IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7711688情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図10
  • 特許-情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-14
(45)【発行日】2025-07-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250715BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250715BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20250715BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y40/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022193915
(22)【出願日】2022-12-05
(65)【公開番号】P2024080735
(43)【公開日】2024-06-17
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳久
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/029178(WO,A1)
【文献】特開2015-219830(JP,A)
【文献】特開2007-133486(JP,A)
【文献】特開2018-190297(JP,A)
【文献】特開2014-229228(JP,A)
【文献】国際公開第2012/144131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G16Y 10/40
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置であって、
前記車両の操作量を取得する取得部と、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、
前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出する第2処理部とを備え
前記予め定められた運転状態は、前記車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含み、
前記特徴量は、前記車両の挙動から推定される第1操舵量と実際に行なわれた第2操舵量との差分の時間積分値を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記時間積分値の度数分布を算出する第3処理部をさらに備える、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置であって、
前記車両の操作量を取得する取得部と、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、
前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出する第2処理部とを備え、
前記予め定められた運転状態は、走行中の前記車両を停止させるまでの運転状態を含み、
前記特徴量は、ブレーキ油圧のピーク値とピーク後の前記ブレーキ油圧の平均値との差分を含、情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記差分が大きさの順で区分された複数の区分のうちのいずれに対応するかを特定する第3処理部をさらに備える、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置を備えた車両であって、
前記情報処理装置は、
前記車両の操作量を取得する取得部と、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、
前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出する第2処理部とを含み、
前記予め定められた運転状態は、前記車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含み、
前記特徴量は、前記車両の挙動から推定される第1操舵量と実際に行なわれた第2操舵量との差分の時間積分値を含む、車両。
【請求項6】
運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置を備えた車両であって、
前記情報処理装置は、
前記車両の操作量を取得する取得部と、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、
前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出する第2処理部とを含み、
前記予め定められた運転状態は、走行中の前記車両を停止させるまでの運転状態を含み、
前記特徴量は、ブレーキ油圧のピーク値とピーク後の前記ブレーキ油圧の平均値との差分を含む、車両。
【請求項7】
車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置と、
前記情報処理装置から送信された情報を管理するサーバとを備え、
前記情報処理装置は、
前記車両の操作量を取得する取得部と、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、
前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出する第2処理部とを含み、
前記予め定められた運転状態は、前記車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含み、
前記特徴量は、前記車両の挙動から推定される第1操舵量と実際に行なわれた第2操舵量との差分の時間積分値を含む、情報処理システム。
【請求項8】
車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置と、
前記情報処理装置から送信された情報を管理するサーバとを備え、
前記情報処理装置は、
前記車両の操作量を取得する取得部と、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、
前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出する第2処理部とを含み、
前記予め定められた運転状態は、走行中の前記車両を停止させるまでの運転状態を含み、
前記特徴量は、ブレーキ油圧のピーク値とピーク後の前記ブレーキ油圧の平均値との差分を含む、情報処理システム。
【請求項9】
車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理方法であって、
コンピュータが、前記車両の操作量を取得するステップと、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定するステップと、
前記コンピュータが、前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出するステップとを含み、
前記予め定められた運転状態は、前記車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含み、
前記特徴量は、前記車両の挙動から推定される第1操舵量と実際に行なわれた第2操舵量との差分の時間積分値を含む、情報処理方法。
【請求項10】
車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理方法であって、
コンピュータが、前記車両の操作量を取得するステップと、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定するステップと、
