(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-11
(45)【発行日】2025-07-22
(54)【発明の名称】平台型抜き機を作動させる方法
(51)【国際特許分類】
B65H 26/02 20060101AFI20250714BHJP
B41F 19/08 20060101ALI20250714BHJP
B41F 33/06 20060101ALI20250714BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20250714BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20250714BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20250714BHJP
B26D 9/00 20060101ALI20250714BHJP
B26D 7/32 20060101ALI20250714BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20250714BHJP
B26D 5/30 20060101ALI20250714BHJP
【FI】
B65H26/02
B41F19/08 C
B41F33/06 Z
B65H35/04
B65H29/62 Z
B26F1/40 Z
B26D9/00
B26D7/32 B
B26D7/06 C
B26D5/30 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020209255
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-09-14
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー シュヴァープ
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-221637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0183616(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 26/02
B65H 35/04
B65H 29/62
B41F 19/08
B41F 33/06
B26F 1/40
B26D 9/00
B26D 7/32
B26D 7/06
B26D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平台型抜き機を作動させる方法であって、前記平台型抜き機(1)の型抜きモジュール(7)に、ウェブ(2)としての被印刷物(2)を供給し、前記ウェブからウェブ区分(2b)を分離し、刷り損じ(2c)として除去する方法において、
前記ウェブ(2)に前記型抜きモジュール(7)を通過させて、前記ウェブ区分(2b)を、前記型抜きモジュール内で、または前記型抜きモジュール下流で、前記ウェブから分離し、刷り損じ(2c)として除去し、前記刷り損じ(2c)として除去される前記ウェブ区分(2b)は、前記ウェブを横方向に分離することで生じ、刷り損じウェブまたは刷り損じシートとして除去され
、
前記刷り損じシートを、排出するまたはシュレッダにかけることにより除去する、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ウェブ区分(2b)を、型抜き工具の1つの型抜きナイフ(10)または前記型抜きモジュール(7)の1つの型抜きナイフによって裁断する、または前記ウェブ区分を型抜き工具の1つの型抜きナイフまたは前記型抜きモジュールの1つの型抜きナイフによって部分的にのみ裁断し、次いで裂断する、または前記ウェブ区分(2b)を、前記型抜きモジュール(7)の2つの型抜きナイフ(10)によって裁断する、または前記ウェブ区分を前記型抜きモジュールの2つの型抜きナイフ(10)によって部分的にのみ裁断し、次いで裂断する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ウェブ区分(2b)を、前記型抜きモジュールの1つの型抜きナイフとは異なる、回転するまたは上下運動する横方向裁断機(17)によって裁断する、または前記ウェブ区分を、前記型抜きモジュールの1つの型抜きナイフとは異なる、回転するまたは上下運動する横方向裁断機によって部分的にのみ裁断し、次いで裂断する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
