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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-14
(45)【発行日】2025-07-23
(54)【発明の名称】フォトニックデバイスの製作方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20250715BHJP
【FI】
G02F1/035
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022552869
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021020341
(87)【国際公開番号】W WO2021178332
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】62/984,759
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522304110
【氏名又は名称】サイカンタム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ニキル
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-215260(JP,A)
【文献】特表2019-525251(JP,A)
【文献】国際公開第2006/028477(WO,A1)
【文献】特開2000-114581(JP,A)
【文献】特表2004-527778(JP,A)
【文献】特開2007-149789(JP,A)
【文献】ABEL, Stefan et al.,“A Hybrid Barium Titanate-Silicon Photonics Platform for Ultraefficient Electro-Optic Tuning”,Journal of Lightwave Technology,2016年04月15日,Vol. 34,No. 8,p. 1688-1693,DOI: 10.1109/JLT.2015.2510282
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを構築する方法であって、前記方法は:
第1の層スタックからなる第1のウェハを受け入れるステップであって、前記第1の層スタックは:
基板層;
前記基板層の上に配置されたシード層;及び
前記シード層の上に配置された電気光学層
からなる、ステップ;
前記電気光学層をエッチングして、第1の厚さより小さな第2の厚さを有する第1のスラブ層と第2のスラブ層との間に配置された、前記第1の厚さを有する隆起導波路構造体を作成するステップ;
第2のウェハを受け入れるステップ;
前記電気光学層をエッチングするステップの後:
前記第1の層スタックを前記第2のウェハに接着するステップ;
前記基板層を除去するステップ;
前記シード層をエッチングして、前記シード層内に、第2の電極から分離された第1の電極及び前記第2の電極を形成するステップ;並びに
第2のクラッド層を前記第1の電極及び前記第2の電極の上に堆積させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の層スタックは更に、前記電気光学層の上に配置された第1のクラッド層を備え、
前記第1の層スタックを前記第2のウェハに接着する前記ステップは、前記第1のクラッド層の表面を前記第2のウェハに接着するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のクラッド層の前記表面を前記第2のウェハに接着する前記ステップの前に、前記第1のクラッド層を平坦化するステップ
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は更に:
前記第2のクラッド層をエッチングして、前記第1の電極の第1の部分を露出させるステップ;
前記第2のクラッド層をエッチングして、前記第2の電極の第2の部分を露出させるステップ;
露出した前記第1の部分を通して、第1のリードを前記第1の電極の上に堆積させるステップ;及び
露出した前記第2の部分を通して、第2のリードを前記第2の電極の上に堆積させるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の厚さは200ナノメートル(nm)以上350nm以下であり、前記第2の厚さは150nm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板層は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハからなり、
前記SOIウェハのケイ素層は前記シード層に接触する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のウェハは光学インターポーザを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シード層は:
チタン酸ストロンチウム;
チタン酸バリウムストロンチウム;
酸化ハフニウム;
酸化ジルコニウム;
酸化チタン;
酸化グラフェン;
酸化タンタル;
チタン酸ジルコン酸鉛;
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛;
酸化マグネシウム;
ゲルマニウム;又は
ニオブ酸バリウムストロンチウム
のうちの1つで構成され、
前記電気光学層は:
チタン酸バリウム;
チタン酸バリウムストロンチウム;
リチウムニオバイト;
チタン酸ジルコン酸鉛;
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛;
酸化アルミニウム;
亜硝酸アルミニウム;又は
ニオブ酸バリウムストロンチウム
のうちの1つで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
デバイスを構築する方法であって、前記方法は:
第1の層スタックからなる第1のウェハを受け入れるステップであって、前記第1の層スタックは:
基板層の上に配置されたシード層;
前記シード層の上に配置された電気光学層;及び
前記電気光学層の上に配置された電極層
からなる、ステップ;
前記電極層をエッチングして、前記電気光学層の一部分を露出させ、前記電極層を、第2の電極から分離された第1の電極へと分割するステップ;
第1のクラッド層を、前記電気光学層の露出した前記部分の上と、前記第1及び第2の電極上とに堆積させるステップ;
前記第1のクラッド層の表面を第2のウェハに接着するステップ;
前記基板層及び前記シード層を除去するステップ;
前記基板層及び前記シード層を除去した後、前記電気光学層をエッチングして、第1の厚さより小さな第2の厚さを有する第1のスラブ層と第2のスラブ層との間に配置された、前記第1の厚さを有する隆起導波路を作成するステップ;並びに
第2のクラッド層を、前記第1及び第2のスラブ層の上と、前記隆起導波路構造体の上とに堆積させるステップ
を含む、方法。
【請求項10】
前記方法は更に:
前記第1のクラッド層を前記第2のウェハに接着する前記ステップの前に、前記第1のクラッド層を平坦化するステップ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は更に:
前記第2のクラッド層及び前記第1のスラブ層を通るようにエッチングして、前記第1の電極の第1の部分を露出させるステップ;
前記第2のクラッド層及び前記第2のスラブ層を通るようにエッチングして、前記第2の電極の第2の部分を露出させるステップ;
露出した前記第1の部分を通して、第1のリードを前記第1の電極の上に堆積させるステップ;並びに
露出した前記第2の部分を通して、第2のリードを前記第2の電極の上に堆積させるステップ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板層は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハからなり、
前記SOIウェハのケイ素層は前記シード層に接触する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のウェハは光学インターポーザを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記シード層は:
チタン酸ストロンチウム;
チタン酸バリウムストロンチウム;
酸化ハフニウム;
酸化ジルコニウム;
酸化チタン;
酸化グラフェン;
酸化タンタル;
チタン酸ジルコン酸鉛;
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛;
酸化マグネシウム;
ゲルマニウム;又は
ニオブ酸バリウムストロンチウム
のうちの1つで構成され、
前記電気光学層は:
チタン酸バリウム;
チタン酸バリウムストロンチウム;
リチウムニオバイト;
チタン酸ジルコン酸鉛;
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛;
酸化アルミニウム;
亜硝酸アルミニウム;又は
ニオブ酸バリウムストロンチウム
のうちの1つで構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
デバイスを構築する方法であって、前記方法は:
第1の層スタックからなる第1のウェハを受け入れるステップであって、前記第1の層スタックは:
基板層の上に配置されたシード層;
前記シード層の上に配置された電気光学層;及び
前記電気光学層の上に配置された第1のクラッド層
からなる、ステップ;
前記第1のクラッド層を第2のウェハに接着するステップ;
前記基板層及び前記シード層を除去するステップ;
前記基板層及び前記シード層を除去した後、前記電気光学層をエッチングして、第1のスラブ層と第2のスラブ層との間に配置された、第1の厚さを有する隆起導波路を作成するステップであって、前記第1及び第2のスラブ層は、前記第1の厚さより小さな第2の厚さを有する、ステップ;
第1及び第2の電極をそれぞれ前記隆起導波路構造体の左側及び右側に堆積させるステップ;並びに
第2のクラッド層を、前記第1及び第2の電極の上と、前記隆起導波路構造体の上とに堆積させるステップ
を含む、方法。
【請求項16】
前記方法は更に:
前記第1のクラッド層を前記第2のウェハに接着する前記ステップの前に、前記第1のクラッド層を平坦化するステップ
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は更に:
前記第2のクラッド層を通るようにエッチングして、前記第1の電極の第1の部分を露出させるステップ;
前記第2のクラッド層を通るようにエッチングして、前記第2の電極の第2の部分を露出させるステップ;
露出した前記第1の部分を通して、第1のリードを前記第1の電極の上に堆積させるステップ;並びに
露出した前記第2の部分を通して、第2のリードを前記第2の電極の上に堆積させるステップ
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基板層は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハからなり、前記方法は更に:
前記シード層に接触する前記SOIウェハの最上部のケイ素層を酸化させるステップ
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のウェハは光学インターポーザを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記シード層は:
チタン酸ストロンチウム;
チタン酸バリウムストロンチウム;
酸化ハフニウム;
酸化ジルコニウム;
酸化チタン;
酸化グラフェン;
酸化タンタル;
チタン酸ジルコン酸鉛;
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛;
酸化マグネシウム;
ゲルマニウム;又は
ニオブ酸バリウムストロンチウム
のうちの1つで構成され、
前記電気光学層は:
チタン酸バリウム;
チタン酸バリウムストロンチウム;
リチウムニオバイト;
チタン酸ジルコン酸鉛;
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛;
酸化アルミニウム;
亜硝酸アルミニウム;又は
ニオブ酸バリウムストロンチウム
のうちの1つで構成される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年3月3日出願の米国仮特許出願第62/984,759号、発明の名称「フォトニックデバイスの製作方法(FABRICATION METHOD FOR PHOTONIC DEVICE)」に対する優先権を主張するものであり、上記仮特許出願は、その全体が完全に本明細書中に記載されているかのように、参照によってその全体が本出願に援用される。
【0002】
本明細書中の実施形態は全体として、移相器及びスイッチといった電気光学デバイスの製作に関する。
【背景技術】
【0003】
電気光学(electro‐optic:EO)変調器及びスイッチは、光学分野で使用されてきた。一部のEO変調器は、自由キャリア電界屈折、自由キャリア電界吸収、ポッケルス効果、又はDCカー効果を利用して、動作中に光の特性を変調する、例えばEO変調器又はスイッチを通って伝播する光の位相を変化させる。一例として、光学位相変調器を集積光学系、導波路構造体、及び集積オプトエレクトロニクスで使用できる。
【0004】
EO変調器及びスイッチの分野でなされた進歩にもかかわらず、当該技術分野では、EO変調器及びスイッチの製作及びアーキテクチャに関連する、改善された方法及びシステムに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、フォトニックデバイス、並びに電気光学スイッチ及び移相器といったフォトニックデバイスの製作のための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第1のクラッド層、第1の電極、第2の電極、第1の材料からなる導波路構造体、及び第2のクラッド層を含む。上記導波路構造体は、上記第1の電極及び上記第2の電極に結合される。いくつかの実施形態では、上記第1の電極及び上記第2の電極は、ケイ素より高い電子移動度を有する第2の材料で構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第1のクラッド層、第1の電極、第2の電極、第2のクラッド層、及び導波路構造体を含む。上記導波路構造体は、第1の材料で構成された電気光学層、第2の材料で構成された第1のストリップ状導波路部分、及び第3の材料で構成された第2のストリップ状導波路部分を含んでよい。上記電気光学層は、上記第1のストリップ状導波路部分と上記第2のストリップ状導波路部分との間に配置されていてよい。上記電気光学層は、上記第1の電極及び上記第2の電極に結合されていてよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、デバイスを製作する方法が説明される。
【0009】
例えばいくつかの実施形態では、シード層を基板層上に堆積させ、電気光学層を上記シード層上に堆積させ、第1のクラッド層を上記電気光学層上に堆積させる。いくつかの実施形態では、積層した上記基板層、上記シード層、上記電気光学層、及び/又は上記第1のクラッド層からなる、予備製作済みの第1のウェハを、更なる製作ステップのための始点として受け入れることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記第1のクラッド層を平坦化して、第2のウェハに接着する。上記基板層を除去し、上記シード層をエッチングして、上記シード層を、第2の電極から分離された第1の電極へと分割する。第2のクラッド層を、エッチング済みの上記シード層上に堆積させる。いくつかの実施形態では、上記第2のクラッド層をエッチングして、上記第1の電極の第1の部分、及び上記第2の電極の第2の部分を露出させる。第1のリードを、露出させた上記第1の部分を通るように上記第1の電極上に堆積させ、第2のリードを、露出させた上記第2の部分を通るように上記第2の電極上に堆積させる。
【0011】
いくつかの実施形態では、シード層を基板層上に堆積させ、電気光学層を上記シード層上に堆積させ、電極層を上記電気光学層上に堆積させる。いくつかの実施形態では、積層した上記基板層、上記シード層、上記電気光学層、及び/又は上記電極層からなる、予備製作済みの第1のウェハを、更なる製作ステップのための始点として受け入れることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記電極層をエッチングして上記電気光学層の一部分を露出させ、上記電極層を、第2の電極から分離された第1の電極へと分割する。第1のクラッド層を、上記電気光学層の露出させた上記部分、並びに上記第1及び第2の電極上に堆積させる。上記第1のクラッド層を平坦化して、第2のウェハに接着する。上記基板層及び上記シード層を除去し、上記基板層及び上記シード層の除去後、上記電気光学層をエッチングして、第1のスラブ層と第2のスラブ層との間に配置された、第1の厚さを有する隆起導波路を製造し、ここで上記第1のスラブ層及び上記第2のスラブ層は、上記第1の厚さより小さな第2の厚さを有する。第2のクラッド層を上記第1及び第2のスラブ層、並びに上記隆起導波路構造体の上に堆積させる。
【0013】
いくつかの実施形態では、シード層を基板層上に堆積させ、電気光学層を上記シード層上に堆積させ、第1のクラッド層を上記電気光学層上に堆積させる。いくつかの実施形態では、積層した上記基板層、上記シード層、上記電気光学層、及び/又は上記第1のクラッド層からなる、予備製作済みの第1のウェハを、更なる製作ステップのための始点として受け入れることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記第1のクラッド層を平坦化して、ウェハに接着する。上記基板層及び上記シード層を除去し、上記基板層及び上記シード層の除去後、上記電気光学層をエッチングして、第1のスラブ層と第2のスラブ層との間に配置された、第1の厚さを有する隆起導波路を製造し、ここで上記第1及び第2のスラブ層は、上記第1の厚さより小さな第2の厚さを有する。第1及び第2の電極をそれぞれ、上記隆起導波路構造体の左側及び右側に堆積させる。そして第2のクラッド層を、上記第1及び第2の電極、並びに上記隆起導波路構造体の上に堆積させる。
【0015】
以上の「発明の概要」は、本文書で説明される主題の一部の概観を提供することを意図したものである。従って上述の特徴は単なる例であり、本明細書で説明される主題の範囲又は精神を狭めるものとは決して解釈してはならないものであることが理解されるだろう。本明細書で説明される主題の他の特徴、態様、及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【0016】
説明される様々な実施形態をよりよく理解するために、以下の「発明を実施するための形態」を以下の図面と併せて参照されたい。以下の図面では、複数の図全体を通して、同様の参照番号は対応する部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、いくつかの実施形態による光学スイッチを示す、簡略化された概略図である。
図2図2は、いくつかの実施形態による、導波路隆起部の反対側に配置されたHigh‐κ電極が組み込まれた導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による、貫通したリードを有する導波路隆起部の反対側に配置されたHigh‐κ電極が組み込まれた導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図4図4は、いくつかの実施形態による、導波路隆起部と同じ側に配置されたHigh‐κ電極が組み込まれた導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図5図5は、いくつかの実施形態による、High‐κ電極が組み込まれたサンドイッチ構造を呈する導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による、High‐κ材料が組み込まれた垂直な導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図7図7は、いくつかの実施形態による、電極が導波路構造体と同一直線上となっている導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図8図8は、いくつかの実施形態による、電極が隆起したプロファイルを示す導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図である。
図9図9は、いくつかの実施形態による導波路構造体の上面図を示す、簡略化された概略図である。
図10図10は、いくつかの実施形態による、ハイブリッド量子コンピューティングデバイスと対話するユーザの図である。
