(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-10
(45)【発行日】2025-07-18
(54)【発明の名称】電力変換システム及び突入電流抑制方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20250711BHJP
【FI】
H02M7/48 L
(21)【出願番号】P 2022073427
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2024-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100207192
【氏名又は名称】佐々木 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 大輔
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-083803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を出力するコンバータの直流側に複数のインバータが並列に接続された多並列型の電力変換システムであって、
前記コンバータの出力に接続される第1コンデンサと第1インバータと、
前記コンバータの出力に接続される第2コンデンサと第2インバータと、
前記コンバータの出力に接続される第3コンデンサと第3インバータと、
前記コンバータの出力と前記第1コンデンサの間の第1接続導体に設けられた第1突入電流抑制部と、
前記コンバータの出力と前記第2コンデンサの間の第2接続導体に設けられた第2突入電流抑制部と、
前記コンバータの出力と前記第3コンデンサの間の第3接続導体に設けられた第3突入電流抑制部と、
各突入電流抑制部を夫々用いて、前記第1コンデンサから前記第3コンデンサまでの各コンデンサを夫々予備充電させる制御部と、
を備え、
前記第1突入電流抑制部は、
前記第1コンデンサの突入電流を低減させる第1インピーダンス素子と前記第1インピーダンス素子に並列に接続される第1スイッチとを備え、
前記第2突入電流抑制部は、
前記第2コンデンサの突入電流を低減させる第2インピーダンス素子と前記第2インピーダンス素子に並列に接続される第2スイッチとを備え、
前記第3突入電流抑制部は、
前記第3コンデンサの突入電流を低減させる第3インピーダンス素子と前記第3インピーダンス素子に並列に接続される第3スイッチとを備え、
前記制御部は、
前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第3スイッチとを閉いた状態で前記コンバータからの通電を開始することで、前記第1突入電流抑制部から前記第3突入電流抑制部の各
インピーダンス素子のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ前記第1コンデンサから前記第3コンデンサの各コンデンサ
の予備充電
を開始して、
その後、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチの順に時間差を設けて各スイッチを閉じることで、前記コンバータの出力電流に含まれる突入電流の大きさを低減させる
電力変換システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記通電の開始から第1所定期間が経過した後
前記第1スイッチを閉じることで、前記第1突入電流抑制部の電流の抑制を解除して、これに応じて前記第1突入電流抑制部を通電状態にしてこれを維持しておき、
前記第1突入電流抑制部の電流の抑制を解除してから第2所定期間が経過した後
前記第2スイッチを閉じることで、前記第2突入電流抑制部の電流の抑制を解除して、これに応じて前記第2突入電流抑制部を通電状態にしてこれを維持しておき、
前記第2突入電流抑制部の電流の抑制を解除してから第3所定期間が経過した後
前記第3スイッチを閉じることで、前記第3突入電流抑制部の電流の抑制を解除して、これに応じて前記第3突入電流抑制部を通電状態にする、
請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2所定期間に前記コンバータの出力から流れた電流の実効値の大きさと、前記コンバータの出力電圧とを用いて、前記第3所定期間の長さを調整する、
請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記第2所定期間内に前記コンバータの出力から流れた電流に、急峻に振幅が変化する成分が含まれる、
請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記第1所定期間と前記第2所定期間は、夫々の所望の長さに定められている、
請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記コンバータの出力による直流電圧VDCと、前記第1コンデンサの端子電圧VCとの差が所定の範囲内であることを示す信号を取得して、前記第1コンデンサの初期充電が完了したと判定する、