分離された前記ウェブ区分(2b)を、ローラ対(11,12)によって、前記型抜きモジュール(7)から外部へと移動させる、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記横方向裁断機(17)は、前記ローラ対(11,12)の上流側または下流側に配置されている、請求項3を引用する請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記シート(2c)を、方向切替器(15)によって搬送経路(4c)から排出する、請求項
1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記型抜きモジュール(7)を、前記ウェブ区分(2b)の除去中にまたは除去後に、前記ウェブ(2)上の印刷表示の印刷画像(18)に対して正確に見当合わせして、かつ正確な速度で動作させるかつ/または作動させる、請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記平台型抜き機(1)への前記ウェブ(2)の供給、および前記ウェブによる前記型抜きモジュール(7)の通過を、生産の開始時にスタートさせ、次いで前記ウェブ区分の除去中および正確に見当合わせされ正確な速度で行われる型抜き中、停止させずに継続させ、前記生産の終了時に初めて停止させる、請求項
7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を有する方法に関する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、グラフィック産業の技術分野に属し、そこで特に、印刷に続いてインラインでまたはオフラインで行われる、シート状のまたはウェブ状の被印刷物、例えば紙、ボール紙、厚紙、またはフィルムの、型抜き機による、特に平台型抜き機による、さらなる加工の分野に属する。
【0003】
背景技術
被印刷物であるウェブに印刷機で印刷し、インラインでまたはオフラインで平台型抜き機においてさらに加工することが公知である。この場合、注文変更の際に印刷機が停止されて、次いで再び始動されて、停止中にいわゆるウェブのカールが生じるという、すなわち例えば波打ったウェブ縁部のように、ウェブの望ましくない波打ちまたはその他の変形または損傷が生じるという問題が生じる恐れがある。カールは、例えば空気湿度および/または周囲温度の変化により生じる恐れがある。カールは、被印刷物の加工の際に問題となる恐れがある。再始動の際はさらに、レジスタずれが生じる恐れがあり、すなわち印刷画像と型抜き像との間の見当合わせが損なわれる恐れがある。
【0004】
さらに、ウェブの使用不能な(例えば「カールした」)区分が、刷り損じとして、さらなる加工の前に、すなわち型抜き前にもしくは平台型抜き機上流で、除去される、例えば巻取られることが公知である。この場合、ウェブ始端部を型抜き機に導入し、レジスタを調節するために、始動後に再度ウェブ搬送を停止させなければならないという問題が生じる。その後初めて生産を開始することができる。したがって全体として、多大な生産停止時間が生じ、多大な刷り損じ量が生じる。
【0005】
独国特許出願公開第102012019992号明細書に開示された平台型抜き機では、(印刷されたウェブ区分の上流に位置する)使用不能な印刷されていないウェブ区分が、平台型抜き機のまだ上流で巻き取られ、裁断により除去される。このために、ウェブは裁断前に繰り出され、逆方向に送られ、次いで裁断後にウェブ張力を維持しながら再び前方に送られる。新たに生じたウェブ始端部を、平台型抜き機に導入しなければならない。さらに、レジスタを調節しなければならない。
【0006】
課題
そこで本発明の課題は、特にウェブの型抜きによる製品の製造を可能にし、この際に刷り損じと停止時間とを減じることができる、従来技術に対する改善をもたらすことである。特に、生産の開始時(「新規の注文」)、平台型抜き機を迅速に立ち上げることができるようにするのが望ましく、特に、平台型抜き機を、いわゆるカールのために、立ち上げの際に再び停止させなければならないことが回避されるのが望ましい。
【0007】
本発明による解決手段
この課題は本発明によれば、請求項1に記載の方法により解決される。
【0008】
本発明の好適なしたがって有利な別の態様は、従属請求項ならびに詳細な説明および図面に記載されている。
【0009】
平台型抜き機を作動させる本発明による方法であって、平台型抜き機の型抜きモジュールに、被印刷物をウェブとして供給し、このウェブからウェブ区分を分離し、刷り損じとして除去する方法は、ウェブに型抜きモジュールを通過させて、ウェブ区分を、型抜きモジュール内で、または型抜きモジュール下流で、ウェブから分離し、刷り損じとして除去することを特徴とする。
【0010】
本発明により好適には、ウェブの型抜きにより製品を製造することができ、この場合、刷り損じと停止時間とを減じることができる。
