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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-14
(45)【発行日】2025-07-23
(54)【発明の名称】土圧の管理システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/093 20060101AFI20250715BHJP
【FI】
E21D9/093 F
E21D9/093 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2025016560
(22)【出願日】2025-02-04
【審査請求日】2025-02-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2024年7月25日にアートホテル旭川(北海道旭川市)で開催された「第59回地盤工学研究発表」において発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525042646
【氏名又は名称】IWAKA COOP技術士合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207780
【氏名又は名称】大豊建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 好規
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣
(72)【発明者】
【氏名】大久保 健治
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-129183(JP,A)
【文献】特許第3905348(JP,B2)
【文献】特許第2923086(JP,B2)
【文献】実開昭60-104492(JP,U)
【文献】特公平03-044197(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00- 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機における土圧の管理システムであって、
チャンバー内の泥土圧を計測する土圧計と、
チャンバー外の間隙水圧のみを計測する間隙水圧計と、
計測された間隙水圧に基づいて管理土圧を設定する設定部と、を備え、
前記設定部は、計測された地下水圧が設定地下水圧から大きく外れた場合に設定地下水圧を再設定することにより、管理土圧を以下の(式1)に基づいて設定するようになっている、土圧の管理システム。
(式1)
設定管理土圧=計画有効主働土圧+設定地下水圧+設定余裕値
ここにおいて、計画有効主働土圧は、事前調査の計測結果に基づいて計算される。
【請求項2】
前記間隙水圧計は、スキンプレートの表面に設置されている、請求項1に記載された、土圧の管理システム。
【請求項3】
前記間隙水圧計は、前記スキンプレートの表面において、シールド掘進機の中心軸線の高さ近傍に設置されている、請求項2に記載された、土圧の管理システム。
【請求項4】
前記設定部は、間隙水圧の経時的な変化に基づいて管理土圧を再設定するようになっている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された、土圧の管理システム。
【請求項5】
シールド掘進機における土圧の管理システムであって、
チャンバー内の泥土圧を計測する土圧計と、
チャンバー外の間隙水圧のみを計測する少なくとも2つ以上の間隙水圧計と、
計測された間隙水圧に基づいて管理土圧を設定する設定部と、を備え、
前記設定部は、計測された地下水圧の変化傾向に基づいて、管理土圧を以下の(式1)に基づいて設定するようになっている、土圧の管理システム。
(式1)
設定管理土圧=計画有効主働土圧+設定地下水圧+設定余裕値
ここにおいて、計画有効主働土圧は、事前調査の計測結果に基づいて計算される。
【請求項6】
少なくとも2つ以上の前記間隙水圧計は、同一の高さにおいて、切羽から坑口方向に等間隔に配置されている、請求項5に記載された、土圧の管理システム。
【請求項7】
前記設定部は、間隙水圧の経時的な変化に基づいて管理土圧を再設定するようになっている、請求項5又は請求項6のいずれか一項に記載された、土圧の管理システム。
【請求項8】
前記設定部は、管理土圧を以下の(式2)に基づいて再設定するようになっている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された、土圧の管理システム。
(式2)
(設定地下水圧-α1)≦Pw≦(設定地下水圧+α2)の場合:再設定しない
Pw<(設定地下水圧-α1)、又は、(設定地下水圧+α2)<Pwの場合:再設定する
