(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-16
(45)【発行日】2025-07-25
(54)【発明の名称】往復動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 53/18 20060101AFI20250717BHJP
F04B 53/14 20060101ALI20250717BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20250717BHJP
【FI】
F04B53/18
F04B53/14 A
F04B53/16 B
(21)【出願番号】P 2021104067
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2023-12-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】山中 善尊
(72)【発明者】
【氏名】柴田 達夫
【審査官】岩田 啓
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-124277(JP,U)
【文献】実開平05-061410(JP,U)
【文献】登録実用新案第3094518(JP,U)
【文献】特開2020-193584(JP,A)
【文献】実開昭58-129124(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/18
F04B 53/14
F04B 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動ポンプであって、
第1シリンダ(11)を含む駆動部(10)と、
軸方向において前記第1シリンダ(11)に対向する第2シリンダ(31)を含むポンプ部(30)と、
前記第1シリンダ(11)及び前記第2シリンダ(31)にガイドされて往復動する往復動部材(50)と、
前記第1シリンダ(11)内において前記往復動部材(50)と摺接する環状の第1シールパッキン(70)と、
前記第2シリンダ(31)内において前記往復動部材(50)と摺接する環状の第2シールパッキン(49)と、
前記往復動部材(50)の一部を周方向に囲む略筒形状を有し、前記第1シールパッキン(70)と前記第2シールパッキン(49)との間に配置されるシールパッキン押さえ(60)と、
前記シールパッキン押さえ(60)の下方に配置されるオイルパン(100)と、を備え、
前記シールパッキン押さえ(60)の周壁(61)には、第1の貫通孔(67)と、前記第1の貫通孔(67)よりも前記軸方向において前記第2シールパッキン(49)に近い位置に形成される第2の貫通孔(69)とが形成されており、
前記オイルパン(100)は、
底壁(101)と前記底壁(101)の周縁に立設された側壁(103)とによって画成される収容空間(S)と、
前記収容空間(S)を少なくとも
前記第1シリンダ(11)から前記第1シールパッキン(70)を介して漏れたオイルを収容する第1の収容空間(S1)と
前記第2シリンダ(31)から前記第2シールパッキン(49)を介して漏れた液体を収容する第2の収容空間(S2)とに区画するように、前記底壁(101)によって形成された底面(102)を前記第1の収容空間(S1)に対応する第1の底面領域(102a)と前記第2の収容空間(S2)に対応する第2の底面領域(102b)とに仕切る、前記底壁(101)に立設された仕切壁(107)と、を備え、
前記第1の底面領域(102a)は、前記第1の貫通孔(67)の鉛直方向下側に位置し、
前記第2の底面領域(102b)は、前記第2の貫通孔(69)の鉛直方向下側に位置し、
前記第2の底面領域(102b)には、前記底壁(101)を貫通する孔部(111)が形成されており、
前記底壁(101)の下面には、前記孔部(111)を囲んで前記下面から突出する筒状部(109)が形成されている、往復動ポンプ。
【請求項2】
前記オイルパンの材料は、可視光を透過する樹脂である、請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項3】
前記軸方向が水平面に沿う状態において、前記底面(102)のうち少なくとも前記第1の底面領域(102a)は、水平面に対して傾斜している、請求項1又は2に記載の往復動ポンプ。
【請求項4】
前記仕切壁(107)と前記第1の底面領域(102a)を構成する前記底壁(101)とのなす角度は、90度よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
【請求項5】
前記仕切壁(107)の高さは、前記側壁(103)の高さよりも低い、請求項1~4のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
【請求項6】
前記第1の底面領域(102a)には、前記底壁(101)を貫通する孔部(113)が形成されており、
前記底壁(101)の下面には、前記孔部(113)を囲んで前記下面から突出する筒状部(115)が形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
【請求項7】
前記孔部(113)は、水平面に対して傾斜する前記第1の底面領域(102a)において、傾斜方向の中央よりも上側に配置されている、請求項3を引用する請求項6に記載の往復動ポンプ。
【請求項8】
前記軸方向が水平面に沿う状態において、前記底面(102)のうち前記第2の底面領域(102b)は、水平面に対して傾斜しており、
前記孔部(111)は、水平面に対して傾斜する前記第2の底面領域(102b)において、傾斜方向の中央よりも下側に配置されている、請求項2~7のいずれか一項に記載の往復動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルパン及び往復動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、往復動ポンプが開示されている。このポンプは、駆動部であるクランクケースと、クランクケースに接続されるマニホルドとを含む。クランクケースは、往復動部材を案内する案内部を含み、マニホルドは、往復動部分の先端側が挿通されるポンプ室を含む。案内部とポンプ室との間の部分には、ポンプ室及び案内部との間をそれぞれシール部材で液密に封止した空間が形成されており、当該空間を構成する周壁にはオイルパンに連通する孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような往復動ポンプでは、ポンプ室側のシール部材から漏洩した流体と案内部側のシール部材から漏洩したオイルとが、案内部とポンプ室との間の部分に形成された孔を介してオイルパンに溜まるようになっている。