【0011】
本発明により好適には、平台型抜き機を、生産開始時に(「新規の注文」)、迅速に立ち上げることもできる。
【0012】
本発明により好適には、例えば色合わせもしくはいわゆるプルーフィングの際に、平台型抜き機がいわゆるカールのために、始動時に再び停止される必要も回避される。
【0013】
さらに好適には、平台型抜き機のいわゆる位相調整を、自動的かつ見当合わせ込みで作動させることができる:(生産変更後再び流れる)ウェブを分離することができ、ウェブの使用不能な区分を刷り損じとして(例えばウェブ区分としてまたはシートとして)流れているウェブから除去し、流れているウェブを正しい見当合わせで加工する、好適には型抜きすることができる。このような好適な方式で、機械の停止時間を減じ、刷り損じ量を著しく減じることができる。
【0014】
発明の別の態様
本発明の好適な別の態様は、ウェブ区分を、型抜き工具の1つの型抜きナイフまたは型抜きモジュールの1つの型抜きナイフによって裁断する、またはウェブ区分を型抜き工具の1つの型抜きナイフまたは型抜きモジュールの1つの型抜きナイフによって部分的にのみ裁断し、次いで裂断する、またはウェブ区分を、型抜きモジュールの2つの型抜きナイフによって裁断する、またはウェブ区分を型抜きモジュールの2つの型抜きナイフによって部分的にのみ裁断し、次いで裂断することを特徴としていてもよい。型抜きナイフは、ウェブ分離ナイフまたはウェブ穿孔ナイフとして形成されていてもよい。型抜きナイフは、ウェブ流れ方向に対して横方向に、加工すべき判サイズに応じて、ウェブ流れ方向で相応の別の位置に配置されていてもよい。2つの型抜きナイフの場合、一方はシートの始端部に(シートの有効部分の手前に、例えば前方の有効部分に対して1~2mmの間隔を置いて)、もう一方はシートの終端部に(シートの有効部分の後方に)配置されていてもよい。型抜きナイフは、1つの縁部ナイフ(またはウェブの各側にそれぞれ1つずつの2つの縁部ナイフ)として形成されていてもよく、縁部ナイフはウェブ全体を分離するのではなく、外側の有効部分の側方の縁部領域のみを分離する。
【0015】
本発明の好適な別の態様は、ウェブ区分を、型抜きモジュールの1つの型抜きナイフとは異なる、回転するまたは上下運動する横方向裁断機によって裁断する、またはウェブ区分を、型抜きモジュールの1つの型抜きナイフとは異なる、回転するまたは上下運動する横方向裁断機によって部分的にのみ裁断し、次いで裂断することを特徴としていてもよい。横方向裁断機によって、特にウェブの縁部を分離することができる。
【0016】
本発明の好適な別の態様は、分離されたウェブ区分を、ローラ対によって、型抜きモジュールから外部へと移動させる、好適には引っ張ることを特徴としていてもよい。好適には、対のローラのうちの少なくとも一方は、特に間欠的にかつ/または型抜きサイクルと同期的に駆動されている。
【0017】
本発明の好適な別の態様は、横方向裁断機が、ローラ対の上流側または下流側に配置されていることを特徴としていてもよい。
【0018】
本発明の好適な別の態様は、刷り損じをウェブとして除去し、巻取りローラに巻き取ることを特徴としていてもよい。
【0019】
本発明の好適な別の態様は、特にガイド板を使用して、刷り損じをシートとして除去し、排出するまたはシュレッダにかけることを特徴としていてもよい。
【0020】
本発明の好適な別の態様は、シートを、方向切替器によって搬送経路から排出することを特徴としていてもよい。
【0021】
本発明の好適な別の態様は、型抜きモジュールの位相調整を行わせることを、すなわち型抜きモジュールを、ウェブ区分の除去中にまたは除去後に、ウェブ上の印刷表示の印刷画像に対して正確に見当合わせして、かつ正確な速度で動作させるかつ/または作動させることを特徴としていてもよい。
【0022】
本発明の好適な別の態様は、平台型抜き機へのウェブの供給、およびウェブによる型抜きモジュールの通過を、生産の開始時にスタートさせ、次いでウェブ区分の除去中および正確に見当合わせされた型抜き中、停止させずに継続させ、生産の終了時に初めて停止させることを特徴としていてもよい。
【0023】
以下(1~15の点)で、巻取りローラを使用しながら平台型抜き機を作動させる本発明による方法の好適な具体的な第1の別の態様を詳しく説明する。
【0024】
1.型抜き機は、まだ行われていない場合は、待機位置へと移動することができる。待機位置では、型抜きモジュールの上方の型抜き盤と下方の型抜き盤との間のギャップが最大であってもよい。
【0025】
