(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-09
(45)【発行日】2025-07-17
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 25/08 20200101AFI20250710BHJP
B62J 1/28 20060101ALI20250710BHJP
【FI】
B62J25/08
B62J1/28 C
(21)【出願番号】P 2023144808
(22)【出願日】2023-09-06
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健
(72)【発明者】
【氏名】與倉 康文
(72)【発明者】
【氏名】山倉 裕
(72)【発明者】
【氏名】岡部 貞隆
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-104882(JP,U)
【文献】特開平06-239274(JP,A)
【文献】特開2016-113002(JP,A)
【文献】特開2010-083359(JP,A)
【文献】特開2020-083123(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179298(WO,A1)
【文献】特開2016-060455(JP,A)
【文献】特開2015-067020(JP,A)
【文献】特開2011-068273(JP,A)
【文献】特開2004-182108(JP,A)
【文献】特開昭60-183273(JP,A)
【文献】特開昭57-047264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/28,25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(11)と、前記車体フレーム(11)
の左右一対のシートフレーム(35)に支持されるリアフェンダー(27)と、前記車体フレーム(11)及び前記リアフェンダー(27)に支持されるリアグリップ(55
)と、を備えた鞍乗り型車両において、
前記シートフレーム(35)の下部に沿って後上方に延び、後輪(15)よりも上方に配置されるマフラー(25c)を備え、
前記リアグリップ(55)は、前記シートフレーム(35)に沿うと共に、平面視で、前記マフラー(25c)と重なり、
前記リアグリップ(55
)は、金属製のリアグリップ本体部(50
)を備え、
前記リアグリップ本体部(50
)は、リアグリップ前部(51
)と、リアグリップ後部(56
)と、で分割可能な構造を有し、
前記リアグリップ前部(51)は、前記車体フレーム(11)と接続され、
車幅方向に延びる固定カラー(52)と、車幅方向外側上方に延びる湾曲部(53b)と、前記湾曲部(53b)から車体前後方向に延びる被覆部(53a)と、を有しており、
前記湾曲部(53b)の先端は、前記固定カラー(52)に付き当てられ、
前記被覆部(53a)は、前記リアグリップ本体部(50)よりも熱伝導性が低い管状部材(71)で被覆され、
前記被覆部(53a)の後端内部には、被接続部材(82)が設けられ、
前記リアグリップ後部(56
)は、
上下方向に厚みのある折り曲げ板状の左右一対のリアグリップステー本体(58)により、前記車体フレーム(11)及び前記リアフェンダー(27)と接続され、
前記リアグリップステー本体(58)は、前後方向に延びるステー後部(58b)と、前記ステー後部(58b)の前端から車幅方向外側下方に折れ曲がったステー前部(58a)と、前記ステー前部(58a)から車幅方向外側上方に延びる支持パイプ(57)と、を有し、
前記支持パイプ(57)の先端には、前後方向に延びる接続カラー(54)が設けられ、
前記接続カラー(54)と前記被接続部材(82)とが、締結部材(81)により締結され、前記リアグリップ前部(51)と前記リアグリップ後部(56)とが一体的に支持される
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記管状部材(71)は、樹脂製、ラバー製またはシリコン製である
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記管状部材(71)は、円筒形状であって、前記管状部材(71)は軸方向端部に、他の部分に比べて厚い厚み(71a)を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記リアグリップ前部(51
)は、リアグリップ右前部(51R
)と、リアグリップ左前部(51L
)と、を有し、
前記リアグリップ後部(56
)は、前記リアグリップ右前部(51R
)と接続されるリアグリップ右後部(56R
)と、前記リアグリップ左前部(51L
)と接続されるリアグリップ左後部(56L
)と、前記リアグリップ右後部(56R
)と前記リアグリップ左後部(56L
)とを接続するリアグリップ橋架部(59)と、を有し、
前記リアグリップ右後部(56R
)と、前記リアグリップ左後部(56L
)と、前記リアグリップ橋架部(59)と、のそれぞれには、少なくとも一つの孔(61、62、63、64、65、66)が形成されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記リアグリップ前部(51
)および前記リアグリップ後部(56
)は車体前後方向に接続され、
前記リアグリップ前部(51
)は、前記車体フレーム(11)に車体幅方向から接続され、
前記リアグリップ後部(56
)は、前記車体フレーム(11)及び前記リアフェンダー(27)に車体上下方向から接続される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記リアグリップ(55)には、前記管状部材(71)で被覆される被覆部(53a)が設けられ、