請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記コンバータの出力による直流電圧VDCと、前記第1コンデンサの端子電圧VCとの差が所定の範囲内であることを示す信号を取得して、前記第1コンデンサの初期充電が完了したと判定する、
請求項6に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記第1インバータと、前記第2インバータと、前記第3インバータは、
互いに共通する交流負荷に電力を供給する、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の電力変換システム。
【請求項9】
直流電力を出力するコンバータの直流側に複数のインバータが並列に接続された多並列型の電力変換システムの突入電流抑制方法であって、
前記電力変換システムは、
前記コンバータの出力に接続される第1コンデンサと第1インバータと、
前記コンバータの出力に接続される第2コンデンサと第2インバータと、
前記コンバータの出力に接続される第3コンデンサと第3インバータと、
前記コンバータの出力と前記第1コンデンサの間の第1接続導体に設けられた第1突入電流抑制部と、
前記コンバータの出力と前記第2コンデンサの間の第2接続導体に設けられた第2突入電流抑制部と、
前記コンバータの出力と前記第3コンデンサの間の第3接続導体に設けられた第3突入電流抑制部と、
を備え、
前記第1突入電流抑制部は、
前記第1コンデンサの突入電流を低減させる第1インピーダンス素子と前記第1インピーダンス素子に並列に接続される第1スイッチとを備え、
前記第2突入電流抑制部は、
前記第2コンデンサの突入電流を低減させる第2インピーダンス素子と前記第2インピーダンス素子に並列に接続される第2スイッチとを備え、
前記第3突入電流抑制部は、
前記第3コンデンサの突入電流を低減させる第3インピーダンス素子と前記第3インピーダンス素子に並列に接続される第3スイッチとを備えていて、
前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第3スイッチとを閉いた状態で前記コンバータからの通電を開始することで、前記第1突入電流抑制部から前記第3突入電流抑制部の各突入電流抑制部を通じて、前記コンバータからの通電を開始させて、これに応じて、前記各突入電流抑制部のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ前記第1コンデンサから前記第3コンデンサの各コンデンサ
の予備充電
を開始して、
その後、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチの順に時間差を設けて各スイッチを閉じることで、前記コンバータの出力電流に含まれる突入電流の大きさを低減させるステップ、
を含む突入電流抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換システム及び突入電流抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力から交流電力を生成する電圧型のインバータは、直流を平滑するためのコンデンサを備えている。このようなインバータを始動する際に、コンデンサに掛かる電圧が所望の電圧になるように初期充電を行うことがある。この初期充電期間内では、過度な電流の突入電流が生じないように電流を制限して充電している。
コンデンサに掛かる電圧が適当な電圧まで高まったときにこの初期充電期間を完了させて上記の電流制限を解除するときに、上記の所望の電圧(電源電圧)とコンデンサに掛かる電圧との間に電位差があると、この電位差に応じた突入電流が発生することがあった。コンデンサの容量及び並列接続されるコンデンサの個数が多くなる構成の場合に、その電流のピーク値が大きくなる傾向があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、多並列構成の電圧型インバータの始動段階の突入電流を抑制できる電力変換器及び突入電流抑制方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電力変換システムは、直流電力を出力するコンバータの直流側に複数のインバータが並列に接続された多並列型である。電力変換システムは、第1コンデンサと第1インバータと、第2コンデンサと第2インバータと、第3コンデンサと第3インバータと、第1突入電流抑制部と、第2突入電流抑制部と、第3突入電流抑制部と、制御部とを備える。第1コンデンサと第1インバータは、前記コンバータの出力に接続される。第2コンデンサと第2インバータは、前記コンバータの出力に接続される。第3コンデンサと第3インバータは、前記コンバータの出力に接続される。第1突入電流抑制部は、前記コンバータの出力と前記第1コンデンサの間の第1接続導体に設けられている。第2突入電流抑制部は、前記コンバータの出力と前記第2コンデンサの間の第2接続導体に設けられている。第3突入電流抑制部は、前記コンバータの出力と前記第3コンデンサの間の第3接続導体に設けられている。