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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-14
(45)【発行日】2025-07-23
(54)【発明の名称】粒径測定装置、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/08 20060101AFI20250715BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20250715BHJP
【FI】
G01B11/08 H
G06T7/62
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022043625
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2023137418
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2024-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】桑名 孝汰
(72)【発明者】
【氏名】加藤 嗣憲
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-63936(JP,A)
【文献】特開2002-188990(JP,A)
【文献】特開2014-178300(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181942(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221592(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/08
G06T 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積された、球形状の複数の物体を撮像して画像を生成する撮像部と、
前記撮像部で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理部と、
前記2値化処理部で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理部と、
前記抽出処理部で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理部で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力部とを備え、
前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、
前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、
粒径測定装置。
【請求項2】
前記複数の物体を照明する照明部をさらに備える、
請求項1に記載の粒径測定装置。
【請求項3】
前記2値化処理部で2値化する前に、前記撮像部で生成した画像についてシェーディング補正するシェーディング補正処理部をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の粒径測定装置。
【請求項4】
前記2値化処理部で2値化する前に、前記撮像部で生成した画像について平滑化する平滑化処理部をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の粒径測定装置。
【請求項5】
前記抽出処理部で抽出する前に、複数の球形状が連結して成る前記明領域を、球形状の明領域に分離する分離処理部をさらに備える、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粒径測定装置。
【請求項6】
前記抽出処理部で抽出する前に、前記明領域の外周を、径方向外側に所定の長さだけ広げる膨張処理を、1回または複数回、行う膨張処理部をさらに備える、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粒径測定装置。
【請求項7】
前記抽出処理部で抽出する前に、前記明領域の形状を、最も近似する楕円形状に変形する楕円近似処理部をさらに備える、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粒径測定装置。
【請求項8】
堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理部と、
前記2値化処理部で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理部と、
前記抽出処理部で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理部で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力部とを備え、
前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、
前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、
粒径測定装置。
【請求項9】
堆積された、球形状の複数の物体を撮像して画像を生成する撮像工程と、
前記撮像工程で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理工程と、
前記2値化処理工程で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理工程と、
前記抽出処理工程で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理工程で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力工程とを備え、
前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、
前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、
粒径測定方法。
【請求項10】
堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で取得した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理工程と、
前記2値化処理工程で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理工程と、
前記抽出処理工程で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理工程で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力工程とを備え、
前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、
前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、
コンピュータによって実行される粒径測定方法。
【請求項11】
堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で取得した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理工程と、
前記2値化処理工程で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理工程と、
