50Å以上1000Å以下であってもよい。第1電極厚さTE1は、250Å以上500Å以下であることが好ましい。
【0050】
第2電極膜26は、第1電極膜25の主面に沿って膜状に形成されている。第2電極膜26は、金属バリア膜からなる。第2電極膜26は、この形態では、Ti系金属膜からなる。第2電極膜26は、チタン膜および窒化チタン膜のうちの少なくとも1種を含む。第2電極膜26は、チタン膜または窒化チタン膜からなる単層構造、もしくは、チタン膜および窒化チタン膜を任意の順序で含む積層構造を有していてもよい。
【0051】
第2電極膜26は、この形態では、窒化チタン膜からなる単層構造を有している。第2電極膜26は、第2電極厚さTE2を有している。第2電極厚さTE2は、500Å以上5000Å以下であってもよい。第2電極厚さTE2は、1500Å以上4500Å以下であることが好ましい。第2電極厚さTE2は、第1電極厚さTE1を超えている(TE1<TE2)ことが好ましい。
【0052】
第3電極膜27は、第2電極膜26の主面に沿って膜状に形成されている。第3電極膜27は、Cu系金属膜またはAl系金属膜からなる。第3電極膜27は、純Cu膜(純度が99%以上のCu膜)、純Al膜(純度が99%以上のAl膜)、AlCu合金膜、AlSi合金膜、および、AlSiCu合金膜のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第3電極膜27は、この形態では、AlCu合金膜からなる単層構造を有している。
【0053】
第3電極膜27は、第3電極厚さTE3を有している。第3電極厚さTE3は、0.5μm(=5000Å)以上10μm(=100000Å)以下であってもよい。第3電極厚さTE3は、2.5μm以上7.5μm以下であることが好ましい。第3電極厚さTE3は、第1電極厚さTE1および第2電極厚さTE2を超えている(TE1<TE3、TE2<TE3)ことが好ましい。第3電極厚さTE3は、第1電極厚さTE1および第2電極厚さTE2の和(=TE1+TE2)を超えている(TE1+TE2<TE3)ことが特に好ましい。
【0054】
SiC半導体装置1は、第2無機絶縁膜30を含む。第2無機絶縁膜30は、比較的高い緻密度を有する無機絶縁体からなり、水分(湿気)に対するバリア性(遮蔽性)を有している。たとえば、第1主面電極20の酸化物(この形態では酸化アルミニウム)は、第1主面電極20の電気的特性を低下させる。また、第1主面電極20の酸化物は、熱膨張によって第1主面電極20や他の構造物の部分的な剥離やクラック等を引き起こす一要因となる。
【0055】
第2無機絶縁膜30は、第1無機絶縁膜10および第1主面電極20のいずれか一方または双方を被覆することによって外部からの水分(湿気)を遮蔽し、SiCチップ2や第1主面電極20を酸化から保護する。第2無機絶縁膜30は、パッシベーション膜と称されてもよい。
【0056】
第2無機絶縁膜30は、複数の絶縁膜を含む積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。第2無機絶縁膜30は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第2無機絶縁膜30は、複数の酸化シリコン膜を含む積層構造、複数の窒化シリコン膜を含む積層構造、または、複数の酸窒化シリコン膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0057】
第2無機絶縁膜30は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも2種を任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。第2無機絶縁膜30は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる単層構造を有していてもよい。第2無機絶縁膜30は、この形態では、窒化シリコン膜からなる単層構造を有している。つまり、第2無機絶縁膜30は、第1無機絶縁膜10とは異なる絶縁体からなる。
【0058】
第2無機絶縁膜30は、第2絶縁厚さT2を有している。第2絶縁厚さT2は、0.05μm以上5μm以下であってもよい。第2絶縁厚さT2は、0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。第2絶縁厚さT2は、第1絶縁厚さT1以上(T1≦T2)であってもよい。第2絶縁厚さT2は、第1絶縁厚さT1未満(T1>T2)であることが好ましい。
【0059】
第2絶縁厚さT2は、第1電極膜25の第1電極厚さTE1および第2電極膜26の第2電極厚さTE2を超えている(TE1<T2、TE2<T2)ことが好ましい。第2絶縁厚さT2は、第1電極厚さTE1および第2電極厚さTE2の和(=TE1+TE2)を超えている(TE1+TE2<T2)ことが特に好ましい。第2絶縁厚さT2は、第3電極膜27の第3電極厚さTE3以下(TE3≧T2)であることが好ましい。第2絶縁厚さT2は、第3電極厚さTE3未満(TE3>T2)であることが特に好ましい。
【0060】
第2無機絶縁膜30は、この形態では、内被覆部31(電極被覆部)、外被覆部32(絶縁被覆部)および除去部33を含む。第2無機絶縁膜30は、内被覆部31および外被覆部32のうちの少なくとも一方を有していればよく、必ずしも内被覆部31および外被覆部32の双方を含む必要はない。第2無機絶縁膜30は、少なくとも内被覆部31を有していることが好ましい。第2無機絶縁膜30は、内被覆部31および外被覆部32の双方を含むことが最も好ましい。
【0061】
第2無機絶縁膜30の内被覆部31は、電極側壁21を露出させるように第1主面電極20を被覆している。内被覆部31は、第1主面電極20の内方部も露出させている。内被覆部31は、平面視において電極側壁21に沿って延びる帯状に形成されている。内被覆部31は、この形態では、平面視において第1主面電極20の内方部を取り囲む環状に形成されている。内被覆部31は、具体的には、平面視において電極側壁21(第1主面3の周縁)に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。
【0062】
内被覆部31は、第1主面電極20の周縁部を露出させるように電極側壁21から間隔を空けて第1主面電極20を被覆している。内被覆部31は、具体的には、第1主面電極20の引き出し部23(突出部24)を露出させるように、第1主面電極20の本体部22の上に形成されている。この場合、内被覆部31は、平面視において第1無機絶縁膜10の内壁部11から第1主面電極20の内方に間隔を空けて形成されていることが好ましい。内被覆部31は、さらに、引き出し部23(突出部24)から内方に間隔を空けて形成され、引き出し部23(突出部24)の全体を露出させていることが好ましい。
【0063】
内被覆部31は、この形態では、第1主面電極20の勾配(段差)を回避するように本体部22の主面に沿って延びる平坦な膜状に形成されている。内被覆部31の主面は、この形態では、引き出し部23の主面に対して本体部22の主面側に位置している。むろん、内被覆部31の主面は、引き出し部23の主面よりも上方に位置していてもよい。つまり、内被覆部31は、突出部24の厚さを超える厚さを有していてもよい。突出部24の厚さは、法線方向Zに関して、本体部22の主面および引き出し部23の主面の間の距離(厚さ)によって定義される。
【0064】
内被覆部31は、第1主面電極20を挟んで活性面16に対向している。内被覆部31は、この形態では、平面視において第1無機絶縁膜10の内壁部11から内方に間隔を空けて形成されている。したがって、内被覆部31は、第1主面電極20を挟んで第1無機絶縁膜10には対向していない。
【0065】
内被覆部31は、平面視においてガード領域9の内縁部から内方に間隔を空けて形成されている。内被覆部31は、第1主面電極20を挟んでガード領域9には対向していない。つまり、内被覆部31は、第1主面電極20を挟んで第2半導体領域7のみに対向している。むろん、内被覆部31は、第1主面電極20(引き出し部23)を挟んでガード領域9および第1無機絶縁膜10のいずれか一方または双方に対向していてもよい。
【0066】
内被覆部31は、第1主面電極20の内方部側の第1内壁部34、および、第1主面電極20の電極側壁21側の第1外壁部35を有している。第1内壁部34は、第1主面電極20の内方部を露出させる第1開口36を区画している。第1内壁部34(第1開口36)は、この形態では、平面視において電極側壁21に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0067】
第1内壁部34は、この形態では、引き出し部23(突出部24)から内方に間隔を空けて本体部22の上に形成されている。これにより、第1内壁部34は、本体部22の内方部を露出させる第1開口36を区画している。第1内壁部34は、第2無機絶縁膜30の主面から第1主面電極20の内方に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0068】
第1外壁部35は、第1主面電極20の周縁部を露出させるように電極側壁21から間隔を空けて第1主面電極20の上に形成されている。第1外壁部35は、具体的には、引き出し部23(突出部24)を露出させるように本体部22の上に形成されている。第1外壁部35は、さらに具体的には、引き出し部23(突出部24)から内方に間隔を空けて形成されている。これにより、第1外壁部35は、本体部22の一部および引き出し部23(突出部24)の全体を露出させている。
【0069】
第1外壁部35は、平面視において第1無機絶縁膜10の内壁部11から第1主面電極20の内方に間隔を空けて形成されている。第1外壁部35は、さらに、平面視においてガード領域9の内縁部から内方に間隔を空けて形成されている。第1外壁部35は、この形態では、平面視において電極側壁21に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。第1外壁部35は、第2無機絶縁膜30の主面から第1主面電極20の引き出し部23に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0070】
第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、電極側壁21を露出させるように第1無機絶縁膜10を被覆している。外被覆部32は、平面視において電極側壁21に沿って延びる帯状に形成されている。外被覆部32は、平面視において第1主面電極20(電極側壁21)を取り囲む環状に形成されている。外被覆部32は、具体的には、平面視において電極側壁21(第1主面3の周縁)に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。
【0071】
外被覆部32は、第1無機絶縁膜10の一部を露出させるように電極側壁21から第1主面3の周縁側に間隔を空けて第1無機絶縁膜10を被覆している。外被覆部32は、この形態では、第1無機絶縁膜10を挟んでガード領域9に対向している。外被覆部32は、平面視においてガード領域9の外縁部を横切るように延び、第1無機絶縁膜10を挟んでガード領域9外の第2半導体領域7に対向している。外被覆部32は、この形態では、第1無機絶縁膜10の上から外側面17に引き出されている。
【0072】
これにより、外被覆部32は、第1無機絶縁膜10を被覆する第1部分37および外側面17を直接被覆する第2部分38を含む。第1部分37は、第1無機絶縁膜10に沿って膜状に延び、第1無機絶縁膜10を挟んで隠蔽面15に対向している。つまり、第1部分37は、第1無機絶縁膜10を挟んで第2半導体領域7およびガード領域9に対向している。第1部分37の主面は、第1主面電極20の引き出し部23の主面に対して第1無機絶縁膜10側に位置している。第1部分37の主面は、この形態では、第1主面電極20の本体部22の主面に対して第1無機絶縁膜10側に位置している。
【0073】
第2部分38は、外側面17に沿って膜状に延び、外側面17を直接被覆している。つまり、第2部分38は、第2半導体領域7を直接被覆している。第2部分38の主面は、引き出し部23の主面に対して第1主面3(外側面17)側に位置している。第2部分38の主面は、本体部22の主面に対して第1主面3(外側面17)側に位置している。第2部分38の主面は、この形態では、第1無機絶縁膜10の主面および隠蔽面15の間に位置している。
【0074】
第2部分38は、この形態では、第1主面3(外側面17)の周縁部を露出させるように、第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)から第1無機絶縁膜10側に間隔を空けて形成されている。第2部分38は、第1主面3の周縁との間で第1主面3(外側面17)の周縁部が露出したダイシングストリート39を区画している。ダイシングストリート39は、第1主面3の周縁に沿って延びる四角環状に区画されている。ダイシングストリート39の幅は、5μm以上25μm以下であってもよい。ダイシングストリート39の幅は、ダイシングストリート39が延びる方向に直交する方向の幅である。
【0075】
外被覆部32は、電極側壁21側の第2内壁部40、および、第1主面3(外側面17)の周縁側の第2外壁部41を有している。第2内壁部40は、第1無機絶縁膜10を露出させるように電極側壁21から間隔を空けて第1無機絶縁膜10の上に形成されている。つまり、第2内壁部40は、平面視において第1無機絶縁膜10の内壁部11および外壁部12の間の領域に形成されている。
【0076】
第2内壁部40は、この形態では、平面視において電極側壁21およびガード領域9の外縁部の間の領域に形成されている。これにより、第2内壁部40は、第1無機絶縁膜10においてガード領域9を被覆する部分を露出させている。第2内壁部40は、この形態では、平面視において電極側壁21に平行な4辺を有する四角形状に形成され、第1主面電極20を取り囲んでいる。第2内壁部40は、第2無機絶縁膜30の主面から第1主面3の内方に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0077】
第2外壁部41は、この形態では、外側面17の上に形成されている。第2外壁部41は、平面視において第1無機絶縁膜10の外壁部12(切欠き開口14)および第1主面3の周縁の間の領域に形成され、第1主面3(外側面17)の周縁部を露出させている。第2外壁部41は、第2無機絶縁膜30の主面から第1主面3(外側面17)の周縁に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第2外壁部41は、第1主面3の周縁との間でダイシングストリート39を区画している。
【0078】
第2無機絶縁膜30の除去部33は、内被覆部31(第1外壁部35)および外被覆部32(第2内壁部40)の間に区画され、第1主面電極20の電極側壁21を露出させている。除去部33は、この形態では、平面視において電極側壁21に沿って延びる帯状に形成されている。除去部33は、具体的には、平面視において電極側壁21に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0079】
つまり、除去部33は、電極側壁21、第1主面電極20の引き出し部23(突出部24)および第1無機絶縁膜10の一部を、電極側壁21の全周に亘って露出させている。第2無機絶縁膜30では、内被覆部31が平坦な第1主面電極20の上に形成され、外被覆部32が平坦な第1無機絶縁膜10の上に形成されている。したがって、第2無機絶縁膜30では、電極側壁21に起因する段差が除去部33によって取り除かれている。
【0080】
SiC半導体装置1は、第1主面電極20の電極側壁21を被覆する有機絶縁膜50を含む。有機絶縁膜50は、第2無機絶縁膜30の硬度よりも低い硬度を有している。換言すると、有機絶縁膜50は、第2無機絶縁膜30の弾性率よりも小さい弾性率を有し、外力に対する緩衝材(保護膜)として機能する。有機絶縁膜50は、外力からSiCチップ2、第1主面電極20、第2無機絶縁膜30等を保護する。
【0081】
有機絶縁膜50は、感光性樹脂を含むことが好ましい。感光性樹脂は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプであってもよい。有機絶縁膜50は、ポリイミド膜、ポリアミド膜およびポリベンゾオキサゾール膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁膜50は、この形態では、ポリイミド膜を含む。
【0082】
有機絶縁膜50は、第3絶縁厚さT3を有している。第3絶縁厚さT3は、第2無機絶縁膜30の第2絶縁厚さT2を超えている(T2<T3)ことが好ましい。第3絶縁厚さT3は、第1主面電極20の総厚さ(=TE1+TE1+TE3)を超えている(TE1+TE1+TE3<T3)ことが特に好ましい。第3絶縁厚さT3は、1μm以上50μm以下であってもよい。第3絶縁厚さT3は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0083】
有機絶縁膜50は、電極側壁21において第1電極膜25、第2電極膜26および第3電極膜27を被覆している。有機絶縁膜50は、平面視において電極側壁21に沿って延びる帯状に形成されている。有機絶縁膜50は、この形態では、平面視において第1主面電極20の内方部を取り囲む環状に形成され、全周に亘って電極側壁21を被覆している。有機絶縁膜50は、具体的には、平面視において電極側壁21(第1主面3の周縁)に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。
【0084】
有機絶縁膜50は、第1主面電極20の縁部を被覆している。つまり、有機絶縁膜50は、電極側壁21から第2無機絶縁膜30の内被覆部31側に向けて延び、電極側壁21および内被覆部31の間から露出した第1主面電極20の周縁部を被覆している。有機絶縁膜50は、具体的には、第1主面電極20の引き出し部23(突出部24)を被覆している。有機絶縁膜50は、さらに、引き出し部23(突出部24)の上から第1主面電極20の本体部22側に向けて延び、本体部22の一部を被覆している。
【0085】
有機絶縁膜50は、さらに、引き出し部23(突出部24)の上から第2無機絶縁膜30の内被覆部31の上に向けて延び、内被覆部31を被覆している。有機絶縁膜50は、第1主面電極20の内方部を露出させるように内被覆部31を被覆している。有機絶縁膜50は、具体的には、内被覆部31の第1内壁部34を露出させるように内被覆部31を被覆している。有機絶縁膜50は、さらに具体的には、第1内壁部34から第1外壁部35側に間隔を空けて内被覆部31を被覆し、平面視において第1主面電極20の内方部および内被覆部31の縁部51を露出させている。
【0086】
有機絶縁膜50は、電極側壁21から第2無機絶縁膜30の外被覆部32に向けて延び、第1無機絶縁膜10において電極側壁21および外被覆部32の間から露出した部分を被覆している。有機絶縁膜50は、電極側壁21および外被覆部32の間において第1無機絶縁膜10を挟んでガード領域9に対向している。有機絶縁膜50は、さらに、第1無機絶縁膜10の上から外被覆部32の上に向けて延び、外被覆部32を被覆している。有機絶縁膜50は、第1主面3(外側面17)の周縁部を露出させるように、外被覆部32を被覆している。
【0087】
有機絶縁膜50は、具体的には、第2外壁部41を露出させるように外被覆部32を被覆している。有機絶縁膜50は、さらに具体的には、第2外壁部41から第2内壁部40側に間隔を空けて外被覆部32を被覆し、平面視において第1主面3(外側面17)の周縁部および外被覆部32の一部を露出させている。つまり、有機絶縁膜50は、外側面17を露出させるように外被覆部32の第1部分37および第2部分38を被覆している。
【0088】
有機絶縁膜50は、電極側壁21側の第3内壁部52、および、第3内壁部52とは反対側(第1主面3の周縁部側)の第3外壁部53を有している。第3内壁部52は、第1主面電極20の内方部を露出させる第2開口54を区画している。第3内壁部52(第2開口54)は、内被覆部31の第1内壁部34(第1開口36)に沿って延びている。第3内壁部52は、この形態では、平面視において内被覆部31の第1内壁部34に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0089】
第3内壁部52は、第1内壁部34から第1外壁部35側に間隔を空けて内被覆部31の上に形成され、第1主面電極20の内方部および内被覆部31の縁部51を露出させている。つまり、第2開口54は、第1主面電極20の内方部および内被覆部31の縁部51を露出させている。縁部51の露出幅WEは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。露出幅WEは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0090】
第3内壁部52(第2開口54)は、第1内壁部34(第1開口36)に連通し、第1内壁部34(第1開口36)と1つのパッド開口55を形成している。第3内壁部52は、有機絶縁膜50の主面から第1内壁部34に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第3内壁部52は、この形態では、内被覆部31に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0091】
第3外壁部53は、外側面17を露出させるように、第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)から外被覆部32側に間隔を空けて形成されている。第3外壁部53は、外被覆部32の第2外壁部41を露出させている。第3外壁部53は、具体的には、外被覆部32の周縁部を露出させるように第2外壁部41から第2内壁部40側に間隔を空けて形成されている。第3外壁部53は、外被覆部32の第2部分38の上に位置し、外被覆部32を挟んで外側面17に対向している。
【0092】
つまり、第3外壁部53は、第1無機絶縁膜10の外壁部12(切欠き開口14)および第1主面3の周縁の間に位置している。第3外壁部53は、第2外壁部41と共にダイシングストリート39を区画している。第3外壁部53は、この形態では、平面視において電極側壁21に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。第3外壁部53は、有機絶縁膜50の主面から外被覆部32の第2外壁部41に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第3外壁部53は、この形態では、外被覆部32に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0093】
このように、有機絶縁膜50は、第2無機絶縁膜30の内被覆部31および外被覆部32に跨って形成され、内被覆部31および外被覆部32の間の除去部33内において第1主面電極20の電極側壁21を被覆している。有機絶縁膜50は、具体的には、除去部33内において第1主面電極20の電極側壁21、第1主面電極20の本体部22の一部、第1主面電極20の引き出し部23(突出部24)、および、第1無機絶縁膜10の一部を被覆している。つまり、有機絶縁膜50は、除去部33内において、第1無機絶縁膜10、第1主面電極20および第2無機絶縁膜30によって形成された凹凸を埋めている。
【0094】
SiC半導体装置1は、第1主面電極20の内方部の上に形成されたパッド電極60を含む。パッド電極60は、外部接続用の端子電極であり、この形態では、めっき膜からなる。パッド電極60は、パッド開口55内において第1主面電極20の内方部の上に形成されたNiめっき膜61を含む。Niめっき膜61は、法線方向Zに関して有機絶縁膜50の主面から第1主面電極20側に間隔を空けて形成されている。Niめっき膜61は、第1開口36内において第1主面電極20の本体部22および内被覆部31の第1内壁部34を被覆している。
【0095】
Niめっき膜61は、第1主面電極20の本体部22の上から内被覆部31の縁部51の上に引き出されている。これにより、Niめっき膜61は、第2開口54内において内被覆部31の縁部51を被覆するめっき被覆部62を有している。めっき被覆部62は、縁部51の上において第1内壁部34を起点に有機絶縁膜50(第3内壁部52)に向かう円弧状に形成されている。
【0096】
めっき被覆部62は、この形態では、第2開口54内において有機絶縁膜50(第3内壁部52)を被覆している。めっき被覆部62は、有機絶縁膜50の第3内壁部52の中間部に対して第2無機絶縁膜30側の領域を被覆している。換言すると、めっき被覆部62は、第3内壁部52の露出面積が第3内壁部52の隠蔽面積を超えるように有機絶縁膜50を被覆している。このように、めっき被覆部62は、第1開口36の全部および第2開口54の一部を埋めている。
【0097】
Niめっき膜61は、第1めっき厚さTP1を有している。第1めっき厚さTP1は、第1主面電極20(本体部22)の主面を基準とするNiめっき膜61の厚さである。第1めっき厚さTP1は、第2無機絶縁膜30の第2絶縁厚さT2を超えている(T2<TP1)。第1めっき厚さTP1、有機絶縁膜50の第3絶縁厚さT3未満(TP1<T3)である。
【0098】
第1めっき厚さTP1は、第2無機絶縁膜30の第2絶縁厚さT2および第2無機絶縁膜30の露出幅WEの和(=T2+WE)を超えている(T2+WE<T4)。これは、Niめっき膜61が第3内壁部52に接するための1つの条件である。第1めっき厚さTP1は、0.1μm以上15μm以下であってもよい。第1めっき厚さTP1は、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0099】
パッド電極60は、Niめっき膜61とは異なる金属材料からなり、Niめっき膜61の外面を被覆する外めっき膜63を含む。外めっき膜63は、Niめっき膜61の外面に沿って膜状に形成されている。外めっき膜63は、第2開口54内において有機絶縁膜50の第3内壁部52を被覆している。
【0100】
外めっき膜63は、外部接続用の端子面64を有している。端子面64は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜50の主面(第2開口54の開口端)に対してNiめっき膜61側に位置している。これにより、外めっき膜63は、有機絶縁膜50の第3内壁部52の一部を露出させている。外めっき膜63は、第2めっき厚さTP2を有している。第2めっき厚さTP2は、Niめっき膜61の第1めっき厚さTP1未満(TP2<TP1)である。
【0101】
外めっき膜63は、この形態では、Niめっき膜61側からこの順に積層されたPdめっき膜65およびAuめっき膜66を含む積層構造を有している。Pdめっき膜65は、Niめっき膜61の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき膜65は、法線方向Zに関して、第2開口54の開口端から第2無機絶縁膜30側に間隔を空けてNiめっき膜61を被覆している。Pdめっき膜65は、第2開口54内において有機絶縁膜50の第3内壁部52を被覆している。Pdめっき膜65の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。
【0102】
Auめっき膜66は、Pdめっき膜65の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき膜66は、法線方向Zに関して、第2開口54の開口端から第2無機絶縁膜30側に間隔を空けてPdめっき膜65を被覆している。Auめっき膜66は、第2開口54内において有機絶縁膜50の第3内壁部52を被覆している。Auめっき膜66の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Auめっき膜66は、Pdめっき膜65の厚さ未満の厚さを有していることが好ましい。
【0103】
SiC半導体装置1は、第2主面4を被覆する第2主面電極70を含む。第2主面電極70は、第2主面4の全域を被覆し、第1~第4側面5A~5Dに連なっている。第2主面電極70は、第1半導体領域6(第2主面4)に電気的に接続されている。第2主面電極70は、具体的には、第1半導体領域6(第2主面4)とオーミック接触を形成している。
【0104】
第2主面電極70は、この形態では、第2主面4側からこの順に積層されたTi膜71、Ni膜72、Pd膜73、Au膜74およびAg膜75を含む。第2主面電極70は、少なくともTi膜71を含んでいればよく、Ni膜72、Pd膜73、Au膜74およびAg膜75の有無はそれぞれ任意である。第2主面電極70は、一例として、Ti膜71、Ni膜72およびAu膜74を含む積層構造を有していてもよい。
【0105】
以上、SiC半導体装置1(電子部品)は、第1無機絶縁膜10(被覆対象)、第1主面電極20(電極)、第2無機絶縁膜30、および、有機絶縁膜50を含む。第2無機絶縁膜30は、第1無機絶縁膜10を被覆し、第1無機絶縁膜10の上に電極側壁21を有している。第2無機絶縁膜30は、電極側壁21を露出させるように第1主面電極20を被覆する内被覆部31を有している。有機絶縁膜50は、電極側壁21を被覆している。
【0106】
電子部品は、用途に応じて様々な環境下で使用されるため、様々な使用環境条件に適合した耐久性が求められる。とりわけ、電子部品の一例としてのSiC半導体装置1は、SiCの物性(電気的特性)上、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車等のモータを駆動源とする車両等に搭載される。そのため、SiC半導体装置1では、過酷な使用環境条件に適合する優れた耐久性が求められる。電子部品の耐久性は、たとえば、高温高湿バイアス試験によって評価される。高温高湿バイアス試験では、高温高湿環境下に曝された状態で、電子部品の電気的動作が評価される。
【0107】
高温環境下では、第1主面電極20の熱膨張に起因する応力が第1主面電極20の電極側壁21の近傍で集中する。第2無機絶縁膜30が第1主面電極20の電極側壁21を被覆している場合、第1主面電極20の応力に起因して第2無機絶縁膜30が電極側壁21から剥離し、信頼性が低下する可能性がある。第2無機絶縁膜30の剥離が生じた場合、高湿環境下では、第2無機絶縁膜30の剥離部に侵入した水分(湿気)に起因して第1主面電極20等が酸化し、信頼性がさらに低下する可能性がある。
【0108】
そこで、SiC半導体装置1では、電極側壁21を露出させるように第2無機絶縁膜30が形成されている。これにより、第1主面電極20の応力に起因する第2無機絶縁膜30の剥離起点を削減できる。その結果、第1主面電極20の応力に起因する第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できる。よって、第1主面電極20を第2無機絶縁膜30によって適切に保護できる。
【0109】
一方、有機絶縁膜50は、電極側壁21を被覆している。有機絶縁膜50は、第2無機絶縁膜30と比較して低い硬度を有している。したがって、第1主面電極20に応力が生じたとしても、当該応力を弾性的に吸収できる。これにより、電極側壁21からの有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。その結果、電極側壁21を有機絶縁膜50によって保護できる。よって、信頼性を向上できるSiC半導体装置1を提供できる。SiC半導体装置1では、第1主面電極20やその周辺の信頼性が特に向上する。
【0110】
有機絶縁膜50は、内被覆部31を被覆していることが好ましい。この構造によれば、第1主面電極20からの第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できるので、第2無機絶縁膜30の剥離に起因する有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。したがって、内被覆部31を被覆する有機絶縁膜50を形成することによって、第2無機絶縁膜30および有機絶縁膜50の双方によって第1主面電極20を保護できる。
【0111】
内被覆部31は、第1主面電極20の周縁部を露出させるように電極側壁21から間隔を空けて第1主面電極20を被覆していることが好ましい。この構造によれば、内被覆部31に対する第1主面電極20の応力の影響を低減できる。この場合、内被覆部31は、引き出し部23(突出部24)を露出させていることが好ましい。この構造によれば、内被覆部31に対する引き出し部23(突出部24)の応力の影響を低減できる。
【0112】
これらの場合、有機絶縁膜50は、第1主面電極20において電極側壁21および内被覆部31の間から露出した部分を被覆していることが好ましい。この構造によれば、第1主面電極20において第2無機絶縁膜30から露出した部分を有機絶縁膜50によって保護できる。内被覆部31は、第1主面電極20の内方部を露出させていることが好ましい。この構造によれば、第1主面電極20のコンタクト部を確保できる。この場合、内被覆部31は、第1主面電極20の内方部を取り囲んでいることが好ましい。
【0113】
第2無機絶縁膜30は、第1主面電極20の電極側壁21を露出させるように第1無機絶縁膜10を被覆する外被覆部32を有していることが好ましい。この構造によれば、第1主面電極20外の領域において、第1主面電極20の応力に起因する第1無機絶縁膜10からの第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できる。これにより、第1主面電極20外の領域から第2無機絶縁膜30によって第1主面電極20を保護できる。
【0114】
有機絶縁膜50は、外被覆部32を被覆していることが好ましい。この構造によれば、第1無機絶縁膜10からの第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できるので、第2無機絶縁膜30の剥離に起因する有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。したがって、外被覆部32を被覆する有機絶縁膜50を形成することによって、第2無機絶縁膜30および有機絶縁膜50の双方によって第1主面電極20を保護できる。
【0115】
外被覆部32は、第1主面電極20の電極側壁21から間隔を空けて第1無機絶縁膜10を被覆していることが好ましい。この構造によれば、外被覆部32に対する第1主面電極20の応力の影響を低減できる。有機絶縁膜50は、第1無機絶縁膜10において電極側壁21および外被覆部32の間から露出した部分を被覆していることが好ましい。この構造によれば、第1無機絶縁膜10において電極側壁21および外被覆部32の間から露出した部分を有機絶縁膜50によって保護できる。外被覆部32は、平面視において第1主面電極20を取り囲んでいることが好ましい。この構造によれば、第1主面電極20外の領域から第2無機絶縁膜30によって第1主面電極20を適切に保護できる。
