(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-10
(45)【発行日】2025-07-18
(54)【発明の名称】移動体の制御装置、移動体の制御方法、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250711BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20250711BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/005
(21)【出願番号】P 2024510776
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015381
(87)【国際公開番号】W WO2023187969
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松永 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】若山 涼至
(72)【発明者】
【氏名】相澤 航輝
(72)【発明者】
【氏名】白方 健登
(72)【発明者】
【氏名】倉光 祐之介
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-87175(JP,A)
【文献】特開平9-204222(JP,A)
【文献】特開2016-212120(JP,A)
【文献】特開2020-197387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体の制御装置であって、
前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識する道路タイプ認識部と、
前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示である交通情報を認識する信号認識部と、
前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記信号認識部が認識した前記歩行者用信号機の前記交通情報に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える移動体の制御装置。
【請求項2】
前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音である、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項3】
前記補助情報は、前記着目する歩行者用信号機が交通参加者の進行を許可する方向とは異なる方向の交通参加者の進行を許可する信号機の前記交通情報である、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項4】
前記補助情報は、前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報である、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項5】
前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音と、前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報とであり、
前記信号認識部は、前記視覚障碍者用の報知音および前記人の動きを示す情報を用いて、前記着目する歩行者用信号機が進行を許可しているか否かを認識し、
前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項6】
前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音、および前記着目する歩行者用信号機が進行を許可する方向とは異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報であり、
前記信号認識部は、前記視覚障碍者用の報知音および前記異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報を用いて、前記着目する歩行者用信号機が進行を許可しているか否かを認識し、
前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項7】
前記補助情報は、前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報、および前記着目する歩行者用信号機が進行を許可する方向とは異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報であり、
前記信号認識部は、前記人の動きを示す情報および前記異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報を用いて、前記着目する歩行者用信号機が進行を許可しているか否かを認識し、
前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項8】
前記補助情報は、(1)前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音、(2)前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報、または(3)前記着目する歩行者用信号機が進行を許可する方向とは異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報であり、
前記信号認識部は、(1)、(2)または(3)のうち一以上の情報に基づいて、前記移動体の周辺の歩行者用信号機が停止指示の第1状態から進行を許可する第2状態に切り替わったことを認識し、(1)、(2)または(3)のうち前記第2状態に切り替わったことを認識した際に利用した情報とは異なる情報に基づいて、前記着目する歩行者用信号機が前記第2状態に変化したか、前記着目する歩行者用信号機とは異なる歩行者用信号機が前記第2状態に変化したかを認識する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項9】
前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音であり、
前記信号認識部は、記憶装置に記憶された前記報知音の種別と、前記歩行者用信号機が交通参加者の進行を許容する方向とが対応付けられた情報を参照し、前記報知音に基づいて前記歩行者用信号機の前記交通情報を認識する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記移動体が車道を移動する場合の速度を第1速度に制限し、前記移動体が前記所定領域を移動する場合の速度を前記第1速度よりも低い第2速度に制限し、
前記着目する歩行者用信号機の前記交通情報に従って移動する予定であり、且つ前記信号認識部が前記着目する歩行者用信号機が進行を許可していると認識した場合、前記歩行者用信号機が許可する方向に前記移動体を移動させるための動作を開始する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項11】
