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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-10
(45)【発行日】2025-07-18
(54)【発明の名称】器具
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/01 20060101AFI20250711BHJP
   B26B 29/06 20060101ALI20250711BHJP
【FI】
B26D7/01 C
B26B29/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024166559
(22)【出願日】2024-09-25
【審査請求日】2025-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724015324
【氏名又は名称】野崎 寛
(72)【発明者】
【氏名】野崎 寛
【審査官】煤孫 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-064979(JP,U)
【文献】実開昭60-147378(JP,U)
【文献】登録実用新案第3015625(JP,U)
【文献】特表平04-505264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271818(US,A1)
【文献】ヘリ定規を使って革を任意の幅で切ったり荒らしたりする方法,YouTube[online][video], dete シザーケースと革製品,2021年04月29日,[令和6年2月13日検索], インターネット,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=399u-T_82tY>,主に0:07~0:27及び動画説明欄を参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/01
B26B 29/06
G01B 3/00
B43L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体の側方に形成された直線端部が当接される第一当接面を有するストッパーと、
互いに幅寸法が異なる短冊形に形成された複数種類の定規と、
を備え、
前記複数種類の定規は、幅寸法が第一単位刻みで形成された複数の定規を有する第一単位刻み定規群を含み、
前記ストッパーは、前記シート体上に配された前記定規が当接される第二当接面を有し、
前記第一当接面は、前記第二当接面より出張って設けられることを特徴とする、器具。
【請求項2】
前記複数種類の定規は、幅寸法が前記第一単位よりも短い第二単位刻みで形成された複数の定規を有する第二単位刻み定規群を含むことを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記複数種類の定規は、幅寸法が前記第一単位よりも長い第三単位刻みで形成された複数の定規を有する第三単位刻み定規群を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記ストッパーは
前記第二当接面が形成された本体と、
前記第一当接面が形成され、前記本体の底面に設けられるプレートと、
を備え、
前記プレートは、前記第一当接面の出張り幅が調節可能に設けられる、請求項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カッターナイフ等を用いた手作業による切断作業において、所望の寸法を求める手段は、物差しの目盛りに基づく方法が公知である。
【0003】
寸法の精度が求められる建築模型においても、物差しの目盛りに基づき切断すべきスチレンボードの寸法を求め、当該寸法に基づいて、スチレンボードを切断する方法が用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】sen,“建築家を目指す建築学生のためのブログ・ケンチクカノオト/建築模型の作り方・始めの一歩”,〔online〕,令和6年6月6日,〔令和6年8月1日検索〕,インターネット <URL:https://enen-arc.com/how-to-make-a-basic-architectural-model/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物差しの目盛に基づく切断作業は、目視で目盛を読み取り、手作業で切断位置の調整を行う為、所望する寸法に対して切り出した素材の寸法に差異が生じやすく、正確な平行度の確保も困難であった。尚、切断だけでなく、線引き作業についても同様である。
【0006】
この発明は上記の課題を解決する為のものである。即ち、物差しの目盛りを目視で読み取る必要がなく、作業の再現性が高く、作業工程が容易で、切断作業の精度と、再現性と、効率と、の向上が図れる、器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための発明である器具について、以下にて説明する。
【0008】
本発明の器具は、シート体の側方に形成された直線端部が当接される第一当接面を有するストッパーと、互いに幅寸法が異なる短冊形に形成された複数種類の定規と、を備え、前記複数種類の定規は、幅寸法がミリ単位刻み(第一単位刻み)で形成された複数の定規を有するミリ刻み定規群(第一単位刻み定規群)を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の器具において、前記複数種類の定規は、幅寸法がコンマ単位刻み(前記第一単位よりも短い第二単位刻み)で形成された複数の定規を有するコンマ刻み定規群(第二単位刻み定規群)を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の器具において、前記複数種類の定規は、幅寸法が10mm刻み(前記第一単位よりも長い第三単位刻み)で形成された複数の定規を有する10mm刻み定規群(第三単位刻み定規群)を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の器具において、前記ストッパーは前記シート体上に配された定規が当接される第二当接面を有し、前記第一当接面は、前記第二当接面より出張って設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の器具において、前記ストッパーは、前記第二当接面が形成された本体と、前記第一当接面が形成され、前記本体の底面に設けられるプレートと、を備え、前記プレートは、前記第一当接面の出張り幅が調節可能に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
物差しの目盛に基づく切断作業において必要な、目視による目盛の読み取り、及び、手作業での切断位置の調整を要さないので、素材の切断が、所望する寸法で、平行度を確保しつつ、正確、かつ容易に行える。また、同一寸法の切断が複数個にわたる作業も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】器具の全体を示した平面図である。
図2】ミリ刻み定規群を示した平面図である。
図3】コンマ刻み定規群を示した平面図である。
図4】センチ刻み定規群を示した平面図である。