前記被覆部(53a)の後端部には、前記管状部材(71)の位置決めをする段差(54a)が設けられる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記被覆部(53a)は、前端が湾曲部(53b)に接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記被覆部(53a)の前端部には、前記管状部材(71)を位置決め可能なクランプ、フック、ボルト、または、パイプ潰し形状、の少なくともいずれかが設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記リアフェンダーは、前記シートフレーム(35)の後端部を左右方向に接続するリアクロスメンバ(38)に下方から支持されるとインナーフェンダー(44)と、前記インナーフェンダー(44)を左右及び上方から覆うアウターフェンダー(45)と、を有し、
前記ステー後部(58b)は、前記アウターフェンダー(45)を支持し、
前記ステー後部(58b)の前後方向中途部から下方に屈曲するステー脚部(58c)は、前記インナーフェンダー(44)を支持する
ことを特徴とする請求項5に記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記接続カラー(54)と固定カラー(52)は、エンドキャップ(83、85)が取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両では、シートに沿って設けられたリアグリップに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、リアグリップとしてのグラブバーが開示されており、車体に固定される左右一対の左右側部と、左右側部間に跨って連結される後部とに分割形成されたグラブバーが開示されている。特許文献1では、グラブバーの左右側部や後部は、鋼板がプレス成形などして製造されている。特許文献1に記載のグラブバーの後部は、滑り止めのためなどに、塩化ビニル発泡体による被覆材で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金属製のリアグリップを備える鞍乗り型車両においては、リアグリップが熱を持つ場合があるため、リアグリップの熱対策が課題となる。そのため、金属製のリアグリップに対して、スリット入りの円筒形のラバーを取り付けたり、耐熱テープを巻き付けたりするなどの対策を図って同乗者がリアグリップを握った際の不快感を抑制している。しかしながら、スリット入りのラバーや耐熱テープは、剥がれ易かったり、リアグリップの外観性に影響したりする場合がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、金属製のリアグリップの外観性を確保しながら金属製のリアグリップを剥がれ難い状態で被覆して、同乗者の不快感を抑制することができる鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、車体フレームと、前記車体フレームの左右一対のシートフレームに支持されるリアフェンダーと、前記車体フレーム及び前記リアフェンダーに支持されるリアグリップと、を備えた鞍乗り型車両において、前記シートフレームの下部に沿って後上方に延び、後輪よりも上方に配置されるマフラーを備え、前記リアグリップは、前記シートフレームに沿うと共に、平面視で、前記マフラーと重なり、前記リアグリップは、金属製のリアグリップ本体部を備え、前記リアグリップ本体部は、リアグリップ前部と、リアグリップ後部と、で分割可能な構造を有し、前記リアグリップ前部は、前記車体フレームと接続され、車幅方向に延びる固定カラーと、車幅方向外側上方に延びる湾曲部と、前記湾曲部から車体前後方向に延びる被覆部と、を有しており、前記湾曲部の先端は、前記固定カラーに付き当てられ、前記被覆部は、前記リアグリップ本体部よりも熱伝導性が低い管状部材で被覆され、前記被覆部の後端内部には、被接続部材が設けられ、前記リアグリップ後部は、上下方向に厚みのある折り曲げ板状の左右一対のリアグリップステー本体により、前記車体フレーム及び前記リアフェンダーと接続され、前記リアグリップステー本体は、前後方向に延びるステー後部と、前記ステー後部の前端から車幅方向外側下方に折れ曲がったステー前部と、前記ステー前部から車幅方向外側上方に延びる支持パイプと、を有し、前記支持パイプの先端には、前後方向に延びる接続カラーが設けられ、前記接続カラーと前記被接続部材とが、締結部材により締結され、前記リアグリップ前部と前記リアグリップ後部とが一体的に支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
金属製のリアグリップの外観性を確保しながら金属製のリアグリップを剥がれ難い状態で被覆して、同乗者の不快感を抑制することができる鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図2】車体フレームの後部からシートとリアカバーとを取り除いた鞍乗り型車両10の後部周辺の斜視図である。
【
図3】車体フレームの後部からシートとリアカバーとを取り除いた鞍乗り型車両10の後部周辺の平面図である。
【
図4】第1の実施の形態に係るリアグリップの左前方からの斜視図である。
【
図5】第1の実施の形態に係るリアグリップの正面図である。
【
図7】第1の実施の形態に係るリアグリップの分解斜視図である。
【
図8】第1の実施の形態に係るリアグリップの組付けを示す説明図である。
【
図9】第2の実施の形態に係るリアグリップの斜視図である。
【
図10】第2の実施の形態に係るリアグリップの分解斜視図である。
【
図11】第3の実施の形態に係るリアグリップの斜視図である。
【
図12】第3の実施の形態に係るリアグリップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
本実施の形態では、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びる左右一対のメインフレーム31と、それぞれのメインフレーム31の後端から下方に延びる左右一対のセンターフレーム32と、ヘッドパイプ18においてそれぞれのメインフレーム31の前端の下方の位置から下方に延びる左右一対のダウンフレーム33と、それぞれのダウンフレーム33の下端から後下方に延びた後に後方に延びてセンターフレーム32の下端部に接続される左右一対のロアフレーム34と、を備える。