前記信号認識部は、第1方向の交通を規制する第1の歩行者用信号機と、前記第1方向とは異なる第2方向の交通を規制する第2の歩行者用信号機とを含む交差点において、前記移動体が前記第1の歩行者用信号機の前記交通情報に従って移動する場合に、前記補助情報である、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音、前記第1の歩行者用信号機とは異なる信号機の前記交通情報、または前記第1の歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報のうち一以上の情報に基づいて、前記第1の歩行者用信号機の状態を認識し、
前記制御部は、前記信号認識部が前記第1の歩行者用信号機が進行を許可する状態に変化したと認識した場合に、前記第1の歩行者用信号機の状態に従って前記移動体を移動させる、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記検知デバイスの出力に基づいて、前記着目する歩行者用信号機の前記交通情報を取得し、
前記信号認識部は、前記取得部が前記交通情報を取得できない場合、前記補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の前記交通情報を取得する、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御し、その後、前記取得部が前記着目する歩行者用信号機の前記交通情報を取得し且つ前記着目する歩行者用信号機が進行を許可したことを認識した場合、前記移動体が位置する歩道から前記交通情報が進行を許可する道路または横断歩道に前記移動体を進入させて前記道路または前記横断歩道を横断させる、
請求項1に記載の移動体の制御装置。
【請求項14】
車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体の制御装置が、
前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識し、
前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得し、
前記取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識し、
前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記認識した前記歩行者用信号機の状態に基づいて、前記移動体を制御する、
移動体の制御方法。
【請求項15】
車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体の制御装置に、
前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識させ、
前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得させ、
前記取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識させ、
前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記認識した前記歩行者用信号機の状態に基づいて、前記移動体を制御させる、
プログラムが記憶された記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の制御装置、移動体の制御方法、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルモビリティの左右の音をそれぞれ収音し、収音した音からパーソナルモビリティの左右のいずれ側の方向が車道であるかを検知するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、歩行者用信号機の状態については考慮されていなかったため、周辺の状況に応じて移動体を制御することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、周囲の状況に応じた移動体の制御を実現することができる移動体の制御装置、移動体の制御方法、および記憶媒体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動体の制御装置、移動体の制御方法、および記憶媒体は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る移動体の制御装置は、車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体の制御装置であって、前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識する道路タイプ認識部と、前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示である交通情報を認識する信号認識部と、前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記信号認識部が認識した前記歩行者用信号機の前記交通情報に基づいて、前記移動体を制御する制御部とを備える。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音である。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記補助情報は、前記着目する歩行者用信号機が交通参加者の進行を許可する方向とは異なる方向の交通参加者の進行を許可する信号機の前記交通情報である。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記補助情報は、前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報である。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音と、前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報とであり、前記信号認識部は、前記視覚障碍者用の報知音および前記人の動きを示す情報を用いて、前記着目する歩行者用信号機が進行を許可しているか否かを認識し、前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御する。
【0011】
(6):上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音、および前記着目する歩行者用信号機が進行を許可する方向とは異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報であり、前記信号認識部は、前記視覚障碍者用の報知音および前記異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報を用いて、前記着目する歩行者用信号機が進行を許可しているか否かを認識し、前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御する。
【0012】
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記補助情報は、前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報、および前記着目する歩行者用信号機が進行を許可する方向とは異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報であり、前記信号認識部は、前記人の動きを示す情報および前記異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報を用いて、前記着目する歩行者用信号機が進行を許可しているか否かを認識し、前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御する。