前記第1突入電流抑制部は、前記第1コンデンサの突入電流を低減させる第1インピーダンス素子と前記第1インピーダンス素子に並列に接続される第1スイッチとを備える。前記第2突入電流抑制部は、前記第2コンデンサの突入電流を低減させる第2インピーダンス素子と前記第2インピーダンス素子に並列に接続される第2スイッチとを備える。前記第3突入電流抑制部は、前記第3コンデンサの突入電流を低減させる第3インピーダンス素子と前記第3インピーダンス素子に並列に接続される第3スイッチとを備える。前記制御部は、前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第3スイッチとを閉いた状態で前記コンバータからの通電を開始することで、前記第1突入電流抑制部から前記第3突入電流抑制部の各インピーダンス素子のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ前記第1コンデンサから前記第3コンデンサの各コンデンサの予備充電を開始して、その後、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチの順に時間差を設けて各スイッチを閉じることで、前記コンバータの出力電流に含まれる突入電流の大きさを低減させる。前記制御部は、各突入電流抑制部を夫々用いて、前記第1コンデンサから前記第3コンデンサまでの各コンデンサを夫々予備充電させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態の突入電流抑制手法について説明するための図。
【
図6】
図5に示した制御部6を用いた突入電流抑制手法のより具体的な事例について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電力変換システム及び突入電流抑制方法を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それらの構成の重複する説明は省略する場合がある。なお、電気的に接続されることを、単に「接続される」ということがある。以下の説明に示す「大きさが等しい」場合には、略等しい場合も含む。
【0008】
図1は、実施形態の電力変換システム1の構成図である。
【0009】
電力変換システム1は、例えば、コンバータ2(CNV)と、インバータ3(INV)と、コンデンサ4と、突入電流抑制部5と、制御部6と、電流検出部8と、電力変換制御装置10(不図示)とを備える。
【0010】
まず、電力変換システム1の主回路の構成を順に説明する。
コンバータ2の直流出力とインバータ3の直流入力は、直流リンクを介して、互いに正極(P)同士、及び負極(N)同士が電気的に接続される。
【0011】
コンバータ2は、例えば3相交流入力型の整流器又は交直電力変換器であり、その入力部が入力変圧器(不図示)の二次側巻線に電気的に接続されている。コンバータ2は、交流を整流することで、入力変圧器から入力された交流電力を直流電力に変換する。
コンデンサ4は、直流リンクに設けられていて、コンデンサ4の各端子が直流リンクの正極(P)と負極(N)に夫々電気的に接続されている。コンデンサ4は、変換後の直流電圧を平滑化する。
【0012】
インバータ3は、交流側が交流電動機Mの巻線に接続されている。インバータ3は、例えば、直流電力を交流電力に変換して、変換後の交流電力を交流電動機Mの各相に出力する。なお、インバータ3と交流電動機Mとの間に出力変圧器(不図示)を設けてもよい。インバータ3は、例えば、直流側の直流電力を交流電力に変換するスイッチング素子とスイッチング素子に逆並列に接続される逆接続ダイオードとを備える。スイッチング素子は、半導体スイッチング素子の一例である。例えばインバータ3は、3つに分かれて構成されていて、それぞれが単相交流出力型の逆変換装置である。
【0013】
次に、電力変換制御装置10について説明する。
電力変換制御装置10は、インバータ3の速度制御と電流制御とを実施して、インバータ3のスイッチング素子を制御するためのゲート信号を生成する。この電力変換制御装置10は、一般的な構成及び一般的な制御方法を適用できる。
【0014】
図1に示すように実施形態の電力変換システム1は、直流電力を出力するコンバータ2の直流側に複数に分かれて構成されたインバータ3の各部が並列に接続された多並列型で形成されている。
【0015】
インバータ3は、第1インバータ31と、第2インバータ32と、第3インバータ33とを備える。例えば、第1インバータ31と、第2インバータ32と、第3インバータ33は、互いに共通する交流負荷の交流電動機Mに電力を供給するように構成されていてもよい。
【0016】
コンデンサ4は、第1コンデンサ41と、第2コンデンサ42と、第3コンデンサ43とを備える。コンデンサ4の各コンデンサは、所謂平滑コンデンサである。
【0017】
例えば、
図1に示すように、電力変換システム1は、コンバータ2の出力に接続される第1コンデンサ41と第1インバータ31との組と、コンバータ2の出力に接続される第2コンデンサ42と第2インバータ32との組と、コンバータ2の出力に接続される第3コンデンサ43と第3インバータ33との組とを備える。
【0018】
