(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-14
(45)【発行日】2025-07-25
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物およびその絶縁接着剤フィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20250715BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20250715BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20250715BHJP
C08L 79/00 20060101ALI20250715BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20250715BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20250715BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20250715BHJP
C09J 163/02 20060101ALI20250715BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20250715BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20250715BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K9/06
C08K3/013
C08L79/00
C09J163/00
C09J11/06
C09J11/08
C09J163/02
C09J11/04
C09J7/30
(21)【出願番号】P 2023204812
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】202211734990.2
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514309583
【氏名又は名称】廣東生益科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENGYI TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】董 晋超
(72)【発明者】
【氏名】▲シャ▼ 乃東
(72)【発明者】
【氏名】張 艶華
(72)【発明者】
【氏名】唐 軍旗
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第114957276(CN,A)
【文献】特開2021-181229(JP,A)
【文献】特開2021-080471(JP,A)
【文献】特開2015-038197(JP,A)
【文献】特開昭56-034758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00
C08K 9/00
C08K 3/00
C08L 79/00
C09J 163/00
C09J 11/00
C09J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部でエポキシ樹脂(A)30~70部、変性球状シリコン微粉末(B)5~500部、および硬化剤(C)30~70部を含み、前記球状シリコン微粉末はアミノ変性球状シリコン微粉末を含み、変性球状シリコン微粉末のD50粒径は0.1~2.0μmであり、粒径分布変動係数≧35%であり、
前記アミノ変性球状シリコン微粉末は、アミノシランカップリング剤で変性された球状シリコン微粉末を含み、前記アミノシランカップリング剤の用量は、球状シリコン微粉末の重量の0.1~2%である、
ことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アミノ変性球状シリコン微粉末は、球状シリコン微粉末をシラザン化合物で前処理してから、アミノシランカップリング剤を用いて変性したものであり、
前記シラザン化合物は、ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサ(t-ブチル)ジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサオクチルジシラザン、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3-ジメチルテトラフェニルジシラザン、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ジメチルジシラザン、1,3-ジプロピルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルシクロトリシラザンから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アミノシランカップリング剤は、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチレン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメトキシシラン、またはアミノプロピルトリエトキシシランから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルビフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルナフトール型ノボラック型エポキシ樹脂、またはナフタレン型エポキシ樹脂から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記硬化剤は、アミン系硬化剤、シアネート樹脂、活性エステル、フェノール樹脂、または酸無水物系硬化剤から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂組成物には、カルボジイミド樹脂(D)が更に含まれ、
前記カルボジイミド樹脂は、脂肪族構造または芳香族構造を含むカルボジイミド樹脂のうちのいずれか1種または2種の組み合わせであり、