【0013】
(8):上記(1)から(7)のいずれかの態様において、前記補助情報は、(1)前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音、(2)前記着目する歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報、または(3)前記着目する歩行者用信号機が進行を許可する方向とは異なる方向の進行を許可する信号機の前記交通情報であり、前記信号認識部は、(1)、(2)または(3)のうち一以上の情報に基づいて、前記移動体の周辺の歩行者用信号機が停止指示の第1状態から進行を許可する第2状態に切り替わったことを認識し、(1)、(2)または(3)のうち前記第2状態に切り替わったことを認識した際に利用した情報とは異なる情報に基づいて、前記着目する歩行者用信号機が前記第2状態に変化したか、前記着目する歩行者用信号機とは異なる歩行者用信号機が前記第2状態に変化したかを認識する。
【0014】
(9):上記(1)から(8)のいずれかの態様において、前記補助情報は、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音であり、前記信号認識部は、記憶装置に記憶された前記報知音の種別と、前記歩行者用信号機が交通参加者の進行を許容する方向とが対応付けられた情報を参照し、前記報知音に基づいて前記歩行者用信号機の前記交通情報を認識する。
【0015】
(10):上記(1)から(9)のいずれかの態様において、前記制御部は、前記移動体が車道を移動する場合の速度を第1速度に制限し、前記移動体が前記所定領域を移動する場合の速度を前記第1速度よりも低い第2速度に制限し、前記着目する歩行者用信号機の前記交通情報に従って移動する予定であり、且つ前記信号認識部が前記着目する歩行者用信号機が進行を許可していると認識した場合、前記歩行者用信号機が許可する方向に前記移動体を移動させるための動作を開始する。
【0016】
(11):上記(1)から(10)のいずれかの態様において、前記信号認識部は、第1方向の交通を規制する第1の歩行者用信号機と、前記第1方向とは異なる第2方向の交通を規制する第2の歩行者用信号機とを含む交差点において、前記移動体が前記第1の歩行者用信号機の前記交通情報に従って移動する場合に、前記補助情報である、前記歩行者用信号機の前記交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音、前記第1の歩行者用信号機とは異なる信号機の前記交通情報、または前記第1の歩行者用信号機が示す交通情報に基づいて移動すると推定される人の動きを示す情報または前記移動体の周辺の人の動きを示す情報のうち一以上の情報に基づいて、前記第1の歩行者用信号機の状態を認識し、前記制御部は、前記信号認識部が前記第1の歩行者用信号機が進行を許可する状態に変化したと認識した場合に、前記第1の歩行者用信号機の状態に従って前記移動体を移動させる。
【0017】
(12):上記(1)から(11)のいずれかの態様において、前記取得部は、前記検知デバイスの出力に基づいて、前記着目する歩行者用信号機の前記交通情報を取得し、前記信号認識部は、前記取得部が前記交通情報を取得できない場合、前記補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の前記交通情報を取得する。
【0018】
(13):上記(12)の態様において、前記制御部は、前記信号認識部の認識の結果に基づいて、前記移動体を制御し、その後、前記取得部が前記着目する歩行者用信号機の前記交通情報を取得し且つ前記着目する歩行者用信号機が進行を許可したことを認識した場合、前記移動体が位置する歩道から前記交通情報が進行を許可する道路または横断歩道に前記移動体を進入させて前記道路または前記横断歩道を横断させる。
【0019】
(14):本発明の他の態様に係る移動体の制御方法は、車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体の制御装置が、前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識し、前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得し、前記取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識し、前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記認識した前記歩行者用信号機の状態に基づいて、前記移動体を制御する。
【0020】
(15):本発明の他の態様に係るプログラムが記憶された記憶媒体は、車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体の制御装置に、前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識させ、前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得させ、前記取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識させ、前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記認識した前記歩行者用信号機の状態に基づいて、前記移動体を制御させる。
【発明の効果】
【0021】
上記の(1)から(15)の態様によれば、周囲の状況に応じた移動体の制御を実現することができる。
【0022】
上記の(8)の態様によれば、制御装置が、信号機の交通情報が変化したことを認識した後、変化した信号機を特定することにより、迅速に移動体を移動させるための準備を行い且つ迅速に移動体を移動させることができる。
【0023】
上記の(9)の態様によれば、制御装置は、報知音の種別を用いることにより、より精度よく交通情報が変化した信号機を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る移動体1および制御装置100の構成の一例を示す図である。
【
図3】移動体1が車道を移動している場面の一例を示す図である。
【
図4】歩行者用信号機の交通情報が認識できない場面の一例を示す図である。
【
図5】補助情報を用いた信号機認識部150の処理について説明するための図である。
【
図6】視覚障碍者用の報知音または他の信号機を用いた処理について説明するための図である。
【
図7】人の動きを用いた処理について説明するための図である。
【
図8】制御装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】交差点で横断歩道を渡る場面の一例を示す図である。
【
図10】第2状態に切り替わったことおよび第2状態に切り替わった信号機を認識する条件の一例を示す図である。
【
図11】制御装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】信号機認識部150が信号機情報76を用いて移動体1を制御する場面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の移動体の制御装置、移動体の制御方法、および記憶媒体の実施形態について説明する。