前記コンピュータが、前記予め定められた運転状態において前記特徴量を算出するステップとを含み、
前記予め定められた運転状態は、走行中の前記車両を停止させるまでの運転状態を含み、
前記特徴量は、ブレーキ油圧のピーク値とピーク後の前記ブレーキ油圧の平均値との差分を含む、情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
車両の操作量を取得するステップと、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定するステップと、
前記予め定められた運転状態において前記車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出するステップとを実行させ
前記予め定められた運転状態は、前記車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含み、
前記特徴量は、前記車両の挙動から推定される第1操舵量と実際に行なわれた第2操舵量との差分の時間積分値を含む、プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
車両の操作量を取得するステップと、
取得された前記操作量を用いて前記車両の走行中における予め定められた運転状態を特定するステップと、
前記予め定められた運転状態において前記車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出するステップとを実行させ、
前記予め定められた運転状態は、走行中の前記車両を停止させるまでの運転状態を含み、
前記特徴量は、ブレーキ油圧のピーク値とピーク後の前記ブレーキ油圧の平均値との差分を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者の運転状態に関するデータを用いて運転者が脇見状態であるか否かを判定する技術が公知である。たとえば、特開2017-215654号公報(特許文献1)には、運転者の視線状態や車速等のデータを用いて、運転者の視線方向が判定範囲から外れている時間が判定時間継続したか否かを判定し、運転者が脇見状態であるか否かを判定する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-215654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1においては、運転者の視線方向が、直進、カーブおよび右左折のいずれの走行シーンであるかに応じた判定範囲内であるか否かによって運転者の運転の特徴を判定する技術が開示されているが、運転者による運転の特徴を効率的に評価するにはさらなる改善が求められる。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、運転者の運転の特徴を効率的に評価する情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に係る情報処理装置は、車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置である。この情報処理装置は、車両の操作量を取得する取得部と、取得された操作量を用いて車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、予め定められた運転状態において特徴量を算出する第2処理部とを備える。
【0007】
このようにすると、特定された予め定められた運転状態において特徴量を算出することにより、運転者の運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0008】
ある実施の形態においては、予め定められた運転状態は、定常走行状態を含む。
このようにすると、定常走行状態を特定して、特定された運転状態において特徴量を算出することにより、当該運転状態での運転者の運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0009】
さらにある実施の形態においては、取得部は、車両のアクセル開度を取得する。第1処理部は、車両の走行中においてアクセル開度の変化量がしきい値以下となる運転状態を予め定められた運転状態として特定する。
【0010】
このようにすると、複雑な装置を用いずに予め定められた運転状態を特定することができる。
【0011】
さらにある実施の形態においては、特徴量は、車両の速度の履歴を含む。
このようにすると、車両が一定速度で走行する運転状態での車両の速度の履歴から車群の中で周囲と調和した運転をしているかについてや制限車速を遵守する傾向にあるかについてなどの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0012】
さらにある実施の形態においては、情報処理装置は、車両の速度の度数分布を算出する第3処理部をさらに備える。
【0013】
このようにすると、車両の速度の度数分布から車群の中で周囲と調和した運転をしているかについてや制限車速を遵守する傾向にあるかについてなどの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0014】
さらにある実施の形態においては、予め定められた運転状態は、車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含む。
【0015】
このようにすると、車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を特定して特定された運転状態において特徴量を算出することにより、当該運転状態での運転者の運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0016】
さらにある実施の形態においては、特徴量は、車両の挙動から推定される第1操舵量と実際に行なわれた第2操舵量との差分の時間積分値を含む。
【0017】
このようにすると、車両の直進中に操作が行なわれる運転状態での第1操舵量と第2操舵量との差分の時間積分値から無駄なステアリングホイールの操作の有無やステアリングホイールの操作の熟練の有無などの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0018】
さらにある実施の形態においては、情報処理装置は、時間積分値の度数分布を算出する第3処理部をさらに備える。
【0019】
このようにすると、時間積分値の度数分布から無駄なステアリングホイールの操作の有無やステアリングホイールの操作の熟練の有無などの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0020】
さらにある実施の形態においては、予め定められた運転状態は、走行中の車両を停止させるまでの運転状態を含む。
【0021】
このようにすると、走行中の車両を停止させるまでの運転状態を特定して特定された運転状態において特徴量を算出することにより、当該運転状態での運転者の運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0022】
さらにある実施の形態においては、特徴量は、ブレーキ油圧のピーク値とピーク後のブレーキ油圧の平均値との差分を含む。
【0023】
このようにすると、ブレーキ油圧のピーク値と平均値との差分からブレーキ操作に慣れているかなどの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0024】
さらにある実施の形態においては、情報処理装置は、差分が大きさの順で区分された複数の区分のうちのいずれに対応するかを特定する第3処理部をさらに備える。
【0025】
このようにすると、差分が複数の区分のうちのいずれに対応するかを特定することによりブレーキ操作に慣れているかなどの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0026】