【0116】
SiC半導体装置1(電子部品)は、第1主面電極20(電極)、第2無機絶縁膜30、有機絶縁膜50、および、パッド電極60を含む。第1主面電極20は、電極側壁21を有している。第2無機絶縁膜30は、第1主面電極20の内方部および第1主面電極20の電極側壁21を露出させるように第1主面電極20を被覆している。
【0117】
有機絶縁膜50は、第1主面電極20の電極側壁21を被覆し、第1主面電極20の内方部を露出させている。パッド電極60は、第1主面電極20の内方部の上に形成されている。この構造によれば、第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できる。したがって、第2無機絶縁膜30の剥離に起因するパッド電極60の剥離も抑制できる。よって、信頼性を向上できるSiC半導体装置1を提供できる。SiC半導体装置1では、第1主面電極20やその周辺の信頼性が特に向上する。
【0118】
第2無機絶縁膜30は、平面視において電極側壁21に沿って帯状に延びていることが好ましい。この場合、第2無機絶縁膜30は、平面視において第1主面電極20の内方部を取り囲んでいることが特に好ましい。この構造によれば、第2無機絶縁膜30によって第1主面電極20を適切に保護できる。
【0119】
パッド電極60は、第2無機絶縁膜30に接していることが好ましい。この構造によれば、第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できるから、第2無機絶縁膜30に接するパッド電極60を適切に形成できる。これにより、下地に対するパッド電極60の接続面積を適切に増加させることができるから、パッド電極60の剥離を適切に抑制できる。
【0120】
有機絶縁膜50は、第1主面電極20の上において第2無機絶縁膜30を被覆していることが好ましい。この構造によれば、第1主面電極20からの第2無機絶縁膜30の剥離を抑制できるので、第2無機絶縁膜30の剥離に起因する有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。したがって、内被覆部31を被覆する有機絶縁膜50を形成することによって、第2無機絶縁膜30および有機絶縁膜50の双方によって第1主面電極20およびパッド電極60を保護できる。
【0121】
この構造において、パッド電極60は、有機絶縁膜50に接していることが好ましい。この構造によれば、有機絶縁膜50の剥離を抑制できるので、有機絶縁膜50の剥離に起因するパッド電極60の剥離を抑制できる。また、下地に対するパッド電極60の接続面積を増加させることができるから、パッド電極60の剥離を抑制できる。
【0122】
有機絶縁膜50は、第1主面電極20の内方部側において第2無機絶縁膜30の縁部51を露出させるように第2無機絶縁膜30を被覆していることが好ましい。この場合、パッド電極60は、第2無機絶縁膜30の縁部51を被覆していることが好ましい。この構造によれば、下地に対するパッド電極60の接続面積を増加させることができるから、パッド電極60の剥離を適切に抑制できる。
【0123】
この場合、パッド電極60は、Niめっき膜61を含むことが好ましい。Niめっき膜61は、第2無機絶縁膜30に対して良好な密着性を有している。したがって、第2無機絶縁膜30の縁部51を被覆するNiめっき膜61を形成することによって、パッド電極60の剥離を適切に抑制できる。
【0124】
Niめっき膜61は、有機絶縁膜50の第3内壁部52の中間部に対して第2無機絶縁膜30側の領域を被覆していることが好ましい。つまり、Niめっき膜61は、第3内壁部52の隠蔽面積が第3内壁部52の露出面積未満になるように有機絶縁膜50を被覆していることが好ましい。
【0125】
パッド電極60は、Niめっき膜61の外面を被覆する外めっき膜63を含んでいてもよい。この構造によれば、Niめっき膜61の剥離を抑制できるので、Niめっき膜61の剥離に起因する外めっき膜63の剥離を抑制できる。よって、外めっき膜63によってNiめっき膜61を適切に被覆できる。外めっき膜63は、Pdめっき膜65およびAuめっき膜66のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0126】
第2無機絶縁膜30は、
図5A~
図5Fに示される種々の形態を採り得る。
図5Aは、
図2に対応し、SiC半導体装置1の内部構造を第2形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。以下、
図1~
図4に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0127】
図5Aを参照して、第2無機絶縁膜30の内被覆部31は、第1主面電極20を露出させる内開口部76を有している。内開口部76は、第1内壁部34および第1外壁部35から間隔を空けて内被覆部31の内方部に形成されている。内開口部76は、第1内壁部34および第1外壁部35に沿って延びる帯状に形成されている。内開口部76は、この形態では、第1内壁部34および第1外壁部35に沿って延びる環状(具体的には四角環状)に形成されている。内開口部76は、第1主面電極20の引き出し部23(突出部24)から間隔を空けて第1主面電極20の本体部22を露出させている。
【0128】
有機絶縁膜50は、内被覆部31の上から内開口部76に入り込み、第1主面電極20において内開口部76から露出した部分を被覆している。有機絶縁膜50において第2無機絶縁膜30の内開口部76内に位置する部分は、アンカー部を形成している。これにより、第2無機絶縁膜30に対する有機絶縁膜50の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜30からの有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。
【0129】
図5Bは、
図2に対応し、SiC半導体装置1の内部構造を第3形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。以下、
図1~
図4に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0130】
図5Bを参照して、第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、第1無機絶縁膜10を露出させる外開口部77を有している。外開口部77は、第2内壁部40および第2外壁部41から間隔を空けて外被覆部32の内方部に形成されている。外開口部77は、第2内壁部40および第2外壁部41に沿って延びる帯状に形成されている。外開口部77は、この形態では、第2内壁部40および第2外壁部41に沿って延びる環状(具体的には四角環状)に形成されている。
【0131】
有機絶縁膜50は、外被覆部32の上から外開口部77に入り込み、第1無機絶縁膜10において外開口部77から露出した部分を被覆している。有機絶縁膜50において外開口部77内に位置する部分は、アンカー部を形成している。これにより、第2無機絶縁膜30に対する有機絶縁膜50の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜30からの有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。
【0132】
図5Cは、
図2に対応し、SiC半導体装置1の内部構造を第4形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。以下、
図1~
図4に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0133】
図5Cを参照して、第2無機絶縁膜30の内被覆部31は、第1主面電極20を露出させる内開口部76を有している(
図5Aも併せて参照)。第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、第1無機絶縁膜10を露出させる外開口部77を有している(
図5Bも併せて参照)。有機絶縁膜50において内開口部76内に位置する部分、および、外開口部77内に位置する部分は、アンカー部をそれぞれ形成している。これにより、第1主面電極20の内方部および外方部において第2無機絶縁膜30からの有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。
【0134】
図5Dは、
図2に対応し、SiC半導体装置1の内部構造を第5形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。以下、
図1~
図4に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0135】
図5Dを参照して、第2無機絶縁膜30の内被覆部31は、第1主面電極20を露出させる複数の内開口部76を有している。複数の内開口部76は、第1内壁部34および第1外壁部35から間隔を空けて内被覆部31の内方部にそれぞれ形成されている。複数の内開口部76は、第1内壁部34(第1外壁部35)に沿って間隔を空けて形成されている。
【0136】
各内開口部76は、この形態では、平面視において第1内壁部34に沿って延びる帯状に形成されている。各内開口部76の平面形状は任意である。各内開口部76は、平面視において多角形状や円形状に形成されていてもよい。各内開口部76は、第1主面電極20の引き出し部23(突出部24)から間隔を空けて第1主面電極20の本体部22を露出させている。
【0137】
第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、第1無機絶縁膜10を露出させる複数の外開口部77を有している。複数の外開口部77は、第2内壁部40および第2外壁部41から間隔を空けて外被覆部32の内方部にそれぞれ形成されている。複数の外開口部77は、第2内壁部40(第2外壁部41)に沿って間隔を空けて形成されている。各外開口部77は、この形態では、平面視において第2内壁部40に沿って延びる帯状に形成されている。各外開口部77の平面形状は任意である。各外開口部77は、平面視において多角形状や円形状に形成されていてもよい。
【0138】
有機絶縁膜50において複数の内開口部76内に位置する部分、および、複数の外開口部77内に位置する部分は、アンカー部をそれぞれ形成している。これにより、第2無機絶縁膜30に対する有機絶縁膜50の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜30からの有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。
【0139】
この形態では、内被覆部31が複数の内開口部76を有し、外被覆部32が複数の外開口部77を有している例が説明された。しかし、内被覆部31は、有端状に形成された1つの内開口部76のみを有していてもよい。また、外被覆部32は、有端状に形成された1つの外開口部77のみを有していてもよい。また、外被覆部32が外開口部77を有さない一方で、内被覆部31が少なくとも1つの内開口部76を有していてもよい。また、内被覆部31が内開口部76を有さない一方で、外被覆部32が少なくとも1つの外開口部77を有していてもよい。
【0140】
図5Eは、
図2に対応し、SiC半導体装置1の内部構造を第6形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。以下、
図1~
図4に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0141】
図5Eを参照して、第2無機絶縁膜30の内被覆部31は、第1主面電極20の角部(四隅)を露出させるように第1主面電極20の上に形成されている。内被覆部31は、具体的には、第1形態例に係る内被覆部31(
図2参照)の角部(四隅)を除去した形態を有し、第1主面電極20の角部(四隅)を露出させている。つまり、内被覆部31は、第1主面電極20の上に間隔を空けて形成された複数の内セグメント部78を含む。各内セグメント部78は、電極側壁21の各辺に対して一対一の対応関係で形成され、電極側壁21の各辺に沿って帯状に延びている。
【0142】
第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、第1無機絶縁膜10において第1主面電極20の角部に沿う部分を露出させるように第1無機絶縁膜10の上に形成されている。外被覆部32は、具体的には、第1形態例に係る外被覆部32(
図2参照)の角部(四隅)を除去した形態を有し、第1無機絶縁膜10において第1主面電極20の角部に沿う部分を露出させている。つまり、外被覆部32は、第1無機絶縁膜10の上に形成された複数の外セグメント部79を含む。各外セグメント部79は、電極側壁21の各辺に対して一対一の対応関係で形成され、電極側壁21の各辺に沿って帯状に延びている。
【0143】
有機絶縁膜50は、第1主面電極20の上において、内被覆部31の複数の内セグメント部78を被覆している。また、有機絶縁膜50は、第1主面電極20の角部(四隅)を被覆している。有機絶縁膜50は、第1無機絶縁膜10の上において、外被覆部32の複数の外セグメント部79を被覆している。また、有機絶縁膜50は、第1無機絶縁膜10において第1主面電極20の角部に沿う部分を被覆している。
【0144】
このような構造によっても、第2無機絶縁膜30に対する有機絶縁膜50の接触面積を増加させることができる。よって、第2無機絶縁膜30からの有機絶縁膜50の剥離を抑制できる。第1主面電極20の角部(四隅)では、熱膨張に起因する応力が集中しやすい。したがって、第1主面電極20の角部(四隅)を露出させるように第2無機絶縁膜30を形成することによって、第2無機絶縁膜30に対する第1主面電極20の応力の影響を低減できる。
【0145】
この形態では、内被覆部31が4つの内セグメント部78を有し、外被覆部32が4つの外セグメント部79を有している例が説明された。しかし、内被覆部31は、有端状に形成された少なくとも1つの内セグメント部78を有していてもよい。また、外被覆部32は、有端状に形成された少なくとも1つの外セグメント部79を有していてもよい。また、外被覆部32が外セグメント部79を有さない一方で、内被覆部31が少なくとも1つの内セグメント部78を有していてもよい。また、内被覆部31が内セグメント部78を有さない一方で、外被覆部32が少なくとも1つの外セグメント部79を有していてもよい。
【0146】
図5Fは、
図2に対応し、SiC半導体装置1の内部構造を第7形態例に係る第2無機絶縁膜30と共に示す平面図である。以下、
図1~
図4に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0147】
図5Fを参照して、第2無機絶縁膜30の内被覆部31は、第6形態例に係る第2無機絶縁膜30と同様に、第1主面電極20の角部(四隅)を露出させる複数の内セグメント部78を含む。複数の内セグメント部78は、この形態では、電極側壁21の各辺に対して一対多の対応関係で形成され、電極側壁21の各辺に沿って間隔を空けて形成されている。各内セグメント部78の平面形状は任意である。各内セグメント部78は、平面視において四角形状、多角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0148】
第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、第6形態例に係る第2無機絶縁膜30と同様に、第1無機絶縁膜10おいて第1主面電極20の角部に沿う部分を露出させる複数の外セグメント部79を含む。複数の外セグメント部79は、この形態では、電極側壁21の各辺に対して一対多の対応関係で形成され、電極側壁21の各辺に沿って間隔を空けて形成されている。各外セグメント部79の平面形状は任意である。各外セグメント部79は、平面視において四角形状、多角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0149】
この形態では、内被覆部31が複数の内セグメント部78を有し、外被覆部32が複数の外セグメント部79を有している例が説明された。しかし、外被覆部32が外セグメント部79を有さない一方で、内被覆部31が複数の内セグメント部78を有していてもよい。また、内被覆部31が内セグメント部78を有さない一方で、外被覆部32が複数の外セグメント部79を有していてもよい。
【0150】
図6A~
図6Nは、
図1に示すSiC半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【0151】
図6Aを参照して、第1半導体領域6のベースとなるSiCウエハ81(ウエハ/半導体ウエハ)が用意される。次に、エピタキシャル成長法によって、SiCウエハ81の一方面から半導体結晶(この形態ではSiC)が結晶成長される。これにより、所定のn型不純物濃度を有する第3半導体領域8および所定のn型不純物濃度を有する第2半導体領域7が、SiCウエハ81の上にこの順に形成される。第3半導体領域8および第2半導体領域7は、この形態では、SiCエピタキシャル層からそれぞれなる。
【0152】
以下では、第1半導体領域6(SiCウエハ81)、第3半導体領域8および第2半導体領域7を含むウエハ構造物をSiCエピウエハ82という。SiCエピウエハ82は、一方側の第1ウエハ主面83および他方側の第2ウエハ主面84を有している。第1ウエハ主面83および第2ウエハ主面84は、SiCチップ2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している。
【0153】
次に、複数のデバイス領域85、および、複数のデバイス領域85を区画する切断予定ライン86が、第1ウエハ主面83に設定される。複数のデバイス領域85は、たとえば、平面視において第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて行列状に設定される。切断予定ライン86は、平面視において複数のデバイス領域85の配列に応じた格子状に設定される。
図6Aでは、1つのデバイス領域85が示され、切断予定ライン86が一点鎖線によって示されている(以下、
図6B~
図6Nにおいて同じ。)。
【0154】
次に、
図6Bを参照して、第1無機絶縁膜10のベースとなる第1ベース絶縁膜87が、第1ウエハ主面83の上に形成される。第1ベース絶縁膜87は、この形態では、酸化シリコン膜からなる。第1ベース絶縁膜87は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法および/または熱酸化処理法によって形成されてもよい。第1ベース絶縁膜87は、この形態では、熱酸化処理法によって形成される。
【0155】
つまり、第1ベース絶縁膜87は、SiCエピウエハ82(具体的には第2半導体領域7)の酸化物を含むフィールド酸化膜からなる。第1ベース絶縁膜87は、第1ウエハ主面83の近傍のn型不純物を吸収しながら成長する。したがって、第1ベース絶縁膜87は第2半導体領域7のn型不純物を含む。
【0156】
次に、
図6Cを参照して、第1ベース絶縁膜87の上に、所定パターンを有する第1レジストマスク88が形成される。第1レジストマスク88は、第1ウエハ主面83においてガード領域9を形成すべき領域を露出させる開口を有している。次に、第1レジストマスク88を介するイオン注入法によって第1ウエハ主面83の表層部にp型不純物が導入される。p型不純物は、第1ベース絶縁膜87を介して第1ウエハ主面83の表層部に導入される。これにより、ガード領域9が形成される。ガード領域9の形成後、第1レジストマスク88は除去される。
【0157】
次に、
図6Dを参照して、第1ベース絶縁膜87の上に、所定パターンを有する第2レジストマスク89が形成される。第2レジストマスク89は、第1ベース絶縁膜87において第1無機絶縁膜10を形成すべき領域を被覆し、それ以外の領域を露出させる開口を有している。次に、第2レジストマスク89を介するエッチング法によって、第1ベース絶縁膜87の不要な部分が除去される。
【0158】
エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。第1ベース絶縁膜87は、第1ウエハ主面83が露出するまで除去される。これにより、コンタクト開口13および切欠き開口14を有し、かつ、第1ウエハ主面83において隠蔽面15、活性面16および外側面17を区画する第1無機絶縁膜10が形成される。
【0159】
この工程では、第1ウエハ主面83において第1無機絶縁膜10から露出する部分も部分的に除去される。つまり、活性面16の表層部および外側面17の表層部が部分的に除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、隠蔽面15に対して第2半導体領域7の底部側に窪んだ活性面16および外側面17が形成される。
【0160】
次に、
図6Eを参照して、第1主面電極20のベースとなるベース電極膜90が、第1ウエハ主面83の上に形成される。ベース電極膜90は、第1無機絶縁膜10の全域を被覆するように第1ウエハ主面83の上に形成される。ベース電極膜90は、コンタクト開口13から露出する活性面16とショットキ接合を形成する。
【0161】
ベース電極膜90は、第1ウエハ主面83側からこの順に積層された第1電極膜25、第2電極膜26および第3電極膜27を含む積層構造を有している。第1電極膜25は、第1ウエハ主面83とショットキ接合を形成する種々の金属によって形成される。第1電極膜25は、この形態では、チタン膜からなる。第2電極膜26は、Ti系金属膜(この形態では窒化チタン膜)からなる。
【0162】
第3電極膜27は、Cu系金属膜またはAl系金属膜(この形態ではAlCu合金膜)からなる。第1電極膜25、第2電極膜26および第3電極膜27は、スパッタ法、蒸着法およびめっき法のうちの少なくとも1つの方法によって形成されてもよい。第1電極膜25、第2電極膜26および第3電極膜27は、この形態では、スパッタ法によってそれぞれ形成されている。
【0163】
次に、
図6Fを参照して、所定パターンを有する第3レジストマスク91が、ベース電極膜90の上に形成される。第3レジストマスク91は、ベース電極膜90において第1主面電極20を形成すべき領域を被覆し、それ以外の領域を露出させる開口を有している。次に、第3レジストマスク91を介するエッチング法によってベース電極膜90の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1主面電極20が形成される。第1主面電極20の形成後、第3レジストマスク91は除去される。
【0164】
次に、
図6Gを参照して、第2無機絶縁膜30のベースとなる第2ベース絶縁膜92が、第1無機絶縁膜10および第1主面電極20を被覆するように第1ウエハ主面83の上に形成される。第2ベース絶縁膜92は、この形態では、窒化シリコン膜からなる。第2ベース絶縁膜92は、CVD法によって形成されてもよい。
【0165】
次に、
図6Hを参照して、所定パターンを有する第4レジストマスク93が、第2ベース絶縁膜92の上に形成される。第4レジストマスク93は、第2ベース絶縁膜92において第2無機絶縁膜30を形成すべき領域を被覆し、それ以外の領域を露出させる開口を有している。第4レジストマスク93は、具体的には、第2ベース絶縁膜92において第2無機絶縁膜30の内被覆部31および外被覆部32となる部分を被覆し、第2ベース絶縁膜92において第2無機絶縁膜30の除去部33およびダイシングストリート39となる部分を露出させている。
【0166】
次に、第4レジストマスク93を介するエッチング法によって第2ベース絶縁膜92の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、内被覆部31、外被覆部32および除去部33を有する第2無機絶縁膜30が形成される。第2無機絶縁膜30の外被覆部32は、第1ウエハ主面83の上において切断予定ライン86を露出させるダイシングストリート39を区画する。第2無機絶縁膜30の形成後、第4レジストマスク93は除去される。
【0167】
次に、
図6Iを参照して、有機絶縁膜50が、第1主面電極20、第1無機絶縁膜10および第2無機絶縁膜30を被覆するように第1ウエハ主面83の上に形成される。有機絶縁膜50は、感光性樹脂を第1ウエハ主面83の上に塗布することによって形成される。有機絶縁膜50は、この形態では、ポリイミド膜からなる。
【0168】
次に、
図6Jを参照して、有機絶縁膜50が、第2開口54およびダイシングストリート39に対応したパターンで露光された後、現像される。これにより、第1主面電極20を露出させる第2開口54、および、切断予定ライン86に沿って格子状に延びるダイシングストリート39が有機絶縁膜50に形成される。
【0169】
次に、
図6Kを参照して、パッド電極60が第1主面電極20において第1開口36および第2開口54から露出する部分の上に形成される。パッド電極60は、この形態では、第1主面電極20側からこの順に積層されたNiめっき膜61、Pdめっき膜65およびAuめっき膜66を含む。Niめっき膜61、Pdめっき膜65およびAuめっき膜66は、電解めっき法または無電解めっき法(この形態では無電解めっき法)によってそれぞれ形成される。
【0170】
次に、
図6Lを参照して、SiCエピウエハ82が、第2ウエハ主面84に対する研削によって所望の厚さになるまで薄化される。研削工程は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって実施されてもよい。これにより、第2ウエハ主面84に研削痕が形成される。第2ウエハ主面84の研削工程は必ずしも実施される必要はなく、必要に応じて省略されてもよい。
【0171】
ただし、第1半導体領域6の薄化は、SiCチップ2の抵抗値を削減する上で有効である。第2ウエハ主面84の研削工程後、第2ウエハ主面84に対してアニール処理が実施されてもよい。アニール処理は、レーザ照射法によって実施されてもよい。これにより、第2ウエハ主面84(第2主面4)が、研削痕およびレーザ照射痕を有するオーミック面となる。
【0172】
次に、
図6Mを参照して、第2主面電極70が、第2ウエハ主面84の上に形成される。第2主面電極70は、第2ウエハ主面84とオーミック接触を形成する。第2主面電極70は、第2ウエハ主面84側からこの順に積層されたTi膜71、Ni膜72、Pd膜73、Au膜74およびAg膜75を含む積層構造を有している。Ti膜71、Ni膜72、Pd膜73、Au膜74およびAg膜75は、スパッタ法、蒸着法およびめっき法のうちの少なくとも1つの方法(この形態ではスパッタ法)によって形成されてもよい。
【0173】
次に、
図6Nを参照して、SiCエピウエハ82が、切断予定ライン86に沿って切断される。SiCエピウエハ82の切断工程は、ダイシングブレードによる切削工程を含んでいてもよい。この場合、SiCエピウエハ82は、ダイシングストリート39によって区画された切断予定ライン86に沿って切断される。ダイシングブレードは、ダイシングストリート39の幅未満のブレード幅を有していることが好ましい。第1無機絶縁膜10、第2無機絶縁膜30および有機絶縁膜50は、切断予定ライン86上に位置していないので、ダイシングブレードによる切削から免れる。
【0174】
SiCエピウエハ82の切断工程は、レーザ光照射法を利用した劈開工程を含んでいてもよい。この場合、レーザ光照射装置(図示せず)からダイシングストリート39を介してSiCエピウエハ82の内部にレーザ光が照射される。レーザ光は、第2主面電極70を有さない第1ウエハ主面83側からSiCエピウエハ82の内部にパルス状に照射されることが好ましい。レーザ光の集光部(焦点)はSiCエピウエハ82の内部(厚さ方向途中部)に設定され、レーザ光の照射位置はダイシングストリート39(具体的には切断予定ライン86)に沿って移動される。
【0175】
これにより、平面視においてダイシングストリート39に沿って格子状に延びる改質層が、SiCエピウエハ82の内部に形成される。改質層は、SiCエピウエハ82の内部において第1ウエハ主面83から間隔を空けて形成されることが好ましい。改質層は、SiCエピウエハ82の内部において第1半導体領域6(SiCウエハ81)からなる部分に形成されることが好ましい。改質層は、第2半導体領域7(SiCエピタキシャル層)から間隔を空けて第1半導体領域6(SiCウエハ81)に形成されることが特に好ましい。改質層は、第2半導体領域7(SiCエピタキシャル層)に形成されないことが最も好ましい。
【0176】
改質層の形成工程後、SiCエピウエハ82に外力が加えられ、改質層を起点にSiCエピウエハ82が劈開される。外力は第2ウエハ主面84側からSiCエピウエハ82に加えられることが好ましい。第2主面電極70は、SiCエピウエハ82の劈開と同時に劈開される。第1無機絶縁膜10、第2無機絶縁膜30および有機絶縁膜50は、切断予定ライン86上に位置していないので、劈開から免れる。以上を含む工程を経て、SiC半導体装置1が製造される。
【0177】
図7は、
図4に対応し、本発明の第2実施形態に係るSiC半導体装置101を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0178】
図7を参照して、第2実施形態に係るSiC半導体装置101では、Niめっき膜61のめっき被覆部62が、有機絶縁膜50の第3内壁部52から間隔を空けて内被覆部31の縁部51を被覆している。めっき被覆部62は、縁部51の一部および第3内壁部52の全域を露出させている。めっき被覆部62は、縁部51の上において第1内壁部34を起点に第3内壁部52に向かう円弧状に形成されている。
【0179】
Niめっき膜61の第1めっき厚さTP1は、この形態では、第2無機絶縁膜30の第2絶縁厚さT2および第2無機絶縁膜30の露出幅WEの和(=T2+WE)未満(T2+WE>TP1)である。これは、Niめっき膜61が第3内壁部52に接しないための1つの条件である。一方、外めっき膜63は、この形態では、第2開口54内において第3内壁部52から間隔を空けて縁部51を被覆している。外めっき膜63は、縁部51の一部および第3内壁部52の全域を露出させている。
【0180】
以上、SiC半導体装置101によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。この形態では、第3内壁部52の全域を露出させる外めっき膜63が形成された例が説明された。しかし、第3内壁部52の一部を被覆する外めっき膜63が形成されてもよい。この場合、Pdめっき膜65およびAuめっき膜66のいずれか一方または双方が第3内壁部52の一部を被覆していてもよい。
【0181】
図8は、
図4に対応し、本発明の第3実施形態に係るSiC半導体装置111を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0182】
図8を参照して、第3実施形態に係るSiC半導体装置111では、第1無機絶縁膜10が第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に連なっている。したがって、第1無機絶縁膜10は、第1主面3において外側面17を区画していない。第1無機絶縁膜10は、第1主面3において隠蔽面15および活性面16のみを区画している。第2無機絶縁膜30において、外被覆部32の全体は、第1無機絶縁膜10の上に形成されている。
【0183】
外被覆部32の第2外壁部41は、この形態では、平面視においてガード領域9の外縁部および第1主面3の周縁の間の領域に形成され、第1無機絶縁膜10の周縁部を露出させている。これにより、外被覆部32は、第1無機絶縁膜10を挟んで第2半導体領域7およびガード領域9に対向している。第2外壁部41は、第1主面3の周縁との間で第1無機絶縁膜10の周縁部を露出させるダイシングストリート39を区画している。
【0184】
以上、SiC半導体装置111によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0185】
図9は、
図4に対応し、本発明の第4実施形態に係るSiC半導体装置121を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0186】
図9を参照して、第4実施形態に係るSiC半導体装置121では、第1無機絶縁膜10が第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に連なっている。したがって、第1無機絶縁膜10は、第1主面3において外側面17を区画していない。第1無機絶縁膜10は、第1主面3において隠蔽面15および活性面16のみを区画している。
【0187】
第2無機絶縁膜30は、第1主面3の周縁(第1~第4側面5A~5D)に連なるように第1無機絶縁膜10の上に形成されている。したがって、第2無機絶縁膜30は、この形態では、第1主面3の周縁との間でダイシングストリート39を区画していない。有機絶縁膜50(第3外壁部53)は、この形態では、平面視において第1主面3の周縁から内方に間隔を空けて形成され、第2無機絶縁膜30が露出したダイシングストリート39を区画している。
【0188】
以上、SiC半導体装置121によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0189】
図10は、
図4に対応し、本発明の第5実施形態に係るSiC半導体装置131を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0190】
図10を参照して、第5実施形態に係るSiC半導体装置131では、活性面16および外側面17が隠蔽面15とほぼ同一平面上に位置している。このような形態を有する隠蔽面15、活性面16および外側面17は、たとえば、前述の第1ベース絶縁膜87の形成工程(
図6B参照)において、第1ベース絶縁膜87をCVD法によって形成することによって形成される。この場合、第1ウエハ主面83の酸化が抑制されるため、前述の第1ベース絶縁膜87の除去工程(
図6D参照)において第1ウエハ主面83が部分的に除去されることを抑制できる。
【0191】
以上、SiC半導体装置131によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。活性面16および外側面17が隠蔽面15とほぼ同一平面上に位置する形態は、第1実施形態の他、第2~第4実施形態にも適用できる。