成分(A)、成分(C)および成分(D)の総重量を100重量部として、前記カルボジイミド樹脂の用量は1~10部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂組成物には、他のフィラー(E)が更に含まれ、
前記他のフィラーは、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含み、
前記無機フィラーは、結晶シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはマイカから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記有機フィラーは、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、またはポリエーテルスルホン粉末から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項
5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂組成物には、他のフィラー(E)が更に含まれ、
成分(A)、成分(C)および成分(D)の総重量を100重量部として、前記変性球状シリコン微粉末(B)と他のフィラー(E)の総添加量は5~500部である、
ことを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記熱硬化性
樹脂組成物は、硬化促進剤(F)を更に含み、
前記硬化促進剤は、有機金属塩化合物、イミダゾール化合物およびその誘導体、ピペリジン系化合物、または三級アミンから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項
6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記硬化促進剤は、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、トリ-n-ブチルアミン、トリフェニルホスフィン、三フッ化ホウ素錯体、オクチル酸金属塩、アセチルアセトン金属塩、ナフテン酸金属塩、サリチル酸金属塩、またはステアリン酸金属塩から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の混合物であり、前記金属は、亜鉛、銅、鉄、錫、コバルト、またはアルミニウムから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記熱硬化性
樹脂組成物は、硬化促進剤(F)を更に含み、
成分(A)、成分(C)および成分(D)の総重量を100重量部として、前記硬化促進剤(F)の用量は0.01~1部である、
ことを特徴とする請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の熱硬化性
樹脂組成物および溶媒を含む樹脂接着剤液であって、
前記溶媒は、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、またはキシレンから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである、
ことを特徴とする樹脂接着剤液。
【請求項12】
請求項1に記載の熱硬化性
樹脂組成物を含む絶縁接着剤フィルムであって、
前記絶縁接着剤フィルムの厚さは10~100μmであり、
前記絶縁接着剤フィルムの溶融粘度は500~2100Pa・sであり、
前記絶縁接着剤フィルムの硬化後の誘電損失≦0.0182であり、
前記絶縁接着剤フィルムのDesmear処理後の表面粗さRa値≦0.360μmで、化学銅結合力≧5.7N/cmである、
ことを特徴とする絶縁接着剤フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁材料技術分野に属し、熱硬化性樹脂組成物およびその絶縁接着剤フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路技術の発展に伴い、アディティブ法プロセスは、極めて低い線幅/線間距離を作製できることにより、キャリアプレートメーカーに好まれ、そのため、絶縁材料に対していくつかの要求が提出された。1、1層の回路を作製した後、表面に積層する必要があるため、絶縁接着剤フィルム材料は、回路に対して接着剤充填を行うために優れたレオロジー性能を有する必要があり、従って、絶縁接着剤フィルムは、低い溶融粘度を備える必要がある。2、回路が細いため、十分な回路と接着剤フィルムとの間の結合力が必要で、接着剤フィルムがアディティブ法製造の基本的な特性を備えて高い銅線結合力を取得する必要がある。3、細い回路を作製する必要があるため、接着剤フィルムを粗化した後の粗さが大きすぎてはいけず、そうでなければ、電気銅メッキは絶縁接着剤フィルムの深すぎる奥まで浸入し、層間絶縁は失効してしまう。接着剤フィルムにフィラーを加えることにより、低い熱膨張係数を取得することができ、フィラーメーカーは、調製過程で物理的高温によりフィラー表面の水分を除去するが、300℃の高温加熱を経ても、フィラー表面に残っている微量の結合水を徹底的に除去しにくく、該微量の結合水の存在は、低誘電損失接着剤フィルムの誘電性能に影響を及ぼす。
【0003】
従って、本分野で、以上の問題を解決できる絶縁材料を見つけることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の不足に対し、本発明の目的は、熱硬化性樹脂組成物およびその絶縁接着剤フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
【0006】
一態様において、本発明は、
重量部でエポキシ樹脂(A)30~70部、変性球状シリコン微粉末(B)5~500部、および硬化剤(C)30~70部を含み、前記球状シリコン微粉末はアミノ変性球状シリコン微粉末を含み、変性球状シリコン微粉末のD50粒径は0.1~2.0μmであり、粒径分布変動係数≧35%である、
熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0007】