図5】10センチ定規を示した平面図である。
図6】ストッパーを上方向から俯瞰で示した斜視図である。
図7】ストッパーを下方向から俯瞰で示した斜視図である。
図8】ストッパーの平面図である。
図9図8におけるA-A断面図である。
図10】(a)13mmの定規の組み合わせ例、(b)26ミリの定規の組み合わせ例、(c)81mmの定規の組み合わせ例、(d)177mmの定規の組み合わせ例、を示した図である。
図11】(a)22.8mmの定規の組み合わせ例、(b)58.4mmの定規の組み合わせ例、(c)77.7mmの定規の組み合わせ例、(d)183.8mmの定規の組み合わせ例、を示した図である。
図12】(a)定規と直方体形状のブロック型ストッパーを使用し、スチレンボード上に、定規が30mmの寸法幅を示した状態の平面図である。(b)G-G断面図において、定規と直方体形状のブロック型ストッパーを使用して、30mmの寸法幅で、スチレンボードを切断する状態を示した図である。
図13図12(b)で示したV部分の拡大図である。
図14図8におけるB-B断面図である。
図15図14で示した第一当接面、及び第二当接面の拡大図である。
図16】(a)定規とストッパーを使用し、スチレンボード上に、定規が30mmの寸法幅を示した状態の平面図である。(b)図23におけるH-H断面図である。
図17図16で示したU部分の拡大図である。
図18図17に基づき、スライドプレートの厚みに部分的な変更を加えた場合の、状態と効果を示した図である。
図19】(a)ストッパーの底面図である。(b)図19におけるI-I断面図である。
図20】(a)図19で示したZ部分の拡大図である。(b)図20におけるJ-J断面図である。
図21図20(a)に基づき、定規を使用して、スライドプレートの位置を調整する状態を示した図である。(b)図21におけるN-N断面図である
図22】幅寸法100mmのスペーサー、及び、100mmの定規を使用した態様を示す平面図である。
図23】幅寸法が10mmのスペーサー、及び、27.4mmの定規を使用した態様を示す平面図である。
図24】幅寸法が20mmのスペーサー、及び、28.2mmの定規を使用した態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図に基づいて本発明の実施形態に係る器具(100)を説明する。本実施形態の器具(100)は、代表的には建築模型の製作において用いられるスチレンボード(S)を所定幅に切断する為に用いられるが、本器具(100)の使用用途は建築模型の製作に限定されず、他の用途に用いても構わない。また、本実施形態の係る器具(100)は、スチレンボード(S)等のボード材の切断に限定されず、皮材、紙材、フィルム材、フェルト等、のシート状素材や、カーペット等を切断するために用いても構わない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の器具(100)は、複数種類の定規(130)と、ストッパー(110)と、を備えている。定規(130)の各々は、切断対象となるスチレンボード(S)上に配置され、ストッパー(110)に当てがわれて用いられる。
【0017】
本実施形態の複数種類の定規(130)は複数の定規群(140、150、160、170)を備えている。定規群(140、150、160、170)の各々は、所定の規格に基づいて製造された定規(130)の集合であり、本実施形態の複数の定規群(140、150、160、170)は、ミリ刻み定規群(140)、コンマ刻み定規群(150)、センチ刻み定規群(160)、及び10センチ定規(170)、を備えている。
【0018】
図2に示すように、ミリ刻み定規群(140)は、幅寸法が1mm刻みとなる9個の定規(141、142、143、144、145、146、147、148、149)の集合である。具体的には、幅寸法が、11mm(141W)、12mm(142W)、13mm(143W)、14mm(144W)、15mm(145W)、16mm(146W)、17mm(147W)、18mm(147W)、19mm(149W)、となるように形成された定規(130)である。
当該のミリ刻み定規(141、142、143、144、145、146、147、148、149)の各々は幅寸法がそれぞれ異なっているが、その他の構成については同様であるため、以下では、幅寸法が11mmの定規(141)を中心に説明することとする。11mm定規(141)は短冊状に形成された金属製のプレートであり、長さ方向(141L)が150mm、幅方向(141W)が11mm、厚みが2mmに形成されている。当該の11mm定規(141)は、均一な幅寸法で直線的に延伸しているので、一対の長手辺(141a、141b)が平行に設けられている。表示部(141D)には幅寸法が表示される。表示部(141D)は定規(130)の表裏面ともに端部に二か所ずつの計4か所に設定されている。
【0019】
図3に示すように、コンマ刻み定規群(150)は、幅寸法が0.1mm刻みとなる9個の定規(151、152、153、154、155、156、157,158,159)の集合である。具体的には、幅寸法が、10.1mm(151W)、10.2mm(152W)、10.3mm(153W)、10.4mm(154W)、10.5mm(155W)、10.6mm(156W)、10.7mm(157W)、10.8mm(158W)、10.9mm(159W)、となるように形成された定規(130)である。
当該のコンマ刻み定規(151、152、153、154、155、156、157,158,159)の各々は幅寸法がそれぞれ異なっているが、その他の構成については同様であるため、以下では、幅寸法が10.1mmの定規(151)を中心に説明することとする。10.1mm定規(151)は短冊状に形成された金属製のプレートであり、長さ方向(151L)が150mm、幅方向(151W)が10.1mm、厚みが2mmに形成されている。当該の10.1mm定規(151)は、均一な幅寸法で直線的に延伸しているので、一対の長手辺(151a、151b)が平行に設けられている。表示部(151D)には幅寸法が表示される。表示部(151D)は定規(130)の表裏面ともに端部に二か所ずつの計4か所に設定されている。
【0020】
図4に示すように、センチ刻み定規群(160)は、幅寸法が10mm刻みとなる5個の定規(161、162、163、164、165)の集合である。具体的には、幅寸法が、10mm(161W)、20mm(162W)、30mm(163W)、40mm(164W)、50mm(165W)、となるように形成された定規(130)である。
当該のセンチ刻み定規(161、162、163、164、165)の各々は幅寸法がそれぞれ異なっているが、その他の構成については同様であるため、以下では、幅寸法が10mmの定規(161)を中心に説明することとする。10mm定規(161)は短冊状に形成された金属製のプレートであり、長さ方向(161L)が150mm、幅方向(161W)が10mm、厚みが2mmに形成されている。当該の10mm定規(161)は、均一な幅寸法で直線的に延伸しているので、一対の長手辺(161a、161b)が平行に設けられている。表示部(161D)には幅寸法が表示される。表示部(161D)は定規(130)の表裏面ともに端部に二か所ずつの計4か所に設定されている。
【0021】