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の移動体の制御装置、移動体の制御方法、および記憶媒体の実施形態について説明する。移動体は、車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動するものである。移動体は、マイクロモビリティと称される場合がある。電動キックボードはマイクロモビリティの一種である。所定領域とは、例えば歩道である。また、移動体は乗員が搭乗可能な乗物であってもよいし、無人での自律走行が可能な自律移動体であってもよい。後者の自律移動体は、例えば、荷物等を運搬する用途に用いられる。移動体は、歩くユーザと並走して荷物を運んだり、人を先導したりするような小型モビリティを含んでよく、また、その他の自律移動が可能な移動体(例えば歩行型ロボットなど)を含んでもよい。所定領域とは、路側帯や自転車レーン、公開空地などのうち一部または全部であってもよいし、歩道、路側帯、自転車レーン、公開空地などを全て含んでもよい。以下の説明では、所定領域は歩道であるものとする。以下の説明において「歩道」と記載されている部分は、適宜、「所定領域」と読み替えることができる。
【0027】
図1は、実施形態に係る移動体1および制御装置100の構成の一例を示す図である。移動体1には、例えば、外部検知デバイス10と、移動体センサ12と、操作子14と、内部カメラ16と、測位装置18と、マイク20と、モード切替スイッチ22と、移動機構30と、駆動装置40と、外部報知装置50と、記憶装置70と、制御装置100とが搭載される。これらの構成のうち本発明の機能を実現するのに必須でない一部の構成が省略されてもよい。
【0028】
外部検知デバイス10は、移動体1の進行方向を検知範囲とする各種デバイスである。外部検知デバイス10は、外部カメラ、レーダー装置、LIDAR(Light Detection and Ranging)、センサフュージョン装置などを含む。外部検知デバイス10は、検知結果を示す情報(画像、物体の位置等)を制御装置100に出力する。
【0029】
移動体センサ12は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ヨーレート(角速度)センサ、方位センサ、並びに操作子14に取り付けられた操作量検出センサなどを含む。操作子14は、例えば、加減速を指示するための操作子(例えばアクセルペダルやブレーキペダル)と、操舵を指示するための操作子(例えばステアリングホイール)とを含む。この場合、移動体センサ12は、アクセル開度センサやブレーキ踏量センサ、ステアリングトルクセンサ等を含んでよい。移動体1は、操作子14として、上記以外の態様の操作子(例えば、円環状でない回転操作子、ジョイスティック、ボタン等)を備えてもよい。
【0030】
内部カメラ16は、移動体1の乗員の少なくとも頭部を正面から撮像する。内部カメラ16は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を利用したデジタルカメラである。内部カメラ16は、撮像した画像を制御装置100に出力する。
【0031】
測位装置18は、移動体1の位置を測位する装置である。測位装置18は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機であり、GNSS衛星から受信した信号機に基づいて、移動体1の位置を特定し、位置情報として出力する。移動体1の位置情報は、後述する通信装置が接続しているWi-Fi基地局の位置から推定されてもよい。マイク20は、移動体1の周囲の音を収音する。マイク20は、複数のマイクを含んでもよい。
【0032】
モード切替スイッチ22は、乗員により操作されるスイッチである。モード切替スイッチ22は、機械式スイッチであってもよいし、タッチパネル上に設定されるGUI(Graphical User Interface)スイッチであってもよい。モード切替スイッチ22は、例えば、モードA:乗員により操舵操作と加減速制御との一方が行われ、他方は自動的に行われるアシストモードであり、乗員により操舵操作が行われ加減速制御が自動的に行われるモードA-1と、乗員により加減速操作が行われ操舵制御が自動的に行われるモードA-2とがあってよい、モードB:乗員により操舵操作および加減速操作がなされる手動運転モード、モードC:操作制御および加減速制御が自動的に行われる自動運転モードのいずれかに運転モードを切り替える操作を受け付ける。
【0033】
移動機構30は、道路において移動体1を移動させるための機構である。移動機構30は、例えば、操舵輪と駆動輪とを含む車輪群である。移動機構30は、多足歩行するための脚部であってもよい。
【0034】
駆動装置40は、移動機構30に力を出力して移動体1を移動させる。例えば、駆動装置40は、駆動輪を駆動するモータ、モータに供給する電力を蓄えるバッテリ、操舵輪の操舵角を調整する操舵装置などを含む。駆動装置40は、駆動力出力手段、或いは発電手段として、内燃機関や燃料電池などを備えてもよい。駆動装置40は、摩擦力や空気抵抗によるブレーキ装置を更に備えてもよい。
【0035】
外部報知装置50は、例えば移動体1の外板部に設けられ、移動体1の外部に向けて情報を報知するためのランプ、ディスプレイ装置、スピーカなどである。外部報知装置50は、移動体1が歩道を移動している状態と、車道を移動している状態とで異なる動作を行う。例えば、外部報知装置50は、移動体1が歩道を移動している場合にランプを発光させ、移動体1が車道を移動している場合にランプを発光させないように制御される。このランプの発光色は、法規で定められた色であると好適である。外部報知装置50は、移動体1が歩道を移動している場合にランプを緑色で発光させ、移動体1が車道を移動している場合にランプを青色で発光させるというように制御されてもよい。外部報知装置50がディスプレイ装置である場合、外部報知装置50は、移動体1が歩道を走行している場合に「歩道走行中である」旨をテキストやグラフィックで表示する。
【0036】
図2は、移動体1を上方から見た透視図である。図中、FWは操舵輪、RWは駆動輪、SDは操舵装置、MTはモータ、BTはバッテリである。操舵装置SD、モータMT、バッテリBTは駆動装置40に含まれる。APはアクセルペダル、BPはブレーキペダル、WHはステアリングホイール、SPはスピーカ、MCはマイクである。図示する移動体1は一人乗りの移動体であり、乗員Pは運転席DSに着座してシートベルトSBを装着している。矢印D1は移動体1の進行方向(速度ベクトル)である。外部検知デバイス10は移動体1の前端部付近に、内部カメラ16は乗員Pの前方から乗員Pの頭部を撮像可能な位置に、モード切替スイッチ22はステアリングホイールWHのボス部にそれぞれ設けられている。移動体1の前端部付近に、ディスプレイ装置としての外部報知装置50が設けられている。
【0037】
図1に戻り、記憶装置70は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの非一過性の記憶装置である。記憶装置70には、地図情報72、制御装置100が実行するプログラム74などが格納される。図では記憶装置70を制御装置100の枠外に記載しているが、記憶装置70は制御装置100に含まれるものであってよい。また、記憶装置70は不図示のサーバ上に設けられてもよい。
【0038】
[制御装置]
