(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-15
(45)【発行日】2025-07-24
(54)【発明の名称】エネルギーグリッドアセットの需要応答を設定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20250716BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20250716BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250716BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/00 170
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022521963
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2020079910
(87)【国際公開番号】W WO2021078951
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-11
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521438490
【氏名又は名称】セントリカ ビジネス ソリューションズ ベルジウム エヌ.ヴィー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ディエルクス,ブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】ブリュネリエール,ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ,ステフ
(72)【発明者】
【氏名】デリールスニジャー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クレサンス,バート
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-215701(JP,A)
【文献】特開2016-105687(JP,A)
【文献】特開2016-034170(JP,A)
【文献】国際公開第2013/122079(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/117392(WO,A1)
【文献】特表2016-540472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要応答サービスを提供するために、グリッドに接続される
複数のアセットを制御するコンピュータ実施方法であって、前記
複数のアセットは、電気エネルギーを前記グリッドに供給する及び/または電気エネルギーを前記グリッドから消費するように構成され
、前記グリッドの動作状態の変化に応答して、前記グリッドに入るまたは前記グリッドから出るエネルギーフローを調節するように構成可能であり、前記コンピュータ実施方法は、
前記複数のアセットのそれぞれに、トレーニングされたニューラルネットワークモデルにアクセスすることであって、前記ニューラルネットワークモデルは、
アセット
需要応答構成を入力として受信することであって、前記アセット
需要応答構成は前記アセットで検出された1つ以上の
前記グリッドの動作状態の変動に対する前記アセットの
需要応答を規定する、受信することと、
前記アセット
需要応答構成を使用して、動作時に
、必要な需要応答サービスに関する前記アセットの前記動作に関する1つ以上の性能指標を出力することと、を行うように構成される、アクセスすることと、
最適化関数によって、所望の需要応答を実施する際に前記複数のアセットがどれほど効果的かに関する測定値を含む、最適化メトリックを判定することであって、前記最適化関数は、前記ニューラルネットワークモデルによって出力された、前記性能指標に基づく入力を受け取る、判定することと、
前記複数のアセットのうちの1つ以上のアセット
需要応答構成を変動することによって、
変更された最適化メトリックを
判定する検索プロセスを行うことであって、
前記変更された最適化メトリックの終了基準が満たされるまで前記検索プロセスは継続する、行うことと、
前記変更された最適化メトリックに基づいて、前記複数のアセットの更新されたアセット需要応答構成を判定することと、
前記更新されたアセット
需要応答構成を、前記
複数のアセットに関連付けられる1つ以上のアセット制御デバイスに伝送すること
と、前記アセット
需要応答構成に従って、
かつ、グリッドの動作状態の変化に応答して、前記制御デバイス
によって、前記
複数のアセットと前記グリッドとの間のエネルギーフローを制御する
ことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記検索プロセスは、1つ以上のアセット
需要応答構成を変動して、前記ニューラルネットワークによって出力された前記性能指標を変え、ひいては前記最適化メトリックの値を変更させることを含み、好ましくは、前記終了基準が満たされるまで
、変動ステップは反復する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検索プロセスは、前記最適化メトリックに対して前記最適化関数を最適化することを含み、好ましくは、前記複数のアセットの前記アセット
需要応答構成は検索空間の次元のセットを定義し、前記検索プロセスは、前記検索空間の勾配降下検索を行い、前記最適化関数
の出力値を最適化することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記最適化関数はコスト関数であり、前記検索プロセスは、アセット
需要応答構成を変えることによって、前記コスト関数を最小にすることを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記終了基準は、所定の閾値またはローカルもしくはグローバルな最適値(例えば、最小値または最大値)を実現する前記最適化メトリック、最大反復数、最大計算時間のうちの1つ以上を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記検索プロセスは、アセット
需要応答構成の初期セットから始まり
、初期構成は、アセットの現在のアセット
需要応答構成、アセットのデフォルトアセット
需要応答構成、ランダムに生成されたアセット
需要応答構成のうちの1つ以上を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記複数のアセットのうちの1つ以上について、プロセスによって前記ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることを含み、前記プロセスは、
複数のアセット
需要応答構成を生成することと、
アセット
需要応答構成ごとに、前記アセット
需要応答構成に従って前記アセットの前記動作をシミュレートして
、シミュレーションに基づいて、前記アセット
需要応答構成の1つ以上の性能指標を判定することと、
複数のトレーニングサンプルを使用して、前記ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることであって、各トレーニングサンプルはアセット
需要応答構成に基づき、対応する性能指標は、前記シミュレーションによって、前記アセット
需要応答構成について判定されることと、
を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記アセット
需要応答構成を生成することは、前記アセット
需要応答構成をランダムに選択することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、ニューラルネットワークモデルのトレーニングを含み、定期的にまたは前記複数のアセットの変化に応答して、前記ニューラルネットワークモデル及び前記検索プロセスの一方または両方のトレーニングを繰り返すことを含み、前記変化は、随意に、1つ以上のアセットの動作特性の追加、除去、または変化を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
アセット
需要応答構成は、前記アセットで測定された前記動作状態の変化に応答して、前記アセットと前記グリッドとの間のエネルギーフローをどのように変化すべきかを定義する構成データを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記構成データは1つ以上の応答曲線を定義し、各応答曲線は、所与の動作状態パラメータに応じて、必要な電力潮流レベルまたは電力潮流変化を定義する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記構成データは、異なる動作状態パラメータに関してそれぞれ定義された複数の応答曲線、及び/または同じ動作状態パラメータの異なる値範囲に関し
てそれぞれ定義された複数の応答曲線を定義する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動作状態は、前記アセットで測定されたローカルグリッド周波数に関する1つ以上のパラメータを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記同じ動作状態パラメータの異なる値範囲は、グリッド周波数パラメータの異なる周波数帯域を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数パラメータは、
前記アセットで測定されたローカルグリッド周波数と、
前記ローカルグリッド周波数から導出されたデー
タと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記構成データは、複数の個々のグリッド周波数値のそれぞれに、前記アセットの必要な電源入力値もしくは電源出力値または調節値を規定する、請求項10~
15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の動作状態は、前記グリッドに接続される前記アセットまたは別のアセットの動作状態を含む、請求項1~
16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記検索プロセスは、1つ以上の電力潮流値もしくは電力潮流調節値、及び/または電力潮流調節値の1つ以上の周波数閾値を変動させることを含む、請求項1~
17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
所与の制御デバイスにおいて、
前記グリッドまたは前記グリッドのアセットの動作に関連する動作状態を示す1つ以上の信号を受信することと、
前記1つ以上の信号及び前記アセットの前記アセット
需要応答構成に基づいて、前記制御デバイスによって制御されたアセットの電力潮流レベルを判定することと、
前記判定された電力潮流レベルに従って、前記アセットを制御することと、
を含む、請求項1~
18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記電力潮流レベルを判定することは、随意に、前記アセット
需要応答構成によって規定された前記曲線のデータ点のセットから、動作状態パラメータの前記応答曲線の値を補間することによって、前記アセット
需要応答構成によって定義された応答曲線に基づいて、前記電力潮流レベルを計算することを含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の信号は、ローカルグリッド周波数測定値及び/またはローカルグリッド周波数測定値から導出された信号を含む、請求項
19または
20に記載の方法。
【請求項22】
前記制御デバイスにおいて、
各々の動作状態パラメータを示す複数の信号を受信することと、
前記信号に基づいて、複数の電力潮流調節値を判定することであって、各電力潮流調節値は、前記アセット
需要応答構成によって定義された各々の応答曲線を使用して導出され、前記応答曲線は各々の動作状態パラメータを電力潮流調節値にマッピングする、判定することと、
前記複数の電力潮流調節値に基づいて、合計電力潮流調節値を判定することと、
前記判定された合計電力潮流調節値に従って、前記アセットを制御することと、
を含む、請求項
19~
21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
ニューラルネットワークによって出力された前記性能指標は、前記アセット
需要応答構成によって定義された必要な需要応答サービスに関する前記アセット
の性能の1つ以上の測定値を含む、請求項1~
22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記性能指標は、
前記需要応答を提供するアセットの可用性と、
前記需要応答を提供するとき、一定期間にわたって供給または消費される全エネルギー量を示すエネルギー量と、
所望のエネルギーフロー調節値を実現するための前記アセットの応答時間と、