2.所望の型抜きフォーマット、および場合によっては印刷有効部分に対する型抜き有効部分の比を、例えばオペレータによる入力により、またはデジタルメモリ、例えばクラウドベースのメモリからの読み出しにより設定することができる。代替的に、印刷有効部分に対する型抜き有効部分の比は、レジスタセンサまたはレジスタカメラまたはコードリーダによって自動的に検出することができる。代替的には、バーコードもしくは平面コード、例えばQRコードまたはデータマトリックスを、ウェブ上に設けることができ、ここから値を読み出すことができる。さらに代替的には、平台型抜き機に対して空間的にかつ/または生産的に上流に配置された印刷機の値を自動的に提供することができる。
【0026】
3.まだ行われていない場合には、材料ウェブは、型抜きモジュールの導入領域へと、例えば型抜きモジュールの上流のローラ装置内へと導入されてもよく、この場合、紙引きローラと送りローラ(または複数のこのようなローラ)と、そして場合によっては対応ローラと接触させられてもよい。
【0027】
4.(上記3とは代替的に)材料ウェブが既に導入領域に存在していて、カールが生じているウェブ区分(のみ)が除去されるべきである場合もある。
【0028】
5.材料ウェブは、型抜きモジュールを通過させて、巻取りローラに固定することができる。
【0029】
6.ウェブの導入もしくは引き込みを作動させることができる(「引き込み」モードの開始)。この場合、(被印刷物上の)型抜きレジスタマークと型抜きモジュールの分離ナイフとの間の間隔もしくは距離の値を、例えばオペレータによる入力により、またはデジタルメモリ、例えばクラウドベースのメモリからの読み出しにより設定することができる。代替的に、この間隔は、レジスタセンサまたはレジスタカメラまたはコードリーダによって自動的に検出することができる。代替的には、バーコードもしくは平面コード、例えばQRコードまたはデータマトリックスを、ウェブ上に設けることができ、ここから値を読み出すことができる。さらに代替的には、平台型抜き機に対して空間的にかつ/または生産的に上流に配置された印刷機の値を自動的に提供することができる。
【0030】
7.「引き込み」モードの開始により、巻取りローラを始動させもしくは回転させ、ウェブの引っ張り/ウェブの張力を形成することができる。(ウェブ)ストックローラを、最適な位置にもたらすことができ、そこで停止させる、もしくはこの位置を保持させることができる。送りローラは、断続的な作動から継続的な作動へと移行することができる。型抜き作動時にウェブを型抜き領域から搬送するキッカーローラは、最適な位置(「開放」)へと動くことができ、そこで留まることができる。巻取りローラが、ウェブ搬送装置の下方に配置されている場合には、両キッカーローラのうちの下方のローラが継続的にウェブ速度で回転することができ、両キッカーローラのうちの上方のローラが「開放」位置に位置していてもよい。
【0031】
8.型抜き機(および場合によっては上流側に配置された印刷機または場合によっては好適には引っ張りステーションと工具とを備えたオフラインの繰出し機)を、スタートさせることができ、ウェブを継続的に移動させることができる。この場合、紙引きローラはウェブを型抜き機内に搬送し、巻取りローラは、ウェブに型抜き機を通過させてウェブを再び外部へと搬送することができる。可動の変向ローラ/ガイドローラは、好適には約20mmウェブ流内に動くことができる。
【0032】
9.レジスタマークの位置は、観察または監視することができる。レジスタマークはウェブに予め印刷されていてもよい、または印刷機で印刷されてもよい。好適なまたは最適な位相調整時点を計算または設定することができる。この位相調整時点とは、平台型抜き機の型抜きモジュールが作動され、正しい見当合わせかつ正しい速度で型抜きが開始される時点である。型抜きレジスタが印刷レジスタに合わせられているならば、正しい見当合わせで型抜きが行われる。
【0033】
10.見当合わせ込みでの型抜き作動への位相調整は、オペレータによって手動で発動させることができる。代替的に、好適には予め定義されたかつ/または設定されたかつ/または計算された距離、例えば繰出し機(またはその他の型抜き機へのウェブ供給部)から型抜き機までの材料ウェブの距離に依存して発動されてもよい。さらに代替的には、継続的に作動している、カール検出のためのセンサ装置を介して発動されてもよく、この場合、好適には、カールが、好適には規定された閾値を下回ったときに、発動が行われる。
【0034】