【0192】
図11は、本発明の第6実施形態に係るSiC半導体装置201を示す平面図である。
図12は、
図11に示すSiC半導体装置201の内部構造を第1形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。
図13は、
図11に示す領域XIIIの拡大図である。
図14は、
図13に示すXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15は、
図11に示すXV-XV線に沿う断面図である。
図16は、
図11に示すXVI-XVI線に沿う断面図である。
図17は、
図15に示す構造の要部を拡大した断面図である。
図18は、
図16に示す構造の要部を拡大した断面図である。
【0193】
図11~
図18を参照して、SiC半導体装置201は、この形態では、六方晶のSiC単結晶からなるSiCチップ202(チップ/半導体チップ)を含む電子部品である。また、SiC半導体装置201は、この形態では、SiC-MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を含む半導体スイッチングデバイスである。六方晶のSiC単結晶は、2H(Hexagonal)-SiC単結晶、4H-SiC単結晶、6H-SiC単結晶等を含む複数種のポリタイプを有している。この形態では、SiCチップ202が4H-SiC単結晶からなる例を示すが、他のポリタイプを除外するものではない。
【0194】
SiCチップ202は、直方体形状に形成されている。SiCチップ202は、一方側の第1主面203、他方側の第2主面204、ならびに、第1主面203および第2主面204を接続する第1~第4側面205A~205Dを有している。第1主面203は、機能デバイスが形成されるデバイス面である。第2主面204は、機能デバイスが形成されない非デバイス面である。第1主面203および第2主面204は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。
【0195】
第1主面203および第2主面204は、SiC単結晶のc面に面している。c面は、SiC単結晶のシリコン面((0001)面)およびカーボン面((000-1)面)を含む。第1主面203はシリコン面に面し、第2主面204はカーボン面に面していることが好ましい。第1主面203および第2主面204は、c面に対してオフ方向に所定の角度で傾斜したオフ角を有していてもよい。オフ方向は、SiC単結晶のa軸方向([11-20]方向)であることが好ましい。オフ角は、0°を超えて10°以下であってもよい。オフ角は、5°以下であることが好ましい。オフ角は、2°以上4.5°以下であることが特に好ましい。
【0196】
第2主面204は、研削痕およびアニール痕(具体的にはレーザ照射痕)のいずれか一方または双方を有する粗面からなっていてもよい。アニール痕は、非晶質化したSiC、および/または、金属とシリサイド化(合金化)したSiC(具体的にはSi)を含んでいてもよい。第2主面204は、少なくともアニール痕を有するオーミック面からなることが好ましい。
【0197】
第1~第4側面205A~205Dは、第1主面203の周縁および第2主面204の周縁を形成している。第1側面205Aおよび第2側面205Bは、第1主面203に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第1側面205Aおよび第2側面205Bは、SiCチップ202の短辺を形成している。第3側面205Cおよび第4側面205Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第3側面205Cおよび第4側面205Dは、SiCチップ202の長辺を形成している。
【0198】
この形態では、第1方向XがSiC単結晶のm軸方向([1-100]方向)であり、第2方向YがSiC単結晶のa軸方向である。つまり、第1側面205Aおよび第2側面205Bは、SiC単結晶のa面によって形成され、第3側面205Cおよび第4側面205Dは、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0199】
第1~第4側面205A~205Dは、ダイシングブレードによる切削によって形成された研削痕を有する研削面からなっていてもよいし、レーザ光照射によって形成された改質層を有する劈開面からなっていてもよい。改質層は、具体的には、SiCチップ202の結晶構造の一部が別の性質に改質した領域からなる。つまり、改質層は、密度、屈折率または機械的強度(結晶強度)、もしくは、その他の物理的特性がSiCチップ202とは異なる性質に改質された領域からなる。改質層は、非晶質層(アモルファス層)、溶融再硬化層、欠陥層、絶縁破壊層または屈折率変化層のうちの少なくとも1つの層を含んでいてもよい。
【0200】
第1~第4側面205A~205Dが劈開面からなる場合、第1側面205Aおよび第2側面205Bは、オフ角に起因する傾斜角を有する傾斜面を形成していてもよい。オフ角に起因する傾斜角は、法線方向Zを0°としたとき、当該法線方向Zに対する角度である。第1側面205Aおよび第2側面205Bは、法線方向Zに対してSiC単結晶のc軸方向([0001]方向)に沿って延びる傾斜面を形成していてもよい。
【0201】
オフ角に起因する傾斜角は、オフ角とほぼ等しい。オフ角に起因する傾斜角は、0°を超えて10°以下(好ましくは2°以上4.5°以下)であってもよい。第3側面205Cおよび第4側面205Dは、オフ方向(a軸方向)に延びているため、オフ角に起因する傾斜角を有さない。第3側面205Cおよび第4側面205Dは、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに平面的に延びている。第3側面205Cおよび第4側面205Dは、具体的には、第1主面203および第2主面204に対してほぼ垂直に形成されている。
【0202】
図15および
図16を参照して、第1主面203は、この形態では、活性面206(active surface)、外側面207(outer surface)および境界側面208(boundary side-surface)を有している。活性面206、外側面207および境界側面208は、第1主面203において活性台地209(active mesa)を区画している。
【0203】
活性面206は、機能デバイスの一例としてのMISFETが形成される面である。活性面206は、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)から内方に間隔を空けて形成されている。活性面206は、具体的には、平面視において第1主面203の周縁に平行な4辺を有する四角形状(具体的には第2方向Yに延びる長方形状)に形成されている。活性面206は、第1方向Xおよび第2方向Yに延びる平坦面を有している。
【0204】
外側面207は、活性面206外に位置し、平面視において活性面206に沿って延びる帯状に形成されている。外側面207は、具体的には、平面視において活性面206を取り囲む環状(具体的には四角環状)に形成されている。外側面207は、活性面206に対してSiCチップ202の厚さ方向(第2主面204側)に窪み、活性面206に対して第2主面204側に位置している。
【0205】
外側面207は、第1方向Xおよび第2方向Yに延びる平坦面を有し、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)に連通している。外側面207は、活性面206に対してほぼ平行に延びている。法線方向Zに関して、活性面206に対する外側面207の深さは、0.5μm以上10μm以下であってもよい。外側面207の深さは、5μm以下であることが好ましい。
【0206】
境界側面208は、法線方向Zに延び、活性面206および外側面207を接続している。境界側面208は、平面視において第1主面203の周縁に平行な4辺を有する四角形状(具体的には長方形状)を有している。つまり、境界側面208は、SiC多結晶のa面およびm面によって形成されている。
【0207】
境界側面208は、活性面206および外側面207に対してほぼ垂直に形成されていていてもよい。この場合、第1主面203には、活性面206、外側面207および境界側面208によって、四角柱状の活性台地209が区画される。境界側面208は、活性面206から外側面207に向かって斜め下り傾斜していてもよい。
【0208】
この場合、第1主面203には、活性面206、外側面207および境界側面208によって、四角錘台形状の活性台地209が区画される。境界側面208の傾斜角度は、90°を超えて135°以下であってもよい。境界側面208の傾斜角度は、SiCチップ202内において境界側面208が活性面206との間で形成する角度である。境界側面208の傾斜角度は、95°以下であることが好ましい。
【0209】
SiC半導体装置201は、SiCチップ202の第2主面204の表層部に形成されたn型(第1導電型)の第1半導体領域210を含む。第1半導体領域210は、厚さ方向にほぼ一定のn型不純物濃度を有している。第1半導体領域210のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第1半導体領域210は、MISFETのドレインを形成している。第1半導体領域210は、ドレイン領域と称されてもよい。
【0210】
第1半導体領域210は、外側面207から第2主面204側に間隔を空けて第2主面204の表層部に形成されている。第1半導体領域210は、第2主面204の表層部の全域に形成され、第2主面204および第1~第4側面205A~205Dから露出している。つまり、第1半導体領域210は、第2主面204および第1~第4側面205A~205Dの一部を有している。
【0211】
第1半導体領域210の厚さは、5μm以上300μm以下であってもよい。第1半導体領域210の厚さは、典型的には、50μm以上250μm以下である。第1半導体領域210の厚さは、第2主面204の研削によって調整される。第1半導体領域210は、この形態では、n型の半導体基板(SiC基板)によって形成されている。
【0212】
SiC半導体装置201は、SiCチップ202の第1主面203の表層部に形成されたn型の第2半導体領域211を含む。第2半導体領域211は、第1半導体領域210のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。第2半導体領域211のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。第2半導体領域211は、第1半導体領域210に電気的に接続され、第1半導体領域210と共にMISFETのドレインを形成している。第2半導体領域211は、ドリフト領域と称されてもよい。
【0213】
第2半導体領域211は、第1主面203の表層部の全域に形成され、第1主面203および第1~第4側面205A~205Dから露出している。第2半導体領域211は、具体的には、活性面206、外側面207および境界側面208から露出している。つまり、第2半導体領域211は、第1主面203および第1~第4側面205A~205Dの一部を有している。第2半導体領域211の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。第2半導体領域211の厚さは、活性面206を基準とする厚さである。第2半導体領域211は、この形態では、n型のエピタキシャル層(SiCエピタキシャル層)によって形成されている。
【0214】
第2半導体領域211は、第1半導体領域210側から第1主面203に向けてn型不純物濃度が増加(具体的には漸増)する濃度勾配を有していることが好ましい。つまり、第2半導体領域211は、第1半導体領域210側に位置する比較的低濃度な第1濃度領域212(低濃度領域)、および、第1主面203側に位置し、第1濃度領域212よりも高濃度な第2濃度領域213(高濃度領域)を有していることが好ましい。
【0215】
第1濃度領域212は、外側面207に対して第1半導体領域210側に位置している。第2濃度領域213は、第1濃度領域212に対して第1主面203側に位置し、活性面206、外側面207および境界側面208から露出している。第1濃度領域212のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第2濃度領域213のn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0216】
SiC半導体装置201は、SiCチップ202において第1半導体領域210および第2半導体領域211の間に介在するn型の第3半導体領域214(濃度遷移領域)を含む。第3半導体領域214は、第1半導体領域210のn型不純物濃度から第2半導体領域211のn型不純物濃度に向けてn型不純物濃度が低下(具体的には漸減)する濃度勾配を有している。第3半導体領域214は、第1半導体領域210および第2半導体領域211に電気的に接続され、第1半導体領域210および第2半導体領域211と共にMISFETのドレインを形成している。第3半導体領域214は、バッファ領域と称されてもよい。
【0217】
第3半導体領域214は、第1半導体領域210および第2半導体領域211の間の全域に介在し、第1~第4側面205A~205Dから露出している。つまり、第3半導体領域214は、第1~第4側面205A~205Dの一部を有している。第3半導体領域214の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよい。第3半導体領域214は、この形態では、n型のエピタキシャル層(SiCエピタキシャル層)によって形成されている。
【0218】
図13および
図14を参照して、SiC半導体装置201は、活性面206に形成されたトレンチ絶縁ゲート型のMISFETを含む。SiC半導体装置201は、具体的には、活性面206に形成された複数の第1トレンチ構造220を含む。第1トレンチ構造220は、トレンチゲート構造と称されてもよい。複数の第1トレンチ構造220は、MISFETのゲートを形成している。
【0219】
複数の第1トレンチ構造220は、境界側面208から内方に間隔を空けて活性面206に形成されている。複数の第1トレンチ構造220は、平面視において第1方向Xに延びる帯状(長方形状)にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。これにより、複数の第1トレンチ構造220は、平面視において第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0220】
複数の第1トレンチ構造220は、平面視において活性面206の中央部を第2方向Yに通過するラインを横切るように第1方向Xに延びていることが好ましい。近接する2つの第1トレンチ構造220の間の距離は、0.4μm以上5μm以下であってもよい。近接する2つの第1トレンチ構造220の間の距離は、0.8μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0221】
各第1トレンチ構造220は、側壁および底壁を含む。各第1トレンチ構造220の側壁のうち長辺を形成する部分は、SiC単結晶のa面によって形成されている。各第1トレンチ構造220の側壁のうち短辺を形成する部分は、SiC単結晶のm面によって形成されている。各第1トレンチ構造220の底壁は、SiC単結晶のc面によって形成されている。各第1トレンチ構造220の底壁は、第2主面204に向かう湾曲形状に形成されていることが好ましい。むろん、各第1トレンチ構造220の底壁は、活性面206に平行な平坦面を有していてもよい。
【0222】
各第1トレンチ構造220は、第2半導体領域211の底部から活性面206側に間隔を空けて形成され、第2半導体領域211の一部を挟んで第1半導体領域210(第3半導体領域214)に対向している。つまり、各第1トレンチ構造220の側壁および底壁は第2半導体領域211に接している。各第1トレンチ構造220は、第2濃度領域213の底部から活性面206側に間隔を空けて形成されている。
【0223】
各第1トレンチ構造220は、さらに、法線方向Zに関して外側面207の深さ位置から活性面206側に間隔を空けて形成されている。つまり、各第1トレンチ構造220は、第2濃度領域213に形成され、第2濃度領域213の一部を挟んで第1濃度領域212に対向している。各第1トレンチ構造220は、ほぼ一定の開口幅を有する垂直形状に形成されていてもよい。各第1トレンチ構造220は、底壁に向かって狭まる開口幅を有する先細り形状に形成されていてもよい。
【0224】
各第1トレンチ構造220は、第1幅W1および第1深さD1を有している。第1幅W1は、各第1トレンチ構造220が延びる方向に直交する方向(つまり第2方向Y)の幅である。第1幅W1は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
【0225】
第1深さD1は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第1深さD1は、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。各第1トレンチ構造220のアスペクト比D1/W1は、1以上5以下であることが好ましい。アスペクト比D1/W1は、1.5以上であることが特に好ましい。アスペクト比D1/W1は、第1幅W1に対する第1深さD1の比である。
【0226】
複数の第1トレンチ構造220は、ゲートトレンチ221、ゲート絶縁膜222およびゲート電極223をそれぞれ含む。以下、1つの第1トレンチ構造220について説明する。ゲートトレンチ221は、第1トレンチ構造220の側壁および底壁を形成している。側壁および底壁は、ゲートトレンチ221の壁面(内壁および外壁)を形成している。
【0227】
ゲートトレンチ221の開口エッジ部は、活性面206からゲートトレンチ221に向かって斜め下り傾斜している。開口エッジ部は、活性面206およびゲートトレンチ221の側壁の接続部である。開口エッジ部は、この形態では、SiCチップ202に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。開口エッジ部は、ゲートトレンチ221に向かう凸湾曲状に形成されていてもよい。
【0228】
ゲート絶縁膜222は、ゲートトレンチ221の内壁に膜状に形成され、ゲートトレンチ221内においてリセス空間を区画している。ゲート絶縁膜222は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含む。ゲート絶縁膜222は、この形態では、酸化シリコン膜からなる単層構造を有している。
【0229】
ゲート絶縁膜222は、第1部分224、第2部分225および第3部分226を含む。第1部分224は、ゲートトレンチ221の側壁を被覆している。第2部分225は、ゲートトレンチ221の底壁を被覆している。第3部分226は、開口エッジ部を被覆している。第3部分226は、この形態では、開口エッジ部においてゲートトレンチ221内に向けて湾曲状に膨出している。
【0230】
第1部分224の厚さは、10nm以上100nm以下であってもよい。第2部分225は、第1部分224の厚さを超える厚さを有していてもよい。第2部分225の厚さは、50nm以上200nm以下であってもよい。第3部分226は、第1部分224の厚さを超える厚さを有している。第3部分226の厚さは、50nm以上200nm以下であってもよい。むろん、一様な厚さを有するゲート絶縁膜222が形成されていてもよい。
【0231】
ゲート電極223は、ゲート絶縁膜222を挟んでゲートトレンチ221に埋設されている。ゲート電極223には、ゲート電位が印加される。ゲート電極223は、導電性ポリシリコンからなることが好ましい。ゲート電極223は、この形態では、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含む。ゲート電極223は、ゲートトレンチ221から露出した電極面を有している。ゲート電極223の電極面は、ゲートトレンチ221の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成され、ゲート絶縁膜222の第3部分226によって狭められている。
【0232】
SiC半導体装置201は、活性面206に形成された複数の第2トレンチ構造230を含む。第2トレンチ構造230は、トレンチソース構造と称されてもよい。複数の第2トレンチ構造230は、MISFETの耐圧補強構造を形成している。複数の第2トレンチ構造230は、活性面206において近接する2つの第1トレンチ構造220の間の領域にそれぞれ形成されている。
【0233】
複数の第2トレンチ構造230は、境界側面208から内方に間隔を空けて活性面206に形成されている。複数の第2トレンチ構造230は、平面視において第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、1つの第1トレンチ構造220を挟み込む態様で第2方向Yに間隔を空けて形成されている。これにより、複数の第2トレンチ構造230は、平面視において第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0234】
複数の第2トレンチ構造230は、平面視において活性面206の中央部を第2方向Yに通過するラインを横切るように第1方向Xに延びていることが好ましい。各第2トレンチ構造230の第1方向Xの長さは、各第1トレンチ構造220の第1方向Xの長さ未満であることが好ましい。近接する2つの第2トレンチ構造230の間の距離は、0.4μm以上5μm以下であってもよい。近接する2つの第2トレンチ構造230の間の距離は、0.8μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0235】
各第2トレンチ構造230は、側壁および底壁を含む。各第2トレンチ構造230の側壁のうち長辺を形成する部分は、SiC単結晶のa面によって形成されている。各第2トレンチ構造230の側壁のうち短辺を形成する部分は、SiC単結晶のm面によって形成されている。各第2トレンチ構造230の底壁は、SiC単結晶のc面によって形成されている。各第2トレンチ構造230の底壁は、第2主面204に向かう湾曲形状に形成されていることが好ましい。むろん、各第2トレンチ構造230の底壁は、活性面206に平行な平坦面を有していてもよい。
【0236】
各第2トレンチ構造230は、第2半導体領域211の底部から活性面206側に間隔を空けて形成され、第2半導体領域211の一部を挟んで第1半導体領域210(第3半導体領域214)に対向している。つまり、各第2トレンチ構造230の側壁および底壁は第2半導体領域211に接している。各第2トレンチ構造230は、具体的には、第2濃度領域213の底部から活性面206側に間隔を空けて形成されている。つまり、各第2トレンチ構造230は、第2濃度領域213に形成され、第2濃度領域213の一部を挟んで第1濃度領域212に対向している。
【0237】
各第2トレンチ構造230は、この形態では、各第1トレンチ構造220よりも深く形成されている。つまり、各第2トレンチ構造230の底壁は、各第1トレンチ構造220の底壁に対して第2半導体領域211(第2濃度領域213)の底部側に位置している。各第2トレンチ構造230の底壁は、具体的には、法線方向Zに関して、外側面207および各第1トレンチ構造220の底壁の間の深さ位置に形成されている。
【0238】
この場合、各第2トレンチ構造230の底壁は、外側面207とほぼ同一平面上に位置していることが好ましい。つまり、各第2トレンチ構造230は、外側面207とほぼ等しい深さで形成されていることが好ましい。各第2トレンチ構造230は、ほぼ一定の開口幅を有する垂直形状に形成されていてもよい。各第2トレンチ構造230は、底壁に向かって狭まる開口幅を有する先細り形状に形成されていてもよい。
【0239】
各第2トレンチ構造230は、第2幅W2および第2深さD2を有している。第2幅W2は、各第2トレンチ構造230が延びる方向に直交する方向(つまり第2方向Y)の幅である。第2幅W2は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第2幅W2は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。第2幅W2は、この形態では、各第1トレンチ構造220の第1幅W1とほぼ等しい。第2幅W2は、第1幅W1の値の±10%以内の範囲の値を有していることが好ましい。
【0240】
第2深さD2は、第1トレンチ構造220の第1深さD1の1.5倍以上3倍以下であることが好ましい。第2深さD2は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、5μm以下であることが好ましい。各第2トレンチ構造230のアスペクト比D2/W2は、1以上5以下であることが好ましい。アスペクト比D2/W2は、2以上であることが特に好ましい。アスペクト比D2/W2は、第2幅W2に対する第2深さD2の比である。
【0241】
複数の第2トレンチ構造230は、ソーストレンチ231、ソース絶縁膜232およびソース電極233をそれぞれ含む。以下、1つの第2トレンチ構造230について説明する。ソーストレンチ231は、第2トレンチ構造230の側壁および底壁を形成している。側壁および底壁は、ソーストレンチ231の壁面(内壁および外壁)を形成している。
【0242】
ソーストレンチ231の開口エッジ部は、第1主面203からソーストレンチ231に向かって斜め下り傾斜している。開口エッジ部は、第1主面203およびソーストレンチ231の側壁の接続部である。開口エッジ部は、この形態では、SiCチップ202に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。開口エッジ部は、ソーストレンチ231の内方に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0243】
ソース絶縁膜232は、ソーストレンチ231の内壁に膜状に形成され、ソーストレンチ231内においてリセス空間を区画している。ソース絶縁膜232は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含む。ソース絶縁膜232は、この形態では、酸化シリコン膜からなる単層構造を有している。
【0244】
ソース絶縁膜232は、第1部分234および第2部分235を含む。第1部分234は、ソーストレンチ231の側壁を被覆している。第2部分235は、ソーストレンチ231の底壁を被覆している。第1部分234の厚さは、10nm以上100nm以下であってもよい。第2部分235は、第1部分234の厚さを超える厚さを有していてもよい。第2部分235の厚さは、50nm以上200nm以下であってもよい。
【0245】
ソース電極233は、ソース絶縁膜232を挟んでソーストレンチ231に埋設されている。ソース電極233には、ソース電位(たとえば基準電位)が印加される。ソース電極233は、ゲート電極223と同一材料からなることが好ましい。つまり、ソース電極233は、導電性ポリシリコンからなることが好ましい。ソース電極233は、この形態では、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含む。
【0246】
ソース電極233は、ソーストレンチ231から露出した電極面を有している。ソース電極233の電極面は、ソーストレンチ231の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。ソース電極233の側壁の一部は、ソーストレンチ231の開口端においてソース絶縁膜232から露出していてもよい。
【0247】
SiC半導体装置201は、活性面206の表層部に形成されたp型のボディ領域250を含む。ボディ領域250は、活性面206の表層部の全域に形成されている。ボディ領域250のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0248】
ボディ領域250は、第1トレンチ構造220の底壁に対して活性面206側に形成されている。ボディ領域250は、第1トレンチ構造220の側壁および第2トレンチ構造230の側壁を被覆している。ボディ領域250は、ゲート絶縁膜222を挟んでゲート電極223に対向している。
【0249】
SiC半導体装置201は、ボディ領域250の表層部において近接する第1トレンチ構造220および第2トレンチ構造230の間の領域にそれぞれ形成されたn型の複数のソース領域251を含む。各ソース領域251は、第2半導体領域211(具体的には第2濃度領域213)のn型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。各ソース領域251のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0250】
各ソース領域251は、ボディ領域250の底部に対して活性面206側に形成されている。各ソース領域251は、第1トレンチ構造220の側壁を被覆し、ゲート絶縁膜222を挟んでゲート電極223および第1低抵抗層241に対向している。各ソース領域251は、ボディ領域250内において第2半導体領域211(第2濃度領域213)とMISFETのチャネルを形成する。
【0251】
SiC半導体装置201は、活性面206の表層部において複数の第2トレンチ構造230に沿って形成されたp型の複数のコンタクト領域252を含む。各コンタクト領域252は、ボディ領域250のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。各コンタクト領域252のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0252】
複数のコンタクト領域252は、平面視において各第2トレンチ構造230に対して一対多の対応関係で形成されている。複数のコンタクト領域252は、平面視において各第2トレンチ構造230に沿って間隔を空けて形成され、各第2トレンチ構造230を部分的に被覆している。複数のコンタクト領域252は、第1トレンチ構造220から第2トレンチ構造230側に間隔を空けて形成され、第1トレンチ構造220を露出させている。
【0253】
各コンタクト領域252は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)の底部から活性面206側に間隔を空けて形成され、第2半導体領域211の一部を挟んで第1半導体領域210(第3半導体領域214)に対向している。各コンタクト領域252は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)において各第2トレンチ構造230の側壁および底壁を被覆している。
【0254】
SiC半導体装置201は、活性面206の表層部に形成されたp型の複数のウェル領域253を含む。各ウェル領域253は、各コンタクト領域252のp型不純物濃度未満のp型不純物濃度を有している。各ウェル領域253のp型不純物濃度は、ボディ領域250のp型不純物濃度を超えていることが好ましい。各ウェル領域253のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0255】
複数のウェル領域253は、各第2トレンチ構造230に対して一対一の対応関係で形成されている。各ウェル領域253は、平面視において各第2トレンチ構造230に沿って延びる帯状に形成されている。各コンタクト領域252は、第1トレンチ構造220から第2トレンチ構造230側に間隔を空けて形成され、第1トレンチ構造220を露出させている。
【0256】
各ウェル領域253は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)の底部から活性面206側に間隔を空けて形成され、第2半導体領域211の一部を挟んで第1半導体領域210(第3半導体領域214)に対向している。つまり、各ウェル領域253は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)に電気的に接続されている。各ウェル領域253は、各第2トレンチ構造230の側壁および底壁を被覆している。
【0257】
複数のウェル領域253は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)とpn接合部を形成し、第1トレンチ構造220(ゲートトレンチ221)に向けて空乏層を拡げる。複数のウェル領域253は、トレンチ絶縁ゲート型のMISFETをpn接合ダイオードの構造に近づけ、SiCチップ202内の電界を緩和する。
【0258】
複数のウェル領域253は、第1トレンチ構造220の底壁に空乏層がオーバラップするように形成されていることが好ましい。複数のウェル領域253の間に介在する第2濃度領域213は、JFET(Junction Field Effect Transistor)抵抗を削減する。複数のウェル領域253の直下に位置する第2濃度領域213は、電流拡がり抵抗を削減する。第1濃度領域212は、このような構造において、SiCチップ202の耐圧を高める。
【0259】
SiC半導体装置201は、活性面206の表層部において複数の第1トレンチ構造220の両端部の壁面に沿う領域にそれぞれ形成されたp型の複数のゲートウェル領域254を含む。各ゲートウェル領域254は、各コンタクト領域252のp型不純物濃度未満のp型不純物濃度を有している。各ゲートウェル領域254のp型不純物濃度は、ボディ領域250のp型不純物濃度を超えていることが好ましい。各ゲートウェル領域254のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。各ゲートウェル領域254のp型不純物濃度は、各ウェル領域253のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0260】
各ゲートウェル領域254は、平面視において各第1トレンチ構造220に沿って延びる帯状に形成されている。各ゲートウェル領域254は、第2トレンチ構造230から第1トレンチ構造220側に間隔を空けて形成され、第1トレンチ構造220のうちソース領域251に沿う部分を露出させている。各ゲートウェル領域254は、各第1トレンチ構造220の側壁および底壁を被覆している。
【0261】
