(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-14
(45)【発行日】2025-07-23
(54)【発明の名称】ワークピースを層状あるいは連続的に形成するための構築プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/245 20170101AFI20250715BHJP
B29C 64/129 20170101ALI20250715BHJP
B29C 64/282 20170101ALI20250715BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20250715BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20250715BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250715BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20250715BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20250715BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/129
B29C64/282
B29C64/393
B28B1/30
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2021071975
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】10 2020 002 430.0
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンドリック
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259804(JP,A)
【文献】特開2012-206513(JP,A)
【文献】特表2012-505773(JP,A)
【文献】米国特許第09067359(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00
B29C 64/393
B28B 1/30
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光造形法においてワークピース(200)を層状あるいは連続的に形成するための構築プラットフォーム(100)であり:
後面から層(103-n)を照射するための後面側照明装置(101-1)と;
前面側照明装置(101-2)から層(103-n)および/または材料を通じたおよび/または偏向ミラーを介した光の光強度を検出する光センサ(105)と;
検出された前面側照明装置(101-2)の光強度が所与の閾値を超える場合に前記後面側照明装置(101-1)を活性化するプリンタから独立した制御装置(107)を備えてなる構築プラットフォーム。
【請求項2】
光造形法においてワークピース(200)を層状あるいは連続的に形成するための構築プラットフォーム(100)であり:
後面から層(103-n)を照射するための後面側照明装置(101-1)と、
第1の層(103-1)の作成を検出するための検出装置(106)と、
第1の層(103-1)の作成が検出された際に前記後面側照明装置(101-1)を活性化するプリンタから独立した制御装置(107)を備えてなる構築プラットフォーム。
【請求項3】
後面側照明装置(101-1)は発光ダイオードマトリクスから形成される請求項1または2記載の構築プラットフォーム(100)。
【請求項4】
後面側照明装置(101-1)の光強度あるいは照射時間がポテンショメータを使用して設定可能または内部制御装置によって制御可能であるか、および/またはカウンタを使用して後面から照射される層(103-n)の数を制御可能である請求項1ないし3のいずれかに記載の構築プラットフォーム(100)。
【請求項5】
構築プラットフォーム(100)が後面側照明装置(101-1)用のエネルギーを蓄積するための電気エネルギー蓄積装置(115)を備えるか、および/またはエネルギー蓄積装置が再充電可能なおよび/または交換可能な蓄電池からなる請求項1ないし4のいずれかに記載の構築プラットフォーム(100)。
【請求項6】
光センサ(105)が前面側照明の波長範囲に調和するフォトダイオードである請求項1ないし5のいずれかに記載の構築プラットフォーム。
【請求項7】
フォトダイオードが前面側照明装置の紫外線A波あるいは青色光領域の波長範囲において感応性である請求項6記載の構築プラットフォーム(100)。
【請求項8】
後面側照明装置を活性化するための所与の閾値がユーザによって設定可能である請求項1ないし7のいずれかに記載の構築プラットフォーム(100)。
【請求項9】
構築プラットフォーム(100)が後面側照明装置(101-1)と共にモジュール式に光造形装置(300)内に設置可能であるか、または後面側照明装置(101-1)がモジュラー式に構築プラットフォーム(100)上に装着可能あるいは押し込み可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の構築プラットフォーム(100)。
【請求項10】
請求項1ないし9に係る構築プラットフォームを備えた光造形装置(300)。
【請求項11】
