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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-11
(45)【発行日】2025-07-22
(54)【発明の名称】ヘッド駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/584 20060101AFI20250714BHJP
   G11B 5/592 20060101ALI20250714BHJP
   G11B 5/56 20060101ALI20250714BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20250714BHJP
【FI】
G11B5/584
G11B5/592
G11B5/56 Z
G11B21/10 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021186537
(22)【出願日】2021-11-16
(65)【公開番号】P2023073832
(43)【公開日】2023-05-26
【審査請求日】2024-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】半谷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】桑田 凌
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-080379(JP,A)
【文献】特開昭62-277615(JP,A)
【文献】特開2005-267684(JP,A)
【文献】特表2019-510457(JP,A)
【文献】特開2005-216460(JP,A)
【文献】特開2005-259198(JP,A)
【文献】特開2020-129424(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0074330(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/584
G11B 5/592
G11B 5/56
G11B 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部材を駆動するヘッド駆動装置であって、
互いに離間して向かい合う第1のベース部および第2のベース部と、
前記第1のベース部と前記第2のベース部との間に設けられ、前記ヘッド部材を支持するヘッド支持部と、
前記第1のベース部から前記ヘッド支持部に向かって延びる第1ビームと、
前記第1ビームの基部と前記第1のベース部とを接続する第1のベース側ヒンジ部と、
前記第1ビームの先端と前記ヘッド支持部とを接続する第1のヘッド側ヒンジ部と、
前記ヘッド支持部を挟んで前記第1ビームとは反対側に存し、前記第2のベース部から前記ヘッド支持部に向かって延びる第2ビームと、
前記第2ビームの基部と前記第2のベース部とを接続する第2のベース側ヒンジ部と、
前記第2ビームの先端と前記ヘッド支持部とを接続する第2のヘッド側ヒンジ部と、
前記第1のベース部と前記第1ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第1ビームの先端を変位させる第1の圧電ユニットと、
前記第2のベース部と前記第2ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第2ビームの先端を変位させる第2の圧電ユニットと、
を具備したことを特徴とするヘッド駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1のベース側ヒンジ部の幅が前記第1ビームの基部の幅よりも小さく、
前記第1のヘッド側ヒンジ部の幅が前記第1ビームの先端の幅よりも小さく、
前記第2のベース側ヒンジ部の幅が前記第2ビームの基部の幅よりも小さく、
前記第2のヘッド側ヒンジ部の幅が前記第2ビームの先端の幅よりも小さいヘッド駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1ビームの平面形状が前記第1ビームの基部から前記第1ビームの先端に向かって幅が小さくなる形状であり、
前記第2ビームの平面形状が前記第2ビームの基部から前記第2ビームの先端に向かって幅が小さくなる形状であるヘッド駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1のベース側ヒンジ部の両側に第1の素子収容部を有し、これら第1の素子収容部に前記第1の圧電ユニットを構成する一対の第1の圧電素子が配置され、
前記第2のベース側ヒンジ部の両側に第2の素子収容部を有し、これら第2の素子収容部に前記第2の圧電ユニットを構成する一対の第2の圧電素子が配置されたヘッド駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッド駆動装置において、
前記一対の第1の圧電素子のうちの一方が所定の極性で配置され、
前記一対の第1の圧電素子のうちの他方は極性が逆となるよう向きを反転させて配置され、
前記一対の第2の圧電素子のうちの一方が所定の極性で配置され、
前記一対の第2の圧電素子のうちの他方は極性が逆となるよう向きを反転させて配置されたヘッド駆動装置。
【請求項6】
請求項1に記載のヘッド駆動装置において、
金属の基板からなり、前記第1ビームと、前記第1のベース側ヒンジ部と、前記第1のヘッド側ヒンジ部とを含む第1のサスペンションと、
前記基板からなり、前記第2ビームと、前記第2のベース側ヒンジ部と、前記第2のヘッド側ヒンジ部とを含み、前記ヘッド支持部の中心を通る軸線を対称軸として前記第1のサスペンションと線対称形の第2のサスペンションと、
を具備したヘッド駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1のサスペンションに形成され、前記ヘッド支持部に対し、前記基板の厚さ方向に90°以下の角度で曲がる第1の曲げ部と、
前記第2のサスペンションに形成され、前記ヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる第2の曲げ部と、
を有したヘッド駆動装置。
【請求項8】
請求項1に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1ビームと前記第2ビームと前記ヘッド支持部との少なくとも一部に配置されたダンパー部材を具備したヘッド駆動装置。
【請求項9】
ヘッド部材を駆動するヘッド駆動装置であって、
互いに離間して向かい合う第1のベース部および第2のベース部と、
前記第1のベース部と前記第2のベース部との間に設けられ、ヘッド部材を支持する第1のヘッド支持部と、
前記第1のベース部から前記第1のヘッド支持部に向かって延びる第1ビームと、
前記第1ビームの基部と前記第1のベース部とを接続する第1のベース側ヒンジ部と、
前記第1ビームの先端と前記第1のヘッド支持部とを接続する第1のヘッド側ヒンジ部と、
前記第1のヘッド支持部を挟んで前記第1ビームとは反対側に存し、前記第2のベース部から前記第1のヘッド支持部に向かって延びる第2ビームと、
前記第2ビームの基部と前記第2のベース部とを接続する第2のベース側ヒンジ部と、
前記第2ビームの先端と前記第1のヘッド支持部とを接続する第2のヘッド側ヒンジ部と、
前記第1のベース部と前記第1ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第1ビームの先端を変位させる第1の圧電ユニットと、
前記第2のベース部と前記第2ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第2ビームの先端を変位させる第2の圧電ユニットと、
前記第1のベース部と前記第2のベース部との間に設けられ、前記ヘッド部材を支持する第2のヘッド支持部と、
前記第1のベース部から前記第2のヘッド支持部に向かって延びる第3ビームと、
前記第3ビームの基部と前記第1のベース部とを接続する第3のベース側ヒンジ部と、
前記第3ビームの先端と前記第2のヘッド支持部とを接続する第3のヘッド側ヒンジ部と、