前記抽出処理工程で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理工程で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力工程とを備え、
前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、
前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、
コンピュータによって実行される粒径測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆積された球形状の物体における粒径を測定する粒径測定装置、粒径測定方法および粒径測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
粒径(粒子径)の測定は、粒子状の原材料や製品を扱う様々な分野で、例えば製造条件の設定や品質評価等のために、必要とされている。一例では、高炉の原料である鉄鉱石ペレットは、ペレット原料である粉鉱石に必要に応じて副原料やバインダを添加し、さらに所定量の水分を加えて造粒機によって生ペレットを造粒し、これを乾燥および焼成することによって、製造される。生ペレットの造粒段階において、ペレット原料の粒度、供給量、添加水分量等の造粒条件の変動や造粒機内への付着物の生成状況の変化等によって、生ペレットの粒度が変動することが知られている。一方、高炉の原料には、高炉内における通気性を確保するために均一なペレット径であることが要求される。そのため、造粒機で造粒された生ペレットの粒度が測定される(例えば特許文献1および特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6099525号公報(特開2014-178300号公報)
【文献】特許第6590072号公報(国際公開第2018/181942号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、造粒後の粒子は、次工程あるいは貯蔵所に搬送されるため、搬送中に前記粒子の粒径が測定されることが好ましい。このような場合、いわゆる篩試験では、搬送中の粒子を抜き取る必要があるため、好ましくない。また、搬送中の粒子は、通常、数層に堆積しているため、上方から観測した場合、相対的に下部に存在する粒子は、実寸よりも小さく見えてしまう。このため、上部に表出した粒子のみを識別してその粒径を測定した上で、全体の粒径を代表させることが好ましい。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、球形状の物体を抜き取ることなく、複数の前記物体が堆積している場合に、上部に表出した前記物体のみを認識して粒径を測定できる粒径測定装置、粒径測定方法および粒径測定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる粒径測定装置は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像して画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理部と、前記2値化処理部で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理部と、前記抽出処理部で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理部で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力部とを備え、前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である。
【0007】
このような粒径測定装置は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像に基づいて前記物体の粒径を測定するので、前記篩試験のように、前記物体を抜き取る必要がない。上記粒径測定装置は、面積に基づく明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出するので、複数の前記物体が堆積している場合に、上部に表出した前記物体のみを認識して粒径を測定できる。
【0008】
他の一態様では、上述の粒径測定装置において、前記複数の物体を照明する照明部をさらに備える。
【0009】
このような粒径測定装置は、照明部をさらに備えるので、一定の照明環境下で粒径を測定できるから、静止した被写体は元より、被写体が搬送すなわち移動している状況下であっても十分な照度が確保されるため、撮像の際の露光時間を抑えることで(すなわちシャッタースピードを高速にすることで)鮮明な画像を生成することができ、測定精度のばらつきを低減できる。
【0010】
他の一態様では、これら上述の粒径測定装置において、前記2値化処理部で2値化する前に、前記撮像部で生成した画像についてシェーディング補正するシェーディング補正処理部をさらに備える。
【0011】
このような粒径測定装置は、シェーディング補正処理部をさらに備えるので、空間的に照度むらがある場合でも、前記照度むらを低減でき、より精度良く粒径を測定できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の粒径測定装置において、前記2値化処理部で2値化する前に、前記撮像部で生成した画像について平滑化する平滑化処理部をさらに備える。
【0013】
このような粒径測定装置は、平滑化処理部をさらに備えるので、物体表面の形状や付着物等に起因する輝度差を低減でき、より精度良く粒径を測定できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の粒径測定装置において、前記抽出処理部で抽出する前に、複数の球形状が連結して成る前記明領域を、球形状の明領域に分離する分離処理部をさらに備える。
【0015】
このような粒径測定装置は、分離処理部をさらに備えるので、複数の球形状が連結していても分離でき、より精度良く粒径を測定できる。
【0016】
他の一態様では、これら上述の粒径測定装置において、前記抽出処理部で抽出する前に、前記明領域の外周を、径方向外側に所定の長さだけ広げる膨張処理を、1回または複数回、行う膨張処理部をさらに備える。
【0017】
このような粒径測定装置は、膨張処理部をさらに備えるので、物体の外周部が暗く写り込んでいる場合には実寸よりも小さく測定されてしまうが、このような場合でも、明領域の外周を膨張させるので、より実寸に近づけて粒径を測定できる。
【0018】
他の一態様では、これら上述の粒径測定装置において、前記抽出処理部で抽出する前に、前記明領域の形状を、最も近似する楕円形状に変形する楕円近似処理部をさらに備える。
【0019】
このような粒径測定装置は、楕円近似処理部をさらに備えるので、堆積された、球形状の複数の物体に対し、僅かに重なって形状が見え難くなった前記物体について、楕円近似により形状を復元でき、測定可能な物体数を増加できる。
【0020】
本発明の他の一態様にかかる粒径測定装置は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理部と、前記2値化処理部で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理部と、前記抽出処理部で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理部で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力部とを備え、前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である。