本開示の他の局面に係る車両は、運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置を備えた車両である。情報処理装置は、車両の操作量を取得する取得部と、取得された操作量を用いて車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、予め定められた運転状態において特徴量を算出する第2処理部とを含む。
【0027】
本開示のさらに他の局面に係る情報処理システムは、車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理装置と、情報処理装置から送信された情報を管理するサーバとを備える。情報処理装置は、車両の操作量を取得する取得部と、取得された操作量を用いて車両の走行中における予め定められた運転状態を特定する第1処理部と、予め定められた運転状態において特徴量を算出する第2処理部とを含む。
【0028】
本開示のさらに他の局面に係る車両情報処理方法は、車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する情報処理方法である。この情報処理方法は、車両の操作量を取得するステップと、取得された操作量を用いて車両の走行中における予め定められた運転状態を特定するステップと、予め定められた運転状態において特徴量を算出するステップとを含む。
【0029】
本開示のさらに他の局面に係るプログラムは、コンピュータに、車両の操作量を取得するステップと、取得された操作量を用いて車両の走行中における予め定められた運転状態を特定するステップと、予め定められた運転状態において車両の運転者の運転特性に関する特徴量を算出するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によると、運転者の運転の特徴を効率的に評価する情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】情報処理システムの構成の一例を説明するための図である。
図2】本実施の形態に係る情報処理装置の一例の構成を説明するための図である。
図3】第2処理部において実行される処理の一例を説明するための図である。
図4】第3処理部において実行される処理の一例を説明するための図である。
図5】ブレーキECUで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6】1トリップ中の車速頻度分布の一例を示す図である。
図7】1トリップ中の車速頻度分布の他の一例を示す図である。
図8】変形例においてブレーキECUで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図9】推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値の算出方法を説明するための図である。
図10】変形例においてブレーキECUで実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
図11】制動操作中における車速とブレーキ油圧と加速度との変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0033】
図1は、情報処理システム1の構成の一例を説明するための図である。図1に示すように、本実施の形態において、情報処理システム1は、複数の車両2,3と、通信ネットワーク6と、基地局7と、データセンタ100とを含む。
【0034】
車両2,3は、データセンタ100と通信可能であればよく、たとえば、エンジンを駆動源とする車両であってもよいし、あるいは、電動機を駆動源とする電気自動車であってもよいし、エンジンと電動機とを搭載し、少なくともいずれかを駆動源とするハイブリッド自動車であってもよい。なお、図1では、説明の便宜上、2台の車両2,3のみを示すが、車両の台数については、特に2台に限定されるものではなく、3台以上であってもよい。
【0035】
情報処理システム1は、データセンタ100と通信可能に構成される車両2,3から予め定められた情報を取得し、取得した情報を管理するように構成される。
【0036】
データセンタ100は、制御装置11と、記憶装置12と、通信装置13とを含む。制御装置11と記憶装置12と通信装置13とは、通信バス14によって互いに通信可能に接続される。
【0037】
制御装置11は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)など)、および、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成されている。制御装置11により実行される各種制御は、ソフトウェア処理、すなわち、メモリに格納されたプログラムがCPUにより読み出されることにより実行される。制御装置11による各種制御は、記憶媒体に記憶されたプログラムを汎用のサーバ(図示せず)が実行することによっても実現可能である。ただし、制御装置11による各種制御は、ソフトウェア処理に限られず、専用のハードウエア(電子回路)で処理してもよい。
【0038】
記憶装置12は、データセンタ100と通信可能に構成される複数の車両2,3に関する予め定められた情報を記憶する。予め定められた情報は、たとえば、後述する車両2,3の各々において算出される特徴量に関する情報と、車両2,3を特定するための情報(以下、車両IDと記載する)と、車両2,3の位置を特定するための情報とを含む。車両IDは、車両毎に設定された固有の情報である。データセンタ100は、車両IDによって送信元の車両を特定することが可能となる。
【0039】
通信装置13は、制御装置11と通信ネットワーク6との間で双方向通信を実現する。データセンタ100は、通信装置13を用いて通信ネットワーク6上に設けられた基地局7を介して、車両2,3を含む複数の車両と互いに通信を可能とする。
【0040】
次に、車両2,3の具体的な構成について説明する。なお、車両2,3は基本的には共通の構成を有するため、以下では、車両2の構成について代表的に説明する。
【0041】
車両2は、駆動輪である前輪50と、従動輪である後輪52とを含む。駆動源の動作により前輪50が回転されることによって車両2に駆動力が作用して車両2が走行する。
【0042】
車両2は、ADAS-ECU(Electronic Control Unit)10と、ブレーキECU20と、DCM(Data Communication Module)30と、セントラルECU40とをさらに含む。
【0043】
ADAS-ECU10、ブレーキECU20およびセントラルECU40は、いずれもCPUなどのプログラムを実行するプロセッサ、メモリ、および入出力インターフェースを有するコンピュータである。
【0044】
ADAS-ECU10は、車両2の運転支援に関する機能を有する運転支援システムを含む。運転支援システムは、実装されるアプリケーションを実行することにより、車両2の操舵制御、駆動制御および制動制御のうちの少なくともいずれかを含む車両2の運転を支援するための様々な機能を実現するように構成される。運転支援システムにおいて実装されるアプリケーションとしては、たとえば、自動運転システム(AD:Autonomous Driving System)の機能を実現するアプリケーション、自動駐車システムの機能を実現するアプリケーション、および、先端運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assist System)の機能を実現するアプリケーションなどを含む。
【0045】
この運転支援システムの各アプリケーションは、図示しない複数のセンサから取得(入力)する車両周囲状況の情報やドライバの支援要求等に基づいて、アプリケーション単独での商品性(機能)を担保した行動計画の要求をブレーキECU20に対して出力する。複数のセンサは、たとえば、前向きカメラ等のビジョンセンサ、レーダ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、あるいは、位置検出装置等を含む。
【0046】