図11図11は、いくつかの実施形態による、誘導電場の方向を示す導波路構造体の断面図を示す、簡略化された概略図である。
図12A-G】図12A~Gは、いくつかの実施形態による、電極の反対側に位置決めされた隆起導波路を有する電気光学デバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。
図13A-E】図13A~Eは、いくつかの実施形態による、導波路を貫通したリードを有する電極と反対側に位置決めされた隆起導波路を有する電気光学デバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。
図14A-E】図14A~Eは、いくつかの実施形態による、電極と同じ側に位置決めされた隆起導波路を有する電気光学デバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。
図15A-E】図15A~Eは、いくつかの実施形態による、サンドイッチ構造を呈するフォトニックデバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。
図16図16は、いくつかの実施形態による、積層された複数の層からなる予備製作されたウェハの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記載の特徴は様々な修正及び代替形態を受け入れることができるが、その具体的実施形態を例として図面に示し、また本明細書中で詳細に説明する。しかしながら、図面及びその詳細な説明は、開示されている特定の形態への限定を意図したものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の精神及び範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物を包含することが意図されている。
【0019】
これより、複数の実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例は添付の図面に図示されている。以下の詳細な説明では、ここで説明される様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的詳細が記載される。しかしながら、ここで説明される様々な実施形態が、これらの具体的詳細を伴わずに実践される場合もあることは、当業者には明らかであろう。他の例では、公知の方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークについては、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明されない。
【0020】
また、一部の例において、様々な要素の説明のために「第1の(first)」、「第2の(second)」等の用語が本明細書中で使用されるものの、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためだけに使用される。例えば、ここで説明される様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の電極層を第2の電極層と呼ぶこともでき、また同様に第2の電極層を第1の電極層と呼ぶこともできる。第1の電極層及び第2の電極層はいずれも電極層であるが、同一の電極層ではない。
【0021】
以上の記述は、説明を目的として、具体的実施形態を参照して記述されている。しかしながら、上述の例示的な議論は、網羅的であること、又は特許請求の範囲をここで開示されている形態に正確に限定することを意図したものではない。上述の教示を考慮して多数の修正及び変形が可能である。これらの実施形態は、特許請求の範囲の根底にある原理、及びその実際の応用を最もよく説明することによって、当業者がこれらの実施形態を、企図される特定の用途に適した様々な修正を伴って最もよく使用できるようにするために、選択されたものである。
【0022】
本発明の実施形態は光学系に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、動作中の電力消費を削減するために、光変調器及びスイッチに高比誘電率材料(すなわちhigh‐κ材料)を利用する。なお、本明細書中で使用される場合、「高比誘電率材料(high dielectric constant material)」は、光変調器又はスイッチの動作する構成部品内の他の材料に比べて、また特に導波路の構築に使用される材料に比べて、高い誘電率を有する材料を指すことを意図している。単なる例として、本発明の実施形態は、アクティブ光学デバイスを含む集積光学系の文脈で提供されるが、本発明はこの例に限定されず、多様な光学系及び光電子系に幅広く適用可能である。
【0023】
いくつかの実施形態によると、本明細書に記載のアクティブフォトニックデバイスは、半導体において自由キャリアによって誘起される屈折率の変動、及び/又はDCカー効果といった電気光学的効果を利用して、光信号の変調及び/又は切り替えを実装する。よって本発明の実施形態は、透過光がON若しくはOFFに変調されるか又は透過率の部分的な変化によって光が変調される変調器と、透過光が第1の出力(例えば導波路)若しくは第2の出力(例えば導波路)において出力される光学スイッチ、又は3つ以上の出力及び2つ以上の入力を有する光学スイッチとの両方に適用可能である。よって本発明の実施形態は、本明細書に記載の方法、デバイス、及び技法を利用したM(入力)×N(出力)系を含む様々な設計に適用可能である。いくつかの実施形態はまた、スイッチ又は変調器内で使用できる電気光学移相器デバイスにも関し、これは本明細書中では位相調整セクションとも呼ばれる。
【0024】
図1は、本発明のある実施形態による光学スイッチを示す、簡略化された概略図である。図1を参照すると、スイッチ100は2つの入力:入力1及び入力2と、2つの出力:出力1及び出力2とを含む。一例として、スイッチ100の入力及び出力は、シングルモード又はマルチモード光ビームをサポートするように動作可能な光導波路として実装できる。一例として、スイッチ100は、50/50ビームスプリッタ105、107の組と一体化されたマッハ・ツェンダー干渉計として実装できる。図1に示されているように、入力1及び入力2は、方向性結合器とも呼ばれる第1の50/50ビームスプリッタ105に光学的に結合され、これは、入力1又は入力2から受光し、50/50ビームスプリッタでのエバネッセント結合によって、入力1からの入力光の50%を導波路110へ、入力1からの入力光の50%を導波路112へと向ける。それと同時に、第1の50/50ビームスプリッタ105は、入力2からの入力光の50%を導波路110へ、入力2からの入力光の50%を導波路112へと向ける。入力1からの入力光のみを考慮すると、入力光は導波路110と導波路112との間で均等に分割される。
【0025】
マッハ・ツェンダー干渉計120は位相調整セクション122を含む。位相調整セクション122の屈折率を制御可能に変化させることができるように、電圧Vを位相調整セクション122の導波路に印加できる。導波路110、112内の光は、第1の50/50ビームスプリッタ105を通って伝播した後も依然として、明確に定義された位相関係を有する(例えばこれらは同相、位相が180°ずれた状態等であってよい)ため、位相調整セクション122における位相調整は、導波路130内を伝播する光と導波路132内を伝播する光との間に所定の位相差を導入できる。当業者には明らかなように、導波路130内を伝播する光と導波路132内を伝播する光との間の位相関係は、出力1に存在する出力光(例えば光ビームが同相である)、又は出力2に存在する出力光(例えば光ビームの位相がずれている)をもたらすことができ、これにより、位相調整セクション122に印加された電圧Vの関数として光が出力1又は出力2に向けられるため、切り替え機能が提供される。図1には単一のアクティブアームが図示されているが、マッハ・ツェンダー干渉計の両方のアームが位相調整セクションを含むことができることが理解されるだろう。
【0026】
図1に示されているように、電気光学スイッチ技術は、全光学スイッチ技術と比較して、スイッチのアクティブ領域にわたる電気バイアス(例えば図1のV)の印加を利用して光学的な変化を生成する。この電圧バイアスの印加によって生じる電場及び/又は電流は、アクティブ領域の1つ以上の光学的特性、例えば屈折率又は吸光度の変化をもたらす。
【0027】
図1にはマッハ・ツェンダー干渉計の実装が図示されているが、本発明の実施形態はこの特定のスイッチアーキテクチャに限定されず、リング共振器設計、マッハ・ツェンダー変調器、一般化されたマッハ・ツェンダー変調器等を含む他の位相調整デバイスが、本発明の範囲に含まれる。当業者は多数の変形、修正、及び代替例を認識するだろう。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の光移相器デバイスを、図10に示されているハイブリッド量子コンピューティングシステム等の量子コンピューティングシステム内で利用できる。あるいはこれらの光移相器デバイスを、他のタイプの光学システムで使用してもよい。例えば様々な実施形態において、他の計算、通信、及び/又は技術システムが、フォトニック移相器を利用して、システム又はネットワーク内で光信号(例えば単一光子又は連続波(continuous wave:CW)光信号)の方向を定めてよく、また本明細書に記載の移相器アーキテクチャをこれらのシステム内で使用してよい。
【0029】
図2~8フォトニック移相器の断面図
図2~8は、様々な実施形態によるフォトニック移相器の様々なアーキテクチャを示す、簡略化された断面図である。なお、図2~8に示されているアーキテクチャは概略図であり、縮尺は必ずしも正確ではない。図2~8に示されているアーキテクチャは、複数の重要な設計上の特徴について異なっているものの、これらはいくつかの特徴を共有してもいる。例えば以下で更に詳述するように、図2~8はそれぞれ2つの電気的接点を呈し、各電気的接点は、電極(240、340、440、540、640、740、840、及び242、342、442、542、642、742、842)に接続されたリード(230、330、430、530、630、730、830、及び232、332、432、532、632、732、832)を含む。なお、本明細書中で使用される場合、用語「電極(electrode)」は、(例えば、導波路構造体にわたる電圧降下を変化させてフォトニックスイッチを作動させるために)導波路構造体に直接結合された、デバイス構成部品を指す。更に用語「リード(lead)」は、電極をデバイスの他の構成部品に結合するバックエンド構造体を指す(例えばリードは、電極を制御可能な電圧源に結合してよい)が、リードは導波路構造体から分離されており、導波路構造体に直接結合されていない。いくつかの実施形態では、リードは金属(例えば銅、金等)、あるいは半導体材料で構成されていてよい。