制御装置100は、例えば、道路タイプ認識部120と、認識部130と、音認識部140と、信号機認識部150と、制御部160とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)74を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶装置70に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置70にインストールされてもよい。
【0039】
道路タイプ認識部120は、移動体1が車道を移動しているか、歩道を移動しているかを認識する。道路タイプ認識部120は、例えば、外部検知デバイス10の外部カメラが撮像した画像を解析することで、移動体1が車道を移動しているか、歩道を移動しているかを認識する。レーダー装置、LIDAR、センサフュージョン装置等の出力が補助的に用いられてもよい。
【0040】
道路タイプ認識部120は、外部カメラが撮像した画像において、移動体1が車道を移動していることを示す複数の事象に基づいて、移動体1が車道を移動しているか、歩道を移動しているか否かを認識する。例えば、道路タイプ認識部120は、セマンティックセグメンテーションによって画像のフレーム内の各ピクセルをクラスに分類してラベルを付与し、仮想的に分けられた複数の領域と、それらの境界線を想定する。道路タイプ認識部120は、少なくとも、外部カメラが撮像した画像の領域を、移動体1が存在する領域(以下、自領域)と、自領域に隣接し移動体1が存在しない領域(以下、隣接領域)に分類して処理を行う。
【0041】
例えば、以下の事象のうち所定の以上の事象が含まれる場合、移動体1は車道を移動していると判定してもよい。例えば、自領域200に車両203以外の静的障害物(立看板、郵便ポスト、電柱、ごみ箱など)が存在しないこと、自領域200において車両203が移動していること、自領域200の路面に路面標示205が存在すること、自領域200に横断歩道206が存在すること、自領域200が段差202に対して下段側にあることである。
図3は、移動体1が車道を移動している場面の一例を示す図である。なお、
図3(および以降の図)では、説明のために上空から見た鳥瞰図で表しているが、各処理は画像平面上で行われてもよい。
【0042】
認識部130は、外部検知デバイス10の出力に基づいて、移動体1の周辺に存在する物体を認識する。物体とは、車両や自転車、歩行者などの移動体、道路区画線、段差、ガードレール、路肩、中央分離帯などの走路境界、道路標識や看板などの路上に設置された構造物、走路上に存在する(落ちている)落下物などの障害物のうち一部または全部を含む。認識部130は、例えば、外部検知デバイス10の外部カメラが撮像した画像が入力されると物体の存在、位置、種別などの情報を出力するように学習された学習済モデルに、外部カメラの撮像した画像を入力することで、他の移動体の存在、位置、種別など情報を取得する。他の移動体の種別は、画像におけるサイズや外部検知デバイス10のレーダー装置が受信する反射波の強度などに基づいて推定することもできる。認識部130は、例えば、レーダー装置がドップラーシフトなどを利用して検出した他の移動体の速度を取得する。
【0043】
認識部130は、車両用信号機や、歩行者用信号機などを含む信号機を認識する。認識部130は、信号機の信号の交通情報を認識する。信号機の交通情報とは、所定の方向に進行(移動)することを許容することを示す情報や、停止指示を示す情報などである。信号機認識部150は、信号機のランプの色や矢印の方向を認識して交通情報を認識する。
【0044】
音認識部140は、マイク20が収音した音を取得し、取得した音を認識する。音認識部140は、例えば、収音した音が、記憶装置70に記憶された所定の音と同じまたは類似するか否かを認識する。所定の音とは、例えば、歩行者用信号機が出力する音である。歩行者用信号機が出力する音とは、例えば、歩行者用信号機が進めを示す場合に出力される音である。この音は、例えば、視覚障碍者が歩行者用信号機の交通情報を認識することができるように出力される音である。音認識部140は、音像定位技術を用いて音が出力されている方向や位置を認識してもよい。
【0045】
信号機認識部150は、後述する補助情報を用いて歩行者用信号機の交通情報を認識する。信号機認識部150は、認識部130が歩行者用信号機の交通情報が認識できない場合または歩行者用信号機の交通情報の認識結果の確信度が閾値未満の場合、補助情報を用いて歩行者用信号機の交通情報を認識(または推定)する。確信度が閾値未満とは、例えば、歩行者用信号機の交通情報を認識できない状態や十分に認識できない状態である。例えば、外部検知デバイス10のカメラが鮮明に歩行者用信号機を撮像できない場合や、画像から信号機の交通情報が得られない場合(または画像処理の精度が低い場合)、信号機認識部150は、画像から歩行者用信号機の交通情報を認識できない。この場合、確信度が閾値未満と判定される。
【0046】
制御部160は、例えば、設定されている運転モードに応じて駆動装置40を制御する。移動体1は、下記の運転モードのうち一部のみ実行するものであってよいが、制御部160は、いずれの場合も、移動体1が車道を移動する場合と歩道を移動する場合とで速度制限値を異ならせる。その場合、モード切替スイッチ22は省略されてよい。
【0047】
モードA-1において制御部160は、認識部130の出力に基づく走路と物体の情報を参照し、移動体1が車道を移動する場合、移動体1の前方に存在する物体との距離を一定以上に維持し、移動体1の前方に存在する物体との距離が十分に長い場合は第1速度V1(例えば、十[km/h]以上、数十[km/h]未満の速度)で移動体1が移動するように、駆動装置40のモータMTを制御する。
【0048】
制御部160は、移動体1が歩道を移動する場合、移動体1の前方に存在する物体との距離を一定以上に維持し、移動体1の前方に存在する物体との距離が十分に長い場合は第2速度V2(例えば、十[km/h]未満の速度)で移動体1が移動するように、駆動装置40のモータMTを制御する。係る機能は、第1速度V1または第2速度V2を設定速度とした車両のACC(Adaptive Cruise Control)機能と同様のものであり、ACCにおいて用いられている技術を利用することができる。モードA-1において制御部160は、ステアリングホイール等の操作子14の操作量に基づいて操舵輪の操舵角を変更するように操舵装置SDを制御する。係る機能は、パワーステアリング装置の機能と同様のものであり、パワーステアリング装置において用いられている技術を利用することができる。なお操舵に関して電子制御を行わず、移動体1は、操作子14と操舵機構が機械的に連結された操舵装置を有してもよい。
【0049】
モードA-2において、制御部160は、認識部130の出力に基づく走路と物体の情報を参照し、走路内で物体を回避して移動可能な目標軌道を生成し、移動体1が目標軌道に沿って移動するように駆動装置40の操舵装置SDを制御する。加減速に関しては、制御部160は、移動体1の速度とアクセルペダルまたはブレーキペダルの操作量とに基づいて駆動装置40のモータMTを制御する。制御部160は、移動体1が車道を移動している場合は第1速度V1を上限速度として駆動装置40のモータMTを制御し(モードA-2の場合、上限速度に達した場合は更なる加速指示があっても移動体1を加速させないことを意味する)、移動体1が歩道を移動している場合は第2速度V2を上限速度として駆動装置40を制御する。
【0050】