各アプリケーションは、1つもしくは複数のセンサの検出結果を統合した車両周囲状況の情報を認識センサ情報として取得するとともに、スイッチ等のユーザインタフェース(図示せず)を経由したドライバの支援要求を取得する。各アプリケーションは、たとえば、複数のセンサによって取得された車両の周囲の画像や映像に対する人工知能(AI)や画像処理用プロセッサを用いた画像処理によって車両の周囲にある他の車両、障害物あるいは人を認識可能とする。
【0047】
ブレーキECU20は、センサ類からの検出結果を用いて車両2に制動力を発生させるブレーキアクチュエータを制御する。さらにブレーキECU20は、ADAS-ECU10からの行動計画の要求を実現するための車両2の運動要求を設定する。ブレーキECU20において設定される車両2の運動要求は、車両2に設けられるアクチュエータシステム(図示せず)によって実現される。アクチュエータシステムは、たとえば、パワートレインシステム、ブレーキシステム、ステアリングシステムなどの複数種類のアクチュエータシステムを含む。
【0048】
ブレーキECU20には、たとえば、車輪速センサ54と、操舵角(ステアリングホイールの操作角)を検出する操舵角センサ60と、マスタシリンダ油圧(ブレーキ油圧)を検出するブレーキ油圧センサ62と、アクセルペダルの踏込量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ64と、ヨーレートセンサ66と、Gセンサ68とが接続される。
【0049】
車輪速センサ54は、前輪50の回転速度(回転数)を車輪速として検出する。車輪速センサ54は、検出した前輪50の回転速度を示す信号をブレーキECU20に送信する。
【0050】
操舵角センサ60は、ステアリングホイールが操作された角度を操舵角(操舵量)として検出する。操舵角センサ60は、検出した操舵角を示す信号をブレーキECU20に送信する。
【0051】
ブレーキ油圧センサ62は、各車輪に設けられる制動装置に油圧を供給するブレーキ油圧回路に接続され、ブレーキペダルの踏込量に応じてブレーキ油圧回路内の油圧を上昇するように構成されるマスタシリンダの油圧室内の油圧をブレーキ油圧として検出する。ブレーキ油圧センサ62は、検出したブレーキ油圧を示す信号をブレーキECU20に送信する。
【0052】
アクセル開度センサ64は、アクセルペダルの踏込量をアクセル開度として検出する。アクセル開度センサ64は、検出したアクセル開度を示す信号をブレーキECU20に送信する。
【0053】
ヨーレートセンサ66は、車両2の旋回方向(以下、ヨー方向とも記載する)の回転角速度(ヨーレート)を検出する。ヨーレートセンサ66は、検出したヨー方向の回転角速度を示す信号をブレーキECU20に送信する。
【0054】
Gセンサ68は、車両2の前後方向の加速度と、車両2の左右方向の加速度とを検出する。Gセンサは、検出した車両2の前後方向の加速度と、車両2の左右方向の加速度とを示す信号をブレーキECU20に送信する。
【0055】
なお、図1においては、車輪速センサ54と操舵角センサ60とブレーキ油圧センサ62とアクセル開度センサ64とヨーレートセンサ66と、Gセンサ68とがそれぞれブレーキECU20に接続され、直接ブレーキECU20に検出結果を送信する構成を一例として説明したが、車輪速センサ54、操舵角センサ60、ブレーキ油圧センサ62、アクセル開度センサ64、ヨーレートセンサ66およびGセンサ68のうちの少なくともいずれかが他のECUに接続され、通信バスやセントラルECU40を経由してブレーキECU20に検出結果が入力されるようにしてもよい。
【0056】
さらに、ブレーキECU20は、たとえば、ADAS-ECU10から行動計画に関する情報他に、各種アプリケーションの作動状態に関する情報を受信したり、シフトレンジなどのその他の運転操作に関する情報を受信したり、車両2の挙動に関する情報を受信したり、車両2の位置情報に関する情報を受信したりする。
【0057】
DCM30は、データセンタ100との双方向通信が可能に構成された通信モジュールである。
【0058】
セントラルECU40は、たとえば、ブレーキECU20と通信可能に構成されるとともに、DCM30を用いてデータセンタ100と通信可能に構成される。セントラルECU40は、たとえば、ブレーキECU20から受信する情報をDCM30を経由してデータセンタ100に送信する。
【0059】
本実施の形態において、セントラルECU40は、ブレーキECU20から受信する情報をDCM30を経由してデータセンタ100に送信するものとして説明したが、たとえば、各種ECU間の通信を中継する等の機能(ゲートウエイ機能)を有するものであってもよいし、あるいは、データセンタ100からの更新情報を用いて記憶内容の更新が可能なメモリ(図示せず)を含み、車両2のシステム起動時に各種ECUからメモリに記憶される更新情報を含む所定の情報が読み出されるものであってもよい。
【0060】
以上のような構成を有する車両2において、ブレーキECU20は、たとえば、車両2に設けられるセンサ類から得られる情報を用いて車両2の走行中の運転者による運転の特徴を効率的に評価することが求められる。
【0061】
そこで、本実施の形態においては、ブレーキECU20が、車両2の操作量を取得し、取得された操作量を用いて車両2の走行中における予め定められた運転状態を特定し、特定された予め定められた運転状態において特徴量を算出するものとする。本実施の形態において、予め定められた運転状態は、定常走行状態を含む。また、特徴量は、車両2の速度の履歴を含む。
【0062】
このようにすると、車両2の定常走行状態を特定して、特定された運転状態において車両の速度の履歴を特徴量として算出することにより、車群の中で周囲と調和した運転をしているかについてや制限車速を遵守する傾向にあるかについてなどの運転の特徴を効率的に評価することができる。
【0063】
図2は、本実施の形態に係る情報処理装置の一例の構成を説明するための図である。本実施の形態に係る情報処理装置は、ブレーキECU20によって実現される。
【0064】
ブレーキECU20は、第1処理部22と、第2処理部24と、第3処理部26とを含む。第1処理部22は、各種センサからの検出結果を示す情報を車両2の挙動に関する情報として受け付ける。第1処理部22は、入力情報を受け付ける期間のうちの予め定められた条件が成立する期間において受け付けた入力情報を第2処理部24に出力する。
【0065】
第2処理部24は、入力情報を受け付ける期間のうちの予め定められた条件が成立する期間において受け付けた入力情報を用いて車両2の動作に関する特徴量を算出する。
【0066】
図3は、第2処理部24において実行される処理の一例を説明するための図である。図3に示すように、第2処理部24には、第1処理部22から前輪50の回転速度と、アクセルペダルの踏込量(アクセル開度)と、マスタシリンダ油圧(ブレーキ油圧)と、操舵角と、ヨーレート(ヨー方向の車両2の旋回速度)と、車両2の前後方向および左右方向の加速度とが入力情報として入力される。第2処理部24は、これらの入力情報を用いて予め定められた運転状態を特定するための予め定められた条件が成立するか否かを判定する。
【0067】
本実施の形態において、予め定められた条件は、車両2が走行中であるという条件と、予め定められた時間当たりのアクセル開度の変化量の大きさがしきい値以下であるという条件とを含む。第2処理部24は、たとえば、車両2の車速がしきい値よりも大きく、かつ、予め定められた時間当たりアクセル開度の変化量の大きさがしきい値以下である場合に予め定められた条件が成立していると判定する。予め定められた時間は、たとえば、車速の取得される時間間隔に相当する時間であってもよいし、当該時間間隔よりも長い時間であってもよい。
【0068】
第2処理部24は、予め定められた条件が成立していると判定される場合には、成立フラグをオンする。第2処理部24は、この成立フラグの状態を示す信号をシーン識別信号として出力する。
【0069】
第2処理部24は、予め定められた条件が成立すると判定される場合には、予め定められた条件が成立する期間において受け付けられた入力情報を用いて車両2の運転者の運転特性に関する特徴量を算出する。
【0070】