【0030】
電極は、導波路の光モードの位置に近接して延在するよう構成され、フォトニック移相器は、2つの電極(例えばいくつかの実施形態では誘電体電極)にわたって制御可能な電圧差を導入することによって、導波路を通過するフォトニックモードの累積位相を変更するよう構成される。例えば電極は、リードを介して、上記制御可能な電圧差を付与する電圧源に結合されていてよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、電極は比誘電率が高いHigh‐κ誘電体材料で構成されていてよく、これにより電極は、導波路及び/又はスラブ層の材料より高い比誘電率を有する。本明細書中で使用される場合、κは比誘電率を表すために使用され、これは相対誘電率の実数成分:
【0032】
【数1】
【0033】
を指し、ここでεは複素数値の相対誘電率であり、εは材料の絶対誘電率であり、εは真空の誘電率である。明確にするために、εの虚数成分は材料の導電率に関連するのに対し、実数成分κは材料の誘電分極率に関連することに留意されたい。
【0034】
材料の比誘電率は、直流(DC)電圧の存在下では交流(AC)電圧に対して異なる値を有する場合があり、AC電圧での材料の比誘電率は周波数の関数κ(ω)となり得る。従っていくつかの実施形態では、電極、スラブ層、及び/又は隆起導波路の材料を選択する際に、フォトニック移相器の動作周波数における材料の比誘電率を考慮する場合がある。
【0035】
電極は、第1の電極と第2の電極とを隔てる方向(例えば図2~5、7~8のx方向、又は図6のy方向)に沿って、スラブ層の第1の材料より高い比誘電率を有する材料で構成されていてよい。例えば異方性媒体では、誘電率テンソルεは、電場Eを電気変位Dに関連付ける以下の行列によって表現できる。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで、成分εxx、εxy等は、誘電率テンソルの個々の成分を示す。いくつかの実施形態では、第1及び第2の電極の材料は、これらの電極を隔てる方向に沿った誘電率テンソルの対角成分が、スラブ層及び/又は隆起部分の材料の誘電率テンソルの対応する対角成分より大きくなるように、選択できる。
【0038】
【表1】
【0039】
表1は、多様な材料に関するχ(3)、屈折率、及び比誘電率の値を示す。表1に示されているように、STOは、10K未満の温度に関して極めて高い比誘電率を有するため、STOは電極に使用するための望ましい材料となり得るが、いくつかの実施形態では、BTOをスラブ層及び/又は導波路の隆起部分に使用してよい。
【0040】
図示されているように、図2~8それぞれに示されているアーキテクチャは、第1及び第2のクラッド層を備えたフォトニックデバイスを示す。例えば、210、310、410、510、610、710、810で示されている領域は、導波路の一方の側部の第1のクラッド層を表し、212、312、412、512、612、712、812で示されている領域は、導波路の他方の側部の第2のクラッド層を表す。なお、用語「第1の」及び「第2の」は、2つのクラッド層を単に区別することを意図したものであり、例えば用語「第1のクラッド層(first cladding layer)」は、導波路のいずれかの側部のクラッド層を指すことができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のクラッド層の屈折率は、導波路構造体の屈折率より低くてよい。
【0041】
図2~8は更に、第1の電極(240、340、440、540、640、740、840)に結合された第1のリード(230、330、430、530、630、730、830)を含む第1の電気的接点と、第2の電極(242、342、442、542、642、742、842)に結合された第2のリード(232、332、432、532、632、732、842)を含む第2の電気的接点とを示す。第1及び第2のリードは、金属等の導電性材料で構成されていてよく、あるいはこれらは半導体材料で構成されていてよい。様々な実施形態でにおいて、第1の電極及び第2の電極は、ガリウムヒ素(GaAs)、アルミニウムガリウムヒ素(Al1-xAs)/GaAsヘテロ構造、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)/GaAsヘテロ構造、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化インジウム(InO)、ドープ済みケイ素、チタン酸ストロンチウム(STO)、ドープ済みSTO、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、リチウムニオバイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、これらのドープ済み変形形態若しくは固溶体、又は2次元電子ガスのうちの1つ以上で構成される。第1及び第2の電極がドープ済みSTOで構成される実施形態については、STOには様々な実施形態に応じて、ニオブがドープされるか、ランタンがドープされるか、又は空孔がドープされるかのいずれであってよい。
【0042】
図2~8は、第1の材料からなるスラブ層(220、320、420、520、651、754、851)を含む導波路構造体を示し、上記スラブ層は、第1の電気的接点の第1の電極、及び第2の電気的接点の第2の電極に結合されている。いくつかの実施形態では、導波路構造体は更に、第1の材料(又は異なる材料)で構成されてスラブ層に結合される、隆起部分(251、351、451、551)を含み、上記隆起部分は第1の電気的接点と第2の電気的接点との間に配置される。様々な実施形態において、第1の材料は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、リチウムニオバイト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、又はこれらのドープ済み変形形態若しくは固溶体のうちの1つである。いくつかの実施形態では、第1の材料は、第1及び第2のクラッド層の屈折率より高い屈折率を有する透明材料であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の電極を構成する第2の材料は、スラブ層及び/又は導波路構造体を構成する第1の材料に基づいて選択できる。例えば第2の材料は、第2の材料が第1の材料の比誘電率より高い比誘電率を有するように選択できる。一例として、第1の材料がBTOである場合、第2の材料は、フォトニックデバイスが動作するよう設計されている極低温(例えば4K)においてBTOより高い比誘電率を有するSTOとなるように選択できる。有利なことに、電極の高い比誘電率により、導波路から電極への所与の許容可能なレベルの損失について、この電極を、金属製電極と比較して導波路に近接させて配置できる。例えば金属製電極の高い導電率により、導波路から同程度に離間した電極の吸収と比較して、導波路からの光子吸収(即ち損失)の程度が大きくなる。従って、所与の損失許容量について、電極を金属製電極に比べて導波路に近接させて配置できる。電極の高い比誘電率は、誘電体材料の高い分極率に対応し、これは、導波路構造体の電場を調整するための、エネルギ効率の高い制御機構をもたらす。
【0044】
いくつかの実施形態では、電極及び導波路構造体に使用される材料は、これらの有効比誘電率に基づいて選択できる。例えば材料の比誘電率(又は異方性材料に関しては誘電テンソル)は材料固有の特性であるが、構造体の有効比誘電率は、その比誘電率に比例するだけでなく、該構造体の形状及び寸法にも依存する。これらの実施形態では、第1及び第2の電極に使用される材料は、第1及び第2の電極の有効比誘電率が導波路構造体の有効比誘電率より高くなるように選択できる。
【0045】
いくつかの実施形態では、図10に示されているクライオスタット1113等の極低温デバイスは、第1の電気的接点、第2の電気的接点、及び導波路構造体を、例えば77ケルビン以下の極低温に維持するよう構成されていてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の電気的接点及び第2の電気的接点は、導波路構造体内に、1つ以上の方向に沿った、例えばx方向に沿った電場を生成するよう構成され、導波路構造体は、電気光学係数(例えばポッケルス係数χ(2)、又はカー係数χ(3))が、上記電場の方向に沿って位置合わせされた非ゼロ値を有することを特徴とし得る。例えば図10に示されているように、リードを、制御可能な(例えばプログラム可能な)電圧差を付加する電圧源に結合することによって、導波路構造体内に電場を生成してよい。更に、又はあるいは、導波路構造体がサポートするガイドモードは、x方向に位置合わせされた偏光方向を有してよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の電極及び第2の電極は、スラブ層と同一平面上の、スラブ層の第1の側面に隣接して配置された、第2の層として構成される。例えば第1及び第2の電極を、第1及び第2の誘電体層がスラブ層に直接結合されるように、(例えばエピタキシ、又は有機金属の化学蒸着、電子ビームエピタキシ、物理蒸着、ゾル‐ゲルといった他の方法を用いて)成長スラブ層の第1の側面上に成長させることができる。あるいはいくつかの実施形態では、スラブ層と第1及び第2の誘電体層とが間接的に結合されるように、スラブ層と第1及び第2の誘電体層との間に介在層を配置してよい。いくつかの実施形態では、介在層は酸化物材料で構成されていてよい。
【0048】
第1の電極及び第2の電極は、例えばギャップ領域243又は343であるギャップ領域によって隔てられていてよい。いくつかの実施形態では、ギャップ領域はエッチングされていてよく、またクラッド材料で埋められていてよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2の電極はいずれも、スラブ層を覆う単一の第2の層として成長させることができ、それに続いてある領域をエッチングして、第1の電極と第2の電極とを隔てることができる。その後、このエッチングされた領域をクラッド材料で埋めることができる。あるいはエッチングされた領域を、空のままとすることができる(即ち空気又は真空で埋めることができる)。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の電極及び第2の電極は、第1の電極と第2の電極とを隔てる方向において、第1の材料の比誘電率より高い比誘電率を有する。第1の電極及び第2の電極の比誘電率は、1mKより高い、77k未満の、150K未満の、及び/又は別の温度範囲内の第1の温度において、導波路構造体の比誘電率より高くてよい。いくつかの実施形態では、第1の材料は、第1及び第2のクラッド層の屈折率より高い屈折率を有する透明材料である。いくつかの実施形態では、第1及び第2の電極の比誘電率と第1の材料の比誘電率との間の比は、2以上である。