一定期間にわたるアセットの動作サイクルまたは充電/放電サイクルの数と、
前記構成された需要応答を配信するための成功の尺度と、
前記需要応答サービスを提供するコストの尺度と、
のうちの1つ以上を規定する、請求項1~
23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
グリッドに接続される
複数のアセットを制御するコンピュータ実施方法であって、前記
複数のアセットは、電気エネルギーを前記グリッドに供給する及び/または電気エネルギーを前記グリッドから消費するように構成さ
れ、前記グリッドの動作状態の変化に応答して、前記グリッドに入るまたは前記グリッドから出るエネルギーフローを調節するように構成可能であり、前記方法は、
構成される
前記複数のアセットのそれぞれに、マッピングにアクセスすることと、前記マッピングは、
アセット
需要応答構成を入力として受信することであって、前記アセット
需要応答構成は前記アセットで検出された1つ以上の
前記グリッドの動作状態の変動に対する前記アセットの
需要応答を規定する、受信することと、
前記アセット
需要応答構成を使用して、動作時に
、必要な需要応答サービスに関する前記アセットの前記動作に関する1つ以上の性能指標を出力することと、を行うように構成される、アクセスすることと、
最適化関数によって、所望の需要応答を実施する際に前記複数のアセットがどれほど効果的かに関する測定値を含む、最適化メトリックを判定することであって、前記最適化関数は、前記マッピングによって出力された、前記性能指標に基づく入力を受け取る、判定することと、
前記複数のアセットのうちの1つ以上のアセット
需要応答構成を変動することによって、
変更された最適化メトリックを
判定する検索プロセスを行うことであって、
前記変更された最適化メトリックの終了基準が満たされるまで前記検索プロセスは継続する、行うことと、
前記変更された最適化メトリックに基づいて、前記複数のアセットの更新されたアセット需要応答構成を判定することと、
前記更新されたアセット
需要応答構成を、前記
複数のアセットに関連付けられる1つ以上のアセット制御デバイスに伝送すること
と、前記アセット
需要応答構成に従って、
かつ、グリッドの動作状態の変化に応答して、前記制御デバイス
によって、前記
複数のアセットと前記グリッドとの間のエネルギーフローを制御する
ことと、を含む、方法。
【請求項26】
請求項2~
24のいずれかに記載のさらなるステップまたは特徴をさらに含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1~
26のいずれかに記載の方法を行うために、随意に、関連メモリを有する1つ以上のプロセッサを含む手段を有するコンピュータシステムまたは装置。
【請求項28】
1つ以上のデータ処理デバイスで実行されるとき、請求項1~
26のいずれかに記載の方法を行うように適応するソフトウェアコードを含む、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーを配電網に供給するまたはエネルギーを配電網から消費するアセットを制御して、例えば、グリッド周波数変動に応答して、エネルギーグリッドに出入りするエネルギーフローを調節するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気供給業者及びグリッドオペレータは、工業用地または住居で及び配電網ならびに送電系統で様々なエネルギー管理技術を実施する。グリッドオペレータにより、電力供給と需要とのバランスをとる、配電網の周波数偏移に応答する等のその各々のエネルギーグリッドの態様を管理する課題が見つかることが増えている。
【0003】
概して、グリッドオペレータは、安定して応答する配電網を確実にするために、エネルギー生産者またはエネルギー消費者の行動を命令し得る(または、金銭的インセンティブを提供し得る)。例えば、グリッドオペレータは、電力の産業消費者及び/または産業生産者から調整容量を購入し得る。そのようなサービスを提供する消費者または生産者は、グリッドの安定性及び品質を維持するために、グリッドオペレータによって必要なとき、その電力消費を減少または増加する命令を受信する。電力消費の減少または増加は比較的長期間安定する必要があること、またはそのような減少または増加のいずれかが急速に発生することのような特定の要求があり得る。重要なことには、グリッドオペレータは、個々のアセットレベルよりもむしろポートフォリオレベルで電気エネルギーを消費または供給するアセット(例えば、電気負荷または発電機)を管理することを望む。
【0004】
高速応答時間は、電気グリッドオペレータにとって特に重要であり得る。グリッドオペレータは、安定したグリッドに提供された電源周波数(通常、米国では60Hz、欧州では50Hz)を維持することが予想されるが、グリッドオペレータは、グリッド周波数を許容可能なマージン内に維持することが課題になる可能性がある。例えば、パワープラントが予想外にシャットダウンする場合、大量の電力が突然利用できなくなり(需要が供給を超え)、グリッドの周波数は減少する。同様に、大型の工業負荷が稼働開始し、供給がその需要を満たすために減速する場合、グリッドの周波数は低下する。グリッドの周波数が減少する場合、グリッドの電力消費を減らすことによって、または供給を増加させることによって(または、両方の組み合わせによって)、周波数はその基準レベルになることができる。しかしながら、それは、産業消費者または住居消費者の様々の集まりの中から電力消費の減少を命令することが課題になる可能性がある。おそらくより重要なことに、それは、通常、約数分間よりもむしろ約数秒間(またはさらに、それよりも高速に)、グリッドオペレータがそれを実現することを目指すのに可能な限り速い電力消費の減少を実現することも非常に困難である可能性がある。集中型管理システムは、偏差を検出し、電力の減少をスケジュールし、その短時間でスケジュールを工業負荷に確実に送達することが不可能であり得る。同様に、逆流も発生する可能性がある。供給が需要よりも大きいとき(例えば、再生可能エネルギーの生産量が予想を下回る場合に発生するとき)、周波数はその基準レベル(50Hzまたは60Hz)を上回る可能性がある。これは、電力生産を減少するによって、または電力消費を増加させることによって(または、両方の組み合わせ)のいずれかにより相殺できる。
【0005】
先行技術では、スイッチによって電力周波数が一定レベルまで低下したことを検出するときに負荷全体をオフにする負荷で、単純なバイナリスイッチを使用することを含む(例えば、周波数49.9Hzまで低下するとき、負荷がオフになる)。しかしながら、これは、スイッチが特定の周波数で負荷が常にオフに固定される分離したハードウェアデバイスである静的技術である。そのようなデバイスは、他の情報を考慮しないで、何カ月または長年にわたって、そのような方式で、負荷を厳密にオフにし得る。本技術について、動作制約またはビジネス上の制約に基づいて、ローカルの運用管理者が電源投入の要求を拒絶することが不可能であるという意味で、本技術は一方的に動作することもある。さらに、本技術は負荷レベルで行われ、いずれかのポートフォリオ最適化から利点がもたらされない。
【0006】
最近になって、エネルギー消費アセット及び/またはエネルギー生産アセットの組み合わせを使用して、組み合わされた需要応答を実施することによって、ポートフォリオ最適化を利用して、応答を改善する技術が開発されている。
【0007】
国際公開第2015/059544号(その開示は参照によって本明細書に組み込まれる)では、グリッド特性の変化に対して急速に及び確実に応答しながら、グリッドオペレータが集合ポートフォリオレベルでエネルギー負荷のポートフォリオを管理することを可能にするエネルギー管理システムが説明される。周波数帯域内の周波数偏差に従って電力を減少(または増加)させるグリッドオペレータによる命令に基づいて、中央側は、構成内の各負荷が電力を減少(または増加)する必要がある最適周波数ポートフォリオトリガを判定するハイブリッドアプローチを使用する。象徴的に、ポートフォリオのグローバルドループ応答を最適化するために、負荷はこの周波数帯域内に「重ね」られ、これにより、グリッド周波数偏差がある場合、信頼性がある最適電力は、ポートフォリオに送達される。これらのトリガ(及び対応する個々の負荷電力低減)は、個々の負荷に中央側(負荷及びグリッドの挙動の変化に応答して)から定期的にすぐに送られる。周波数偏差が発生するとき、各負荷は、独立して(すなわち、工業用地の外側の実世界と相互作用がなく)、トリガに従ってその電力消費及び事前に受信した対応する電力低減を速く減らすことが可能である。各トリガは、ローカルに測定されたグリッドの状態に従って、電力を減少または増加するために信号を負荷に送る。このアプローチにより、中央側への信頼度を減らし、周波数偏差を検出し、次に、リアルタイムに、電力低減をすぐに伝える。
【0008】
しかしながら、アセットの大きいプールを潜在的に使用して、需要応答が集合ポートフォリオレベルで実施されるとき、グリッド及びアセット自体にそれらの構成の影響、同様に、個々のアセット応答の間で潜在的に複雑な相互作用を十分に考慮する個々のアセットの適切な構成を判定することが困難である可能性があり、それと同時に、総需要応答サービスの要求全体を満たすことを確実にすることも困難であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、この問題について対処するまたは少なくとも軽減することと、アセットのプールにわたって、需要応答サービスを構成するように改善された技術を提供することとを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の態様は配電網に接続されるアセットを制御するコンピュータ実施方法であって、アセットは、電気エネルギーをグリッドに供給する及び/または電気エネルギーをグリッドから消費するように構成されるアセットを含み、アセットの少なくとも一部は、グリッドの動作状態の変化に応答して、グリッドに入るまたはグリッドから出るエネルギーフローを調節するように構成可能である。本方法は、
構成される複数のアセットのそれぞれに、好ましくは、トレーニングされたニューラルネットワークモデルの形態で、マッピングにアクセスすることであって、ニューラルネットワークモデルまたは他のマッピングは、
アセット構成を入力として受信することであって、アセット構成はアセットで検出された1つ以上の動作状態の変動に対するアセットの応答を規定する、受信することと、
アセット構成を使用して、動作時にアセットの動作に関する1つ以上の性能指標を出力することと、を行うように構成される、アクセスすることと、
入力を最適化関数に提供することであって、性能指標に基づく入力は、ニューラルネットワークモデルまたは他のマッピングによって出力され、最適化関数は入力を最適化測定にマッピングする、提供することと、
複数のアセットのうちの1つ以上のアセット構成を変動することによって、最適化関数によって出力された最適化メトリックを変えるように構成される検索プロセスを行うことであって、終了基準が満たされるまで検索プロセスは継続する、行うことと、
検索プロセス中に判定されたアセット構成を、アセットに関連付けられる1つ以上のアセット制御デバイスに伝送することであって、アセット構成に従って、制御デバイスは、アセットとグリッドとの間のエネルギーフローを制御するように構成される、伝送することと、を含む。
【0012】
このアプローチは、総需要応答サービス(例えば、最適化関数によってエンコードされる)の特定の要求を満たすように、効果的に構成されるアセットのプールに対する全体的総需要応答が可能になり、それと同時に、リアルタイム制御により、集中型制御サーバーよりもむしろアセット制御器で直接発生することを可能にする。
【0013】
「アセット」または「エネルギーアセット」という用語は、好ましくは、グリッドからエネルギーを提供するまたはエネルギーを消費するように構成されるデバイス、機械、または他の設備(または、そのようなエンティティの集合)を指す。エネルギーフローは、アセットからグリッドへのフロー(グリッドへのエネルギー供給)及びグリッドからアセットへのフロー(グリッドからのエネルギー消費)の両方を含む。通常、(電気)エネルギーフローは、電力(例えば、ワット等の適切な単位で表される)に関して、測定され、処理され、及び/または制御され得る。したがって、エネルギーフロー調節は、電力調節(例えば、電力消費または電力供給の増加/減少)を含み得る。アセット制御器は、それが制御するアセットの一部であり得る、またはアセットに接続される別個のデバイスであり得る。
【0014】
検索プロセスは、好ましくは、1つ以上のアセット構成を変動して、ニューラルネットワーク(または、他のマッピング)によって出力された性能指標を変え、ひいては最適化メトリックの値を変更させることを含み、好ましくは、終了基準が満たされるまで、変動ステップは反復する。検索プロセスの出力は、好ましくは、最適化メトリックを満たすとき、最終反復中に見つけられたアセット構成のセットである、及び/または検索で見られた最適化メトリックの最適値(例えば、最高値/最低値)に対応するアセット構成のセットである。検索プロセスは、好ましくは、例えば、勾配降下アルゴリズムまたは他の適切な最適化アルゴリズムを使用して、最適化メトリック(例えば、最適化メトリックの増加または減少)に対する最適化関数を最適化することを含む。