各ゲートウェル領域254は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成され、第2半導体領域211の一部を挟んで第1半導体領域210(第3半導体領域214)に対向している。各ゲートウェル領域254は、この形態では、第2濃度領域213に形成され、第2濃度領域213の一部を挟んで第1濃度領域212に対向している。各ゲートウェル領域254は、各第1トレンチ構造220の側壁を被覆する部分においてボディ領域250に接続されている。
【0262】
複数のゲートウェル領域254の底部は、複数のウェル領域253の底部に対して第1トレンチ構造220の底壁側に位置している。各ゲートウェル領域254のうち各第1トレンチ構造220の底壁を被覆する部分の厚さは、各ゲートウェル領域254のうち各第1トレンチ構造220の側壁を被覆する部分の厚さを超えていることが好ましい。各ゲートウェル領域254において第1トレンチ構造220の側壁を被覆する部分の厚さは、第1トレンチ構造220の側壁の法線方向の厚さである。各ゲートウェル領域254において第1トレンチ構造220の底壁を被覆する部分の厚さは、第1トレンチ構造220の底壁の法線方向の厚さである。
【0263】
複数のゲートウェル領域254の底部において複数の第1トレンチ構造220の底壁を被覆する部分は、ほぼ一定の深さで形成されている。複数のゲートウェル領域254は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)とpn接合部を形成し、第1トレンチ構造220および第2トレンチ構造230に向けて空乏層を拡げる。複数のゲートウェル領域254は、トレンチ絶縁ゲート型のMISFETをpn接合ダイオードの構造に近づけ、SiCチップ202内の電界を緩和する。
【0264】
図15および
図16を参照して、SiC半導体装置201は、活性面206において第1側面205A側の端部および第2側面205B側の端部にそれぞれ形成されたトレンチ終端構造255を含む。トレンチ終端構造255は、複数の第2トレンチ構造230を含み、第1トレンチ構造220を含まない。また、トレンチ終端構造255は、ウェル領域253を含み、コンタクト領域252を含まない。
【0265】
トレンチ終端構造255において、複数の第2トレンチ構造230は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。トレンチ終端構造255では、各第2トレンチ構造230のソース電極233が電気的浮遊状態に形成されている。トレンチ終端構造255のウェル領域253は、複数の第2トレンチ構造230に加えて境界側面208も被覆している。
【0266】
SiC半導体装置201は、外側面207の表層部に形成されたp型のアウターコンタクト領域260を含む。アウターコンタクト領域260は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下のp型不純物濃度を有していてもよい。アウターコンタクト領域260は、ボディ領域250のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。アウターコンタクト領域260のp型不純物濃度は、コンタクト領域252のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0267】
アウターコンタクト領域260は、外側面207において境界側面208および第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)の間の領域に形成されている。アウターコンタクト領域260は、平面視において活性面206(境界側面208)に沿って帯状に延びている。アウターコンタクト領域260は、この形態では、平面視において活性面206を取り囲む環状に形成されている。アウターコンタクト領域260は、具体的には、平面視において活性面206に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。
【0268】
アウターコンタクト領域260は、第2半導体領域211の底部から外側面207に間隔を空けて形成されている。アウターコンタクト領域260は、具体的には、第2濃度領域213の底部から外側面207に間隔を空けて形成されている。アウターコンタクト領域260の全体は、各第1トレンチ構造220の底壁に対して第2半導体領域211の底部側に位置している。アウターコンタクト領域260の底部は、各第2トレンチ構造230の底壁に対して第2半導体領域211の底部側に位置している。
【0269】
アウターコンタクト領域260の底部は、各コンタクト領域252の底部とほぼ等しい深さ位置に形成されていることが好ましい。アウターコンタクト領域260は、第2半導体領域211(具体的には第2濃度領域213)との間でpn接合部を形成する。これにより、アウターコンタクト領域260をアノードとし、第2半導体領域211をカソードとするpn接合ダイオードが形成されている。アウターコンタクト領域260は、アノード領域と称されてもよい。
【0270】
SiC半導体装置201は、外側面207の表層部に形成されたp型のアウターウェル領域261を含む。アウターウェル領域261のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。アウターウェル領域261は、アウターコンタクト領域260のp型不純物濃度未満のp型不純物濃度を有している。アウターウェル領域261のp型不純物濃度は、ウェル領域253のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0271】
アウターウェル領域261は、平面視において境界側面208およびアウターコンタクト領域260の間の領域に形成されている。アウターウェル領域261は、この形態では、境界側面208およびアウターコンタクト領域260の間の領域の全域に形成され、境界側面208においてウェル領域253に接続されている。アウターウェル領域261は、平面視において活性面206(境界側面208)に沿って帯状に延びている。アウターウェル領域261は、この形態では、平面視において活性面206(境界側面208)を取り囲む無端状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0272】
アウターウェル領域261は、アウターコンタクト領域260よりも深く形成されている。アウターウェル領域261は、第2半導体領域211の底部から外側面207に間隔を空けて形成されている。アウターウェル領域261は、具体的には、第2濃度領域213の底部から外側面207に間隔を空けて形成されている。アウターウェル領域261の全体は、各第1トレンチ構造220の底壁に対して第2半導体領域211の底部側に位置している。
【0273】
アウターウェル領域261の底部は、各第2トレンチ構造230の底壁に対して第2半導体領域211の底部側に位置している。アウターウェル領域261の底部は、各ウェル領域253の底部とほぼ等しい深さ位置に形成されていることが好ましい。アウターウェル領域261は、アウターコンタクト領域260と共に第2半導体領域211(具体的には第2濃度領域213)との間でpn接合部を形成する。
【0274】
SiC半導体装置201は、外側面207の表層部においてアウターコンタクト領域260および第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)の間の領域に形成された少なくとも1個(好ましくは1個以上20個以下)のp型のフィールド領域262を含む。フィールド領域262は、外側面207において電界を緩和する。フィールド領域262の個数、幅、深さ、p型不純物濃度等は、緩和すべき電界に応じて種々の値を取り得る。フィールド領域262のp型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0275】
SiC半導体装置201は、この形態では、5個のフィールド領域262を含む。5個のフィールド領域262は、第1フィールド領域262A、第2フィールド領域262B、第3フィールド領域262C、第4フィールド領域262D、および、第5フィールド領域262Eを含む。第1~第5フィールド領域262A~262Eは、アウターコンタクト領域260側から外側面207の周縁側に向けてこの順に間隔を空けて形成されている。
【0276】
各フィールド領域262は、平面視において活性面206に沿って延びる帯状に形成されている。各フィールド領域262は、平面視において活性面206を取り囲む環状に形成されている。各フィールド領域262は、具体的には、平面視において活性面206(境界側面208)に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。各フィールド領域262は、FLR(Field Limiting Ring)領域と称されてもよい。
【0277】
各フィールド領域262は、アウターコンタクト領域260よりも深く形成されている。各フィールド領域262は、第2半導体領域211の底部から外側面207に間隔を空けて形成されている。各フィールド領域262は、具体的には、第2濃度領域213の底部から外側面207に間隔を空けて形成されている。各フィールド領域262の全体は、各第1トレンチ構造220の底壁に対して第2半導体領域211の底部側に位置している。各フィールド領域262の底部は、各第2トレンチ構造230の底壁に対して第2半導体領域211の底部側に位置している。
【0278】
最内の第1フィールド領域262Aは、この形態では、アウターコンタクト領域260に接続されている。最内の第1フィールド領域262Aは、アウターコンタクト領域260と共に第2半導体領域211(具体的には第2濃度領域213)とpn接合部を形成する。一方、第2~第5フィールド領域262B~262Eは、電気的浮遊状態に形成されている。
【0279】
図14~
図16を参照して、SiC半導体装置201は、第1主面203を被覆する主面絶縁膜270を含む。主面絶縁膜270は、具体的には、活性面206、外側面207および境界側面208に沿って膜状に形成されている。主面絶縁膜270は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含む。主面絶縁膜270は、この形態では、酸化シリコン膜からなる単層構造を有している。
【0280】
主面絶縁膜270は、活性面206において複数の第2トレンチ構造230、複数のソース領域251および複数のコンタクト領域252を露出させている。主面絶縁膜270は、複数の第1トレンチ構造220の開口エッジ部を被覆し、各第1トレンチ構造220のゲート絶縁膜222に連なっている。主面絶縁膜270は、外側面207の周縁(第1~第4側面205A~205D)から内方に間隔を空けて形成され、外側面207の周縁部を露出させる第1周端壁271を有している。主面絶縁膜270の厚さは、50nm以上500nm以下であってもよい。
【0281】
SiC半導体装置201は、主面絶縁膜270の上において境界側面208を被覆するサイドウォール構造272を含む。サイドウォール構造272は、活性面206および外側面207の間に形成された段差を緩和する段差緩和構造として形成されている。サイドウォール構造272は、平面視において境界側面208に沿って延びる帯状に形成されている。
【0282】
サイドウォール構造272は、具体的には、活性面206に対して自己整合的に形成され、平面視において活性面206を取り囲む環状(具体的には四角環状)に形成されている。サイドウォール構造272は、活性面206から外側面207に向かって斜め下り傾斜した外面を有している。サイドウォール構造272の外面は、境界側面208とは反対側に向けて突出した湾曲状に形成されていてもよいし、境界側面208側に向かって窪んだ湾曲状に形成されていてもよい。
【0283】
サイドウォール構造272は、導電体および絶縁体のいずれか一方または双方を含む。サイドウォール構造272は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。サイドウォール構造272は、ゲート電極223および/またはソース電極233と同一の導電材料からなることが好ましい。サイドウォール構造272は、n型ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0284】
SiC半導体装置201は、被覆対象の一例として主面絶縁膜270の上に形成された第1無機絶縁膜280を含む。第1無機絶縁膜280は、層間絶縁膜と称されてもよい。第1無機絶縁膜280は、複数の絶縁膜を含む積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。第1無機絶縁膜280は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第1無機絶縁膜280は、複数の酸化シリコン膜を含む積層構造、複数の窒化シリコン膜を含む積層構造、または、複数の酸窒化シリコン膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0285】
第1無機絶縁膜280は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも2種を任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。第1無機絶縁膜280は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる単層構造を有していてもよい。第1無機絶縁膜280は、この形態では、複数の酸化シリコン膜が積層された積層構造を有している。
【0286】
第1無機絶縁膜280は、具体的には、主面絶縁膜270側からこの順に積層されたNSG(Nondoped Silicate Glass)膜およびPSG(Phosphor Silicate Glass)膜を含む積層構造を有している。NSG膜は、不純物無添加の酸化シリコン膜からなる。PSG膜は、リンが添加された酸化シリコン膜からなる。NSG膜の厚さは、10nm以上300nm以下であってもよい。PSG膜の厚さは、50nm以上500nm以下であってもよい。第1無機絶縁膜280の厚さは、主面絶縁膜270の厚さを超えていることが好ましい。
【0287】
第1無機絶縁膜280は、活性面206、外側面207および境界側面208に沿うように主面絶縁膜270の上に膜状に形成され、主面絶縁膜270を挟んで活性面206、外側面207および境界側面208を被覆している。第1無機絶縁膜280は、活性面206および外側面207の間においてサイドウォール構造272を被覆している。
【0288】
第1無機絶縁膜280は、外側面207の周縁(第1~第4側面205A~205D)から内方に間隔を空けて形成され、外側面207の周縁部を露出させる第2周端壁281を有している。第1無機絶縁膜280の第2周端壁281は、主面絶縁膜270の第1周端壁271と共に外側面207の周縁部を露出させる切欠き開口282を区画している。
【0289】
第1無機絶縁膜280は、活性面206において複数の第1トレンチ構造220をそれぞれ露出させる複数のゲートコンタクト開口283を有している。複数のゲートコンタクト開口283は、複数の第1トレンチ構造220を一対一の対応関係で露出させている。複数のゲートコンタクト開口283は、具体的には、複数の第1トレンチ構造220の両端部側にそれぞれ形成され、対応するゲート電極223をそれぞれ露出させている。
【0290】
第1無機絶縁膜280は、活性面206において複数の第2トレンチ構造230をそれぞれ露出させる複数のソースコンタクト開口284を有している。複数のソースコンタクト開口284は、複数の第2トレンチ構造230に対して一対一の対応関係でそれぞれ形成されている。複数のソースコンタクト開口284は、対応するソース電極233、ソース領域251およびコンタクト領域252をそれぞれ露出させている。各ソースコンタクト開口284は、各第2トレンチ構造230に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。
【0291】
第1無機絶縁膜280は、外側面207においてアウターコンタクト領域260を露出させる少なくとも1つのアウターコンタクト開口285を含む。第1無機絶縁膜280は、この形態では、1つのアウターコンタクト開口285を含む。アウターコンタクト開口285は、平面視においてアウターコンタクト領域260に沿って延びる帯状に形成されている。アウターコンタクト開口285は、平面視においてアウターコンタクト領域260に沿って延びる環状(具体的には四角環状)に形成されている。
【0292】
SiC半導体装置201は、第1無機絶縁膜280の上に形成された複数の第1主面電極300を含む。複数の第1主面電極300は、活性面206の上に配置されている。複数の第1主面電極300は、この形態では、活性面206の上のみに配置され、外側面207の上には配置されていない。
【0293】
複数の第1主面電極300は、第1無機絶縁膜280において活性面206を被覆する部分の上に配置されたゲート主面電極301を含む。ゲート主面電極301は、複数の第1トレンチ構造220(ゲート電極223)に電気的に接続され、入力されたゲート電位(ゲート信号)を複数の第1トレンチ構造220(ゲート電極223)に伝達する。ゲート電位は、10V以上50V以下(たとえば30V程度)であってもよい。
【0294】
ゲート主面電極301は、具体的には、平面視において境界側面208から間隔を空けて活性面206の周縁部の上に配置されている。ゲート主面電極301は、この形態では、平面視において活性面206の周縁部において第1側面205Aの中央部に対向する領域に配置されている。ゲート主面電極301は、第1無機絶縁膜280を挟んでトレンチ終端構造255に対向し、トレンチ終端構造255から電気的に分離されている。ゲート主面電極301は、平面視において活性面206に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0295】
ゲート主面電極301は、第1無機絶縁膜280の上に位置するゲート電極側壁302を有している。ゲート電極側壁302は、ゲート主面電極301の主面から斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。ゲート電極側壁302は、この形態では、第1無機絶縁膜280に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。ゲート主面電極301の配置は任意である。ゲート主面電極301は、平面視において活性面206の任意の角部の上に配置されていてもよい。
【0296】
複数の第1主面電極300は、ゲート主面電極301から間隔を空けて第1無機絶縁膜280において活性面206を被覆する部分の上に配置されたソース主面電極303を含む。ソース主面電極303は、複数の第2トレンチ構造230(ソース電極233)に電気的に接続され、入力されたソース電位を複数の第2トレンチ構造230(ソース電極233)に伝達する。ソース電位は、基準電位(たとえばグランド電位)であってもよい。
【0297】
ソース主面電極303は、具体的には、平面視において境界側面208から間隔を空けて、活性面206の上に形成されている。ソース主面電極303は、この形態では、平面視において活性面206(境界側面208)に平行な4辺を有する四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。ソース主面電極303は、具体的には、第1側面205Aに沿う辺においてゲート主面電極301に整合するように内方部に向けて窪んだ凹部304を有している。ソース主面電極303は、ゲート主面電極301の平面積を超える平面積を有している。
【0298】
ソース主面電極303は、第1無機絶縁膜280の上から複数のソースコンタクト開口284に入り込み、複数のソース電極233、複数のソース領域251および複数のコンタクト領域252に電気的に接続されている。これにより、ソース主面電極303に印加されたソース電位が、複数のソース電極233、複数のソース領域251および複数のコンタクト領域252に伝達される。ソース主面電極303は、活性面206の周縁部において第1無機絶縁膜280を挟んでトレンチ終端構造255に対向し、トレンチ終端構造255から電気的に分離されている。
【0299】
ソース主面電極303は、第1無機絶縁膜280の上に位置するソース電極側壁305を有している。ソース電極側壁305は、ソース主面電極303の主面から斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。ソース電極側壁305は、この形態では、第1無機絶縁膜280に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0300】
SiC半導体装置201は、第1無機絶縁膜280の上に形成された複数の配線電極306を含む。複数の配線電極306は、第1無機絶縁膜280の上において活性面206および外側面207を含む任意の領域に引き回される。
【0301】
複数の配線電極306は、ゲート主面電極301から第1無機絶縁膜280において活性面206を被覆する部分の上に引き出されたゲート配線電極307を含む。ゲート配線電極307は、具体的には、活性面206の上に形成され、外側面207の上には形成されていない。ゲート配線電極307は、ゲート主面電極301に印加されたゲート電位を他の領域に伝達する。
【0302】
ゲート配線電極307は、ゲート主面電極301から境界側面208およびソース主面電極303の間の領域に引き出され、境界側面208に沿って延びる帯状に形成されている。ゲート配線電極307は、具体的には、平面視において複数の方向からソース主面電極303に対向するように境界側面208に沿って帯状に延びている。ゲート配線電極307は、この形態では、平面視において4つの方向からソース主面電極303に対向するように境界側面208に沿って帯状に延びている。ゲート配線電極307は、第2側面205B側に開放部308を有している。開放部308の位置や大きさは任意である。
【0303】
ゲート配線電極307は、平面視において複数の第1トレンチ構造220に交差(具体的には直交)している。ゲート配線電極307は、具体的には、平面視において複数の第1トレンチ構造220の両端部に交差(具体的には直交)している。ゲート配線電極307は、第1無機絶縁膜280の上から複数のゲートコンタクト開口283に入り込み、複数のゲート電極223に電気的に接続されている。
【0304】
これにより、ゲート主面電極301に印加されたゲート電位が、ゲート配線電極307を介して複数の第1トレンチ構造220に伝達される。ゲート配線電極307は、活性面206の周縁部において、第1無機絶縁膜280を挟んでトレンチ終端構造255に対向し、トレンチ終端構造255から電気的に分離されている。
【0305】
ゲート配線電極307は、第1無機絶縁膜280の上に位置するゲート配線側壁309を有している。ゲート配線側壁309は、ゲート配線電極307の主面から斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。ゲート配線側壁309は、この形態では、第1無機絶縁膜280に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0306】
複数の配線電極306は、ソース主面電極303から第1無機絶縁膜280において外側面207を被覆する部分の上に引き出されたソース配線電極310を含む。ソース配線電極310は、具体的には、活性面206の上においてソース主面電極303から引き出され、ゲート配線電極307の開放部308を通過して、外側面207の上に引き出されている。ソース配線電極310は、活性面206および外側面207の境界において第1無機絶縁膜280を挟んでサイドウォール構造272に対向している。ソース配線電極310は、ソース主面電極303に印加されたソース電位を活性面206側から外側面207側に伝達する。
【0307】
ソース配線電極310は、外側面207側においてアウターコンタクト領域260の上に引き出され、平面視においてアウターコンタクト領域260に沿って延びる帯状に形成されている。ソース配線電極310は、この形態では、平面視においてアウターコンタクト領域260に沿って延びる環状(具体的には四角環状)に形成されている。つまり、ソース配線電極310は、平面視においてゲート主面電極301、ソース主面電極303およびゲート配線電極307を一括して取り囲んでいる。ソース配線電極310は、この形態では、全周に亘ってアウターコンタクト領域260およびサイドウォール構造272を被覆している。
【0308】
ソース配線電極310は、第1無機絶縁膜280の上からアウターコンタクト開口285に入り込み、アウターコンタクト領域260に電気的に接続されている。これにより、ソース主面電極303に印加されたソース電位が、ソース配線電極310を介してアウターコンタクト領域260に伝達される。
【0309】
ソース配線電極310は、第1無機絶縁膜280の上に位置するソース配線側壁311を有している。ソース配線側壁311は、ソース主面電極303の主面から斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。ソース配線側壁311は、この形態では、第1無機絶縁膜280に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0310】
複数の第1主面電極300および複数の配線電極306は、第1無機絶縁膜280側からこの順に積層された第1電極膜312および第2電極膜313を含む積層構造をそれぞれ有している。第1電極膜312は、第1無機絶縁膜280に沿って膜状に形成されている。第1電極膜312は、金属バリア膜からなる。第1電極膜312は、この形態では、Ti系金属膜からなる。第1電極膜312は、チタン膜および窒化チタン膜のうちの少なくとも1種を含む。
【0311】
第1電極膜312は、チタン膜または窒化チタン膜からなる単層構造を有していてもよい。第1電極膜312は、この形態では、第1主面203側からこの順に積層されたチタン膜および窒化チタン膜を含む積層構造を有している。第1電極膜312の厚さは、10nm以上500nm以下であってもよい。
【0312】
第2電極膜313は、第1電極膜312の主面に沿って膜状に形成されている。第1電極膜312は、Cu系金属膜またはAl系金属膜からなる。第1電極膜312は、純Cu膜(純度が99%以上のCu膜)、純Al膜(純度が99%以上のAl膜)、AlCu合金膜、AlSi合金膜、および、AlSiCu合金膜のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1電極膜312は、この形態では、AlCu合金膜からなる単層構造を有している。第2電極膜313の厚さ、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2電極膜313の厚さは、2.5μm以上7.5μm以下であることが好ましい。
【0313】
SiC半導体装置201は、第2無機絶縁膜320を含む。第2無機絶縁膜320は、比較的高い緻密度を有する無機絶縁体からなり、水分(湿気)に対するバリア性(遮蔽性)を有している。たとえば、第1主面電極300の酸化物(この形態では酸化アルミニウム)は、第1主面電極300の電気的特性を低下させる。また、複数の第1主面電極300の酸化物は、熱膨張によって第1主面電極300や他の構造物の部分的な剥離やクラック等を引き起こす一要因となる。
【0314】
第2無機絶縁膜320は、第1無機絶縁膜280および第1主面電極300のいずれか一方または双方を被覆することによって外部からの水分(湿気)を遮蔽し、SiCチップ202や第1主面電極300を酸化から保護する。第2無機絶縁膜320は、パッシベーション膜と称されてもよい。
【0315】
第2無機絶縁膜320は、複数の絶縁膜を含む積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。第2無機絶縁膜320は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第2無機絶縁膜320は、複数の酸化シリコン膜を含む積層構造、複数の窒化シリコン膜を含む積層構造、または、複数の酸窒化シリコン膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0316】
第2無機絶縁膜320は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜のうちの少なくとも2種を任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。第2無機絶縁膜320は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる単層構造を有していてもよい。第2無機絶縁膜320は、この形態では、窒化シリコン膜からなる単層構造を有している。つまり、第2無機絶縁膜320は、第1無機絶縁膜280とは異なる絶縁体からなる。
【0317】
第2無機絶縁膜320の厚さは、第1無機絶縁膜280の厚さ以上であってもよい。第2無機絶縁膜320の厚さは、第1無機絶縁膜280の厚さ未満であることが好ましい。第2無機絶縁膜320の厚さは、第1電極膜312の厚さを超えていることが好ましい。第2絶縁厚さT2は、第2電極膜313の厚さ以下であることが好ましい。第2無機絶縁膜320の厚さは、第2電極膜313の厚さ未満であることが特に好ましい。第2無機絶縁膜320の厚さは、0.05μm以上5μm以下であってもよい。第2無機絶縁膜320の厚さは、0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0318】
第2無機絶縁膜320は、この形態では、複数の内被覆部321(電極被覆部)、外被覆部322(絶縁被覆部)および除去部323を含む。複数の内被覆部321は、複数の第1主面電極300の電極側壁を露出させるように、複数の第1主面電極300をそれぞれ被覆している。複数の内被覆部321は、具体的には、ゲート主面電極301を被覆する第1内被覆部324(ゲート内被覆部)、および、ソース主面電極303を被覆する第2内被覆部325(ソース内被覆部)を含む。
【0319】
第2無機絶縁膜320は、第1内被覆部324および第2内被覆部325のうちの少なくとも一方を有していればよく、必ずしも第1内被覆部324および第2内被覆部325の双方を含む必要はない。第2無機絶縁膜320は、少なくとも、ゲート主面電極301よりも面積の大きいソース主面電極303を被覆する第2内被覆部325を有していることが好ましい。
【0320】
第2無機絶縁膜320は、第1内被覆部324および第2内被覆部325の双方を有していることが特に好ましい。また、第2無機絶縁膜320は、複数の内被覆部321および外被覆部322のうちの少なくとも一方を有していればよく、必ずしも複数の内被覆部321および外被覆部322の双方を含む必要はない。第2無機絶縁膜320は、少なくとも複数の内被覆部321を有していることが好ましい。複数の内被覆部321および外被覆部322の双方を含むことが最も好ましい。
【0321】
図15を参照して、第2無機絶縁膜320の第1内被覆部324は、活性面206の上においてゲート電極側壁302を露出させるようにゲート主面電極301を被覆している。第1内被覆部324は、具体的には、ゲート主面電極301の周縁部を露出させるようにゲート電極側壁302から間隔を空けてゲート主面電極301を被覆している。第1内被覆部324は、ゲート主面電極301の内方部も露出させている。
【0322】
第1内被覆部324は、平面視においてゲート電極側壁302に沿って延びる帯状に形成されている。第1内被覆部324は、この形態では、平面視においてゲート主面電極301の内方部を取り囲む環状に形成されている。第1内被覆部324は、具体的には、平面視においてゲート電極側壁302に平行な4辺を有する環状(具体的には四角環状)に形成されている。
【0323】
第1内被覆部324は、ゲート主面電極301の内方部側の第1内壁部326、および、ゲート電極側壁302側の第1外壁部327を有している。第1内壁部326は、ゲート主面電極301の内方部を露出させる第1ゲート開口328を区画している。第1内壁部326(第1ゲート開口328)は、この形態では、平面視においてゲート電極側壁302に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。第1内壁部326は、第2無機絶縁膜320の主面からゲート主面電極301の内方部に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0324】
第1外壁部327は、ゲート主面電極301の周縁部を露出させるようにゲート電極側壁302から間隔を空けてゲート主面電極301の上に形成されている。第1外壁部327は、この形態では、平面視においてゲート電極側壁302に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。第1外壁部327は、第2無機絶縁膜320の主面からゲート主面電極301のゲート電極側壁302に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0325】
図16を参照して、第2無機絶縁膜320の第2内被覆部325は、活性面206の上においてソース電極側壁305を露出させるようにソース主面電極303を被覆している。第2内被覆部325は、具体的には、ソース主面電極303の周縁部を露出させるようにソース電極側壁305から間隔を空けてソース主面電極303を被覆している。第2内被覆部325は、ソース主面電極303の内方部も露出させている。
【0326】
第2内被覆部325は、平面視においてソース電極側壁305に沿って延びる帯状に形成されている。第2内被覆部325は、この形態では、平面視においてソース主面電極303の内方部を取り囲む環状に形成されている。第2内被覆部325は、ソース電極側壁305において凹部304を形成する部分に沿うようにソース主面電極303の内方に向かって凹状に窪んだ部分を有している。これにより、第2内被覆部325は、平面視においてソース電極側壁305に平行な辺を有する環状(具体的には多角環状)に形成されている。
【0327】
第2内被覆部325は、ソース主面電極303の内方部側の第2内壁部329、および、ソース主面電極303のソース電極側壁305側の第2外壁部330を有している。第2内壁部329は、ソース主面電極303の内方部を露出させる第1ソース開口331を区画している。第2内壁部329(第1ソース開口331)は、この形態では、平面視においてソース電極側壁305に平行な辺を有する多角形状に形成されている。第2内壁部329は、第2無機絶縁膜320の主面からソース主面電極303の内方部に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0328】