前記第2のヘッド支持部を挟んで前記第3ビームとは反対側に設けられ、前記第2のベース部から前記第2のヘッド支持部に向かって延びる第4ビームと、
前記第4ビームの基部と前記第2のベース部とを接続する第4のベース側ヒンジ部と、
前記第4ビームの先端と前記第2のヘッド支持部とを接続する第4のヘッド側ヒンジ部と、
前記第1のベース部と前記第3ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第3ビームの先端を変位させる第3の圧電ユニットと、
前記第2のベース部と前記第4ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第4ビームの先端を変位させる第4の圧電ユニットと、
を具備したことを特徴とするヘッド駆動装置。
【請求項10】
請求項9に記載のヘッド駆動装置において、
金属の基板からなり、前記第1ビームと、前記第1のベース側ヒンジ部と、前記第1のヘッド側ヒンジ部とを含む第1のサスペンションと、
前記基板からなり、前記第2ビームと、前記第2のベース側ヒンジ部と、前記第2のヘッド側ヒンジ部とを含み、前記第1のヘッド支持部の中心を通る軸線を対称軸として前記第1のサスペンションと線対称形の第2のサスペンションと、
前記基板からなり、前記第3ビームと、前記第3のベース側ヒンジ部と、前記第3のヘッド側ヒンジ部とを含む第3のサスペンションと、
前記基板からなり、前記第4ビームと、前記第4のベース側ヒンジ部と、前記第4のヘッド側ヒンジ部とを含み、前記第2のヘッド支持部の中心を通る前記軸線を対称軸として前記第3のサスペンションと線対称形の第4のサスペンションとを具備したヘッド駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1のサスペンションに形成され、前記第1のヘッド支持部に対し、前記基板の厚さ方向に90°以下の角度で曲がる第1の曲げ部と、
前記第2のサスペンションに形成され、前記第1のヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ角度で前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる第2の曲げ部と、
前記第3のサスペンションに形成され、前記第2のヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ角度で前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる第3の曲げ部と、
前記第4のサスペンションに形成され、前記第2のヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ角度で前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる第4の曲げ部を有したヘッド駆動装置。
【請求項12】
請求項11に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1のヘッド支持部と前記第2のヘッド支持部とをつなぐ接続部を有したヘッド駆動装置。
【請求項13】
請求項9に記載のヘッド駆動装置において、さらに、
前記第1のベース部と前記第2のベース部との間に設けられ、前記ヘッド部材を支持する第3のヘッド支持部と、
前記第1のベース部から前記第3のヘッド支持部に向かって延びる第5ビームと、
前記第5ビームの基部と前記第1のベース部とを接続する第5のベース側ヒンジ部と、
前記第5ビームの先端と前記第3のヘッド支持部とを接続する第5のヘッド側ヒンジ部と、
前記第3のヘッド支持部を挟んで前記第5ビームとは反対側に設けられ、前記第2のベース部から前記第3のヘッド支持部に向かって延びる第6ビームと、
前記第6ビームの基部と前記第2のベース部とを接続する第6のベース側ヒンジ部と、
前記第6ビームの先端と前記第3のヘッド支持部とを接続する第6のヘッド側ヒンジ部と、
前記第1のベース部と前記第5ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第5ビームの先端を変位させる第5の圧電ユニットと、
前記第2のベース部と前記第6ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第6ビームの先端を変位させる第6の圧電ユニットと、
を具備したことを特徴とするヘッド駆動装置。
【請求項14】
請求項13に記載のヘッド駆動装置において、
前記第1のヘッド支持部と前記第2のヘッド支持部と前記第3のヘッド支持部とをつなぐ接続部を有したヘッド駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体としてテープを用いるデータストレージデバイスのヘッド駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としてテープ(磁気テープ)を用いるデータストレージデバイスが知られている。データストレージデバイスの一例は、特許文献1あるいは特許文献2に記載されたように、ケースと、ケースの内部に収容されたテープと、テープ巻取り機構と、ヘッドアセンブリなどを有している。前記テープにデータが磁気的に記録されている。前記ヘッドアセンブリは、磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記テープに対して相対的に移動させるヘッド駆動装置などを含んでいる。前記磁気ヘッドは、前記テープに記録されたデータの読取り、あるいはデータの書込み等のアクセスを行なうための素子を有している。
【0003】
特許文献1のデータストレージデバイスのヘッド駆動装置は、ヘッドスタックアセンブリ(head stack assembly)と、ヘッドスタックアセンブリを移動させるためのボイスコイルモータとを含んでいる。ヘッドスタックアセンブリの先端にスプリング機能を有するヘッドアームが設けられている。このヘッドアームにそれぞれ磁気ヘッドが搭載されている。前記磁気ヘッドは前記ボイスコイルモータによって前記テープの幅方向に移動する。
【0004】
特許文献2のデータストレージデバイスのヘッド駆動装置は、テープの高記録密度化に対応するために、磁気ヘッドを比較的大きなストロークで移動させるための粗動用アクチュエータと、前記磁気ヘッドを比較的小さなストロークで移動させるための微動用アクチュエータとを含んでいる。前記粗動用アクチュエータに、ステッピングモータあるいはVCM(ボイスコイルモータ)が使用されている。また前記微動用アクチュエータとして、PZT(ジルコンチタン酸鉛)等の圧電体が使用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第10971184号明細書
【文献】特開2020-129424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のヘッド駆動装置のように、小さな磁気ヘッドがボイスコイルモータによってテープの幅方向に移動する従来装置は、テープが磁気ヘッドとの接触によって損傷する懸念がある。また前記従来装置は、高速で移動するテープに対して磁気ヘッドを所定位置に安定して保持することも簡単ではない。他の従来装置では、テープの幅に対応した長さの大形の磁気ヘッドを用いることも考えられたが、そのような大形の磁気ヘッドは重量が大きいため、サスペンション機能を有するヘッドアームによって安定した状態で支持させるのは難しい。
【0007】
特許文献2のヘッド駆動装置のように、ボイスコイルモータからなる粗動用アクチュエータと、圧電素子からなる微動用アクチュエータとを備えた従来装置は構造が複雑化し、部品数も多くなる等の問題がある。
記録媒体としてディスクを用いるハードディスク装置の場合には、ディスクの表面と磁気ヘッドとの間にエアベアリングが形成される。これに対し特許文献2のヘッド駆動装置は、記録媒体としてテープが使用される。特許文献2のヘッド駆動装置は、テープの早送りおよび巻き戻し時にテープが損傷することを防ぐために、テープが磁気ヘッドに接しないようにしている。しかしこのような従来装置は、ヘッド駆動装置の構造がさらに複雑化している。
【0008】