ここで、Pwは間隙水圧計によって計測された水圧とし、α1、α2は定数とする。
再設定する場合は、前記設定部は、管理土圧を以下の(式3)に基づいて再設定するようになっている。
(式3)
Pw<(設定地下水圧-α1)の場合:設定地下水圧をβ1だけ減らす
(設定地下水圧+α2)<Pwの場合:設定地下水圧をβ2だけ増やす
ここで、β1、β2は定数とする。
【請求項9】
前記設定部は、管理土圧を以下の(式4)に基づいて再設定するようになっている、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載された、土圧の管理システム。
(式4)
w1>Pwnの場合:再設定しない。
w1=・・・=Pwnの場合:再設定を検討する。
再設定を検討する場合:シールド掘進停止中の間隙水圧計の測定値が、経時的に徐々に低下していく場合は再設定せず、経時的に変化しない場合は再設定する。
ここで、Pwnは間隙水圧計によって計測された水圧とし、nは定数であり切羽に近い順に1、2、・・・、nとする。
再設定する場合は、設定管理土圧をγ1だけ増加させた値に変更する。γ1は定数とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機に適用される土圧の管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、土圧式シールドにおけるチャンバー内の泥土圧の管理は、切羽の安定を保持しながら周辺地盤の変形や沈下等を生じさせないようにシールドを掘進させるために不可欠であり、適正な管理を行うことで周辺地盤の変位を抑制することができる。
【0003】
通常、土圧式シールドにおけるチャンバー内の土圧制御は、隔壁に取り付けた土圧計の値を用いて行っている。具体的には、チャンバー内の泥土圧の管理値は、(地下水圧+主働有効土圧+α)又は(地下水圧+静止有効土圧)を下限値として設定している。この地下水圧と有効土圧は、事前の調査による地下水位及び土質定数などに基づいて算定される。
【0004】
こうした事前の調査による値は、ピンポイントの土質調査ボーリング地点での値であり、シールド施工路線の100mに1本程度のボーリング調査で得られたものである。例えば、土質定数(C、φ、単位体積重量等)などは、実際の掘進地点での値とは差異が発生することがある。また、地下水圧に関しては、ボーリング調査時期とシールド掘進時期のずれや降雨等の影響によって変動する可能性もある。さらに、地下水圧には、単純に地下水位とシールドの深度との関係にとどまらず、被圧水や中間に存在する粘性土などの遮水層の存在も大きく影響すると考えられる。
【0005】
一方、土圧式シールドにおける土圧計は、通常隔壁に取り付けられてチャンバー内の土圧を計測している。土圧式シールドのチャンバー内は、掘削土が泥土化されて塑性流動化しており止水性を有している。したがって、土圧計で示される値は有効土圧と地下水圧を合算した値となり、地下水圧-すなわち有効土圧以外の間隙水圧-を正確に計測することが難しくなっている。
【0006】
他方で、地下水位は、降雨量や地下水の揚水量の変化により経年的にも変化していくことが珍しくなく、10年間で10(m)近い変化も報告されている。さらに、季節的な水位変化も発生する。加えて、地域的な豪雨による急激な地下水位の変化も発生している。前述したように、土圧式シールドにおけるシールド停止時の隔壁土圧計の示す値はチャンバー内の泥土圧であり、泥土圧は切羽における主働有効土圧と間隙水圧の合計値となる。しかし、この前提として、チャンバー内が泥土によって充満していることが必要である。
【0007】
また、掘進する地盤が砂層等の透水係数の高い場所においては、切羽周辺の水圧がチャンバー内の泥土圧の影響を受ける場合がある。具体的に言うと、切羽周辺の地下水圧を計測するために設置した間隙水圧計は、チャンバー内泥土圧が周辺地下水圧より低い場合には切羽周辺の地下水圧を示すが、チャンバー内の泥土圧が周辺地下水圧以上の場合は周辺地下水圧以上の計測値を示す場合がある。この影響は切羽から近い程大きく受け、遠ざかるに連れて周辺地下水圧値に近づき収束していく。さらに、チャンバー内泥土圧の影響を受けていた周辺地下水圧は、シールド掘進を停止した直後から、周辺地下水圧値に徐々に近づき収束していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-233372号公報
【文献】「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」シールドトンネル施工技術検討会、令和3年12月、P.19
【文献】「土圧式シールド工法 その理論と応用」鹿島出版会、2009年10月、P.49
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