本発明において、エポキシ系で変性球状シリコン微粉末を使用し、そのD50粒径の範囲および粒径分布変動係数を制御することにより、前記樹脂組成物を絶縁接着剤フィルムに用いた場合、高充填系の溶融粘度が高いという問題を解決し、低い溶融粘度を取得することができ、細い回路の接着剤充填に有利であり、耐消耗・腐食性が強く、Desmear処理後の表面粗さが低く、化学銅結合力が高く、低い誘電損失を有し、高充填系のFC-BGA用積層接着剤フィルムの作製に適用される。
【0008】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂の用量は、30重量部、35重量部、38重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部であってもよい。
【0009】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、前記変性球状シリコン微粉末の用量は、5重量部、10重量部、50重量部、100重量部、150重量部、200重量部、250重量部、300重量部、350重量部、400重量部、450重量部、500重量部であってもよい。
【0010】
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、前記硬化剤の用量は、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部であってもよい。
【0011】
本発明において、前記変性球状シリコン微粉末のD50粒径は、0.1~2.0μm(例えば、0.1μm、0.5μm、1μm、1.3μm、1.5μm、1.8μmまたは2.0μm)であり、粒径分布変動係数≧35%(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%または70%等)であり、粒径分布変動係数は、球状シリコン微粉末を分級することにより、所定の粒径分布の変動係数の範囲内および所定のD50粒径の範囲内に調節することができる。粒径分布変動係数がこの範囲内にあれば、作製される半硬化状態の絶縁接着剤フィルムの溶融粘度は低く、充填性および流動性は良い。
【0012】
本発明において、変性球状シリコン微粉末のD50粒径が0.1μmよりも小さいと、作製される半硬化状態の絶縁接着剤フィルムの溶融粘度は大幅に増加し、流動性が悪くなり、変性球状シリコン微粉末のD50粒径が2.0μmよりも大きいと、細い回路に埋める能力が弱くなる。粒径分布変動係数が35%よりも小さいと、作製される半硬化状態の絶縁接着剤フィルムの溶融粘度は増加する。変動係数は、「標準偏差率」とも呼ばれ、標準物質内の各粒子の粒径変異程度を判定する統計量の1つである。標準物質の粒径分布変動係数は、標準物質の粒子の粒径分散程度を表すために用いられ、標準偏差または標準偏差と標準物質の平均粒径との比の百分率により表すことが多く、後者は、分散度とも呼ばれる。計算式は、変動係数=標準偏差/平均粒径であり、標準偏差は、マルバーン粒径分布の統計データにより更に計算する必要があり、平均粒径は、D50を用いて代入することができる。本発明に係る粒径は、レーザー回折法により測定され、測定機器はマルバーンレーザー粒度分布測定装置であり、型番がMS3000である。
【0013】
好ましくは、前記アミノ変性球状シリコン微粉末は、アミノシランカップリング剤で変性された球状シリコン微粉末を含み、前記アミノシランカップリング剤の用量は、球状シリコン微粉末の重量の0.1~2%で、例えば、0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1.0%、1.3%、1.5%、1.8%、または2%である。
【0014】
好ましくは、前記アミノ変性球状シリコン微粉末は、球状シリコン微粉末をシラザン化合物で前処理してから、アミノシランカップリング剤を用いて変性したものである。まず、シラザン化合物で球状シリコン微粉末を前処理することにより、フィラー表面のOH基(結合水)を徹底的に除去し、アミノシランカップリング剤の表面処理効果の一致性を向上させ、無機物としての球状シリコン微粉末と有機物としての樹脂化合物とをより均一かつより十分に融合させることができ、更に、絶縁接着剤フィルムの誘電損失の低減に有利である。
【0015】
好ましくは、前記シラザン化合物は、ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサ(t-ブチル)ジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサオクチルジシラザン、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3-ジメチルテトラフェニルジシラザン、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ジメチルジシラザン、1,3-ジプロピルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルシクロトリシラザンから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0016】
好ましくは、前記アミノ変性球状シリコン微粉末の単位表面積あたりの炭素量は0.20mg/m2~0.50mg/m2で、例えば、0.20mg/m2、0.30mg/m2、0.35mg/m2、0.4mg/m2、0.45mg/m2、または0.50mg/m2である。炭素量が多すぎると、接着剤フィルムの積層安定性、信頼性、耐環境性能は低下し、炭素量が少なすぎると、無機物としての球状シリコン微粉末と有機物としての樹脂化合物との結合力は低下し、樹脂でフィラーを被覆する作用を果たすことができなくなる。
【0017】
本発明において、表面処理剤による表面処理の程度は、単位表面積あたりの炭素量により評価することができる。アミノ変性球状シリコン微粉末の単位表面積あたりの炭素量は、メチルエチルケトンを用いて表面処理後のアミノ変性球状シリコン微粉末を洗浄処理した後に測定するという方式により、測定される。具体的には、表面処理剤で表面処理を行った後のアミノ変性球状シリコン微粉末15gに30gのメチルエチルケトンを加え、25℃で5分間超音波洗浄し、上清を除去し、固形分を乾燥させた後、秤量したアミノ変性球状シリコン微粉末0.3gの単位表面積あたりの炭素量をカーボン分析計で測定することができる。カーボン分析計は、株式会社堀場製作所のEMIA-320Vを使用することができる。