【0021】
このような粒径測定装置は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像に基づいて前記物体の粒径を測定するので、前記篩試験のように、前記物体を抜き取る必要がない。上記粒径測定装置は、面積に基づく明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出するので、複数の前記物体が堆積している場合に、上部に表出した前記物体のみを認識して粒径を測定できる。
【0022】
本発明の他の一態様にかかる粒径測定方法は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像して画像を生成する撮像工程と、前記撮像工程で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理工程と、前記2値化処理工程で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理工程と、前記抽出処理工程で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理工程で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力工程とを備え、前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である。
【0023】
本発明の他の一態様にかかる粒径測定方法は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で取得した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理工程と、前記2値化処理工程で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理工程と、前記抽出処理工程で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理工程で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力工程とを備え、前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、コンピュータによって実行される方法である。
【0024】
本発明の他の一態様にかかる粒径測定プログラムは、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で取得した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理工程と、前記2値化処理工程で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理工程と、前記抽出処理工程で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理工程で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力工程とを備え、前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数であり、前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である、コンピュータによって実行されるプログラムである。
【0025】
このような粒径測定方法および粒径測定プログラムは、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像に基づいて前記物体の粒径を測定するので、前記篩試験のように、前記物体を抜き取る必要がない。上記粒径測定方法および粒径測定プログラムは、面積に基づく明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出するので、複数の前記物体が堆積している場合に、上部に表出した前記物体のみを認識して粒径を測定できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる粒径測定装置、粒径測定方法および粒径測定プログラムは、球形状の物体を抜き取ることなく、複数の前記物体が堆積している場合に、上部に表出した前記物体のみを認識して粒径を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態における粒径測定装置の構成を示すブロック図である。
図2】前記粒径測定装置における撮像部および照明部の配設状況を説明するための図である。
図3】前記粒径測定装置で実行されるシェーディング補正を説明するための図である。
図4】前記粒径測定装置で実行される膨張処理を説明するための図である。
図5】一例として、前記膨張処理を2回実施した処理結果を示す図である。
図6】前記粒径測定装置で実行される楕円近似処理を説明するための図である。
図7】前記粒径測定装置の動作を示すフローチャートである。
図8】2値化処理および抽出処理のみを実施した場合の結果を説明するための図である。
図9】2値化処理、膨張処理および抽出処理のみを実施した場合の結果を説明するための図である。
図10】2値化処理、膨張処理、楕円近似処理および抽出処理のみを実施した場合の結果を説明するための図である。
図11】前記粒径測定装置で求めた粒径と実測の粒径との相関を示す図である。
図12】一実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0029】
実施形態における粒径測定装置は、堆積された、球形状の複数の物体における前記物体の粒径を測定する装置である。この粒径測定装置は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像して画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理部と、前記2値化処理部で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理部と、前記抽出処理部で抽出した明領域の前記径を、前記抽出処理部で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力する出力部とを備える。前記真円度は、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長に対する長軸長の比であるアスペクト比の逆数である。前記円形度は、前記明領域の面積を、前記明領域の周囲長の2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である。以下、このような粒径測定装置、ならびに、これに実装される粒径測定方法および粒径測定プログラムについて、一例として、高炉の造立プロセスに適用される例を用いて説明するが、前記物体は、鉄鉱石ペレットに限定されるものではなく、堆積された、球形状の物体であれば、任意の物質(例えば原材料や製品等)であってよい。
【0030】
図1は、実施形態における粒径測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、前記粒径測定装置における撮像部および照明部の配設状況を説明するための図である。図3は、前記粒径測定装置で実行されるシェーディング補正を説明するための図である。図4は、前記粒径測定装置で実行される膨張処理を説明するための図である。図4Aは、一例として、膨張処理の対象となる2値化画像を示し、図4Bは、図4Aに示す2値化画像を膨張処理した処理結果の画像を示す。図5は、一例として、前記膨張処理を2回実施した処理結果を示す図である。図5Aは、一例として、膨張処理の対象となる2値化画像を示し、図5Bは、図5Aに示す2値化画像を膨張処理した処理結果の画像を示し、図5Cは、図5Bに示す画像をさらに膨張処理した処理結果の画像を示す。図5Aに示す画像は、図4Aに示す2値化画像と同一であり、したがって、図5Bに示す画像は、図4Bに示す画像と同一である。図6は、前記粒径測定装置で実行される楕円近似処理を説明するための図である。