本実施の形態において特徴量は、たとえば、車両2の速度(車速)の履歴を含む。本実施の形態において、第2処理部24は、たとえば、予め定められた条件が成立している間に取得される前輪50の回転速度を用いて算出される車速の履歴を特徴量として出力する。第2処理部24は、たとえば、予め定められた条件が成立している間に、車速の履歴を示す特徴量を時刻に対応づけてシーン識別信号とともに出力する。
【0071】
第3処理部26は、たとえば、シーン識別信号に含まれる成立フラグの状態が所定の状態(たとえば、オン状態)である場合に第2処理部24から出力される情報を用いて運転者の運転特性についての情報を生成する。本実施の形態において、第3処理部26は、第2処理部24から出力される情報を用いて更新した車速の頻度分布を生成する。
【0072】
図4は、第3処理部26において実行される処理の一例を説明するための図である。図4に示すように、第3処理部26には、第2処理部24からシーン識別信号と、特徴量と、時間とを示す情報が入力される。第3処理部26は、運転者の運転特性についての情報をセントラルECU40に出力する。
【0073】
なお、第3処理部26は、たとえば、第2処理部24から情報を受信する毎に更新した車速の頻度分布を生成してもよいし、予め定められた条件が成立した状態から非成立の状態に変化する毎に更新した車速の頻度分布を生成してもよいし、1トリップ毎に更新した車速の頻度分布を生成してもよい。
【0074】
セントラルECU40は、第3処理部26から入力された情報をDCM30を経由してデータセンタ100に送信する。
【0075】
データセンタ100は、第3処理部26の出力値を用いて運転者による運転が、車群の中で車両2の周囲の車両と調和した運転であるか否かの評価を行なうとともに、運転者による運転が制限速度を遵守した運転であるか否かの評価を行なう。
【0076】
DCM30からデータセンタ100に送信される情報には、たとえば、処理時刻、車両の位置情報および車速の頻度分布についての情報が含まれる。そのため、データセンタ100は、これらをひとかたまりのデータとして、DCM30から入力された情報を記憶装置12に記憶する。これにより、データセンタ100は、データセンタ100と通信可能な車両2を運転する運転者の運転特性についての情報を取得することが可能となる。また、データセンタ100は、同様にデータセンタ100と通信可能な車両3を運転する運転者の運転特性についての情報を取得することが可能となる。
【0077】
次に、図5を参照して、車両2のブレーキECU20で実行される処理の一例について説明する。図5は、ブレーキECU20で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、ブレーキECU20により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0078】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ブレーキECU20は、入力情報に対応するデータを取得する。具体的には、ブレーキECU20は、たとえば、前輪50の回転速度についての情報と、アクセル開度についての情報と、ブレーキ油圧についての情報と、操舵角についての情報と、ヨーレートについての情報と、車両2の前後方向および左右方向の加速度についての情報とを含む入力情報に対応するデータを取得する。ブレーキECU20は、たとえば、各種センサから入力情報に対応するデータを取得してもよいし、あるいは、各種センサによる検出結果が記憶されたメモリから入力情報に対応するデータを取得してもよい。その後処理はS102に移される。
【0079】
S102にて、ブレーキECU20は、予め定められた条件が成立するか否かを判定する。予め定められた条件については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。予め定められた条件が成立すると判定される場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。
【0080】
S104にて、ブレーキECU20は、車速の履歴を示す車速データを取得する。ブレーキECU20は、たとえば、前回の車速頻度分布の更新時よりも後に取得された車速の履歴を示すデータをメモリ等から読み出して取得する。その後処理はS106に移される。
【0081】
S106にて、ブレーキECU20は、車速頻度分布を更新する。ブレーキECU20は、1トリップ毎の車速頻度分布を作成する。具体的には、ブレーキECU20は、たとえば、IGオンされたタイミングで新たな車速頻度分布を作成し、予め定められた条件が成立している期間に取得される車速の履歴を示す車速データを用いて車速頻度分布を更新する。車速頻度分布は、たとえば、予め定められた速度(たとえば、5km/h)間隔で重複しない複数の速度領域が設定される。ブレーキECU20は、取得した車速が複数の速度領域のうちのいずれの速度領域であるかを判定し、判定された速度領域に対応する頻度を示す値を増加させる。車速が予め定められた時間間隔で取得される場合であって、頻度を示す値が、たとえば、その速度領域での累積時間を示す場合には、判定された速度領域に対応する頻度を示す値に予め定められた時間が加算される。ブレーキECU20は、上述のような処理を前回の車速頻度分布の更新に用いられなかった車速の履歴を示す車速データを用いて実行する。ブレーキECU20は、たとえば、IGオフされたタイミングで車速頻度分布の作成を終了し、メモリ等に記憶される。ブレーキECU20は、このような処理を実行することによって1トリップ毎の車速頻度分布を作成する。
【0082】
S108にて、ブレーキECU20は、更新後の車速頻度分布をデータセンタ100に送信する。ブレーキECU20は、セントラルECU40に更新した車速頻度分布についての情報を送信する。セントラルECU40は、受信した情報をDCM30を経由してデータセンタ100に送信する。その後この処理は終了される。なお、予め定められた条件が成立していないと判定される場合には(S102にてNO)、この処理は終了される。
【0083】
上述のS100の処理と、S102の処理と、S104の処理と、S106の処理とが第2処理部24が実行する処理に含まれる。また、上述のS108の処理が第3処理部26が実行する処理に含まれる。
【0084】
データセンタ100は、受信した情報を用いて車両2の運転者による運転の特徴の評価を行なうことが可能となる。データセンタ100に送信される情報やデータセンタ100において実行される処理については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0085】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る情報処理装置であるブレーキECU20の動作について図6および図7を参照しつつ説明する。
【0086】
たとえば、車両2の走行中において入力情報が取得されると(S100)、予め定められた条件が成立するか否かが判定される(S102)。車両2が走行中であって、かつ、予め定められた時間当たりのアクセル開度の変化量の大きさがしきい値以下である場合には、予め定められた条件が成立していると判定される(S102にてYES)。そのため、車速データが取得され(S104)、車速頻度分布が更新される(S106)。すなわち、同一トリップ中において、前回の車速頻度分布の更新に反映されていない、予め定められた条件が成立している間に取得された車速データがある場合には、当該車速データに含まれる車速が複数の速度領域のいずれに対応するから判定され、判定された速度領域に対応する累積時間に予め定められた時間が加算される。このようにして、複数の速度領域のうちの少なくともいずれかの速度領域における累積時間が算出されることにより、車速頻度分布が更新される。更新された車速頻度分布は、データセンタ100に送信される(S108)。
【0087】
データセンタ100は、受信した車速頻度分布に基づいて車両2の運転者による運転の特徴についての評価を行なうことができる。
【0088】