【0050】
透明電極
材料の導電率は、そのキャリア移動度(例えば電子移動度又は正孔移動度)と、キャリア濃度(例えばその自由電子密度又は正孔密度)との両方に比例する。フォトニック移相器デバイスの電極の導電率は、上昇させることが望ましい場合がある。というのは、これによって、より高い周波数において、及び/又は電極の加熱を低減した状態で、該デバイスの制御を向上させることができるためである。しかしながら、電極の自由電子密度が高いことは望ましくない場合がある。というのは、自由電子密度が高い電極は、電極の自由電子によって吸収されることになる(例えばそれによって導波路構造体から電極へと逃げる)導波路構造体内の光子に、大きな吸収性リザーバを提供する可能性があるためである。換言すれば、電極のために選択される材料の自由電子密度を上昇させることによって電極の導電率を上昇させることは、デバイスのフォトニック損失率を上昇させる恐れがあるため、望ましくない場合がある。
【0051】
これらの懸念及び他の懸念に対処するために、いくつかの実施形態では、電極を、高いキャリア濃度ではなく高いキャリア移動度によって高い導電率を有するように選択された、第2の材料で構成してよい。有利には、この高キャリア移動度材料は、それに比例して、高い光子吸収を導入することなく高い導電率を生成できる。高キャリア移動度材料は、キャリア濃度が比較的低い(例えば同様の導電率及び低いキャリア移動度を有する材料と比較して低い)ことによって、導波路内の光モードに対する透過性を維持しながら、望ましい導電特性を呈することができる。古典的なドルーデ理論では、自由キャリアの吸収が、ドープレベルに比例し、光移動度に反比例すると予測されている。従って高い移動度を有する材料は、抵抗及び自由キャリア吸収の両方の低下を呈する可能性がある。
【0052】
例えばいくつかの実施形態では、第1の電極及び第2の電極は第2の材料で構成され、上記第2の材料は高いキャリア移動度(例えば高い電子移動度又は高い正孔移動度)を有する。一例として、上記第2の材料は、その電子移動度がケイ素より高くなるように選択できる。いくつかの実施形態では、上記第2の材料は、デバイスの動作周波数より大きなバンドギャップを有するように選択できる。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の材料は、ガリウムヒ素(GaAs)、アルミニウムガリウムヒ素(Al1-xAs)/GaAsヘテロ構造、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)/GaAsヘテロ構造、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化インジウム(InO)、ドープ済みケイ素、2次元電子ガス、又はドープ済み酸化ストロンチウム(STO)のうちの1つからなる。第2の材料がドープ済みSTOからなる実施形態については、上記ドープ済みSTOには、可能な選択肢の中でもとりわけ、ニオブがドープされるか、ランタンがドープされるか、又は空孔がドープされるかのいずれであってよい。例えば、バルクGaAsの電子移動度は8500cm/Vsであり、これはケイ素の電子移動度の6倍高い。InGaAs/GaAsのヘテロ構造は、4ケルビンにおいて41000cm/Vsの移動度に達することができ、またAl1-xAs/GaAsヘテロ構造は、最高180,000cm/Vsの移動度に達することができる。比較として、Siの移動度は1500cm/Vsである。ドープ済みSTOはまた、キャリア濃度に応じて10,000cm/Vs~53,000cm/Vsという高い電子移動度を呈することができる。
【0054】
第2の材料がドープ済み材料である実施形態について、ドープ濃度は、得られるドープ済み材料の吸収特性に基づいて選択できる。例えばドープ済み材料の吸収は、複数のドープ濃度それぞれについて、電子フォトニックデバイスの1つ以上の動作周波数において分析でき、上記1つ以上の動作周波数において低い吸収を呈するドープ濃度を選択できる。
【0055】
以下のいくつかの段落は、図2~8に示されているアーキテクチャ間で異なっている様々な設計上の特徴を説明する。
【0056】
図2は、導波路構造体の隆起部分(251)がスラブ層の底部に配置されて第1のクラッド層(210)内へと延伸するアーキテクチャを示す。図2に示されているように、隆起部分とスラブ層との組み合わせは、スラブ層のみ(220)の第2の厚さ(260)より大きな第1の厚さ(262)を有し、第1の厚さの、第2の厚さを超えた部分は、スラブ層の下側においてクラッド層(210)内へと延伸する。図2に示されているように、第1の電極(240)及び第2の電極(242)は、上記下側とは反対側のスラブ層の上側において、スラブ層(220)に結合される。更に、第1の電気的接点(230)及び第2の電気的接点(232)が、スラブ層(220)の上側に配置される。なお、用語「上(top)」及び「下(bottom)」は、分かりやすいように、図面に示されている見方に関して使用されているものであり、必ずしも、デバイス全体に対する何らかの特定の方向を指すものではない。
【0057】
図3は、導波路構造体の隆起部分(351)がスラブ層の上側に配置されて第1のクラッド層(312)内へと延伸し、第1の電極及び第2の電極が、上記上側とは反対側のスラブ層の下側においてスラブ層に結合される、アーキテクチャを示す。図示されているように、隆起部分とスラブ層との組み合わせは、スラブ層(320)のみの第2の厚さ(360)より大きな第1の厚さ(362)を有し、第1の厚さの、第2の厚さを超えた部分は、スラブ層(320)の上側において第1のクラッド層(312)内へと延伸する。図3に示されているように、第1の電極(340)及び第2の電極(342)は、上記上側とは反対側のスラブ層の下側において、スラブ層(320)に結合される。更に、第1の電気的接点(330)は、スラブ層の上側からスラブ層の下側へとスラブ層(320)を貫通することによって、第1の電極(340)に結合され、第2の電気的接点(332)は、スラブ層の上側からスラブ層の下側へとスラブ層(320)を貫通することによって、第2の電極(342)に結合される。
【0058】
図4は、スラブ層と導波路構造体の隆起部分(451)との組み合わせが、スラブ層(420)の第2の厚さ(460)より大きな第1の厚さ(462)を有し、第1の厚さの、第2の厚さを超えた部分が、スラブ層の上側において第1のクラッド層(412)内へと延伸する、アーキテクチャを示す。図4に示されているように、第1の電極(440)及び第2の電極(442)は、スラブ層の上側において、第1の材料(420)に結合される。更に、第1の電極(440)及び第2の電極(442)は、導波路構造体(451)の隆起部分に当接する。
【0059】
図5は、導波路構造体が第1のストリップ状導波路部分(554)及び第2のストリップ状導波路部分(556)を含み、第1及び第2の導波路が第2の材料で構成され、スラブ層(520)が第1の導波路部分(554)と第2の導波路部分(556)との間に配置される、アーキテクチャを示す。第1の電極(540)及び第2の電極(542)は電気光学層(520)上に配置され、第1のリード(530)は第1の電極に結合され、第2のリード(532)は第2の電極に結合される。図5に示されているデバイスアーキテクチャは、いくつかの実施形態によると、図15を参照して説明される方法によって製作できる。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1のストリップ状導波路部分は窒化ケイ素(Si)で構成され、第2のストリップ状導波路部分はケイ素で構成される。他の実施形態では、第1及び第2のストリップ状導波路部分はいすれも窒化ケイ素(Si)で構成される。あるいは、第1及び第2の導波路部分はそれぞれ別個に、Si、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、又は別の材料で構成されてよい。
【0061】
図5に示されているように、第1の電極及び第2の電極は、第1のストリップ状導波路に当接し、第1の電極及び第2の電極は第1の厚さ(562)を有する。いくつかの実施形態では、第1の電極及び第2の電極は、電気光学層と同一平面であり、電気光学層の第1の側面に隣接して配置された、第2の層を備える。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のストリップ状導波路部分は、電気光学層内に光モードの最大強度部分を集中させるよう構成される。換言すれば、スラブ層(520)の一方の側面上に第1のストリップ状導波路部分(554)のみを有し、もう片方の側面上にクラッド層を有する(即ち第2のストリップ状導波路部分556を有しない)、又はスラブ層(520)の一方の側面上に第2のストリップ状導波路部分(556)のみを有し、もう片方の側面上にクラッド層を有する(即ち第1のストリップ状導波路部分554を有しない)と、垂直方向にオフセットされた、及び/又は集中度が低い光モードがもたらされる場合がある。いくつかの実施形態では、第1のストリップ状導波路部分はスラブ層に当接し、第2のストリップ状導波路部分はわずかな距離(例えば数ナノメートル等の距離)だけスラブ層から隔てられる。あるいは(図5には示されていないが)、第1及び第2のストリップ状導波路部分はいずれもスラブ層に当接してよい。
【0063】
図6は、第1の電極(642)がスラブ層の上側においてスラブ層(651)に結合され、第2の電極(640)が、上記上側とは反対側のスラブ層の下側においてスラブ層(651)に結合される、垂直な導波路アーキテクチャを示す。換言すれば、第1及び第2の電極は、導波路構造体内の誘導電場がy方向に沿って配向されるように、導波路構造体の上側及び下側に結合される。
【0064】
図7は、第1の電極(740)及び第2の電極(742)がそれぞれ、導波路構造体(754)内で一直線上に配置される、導波路アーキテクチャを示す。換言すれば、第1及び第2の電極のそれぞれと導波路構造体とは、単一の幅を有する単一の層内に配置される。
【0065】