【0031】
実施形態における粒径測定装置Dは、例えば、図1および図2に示すように、撮像部1と、照明部2(2-1、2-2)と、制御処理部3と、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7とを備える。
【0032】
撮像部1は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、堆積された、球形状の複数の物体を撮像して画像を生成する装置である。撮像部1は、例えば、撮像対象における光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記撮像対象における光学像を電気的な信号に変換するエリアイメージセンサ、および、エリアイメージセンサの出力を画像処理することで前記撮像対象における画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタルカメラである。撮像部1は、カラーのデジアルカメラであってよいが、後述するように、本実施形態では、画像の輝度値を2値化するので、モノクロのデジタルカメラであってよい。
【0033】
照明部2は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、前記堆積された、球形状の複数の物体を照明する装置である。なお、照明部2は、制御処理部3に接続されずに、マニュアル操作により、オンオフされてもよい。
【0034】
高炉の造粒プロセスでは、例えばパン型やドラム型等の造粒機が設けられている。造粒機には、原料の粉鉱石に、必要に応じて副原料を配合し、例えば生石灰やベントナイト等のバインダを配合し、さらに所定量の水分を添加した造粒原料が供給され、造粒機を所定の傾斜角度および回転数で回転することによって、前記造粒原料が生ペレットに造粒される。造粒機から排出された生ペレットObは、搬出用コンベアBCで搬出され、振動篩を経由して所定の粒度幅に篩われた後、乾燥および焼成のために、例えばグレート・キルン等の焼成炉(焼結機)へ搬送される。
【0035】
本実施形態では、粒径測定装置Dは、一例として、このような高炉の造粒プロセスに利用され、略リアルタイムに鉄鉱石ペレットの粒径を測定するために、撮像部1は、前記搬出用コンベアBC上に乗って搬送される、堆積された複数の生ペレット(前記堆積された、球形状の複数の物体の一例)Obを上方から、より具体的には、図2に示すように、直上から撮像するように、その光軸が前記搬出用コンベアBCにおける搬送面の法線方向(図2の紙面上下方向、Z方向)に沿って配設され、照明部2は、生ペレットObを斜め上方から照明するように、配設される。図2に示す例では、照明部2は、2個の第1および第2照明部2-1、2-2を備え、前記搬出用コンベアBCの搬送方向(図2の紙面奥行き方向、X方向)および前記搬送面の法線方向それぞれに直交する方向(図2の紙面左右方向、Y方向)に沿って撮像部1を介して並置される。このように撮像部1の左右から1対の照明部2-1、2-2によって、搬出用コンベアBC上において生ペレットObの有無に応じて輝度の変化を生じるような明るさで生ペレットObの影を生成するように生ペレットObを意図的に照明することで、測定対象の生ペレットObにおける輝度変化を安定的に出現できる。そして、被写体が搬送すなわち移動している状況下であっても十分な照度が確保されるため、撮像の際の露光時間を抑えることで鮮明な画像を生成することができる。したがって、粒径測定装置Dは、このような一定の照明環境下で粒径を測定できるので、測定精度のばらつきを低減できる。なお、いわゆる迷光を防止するために、このような第1および第2照明部2-1、2-2を覆うように設けられ、外部からの光を遮光する遮光部材(例えば暗幕等)が用いられてもよい。
【0036】
入力部4は、制御処理部3に接続され、例えば粒径の測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば測定の年月日等の、粒径測定装置Dの稼働を行う上で必要な各種データを粒径測定装置Dに入力する装置であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。出力部5は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、入力部4から入力されたコマンドやデータ、および、粒径測定装置Dによって求められた粒径等を出力する装置であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0037】
なお、入力部4および出力部5は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部4は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部5は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として粒径測定装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い粒径測定装置Dが提供される。
【0038】
IF部6は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部6は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であっても良い。
【0039】
記憶部7は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、粒径測定装置Dの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、撮像部1で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成する2値化処理プログラムや、前記2値化処理プログラムで生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する抽出処理プログラムや、前記2値化処理プログラムで2値化する前に、前記撮像部1で生成した画像についてシェーディング補正するシェーディング補正処理プログラムや、前記2値化処理プログラムで2値化する前に、前記撮像部1で生成した画像について平滑化する平滑化処理プログラムや、前記抽出処理プログラムで抽出する前に、複数の球形状が連結して成る前記明領域を、球形状の明領域に分離する分離処理プログラムや、前記抽出処理プログラムで抽出する前に、前記明領域の外周を、径方向外側に所定の長さだけ広げる膨張処理を、1回または複数回、行う膨張処理プログラムや、前記抽出処理プログラムで抽出する前に、前記明領域の形状を、最も近似する楕円形状に変形する楕円近似処理プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば、撮像部1で撮像した画像、前記所定の範囲(その下限値および上限値)、前記第1閾値および前記第2閾値等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部7は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部7は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部3のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部7は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0040】