この発明の目的は、ヘッド部材を安定して保持することができ、微動用アクチュエータとして機能することができるヘッド駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの実施形態に係るヘッド駆動装置は、ヘッド部材を支持するヘッド支持部と、第1ビームと、第1のベース側ヒンジ部と、第1のヘッド側ヒンジ部と、第2ビームと、第2のベース側ヒンジ部と、第2のヘッド側ヒンジ部と、第1の圧電ユニットと、第2の圧電ユニットとを具備している。
【0010】
ヘッド駆動装置は、互いに離間して向かい合う第1のベース部および第2のベース部を有している。前記ヘッド支持部は、前記第1のベース部と前記第2のベース部との間に設けられている。前記第1ビームは、前記第1のベース部から前記ヘッド支持部に向かって延びている。前記第1のベース側ヒンジ部は、前記第1ビームの基部と前記第1のベース部とを接続している。前記第1のヘッド側ヒンジ部は、前記第1ビームの先端と前記ヘッド支持部とを接続している。
【0011】
前記第2ビームは、前記ヘッド支持部を挟んで前記第1ビームとは反対側に存し、前記第2のベース部から前記ヘッド支持部に向かって延びている。前記第2のベース側ヒンジ部は、前記第2ビームの基部と前記第2のベース部とを接続している。前記第2のヘッド側ヒンジ部は、前記第2ビームの先端と前記ヘッド支持部とを接続している。前記第1の圧電ユニットは、前記第1のベース部と前記第1ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第1ビームの先端を変位させる。前記第2の圧電ユニットは、前記第2のベース部と前記第2ビームの基部との間に配置され、電圧が印加された状態において変形することにより前記第2ビームの先端を変位させる。
【0012】
前記実施形態において、前記第1のベース側ヒンジ部の幅が前記第1ビームの基部の幅よりも小さく、前記第1のヘッド側ヒンジ部の幅が前記第1ビームの先端の幅よりも小さくてもよい。また前記第2のベース側ヒンジ部の幅が前記第2ビームの基部の幅よりも小さく、前記第2のヘッド側ヒンジ部の幅が前記第2ビームの先端の幅よりも小さくてもよい。
【0013】
1つの実施形態のヘッド駆動装置は、前記第1ビームの平面形状が前記第1ビームの基部から前記第1ビームの先端に向かって幅が小さくなるテーパ形状である。前記第2ビームの平面形状が前記第2ビームの基部から前記第2ビームの先端に向かって幅が小さくなるテーパ形状である。
【0014】
前記ヘッド駆動装置において、前記第1のベース側ヒンジ部の両側に第1の素子収容部を有し、これら第1の素子収容部に前記第1の圧電ユニットを構成する一対の第1の圧電素子が配置されてもよい。また前記第2のベース側ヒンジ部の両側に第2の素子収容部を有し、これら第2の素子収容部に前記第2の圧電ユニットを構成する一対の第2の圧電素子が配置されてもよい。
【0015】
1つの実施形態では、前記一対の第1の圧電素子のうちの一方が所定の極性で前記第1の素子収容部に配置され、前記一対の第1の圧電素子のうちの他方は極性が逆となるよう向きを反転させて前記第1の素子収容部に配置されてもよい。また前記一対の第2の圧電素子のうちの一方が所定の極性で前記第2の素子収容部に配置され、前記一対の第2の圧電素子のうちの他方は極性が逆となるよう向きを反転させて前記第2の素子収容部に配置されてもよい。
【0016】
1つの実施形態のヘッド駆動装置は、図3に一例を示したように、金属の基板からなる第1のサスペンションと第2のサスペンションとを有してもよい。前記第1のサスペンションは、前記第1ビームと、前記第1のベース側ヒンジ部と、前記第1のヘッド側ヒンジ部とを含んでいる。前記第2のサスペンションは、前記第2ビームと、前記第2のベース側ヒンジ部と、前記第2のヘッド側ヒンジ部とを含んでいる。前記第2のサスペンションは、前記ヘッド支持部の中心を通る軸線を対称軸として前記第1のサスペンションと線対称形である。
【0017】
いくつかの実施形態のヘッド駆動装置は、図5から図9に示されたように、前記第1ビームと前記第2ビームと前記ヘッド支持部との少なくとも一部にダンパー部材が配置されてもよい。
【0018】
例えば図10に示されたように、前記第1のサスペンションと前記第2のサスペンションとを有したヘッド駆動装置は、第1のサスペンションに形成された第1の曲げ部と、第2のサスペンションに形成された第2の曲げ部とを有してもよい。前記第1の曲げ部は、前記ヘッド支持部に対し、前記基板の厚さ方向に90°以下の角度で曲がっている。前記第2の曲げ部は、前記ヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ側に前記第1の曲げ部と同じ角度で曲がっている。
【0019】
図14から図17に示されたように、第1のミリアクチュエータアセンブリ(milli-actuator assembly)と第2のミリアクチュエータアセンブリとを具備してもよい。第1のミリアクチュエータアセンブリは、第1のヘッド支持部と、第1のサスペンションと、第2のサスペンションとを含んでいる。第2のミリアクチュエータアセンブリは、第2のヘッド支持部と、第3のサスペンションと、第4のサスペンションとを含んでいる。これら第1-第4のサスペンションは、互いに共通の金属の基板からなり、互いに実質的に共通の構成であってもよい。前記第1のサスペンションと前記第2のサスペンションとは、第1のヘッド支持部の中心を通る軸線を対称軸として互いに線対称形である。前記第3のサスペンションと前記第4のサスペンションとは、第2のヘッド支持部の中心を通る軸線を対称軸として互いに線対称形である。前記第1のヘッド支持部と前記第2のヘッド支持部とが、互いに接続部によってつながれていてもよい。
【0020】
例えば図18から図22に示された立体形状のヘッド駆動装置のように、第1の曲げ部と、第2の曲げ部と、第3の曲げ部と、第4の曲げ部とを有してもよい。前記第1の曲げ部は、前記第1のサスペンションに形成され、前記第1のヘッド支持部に対し、前記基板の厚さ方向に90°以下の角度で曲がる。前記第2の曲げ部は、前記第2のサスペンションに形成され、前記第1のヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ角度で前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる。前記第3の曲げ部は、前記第3のサスペンションに形成され、前記第2のヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ角度で前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる。前記第4の曲げ部は、前記第4のサスペンションに形成され、前記第2のヘッド支持部に対し、前記第1の曲げ部と同じ角度で前記第1の曲げ部と同じ側に曲がる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のヘッド駆動装置によれば、ヘッド部材を安定して保持することができ、微動用アクチュエータとして機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係るヘッド駆動装置の平面図。
図2図1中のF2-F2線に沿うヘッド駆動装置の断面図。
図3図1に示されたヘッド駆動装置の基板の平面図。
図4図1中のF4-F4線に沿うヘッド駆動装置の一部の断面図。
図5】第2の実施形態に係るヘッド駆動装置であって、ダンパー部材をハッチングで表わした平面図。
図6図5中のF6-F6線に沿うヘッド駆動装置の断面図。
図7】第3の実施形態に係るヘッド駆動装置であって、ダンパー部材をハッチングで表わした平面図。
図8】第4の実施形態に係るヘッド駆動装置であって、ダンパー部材をハッチングで表わした平面図。
図9】第5の実施形態に係るヘッド駆動装置であって、ダンパー部材をハッチングで表わした平面図。
図10】第1の曲げ部と第2の曲げ部とを有したヘッド駆動装置の側面図。
図11】第2の実施形態から第5の実施形態に係るヘッド駆動装置の0-1.5KHzの振動特性を示した図。
図12】第2の実施形態から第5の実施形態に係るヘッド駆動装置の8-9.5KHzの振動特性を示した図。
図13】(A)(B)はそれぞれ比較例1と比較例2のダンパー部材を備えたヘッド駆動装置を示す平面図。