例えば、第1突入電流抑制部51は、コンバータ2の出力と第1コンデンサ41との間の第1接続導体に設けられている。第2突入電流抑制部52は、コンバータ2の出力と第2コンデンサ42との間の第2接続導体に設けられている。第3突入電流抑制部53は、コンバータ2の出力と第3コンデンサ43との間の第3接続導体に設けられている。
換言すれば、第1突入電流抑制部51は、コンバータ2の出力から第1コンデンサ41と第1インバータ31との組までの間の第1接続導体に設けられている。第2突入電流抑制部52は、コンバータ2の出力から第2コンデンサ42と第2インバータ32との組までの間の第2接続導体に設けられている。第3突入電流抑制部53は、コンバータ2の出力から第3コンデンサ43と第3インバータ33との組までの間の第3接続導体に設けられている。
【0019】
電流検出部8は、第1電流検出部81と、第2電流検出部82と、第3電流検出部83とを備える。第1電流検出部81は、第1突入電流抑制部51に流れる電流を検出する。第2電流検出部82は、第2突入電流抑制部52に流れる電流を検出する。第3電流検出部83は、第3突入電流抑制部53に流れる電流を検出する。第1電流検出部81と、第2電流検出部82と、第3電流検出部83とを配置する位置に制限はない。
【0020】
制御部6は、例えば、第1制御部61と、第2制御部62と、第3制御部63とを備える。第1制御部61と、第2制御部62と、第3制御部63とは互いに同じ構成を備えるものであってよい。
【0021】
第1制御部61は、第1突入電流抑制部51を制御して、第1突入電流抑制部51のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ第1コンデンサ41を予備充電する。第1制御部61は、第1コンデンサ41の予備充電を終えると、第1突入電流抑制部51を導通状態にする。これにより第1インバータ21に所望の直流電圧が供給される。
第2制御部62は、第2突入電流抑制部52を制御して、第2突入電流抑制部52のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ第2コンデンサ42を予備充電する。第2制御部62は、第2コンデンサ42の予備充電を終えると、第2突入電流抑制部52を導通状態にする。これにより第2インバータ22に所望の直流電圧が供給される。
第3制御部63は、第3突入電流抑制部53を制御して、第3突入電流抑制部53のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ第3コンデンサ43を予備充電する。第3制御部63は、第3コンデンサ43の予備充電を終えると、第3突入電流抑制部53を導通状態にする。これにより第3インバータ23に所望の直流電圧が供給される。
【0022】
なお、第1制御部61と、第2制御部62と、第3制御部63とを纏めて、制御部6として説明することがある。制御部6のより具体的な制御の事例について後述する。
【0023】
図2を参照して、実施形態の突入電流抑制手法について説明する。
図2は、実施形態の突入電流抑制手法について説明するための図である。
図2の左の列(a1)と(a2)に比較例の事例を示し、
図2の右の列(b1)と(b2)に本実施形態の事例を示す。
図2の上段(a1)と(b1)に典型的なコンデンサ4の電圧の過渡変化を示し、
図2の下段(a2)と(b2)に突入電流の過渡変化を示す。
【0024】
図2の初期段階の第1コンデンサ41から第3コンデンサ43までの各コンデンサは、放電により端子電圧がない状態にある。そこで、第1コンデンサ41から第3コンデンサ43までの各コンデンサを、第1突入電流抑制部51から第3突入電流抑制部53までの各突入電流抑制部が夫々予備充電する。
【0025】
例えば、制御部6は、前記第1突入電流抑制部から前記第3突入電流抑制部の各突入電流抑制部に対して、コンバータ2からの通電を、時刻t0に開始させる。これに応じて、前記各突入電流抑制部のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ第1コンデンサ41から第3コンデンサ43の各コンデンサを予備充電する。
【0026】
ところで、
図2の左の列(a1)と(a2)の比較例の場合には、時刻t0以降に、コンデンサ4に掛かる電圧が所望の電圧になるように予備充電(初期充電)を行っている。この初期充電期間内では、過度な突入電流が生じないように電流を制限して充電している。所望の電圧になるタイミングで、予備充電を終了する。
【0027】
この比較例の場合には、第1コンデンサ41から第3コンデンサ43の各コンデンサの予備充電を、タイミングを揃えて纏めて終了させる。そのタイミングの各コンデンサの端子電圧VCと、直流リンクの基準の電圧(電圧VDCという。)との差があると、上記のように突入電流が比較的小さくなるように構成されていても、各コンデンサの夫々に突入電流が発生する。この場合に発生する突入電流の極性は揃っているため、各突入電流の加算値に相当する大きさの突入電流が発生する。そのため、インバータの台数(コンデンサの個数)が多くなるに従って、全体の突入電流が大きくなり、これが無視できないほどの大きさになることがあった。このような全体の突入電流を低減することが要求されることがあった。
