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  • 特許-減速機ボックス構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-15
(45)【発行日】2025-07-24
(54)【発明の名称】減速機ボックス構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/02 20120101AFI20250716BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20250716BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20250716BHJP
【FI】
F16H57/02
F16F7/00 A
F16F15/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022542259
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2020106233
(87)【国際公開番号】W WO2021139142
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】202010035911.3
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522274064
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ (ホーツォー) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jing-Jin Electric Technologies (Heze) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room A206, Building 7, No. 2868 Fuzhou Road, Development Zone of Heze, Shandong China
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 ピン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、 シャ
(72)【発明者】
【氏名】ジン、 レナ
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ジャンウェン
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】山田 由希子
【審判官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-45353(JP,U)
【文献】特開平03-121345号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/00-57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機ボックス構造であって、フロントボックスと、リアボックスと、接続コラムとを含み、
前記フロントボックスと前記リアボックスとが密閉接続されており、その内部には、減速機を収容する空洞構造が形成されており、
前記接続コラムは、前記空洞構造内に設けられ、かつ、前記フロントボックスと前記リアボックスとの間に取り外し可能に接続されており、前記接続コラムと前記フロントボックス及び前記リアボックスとの接続方式は、ボルトによる接続であり、前記接続コラムは、前記減速機ボックス構造の接続強度を向上させ、ボックスの振動を低減し、減速機のNVH性能を改善するために用いられ、
前記接続コラムの両端は、一つ又は複数のボルトを介して前記フロントボックス及び前記リアボックスにそれぞれ接続固定されている減速機ボックス構造であって、
前記接続コラムの両端のうち一端が複数のボルトを介して前記フロントボックス及び前記リアボックスの何れか一方に接続固定され、他端が一つ又は複数のボルトを介して前記フロントボックス及び前記リアボックスの他方に接続固定される、ことを特徴とする減速機ボックス構造。
【請求項2】
前記接続コラムの材質は、合金材質である、ことを特徴とする請求項1に記載の減速機ボックス構造。
【請求項3】
前記合金材質は、合金鋼、合金アルミニウム、合金銅の何れか1種である、ことを特徴とする請求項に記載の減速機ボックス構造。
【請求項4】
前記接続コラムは、一つ又は複数設置可能である、ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の減速機ボックス構造。
【請求項5】
前記接続コラムは、階段状をなしている、ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の減速機ボックス構造。
【請求項6】
前記ボルトは、前記フロントボックス又は前記リアボックスの外部から、前記フロントボックス又は前記リアボックス、及び前記接続コラムに挿入されている、ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の減速機ボックス構造。
【請求項7】