制御処理部3は、粒径測定装置Dの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、球形状の物体における粒径を求めるための回路である。制御処理部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3は、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、シェーディング補正処理部32、平滑化処理部33、2値化処理部34、分離処理部35、膨張処理部36、楕円近似処理部37および抽出処理部38を機能的に備える。なお、前記球形状の物体における粒径は、後述するように、抽出処理部38によって、前記球形状の物体として認定して抽出する抽出処理の中で求められる。
【0041】
制御部31は、粒径測定装置Dの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、粒径測定装置Dの全体制御を司るものである。
【0042】
2値化処理部34は、前記撮像部1で生成した画像を、輝度値に基づき2値化して2値化画像を生成するものである。2値化処理部34については、後述する。
【0043】
抽出処理部38は、前記2値化処理部34で生成した2値化画像における1または複数の明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出するものである。抽出処理部38については、後述する。
【0044】
シェーディング補正処理部32は、前記2値化処理部34で2値化する前に、前記撮像部1で生成した画像についてシェーディング補正するものである。前記シェーディング補正は、画像を生成する際に用いられた光学系に起因して生じる輝度むらを補正するものである。本実施形態では、例えば、図3に示すように、シェーディング補正処理部32は、入力画像IP1から、前記入力画像IP1を平滑化した第1平滑化画像SP1を減算し、この減算結果に、前記入力画像IP1の平均輝度画像APを加算することによって、前記入力画像IP1をシェーディング補正したシェーディング補正画像CPを生成する。前記入力画像IP1は、本実施形態では、撮像部1で生成した画像である。
【0045】
前記第1平滑化画像SP1は、例えば、単純平均する画像フィルタの平均化フィルタによって前記入力画像IP1をフィルタリング処理することによって生成される。前記第1平滑化画像SP1を、この平均化フィルタによるフィルタリング処理で生成する場合、画像処理する着目画像の画素位置を(x、y)とすると、画像処理後の画素値a’(x、y)は、次式1によって求められる。
【0046】
【数1】
ここで、Xは、着目画素から見た平均化フィルタの横方向の画素範囲であり、Yは、前記着目画素から見た前記平均化フィルタの縦方向の画素範囲である。kは、前記平均化フィルタの縦方向および横方向のサイズであり、入力画像の縦方向および横方向より十分に小さい適宜な値に設定される。
【0047】
あるいは、例えば、前記第1平滑化画像SPは、ガウス関数を用いた画像フィルタのガウシアンフィルタによって前記入力画像IP1をフィルタリング処理することによって生成される。前記平均輝度画像APは、前記入力画像IP1における各画素の輝度値の平均値を平均輝度値として求め、この平均輝度値を各画素の画素値とした画像である。
【0048】
平滑化処理部33は、前記2値化処理部34で2値化する前に、前記撮像部1で生成した画像について平滑化するものである。本実施形態では、撮像部1で生成した画像をシェーディング補正した後に、平滑化するので、平滑化処理部33は、シェーディング補正処理部32でシェーディング補正したシェーディング補正画像を、画像の輝度値を滑らかにする画像フィルタの平滑化フィルタによって、シェーディング補正画像を平滑化した第2平滑化画像を生成する。前記平滑化フィルタには、平均化フィルタやガウシアンフィルタが用いられる。
【0049】
2値化処理部34は、平滑化処理部33で平滑化された第2平滑化画像を、輝度値に基づき2値化し、前記第2平滑化画像を2値化した2値化画像を生成する。この2値化には、例えば、いわゆる大津の2値化処理が用いられる。この大津の2値化処理は、2値化の対象となる画像(入力画像、ここでは第2平滑化画像)のヒストグラムを求め、前記ヒストグラムを2分した場合、一方の分散と両者間の分散の比を分離度と定義し、前記分離度が最大となる、2分する位置のヒストグラムの階級を、閾値として2値化する処理である。
【0050】
分離処理部35は、前記抽出処理部38で抽出する前に、複数の球形状が連結して成る前記明領域を、球形状の明領域に分離(輪郭分離)するものである。本実施形態では、分離処理部35は、例えば、2値化処理部34で2値化した2値化画像を、いわゆるWatershed法を用いることによって、複数の球形状が連結して成る前記明領域を、球形状の明領域に分離する。このWatershed法は、対象の画像(入力画像、ここでは2値化画像)を地形的な構造とみなし、その地形構造に水を低いところから順に満たしたときの状態遷移の様子を模して画像の領域分割を実施する手法である。
【0051】
分離処理部35は、前記分離した各明領域を特定し識別するために、前記分離した各明領域に1から順に整数の通し番号を付与するラベリング処理を実施する。このラベリング処理で各明領域に付された各番号は、前記明領域を特定し識別するための識別子(ID、シリアル番号)となる。
【0052】
膨張処理部36は、前記抽出処理部38で抽出する前に、前記明領域の外周を、径方向外側に所定の長さだけ広げる膨張処理を、1回または複数回、行うものである。この膨張処理は、本実施形態では、分離処理部35で分離されてシリアル番号を付された各明領域それぞれについて実施される。より具体的には、膨張処理部36は、例えば、明領域に属する各画素それぞれについて、当該画素の前後左右に位置する各1画素を明領域とする。すなわち、黒を表す画素値0が、白を表す画素値1に変更され、明領域とされる。言い換えれば、明領域の外周に位置する各画素それぞれについて、当該画素の前後方向(縦方向)の外側に位置する1画素が明領域とされるとともに、当該画素の左右方向(横方向)の外側に位置する1画素が明領域とされる。一例では、図4Aに示す入力画像IP2における第1明領域LA1に属する第1画素PX1に対し、膨張処理が実施されると、図4Bに示すように、当該第1画素PX1の前後左右に位置する各1画素がその画素値0から画素値1に変更され、明領域とされる。これによって、入力画像IP2では、第1明領域LA1は、1個の第1画素PX1から成る領域であったが、膨張処理により、5個の画素から成る領域ELA1に膨張される。同様に、図4Aに示す入力画像IP2における第2明領域LA2は、8個の画素PX21~PX28から成る領域であったが、膨張処理により、図4Bに示すように、19個の画素から成る領域ELA2に膨張される。図4Bに示す1回の膨張処理を実施した画像に対し、さらに、膨張処理が実施されると、図5Cに示す画像(2回の膨張処理を実施した画像)となる。図5Aに示す画像は、図4Aに示す画像と同一であり、図5Bに示す画像は、図4Bに示す画像と同一である。なお、この例では、前記所定の長さは、1画素の長さであったが、これに限定されるものではなく、画像に写り込んでいる物体の像のサイズと実寸との差異等を勘案することによって、適宜に設定されてよい。また、この例では、膨張処理は、2回であったが、これに限定されるものではなく、画像に写り込んでいる物体の像のサイズと実寸との差異等を勘案することによって、適宜に設定されてよい。