【0016】
図2は、車体フレーム11の後部からシート17とリアカバー43とを取り除いた鞍乗り型車両10の後部周辺の斜視図である。
図1、
図2に示すように、リアフレーム20は、それぞれのメインフレーム31の長手方向中途部から後上方に延びる左右一対のシートフレーム35と、それぞれのセンターフレーム32の長手方向中途部から後上方に延びてシートフレーム35の長手方向中途部に接続される左右一対のリアサブフレーム36と、左右のシートフレーム35の前部を左右方向に接続するセンタークロスメンバ37と、左右のシートフレーム35の後端部を左右方向に接続するリアクロスメンバ38と、を備える。
【0017】
図1に示すように、メインフレーム31の下方には、パワーユニット12が配置される。パワーユニット12のシリンダー部24は、クランクケース23の前部から、前上方に突出する。シリンダー部24の前面上部には、排気管25aが接続される。排気管25aは、シリンダー部24から前下方に向かって延び、右側のダウンフレーム33の外側を周り込むようにして後方に延びる。排気管25aは、シリンダー部24の右面に固定部材25bで固定される。排気管25aは、シリンダー部24を通って後輪15の上方に延びる。排気管25aの後端部には、後上方に延びるマフラー25cが接続される。マフラー25cは、右側のシートフレーム35の下部に沿って配置される。マフラー25cは、後輪15より上方に配置されている。マフラー25cは、いわゆる、アップタイプマフラーである。
排気管25a、固定部材25b、および、マフラー25cにより、本実施の形態の排気装置25が構成される。
【0018】
車体フレーム11は、車体カバー40で覆われる。車体カバー40は、ヘッドパイプ18とハンドル21を前方から覆うフロントカバー41と、フロントカバー41の後方に設けられ車体を左右から覆うサイドカバー42と、サイドカバー42の後方に設けられシート17の後部でリアグリップ55とリアフェンダー27を上方から覆うリアカバー43を備える。
【0019】
図3は、車体フレーム11の後部からシート17とリアカバー43とを取り除いた鞍乗り型車両10の後部周辺の平面図である。
リアフレーム20には、リアグリップ55が支持される。リアグリップ55は、左右対称構造を有する。詳細には、リアグリップ55は、左右一対のシートフレーム35に跨った状態でリアフレーム20およびリアフェンダー27に支持される。リアグリップ55は、リアフレーム20のシートフレーム35に沿って後上方に延びる。リアグリップ55は、シート17よりも下方に位置する(
図1参照)。リアグリップ55は、平面視で、マフラー25cと重複する(
図3参照)。
【0020】
リアフェンダー27は、リアクロスメンバ38に下方から支持されるインナーフェンダー44と、インナーフェンダー44を左右および上方から覆うアウターフェンダー45と、を有する。アウターフェンダー45には、後方に露出するリアランプユニット46が装着される。リアランプユニット46の左右には、リアウインカ47が支持される。リアランプユニット46の下方には、ライセンスプレート48が支持される。
【0021】
図4は、第1の実施の形態に係るリアグリップ55の左前方からの斜視図である。
図5は、第1の実施の形態に係るリアグリップ55の正面図である。
図6は、
図4におけるVI-VI線断面図である。
図7は、第1の実施の形態に係るリアグリップ55の分解斜視図である。
リアグリップ55は、金属製のリアグリップ本体部50を有する。
【0022】
リアグリップ本体部50は、前後に分割可能な構造を有する(
図7参照)。リアグリップ本体部50は、リアフレーム20と接続されるリアグリップ前部51と、リアフレーム20及びリアフェンダー27と接続されるリアグリップ後部56とを有する。
【0023】
リアグリップ後部56は、折り曲げ板状の左右一対のステー本体58を有する。左右のステー本体58は、左右対称に形成される。ステー本体58は、上下方向に厚みを有し前後方向に延びるステー後部58bと、ステー後部58bの前端から車幅方向外側下方に折れ曲がったステー前部58aと、ステー後部58bの前後方向中途部から下方に屈曲するステー脚部58cと、を有する。
【0024】
ステー後部58bの前部には、上下方向に貫通するフレーム固定孔61が形成される。
ステー後部58bの後端部には、上下方向に貫通するアウターフェンダー固定孔62が形成される。ステー脚部58cの下端は車幅方向外側に折れ曲がっている。ステー脚部58cの下端には、上下方向に貫通するインナーフェンダー固定孔63が形成される。
ステー本体58には、小組時に使用可能な適宜の位置決め孔64、65が形成される。
【0025】
左右一対のステー本体58の間には、上下方向に厚みを有し左右方向に延びる板状のステー橋架部(リアグリップ橋架部)59が配置される。ステー橋架部59は、左右のステー本体58を接続する。すなわち、ステー橋架部59は、左側のステー後部58bの前端部と、右側のステー後部58bの前端部と、の間を接続する。詳細には、ステー橋架部59は、フレーム固定孔61よりも前側で、左側のステー後部58bの前端部と、右側のステー後部58bの前端部と、の間を接続する。これにより、左右のステー本体58が一体とされる。
ステー橋架部59には、小組時に使用可能な適宜の位置決め孔66が形成される。
【0026】
左右のステー本体58のそれぞれにおいて、ステー前部58aの前端には車幅方向外側上方に延びるパイプ状の支持パイプ57が支持される。支持パイプ57の先端側の側面には、径方向に突出する荷掛けフック部57aが固定される(
図4参照)。荷掛けフック部57aは、車幅方向外側下方に突出している。
【0027】
支持パイプ57の先端には、前後方向に延びる円筒状の接続カラー54が支持される。接続カラー54は、側面に支持パイプ57の先端が突き当てられた状態で支持パイプ57に固定される。接続カラー54には、前後方向に延びるボルト(接続部材、締結部材)81(