図8は、第1の電極(840)及び第2の電極(842)が導波路構造体(851)と、隆起したプロファイルを共有し、上記隆起したプロファイルが第1のクラッド層(812)内へと延伸する、導波路アーキテクチャを示す。例えば第1の電極(840)は、第1の電極の残りの部分の厚さ(860)より大きな厚さ(862)を有する隆起部分(844)を含んでよく、第2の電極(842)は、第2の電極の残りの部分の厚さ(860)より大きな厚さ(862)を有する隆起部分(846)を含んでよい。更に、第1及び第2の電極の隆起部分は、導波路構造体(851)と同じ厚さを呈してよい。
【0066】
図9 フォトニック移相器の上面図
図9は、いくつかの実施形態によるフォトニック移相器のアーキテクチャの上面図である。図示されているように、上記移相器は、第1のリード(930)及び第2のリード(932)、第1の電極(940)及び第2の電極(942)、スラブ(例えば導波路)層(920)、並びに導波路構造体の隆起部分(951)を含んでよい。
【0067】
図10 ハイブリッド量子コンピューティングシステム
図10は、いくつかの実施形態による、クライオスタットを備えた電気光学スイッチの、ハイブリッド量子コンピューティングシステムへの組み込みを示す、簡略化された概略図である。低温、例えば液体ヘリウムの温度での動作のために、本発明の実施形態は、本明細書に記載の電気光学スイッチを、冷却システムを含む装置に組み込む。そのようにして、本発明の実施形態は、例えば図8に示されているような、ハイブリッドコンピューティングシステム内で使用できる光移相器を提供する。ハイブリッドコンピューティングシステム1101は、ハイブリッド量子コンピューティング(QC)サブシステム1105と通信可能に結合された、ユーザインタフェースデバイス1103を含む。ユーザインタフェースデバイス1103は、いずれのタイプのユーザインタフェースデバイス、例えばディスプレイ、キーボード、マウス、タッチスクリーン等を含む端末とすることができる。更に、ユーザインタフェースデバイス自体を、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、タブレットコンピュータ等のコンピュータとすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースデバイス1103は、ユーザがハイブリッドQCサブシステム1105と対話できるようにするインタフェースを提供する。例えばユーザインタフェースデバイス1103は、テキストエディタ、インタラクティブ開発環境(interactive development environment:IDE)、コマンドプロンプト、グラフィカルユーザインタフェース等のソフトウェアを実行でき、これにより、ユーザはQCサブシステムをプログラムするか又はQCサブシステムと他の様式で対話することによって、1つ以上の量子アルゴリズムを実行できる。他の実施形態では、QCサブシステム1105は事前にプログラムされていてよく、ユーザインタフェースデバイス1103は、ユーザが量子計算を開始でき、進捗を監視でき、結果をハイブリッドQCサブシステム1105から受け取ることができる、単なるインタフェースであってよい。ハイブリッドQCサブシステム1105は更に、1つ以上の量子コンピューティングチップ1109に結合された、古典的なコンピューティングシステム1107を含む。いくつかの例では、古典的なコンピューティングシステム1107及び量子コンピューティングチップ1109は、他の電子構成部品1111、例えばパルスポンプレーザ、マイクロ波発振器、電源、ネットワーク構成ハードウェア等に結合できる。
【0068】
極低温動作を利用するいくつかの実施形態では、量子コンピューティングシステム1109を、例えばクライオスタット1113であるクライオスタット内に格納できる。いくつかの実施形態では、量子コンピューティングチップ1109は、1つ以上の構成チップ、例えばハイブリッド電子チップ1115及び集積フォトニクスチップ1117を含むことができる。信号は、いずれの個数の経路で、例えば光相互接続1119を介して、及び他の電子的相互接続1121を介して、オンチップ及びオフチップでルーティングできる。
【0069】
図11 フォトニック移相器の誘導電場
図11は、いくつかの実施形態による、図2に示されている導波路構造体の断面を示す、簡略化された概略図であり、誘導電場の方向が矢印で示されている。図示されているように、小さな矢印は、デバイスの電極を通り、全体として正のx方向を向いた、誘導電場の方向を示す。電場は図示されているように、電極の上下両方において凸状に湾曲している。更に、正のx方向を向いた大きな矢印(1150)は、スラブ層及び導波路を通過できる光モードの偏光の方向を示す。
【0070】
図12~15 電気光学デバイスの製作方法
近年の技術の進歩によって、複雑な分子ビームエピタキシ(molecular beam epitaxy:MBE)技術を用いて平面Si基板上に強誘電体薄膜を良好に成長させることができることが実証されており、これにより、半導体加工技術を用いて、電気光学デバイスに様々な複雑な酸化物をモノリシックに統合できる。BaTiO又はBTOは、その高いポッケルス係数、高いバンド幅、及び低い誘電損失を理由として、次世代電気光学スイッチのための最適な材料と考えられている。いくつかの実施形態では、SrTiOをバッファとして用いて、ブランケットBTO薄膜をシリコン基板上にエピタキシャル成長させることができる。続いて、二酸化ケイ素(SiO)接着層をBTO薄膜に重ねることができる。別のシリコンウェハでは、シリコン導波路を形成し、これを平坦な上面を有する二酸化ケイ素クラッド層で取り囲み、この平坦な上面は、例えばシリコン導波路上に二酸化ケイ素をブランケット堆積させた後に化学機械研磨によって得ることができる。ブランケットBTOフィルムが上に形成された第1のウェハを、ウェハ間接着によって第2のウェハに接着することにより、ブランケットBTOフィルムを、第2のウェハ上の二酸化ケイ素クラッドの平坦な上面に転写する。続いてこの第1のウェハを(例えば研削及び/又は化学機械研磨によって)除去し、電極又は接点をBTOフィルムに形成して、複数の接点にわたる電場の印加を可能とする。このプロセスは、ある基板から別の基板へのBTOフィルムの転写を伴うため、非効率的かつ高コストであり、基礎となるデバイスのアーキテクチャを限定する。図12~15は、様々な実施形態による、様々な電気光学デバイスのアーキテクチャの製作プロセスのための改善された方法を示す。
【0071】
図12A~Gは、いくつかの実施形態による、電極とは反対側に位置決めされた隆起導波路を有する電気光学デバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。
【0072】
図12Aは、デバイスを構築するための最初の複数のステップを示し、これらには、シード層(1204)を基板層(1202)上に堆積させるステップ、及び電気光学層(1206)をシード層(1204)上に堆積させるステップが含まれる。これらの連続的な層はエピタキシ的に堆積させてもよく、又はこれらは別の技法を用いて堆積させてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層スタックを含む第1のウェハを受け取ることができ、上記第1の層スタックは、図示されている基板層(1202)、シード層(1204)、及び電気光学層(1206)を含む。換言すれば、図12Aに図示されているものに相当する予備製作済みのウェハを、製造元から受け取ることができる。あるいは、シード層(1204)、基板層(1202)、及び/又は電気光学層(1206)のうちの1つ以上を含む、部分的に完成したウェハを受け取ることもでき、残りの層を堆積させてウェハを完成させることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、基板層はシリコン・オン・インシュレータ(silicon‐on‐insulator:SOI)ウェハであり、基板層の第1の部分は、シード層に接触した、SOIウェハの最も上のケイ素層である。SOIウェハは、半導体(例えばケイ素又はSi)ベース、上記半導体ベース基板上の酸化物層(例えば二酸化ケイ素又はSiO)、及び上記酸化物層の上の半導体層(例えばケイ素)を含んでよい。ケイ素層ベース基板上の二酸化ケイ素層の上にケイ素層を有する、ケイ素ベースSOI基板を、SOI基板の一例として本明細書で使用するが、SOI基板は他のタイプの半導体(例えばゲルマニウム又はガリウムヒ素)をベースとすることもできる。SOI基板上のケイ素層及びSiO層の厚さは、様々な実施形態に従って変更できる。いくつかの実施形態では、SOI基板上のケイ素層の厚さは、150nm以下であり、SiO層の厚さは0.5~4μmとすることができ、ケイ素ベースの厚さは100μm~2mmとすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、シード層は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)、酸化マグネシウム(MgO)、ゲルマニウム(Ge)等のうちの1つで構成される。いくつかの実施形態では、シード層は30nmより薄くてよく、基板層に取り付けるための相互作用層として機能できる。これらの実施形態では、シード層及び相互作用層は最終的に、後続の製作ステップにおいて除去できる。あるいはいくつかの実施形態では、シード層はより厚い(例えば厚さ4nm~300nmの)ものであってよく、以下で更に詳述するように、後でエッチングすることによって、シード層を第2の電極から分離された第1の電極へと分割できる。
【0075】
いくつかの実施形態では、電気光学層は、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、リチウムニオバイト、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、又はニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)のうちの1つで構成される。いくつかの実施形態では、第1のクラッド層は、二酸化ケイ素又は別の材料で構成されていてよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、シード層を基板層上に堆積させるステップは、清浄なケイ素表面(例えばSi(001)2×1再構成面)を有するSOI基板を得るステップ、及び従来の技法を用いて上記ケイ素表面を不活性化するステップを含む。ケイ素表面の不活性化後、SrTiOバッファ層をケイ素層上にエピタキシャル成長させることができる。薄膜(約3nm~30nm)のエピタキシャル成長させたSrTiO層を、最初にバッファ層として成長させることによって、それに続いて堆積させられるBaTiO層のエピタキシャル成長を促進できる。いくつかの実施形態では、SrTiOの最初の数ML(1~3ML)を、例えば10-8~1.5×10-6Torrの酸素圧下で、比較的低温(例えば100~300℃)で成長させることによって、ケイ素表面の酸化を回避できる。この数MLのSrTiOはほとんどが非晶質であるため、超高真空条件(例えば5×10-9Torr未満の圧力)下で、比較的高温(例えば500~750℃)でのアニーリングプロセスを実施することによって、ケイ素表面上に成長させたSrTiOを結晶化させてよい。その後、所望の厚さのSrTiOバッファ層が得られるまで、更なるSrTiOを、比較的高温(例えば500~600℃)で成長させることができ、又は比較的低温(例えば300~500℃)で成長させて、それに続いて比較的高温(例えば550~750℃)でアニーリングしてもよい。