図5に示すように、10センチ定規(170)は、幅寸法(170W)が100mmとなるように形成された定規(130)である。10センチ定規(170)は短冊状に形成された金属製のプレートであり、長さ方向(170L)が150mm、幅方向(170W)が100mm、厚みが2mmに形成されている。当該の10センチ定規(170)は、均一な幅寸法で直線的に延伸しているので、一対の長手辺(170a、170b)が平行に設けられている。表示部(170D)には幅寸法が表示される。表示部(170D)は定規(130)の表裏面ともに端部に二か所ずつの計4か所に設定されている。
【0022】
次に、図6から図9を参照しながら、ストッパー(110)について説明する。ストッパー(110)は、スチレンボード(S)の一端面、及び定規(130)の長手辺が当接されるものである。当該のストッパー(110)は、金属製である。
図6、及び図7が示すように、ストッパー(110)は、本体(111)と、スライドプレート(112)と、を備えている。本体(111)は、基部(113)と、凸部(114)と、を備えている。凸部(114)の底部(245)、及びスライドプレート(112)の底部(246)に、ローレットに代表される、滑り止めを意図した加工が施されている。
【0023】
図8に示すように、基部(113)は、スチレンボード(S)の端面が当接可能となるように水平方向(126)に延在している。
図9に示すように、具体的には、基部(113)は、水平方向(126)に直交する断面(垂直断面)が台形になるように形成されており、底部(115)、第二当接面の役割を持つ一の垂直壁面(116)、他の垂直壁面(117)、傾斜部(118)、及び上面部(119)を備えている。底部(115)は、底面視において、長方形形状に形成されている。当該の底部(115)の一側部から一の垂直壁面(116)が立設されている。また、底部(115)の他側部から他の垂直壁面(117)が立設されている。一の垂直壁面(116)よりも他の垂直壁面(117)の方が高く設けられており、一の垂直壁面(116)の上端から他の垂直壁面(117)の上端に向かって傾斜部(118)及び上面部(119)が設けられている。
【0024】
上記基部(113)の底部(115)において、他側部側には凸部(114)が設けられている。図9に示すように、凸部(114)は、底部(115)から垂直方向下向きに、均等な厚みで、出張った部分であり、図8に示すように、基部(113)の長手方向(126)にわたって形成されている。
図8に示すように、基部(113)、及び凸部(114)、の長手方向の寸法(113L)は200mmとなっている。図9に示すように、底部(115)の幅寸法(115w)は60mmとなっている。凸部(114)の幅寸法(114w)は15mmとなっている。したがって、凸部(114)以外の底部の幅寸法(122)は45mmとなっている。凸部(114)の高さ寸法(114b)は1.8mmとなっている。なお、本実施形態では上記の寸法となっているが、本発明は当該寸法に限定されない。
【0025】
図8に示すように、スライドプレート(112)は、基部(113)の長手方向(126)に延在する板状体であり、図9に示すように、本体(111)の基部(113)の底部(115)において、一側部(116)側に配置される。当該のスライドプレート(112)には、ネジ穴(123)が開設されており、本体の傾斜部(118)側から挿通されたボルト(124)により本体(111)に固定される。当該固定された状態において、本体(111)の一の垂直壁面(116)の下方に位置する、スライドプレート(112)の端面が、第一当接面として機能する。
図8に示すように、スライドプレート(112)の長さ方向の寸法(112L)は202mmとなっている。図9に示すように、スライドプレート(112)の幅寸法(112w)は35mmとなっている。スライドプレート(112)の厚み寸法(112b)は1.8mmとなっている。なお、本実施形態では上記の寸法となっているが、本発明は当該寸法に限定されない。
【0026】
図9に示すように、本体(111)には、傾斜部(118)から底部(115)にかけて、ボルト(124)が挿通される長孔(125)が開設されている。当該の長孔(125)は、基部(113)の幅方向(127)に長く形成されており、ボルト(124)による固定位置が当該幅方向に調整可能となっている。当該の長孔(125)を通じて挿通されたボルト(124)がスライドプレート(112)のネジ穴(123)に螺合されることで、本体底部(115)にスライドプレート(112)が固定される。本実施形態ではスライドプレート(112)は、本体に対して幅方向(127)に位置を1mm変更可能に固定される。
【0027】
上記器具(100)の使用形態を説明する。
【0028】
まず、図10、及び図11を参照しながら、所望される寸法を定規(130)によって得る方法を説明する。
互いに幅寸法が異なる定規群(140、150、160、170)の中から、所望される幅寸法が得られる組み合わせの複数の定規(130)を選択し、当該の定規(130)の長手辺同士を当接させると、所望の幅寸法を備えた定規(130)を得ることができる。このとき、所望される寸法が、一つの定規(130)で得られる場合は、選択する定規(130)は一つでも良い。
【0029】
例として、所望する定規(130)の幅寸法の数値が、13mm、26mm、81mm、177mmの場合、さらに、所望する定規(130)の幅寸法の数値に十分の一の位が含まれる例として、22.8mm、58.4mm、77.7mm、183.8mmである場合の、定規(130)の組み合わせ方を、図10、及び図11に基づいて、以下にて説明する。
【0030】
<幅寸法が13mmの定規(130)>
図10(a)に示すように、13mmの幅寸法(301)を備えた定規(130)を所望する場合は、ミリ刻み定規群(140)の中から13mmの定規(143)を選択する。
【0031】
<幅寸法が26mmの定規(130)>
図10(b)に示すように、26mmの幅寸法(302)を備えた定規(130)を所望する場合は、ミリ刻み定規群(140)の中から16mmの定規(146)と、センチ刻み定規群(160)の中から10mmの定規(161)と、を選択し、各々の定規(146、161)の長手辺同士を当接させる。
【0032】
<幅寸法が81mmの定規(130)>
図10(c)に示すように、81mmの幅寸法(303)を備えた定規(130)を所望する場合は、ミリ刻み定規群(140)の中から11mmの定規(141)と、センチ刻み定規群(160)の中から20mmの定規(162)と、50mmの定規(165)と、を選択し、各々の定規(141、162、165)の長手辺同士を当接させる。
【0033】
<幅寸法が177mmの定規(130)>
図10(d)に示すように、177mmの幅寸法(304)を備えた定規(130)を所望する場合は、ミリ刻み定規群(140)の中から17mmの定規(147)と、センチ刻み定規群(160)の中から10mmの定規(161)と、50mmの定規(165)と、10センチ定規(170)と、を選択し、各々の定規(147、161、165、170)の長手辺同士を当接させる。
【0034】
<幅寸法が22.8mmの定規(130)>
図11(a)に示すように、22.8mmの幅寸法(305)を備えた定規(130)を所望する場合は、コンマ刻み定規群(150)の中から10.8mmの定規(158)と、ミリ刻み定規群(140)の中から12mmの定規(142)と、を選択し、各々の定規(158、142)の長手辺同士を当接させる。
【0035】
<幅寸法が58.4mmの定規(130)>