第2外壁部330は、ソース主面電極303の周縁部を露出させるようにソース電極側壁305から間隔を空けてソース主面電極303の上に形成されている。第2外壁部330は、この形態では、平面視においてソース電極側壁305に平行な辺を有する多角形状に形成されている。第2外壁部330は、第2無機絶縁膜320の主面からソース主面電極303のソース電極側壁305に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0329】
図15および
図16を参照して、第2無機絶縁膜320の外被覆部322は、ゲート電極側壁302およびソース電極側壁305を露出させるように、ゲート主面電極301およびソース主面電極303から第1主面203の周縁側に間隔を空けて第1無機絶縁膜280を被覆している。
【0330】
外被覆部322は、ゲート配線側壁309を露出させるようにゲート配線電極307から第1主面203の周縁に間隔を空けて形成されている。外被覆部322は、ソース配線側壁311を露出させるようにソース配線電極310から第1主面203の周縁に間隔を空けて形成されている。外被覆部322は、境界側面208から外側面207に間隔を空けて第1無機絶縁膜280を被覆している。
【0331】
つまり、外被覆部322は、ゲート主面電極301(ゲート電極側壁302)、ソース主面電極303(ソース電極側壁305)、ゲート配線電極307(ゲート配線側壁309)およびソース配線電極310(ソース配線側壁311)を露出させるように、外側面207の上において第1無機絶縁膜280を被覆している。
【0332】
外被覆部322は、平面視において活性面206(境界側面208)に沿って延びる帯状に形成されている。外被覆部322は、平面視において活性面206を取り囲む環状に形成されている。外被覆部322は、具体的には、平面視において活性面206に平行な4辺を有する四角環状に形成されている。つまり、外被覆部322は、平面視においてゲート主面電極301、ソース主面電極303、ゲート配線電極307およびソース配線電極310を一括して取り囲んでいる。
【0333】
外被覆部322は、平面視においてアウターコンタクト領域260から第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)に間隔を空けて形成されている。外被覆部322は、第1無機絶縁膜280を挟んで少なくとも1つのフィールド領域262に対向している。
【0334】
外被覆部322は、この形態では、平面視において最内の第1フィールド領域262Aから第1主面203の周縁側に間隔を空けて形成され、第1無機絶縁膜280を挟んで第2~第5フィールド領域262B~262Eに対向している。むろん、外被覆部322は、第1無機絶縁膜280を挟んで第1~第5フィールド領域262A~262Eの全てに対向していてもよい。
【0335】
外被覆部322は、この形態では、第1無機絶縁膜280の上から切欠き開口282(第1周端壁271および第2周端壁281)を横切って、切欠き開口282から露出した外側面207の上に引き出されている。これにより、外被覆部322は、第1無機絶縁膜280を被覆する第1被覆部分332、および、外側面207を直接被覆する第2被覆部分333を含む。
【0336】
第1被覆部分332は、第1無機絶縁膜280に沿って膜状に延び、第1無機絶縁膜280を挟んで外側面207に対向している。第1被覆部分332は、第1無機絶縁膜280を挟んで第2半導体領域211および少なくとも1つのフィールド領域262(この形態では第2~第5フィールド領域262B~262E)に対向している。第1被覆部分332の主面は、活性面206に対して第1無機絶縁膜280側に位置している。第1被覆部分332の主面は、この形態では、ソース配線電極310の主面に対して第1無機絶縁膜280側に位置している。
【0337】
第2被覆部分333は、外側面207に沿って膜状に延び、外側面207を直接被覆している。つまり、第2被覆部分333は、第2半導体領域211(第2濃度領域213)を直接被覆している。第2被覆部分333の主面は、活性面206に対して外側面207側に位置している。第2被覆部分333の主面は、ソース配線電極310の主面に対して外側面207側に位置している。第2被覆部分333の主面は、この形態では、外側面207および第1無機絶縁膜280の主面の間に位置している。
【0338】
第2被覆部分333は、外側面207の周縁部を露出させるように、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)から第1無機絶縁膜280側に間隔を空けて形成されている。第2被覆部分333は、第1主面203の周縁との間で外側面207の周縁部が露出したダイシングストリート334を区画している。ダイシングストリート334は、第1主面203の周縁に沿って延びる四角環状に区画されている。ダイシングストリート334の幅は、5μm以上25μm以下であってもよい。ダイシングストリート334の幅は、ダイシングストリート334が延びる方向に直交する方向の幅である。
【0339】
外被覆部322は、活性面206側の第3内壁部335、および、第1主面203の周縁側の第3外壁部336を有している。第3内壁部335は、外側面207の上において第1無機絶縁膜280を露出させるようにソース配線電極310のソース配線側壁311から間隔を空けて第1無機絶縁膜280の上に形成されている。
【0340】
第3内壁部335は、この形態では、平面視においてソース配線電極310(ソース配線側壁311)に平行な4辺を有する四角形状に形成され、ゲート主面電極301、ソース主面電極303、ゲート配線電極307およびソース配線電極310を一括して取り囲んでいる。第3内壁部335は、第2無機絶縁膜320の主面から第1無機絶縁膜280に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。
【0341】
第3外壁部336は、平面視において切欠き開口282および第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)の間の領域に形成され、外側面207の周縁部を露出させている。第3外壁部336は、第2無機絶縁膜320の主面から外側面207に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第3外壁部336は、第1主面203の周縁との間でダイシングストリート334を区画している。
【0342】
第2無機絶縁膜320の除去部323は、第1内被覆部324(第1外壁部327)および外被覆部322(第3内壁部335)の間、第2内被覆部325(第2外壁部330)および外被覆部322(第3内壁部335)の間、ならびに、第1内被覆部324(第1外壁部327)および第2内被覆部325(第2外壁部330)の間に区画されている。除去部323は、この形態では、平面視において境界側面208、第1外壁部327および第2外壁部330に沿って延びる帯状に形成されている。除去部323は、この形態では、平面視において第1外壁部327に沿って延びる環状部、および、第2外壁部330(境界側面208)に沿って延びる環状部を一体的に含む。
【0343】
除去部323は、活性面206および外側面207の間の段差部(つまり境界側面208)を全周に亘って露出させると同時に、ゲート電極側壁302、ソース電極側壁305、ゲート配線側壁309およびソース配線側壁311を全周に亘って露出させている。つまり、除去部323は、ゲート配線電極307の全域、ソース配線電極310の全域、ならびに、ゲート配線電極307およびソース配線電極310の間に介在するサイドウォール構造272の全域を露出させている。
【0344】
第2無機絶縁膜320では、第1内被覆部324が平坦なゲート主面電極301の上に形成され、第2内被覆部325が平坦なソース主面電極303の上に形成され、外被覆部322が平坦な第1無機絶縁膜280の上に形成されている。したがって、第2無機絶縁膜320では、ゲート電極側壁302、ソース電極側壁305、ゲート配線側壁309およびソース配線側壁311に起因する段差が除去部323によって取り除かれている。また、第2無機絶縁膜320では、活性台地209に起因する段差が除去部323によって取り除かれている。
【0345】
SiC半導体装置201は、第2無機絶縁膜320および複数の第1主面電極300を選択的に被覆する有機絶縁膜340を含む。有機絶縁膜340は、第2無機絶縁膜320の硬度よりも低い硬度を有している。換言すると、有機絶縁膜340は、第2無機絶縁膜320の弾性率よりも小さい弾性率を有し、外力に対する緩衝材(保護膜)として機能する。有機絶縁膜340は、外力からSiCチップ202、第1主面電極300、第2無機絶縁膜320等を保護する。
【0346】
有機絶縁膜340は、感光性樹脂を含むことが好ましい。感光性樹脂は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプであってもよい。有機絶縁膜340は、ポリイミド膜、ポリアミド膜およびポリベンゾオキサゾール膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁膜340は、この形態では、ポリベンゾオキサゾール膜を含む。
【0347】
有機絶縁膜340の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。有機絶縁膜340の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。有機絶縁膜340の厚さは、第2無機絶縁膜320の厚さを超えていることが好ましい。有機絶縁膜340の厚さは、第1主面電極300の厚さを超えていることが特に好ましい。
【0348】
有機絶縁膜340は、活性面206の上においてゲート主面電極301のゲート電極側壁302を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、ゲート主面電極301の全周に亘ってゲート電極側壁302を被覆している。有機絶縁膜340は、ゲート電極側壁302において第1電極膜312および第2電極膜313を被覆している。有機絶縁膜340は、ゲート主面電極301の縁部を被覆している。
【0349】
つまり、有機絶縁膜340は、ゲート電極側壁302から第1内被覆部324に向けて延び、ゲート電極側壁302および第1内被覆部324の間から露出したゲート主面電極301の周縁部を被覆している。有機絶縁膜340は、さらに、ゲート主面電極301の周縁部から第1内被覆部324の上に向けて延び、第1内被覆部324を被覆している。
【0350】
有機絶縁膜340は、ゲート主面電極301の内方部を露出させるように第1内被覆部324を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、第1内被覆部324の第1内壁部326を露出させるように第1内被覆部324を被覆している。有機絶縁膜340は、さらに具体的には、第1内壁部326から第1外壁部327側に間隔を空けて第1内被覆部324を被覆し、ゲート主面電極301の内方部および第1内被覆部324の縁部(以下、「第1縁部341」という。)を露出させている。
【0351】
有機絶縁膜340は、活性面206の上においてソース主面電極303のソース電極側壁305を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、ソース主面電極303の全周に亘ってソース電極側壁305を被覆している。有機絶縁膜340は、ソース電極側壁305において第1電極膜312および第2電極膜313を被覆している。有機絶縁膜340は、ソース主面電極303の縁部を被覆している。
【0352】
つまり、有機絶縁膜340は、ソース電極側壁305から第2内被覆部325側に向けて延び、ソース電極側壁305および第2内被覆部325の間から露出したソース主面電極303の周縁部を被覆している。有機絶縁膜340は、さらに、ソース主面電極303の周縁部から第2内被覆部325の上に向けて延び、第2内被覆部325を被覆している。
【0353】
有機絶縁膜340は、ソース主面電極303の内方部を露出させるように第2内被覆部325を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、第2内被覆部325の第2内壁部329を露出させるように第2内被覆部325を被覆している。有機絶縁膜340は、さらに具体的には、第2内壁部329から第2外壁部330側に間隔を空けて第2内被覆部325を被覆し、ソース主面電極303の内方部および第2内被覆部325の縁部(以下、「第2縁部342」という。)を露出させている。
【0354】
有機絶縁膜340は、活性面206の上においてゲート配線電極307のゲート配線側壁309を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、ゲート配線電極307の全周に亘ってゲート配線側壁309を被覆している。有機絶縁膜340は、ゲート配線側壁309において第1電極膜312および第2電極膜313を被覆している。有機絶縁膜340は、ゲート配線側壁309からゲート配線電極307の上に延び、ゲート配線電極307の全域を被覆している。
【0355】
有機絶縁膜340は、活性面206の周縁部の上を被覆し、サイドウォール構造272を通過して外側面207の上を被覆している。有機絶縁膜340は、外側面207の上においてソース配線電極310のソース配線側壁311を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、ソース配線電極310の全周に亘ってソース配線側壁311を被覆している。有機絶縁膜340は、ソース配線側壁311において第1電極膜312および第2電極膜313を被覆している。有機絶縁膜340は、ソース配線側壁311からソース配線電極310の上に延び、ソース配線電極310の全域を被覆している。
【0356】
有機絶縁膜340は、ソース配線電極310側から第2無機絶縁膜320の外被覆部322の上に引き出され、外被覆部322を被覆している。有機絶縁膜340は、外側面207の周縁部を露出させるように外被覆部322を被覆している。有機絶縁膜340は、具体的には、外被覆部322の第3外壁部336を露出させるように外被覆部322を被覆している。
【0357】
有機絶縁膜340は、さらに具体的には、第3外壁部336から第3内壁部335側に間隔を空けて外被覆部322を被覆し、平面視において外側面207の周縁部および外被覆部322の周縁部を露出させている。つまり、有機絶縁膜340は、外側面207を露出させるように外被覆部322の第1被覆部分332および第2被覆部分333を被覆している。
【0358】
有機絶縁膜340は、ゲート主面電極301側の第4内壁部343を有している。第4内壁部343は、ゲート主面電極301の内方部を露出させる第2ゲート開口344を区画している。第4内壁部343(第2ゲート開口344)は、第1内被覆部324の第1内壁部326(第1ゲート開口328)に沿って延びている。第4内壁部343は、この形態では、平面視において第1内壁部326に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0359】
第4内壁部343は、具体的には、第1内壁部326から第1外壁部327側に間隔を空けて第1内被覆部324の上に形成され、ゲート主面電極301の内方部および第1内被覆部324の第1縁部341を露出させている。つまり、第2ゲート開口344は、ゲート主面電極301の内方部および第1内被覆部324の第1縁部341を露出させている。第1縁部341の露出幅は、0μmを超えて10μm以下であってもよい。第1縁部341の露出幅は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0360】
第4内壁部343(第2ゲート開口344)は、第1内壁部326(第1ゲート開口328)に連通し、第1内壁部326(第1ゲート開口328)と1つのゲートパッド開口345を形成している。第4内壁部343(第2ゲート開口344)は、有機絶縁膜340の主面から第1内壁部326に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第4内壁部343は、この形態では、第1内被覆部324に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0361】
有機絶縁膜340は、ソース主面電極303側の第5内壁部346を有している。第5内壁部346は、ソース主面電極303の内方部を露出させる第2ソース開口347を区画している。第5内壁部346(第2ソース開口347)は、第2内被覆部325の第2内壁部329(第1ソース開口331)に沿って延びている。第5内壁部346は、この形態では、平面視において第2内被覆部325の第2内壁部329に平行な辺を有する多角形状に形成されている。
【0362】
第5内壁部346は、具体的には、第2内被覆部325の第2内壁部329から第2外壁部330側に間隔を空けて第2内被覆部325の上に形成され、ソース主面電極303の内方部および第2内被覆部325の第2縁部342を露出させている。つまり、第2ソース開口347は、ソース主面電極303の内方部および第2内被覆部325の第2縁部342を露出させている。第2縁部342の露出幅は、0μmを超えて10μm以下であってもよい。第2縁部342の露出幅は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0363】
第5内壁部346(第2ソース開口347)は、第2内被覆部325の第2内壁部329(第1ソース開口331)に連通し、第2内壁部329(第1ソース開口331)と1つのソースパッド開口348を形成している。第5内壁部346(第2ソース開口347)は、有機絶縁膜340の主面から第2内壁部329に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第5内壁部346は、この形態では、第2内被覆部325に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0364】
有機絶縁膜340は、第4外壁部349を有している。第4外壁部349は、外側面207を露出させるように、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)から外被覆部322側に間隔を空けて形成されている。第4外壁部349は、具体的には、外被覆部322の第3外壁部336を露出させるように第3外壁部336の上に形成されている。第4外壁部349は、さらに具体的には、外被覆部322の周縁部を露出させるように第3外壁部336から第3内壁部335側に間隔を空けて形成されている。
【0365】
第4外壁部349は、外被覆部322の第2被覆部分333の上に位置し、外被覆部322を挟んで外側面207に対向している。第4外壁部349は、第3外壁部336と共にダイシングストリート334を区画している。第4外壁部349は、この形態では、平面視において活性面206に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。第4外壁部349は、有機絶縁膜340の主面から外被覆部322の第3外壁部336に向けて斜め下り傾斜したテーパ形状に形成されている。第4外壁部349は、この形態では、外被覆部322に向かって湾曲した湾曲テーパ形状に形成されている。
【0366】
このように、有機絶縁膜340は、活性面206の上においてゲート主面電極301の縁部、ソース主面電極303の縁部、ゲート配線電極307の全域、および、第2無機絶縁膜320の複数の内被覆部321を被覆している。有機絶縁膜340は、活性面206の上では、第1無機絶縁膜280においてゲート主面電極301、ゲート配線電極307およびソース主面電極303から露出した部分を被覆している。有機絶縁膜340は、第1無機絶縁膜280を挟んで複数の第1トレンチ構造220および複数の第2トレンチ構造230に対向していてもよい。
【0367】
有機絶縁膜340は、活性面206および外側面207の間においてサイドウォール構造272を被覆している。有機絶縁膜340は、外側面207の上においてソース配線電極310の全域、および、第2無機絶縁膜320の外被覆部322を被覆している。有機絶縁膜340は、外側面207の上では、第1無機絶縁膜280においてソース配線電極310および第2無機絶縁膜320から露出した部分を被覆している。
【0368】
また、有機絶縁膜340は、第2無機絶縁膜320の複数の内被覆部321および外被覆部322に跨って形成され、複数の内被覆部321および外被覆部322の間の除去部323内においてゲート主面電極301の縁部、ソース主面電極303の縁部、ゲート配線電極307の全域、および、ソース配線電極310の全域を被覆している。
【0369】
つまり、有機絶縁膜340は、除去部323内において、第1無機絶縁膜280、第2無機絶縁膜320、ゲート主面電極301、ソース主面電極303、ゲート配線電極307およびソース配線電極310によって形成された凹凸を埋めている。有機絶縁膜340において除去部323内に位置する部分の段差は、サイドウォール構造272によって緩和されている。
【0370】
図17および
図18を参照して、SiC半導体装置201は、複数の第1主面電極300の上にそれぞれ形成された複数のパッド電極360を含む。複数のパッド電極360は、外部接続用の端子電極であり、この形態では、めっき膜からそれぞれなる。複数のパッド電極360は、ゲートパッド電極361およびソースパッド電極362を含む。
【0371】
ゲートパッド電極361は、ゲートパッド開口345内においてゲート主面電極301の内方部の上に形成されている。ゲートパッド電極361は、第1Niめっき膜363を含む。第1Niめっき膜363は、法線方向Zに関して有機絶縁膜340の主面からゲート主面電極301側に間隔を空けて形成されている。第1Niめっき膜363は、第1ゲート開口328内においてゲート主面電極301および第1内被覆部324の第1内壁部326を被覆している。
【0372】
第1Niめっき膜363は、具体的には、ゲート主面電極301の上から第1内被覆部324の上に引き出され、第2ゲート開口344内において第1内被覆部324の第1縁部341を被覆する第1被覆部364を有している。第1被覆部364は、第1内被覆部324の上において第1内壁部326を起点に有機絶縁膜340(第4内壁部343)に向かう円弧状に形成されている。
【0373】
第1被覆部364は、この形態では、有機絶縁膜340の第4内壁部343を被覆している。第1被覆部364は、第4内壁部343の中間部に対して第2無機絶縁膜320側の領域を被覆している。換言すると、第1被覆部364は、第4内壁部343の露出面積が第4内壁部343の隠蔽面積を超えるように第4内壁部343を被覆している。このように、第1Niめっき膜363は、第1ゲート開口328の全部および第2ゲート開口344の一部を埋めている。
【0374】
第1Niめっき膜363の厚さは、第2無機絶縁膜320の厚さを超えている。第1Niめっき膜363の厚さは、有機絶縁膜340の厚さ未満である。第1Niめっき膜363の厚さは、ゲート主面電極301の主面を基準とする第1Niめっき膜363の厚さである。第1Niめっき膜363の厚さは、第2無機絶縁膜320の厚さおよび第1縁部341の露出幅の和を超えている。これは、第1Niめっき膜363が第4内壁部343に接するための1つの条件である。第1Niめっき膜363の厚さは、0.1μm以上15μm以下であってもよい。第1Niめっき膜363の厚さは、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0375】
ゲートパッド電極361は、第1Niめっき膜363とは異なる金属材料からなり、第1Niめっき膜363の外面を被覆する第1外めっき膜365を含む。第1外めっき膜365は、第1Niめっき膜363の外面に沿って膜状に形成されている。第1外めっき膜365は、有機絶縁膜340の第4内壁部343を被覆している。
【0376】
第1外めっき膜365は、外部接続用の第1端子面366を有している。第1端子面366は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜340の主面(第2ゲート開口344の開口端)に対して第1Niめっき膜363側に位置している。これにより、第1外めっき膜365は、第4内壁部343の一部を露出させている。第1外めっき膜365の厚さは、第1Niめっき膜363の厚さ未満である。
【0377】
第1外めっき膜365は、この形態では、第1Niめっき膜363側からこの順に積層された第1Pdめっき膜367および第1Auめっき膜368を含む積層構造を有している。第1Pdめっき膜367は、第1Niめっき膜363の外面に沿って膜状に形成されている。第1Pdめっき膜367は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜340の主面から第2無機絶縁膜320側に間隔を空けて第1Niめっき膜363を被覆している。第1Pdめっき膜367は、第4内壁部343を被覆している。第1Pdめっき膜367の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。
【0378】
第1Auめっき膜368は、第1Pdめっき膜367の外面に沿って膜状に形成されている。第1Auめっき膜368は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜340の主面から第2無機絶縁膜320側に間隔を空けて第1Pdめっき膜367を被覆している。第1Auめっき膜368は、第4内壁部343を被覆している。第1Auめっき膜368の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第1Auめっき膜368は、第1Pdめっき膜367の厚さ未満の厚さを有していることが好ましい。
【0379】
ソースパッド電極362は、ソースパッド開口348内においてソース主面電極303の内方部の上に形成されている。ソースパッド電極362は、第2Niめっき膜373を含む。第2Niめっき膜373は、法線方向Zに関して有機絶縁膜340の主面からソース主面電極303側に間隔を空けて形成されている。第2Niめっき膜373は、第1ソース開口331内においてソース主面電極303および第2内被覆部325の第2内壁部329を被覆している。
【0380】
第2Niめっき膜373は、具体的には、ソース主面電極303の上から第2内被覆部325の上に引き出され、第2ソース開口347内において第2内被覆部325の第2縁部342を被覆する第2被覆部374を有している。第2被覆部374は、第2内被覆部325の上において第2内壁部329を起点に有機絶縁膜340(第5内壁部346)に向かう円弧状に形成されている。
【0381】
第2被覆部374は、この形態では、有機絶縁膜340の第5内壁部346を被覆している。第2被覆部374は、第5内壁部346の中間部に対して第2無機絶縁膜320側の領域を被覆している。換言すると、第2被覆部374は、第5内壁部346の露出面積が第5内壁部346の隠蔽面積を超えるように第5内壁部346を被覆している。このように、第2Niめっき膜373は、第1ソース開口331の全部および第2ソース開口347の一部を埋めている。
【0382】
第2Niめっき膜373の厚さは、第2無機絶縁膜320の厚さを超えている。第2Niめっき膜373の厚さは、有機絶縁膜340の厚さ未満である。第2Niめっき膜373の厚さは、ソース主面電極303の主面を基準とする第2Niめっき膜373の厚さである。第2Niめっき膜373の厚さは、第2無機絶縁膜320の厚さおよび第2縁部342の露出幅の和を超えている。これは、第2Niめっき膜373が第5内壁部346に接するための1つの条件である。第2Niめっき膜373の厚さは、0.1μm以上15μm以下であってもよい。第2Niめっき膜373の厚さは、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0383】
ソースパッド電極362は、第2Niめっき膜373とは異なる金属材料からなり、第2Niめっき膜373の外面を被覆する第2外めっき膜375を含む。第2外めっき膜375は、第2Niめっき膜373の外面に沿って膜状に形成されている。第2外めっき膜375は、有機絶縁膜340の第5内壁部346を被覆している。
【0384】
第2外めっき膜375は、外部接続用のソース端子面376を有している。ソース端子面376は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜340の主面(第2ソース開口347の開口端)に対して第2Niめっき膜373側に位置している。これにより、第2外めっき膜375は、第5内壁部346の一部を露出させている。第2外めっき膜375の厚さは、第2Niめっき膜373の厚さ未満である。
【0385】
第2外めっき膜375は、この形態では、第2Niめっき膜373側からこの順に積層された第2Pdめっき膜377および第2Auめっき膜378を含む積層構造を有している。第2Pdめっき膜377は、第2Niめっき膜373の外面に沿って膜状に形成されている。第2Pdめっき膜377は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜340の主面から第2無機絶縁膜320側に間隔を空けて第2Niめっき膜373を被覆している。第2Pdめっき膜377は、第2ソース開口347内において第5内壁部346を被覆している。第2Pdめっき膜377の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。
【0386】
第2Auめっき膜378は、第2Pdめっき膜377の外面に沿って膜状に形成されている。第2Auめっき膜378は、法線方向Zに関して、有機絶縁膜340の主面から第2無機絶縁膜320側に間隔を空けて第2Pdめっき膜377を被覆している。第2Auめっき膜378は、第2ソース開口347内において第5内壁部346を被覆している。第2Auめっき膜378の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第2Auめっき膜378は、第2Pdめっき膜377の厚さ未満の厚さを有していることが好ましい。
【0387】
SiC半導体装置201は、第2主面204を被覆する第2主面電極380を含む。第2主面電極380は、第2主面204の全域を被覆し、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)に連なっている。第2主面電極380は、第1半導体領域210(第2主面204)に電気的に接続されている。第2主面電極380は、具体的には、第1半導体領域210(第2主面204)とオーミック接触を形成している。
【0388】
第2主面電極380は、この形態では、第2主面204側からこの順に積層されたTi膜381、Ni膜382、Pd膜383、Au膜384およびAg膜385を含む。第2主面電極380は、少なくともTi膜381を含んでいればよく、Ni膜382、Pd膜383、Au膜384およびAg膜385の有無はそれぞれ任意である。第2主面電極380は、一例として、Ti膜381、Ni膜382およびAu膜384を含む積層構造を有していてもよい。
【0389】
以上、SiC半導体装置201によっても、SiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。第2無機絶縁膜320は、
図19A~
図19Fに示される種々の形態を採り得る。
【0390】
図19Aは、
図12に対応し、SiC半導体装置201の内部構造を第2形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。以下、
図11~
図18に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0391】
図19Aを参照して、第2無機絶縁膜320の第1内被覆部324は、ゲート主面電極301を露出させる第1内開口部391を有している。第1内開口部391は、第1内壁部326および第1外壁部327から間隔を空けて第1内被覆部324の内方部に形成されている。第1内開口部391は、第1内壁部326および第1外壁部327に沿って延びる帯状に形成されている。第1内開口部391は、この形態では、第1内壁部326および第1外壁部327に沿って延びる環状(具体的には四角環状)に形成されている。
【0392】
第2無機絶縁膜320の第2内被覆部325は、ソース主面電極303を露出させる第2内開口部392を有している。第2内開口部392は、第2内壁部329および第2外壁部330から間隔を空けて第2内被覆部325の内方部に形成されている。第2内開口部392は、第2内壁部329および第2外壁部330に沿って延びる帯状に形成されている。第2内開口部392は、この形態では、第2内壁部329および第2外壁部330に沿って延びる環状(具体的には多角環状)に形成されている。
【0393】
有機絶縁膜340は、第1内被覆部324の上から第1内開口部391に入り込み、ゲート主面電極301において第1内開口部391から露出した部分を被覆している。有機絶縁膜340は、第2内被覆部325の上から第2内開口部392に入り込み、ソース主面電極303において第2内開口部392から露出した部分を被覆している。
【0394】
有機絶縁膜340において第1内開口部391内に位置する部分および第2内開口部392内に位置する部分は、アンカー部をそれぞれ形成している。これにより、複数の第1主面電極300を被覆する部分において、第2無機絶縁膜320に対する有機絶縁膜340の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜320からの有機絶縁膜340の剥離を抑制できる。
【0395】
この形態では、第1内被覆部324が第1内開口部391を含み、第2内被覆部325が第2内開口部392を含む例が説明された。しかし、第1内被覆部324が第1内開口部391を含む一方で、第2内被覆部325が第2内開口部392を含まない構造が採用されてもよい。これとは反対に、第1内被覆部324が第1内開口部391を含まない一方で、第2内被覆部325が第2内開口部392を含む構造が採用されてもよい。
【0396】
図19Bは、
図12に対応し、SiC半導体装置201の内部構造を第3形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。以下、
図11~
図18に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0397】