【0015】
好ましくは、複数のアセットのアセット構成は、検索空間の次元のセットを定義し、検索プロセスは、検索空間の勾配降下検索を行い、最適化関数の出力値を最適化することを含む。
【0016】
本方法は、最適化のための1つ以上の制約を識別することと、1つ以上のペナルティ項を制約の最適化関数に追加することとを含み得る。重みはペナルティ項に関連付けられ得、本方法は、検索プロセスが終了した後、制約に関する検索プロセスによって見つけられた解を評価することと、1つ以上の制約が解に違反していることを識別することに応答して、1つ以上の違反した制約の重みを増加させることと、増加した重みを使用して、最適化を繰り返すことと、を含み得る。
【0017】
最適化関数はコスト関数であり得、検索プロセスは、アセット構成を変えることによって、コスト関数を最小にすることを含む。コストは、財務コストまたは他のいくつかのコストの尺度(例えば、リソース使用に関する、予想される(例えば、契約した)需要応答サービスレベル等に関する性能)を指し得る。特定の実施形態では、コスト(より具体的には、コスト関数値及び/または個々のコスト項)は、CO2(二酸化炭素)ならびに/もしくはNOx(例えば、一酸化窒素または二酸化窒素)の排出量及び/または他の物質ならびに材料の排出量に基づいて、例えば、1つ以上の環境影響メトリックとして表される環境影響を指し得る。
【0018】
終了基準は、所定の閾値またはローカルもしくはグローバルな最適値(例えば、最小値または最大値)を実現する最適化メトリック、行われている反復の最大数、到達している最大計算時間のうちの1つ以上を含み得る。例えば、検索プロセスは、適用可能な処理時間/リソース制約の範囲内で、最良の「解」(例えば、最適化関数の最高値/最低値を生成するアセット構成)を検索し得る。
【0019】
検索プロセスは、好ましくは、アセット構成の初期セットから始まり、初期構成は、アセットの現在のアセット構成、アセットのデフォルトアセット構成、ランダムに生成されたアセット構成のうちの1つ以上を含む。
【0020】
特定の実施形態では、マッピングはニューラルネットワークの形式であるが、これは不可欠ではなく、他のタイプのマッピング(例えば、ルックアップテーブル、決定木、数学的に定義されたマッピング関数、他の機械学習モデル等)を使用し得る。好ましくは、マッピングは、アセットの履歴またはシミュレートされた性能に基づいて学習された機械学習モデルを使用する学習マッピングである。したがって、下記に記載されるシミュレーションに関連する特徴は、他のタイプのマッピングの導出に適用され得る。以下では、マッピングは、概して、ニューラルネットワークの形式で説明されるが、したがって、これらはマッピングの他の形式の代わりになり得ること理解されたい。
【0021】
本方法は、好ましくは、複数のアセットのうちの1つ以上について、プロセスによってニューラルネットワークモデル(または、他のマッピング)をトレーニングすることを含み、本プロセスは、複数のアセット構成を生成することと、アセット構成ごとに、アセット構成に従ってアセットの動作をシミュレートして、シミュレーションに基づいて、アセット構成の1つ以上の性能指標を判定することと、複数のトレーニングサンプルを使用して、ニューラルネットワークモデル(または、他のマッピング)をトレーニングすることであって、各トレーニングサンプルはアセット構成に基づき、対応する性能指標は、シミュレーションによって、アセット構成について判定されることと、を含む。シミュレーションは、アセットのモデルに基づいて行われ得る。アセット構成を生成することは、アセット構成をランダムに選択することを含み得る。
【0022】
本方法は、定期的にまたは複数のアセットの変化に応答して、ニューラルネットワークモデル(または他のマッピング)及び検索プロセスの一方または両方のトレーニングを繰り返すことを含み得、変化は、随意に、1つ以上のアセットの動作特性の追加、除去、または変化を含む。一方ではニューラルネットワークモデル(または他のマッピング)のシミュレーション/トレーニング及び他方では検索/最適化プロセスは、異なる時間に行われ得る及び/または異なる周波数で繰り返され得る。
【0023】
アセット構成は、好ましくは、アセットで測定された1つ以上の動作状態(複数可)の変化に応答して、アセットとグリッドとの間のエネルギーフローをどのように変化すべきかを定義する構成データを含む。好ましくは、構成データは1つ以上の応答曲線を定義し、各応答曲線は、所与の動作状態パラメータの関数として、必要な電力潮流レベルまたは電力潮流変化を定義する。
【0024】
随意に、構成データは、異なる動作状態パラメータに関してそれぞれ定義された複数の応答曲線、及び/または同じ動作状態パラメータの異なる値範囲に関して(例えば、グリッド周波数パラメータの異なる周波数帯域に関して)それぞれ定義された複数の応答曲線を定義し得る。これは、構成されるより複雑な需要応答要求を可能にし得る。
【0025】
1つ以上の動作状態は、好ましくは、アセットで測定された(好ましくは、ローカル)グリッド周波数に関する1つ以上のパラメータを含む。周波数パラメータ(複数可)は、アセットで測定されたローカルグリッド周波数と、ローカルグリッド周波数から導出されたデータ(例えば、時間的にフィルタリングされたグリッド周波数値)と、のうちの少なくとも1つ(随意に、その両方)を含み得る。
【0026】
構成データは、好ましくは、複数の個々のグリッド周波数値のそれぞれに、アセットの必要な電源入力値もしくは電源出力値または調節値を規定する。
【0027】
本明細書でアセット(または他のシステム要素)に関連付けられるローカルグリッド周波数(または他の条件)を参照すると、これは、アセットによってもしくはアセットで、または(地理的または位相的に)アセットの近くのグリッド位置で測定されたグリッド周波数(または他の条件)を指し得る。例えば、ローカルグリッド周波数は、アセットのグリッド接続点(アセットがグリッドに接続される位置)にまたはその下にあるグリッドの周波数であり得る。例えば、ローカルグリッド周波数は、アセットの1km以内で、好ましくは、(直線的な地理的距離または接続長のいずれかに関して)アセットの100m以内またはさらには10m以内で測定されたいずれかのグリッド周波数であり得る。アセット(または、より具体的には、アセットを制御するアセット制御器)は、アセットにおけるまたはアセットの付近における(通常、アセットが位置するサイトのグリッド接続点で(またはその下で))ローカルグリッド周波数を検知するために、各々の周波数センサを含み得る、またはそれに接続され得る。
【0028】
グリッド周波数は、例えば、特定の時間における単一の測定値として、または時間ウィンドウにわたって周波数データ、例えば、時間ウィンドウにわたる平均(例えば、測定時間に関して、最後のN秒の平均値)から取得された代表値として測定され得る。したがって、用語「グリッド周波数」及び周波数測定値への他の参照は、特定の位置/時間におけるグリッド周波数を表す周波数データから抽出されたいずれかの特徴値を含む。
【0029】
グリッドは、通常、既定のグリッド周波数で動作するように構成され、これは、例えば、グリッドで伝送された電力の標準的な予想の動作AC周波数であり得、この周波数は、本明細書では、グリッドの公称周波数または参照周波数とも呼ばれる。しかしながら、実際のグリッド周波数は、瞬間的に及びグリッドの異なる位置を横断して、その既定の公称周波数から変動し得ることが理解される。さらに、既定の周波数自体は、動作要件に基づいて、グリッドオペレータによって、(公称基準値(例えば、欧州(50Hz)、米国(60Hz)から)変動し得る。アセット構成の周波数値は、絶対項で表され得る、または既定グリッド周波数または参照グリッド周波数に関連する。
【0030】
代替としてまたは加えて、1つ以上の動作状態は、例えば、グリッドに接続されるアセットまたは別のアセットの動作状態を含む周波数以外の動作状態を含み得る。
【0031】
検索プロセスは、1つ以上の電力潮流値もしくは電力潮流調節値、及び/または電力潮流調節値の1つ以上の周波数閾値もしくは他の動作状態の閾値を変動させることを含み得る。
【0032】
好ましくは、本方法は、所与の制御デバイスにおいて、グリッドまたはグリッドのアセットの動作に関連する動作状態を示す1つ以上の信号を受信することと、1つ以上の信号及びアセットのアセット構成に基づいて、制御デバイスによって制御されたアセットの電力潮流レベルを判定することと、判定された電力潮流レベルに従って、アセットを制御することと、を含む。
【0033】
電力潮流レベルを判定することは、随意に、アセット構成によって規定された曲線のデータ点のセットから、動作状態パラメータの応答曲線の値を補間することによって、アセット構成によって定義された応答曲線に基づいて、電力潮流レベルを計算することを含む。1つ以上の信号は、ローカルグリッド周波数測定値及び/またはローカルグリッド周波数測定値(例えば、時間的にフィルタリングされたグリッド周波数測定値)から導出された信号を含み得る。
【0034】
本方法は、制御デバイスにおいて、各々の動作状態パラメータを示す複数の信号を受信することと、信号に基づいて、複数の電力潮流調節値を判定することであって、各電力潮流調節値は、アセット構成によって定義された各々の応答曲線を使用して導出され、応答曲線は各々の動作状態パラメータを電力潮流調節値にマッピングする、判定することと、複数の電力潮流調節値に基づいて、合計電力潮流調節値を判定することと、判定された合計電力潮流調節値に従って、アセットを制御することと、を含み得る。合計電力潮流調節値は、例えば、複数の電力潮流調節値の合計に基づき得る。
【0035】
好ましくは、ニューラルネットワーク(または、他のマッピング)によって出力された性能指標は、アセット構成によって定義された必要な需要応答サービスに関するアセットの性能の1つ以上の測定値を含む。性能指標は、需要応答を提供するアセットの可用性と、需要応答を提供するとき、一定期間にわたって供給または消費される全エネルギー量を示すエネルギー量と、所望のエネルギーフロー調節値を実現するためのアセットの応答時間と、一定期間にわたるアセットの動作サイクルまたは充電/放電サイクルの数と、構成された需要応答を配信するための成功の尺度と、需要応答サービスを提供するコスト(例えば、環境影響または財務コスト)の尺度と、のうちの1つ以上を規定し得る。
【0036】
本発明のさらなる態様では、本明細書に記載のいずれかの方法を行うために、随意に、関連メモリを有する1つ以上のプロセッサを含む手段を有するコンピュータシステムまたは装置が提供される。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、1つ以上のデータ処理デバイスで実行されるとき、本明細書に記載のいずれかの方法を行うように適応するソフトウェアコードを含む(有形)コンピュータ可読媒体を提供する。
【0038】
本発明の一態様のいずれかの機能は、いずれかの適切な組み合わせで本発明の他の態様に適用され得る。特に、本方法の態様は、装置及びコンピュータプログラムの態様に適用され得、また、逆の場合も同様である。
【0039】
さらに、ハードウェアに実装される機能は、概して、ソフトウェアに実装され得、逆の場合も同様である。本明細書のソフトウェア及びハードウェアの機能へのいずれかの参照は状況に応じて解釈すべきである。
【0040】
ここで、添付図を参照して、純粋に例として、本発明の好ましい特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】集中型リアルタイム制御アプローチを含む配電網の電力アセットを制御するアプローチを示す。
【
図1B】ハイブリッド制御アプローチを含む配電網の電力アセットを制御するアプローチを示す。
【
図1C】分散型自己組織化制御アプローチを含む配電網の電力アセットを制御するアプローチを示す。
【
図2A】自動学習アセット性能特性を使用して、コスト関数の最適化に基づいて、アセット構成プロセスを示す。
【
図2B】自動学習アセット性能特性を使用して、コスト関数の最適化に基づいて、アセット構成プロセスを示す。
【
図3】設定プロセスとグリッドアセットとの関係を概略的に示す。
【
図4B】1つ以上の応答曲線に基づいて、アセット制御器によるアセットの構成を示す。
【
図5】アセット構成を導出するために使用される最適化モデルを概略的に示す。
【
図6A】アセット構成を導出するために使用される最適化モデルを概略的に示す。
【
図7】説明された方法で使用される中央制御デバイス及びアセット制御器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
アセットと伝送グリッドまたは配電網との間の電力潮流(供給または消費)の調節は「需要応答」と呼ばれる。グリッド周波数に影響を与えるために、例えば、グリッドの伝送周波数の変動に応答してそれを弱めるために、需要応答を行う場合、これは、本明細書では、周波数制御応答とも呼ばれる。
【0043】