図11(b)に示すように、58.4mmの幅寸法(306)を備えた定規(130)を所望する場合は、コンマ刻み定規群(150)の中から10.4mmの定規(154)と、ミリ刻み定規群(140)の中から18mmの定規(148)と、センチ刻み定規群(160)の中から30mmの定規(163)と、を選択し、各々の定規(154、148、163)の長手辺同士を当接させる。
【0036】
<幅寸法が77.7mmの定規(130)>
図11(c)に示すように、77.7mmの幅寸法(307)を備えた定規(130)を所望する場合は、コンマ刻み定規群(150)の中から10.7mmの定規(157)と、ミリ刻み定規群(140)の中から17mmの定規(147)と、センチ刻み定規群(160)の中から50mmの定規(165)と、を選択し、各々の定規(157、147、165)の長手辺同士を当接させる。
【0037】
<幅寸法が183.8mmの定規(130)>
図11(d)に示すように、183.8mmの幅寸法(308)を備えた定規(130)を所望する場合は、コンマ刻み定規群(150)の中から10.8mmの定規(158)と、ミリ刻み定規群(140)の中から13mmの定規(143)と、センチ刻み定規群(160)の中から10mmの定規(161)と、50mmの定規(165)と、10センチ定規(170)と、を選択し、各々の定規(158、143、161、165、170)の長手辺同士を当接させる。
【0038】
上記手順によって得られた、所望の寸法を備えた定規(130)の長手辺と、切断対象のスチレンボード(S)の側方に形成された直線端部と、の位置を合わせると、当該の定規(130)は、切断対象のスチレンボード(S)に対して、所望の寸法を定規(130)の幅によって示すことができる。
【0039】
次に、図12から図18を参照しながら、使用する刃物(K)の刃厚(214)に起因する誤差(216)への対処方法を説明する。例えば、第一当接面と、第二当接面と、が同一平面上に形成されたストッパー(211)(図12図13)を用いた場合は、次の誤差(216)が生じる。
【0040】
図12(a)に示すように、例として、厚み寸法が2mmのスチレンボード(S)の側方に形成された直線端部に、幅寸法30mmの定規(163)の長手辺の位置を合わせた状態として、直方体形状のブロック(211)の垂直壁面(215)に、当該スチレンボード(S)と、当該定規(163)と、を当接させ、図12(b)に示すように、刃厚(214)が0.4mmの刃物(K)で切断する場合を説明する。
【0041】
なお、このブロック(211)は底面の長手部の寸法(211a)が200mm、短手部の寸法(211b)が30mm、垂直壁面の高さ寸法(211c)が15mmとなっている。
【0042】
図12(b)に示すように、ブロック(211)の垂直壁面(215)にスチレンボード(S)を当接させた後に、当該のスチレンボード(S)上に幅寸法30mmの定規(163)を配置し、当該の定規(163)をスチレンボード(S)と同じ垂直壁面(215)に当接させた状態で、刃厚(214)が0.4mmの刃物(K)を、当該の定規(163)に沿わせて切断した場合、図13に示すように、刃物(K)の刃先は、刃厚(214)の中央に位置するため、切断されたスチレンボード(S)には、当該定規(163)の幅寸法である30mmに、刃厚(214)の二分の一の値である0.2mmの誤差(216)が追加され、切断した素材の寸法(217)は30.2mmとなる。
【0043】
上記の誤差に対処し、所望する寸法の切断結果を得る方法は三通りある。
【0044】
第一の方法は、所望する寸法から、発生する誤差を差し引いた値の定規(130)を選定する事である。
上記の例の、刃厚(214)が0.4mmの刃物(K)で30mmの切断寸法を所望する場合は、誤差分の0.2mmを差し引いた、29.8mmの定規(158、149)を使用して切断すれば、追加された0.2mmの誤差(216)は相殺される。
具体的には、コンマ刻み定規群(150)から幅10.8mmの定規(158)と、ミリ刻み定規群(140)から幅19mmの定規(149)と、の組み合わせによる29.8mmの定規(158、149)で切断することにより、刃厚(214)に起因して追加された誤差の0.2mm(216)は、所望する寸法の30mmに対して当該定規(158、149)の幅29.8mmであることによる、マイナス値の0.2mmによって相殺され、30mmの切断結果を得る事ができる。
【0045】
第二の方法は、切断対象であるスチレンボード(S)を予め任意の寸法の定規(130)で切断しておき、そこから所望する寸法を引いた値の定規(130)を選定して切断する事である。
上記の例の30mmの切断寸法を所望する場合は、一例として、まず予め、センチ刻み定規群(160)にある、幅50mmの定規(165)を基に、スチレンボード(S)を切断する事で、50.2mm寸法のスチレンボード(S)を得ておき、当該のスチレンボード(S)を、センチ刻み定規群(160)にある幅20mmの定規(162)で切断すると、50.2mmから、幅20mmの定規(162)を使用した切断による、20.2mmの切断幅が引かれ、30mmの切断結果を得る事ができる。
【0046】
第三の方法は、ストッパー(110)の側面に位置する、スチレンボード(S)が当接する第一当接面と、定規(130)が当接する第二当接面において、出張りとして設けられた段差により、スチレンボード(S)の当接面と、定規(130)の当接面との間にオフセットを図り、刃厚(214)に起因する誤差を補正する事である。
次にその詳細を、図14、及び図15、及び図16、及び図17、及び図18に基づき、以下にて説明する。
【0047】
図14、及び図15に示すようにストッパー(110)は、本体(111)と、スライドプレート(112)と、を組み合わせた形状により、スチレンボード(S)が当接される第一当接面の役割を持った、下部のスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、定規(130)が当接される第二当接面の役割を持った、上部の本体(111)の一の垂直壁面(116)に、出張りとして設けられた段差が形成されている。
【0048】
図16(a)、及び図16(b)に示すように、ストッパー(110)に、厚み寸法2mmのスチレンボード(S)を当接させた後に、上記の例と同じく、当該のスチレンボード(S)上に幅寸法30mmの定規(163)を配置し、ストッパー(110)に当該の定規(163)を当接させると、スチレンボード(S)はストッパー(110)の下部にあるスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)に当接され、当該の定規(163)はストッパー(110)の上部にある本体(111)の一の垂直壁面(116)に当接される。
【0049】
図17に示すように、幅寸法30mmの定規(163)が当接する、上部にある本体(111)の一の垂直壁面(116)は、当該のスチレンボード(S)が当接する、下部にあるスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)に対して、X軸マイナス方向にオフセットされ、当該の二つの当接面(219、116)には段差が形成されている。
これにより、ストッパー(110)に当該のスチレンボード(S)を当接させた後に、当該のスチレンボード(S)上に、幅寸法30mmの定規(163)を配置し、ストッパー(110)に当該の定規(163)を当接させると、当該のスチレンボード(S)に対して幅寸法30mmの定規(163)は、当該の定規(163)の寸法から段差によるオフセット値(221)が差し引かれた値(225)を示す。