図6は、1トリップ中の車速頻度分布の一例を示す図である。図6の縦軸は、累積時間を示す。図6の横軸は、車速を示す。図6には、1トリップ中における複数の速度領域の各々における累積時間が棒状のグラフとして示されている。たとえば、車両2の運転者が1トリップ中に運転した経路のうちの最も高い制限車速がV(0)であった場合を想定する。この場合、車両2の運転者は、少なくとも制限車速V(0)となる地点を含む経路において制限車速V(0)よりも一定量だけ低い速度で走行していることとなる。
【0089】
データセンタ100は、たとえば、制限車速V(0)となる地点を含む経路を車両2が走行した時間帯と同じ時間帯にとする他の車両の車速頻度分布と比較し、他の車両の車速頻度分布においても同様に制限車速V(0)よりも一定量だけ低い速度で走行している場合には、車両2の運転者が、車群の中で周囲と調和した運転を行なっていたという評価を行なうことが可能となる。一方、他の車両の車速頻度分布において、制限車速V(0)付近で走行する頻度(累積時間)が高い場合には、車両2の運転者が、車群の中で他の車両よりも遅い速度域で運転を行なっていたという評価を行なうことが可能となる。このようにして、車両2の運転者の運転特性や運転の習熟度に関する評価を行なうことが可能となる。
【0090】
図7は、1トリップ中の車速頻度分布の他の一例を示す図である。図7の縦軸は、累積時間を示す。図7の横軸は、車速を示す。図7には、1トリップ中における複数の速度領域の各々における累積時間が棒状のグラフとして示されている。図6で説明した場合と同様に、たとえば、車両2の運転者が1トリップ中に運転した経路のうちの最も高い制限車速がV(0)であった場合を想定する。この場合、車両2の運転者は、少なくとも制限車速V(0)となる地点を含む経路において制限車速V(0)付近の速度で走行していることとなる。
【0091】
データセンタ100は、このような車速頻度分布から車両2の運転者が制限車速V(0)を遵守して運転をしていたという評価を行なうことが可能となる。
【0092】
以上のようにして、本実施の形態に係る情報処理装置によると、レーダ等の複雑な装置を用いずにアクセル開度により定常走行状態であるか否かを判定できるとともに、車両2の運転時における定常走行状態での車速を特徴量として算出することにより、定常走行状態で運転者の運転が周囲と調和した運転であるかや制限車速を遵守した運転であるかを効率的に評価することができる。したがって、運転者の運転の特徴を効率的に評価する情報処理装置、車両、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【0093】
さらに、車両内で特徴量や車速頻度分布を算出する場合には、特徴量や車速頻度分布を算出するための情報を外部に送信する必要がなくなる。そのため、特徴量や車速頻度分布を算出するための情報量が大きい場合などに、不必要な情報が車両外部に送信されることが抑制され、通信負荷の増加とデータセンタ100での記憶容量と処理費用が抑制される。
【0094】
さらに、第2処理部24と、第3処理部26とで、特徴量の算出と、車速頻度分布の算出とを分けて行なうことによって、たとえば、第3処理部26での車速頻度分布の算出方法のみを変更して、他の運転特性の評価に利用することができる。なお、このような変更は、たとえば、データセンタ100から受信し、セントラルECU40のメモリに記憶された更新情報をブレーキECU20が読み込むことにより実現することができる。
【0095】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、ブレーキECU20に入力された入力情報は、ブレーキECU20の内部で、図5のフローチャートに示される処理が実行されることによって特徴量の算出と、車速頻度分布の算出とが行なわれる場合を一例として説明したが、データセンタ100において当該処理が実行されてもよい。
【0096】
さらに上述の実施の形態では、ブレーキECU20は、車速頻度分布を更新毎にデータセンタ100に送信するものとして説明したが、たとえば、トリップ終了のタイミング(IGオフ時)に直前に更新された車速頻度分布をデータセンタ100に送信してもよい。
【0097】
さらに上述の実施の形態では、ブレーキECU20が、定常走行状態である間に特徴量を算出し、車速頻度分布を更新する場合を一例として説明したが、ブレーキECU20は、たとえば、定常走行状態から定常走行状態でなくなったときに定常走行状態であった期間における車速の履歴を用いて車速頻度分布を更新するようにしてもよい。
【0098】
さらに上述の実施の形態では、定常走行状態を予め定められた運転状態の一例として、定常走行状態での車速の履歴を特徴量として算出し、算出された特徴量を用いて車速頻度分布を算出することによって運転者の運転特性の評価を行なうものとして説明したが、予め定められた運転状態および特徴量としては上述のものに限定されるものではない。予め定められた運転状態は、車両の直進中に操舵が行なわれる運転状態を含むものとし、運転者の運転特性に関する特徴量は、車両2の挙動から推定される操舵角と、実際の操舵角との差分の時間積分値を含むようにしてもよい。
【0099】
以下、図8を参照して、この変形例における車両2のブレーキECU20で実行される処理の一例について説明する。図8は、変形例においてブレーキECU20で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、ブレーキECU20により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0100】
S200にて、ブレーキECU20は、入力情報に対応するデータを取得する。S200の処理は、上述のS100の処理と同様の処理内容であるため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS202に移される。
【0101】
S202にて、ブレーキECU20は、予め定められた条件が成立するか否かを判定する。予め定められた条件は、車両の直進中に最終的な操舵角になるまで操舵が行なわれる運転状態であるか否かを判定するための条件を含む。予め定められた条件は、たとえば、車両2が走行中であるという条件と、車両2の直進中にステアリングホイールの操作を開始してからステアリングホイールの操作を終了するまでの操舵状態であるという条件とを含む。ブレーキECU20は、上述のように前輪50の回転速度を用いて車両2が走行中であるか否かを判定する。さらに、ブレーキECU20は、操舵角がゼロでなく、かつ、操舵角の変化量の大きさがしきい値よりも大きい場合に、操舵状態であると判定する。予め定められた条件が成立していると判定される場合(S202にてYES)、処理はS204に移される。
【0102】
S204にて、ブレーキECU20は、推定操舵角を算出する。ブレーキECU20は、たとえば、車両2の挙動から推定される操舵角を推定操舵角として算出する。より具体的には、ブレーキECU20は、車両2のヨー方向の回転角速度と、車両2の左右方向の加速度と、車速とを用いて推定操舵角を算出する。ブレーキECU20は、ヨーレートセンサ66からヨー方向の回転角速度を取得する。さらに、ブレーキECU20は、Gセンサ68から車両2の左右方向の加速度を取得する。なお、ヨー方向の回転角速度と車両2の左右方向の加速度と車速とを用いた推定操舵角の算出方法については、公知の技術を用いればよくその詳細な説明は行なわない。その後処理はS206に移される。
【0103】
S206にて、ブレーキECU20は、推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値を算出する。図9は、推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値の算出方法を説明するための図である。図9の縦軸は、操舵角を示す。図9の横軸は、時間を示す。図9のLN1は、実操舵角の変化を示す。図9のLN2は、車両2の挙動から推定された操舵角の変化を示す。
【0104】
車両2の挙動から推定される操舵角は、図9のLN2に示すように、時間t(0)にて、直進状態に相当する操舵角(ゼロ)から変化を開始し、時間t(2)にて、最終的な操舵角S(0)になるまで変動することなく変化するように算出される。
【0105】