図19Bを参照して、第2無機絶縁膜320の外被覆部322は、第1無機絶縁膜280を露出させる外開口部393を有している。外開口部393は、第3内壁部335および第3外壁部336から間隔を空けて外被覆部322の内方部に形成されている。外開口部393は、第3内壁部335および第3外壁部336に沿って延びる帯状に形成されている。外開口部393は、この形態では、第3内壁部335および第3外壁部336に沿って延びる環状(具体的には四角環状)に形成されている。
【0398】
有機絶縁膜340は、外被覆部322の上から外開口部393に入り込み、第1無機絶縁膜280において外開口部393から露出した部分を被覆している。有機絶縁膜340において外開口部393内に位置する部分は、アンカー部を形成している。これにより、複数の第1主面電極300外の領域において、第2無機絶縁膜320に対する有機絶縁膜340の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜320からの有機絶縁膜340の剥離を抑制できる。
【0399】
図19Cは、
図12に対応し、SiC半導体装置201の内部構造を第4形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。以下、
図11~
図18に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0400】
図19Cを参照して、第2無機絶縁膜320の第1内被覆部324は、ゲート主面電極301を露出させる第1内開口部391を有している(
図19A参照)。第2無機絶縁膜320の第2内被覆部325は、ソース主面電極303を露出させる第2内開口部392を有している(
図19A参照)。第2無機絶縁膜320の外被覆部322は、第1無機絶縁膜280を露出させる外開口部393を有している(
図19B参照)。
【0401】
有機絶縁膜340において第1内開口部391内に位置する部分、第2内開口部392内に位置する部分、および、外開口部393内に位置する部分は、アンカー部をそれぞれ形成している。これにより、複数の第1主面電極300を被覆する部分および複数の第1主面電極300外の領域において、第2無機絶縁膜320に対する有機絶縁膜340の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜320からの有機絶縁膜340の剥離を抑制できる。
【0402】
図19Dは、
図12に対応し、SiC半導体装置201の内部構造を第5形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。以下、
図11~
図18に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0403】
図19Dを参照して、第2無機絶縁膜320の第1被覆部364は、ゲート主面電極301を露出させる複数の第1内開口部391を有している。複数の第1内開口部391は、第1内壁部326および第1外壁部327から間隔を空けて第1内被覆部324の内方部にそれぞれ形成されている。
【0404】
複数の第1内開口部391は、第1内壁部326(第1外壁部327)に沿って間隔を空けて形成されている。各第1内開口部391は、この形態では、平面視において第1内壁部326に沿って延びる帯状に形成されている。各第1内開口部391の平面形状は任意である。各第1内開口部391は、平面視において多角形状や円形状に形成されていてもよい。
【0405】
第2無機絶縁膜320の第2被覆部374は、ソース主面電極303を露出させる複数の第2内開口部392を有している。複数の第2内開口部392は、第2内壁部329および第2外壁部330から間隔を空けて第2内被覆部325の内方部にそれぞれ形成されている。複数の第2内開口部392は、第2内壁部329(第2外壁部330)に沿って間隔を空けて形成されている。各第2内開口部392は、この形態では、平面視において第2内壁部329に沿って延びる帯状に形成されている。各第2内開口部392の平面形状は任意である。各第2内開口部392は、平面視において多角形状や円形状に形成されていてもよい。
【0406】
第2無機絶縁膜320の外被覆部322は、第1無機絶縁膜280を露出させる複数の外開口部393を有している。複数の外開口部393は、第3内壁部335および第3外壁部336から間隔を空けて外被覆部322の内方部にそれぞれ形成されている。複数の外開口部393は、第3内壁部335(第3外壁部336)に沿って間隔を空けて形成されている。各外開口部393は、この形態では、平面視において第3内壁部335に沿って延びる帯状に形成されている。各外開口部393の平面形状は任意である。各外開口部393は、平面視において多角形状や円形状に形成されていてもよい。
【0407】
有機絶縁膜340において複数の第1内開口部391内に位置する部分、複数の第2内開口部392内に位置する部分、および、複数の外開口部393内に位置する部分は、アンカー部をそれぞれ形成している。これにより、複数の第1主面電極300を被覆する部分および複数の第1主面電極300外の領域において、第2無機絶縁膜320に対する有機絶縁膜340の接触面積が増加し、第2無機絶縁膜320からの有機絶縁膜340の剥離を抑制できる。
【0408】
この形態では、第2無機絶縁膜320が、複数の第1内開口部391、複数の第2内開口部392、および、複数の外開口部393を有している例が説明された。しかし、第2無機絶縁膜320は、複数の第1内開口部391、複数の第2内開口部392、および、複数の外開口部393のうちのいずれか1つまたは2つだけを有していてもよい。
【0409】
図19Eは、
図12に対応し、SiC半導体装置201の内部構造を第6形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。以下、
図11~
図18に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0410】
図19Eを参照して、第2無機絶縁膜320の第1内被覆部324は、ゲート主面電極301の角部(四隅)を露出させるようにゲート主面電極301の上に形成されている。第1内被覆部324は、具体的には、第1形態例に係る第1内被覆部324(
図12参照)の角部(四隅)を除去した形態を有し、ゲート主面電極301の角部(四隅)を露出させている。つまり、第1内被覆部324は、ゲート主面電極301の上に間隔を空けて形成された複数の第1内セグメント部394を含む。各第1内被覆部324は、ゲート電極側壁302の各辺に対して一対一の対応関係で形成され、ゲート電極側壁302の各辺に沿って帯状に延びている。
【0411】
第2無機絶縁膜320の第2内被覆部325は、ソース主面電極303の角部(四隅)を露出させるようにソース主面電極303の上に形成されている。第2内被覆部325は、具体的には、第1形態例に係る第2内被覆部325(
図12参照)の角部(四隅)を除去した形態を有し、ソース主面電極303の角部(四隅)を露出させている。つまり、第2内被覆部325は、ソース主面電極303の上に間隔を空けて形成された複数の第2内セグメント部395を含む。各第2内セグメント部395は、ソース電極側壁305の各辺に対して一対一の対応関係で形成され、ソース電極側壁305の各辺に沿って帯状に延びている。
【0412】
第2無機絶縁膜320の外被覆部322は、第1無機絶縁膜280においてソース配線電極310の角部に沿う部分を露出させるように第1無機絶縁膜280の上に形成されている。外被覆部322は、具体的には、第1形態例に係る外被覆部322(
図12参照)の角部(四隅)を除去した形態を有し、第1無機絶縁膜280においてソース配線電極310の角部に沿う部分を露出させている。つまり、外被覆部322は、第1無機絶縁膜280の上に形成された複数の外セグメント部396を含む。各外セグメント部396は、ソース配線電極310の各辺に対して一対一の対応関係で形成され、ソース配線電極310の各辺に沿って帯状に延びている。
【0413】
有機絶縁膜340は、ゲート主面電極301の上において複数の第1内セグメント部394を被覆している。また、有機絶縁膜340は、ゲート主面電極301の角部(四隅)を被覆している。有機絶縁膜340は、ソース主面電極303の上において複数の第2内セグメント部395を被覆している。また、有機絶縁膜340は、ソース主面電極303の角部(四隅)を被覆している。有機絶縁膜340は、外側面207の上において、外被覆部322の複数の外セグメント部396を被覆している。
【0414】
このような構造によっても、第2無機絶縁膜320に対する有機絶縁膜340の接触面積が増加するため、第2無機絶縁膜320からの有機絶縁膜340の剥離を抑制できる。ゲート主面電極301の角部(四隅)やソース主面電極303の角部(四隅)では、熱膨張に起因する応力が集中しやすい。したがって、ゲート主面電極301の角部(四隅)やソース主面電極303の角部(四隅)を露出させるように第2無機絶縁膜320を形成することによって、第2無機絶縁膜320に対するゲート主面電極301やソース主面電極303の応力の影響を低減できる。
【0415】
第1内被覆部324は、有端状に形成された1つの第1内セグメント部394のみを有していてもよい。第2内被覆部325は、有端状に形成された1つの第2内セグメント部395のみを有していてもよい。外被覆部322は、有端状に形成された1つの外セグメント部396のみを有していてもよい。
【0416】
また、第1内被覆部324が第1内セグメント部394を有さない一方で、第2内被覆部325が少なくとも1つの第2内セグメント部395を有していてもよい。また、第2内被覆部325が第2内セグメント部395を有さない一方で、第1内被覆部324が少なくとも1つの第1内セグメント部394を有していてもよい。これらの場合、外被覆部322は、少なくとも1つの外セグメント部396を有していてもよいし、外セグメント部396を有していなくてもよい。
【0417】
図19Fは、
図12に対応し、SiC半導体装置201の内部構造を第7形態例に係る第2無機絶縁膜320と共に示す平面図である。以下、
図11~
図18に示された構造に対応する構造については同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0418】
図19Fを参照して、第2無機絶縁膜320の第1内被覆部324は、第6形態例に係る第1内被覆部324と同様に、ゲート主面電極301の角部(四隅)を露出させる複数の第1内セグメント部394を含む。複数の第1内セグメント部394は、この形態では、ゲート電極側壁302の各辺に対して一対多の対応関係で形成され、ゲート電極側壁302の各辺に沿って間隔を空けて形成されている。各第1内セグメント部394の平面形状は任意である。各第1内セグメント部394は、平面視において四角形状、多角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0419】
第2無機絶縁膜320の第2内被覆部325は、第6形態例に係る第2内被覆部325と同様に、ソース主面電極303の角部(四隅)を露出させる複数の第2内セグメント部395を含む。複数の第2内セグメント部395は、この形態では、ソース主面電極303の各辺に対して一対多の対応関係で形成され、ソース主面電極303の各辺に沿って間隔を空けて形成されている。各第2内セグメント部395の平面形状は任意である。各第2内セグメント部395は、平面視において四角形状、多角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0420】
第2無機絶縁膜320の外被覆部322は、第6形態例に係る外被覆部322と同様に、第1無機絶縁膜280おいてソース配線電極310の角部に沿う部分を露出させる複数の外セグメント部396を含む。複数の外セグメント部396は、この形態では、ソース配線電極310の各辺に対して一対多の対応関係で形成され、ソース配線電極310の各辺に沿って間隔を空けて形成されている。各外セグメント部396の平面形状は任意である。各外セグメント部396は、平面視において四角形状、多角形状、円形状等に形成されていてもよい。
【0421】
第1内被覆部324が第1内セグメント部394を有さない一方で、第2内被覆部325が複数の第2内セグメント部395を有していてもよい。また、第2内被覆部325が第2内セグメント部395を有さない一方で、第1内被覆部324が複数の第1内セグメント部394を有していてもよい。これらの場合、外被覆部322は、複数の外セグメント部396を有していてもよいし、外セグメント部396を有していなくてもよい。
【0422】
図20は、
図17に対応し、本発明の第7実施形態に係るSiC半導体装置401を説明するための断面図である。
図21は、
図18に対応し、
図20に示すSiC半導体装置401を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置201に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0423】
図20を参照して、第7実施形態に係るSiC半導体装置401では、第1Niめっき膜363の第1被覆部364が、有機絶縁膜340の第4内壁部343から間隔を空けて第1内被覆部324の第1縁部341を被覆している。第1被覆部364は、第1内被覆部324の上において第1内壁部326を起点に第4内壁部343に向かう円弧状に形成されている。第1Niめっき膜363の厚さは、この形態では、第2無機絶縁膜320の厚さおよび第1縁部341の露出幅の和未満である。
【0424】
これは、第1Niめっき膜363が第4内壁部343に接しないための1つの条件である。一方、第1外めっき膜365は、この形態では、第4内壁部343から間隔を空けて第1縁部341を被覆している。第1外めっき膜365は、第1縁部341の一部および第4内壁部343の全域を露出させている。
【0425】
図21を参照して、第2Niめっき膜373の第2被覆部374は、この形態では、有機絶縁膜340の第5内壁部346から間隔を空けて第2内被覆部325の第2縁部342を被覆している。第2被覆部374は、第2内被覆部325の上において第2内壁部329を起点に第5内壁部346に向かう円弧状に形成されている。第2Niめっき膜373の厚さは、この形態では、第2無機絶縁膜320の厚さおよび第2縁部342の露出幅の和未満である。
【0426】
これは、第2Niめっき膜373が第5内壁部346に接しないための1つの条件である。一方、第2外めっき膜375は、この形態では、第5内壁部346から間隔を空けて第2縁部342を被覆している。第2外めっき膜375は、第2縁部342の一部および第5内壁部346の全域を露出させている。
【0427】
以上、SiC半導体装置401によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。また、SiC半導体装置401によれば、第2実施形態に係るSiC半導体装置101に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0428】
この形態では、第4内壁部343の全域を露出させる第1外めっき膜365が形成された例が説明された。しかし、第4内壁部343の一部を被覆する第1外めっき膜365が形成されてもよい。この場合、第1Pdめっき膜367および第1Auめっき膜368のいずれか一方または双方が第4内壁部343の一部を被覆していてもよい。
【0429】
この形態では、第5内壁部346の全域を露出させる第2外めっき膜375が形成された例が説明された。しかし、第5内壁部346の一部を被覆する第2外めっき膜375が形成されてもよい。この場合、第2Pdめっき膜377および第2Auめっき膜378のいずれか一方または双方が第5内壁部346の一部を被覆していてもよい。
【0430】
図22は、
図15に対応し、本発明の第8実施形態に係るSiC半導体装置411を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置201に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0431】
図22を参照して、第8実施形態に係るSiC半導体装置411では、主面絶縁膜270および第1無機絶縁膜280が、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)に連なっている。したがって、主面絶縁膜270および第1無機絶縁膜280は、外側面207を露出させていない。第2無機絶縁膜320において、外被覆部322の全体は、第1無機絶縁膜280の上に形成されている。外被覆部322の第3外壁部336は、第1主面203の周縁との間で第1無機絶縁膜280の周縁部を露出させるダイシングストリート334を区画している。
【0432】
以上、SiC半導体装置411によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0433】
図23は、
図15に対応し、本発明の第9実施形態に係るSiC半導体装置421を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置201に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0434】
図23を参照して、第9実施形態に係るSiC半導体装置421では、主面絶縁膜270および第1無機絶縁膜280が、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)に連なっている。したがって、主面絶縁膜270および第1無機絶縁膜280は、外側面207を露出させていない。
【0435】
第2無機絶縁膜320(外被覆部322)は、第1主面203の周縁(第1~第4側面205A~205D)に連なるように第1無機絶縁膜280の上に形成されている。したがって、第2無機絶縁膜320は、この形態では、第1主面203の周縁との間でダイシングストリート334を区画していない。有機絶縁膜340(第4外壁部349)は、この形態では、平面視において第1主面203の周縁から内方に間隔を空けて形成され、第2無機絶縁膜320が露出したダイシングストリート334を区画している。
【0436】
以上、SiC半導体装置421によってもSiC半導体装置1に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0437】
図24は、
図13に対応し、本発明の第10実施形態に係るSiC半導体装置431を説明するための拡大図である。
図25は、
図24に示すXXV-XXV線に沿う断面図である。以下、SiC半導体装置201に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0438】
図24および
図25を参照して、SiC半導体装置431は、SiC半導体装置201に係る第2トレンチ構造230とは異なる構造からなる第2トレンチ構造230を有している。ソーストレンチ231は、具体的には、開口側の第1トレンチ部231aおよび底壁側の第2トレンチ部231bを含む。第1トレンチ部231aは、第2方向Yに関して第1トレンチ幅WT1を有している。第1トレンチ幅WT1は、第2トレンチ構造230の第2幅W2である。第1トレンチ部231aは、底壁側に向かって第1トレンチ幅WT1が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0439】
第1トレンチ部231aは、ゲートトレンチ221の底壁に対して活性面206側の領域に形成されていることが好ましい。つまり、第1トレンチ部231aの深さは、第1トレンチ構造220の第1深さD1未満であることが好ましい。むろん、第1トレンチ部231aは、第1トレンチ構造220よりも深く形成されていてもよい。
【0440】
第2トレンチ部231bは、第1トレンチ部231aに連通し、第1トレンチ部231aから第2半導体領域211の底部に向けて延びている。第2トレンチ部231bは、この形態では、第1主面203に沿う面方向に第1トレンチ構造220の底壁を横切っている。第2トレンチ部231bは、ほぼ一定の開口幅を有する垂直形状に形成されていてもよい。第2トレンチ部231bは、底壁に向かって狭まる開口幅を有する先細り形状に形成されていてもよい。
【0441】
第1トレンチ部231aを基準としたときの第2トレンチ部231bの深さは、第1トレンチ構造220の第1深さD1を超えていることが好ましい。第2トレンチ部231bは、第2方向Yに関して第1トレンチ幅WT1未満の第2トレンチ幅WT2(WT2<WT1)を有している。
【0442】
ソース絶縁膜232は、ソーストレンチ231の内壁に膜状に形成され、ソーストレンチ231内においてリセス空間を区画している。ソース絶縁膜232は、具体的には、第1トレンチ部231aを露出させる窓部232aを有し、第2トレンチ部231b内においてリセス空間を区画している。
【0443】
ソース絶縁膜232は、具体的には、前述の第1部分234および第2部分235を含む。第1部分234は、ソーストレンチ231(第2トレンチ部231b)の側壁を被覆し、ソーストレンチ231の開口部側(第1トレンチ部231a側)で窓部232aを区画している。第2部分235は、ソーストレンチ231(第2トレンチ部231b)の底壁を被覆している。
【0444】
ソース電極233は、ソース絶縁膜232を挟んでソーストレンチ231に埋設されている。ソース電極233は、具体的には、ソース絶縁膜232を挟んで第1トレンチ部231aおよび第2トレンチ部231bに埋設され、窓部232aから露出した第1トレンチ部231aに接するコンタクト部233aを有している。
【0445】
ボディ領域250は、この形態では、第2トレンチ構造230の第1トレンチ部231aを被覆している。ボディ領域250は、第1トレンチ部231aから露出したソース電極233のコンタクト部233aに電気的に接続されている。これにより、ボディ領域250は、SiCチップ202内においてソース接地されている。ボディ領域250は、第2トレンチ部231bの一部を被覆し、ソース絶縁膜232の一部を挟んでソース電極233に対向していてもよい。
【0446】
各ソース領域251は、この形態では、第2トレンチ構造230の第1トレンチ部231aを被覆し、ソース電極233のコンタクト部233aに電気的に接続されている。これにより、各ソース領域251は、SiCチップ202内においてソース接地されている。
【0447】
各コンタクト領域252は、この形態では、各第2トレンチ構造230の第1トレンチ部231aおよび第2トレンチ部231bに沿って形成されている。各コンタクト領域252において第1トレンチ部231aを被覆する部分は、コンタクト部233a、ボディ領域250およびソース領域251に電気的に接続されている。つまり、各コンタクト領域252は、SiCチップ202内においてソース接地されている。各コンタクト領域252において第2トレンチ部231bを被覆する部分は、ソース絶縁膜232を挟んでソース電極233に対向している。
【0448】
各ウェル領域253は、この形態では、複数のコンタクト領域252を挟んで各第2トレンチ構造230(第1トレンチ部231aおよび第2トレンチ部231b)を被覆している。つまり、各ウェル領域253は、第2トレンチ構造230を直接被覆する部分、および、コンタクト領域252を挟んで第2トレンチ構造230を被覆する部分を含む。
【0449】
各ウェル領域253において第1トレンチ部231aを被覆する部分は、ボディ領域250に接続されている。つまり、各コンタクト領域252は、SiCチップ202内においてソース接地されている。複数のウェル領域253において複数の第2トレンチ構造230(第2トレンチ部231b)の底壁を被覆する部分は、ほぼ一定の深さで形成されている。
【0450】
第1無機絶縁膜280は、この形態では、活性面206において複数の第1トレンチ構造220、複数のソース領域251、複数のコンタクト領域252およびトレンチ終端構造255を被覆している。第1無機絶縁膜280は、具体的には、第2方向Yに沿う断面視においてソース領域251の全域およびコンタクト領域252の全域を被覆している。
【0451】
また、第1無機絶縁膜280は、平面視においてソース領域251の全域およびコンタクト領域252の全域を被覆している。第1無機絶縁膜280は、さらに、活性面206の上から第2トレンチ構造230の上に引き出され、ソース電極233の縁部(つまりコンタクト部233a)を被覆している。第1無機絶縁膜280は、この形態では、第2トレンチ構造230の全周に亘ってソース電極233の縁部を被覆している。
【0452】
複数のソースコンタクト開口284は、この形態では、複数の第2トレンチ構造230を一対一の対応関係で露出させている。各ソースコンタクト開口284は、平面視において第2トレンチ構造230の側壁によって取り囲まれた領域内に形成されている。各ソースコンタクト開口284は、具体的には、第2トレンチ構造230の側壁から内方に間隔を空けて形成され、ソース電極233のみを露出させている。各ソースコンタクト開口284は、各第2トレンチ構造230に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。
【0453】
ソース主面電極303は、この形態では、第1無機絶縁膜280の上から複数のソースコンタクト開口284に入り込み、複数のソース電極233のみに電気的に接続されている。これにより、ソース電位は、複数のソース電極233のコンタクト部233aを介して、ボディ領域250、複数のソース領域251、複数のコンタクト領域252および複数のウェル領域253に伝達される。
【0454】
他の構造については、前述のSiC半導体装置201と同様であるので、それらの構造の説明は省略される。以上、SiC半導体装置431によってもSiC半導体装置201に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。また、SiC半導体装置431は、ソース電極233が、ソーストレンチ231の開口側の領域においてソーストレンチ231の側壁から露出したコンタクト部233aを有している。
【0455】
このような構造によれば、ソース接地すべき半導体領域を、ソース電極233のコンタクト部233aによってSiCチップ202内においてソース接地させることができる。この形態では、ボディ領域250、ソース領域251、コンタクト領域252およびウェル領域253がSiCチップ202内においてソース電極233に電気的に接続されている。このような構造は、ボディ領域250、ソース領域251、コンタクト領域252、ウェル領域253、ソースコンタクト開口284等のアライメントマージンを緩和する上で有効である。SiC半導体装置431の構造は、第7~第9実施形態にも適用できる。
【0456】
図26は、
図14に対応し、本発明の第11実施形態に係るSiC半導体装置441を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置201に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0457】
図26を参照して、第11実施形態に係るSiC半導体装置441は、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含むゲート電極223を含む。ゲート電極223は、具体的には、p型ポリシリコンからなる。ゲート電極223のp型ポリシリコンのp型不純物濃度は、1×10
18cm
-3以上1×10
22cm
-3以下であってもよい。ゲート電極223のシート抵抗は、10Ω/□以上500Ω/□以下であってもよい。
【0458】
SiC半導体装置441は、ゲート電極223と同一の導電材料を含むソース電極233を含む。つまり、ソース電極233は、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含む。ソース電極233は、具体的には、p型ポリシリコンからなる。ソース電極233のp型ポリシリコンのp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下であってもよい。ソース電極233のシート抵抗は、10Ω/□以上500Ω/□以下であってもよい。
【0459】
SiC半導体装置441は、ゲート電極223を被覆する第1低抵抗層442を含む。第1低抵抗層442は、ゲートトレンチ221内においてゲート電極223を被覆している。つまり、第1低抵抗層442は、第1トレンチ構造220の一部を形成している。第1低抵抗層442は、ゲートトレンチ221内においてゲート絶縁膜222に接している。第1低抵抗層442は、ゲート絶縁膜222の角部(つまり第3部分226)に接していることが好ましい。
【0460】
第1低抵抗層442は、ゲート電極223のシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。第1低抵抗層442のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。第1低抵抗層442は、10μΩ・cm以上110μΩ・cm以下の比抵抗を有していることが好ましい。第1低抵抗層442は、この形態では、ゲート電極223の表層部が金属とシリサイド化したポリサイド層(具体的にはp型ポリサイド層)からなる。つまり、第1低抵抗層442は、ゲート電極223の表層部において当該ゲート電極223と一体的に形成され、ゲート電極223の電極面を形成している。
【0461】
第1低抵抗層442は、TiSi、TiSi2、NiSi、CoSi、CoSi2、MoSi2およびWSi2のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第1低抵抗層442は、NiSi、CoSi2およびTiSi2のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第1低抵抗層442は、CoSi2からなることが特に好ましい。
【0462】
SiC半導体装置441は、ソース電極233を被覆する第2低抵抗層443を含む。第2低抵抗層443は、ソーストレンチ231内においてソース電極233を被覆している。つまり、第2低抵抗層443は、第2トレンチ構造230の一部を形成している。第2低抵抗層443は、ソーストレンチ231内においてソース絶縁膜232(つまり第2部分235)に接していてもよい。
【0463】
第2低抵抗層443は、ソース電極233のシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。第2低抵抗層443のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。第2低抵抗層443は、10μΩ・cm以上110μΩ・cm以下の比抵抗を有していることが好ましい。第2低抵抗層443は、この形態では、ソース電極233の表層部が金属とシリサイド化したポリサイド層(具体的にはp型ポリサイド層)からなる。つまり、第2低抵抗層443は、ソース電極233の表層部において当該ソース電極233と一体的に形成され、ソース電極233の電極面を形成している。
【0464】
第2低抵抗層443は、TiSi、TiSi2、NiSi、CoSi、CoSi2、MoSi2およびWSi2のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2低抵抗層443は、NiSi、CoSi2およびTiSi2のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。第2低抵抗層443は、CoSi2からなることが特に好ましい。第2低抵抗層443は、第1低抵抗層442と同一材料からなることが好ましい。このような構造において、ボディ領域250のp型不純物濃度は、ゲート電極223のp型不純物濃度およびソース電極233のp型不純物濃度未満であることが好ましい。
【0465】
以上、SiC半導体装置441によってもSiC半導体装置201に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。また、SiC半導体装置441は、p型ポリシリコンを含むゲート電極223、および、ゲート電極223を被覆する第1低抵抗層442を含む。
【0466】
p型ポリシリコンを含むゲート電極223によれば、n型ポリシリコンの場合と比較して、ゲートトレンチ221内のシート抵抗が増加する一方、ゲート閾値電圧Vthを1V程度増加させることができる。第1低抵抗層442によれば、ゲート閾値電圧Vthの低下を抑制しながら、ゲートトレンチ221内の寄生抵抗を低下させることができる。よって、SiC半導体装置441によれば、ゲート閾値電圧Vthを増加させながら、ゲートトレンチ221内の寄生抵抗を削減できる。
【0467】
SiC半導体装置441に係る第1低抵抗層442および第2低抵抗層443は、第7~第10実施形態にも適用できる。第1低抵抗層442および第2低抵抗層443が第10実施形態に係るSiC半導体装置431に適用された場合、第2低抵抗層443は、ソース電極233と共に第1トレンチ部231aに接するコンタクト部233aを形成する。つまり、ボディ領域250、ソース領域251、コンタクト領域252、ウェル領域253等は、SiCチップ202内において第2低抵抗層443にそれぞれソース接地される。
【0468】
図27は、半導体パッケージ501を一方側から見た平面図である。
図28は、
図27に示す半導体パッケージ501を他方側から見た平面図である。
図29は、
図27に示す半導体パッケージ501の斜視図である。
図30は、
図27に示す半導体パッケージ501の分解斜視図である。
図31は、
図27に示すXXXI-XXXI線に沿う断面図である。
図32は、
図27に示す半導体パッケージ501の回路図である。
【0469】
図27~
図32を参照して、半導体パッケージ501は、この形態では、パワーガードパッケージと称される形態を有している。半導体パッケージ501は、樹脂製のパッケージ本体502を含む。パッケージ本体502は、フィラー(たとえば絶縁フィラー)およびマトリクス樹脂を含むモールド樹脂からなる。マトリクス樹脂は、エポキシ樹脂からなることが好ましい。
【0470】
パッケージ本体502は、一方側の第1主面503(第1面)、他方側の第2主面504(第2面)、ならびに、第1主面503および第2主面504を接続する第1~第4側面505A~505Dを有している。第1主面503および第2主面504は、それらの法線方向Zから見た平面視において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0471】