【0050】
このとき、段差のオフセット値(221)を、切断に使用する刃物(K)の刃厚(214)の二分の一の値に設定すると、当該の刃物(K)で切断したとき、差し引かれたオフセット値(221)に等しい値が、刃物(K)の刃厚(214)に起因する誤差(216)として追加される為、所望の寸法として選択した当該定規(163)の幅寸法に等しい切断結果(226)を得る事ができる。
【0051】
例として、ストッパー(110)を使用し、厚み寸法2mmのスチレンボード(S)を、0.4mmの刃厚(214)の刃物(K)で、30mmの寸法を所望して切断する場合を、図17に基づき、以下にて説明する。
【0052】
まず、ストッパー(110)の当接面(219、116)において、スライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、本体(111)の一の垂直壁面(116)と、で形成される段差のオフセット値(221)を、刃物(K)の刃厚(214)の二分の一の値である0.2mmに設定する。
【0053】
ストッパー(110)に厚み寸法2mmのスチレンボード(S)を当接させた後に、当該のスチレンボード(S)上に、幅寸法30mmの定規(163)を配置し、ストッパー(110)に当該の定規(163)を当接させると、当該のスチレンボード(S)はストッパー(110)の下部にあるスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)に当接され、当該の定規(163)はストッパー(110)の上部にある本体(111)の一の垂直壁面(116)に当接される。
【0054】
幅寸法30mmの定規(163)が当接する、上部にある本体(111)の一の垂直壁面(116)は、当該のスチレンボード(S)が当接する、下部にあるスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)に対して、X軸マイナス方向に、0.2mmのオフセットが設定(221)されているため、当該のスチレンボード(S)に対して定規(163)が示す寸法(225)は、当該定規(163)の幅寸法30mmから、段差によるオフセット値(221)の0.2mmが差し引かれた値として、29.8mmとなる。
【0055】
この状態で、当該のスチレンボード(S)を0.4mmの刃厚(214)の刃物(K)を垂直に立てて切断すると、幅寸法30mmの定規(163)が示す29.8mmの寸法(225)に、刃厚(214)の二分の一の値(216)である0.2mmが追加され、所望の寸法である30mmの寸法(226)の切断結果を得る事となる。
【0056】
なお、上記で説明した、ストッパー(110)の当接面における、スチレンボード(S)と定規(130)の当接面(219,116)に設けられた段差によって、刃厚に起因する誤差を補正する方法は、スチレンボード(S)の厚み(222b)が、下部にあるスライドプレート(112)の厚み(112b)より大きい場合のみ有効であり、スチレンボード(S)の厚み(222b)が、スライドプレート(112)の厚み(112b)より小さい場合、当該のスチレンボード(S)の上に配置した定規(163)も、当該のスチレンボード(S)と同様に下部にあるスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)に当接する為、設定したオフセット値(221)が有効に働かず、刃厚に起因する誤差への対処方法として適当ではない。
【0057】
スチレンボード(S)の厚み(222b)が、スライドプレート(112)の厚み(112b)より小さい場合は、上記に示す、所望の切断結果を得る為の第一の方法、或いは第二の方法が有効である。
【0058】
次に、図19から図21を参照しながら、ストッパー(110)の、本体(111)にある一の垂直壁面(116)と、スライドプレート(112)にある一の垂直壁部(219)で形成される段差におけるオフセット値(221)を、定規(130)を使用して調整する手順について説明する。
【0059】
図19(a)はストッパー(110)の裏方向を示している。
図19(a)、及び図19(b)に示すように、ストッパー(110)は、スライドプレート(112)と、本体(111)と、を備え、本体(111)は、基部(113)と、凸部(114)と、を備えている。当該のスライドプレート(112)は、開設されたネジ穴(123)に、本体(111)の傾斜部(118)側から長孔(125)を介して挿通されたボルト(124)により基部(113)の底部(115)に固定される。当該の長孔(125)は、基部(113)の幅方向に、1mmの固定位置の調整幅が形成されており、スライドプレート(112)は、本体に対して幅方向に位置を1mm変更可能に固定される。
【0060】
図20(a)、及び図20(b)に示すように、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)以外の幅寸法(122)は45mmとなっている。
スライドプレート(112)の幅寸法(112w)は35mmとなっているので、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)以外の幅寸法(122)との差(229)は10mmとなっている。
【0061】
したがって、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)とスライドプレート(112)の間隔(229)が10mmであるとき、当該の寸法(229)とスライドプレート(112)の幅寸法(112w)である35mmと合わせた寸法は45mmとなり、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)以外の幅寸法(122)である45mmと等しい寸法となるため、スライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、本体の一の垂直壁面(116)との間に段差は形成されず、スチレンボード(S)及び定規(130)が当接される二つの当接面(218)は、同一の平面となる。
【0062】
したがって、凸部(114)とスライドプレート(112)に、10mm以上の間隔(229)を設けた場合は、当該の寸法(229)とスライドプレート(112)の幅寸法(112w)である35mmと合わせた寸法(229、112w)は45mm以上となり、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)以外の幅寸法(122)である45mmを超える部分が、スチレンボード(S)及び定規(130)が当接される二つの当接面(218)において、スライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、本体の一の垂直壁面(116)の段差として形成される。
【0063】
例として、スチレンボード(S)及び定規(130)が当接される二つの当接面(218)において、スライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、本体の一の垂直壁面(116)の段差に、0.2mmのオフセット値を所望する場合の調整手順について、図21(a)、及び図21(b)に基づき、以下にて説明する。
【0064】