図14】第6の実施形態に係るヘッド駆動装置の斜視図。
図15図14に示されたヘッド駆動装置の平面図。
図16】第7の実施形態に係るヘッド駆動装置の平面図。
図17】第8の実施形態に係るヘッド駆動装置の平面図。
図18】第9の実施形態に係るヘッド駆動装置を備えたデータストレージデバイスを模式的に示す正面図。
図19図18に示されたデータストレージデバイスのアクチュエータアセンブリの斜視図。
図20図19に示されたアクチュエータアセンブリを分解して示した斜視図。
図21図19に示されたアクチュエータアセンブリのヘッド駆動装置を図19中の矢印F21で示した方向から見た図。
図22図19に示されたヘッド駆動装置と端子部とを示す斜視図。
図23図19に示されたヘッド駆動装置の振動特性と、図14に示されたヘッド駆動装置の振動特性とを示した図。
図24】2つのヘッド支持部をつなぐ接続部を有した基板の平面図。
図25】第10の実施形態に係るヘッド駆動装置の平面図。
図26】3つのヘッド支持部をつなぐ接続部を有した基板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態](図1図4
以下に、第1の実施形態に係るヘッド駆動装置10Aについて、図1から図4を参照して説明する。
図1はヘッド駆動装置10Aの平面図である。図2図1中のF2-F2線に沿うヘッド駆動装置10Aの断面図である。ヘッド駆動装置10Aは、金属(例えばステンレス鋼)からなる平らな基板11を有している。図3は基板11の平面図である。基板11の厚さは、例えば0.1-0.3mm(一例は0.15mm)である。基板11の長さL1の一例は20mmであるが、これ以外の寸法であってもよい。
【0024】
基板11の一部に枠部12が形成されている。枠部12は、互いに離間して向かい合う第1のベース部13と第2のベース部14とを含んでいる。第1のベース部13と第2のベース部14とは、互いにブリッジ部15によって接続されている。このため第1のベース部13と第2のベース部14との相対位置は実質的に変わらない。第1のベース部13と第2のベース部14との間の距離L2(図3に示す)の一例は15mmであるが、これ以外の寸法であってもよい。
【0025】
第1のベース部13と第2のベース部14との間の中央に、ヘッド支持部16が設けられている。ヘッド支持部16は、磁気ヘッドとして機能するヘッド部材17を支持する。ヘッド部材17は、ヘッドバーあるいはスライダと称されることもある。ヘッド部材17は、接着剤等の固定手段によってヘッド支持部16に固定される。
【0026】
ヘッド部材17は記録媒体としての磁気テープ18(図1に一部を2点鎖線で示す)の幅方向T1に延びている。ヘッド部材17には、例えばMR素子のように磁気信号と電気信号とを変換可能な素子が設けられている。これらの素子によって、磁気テープ18に対するデータの書込みあるいは読取り等のアクセスが行なわれる。
【0027】
ヘッド駆動装置10Aは、第1ビーム21と第2ビーム22とを含んでいる。第1ビーム21は第1のベース部13からヘッド支持部16に向かって延びている。第2ビーム22は、ヘッド支持部16を挟んで第1ビーム21とは180°反対側に設けられている。第2ビーム22は第2のベース部14からヘッド支持部16に向かって延びている。
【0028】
図1に示されたように、ヘッド駆動装置10Aの平面視において、第1ビーム21の平面形状は、第1ビーム21の基部21aから先端21bに向かって幅が小さくなるテーパ形である。この明細書で言う「平面形状」とは、基板11の表面を臨む方向から基板11を見たときの形である。第2ビーム22の平面形状も、第2ビーム22の基部22aから先端22bに向かって幅が小さくなるテーパ形である。
【0029】
第1ビーム21の基部21aと第1のベース部13との間に、第1のベース側ヒンジ部31が形成されている。第1のベース側ヒンジ部31の幅W1(図3に示す)は、第1ビーム21の基部21aの幅W2よりも小さい。第1のベース側ヒンジ部31によって、第1ビーム21の基部21aと第1のベース部13とが互いに接続されている。第1のベース側ヒンジ部31の両側に、凹部からなる素子収容部32,33が形成されている。
【0030】
第1ビーム21の先端21bとヘッド支持部16との間に、第1のヘッド側ヒンジ部35が設けられている。第1のヘッド側ヒンジ部35の両側に、スリット36,37が形成されている。第1のヘッド側ヒンジ部35の幅は、第1ビーム21の先端21bの幅と同じか先端21bの幅よりも小さい。第1のヘッド側ヒンジ部35によって、第1ビーム21の先端21bとヘッド支持部16とが互いに接続されている。
【0031】
第2ビーム22の基部22aと第2のベース部14との間に、第2のベース側ヒンジ部41が設けられている。第2のベース側ヒンジ部41の幅W3(図3に示す)は、第2ビーム22の基部22aの幅W4よりも小さい。第2のベース側ヒンジ部41によって、第2ビーム22の基部22aと第2のベース部14とが互いに接続されている。第2のベース側ヒンジ部41の両側に、凹部からなる素子収容部42,43が形成されている。
【0032】
第2ビーム22の先端22bとヘッド支持部16との間に、第2のヘッド側ヒンジ部45が設けられている。第2のヘッド側ヒンジ部45の両側に、スリット46,47が形成されている。第2のヘッド側ヒンジ部45の幅は、第2ビーム22の先端22bの幅と同じか先端22bの幅よりも小さい。第2のヘッド側ヒンジ部45によって、第2ビーム22の先端22bとヘッド支持部16とが互いに接続されている。
【0033】
第1のベース部13と第1ビーム21の基部21aとの間に、第1の圧電ユニット51が配置されている。第1の圧電ユニット51は一対の第1の圧電素子51a,51bを含んでいる。これら圧電素子51a,51bは、電圧が印加された状態において変形する圧電体、例えばPZT(ジルコンチタン酸鉛)からなる。第1の圧電素子51a,51bは、それぞれ第1の素子収容部32,33に挿入され、電気絶縁性の接着剤によって基板11に固定されている。
【0034】
図4図1中のF4-F4線に沿う断面図であり、一方の素子収容部32と圧電素子51aとが示されている。圧電素子51aの厚さt1は基板11の厚さt2よりも小さい。圧電素子51aの厚さt1の一例は0.1mmであるが、それ以外の厚さでもよい。圧電素子51aの一方の面に金属の薄膜からなる第1の電極55が形成されている。圧電素子51aの他方の面に金属の薄膜からなる第2の電極56が形成されている。これら電極55,56に電圧が印加されると、電流が流れる方向に応じて圧電素子51aが変形(伸縮)する。圧電素子51a,51bが伸縮する方向は、第1ビーム21の長さ方向である。圧電素子51a,51bの構造は互いに共通である。
【0035】
一方の圧電素子51aは、印加された電圧の極性(プラスかマイナス)に応じて伸びまたは縮むように所定の極性で素子収容部32に収容されている。本実施形態(図1)の場合、ハッチングで示された他方の圧電素子51bは、一方の圧電素子51aとは極性が逆となるように、向きを反転させて素子収容部33に収容されている。
【0036】
電圧の印加によって一方の圧電素子51aが縮み、他方の圧電素子51bが伸びると、第1ビーム21の先端21bが第1の方向(図1に矢印Y1で示す)に変位する。一方の圧電素子51aが伸び、他方の圧電素子51bが縮むと、第1ビーム21の先端21bが第2の方向(図1に矢印Y2で示す)に変位する。
【0037】
第2のベース部14と第2ビーム22の基部22aとの間に第2の圧電ユニット61が配置されている。第2の圧電ユニット61は一対の第2の圧電素子61a,61bを含んでいる。これら圧電素子61a,61bは、それぞれ第2の素子収容部42,43に挿入され、電気絶縁性の接着剤によって基板11に固定されている。第2の圧電素子61a,61bは、第1の圧電素子51a,51bと同じ構造の圧電体からなる。
【0038】
図1に示された第2の圧電ユニット61の一方の圧電素子61aは、印加された電圧の極性(プラスかマイナス)に応じて伸びまたは縮むように、所定の極性で素子収容部42に収容されている。これに対しハッチングで示された他方の圧電素子61bは、一方の圧電素子61aとは極性が逆となるように、向きを反転させて素子収容部43に収容されている。