図7参照)が挿通される。接続カラー54には、ボルト81を介して、リアグリップ前部51が接続される。
【0028】
左側のステー本体58と、左側の支持パイプ57と、左側の接続カラー54とにより、本実施の形態のリアグリップ左後部56L(
図7参照)が構成される。また、右側のステー本体58と、右側の支持パイプ57と、右側の接続カラー54とにより、本実施の形態のリアグリップ右後部56R(
図7参照)が構成される。
リアグリップ左後部56Lと、リアグリップ右後部56Rと、ステー橋架部59とにより、本実施の形態のリアグリップ後部56が構成される。
【0029】
リアグリップ後部56には、リアグリップ前部51が接続される。リアグリップ前部51は、折り曲げパイプ形状の左右一対のグリップパイプ53を有する。左右一対のグリップパイプ53は、左右対称に形成される。グリップパイプ53の外径は接続カラー54の外径よりも小さく形成される。
グリップパイプ53は、前後方向に延びる被覆部53aと、被覆部53aの前端から車幅方向内側に湾曲する湾曲部53bと、を有する。被覆部53aの後端内部には、ねじ穴部材(被接続部材)82が設けられる(
図6参照)。ねじ穴部材82は、円筒状である。ねじ穴部材82の中央部には、前後方向に延びるねじ穴が形成されている。これにより、グリップパイプ53が、リアグリップ後部56に挿通されたボルト81が締結され接続される。グリップパイプ53は、リアグリップ後部56に一体的に支持される。
【0030】
グリップパイプ53の被覆部53aには、ラバーグリップ(管状部材)71が装着される。ラバーグリップ71は、リアグリップ前部51よりも熱伝導性が低い材料、すなわち、金属よりも熱伝導性が低い材料の一例としてのラバー製である。ラバーグリップ71は、周方向に閉じた管状である。換言すれば、ラバーグリップ71には、周方向に分割可能なスリット、いわば、平面状に展開可能にするスリットは設けられていない。ラバーグリップ71は、被覆部53aの外径に対応する内径を有する。
【0031】
本実施の形態では、ラバーグリップ71は、管状部材の一例としての円筒形状に形成される。ラバーグリップ71は、軸方向の両端部に、他の部分に比べて厚い厚み71aを備えている。ラバーグリップ71は、両端の径が、両端以外に比べて大きく形成される。ラバーグリップ71は、被覆部53aの前端、すなわち、被覆部53aと湾曲部53bとの曲げ形状の違いを利用して位置決め可能である。被覆部53aは、ラバーグリップ71で被覆される。ラバーグリップ71は被覆部53aに接着剤を介して装着される。
【0032】
グリップパイプ53の湾曲部53bの基端部側面には、径方向に突出する荷掛けフック部53cが設けられる(
図5参照)。荷掛けフック部53cは、車幅方向外側下方に突出している。
湾曲部53bの先端には、車幅方向に延びる円筒状の固定カラー52が支持される。固定カラー52は、側面に湾曲部53bの先端が突き当てられた状態で湾曲部53bに固定される。固定カラー52には、車幅方向に延びるボルト84が挿通される。ボルト84は、シートフレーム35に固定される。このとき、固定カラー52の孔の車幅方向外端部は、エンドキャップ85で閉塞される。これにより、リアグリップ前部51がシートフレーム35に固定された場合に、ボルト84の外観露出が防止される。
【0033】
左側のグリップパイプ53と、左側の固定カラー52とにより、本実施の形態のリアグリップ左前部51L(
図7参照)が構成される。また、右側のグリップパイプ53と、右側の固定カラー52とにより、本実施の形態のリアグリップ右前部51R(
図7参照)が構成される。さらに、リアグリップ左前部51Lと、リアグリップ右前部51Rとにより、本実施の形態のリアグリップ前部51が構成される。
【0034】
リアグリップ前部51と、リアグリップ後部56とにより、リアグリップ本体部50が構成される(
図4参照)。リアグリップ本体部50やラバーグリップ71などにより、本実施の形態のリアグリップ55が構成される。
【0035】
図8は、第1の実施の形態に係るリアグリップ55の組付けを示す説明図である。
本実施の形態に係るリアグリップ55では、金属製パイプが折り曲げられたり、金属板材が加工されたりすることにより、符号52~54、57~59などで示される種々の部品が予め製造される。これら製造された種々の部品が組み立てられてリアグリップ55が構成される。
【0036】
具体的には、
図6に示すように、グリップパイプ53の被覆部53aの後端内部には、プラグ溶接により、ねじ穴部材82が固定される。また、湾曲部53bには、荷掛けフック部53cが溶接される。これにより、左右それぞれのグリップパイプ53が製造される。
グリップパイプ53の後端部には、接続カラー54が固定される。すなわち、接続カラー54に、後方からボルト81が挿通される。ボルト81が、グリップパイプ53の後端のねじ穴部材82に締結される。
【0037】
そして、
図8に示すように、左右の固定カラー52と、左右のステー本体58とが、それぞれの治具101、102にセットされる。固定カラー52は、その円筒孔に治具101が挿入され治具101にセットされる。ステー本体58は、フレーム固定孔61と位置決め孔64に治具102が挿入され治具102にセットされる。治具101、102は、リアグリップ55が固定されるリアフレーム20やリアフェンダー27に基づいて位置が調節されている。よって、治具101、102により、固定カラー52やステー本体58の位置が位置決めされた状態となる。
【0038】
この状態で、左右のステー本体58のステー後部58bには、ステー橋架部59が溶接される。このとき、ステー橋架部59の位置決め孔66に治具103をセットした状態でステー橋架部59を溶接してもよい。
ステー本体58のステー前部58aには、支持パイプ57が溶接される。支持パイプ57の先端には、グリップパイプ53の後端に固定された接続カラー54が溶接される。また、グリップパイプ53の前側の湾曲部53bには、固定カラー52が溶接される。
これにより、リアグリップ本体部50が製造される。
【0039】