事前調査による地下水位が施工段階で上昇していて、当初計画していた管理泥土圧が適切な値ではなく切羽を保持できなかった場合、切羽が崩壊して地山上方が緩むとともにチャンバー内に泥土が充満していない状態となる(図8参照)。
【0010】
この時、例えば隔壁上方に取り付けられた土圧計(D1、図8参照)には、ほぼ地下水圧のみが作用することになる。また、中央付近又は下方に取り付けられた土圧計(D2、図8参照)であっても本来の主働有効土圧が作用せずに緩んだ土砂(S)の土圧が作用することになる。この場合、隔壁の土圧計が示す数値は、本来の(主働有効土圧+地下水圧)ではなく、それよりも小さい値が示されることになる(すなわち、地下水圧、又は、それに近い値となる)。
【0011】
シールドの管理者が、チャンバー内が泥土で充満されていないことに気づいていない場合、土圧計の示す値を(主働有効土圧+地下水圧)と誤認する可能性が高い。そうすると、この場合は、必要な管理土圧よりも低い土圧で掘進を続けることになり、結果的に周辺地山が緩み、最終的には地表面を沈下させる事態となる可能性がある。
【0012】
そこで、本発明は、チャンバー内隔壁ではなく、地山と直接接触できる位置-例えば、シールドスキンプレート側面-に間隙水圧計を装備することで、シールド掘進中に常に地下水圧を精度よく計測して管理土圧を適正に管理することができる土圧の管理システムを提供することを目的としている。
【0013】
さらに、背景技術にも記述した通り、切羽周辺地下水圧はチャンバー内泥土圧の影響を受けることで、正確ではない計測値を取得してしまう可能性がある。
【0014】
そこで、本発明は、スキンプレート側面に少なくとも1つ以上の間隙水圧計を設置することで、(主働有効土圧+地下水圧値)以上の管理土圧で適切に管理することができる土圧の管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の土圧の管理システムは、シールド掘進機における土圧の管理システムであって、チャンバー内の泥土圧を計測する土圧計と、チャンバー外の地下水圧を計測する少なくとも1つ以上の間隙水圧計と、計測された土圧と地下水圧に基づいて管理土圧を設定する設定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明の土圧の管理システムは、シールド掘進機における土圧の管理システムであって、チャンバー内の泥土圧を計測する土圧計と、チャンバー外の地下水圧を計測する少なくとも1つ以上の間隙水圧計と、計測された土圧と地下水圧に基づいて管理土圧を設定する設定部と、を備えている。このような構成であれば、シールド掘進中に常に地下水圧を精度よく計測して管理土圧を適正に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】シールド掘進機の構造を説明する断面図である。
図2】間隙水圧計の位置について説明するシールド掘進機の斜視図である。
図3】土圧の管理システムの制御系のブロック図である。
図4】土圧の管理システムの制御手順について説明するフローチャートである。
図5】土圧の管理システムの別の制御手順について説明するフローチャートである。
図6】別の制御手順における判断基準となる概念図である。
図7】計画時と施工時の地下水位について説明する説明図である。(a)は施工時であり、(b)は計画時である。
図8】従来型の土圧計による計測について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下では、土圧式シールド1を例として説明するが、他の形式のシールド掘進機であっても本発明を適用できる。
【実施例
【0019】
(シールド掘進機の構成)
本実施例のシールド掘進機としての土圧式シールド1は、図1の断面図に示すように、スキンプレート(シールド本体筒)2と、隔壁3と、カッタヘッド5と、カッタ回転軸10と、カッタ駆動部12と、チャンバー16と、排土装置17と、シールド推進ジャッキ18と、作泥土材供給配管21と、土圧計22と、間隙水圧計24、・・・と、操作室内部等に配置された設定部(制御部)40を備えている。
【0020】
カッタヘッド5は、カッタスポーク51と、カッタスポーク51の前面に設けられた複数のカッタビット52、・・・と、カッタスポーク51の前面中央部に設けられたフィッシュテールビット53と、カッタスポーク51の背面に設けられた複数の撹拌翼54、・・・とを有している。カッタヘッド5はカッタ回転軸10に一体に取り付けられている。
【0021】
カッタ回転軸10は、隔壁3に設けられた軸受11と、後述のギアボックス13の後部に設けられた軸受とに回転自在に支持されている。カッタ回転軸10はカッタ駆動部12に連結されている。カッタ駆動部12は、隔壁3の背面側に設置されたギアボックス13と、ギアボックス13に接続された回転駆動源14と、回転駆動源14の出力軸とカッタ回転軸10の間に介在する減速歯車(ギアボックス13内に配置;図示省略)とを有している。