【0028】
これに対し、実施形態の電力変換システム1は、
図2の左の列(a1)と(a2)の比較例と同様に第1コンデンサ41から第3コンデンサ43の各コンデンサの予備充電を開始する(
図2の右の列(b1)と(b2)参照)。ただし、第1コンデンサ41から第3コンデンサ43の各コンデンサの予備充電を終了させるタイミングを敢えて不揃いにしている。
これにより、前述の比較例の場合と予備充電の途中までは同様に充電されるが、予備充電の終了のタイミングを不揃いにしたことによって、各コンデンサに対する突入電流のピーク値が生じるタイミングが時間軸方向にずれて分散することにより、全体の突入電流のピーク値を低減させている。これについては、より具体的な構成例を示して説明する。
【0029】
図3を参照して、実施形態の制御部6の構成例について説明する。
図3は、実施形態の制御部6の構成図である。ここでは、第1制御部61を例示する。
【0030】
第1制御部61は、初期充電素子オン制御部611と、遅延部612(DELAY)とを備える。
【0031】
初期充電素子オン制御部611は、直流電圧VDCとコンデンサ電圧VC1とを用いて、第1突入電流抑制部51内の半導体スイッチング素子(初期充電素子)の導通状態を制御する。例えば、初期充電素子オン制御部611は、直流電圧VDCとコンデンサ電圧VC1との電位差ΔVが所定値ΔVTHよりも小さくなったことを検出して、この検出に応じて第1突入電流抑制部51内の半導体スイッチング素子の導通状態をオフからオンに切り替えるための切替信号selを生成する。
【0032】
なお、所定値ΔVTHは、0ではない値にする。コンデンサ電圧VC1が上昇過程の中で、かつ直流電圧VDCに達する前の段階で、電位差ΔVが所定値ΔVTHよりも小さくなったことを検出できるように、所定値ΔVTHを決定するとよい。
【0033】
遅延部612は、初期充電素子オン制御部611によって生成される切替信号selと、直流電圧VDCとコンデンサ電圧VC1と検出電流Iとを用いて、次段の第2突入電流抑制部52を導通状態にするタイミングを示す次段の投入信号と、次段の投入時間tkとを生成する。この投入信号は、次段の制御部6(第2制御部62)に供給される。
【0034】
図4を参照して、
図3に示す遅延部612の構成例について説明する。
図4は、
図3に示す遅延部612の構成図である。
遅延部612は、演算ブロック612aから612dを備える。
演算ブロック612aは、検出電流Iの実効値Irmsを算出する。演算ブロック612aは、例えば、投入時間tkと、検出電流Iの瞬時値とを入力変数に用いて、k段目の投入時間tkから現在時刻tまでの検出電流Iの実効値Irmsを計算する。遅延部612は、制御部6のうち、1段目の第1制御部61に含まれる。段数の識別情報であるkの値は、遅延部612の場合に、1になる。
【0035】
演算ブロック612bは、減算器を形成する。演算ブロック612bは、第1入力変数である直流電圧VDCから、第2入力変数であるコンデンサ電圧VCを減算して、電位差ΔVを生成する。
【0036】
演算ブロック612cは、第1コンデンサ41の容量Cを出力する。この容量Cの値は、予め定められた固定値であってよい。
【0037】
演算ブロック612dは、検出電流Iの実効値Irmsと、第1コンデンサ41の容量Cと、電位差ΔVとを入力変数に用いて、次段の第2インバータ32の稼働を指令する投入時間t(k+1)を計算する。投入時間t(k+1)の変数kは、段数を示す。例えば、1段目に当たる第1制御部61の場合のkの値は1である。上記の場合の投入時間t2は、第2インバータ32の稼働開始が指令されるタイミングを示す。2段目に当たる第2制御部62の場合は、変数kの値が2になるが同様の処理を適用できる。
【0038】
上記の説明は、1段目の遅延部612に関するものであるが、2段目の遅延部622(不図示)と、3段目の遅延部632(不図示)についても、遅延部612と同様の構成を適用できる。
例えば、2段目の遅延部622は、2段目(2台目)の第2コンデンサ42の初期充電完了を示す信号と、2段目(2台目)の突入電流(電流I)の実効値Irmsと、その投入時の電位差ΔVとに基づいて、3台目の第3インバータ33に対する投入時間tを決定するとよい。
【0039】
3段目の遅延部632は、3台目の第3インバータ33に対する投入時間tの情報と、2台目の第2コンデンサ42の初期充電完了信号とを取得して、3段目の第3インバータ33の主電源を、投入時間t後に投入するとよい。
【0040】
図5を参照して、実施形態の制御部6の構成例について説明する。
図5は、
図3の制御部6の構成図である。ここでは、制御部6として、第1制御部61と、第2制御部62と、第3制御部63とを含み、夫々が連なって構成された事例を示す。この
図5に示す接続構成では、第1制御部61と、第2制御部62と、第3制御部63とが記載の順にカスケード接続されている。物理的な接続(トポロジー)に制限はなく、他の形態の接続構成であってもよい。
【0041】