第1の層に照射するために使用される前面側照明装置の光の一部を光センサに向かって偏向させそれによって後面側照明装置を活性化するような方式で光造形装置(300)を構成することを特徴とする請求項10記載の光造形装置(300)。
【請求項12】
構築プラットフォーム(100)によってワークピース(200)を層状あるいは連続的に形成する光造形法であり:
前面側照明装置(101-2)によって前面から層(103-n)を照射し(S101);
前記前面側照明装置(101-2)から層(103-n)および/または材料を通じたおよび/または偏向ミラーを介した光の光強度を光センサ(105)によって検出し(S102);
検出された前面側照明装置(101-2)の光強度が所与の閾値を超える場合にプリンタから独立した制御装置(107)によっ
て後面側照明装置(101-1)を活性化する(S103)、各工程からなる方法。
【請求項13】
構築プラットフォーム(100)によってワークピース(200)を層状あるいは連続的に形成する光造形法であり:
検出装置(106)によって第1の層の作成を検出し;
第1の層の作成が検出された際にプリンタから独立した制御装置(107)によって後面側照明装置(101-1)を活性化する、各工程からなる方法。
【請求項14】
後面側照明装置(101-1)の活性化が所与の層数に対しておよび/または層毎に調節された照射時間に従って実行される請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
構築プラットフォーム(100)の初期位置を決定するとともに層(103-n)の所与の層厚を設定するために構築処理における構築プラットフォーム(100)の高さを計算に取り入れる請求項12ないし14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光造形法においてワークピースを層状あるいは連続的に形成するための構築プラットフォームと、構築プラットフォームを備えた光造形装置と、構築プラットフォームによってワークピースを層状あるいは連続的に形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光造形工程に使用される光硬化性材料の吸収特性のため、槽底面の分離応力を上回る構築プラットフォーム上のワークピースの充分な付着性を生成するためにはマスク投射の光出力が部分的に不充分になり、そのため分離を実行した際に構成材料が槽底面に付着して残留する可能性がある。そのことは、構築プラットフォームの裏面照射による構築プラットフォームの基底層の付着性の能動的かつ一時的な上昇によって達成することができる。
【0003】
特許文献1により、光硬化性材料を処理するための装置が開示されている。構築プラットフォームに内蔵された後面側照明装置がプリンタの制御装置に接続され構築工程の第1層に対してプリンタ制御装置によって操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的な課題は、プリンタ制御から独立して動作するとともに形成された層の構築プラットフォームからの不用意な解離を簡便な方式で防止する、モジュラー式に交換可能で自律的な構築プラットフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は独立請求項の対象によって解決される。従属請求項の対象と発明の詳細な説明および添付図面によって好適な追加構成が定義される。
【0007】
第1の態様において前記の技術的課題は、後面から層を照射するための後面側照明装置と、前面側照明装置から層および/または材料を通じたおよび/または偏向ミラーを介した光の光強度を検出する光センサと、検出された前面側照明装置の光強度が所与の閾値を超える場合に前記後面側照明装置を活性化するプリンタから独立した制御装置を備えてなる、光造形法においてワークピースを層状あるいは連続的に形成するための構築プラットフォームによって解決される。それによって例えば、形成された第1の層が向かい合った二方向から照射されて硬化し、構築プラットフォームへの付着が向上するという技術的な利点が達成される。
【0008】
第2の態様によれば、後面から層を照射するための後面側照明装置と、第1の層の作成を検出するための検出装置106と、第1の層の作成が検出された際に前記後面側照明装置を活性化するプリンタから独立した制御装置を備えてなる、光造形法においてワークピースを層状あるいは連続的に形成するための構築プラットフォームによって前記の技術的課題が解決される。それによって第1の態様に係る構築プラットフォームと同様な技術的利点が達成される。
【0009】
検出装置106は例えば機械的な走査器あるいは距離測定器を含むことができ、それが構築プラットフォームに内蔵され第1の層に対してトリガされる。検出装置106はカウンタを活性化するように構成することができ、それによって形成された層の数をカウントし所与の閾値未満の際、例えば最初の5層に対し後面側照明装置を活性化する。製造処理の開始に際して構築プラットフォームが走査器に向かって後退動作することができる。活性化は、近距離無線通信(NFC)を使用して所定の高さまで実行することができる。
【0010】
技術的に好適な構築プラットフォームの実施形態によれば、後面側照明装置は発光ダイオードマトリクスから形成される。それによって例えば、小さなエネルギー消費で大面積の照射および硬化が実行されるという技術的な利点が達成される。
【0011】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、後面側照明装置の光強度あるいは照射時間がポテンショメータを使用して設定可能かあるいは内部制御装置によって制御可能である。それによって例えば、光強度が手動あるいは自動的に制御可能で使用される材料に適合させ得るという技術的な利点が達成される。