前記フロントボックス及び前記リアボックスには、密閉接続箇所に、前記フロントボックス又は前記リアボックスに垂直するフランジが設けられており、前記フランジがボルト及びナットによって接続固定されている、ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の減速機ボックス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機製造の技術分野に関し、具体的に、減速機ボックス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の減速機ボックス(筐体)は軽量化の方向に向かっている。軽量化に伴って、減速機ボックスの接続強度が弱く、振動振幅が大きくなってしまうという問題が発生し、作動時に減速機ボックスの振動振幅が大きくなり、減速機自身や動力アセンブリのNVH(Noise、Vibration、Harshness;騒音、振動及びハーシュネス)に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記問題を解決するか、又は少なくとも部分的に解決するために、減速機ボックス構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0005】
本発明は、減速機ボックス構造であって、フロントボックスと、リアボックスと、接続コラムとを含み、
前記フロントボックスと前記リアボックスとが密閉接続されており、その内部には、減速機を収容する空洞構造が形成されており、
前記接続コラムは、前記空洞構造内に設けられ、かつ、前記フロントボックスと前記リアボックスとの間に取り外し可能又は部分的に取り外し可能に接続されており、前記接続コラムと前記フロントボックス及び前記リアボックスとの接続方式は、ボルトによる接続、又は、一体鋳造成形であり、前記接続コラムは、前記減速機ボックス構造の接続強度を向上させ、ボックスの振動を低減し、減速機のNVH性能を改善するために用いられる、減速機ボックス構造を提供している。
【0006】
選択的に、前記接続コラムの両端は、一つ又は複数のボルトを介して前記フロントボックス及び前記リアボックスにそれぞれ接続固定されている。
【0007】
選択的に、前記接続コラムは、前記フロントボックス及び前記リアボックスの何れか一方と一体的に鋳造成形され、他方と一つ又は複数のボルトを介して接続固定されている。
【0008】
選択的に、前記接続コラムは、それぞれ前記フロントボックス及び前記リアボックスと一体的に鋳造成形された少なくとも2つのセクションを有し、各セクションの前記接続コラムが一つ又は複数のボルトを介して接続固定されている。
【0009】
選択的に、前記接続コラムの材質は、合金材質である。
【0010】
選択的に、前記合金材質は、合金鋼、合金アルミニウム、合金銅の何れか1種である。
【0011】
選択的に、前記接続コラムは、一つ又は複数設置可能である。
【0012】
選択的に、前記接続コラムは、階段状をなしている。
【0013】
選択的に、前記ボルトは、前記フロントボックス又は前記リアボックスの外部から、前記フロントボックス又は前記リアボックス、及び前記接続コラムに挿入されている。
【0014】
選択的に、前記フロントボックス及び前記リアボックスには、密閉接続箇所に、前記フロントボックス又は前記リアボックスに垂直するフランジが設けられており、前記フランジがボルト及びナットによって接続固定されている。
【発明の効果】
【0015】
上記減速機ボックス構造を用いると、以下の利点を有する。
【0016】
本発明による減速機ボックス構造は、フロントボックスとリアボックスとの間に接続コラムを設けることで、減速機ボックスの接続強度を強化し、減速機ボックスの振動を効果的に低減し、作動過程における減速機のフロントボックス及びリアボックスの変形を低減し、減速機自身や動力アセンブリのNVHを改善しており、それに、当該減速機ボックス構造は、取付操作が簡単であり、占有スペースが小さい。
【0017】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、それらを明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記および他の目的、特徴および利点をより容易に理解するために、以下特に、本発明の具体的な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0019】
図1図1は、本発明の一実施例における減速機ボックス構造の構造模式図を示している。
図2図2は、本発明の一実施例における減速機ボックス構造の構造模式図を示している。
図3図3は、本発明の一実施例における減速機ボックス構造の構造模式図を示している。
図4図4は、本発明の一実施例における減速機ボックス構造の構造模式図を示している。
図5図5は、本発明の一実施例における減速機ボックス構造の構造模式図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現されてもよく、ここに記載の実施例によって限定されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供される。
【0021】
本発明の一実施例では、減速機ボックス構造が提出されており、当該減速機ボックス構造は、フロントボックス2と、リアボックス1と、接続コラム3とを含み、
フロントボックス2とリアボックス1とが密閉接続されており、その内部には、減速機を収容する空洞構造が形成されており、フロントボックス2とリアボックス1との接続は、フロントボックス2及びリアボックス1の外側のネジ穴を介して実現される。
【0022】