1段目の第1制御部61は、1段目の第1コンデンサ41の初期充電完了と、これに応じて第1インバータ31に通電を開始したこととを示す投入信号と、次段の第2インバータ32を投入するタイミングを示す投入時間t2とを生成して、これを次段の第2制御部62に供給する。
【0042】
2段目の第2制御部62は、第1制御部61から供給される投入信号と、投入時間t2とを受けて、これに基づいて、第2突入電流抑制部52の半導体スイッチング素子の導通状態を制御する。より具体的には、第2制御部62は、投入信号の検出により、第2突入電流抑制部52の半導体スイッチング素子をオン状態にして第2インバータ32への通電を開始する。
第2制御部62は、さらに、次段に通電を開始したことを示すための投入信号と、投入時間t3とを生成して、これを次段の第3制御部63に供給する。
【0043】
3段目の第3制御部63は、第2制御部62から供給される投入信号と、投入時間t3とを受けて、これに基づいて、第3突入電流抑制部53の半導体スイッチング素子の導通状態を制御する。
【0044】
なお、4段目以降の突入電流抑制部が存在する場合には、図示を省略するが、第2制御部62と同様に、第3制御部63は、次段の初期充電完了を示す投入信号と、投入時間とを生成して、これを次段の制御部に供給してもよい。
【0045】
各段の突入電流の持続時間t(パルス幅)を下記のように近似する。電圧Vによって、容量Cのコンデンサに蓄えられる電荷Qの関係を示すクーロンの法則に基づく式(1)と、これを電流Iと通電時間tを用いて示す式(2)と、を関係づけて式(3)を得る。各段の突入電流の持続時間tを、式(3)を用いて夫々算出する。
【0046】
Q=CV (1)
I×t=CV (2)
t=CV/I (3)
【0047】
上記の式(1)から式(3)を用いることで、インバータ3に、所定の電源電圧を投入するタイミングを、上記の突入電流の持続時間tに基づいて決定してもよい。この投入タイミングのシフト量を、上記の突入電流の持続時間tを用いて最適化することにより、各段の突入電流のパルスを時間軸方向に離散させることができる。各段の個々の突入電流が重畳する期間が存在しなければ、段の突入電流が同じ時刻に流れることはない。これに基づいて、各段の突入電流のパルスよりも大きな電流が流れることはない。
【0048】
ところで、各段の突入電流のパルスの間隔を十分にあけることにより、電流のピーク値を抑えることができる。その一方で、各インバータへの通電が段階的に開始されるため、全インバータが起動するまでの時間が長くなる。
【0049】
本実施形態の電力変換システム1は、各段の突入電流のパルスの間隔を可能な範囲で近づけることにより、全インバータが起動するまでの時間を比較的短くする。
【0050】
各段のインバータに電源を順次投入するタイミングを予め定められたシフト量(固定値)にしてもよく、これに制限されることなく、順次投入するタイミングを、装置の状態に応じて調整可能なシフト量(可変値)にしてもよい。上記の固定値のシフト量と、可変値のシフト量を組み合わせてもよい。
【0051】
例えば、2段目(2台目)の第2インバータ32を、1段目(1台目)の第1インバータ31への投入から、ある一定期間(固定値)経過してから投入させる。3段目(3台目)の第3インバータ33を投入するタイミングを、3段目(3台目)の第3インバータ33に対する投入時間tの情報と、2段目の第2コンデンサ42の初期充電完了信号とを取得する。
【0052】
図6を参照して、より具体的な事例について説明する。
図6は、
図5に示した制御部6を用いた突入電流抑制手法のより具体的な事例について説明するための図である。
【0053】
図6に示す図は、その上段側から順に、各段のコンデンサの電圧VC1-3と、第1突入電流抑制部51から第3突入電流抑制部53の導通状態と、第1インバータ31から第3インバータ33の稼働状態と、各段の検出電流(I1からI3)と、各段の検出電流の加算値(IT)とがそれぞれ示されているタイムングチャートである。
【0054】
例えば、時刻t0に、各段の通電が開始させる。これにより、各段のコンデンサの電圧VC(VC1-3)が徐々に上昇する。最上段に示すカーブは、理想的な電圧の変化の一例である。充電中に環境が変わらなければ、
図6の最上段に示すような変化がみられる。
通電の開始から第1所定期間T1が経過した後に、第1突入電流抑制部51の電流の抑制を解除するタイミングの時刻t1になる。時刻t1になると、第1制御部61は、第1突入電流抑制部51の電流の抑制を解除する。第1制御部61は、これに応じて第1突入電流抑制部51を通電状態(ON)にしてこれを維持する。これにより第1インバータ31が稼働状態(ON)になる。
【0055】
このとき、制御部6(第1制御部61)が第1突入電流抑制部51の電流の抑制を解除したときから第2所定期間T2が経過した後に、第2突入電流抑制部52の電流の抑制を解除するタイミングの時刻t2になる。時刻t2になると、第2制御部62は、第2突入電流抑制部52の電流の抑制を解除する。第2制御部62は、これに応じて第2突入電流抑制部52を通電状態(ON)にしてこれを維持する。これにより第2インバータ32が稼働状態(ON)になる。
【0056】