【0022】
チャンバー16は、スキンプレート2のフード部2aと、隔壁3と、切羽Fに囲まれた空間にて形成されている。排土装置17としては、例えばスクリューコンベアが用いられる。排土装置17における泥土取り込み口は、チャンバー16に臨むように開口・設置されている。
【0023】
さらに、スキンプレート2のテール部2bには、セグメント90を組み立てるためのエレクター15が設置されている。さらに、シールド推進ジャッキ18は、スキンプレート2の内部において、円周方向に所要の間隔をおいて複数基設置されている。この他、スキンプレート2の後端部には、テールシール19が設けられている。
【0024】
前述したように、本実施例のシールド掘進機としての土圧式シールド1は、チャンバー16内の泥土圧を計測する土圧計22と、チャンバー16外の地下水圧―すなわち間隙水圧―を計測する複数の間隙水圧計24、・・・と、を備えている。この間隙水圧計24、・・・は、図2の斜視図に示すように、スキンプレート2の表面に凹部を設けて少なくとも1つ以上埋設されている。具体的には、切羽Fから離れる方向に(坑口方向に)等間隔に、かつ、同一の高さ(水準)に4つの間隙水圧計24、・・・が配置されている。もちろん、間隙水圧計24は、4つに限定されるものではなく、1つ以上あればよく、複数設置する場合は切羽Fから坑口向きに等間隔に設けることが好ましい。これらの間隙水圧計24、・・・は、スキンプレート2の表面において、シールド掘進機としての土圧式シールド1の中心軸線の高さ近傍に埋設されている。すなわち、間隙水圧計24、・・・は、スキンプレート2の水平方向を向いた側面に配置されている。さらに、複数の異なる高さに間隙水圧計24、・・・を備えることも可能である。
【0025】
さらに、スキンプレートに設置された間隙水圧計は、外周方向にジャッキ等を利用して伸縮稼働機構を備えたり、水圧測定箇所表面部にシャッター式のスライドハッチ等を配置することで、オーバーカットして発生したテールボイド内に回った泥土や裏込め材等による水圧測定時の影響を防止することも有効である。
【0026】
また、間隙水圧計(24)の別の実施形態として、隔壁3から切羽Fの前方まで伸縮自在に構成された前方測定装置の先端に取り付けられて、切羽Fの前方における間隙水圧を測定することも可能である。より具体的に言うと、前方測定装置(前方探索装置)は、例えば油圧ジャッキによって伸縮(隔壁3の位置から切羽F前方の位置まで延び縮みする)できるようにされた棒状の測定装置とすることが可能である。この場合、測定するタイミングとしては、カッタヘッド5が停止しているセグメント組立時とすることが好ましい。
【0027】
この他、土圧式シールド1は、設定部40をさらに備えている。設定部40は、例えば、メモリ、CPU、SSDなどを有する汎用のパーソナルコンピュータである。設定部40では、土圧式シールド1の管理土圧が設定されて掘進を制御する。すなわち、掘進中は、シールド推進ジャッキ18によって土圧式シールド1を前進させつつ、排土装置17(スクリューコンベア)によって泥土を排出し、同時に土圧計22によって泥土圧を計測している。
【0028】
なお、後述する設定部40の機能は、土圧式シールド1の掘進を制御する設定部40とは別個の設定部(演算装置;パーソナルコンピュータ)で実行することももちろん可能である。そして、図3のブロック図に示すように、土圧計22と、複数の間隙水圧計24、・・・と、掘削の基準となる主働土圧や地下水圧を設定する設定部40と、によって、本発明の土圧の管理システムSが構成されている。
【0029】
設定部40は、その機能部として、土質定数、土被り、地下水位に基づいて、管理土圧の計算要素となる、主働土圧や地下水圧の想定値(想定主働土圧や想定地下水圧)を演算する機能を有する。さらに、後述するように、これらの値を間隙水圧計24、・・・によって計測された地下水圧に基づいて修正(再設定)していく機能を有している。
【0030】
すなわち、掘進管理の操作盤(管理画面)には、管理土圧の値と、その内訳(例えば、想定主働土圧、想定地下水圧、余裕値)が表示される。ここで想定主働土圧と想定地下水圧の初期値は、掘進場所によって変動する土質定数、土被り、地下水位を反映した値とする。これらの値は、当初の計画による計算値である。この他、土圧計22によって計測されたチャンバー16内土圧も表示される。
【0031】
そして、本実施例のシールド掘進機としての土圧式シールド1は、チャンバー16外の地下水圧を直接計測する間隙水圧計24を備えており、間隙水圧計24による計測値も管理画面に表示される。このようにすれば、計画上の地下水圧と実際の地下水圧を比較することが可能となり、現状での管理土圧値が適切であるかどうかを概ね判断することが可能となる。操作盤(管理画面)には、前述したような値を示すだけでも圧力の適不適を判断することができるが、さらには計画の地下水圧と実際の地下水圧を例えば管理用PC60などにより適性を判断して、警告アラームを発したり、シールドを停止したりすることもできる。