【0039】
電圧の印加によって一方の圧電素子61aが縮み、他方の圧電素子61bが伸びると、第2ビーム22の先端22bが第1の方向(図1に矢印Y1で示す)に変位する。一方の圧電素子61aが伸び、他方の圧電素子61bが縮むと、第2ビーム22の先端22bが第2の方向(矢印Y2で示す)に変位する。このように第2ビーム22の先端22bが第1ビーム21の先端21bと同じ方向に変位することにより、ヘッド部材17が第1の方向Y1または第2の方向Y2に移動する。
【0040】
第1ビーム21と、第1のベース側ヒンジ部31と、第1のヘッド側ヒンジ部35とによって、第1のサスペンションSP1が構成されている。第2ビーム22と、第2のベース側ヒンジ部41と、第2のヘッド側ヒンジ部45とによって、第2のサスペンションSP2が構成されている。これらサスペンションSP1,SP2と、ヘッド支持部16と、第1の圧電ユニット51および第2の圧電ユニット61とによって、ミリアクチュエータアセンブリMA1が構成されている。
【0041】
第1のサスペンションSP1と第2のサスペンションSP2とは、ヘッド支持部16の中心C1を通る軸線C2(図3に示す)を対称軸とする線対称形である。第1ビーム21と第2ビーム22とは、それぞれ軸線C2と直角な方向に延びている。第1のサスペンションSP1と第2のサスペンションSP2とは、互いに共通のステンレス鋼の基板11からなる。第1のサスペンションSP1の厚さと第2のサスペンションSP2の厚さは同じである。
【0042】
[第2-第5の実施形態](図5図9
図5は、第2の実施形態に係るヘッド駆動装置10Bを示している。図6は、図5中のF6-F6線に沿うヘッド駆動装置10Bの断面図である。ヘッド駆動装置10Bはダンパー部材DM1を有している。それ以外の構成について、このヘッド駆動装置10Bは第1の実施形態のヘッド駆動装置10Aと共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明は省略する。
【0043】
図6に示されたようにダンパー部材DM1は、粘弾性層(viscoelastic material layer)70と拘束板(constrained plate)71とを有している。粘弾性層70は、変形したときに粘性抵抗を発揮することができる高分子材料(例えばアクリル系樹脂)からなり、粘着性を有している。拘束板71はポリエステル等の合成樹脂からなり、粘弾性層70と重なっている。
【0044】
図5に示されたダンパー部材DM1は、ヘッド支持部16と、第1ビーム21の全体と、第2ビーム22の全体を覆うよう配置されている。説明の便宜上、図5ではダンパー部材DM1をハッチングで表わしている。図6に示されたように、ダンパー部材DM1はスリット36,37,46,47も覆っている。
【0045】
図7は第3の実施形態に係るヘッド駆動装置10Cを示している。このヘッド駆動装置10Cもダンパー部材DM2を有している。説明の便宜上、ダンパー部材DM2はハッチングで表わされている。第3の実施形態のダンパー部材DM2は、ヘッド支持部16から第1ビーム21の長さ方向の途中までと、ヘッド支持部16から第2ビーム22の長さ方向の途中まで配置されている。それ以外の構成について、第3の実施形態のヘッド駆動装置10Cは第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明を省略する。ダンパー部材DM2は、ヘッド支持部16と第1ビーム21と第2ビーム22との少なくとも一部に配置されている。
【0046】
図8は第4の実施形態に係るヘッド駆動装置10Dを示している。このヘッド駆動装置10Dは、第1ビーム21と第2ビーム22とに分かれて配置された一対のダンパー部材DM3を有している。ヘッド支持部16にダンパー部材は設けられていない。この実施形態のようにヘッド支持部16にダンパー部材を設けない場合には、ダンパー部材を第1ビーム21と第2ビーム22の表裏のいずれの面に貼り付けてもよい。それ以外の構成について、第4の実施形態に係るヘッド駆動装置10Dは第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明は省略する。
【0047】
図9は第5の実施形態に係るヘッド駆動装置10Eを示している。このヘッド駆動装置10Eのダンパー部材DM4は、ヘッド支持部16と、第1ビーム21の全体と、第2ビーム22の全体を覆うよう配置されている。ダンパー部材DM4はスリット36,37,46,47を覆っていない。それ以外の構成について、第5の実施形態に係るヘッド駆動装置10Eは第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明は省略する。
【0048】
図10に示されたように、第1のサスペンションSP1に形成された第1の曲げ部75と、第2のサスペンションSP2に形成された第2の曲げ部76とを有してもよい。第1の曲げ部75は、ヘッド支持部16に対し、基板11の厚さ方向に90°以下の角度θ1で曲がっている。第2の曲げ部76は、ヘッド支持部16に対し、第1の曲げ部75と同じ側に第1の曲げ部75と同じ角度θ2で曲がっている。このヘッド駆動装置は、曲げ部75,76を有したことにより、山形の立体的な形状となっている。
【0049】
図11は、第1の実施形態から第5の実施形態に係るヘッド駆動装置10A-10Eについて、0-1.5KHzの第1モード(first mode)の振動特性を示している。図11中の横軸は周波数、縦軸はゲインである。
【0050】
図11中の破線N1は、ダンパー部材を有しない第1の実施形態のヘッド駆動装置10Aの振動特性を示している。図11中の1点鎖線DM1は、第2の実施形態のダンパー部材DM1を備えたヘッド駆動装置10B(図5)の振動特性を示している。2点鎖線DM2は、第3の実施形態のダンパー部材DM2を備えたヘッド駆動装置10C(図7)の振動特性を示している。細線DM3は、第4の実施形態のダンパー部材DM3を備えたヘッド駆動装置10D(図8)の振動特性を示している。実線DM4は、第5の実施形態のダンパー部材DM4を備えたヘッド駆動装置10E(図9)の振動特性を示している。
【0051】
図11に破線N1で示されたように、ダンパー部材を有しない第1の実施形態のヘッド駆動装置の共振のピークは急峻である。これに対し、ダンパー部材を有する第2-第5の実施形態のヘッド駆動装置は、いずれも共振のピークがなだらかである。特に実線DM4で示された第5の実施形態のヘッド駆動装置10E(図9)の共振のピークが最小となっている。このため0-1.5KHzの振動特性については、第5の実施形態のダンパー部材DM4(図9)が望ましいことがある。
【0052】
図12は、第1の実施形態から第5の実施形態に係るヘッド駆動装置10A-10Eについて、8-9.5KHzの第1モード(first mode)の振動特性を示している。図12の横軸は周波数、縦軸はゲインである。
【0053】
図12中の破線N1は、ダンパー部材を有しない第1の実施形態のヘッド駆動装置10Aの振動特性を示している。図12中の1点鎖線DM1は、第2の実施形態のダンパー部材DM1を備えたヘッド駆動装置10B(図5)の振動特性を示している。2点鎖線DM2は、第3の実施形態のダンパー部材DM2を備えたヘッド駆動装置10C(図7)の振動特性を示している。細線DM3は、第4の実施形態のダンパー部材DM3を備えたヘッド駆動装置10D(図8)の振動特性を示している。実線DM4は、第5の実施形態のダンパー部材DM4を備えたヘッド駆動装置10E(図9)の振動特性を示している。
【0054】
図12に破線N1で示されたように、ダンパー部材を有しない第1の実施形態のヘッド駆動装置の共振のピークは大きい。これに対しダンパー部材を有する第2-第5の実施形態のヘッド駆動装置は、いずれも共振のピークが小さくなっている。特に第2の実施形態(図5)のダンパー部材DM1を有するヘッド駆動装置10Bと、第3の実施形態(図7)のダンパー部材DM2を有するヘッド駆動装置10Cの共振モードがほぼフラットとなっている。このため8-9.5KHzの振動特性については、第2の実施形態のダンパー部材DM1と第3の実施形態のダンパー部材DM2が望ましいことがある。
【0055】
[比較例1](図13(A))