モードBにおいて制御部160は、移動体1の速度とアクセルペダルまたはブレーキペダルの操作量とに基づいて駆動装置40のモータMTを制御する。制御部160は、移動体1が車道を移動している場合は第1速度V1を上限速度として駆動装置40のモータMTを制御し(モードBの場合、上限速度に達した場合は更なる加速指示があっても移動体1を加速させないことを意味する)、移動体1が歩道を移動している場合は第2速度V2を上限速度として駆動装置40のモータMTを制御する。操舵に関してはモードA-1と同様である。以下、車道を走行している場合のモードをモードB1(第2移動モード)と称し、歩道を走行している場合のモードをモードB2(第1移動モード)と称する場合がある。
【0051】
モードCにおいて制御部160は、認識部130の出力に基づく走路と物体の情報を参照し、走路内で物体を回避して移動可能な目標軌道を生成し、移動体1が目標軌道に沿って移動するように駆動装置40を制御する。モードCにおいても、制御部160は、移動体1が車道を移動している場合は第1速度V1を上限速度として駆動装置40を制御し、移動体1が歩道を移動している場合は第2速度V2を上限速度として駆動装置40を制御する。
【0052】
[道路を横断する際の処理]
以下、移動体1がモードCにおいて道路を横断する際の処理について説明する。
図4は、歩行者用信号機の交通情報が認識できない場面の一例を示す図である。例えば、道路を横断するために移動体1が歩道に停止しているものとする。この場合、移動体1の周辺に複数の交通参加者が存在し、移動体1は、歩行者用信号機SPの交通情報を認識できない、または一時的に認識できても確実に認識できないものとする。このような場合、移動体1は、認識された歩行者用信号機SPの交通情報の確信度は閾値未満であると判断する。例えば、移動体1の車高が、人の肩程度またはそれより低い場合、高い位置に取り付けられた車両用信号機SVの交通情報を認識できても、歩行者用信号機SPの交通情報を認識できない場合がある。そこで、移動体1は、以下の処理を行う。例えば、モードCによって歩道を移動する場合に以下の処理が行われる。
【0053】
信号機認識部150は、移動体1の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、移動体1が着目する歩行者用信号機の信号が示す交通情報とは異なる情報であって歩行者用信号機の信号が示す交通情報を認識するための補助情報を用いて、歩行者用信号機の交通情報を認識する。
【0054】
補助情報は、例えば、(1)-(3)のうち一以上の情報を含む。
(1)は、歩行者用信号機の交通情報に応じて出力される視覚障碍者用の報知音である。
(2)は、移動体1が着目する歩行者用信号機が交通参加者の進行を許可する方向とは異なる方向の交通参加者の進行を許可する信号機(他の信号機)の交通情報である。
(3)は、着目する歩行者用信号機または移動体1の周辺の人の動きを示す情報である。
【0055】
(1)は、音認識部140により取得される。(2)および(3)は、認識部130により取得される。信号機認識部150は、上記の情報のうち一以上の補助情報に基づいて、着目する歩行者用信号機の交通情報を認識する。例えば、信号機認識部150は、着目する歩行者用信号機が進行を許可していることを認識したり、停止指示をしていることを認識したりする。
【0056】
制御部160は、移動体1が所定領域に位置している場合に、信号機認識部150が認識した歩行者用信号機の交通情報に基づいて、移動体1の移動を制御する。所定領域とは、例えば、歩道である。移動体1を制御するとは、移動体の移動を開始させることや、停止させておく状態を維持することである。移動を開始させるとは、例えば、歩道内で移動体1を移動させることである。例えば、移動体1を進行させ道路の手前まで移動体1を移動させることである。移動体1を制御するとは、例えば、移動体1の移動を迅速に開始させるための制御を行うことであってもよい。移動体1の移動を迅速に開始させるための制御とは、移動を開始させるための準備状態にすることである。準備状態とは、例えば、モータMTに電力を供給することや、モータMTの出力を上昇させること、ブレーキ装置の制動度合を低下させること、パーキングブレーキを解除することなどである。
【0057】
図5は、補助情報を用いた信号機認識部150の処理について説明するための図である。信号機認識部150は、例えば、上述した(1)―(3)の補助情報が各補助情報に対応する条件を満たすか否かを判定し、判定結果に基づいて歩行者用信号機の交通情報を認識する。以下、具体的に説明する。
【0058】
図6は、視覚障碍者用の報知音または他の信号機を用いた処理について説明するための図である。信号機認識部150は、歩行者用信号機SPの交通情報が認識できず、歩行者用信号機SPが出力する音を認識した場合、歩行者用信号機SPの交通情報が停止を示している状態から進めを示している状態に変化したと認識する。例えば、信号機認識部150は、音認識部140が認識した音が出力されている位置や方向を参照して、歩行者用信号機SPが音を出力しているか否かを判定してもよい。信号機認識部150は、予め記憶装置70に記憶された歩行者用信号機SPが進めを示す状態のときに出力する音が、歩行者用信号機SPから出力されている場合に、当該歩行者用信号機が進めを示していると認識してもよい。
【0059】
信号機認識部150は、車両用信号機SV(移動体1が着目する歩行者用信号機が交通参加者の進行を許可する方向とは異なる方向の交通参加者の進行を許可する信号機)の状態に基づいて、歩行者用信号機SPの交通情報を認識してもよい。認識部130が、例えば、歩行者用信号機SPの交通情報が認識できず、車両用信号機SVの交通情報を認識した場合、信号機認識部150が、車両用信号機SVの交通情報に基づいて、歩行者用信号機SPの交通情報を認識する。例えば、信号機認識部150は、車両用信号機SVが停止を示している場合、歩行者用信号機SPは進めを示している可能性が高いと認識してもよい。
【0060】
図7は、人の動きを用いた処理について説明するための図である。信号機認識部150は、歩行者用信号機SPの交通情報が認識できない場合、移動体1の周辺の交通参加者の動きまたは歩行者用信号機SPが示す情報に基づいて移動すると推定される交通参加者の動きに基づいて、歩行者用信号機SPが停止を示している状態から進めを示している状態に変化したと認識する。移動体1の周辺の交通参加者とは、移動体1から所定距離以内や、移動体1の前方に存在している交通参加者H(例えば人)である。歩行者用信号機SPが示す情報に基づいて移動すると推定される交通参加者とは、例えば、歩行者用信号機SPの周辺に位置する交通参加者である。歩行者用信号機SPの周辺に位置する交通参加者とは、例えば、歩行者用信号機SPが設置された歩道とは道路を挟んで反対側の歩道に位置する交通参加者H(移動体1が位置している歩道に位置する交通参加者)である。例えば、信号機認識部150は、交通参加者Hが歩行者用信号機SPの方向に移動を開始した場合、歩行者用信号機SPが停止を示している状態から進めを示している状態に変化したと認識する。歩行者用信号機SPの周辺に位置する交通参加者は、例えば、上記に代えて(または加えて)、歩行者用信号機SPが設置された歩道に位置する交通参加者(移動体1が存在する歩道とは道路を挟んで反対側の歩道に位置する不図示の交通参加者)であってもよい。
【0061】
信号機認識部150は、上記のように、(条件1)-(条件3)のうち、所定数の条件を満たした場合、歩行者用信号機SPが進めを示している状態と認識する。
(条件1)報知音が出力されたこと
(条件2)他の信号機が停止状態に変化したこと
(条件3)周辺の交通参加者が着目する歩行者用信号機の進行を示す交通情報に応じた移動を開始したこと
【0062】