【0032】
また、地下水圧を直接計測する間隙水圧計24、・・・を複数備えている場合には、間隙水圧計24、・・・による計測値も管理画面にそれぞれ表示される。このようにすれば、それぞれの間隙水圧計24が設置されている場所に応じた地下水圧値を比較することが可能となり、切羽周辺の地下水圧とチャンバー内泥土圧との対比が可能となる。具体的に言うと、後述するように間隙水圧計24、・・・の値が切羽位置から遠くなるにつれて下がるようであれば、チャンバー内泥土圧は切羽周辺の(地下水圧+有効主働土圧)より高い管理土圧で掘進していることになる。一方、間隙水圧計24、・・・の測定値が略同一値を示せば、チャンバー内泥土圧が切羽周辺の(地下水圧+有効主働土圧)より低い管理土圧で掘進をしている可能性-言い換えれば、危険な状態で掘進を行っている可能性-がある。操作盤(管理画面)には、間隙水圧計24、・・・の測定値が同一の場合、すなわち、切羽周辺(外部)の(地下水圧+有効主働土圧)がチャンバー内泥土圧より高い場合、例えば管理用PC60などにより適性を判断して、警告アラームを発したり、シールドを停止したりすることもできる。
【0033】
(作用―その1―)
次に、図4のフローチャートを用いて、本実施例の土圧の管理システムSを用いた管理土圧の設定手順について説明する。図4に示すように、土圧の管理システムSは、以下のステップS1~S7を実行することによって実現される。
【0034】
あらかじめ、事前調査によって土質構成、土質定数、土被り、地下水位を計測したうえで(ステップS1)、当初計画をたてる(ステップS2)。具体的に言うと、事前調査の計測結果に基づいて、[計画管理土圧=計画有効主働土圧+計画地下水圧+計画余裕値(当初計画では、事前調査に基づく条件により計算される)]を計算する(ステップS3)。
【0035】
そして、[設定管理土圧=設定有効主働土圧+設定地下水圧+設定余裕値(施工時に採用する値)]の初期値として、先ほど計算した[計画管理土圧=計画有効主働土圧+計画地下水圧+計画余裕値(当初計画では、事前調査に基づく条件により計算される)]が設定される(ステップS4)。
【0036】
上記の初期値設定工程とは別に、シールド掘進が実施されている(ステップS5)。そして、掘進中には、以下の判断AのY(Yes)/N(No)が判断される(ステップS6)。
【0037】
<判断A>
(設定地下水圧-α1)≦Pw≦(設定地下水圧+α2)の時:Yesと判断されるため、ステップS4へ移行して掘進が継続される。ここにおいて、Pwは間隙水圧計24によって計測された地下水圧とし、α1とα2は定数とする。
【0038】
Pw<(設定地下水圧-α1)、又は、(設定地下水圧+α2)<Pwの時:Noと判断されるため、ステップS7へ移行する。この判断式におけるα1及びα2は、0~設定余裕値の範囲で、状況に応じてそれぞれ設定される。この時α1とα2は、同一の値でもよいし、異なる値でもよい。
【0039】
そして、管理土圧が再設定される(ステップS7)。
1)Pw<(設定地下水圧-α1)の場合:
想定していた設定地下水圧よりも実際の地下水圧が低いと判断されるので、設定管理土圧に含まれる設定地下水圧をβ1だけ減じた値に変更する。ここでβ1は定数とする。
【0040】
2)(設定地下水圧+α2)<Pwの場合:
想定していた設定地下水圧よりも実際の地下水圧が高いと判断されるので、設定管理土圧に含まれる設定地下水圧をβ2だけ増加した値に変更する。ここでβ2は定数とする。
【0041】
この土圧再設定におけるβ1及びβ2は、((設定地下水圧とPwの差分)/5)~(設定地下水圧とPwの差分)の範囲で状況に応じてそれぞれ設定される。この時β1とβ2は、同一の値でもよいし、異なる値でもよい。
【0042】
判断Aにおけるα1とα2の値の設定は、設定している地下水圧と実際の地下水圧との差をどこまで許容するかの値となる。土被りが浅い場合や土圧の変動に鋭敏な軟弱粘性土などの場合には、比較的小さな値とするなどの設定方法が考えられる。逆に土被りが大きい場合や硬質地盤などでは、頻繁な再設定を行わずに済む比較的大きな値とする設定方法もある。
【0043】
また、管理土圧再設定におけるβ1とβ2の値の設定は、地下水圧の設定値と実測値の差をどのくらいの時間で修正していくかの値となる。β1ないしβ2を設定地下水圧とPwの差分とすると一度の修正で同値(差を0)にすることができるが、場合によっては設定値の急激な修正となるため周辺地盤への影響が発生する場合がある。一連の判断Aと管理土圧再設定をどのくらいの時間頻度で行うかによってβの値を設定することが望ましい。
【0044】
(作用―その2―)
次に、図5の別のフローチャート及び図6を用いて、本実施例の土圧の管理システムSを用いた管理土圧の別の設定手順について説明する。図5に示すように、土圧の管理システムSは、ステップS1~S7を実行することによって実現される。このうち、ステップS6とステップS7以外の工程については、図4を用いて説明した(作用―その1―)と略同様であるから説明を省略する。