【0018】
好ましくは、前記アミノシランカップリング剤は、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチレン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメトキシシラン、またはアミノプロピルトリエトキシシランから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0019】
好ましくは、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルビフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルナフトール型ノボラック型エポキシ樹脂、またはナフタレン型エポキシ樹脂から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0020】
好ましくは、前記硬化剤は、アミン系硬化剤、シアネート樹脂、活性エステル、フェノール樹脂、または酸無水物系硬化剤から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0021】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物には、カルボジイミド樹脂が更に含まれる。
【0022】
好ましくは、前記カルボジイミド樹脂は、脂肪族構造または芳香族構造を含むカルボジイミド樹脂のうちのいずれか1種または2種の組み合わせである。
【0023】
好ましくは、成分(A)、成分(C)および成分(D)の総重量を100重量部として、前記カルボジイミド樹脂の用量は1~10部であり、例えば、1部、3部、5部、7部、9部または10部である。
【0024】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物には、他のフィラー(E)が更に含まれる。
【0025】
好ましくは、前記他のフィラーは、無機フィラーおよび/または有機フィラーを含む。
【0026】
好ましくは、前記無機フィラーは、結晶シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはマイカから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0027】
好ましくは、前記有機フィラーは、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、またはポリエーテルスルホン粉末から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0028】
好ましくは、成分(A)、成分(C)および成分(D)の総重量を100重量部として、前記変性球状シリコン微粉末(B)と他のフィラー(E)の総添加量は5~500部で、例えば、5重量部、10重量部、30重量部、50重量部、80重量部、100重量部、150重量部、200重量部、250重量部、300重量部、350重量部、400重量部、450重量部、または500重量部である。
【0029】
本発明において、熱硬化性樹脂組成物の総合性能に影響を及ぼさない前提で、更に熱塑性樹脂を加えてもよく、前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂またはコアシェルゴム等である。
【0030】
好ましくは、前記熱硬化性組成物は、硬化促進剤(F)を更に含む。
【0031】
好ましくは、前記硬化促進剤は、有機金属塩化合物、イミダゾール化合物およびその誘導体、ピペリジン系化合物、または三級アミンから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0032】
好ましくは、前記硬化促進剤は、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、トリ-n-ブチルアミン、トリフェニルホスフィン、三フッ化ホウ素錯体、オクチル酸金属塩、アセチルアセトン金属塩、ナフテン酸金属塩、サリチル酸金属塩、またはステアリン酸金属塩から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の混合物であり、前記金属は、亜鉛、銅、鉄、錫、コバルト、またはアルミニウムから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0033】
好ましくは、成分(A)、成分(C)および成分(D)の総重量を100重量部として、前記硬化促進剤(F)の用量は0.01~1部で、例えば、0.01重量部、0.03重量部、0.05重量部、0.08重量部、0.1重量部、0.3重量部、0.5重量部、0.8重量部、または1重量部である。
【0034】
別の態様において、本発明は、上記熱硬化性組成物および溶媒を含む樹脂接着剤液を提供する。
【0035】
好ましくは、前記溶媒は、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、またはキシレンから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0036】
別の態様において、本発明は、上記熱硬化性組成物を含む絶縁接着剤フィルムを提供する。
【0037】
本発明において、前記絶縁接着剤フィルムの調製方法は、熱硬化性組成物と溶媒とを混合させ、樹脂接着剤液を取得し、前記樹脂接着剤液を基材に塗布し、ベークを行い、基材を除去し、前記絶縁接着剤フィルムを取得するステップを含む。
【0038】
好ましくは、前記基材は、PET離型フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはポリ塩化ビニルフィルムのうちのいずれか1種である。
【0039】
好ましくは、前記基材の厚さは10~150μmで、例えば、10μm、20μm、30μm、50μm、80μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、または150μmであり、更に好ましくは、20~60μmである。
【0040】