図13(A)は比較例1のヘッド駆動装置10Fを示している。このヘッド駆動装置10Fのダンパー部材DM5は、第1の延出部81と第2の延出部82とを有している。第1の延出部81は第1のベース側ヒンジ部31から第1のベース部13まで延びている。第2の延出部82は第2のベース側ヒンジ部41から第2のベース部14まで延びている。それ以外の構成について、比較例1のヘッド駆動装置10Fは、第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと共通である。
比較例1のヘッド駆動装置10Fの振動特性は、第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと同等であった。しかし比較例1のダンパー部材DM5は第2の実施形態のダンパー部材DM1と比較して形状が複雑となり、かつ、重量が大きいという欠点がある。
【0056】
[比較例2](図13(B))
図13(B)は比較例2のヘッド駆動装置10Gを示している。このヘッド駆動装置10Gのダンパー部材DM6は、第1の圧電ユニット51を覆う延出部83と、第2の圧電ユニット61を覆う延出部84とを有している。それ以外の構成について、比較例2のヘッド駆動装置10Gは第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと共通である。
比較例2のヘッド駆動装置10Gの振動特性は、第2の実施形態のヘッド駆動装置10Bと比較して、第1モード(first mode)が大きかった。しかも比較例2のダンパー部材DM6は、第2の実施形態のダンパー部材DM1と比較して重量が大きいという欠点がある。以上のことから、ダンパー部材はベース側ヒンジ部31,41と圧電ユニット51,61を覆わないようにした設けた方が良いという知見が得られた。
【0057】
[第6の実施形態](図14図15
以下に、第6の実施形態に係るヘッド駆動装置10Hについて、図14図15を参照して説明する。図14はヘッド駆動装置10Hの斜視図、図15はヘッド駆動装置10Hの平面図である。
【0058】
ヘッド駆動装置10Hは、第1のミリアクチュエータアセンブリMA1と、第2のミリアクチュエータアセンブリMA2とを備えている。第1のミリアクチュエータアセンブリMA1は、第1の実施形態(図1図4)のミリアクチュエータアセンブリMA1と同様に構成されている。このため第2のミリアクチュエータアセンブリMA2について以下に説明する。
【0059】
図14図15に示された第2のミリアクチュエータアセンブリMA2は、第3のサスペンションSP3と第4のサスペンションSP4とを含んでいる。第3のサスペンションSP3の構成は第1のサスペンションSP1と共通である。第4のサスペンションSP4の構成は第2のサスペンションSP2と共通である。
【0060】
第1のベース部13と第2のベース部14との間の中央に、第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116とが配置されている。第2のヘッド支持部116は、第1のヘッド支持部16に対してヘッド部材17の長さ方向の別の位置に設けられている。これら第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116とによって、ヘッド部材17が支持されている。ヘッド部材17は、接着剤等の固定手段によって第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116とに固定される。
【0061】
第2のミリアクチュエータアセンブリMA2は、第2のヘッド支持部116と、第3ビーム121と、第4ビーム122とを含んでいる。第3ビーム121は第1のベース部13から第2のヘッド支持部116に向かって延びている。第4ビーム122は、第2のヘッド支持部116を挟んで第3ビーム121とは180°反対側に設けられている。第4ビーム122は第2のベース部14から第2のヘッド支持部116に向かって延びている。
【0062】
図15に示されたようにヘッド駆動装置10Hの平面視において、第3ビーム121の平面形状は、第3ビーム121の基部121aから先端121bに向かって幅が小さくなるテーパ形である。第4ビーム122の平面形状も、第4ビーム122の基部122aから先端122bに向かって幅が小さくなるテーパ形である。
【0063】
第3ビーム121の基部121aと第1のベース部13との間に、第3のベース側ヒンジ部131が形成されている。第3のベース側ヒンジ部131の幅は、第3ビーム121の基部121aの幅よりも小さい。第3のベース側ヒンジ部131によって、第3ビーム121の基部121aと第1のベース部13とが互いに接続されている。第3のベース側ヒンジ部131の両側に、凹部からなる素子収容部132,133が形成されている。
【0064】
第3ビーム121の先端121bと第2のヘッド支持部116との間に、第3のヘッド側ヒンジ部135が設けられている。第3のヘッド側ヒンジ部135の両側に、スリット136,137が形成されている。第3のヘッド側ヒンジ部135の幅は、第3ビーム121の先端121bの幅と同じか先端121bの幅よりも小さい。第3のヘッド側ヒンジ部135によって、第3ビーム121の先端121bと第2のヘッド支持部116とが互いに接続されている。
【0065】
第4ビーム122の基部122aと第2のベース部14との間に、第4のベース側ヒンジ部141が設けられている。第4のベース側ヒンジ部141の幅は、第4ビーム122の基部122aの幅よりも小さい。第4のベース側ヒンジ部141によって、第4ビーム122の基部122aと第2のベース部14とが互いに接続されている。第4のベース側ヒンジ部141の両側に、凹部からなる素子収容部142,143が形成されている。
【0066】
第4ビーム122の先端122bと第2のヘッド支持部116との間に、第4のヘッド側ヒンジ部145が設けられている。第4のヘッド側ヒンジ部145の両側に、スリット146,147が形成されている。第4のヘッド側ヒンジ部145の幅は、第4ビーム122の先端122bの幅と同じか先端122bの幅よりも小さい。第4のヘッド側ヒンジ部145によって、第4ビーム122の先端122bと第2のヘッド支持部116とが互いに接続されている。
【0067】
第1のベース部13と第3ビーム121の基部121aとの間に、第3の圧電ユニット151が配置されている。第3の圧電ユニット151は一対の圧電素子151a,151bを含んでいる。圧電素子151a,151bは、電圧が印加された状態において変形する圧電体、例えばPZT(ジルコンチタン酸鉛)からなる。圧電素子151a,151bは、それぞれ素子収容部132,133に挿入され、電気絶縁性の接着剤によって基板11に固定されている。
【0068】
圧電素子151a,151bは、印加された電圧の極性(プラスかマイナス)に応じて伸びまたは縮む。例えば一方の圧電素子151aが伸び、他方の圧電素子151bが縮むと、第3ビーム121の先端121bが第1の方向に変位する。一方の圧電素子151aが縮み、他方の圧電素子151bが伸びると、第3ビーム121の先端121bが第2の方向に変位する。
【0069】
第2のベース部14と第4ビーム122の基部122aとの間に、第4の圧電ユニット161が配置されている。第4の圧電ユニット161は一対の圧電素子161a,161bを含んでいる。これら圧電素子161a,161bは、それぞれ素子収容部142,143に挿入され、電気絶縁性の接着剤によって基板11に固定されている。
【0070】
第3ビーム121と、第3のベース側ヒンジ部131と、第3のヘッド側ヒンジ部135とによって、第3のサスペンションSP3が構成されている。第4ビーム122と、第4のベース側ヒンジ部141と、第4のヘッド側ヒンジ部145とによって、第4のサスペンションSP4が構成されている。これらサスペンションSP3,SP4と、第2のヘッド支持部116と、第3の圧電ユニット151および第4の圧電ユニット161とによって、第2のミリアクチュエータアセンブリMA2が構成されている。
【0071】