リアグリップ本体部50の溶接前の各部が、治具101~103で保持された状態で溶接されるため、シートフレーム35やリアフェンダー27の固定孔に対する位置精度が確保された状態で、リアグリップ本体部50が製造される。
【0040】
次に、リアグリップ本体部50には、ラバーグリップ71が取り付けられる。すなわち、治具101~103からリアグリップ本体部50が取り外される。そして、ボルト81が取り外され、リアグリップ前部51とリアグリップ後部56とに分解される。
リアグリップ前部51のグリップパイプ53には、ラバーグリップ71が装着される。ラバーグリップ71は、内面に接着剤が塗布された状態で装着される。ラバーグリップ71の端には厚み71aが形成されているため、端の変形が抑制されている。よって、ラバーグリップ71の装着時のめくれなどが抑制される。
【0041】
ラバーグリップ71は、
図6に示すように、湾曲部53bと被覆部53aとの曲率の違いを利用して位置決めされる。これに代えて、被覆部53aの軸方向の長さに応じた取付具104を利用してラバーグリップ71を位置決めしてもよい。取付具104は、湾曲部53bの後端に突き当てることにより、湾曲部53bの後端から前端までの位置を定める。さらに、取付具104に代えて、湾曲部53bにクランプ部材105を取り付けて、クランプ部材105により、ラバーグリップ71を位置決めしてもよい。取付具104や、クランプ部材105は取り外される。
【0042】
リアグリップ前部51にラバーグリップ71が取り付けられると、リアグリップ後部56がボルト81により、リアグリップ前部51に接続される。このとき、接続カラー54の外径は、グリップパイプ53の被覆部53aの外径よりも大きい。よって、接続カラー54の前端が段差54aとなり、ラバーグリップ71の後端の位置決めが可能となる。接続カラー54の後端には、エンドキャップ83が取り付けられる。これにより、リアグリップ55が組み立てられる。
【0043】
図2、
図3に示すように、リアグリップ55は、シートフレーム35およびリアフェンダー27に固定される。
リアグリップ前部51は、固定カラー52がシートフレーム35に固定される。固定カラー52には、車幅方向外側からボルト84が挿通される。固定カラー52は、シートフレーム35にリジッドマウントされる。固定カラー52の車幅方向外端部は、エンドキャップ85で閉塞される。よって、ボルト84の外観露出が防止される。
【0044】
リアグリップ後部56では、ステー後部58bのフレーム固定孔61には、上下方向に延びるボルト86が挿通される。ボルト86は、シートフレーム35のリアクロスメンバ38に固定される。ステー後部58bは、リアクロスメンバ38にリジッドマウントされる。
【0045】
ステー後部58bのアウターフェンダー固定孔62には、上下方向に延びるボルト87が挿通される。ボルト87は、リアフェンダー27のアウターフェンダー45に固定される。ステー後部58bは、アウターフェンダー45にラバーマウントされる。
リアグリップ後部56のステー脚部58cのインナーフェンダー固定孔63には、上下方向に延びるボルト88が挿通される。ボルト88は、リアフェンダー27のインナーフェンダー44に固定される。ステー後部58bは、インナーフェンダー44にラバーマウントされる。
これにより、リアグリップ55が、鞍乗り型車両10の車体に取付けられる。
【0046】
ここで、本実施の形態の鞍乗り型車両10では、運転者のほかに同乗者が乗車可能である。同乗者が乗る場合には、同乗者は、シートフレーム35に沿って延びるリアグリップ55を掴む。ここで、リアグリップ55、詳細には、リアグリップ本体部50が金属製である。特に、本実施の形態では、アップタイプマフラーであるために、リアグリップ55がマフラー25cに近接して配置される。このため、マフラー25cから熱の影響を受けやすい配置となっている。
【0047】
これに対して、本実施の形態のリアグリップ本体部50は、スリットの無い円筒形状(管状)のラバーグリップ71で覆われている。よって、金属製のリアグリップ55の外観性を確保することができる。また、金属製のリアグリップ55をラバーグリップ71の円筒形状(管状)により剥がれ難い状態で被覆することができる。よって、同乗者がリアグリップ55を掴んだ際に、熱伝導が抑制されたラバーグリップ71を介して、金属製のリアグリップ本体部50を掴み易くなっており、同乗者の不快感を抑制することができる。
【0048】
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるリアフェンダー27と、車体フレーム11及びリアフェンダー27に支持されるリアグリップ55と、を備えた鞍乗り型車両10において、リアグリップ55は、金属製のリアグリップ本体部50を備え、リアグリップ本体部50は、リアグリップ前部51と、リアグリップ後部56と、で分割可能な構造を有し、リアグリップ前部51は、車体フレーム11と接続され、リアグリップ後部56は、車体フレーム11及びリアフェンダー27と接続され、リアグリップ前部51またはリアグリップ後部56の少なくとも一部は、リアグリップ本体部50よりも熱伝導性が低いラバーグリップ71で被覆される。
この構成によれば、金属製のリアグリップ55の外観性を確保しながら金属製のリアグリップ55を剥がれ難い状態で被覆して、同乗者の不快感を抑制することができる鞍乗り型車両10を提供することができる。
【0049】
本実施の形態では、ラバーグリップ71は、ラバー製である。
この構成によれば、ラバーという熱伝導率が低い素材でラバーグリップ71を製造することで、金属製のリアグリップ本体部50からのラバーグリップ71への熱伝導を抑制することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、ラバーグリップ71は、円筒形状であって、ラバーグリップ71の軸方向端部に、他の部分に比べて厚い厚み71aを備える。
この構成によれば、ラバーグリップ71が円筒形状であるため、リアグリップ本体部50を最小面積で被覆し易くでき、コスト削減に繋げることができる。また、この構成によれば、ラバーグリップ71の軸方向端部が厚み71aを帯びていることで、同乗者が感触などでラバーグリップ71の端を容易に認識できる。さらに、この構成によれば、ラバーグリップ71をリアグリップ本体部50に装着する際に、端の厚み71a部分が変形し難いために、めくれを防止し易くできる。