周波数変動を弱めるリザーブを動作させる対策は、周波数抑制リザーブ(FCR)としても知られていることに留意されたい。対照的に、ここで使用される「周波数制御応答」という用語は、アセットの電力供給/消費を修正することによって、そのリザーブを利用する制御動作を指す。
【0044】
配電/送電系統のAC(交流)の伝送周波数の変動は、グリッドまたは電力供給からグリッドに電力消費を調節することによって弱めることができる。具体的には、本明細書では参照周波数値または公称周波数値とも呼ばれる標準的な予想値(例えば、欧州では50Hz)を上回るグリッド周波数の増加は、消費を増加させるまたは供給を減らすことによって弱めることができ、その一方、グリッド周波数の減少は、消費を減少させるまたは供給を増加させることによって弱めることができる。
【0045】
場合によって、グリッドに接続される適切なエネルギー消費アセットまたはエネルギー供給アセットを有するプロバイダは、1つ以上のアセットの供給または消費を調節して、周波数変動を弱めることによって、需要応答を提供するグリッドオペレータ(例えば、伝送システムオペレータまたはTSO)と契約できる。エネルギー消費アセットは、例えば、工場または機械、電気自動車の充電点、家庭電力供給点または家庭用負荷、再充電が必要な部分的または十分に放電されたエネルギー貯蔵デバイス等の工業負荷であり得る。エネルギー提供アセットは、例えば、発電機(例えば、ガソリン発電機、風力タービン、ソーラーパネル等)、またはバッテリー等のエネルギー貯蔵デバイスであり得る。複数の個々の消費デバイス及び/または供給デバイスは、単一のアセット(例えば、ウィンドファームのタービン、工場の様々な機械及びシステム)と一緒に動作し得る。場合によって、アセットは、エネルギーをグリッドに供給することと、エネルギーをグリッドから消費することの両方を行うことが可能であり得る(例えば、異なる時間に、過剰需要をグリッドから消費して、過剰発電能力をグリッドに供給する施設内に発電機がある工場、またはグリッドから取得された電力を貯蔵し、その後、貯蔵された電力をグリッドに戻して供給することが可能であるバッテリーが挙げられる)。
【0046】
周波数制御は、概して、プロバイダが次々に周波数偏差と線形に応答する電力出力を提供することを要求する。これは、集合技術を使用して、アセットレベルまたはプールレベルで行うことができる。周波数制御応答サービスは、サービスに参加するアセットの制約内に設ける必要がある。
【0047】
プールレベルにおけるサービスを提供するとき、システムは、アセットの組み合わせが個々の応答の全ての合計に対して良好な応答を提供できるという事実を利用できる。実施例は以下を含む。
-アセットは、それぞれ、周波数スペクトルの異なる部分の偏差に応答するように構成される。例えば、周波数が第1の周波数帯域で低下するとき、第1のアセットはその出力を調節することによって応答し得、その一方、第2のアセットは第2の周波数帯域で応答し得る。アセットは累積的に動作し得る。例えば、周波数が公称値からさらに逸脱するとき、追加アセットはその周波数制御応答をアクティブにする。
-高速アセットは、関連のランプ制約を満たすことが不可能である低速アセットを補償する。例えば、バッテリーは速く応答することが可能であり得(しかし、出力容量が制限され得)、その一方、発電機は、起動してから必要な出力レベルに到達するのに長時間かかるが、次に、より高出力容量をもたらし得る。そのような状況では、高速アセットは初期中に応答するように構成され得る一方、第2の低速アセットはその出力を増加させる。減速アセットの応答速度は、応答の遅延及び/または減速ランプレートを特徴とし得る。
-連続アセットは、別々のアセット(例えば、バイナリアセット)の別々の挙動を補償する。バイナリアセットはオンまたはオフのいずれかであるアセットである。すなわち、バイナリアセットは、アクティブであるとき(オンのとき)固定レベルで供給し(または消費し)、アクティブではないとき(オフのとき)供給(または消費)しない。他の別々のアセットは、(オフ状態に加えて)複数の個々の電力レベルを提供し得る。連続アセットは、制御信号に応答して及び/または必要な周波数調節またはローカルに測定された周波数偏差に応答して、その供給出力または消費を徐々に(例えば、線形に)変動させることが可能であるアセットである。したがって、一例では、連続アセットを制御して、別々のアセットによって送達される応答(例えば、電力出力)のいずれかの不足量を補い得る。
-一方または他方の状態になる部分的にまたは完全に利用できないとき、それらのアセットは相互に補償する。例えば、いくつかのアセットは、特定の時間ウィンドウ中に需要応答を行うことだけに利用可能であり得る(例えば、ソーラー発電機は昼間だけ及び天候に応じて利用可能である。工業用発電機は工業用設備をサポートするために使用中ではないときだけ利用可能である)。
【0048】
合計された周波数制御応答の具体例では、バッテリー等の高速エネルギーデバイス(通常、制約されたエネルギー)及び工業用オーブン等の減速エネルギー負荷(通常、制約されないエネルギー)の両方を使用して、周波数偏差に応答する。通常、そのような低速工業負荷は、TSOによって、規定される要求に準拠する周波数制御サービスを十分に提供できなく、それは、その低いランプレートを補償できるパートナー(バッテリー等)を必要とする。交換の際、低速負荷は、バッテリーのエネルギー含量のスループット(サイクル数)及び制限量を補償する。
【0049】
アセットを集めるときの典型的な目標は、概して、可能な限り線形で応答を提供する。したがって、効率的な集合は、最適化問題の組み合わせとして確認できる。
【0050】
アセットの集合が実現する方法は、グリッドのアセットを制御及び調整するために使用されるアプローチに依存する。いくつかの制御アプローチが考慮され得、制御アプローチの一部は
図1A~
図1Cに示される。
【0051】
図1Aは、外部設定点制御を使用するリアルタイム中央制御アプローチを示す。このアプローチでは、電力設定点は、アセットの(例えば、地理的境界の外側)から離れたリモート位置で計算される。ある例では、バッテリーは、設定点が遠隔サーバーまたは異なるアセットで計算される周波数制御応答を提供し得る。
図1Aに示される例では、制御器102は、中央制御器(例えば、サーバー)から、配電網100に接続されるアセットの全てまたは一部に、制御信号を送信することによって集中制御を行う。この例では、グリッド100内の2つのアセット「A」104及び「B」106が制御データを中央制御器102から受信するように示される。制御データは、アセット(例えば、MWで測定される「設定点」)から要求される電力入力/出力レベルを判定するものであり、現在の電力レベルの増加または減少として絶対項または相対項として規定され得る。結果として、アセット(例えば、バッテリー)の設定点は、アセットにローカルに定義されない(「ローカルに」は、例えば、アセットのグリッド接続点の下部を意味し得る)。
【0052】
制御器はリアルタイム制御を行う(例えば、特定の更新頻度で及び/または測定されたグリッド周波数の変化に応答して、設定点を更新する)。制御データは、周波数がグリッドにわたって実質的に同じという仮定の下、例えば、制御器に対してローカルにまたは他のいくつかの中央位置で測定された、中央で測定された単一のグリッド周波数(図の「f」として示される)に基づき得る。代替として、アセットは、そのローカル周波数測定値を、設定点を計算する制御器に向かって上流に送信し得、制御器は設定点を計算し、その設定点をアセットに返送する。中央制御器が示されているが、実際には、制御器はいずれかの場所に位置し得る。例えば、特定のアセットは、制御機能を実施するためのコンピューティングノードをホストし、制御データを他のアセットに提供し得る。
【0053】
制御器は、要求に応じて、全てのアセットまたはサブセットだけを制御し得る。考慮される利用可能なアセットのセットの合計は、概して、需要応答及び/または周波数制御応答(アセットプールと呼ばれる)を行うために利用可能なものである。これらは、例えば、グリッドオペレータ及び/またはグリッドオペレータ自体によって提供されるアセットによる需要制御を実施する同意があるプロバイダによって提供されたアセットを含み得る。グリッドは、通常、需要制御に不可能であるまたは利用可能であるより多くのアセットを含む。
【0054】
前述に説明したように、必要に応じて、中央制御器はアセット集合に適用し得る。例えば、測定されたグリッド周波数に基づいてリアルタイムで高速アセット及び低速アセットを構成して、補完周波数制御応答を提供する。
【0055】
図1Bは、前述の特許公報の国際公開第2015/059544号にさらに説明されるように、ハイブリッド制御アプローチを示す。
【0056】
このアプローチでは、中央制御器102は、グリッドでローカルに測定できる信号の関数として提供される適応性のある電力の量を定義する特定のポートフォリオ応答関数(例えば、周波数がその帯域の最低点まで低下する場合の、周波数帯域、応答時間、及び負荷のポートフォリオの全体が減るはずである電力の量)を定義するグリッドオペレータから契約条件を受信する。それらの条件に基づいて、中央ユニットは、各アセットの処理ユニットを構成するように使用されるポートフォリオのアセットごとにローカル制御パラメータのセットの形式で制御構成を計算する。これらの制御パラメータは、グリッド周波数のローカルに測定された変化に対する応答として、個々のアセットのそれぞれによって提供される(または、同様に消費される)電力量を定義するアセットのローカル応答関数を説明するものである。構成された応答は、例えば、アセットが提供される応答及び/または応答のレベルを提供する必要がある周波数範囲を示し得る。
【0057】
構成(制御パラメータ)は各アセットに送信され、次に、各アセットは、アセットがローカルに検出する周波数偏差に基づいて、リアルタイムでその電力を管理することが可能である。したがって、グリッドオペレータは、上記の集中制御の例として、リアルタイムで負荷を制御しない。そのようなローカル応答関数の典型例は、グリッド周波数偏差と、提供された適応性のある電力との線形関係を説明するものである(ただし、非線形応答関数は、例えば、周波数閾値に基づいて、単純なオン/オフ応答を提供する単純なバイナリアセットも可能である)。
【0058】
図1Bの例では、アセットA及びアセットBは、各々の応答関数108,110によって事前に構成される。次に、各アセットは、ローカルに測定されたグリッド周波数(f1,f2)及び各々の応答関数に基づいて、ローカルに事前設定された応答を実施する。例えば、各アセットは、現在のグリッド周波数及びそれ自体の電力消費を検出する。アセットの周波数がアセットのトリガ点に到達する場合(または、アセットの周波数がその構成された周波数サブバンドの範囲内にある場合)、周波数制御応答はアクティブになり、アセットは、その応答関数を即座に及び独立して使用して、その電力消費/供給を変える。
【0059】
構成された応答関数は、必要に応じて、中央制御器によって時々更新され得る。
【0060】
前述に説明したように、中央制御器は、異なるアセットによって応答を調整し得、必要に応じて、アセット集合に適用され得る。例えば、アセットは、(個々にまたは累積的に)異なる周波数帯域の範囲内で応答するその各々の能力に基づいて構成され得、その結果、組み合わされた応答により、周波数偏差に対する所望の(ほぼ望みどおりの)線形応答が実現される。さらに、補完アセット(例えば、高速アセット及び低速アセット)は、個々のアセットが必ずしも相互の周波数制御応答の寄与を認知しなくても、要求される集合応答が実現するように、補完応答関数を使用するように構成され得る。
【0061】
図1Cは、分散型自己組織化制御アプローチを示す。このアプローチでは、アセット通信は、ネットワークを介して相互に直接通信し、例えば、アセットの応答特性を記述する動作モデルの形式でその各々の能力に関する情報(例えば、アセットがバイナリアセットまたは連続アセットかどうかに関わらない、出力/消費能力、ランプレート等)を交換する。交換モデルは、アセットが別のアセットが周波数変化にどのように応答するか(例えば、アセットが遅い応答をするかどうか)を知らせることを可能にする。
【0062】
次に、アセットは、交換情報に基づいて、適切な集合グループを自律的に判定する及び決める(例えば、集合グループ内で補完需要応答能力を有する高速アセット及び低速アセットをペアにする)。次に、各アセットは、交換モデルに基づく周波数偏差に対するグループの他の集合アセット(複数可)の予想応答を考慮して、その測定されたローカルグリッド周波数に基づいて、リアルタイム制御を行うことができる。
【0063】
アセット間のモデル交換によって、中央エンティティが負荷及びソースを直接制御する必要性と、負荷/ソース間でリアルタイムのデータを交換するの必要性がなくなることによって、通信障害または情報損失に対する回復力が提供される。
【0064】
アセット(負荷/エネルギー源)の集合グループは、ピアツーピア相互作用によって及び提供される特定の需要応答サービスに基づいて形成される。アセットは互いにモデルを交換し、モデルを実行した後、特定の需要応答サービスに対して提供できるパートナー候補を判定し、受信アセットは、パートナー候補とともに集合グループを形成するか否かを決定する。集合グループは、また、他の負荷及びソースによって時間経過するにつれて学習される履歴データに基づいて形成され得る。次に、集合グループのアセットは、それ自体の制御ポリシーを計算するために、グループのパートナーアセットのモデルに依存し得る。