【0012】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、カウンタを使用して後面から照射される層の数を制御することができる。それによって例えば、他の層が過度に光を吸収して光センサがもはや作動していない際に後面照明装置が第1の層のみに対してトリガされるべきであるという技術的な利点が達成される。光が不足している場合でもカウンタが所与の層数に到達するまで追加的な後面の照明を実行することができる。
【0013】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、構築プラットフォームが後面側照明装置用のエネルギーを蓄積するための電気エネルギー蓄積装置を備える。それによって例えば、自律的かつ外部からの接続ケーブルを伴わずに構築プラットフォームが所要のエネルギーを供給し得るという技術的な利点が達成される。
【0014】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、エネルギー蓄積装置が再充電可能なおよび/または交換可能な蓄電池からなる。それによって例えば、エネルギー蓄積装置がリサイクル可能になるという技術的な利点が達成される。
【0015】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、光センサが前面側の照明の波長範囲に適合するフォトダイオードである。フォトダイオードは例えば炭化ケイ素フォトダイオードあるいはシリコンフォトダイオードとされる。それによって例えば、光強度を高い精度で測定することができるという技術的な利点が達成される。
【0016】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、フォトダイオードが前面側照明装置の紫外線A波あるいは青色光領域の波長範囲において感応性である。それによって例えば、材料の硬化に適した波長範囲を捕捉し得るという技術的な利点が達成される。
【0017】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、後面側照明装置を活性化するための所与の閾値がユーザによって設定可能である。それによって例えば、使用される材料に閾値を適応させ得るという技術的な利点が達成される。
【0018】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、構築プラットフォームが後面側照明装置と共にモジュール式に光造形装置内に設置可能である。それによって例えば、構築プラットフォームが交換可能になるという技術的な利点が達成される。
【0019】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、後面側照明装置がモジュラー式に構築プラットフォーム上に装着可能あるいは押し込み可能である。それによって例えば、照明装置が選択的に使用可能あるいは交換可能であり、また材料に極めて適合する照明装置を使用し得るという技術的な利点が達成される。
【0020】
技術的に好適な構築プラットフォームの別の実施形態によれば、構築プラットフォームがワイヤレスに作動可能である。それによって例えば、構築プラットフォームの構造ならびに取り扱いが単純になるという技術的な利点が達成される。
【0021】
第3の態様によれば、上記第1および第2の態様に係る構築プラットフォームを備えた光造形装置によって技術的な課題が解決される。この光造形装置によって、上記第1および第2の態様に係る構築プラットフォームと同様な技術的利点が達成される。
【0022】
技術的に好適な光造形装置の実施形態によれば、第1の層に照射するために使用される前面側照明装置の光の一部を光センサに向かって偏向させそれによって後面側照明装置を活性化するような方式で光造形装置を構成する。それによって例えば、製造プロセス/照明プロセスによって自律的かつ間接的に後面側の照明が活性化され、プリンタによる直接的な制御が不要になるという技術的な利点が達成される。
【0023】
第4の態様によれば、前面側照明装置によって前面から層を照射し;前記前面側照明装置から層および/または材料を通じたおよび/または偏向ミラーを介した光の光強度を光センサによって検出し;検出された前面側照明装置の光強度が所与の閾値を超える場合にプリンタから独立した制御装置によって前記後面側照明装置を活性化する、各工程からなる構築プラットフォームによってワークピースを層状あるいは連続的に形成する光造形法によって技術的な課題が解決される。この方法によって上述した第1の態様に係る構築プラットフォームと同様な技術的利点が達成される。
【0024】
第5の態様によれば、検出装置106によって第1の層の作成を検出し;第1の層の作成が検出された際にプリンタから独立した制御装置によって後面側照明装置を活性化する、各工程からなる構築プラットフォームによってワークピースを層状あるいは連続的に形成する光造形法によって技術的な課題が解決される。
【0025】
前記の方法の技術的に好適な実施形態によれば、後面側照明装置の活性化が所与の層数に対しておよび/または層毎に調節された照射時間に従って実行される。それによって例えば、後面で硬化する材料の重合度合を高い精度で制御し得るという技術的な利点が達成される。
【0026】
前記の方法の技術的に好適な別の実施形態によれば、構築プラットフォームの初期位置を決定するとともに層の所与の層厚を設定するために構築処理における構築プラットフォームの高さを計算に取り入れる。それによって例えば、構築プラットフォームを交換した場合でも目標層厚を維持し得るという技術的な利点が達成される。