信号機認識部150は、下記のようにスコアを求め、求めたスコアが閾値以上である場合、歩行者用信号機SPが進めを示していると認識してもよい。例えば、信号機認識部150は、上記の条件が満たされた場合に、満たされた条件に応じたポイントを付与し、付与したポイントに重み付けをする。重みは、条件ごとに設定された重みである。上記のスコアは、上述した確信度に加算されて、求めたスコアを含む確信度が閾値以上である場合、歩行者用信号機が進めを示していると認識されてもよい。
【0063】
上記のように、制御部160は、歩行者用信号機SPが進めを示したと信号機認識部150が認識した場合、歩行者用信号機SPに従って道路を横断する準備を開始したり、横断のための動作を開始したりする。例えば、制御部160は、移動体1を横断歩道に近づかせたり、移動体1を横断歩道の手前まで移動させたりする。例えば、制御部160は、この動作を開始した後、実際に歩行者用信号機SPが進めを示している交通情報を認識部130が確認できた場合に、移動体1に道路を横断させる。移動体1は、第2速度V2を上限速度として歩道および横断歩道を移動する。
【0064】
このように、制御部160が、信号機認識部150の認識結果を用いて移動体1を制御することにより、歩行者用信号機SPの交通情報が認識できない場合であっても、周囲の状況に応じた移動体1の制御を実現することができる。
【0065】
例えば、移動体1の前に交通参加者が存在している場合または歩行者用信号機SPが進めを示していることを認識できない場合、前方の交通参加者が移動を開始しても、移動体1は、その場から動けず、後ろにいる交通参加者の挙動に干渉してしまう場合がある。これに対して、本実施形態では、移動体1が、上記のように信号機認識部150の認識結果に応じて制御を開始するため、迅速に移動を行ったり、安全を確保しつつ歩行者用信号機SPを認識しやすい位置に移動を開始したりする。これにより、移動体1は、周囲の挙動に合わせながら、歩行者用信号機SPの交通情報を認識することが期待でき、周囲の状況に合わせながら道路を横断することができる。
【0066】
[フローチャート]
図8は、制御装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、認識部130が、着目する歩行者用信号機の交通情報を認識できるか否かを判定する(ステップS100)。着目する歩行者用信号機の交通情報を認識できない場合、信号機認識部150は、歩行者用信号機が出力する音、他の信号機の交通情報、または交通参加者の動きを認識する(ステップS102、S104、S106)。
【0067】
次に、信号機認識部150は、ステップS102-S106の認識結果に基づいて、スコアを導出し、スコアが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS108)。スコアが閾値未満である場合、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0068】
スコアが閾値以上である場合、信号機認識部150は、着目する歩行者用信号機が進めを示していると認識する(ステップS110)。次に、制御部160が、信号機認識部150の認識結果に基づいて、移動体1を制御する(ステップS112)。例えば、制御装置100は、移動体1を横断歩道に近づかせながら、歩行者用信号機の交通情報を認識し、歩行者用信号機の交通情報の確信度が閾値以上である場合、移動体1に横断歩道を横断させる。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0069】
上記のように、制御装置100が、補助情報を用いて歩行者用信号機の交通情報を認識し、認識結果に応じて移動体1を制御することにより、周囲の状況に応じた移動体の制御を実現することができる。
【0070】
[交差点における処理]
以下の説明では、移動体1が交差点で横断歩道を渡る例について説明する。
図9は、交差点で横断歩道を渡る場面の一例を示す図である。例えば、交差点において、4つの横断歩道C1-C4が設けられ、それぞれの横断歩道に対して、歩行者用信号機が設けられているものとする。横断歩道C1に対しては、SP1A、SP1Bが設けられ、・・・横断歩道C4に対しては、SP4A、SP4Bが設けられている。交差点において、第1方向の交通を規制する車両用信号機SV1およびSV3と、第1方向に交差する第2方向の交通を規制する車両用信号機SV2およびSV4とが設けられている。例えば、移動体1が、横断歩道C4を渡すために、歩行者用信号機SP4A付近に停止しているものとする。移動体1は、歩行者用信号機SP4A、SP4B(横断歩道C4に対応する歩行者用信号機)の交通情報に従って横断歩道C4を横断するが、他の交通参加者によって歩行者用信号機SP4AおよびSP4Bの交通情報を認識することができない。
【0071】
このような場合、信号機認識部150は、歩行者用信号機SP4AおよびSP4Bが出力する音(或いは歩行者用信号機SP4Aが出力する音とSP4Bが出力する音とのうち一方の音)、車両用信号機SV1-SV4の交通情報、または横断歩道C4を渡ろうとしている交通参加者の状態に基づいて、着目する歩行者用信号機SPBの交通情報を認識する。
【0072】
上記のように、制御装置100は、複数の歩行者用信号機がある交差点においても、補助情報を用いて歩行者用信号機の交通情報を認識し、認識結果に応じて移動体1を制御することにより、周囲の状況に応じた移動体の制御を実現することができる。
【0073】
[信号機の交通情報が変化したタイミングと変化した信号機の認識]
信号機認識部150は、上記の(1)、(2)または(3)のうち一以上の情報に基づいて、移動体1の周辺の歩行者用信号機が停止指示の第1状態から進行を許可する第2状態に切り替わったことを認識し、上記の(1)、(2)または(3)のうち第2状態に切り替わったことを認識した際に利用した情報とは異なる情報に基づいて、着目する歩行者用信号機が第2状態に変化したか、着目する歩行者用信号機とは異なる歩行者用信号機が第2状態に変化したかを認識する。信号機認識部150は、例えば、
図10に示すように、報知音、他の信号の交通情報、または人の動きで歩行者用信号機の交通情報が切り替わったタイミングを認識し、上記のタイミングの判断に用いられた要素とは異なる要素を用いて、切り替わった歩行者用信号を認識する。異なる要素とは、一部の要素が異なっていればよく、要素が重複していてもよい。
【0074】
例えば、前述した
図9において、信号機認識部150が、音を認識した場合、交差点のいずれかの信号機の交通情報が変化したことを認識し、交通参加者の移動が開始された場合、その交通参加者が移動する方向に対応する歩行者用信号機の交通情報が変化したと認識する。
図9において、歩行者用信号機SP4Bの交通情報に従うように交通参加者が移動した場合、信号機認識部150は、歩行者用信号機SP4Bの交通情報が変化したと認識する。歩行者用信号機SP3A、SP3Bの交通情報に従うように他の交通参加者が移動した場合、信号機認識部150は、歩行者用信号機SP4Bの交通情報は変化していないと認識する。例えば、車両用信号SV3が進めを示す状態に変化したり、車両用信号SV4が止まれを示す交通情報に変化したりする場合、信号機認識部150は、歩行者用信号機SP4Bの交通情報が変化したと認識してもよい。
【0075】
例えば、信号機認識部150が、歩行者用信号機の交通情報が変化したことを認識した場合、移動体1は第1の動作を行う。第1の動作とは、移動体1が移動するための準備である。準備とは、移動体1のモードが停止状態のモードから準備状態のモードに遷移することである。例えば、モータMTを稼働させるためのモードや、ブレーキ装置の制動度合を緩めるためのモード、パーキングブレーキを解除する(または解除するための準備)モードである。