【0065】
プロセスは、1つ以上の集合グループを形成するために、アセットが複数のアセット間で通信するネゴシエーション段階を含む。このステップでは、アセットは、概して、改善された周波数制御応答を提供するために、一方のアセットが協働できる別のアセットまたは別の複数のアセットを探す。有利には、デバイス間の通信はピアツーピアであり、中央エンティティを通る必要はないため、通信障害に対する回復力をもたらす。
【0066】
したがって、他のアセットの意思決定及び制御ポリシーにおいて、アセットのモデルを使用できる。動作中、各アセットは、他のデバイスから受信したモデルまたは複数のモデルを考慮しているアセット自体のローカル制御ポリシーに従い、これにより、他のデバイスは、集合グループを形成することに同意して、グリッドの周波数変動に対する応答の組み合わせが調整される。
【0067】
通信及び制御
上記の制御構成では、アセットは、例えば、狭帯域IoT(モノのインターネット)、ADSL、ファイバーネットワーク、4G、または他のセルラー方式、またはイーサネットを含む、いずれかの適切な通信技術及びメディアを使用して、有線ネットワーク及び/または無線ネットワークを含むいずれかの適切な通信手段を介して相互に通信し得る。ネットワークは、プライベートネットワークならびに専用接続、及びインターネット等のパブリックネットワークを含み得る。エネルギーアセットとの通信及びエネルギーアセット間の通信は、中央制御器等の中央エンティティの制御によって及び/もしくは制御下で、またはアセット間でピアツーピア通信を直接使用することによって行われ得る。
【0068】
上記に説明した様々なアプローチでは、アセットは、処理機能(例えば、周波数制御応答を実施する)を提供するものとして説明され、(例えば、
図1Aのようにリアルタイム集中制御に応答して周波数制御応答を実施する、ローカル周波数を監視して、
図1Bのようにアセットに記憶された事前設定された応答関数を使用して周波数制御応答を実施する、または
図1Cのようなピアツーピアネゴシエーション及びモデルベース制御を実施する)。そのような処理機能は、制御されるアセットに密接してローカルコンピューティングハードウェア上で実行するソフトウェアであるデバイスエージェントを使用して実施され得る。一例では、このローカル制御器は、アセットに統合される内蔵制御器を含み得る。別の例では、ローカルに接続された制御器を提供し得る。また、そのような制御器は、例えば、制御器で起動する別個のデバイスエージェントによって独立して複数のアセットを制御し得る。例えば、バッテリーのセットは、単一のネットワーク接続された制御コンピュータによって制御され得、別個の制御パラメータ(例えば、応答関数)及び/またはそれぞれのデバイスエージェントを維持する。
図1Cのシナリオでは、デバイスエージェントは、ピアツーピアネゴシエーション、周波数データブロードキャスト等を実施する。デバイスエージェントは、例えば、Centrica Business Solutions Belgium N.V.(アントワープ、ベルギー)から入手可能である「FlexTract」制御器を使用して、汎用コンピュータまたは専用コンピューティングハードウェアで実行され得る。したがって、アセットが本明細書で参照される場合、これは、概して、いずれかの統合型または関連の制御ハードウェアと一緒に、エネルギー供給デバイス(複数可)またはエネルギー消費デバイス(複数可)自体を含むと解釈され得る。
【0069】
外部グリッドセンサは、配電網に接続され、グリッド周波数、電圧、または電力品質等の変数を検知し、この情報をローカルコンピューティングハードウェアのデバイスエージェントに送信する。ローカル制御器は、また、他のアセット及び/または中央制御器(使用される場合)と通信するために、通信ネットワークに接続される。
【0070】
アセット構成を調整するための自動学習技術
本発明の実施形態は、さらに、アセットのプールにわたってアセット応答のより効果的な調整を可能にする上記の制御システムの改良をもたらす。説明される実施形態は
図1Bの制御スキームの展開として確認できるが、説明される原理は(例えば、集中型方式よりもむしろ
図1Cの構成の分散方式で説明される計算を行うことによって)他の制御スキームに適応し得る。
【0071】
アプローチは機械学習及び最適化技術を利用して、コスト関数によってエンコードされた需要応答基準を満たすアセットのプールの制御構成を識別する。
【0072】
以下では、アセットの需要応答制御構成(「アセット構成」と呼ばれる)は、グリッドまたはグリッドに接続されたアセットのいくつかの動作特性またはパラメータ(まとめて、動作状態またはパラメータと呼ばれる)に対するアセット応答を記述する応答関数を定義することが想定される。通常(しかし、限定的ではない)、考慮される動作特性はグリッド周波数である。具体的には、制御構成は、通常、アセットにおけるローカルグリッド周波数の変化に応答して、アセットの電力入力/出力(まとめて、「電力潮流」)の変化を定義する。代替として、制御構成は、別のアセットの状態、送電系統の別の測定されたパラメータ(例えば、前述の信号のいずれかを変換することによって)グリッド周波数または別の動作パラメータから導出されたデータ等の別の信号、またはいずれかの適切な信号の組み合わせへの応答を規定し得る。
【0073】
プロセスは、
図2Aの概要に示される。大まかに言えば、プロセスは、履歴期間にわたるアセットにおけるローカルグリッド周波数を示すアセット202のプールのセンサデータ(場合により、アセットによって消費/供給されるエネルギー、電流、電圧、温度、バッファレベル、圧力測定値、価格情報、貯蔵レベル指標等の他のアセット特性またはグリッド特性)を取得することを含む。データを分析して、最適化プロセスは、アセットプールによって提供される要求される全体的需要応答サービスに基づいて、中央処理システム200で行われる。最適化により、アセットに対してローカルにある(または、アセットに統合される)アセット制御器204に送信されるアセット構成のセットが識別される。次に、アセットの電力設定点を調節することによって、需要応答サービスを実施するようにアセットを制御する制御器によって、アセット構成を使用する。(制御アセットの近くにある)設定点の計算のローカル実行により、需要応答配信が通信問題によって影響を及ぼすリスクを減らすことができる。
【0074】
続いて、分析及び最適化は、新たに集められたセンサデータに基づいて定期的に繰り返され、アセット構成の反復改良及びアセットならびにグリッドの変化に対する応答を可能にし得る。
【0075】
【0076】
ステップ206において、個々のアセットは、アセットのモデルに基づいてシミュレートされる。アセットごとに、グリッド周波数の履歴データ(または、シミュレーションデータ)を使用して、複数のアセット構成のシミュレーションを行って、特定のアセット構成を使用して、周波数変化に応答するとき、アセットの性能特性を判定する。シミュレーションへの入力として使用されるアセット構成のセットをランダムに生成する(代替として、これらは、手動で構成され得る、またはアルゴリズムで生成され得る)。シミュレーションはアセットの理論モデルに基づき得る、または、モデルはさらに履歴データに基づき得る。
【0077】
ある実施形態では、シミュレーションは、周波数の履歴データのセットから始まり、ランダムアセット構成をそのデータに適用する。選ばれたランダムアセット構成に従ってアセットを制御する場合、システムは、このアセットで発生し得ることをシミュレートする。通常、ランプレート、電力レベル、及びエネルギーバッファ等のファクターを考慮する単純シミュレーションモデルを使用する。
【0078】
アセットの応答のシミュレーションに基づいて、性能指標のセットを計算する。性能指標は、例えば、以下のいずれかを含み得る。
-アセットの可用性、
-供給/消費された合計エネルギー/電力、
-所望の電力調節を実現するアセット応答時間、
-所与の期間(例えば、1年/1ケ月/1週間/1日ごとの期間)にわたる、充電/放電サイクルの数(例えば、バッテリー及び他のエネルギー貯蔵アセットの充電/放電サイクルの数)、
-所与の期間(例えば、1年/1ケ月/1週間/1日ごとの期間)にわたる、アクティブ化の数、
-所与の期間(例えば、1年/1ケ月/1週間/1日ごとの期間)にわたる、合計アクティブ時間、
-最も深いアクティブ化、
-電力の閾値量(例えば、XMW)よりも大きい量を使用している時間の割合、
-エネルギーバッファが特定の閾値よりも少ない/多い値を含む時間の割合、
-需要応答を配信するための配信達成の測定値(例えば、配信される電力増加の要求される割合)、
-例えば、CO2、NOx、及び/または他の有害物質の排出量に基づいて表される環境影響またはコスト、
-需要応答サービスを提供するコスト(例えば、財務コスト)。
【0079】
使用される正確な性能指標は、通常、アセットのタイプ及び需要応答サービスの目標ならびに優先事項に依存する。性能指標の特質に応じて、性能指標は、所与の期間(例えば、1日あたりのサイクル、1日あたりのコスト等)にわたって表され得る。
【0080】
シミュレーションにより、所与のアセットのトレーニングサンプル<C,P>のセットが生じる。ここで、Cは特定のアセット構成であり、Pは、シミュレーションに基づいて、その構成に対して判定された性能指標のセットである。固有のアセットのセットに対してシミュレーションを繰り返す(固有のアセットは、グリッドの特定の既存のアセット、または特定のアセットタイプ(例えば、特定のバッテリーモデル)を表すアセットであり得る)。
【0081】
この例でシミュレーションが使用されるが、特定の使用事例及び特定のタイプの性能指標については、シミュレーションによって情報を取得する代わりに、(配置されたアセットから)測定された性能指標の履歴を使用し得ることに留意されたい。
【0082】
ステップ208において、シミュレートされたアセットごとに、トレーニングサンプルを使用して、ニューラルネットワークをトレーニングし、構成Cを性能指標セットPにマッピングする。したがって、トレーニングされると、ニューラルネットワークは、シミュレートされなかった入力構成を含むそのアセットのいずれかの入力構成Cに対する性能指標Pのセットを生成できる。このステップでは、シミュレートされたアセットごとに、トレーニングされた各々のニューラルネットワークがもたらされる。所与のニューラルネットワークによって出力された性能指標は、シミュレーションまたは実在の性能データの必要性がなく、いずれかのアセット構成を様々な基準に対して評価することを可能にし、アセット構成に従ったアセットの動作により、グリッドオペレータ(例えば、TSO)から求められるバッテリーサイクル制限値、出力制限値、エネルギー必要量等の要求を満たすかどうかを判定する。
【0083】
ステップ210において、コスト関数は、アセットのそれぞれに、ニューラルネットワークによって出力された性能指標を入力として有するように構成され、コスト関数は、所与のアセット構成のセットに従って、動作時のアセットプールのアセットの全体的性能を示すコストメトリックを出力として提供する。コストメトリックは、プールがアセット構成の特定のセットに従って、動作時に所望の需要応答をどのように効果的に実施するかに関する測定値を提供する。例えば、コスト関数は、例えば、予想される(または契約した)性能要求のコンプライアンスレベルを示す個々のアセットの性能指標または他のいくつかの数値指標の加重和に基づき得る。代替として、コスト量は、例えば、環境影響(例えば、排出量に基づく値)または財務コスト(例えば、契約した需要応答基準を満たす/満たさないボーナスまたはペナルティの支払の同意に基づくコスト)として表され得る。
【0084】
純粋に例証目的のために、以下の例を想定する。
-アセット構成及び生じる制御挙動は長期にわたってエネルギー中立的である(グリッドから流れるエネルギーは、グリッドに向かって流れるエネルギーと同量である)、
-このサイトの供給契約は非対称である(その契約は、電力をグリッドから取得するが高価であるため、電力をグリッドに供給するのに有益でない)。
【0085】
そのような場合、性能指標は、合計エネルギースループット(グリッドから取得されたエネルギー+グリッドに投入されるエネルギー)であり得、コスト関数(金銭的条件)は、供給契約のもとスプレッドを乗じたエネルギースループットに基づき得る。
【0086】
ステップ212において、勾配降下検索等の反復最適化プロセスを行う。最適化プロセスは、アセットごとにニューラルネットワークへの入力として提供されるアセット構成を変えることによって、コスト関数の値を減らすことを目標にする(ここでは、コスト関数の値を減らす/最小化することに言及するが、最適化のいずれかの形式を使用し得る。例えば、実施形態は、同様に、対応する最適化関数の値を増加/最大化することを目指し得ることに留意されたい)。
【0087】
初期構成(最適化検索を起動する前)は、アセットの現在の実際の構成、既定のデフォルト構成、またはランダムに生成された構成(または、組み合わせ、例えば、新たに追加したアセットのデフォルト構成またはランダム構成と一緒にある既存のアセットの現在の構成)を含むものを使用することによって、いずれかの適切な方式で生成できる。好ましい実施形態では、最適化を頻繁に行い、概して、アセット及びグリッド(現在のアセット構成を含む)から最新の情報及び状態から開始する。