コンマ刻み定規群(150)の中から10.2mmの定規(152)を、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)とスライドプレート(112)に挟まれた箇所に配置し、10.2mmの定規(152)の長手辺(152a、152b)を凸部(114)とスライドプレート(112)に当接させると、凸部(114)とスライドプレート(112)の間隔(230)が10.2mmとなり、スライドプレート(112)の幅寸法(112w)である35mmと合わせた寸法(230、112w)は45.2mmとなる。
当該部の寸法(230、112w)が、基部(113)の底部(115)における、凸部(114)以外の幅寸法(122)である45mmを超える部分の寸法は0.2mmとなり、スチレンボード(S)及び定規(130)が当接される二つの当接面(218)において、スライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、本体の一の垂直壁面(116)との間に0.2mmのオフセット値(221)を備えた段差が形成される。
【0065】
上記の状態で、本体(118)に開設された長孔(125)を通じて挿通されたボルト(124)が、スライドプレート(112)のネジ穴(123)に螺合されることによって、スライドプレート(112)が固定され、スチレンボード(S)及び定規(130)当接される二つの当接面(218)に、0.2mmの段差を有したストッパー(110)が設定される。
【0066】
このように、スチレンボード(S)及び定規(130)が当接される二つの当接面(218)において、スライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)と、本体の一の垂直壁面(116)との段差は、オフセット値(221)の調整に定規(130)が使用できる。
また、当該部の設定にコンマ刻み定規群(150)を使用することで、0.1mm刻みでの調整が可能である。
【0067】
本実施形態では、基部(113)の幅方向に長く形成された長孔(125)による、固定位置の調整幅が1mmとなっているため、当該部の段差のオフセット値(221)は、0mmから1mmの範囲で、調整が可能となっている。
【0068】
次に、図22から図24を参照しながら、定規(130)の組み合わせによって得られる寸法の、最大限度と最小限度に関して、定規(130)のコピーの使用した対処方法を説明する。
【0069】
定規(130)は各設定寸法につき一個を備える。同じ寸法の定規(130)を複数個で要する場合、或いは、組み合わせによって求めた寸法の定規(130)を単体で要する場合は、任意の素材で所望の定規(130)のコピーを作製し、所望に準ずることができる。
【0070】
第一に、定規(130)の組み合わせによって得られる寸法の最大限度に関して、定規(130)のコピーの使用した対処方法を、図22に基づき、以下にて説明する。
【0071】
定規(130)は、幅寸法と、個数と、が規格に基づいて決められているため、定規(130)の組み合わせによって求められる寸法には最大限度がある。
【0072】
上記の場合への対処の一例として、幅寸法の100mmの定規(170)を基に任意の素材を切り出し、それによって作成された幅寸法100mmの定規(170)のコピーを、スペーサー(232a)として所望の寸法を求める定規(130)の組み合わせに加える事で、定規(130)の組み合わせによって求められる寸法の最大限度に、100mmの拡大を図る事ができる。
【0073】
図22に示すように、100mmの定規(170)と、幅寸法100mmの定規(170)のコピーをスペーサー(232a)として定規(130)の組み合わせに加えると、切断対象のスチレンボード(S)に対して、100mmの定規(170)と、幅寸法100mmの定規(170)のコピーによるスペーサー(232a)により、200mmの切断寸法(233)を求めることができる。
【0074】
このように、必要に応じて定規(130)のコピーを任意の寸法で作製し、スペーサー(232a)として定規(130)の組み合わせに加える事で、所望される寸法の最大限度に関する問題は解消される。
【0075】
第二に、定規(130)の組み合わせによって得られる寸法の最小限度に関して、定規(130)のコピーの使用した対処方法を、図23、及び図24に基づき、以下にて説明する。
【0076】
定規(130)の中で最小の幅寸法を備える定規(130)は、センチ刻み定規群(160)に属する幅寸法10mmの定規(161)である。したがって、定規(130)の幅のみによって求められる寸法は、最小限度が10mmとなる。
【0077】
また、所望される寸法に、十分の一の位と、一の位と、の両方が含まれる場合においては、コンマ刻み定規群(150)と、ミリ刻み定規群(140)と、のそれぞれの中から一つずつ定規(130)を選択し、当該の定規(130)を含めた組み合わせによって寸法を求めるが、コンマ刻み定規群(150)の中で、最小の幅寸法が設定された定規(130)は幅寸法10.1mmの定規(151)であり、ミリ刻み定規群(140)の中で、最小の幅寸法が設定された定規(130)は幅寸法11mmの定規(141)である。したがって、コンマ刻み定規群(150)と、ミリ刻み定規群(140)と、のそれぞれの中から、一つずつ選択された定規(130)を組み合わせて求められる幅寸法は、最小限度が21.1mmとなる。
【0078】
図23に基づき、20mm以下の例として、17.4mmの切断寸法を所望する場合を説明する。
【0079】
まず、センチ刻み定規群(160)より、幅寸法10mmの定規(161)で切断対象のスチレンボード(S)を切断し、当該スチレンボード(S)で作成した幅寸法10mmのスペーサー(232b)を用意する。
【0080】
次に、ミリ刻み定規群(140)の中から幅寸法17mmの定規(147)と、コンマ刻み定規群(150)の中から幅寸法10.4mmの定規(154)と、を選択し、長手辺同士を当接させる。これにより、幅寸法が27.4mm(237)となる定規(147、154)が設定される。
【0081】
この段階で、切断対象のスチレンボード(S)、当該スチレンボード(S)で作成した幅10mmのスペーサー(232b)、組み合わせにより27.4mmの幅寸法(237)を備える定規(147、154)、の3点に、ストッパー(110)を加えた計4点が準備できている。
【0082】
図23に示すように、ストッパー(110)と、当該のスチレンボード(S)の端面と、の間に幅10mmのスペーサー(232b)を配置することにより、ストッパー(110)とスチレンボード(S)の端面と、の間に10mmの間隔(238)が設けられる。
【0083】
ストッパー(110)と、スチレンボード(S)の端面と、の間にスペーサー(232b)による10mmの間隔(238)が設けられた状態で、幅寸法が27.4mm(237)となる定規(147、154)を、当該のスチレンボード(S)上に配置し、当該の定規(147、154)をストッパー(110)に当接させると、定規(147、154)によって得られた27.4mmの幅寸法(237)から、スペーサー(232b)による10mmの間隔(238)が差し引かれ、当該のスチレンボード(S)に対して、当該の定規(147、154)は、17.4mmの寸法(239)を示す状態となる。
【0084】
上記の状態で当該の定規(147、154)に刃物を倣わせ、切断する事で、当該のスチレンボード(S)から17.4mmの切断結果(239)を得る事ができる。