好ましくは、前記ベークの温度は80~120℃で、例えば、80℃、90℃、100℃、110℃、または120℃である。
【0041】
好ましくは、前記ベークの時間は1~10minで、例えば、1min、3min、5min、8minまたは10minである。
【0042】
好ましくは、前記絶縁接着剤フィルムの厚さは10~100μmで、例えば、10μm、30μm、50μm、80μm、または100μmである。
【0043】
好ましくは、前記絶縁接着剤フィルムの溶融粘度は500~2100Pa・sで、例えば、500Pa・s、600Pa・s、700Pa・s、800Pa・s、900Pa・s、1000Pa・s、1200Pa・s、1500Pa・s、1800Pa・s、2000Pa・s、または2100Pa・sである。
【0044】
好ましくは、前記絶縁接着剤フィルムの硬化後の誘電損失≦0.0182で、例えば、0.0112、0.0129、0.0131、0.0133、0.0134、0.0136、0.0166、0.0176または0.0182である。
【0045】
好ましくは、前記絶縁接着剤フィルムのDesmear処理後の表面粗さRa値≦0.360μm(例えば、0.36μm、0.35μm、0.32μm、0.31μm、0.29μm、0.28μm、0.27μm、0.25μmまたは0.22μm)であり、化学銅結合力≧5.7N/cm(例えば、5.70N/cm、6.10N/cm、6.40N/cm、6.50N/cm、6.60N/cm、7.10N/cm、7.90N/cmまたは8.10N/cm)である。
【0046】
本発明に係る絶縁接着剤フィルムは、セミアディティブ法またはアディティブ法で回路を製造し、FC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array、フリップチップボールグリッドアレイのパッケージフォーマット)中の使用シーンに適用され、絶縁接着剤フィルムは、消耗・腐食後の低い表面粗さと高い化学銅結合力とを同時に備え、本分野で長期的に問題となっている低い表面粗さと高い銅箔剥離強度とが両立しにくいという技術的課題を解決する。
【発明の効果】
【0047】
従来技術に対し、本発明は、以下の有益な効果を備える。
【0048】
本発明において、エポキシ系で変性球状シリコン微粉末を使用し、そのD50粒径の範囲および粒径分布変動係数を制御することにより、前記樹脂組成物を絶縁接着剤フィルムに用いた場合、高充填系の溶融粘度が高いという問題を解決し、低い溶融粘度を取得することができ、細い回路の接着剤充填に有利であり、耐消耗・腐食性が強く、Desmear処理後の表面粗さが低く、化学銅結合力が高く、低い誘電損失を有し、高充填系のFC-BGA用積層接着剤フィルムの作製に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、具体的な実施形態により本発明の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例は、本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明の具体的な制限と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0050】
実施例および比較例に使用された変性球状シリコン微粉末の情報は以下のとおりである。
【0051】
変性球状シリコン微粉末1:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.2重量部、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-903、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末1のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は50%である。
【0052】
変性球状シリコン微粉末2:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末2のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は50%である。
【0053】
変性球状シリコン微粉末3:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したシラザン化合物(0.2重量部、ヘキサメチルジシラザン、SZ-31、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、シラザン前処理の球状シリコン微粉末を取得し、その後、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末3のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は50%である。
【0054】
変性球状シリコン微粉末4:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末4のD50は0.7μmであり、粒径分布変動係数は50%である。
【0055】
変性球状シリコン微粉末5:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末5のD50は1.0μmであり、粒径分布変動係数は50%である。
【0056】
変性球状シリコン微粉末6:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末6のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は40%である。
【0057】
変性球状シリコン微粉末7:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末7のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は60%である。
【0058】
変性球状シリコン微粉末8:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、乙きトリメトキシシラン、KBM-1003、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末8のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は40%である。