さらに、制御部6(第2制御部62)が第2突入電流抑制部52の電流の抑制を解除したときから第3所定期間T3が経過した後に、第3突入電流抑制部53の電流の抑制を解除するタイミングの時刻t3になる。時刻t3になると、第3制御部63は、第3突入電流抑制部53の電流の抑制を解除する。第3制御部63は、これに応じて第3突入電流抑制部53を通電状態(ON)にしてこれを維持する。これにより第3インバータ33が稼働状態(ON)になる。
【0057】
上記の突入電流抑制手法の手順で、第1突入電流抑制部51から第3突入電流抑制部53を制御して、各部の導通状態を切り替えるタイミングをずらしたことにより、突入電流が特定のタイミングに集中することを避けることができる。
【0058】
上記のシーケンスは、実施形態の突入電流抑制手法の一例である。
このシーケンスの細部の条件を変更することができる。
例えば、第1所定期間と第2所定期間は、夫々の所望の長さに定められていてよい。この場合、制御部6は、第2所定期間にコンバータ2の出力から流れた電流Iの実効値Irmsの大きさと、コンバータ2の出力電圧VC2とを用いて、上記の第3所定期間の長さを調整して決定するとよい。
なお、この第2所定期間内にコンバータ2の出力から流れた電流には、急峻に振幅が変化する突入電流とみなすことができる成分が含まれる。
【0059】
上記の実施形態によれば、実施形態の電力変換システム1は、直流電力を出力するコンバータ2の直流側に複数のインバータ3が並列に接続された多並列型である。電力変換システム1は、第1コンデンサ41と第1インバータ31と、第2コンデンサ42と第2インバータ32と、第3コンデンサ43と第3インバータ33と、第1突入電流抑制部51と、第2突入電流抑制部52と、第3突入電流抑制部53と、制御部6とを備える。第1コンデンサ41と第1インバータ31は、コンバータ2の出力に接続される。第2コンデンサ42と第2インバータ32は、コンバータ2の出力に接続される。第3コンデンサ43と第3インバータ33は、コンバータ2の出力に接続される。第1突入電流抑制部51は、コンバータ2の出力と第1コンデンサ41の間の第1接続導体に設けられている。第2突入電流抑制部52は、コンバータ2の出力と第2コンデンサ42の間の第2接続導体に設けられている。第3突入電流抑制部53は、コンバータ2の出力と第3コンデンサ43の間の第3接続導体に設けられている。第1突入電流抑制部51から第3突入電流抑制部53の各突入電流抑制部を通じて、コンバータ2からの通電を開始させて、これに応じて、各突入電流抑制部のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ第1コンデンサ41から第3コンデンサ43の各コンデンサを予備充電して、各突入電流抑制部の中で遅れて予備充電を終了させる突入電流抑制部があり、各突入電流抑制部の中で先に予備充電を終了したことで発生する電流の大きさに基づいて、遅れて予備充電を終了させるタイミングを決定する。これにより、多並列構成の電圧型電力変換器の始動段階の突入電流を抑制できる。
【0060】
なお、第2制御部62は、コンバータ2の出力による直流電圧VDCと、第1コンデンサ41の端子電圧VC1との差(電位差ΔV)が所定の範囲内であることを示す信号を取得して、第1コンデンサ41の初期充電が完了したと判定するとよい。これにより、第2制御部62は、第1コンデンサ41の初期充電が完了したタイミングを、間接的に取得できる。
【0061】
第3制御部63は、コンバータ2の出力による直流電圧VDCと、第2コンデンサ42の端子電圧VCとの差が所定の範囲内であることを示す信号を取得して、第2コンデンサ42の初期充電が完了したと判定するとよい。これにより、第3制御部63は、第2コンデンサ42の初期充電が完了したタイミングを、間接的に取得できる。
【0062】
(実施形態の第1変形例)
実施形態の制御部6を構成する第1制御部61から第3制御部63は、直接的に情報を交換可能に構成されていた。本変形例では、第1制御部61から第3制御部63が、直接的な情報交換を行わず、上位コントローラが介在して情報を交換して、第1制御部61から第3制御部63の夫々に指令する事例について説明する。
【0063】
例えば、第1制御部61から第3制御部63は、各段の初期充電完了信号の状態に関する情報、段の識別情報(インバータ識別番号)、及び各段の初期充電抑制性に関わるスイッチング素子を導通させることを示す投入信号の状態に関する情報を、それぞれが共有するために、上位コントローラに上記の情報を提供する。
【0064】
上位コントローラは、上記の情報を収集して、収集した情報を第1制御部61から第3制御部63に対して配信する。配信を受けた各制御部は、それぞれが独立していて、自律的にに対応する段の突入電流抑制部を制御する。この場合に、第1制御部61から第3制御部63のそれぞれが、例えば、各段の突入電流抑制部内のスイッチング素子(初期充電素子という。)をオンさせる際に、初期充電が完了している状況であっても、初期充電素子がオンしていない段を抽出して、抽出した中で、例えば、段の識別番号(INV No)が若い順に選択して、選択した段の初期充電素子をオンさせるとよい。
本変形例によれば、上位コントローラに集約された情報を利用して、上位コントローラがこれに基づいて判断して、判断の結果を制御部6内の各制御部に夫々指令することができる。