【0045】
そして、この別の設定手順では、掘進中に、以下の判断BのY(Yes)/N(No)が実行される(ステップS6)。
<判断B>
すなわち、設定部40は、管理土圧について、以下の条件に基づいて再設定を検討するようになっている。
w1>Pwnの場合:再設定しない ―パターン1―
w1=・・・=Pwnの場合:再設定を検討する ―パターン2―
ここで、Pwnは間隙水圧計によって計測された水圧とし、nは2以上の自然数であり切羽に近い側から順に1、2、・・・、nとする。
【0046】
なお、パターン1については、地盤条件によって間隙水圧計(3つ以上設置の場合)の測定値が以下のような結果になる場合もある。
1)Pw1>・・・>Pwn
2)Pw1>Pw2=・・Pwn
3)Pw1=Pw2>・・Pwn
4)Pw1=Pw2>Pw3=・・Pwn
5)Pw1>Pw2=Pw3>Pwn
その他、間隙水圧計の設置数によって幾通りも存在する。
上記のような場合でも、(Pw1>Pwn)を満たせば、パターン1として判断する。
【0047】
また、間隙水圧の測定値には測定誤差が含まれるため、(Pw(n-1)<Pwn)、(Pw(n―2)<Pw(n-1)>Pwn)のような測定結果が得られる可能性もある。このような判断に不明確な状況が出る場合を想定し、例えば(0.5kN/m)を測定誤差の判断基準(幅の許容値)として採用するような形態をとることが望ましい。この測定誤差の判断基準は、地盤条件や間隙水圧計の設置間隔等に影響を受けるため、それぞれの条件に合わせて設定することが望ましい。さらに、間隙水圧測定値(Pw1・・・Pwn)の結果を直線回帰することで、その直線の標準偏差を基に測定精度の正否を判断するようにしてもよい。
【0048】
具体的に言うと、Pwn>Pwnの場合(パターン1)には、管理土圧を再設定しない。つまり、間隙水圧計24、・・・の示す水圧値が切羽位置から遠くなるにつれて下がるようであれば、チャンバー2内の塑性流動化した泥土圧は切羽周辺の(地下水圧+有効主働土圧)より高い管理土圧で掘進していることになる。これは適切な状態といえる。
【0049】
他方で、Pw1=・・・=Pwnの場合(パターン2)には、管理土圧の再設定を検討する。つまり、間隙水圧計24、・・・の示す水圧値がそれぞれ同一値を示せば、チャンバー2内の塑性流動化した泥土圧が切羽周辺の(地下水圧+有効主働土圧)と比べて低い管理土圧で掘進をしている可能性がある。換言すると、危険な状態で掘進を行っている可能性がある。このように再検討する理由としては、透水係数が特に高い地盤においては、シールドマシンの機長程度の距離では間隙水圧計24の測定値(Pw1・Pw2・Pw3・・・Pwn)に差がでない場合があるためである。
【0050】
パターン2の場合、管理土圧の再設定が検討される(ステップS7)。
最初に、切羽から最も近くに配置されている間隙水圧計24の掘進停止後の測定値の経時的な変化を観察する。そして、以下に示すような2つのパターンに分類して対応する。
【0051】
(パターン2-1) 停止後に間隙水圧計の計測値が経時的に徐々に低下していく場合
⇒ チャンバー内泥土圧の影響を受けていると判断される
チャンバー内泥土圧 > (地下水圧+有効主働土圧)(再設定しない)
【0052】
(パターン2-2) 停止後に間隙水圧計の計測値が経時的に変化しない場合
⇒ チャンバー内泥土圧の影響を受けていないと判断される
チャンバー内泥土圧 ≦ (地下水圧+有効主働土圧)(再設定する)
【0053】
「パターン2-2」の場合は、設定管理土圧をγ1だけ増加させた値に変更する。γ1は定数とする。ここで増加させる定数γ1は地山状況に応じてそれぞれ設定される。
以下にγ1の設定例を示す。管理土圧の設定値は以下のように設定されることが多い。
(管理土圧)=(有効主働土圧)+(地下水圧)+(余裕値)
この(余裕値)を目安にして、下記の範囲でγ1を設定する。
γ1:(余裕値)/ 5 ~ (余裕値)
その後、γ1だけ増加させた管理土圧で掘進を再開し、次の掘進停止時に再度ステップS6で間隙水圧計の測定値を確認することで、より適正な管理土圧での掘進が可能となる。
【0054】

なお、間隙水圧計24が1つしか設置されていない場合でも、掘進停止時の間隙水圧計24の測定値の経時的な変化を確認することで、(チャンバー内泥土圧)と(地下水圧+有効主働土圧)の関係を推定することが可能である。
【0055】
そして、間隙水圧計24、・・・の測定値が略同一となる場合-すなわち、切羽周辺(外部)の地下水圧+有効主働土圧がチャンバー内泥土圧より高い場合-、さらには、掘進停止中の間隙水圧計の測定値が経時的に低下しない場合-、例えば管理用PC60などにより適性を判断して、警告アラーム(警報レベル1・警報レベル2)を発したり、レベルに応じてシールド掘進を停止させたりすることもできる。