第1側面505Aおよび第2側面505Bは、第1主面503に沿う第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差(具体的には直交)する第2方向Yに対向している。第1側面505Aおよび第2側面505Bは、パッケージ本体502の長辺を形成している。第3側面505Cおよび第4側面505Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第3側面505Cおよび第4側面505Dは、パッケージ本体502の短辺を形成している。
【0472】
半導体パッケージ501は、パッケージ本体502内に配置された第1金属板510を含む。第1金属板510は、パッケージ本体502の第1主面503側に配置され、第1放熱部511および第1端子部512を一体的に含む。第1放熱部511は、第1主面503から露出するようにパッケージ本体502内に配置されている。第1放熱部511は、第1主面503の平面積未満の平面積を有し、第1~第4側面505A~505Dから内方に間隔を空けて第1主面503から露出している。第1放熱部511は、平面視において第1方向Xに延びる長方形状に形成されている。
【0473】
第1端子部512は、第1側面505Aを貫通するように第1放熱部511から第2方向Yに延びる帯状に引き出され、パッケージ本体502の内外に跨っている。第1放熱部511は、第1側面505A(第2側面505B)の中央部を第2方向Yに横切る中央ラインLCを設定したとき、当該中央ラインLCに対して第4側面505D側に配置されている。
【0474】
第1端子部512は、第2方向Yに関して第1長さL1を有している。第1端子部512の第1方向Xの幅は、第1放熱部511の第1方向Xの幅未満である。第1端子部512は、パッケージ本体502内において第1主面503側から第2主面504側に折れ曲がった第1屈曲部513を介して第1放熱部511に接続されている。これにより、第1端子部512は、第1主面503から第2主面504側に間隔を空けて第1側面505Aから露出している。
【0475】
半導体パッケージ501は、パッケージ本体502内に配置された第2金属板520を含む。第2金属板520は、第2放熱部521および第2端子部522を一体的に含み、第1金属板510から間隔を空けてパッケージ本体502の第2主面504側に配置されている。第2放熱部521は、第2主面504から露出するようにパッケージ本体502内に配置されている。
【0476】
第2放熱部521は、第2主面504の平面積未満の平面積を有し、第1~第4側面505A~505Dから内方に間隔を空けて第2主面504から露出している。第2放熱部521は、平面視において第1方向Xに延びる長方形状に形成されている。第2端子部522は、第1側面505Aを貫通するように第2放熱部521から第2方向Yに延びる帯状に引き出され、パッケージ本体502の内外に跨っている。第2端子部522は、中央ラインLCに対して第3側面505C側に配置されている。
【0477】
第2端子部522は、この形態では、第2方向Yに関して第1端子部512の第1長さL1とは異なる第2長さL2を有している。第1端子部512および第2端子部522は、それらの形状(長さ)から識別される。第2端子部522の第2長さL2は、第1長さL1を超えていてもよいし、第1長さL1未満であってもよい。むろん、第1長さL1と等しい第2長さL2を有する第2端子部522が形成されてもよい。
【0478】
第2端子部522の第1方向Xの幅は、第2放熱部521の第1方向Xの幅未満である。第2端子部522は、パッケージ本体502内において第2主面504側から第1主面503側に折れ曲がった第2屈曲部523を介して第2放熱部521に接続されている。これにより、第2端子部522は、第2主面504から第1主面503側に間隔を空けて第2側面505Bから露出している。
【0479】
第2端子部522は、法線方向Zに関して、第1端子部512とは異なる厚さ位置から引き出されている。第2端子部522は、この形態では、第1端子部512から第2主面504側に間隔を空けて形成されている。第2端子部522は、第1方向Xに関して第1端子部512と対向していない。
【0480】
半導体パッケージ501は、パッケージ本体502内に配置された1つまたは複数(この形態では5つ)の制御端子530を含む。複数の制御端子530は、第1端子部512および第2端子部522が露出した第1側面505Aとは反対側の第2側面505Bから露出している。複数の制御端子530は、中央ラインLCに対して第3側面505C側に配置されている。複数の制御端子530は、平面視において第2金属板520の第2端子部522と同一直線上に配置されている。複数の制御端子530の配置は任意である。
【0481】
複数の制御端子530は、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の制御端子530は、具体的には、内端部531、外端部532およびリード部533をそれぞれ含む。内端部531は、パッケージ本体502内に配置されている。外端部532は、パッケージ本体502外に配置されている。
【0482】
リード部533は、第2側面505Bを貫通するようにパッケージ本体502内からパッケージ本体502外に引き出され、パッケージ本体502の内外において内端部531および外端部532を接続している。リード部533は、パッケージ本体502外に位置する部分において第1主面503および/または第2主面504に向けて窪んだ湾曲部534を有していてもよい。むろん、湾曲部534を有さないリード部533が形成されてもよい。
【0483】
複数の制御端子530は、法線方向Zに関して、第1放熱部511および第2放熱部521とは異なる厚さ位置から引き出されている。複数の制御端子530は、この形態では、第1放熱部511および第2放熱部521から間隔を空けて第1放熱部511および第2放熱部521の間の領域に配置されている。
【0484】
半導体パッケージ501は、パッケージ本体502内に配置されたSBDチップ541を含む。SBDチップ541は、第1~第5実施形態に係るSiC半導体装置(符号略)のいずれか一つからなる。SBDチップ541は、パッケージ本体502内において第1放熱部511および第2放熱部521によって挟まれた空間に配置されている。SBDチップ541は、この形態では、第2主面電極70を第2放熱部521に対向させた姿勢で、第2放熱部521の上に配置されている。SBDチップ541は、中央ラインLCに対してパッケージ本体502の第4側面505D側に配置されている。
【0485】
半導体パッケージ501は、SBDチップ541から間隔を空けてパッケージ本体502内に配置されたMISFETチップ542を含む。MISFETチップ542は、第6~第11実施形態に係るSiC半導体装置(符号略)のいずれか一つからなる。MISFETチップ542は、パッケージ本体502内において第1放熱部511および第2放熱部521によって挟まれた空間に配置されている。MISFETチップ542は、この形態では、第2主面電極380を第2放熱部521に対向させた姿勢で、第2放熱部521の上に配置されている。MISFETチップ542は、中央ラインLCに対してパッケージ本体502の第3側面505C側に配置されている。
【0486】
半導体パッケージ501は、第1導電接合材543を含む。第1導電接合材543は、SBDチップ541の第2主面電極70および第2放熱部521の間に介在し、SBDチップ541を第2放熱部521に熱的、機械的および電気的に接続している。第1導電接合材543は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。
【0487】
半導体パッケージ501は、第2導電接合材544を含む。第2導電接合材544は、MISFETチップ542の第2主面電極380および第2放熱部521の間に介在し、MISFETチップ542を第2放熱部521に熱的、機械的および電気的に接続している。第2導電接合材544は、半田または金属ペースト含んでいてもよい。
【0488】
これにより、MISFETチップ542のドレインは、SBDチップ541のカソードに電気的に接続されている。つまり、第2金属板520(第2端子部522)は、SBDチップ541およびMISFETチップ542に対するカソード・ドレイン端子として機能する。
【0489】
半導体パッケージ501は、第1金属スペーサ551を含む。第1金属スペーサ551は、銅を含む板状部材を含んでいてもよい。第1金属スペーサ551は、SBDチップ541および第1放熱部511の間に介在している。
【0490】
半導体パッケージ501は、第2金属スペーサ552を含む。第1金属スペーサ551は、銅を含む板状部材を含んでいてもよい。第2金属スペーサ552は、第1金属スペーサ551の厚さとほぼ等しい厚さを有していることが好ましい。第2金属スペーサ552は、第1金属スペーサ551から間隔を空けて設けられ、MISFETチップ542および第1放熱部511の間に介在している。第2金属スペーサ552は、この形態では、第1金属スペーサ551とは別体からなるが、第2金属スペーサ552は第1金属スペーサ551と一体的に形成されていてもよい。
【0491】
半導体パッケージ501は、第3導電接合材553を含む。第3導電接合材553は、SBDチップ541のパッド電極60および第1金属スペーサ551の間に介在し、SBDチップ541を第1金属スペーサ551に熱的、機械的および電気的に接続している。第3導電接合材553は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。第3導電接合材553は、半田からなることが好ましい。
【0492】
半導体パッケージ501は、第4導電接合材554を含む。第4導電接合材554は、MISFETチップ542のソースパッド電極362および第2金属スペーサ552の間に介在し、MISFETチップ542を第2金属スペーサ552に熱的、機械的および電気的に接続している。第4導電接合材554は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。第4導電接合材554は、半田からなることが好ましい。
【0493】
半導体パッケージ501は、第5導電接合材555を含む。第5導電接合材555は、第1放熱部511および第1金属スペーサ551の間に介在し、第1金属スペーサ551を第1放熱部511に熱的、機械的および電気的に接続している。第5導電接合材555は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。
【0494】
半導体パッケージ501は、第6導電接合材556を含む。第6導電接合材556は、第1放熱部511および第2金属スペーサ552の間に介在し、第2金属スペーサ552を第1放熱部511に熱的、機械的および電気的に接続している。第6導電接合材556は、半田または金属ペーストを含んでいてもよい。
【0495】
これにより、MISFETチップ542のソースは、SBDチップ541のアノードに電気的に接続されている。つまり、第1金属板510(第1端子部512)は、SBDチップ541およびMISFETチップ542に対するアノード・ソース端子として機能する。
【0496】
半導体パッケージ501は、1つまたは複数(この形態では4つ)の導線557を含む。導線557は、ボンディングワイヤとも称される。導線557は、金ワイヤ、銅ワイヤおよびアルミニウムワイヤのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数の導線557は、複数の制御端子530の内端部531およびMISFETチップ542のゲートパッド電極361にそれぞれ接続されている。
【0497】
これにより、MISFETチップ542のゲートは、複数の制御端子530に電気的に接続されている。つまり、複数の制御端子530は、MISFETチップ542のゲート端子としてそれぞれ機能する。導線557は、全ての制御端子530およびゲートパッド電極361に接続されている必要はない。任意の制御端子530は、電気的に開放されていてもよい。
【0498】
以上、半導体パッケージ501によれば、SBDチップ541のパッド電極60に第1導電接合材543が接続される。パッド電極60は、第1~第5実施形態において述べた通り、Niめっき膜61を含む。これにより、パッド電極60に対して第1導電接合材543を適切に接続させることができる。よって、SBDチップ541を第1放熱部511および第2放熱部521に熱的、機械的および電気的に適切に接続させることができる。特に、外めっき膜63を含むパッド電極60によれば、第1導電接合材543に対する親和性を高めることができる。
【0499】
SBDチップ541が有機絶縁膜50を備えていない場合、パッケージ本体502に含有されるフィラーに起因して第1主面電極20やパッド電極60等にクラックや剥離等が生じる場合がある。この種の問題はフィラーアタックと称され、第1主面電極20やパッド電極60等の信頼性低下の一要因になっている。そこで、SBDチップ541では、有機絶縁膜50が形成されている。これにより、有機絶縁膜50がフィラーに対するクッションになるから、第1主面電極20やパッド電極60等を適切に保護できる。
【0500】
さらに、SBDチップ541では、第1~第5実施形態において述べた通り、有機絶縁膜50を備えた構造において、Niめっき膜61が第2無機絶縁膜30の縁部51に接続された構造を有している。これにより、フィラーアタックに起因するNiめっき膜61(外めっき膜63)のクラックや剥離等も適切に抑制できる。
【0501】
また、半導体パッケージ501によれば、MISFETチップ542のソースパッド電極362に第2導電接合材544が接続される。ソースパッド電極362は、第6~第11実施形態において述べた通り、第2Niめっき膜373を含む。これにより、ソースパッド電極362に対して第2導電接合材544を適切に接続させることができる。よって、MISFETチップ542を第1放熱部511および第2放熱部521に熱的、機械的および電気的に適切に接続させることができる。特に、第2外めっき膜375を含むソースパッド電極362によれば、第2導電接合材544に対する親和性を高めることができる。
【0502】
MISFETチップ542が有機絶縁膜340を備えていない場合、パッケージ本体502に含有されるフィラーに起因してMISFETチップ542の複数の第1主面電極300やソースパッド電極362等にクラックや剥離等が生じる場合がある。そこで、MISFETチップ542では、第2無機絶縁膜320の上に有機絶縁膜340が形成されている。これにより、有機絶縁膜340がフィラーに対するクッションになるから、複数の第1主面電極300やソースパッド電極362等を適切に保護できる。
【0503】
さらに、MISFETチップ542では、第6~第11実施形態において述べた通り、有機絶縁膜340を備えた構造において、第2Niめっき膜373が第2無機絶縁膜320の第2内被覆部325に接続された構造を有している。これにより、フィラーアタックに起因する第2Niめっき膜373(第2外めっき膜375)のクラックや剥離等も適切に抑制できる。MISFETチップ542では、ゲートパッド電極361側においても、ソースパッド電極362側の効果と同様の効果が奏される。
【0504】
この形態では、半導体パッケージ501がSBDチップ541およびMISFETチップ542を含む例が説明された。しかし、SBDチップ541およびMISFETチップ542のいずれか一方だけを含む半導体パッケージ501が採用されてもよい。また、複数のSBDチップ541および/または複数のMISFETチップ542を含む半導体パッケージ501が採用されてもよい。
【0505】
SBDチップ541は、パワーガード形態を有する半導体パッケージ501に限らず、TO(Transistor Outline)、SOP(Small Outline Package)、QFN(Quad Flat Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、もしくは、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、または、これらに類する種々のパッケージに搭載されてもよい。
【0506】
MISFETチップ542は、パワーガード形態を有する半導体パッケージ501に限らず、TO(Transistor Outline)、SOP(Small Outline Package)、QFN(Quad Flat Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、もしくは、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、または、これらに類する種々のパッケージに搭載されてもよい。
【0507】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。前述の第1実施形態では、第1主面電極20の上に端子電極としてのパッド電極60が形成された例が説明された。しかし、第1実施形態に係るSiC半導体装置1は、
図33に示される形態を有していてもよい。
図33は、
図3に対応し、第1実施形態に係るSiC半導体装置1の変形例を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0508】
図33を参照して、変形例に係るSiC半導体装置1は、パッド電極60を有していない。この場合、第1主面電極20が端子電極として機能する。このようなSiC半導体装置1は、前述のパッド電極60の形成工程(
図6K参照)が省略されることによって製造される。むろん、パッド電極60が存在しない形態は、第1実施形態の他、第2~第5実施形態にも適用できる。
【0509】
前述の第1~第5実施形態において、SiCチップ2に代えてSi単結晶からなるSiチップが採用されてもよい。つまり、前述の第1~第5実施形態に係るSiC半導体装置(符号略)に代えて、Si半導体装置が採用されてもよい。
【0510】
前述の第1~第5実施形態では、第1方向XがSiC単結晶のm軸方向であり、第2方向YがSiC単結晶のa軸方向である例が説明されたが、第1方向XがSiC単結晶のa軸方向であり、第2方向YがSiC単結晶のm軸方向であってもよい。つまり、第1側面5Aおよび第2側面5BはSiC単結晶のm面によって形成され、第3側面5Cおよび第4側面5DはSiC単結晶のa面によって形成されてもよい。この場合、オフ方向はSiC単結晶のa軸方向であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、第1方向Xに係るm軸方向をa軸方向に置き換え、第2方向Yに係るa軸方向をm軸方向に置き換えることによって得られる。
【0511】
前述の第1~第5実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の例が説明されたが、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、n型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0512】
前述の第6実施形態では、複数の第1主面電極300(ゲート主面電極301およびソース主面電極303)の上に端子電極としての複数のパッド電極360(ゲートパッド電極361およびソースパッド電極362)がそれぞれ形成された例が説明された。しかし、第6実施形態に係るSiC半導体装置201は、
図34および
図35に示される形態を有していてもよい。
図34および
図35は、
図17および
図18にそれぞれ対応し、第6実施形態に係るSiC半導体装置201の変形例を説明するための断面図である。以下、SiC半導体装置201に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号が付され、それらの説明は省略される。
【0513】
図34および
図35を参照して、変形例に係るSiC半導体装置201は、複数のパッド電極360(ゲートパッド電極361およびソースパッド電極362)を有していない。この場合、複数の第1主面電極300(ゲート主面電極301およびソース主面電極303)が端子電極としてそれぞれ機能する。むろん、複数のパッド電極360が存在しない形態は、第6実施形態の他、第7~第11実施形態にも適用できる。
【0514】
前述の第6~第11実施形態において、SiCチップ202に代えてSi単結晶からなるSiチップが採用されてもよい。つまり、前述の第6~第11実施形態に係るSiC半導体装置(符号略)に代えて、Si半導体装置が採用されてもよい。
【0515】
前述の第6~第11実施形態では、第1方向XがSiC単結晶のm軸方向であり、第2方向YがSiC単結晶のa軸方向である例が説明されたが、第1方向XがSiC単結晶のa軸方向であり、第2方向YがSiC単結晶のm軸方向であってもよい。つまり、第1側面205Aおよび第2側面205B(SiCチップ202の2つの短辺)はSiC単結晶のm面によって形成され、第3側面205Cおよび第4側面205D(SiCチップ202の2つの長辺)はSiC単結晶のa面によって形成されてもよい。この場合、オフ方向はSiC単結晶のa軸方向であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、第1方向Xに係るm軸方向をa軸方向に置き換え、第2方向Yに係るa軸方向をm軸方向に置き換えることによって得られる。
【0516】
前述の第6~第11実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の例が説明されたが、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、n型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0517】
前述の第6~第11実施形態において、n型の第1半導体領域210(ドレイン領域)に代えてp型の第1半導体領域210(コレクタ層)が採用されてもよい。この構造によれば、MISFETに代えて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を提供できる。この場合の具体的な構成は、前述の説明において、MISFETの「ソース」をIGBTの「エミッタ」に置き換え、MISFETの「ドレイン」をIGBTの「コレクタ」に置き換えることによって得られる。
【0518】
以下、この明細書および図面から抽出される特徴の例を示す。以下に示される[A1]~[A20]、[B1]~[B15]、[C1]~[C20]、[D1]~[D19]、[E1]~[E19]および[F1]~[F20]は、信頼性を向上できる電子部品を提供する。電子部品の一種としては、Siを含む半導体装置(Si半導体装置)やSiCを含む半導体装置(SiC半導体装置)が例示される。
【0519】
[A1]被覆対象(10、280)と、前記被覆対象(10、280)を被覆し、前記被覆対象(10、280)の上に電極側壁(21、302、305)を有する電極(20、300、301、303)と、前記電極側壁(21、302、305)を露出させるように前記電極(20、300、301、303)を被覆する内被覆部(31、321、324、325)を有する無機絶縁膜(30、320)と、前記電極側壁(21、302、305)を被覆する有機絶縁膜(50、340)と、を含む、電子部品。
【0520】
電子部品は、用途に応じて様々な環境下で使用されるため、様々な使用環境条件に適合した耐久性が求められる。電子部品の耐久性は、たとえば、高温高湿バイアス試験によって評価される。高温高湿バイアス試験では、高温高湿環境下に曝された状態で、電子部品の電気的動作が評価される。高温環境下では、電極の熱膨張に起因する応力が電極側壁の近傍で集中する。無機絶縁膜が電極側壁を被覆している場合、電極の応力に起因して無機絶縁膜が電極側壁から剥離し、信頼性が低下する可能性がある。無機絶縁膜の剥離が生じた場合、高湿環境下では、無機絶縁膜の剥離部に侵入した水分(湿気)に起因して電極等が酸化し、信頼性がさらに低下する可能性がある。
【0521】
そこで、前記電子部品では、電極側壁を露出させる無機絶縁膜が形成されている。これにより、電極の応力に起因する無機絶縁膜の剥離起点を削減できる。その結果、電極の応力に起因する無機絶縁膜の剥離を抑制できる。よって、電極を無機絶縁膜によって適切に保護できる。一方、有機絶縁膜は、電極側壁を被覆している。有機絶縁膜は、無機絶縁膜と比較して低い硬度を有している。したがって、電極に応力が生じたとしても、当該応力を弾性的に吸収できる。これにより、電極側壁からの有機絶縁膜の剥離を抑制できる。その結果、電極側壁を有機絶縁膜によって保護できる。よって、信頼性を向上できる電子部品を提供できる。この電子部品では、電極やその周辺の信頼性が特に向上する。
【0522】
[A2]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記内被覆部(31、321、324、325)を被覆している、A1に記載の電子部品。この構造によれば、電極からの無機絶縁膜の剥離を抑制できるので、無機絶縁膜の剥離に起因する有機絶縁膜の剥離を抑制できる。したがって、内被覆部を被覆する有機絶縁膜を形成することによって、無機絶縁膜および有機絶縁膜の双方によって電極を保護できる。
【0523】
[A3]前記内被覆部(31、321、324、325)は、前記電極(20、300、301、303)の周縁部を露出させており、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記電極(20、300、301、303)の周縁部を被覆している、A1またはA2に記載の電子部品。この構造によれば、内被覆部に対する電極の応力の影響を低減できる。また、電極の周縁部を有機絶縁膜によって保護できる。
【0524】
[A4]前記内被覆部(31、321、324、325)は、前記電極(20、300、301、303)の内方部を露出させている、A1~A3のいずれか一つに記載の電子部品。この構造によれば、電極のコンタクト部を確保できる。
【0525】
[A5]前記内被覆部(31、321、324、325)は、前記電極(20、300、301、303)の内方部を取り囲んでいる、A4に記載の電子部品。この構造によれば、コンタクト部を確保しながら、無機絶縁膜によって電極を適切に保護できる。
【0526】
[A6]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記電極(20、300、301、303)の内方部側において前記内被覆部(31、321、324、325)の縁部(54、343、347)を露出させている、A4またはA5に記載の電子部品。
【0527】
[A7]前記無機絶縁膜(30、320)は、前記電極側壁(21、302、305)を露出させるように前記被覆対象(10、280)を被覆する外被覆部(32、322)を有している、A1~A6のいずれか一つに記載の電子部品。この構造によれば、電極外の領域において、電極の応力に起因する被覆対象からの無機絶縁膜の剥離を抑制できる。これにより、電極外の領域から無機絶縁膜によって電極を保護できる。
【0528】
[A8]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記外被覆部(32、322)を被覆している、A7に記載の電子部品。この構造によれば、被覆対象からの無機絶縁膜の剥離を抑制できるので、無機絶縁膜の剥離に起因する有機絶縁膜の剥離を抑制できる。したがって、外被覆部を被覆する有機絶縁膜を形成することによって、無機絶縁膜および有機絶縁膜の双方によって電極を保護できる。
【0529】
[A9]前記外被覆部(32、322)は、前記電極側壁(21、302、305)から間隔を空けて前記被覆対象(10、280)を被覆し、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記被覆対象(10、280)において前記電極(20、300、301、303)および前記外被覆部(32、322)の間から露出した部分を被覆している、A7またはA8に記載の電子部品。この構造によれば、外被覆部に対する電極の応力の影響を低減できる。また、被覆対象において電極側壁および外被覆部の間から露出した部分を有機絶縁膜によって保護できる。
【0530】
[A10]前記外被覆部(32、322)は、平面視において前記電極(20、300、301、303)を取り囲んでいる、A7~A9のいずれか一つに記載の電子部品。この構造によれば、電極外の領域から無機絶縁膜によって電極を適切に保護できる。
【0531】
[A11]被覆対象(10、280)と、前記被覆対象(10、280)を被覆し、前記被覆対象(10、280)の上に電極側壁(21、302、305)を有する電極(20、300、301、303)と、前記電極側壁(21、302、305)を露出させるように前記被覆対象(10、280)を被覆する無機絶縁膜(30、320)と、前記無機絶縁膜(30、320)および前記電極(20、300、301、303)を被覆し、前記無機絶縁膜(30、320)および前記電極(20、300、301、303)の間で前記電極側壁(21、302、305)を被覆する有機絶縁膜(50、340)と、を含む、電子部品。
【0532】
この構造によれば、電極側壁を露出させる無機絶縁膜が形成されている。これにより、電極の応力に起因する無機絶縁膜の剥離起点を削減できる。その結果、電極の応力に起因する無機絶縁膜の剥離を抑制できる。よって、電極外の領域から電極を無機絶縁膜によって適切に保護できる。一方、有機絶縁膜は、電極側壁を被覆している。有機絶縁膜は、無機絶縁膜と比較して低い硬度を有している。したがって、電極に応力が生じたとしても、当該応力を弾性的に吸収できる。
【0533】
これにより、電極側壁からの有機絶縁膜の剥離を抑制できる。また、被覆対象からの無機絶縁膜の剥離を抑制できるので、無機絶縁膜の剥離に起因する有機絶縁膜の剥離を抑制できる。これにより、無機絶縁膜および有機絶縁膜の双方によって電極を保護できる。よって、信頼性を向上できる電子部品を提供できる。この電子部品では、電極やその周辺の信頼性が特に向上する。
【0534】
[A12]前記無機絶縁膜(30、320)は、前記電極側壁(21、302、305)から間隔を空けて前記被覆対象(10、280)を被覆し、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記電極(20、300、301、303)および前記無機絶縁膜(30、320)の間で前記被覆対象(10、280)を被覆している、A11に記載の電子部品。この構造によれば、無機絶縁膜に対する電極の応力の影響を低減できる。また、被覆対象において電極側壁および外被覆部の間から露出した部分を有機絶縁膜によって適切に保護できる。
【0535】
[A13]前記無機絶縁膜(30、320)は、平面視において前記電極(20、300、301、303)を取り囲んでいる、A11またはA12に記載の電子部品。この構造によれば、電極外の領域から無機絶縁膜によって電極を適切に保護できる。
【0536】
[A14]電極側壁(21、302、305)を有する電極(20、300、301、303)と、前記電極(20、300、301、303)の内方部および前記電極側壁(21、302、305)を露出させるように前記電極(20、300、301、303)を被覆する無機絶縁膜(30、320)と、前記電極側壁(21、302、305)を被覆し、前記電極(20、300、301、303)の内方部を露出させる有機絶縁膜(50、340)と、前記電極(20、300、301、303)の内方部の上に形成されたパッド電極(60、360、361、362)と、を含む、電子部品。
【0537】
この構造によれば、電極側壁を露出させる無機絶縁膜が形成されている。これにより、電極の応力に起因する無機絶縁膜の剥離起点を削減できる。その結果、電極の応力に起因する無機絶縁膜の剥離を抑制できる。よって、電極を無機絶縁膜によって適切に保護できる。一方、有機絶縁膜は、電極側壁を被覆している。有機絶縁膜は、無機絶縁膜と比較して低い硬度を有している。したがって、電極に応力が生じたとしても、当該応力を弾性的に吸収できる。これにより、電極側壁からの有機絶縁膜の剥離を抑制できる。その結果、電極側壁を有機絶縁膜によって保護できる。また、この構造によれば、無機絶縁膜や有機絶縁膜の剥離に起因するパッド電極の剥離を抑制できる。よって、信頼性を向上できる電子部品を提供できる。電子部品では、電極やその周辺の信頼性が特に向上する。
【0538】
[A15]前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記無機絶縁膜(30、320)に接している、A14に記載の電子部品。この構造によれば、無機絶縁膜の剥離を抑制できるから、無機絶縁膜に接するパッド電極を適切に形成できる。これにより、下地に対するパッド電極の接続面積を増加させることができるから、パッド電極の剥離を抑制できる。
【0539】
[A16]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記電極(20、300、301、303)の内方部側において前記無機絶縁膜(30、320)の縁部(54、343、347)を露出させるように前記無機絶縁膜(30、320)を被覆し、前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記無機絶縁膜(30、320)の前記縁部(54、343、347)を被覆している、A14またはA15に記載の電子部品。この構造によれば、下地に対するパッド電極の接続面積を適切に増加させることができるから、パッド電極の剥離を適切に抑制できる。
【0540】
[A17]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記無機絶縁膜(30、320)を被覆し、前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記有機絶縁膜(50、340)に接している、A14~A16のいずれか一つに記載の電子部品。この構造によれば、電極からの無機絶縁膜の剥離を抑制できるので、無機絶縁膜の剥離に起因する有機絶縁膜の剥離を抑制できる。したがって、内被覆部を被覆する有機絶縁膜を形成することによって、無機絶縁膜および有機絶縁膜の双方によって電極およびパッド電極を保護できる。
【0541】
[A18]前記無機絶縁膜(30、320)は、前記電極側壁(21、302、305)から間隔を空けて前記電極(20、300、301、303)を被覆し、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記電極(20、300、301、303)において前記電極側壁(21、302、305)および前記無機絶縁膜(30、320)の間から露出した部分を被覆している、A14~A17のいずれか一つに記載の電子部品。この構造によれば、外被覆部に対する電極の応力の影響を低減できる。また、被覆対象において電極側壁および外被覆部の間から露出した部分を有機絶縁膜によって保護できる。