【0065】
(実施形態の第2変形例)
実施形態に、制御部6内の各制御部が、直接的に情報を交換可能に構成した事例を示し、第1変形例では、制御部6内の各制御部が、直接的な情報交換を行わず、上位コントローラが情報を収集して、上位コントローラに集約された情報を利用して判断して、制御部6内の各制御部に指令する事例を示した。これに変えて、本変形例では、第1変形例と同様に、制御部6内の各制御部が、直接的な情報交換を行わず、上位コントローラが情報を収集する。ただし、上位コントローラは、第1変形例のように判断をせずに、制御部6内の各制御部に自律的に判断させる事例について説明する。
【0066】
本変形例の上位コントローラは、収集した情報を制御部6内の各制御部に配信して、制御部6内の各制御部に共有させる。制御部6内の各制御部は、共有された情報に基づいて自律的に判断するとよい。
【0067】
例えば、制御部6内の各制御部が、夫々備える共有メモリを用いて、上位コントローラから提供される情報(「INV No」、「初期充電完了」、「主電源投入」などの情報。)を記憶させる。制御部6内の各制御部は、初期充電が完了している状況で、当該段のインバータの主電源が未投入であって、その中で自段の識別番号(「INV No」)が一番若い番号であれば、当該段の初期充電素子をオンさせるとよい。対象の段を選択する判定は、例えば予め定められたタイミングに実施するとよい。これにより、制御部6内の各制御部が上記の判定方法を利用することで、上位コントローラによる判定によらず、一連の制御を実施可能である。
【0068】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、電力変換システムは、電力変換システムは、直流電力を出力するコンバータの直流側に複数のインバータが並列に接続された多並列型である。電力変換システムは、第1コンデンサと第1インバータと、第2コンデンサと第2インバータと、第3コンデンサと第3インバータと、第1突入電流抑制部と、第2突入電流抑制部と、第3突入電流抑制部と、制御部とを備える。第1コンデンサと第1インバータは、前記コンバータの出力に接続される。第2コンデンサと第2インバータは、前記コンバータの出力に接続される。第3コンデンサと第3インバータは、前記コンバータの出力に接続される。第1突入電流抑制部は、前記コンバータの出力と前記第1コンデンサの間の第1接続導体に設けられている。第2突入電流抑制部は、前記コンバータの出力と前記第2コンデンサの間の第2接続導体に設けられている。第3突入電流抑制部は、前記コンバータの出力と前記第3コンデンサの間の第3接続導体に設けられている。
電力変換システムは、前記第1突入電流抑制部から前記第3突入電流抑制部の各突入電流抑制部を通じて、前記コンバータからの通電を開始させて、これに応じて、前記各突入電流抑制部のインピーダンスを用いて電流を抑制しつつ前記第1コンデンサから前記第3コンデンサの各コンデンサを予備充電して、前記各突入電流抑制部の中で遅れて前記予備充電を終了させる突入電流抑制部があり、前記各突入電流抑制部の中で先に予備充電を終了したことで発生する電流の大きさに基づいて、前記遅れて前記予備充電を終了させるタイミングを決定する。これにより、電力変換システムは、多並列構成の電圧型インバータの始動段階の突入電流を抑制できる。
【0069】
以上説明した実施形態の電力変換システム1における制御部6及び電力変換制御装置10の各機能部の一部又は全部は、例えば、コンピュータの記憶部(メモリなど)に記憶されたプログラム(コンピュータプログラム、ソフトウェアコンポーネント)がコンピュータのプロセッサ(ハードウェアプロセッサ)によって実行されることで実現されるソフトウェア機能部である。なお、制御装置7及びセルユニット制御部6CUCの各機能部の一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなハードウェアによって実現されてもよく、或いはソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0070】
以上、幾つかの実施形態について説明したが、実施形態の構成は、上記例に限定されない。例えば、各実施形態の構成は、互いに組み合わせて実施されてもよく、説明を省略した構成部分に適用することができる。例えば、上記の交流電動機Mの第1相であるU相に関する説明は、交流電動機Mの第2相のV相と第3相のW相に適用してよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1…電力変換システム、2…コンバータ、3…インバータ、4…コンデンサ、5…突入電流抑制部、6…制御部、8…電流検出部、10…電力変換制御装置、
31…第1インバータ、32…第2インバータ、33…第3インバータ、
41…第1コンデンサ、42…第2コンデンサ、43…第3コンデンサ、
51…第1突入電流抑制部、52…第2突入電流抑制部、53…第3突入電流抑制部、
61…第1制御部、62…第2制御部、63…第3制御部、
81…第1電流検出部、82…第1電流検出部、83…第1電流検出部、
M…交流電動機