【0088】
終了基準を満たすまで、検索を行う。例えば、コスト関数値が(ローカルまたはグローバルの)最小値または要求される閾値に到達するまで、または、値の変化が止まるまで、もしくは最長の反復時間/計算時間に到達するまで、検索を行う。したがって、本明細書に使用される「最適化」の用語は、改善された解の検索を実行することを示すことを意味するが、アルゴリズムによって到達する最終的な解は、いかなる意味において「最適」である必要はない。
【0089】
検索プロセスの最後に適用可能な最終アセット構成は、通常、検索で見られるコスト関数の最低値に対応し、次に、アセットの実際のアセット構成として使用される。ステップ214において、それらの構成はアセット制御器に送信され、アセット制御器は、構成に従って(具体的には、それらの構成によって定義された応答関数に従って)、ローカルグリッド周波数の変動に基づいて、電力潮流変化を実行することによって、それらの構成を記憶及び実施する。
【0090】
好ましい実施形態では、ニューラルネットワークのシミュレーション及びトレーニング(ステップ206~210)は、通常、構成の更新よりも頻繁ではないが、オフラインで実行される。例えば、新しいタイプのアセット(例えば、バッテリーモデル)が追加されるとき、またはアセットに変化が生じるとき(例えば、バッテリーは劣化しているとき、または発電機の容量がアップグレードされているとき)、シミュレーション及びトレーニングは行われ得る。場合によって、アセットモデルは、小さい変化(例えば、予想される劣化)に対処することが可能であるように設計されるため、そのような場合、再トレーニングは必要でない場合がある。シミュレーション及びトレーニングは、必要に応じて及び必要なとき、個々のアセットに対して繰り返され得る。シミュレーション/トレーニングプロセスは、アセットの近くでまたはセントラルサーバーでローカルに発生する可能性がある。
【0091】
構成更新(ステップ212~214)は現在のトレーニングされたニューラルネットワークに基づいて行われ、これは、通常、セントラルサーバーによって実行されるだろう。これらのステップでは、下層のニューラルネットワークモデルを再生成する必要がないため、これらのステップは、より頻繁に繰り返され得る。構成更新は、定期的(例えば、毎日またはより頻繁に)または、いくつかのトリガ(例えば、アセットのプールへの/からの追加/除去)に応答して繰り返され得る。ある例では、構成更新は、例えば、1時間に1回、1時間に複数回、もしくはさらに、数分以上毎に、高い周波数で行われ得る、または準連続的に繰り返され得る。これにより、システムがグリッドの変化を迅速にキャッチすることを可能にし得る(例えば、アセットがその電力レベルをわずかに変化させるとき、これにより、既に、利用可能である電力量を変化させ得るため、完全なアセットプールによって波及効果をもたらし、そのような変化は、アセット構成の頻繁な再最適化によって効率的に対処できる)。
【0092】
図3は、説明されるアプローチを概略的に示す。バッテリー、再生可能エネルギー発電機、工業負荷等の様々なアセットタイプがあるグリッド300を示す。データベースは、アセットのモデルデータを含むデータセット302を記憶する。上記に説明したアセットのシミュレーション及びニューラルネットワークのトレーニングにより、それぞれ各々のアセットまたはアセットタイプに対応するニューラルネットワーク304のセットが生じる。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワーク出力を、組み合わされた出力を示すアセットに需要応答性能と組み合わせるメタネットワーク306に組み合わされるように示される。説明される実施形態では、メタネットワーク306はコスト関数の形式である(しかし、追加ニューラルネットワーク等のニューラルネットワーク出力を組み合わせるために、他のアプローチを使用し得る)。ニューラルネットワーク304への入力はアセットの制御構成であり、ニューラルネットワークは、コスト関数の最適化に使用される様々な性能指標出力を提供する。
【0093】
アセット構成
好ましい実施形態では、アセット構成は1つ以上の応答曲線の形状である。大まかに言えば、応答曲線は、ローカルに測定されたグリッド周波数等のローカル情報の一部(または、ローカルにモデル化されたアセット状態)を、電力出力調節(例えば、電力出力または電力取得の増加または減少)を示す電力差分値に変換されたものである。
【0094】
応答曲線の例は
図4Aに示され、グリッド周波数f(アセットに対してローカルに測定された周波数)の関数として、電力差分値ΔP(グリッドに出入りする電力潮流が増加または減少する量)の曲線を示す。ある実施形態では、正のP値はグリッドへの流れを示し得、負のP値はグリッドからの流れを示し得(または、逆の場合も同様である)、ΔPは、その値に関して表される。代替として、応答曲線は周波数の関数として電力入力/出力レベルの絶対値を表し得る。この例では、曲線は2つの変曲点p1及びp2によって定義され、低周波数範囲(f1よりも小さい)の第1の定常出力差分レベル402、高周波数(f2よりも大きい)における第2の定常出力差分レベル406(この場合、低い出力レベル)、及びp1とp2との間の線形変化領域404を定義する。
【0095】
ある実施形態では、応答曲線は、そのような変曲点(出力が変化する曲線上の点)の数を定義する各々のデータ要素を含むデータ構造として記憶される。例えば、アセットの応答曲線は、アセットの応答関数をパラメータ化する{(49.85Hz、10MW)、(49.9Hz、5MW)、(50Hz、0MW)}等のタプルのセットを示す設定{(f,p)}によって表され得る。
【0096】
単純な実施形態では、各応答曲線はそのような正確な2点によって定義され得、アセット制御器は、それらの点に基づいて、いずれかの周波数値fの値を補間する(例えば、ΔPは、f<f1でp1に規定された値とf≧p2でp2に規定された値とに対して設定され、f1≦f<f2で、f1とf2との値の間で線形に補間される)。しかしながら、好ましい実施形態では、応答曲線のかなり多数の点は、より精密制御を可能にするように規定され得る。さらに、線形補間の代わりに、いずれかの適切な曲線適合アプローチを使用し得る。一例では、各制御構成は、定義された周波数範囲にわたって、(通常、均等に分離される)周波数値の所定のセットのそれぞれに、出力ΔP(またはP)の値のセットから成り得る。
【0097】
応答曲線は、ローカルグリッド周波数以外の変数に関して定義され得る。さらに、複数の応答曲線は、(ローカルに測定されたグリッド周波数に加えて/その代わりに)異なる入力変数に基づいて、アセットについて定義され得る。アセットのアセット応答の合計は、この場合、アセットの適用可能な応答曲線のそれぞれから得られる電力差分の総和に基づいて計算され、最終的なアセット設定点は、アセット応答の合計に基づいて判定される。
【0098】
次に、アセットは、最終設定点に基づいて、設定点によって規定された要求レベルになるように、その電力出力(発電アセットの場合)または電力取得(消費アセットの場合)を増加または減少するように構成される。
【0099】
図4Bは、応答曲線に基づいて、アセットの制御を示す。ここでは、アセット制御器410は、バッテリー等のエネルギーアセット414に関連付けられる(例えば、エネルギーアセット414に組み込まれる、または接続される)。アセット制御器は前述に説明したようなローカル処理デバイスであり、1つ以上の応答曲線のセットを含むアセット構成412を記憶する。単純な例では、グリッド周波数に基づく単一の応答曲線を使用する。アセット構成は中央制御サーバー200から受信され、中央制御サーバー200は前述に説明したアセット構成の分析及び最適化及び生成を行う。
【0100】
アセット制御器は、また、ローカルグリッド周波数測定値をグリッドセンサ416から受信する。アセット制御器は、現在の測定された周波数(場合により、他の入力信号)の応答曲線(複数可)によって規定された電力調節値を計算し、例えば、加算によって結果(複数の応答曲線の場合)を組み合わせる。したがって、アセット制御器は、アセットの最終設定点(電力出力レベルまたは消費レベル)を判定し、設定点(絶対電力値または電力調節値)を規定する制御信号をエネルギーアセット414に送信する。次に、アセットは、規定された設定点に基づいて、その電力出力/消費を調節する。
【0101】
複数の応答曲線の使用により、例えば、以下を可能にし得る。
-周波数を複数の帯域に分割すること(例えば、異なる応答曲線は異なる周波数帯域に定義される)、
-周波数を時間的にフィルタリングされた成分に分割すること、
-バッテリーのSoE(エネルギー状態)に影響する応答曲線を加えることによって、エネルギー管理を実施すること。これらのバッテリーのSoEは、各バッテリーにおいてローカルにモデル化できる(SoEは、通常、バッテリーインテグレータによって推定され、バッテリー管理システムの役割がある)。
【0102】
周波数を成分に分割することで、フィルタバンクを未加工の周波数信号に適用して、その周波数信号をゆっくり変動する成分及び速く変動する成分に分解することを含み得る。ゆっくり変動する成分は、通常、より遅いタイプのアセットに良好に適する一方、速く変動する成分(より短い時間尺度でエネルギー中立的である成分)は、通常、バッテリーに良好に適している。次に、異なる応答曲線は成分ごとに定義できる。
【0103】
周波数センサに加えて、他のタイプのセンサは、追加入力信号(例えば、アセットの電圧、アセットの動作温度、環境温度等)を取得するために、アセット制御器及び/またはアセットに関連付けられ得る/接続され得る。さらに、追加入力信号は、既存のセンサ信号から導出され得る(例えば、時間的にフィルタリングされた周波数信号を、グリッドセンサ416によって測定された基本周波数信号から生成する)。
【0104】
具体例として、アセット構成412は、測定されたグリッド周波数に基づく第1の応答曲線と、測定された周波数の時間的にフィルタリングされたバージョンに基づく第2の応答曲線とを含み得、最終設定点は、両方の応答曲線の出力に基づいて判定される。
【0105】
ニューラルネットワーク
ニューラルネットワークはアセットごとに定義され、出力として性能指標のセットに対するニューラルネットワーク入力として、応答曲線(または、そのような複数の曲線)の形式で制御構成をマッピングする。
【0106】
上記に説明したように、応答曲線は、曲線上の連続点として定義され得る。しかしながら、他の表現を使用し得る。例えば、曲線は、テーラー展開または1つ以上の基底関数(複数可)に関して定義され得る。応答曲線のデータ表現はニューラルネットワークの入力次元のセットを定義する(例えば、入力次元は、定義された周波数増分のセットのそれぞれのPまたはΔPの値のセットであり得る)。複数の応答曲線がある場合、追加曲線(複数可)は、ニューラルネットワークの追加入力次元として提供され得る。ニューラルネットワークの出力次元は、選ばれた性能指標のそれぞれの数値である(これは、単純な場合、単一の性能指標であり得る、またはより複雑な場合、複数の性能指標であり得る)。
【0107】
ニューラルネットワークは各性能指標に対して微分可能である。所与の性能指標に関する(偏)微分係数は、ニューラルネットワークによってエンコードされた関数勾配を示し、偏微分係数を使用して、例えば、指標を増加/減少させるために、出力(性能指標)の所望の変化を実現するために、入力(アセット構成)をどのように変えるべきかを判定できる。これは、勾配降下タイプの検索アルゴリズムに基づいて、以下により詳細に説明される最適化プロセスで利用される。例えば、バッテリーアセットはかなり多くのサイクルが特定の応答曲線で動作するとき要求される場合、応答曲線は、(例えば、バッテリーが需要応答を提供するためにアクティブになる場合、周波数閾値を変えるために)変わり得る。概して、応答曲線に対する変化は、応答曲線の特定部の電力レベルを上げるまたは下げること、変曲点/周波数閾値を移動させること等を含み得る。
【0108】
この例では、各アセットはニューラルネットワークによってモデル化され、場合によって、特定のアセット(例えば、工業用アセット)は、異なる(例えば、単純な)モデルによってモデル化され得、場合により、ニューラルネットワークを使用しないこともある。例えば、場合によって、入力(例えば、グリッド周波数)を出力(例えば、電力差分)にリンクする単純な公式またはルール(特定の閾値周波数を上回る全ての周波数に対して電力応答をゼロにする必要があるというルール等)を使用し得る。さらに、他のタイプの機械学習モデルはニューラルネットワークに交換され得る。
【0109】
図5は、プロセス入力及びプロセス出力に対するニューラルネットワーク及びその関係を示す。具体的には、2つのニューラルネットワーク502及び504を示し、それぞれ、入力特徴(または次元)506及び508の各々のセットに対応する。入力特徴セットは、例えば、電力値(差分値)のセットのように、特定の応答曲線を定義する。各ニューラルネットワークは、重みのセットによって及びニューロン層のいずれかの適切な数ならびに配置を使用して、入力特徴を組み合わせて、出力特徴セット(すなわち、各々、性能指標510及び512)を生成する。それらの性能指標は、合計コスト値516を出力として生成するコスト関数514に入力される。