【0053】
なお、図5Cに示すように、膨張処理によって、第1明領域LA1と第2明領域LA2とは、重複画素が生じるが、第1明領域LA1と第2明領域LA2とは、上述のように、シリアル番号で区別され、個別に膨張処理されるので、膨張処理の結果、見かけ上重なるだけで、一体化しない。
【0054】
楕円近似処理部37は、前記抽出処理部38で抽出する前に、前記明領域の形状を、最も近似する楕円形状に変形するものである。楕円近似処理部37は、本実施形態では、膨張処理部36で膨張された各明領域それぞれについて実施される。より具体的には、例えば、図6に示すように、楕円近似処理部37は、まず、明領域LA3に属する各画素PXiそれぞれについて、当該画素PXiの楕円ELまでの距離を求める。次に、楕円近似処理部37は、これら求めた、明領域LA3に属する各画素PXiそれぞれについての各距離の総和を誤差関数δとして求める。そして、楕円近似処理部37は、この求めた誤差関数δが最小となる楕円ELを、例えば最小二乗推定によって求解する。これによって明領域AL3に最も近似する楕円ELが求められる。
【0055】
抽出処理部38は、楕円近似処理部37によって楕円形状に変形された各明領域の中から、面積に基づく前記明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出する。前記面積Sに基づく前記明領域の径Rは、前記面積Sを円周率πで除算した除算結果の平方根を2倍することによって、前記球形状の物体の粒径Rとして求められる(R=2×(S/π)1/2)。前記面積Sは、明領域が楕円形状に変形(近似)されているので、楕円の面積を求める公式によって求められる(S=π×a×b、a;長軸長、b;短軸長)。なお、楕円形状に変形する前の明領域に属する画素数を求めることによって前記面積Sが求められてもよい。前記真円度TCは、前記明領域の輪郭を楕円近似した場合における、短軸長aに対する長軸長bの比であるアスペクト比(=b/a)の逆数である(TC=a/b)。前記円形度CDは、前記明領域の面積Sを、前記明領域の周囲長lの2乗で除算した除算結果に、円周率の4倍を乗算した乗算結果である(CD=4×π×S/l)。
【0056】
より具体的には、まず、抽出処理部38は、楕円近似処理部37によって楕円形状に変形された各明領域の中から、1つの明領域を選択する。次に、抽出処理部38は、この選択した明領域における径Rを求める。次に、抽出処理部38は、この選択した明領域における真円度TCおよび円形度CDそれぞれを求める。そして、抽出処理部38は、この選択した明領域について、前記明領域が粒子であるか否かを判定する判定条件を満たすか否かを判定する。前記判定条件は、上述の、面積Sに基づく前記明領域の径Rが所定の範囲内(Thd<R<Thu、Thd;前記所定の範囲の下限値、Thu;前記所定の範囲の上限値)であって、かつ、前記明領域の真円度TCが所定の第1閾値Th1より大きく(TC>Th)、かつ、前記明領域の円形度CDが所定の第2閾値Th2より大きい(CD>Th2)ことである。前記判定の結果、Thd<R<Thu、かつ、TC>Th、かつ、CD>Th2である場合には、抽出処理部38は、前記選択した明領域が粒子であると判定し、前記選択した明領域を前記球形状の物体として抽出する。一方、前記判定の結果、Thd<R<Thu、TC>ThおよびCD>Th2のうちの少なくとも何れか1つが成り立たない場合には、抽出処理部38は、前記選択した明領域が粒子ではないと判定し、前記選択した明領域を前記球形状の物体として抽出しない。このような処理を、楕円近似処理部37によって楕円形状に変形された各明領域それぞれについて、抽出処理部38は、実施する。前記上限値Thd、前記下限値Thu、前記第1閾値Th1および前記第2閾値Th2は、例えば複数のサンプルから、予め適宜に設定される。
【0057】
制御部31は、抽出処理部38で抽出した明領域の前記径Rを、前記抽出処理部38で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力部5から出力する。
【0058】
これら制御処理部3、入力部4、出力部5、F部6および記憶部7は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部3~7を構成するコンピュータは、例えば、造粒プロセスのプラントにおけるオペレーションルームに配置され、コンソールに組み込まれてよく(コンソールと兼用されてよく)、あるいは、コンソールと別体であってもよい。
【0059】
次に、本実施形態の動作について説明する。図7は、前記粒径測定装置の動作を示すフローチャートである。図8は、2値化処理および抽出処理のみを実施した場合の結果を説明するための図である。図9は、2値化処理、膨張処理および抽出処理のみを実施した場合の結果を説明するための図である。図10は、2値化処理、膨張処理、楕円近似処理および抽出処理のみを実施した場合の結果を説明するための図である。図11は、前記粒径測定装置で求めた粒径と実測の粒径との相関を示す図である。図11の横軸は、粒径測定装置Dで求めた粒径であり、その縦軸は、篩で実測した粒径である。図12は、一実施例を説明するための図である。
【0060】
このような構成の粒径測定装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部3には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部31、シェーディング補正処理部32、平滑化処理部33、2値化処理部34、分離処理部35、膨張処理部36、楕円近似処理部37および抽出処理部38が機能的に構成される。
【0061】
粒径測定装置Dは、造粒中、図7に示す各処理を、予め設定された所定の時間間隔(例えば5秒、10秒、30秒、60秒あるいは5分等の適宜な間隔)で繰り返し実行し、略リアルタイムに生ペレットObの粒径を測定する。
【0062】
図7において、粒径測定装置Dは、制御処理部3の制御部31によって、撮像部1によって画像を取得し、記憶部7に記憶する(S1)。
【0063】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3のシェーディング補正処理部32によって、処理S1で撮像部1から取得した画像をシェーディング補正してシェーディング補正画像を生成し、記憶部7に記憶する(S2)。
【0064】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の平滑化処理部33によって、処理S2でシェーディング補正処理部32で生成したシェーディング補正画像を平滑化して第2平滑化画像を生成し、記憶部7に記憶する(S3)。
【0065】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の2値化処理部34によって、処理S3で平滑化処理部33で生成した第2平滑化画像を2値化して2値化画像を生成し、記憶部7に記憶する(S4)。
【0066】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の分離処理部35によって、処理S4で2値化処理部34で生成した2値化画像に対し、複数の球形状が連結して成る前記明領域を、球形状の明領域に分離する分離処理を実施して分離処理後の2値化画像を生成し、記憶部7に記憶する(S5)。
【0067】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の分離処理部35によって、処理S5で分離処理した分離処理部後の2値化画像に対し、前記分離した各明領域に1から順に通し番号に付与するラベリング処理を実施する(S6)。