【0085】
次に、図24に基づき、10mm以下の例として、8.2mmの切断寸法を所望する場合を説明する。
【0086】
上記の手順に倣い、ストッパー(110)と、切断対象のスチレンボード(S)の端面と、の間に配置した、幅20mmのスペーサー(232c)により、幅寸法18mmの定規(148)と、幅寸法10.2mmの定規(152)と、を組み合わせた定規(148、152)が示す28.2mmの寸法(242)から、20mmの間隔(243)が差し引かれ、当該のスチレンボード(S)に対して、当該の定規(148、152)は、8.2mmの寸法(244)を示す状態となり、当該の定規(148、152)に刃物を倣わせ、切断する事で、当該のスチレンボード(S)から8.2mmの切断結果(244)を得る事ができる。
【0087】
本器具(100)の最大限度、及び最小限度に関しては、上記のように、任意の定規(130)で所望の素材を切断して作成した、定規のコピーをスペーサー(232a、232b、232c)として使用し、所望の寸法を求める補助とすることで対処ができる。
【0088】
或いは、最小限度に関しては、切断対象の素材を、予め任意の寸法の定規(130)で切断しておき、そこから所望する寸法を引いた値の定規(130)で切断する、という手段も有効である。
【0089】
上記で説明する手段により、本器具(100)が対応可能な寸法に、理論上の最大限度は存在せず、同じく理論上の最小限度は0.1mmであると言える。
【0090】
なお、上記で説明する定規(130)のコピーは、本実施形態において、所望の寸法を得るための補助を目的としたスペーサー(232a、232b、232c)として、定規(130)と併せて使用することを目的としており、定規(130)の代用として、コピーのみでの使用、及び、刃物を倣わせる態様は意図としていない。
【0091】
本器具(100)は、幅寸法の異なる複数の定規(130)を有し、各々の定規(130)において、一対の長手辺に、平行、かつ予め決められた寸法値が設定されているので、使用者が所望の寸法を求める際は、定規群(140、150、160、170)から目的の定規(130)を選択するだけでよく、物差しの目盛りを目視で読み取ることに起因する誤差を生じることなく、また、読み取った目盛りに基づく手作業での位置調整を要さないので、正確に所望の寸法を得る事ができる。
【0092】
本器具(100)は、各々の定規(130)において、幅寸法が異なる値に設定されており、定規(130)の組み合わせによって、十分の一ミリ刻みのあらゆる寸法を得るために必要な種類が、定規群(140、150、160、170)に備わっているので、使用者は所望するあらゆる寸法を、定規(130)の組み合わせにより、十分の一ミリ刻みで得ることができる。
【0093】
所望の幅寸法が組み合わせによって設定された定規(130)は、切断作業において不変的な寸法の基準とできるので、使用者が複数の同一寸法の切断を行う際は、同じ定規(130)に基づいて切断するだけでよく、物差しの目盛りを目視で読み取る作業、及び、読み取った目盛りに基づく手作業での位置調整を要さないので、複数の、同一寸法の切断作業を、正確に、効率よく行うことができる。
【0094】
本器具(100)は、ストッパー(110)における、スチレンボード(S)が当接する第一当接面と、定規(130)が当接する第二当接面に、設けられた段差により、切断に使用する刃物(K)の、刃厚(214)に起因する誤差(216)を解消する事ができる。
【0095】
ストッパー(110)の、スチレンボード(S)が当接する第一当接面と、定規(130)が当接する第二当接面に設けられた段差におけるオフセット値(221)は、ストッパー(110)を構成する部品であるスライドプレート(112)の位置を変化させることで、任意の値に調整する事ができる。
【0096】
ストッパー(110)を構成する部品であるスライドプレート(112)の位置を変化させて、スチレンボード(S)が当接する第一当接面と、定規(130)が当接する第二当接面に設けられた段差におけるオフセット値(221)を調整する作業には、本器具(100)の定規(130)を使用することができるので、任意の段差の値を、正確に設定する事ができる。
【0097】
本器具(100)の定規(130)は、幅寸法と、個数と、が規格に基づいて決められているため、定規(130)の組み合わせによって求められる寸法には最大限度があるが、幅寸法100mmの定規(170)のコピーを、スペーサー(232a)として組み合わせに加える事で、定規(130)の組み合わせによって求められる寸法の最大限度に、100mmの拡大が図れるように、任意の定規(130)のコピーをスペーサー(232a)として使用することにより、本器具(100)によって求められる寸法の、最大限度に関する問題は解消され、本器具(100)が対応できる寸法において、理論上の最大限度は存在しない。
【0098】
本器具(100)の定規(130)は、最小の幅寸法の設定が10mmであり、また、幅寸法が10mm以上の定規(130)の、複数個を組み合わせて所望の寸法を求める構造である以上、組み合わせた定規(130)の幅のみによって求められる寸法には、最小限度があるが、幅寸法が10mmの定規(161)、あるいは、幅寸法20mmの定規(162)のコピーをスペーサー(232b、232c)として使用し、スチレンボード(S)とストッパー(110)に間隔を設ける事で、本器具(100)によって求められる寸法の、最小限度に関する問題は解消され、本器具(100)が対応できる寸法において、理論上の最小限度は0.1mmとなる。
【0099】
本発明の実施形態に係る器具を説明したが、本発明に係る器具は、上記実施形態に限定されず、次の変形例を加えたものであっても良い。
【0100】
本実施形態の複数の定規群(140、150、160、170)は、ミリ刻み定規群(140)、コンマ刻み定規群(150)、1センチ刻み定規群(160)、及び10センチ定規(170)、を備えているが、実施の状況によって、備える定規(130)は、ミリ刻み定規群(140)だけでも良い。
【0101】
または、実施の状況によって、備える定規(130)は、ミリ刻み定規群(140)と、コンマ刻み定規群(150)だけでも良い。
【0102】
または、実施の状況によって、備える定規(130)は、ミリ刻み定規群(140)と、センチ刻み定規群(160)だけでも良い。
【0103】
または、実施の状況によって、備える定規(130)は、ミリ刻み定規群(140)と、10センチ定規(170)だけでも良い。
【0104】
本実施形態の複数の定規群(140、150、160、170)は、ミリ刻み定規群(140)、コンマ刻み定規群(150)、1センチ刻み定規群(160)、及び10センチ定規(170)、の4種類を備えているが、定規群(140、150、160、170)の種類は限定されず、例えば、幅寸法が1メートル刻みとなるメートル刻み定規群など、他の種類の定規群を備えても良い。
【0105】
本実施形態の複数の定規群(140、150、160、170)は、ミリ刻み定規群(140)に9個、コンマ刻み定規群(150)に9個、1センチ刻み定規群(160)に5個、の定規、及び10センチ定規(170)を備えているが、それぞれの定規群(140、150、160、170)属する定規の個数は限定されず、本実施形態に対して、多くても、少なくても良い。
【0106】
図2、及び図3、及び図4、及び図5に示すように、本発明の、実施形態の定規(130)は、長さ(141L、151L、161L、171L)が150mmに形成されているが、定規(130)の長さ(141L、151L、161L、171L)は150mm以上でも良い。