一方、ステアリングホイールの機構には、遊び部分やガタ等があるとともに運転者の操作には、ばらつきがあるため、車両2の実操舵角は、図9のLN1に示すように、時間t(0)よりも早くに操舵角が上昇し、最終的な操舵角S(0)よりも大きくなるなどして変動することとなる。
【0106】
そのため、推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値は、図9のLN1とLN2とで囲まれる図形部分の面積に相当する。すなわち、ブレーキECU20は、たとえば、時間t(1)において、推定操舵角と実操舵角の差分の時間積分値を算出する場合には、図9のLN1と図9のLN2と時間t(1)を示す一点とで囲まれた面積が算出されることとなる。ブレーキECU20は、最終的に操舵状態が解消するまでの間の図9のLN1と図9のLN2とで囲まれた図形部分の面積を差分の時間積分値として算出する。その後処理はS208に移される。
【0107】
S208にて、ブレーキECU20は、頻度分布を更新する。ブレーキECU20は、たとえば、操舵状態になってから操舵状態が解消するまでの間に算出された差分の時間積分値が、値の大きさの順序で区分された複数の範囲のうちのいずれの範囲に対応するかを判定し、判定された範囲に対応する度数(回数)を予め定められた値(たとえば、1)だけ増加させる。この頻度分布においては、差分の時間積分値が小さい範囲の度数が大きいほど実操舵角と推定操舵角との差が少ない、すなわち、無駄なステアリング操作が少ない運転を行なっている傾向があることを示す。また、差分の時間積分値が大きい範囲の度数が大きいほど実操舵角と推定操舵角との差いが多い、すなわち、無駄なステアリング操作が多い運転を行なっている傾向があることを示す。その後処理はS210に移される。
【0108】
S210にて、ブレーキECU20は、更新した頻度分布をデータセンタ100に送信する。ブレーキECU20は、更新した頻度分布についての情報をセントラルECU40およびDCM30を経由してデータセンタ100に送信する。その後この処理は終了される。なお、予め定められた条件が成立しないと判定される場合には(S202にてNO)、この処理は終了される。
【0109】
上述のS200の処理と、S202の処理と、S204の処理と、S206の処理と、S208の処理とが第2処理部24が実行する処理に含まれる。また、上述のS210の処理が第3処理部26が実行する処理に含まれる。
【0110】
データセンタ100は、車両2のDCM30から受信した情報を用いて車両2の運転者による運転の特徴の評価を行なうことが可能となる。すなわち、データセンタ100は、受信した頻度分布を用いて車両2の運転(特にステアリングホイールの操作)が運転に慣れた運転者によるものであるか、運転に慣れていない運転者によるものであるかの評価を行なうことが可能となる。
【0111】
DCM30からデータセンタ100に送信される情報には、たとえば、処理時刻、車両2の位置情報および推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値についての情報が含まれる。
【0112】
データセンタ100は、たとえば、熟練した運転者の運転による推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値の頻度分布と比較して、車両2の運転者の運転特性の評価を行なうようにしてもよい。データセンタ100は、たとえば、熟練した運転者の運転による推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値の第1平均値と、車両2の運転者の運転による推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値の第2平均値との差の大きさがしきい値以下である場合には、車両2の運転者が運転に慣れた運転者であるという評価を行なってもよい。あるいは、データセンタ100は、たとえば、第1平均値と第2平均値との差の大きさがしきい値よりも大きい場合には、車両2の運転者が運転に慣れていない運転者であるという評価を行なってもよい。
【0113】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本変形例におけるブレーキECU20の動作について説明する。
【0114】
たとえば、車両2の走行中において入力情報が取得されると(S200)、予め定められた条件が成立するか否かが判定される(S202)。車両2が走行中であって、かつ、操舵状態である場合に予め定められた条件が成立したと判定される(S202にてYES)。そのため、推定操舵角が算出されるとともに(S204)、算出された推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値が算出される(S206)。算出された差分の時間積分値を用いて頻度分布が更新される(S208)。更新された頻度分布は、データセンタ100に送信される(S210)。
【0115】
データセンタ100は、受信した頻度分布に基づいて車両2の運転者による運転の特徴について評価を行なうことができる。なお、頻度分布に基づく評価方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0116】
以上のようにして、本変形例に係る情報処理装置によると、複雑な装置を用いずに走行中の操舵状態であるか否かを判定できるとともに、走行中の操舵状態での推定操舵角と実操舵角との差分の時間積分値を特徴量として算出することにより、車両2の運転者が運転に慣れた運転者であるか、あるいは、運転に慣れていない運転者であるかを効率的に評価することができる。
【0117】
なお、上述の変形例では、ブレーキECU20は、頻度分布を更新毎にデータセンタ100に送信するものとして説明したが、たとえば、トリップ終了のタイミング(IGオフ時)に直前に更新された頻度分布をデータセンタ100に送信してもよい。
【0118】
また、上述の変形例では、ブレーキECU20が、走行中の操舵状態である間に特徴量を算出し、頻度分布を更新する場合を一例として説明したが、ブレーキECU20は、たとえば、走行中に操舵状態から操舵状態でなくなったときに操舵状態であった期間における推定操舵角と実操舵角との差分の時間積算値を用いて頻度分布を更新するようにしてもよい。
【0119】
さらに上述の実施の形態では、定常走行状態を予め定められた運転状態の一例として、定常走行状態での車速の履歴を特徴量として算出し、算出された特徴量を用いて頻度分布を算出することによって運転者の運転特性の評価を行なうものとして説明したが、予め定められた運転状態および特徴量としては上述のものに限定されるものではない。予め定められた運転状態は、車両の走行中に制動操作が行なわれたという運転状態を含むものとし、運転者の運転特性に関する特徴量は、制動開始後直近のブレーキ油圧のピーク値と、ピーク後の予め定められた期間におけるブレーキ油圧の平均値との差分を含むようにしてもよい。
【0120】
以下、図10を参照して、この変形例における車両2のブレーキECU20で実行される処理の他の一例について説明する。図10は、変形例においてブレーキECU20で実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、ブレーキECU20により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0121】
S300にて、ブレーキECU20は、入力情報に対応するデータを取得する。S300の処理は、上述のS100の処理と同様の処理内容であるため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS302に移される。
【0122】