【0077】
図12bは、電気光学層をエッチングして隆起導波路構造体(1224)を構築する方法を示す。電気光学層のエッチングに続いて、第1のクラッド層(1208)を電気光学層(1206)上に堆積させる。例えば第1のクラッド層の堆積前に、隆起構造体を、均一な電気光学層から形成してよい。いくつかの実施形態では、隆起導波路構造体は、厚さが例えば200~350nmの電気光学層を得るステップ、隆起導波路構造体が配置されることになる電気光学層上のエリアをマスキングするステップ、及び異方性エッチング(例えばRIE)プロセスを用いてSOI基板上の電気光学層をエッチングすることにより、電気光学層のマスキングされていない部分を例えば150nm未満まで薄くするステップによって形成できる。続いて第1のクラッド層を、隆起導波路構造体上と、電気光学層の薄くされなかった部分の上とに堆積させる。
【0078】
図12Cは、第1のクラッド層(1210)を平坦化するステップを示す。例えば、図12Aに示されている第1のクラッド層の上面は十分に平坦でない場合があり、第1のクラッド層を平坦化して、第1のクラッド層の厚さのばらつきを低減できる。
【0079】
図12Dは、平坦化された第1のクラッド層(1210)をウェハ(1212)に接着するステップを示す。いくつかの実施形態では、第1のクラッド層の上面をウェハに接着してよい。いくつかの実施形態では、ウェハ(1212)は光学インターポーザを含むか、又はウェハはデバイスの別のタイプの回路構成部品であってよい。一般にウェハは、隆起導波路に近接して構成されることになる様々なタイプの構成部品のいずれを含んでよい。
【0080】
図12Eは、ここでデバイスの上面として示されているものから基板層(1202)を除去するステップを示す。基板層の除去によってシード層を露出させることができる。
【0081】
図12Fは、シード層をエッチングすることによって、シード層を第2の電極(1216)から分離された第1の電極(1214)へと分割するステップを示す。シード層をエッチングするステップを実施することによって、電気光学層の一部分を露出させることができる。上記方法を継続して、エッチングされたシード層上と、電気光学層の露出した部分の上とに、第2のクラッド層(1218)を堆積させることができる。
【0082】
図12Gは、第2のクラッド層をエッチングして第1の電極の第1の部分を露出させるステップ、第2のクラッド層をエッチングして第2の電極の第2の部分を露出させるステップ、第1のリード(1220)を、露出した第1の部分を通るように第1の電極(1214)上に堆積させるステップ、及び第2のリード(1222)を、露出した第2の部分を通るように第2の電極(1216)上に堆積させるステップを示す。第1及び第2のリードは、金属(例えば銅、金等)等の導電性材料で構成されていてよく、あるいはこれらは、半導体で構成されていてよい。最終的なデバイスは、例えば図2に示されているデバイスと構造的に同様のものであってよい。
【0083】
図13A~Eは、いくつかの実施形態による、導波路のスラブ層を貫通したリードを有する電極とは反対側に位置決めされた隆起導波路を有する電気光学デバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。図13A~Eに示されている方法のステップを用いて、例えば図3に示されているデバイスと同様のデバイスを構築できる。
【0084】
図13Aは、デバイスを製作するための最初の複数のステップを示し、これらには、シード層(1304)を基板層(1302)上に堆積させるステップ、電気光学層(1306)をシード層(1304)上に堆積させるステップ、及び電極層(1308)を電気光学層(1306)上に堆積させるステップが含まれる。これらの連続的な層はエピタキシ的に堆積させてもよく、又はこれらは別の技法を用いて堆積させてもよい。あるいは、図13Aに図示されているもの等の完成品のウェハを、製造元から受け取ることができる。あるいは、シード層(1304)、基板層(1302)、及び/又は電気光学層(1306)のうちの1つ以上を含む、部分的に完成したウェハを受け取ることもでき、残りの層を堆積させてウェハを完成させることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、シード層は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)、酸化マグネシウム(MgO)、ゲルマニウム等のうちの1つで構成される。
【0086】
いくつかの実施形態では、電気光学層は、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、リチウムニオバイト、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、又はニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)のうちの1つで構成される。
【0087】
図13Bは、電極層(1308)をエッチングして電気光学層の一部分を露出させ、電極層を第2の電極(1312)から分離された第1の電極(1310)へと分割するステップを示す。エッチングの実施後、第1のクラッド層(1314)を、電気光学層の露出した部分の上と、第1及び第2の電極の上とに堆積させる。
【0088】
図13Cは、第1のクラッド層を平坦化するステップ、及び平坦化された第1のクラッド層(1314)をウェハ(1316)に接着するステップを示す。例えば第1のクラッド層を平坦化することによって、その厚さの均一性を向上させ、ウェハへの接着を改善できる。平坦化された第1のクラッド層が、ウェハへの接着のためにデバイスの底部となるように、ウェハへの接着前にデバイスを上下逆にしてよい。いくつかの実施形態では、ウェハ(1316)は光学インターポーザを含むか、又はウェハはデバイスの別のタイプの回路構成部品であってよい。一般にウェハは、電極に近接して構成されることになる様々なタイプの構成部品のいずれを含んでよい。
【0089】
図13Dは、基板層(1302)及びシード層(1304)を除去するステップ、並びに基板層及びシード層の除去後に電気光学層(1306)をエッチングして、第1の厚さ(1326)より小さな第2の厚さ(1328)を有する第1のスラブ層(1320)と第2のスラブ層(1322)との間に配置された、第1の厚さ(1326)を有する隆起導波路(1318)を作成するステップを示す。いくつかの実施形態では、隆起導波路付近の領域の電気光学係数を更に改善するために、基板層(1302)及びシード層(1304)を除去するだけでなく、電気光学層1306の一部分も除去することによって、(例えばSTO種及びBTO電気光学層の場合に)シード層付近の領域で成長したいずれのc軸電気光学材料を除去する。隆起導波路のエッチング後、第2のクラッド層(1324)を、第1及び第2のスラブ層上と、隆起導波路構造体上とに堆積させてよい。
【0090】
図13Eは、第2のクラッド層(1324)及び第1のスラブ層を通るようにエッチングすることによって、第1の電極の第1の部分を露出させるステップ、第2のクラッド層及び第2のスラブ層を通るようにエッチングすることによって、第2の電極の第2の部分を露出させるステップ、第1のリード(1330)を、露出した第1の部分を通るように第1の電極(1310)上に堆積させるステップ、及び第2のリード(1332)を、露出した第2の部分を通るように第2の電極(1312)上に堆積させるステップを示す。第1及び第2のリードは、金属等の導電性材料で構成されていてよく、あるいはこれらは、半導体で構成されていてよい。
【0091】
図14A~Eは、いくつかの実施形態による、電極と同じ側に位置決めされた隆起導波路を有する電気光学デバイスを構築するための製作方法を示す概略図である。図14A~Eに示されている方法のステップを用いて、例えば図4に示されているデバイスと同様のデバイスを構築できる。
【0092】
図14Aは、デバイスを製作するための最初の複数のステップを示し、これらには、シード層(1404)を基板層(1402)上に堆積させるステップ、電気光学層(1406)をシード層(1404)上に堆積させるステップ、及び第1のクラッド層(1408)を電気光学層(1406)上に堆積させるステップが含まれる。これらの連続的な層はエピタキシ的に堆積させてもよく、又はこれらは別の技法を用いて堆積させてもよい。あるいは、図14Aに図示されているもの等の完成品のウェハを、製造元から受け取ることができる。あるいは、シード層(1404)、基板層(1402)、電気光学層(1406)、及び/又は第1のクラッド層(1408)のうちの1つ以上を含む、部分的に完成したウェハを受け取ることもでき、残りの層を堆積させてウェハを完成させることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、電気光学層は、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、リチウムニオバイト、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、又はニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)のうちの1つで構成される。
【0094】
図14Bは、第1のクラッド層(1408)を平坦化して、第1のクラッド層の厚さの均一性を向上させるステップ、及び平坦化された第1のクラッド層(1408)をウェハ(1410)に接着するステップを示す。平坦化された第1のクラッド層が、ウェハへの接着のためにデバイスの底部となるように、ウェハへの接着前にデバイスを上下逆にしてよい。いくつかの実施形態では、ウェハ(1410)は光学インターポーザを含むか、又はウェハはデバイスの別のタイプの回路構成部品であってよい。一般にウェハは、シード層に近接して構成されることになる様々なタイプの構成部品のいずれを含んでよい。