【0059】
変性球状シリコン微粉末9:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM-403、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末9のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は40%である。
【0060】
変性球状シリコン微粉末10:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、KBM-503、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末10のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は40%である。
【0061】
変性球状シリコン微粉末11:100重量部の球状シリコン微粉末を撹拌機に入れ、ガス化したアミノシランカップリング剤(0.4重量部、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、KBM-573、信越化学)を噴霧しながら球状シリコン微粉末を撹拌し、10min反応させ、アミノ変性前処理球状シリコン微粉末を取得する。変性球状シリコン微粉末11のD50は0.5μmであり、粒径分布変動係数は20%である。
【実施例1】
【0062】
45重量部のエポキシ樹脂(NC-3000-H、日本化薬)、50重量部のフェノール樹脂(MEH-7851H、明和化成)、100重量部の変性球状シリコン微粉末1、5重量部のカルボジイミド樹脂(HMV-10B、日清紡)、10重量部の他のフィラー(球状シリカ、SC-2050MB、Admatechs)、および0.1重量部の硬化促進剤(2E4MZ)を、ブタノン溶媒に入れて2時間撹拌し、固形分65%の樹脂接着剤液を形成した。該樹脂接着剤液をPET離型フィルムに塗布し、120℃のオーブンに入れて5分間のベークを行い、絶縁接着剤フィルムを取得した。
【0063】
実施例2~12および比較例1~4の熱硬化性樹脂組成物の組成は、表1~表3に示めすとおりであり、ここで、成分の用量は重量部で計算された。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
得られた絶縁接着剤フィルムに対して性能テストを行い、テスト方法は、以下のとおりであった。
【0068】
<最低溶融粘度>
350mgの半硬化状態の絶縁接着剤フィルムをサンプルとし、粉末に研磨し、振動レオメーターを用いて測定し、昇温速度を3℃/minとし、テスト温度を40~180℃とし、得られたテスト曲線は横軸が温度であり、縦軸が溶融粘度であり、最低溶融粘度点で数値を読み取り、単位がPa・sである。
【0069】
<誘電損失の値(Df)>
長さ80mm、幅80mm、厚さ40μmの完全に硬化した絶縁接着剤フィルムのサンプルを取り、Agilent 16453A型測定用治具でサンプルをAgilentインピーダンスマテリアルアナライザに固定し、テストスキャンを行い、1GHzでの誘電損失の値を測定した。
【0070】
<粗さ輪郭の算術平均値(Ra)>
絶縁接着剤フィルムをcore板の表面に圧着し、180℃のオーブンで30min硬化し、予備硬化した絶縁接着剤フィルムを取得し、絶縁接着剤フィルムに対し、エチレングリコールエーテル系、水酸化ナトリウムの水溶液(MV Sweller、ATOTECH)を用いて70℃で10min浸漬し、脱イオン水で2min洗浄し、過マンガン酸カリウム溶液(MV P-Etch、ATOTECH)を用いて80℃で30min浸漬し、脱イオン水で2min洗浄し、酸性水溶液(MV Reduction Cleaner、ATOTECH)を用いて50℃で5min浸漬するというDesmear処理を行い、粗化処理された絶縁接着剤フィルムを取得し、レーザー共焦点装置(OLYMPUS)を用いて粗化処理後の表面Raをテストした。
【0071】
<化学銅結合力(PS)>
上記粗化された絶縁接着剤フィルムに対し、化学銅薬液(MV TP1、ATOTECH)を用いて20min浸漬し、電気銅メッキの厚さを25μmとし、オーブンを用いて200℃で60min硬化するという銅析出、電気メッキおよび後硬化処理を行い、銅箔耐剥離強度測定装置で絶縁接着剤フィルムの化学銅結合力をテストした。
【0072】
表1~表3から見られるように、本願の実施例1~12の絶縁接着剤フィルムの最低溶融粘度は500~2100Pa・sであり、Desmear処理後の表面粗さRa値は0.22~0.36μmであり、化学銅結合力は5.7~8.1N/cmであり、誘電損失は0.0112~0.0182であった。実施例6は、実施例5の変性球状シリコン微粉末と比べ、シラザン化合物の前処理を経て、フィラー表面のOH基(結合水)を徹底的に除去し、カップリング剤の表面処理効果の一致性を向上させ、絶縁接着剤フィルムはより低い誘電損失を取得した。
【0073】
比較例1~3において、ビニル、エポキシまたはメタクリルシランカップリング剤で変性された球状シリコン微粉末をそれぞれ用い、作製された絶縁接着剤フィルムの最低溶融粘度の効果は普通であり、且つ、Desmear処理後の表面粗さRa値は著しく大きくなったが、化学銅結合力の向上に寄与せず、更に、電気銅メッキが絶縁接着剤フィルムの深すぎる奥まで浸入し、長期的な層間絶縁の信頼性に懸念がある。比較例4で使用された変性球状シリコン微粉末の粒径分布変動係数は20%のみであり、作製された絶縁接着剤フィルムの最低溶融粘度は高すぎ、細い回路の接着剤充填に不利であった。
【0074】
本発明は、上記実施例により本発明の熱硬化性樹脂組成物およびその絶縁接着剤フィルムについて説明したが、本発明は上記実施例に限定するものではなく、すなわち、本発明は上記実施例に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本発明に対するいかなる改良、本発明に使用される原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本発明の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。