第3のサスペンションSP3と第4のサスペンションSP4とは、第2のヘッド支持部116の中心C3を通る軸線C4(図15に示す)を対称軸とする線対称形である。軸線C4は、第1のヘッド支持部16の中心C1も通っている。第3ビーム121と第4ビーム122とは、それぞれ軸線C4と直角な方向に延びている。第3のサスペンションSP3と第4のサスペンションSP4とは、互いに共通のステンレス鋼の基板11からなる。第3のサスペンションSP3の厚さと第4のサスペンションSP4の厚さは同じである。
【0072】
このように第6の実施形態のヘッド駆動装置10Hのヘッド部材17は、ヘッド部材17の長さ方向の2箇所において、第1のミリアクチュエータアセンブリMA1と第2のミリアクチュエータアセンブリMA2とによって支持されている。このため図14に示した3次元の方向(X軸,Y軸,Z軸の方向)に関して、ヘッド駆動装置10Hの剛性を大きくすることができ、ヘッド部材17を安定化させることができた。
【0073】
図14図15とに示された圧電素子51b,61b,151b,161bは、極性に関して所定の向きで素子収容部33,43,133,143に収容されている。これに対しハッチングで示された圧電素子51a,61a,151a,161aは、極性が逆となるように向きを反転させて素子収容部32,42,132,142に収容されている。
【0074】
図15に示されたように全ての圧電素子に入力電圧[+y]が印加されると、正位の圧電素子51b,61b,151b,161bが伸びるとともに、反転状態の圧電素子51a,61a,151a,161aが縮む。これによりヘッド部材17が第1の方向(矢印Y1で示す)に移動する。
【0075】
図15とは逆に、全ての圧電素子に入力電圧[-y]が印加されると、正位の圧電素子51b,61b,151b,161bが縮むとともに、反転状態の圧電素子51a,61a,151a,161aが伸びる。これによりヘッド部材17が第2の方向(矢印Y1とは反対の方向)に移動する。このように本実施形態の場合、1系統の入力信号[±y]によってヘッド部材17をY軸方向に移動させることができる。
【0076】
[第7の実施形態](図16
図16は第7の実施形態のヘッド駆動装置10Jを示している。圧電素子51a,51b,61a,61b,151a,151b,161a,161bの構造は互いに共通である。圧電素子51a,51b,161a,161bは、極性に関して所定の向きで素子収容部32,33,142,143に収容されている。これに対しハッチングで示された圧電素子61a,61b,151a,151bは、極性が逆となるように向きを反転させて素子収容部42,43,132,133に収容されている。それ以外の構成は第6の実施形態(図14図15)と共通である。
【0077】
図16に示されたように全ての圧電素子に入力電圧[+x]が印加されると、正位の圧電素子51a,51b,161a,161bが伸び、反転状態の圧電素子61a,61b,151a,151bが縮む。これによりヘッド部材17が図16に矢印Xで示すスキュー(skew)方向に変位する。
【0078】
図16とは逆に、全ての圧電素子に入力電圧[-x]が印加されると、正位の圧電素子51a,51b,161a,161bが縮み、反転状態の圧電素子61a,61b,151a,151bが伸びる。これによりヘッド部材17が矢印Xとは反対のスキュー方向に移動する。このようにして1系統の入力信号[±x]によってヘッド部材17をスキュー方向に駆動することができる。
【0079】
[第8の実施形態](図17
図17は第8の実施形態のヘッド駆動装置10Kを示している。このヘッド駆動装置10Kの構成は第7の実施形態(図16)のヘッド駆動装置10Jと共通である。圧電素子51a,51b,161a,161bは、極性に関して所定の向きで素子収容部32,33,142,143に収容されている。ハッチングで示された圧電素子61a,61b,151a,151bは、極性に関して向きを反転させた状態で素子収容部42,43,132,133に収容されている。
【0080】
図17に示されたように、圧電素子51b,61a,151a,161bに入力電圧[x+y]が印加され、圧電素子51a,61b,151b,161aに入力電圧[x-y]が印加されると、ヘッド部材17が矢印Xで示すスキュー方向に移動するとともに、ヘッド部材17が第1の方向(矢印Y1で示す)に移動する。
【0081】
図17とは逆に、圧電素子51b,61a,151a,161bに入力電圧[-x-y]が印加され、圧電素子51a,61b,151b,161aに入力電圧[-x+y]が印加されると、ヘッド部材17が矢印Xとは逆の方向に移動するとともに、矢印Yとは逆の方向に移動する。このように2系統の入力信号によってヘッド部材17をスキュー方向とY軸方向とに駆動することができる。
【0082】
[第9の実施形態](図18図23
図18は、第9の実施形態に係るヘッド駆動装置10Lを備えたデータストレージデバイス200を模式的に示している。データストレージデバイス200の一例は、ケース201と、アクチュエータアセンブリ202と、第1の巻取り装置203と、第2の巻取り装置204と、複数のガイドローラ205とを含んでいる。なおデータストレージデバイス200は、図18に示された例に限ることはなく、必要に応じて様々な形態で構成することができる。
【0083】
記録媒体としてのテープ18は、テープリール210,211に巻かれている。アクチュエータアセンブリ202にヘッド部材17が設けられている。アクチュエータアセンブリ202は、ヘッド部材17をテープ18の幅方向(Y軸方向)とスキュー方向とに移動させる機能を有している。ヘッド部材17によって、テープ18に対するアクセス(データの書込みあるいは読取り)が行なわれる。
【0084】
図19にヘッド駆動装置10Lを備えたアクチュエータアセンブリ202の一例が示されている。図19中の両方向矢印PT1は、ヘッド部材17のピッチング方向を示している。図20は、アクチュエータアセンブリ202を分解して示した斜視図である。図21は、ヘッド駆動装置10Lを図19中の矢印F21で示した方向から見た図である。
【0085】
アクチュエータアセンブリ202は、一対のガイド部材220,221に沿って移動可能なスライド部材222と、スライド部材222を移動させる粗動用のボイスコイルモータ223,224と、スライド部材222に取付けられたスキュー駆動ブロック225と、ヘッド駆動装置10Lとを含んでいる。スキュー駆動ブロック225は、スキュー軸226を中心にスキュー方向に回動することができる。
【0086】
一対のボイスコイルモータ223,224は、それぞれ、ヨーク230,231と、磁石232,233と、コイル234,235とを有している。ボイスコイルモータ223,224は、スライド部材222と、ヘッド駆動装置10Lと、スキュー駆動ブロック225とを、ガイド部材220,221に沿って移動させる。またボイスコイルモータ223,224は、ヘッド駆動装置10Lとスキュー駆動ブロック225とを、スキュー軸226を中心に回動させる。
【0087】
ヘッド駆動装置10Lは、図21に示されたように、第1の曲げ部241および第2の曲げ部242を有した立体形状の第1のミリアクチュエータアセンブリMA1´と、第3の曲げ部243および第4の曲げ部244を有した立体形状の第2のミリアクチュエータアセンブリMA2´とを有している。第1のミリアクチュエータアセンブリMA1´と第2のミリアクチュエータアセンブリMA2´とは、互いに共通の構成である。
【0088】
第1のミリアクチュエータアセンブリMA1´は、曲げ部241,242を有していること以外は、第6の実施形態(図14図15)のミリアクチュエータアセンブリMA1と同様に構成されている。第2のミリアクチュエータアセンブリMA2´は、曲げ部243,244を有していること以外は、第6の実施形態(図14図15)のミリアクチュエータアセンブリMA2と同様に構成されている。ミリアクチュエータアセンブリMA1´,MA2´については、第6の実施形態のミリアクチュエータアセンブリMA1,MA2と共通の箇所に共通の符号を付して説明を省略する。
【0089】
図21に示されたように、第1のヘッド側ヒンジ部35に第1の曲げ部241が形成されている。また第2のヘッド側ヒンジ部45に第2の曲げ部242が形成されている。第1の曲げ部241は、第1のヘッド支持部16に対し、基板11の厚さ方向に90°よりも小さい角度θ1(例えば45°)で曲げられている。第2の曲げ部242は、第1のヘッド支持部16に対し、基板11の厚さ方向に、第1の曲げ部241と同じ側に第1の曲げ部241と同じ角度θ2(例えば45°)で曲げられている。