11.位相調整のスタート時点で、ウェブを、好適には計算されたまたは設定された、適切なレジスタ位置まで動かすことができる。このために作動された送りローラは、次いで停止させることができる。適切なレジスタ位置までの距離を既に超過している場合には、型抜きすべきシートもしくはウェブ区分の長さの相当する部分を、型抜きモジュール内へと動かすことができ、適切なレジスタ位置まで動かすことができる。次いで送りローラを停止させて、平台型抜き機の型抜き盤を、ウェブの方向に、好適には上に向かって動かすことができる。巻取りローラでのウェブにおける引っ張りおよび/またはウェブ張力は、この場合、好適には維持される。次いで、型抜き盤の型抜きダイによる型抜き対象物の裁断を開始することができる。裁断の時点で、比較的高いウェブ張力を発生させることができる巻取りローラによるウェブの引っ張りにより、ウェブを、裁断個所で裂断させることができる。格子裂断を回避するために、第1の型抜き対象物の裁断点にウェブの側で、オプションとして、ナイフを型抜きダイ内へ置くことができる。これにより、所望の位置で制御された裁断を保証することができる。代替的には、付加的な分離ナイフによって、所望の個所で、例えば最大の押込み位置の約2mm後方で、ウェブを裁断することができる。
【0035】
12.同時に、ウェブを継続的に紙引きローラによって搬送することができる。可動のストックローラは、搬送されるウェブを、すなわち好適には所定の長さのウェブ区分を貯えておくことができる。ストックローラの移動は、カムディスクによって行われてもよい。
【0036】
13.型抜き盤が再びウェブから、好適には下に向かって離されると、巻取りローラはウェブの僅かな引っ張りで作動することができ、送りローラは再びウェブを型抜き機へと搬送することができる。型抜きされたシートは、1つ以上のキッカーローラによって型抜きモジュールから外へと送ることができる。このために、下方のキッカーローラは、再び「キック」(シート搬送)モードへと変更させられてもよい。同時に、可動の変向ローラ/ガイドローラは再び、好適には約20mmウェブから離れることができる。
【0037】
14.巻取りローラは、好適には設定された短い時間後に自動的にオフになることができる。
【0038】
15.今や、平台型抜き機は、通常運転で作動し、型抜き対象物を製作することができる。「引き込み」モードは終了する。
【0039】
以下(1~15の点)で、刷り損じ排出部を使用しながら平台型抜き機を作動させる本発明による方法の好適な具体的な第2の別の態様を詳しく説明する。この場合、いくつかの点は、上記具体的な第1の別の態様に対して変更なしのままである。
【0040】
1.変更なし。
2.変更なし。
3.変更なし。
4.変更なし。
【0041】
5.ウェブの導入もしくは引き込みを作動させることができる(「引き込み」モードの開始)。この場合、刷り損じ方向切替器を作動させることができ、すなわち、刷り損じ方向切替器が、刷り損じを刷り損じ排出部へとガイドするモードおよび/または位置へと、刷り損じ方向切替器をもたらすことができる。材料ウェブは、型抜きモジュールを通って移動することができ、ある程度、例えば約0.5メートル、刷り損じ方向切替器内へと、例えば押込みまたは引き込みにより動かすことができる。ウェブは、刷り損じ排出部においてローラに、例えば引っ張りローラと対応ローラとに接触してもよい。
【0042】
6.変更なし。
【0043】
7.「引き込み」モードの開始により、刷り損じ排出部の横方向裁断機を動作させ、ウェブの送りと同期させて作動させることができる。(ウェブ)ストックローラを、最適な位置にもたらすことができ、そこで停止させる、もしくはこの位置を保持させることができる。送りローラは、断続的な作動から継続的な作動へと移行することができる。キッカーローラは、最適な位置(「開放」)へと動くことができ、そこで場合によっては留まることができる。
【0044】
8.型抜き機(および場合によっては上流側に配置された印刷機)を、スタートさせることができ、ウェブを継続的に移動させることができる。この場合、紙引きローラおよび場合によっては送りローラは、ウェブを型抜き機内に、刷り損じ方向切替器まで搬送することができる。好適には、方向切替器の直後で、横方向裁断機がウェブを分離することができ、分離された区分を、好適にはガイド板を介して排出することができる。選択的には、シートをシュレッダ内へと移動させることができる。
【0045】
9.変更なし。
10.変更なし。
【0046】
11.位相調整のスタート時点で、ウェブを、好適には計算されたまたは設定された、適切なレジスタ位置まで動かすことができる。このために作動された送りローラは、次いで停止させることができる。適切なレジスタ位置までの距離を既に超過している場合には、型抜きすべきシートもしくはウェブ区分の長さの相当する部分を、型抜きモジュール内へと動かすことができ、適切なレジスタ位置まで動かすことができる。次いで送りローラを停止させて、平台型抜き機の型抜き盤を、ウェブの方向に、好適には上に向かって動かすことができる。
【0047】
12.型抜き盤の型抜きダイが、製作すべき型抜き対象物を裁断する。1つ以上のキッカーローラは、残りのウェブを型抜き機から外へ搬送することができる。裁断されたウェブが方向切替器を通過すると、刷り損じ方向切替器は停止される、すなわち生産のためのモードまたは位置へと戻される。同時に、ウェブを継続的に紙引きローラによって搬送することができる。可動のストックローラは、搬送されてきたウェブを、すなわち好適には所定の長さのウェブ区分を貯えておくことができる。ストックローラの移動は、カムディスクによって行われてもよい。