【0076】
例えば、信号機認識部150が、着目する歩行者用信号機(渡る横断歩道に対応する歩行者用信号機)の交通情報が変化したことを認識した場合、移動体1は第2の動作を行う。第2の動作とは、例えば、移動体1を移動させる動作や、準備状態のモードから停止状態のモードに遷移させる動作である。例えば、交通情報が変化した信号が歩行者用信号機SP4Bである場合、制御部160は、移動体1に横断歩道C4を渡らせるように移動させる。例えば、制御装置100は、交通参加者の移動に追従しながら横断歩道に移動体1を近づかせる。
【0077】
例えば、交通情報が変化した信号機が歩行者用信号機SP3Aである場合、制御部160は、準備状態のモードから停止状態のモードにモードを変化させたり、横断歩道C3を渡る交通参加者の交通を阻害しない位置に移動体1を移動させたりする。
【0078】
[フローチャート]
図11は、制御装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、認識部130が、着目する歩行者用信号機の交通情報を認識できるか否を判定する(ステップS200)。着目する歩行者用信号機の交通情報を認識できない場合、信号機認識部150が、歩行者用信号機の交通情報の変化のタイミングに関する条件を満たすか否かを判定する(ステップS202)。
【0079】
歩行者用信号機の交通情報の変化のタイミングに関する条件を満たす場合、制御部160は、歩行者用信号機の交通情報が変化したと認識して第1の動作を行う(ステップS204)。次に、信号機認識部150は、歩行者用信号機を特定するための条件を満たすか否かを判定する(ステップS206)。歩行者用信号機を特定するための条件を満たす場合、制御部160は、信号機認識部150の認識結果に基づいて、第2の動作を開始する(ステップS208)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0080】
上述した処理により、制御装置100は、第1の動作によってスムーズに移動体1を移動させるための動作に移行させることができ、第2の動作によって、周囲の状況に応じた移動体の制御を実現することができる。
【0081】
<変形例>
信号機認識部150は、記憶装置70に記憶された信号機情報76に基づいて、信号機の交通情報を認識してもよい。信号機情報76は、交差点における歩行者用信号機に関する情報と、当該歩行者用信号機が出力する音の情報とが対応付けられた情報である。歩行者用信号機に関する情報とは、例えば、歩行者用信号機の位置や、歩行者用信号機が制限する移動方向の情報、音が出力されているときに許容される移動方向等である。歩行者用信号機が出力する音とは、例えば、歩行者用信号機が進めを示しているときに出力する音である。
【0082】
図12は、信号機情報76の一例を示す図である。例えば、交差点1の歩行者用信号機1は音1を出力し、歩行者用信号機2は音2を出力しない。例えば、交差点3の歩行者用信号機SW3は音5を出力し、歩行者用信号機SW4は音6を出力する。信号機認識部150は、信号機情報76を参照して、音認識部140が認識した歩行者用信号機が出力する音に対応する歩行者用信号機と、歩行者用信号機が許容する移動方向とを特定する。
【0083】
図13は、信号機認識部150が信号機情報76を用いて移動体1を制御する場面の一例を示す図である。
図9と同様の説明については省略する。交差点において、歩行者用信号機SW4Bが進めを示したら移動体1が歩行者用信号機SW4に対応する横断歩道C4を渡る予定である。このとき、歩行者用信号機SW3Aが進めを示す状態に変わり、歩行者用信号機SW3Aが音5を出力したものとする。信号機認識部150は、信号機情報76を参照して音認識部140が認識した音5に対応付けられた歩行者用信号機の位置と、当該歩行者用信号機が許容する移動方向とを特定する。信号機認識部150は、横断歩道C3を渡ることが可能な状態に歩行者用信号機SW3Aが変化したことを認識する。信号機認識部150は、移動体1が横断予定の横断歩道C4に対応する歩行者用信号機SW4Bの交通情報は変化していないと認識する。
【0084】
例えば、音5が停止した後、信号機認識部150が、歩行者用信号機SW4Aに対応付けられた音6を認識すると、歩行者用信号機SW4Bが横断歩道C4を横断できる状態に変化したと認識する。なお、認識することに代えて、歩行者用信号機SW4Bが横断歩道C4を横断できる状態に変化したと認識する確信度を高めてもよいし、上述したスコアを上昇させてもよい。
【0085】
上記のように、信号機認識部150は、信号機情報76を用いることにより、より精度よく歩行者用信号機の交通情報を認識することができる。
【0086】
上記の例では、モードCの場合に、上記の歩行者用信号機の交通情報の認識結果に応じて移動体1を制御するものとして説明したが、これに代えて(または加えて)、上記の歩行者用信号機の交通情報の認識結果に応じて移動体1を制御する処理は、他のモードにおいても適用されてもよい。例えば、歩行者用信号機の交通情報が変化したことを乗員に通知してもよいし、操作または加減速を歩行者用信号機の交通情報に応じて制御してもよい。
【0087】
制御装置100は、補助情報に加えて(または代えて)、経験情報または提供情報に基づいて信号機の交通情報を認識してもよい。経験情報とは、移動体1または他の移動体1が、信号機が設置された領域を通行した際に得た信号機に関する情報に基づいて生成された情報である。提供情報は、所定の機関やサーバ装置によって提供された信号機に関する情報である。信号機に関する情報とは、例えば、複数の信号機のうち、信号機が進めや停止を示すタイミングや、信号機が出力する音の情報等である。例えば、経験情報または提供情報には、第1の信号機が停止になった後、所定時間後に、第2の信号機が進めを示すなどの信号機の交通情報が切り替わるスケジュールなどを含む情報が含まれる。
【0088】
上記のように、制御装置100は、補助情報を用いて、移動体1を制御することにより、周囲の状況に応じた移動体の制御を実現することができる。
【0089】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
車道と、車道と異なる所定領域との双方を移動可能な移動体を制御し、
前記移動体の外部状況を検知する検知デバイスの出力に基づいて、前記移動体が車道を移動しているか、前記所定領域を移動しているかを認識し、
前記移動体が着目する歩行者用信号機が表示する前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可および停止指示を示す交通情報とは異なる情報であって前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示を認識するための補助情報を取得し、
前記取得した補助情報を用いて、前記歩行者用信号機の信号が示す進行許可または停止指示である交通情報を認識し、
前記移動体が前記所定領域に位置している場合に、前記認識した前記歩行者用信号機の前記交通情報に基づいて、前記移動体を制御する、
移動体の制御装置。
【0090】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 外部検知デバイス
12 移動体センサ
14 操作子
16 内部カメラ
18 測位装置
20 マイク
22 モード切替スイッチ
30 移動機構
40 駆動装置
50 外部報知装置
70 記憶装置
100 制御装置
120 道路タイプ認識部
130 認識部
140 音認識部
150 信号機認識部
160 制御部