【0056】
(適用事例)
以下の表に管理土圧の最も簡単な計算例を示す。
【表1】
・Kaはランキンの主働土圧係数
・(9)~(12)は、小数点以下四捨五入
【0057】
ここでは、図7に示すように、計画時の地下水位がシールド中心位置から40(m)であったものが、実際の施工時には、45(m)になった場合の計算例を示している。土質の単位体積重量、内部摩擦角や粘着力などは計画時のボーリングデータより推定されたものを使用する。
【0058】
計画時に算出された地下水圧と有効主働土圧を合算するとシールド中心位置で552(kN/m)となりαを20(kN/m)とすれば管理土圧は、572(kN/m)となる。実際の施工では、地下水位が計画時から変動してシールド中心位置から45(m)になっていたとすると地下水圧と有効主働土圧の合算値は591(kN/m)となって管理土圧の572(kN/m)を上回ってしまう。この場合、計画時の管理土圧572(kN/m)で施工を続けるとチャンバー内の圧力で切羽を保持できず地盤を沈下させてしまう。
【0059】
これに対して本発明では、地下水圧を直接計測することで施工時の地下水圧450(kN/m)が計測されることになる。この時点で当初計画の地下水圧が変化していることが判明するため管理土圧の再計算が可能となる。その結果管理土圧は、611(kN/m)と算出され、地下水圧と有効主働土圧の合算値591(kN/m)を上回ることができる。
【0060】
土圧式シールドにおける土圧管理では、(地下水圧+主働土圧+余裕代α)を管理値としているため掘進中に管理値のうちの地下水圧がどの程度の数値であるかを認識していない。そのため、土圧計の示す値と実際の地下水圧との比較を行うことができない。結果的に誤った管理土圧のまま掘進を続けることになる。
【0061】
ここで重要なことは、前方地盤が緩むことでチャンバー16内が泥土で充満していない状況が生じてしまった場合に、隔壁3に取り付けた土圧計22が切羽の(主働土圧+地下水圧)の値を示さなくなってしまうことにある。このような状況になっても、シールド管理者は土圧計の示す値が(主働土圧+地下水圧)になっていると誤認してしまい、状況を改善できないままになってしまうのである。
【0062】
(効果)
次に、本実施例の土圧の管理システムSの奏する効果を列挙しながら説明する。
【0063】
(1)上述してきたように、本実施例の土圧の管理システムSは、シールド掘進機における土圧の管理システムSであって、チャンバー16内の泥土圧を計測する土圧計22と、チャンバー16外の地下水圧を計測する間隙水圧計24と、計測された泥土圧と地下水圧に基づいて管理土圧を設定する設定部40と、を備えている。このような構成であれば、シールド掘進中に常に地下水圧を精度よく計測して管理土圧を適正に管理することができる。すなわち、従来のボーリング調査や隔壁3の土圧計22では対応しきれなかった課題を克服し、掘進作業の効率化と品質向上を実現できる。
【0064】
つまり、シールド位置での地下水圧が常に計測されていれば、当初想定していた地下水位が実際にはそこから変動していたり、被圧水の影響などがあったりしても、切羽に作用している地下水圧を正確に計測されることになる。
【0065】
管理土圧は、本来の土圧管理で用いられる(主働有効土圧+地下水圧+α)とすればよく、この時の地下水圧の値は、実際に計測されている値であることから、地下水圧の変動による影響は無くなる。一方、土被りは地表面高さとシールドの深さから明確に求めることができるため土質調査による想定有効土圧が極端に変動することはない。
【0066】
(2)本実施例における間隙水圧計24は、スキンプレート2の表面に設置されているため、チャンバー16外の間隙水圧を計測することができる。
【0067】
(3)また、間隙水圧計24は、スキンプレート2の表面において、シールド掘進機としての土圧式シールド1の中心軸線の高さ近傍に設置されているため、土被りの影響を受けにくいうえ、当初計画値と計測値が同じ基準で計算・表示されるためわかりやすい。なお、間隙水圧計24は、中心軸線の高さ以外に配置してもよく、他にも切羽F側へ伸縮する測定装置の先端部に設置されるものであってもよい。さらに、間隙水圧計24は、ジャッキ等の伸縮機構を利用してテールボイドの外側まで貫入させたり、間隙水圧計24の測定箇所にシャッター式のカバーを設置することにより、切羽や裏込め注入孔より回ってきた泥土や裏込め材に影響されることなく、正確な地下水圧を把握することができる。
【0068】
(4)さらに、少なくとも2つ以上の間隙水圧計24、・・・が、スキンプレート2の表面に設置されていることによって、地下水圧の変化傾向に基づいて、管理土圧の設定値が適切か否かを判定することが可能となる。
【0069】