【0095】
図14Cは、基板層(1402)及びシード層(1404)を除去するステップ、並びに基板層及びシード層の除去後に電気光学層をエッチングして、第1のスラブ層(1414)と第2のスラブ層(1416)との間に配置された、第1の厚さ(1418)を有する隆起導波路(1412)を作成するステップを示し、ここで第1及び第2のスラブ層は第1の厚さ(1418)より小さな第2の厚さ(1420)を有する。いくつかの実施形態では、隆起導波路付近の領域の電気光学係数を更に改善するために、基板層(1402)及びシード層(1404)を除去するだけでなく、電気光学層1406の一部分も除去することによって、(例えばSTO種及びBTO電気光学層の場合に)シード層付近の領域で成長したいずれのc軸電気光学材料を除去する。
【0096】
図14Dは、第1の電極(1422)及び第2の電極(1424)をそれぞれ、隆起導波路構造体(1412)の左側面及び右側面上に堆積させるステップ、並びに第2のクラッド層(1426)を、第1及び第2の電極上と、隆起導波路構造体上とに堆積させるステップを示す。いくつかの実施形態では、第1及び第2の電極は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、又はニオブ酸バリウムストロンチウム(SBN)のうちの1つで構成される。
【0097】
図14Eは、第2のクラッド層を通るようにエッチングすることによって、第1の電極の第1の部分を露出させるステップ、第2のクラッド層を通るようにエッチングすることによって、第2の電極の第2の部分を露出させるステップ、第1のリード(1428)を、露出した第1の部分を通るように第1の電極(1422)上に堆積させるステップ、及び第2のリード(1430)を、露出した第2の部分を通るように第2の電極(1424)上に堆積させるステップを示す。第1及び第2のリードは、金属等の導電性材料で構成されていてよく、あるいはこれらは、半導体で構成されていてよい。
【0098】
図15A~Eは、いくつかの実施形態による、サンドイッチ型アーキテクチャを呈するフォトニックデバイスを製作する方法を示す。図15A~Eに示されている方法のステップを用いて、例えば図5に示されているデバイスと同様のデバイスを構築できる。
【0099】
図15Aは、第1の基板層(1506)上に配置された電極層(1504)、及び電極層(1504)上に配置された電気光学層(1502)からなる、第1のウェハ(1500)の断面図を示す。あるいはいくつかの実施形態では、電気光学層(1502)はシード層(図示せず)上に配置される。いくつかの実施形態では、第1のウェハはウェハ製造元によって事前に製作されていてよく、これを、図15C~Eに記載されているような更なる製作ステップのために受け取ることができる。あるいは第1のウェハを組織内で製作してもよい。例えば電極層及び電気光学層は、エピタキシャル堆積又は本開示全体を通して様々に説明されている他の多様な堆積技法を利用して、第1の基板上に順次堆積させることができる。
【0100】
図15Bは、第2のクラッド層(1510)の下側に堆積された第2の基板層(1512)、及び第2のクラッド層内かつ第2のクラッド層の上面付近に堆積された第2のストリップ状導波路構造体(1508)からなる、第2のウェハ(1501)の断面図を示す。いくつかの実施形態では、第2のウェハ(1501)はウェハ製造元によって事前に製作されていてよく、これを、図15C~Eに記載されているような更なる製作ステップのために受け取ることができる。あるいは必要に応じて、第2のウェハを組織内で製作してもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1のウェハ(1500)を裏返し、第1のウェハの電気光学層(1502)の露出面を、第2のウェハの第2のクラッド層(1510)の露出面に接着する。従って第1及び第2のウェハは一体に接着される。
【0102】
図15Cは、いくつかの実施形態において、第1のウェハを第2のウェハに接着した後に、第1のクラッド層(1506)を除去して電極層(1504)をエッチングすることにより、電極層を第2の電極(1516)から分離された第1の電極(1514)へと分割する方法を示す。他の実施形態では、電極層(1504)は比較的薄いシード層として機能し、最終的に除去される。シード層の表面付近の領域の電気光学係数を更に改善するために、基板層(1506)及び電極/シード層(1504)に加えて電気光学層(1502)の一部分を除去してよい。これらの実施形態では、このようなシード層の除去後、又は何らかの部分除去ステップ後に、上述のようにして新たな電極層を堆積させてエッチングしてよい。
【0103】
図15Dは、第1の電極(1514)と第2の電極(1516)との間に第1のストリップ状導波路構造体(1520)を堆積させる方法を示す。いくつかの実施形態では、堆積プロセスに続いて平坦化ステップを実施し、例えばリソグラフパターン形成又は化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)によって、電極の上方の領域から余剰材料を除去する。いくつかの実施形態では、ストリップ状導波路構造体(1520)及び/又は(1508)に使用される材料は、図5を参照して上述した通りであり、例えば窒化ケイ素であってよい。続いて第1のクラッド層(1518)を、第1及び第2の電極上と、第1のストリップ状導波路構造体上とに堆積させる。
【0104】
最後に図15Eは、第1のクラッド層(1518)をエッチングして第1の電極(1514)の一部分及び第2の電極(1516)の一部分を露出させる方法を示す。続いて、第1のリード(1522)を第1の電極の露出した部分上に堆積させ、第2のリード(1524)を第2の電極の露出した部分上に堆積させる。図15Eは、リードを第1及び第2の電極の上面上に堆積させる実施形態を示す。しかしながら他の実施形態では、第1及び第2の電極の露出した部分自体をエッチングしてよく、これにより第1及び第2のリードを、第1及び第2の電極の断面内、又は潜在的には電気光学層(1502)の上面上においてある程度の距離以内に堆積させる。
【0105】
図16は、様々な実施形態による、本明細書に記載の様々なデバイスの製作プロセスの一部として受け入れることができる、層スタックを含む第1のウェハの断面図を示す。図示されているように、第1の絶縁基板層(1502)は(任意に)シード層(1504)の下に配置されていてよく、シード層(1504)は電気光学層(1506)の下に配置され、電気光学層(1506)は(任意に電極層(1508)の下に配置され、電極層(1508)は(任意に)第2の絶縁基板層(1510)の下に配置される。なお、シード層、電極層、及び第2の基板層は必要に応じて任意に存在してもしなくてもよいため、第1のウェハは、採用される特定の製作方法に応じて様々なタイプとなり得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、続いてシード層(1504)をエッチングして、第2の電極から分離された第1の電極を形成してよい。あるいはいくつかの実施形態では、シード層は単に電気光学層と第1の基板層との間に相互作用層を提供する役割を果たし、シード層は製作プロセス中に最終的に除去される。これらの実施形態では、電極層(1508)をエッチングして第1及び第2の電極を形成してよい。
【0107】
本明細書で説明されている様々な実施形態の記述において使用されている用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図したものではない。本明細書で説明されている様々な実施形態及び添付の特許請求の範囲の記述で使用されている場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記/前記(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数形も含むことが意図されている。また本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は、関連付けて列挙されている事項のうちの1つ以上のあらゆる可能な組み合わせを指し、またこれを包含することが理解されるだろう。更に本明細書中で使用される場合、用語「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、及び/又は「備える(comprising)」は、言及されている特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものの、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるだろう。
【0108】
本明細書中で使用される場合、用語「…である場合(if)」は任意に、文脈に応じて「…であるとき」、又は「…すると(upon)」、又は「…と判断されたことに応じて(in response to determining)」、又は「…が検出されたことに応じて(in response to detecting)」、又は「…という判断に従って(in accordance with a determination that)」を意味するものと解釈される。
【0109】
説明を目的とする以上の記述は、具体的実施形態を参照して記載されている。しかしながら上述の例示的説明は、包括的なものであること、又は特許請求の範囲を本明細書で開示されている形態に正確に限定することを意図したものではない。上述の教示に鑑みて、多数の修正及び変形が可能である。これらの実施形態は、特許請求の範囲及びその実際の応用の基礎となる原理を最も良好に説明することによって、当業者がこれらの実施形態を、企図される特定の使用に適した様々な修正と共に最も良好に使用できるようにするために、選択された。
【0110】
また本明細書に記載の例及び実施形態は例示のみを目的としていること、並びにそれに照らして、様々な修正又は変化が当業者に提案されることになり、またこれらは本出願及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれることになることも、理解されるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b-12c】
図12d-12e】
図12f
図12g
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図14a
図14b
図14c
図14d
図14e
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図16