【0051】
また、本実施の形態では、リアグリップ前部51は、リアグリップ右前部51Rと、リアグリップ左前部51Lと、を有し、リアグリップ後部56は、リアグリップ右前部51Rと接続されるリアグリップ右後部56Rと、リアグリップ左前部51Lと接続されるリアグリップ左後部56Lと、リアグリップ右後部56Rとリアグリップ左後部56Lとを接続するステー橋架部59と、を有し、リアグリップ右後部56Rと、リアグリップ左後部56Lと、ステー橋架部59と、のそれぞれには、少なくとも一つの孔61、62、63、64、65、66が形成されている。
この構成によれば、リアグリップ後部56の各部に設けられた孔61、62、63、64、65、66に治具102、103を差し込んで、リアグリップ後部56の各部間の位置決めをすることができ、リアグリップ後部56の各部同士の位置ずれや傾きを抑制しながら一体に製造することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、リアグリップ前部51およびリアグリップ後部56は車体前後方向に接続され、リアグリップ前部51は、車体フレーム11に車体幅方向から接続され、リアグリップ後部56は、車体フレーム11及びリアフェンダー27に車体上下方向から接続される。
この構成によれば、リアグリップ55の接続部分の接続方向が互いに異なるため、どのような荷重方向であっても、いずれかの接続部分がその荷重方向に対する取付強度を発揮し易くでき、取付剛性を損ない難くできる。特に、ボルト(締結部材)81、84、86~88で接続される場合には締結時の回転方向も異ならせ易くできる。
【0053】
また、本実施の形態では、リアグリップ55には、ラバーグリップ71で被覆される被覆部53aが設けられ、被覆部53aの後端部には、ラバーグリップ71の位置決めをする段差54aが設けられる。
この構成によれば、ラバーグリップ71が段差54aに引っかかるため、ラバーグリップ71の位置決めができる。
【0054】
また、本実施の形態では、被覆部53aは、前端が湾曲部53bに接続される。
この構成によれば、ラバーグリップ71が湾曲部53bに引っかかるため、ラバーグリップ71の位置決めができる。
【0055】
[第2の実施の形態]
本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
【0056】
図9は、第2の実施の形態に係るリアグリップ255の斜視図である。
図10は、第2の実施の形態に係るリアグリップ255の分解斜視図である。
図9、
図10は、それぞれ、第1の実施の形態の
図3、
図7に対応する。
第2の実施の形態に係るリアグリップ255は、前後方向に分割される構造が第1の実施の形態に係るリアグリップ55とは異なる。
【0057】
詳細には、第2の実施の形態に係るリアグリップ255は、金属製のリアグリップ本体部250を有する。リアグリップ本体部250は、前後に分割可能な構造を有する。リアグリップ本体部250は、リアフレーム20と接続されるリアグリップ前部251と、リアフレーム20及びリアフェンダー27と接続されるリアグリップ後部256とを有する。
【0058】
リアグリップ後部256は、第1の実施の形態に係るリアグリップ後部56に対して、接続カラー54が省略され、いわば、支持パイプ57が前方に湾曲するように延びる点で第1の実施の形態とは異なる。すなわち、第2の実施の形態のリアグリップ後部256のリアグリップ左後部256L(
図10参照)およびリアグリップ右後部256R(
図10参照)は、第1の実施の形態に係るリアグリップ左後部56Lおよびリアグリップ右後部56Rの接続カラー54及び支持パイプ57に代えて、リアグリップパイプ257を有する点で第1の実施の形態と異なる。
【0059】
詳細には、リアグリップ左後部256Lとリアグリップ右後部256Rとにおいて、リアグリップパイプ257は、グリップパイプ53と同様の径を有する。リアグリップパイプ257は、ステー本体58のステー前部58aに固定される。リアグリップパイプ257は、車幅方向外側上方に延びた後に、前方に湾曲する。詳細には、リアグリップパイプ257は、車幅方向に延びる支持パイプ部257aと、支持パイプ部257aの先端から前方に湾曲する湾曲部257bと、湾曲部257bの前端から前方に延びる被覆部257cと、を有する。
【0060】
リアグリップ前部251は、第1の実施の形態に係るリアグリップ前部51に対して、いわば、グリップパイプ53の被覆部53aが、小径となっている点が、第1の実施の形態とは異なる。すなわち、第2の実施の形態のリアグリップ前部251のリアグリップ左前部251L(
図10参照)およびリアグリップ右前部251R(
図10参照)は、第1の実施の形態に係るリアグリップ左前部51Lおよびリアグリップ右前部51Rのグリップパイプ53の被覆部53aに代えて、接続軸253aを有する点が、第1の実施の形態と異なる。
【0061】
詳細には、リアグリップ左前部251Lおよびリアグリップ右前部251Rにおいて、接続軸253aは、前後方向に延びる。接続軸253aの外径はリアグリップパイプ257の被覆部257cの内径に対応する。接続軸253aは、湾曲部53bの後端に固定される。接続軸253aは、例えば、プラグ溶接で湾曲部53bに固定される。接続軸253aは、リアグリップ後部256の被覆部257cに前方から挿入されて嵌合される。これにより、
図8に示すように、リアグリップ前部251とリアグリップ後部256とが一体とされる。
リアグリップ前部251とリアグリップ後部256とにより、本実施の形態のリアグリップ本体部250が構成される。
【0062】
ラバーグリップ71は、例えば、予めリアグリップパイプ257の被覆部257cに装着しておくことにより、湾曲部257bを利用して位置決め可能である。
【0063】