【0542】
[A19]前記無機絶縁膜(30、320)は、平面視において前記電極(20、300、301、303)の内方部を取り囲んでいる、A14~A18のいずれか一つに記載の電子部品。この構造によれば、パッド電極の形成部を確保しながら、無機絶縁膜によって電極を適切に保護できる。
【0543】
[A20]前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記無機絶縁膜に接するNiめっき膜(61、363、373)を含む、A14~A19のいずれか一つに記載の電子部品。Niめっき膜は、無機絶縁膜に対して良好な密着性を有している。したがって、無機絶縁膜に接するNiめっき膜を形成することによって、パッド電極の剥離を適切に抑制できる。よって、信頼性を向上できる。
【0544】
[B1]第1無機絶縁膜(280)と、前記第1無機絶縁膜(280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(280)の上に電極側壁(302、305)を有する電極(300、301、303)と、前記電極(300、301、303)から前記第1無機絶縁膜(280)の上にライン状に引き出され、前記第1無機絶縁膜(280)の上に配線側壁(309、311)を有する配線電極(306、307、310)と、前記電極側壁(302、305)および前記配線側壁(309、311)を露出させるように前記電極(300、301、303)を被覆する内被覆部(324、325)を有する第2無機絶縁膜(320)と、前記電極側壁(302、305)および前記配線側壁(309、311)を被覆する有機絶縁膜(340)と、を含む、電子部品。
【0545】
[B2]前記第2無機絶縁膜(320)は、前記配線電極(306、307、310)の全域を露出させ、前記有機絶縁膜(340)は、前記配線電極(306、307、310)の全域を被覆している、B1に記載の電子部品。
【0546】
[B3]前記有機絶縁膜(340)は、前記内被覆部(324、325)を被覆している、B1またはB2に記載の電子部品。
【0547】
[B4]前記内被覆部(324、325)は、前記電極(300、301、303)の周縁部を露出させており、前記有機絶縁膜(340)は、前記電極(300、301、303)の周縁部を被覆している、B1~B3のいずれか一つに記載の電子部品。
【0548】
[B5]前記内被覆部(324、325)は、前記電極(300、301、303)の内方部を露出させている、B1~B4のいずれか一つに記載の電子部品。
【0549】
[B6]前記内被覆部(324、325)は、前記電極(300、301、303)の内方部を取り囲んでいる、B5に記載の電子部品。
【0550】
[B7]前記電極(300、301、303)の内方部の上に形成されたパッド電極(360、361、362)をさらに含む、B5またはB6に記載の電子部品。
【0551】
[B8]前記パッド電極(360、361、362)は、前記内被覆部(324、325)に接している、B7に記載の電子部品。
【0552】
[B9]前記有機絶縁膜(340)は、前記電極(300、301、303)の内方部側において前記内被覆部(324、325)の縁部(343、347)を露出させるように前記内被覆部(324、325)を被覆し、前記パッド電極(360、361、362)は、前記内被覆部(324、325)の前記縁部(343、347)を被覆している、B7またはB8に記載の電子部品。
【0553】
[B10]前記パッド電極(360、361、362)は、前記有機絶縁膜(340)に接している、B7~B9のいずれか一つに記載の電子部品。
【0554】
[B11]前記パッド電極(360、361、362)は、前記内被覆部(324、325)に接するNiめっき膜(363、373)を含む、B7~B10のいずれか一つに記載の電子部品。
【0555】
[B12]前記第2無機絶縁膜(320)は、前記電極側壁(302、305)および前記配線側壁(309、311)を露出させるように前記第1無機絶縁膜(280)を被覆する外被覆部(322)を有している、B1~B11のいずれか一つに記載の電子部品。
【0556】
[B13]前記有機絶縁膜(340)は、前記外被覆部(322)を被覆している、B12に記載の電子部品。
【0557】
[B14]前記外被覆部(322)は、前記電極側壁(302、305)および前記配線側壁(309、311)から間隔を空けて前記第1無機絶縁膜(280)を被覆している、B12またはB13に記載の電子部品。
【0558】
[B15]前記外被覆部(322)は、平面視において前記電極(300、301、303)および前記配線電極(306、307、310)を取り囲んでいる、B12~B14のいずれか一つに記載の電子部品。
【0559】
[C1]主面(203)を有する半導体チップ(202)と、前記主面(203)に形成された絶縁ゲート型のトランジスタと、前記トランジスタの一部を露出させるように前記主面(203)を被覆する第1無機絶縁膜(280)と、前記トランジスタに電気的に接続されるように前記第1無機絶縁膜(280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(280)の上に第1側壁(302)を有するゲート主面電極(301)と、前記トランジスタに電気的に接続されるように前記ゲート主面電極(301)から間隔を空けて前記第1無機絶縁膜(280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(280)の上に第2側壁(305)を有するソース主面電極(303)と、前記第1側壁(302)を露出させるように前記ゲート主面電極(301)を被覆する第1内被覆部(324)、および、前記第2側壁(305)を露出させるように前記ソース主面電極(303)を被覆する第2内被覆部(325)を含む第2無機絶縁膜(320)と、前記ゲート主面電極(301)の前記第1側壁(302)および前記ソース主面電極(303)の前記第2側壁(305)を被覆する有機絶縁膜(340)と、を含む、半導体装置。
【0560】
[C2]前記有機絶縁膜(340)は、前記第1内被覆部(324)および前記第2内被覆部(325)を被覆している、C1に記載の半導体装置。
【0561】
[C3]前記第1内被覆部(324)は、前記ゲート主面電極(301)の周縁部を露出させ、前記第2内被覆部(325)は、前記ソース主面電極(303)の周縁部を露出させ、前記有機絶縁膜(340)は、前記ゲート主面電極(301)の周縁部および前記ソース主面電極(303)の周縁部を被覆している、C1またはC2に記載の半導体装置。
【0562】
[C4]前記第1内被覆部(324)は、前記ゲート主面電極(301)の内方部を露出させ、前記第2内被覆部(325)は、前記ソース主面電極(303)の内方部を露出させ、前記有機絶縁膜(340)は、前記ゲート主面電極(301)の内方部および前記ソース主面電極(303)の内方部を露出させている、C1~C3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0563】
[C5]前記第1内被覆部(324)は、前記ゲート主面電極(301)の内方部を取り囲み、前記第2内被覆部(325)は、前記ソース主面電極(303)の内方部を取り囲み、前記有機絶縁膜(340)は、前記ゲート主面電極(301)の内方部および前記ソース主面電極(303)の内方部を取り囲んでいる、C4に記載の半導体装置。
【0564】
[C6]前記ゲート主面電極(301)の内方部の上に形成されたゲートパッド電極(361)と、前記ソース主面電極(303)の内方部の上に形成されたソースパッド電極(362)と、をさらに含む、C4またはC5に記載の半導体装置。
【0565】
[C7]前記ゲートパッド電極(361)は、前記第1内被覆部(324)に接し、前記ソースパッド電極(362)は、前記第2内被覆部(325)に接している、C6に記載の半導体装置。
【0566】
[C8]前記有機絶縁膜(340)は、前記ゲート主面電極(301)の内方部側において前記第1内被覆部(324)の第1縁部(341)を露出させるように前記第1内被覆部(324)を被覆し、前記ソース主面電極(303)の内方部側において前記第2内被覆部(325)の第2縁部(342)を露出させるように前記第2内被覆部(325)を被覆し、前記ゲートパッド電極(361)は、前記第1内被覆部(324)の前記第1縁部(341)を被覆し、前記ソースパッド電極(362)は、前記第2内被覆部(325)の前記第2縁部(342)を被覆している、C6またはC7に記載の半導体装置。
【0567】
[C9]前記ゲートパッド電極(361)は、前記有機絶縁膜(340)に接し、前記ソースパッド電極(362)は、前記有機絶縁膜(340)に接している、C6~C8のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0568】
[C10]前記ゲートパッド電極(361)は、前記第1内被覆部(324)に接する第1Niめっき膜(363)を含み、前記ソースパッド電極(362)は、前記第2内被覆部(325)に接する第2Niめっき膜(373)を含む、C6~C9のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0569】
[C11]前記ゲート主面電極(301)から前記第1無機絶縁膜(280)の上にライン状に引き出され、前記第1無機絶縁膜(280)の上にゲート配線側壁(309)を有するゲート配線電極(307)をさらに含み、前記第2無機絶縁膜(320)は、前記ゲート配線側壁(309)を露出させ、前記有機絶縁膜(340)は、前記ゲート配線側壁(309)を被覆している、C1~C10のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0570】
[C12]前記有機絶縁膜(340)は、前記ゲート配線電極(307)の全域を被覆している、C11に記載の半導体装置。
【0571】
[C13]前記ゲート配線電極(307)は、平面視において複数の方向から前記ソース主面電極(303)に対向するようにライン状に延びている、C11またはC12に記載の半導体装置。
【0572】
[C14]前記ソース主面電極(303)から前記第1無機絶縁膜(280)の上にライン状に引き出され、前記第1無機絶縁膜(280)の上にソース配線側壁(311)を有するソース配線電極(310)をさらに含み、前記第2無機絶縁膜(320)は、前記ソース配線側壁(311)を露出させ、前記有機絶縁膜(340)は、前記ソース配線側壁(311)を被覆している、C1~C13のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0573】
[C15]前記有機絶縁膜(340)は、前記ソース配線電極(310)の全域を被覆している、C14に記載の半導体装置。
【0574】
[C16]前記ソース配線電極(310)は、平面視において前記ゲート主面電極(301)および前記ソース主面電極(303)を取り囲んでいる、C14またはC15に記載の半導体装置。
【0575】
[C17]前記第2無機絶縁膜(320)は、前記第1側壁(302)および前記第2側壁(305)を露出させるように前記ゲート主面電極(301)および前記ソース主面電極(303)から間隔を空けて前記第1無機絶縁膜(280)を被覆する外被覆部(322)を有している、C1~C16のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0576】
[C18]前記有機絶縁膜(340)は、前記外被覆部(322)を被覆している、C17に記載の半導体装置。
【0577】
[C19]前記外被覆部(322)は、平面視において前記ゲート主面電極(301)および前記ソース主面電極(303)を取り囲んでいる、C17またはC18に記載の半導体装置。
【0578】
[C20]前記トランジスタは、トレンチ絶縁ゲート型からなる、C1~C19のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0579】
[D1]活性面(206)、前記活性面(206)外で厚さ方向に窪んだ外側面(207)、ならびに、前記活性面(206)および前記外側面(207)を接続する境界側面(208)を含み、前記活性面(206)、前記外側面(207)および前記境界側面(208)によって台地(209)が区画された主面(203)を有する半導体チップ(202)と、前記活性面(206)に形成された機能デバイスと、前記機能デバイスの一部を露出させるように前記活性面(206)を被覆する第1無機絶縁膜(280)と、前記機能デバイスに電気的に接続されるように前記活性面(206)の上で前記第1無機絶縁膜(280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(280)の上に電極側壁(302、305)を有する主面電極(300、301、303)と、前記電極側壁(302、305)を露出させるように前記主面電極(300、301、303)を被覆する内被覆部(324、325)を有する第2無機絶縁膜(320)と、前記活性面(206)の上から前記境界側面(208)を横切って前記外側面(207)の上に延び、前記活性面(206)の上で前記電極側壁(302、305)を被覆する有機絶縁膜(340)と、を含む、半導体装置。
【0580】
[D2]前記第2無機絶縁膜(320)は、前記境界側面(208)を露出させている、D1に記載の半導体装置。
【0581】
[D3]前記第1無機絶縁膜(280)は、前記活性面(206)の上から前記外側面(207)の上に引き出され、前記第2無機絶縁膜(320)は、前記境界側面(208)から間隔を空けて前記外側面(207)の上で前記第1無機絶縁膜(280)を被覆する外被覆部(322)を有している、D1またはD2に記載の半導体装置。
【0582】
[D4]前記有機絶縁膜(340)は、前記外被覆部(322)を被覆している、D3に記載の半導体装置。
【0583】
[D5]前記外被覆部(322)は、平面視において前記境界側面(208)を取り囲んでいる、D3またはD4に記載の半導体装置。
【0584】
[D6]前記境界側面(208)を被覆するように前記外側面(207)の上に形成され、前記活性面(206)および前記外側面(207)の間の段差を緩和するサイドウォール構造(272)をさらに含み、前記第1無機絶縁膜(280)は、前記サイドウォール構造(272)を横切って前記活性面(206)の上から前記外側面(207)の上に引き出され、前記第2無機絶縁膜(320)は、前記第1無機絶縁膜(280)において前記サイドウォール構造(272)を被覆する部分を露出させている、D3~D5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0585】
[D7]前記主面電極(300、301、303)から前記第1無機絶縁膜(280)の上にライン状に引き出され、前記第1無機絶縁膜(280)の上に配線側壁(309、311)を有する配線電極(306、307、310)をさらに含み、前記第2無機絶縁膜(320)の前記内被覆部(324、325)は、前記電極側壁(302、305)および前記配線側壁(309、311)を露出させるように前記主面電極(300、301、303)を被覆し、前記有機絶縁膜(340)は、前記電極側壁(302、305)および前記配線側壁(309、311)を被覆している、D1~D6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0586】
[D8]前記第2無機絶縁膜(320)は、前記配線電極(306、307、310)の全域を露出させ、前記有機絶縁膜(340)は、前記配線電極(306、307、310)の全域を被覆している、D7に記載の半導体装置。
【0587】
[D9]配線電極(306、307)は、前記活性面(206)の上に引き回されている、D7またはD8に記載の半導体装置。
【0588】
[D10]前記配線電極(306、310)は、前記境界側面(208)を横切って前記外側面(207)の上に引き回されている、D7またはD8に記載の半導体装置。
【0589】
[D11]前記有機絶縁膜(340)は、前記内被覆部(324、325)を被覆している、D1~D10のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0590】
[D12]前記内被覆部(324、325)は、前記主面電極(300、301、303)の周縁部を露出させており、前記有機絶縁膜(340)は、前記主面電極(300、301、303)の周縁部を被覆している、D1~D11のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0591】
[D13]前記内被覆部(324、325)は、前記主面電極(300、301、303)の内方部を露出させている、D1~D12のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0592】
[D14]前記内被覆部(324、325)は、前記主面電極(300、301、303)の内方部を取り囲んでいる、D13に記載の半導体装置。
【0593】
[D15]前記主面電極(300、301、303)の内方部の上に形成されたパッド電極(360、361、362)をさらに含む、D13またはD14に記載の半導体装置。
【0594】
[D16]前記パッド電極(360、361、362)は、前記内被覆部(324、325)に接している、D15に記載の半導体装置。
【0595】
[D17]前記有機絶縁膜(340)は、前記主面電極(300、301、303)の内方部側において前記内被覆部(324、325)の縁部(343、347)を露出させるように前記内被覆部(324、325)を被覆し、前記パッド電極(360、361、362)は、前記内被覆部(324、325)の前記縁部(343、347)を被覆している、D15またはD16に記載の半導体装置。
【0596】
[D18]前記パッド電極(360、361、362)は、前記有機絶縁膜(340)に接している、D15~D17のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0597】
[D19]前記パッド電極(360、361、362)は、前記内被覆部(324、325)に接するNiめっき膜(363、373)を含む、D15~D18のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0598】
[E1]主面(3、203)を有するSiCチップ(2、202)と、前記主面(3、203)を被覆する第1無機絶縁膜(10、280)と、前記第1無機絶縁膜(10、280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(10、280)の上に電極側壁(21、302、305)を有する主面電極(20、300、301、303)と、前記電極側壁(21、302、305)を露出させるように前記主面電極(20、300、301、303)を被覆する内被覆部(31、321、324、325)を有する第2無機絶縁膜(30、320)と、前記電極側壁(21、302、305)を被覆する有機絶縁膜(50、340)と、を含む、SiC半導体装置。
【0599】
[E2]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記内被覆部(31、321、324、325)を被覆している、E1に記載のSiC半導体装置。
【0600】
[E3]前記内被覆部(31、321、324、325)は、前記主面電極(20、300、301、303)の周縁部を露出させており、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記主面電極(20、300、301、303)の周縁部を被覆している、E1またはE2に記載のSiC半導体装置。
【0601】
[E4]前記内被覆部(31、321、324、325)は、前記主面電極(20、300、301、303)の内方部を露出させている、E1~E3のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0602】
[E5]前記内被覆部(31、321、324、325)は、前記主面電極(20、300、301、303)の内方部を取り囲んでいる、E4に記載のSiC半導体装置。
【0603】
[E6]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記内被覆部(31、321、324、325)の一部を露出させるように前記内被覆部(31、321、324、325)を部分的に被覆している、E1~E5のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0604】
[E7]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記主面電極(20、300、301、303)の内方部側において前記内被覆部(31、321、324、325)の縁部(54、343、347)を露出させている、E1~E6のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0605】
[E8]前記内被覆部(31、321、324、325)の前記縁部(54、343、347)を被覆するように前記主面電極(20、300、301、303)の上に形成されたパッド電極(360、361、362)をさらに含む、E7に記載のSiC半導体装置。
【0606】
[E9]前記第2無機絶縁膜(30、320)は、前記電極側壁(21、302、305)を露出させるように前記第1無機絶縁膜(10、280)の上に形成された外被覆部(32、322)を有している、E1~E8のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0607】
[E10]前記外被覆部(32、322)は、前記電極側壁(21、302、305)から間隔を空けて前記第1無機絶縁膜(10、280)の上に形成され、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記第1無機絶縁膜(10、280)において前記主面電極(20、300、301、303)および前記外被覆部(32、322)の間から露出した部分を被覆している、E9に記載のSiC半導体装置。
【0608】
[E11]前記有機絶縁膜(50、340)は、前記外被覆部(32、322)を被覆している、E9またはE10に記載のSiC半導体装置。
【0609】
[E12]前記外被覆部(32、322)は、前記電極側壁(21、302、305)に沿って帯状に延びている、E10またはE11に記載のSiC半導体装置。
【0610】
[E13]前記外被覆部(32、322)は、平面視において前記主面電極(20、300、301、303)を取り囲んでいる、E9~E12のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0611】
[E14]前記SiCチップ(2、202)は、側面(5A~5D、205A~205D)を有し、前記第1無機絶縁膜(10、280)は、前記主面(3、203)の周縁部を露出させるように前記側面(5A~5D、205A~205D)から内方に間隔を空けて形成され、前記外被覆部(32、322)は、前記第1無機絶縁膜(10、280)から露出した前記主面(3、203)の周縁部を被覆している、E9~E13のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0612】
[E15]前記第2無機絶縁膜(30、320)は、前記第1無機絶縁膜(10、280)とは異なる絶縁体からなる、E1~E14のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0613】
[E16]前記第1無機絶縁膜(10、280)は、シリコン酸化物を含み、前記第2無機絶縁膜(30、320)は、シリコン窒化物を含む、E15に記載のSiC半導体装置。
【0614】
[E17]前記SiCチップ(2、202)に形成された機能デバイスと、前記機能デバイスに電気的に接続された1つまたは複数の前記主面電極(20、300、301、303)と、をさらに含む、E1~E16のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0615】
[E18]前記機能デバイスは、ショットキバリアダイオードを含み、前記主面電極(20)は、前記第1無機絶縁膜(10)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(10)の上に前記電極側壁(21)を有するショットキ主面電極(20)を含む、E17に記載のSiC半導体装置。
【0616】
[E19]前記機能デバイスは、絶縁ゲート型のトランジスタを含み、複数の前記主面電極(300、301、303)は、前記第1無機絶縁膜(280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(280)の上に第1電極側壁(302)を有するゲート主面電極(301)、および、前記ゲート主面電極(301)から間隔を空けて前記第1無機絶縁膜(280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(280)の上に第2電極側壁(309)を有するソース主面電極(303)を含み、前記第2無機絶縁膜(30、320)の前記内被覆部(321、324、325)は、前記第1電極側壁(302)を露出させるように前記ゲート主面電極(301)を被覆する第1内被覆部(324)、および、前記第2電極側壁(305)を露出させるように前記ソース主面電極(303)を被覆する第2内被覆部(325)のうちの少なくとも一方を含む、E18に記載のSiC半導体装置。
【0617】
[F1]SiCチップ(2、202)と、前記SiCチップ(2、202)の上に形成された第1無機絶縁膜(10、280)と、前記第1無機絶縁膜(10、280)を被覆し、前記第1無機絶縁膜(10、280)の上に電極側壁(21、302、305)を有する電極(20、300、301、303)と、前記電極(20、300、301、303)の内方部を露出させる第1開口(36、328、331)および前記電極側壁(21、302、305)を露出させる除去部(33、323)を有し、前記電極(20、300、301、303)および前記第1無機絶縁膜(10、280)を被覆する第2無機絶縁膜(30、320)と、前記電極(20、300、301、303)の内方部を露出させる第2開口(54、342、346)を有し、前記第2無機絶縁膜(30、320)の前記除去部(33、323)において前記電極側壁(21、302、305)を被覆する有機絶縁膜(50、340)と、前記電極(20、300、301、303)の内方部を被覆するパッド電極(60、360、361、362)と、を含む、SiC半導体装置。
【0618】
[F2]前記第2開口(54、342、346)は、前記第2無機絶縁膜(30、320)において前記第1開口(36、328、331)および前記除去部(33、323)の間の領域に形成されている、F1に記載のSiC半導体装置。
【0619】
[F3]前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記第2無機絶縁膜(30、320)に接している、F1またはF2に記載のSiC半導体装置。
【0620】
[F4]前記第2開口(54、342、346)は、前記第2無機絶縁膜(30、320)の縁部(54、343、347)を露出させるように前記第1開口(36、328、331)から間隔を空けて前記第2無機絶縁膜(30、320)の上に形成され、前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記第2無機絶縁膜(30、320)の前記縁部(54、343、347)を被覆している、F1~F3のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0621】
[F5]前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記第2開口(54、342、346)内において前記有機絶縁膜(50、340)に接している、F1~F4のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0622】
[F6]前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記第2開口(54、342、346)内において前記第2無機絶縁膜(30、320)を露出させている、F1~F4のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0623】
[F7]前記パッド電極(60、360、361、362)は、Niめっき膜(61、361、371)を含む、F1~F6のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0624】
[F8]前記パッド電極(60、360、361、362)は、前記Niめっき膜(61、361、371)の外面を被覆し、前記Niめっき膜(61、361、371)とは異なる金属からなる外めっき膜(63、363、373)を含む、F7に記載のSiC半導体装置。
【0625】
[F9]前記電極(20、300、301、303)は、純Al膜、AlSi合金膜、AlCu合金膜およびAlSiCu合金膜のうちの少なくとも1つを含む、F1~F8のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0626】
[F10]前記第2無機絶縁膜(30、320)は、前記第1開口(36、328、331)を区画するように前記電極(20、300、301、303)を被覆する電極被覆部(31、321、324、325)、前記電極(20、300、301、303)外の領域で前記第1無機絶縁膜(10、280)を被覆する絶縁被覆部(32、322)、ならびに、前記電極被覆部(31、321、324、325)および前記絶縁被覆部(32、322)の間から前記電極側壁(21、302、305)を露出させる前記除去部(33、323)を有し、前記有機絶縁膜(50、340)は、前記電極被覆部(31、321、324、325)および前記絶縁被覆部(32、322)を被覆し、前記電極被覆部(31、321、324、325)および前記絶縁被覆部(32、322)の間の前記除去部(33、323)において前記電極側壁(21、302、305)を被覆している、F1~F9のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0627】
[F11]前記電極被覆部(31、321、324、325)は、前記電極側壁(21、302、305)から間隔を空けて前記電極(20、300、301、303)の内方部を取り囲むように前記電極(20、300、301、303)を被覆している、F10に記載のSiC半導体装置。
【0628】
[F12]前記絶縁被覆部(32、322)は、前記電極側壁(21、302、305)から間隔を空けて前記電極(20、300、301、303)を取り囲むように前記第1無機絶縁膜(10、280)を被覆している、F10またはF11に記載のSiC半導体装置。
【0629】
[F13]前記除去部(33、323)は、全周に亘って前記電極側壁(21、302、305)を露出させている、F10~F12のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0630】
[F14]前記第1無機絶縁膜(10、280)は、前記SiCチップ(2、202)の周縁部を露出させるように前記SiCチップ(2、202)の端部から内方に間隔を空けて形成され、前記絶縁被覆部(32、322)は、前記第1無機絶縁膜(10、280)から露出した前記SiCチップ(2、202)の周縁部を被覆している、F10~F13のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0631】
[F15]前記第2無機絶縁膜(30、320)は、前記第1無機絶縁膜(10、280)とは異なる絶縁体からなる、F1~F14のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0632】
[F16]前記第1無機絶縁膜(10、280)は、シリコン酸化物を含み、前記第2無機絶縁膜(30、320)は、シリコン窒化物を含む、F15に記載のSiC半導体装置。
【0633】
[F17]前記SiCチップ(2、202)に形成された機能デバイスをさらに含み、前記電極(20、300、301、303)は、前記機能デバイスに電気的に接続されている、F1~F16のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0634】
[F18]前記機能デバイスは、ショットキバリアダイオードを含み、前記電極(20)は、ショットキ電極(20)を含む、F17に記載のSiC半導体装置。
【0635】
[F19]前記機能デバイスは、絶縁ゲート型のトランジスタを含み、前記電極(20)は、前記トランジスタのゲート電極(300、301)を含む、F17に記載のSiC半導体装置。
【0636】
[F20]前記機能デバイスは、絶縁ゲート型のトランジスタを含み、前記電極(20)は、前記トランジスタのソース電極(300、303)を含む、F17に記載のSiC半導体装置。
【0637】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0638】
1 SiC半導体装置(電子部品)
10 第1無機絶縁膜(被覆対象)
20 第1主面電極(電極)
21 電極側壁
30 第2無機絶縁膜
31 内被覆部
32 外被覆部
50 有機絶縁膜
51 内被覆部の縁部
60 パッド電極
61 Niめっき膜
101 SiC半導体装置(電子部品)
111 SiC半導体装置(電子部品)
121 SiC半導体装置(電子部品)
131 SiC半導体装置(電子部品)
141 SiC半導体装置(電子部品)
201 SiC半導体装置(電子部品)
280 第1無機絶縁膜(被覆対象)
300 第1主面電極(電極)
301 ゲート主面電極(電極)
302 ゲート電極側壁(電極側壁)
303 ソース主面電極(電極)
305 ソース電極側壁(電極側壁)
320 第2無機絶縁膜
321 内被覆部
322 外被覆部
324 第1内被覆部
325 第2内被覆部
340 有機絶縁膜
341 第1内被覆部の第1縁部
342 第2内被覆部の第2縁部
360 パッド電極
361 ゲートパッド電極
362 ソースパッド電極
363 第1Niめっき膜
373 第2Niめっき膜
401 SiC半導体装置(電子部品)
411 SiC半導体装置(電子部品)
421 SiC半導体装置(電子部品)
431 SiC半導体装置(電子部品)
441 SiC半導体装置(電子部品)