【0107】
また、定規(130)の長さ(141L、151L、161L、171L)は、150mm以下であっても、切断の用途に用いられる長さであれば良い。
【0108】
本発明の、実施形態の定規(130)は、厚みが2mmに形成されているが、切断の用途に用いられる厚みであれば、定規(130)の厚みは2mm以上でも良い。
【0109】
また、定規(130)の厚みは、2mm以下であっても、長手辺同士の当接、及び切断の用途に用いられる厚みであれば良い。
【0110】
本発明の、実施形態の器具は、寸法の単位がメートル法に基づいて設定されているが、寸法の単位はメートル法に限定されず、ヤードポンド法など、他の単位に基づいていても良い。
【0111】
図2、及び図3、及び図4、及び図5に示すように、本発明の、実施形態の定規(130)は、幅寸法の表示部(141D、151D、161D、171D)が、定規(130)の表裏面ともに端部に二か所ずつの、計4か所に設定されているが、幅寸法の表示部(141D、151D、161D、171D)の位置、及び数は限定されず、また、利便的に不要であれば、幅寸法の表示部(141D、151D、161D、171D)は備えていなくても良い。
【0112】
本発明の、実施形態の定規(130)は金属製であるが、定規(130)に刃物を沿わせて行う切断の用途に足る素材であれば、金属製でなくても良い。
【0113】
本発明の、実施形態のストッパー(110)は金属製であるが、シート状素材の一端面と、定規(130)の長手辺と、を当接させる用途に足る素材であれば、金属製でなくても良い。
【0114】
図7に示すように、本発明の、実施形態のストッパー(110)は、底部(245,246)において、ローレットに代表される、滑り止めを意図した加工が施されているが、滑り止めの手段は滑り止め加工に限定されず、また、利便的に不要であれば、滑り止めの措置は備えていなくても良い。
【0115】
図9に示すように、本実施形態では、ストッパー(110)を構成するスライドプレート(112)の幅寸法(112w)は35mmであり、本体(111)に形成された長孔(125)による固定位置の調整幅が1mmとなっているため、第一当接面と第二当接面の段差における、調整可能な数値幅は0mmから1mmとなっているが、長孔(125)に設けられた調整幅は1mmに限定されず、また、スライドプレート(112)の幅寸法(112w)も35mmに限定されないので、当該の段差の調整可能な数値幅も0mmから1mmに限定されない。
【0116】
本発明の、ストッパー(110)に設けられた上記の段差は、使用する刃物(K)の刃厚(214)に起因する誤差(216)を補正する用途に限定されず、所望する寸法に関する、その他の補正値の設定に使用して構わない。
【0117】
本実施形態では、スライドプレート(112)は板状体であるが、スライドプレートの端部(112d)の厚みを、スライドプレート基部(112b)の厚みより薄くしても構わない。また、図18に示すように、スライドプレート端部(112d)において、上側に凹みを設け、当該端部(112d)の厚みを薄くしても良い。
これにより、スチレンボード(S)の厚み(223b)が、スライドプレート基部(112b)の厚みより薄い場合であっても、当該部の厚み(223b)がスライドプレートの端部(112d)の厚み(112c)以上であれば、当該の定規(163)はスライドプレート(112)の一の垂直壁部(219)に当接することなく、本体(111)の一の垂直壁面(116)に当接し、ストッパー(110)に設定したオフセット値(221)を有効に機能させることができる。
【0118】
本器具(100)の使用者は、ストッパー(110)の二つの当接面(219、116)に設けられた段差による、寸法値の補正を要さない場合は、図9に示すように、ストッパー(110)の、本体(111)の、底部(115)にある、凸部(114)の他側部から立設される他の垂直壁面(117)を、定規(130)とスチレンボード(S)の当接面として使用しても良い。
【0119】
本発明の、実施形態のストッパー(110)の本体(111)には、一の垂直壁面(116)から、上面部(119)にかけて、傾斜部(118)を備えているが、当該部の寸法、及び角度は限定されず、また、切断作業における、定規(130)と切断対象のスチレンボード(S)を、上から手で押さえて固定する作業において、利便的に不要であれば、当該の傾斜部(118)は備えていなくても良い。
【0120】
本発明の、実施形態の器具(100)は、代表的には建築模型の製作において用いられるスチレンボード(S)を所定幅に切断する為に用いられるが、本実施形態の係る器具(100)は、スチレンボード(S)の切断に限定されず、例えば、紙、布、フィルム、セロファンシート、カッティングカラーシート、木、木材シート、デザインシート、木目シート、ゴムシート、プラスチック板、プラスチック段ボール、塩化ビニール板、アクリル板、ポリカーボネート板、フッ素樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート、レザーシート、合成皮革シート、フェルトシート、マグネットシート、シート状食品、陶板、陶器、カーペット、マスキングテープ、粘着テープ、など、他のシート状素材を切断するために用いても構わない。
【0121】
本器具(100)の使用形態は、本器具(100)のみに限定されず、他の器具を併用しても構わない。
【0122】
本器具(100)の使用形態は、ストッパー(110)と定規(130)との併用に限定されず、各々を単体で使用しても構わない。
【0123】
本発明の、実施形態の器具(100)は、切断だけではなく、けがき作業、など、線引きに用いても良い。
【0124】
本発明の、実施形態の器具(100)は、他の器具、あるいは他の装置、などにおける構成要素の間隔、あるいは位置を求める際に、定規(130)自体をスペーサーとして使用するなど、切断や線引き以外に用いても良い。
【符号の説明】
【0125】
100 … 器具
110 … ストッパー
111 … ストッパー・本体
112 … ストッパー・スライドプレート
115 … ストッパー・本体の底部
130 … 定規
140 … ミリ刻み定規群
150 … コンマ刻み定規群
160 … センチ刻み定規群
219 … 第一当接面の役割を持った、一の垂直壁部
116 … 第二当接面の役割を持った、一の垂直壁面

【要約】
【課題】カッターナイフ等によるシート体の切断が、所望の寸法で、正確、かつ容易に行え、高い再現性を備えた器具を提供する。
【解決手段】本器具(100)は、各々に異なる幅寸法が設定された複数の定規(130)とストッパー(110)を備える。使用者は、物差しの目盛りの目視による読み取り、及び、手作業での切断位置の調整を要さず、定規群(140、150、160、170)から定規(130)を選択するだけで所望の寸法を得られるため、シート体が、正確、かつ容易に切断できる。当該の定規(130)は所望する寸法の不変的な基準とできるため、同一寸法の切断を効率よく行える。ストッパー(110)の当接面(218)に設けられた、シート体の当接面(219)と定規の当接面(220)の段差を調整することにより、シート体の切断寸法に任意の補正値を設定できる。
【選択図】図1
図1
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