【0048】
13.型抜き盤が再びウェブから、好適には下に向かって離されると、送りローラは再びウェブを型抜き機へと搬送することができ、シートを型抜きモジュールから外へ搬送するもしくは摺動させることができる。型抜きされたシートは、1つ以上のキッカーローラによって型抜きモジュールから外へと送ることができる。
【0049】
14.型抜きされたシートは、シート搬送機上に、例えば1つ以上のベルト上に置かれてもよい。刷り損じ方向切替器は、この場合、引き続き、生産のためのモードまたは位置に位置している。
【0050】
15.今や、平台型抜き機は、通常運転で作動し、型抜き対象物を製作することができる。横方向裁断機の動き、ならびに場合によっては刷り損じ排出部またはシュレッダへの材料搬送は終了する。第1のシートは、シート搬送機を介して、後続の破断ユニットへと動かすことができる。「引き込み」モードは終了する。
【0051】
以下(1~15の点)で、刷り損じ排出部を使用して平台型抜き機を作動させる本発明による方法の好適な具体的な第3の別の態様を詳しく説明する。この場合、いくつかの点は、上記具体的な第2の別の態様に対して変更なしのままである。
【0052】
1.変更なし。
2.変更なし。
3.変更なし。
4.変更なし。
5.変更なし。
6.変更なし。
【0053】
7.「引き込み」モードの開始により、刷り損じ排出部の横方向裁断機を動作させ、ウェブの送りと同期させて作動させることができる。(ウェブ)ストックローラを、最適な位置にもたらすことができ、そこで停止させる、もしくはこの位置を保持させることができる。送りローラは、断続的な作動から継続的な作動へと移行することができる。キッカーローラを、分離されたシートを刷り損じ方向切替器へと搬送するように、動かすことができる、特に回転させることができる。
【0054】
8.型抜き機(および場合によっては上流側に配置された印刷機)を、スタートさせることができ、ウェブを継続的に移動させることができる。この場合、紙引きローラおよび場合によっては送りローラは、ウェブを継続的に型抜き機内に搬送することができる。横方向裁断機は、ウェブを分離することができ、キッカーローラは分離された区分を刷り損じ方向切替器へと搬送することができる。ここから、シートを、好適にはガイド板を介して搬送し、排出することができる。選択的には、シートをシュレッダ内へと移動させることができる。
【0055】
9.変更なし。
10.変更なし。
11.変更なし。
【0056】
12.型抜き盤の型抜きダイが、製作すべき型抜き対象物を裁断する。1つ以上のキッカーローラは、最後のシートを型抜き機から外へ搬送することができる。最後のシートが方向切替器を通過すると、刷り損じ方向切替器は停止される、すなわち生産のためのモードまたは位置へと戻される。横方向裁断機をオフにすることができる。同時に、ウェブを継続的に紙引きローラによって搬送することができる。可動のストックローラは、搬送されてきたウェブを、すなわち好適には所定の長さのウェブ区分を貯えておくことができる。ストックローラの移動は、カムディスクによって行われてもよい。
【0057】
13.変更なし。
14.変更なし。
【0058】
15.今や、平台型抜き機は、通常運転で作動し、型抜き対象物を製作することができる。刷り損じ排出部またはシュレッダへの材料搬送は終了する。第1のシートは、シート搬送機を介して、後続の破断ユニットへと動かすことができる。「引き込み」モードは終了する。
【0059】
上述した別の態様の詳細の全てを実現する必要はない;それぞれの別の態様の個々の詳細または任意に選択した詳細のみを実現してもよい。各方法の実施のためには、付加的に、制御するための装置、特に例えば、後述する個々のまたは全てのデータを記憶し処理するために、例えばデジタル計算機が設けられていてもよい。
【0060】
本発明の特徴、本発明の別の態様、および本発明の実施例は、互いに任意に組み合わせても、本発明の好適な別の態様を成す。本発明の別の態様はさらに、上記の「発明の技術分野」の部分に開示した、個別の特徴または特徴の組み合わせを有することができる。
【0061】
発明の実施例
本発明およびその好適な別の態様を以下に、図面を参照しながら好適な実施例につき詳しく説明する。互いに相応する特徴には、図面において同じ符号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】第1の好適な実施形態の実施を示す図である。
【
図2】第2の好適な実施形態の実施を示す図である。
【
図3】第3の好適な実施形態の実施を示す図である。