【0068】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の膨張処理部36によって、処理S5で分離処理部35で生成した分離処理後の2値化画像における、各明領域のなかから、1つの明領域を選択し、この選択した明領域に対し膨張処理を実施し、前記選択した明領域を膨張処理した後の2値化画像を記憶部7に記憶する(S7)。この際に、膨張処理部36は、前記選択した明領域に対し、選択済みである旨を対応付ける。例えば、選択済みであるか否かを表すフラグ(選択状況フラグ、「1」は選択済みを表し、「0」は未選択を表す)が前記選択した明領域のシリアル番号に対応付けられる。
【0069】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の楕円近似処理部37によって、前記処理S7で選択した明領域に対し、その形状を、最も近似する楕円形状に変形する楕円近似処理を実施し、前記選択した明領域を楕円近似処理した後の2値化画像を記憶部7に記憶する(S8)。
【0070】
続いて、粒径測定装置Dは、制御処理部3の抽出処理部38によって、前記処理S7で選択した明領域に対し、前記判定条件を満たすか否かを判定し、前記判定条件を満たす明領域を抽出する抽出処理を実施する(S9)。より具体的には、上述したように、抽出処理部38は、前記選択した明領域における径Rを求め、真円度TCおよび円形度CDそれぞれを求め、前記選択した明領域について、前記判定条件を満たすか否かを判定する。この判定の結果、Thd<R<Thu、かつ、TC>Th、かつ、CD>Th2である場合には、抽出処理部38は、前記選択した明領域が粒子であると判定し、前記選択した明領域を前記球形状の物体として抽出し、その粒径Rとともに記憶部する。例えば、粒子として認定したか否かを表すフラグ(粒子認定フラグ、「1」は粒子認定を表し、「0」は粒子非認定を表す)がその粒径Rとともに、前記選択した明領域のシリアル番号に対応付けられる。一方、前記判定の結果、Thd<R<Thu、TC>ThおよびCD>Th2のうちの少なくとも何れか1つが成り立たない場合には、抽出処理部38は、前記選択した明領域が粒子ではないと判定し、前記選択した明領域を前記球形状の物体として抽出しない。
【0071】
続いて、粒径測定装置Dは、抽出処理部38によって、全ての明領域、すなわち、処理S6でシリアル番号を付された全ての明領域について、これら処理S7ないし処理S9の各処理を終了したか否かを判定する(S10)。この判定の結果、全ての明領域について、各処理を終了している場合(YES)には、粒径測定装置Dは、次に、処理S11を実行する。一方、前記判定の結果、全ての明領域について、各処理を終了していない場合(NO)には、粒径測定装置Dは、処理を処理S7に戻す。したがって、処理S6でシリアル番号を付された全ての明領域について、これら処理S7ないし処理S9の各処理が実施される。例えば、前記処理S7における明領域の選択では、例えば、シリアル番号順に順次に明領域が選択され、処理S6でシリアル番号を付された各明領域それぞれについて、シリアル番号順に順次に、これら処理S7ないし処理S9の各処理が実施される。
【0072】
この処理S11では、粒径測定装置Dは、制御部31によって、抽出処理部38で抽出した明領域の前記径Rを、前記抽出処理部38で抽出した明領域に対応した物体の粒径として出力部5から出力し、本処理を終了する。この出力では、例えば、粒径が複数のクラスに区分けされ、前記複数のクラスそれぞれには、互いに異なる表示態様が割り当てられ、膨張処理および楕円近似処理した後の2値化画像が、各明領域を、当該明領域の粒径Rが属するクラスに対応する表示態様で表示されて出力部5に表示される。例えば粒径2mm以下の第1クラス、粒径2mmを越え2.8mm以下の第2クラスおよび粒径2.8mmを越える第3クラスに、粒径が区分けされ、第1クラスには、表示態様として赤色が割り当てられ、第2クラスには、表示態様として緑色が割り当てられ、第3クラスには、表示態様として黄色が割り当てられる。
【0073】
なお、必要に応じて、粒径の測定結果は、IF部6から外部の機器へ出力されてもよい。
【0074】
粒径測定装置Dは、このように動作することによって、撮像部1で撮像した、堆積された球形状の複数の物体の画像に基づいて、粒子と認定した粒子の粒径を求めている。
【0075】
ここで、図7では、粒径測定装置Dは、粒径の測定に当たって、シェーディング補正処理、平滑化処理、2値化処理、分離処理、膨張処理、楕円近似処理および抽出処理を実施したが、前記シェーディング補正処理、前記平滑化処理、前記分離処理、前記膨張処理および前記楕円近似処理は、より好ましく粒径を測定するための処理であって、必ずしも実施する必要が無く、これら各処理の一部または全部が省力されてもよい。すなわち、粒径測定装置Dは、基本形態として、撮像部1、前記2値化処理を行う2値化処理部34、前記抽出処理を行う抽出処理部38および出力部5を備えて構成されてよく、この基本形態の粒径測定装置Dに、必要に応じて、前記シェーディング補正処理、前記平滑化処理、前記分離処理、前記膨張処理および前記楕円近似処理のうちの一部または全部が追加される。
【0076】
図8には、前記基本形態の粒径測定装置Dによる結果の一例が示されている。すなわち、図8には、撮像部1で画像が取得され、この取得された画像を2値化して2値化画像が生成され、この2値化画像の各明領域にシリアル番号が付され、前記2値化画像の各明領域に対し、抽出処理が実施された場合の結果が、一例として、示されている。図8Aには、撮像部1で取得された画像が示され、図8Bには、図8Aに示す画像に対する抽出処理の結果の画像が示されている。図8Aに示す画像と図8Bに示す画像とを較べると分かるように、堆積された、球形状の複数の物体のうちの、最上層に表出した前記物体が優先的に抽出されている。図示を省略するが、篩によって求めた前記物体の粒径と、上述のようにして粒径測定装置Dで求めた前記物体の粒径とは、この一具体例では相関係数R=0.7957で相関していた。
【0077】
図9には、前記基本形態の粒径測定装置Dに、前記膨張処理を追加した場合の結果の一例が示されている。すなわち、図9には、撮像部1で画像が取得され、この取得された画像を2値化して2値化画像が生成され、この2値化画像の各明領域にシリアル番号が付され、前記2値化画像の各明領域に対し、膨張処理が実施された後に、抽出処理が実施された場合の結果が、一例として、示されている。図9Aには、撮像部1で取得された画像が示され、図9Bには、図9Aに示す画像に対する抽出処理の結果の画像が示されている。図9Aに示す画像と図9Bに示す画像とを較べると分かるように、堆積された、球形状の複数の物体のうちの、最上層に表出した前記物体が優先的に抽出されている。図示を省略するが、篩によって求めた前記物体の粒径と、上述のようにして粒径測定装置Dで求めた前記物体の粒径とは、この一具体例では相関係数R=0.8037でより相関していた。これは、膨張処理により、照明との関係で実際より小さく画像に写り込んでいた粒子が、前記膨張処理により、より実際のサイズに近づいたものと推察できる。
【0078】
図10には、前記基本形態の粒径測定装置Dに、前記膨張処理および前記楕円近似処理を追加した場合の結果の一例が示されている。すなわち、図10には、撮像部1で画像が取得され、この取得された画像を2値化して2値化画像が生成され、この2値化画像の各明領域にシリアル番号が付され、前記2値化画像の各明領域に対し、前記膨張処理および前記楕円近似処理それぞれが実施された後に、抽出処理が実施された場合の結果が、一例として、示されている。図10Aには、撮像部1で取得された画像が示され、図10Bには、図10Aに示す画像に対する抽出処理の結果の画像が示されている。図8Bおよび図9Bには、2値化画像が示されているが、図10Bには、2値化画像で示すと、連結した粒子や重なった粒子が見え難くなるため、グレースケールの画像が示されている。図10Aに示す画像と図10Bに示す画像とを較べると分かるように、堆積された、球形状の複数の物体のうちの、最上層に表出した前記物体が優先的に抽出されている。図示を省略するが、篩によって求めた前記物体の粒径と、上述のようにして粒径測定装置Dで求めた前記物体の粒径とは、この一具体例では相関係数R=0.8103でさらにより相関していた。そして、この一具体例で測定回数をさらに増やすと、図11に示すように、篩によって求めた前記物体の粒径(縦軸)と、上述のようにして粒径測定装置Dで求めた前記物体の粒径(横軸)とは、相関係数R=0.8664で相関していた。図11の平均粒径は、全粒子の粒径の平均値である。