【0110】
実施形態は、(例えば、予測される性能指標に応じて)ニューラルネットワークの複数の設計を使用し得る。例として、ニューラルネットワークは、通常、以下の特徴がある。
-1~10個の隠れ層がある、
-全ての層は完全に接続される、
-1つ以上の畳み込み層を含み得る、
-通常、10~100個の入力次元がある、
-通常、1~100個の出力次元がある、
-softmax、leaky reLU、及びシグモイドを含む活性化関数を使用する。
【0111】
具体例として、ニューラルネットワークは、周波数信号フィルタを学習するために使用される畳み込み層を含み得る。
【0112】
しかしながら、いずれかの適切なニューラルネットワーク設計が使用され得、所与のアプリケーションコンテクストの特定のニーズに適応し得る。
【0113】
図5では、ニューラルネットワークごとに8個の入力特徴及び3個の出力特徴を有する2つのニューラルネットワークが示されるが、これらの要素の数は、純粋に例示的理由のために選ばれることに留意されたい。実際には、正確な構成は、プールされたアセットの数、個々のアセットの必要な制御自由度、要求される性能測定精度及び計算制限等のファクターの範囲に基づいて選ばれ得る。
【0114】
最適化
最適化プロセスは、コスト関数の値を最小にすることを目標にする検索を含む。最適化の結果は、(利用可能である計算時間及び他の終了基準等のいずれかの適用可能な検索制約の範囲内で)検索によって見つけられた最小コスト値をもたらすアセット構成のセットである。
【0115】
図2Bの制御方法に関して説明されるように、このアプローチでは、全体的需要応答サービスを実現するためにアセットが一緒に動作する前提で、アセットの制御構成を計算する。したがって、コスト関数は、(例えば、技術的な性能要求、コスト等に関して)全体目標に対する個々のアセットの性能のバランスをとる全体的性能メトリックを提供するように設計される。
【0116】
コスト関数は、需要応答サービスの必要な制約を表すコスト項を使用して、効率的に微分可能であり、最適化目標の勾配を効率的に計算することを可能にする。説明のための例として、サイクル数がいくつかの閾値を下回る必要がある場合、対応するコスト項は、閾値を超えるサイクル数を乗じた価格値であり得、場合により、端においていくらかスムージングになる(本明細書でバッテリーサイクルを参照するとき、通常、放電サイクルは、銘板容量で除算されるバッテリーから抽出されたエネルギーとして見なされる(例えば、判定される)が、充電サイクル及び/または放電サイクルは、いずれかの適切な方式で測定され得ることに留意されたい)。このアプローチにより、拡張可能な最適化をもたらし、アセットの大きいプールについて制御構成を効率的に計算することを可能にする。
【0117】
【0118】
示されるように、合計コスト602は、いくつかのコスト項604の関数(例えば、加重和またはより複雑な関数)である。コスト項(性能指標に基づく)は、それ自体が、アセット構成606のセットから、トレーニングされたニューラルネットワークによって計算される。随意に、パラメータ化608を使用して、アセット構成を規定し得る。
【0119】
最適化問題のこれらの構成要素は、以下のセクションでさらに説明される。
【0120】
コスト項
コスト項は、各々のアセットのニューラルネットワークによって生成された性能指標に基づく。コスト項は単に性能指標に対応し得る、または、コスト項はいずれかの適切な処理ステップを使用して性能指標から計算され得る。異なる性能指標は、サイクル数、応答速度、環境影響、財務コスト等の異なる座標系(例えば、異なる単位の測定値)に表され得る。1つのアプローチでは、例えば、環境影響メトリックもしくは財務コストまたは他の共通メトリックを、各性能指標出力に割り当てることによって、全ての性能指標は共通の基準座標系に変換される。
【0121】
財務コストは単にメトリックの一実施例にすぎなく、本明細書に使用される場合、「コスト」という用語は財務コストに限定されなく、むしろ、コスト項及び関数は、いずれかの適切な座標系で構成の効果を測定できることに留意されたい。いくつかの実施形態では、コストは、CO2及び/またはNOxの生成/排出量(及び/または他の環境有害物質の生成)に関して表され、アセット構成の環境影響に対して最適化を行うことを可能にする。コストメトリックは、また、複数の測定基準を組み合わせ得る(例えば、環境的尺度及び金銭的尺度を組み合わせる)。
【0122】
本システムは2つのタイプ(アセット固有コスト及びポートフォリオワイドコスト)のコスト項を使用する。ポートフォリオワイドコストはサービスの配信品質を表す。アセット固有コストは、特定の方法で制御されている異なるアセットの制約及びコストを表す。
【0123】
コスト項は、グリッド周波数の挙動の複雑な依存状態を有し得る。ニューラルネットワークベースアプローチは、その依存状態をキャプチャすることを可能にする。精度について、ニューラルネットワークのトレーニングにおいて、大量のデータ(例えば、数年間の周波数データ)を使用することが好ましくあり得る。次に、ニューラルネットワークは、効率的に微分できる依存状態の近似値を提供する。
【0124】
所与のコスト項は単一のアセットに関連し得るが、また、いくつかのアセット固有コスト項は他のアセットの構成に依存し得る。これは、アセットが別のアセットの状態(例えば、他のアセットのSoE)に応答する場合に発生する可能性がある。その場合、他のアセットのSoEは、そのアセットのアセット構成に影響される。したがって、第1のアセットを制御するコストを判断するために、コスト項は他のアセットの制御構成を考慮する必要があり得る。解のロバスト性を改善するために、アセット間の依存関係は、依存しているアセットによって、依存アセットの状態のモデルを評価することによって実現される。
【0125】
アセット構成
アセット構成は、ローカル周波数測定値を電力出力設定点に変換することが要求される情報を含む。好ましい実施形態では、アセット構成は、前述に説明したアセットの周波数制御応答を定義する1つ以上の応答曲線のセットを含む。しかしながら、アセット構成は、グリッド周波数以外の入力及び/または他のタイプのアセットの制御情報ならびに構成情報に基づいて、応答曲線を含み得る。
【0126】
アセット構成パラメータ化
いくつかの実施形態では、(場合により、簡略化された)パラメータ化された方法でアセット構成を規定することを可能にする。パラメータ化は、異なるアセット/アセットタイプにより異なり得る。したがって、アセット構成606のフォーマットが全てのアセットで同じであるが、本システムは、異なるアセットのこの構成の異なるパラメータ化を可能にする。これにより、システムが、一定の厳しい制約を利用し、ひいては、最適化問題の複雑性を減らすことを可能にする。
【0127】
そのような最適化の単純例は、1つの方向だけに応答できるリソース(例えば、消費だけを増加する)に発生する。これらのタイプのアセットについて、ある応答曲線(例えば、消費減少を規定する応答曲線)は意味をなさないことがある。そのような場合、本システムは、実現可能である応答曲線だけを生成することを可能にする単純パラメータ化を使用する。さらなる例として、オンのときに所定の固定電力出力レベル及びオフのときにゼロの出力のようにオン/オフ状態だけをもたらすバイナリアセットは、切り替えが発生する単一の周波数値によってパラメータ化でき、最適化中にそのアセットの検索空間を減らす。パラメータ化608は、応答曲線の形状で下層のアセット構成606にマッピングするが、可能である構成(可能である応答曲線)の範囲を制限するため、最適化中に検索空間を減らす。
【0128】
パラメータ化は特定のアセットだけに使用され得る、または完全に省略され得る。
【0129】
コスト関数
コスト項604(例えば、ニューラルネットワークによって生成された性能指標値)は、合計コスト602を生成する最終的なコスト関数によって組み合わされる。コスト関数は、単に、個々のコスト項を合計し得る、または、個々のコスト項に基づいて加重和またはいくつかの他の関数を計算する。
【0130】
したがって、コスト関数は、各ニューラルネットワークによって生成された性能指標について定義され、ひいては、間接的に、それらのニューラルネットワークへの入力として提供されるアセット構成についても定義される。コスト関数は、
図3に示されるようなメタネットワークで一緒にニューラルネットワークを効果的に「配線」する。
【0131】
通常、これは、応答曲線の総和が線形になり、所望の需要応答サービスと整合する傾きがあることが望ましくあり得る。コスト関数を使用して、それらの要求がいかに良好に満足するかの測定を提供できる。
【0132】
したがって、基準レベルにおけるコスト関数への入力は、ニューラルネットワークへの入力、具体的には、アセット構成(例えば、応答曲線、しかしながら、これは、定義またはパラメータ化される)であり、出力は、アセット構成からニューラルネットワークによって生成された性能指標によって計算されるコスト値である。純粋に、例として、各アセット構成が20個のデータ点(曲線上の点)によって規定された応答曲線によって定義され、最適化が5個のアセットのプールに対して行われる場合、最適化問題は、20×5=100の入力変数または次元について定義され、(他の箇所に説明されるように、特定のアセットは、ニューラルネットワークの代わりに異なる/単純モデルによって表され得、及び/または特定のアセットの応答曲線は、簡略化されたパラメータ化によって表され得ることに留意されたい)。
【0133】
コスト関数は、勾配降下タイプアルゴリズムを使用して最適化される。勾配降下は、個々のコスト項604を繰り返して変えることを含み、次に、コスト項を生成するアセット構成606を変えることを含む。
【0134】
例えば、所与のアセットの電力出力がかなり高いため、全コスト602はかなり高いと見され得、必要な線形応答との相違をもたらす。最適化は、低出力レベルのアセットの新しい構成を識別して、合計コストを減らし得る、または、代替として、別のアセットの構成に対する変更を識別して、元のアセットの過度出力を補償し得る。これらの調節により、コスト関数の値を減らすため、より好ましい構成解をもたらす。
【0135】
有利には、説明されるアプローチは、プールにおけるアセット数で線形にスケーリングされ得る。
【0136】
典型的な実施態様では、セントラルサーバーまたはサーバークラスターによって最適化検索を行うが、代替として、最適化検索は分散方式でも分解及び計算され得る。
【0137】
アセット構成の制約
需要応答配信を確実にすることに加えて、異なるアセットに命令するために使用される設定点は、好ましくは、(必要な場合)アセット固有の制約を同様に満足するはずである。本発明の実施形態は、様々なアセット制約を考慮することを可能にし、任意の設定点信号に従うことが不可能であるアセットの組み込みを可能にする。
【0138】
直面する典型的な制約は、電力、エネルギー、エネルギースループット(定義された期間にわたる)、アクティブになる期間、アクティブ化の数(定義された期間にわたる)等に関する閾値を超えないことを含む。
【0139】
アセット制約は、例えば、アセット構成に基づいて、所与の制約されたパラメータの値を推定するニューラルネットワーク(または、他のマッピング関数、単なる単純なルックアップテーブル)を提供することによって組み込みできる。次に、ペナルティコスト項は、制約閾値を下回る制約値についてゼロ(または、別の低値)であり、閾値を上回る値に(通常、強く)上昇するコスト関数に追加される。ペナルティコスト項は、制約されない最適化問題の解が制約に違反する場合、繰り返して増加する可能性がある重み(例えば、ラグランジュ乗数)で加重され得る。
【0140】
最適化プロセスの例示的な実施態様
好ましい実施形態は、勾配降下タイプのアルゴリズムの変動に基づく。各反復において、現在点(プロセスの開始点において最初にランダム化された点)におけるコスト関数の勾配を判定し、次に、勾配方向の現在点を移動させることによって、勾配降下アルゴリズムが動作する。現在点は、入力変数(すなわち、最適化を行うアセットのアセット構成を定義するニューラルネットワーク入力)のベクトルによって定義され、同様に、勾配は、それらの入力変数について定義された勾配ベクトルである。
【0141】
例示的な実施態様は
図6Bに示される。最初に、ステップ610において、コスト関数を取得する。コスト関数は、例えば、いずれかの適切なデータ表現を使用して定義された(ニューラルネットワークによって判定された性能指標に基づいて)コスト項の総和(または加重和)であり得る。コスト関数は、固定され/事前に定義され得る、またはユーザ入力によって構成され得る。
【0142】
また、ステップ612において、制約のセットは取得される(再度、これらは、ユーザ入力によって、事前に定義または取得できる)。制約は、最適化に適用される必要があるいずれかの追加制約(例えば、バッテリーアセットの最大数の放電サイクル等のアセット固有制約)を定義する。ステップ614において、制約をコスト関数と組み合わせて、拡張コスト関数のデータ表現を生成する。制約に基づいて、コスト関数の追加ペナルティ項を定義するために、制約を使用する(例えば、上記の例では、ペナルティ項は、最大値まで任意の数の放電サイクルでゼロの値を生じさせ得、そうでなければ、サイクル数がその最大値を上回るにつれて、急速に増加するゼロ以外のペナルティ値を生じさせる)。各ペナルティ項はいくつかの所定値に初期化された重みに関連付けられる。