S302にて、ブレーキECU20は、予め定められた条件が成立するか否かを判定する。予め定められた条件は、車両2の走行中に制動操作が行なわれたという運転状態であるか否かを判定するための条件を含む。ブレーキECU20は、たとえば、車両2の走行中に制動が開始されたというブレーキ油圧の履歴と、制動が終了したというブレーキ油圧の履歴とがある場合に予め定められた条件が成立したと判定する。ブレーキECU20は、たとえば、前輪50の回転速度がしきい値以上であるときに、ブレーキ油圧がしきい値(車両2の制動力が作用しないブレーキ油圧の範囲の上限値)よりも増加し、かつ、ブレーキ油圧が増加する時点以前の予め定められた期間にブレーキ油圧がゼロである場合に、車両2の走行中に制動が開始されたというブレーキ油圧の履歴があると判定する。ブレーキECU20は、その後にブレーキ油圧がしきい値以下になるときに制動が終了したというブレーキ油圧の履歴があると判定する。予め定められた条件が成立していると判定される場合(S302にてYES)、S304に移される。
【0123】
S304にて、ブレーキECU20は、制動操作が行なわれた期間におけるブレーキ油圧の履歴からピーク値を算出する。図11は、制動操作中における車速とブレーキ油圧と加速度との変化の一例を示す図である。図11の上段に車速の変化が示され、図11の中段にブレーキ油圧の変化が示され、図11の下段に車両2の加速度の変化が示される。図11の上段の縦軸は、車速を示し、横軸は時間を示す。図11の中段の縦軸は、ブレーキ油圧を示し、横軸は時間を示す。図11の下段の縦軸は、加速度を示し、横軸は、時間を示す。図11のLN3は、車速の変化履歴を示す。図11のLN4は、ブレーキ油圧の変化履歴を示す。図11のLN5は、加速度の変化履歴を示す。図11には、以下のような一連の動作による車速とブレーキ油圧と加速度との変化が示される。すなわち、車両2の走行中にブレーキペダルが踏み込まれて制動が開始されると、車速が低下していくとともにブレーキ油圧および減速度が増加する。その後運転者のブレーキペダルの踏力調整によってブレーキ油圧が一定に保たれた後に車両2が停止する。車両2が停止する際に、ブレーキペダルの踏み込みが解除される。
【0124】
ブレーキECU20は、たとえば、制動操作が行なわれた期間におけるブレーキ油圧の最大値をピーク値として算出する。ブレーキECU20は、たとえば、図11のLN4に示すブレーキ油圧の履歴のうちの時間t(3)におけるブレーキ油圧をピーク値として算出する。その後処理はS306に移される。
【0125】
S306にて、ブレーキECU20は、踏力調整中のブレーキ油圧の平均値を算出する。ブレーキECU20は、制動動作が行なわれた期間におけるブレーキ油圧の履歴から踏力調整中の期間(図11における時間t(4)から時間t(5)の期間)におけるブレーキ油圧の平均値を算出する。ブレーキECU20は、たとえば、ブレーキ油圧の単位時間当たりの変化量の大きさがしきい値以下となるブレーキ油圧の期間を踏力調整中の期間として当該期間中のブレーキ油圧の平均値を算出する。その後処理はS308に移される。
【0126】
S308にて、ブレーキECU20は、ブレーキ油圧のピーク値と平均値との差分の大きさの頻度分布を更新する。ブレーキECU20は、差分の大きさが、値の大きさの順序で区分された複数の範囲(たとえば、特大、大、中、小の4段階)のうちのいずれの範囲に対応するかを判定し、判定された範囲に対応する度数(回数)を予め定められた値(たとえば、1)だけ増加させる。この頻度分布においては、たとえば、差分の大きさが小さい範囲の度数が大きいほど制動操作を開始した初期に大きく制動力が発生するように制動操作を行なっていない(すなわち、制動操作に慣れてない)傾向があることを示す。また、この頻度分布においては、たとえば、差分の大きさが大きい範囲の度数が大きいほど制動操作を開始した初期に大きく制動力が発生するように制動操作を行なっている(すなわち、制動操作に慣れている)傾向があることを示す。その後処理はS310に移される。
【0127】
S310にて、ブレーキECU20は、更新した頻度分布をデータセンタ100に送信する。ブレーキECU20は、更新した頻度分布についての情報をセントラルECU40およびDCM30を経由してデータセンタ100に送信する。その後この処理は終了される。なお、予め定められた条件が成立しないと判定される場合には(S302にてNO)、この処理は終了される。
【0128】
上述のS300の処理と、S302の処理と、S304の処理と、S306の処理と、S308の処理とが第2処理部24が実行する処理に含まれる。また、上述のS310の処理が第3処理部26が実行する処理に含まれる。
【0129】
データセンタ100は、車両2のDCM30から受信した情報を用いて車両2の運転者による運転の特徴の評価を行なうことが可能となる。すなわち、データセンタ100は、受信した頻度分布を用いて車両2の運転(特に制動操作)が運転に慣れた運転者によるものであるか、運転に慣れていない運転者によるものであるかの評価を行なうことが可能となる。
【0130】
DCM30からデータセンタ100に送信される情報には、たとえば、処理時刻、車両2の位置情報およびピーク値と平均値の差分についての情報が含まれる。
【0131】
データセンタ100は、たとえば、熟練した運転者の運転によるピーク値と平均値との差分の大きさの頻度分布と比較して、車両2の運転者の運転特性の評価を行なうようにしてもよい。データセンタ100は、たとえば、熟練した運転者の運転によるピーク値と平均値との差分の大きさの第1平均値と、車両2の運転者の運転によるピーク値と平均値との差分の大きさの第2平均値との差の大きさがしきい値以下である場合には、車両2の運転者が運転に慣れた運転者であるという評価を行なってもよい。あるいは、データセンタ100は、たとえば、第1平均値と第2平均値との差の大きさがしきい値よりも大きい場合には、車両2の運転者が運転に慣れていない運転者であるという評価を行なってもよい。
【0132】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本変形例におけるブレーキECU20の動作について説明する。
【0133】
たとえば、車両2の走行中において入力情報が取得されると(S300)、予め定められた条件が成立するか否かが判定される(S302)。車両2の走行中に制動操作が開始され、その後に制動操作が終了したときに予め定められた条件が成立したと判定される(S302にてYES)。そのため、制動操作が行なわれた期間におけるブレーキ油圧の履歴からブレーキ油圧のピーク値が算出されるとともに(S304)、踏力調整中のブレーキ油圧の平均値が算出される(S306)。算出されたピーク値と平均値との差分の大きさを用いて頻度分布が更新される(S308)。更新された頻度分布は、データセンタ100に送信される(S310)。
【0134】
データセンタ100は、受信した頻度分布に基づいて車両2の運転者による運転の特徴について評価を行なうことができる。なお、頻度分布に基づく評価方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0135】
以上のようにして、本変形例に係る情報処理装置によると、複雑な装置を用いずに走行中に制動操作が行なわれたか否かを判定できるとともに、制動が行なわれた期間におけるブレーキ油圧のピーク値と踏力調整中のブレーキ油圧の平均値との差分の大きさを特徴量として算出することにより、車両2の運転者が運転に慣れた運転者であるか、あるいは、運転に慣れていない運転者であるかを効率的に評価することができる。
【0136】
なお、上述の変形例では、ブレーキECU20は、頻度分布を更新毎にデータセンタ100に送信するものとして説明したが、たとえば、トリップ終了のタイミング(IGオフ時)に直前に更新された頻度分布をデータセンタ100に送信してもよい。
【0137】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0138】
1 情報処理システム、2,3 車両、6 通信ネットワーク、7 基地局、11 制御装置、12 記憶装置、13 通信装置、14 通信バス、20 ブレーキECU、22 第1処理部、24 第2処理部、26 第3処理部、30 DCM、40 セントラルECU、50 前輪、52 後輪、54 車輪速センサ、60 操舵角センサ、62 ブレーキ油圧センサ、64 アクセル開度センサ、66 ヨーレートセンサ、68 Gセンサ、100 データセンタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11