【0063】
図面にはそれぞれ、本発明による方法の様々な好適な実施形態の実施の際の機械1が示されている。以下ではとりわけ、型抜きの過程を説明する;これに対して代替的に、エンボス加工を、または型抜きとエンボス加工を同時に行うこともできる。
【0064】
図面にはそれぞれ1つの機械1が、特に平台型抜き機1が、または特に平台型抜き機1を含む機械が、示されている。型抜き機には、ウェブ2としての被印刷物2が、特に紙、ボール紙、厚紙、またはフィルムから成る被印刷物が、好適には厚紙ウェブとして供給される。ウェブは、(図示されていない)ストックロールから繰り出すことができる。ストックロールは、(図示されていない)ロール繰り出し機に収容されていてもよい。
【0065】
ウェブは好適には少なくとも片側で印刷されている、または少なくとも1つの印刷レジスタマークを有している。印刷は同じ機械で行うことができ、すなわちこの機械は、型抜き機の手前に配置された少なくとも1つの印刷機構を含んでいてもよい。この機械は、組み込まれた、またはインラインに接続された平台型抜き機を備えた印刷機であってもよい。印刷機構は、オフセット印刷機構、凹版印刷機構、凸版印刷機構もしくはフレキソ印刷機構、またはデジタル印刷機構、特にインクジェット印刷機構であってもよい。同じまたは異なる複数の印刷機構が前置されていてもよい。印刷は、代替的には、別の機械、例えば別個の印刷機によって行われてもよい。
【0066】
ウェブ供給は、好適には複数のローラ3を介して、好適には曲がりくねった1つの搬送経路4に沿って行われる。少なくともローラ3aおよび/または20は紙引きローラであってもよく、すなわちモータ駆動されていてもよい。少なくともローラ3bは、対応ローラもしくは当接ローラと協働することができる。対応ローラもしくは当接ローラは、セグメント化されていてもよい。少なくともローラ3cは、ストックローラであってもよく、すなわち可動に配置されていてもよく、モータ駆動されていてもよい。少なくともローラ3aおよび/または20は鋼ローラであってもよい。
【0067】
搬送経路は、いわゆるカールセンサ5および/またはレジスタセンサ6を含んでいてもよい。カールセンサは、いわゆるカール、すなわち、例えば波打ったウェブ縁部のように、ウェブの望ましくない波打ちまたはその他の変形または損傷を検出するために機能する。カールは、例えば空気湿度および/または周囲温度の変化により生じる可能性がある。カールは、被印刷物の加工の際に問題となる恐れがある。レジスタセンサは、ウェブ上に存在している印刷表示の印刷レジスタを検出するために機能する。レジスタセンサは、バーコードまたは平面コードの検出のために機能することができる。搬送経路は、いわゆるデカーラ21を含んでいてもよい。
【0068】
図面にはそれぞれ、平台型抜き機1の型抜きモジュール7が示されている。このモジュールは、例えば型抜き工具もしくは型抜きダイもしくは型抜き版を備えた上方の型抜き盤8と、例えば対応工具もしくは溝付き版を備えた下方の型抜き盤9とを含んでいてもよい。これらの両盤のうちの少なくとも一方は、型抜きのために可動に配置されていてもよく、例えば下方の盤が昇降運動を実施することができる。両盤のうちの少なくとも一方は、好適には複数の(図示しない)型抜きナイフを有していてもよい。両盤のうちの少なくとも一方は、好適には分離ナイフ10を有していてもよい。分離ナイフは好適には、型抜きされたシート2aをウェブ2から分離するために用いられる。分離ナイフは、ウェブ2を全幅で分離することができる。代替的に分離ナイフは、ウェブを部分的にのみ、例えばウェブ縁部領域でのみ分離することもできる。
【0069】
図面には、それぞれ1つの上方のいわゆるキッカーローラ11と下方のキッカーローラ12とが示されている。キッカーローラは、分離されたシート2aを、好適にはシートの下流側の3分の1の個所で把持し、型抜きモジュール7から排出するように働く。キッカーローラのうちの少なくとも1つは、好適には1つのリップを、例えばゴムリップを含んでいる。このリップは、ウェブから分離されたシートを把持することができる。
【0070】
図1には、好適には1つ以上の変向ローラ3dと、好適にはモータ駆動される1つの巻取りローラ13とを有する複数の実施形態が示されている。ウェブ2は、搬送経路4bに沿って、変向ローラを介して巻取りローラへと送られる。巻取りローラは、ウェブ2の不要区分2bを巻取るように働く。
【0071】
図1(および
図2および
図3)に示した区分2bは、例えば、いわゆるカールを含んでいる場合がある、またはその他の形式で使用不能に変形されている、損傷されている、かつ/または印刷されている場合がある。この区分は、好適には、横方向の裁断により、または裂断を含む部分的な横方向裁断により、ウェブから分離される。分離された区分は、刷り損じとなる。