【0027】
次に、本発明の実施例につき添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】光造形法における構築プラットフォームの状態を概略的に示した説明図である。
【
図2】光造形法における構築プラットフォームの別の状態を概略的に示した説明図である。
【
図3】光造形法における構築プラットフォームのさらに別の状態を概略的に示した説明図である。
【
図4】ワークピースを層状あるいは連続的に形成する方法を示したブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、光造形法における構築プラットフォーム100の状態を概略的に示した断面図である。構築プラットフォーム100は光造形装置においてワークピース200を層状あるいは連続的に形成するように作用する。そのため構築プラットフォーム100の下面が光によって硬化可能な粘性の材料109内に存在する。1つの層が硬化すると、構築プラットフォームが照射レベルから移動して再び後続の層厚に設定され、従って再度粘性の材料が流入可能になってその後硬化する。材料109は例えば歯科補綴物を製造するためのセラミックスラリである。しかしながら、一般的にその他の材料を加工することもできる。
【0030】
構築プラットフォーム100は、材料109の層103-nに後面から照射する後面側照明装置101-1を備える。照明装置101-1は、透明な面117の後側に配置された複数の発光ダイオード113を備える。発光ダイオード113は例えば220ないし500nmの波長範囲の光を放出することができる。スペクトルの極大は例えば365nm、385nm、405nm、あるいは460nmとすることができる。しかしながら、一般的にその他の波長も使用可能である。
【0031】
後面側の照明によって材料109が直接構築プラットフォーム100の透明な面117上で硬化し、構築プラットフォーム上に強固に付着する層(バーンイン層)を形成する。この方式によって構築プラットフォーム100からのワークピースの不用意な離脱を防止することができる。後面側照明装置101-1の光強度および/または照射時間はポテンショメータによって層毎に設定するか、または内部制御装置によって層毎に自動調節することができる。
【0032】
構築プラットフォーム100は、後面側照明装置101-1のエネルギーを蓄積するための電気エネルギー蓄積装置115を備える。このエネルギー蓄積装置115によって、そのためにケーブルを構築プラットフォーム100に接続する必要なく後面側照明装置101-1に自律的に電気エネルギーを供給することができる。電気エネルギー蓄積装置115は例えばバッテリーパックあるいは蓄電池パックとすることができる。
【0033】
光造形装置300は、構築プラットフォーム100と逆側に前面側照明装置101-2を備える。前面側照明装置101-2は、透明な底床111の下方に配置されたデジタル投光ユニット113を備える。前面側照明装置101-2は、透明な槽底面を介して構築プラットフォームの反対側から層状に材料を硬化させるよう作用する。投光ユニット113によって材料上に任意のパターンを投射することができる。そのため投光ユニット113はデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)あるいは液晶ディスプレイ(LCD)を備えることができる。
【0034】
構築プラットフォーム100は、材料109を介して前面側照明装置101-2からの光の光強度を検出するために適した光センサ105を備える。光センサ105は例えばフォトダイオードによって形成することができる。形成されたワークピースがより多数の層を有するほど、光センサ105によって検出される光強度が低くなる。光センサ105は構築フィールド(=照射フィールド)の角部に配置され、層103の照明に反応することができる。
【0035】
その効果は後面側照明装置101-1を専ら第1の層103-nのみに対して活性化するために利用することができ、それによって一方で透明な面117上の既に硬化した層の不要な照射を防止し、他方で不必要に多数の層を大面積に硬化させて無駄に材料を消費することを無くす。加えて、電力が節約される。そのため、検出された前面側照明装置101-2の光強度が所与の閾値超える場合にのみ後面側照明装置101-1を活性化する電子制御装置107を構築プラットフォーム100が備える。前記の閾値は任意の数値に設定することができる。結果として構築プラットフォーム100のエネルギー蓄積装置115をより長く使用することができる。検出された光強度が所与の閾値未満にある場合、すなわち既に特定数の層が存在する場合、後面側照明装置101-1が活性化されなくなる。加えて、後面から照射される層の数は調節可能なカウンタによって制御することができる。前記カウンタは形成された層の数を最初からカウントする。形成された層が所与の数になるまで、後面側照明装置101-1が活性化される。
【0036】
図2には、光造形法における構築プラットフォーム100の別の状態が示されている。この場合ワークピースの第1の層が形成される。前面側照明装置101-2からの光の一部が材料を貫通して光センサ105に照射される。
【0037】