(5)また、少なくとも2つ以上の(実施例では4つの)間隙水圧計24、・・・は、同一の高さにおいて、切羽から坑口方向に等間隔に配置されていることで、地下水圧の変化傾向に基づいて、管理土圧の設定値が適切か否かをきわめて容易に判定することが可能となる。
【0070】
(6)設定部40は、間隙水圧の経時的な変化に基づいて管理土圧を再設定するようになっているため、管理土圧の設定値が適切か否かをきわめて容易に判定することが可能となる。具体的に言うと、例えば、シールド掘進停止中の間隙水圧計の測定値が、
経時的に徐々に低下していく場合は再設定しない、
経時的に変化しない場合は再設定する、
とすることができる。
【0071】
(7)また、設定部40は、管理土圧を以下の(式1)に基づいて設定するようになっていることが好ましい。
(式1)
設定管理土圧=設定有効主働土圧+設定地下水圧+設定余裕値
このように設定すれば、管理土圧を有効主働土圧とチャンバー16外の地下水圧の和に基づいて計算できるため、掘進中に常に地下水圧を精度よく計測して管理土圧を適正に設定することができる。
【0072】
(8)また、設定部40は、管理土圧を以下の(式2)に基づいて再設定するようになっていることが好ましい。ここにおいて、α1とα2は定数とする。
(式2)
(設定地下水圧-α1)≦Pw≦(設定地下水圧+α2)の場合:再設定しない
Pw<(設定地下水圧-α1)、又は、(設定地下水圧+α2)<Pwの場合:再設定する
このように設定すれば、計測された地下水圧が設定地下水圧から大きく外れた場合に、設定地下水圧を再設定することができるため、掘進中に常に地下水圧を精度よく設定して管理土圧を適正に設定することができる。
【0073】
(9)さらに、設定部40は、管理土圧を以下の(式3)に基づいて再設定するようになっていることが好ましい。ここにおいて、β1とβ2は定数とする。
(式3)
Pw<(設定地下水圧-α1)の場合:設定地下水圧をβ1だけ減らす
(設定地下水圧+α2)<Pwの場合:設定地下水圧をβ2だけ増やす
このように設定すれば、設定地下水圧の急激な変更(修正)を抑制することができる。
【0074】
(10)また、設定部40は、管理土圧を以下の(式4)に基づいて再設定するようになっていることが好ましい。ここで、Pwnは間隙水圧計24、・・・によって計測された水圧とし、nは定数であり切羽に近い順に1、2、・・・、nとする。
(式4)
w1>Pwnの場合:管理土圧を再設定しない
w1=・・・=Pwnの場合:管理土圧の再設定を検討する
このように再設定検討の有無を複数の水圧値に基づいて自動的に判別できれば、計測された水圧値の変化傾向に基づいて、管理土圧の設定値が適切か否かをきわめて容易に判定することが可能となる。
【0075】
そして、再設定を検討する場合:シールド掘進停止中の間隙水圧計の測定値が、経時的に徐々に低下していく場合は再設定せず、経時的に変化しない場合は再設定する。すなわち、設定部40は、シールド掘進停止中の間隙水圧計の地下水圧測定値と連動させ、その経時的な変化傾向に基づいて、管理土圧を設定するようになっていることが好ましい。このように再設定の有無を掘進停止時の間隙水圧計測定値に基づいて自動的に判別できれば、計測された間隙水圧計の測定値に基づいて、管理土圧の設定値が適切か否かをきわめて容易に判定することが可能となる。
【0076】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 :土圧式シールド
2 :スキンプレート
2a :フード部
2b :テール部
3 :隔壁
5 :カッタヘッド
10 :カッタ回転軸
11 :軸受
12 :カッタ駆動部
13 :ギアボックス
14 :回転駆動源
15 :エレクター
16 :チャンバー
17 :排土装置
18 :シールド推進ジャッキ
19 :テールシール
21 :作泥土材供給配管
22 :土圧計
24 :間隙水圧計
40 :設定部
43 :通信ケーブル
51 :カッタスポーク
52 :カッタビット
53 :フィッシュテールビット
54 :撹拌翼
60 :管理用PC
90 :セグメント
S :土圧の管理システム
F :切羽
【要約】
【課題】チャンバー内隔壁ではなく、地山と直接接触できる位置-例えば、シールドスキンプレート側面-に間隙水圧計を装備することで、シールド掘進中に常に地下水圧を精度よく計測して管理土圧を適正に管理することができる土圧の管理システムを提供する。
【解決手段】シールド掘進機における土圧の管理システムであって、チャンバー16内の泥土圧を計測する土圧計22と、チャンバー16外の間隙水圧を計測する間隙水圧計24と、計測された土圧と間隙水圧に基づいて管理土圧を設定する設定部40と、を備えている。この間隙水圧計24は、スキンプレート2の表面に埋設されている。また、間隙水圧計24は、スキンプレート2の表面において、シールド掘進機としての土圧式シールド1の中心軸線の高さ近傍に埋設されている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8