【0143】
ステップ616において、ランダム開始点は現在点として選択される。これは、最適化空間(すなわち、アセットを表すニューラルネットワークのそれぞれに入力変数によって定義された空間)でランダムに選ばれた点である。応答曲線を定義する20個の入力変数でニューラルネットワークによってそれぞれ表された5個のアセットのプールの上記に与えられた具体例では、最適化空間は100次元を有し、ひいては、開始点は、その空間のランダムに選ばれた100次元ベクトルの点である。ランダム選択の代わりに、いくつかの別の初期化アプローチを使用し得ることに留意されたい(例えば、そのアプローチは、現在構成されている構成またはデフォルトアセット構成に対応する開始点を起点とする)。
【0144】
ステップ618において、コスト関数は現在点で評価される。これは、以下のサブステップを含む。
-現在点で拡張コスト関数の値を判定すること(ステップ620)、
-拡張コスト関数の勾配を評価すること(ステップ622)。
-随意に、拡張コスト関数の1つ以上の高次の勾配を評価し得る(ステップ624)。
【0145】
ステップ626において、プロセスは、最適化が収束するかどうかを判定する。そうでない場合、ステップ628において、評価する予定の次の点は、現在点に基づいて、ステップ618~624の間に判定された情報(すなわち、拡張コスト関数の値、勾配、及び高次勾配(複数可))を使用して選択される。次に、プロセスは、現在点として選択された次の点に基づいて評価ステップ618に戻る。
【0146】
上記に示したように、拡張コスト関数の勾配は、最適化問題の次元について定義された勾配ベクトルである。各次元は入力変数(アセット構成の一部)を表し、勾配ベクトル表現の対応する構成要素は、入力変数全てのコスト項の合計の改善が変化するはずである方向を表す。勾配降下は、計算された勾配ベクトルを使用して、コスト関数の最小値を検索する。
【0147】
次の点の選択(ステップ628)は、以下の1つ以上に基づき得る。
-(拡張)コスト関数の値(随意に、この反復及び過去の反復の両方)、
-(拡張)コスト関数の勾配の値(随意に、この反復及び過去の反復の両方)、
-(拡張)コスト関数の高次勾配の値(随意に、この反復及び過去の反復の両方)。
【0148】
例として、次の点は、以下のように選択できる。
-標準的勾配降下アプローチを使用して、
次の点=現在点+勾配*ステップサイズを計算する、
-アダムオプティマイザに基づいて、アプローチを使用して、例えば、
次の点=現在点+勾配*正規化されたステップサイズ+慣性項を計算する、
-解くことができる二次関数としてコスト関数を局所的に近似化するレーベンバーグ・マルカートオプティマイザに基づいてアプローチを使用する。次に、この解を次の点として使用する。
【0149】
プロセスが収束するまで、上記のループを繰り返す(ステップ626)。例えば、閾値を下回るコスト値、または後続の反復にわたる閾値量を下回って変化しないもしくは変化するコスト値(グローバル最小値またはローカル最小値に到達するコスト値を示すように解釈され得る)に基づいて、勾配(及び/または高次勾配(複数可))に基づいて、到達する最大反復カウントまたは計算時間等に基づいて、収束はいずれかの適切な方式で判定され得る。より一般的には、いずれか以下の情報を使用して、収束を決定し得る複数の収束基準を使用し得る。
-最適化時間、
-反復数、
-検索空間サイズ、
-(拡張)コスト関数の値(随意に、この反復及び過去の反復の両方)、
-(拡張)コスト関数の勾配の値(随意に、この反復及び過去の反復の両方)、
-(拡張)コスト関数の高次勾配の値(随意に、この反復及び過去の反復の両方)。
【0150】
概して、収束はコスト関数の最小値を識別することを目指すが、他の基準は、最適化を(例えば、時間内に/リソースに)制限することを可能にし、適切な時間でプロセス完了を確実にし得る。
【0151】
収束後、次に、プロセスは、識別された解がコスト関数に適用される制約に関して実現可能であるかどうかを確認する(ステップ630)。ある実施形態では、制約ごとにペナルティ項の閾値により、所与の制約を満たすかどうかを定義する。ペナルティ項のいずれかが適用可能な閾値を下回る場合、解はその制約に関して実現可能であると見なされる。閾値が全てのペナルティ項/制約について満たす場合、解は実現可能であり、そうでなければ、解は、1つ以上の制約を違反するため実現不可能であると見なされる。
【0152】
解が実現不可能である場合、1つ以上のペナルティコスト項の重みが増加する(ステップ632)。具体的には、プロセスでは、識別された解が違反するいずれかのペナルティ項の重みが増加する。これにより、合計コスト値へのその制約の寄与が増加し、ひいては、今後発生する反復でその制約を満たすために最適化にバイアスをかける。ステップ614において、拡張コスト関数は、調節された重みに基づいて修正される。次に、ステップ630において、実現可能であるとして解を識別するまで、最適化を繰り返す。
【0153】
次に、ステップ634において、プロセスは識別された解を出力する。
【0154】
解は、ニューラルネットワークへの入力変数によって定義された最適化空間内の点であり、入力変数は、次に、最適化が行われているプールのアセットごとに、アセット構成を定義する。したがって、最適化によって判定された解は、応答曲線の形状で、プールのアセットごとにアセット構成を生じさせる。これらの構成は、状況に応じて、アセットに伝送して、アセットを構成する。いったん構成されると、アセットは、前述に説明したようなその構成された応答曲線に従って、周波数応答サービス(または、他の需要応答)を実施する。しかしながら、必要に応じて、いくつかの前処理は最適化出力で行われ、例えば、最適化解によって定義された応答曲線を各アセットによって使用可能な表現に変換し得る。
【0155】
したがって、上記のアプローチでは、(内側ループで)制約されない最適化問題として最適化問題を処理するが、ペナルティ項によって表される制約があることに留意されたい。次に、制約は外側ループで明確に確認され、必要に応じて、最適化を繰り返す。
【0156】
いくつかの実施形態では、上記の最適化を並行して複数回行い、各最適化は、ステップ616~628に関して、わずかに異なる構成を使用する。例えば、各最適化プロセスは、異なるランダム開始点から始まり、及び/または異なる最適化アプローチを使用し得る。以下のオプティマイザのうちの1つ以上を並行して使用し得る。
-従来の勾配降下法、
-アダムオプティマイザ、
-レーベンバーグ-マルカートアルゴリズム
-ブロイデン-フレッチャー-ゴールドファーブ-シャノンアルゴリズム。
【0157】
実際のアセットの最新の既知の状態に対して、これらのパラレルオプティマイザの全ての提案された解(ステップ634で出力された解)を比較して、ベンチマークに従って評価する。この情報に基づいて、次に、最も好都合なアセット構成を選択する。
【0158】
上記に概説したアルゴリズムの代わりにまたはそれに加えて、勾配降下を行ういくつかのバイナリ変数及びいくつかの連続変数を含み得る他の最適化アプローチ(例えば、分岐アルゴリズム及び限界アルゴリズム)を使用し得る。
【0159】
他のアセットからの状態の組み込み
グリッド周波数に加えて、アセット制御への追加入力(複数可)として、1つ以上の他のアセットの状態を使用し得る。アセット状態は中央制御システムを介してアセット間で直接通信し得る、または、モデル共有アプローチは、
図1Cに関して説明されるものとして使用され得る。
【0160】
他のアセットの状態を組み込む典型的な例では、所与の非バッテリーアセットは、別のバッテリーアセットの充電状態を追加入力として使用して、バッテリー充電状態に基づいて、それ自体の需要応答を変え得る。例えば、バッテリーアセットのペアの充電レベルが低いとき、アセットはそれ自体のエネルギー出力を増加させ得る。
【0161】
追加応答曲線(複数可)は、他のアセットの状態の依存関係におけるアセット応答を規定するアセット構成の一部として定義され得る。次に、最終制御決定(すなわち、最終設定点)は、前述に説明した全ての適用可能な応答曲線によって規定された電力調節値を組み合わせる(例えば、合計する)ことによって、アセット制御器により行われる。
【0162】
制御デバイス
図7は、例示的な実施形態では、説明されるシステムのコンポーネントのハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャを示す。セントラルサーバー200は、説明される最適化プロセスを行い、アセット構成を計算するための中央制御システムとして働くように提供される。サーバーは、一時的データ及び実行されるソフトウェアコードを保存するための揮発性/ランダムアクセスメモリ704と一緒に、1つ以上のプロセッサ702を含む。
【0163】
ネットワークインターフェース706(例えば、有線または無線インターフェース)は、1つ以上の通信ネットワーク712(例えば、ローカルネットワークまたはインターネットを含むワイドエリアネットワーク)を通じてエネルギーアセットを含む他のシステムコンポーネントとの通信を提供する。
【0164】
永続ストレージ708(例えば、ハードディスクストレージ、光学ストレージ等の形態)は、アセットの学習ニューラルネットワークモデルに基づいて、アセットのローカル応答関数を計算するために、最適化プロセス710を含む、説明される機能を行うためにソフトウェアを永続的に記憶する。シミュレーション及びトレーニングプロセス711は、アセットをシミュレートしてトレーニングサンプルを生成し、トレーニングサンプルを使用して、アセットのニューラルネットワークをトレーニングするために説明される技術を実施する。また、永続ストレージは、サーバーオペレーティングシステム等の他のサーバーソフトウェア及びデータ(図示しない)を含む。
【0165】
サーバーは、当業者に既知の他の従来のハードウェア及びソフトウェアコンポーネントを含み、コンポーネントはデータバスによって相互接続される(これは、実際には、メモリバス及びI/Oバス等のいくつかの個々のバスから成り得る)。
【0166】
アセット制御器410は、エネルギーアセット414(例えば、バッテリーもしくは他のエネルギー供給アセット、または工業負荷もしくは他のエネルギー消費アセット)を制御するためのコンピューティングデバイスの形態で提供される。アセット制御器410は、ネットワークインターフェース720(例えば、有線または無線インターフェース)を使用して、通信ネットワーク712に接続され、セントラルサーバーと通信することを可能にする。アセット制御器は、また、アセットに対してローカルにグリッド周波数(場合により、他のグリッド動作特性及び/またはアセット動作特性(例えば、バッテリー充電レベル))を検出するための1つ以上のグリッドセンサ416に接続される。
【0167】
サーバーは、一時的データ及び実行されるソフトウェアコードを保存するための揮発性/ランダムアクセスメモリ718と一緒に、1つ以上のプロセッサ716を含む(例えば、関連RAMを有するARM Cortex CPU等の内蔵マイクロプロセッサを使用し得る)。
【0168】
永続ストレージ722(例えば、ハードディスクストレージ、光学ストレージ、固体ストレージ、またはフラッシュメモリ等の形態)は、アセット制御器の説明された機能を行うためにソフトウェア及びデータを永続的に記憶し、アセット構成412(1つ以上の応答曲線を含む)と、記憶されたアセット構成に基づいて、需要応答/周波数制御応答を実施するデバイスエージェント724とを含む。アセット制御器は、当業者に既知の他の従来のハードウェア/ソフトウェアエレメントを含み得る。
【0169】
通常、本システムは、通信ネットワーク712を介して相互に及び/またはセントラルサーバー200と接続され通信可能である、グリッドの様々なアセットに関連付けられるそのような複数のアセット制御器410を含む。アセットプールで管理された各アセットは、各々のアセット制御器に関連付けられ得る。場合によって、単一のアセット制御器は複数のアセットを働かせ得る。中央制御器がないシステムでは、セントラルサーバー200は省略され得、プロセス710及び711は、例えば、1つ以上のアセット制御器によって分散方式で行われる。
【0170】
特定のアーキテクチャは例として示されるが、いずれかの適切なハードウェア/ソフトウェアアーキテクチャを使用し得る。
【0171】
さらに、分離しているように示される機能コンポーネントは組み合わされ得、逆の場合も同様である。例えば、サーバー200の機能は、実際に、複数の別個のサーバーデバイスによって実施され得る(例えば、最適化プロセス710及びシミュレーション/トレーニングプロセス711は異なるサーバーで実行し得る、または異なるサーバーは異なるアセットプールまたはグリッド領域を管理し得る)。別の例では、セントラルサーバーの機能は、選択されたアセット制御器に統合され得る。
【0172】
本発明は純粋に例として上記に説明したことと、本発明の範囲内で詳細を修正できることとが理解される。