【0072】
図1に示した第1の実施形態では、機械1は、型抜きモジュール7の上流に配置されている1つの巻取りローラ13を含んでいる。ウェブ2はこの場合、好適には複数の変向ローラ3dを介して巻取りローラへと送られる。
図1に示した第2の実施形態および第3の実施形態(破線もしくは点線で示されている)では、各巻取りローラは、型抜きモジュール7の下流に配置されている。ウェブ2はこの場合、好適には1つの変向ローラ3dを介して巻取りローラへと送られる。ローラ3dは好適には可動である。「上流」および「下流」は、空間的に理解されるべきである:第1の実施形態では、巻取りローラは、モジュール7に対して相対的に、モジュールの流入側の領域に配置されていて、第2および第3の実施形態では、モジュールの流出側の領域に配置されている。第1および第2の実施形態では、各巻取りローラは「上方に」配置されていて、第3の実施形態では「下方に」配置されている。「上方」および「下方」も、空間的に理解されるべきである:第1および第2の実施形態では、各巻取りローラは、モジュール7を通る被印刷物2の搬送経路の平面14の上側に配置されていて、第3の実施形態では、この経路の平面の下側に配置されている。好適には、短い搬送経路4bを備えた実施形態が、例えば第2のまたは第3の実施形態が使用される。従来技術の機械を後からシステムアップする場合、巻取りローラが既に「型抜きモジュールの上流かつ平面の下側に」存在している場合には、第1の実施形態が好適となり得る。3つ全ての実施形態では、ウェブ2は巻取りローラに送られる前に、好適には型抜きモジュール7を通過する。これにより、型抜きモジュールにおけるウェブの好適な分離が、好適には型抜きモジュールの分離エレメントによって、例えば1つ以上の型抜きナイフまたは少なくとも1つの分離ナイフによって可能である。
【0073】
図1には、3つの実施形態に加えて付加的に、従来技術で行われている巻取りローラ13へのウェブガイドの方式が示されている:ウェブ2は、破線で示した搬送経路4aに沿って、すなわち、不都合にも型抜きモジュール7の上流で、あるいは型抜きモジュールを通らずに、ストックローラ3cから巻取りローラへと送られる。
【0074】
図2には、2つの別の実施形態(第4および第5)が示されており、これらの実施形態は、好適には刷り損じ方向切替器15、好適にはガイド板15aと、好適には刷り損じ排出部16とを有している。分離されたウェブ区分もしくはシート2aは、方向切替器を介して排出部へと送られる;ガイド板がこれを支援する。排出部に対して付加的にまたは代替的に、刷り損じのために(図示されていない)シュレッダを設けることができる。ウェブ2からのウェブ区分もしくはシート2aの分離は、裁断装置17、例えば回転する横方向裁断機17によって行われてもよい。横方向裁断機は、型抜きモジュール7とキッカーローラ11および12との間に配置されていてもよい;代替的にキッカーローラと排出部との間に配置されていてもよい(破線で示されている)。巻取りローラ13はこの実施形態では必要ないが、別の目的でさらに設けられていてもよい。
【0075】
図3には、2つの別の実施形態(第6および第7)が示されており、これらの実施形態も同様に、好適には刷り損じ方向切替器15、好適にはガイド板15aと、好適には刷り損じ排出部16とを有している。分離されたウェブ区分もしくはシート2aは、方向切替器を介して排出部へと送られる;ガイド板がこれを支援する。排出部に対して付加的にまたは代替的に、刷り損じのために(図示されていない)シュレッダを設けることができる。ウェブ2からのウェブ区分もしくはシート2aの分離は、裁断装置17、例えば回転する横方向裁断機17によって行われてもよい。横方向裁断機は、型抜きモジュール7とキッカーローラ11および12との間に配置されていてもよい;代替的にキッカーローラと排出部との間に配置されていてもよい(破線で示されている)。巻取りローラ13はこの実施形態では必要ないが、別の目的でさらに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 機械または平台型抜き機
2 被印刷物またはウェブ
2a シート
2b ウェブ区分
2c 刷り損じ
3 ローラ
3a 紙引きローラ
3b 対応ローラを備えたローラ
3c ストックローラ
3d 変向ローラ
4 搬送経路(給紙)
4a 搬送経路
4b 搬送経路
4c 搬送経路(型抜き製品)
5 カールセンサ
6 レジスタセンサ
7 型抜きモジュール
8 上方の型抜き盤
9 下方の型抜き盤
10 分離ナイフ
11 上方のキッカーローラ
12 下方のキッカーローラ
13 巻取りローラ
14 平面
15 刷り損じ方向切替器
15a ガイド板
16 刷り損じ排出部
17 裁断装置または横方向裁断機
18 印刷画像
19 制御装置
20 送りローラ
21 デカーラ