図1から図5に示すように、接続コラム3は、空洞構造内に設けられ、かつ、フロントボックス2とリアボックス1との間に取り外し可能又は部分的に取り外し可能に接続されており、接続コラム3とフロントボックス2及びリアボックス1との接続方式は、ボルト4による接続、又は、一体鋳造成形であり、接続コラム3は、減速機ボックス構造の接続強度を向上させ、ボックスの振動を低減し、減速機のNVH(Noise、Vibration、Harshness;騒音、振動及びハーシュネス)性能を改善するために用いられる。
【0023】
接続コラム3の形状は、円柱体、長方体、その他の立方体であってよく、空洞構造内における接続コラム3の設置位置は、減速機の構造に応じて設定可能である。接続コラム3は、減速機のフロントボックス2とリアボックス1との接続強度を高め、作動過程における減速機のフロントボックス2及びリアボックス1の変形をある程度低減し、減速機のNVH性能を改善することができる。それに、当該減速機ボックス構造は、取付操作が簡単であり、占有スペースが小さい。
【0024】
一実施例において、図1及び図2に示すように、接続コラム3の両端は、一つ又は複数のボルト4を介してフロントボックス2及びリアボックス1にそれぞれ接続固定されている。複数のボルト4を介して接続コラム3とフロントボックス2又はリアボックス1とを接続固定すれば、接続コラム3とフロントボックス2又はリアボックス1との接触面積が大きく、複数のボルト4による固定が容易である。
【0025】
一実施例において、図3及び図4に示すように、接続コラム3は、フロントボックス2及びリアボックス1の何れか一方と一体的に鋳造成形され、他方と一つ又は複数のボルト4を介して接続固定されている。
【0026】
一実施例において、図5に示すように、接続コラム3は、それぞれフロントボックス2及びリアボックス1と一体的に鋳造成形された少なくとも2つのセクションを有し、各セクションの接続コラム3が一つ又は複数のボルト4を介して接続固定されている。接続コラム3が2つのセクションである場合、当該2つのセクションは、それぞれフロントボックス2及びリアボックス1と一体的に鋳造成形されてから、ボルト4を介して2つのセクションの接続コラム3に接続固定される。
【0027】
一実施例において、接続コラム3の材質は、合金材質である。接続コラム3と変速機ボックスとが一体的に鋳造成形される場合、接続コラム3の材質は、変速機ボックスの材質と一致し、接続コラム3と変速機ボックスとがボルト4を介して接続される場合、接続コラム3の材質は、変速機ボックスの材質と一致してもよく、他の材質の合金であってもよい。
【0028】
一実施例において、合金材質は、合金鋼、合金アルミニウム、合金銅の何れか1種であり、もちろん、経済性、接続強度、及び振動低減などの要素を考慮すると、合金鋼材質を用いることが好ましい。
【0029】
一実施例において、接続コラム3は、いくつか設けられていてもよく、空洞構造内の適切な位置に複数の接続コラム3を設けることで、ボックス構造の強度及び制振性能がさらに強化されている。
【0030】
一実施例において、接続コラム3は、階段状をなしている。これにより、複数のボルトを接続し易くなるとともに、フロントボックス及びリアボックスとの接触面積が増加する。
【0031】
一実施例において、図1図4を参照して、ボルト4は、フロントボックス2又はリアボックス1の外部から、フロントボックス又はリアボックス、及び接続コラム3に挿入されており、好ましくは、ボルト4には、減速機の作動中におけるボルトの脱落を防止するための脱落防止構造がさらに設けられている。
【0032】
一実施例において、フロントボックス2及びリアボックス1には、密閉接続箇所に、フロントボックス又はリアボックスに垂直するフランジが設けられており、フランジは、ボルト及びナットによって接続固定されており、フランジは、ボックス構造の一周に亘って、前記ボックス構造の任意の長さの位置に設置可能である。これにより、密閉及び固定接続が容易である。
【0033】
要約すると、本発明では、減速機ボックス構造が提出されており、当該減速機ボックス構造は、フロントボックスと、リアボックスと、接続コラムとを含み、フロントボックスとリアボックスとが密閉接続されており、その内部には、減速機を収容する空洞構造が形成されており、接続コラムは、空洞構造内に設けられ、かつ、フロントボックスとリアボックスとの間に取り外し可能又は部分的に取り外し可能に接続されており、接続コラムとフロントボックス及びリアボックスとの接続方式は、ボルトによる接続、又は、一体鋳造成形であり、接続コラムは、減速機ボックス構造の接続強度を向上させ、ボックスの振動を低減し、減速機のNVH性能を改善するために用いられる。本発明による減速機ボックス構造は、フロントボックスとリアボックスとの間に接続コラムを設けることで、減速機ボックスの接続強度を強化し、減速機ボックスの振動を効果的に低減し、作動過程における減速機のフロントボックス及びリアボックスの変形をある程度低減し、減速機単体又は動力アセンブリのNVHを改善しており、それに、当該減速機ボックス構造は、取付操作が簡単であり、占有スペースが小さい。
【0034】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記具体的な記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
1…リアボックス、2…フロントボックス、3…接続コラム、4…ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5