よって、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、金属製のリアグリップ本体部250は、スリットの無い円筒形状(管状)のラバーグリップ71で覆われている。よって、第2の実施の形態でも、金属製のリアグリップ255の外観性を確保しながら金属製のリアグリップ255を剥がれ難い状態で被覆して、同乗者の不快感を抑制することができる。
【0064】
[第3の実施の形態]
本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記第1、第2の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
【0065】
図11は、第3の実施の形態に係るリアグリップ355の斜視図である。
図12は、第3の実施の形態に係るリアグリップ355の分解斜視図である。
図11、
図12は、それぞれ、第2の実施の形態の
図9、
図10に対応する。
第3の実施の形態に係るリアグリップ355は、前後方向に分割される構造が第2の実施の形態に係るリアグリップ255とは異なる。
【0066】
詳細には、第3の実施の形態に係るリアグリップ355は、金属製のリアグリップ本体部350を有する。リアグリップ本体部350は、前後に分割可能な構造を有する。リアグリップ本体部350は、リアフレーム20と接続されるリアグリップ前部351と、リアフレーム20及びリアフェンダー27と接続されるリアグリップ後部356とを有する。
【0067】
リアグリップ後部356は、第2の実施の形態に係るリアグリップ後部256に対して、リアグリップパイプ257が省略された形状である点で、第2の実施の形態と異なる。すなわち、第3の実施の形態のリアグリップ後部356のリアグリップ左後部356L(
図12参照)およびリアグリップ右後部356R(
図12参照)のステー前部58aには、厚み方向、すなわち、車幅方向に貫通する接続孔361が形成される。
【0068】
リアグリップ前部351は、第2の実施の形態に係るリアグリップ前部251に対して、いわば、グリップパイプ53にリアグリップパイプ257が一体とされた形状である点で、第2の実施の形態とは異なる。すなわち、リアグリップ前部351のリアグリップ左前部351L(
図12参照)およびリアグリップ右前部351R(
図12参照)は、湾曲部53bと、湾曲部53bの後端に固定されて前後方向に延びる被覆部353aと、被覆部353aの後端に固定された湾曲部257bと、湾曲部257bから延びる支持パイプ部257aとを有する。被覆部353aは、湾曲部53b、257bよりも大径に形成される。支持パイプ部257aの車幅方向内端内部には、ねじ穴が形成された被接続部材(不図示)が固定される。湾曲部53b、257bは、被覆部353aに、例えば、プラグ溶接により固定される。また、被接続部材(不図示)は、支持パイプ部257aに、例えば、プラグ溶接により固定される。
【0069】
第3の実施の形態では、ラバーグリップ71は支持パイプ部257aから差し込まれ被覆部353aに装着される。ラバーグリップ71が装着されたリアグリップ前部351は、リアグリップ後部356に固定される。すなわち、ボルト381がリアグリップ後部356の接続孔361に車幅方向内側から挿通される。ボルト381は、リアグリップ前部351の支持パイプ部257aにボルト止めされる。これにより、第3の実施の形態のリアグリップ355が構成される。
【0070】
よって、第3の実施の形態でも、第1、第2の実施の形態と同様に、金属製のリアグリップ本体部350は、スリットの無い円筒形状(管状)のラバーグリップ71で覆われている。よって、第3の実施の形態でも、金属製のリアグリップ255の外観性を確保しながら金属製のリアグリップ255を剥がれ難い状態で被覆して、同乗者の不快感を抑制することができる。
【0071】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0072】
上述した第1の実施の形態では、被覆部53aの前端部には、湾曲部53bの曲率などを利用して位置決めする構成を説明したが、これに限定されない。例えば、被覆部53aと湾曲部53bの境界位置に、フックや、パイプ潰し形状を形成したり、ボルトをボルト止めしたり、さらには、クランプで挟んで、円筒形部材が突き当たる形状を設けて位置決めしてもよい。
すなわち、被覆部53aの前端部には、ラバーグリップ71を位置決め可能なクランプ、フック、ボルト、または、パイプ潰し形状、の少なくともいずれかが設けられてもよい。
この構成によれば、クランプ、フック、ボルト、または、パイプ潰し形状に、ラバーグリップ71が引っかかるため、ラバーグリップ71の位置決めができる。
【0073】
上述した第1~第3の実施の形態では、リアグリップ左後部56L~356Lと、リアグリップ右後部56R~356Rとは、ステー橋架部59より、左右一体となっていたが、これに限定されない。例えば、ステー橋架部59を省略し、左右が別体でもよい。
【0074】
上述した第1~第3の実施の形態では、リアグリップ前部51、251、351の被覆部53a、257c、353aには、円筒形状のラバーグリップ71で被覆する構成を説明したが、ラバーグリップ71は管状であればよい。換言すれば、管状部材は、被覆部53a、257c、353aに装着可能な孔が形成されていれば、外周部は四角形状であっても、外周部にでっぱりが形成されていてもよい。よって、管状部材としては、円管状は勿論、楕円管状、多角形管状でもよいし、それらの外周部に凹凸等が設けられた管状でもよい。
【0075】
上述した第1~第3の実施の形態では、管状部材の素材としてラバーを用いていたが、金属より熱伝導しにくいものであれば、本発明を適用することができる。よって、例えば、管状部材としては、シリコン製のグリップでもよい。また、第1の実施の形態や第2の実施の形態のように直線状の被覆部53a、257cに着脱可能であれば、樹脂製のグリップでもよい。
【0076】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を二つ備えた三輪の鞍乗り型車両や四輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0077】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0078】