【0090】
第3の曲げ部243(図19図20に示す)は、第2のヘッド支持部116に対し、基板11の厚さ方向に第1の曲げ部241と同じ方向に、第1の曲げ部241と同じ角度θ1(例えば45°)で曲げられている。第3の曲げ部243は、第3のヘッド側ヒンジ部135に形成されている。第4の曲げ部244は、第2のヘッド支持部116に対し、基板11の厚さ方向に第3の曲げ部243と同じ側に、第3の曲げ部243と同じ角度θ2(例えば45°)で曲げられている。第4の曲げ部244は、第4のヘッド側ヒンジ部145に形成されている。
【0091】
本実施形態のヘッド駆動装置10Lは、曲げ部241,242,243,244を設けたことにより、山形をなす立体的な形状となっている。このため本実施形態のヘッド駆動装置10Lは、平面的な形状の第6の実施形態(図14図15)のヘッド駆動装置10Hと比較して、剛性を大きくすることができる。
【0092】
図22に示されたように、ヘッド駆動装置10Lの枠部12に端子部300が設けられている。ヘッド部材17にも端子部301が設けられている。圧電素子61a,61b,161a,161bに、それぞれ端子310,311,312,313が設けられている。枠部12の端子部300は、ヘッド部材17の端子部301と、圧電素子61a,61b,161a,161bの端子310,311,312,313に電気的に接続される。
【0093】
図23は、第9の実施形態(図19図22)のヘッド駆動装置10Lの振動特性と第6の実施形態(図14)のヘッド駆動装置10Hの振動特性とを示している。図23中の実線は、45°の曲げ部241,242,243,244を有したヘッド駆動装置10Lの振動特性である。図23中の破線は、曲げ部を有しないヘッド駆動装置10Hの振動特性である。
【0094】
図23中のR1は、曲げ部を有しないヘッド駆動装置10Hのピッチングモード(pitching mode)であり、1kHz付近に生じている。図23中のR2は、曲げ部を有したヘッド駆動装置10Lのピッチングモードであり、11kHz付近に生じている。曲げ部を有した立体形状のヘッド駆動装置10Lによれば、平面的な形状のヘッド駆動装置10Hの周波数と比較して、ピッチングモードの周波数を大幅に上げることができた。
【0095】
図24に示されたように、第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116とをつなぐ接続部270を有してもよい。接続部270を設けたことにより、第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116との位置関係が安定する。このため前記曲げ部241,242,243,244を曲げ加工する際に、第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116との位置が変化することを抑制することができる。また接続部270を設けたことにより、前記ヘッド部材17の接着面性を大きくすることができる。接続部270を利用してヘッド部材17を安定した状態で支持することも可能である。
【0096】
図25は第10の実施形態に係るヘッド駆動装置10Mを示している。このヘッド駆動装置10Mは、第1のミリアクチュエータアセンブリMA1と、第2のミリアクチュエータアセンブリMA2と、第3のミリアクチュエータアセンブリMA3とを備えている。第3のミリアクチュエータアセンブリMA3は、第3のヘッド支持部416と、第5ビーム421と、第6ビーム422と、第5の圧電ユニット451と、第6の圧電ユニット461とを含んでいる。
【0097】
第3のヘッド支持部416は、第1のベース部13と第2のベース部14との間に設けられ、ヘッド部材17を支持する。第5ビーム421は、第1のベース部13から第3のヘッド支持部416に向かって延びている。第1のベース部13と第5ビーム421の基部とが、第5のベース側ヒンジ部431によって接続されている。第5ビーム421の先端と第3のヘッド支持部416とが、第5のヘッド側ヒンジ部435によって接続されている。
【0098】
第6ビーム422は、第3のヘッド支持部416を挟んで第5ビーム421とは反対側に設けられている。第6ビーム422は、第2のベース部14から第3のヘッド支持部416に向かって延びている。第2のベース部14と第6ビーム422の基部とが、第6のベース側ヒンジ部441によって接続されている。第6ビーム422の先端と第3のヘッド支持部416とが、第6のヘッド側ヒンジ部445によって接続されている。
【0099】
第5の圧電ユニット451は、第1のベース部13と第5ビーム421の基部との間に配置されている。第5の圧電ユニット451は、電圧が印加された状態において変形することにより、第5ビーム421の先端を変位させる。第6の圧電ユニット461は、第2のベース部14と第6ビーム422の基部との間に配置されている。第6の圧電ユニット461は、電圧が印加された状態において変形することにより、第6ビーム422の先端を変位させる。
【0100】
ミリアクチュエータアセンブリMA1,MA2,MA3の構成は互いに共通であり、それぞれ図14図15に示されたミリアクチュエータアセンブリMA1と同様に構成されている。本実施形態のヘッド駆動装置10Mは、3つのミリアクチュエータアセンブリMA1,MA2,MA3を備えたことにより、剛性をさらに大きくすることができる。これらミリアクチュエータアセンブリMA1,MA2,MA3に、第6の実施形態のヘッド駆動装置10Lと同様の曲げ部241,242,243,244を設けることにより、立体的な形状としてもよい。ミリアクチュエータアセンブリの数が4以上であってもよい。
【0101】
図26に示されたように、第1のヘッド支持部16と第2のヘッド支持部116と第3のヘッド支持部416とをつなぐ接続部470を有してもよい。接続部470を設けたことにより、ヘッド支持部16,116,416の位置関係を互いに一定に保つことができる。
【0102】
なお本発明を実施するに当たって、ヘッド駆動装置を構成する各要素の具体的な態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。またデータストレージデバイスについても、必要に応じて様々な形態をとることができる。
【符号の説明】
【0103】
10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10K,10L,10M…ヘッド駆動装置、11…基板、12…枠部、13…第1のベース部、14…第2のベース部、16…ヘッド支持部(第1のヘッド支持部)、17…ヘッド部材(スライダ)、18…磁気テープ、21…第1ビーム、21a…基部、21b…先端、22…第2ビーム、22a…基部、22b…先端、31…第1のベース側ヒンジ部、32,33…素子収容部、35…第1のヘッド側ヒンジ部、36,37…スリット、41…第2のベース側ヒンジ部、42,43…素子収容部、45…第2のヘッド側ヒンジ部、46,47…スリット、51…第1の圧電ユニット、51a,51b…圧電素子、61…第2の圧電ユニット、61a,61b…圧電素子、SP1,SP2,SP3,SP4…サスペンション、MA1,MA2,MA3…ミリアクチュエータアセンブリ、DM1,DM2,DM3,DM4,DM5,DM6…ダンパー部材、116…第2のヘッド支持部、121…第3ビーム、121a…基部、121b…先端、122…第4ビーム、122a…基部、122b…先端、131…第3のベース側ヒンジ部、132,133…素子収容部、135…第3のヘッド側ヒンジ部、136,137…スリット、141…第4のベース側ヒンジ部、142,143…素子収容部、145…第4のヘッド側ヒンジ部、146,147…スリット、151…第3の圧電ユニット、151a,151b…圧電素子、161…第4の圧電ユニット、161a,161b…圧電素子、200…データストレージデバイス、202…アクチュエータアセンブリ、241,242,243,244…曲げ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
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図26