唯1層の材料層のみしか存在しない場合、光センサ105が前面側照明装置101-2の高い光強度を検出する。材料層を介して進行する光は、極僅かな割合で材料層によって吸収される。層の数が増えるほど光強度が相当に低下する。層の数が少ない場合光強度が所与の閾値を超えるため、それに応答して後面側照明装置101-1が活性化される。結果として層が前面側照明装置101-2と後面側照明装置101-1の双方から全面的に照射される。それによって構築プラットフォーム100に強固に付着する層(バーンイン層)が形成される。
【0038】
図3には、光造形法における構築プラットフォーム100の別の状態が示されている。層103-nが硬化して構築プラットフォーム100の透明な面117上に付着する。続いて構築プラットフォーム100が持ち上げられ、後続の層103-nが形成される。層103-nの数が増えるほど検出される光強度が低下する。検出された光強度が所与の閾値未満まで低下すかカウンタが満了になると同時に、後面側照明装置101-1が停止される。それによって所要のバーンイン層の数および重合度合を正確に制御し、エネルギー蓄積装置115の寿命を不要に短縮させることなく、またプリンタによる制御を排除することができる。
【0039】
構築プラットフォーム100は、いくつの層が後面側から照射されるべきかを決定するカウンタを備えることができる。追加的に、前面側照明装置101-2からの光を直接光センサ105に向かって偏向させることができる偏向ミラーを設けることができる。構築プラットフォーム100がデジタルメモリを備えることもでき、その中に例えば高さ等の寸法値をデジタル数値として記録することができる。このデジタル数値は光造形装置300によって読み取ることができ、それによって透明な底床111に対する後面側照明ユニットを有する構築プラットフォームの初期位置(0位置)を計算して所要のZ値に設定することができる。
【0040】
図4には、構築プラットフォーム100によってワークピース200を層状あるいは連続的に形成する方法のブロック線図が示されている。第1の工程S101において層103-nが前面側照明装置101-2によって前面から照射される。その後第2の工程S102において、前面側照明装置101-2から層103-nおよび/または材料109を通じたおよび/または偏向ミラーを介した光の光強度が光センサ105によって検出される。工程S103においては、検出された前面側照明装置101-2の光強度が所与の閾値を超える場合に制御装置107によって後面側照明装置101-1を活性化する。前記検出された光強度が所与の閾値未満である場合は後面側照明装置101-1が停止される。
【0041】
後面側照明装置101-1の活性化は、所与の数の層103-nに対して実行することができる。そのため、形成された層の数をカウントするカウンタを設けることができる。構築処理を実行するためにその構築処理に対する構築プラットフォーム100の高さを算定することができ、それによって構築プラットフォーム100の初期位置を決定するとともに層103-nの所与の層厚を設定する。
【0042】
後面側照明装置101-1が内蔵された構築プラットフォーム100は、光造形装置300と電気的に接続することなく後付けして作動させることができる。後面側照明装置101-1は内蔵された光センサを介して一般的なバーンイン層のマスク投射によって制御あるいはトリガすることができる。
【0043】
すなわち後面側照明装置101-1の制御は、前面側照明装置101-2による基礎層の照射によってトリガされる光センサ105を使用して実行される。従って後面側照明装置101-1は、マスク投射に同期して制御あるいは活性化することができる。
【0044】
後面側の照射は、バーンイン層の実質的な照射と同期して第1ないし第5の層103に対して一時的に実行される。電力供給は構築プラットフォーム100に内蔵されたエネルギー蓄積装置115によって光造形装置300の他の部分から独立して実行される。
【0045】
光センサ105を介した間接的な制御によって、光造形装置300の他の部分との機械的な接触および電気的な接続を伴わずに後面側照明装置101-1を活性化することができる。エネルギー蓄積装置115が独立したエネルギー供給を可能にし、そのため外部ケーブルが不要になる。
【0046】
一般的に光造形プリンタ等の光造形装置300は、制御装置に接続された後面側照明装置101-1を有する構築プラットフォーム100を備えていないことが多い。自律的な構築プラットフォーム100は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの変更を伴う必要なく光造形装置300への後付けが可能である。後付けされた構築プラットフォーム100はプリンタ制御装置から独立して動作し、構築処理中の前面側照明装置101-2の照射を介してのみ制御/トリガされる。
【0047】
本発明の個々の実施形態に関連して説明した全ての特徴を多様な組み合わせで本発明の対象に適用することができ、それによってそれらの好適な効果を同時に実現することができる。
【0048】
全ての方法工程を、各方法工程を実行するために適した装置によって実施することができる。対象とする特徴によって実行することができる全ての機能を本発明の方法の方法工程とすることができる。
【0049】
本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、発明の詳細な説明および添付図面に示された特徴によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0050】
100 構築プラットフォーム
101-1 後面側照明装置
101-2 前面側照明装置
103 層
105 光センサ
107 電子制御装置
109 材料
111 底床
113 発光ダイオード
115 エネルギー蓄積装置
117 透明な面
200 ワークピース
300 光造形装置