(構成1)車体フレームと、前記車体フレームに支持されるリアフェンダーと、前記車体フレーム及び前記リアフェンダーに支持されるリアグリップと、を備えた鞍乗り型車両において、前記リアグリップは、金属製のリアグリップ本体部を備え、前記リアグリップ本体部は、リアグリップ前部と、リアグリップ後部と、で分割可能な構造を有し、前記リアグリップ前部は、前記車体フレームと接続され、前記リアグリップ後部は、前記車体フレーム及び前記リアフェンダーと接続され、前記リアグリップ前部または前記リアグリップ後部の少なくとも一部は、前記リアグリップ本体部よりも熱伝導性が低い管状部材で被覆されることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、金属製のリアグリップの外観性を確保しながら金属製のリアグリップを剥がれ難い状態で被覆して、同乗者の不快感を抑制することができる鞍乗り型車両を提供することができる。
【0079】
(構成2)前記管状部材は、樹脂製、ラバー製またはシリコン製であることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、樹脂、ラバーまたはシリコンなどの熱伝導率が低い素材で管状部材を製造することで、金属製のリアグリップ本体部からの管状部材への熱伝導を抑制することができる。
【0080】
(構成3)前記管状部材は、円筒形状であって、前記管状部材は軸方向端部に、他の部分に比べて厚い厚みを備えることを特徴とする構成1または2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、管状部材が円筒形状であるため、リアグリップ本体部を最小面積で被覆し易くでき、コスト削減に繋げることができる。また、この構成によれば、管状部材の軸方向端部が厚みを帯びていることで、同乗者が感触などで管状部材の端を容易に認識できる。さらに、この構成によれば、管状部材をリアグリップ本体部に装着する際に、端の厚み部分が変形し難いために、めくれを防止し易くできる。
【0081】
(構成4)前記リアグリップ前部は、リアグリップ右前部と、リアグリップ左前部と、を有し、前記リアグリップ後部は、前記リアグリップ右前部と接続されるリアグリップ右後部と、前記リアグリップ左前部と接続されるリアグリップ左後部と、前記リアグリップ右後部と前記リアグリップ左後部とを接続するリアグリップ橋架部と、を有し、前記リアグリップ右後部と、前記リアグリップ左後部と、前記リアグリップ橋架部と、のそれぞれには、少なくとも一つの孔が形成されていることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、リアグリップ後部の各部に設けられた孔に治具を差し込んで、リアグリップ後部の各部間の位置決めをすることができ、リアグリップ後部の各部同士の位置ずれや傾きを抑制しながら一体に製造することができる。
【0082】
(構成5)前記リアグリップ前部および前記リアグリップ後部は車体前後方向に接続され、前記リアグリップ前部は、前記車体フレームに車体幅方向から接続され、前記リアグリップ後部は、前記車体フレーム及び前記リアフェンダーに車体上下方向から接続されることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、リアグリップの接続部分の接続方向が互いに異なるため、どのような荷重方向であっても、いずれかの接続部分がその荷重方向に対する取付強度を発揮し易くでき、取付剛性を損ない難くできる。特に、締結部材で接続される場合には締結時の回転方向も異ならせ易くできる。
【0083】
(構成6)前記リアグリップには、前記管状部材で被覆される被覆部が設けられ、前記被覆部の後端部には、前記管状部材の位置決めをする段差が設けられることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、管状部材が段差に引っかかるため、管状部材の位置決めができる。
【0084】
(構成7)前記被覆部は、前端が湾曲部に接続されることを特徴とする構成6に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、管状部材が湾曲部に引っかかるため、管状部材の位置決めができる。
【0085】
(構成8)前記被覆部の前端部には、前記管状部材を位置決め可能なクランプ、フック、ボルト、または、パイプ潰し形状、の少なくともいずれかが設けられることを特徴とする構成6に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、クランプ、フック、ボルト、または、パイプ潰し形状に、管状部材が引っかかるため、管状部材の位置決めができる。
【符号の説明】
【0086】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
27 リアフェンダー
50 リアグリップ本体部
51 リアグリップ前部
51L リアグリップ左前部
51R リアグリップ右前部
53b 湾曲部
54a 段差
55 リアグリップ
56 リアグリップ後部
56L リアグリップ左後部
56R リアグリップ右後部
59 ステー橋架部(リアグリップ橋架部)
61 フレーム固定孔(孔)
62 アウターフェンダー固定孔(孔)
63 インナーフェンダー固定孔(孔)
64 位置決め孔(孔)
65 位置決め孔(孔)
66 位置決め孔(孔)
71 ラバーグリップ(管状部材)
71a 厚み
250 リアグリップ本体部
251 リアグリップ前部
251L リアグリップ左前部
251R リアグリップ右前部
255 リアグリップ
256 リアグリップ後部
256L リアグリップ左後部
256R リアグリップ右後部
350 リアグリップ本体部
351 リアグリップ前部
351L リアグリップ左前部
351R リアグリップ右前部
355 リアグリップ
356 リアグリップ後部
356L リアグリップ左後部
356R リアグリップ右後部