【0079】
図12には、造粒中に、前記搬出用コンベアBC上に乗って搬送される、堆積された複数の生ペレットObを、実施形態における粒径測定装置Dで測定した結果の一例が示されている。図12Aは、造粒中における平均粒径の実測結果を示し、図12Bは、図12Aに示す時刻t1における各画像およびその抽出結果を示し、図12Cは、図12Aに示す時刻t2における各画像およびその抽出結果を示し、図12Dは、図12Aに示す時刻t3における各画像およびその抽出結果を示す。図12Bないし図12Dにおいて、その上段には、撮像部1で生成した画像が示され、その下段には、その抽出結果が示されている。図12Aに示す#1の測定結果は、図12Bないし図12Dそれぞれに示す平面視にて紙面左側から1番目の領域における測定結果であり、図12Aに示す#2の測定結果は、図12Bないし図12Dそれぞれに示す平面視にて紙面左側から2番目の領域における測定結果であり、図12Aに示す#3の測定結果は、図12Bないし図12Dそれぞれに示す平面視にて紙面左側から3番目の領域における測定結果であり、図12Aに示す#4の測定結果は、図12Bないし図12Dそれぞれに示す平面視にて紙面左側から4番目の領域における測定結果である。
【0080】
図12Aから分かるように、時刻t2において、平面視にて紙面左側から4番目の領域における測定結果の平均粒径が、他の領域と比較して大きくなっている。図12Cの上段に示す画像を参照すると、前記4番目の領域の粒子は、他の領域(前記1番目ないし3番目の各領域)に較べ大きいことが確認できる。このため、本実施形態における粒径測定装置Dは、定量的に、連続的な粒径の測定が可能である。
【0081】
以上説明したように、実施形態における粒径測定装置D、ならびに、これに実装された粒径測定方法および粒径測定プログラムは、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像に基づいて前記物体の粒径を測定するので、前記篩試験のように、前記物体を抜き取る必要がない。上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、面積に基づく明領域の径が所定の範囲内であって、かつ、前記明領域の真円度が所定の第1閾値より大きく、かつ、前記明領域の円形度が所定の第2閾値より大きい前記明領域を抽出するので、複数の前記物体が堆積している場合に、上部に表出した前記物体のみを認識して粒径を測定できる。
【0082】
上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、照明するので、一定の照明環境下で粒径を測定できるから、静止した被写体は元より、被写体が搬送すなわち移動している状況下であっても十分な照度が確保されるため、撮像の際の露光時間を抑えることで(すなわちシャッタースピードを高速にすることで)鮮明な画像を生成することができ、測定精度のばらつきを低減できる。
【0083】
上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、シェーディング補正処理するので、空間的に照度むらがある場合でも、前記照度むらを低減でき、より精度良く粒径を測定できる。
【0084】
上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、平滑化処理するので、物体表面の形状や付着物等に起因する輝度差を低減でき、より精度良く粒径を測定できる。
【0085】
上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、分離処理するので、複数の球形状が連結していても分離でき、より精度良く粒径を測定できる。
【0086】
上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、膨張処理するので、物体の外周部が暗く写り込んでいる場合には実寸よりも小さく測定されてしまうが、このような場合でも、明領域の外周を膨張させるので、より実寸に近づけて粒径を測定できる。
【0087】
上記粒径測定装置D,粒径測定方法および粒径測定プログラムは、楕円近似処理するので、堆積された、球形状の複数の物体に対し、僅かに重なって形状が見え難くなった前記物体について、楕円近似により形状を復元でき、測定可能な物体数を増加できる。
【0088】
なお、上述の実施形態では、粒径測定装置Dは、略リアルタイムに鉄鉱石ペレットの粒径を測定するために、生ペレットObの画像を生成する撮像部1を備えたが、過去の造粒プロセスを検証するために、撮像部1に代え、あるいは、撮像部1に追加して、粒径測定装置Dは、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を取得する画像取得部を備えてもよい。このような粒径測定装置Dは、その基本形態として、前記画像取得部、2値化処理部、抽出処理部および出力部を備える。これら2値化処理部、抽出処理部および出力部は、それぞれ、上述の2値化処理部34、抽出処理部38および出力部5と同様である。
【0089】
前記画像取得部は、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路である。前記外部の機器は、堆積された、球形状の複数の物体を撮像した画像を記憶した、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリおよびSDカード(登録商標)等の記憶媒体である。あるいは、前記外部の機器は、前記画像を記録した、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)およびDVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)等の記録媒体からデータを読み込むドライブ装置である。この画像取得部としてのインターフェース回路は、有線または無線によって前記外部の機器に接続されてよい。あるいは、前記画像取得部は、例えば、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であって、前記外部の機器は、ネットワーク(WAN(Wide Area Network、公衆通信網を含む))あるいはLAN(Local Area Network)を介して前記通信インターフェース回路に接続され、前記画像を管理するサーバ装置である。このような画像取得部は、IF部6と兼用されてもよい(すなわち、IF部6が前記画像取得部として用いられてもよい)。
【0090】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0091】
D 粒径測定装置
1 撮像部
2 照明部
3 制御処理部
4 入力部
5 出力部
6 インターフェース部(IF部)
7 記憶部
31 制御部
32 シェーディング補正処理部
33 平滑化処理部
34 2値化処理部
35 分離処理部
36 膨張処理部
37 楕円近似処理部
38 抽出処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12