すなわち、オイルパンの内側には、水等の液体とオイルとの混合液が溜まることになる。この場合、オイルの漏洩を確認し難いことが考えられる。また、漏洩したオイルの量を確認することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、オイルの漏洩を適切に把握できるオイルパン及び往復動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例のオイルパンは、往復動ポンプ(1)に取り付けられるオイルパンであって、往復動ポンプ(1)は、第1シリンダ(11)を含む駆動部(10)と、軸方向において第1シリンダ(11)に対向する第2シリンダ(31)を含むポンプ部(30)と、第1シリンダ(11)及び第2シリンダ(31)にガイドされて往復動する往復動部材(50)と、第1シリンダ(11)内において往復動部材(50)と摺接する環状の第1シールパッキン(70)と、第2シリンダ(31)内において往復動部材(50)と摺接する環状の第2シールパッキン(49)と、往復動部材(50)の一部を周方向に囲む略筒形状を有し、第1シールパッキン(70)と第2シールパッキン(49)との間に配置されるシールパッキン押さえ(60)と、を備え、シールパッキン押さえ(60)の周壁(61)には、第1の貫通孔(67)と、第1の貫通孔(67)よりも軸方向において第2シールパッキン(49)に近い位置に形成される第2の貫通孔(69)とが形成されており、オイルパンは、底壁(101)と底壁(101)の周縁に立設された側壁(103)とによって画成される収容空間(S)と、収容空間(S)を少なくとも第1の収容空間(S1)と第2の収容空間(S2)とに区画するように、底壁(101)によって形成された底面(102)を第1の収容空間(S1)に対応する第1の底面領域(102a)と第2の収容空間(S2)に対応する第2の底面領域(102b)とに仕切る、底壁(101)に立設された仕切壁(107)と、を備え、往復動ポンプ(1)にオイルパンが取り付けられた状態において、第1の底面領域(102a)は、第1の貫通孔(67)の鉛直方向下側に位置し、第2の底面領域(102b)は、第2の貫通孔(69)の鉛直方向下側に位置する。
【0007】
上記のオイルパンは、往復動ポンプ(1)におけるシールパッキン押さえ(60)の下側に取り付けられることで、シールパッキン押さえ(60)から漏洩する液体を収容する。シールパッキン押さえ(60)の周壁(61)には、第1シールパッキン(70)に近い第1の貫通孔(67)と第2シールパッキン(49)に近い第2の貫通孔(69)とが設けられている。これにより、第1シールパッキン(70)側から第1シリンダ(11)内の液体が漏洩した場合、第1の貫通孔(67)から排液されやすく、第2シールパッキン(49)側から第2シリンダ(31)内の液体が漏洩した場合、第2の貫通孔(69)から排液されやすい。第1の貫通孔(67)からの排液は第1の底面領域(102a)に収容され、第2の貫通孔(69)からの排液は第2の底面領域(102b)に収容される。このように、第1シリンダ(11)内から漏洩した液体と第2シリンダ(31)内から漏洩した液体とが別々に収容されるので、第1シリンダ(11)内からの液体(一例ではオイル)の漏洩を適切に把握できる。
【0008】
第2の底面領域(102b)には、底壁(101)を貫通する孔部(111)が形成されており、底壁(101)の下面には、孔部(111)を囲んで下面から突出する筒状部(109)が形成されていてもよい。この構成では、第2の底面領域(102b)に溜まった液体を孔部(111)から外部に排出することができる。この際、筒状部(109)に例えばホース等を接続することで、任意の場所に排出できる。
【0009】
オイルパンの材料は、可視光を透過する樹脂であってもよい。この構成では、外部からオイルパンの収容空間(S)内を目視により確認することができる。
【0010】
軸方向が水平面に沿うように載置された往復動ポンプ(1)にオイルパンが接続された状態において、底面(102)のうち少なくとも第1の底面領域(102a)は、水平面に対して傾斜していてもよい。この構成では、第1の底面領域(102a)が含まれる第1の収容空間(S1)に溜まった液体が傾斜によって一方向に移動する。
【0011】
仕切壁(107)と第1の底面領域(102a)を構成する底壁(101)とのなす角度は、90度よりも大きい。この構成では、仕切壁(107)が鉛直方向に沿って配置された場合に、底面(102)のうちの第1の底面領域(102a)が水平面に対して傾斜する。
【0012】
仕切壁(107)の高さは、側壁(103)の高さよりも低くてもよい。この構成では、第1の収容空間(S1)と第2の収容空間(S2)とのいずれか一方が液体で満たされた場合に、当該液体は、仕切壁(107)を越えていずれか他方の空間に移動する。
【0013】
第1の底面領域(102a)には、底壁(101)を貫通する孔部(113)が形成されており、底壁(101)の下面には、孔部(113)を囲んで下面から突出する筒状部(115)が形成されていてもよい。この構成では、第1の底面領域(102a)に溜まった液体を孔部(113)から外部に排出することができる。この際、筒状部(115)に例えばホース等を接続することで、任意の場所に排出できる。
【0014】
孔部(113)は、水平面に対して傾斜する第1の底面領域(102a)において、傾斜方向の中央よりも上側に配置されていてもよい。この構成では、第1の底面領域(102a)において水上側に孔部(113)が設けられているので、第1の貫通孔(67)から排出された液体は孔部(113)よりも水下側に溜まり得る。
【0015】
軸方向が水平面に沿うように載置された往復動ポンプ(1)にオイルパンが接続された状態において、底面(102)のうち第2の底面領域(102b)は、水平面に対して傾斜しており、孔部(111)は、水平面に対して傾斜する第2の底面領域(102b)において、傾斜方向の中央よりも下側に配置されていてもよい。この構成では、孔部(111)は、第2の底面領域(102b)の水下側に設けられているので、第2の貫通孔(69)から排出された液体は孔部(111)から速やかに排出され得る。
【0016】
一例の往復動ポンプは、第1シリンダ(11)を含む駆動部(10)と、軸方向において第1シリンダ(11)に対向する第2シリンダ(31)を含むポンプ部(30)と、第1シリンダ(11)及び第2シリンダ(31)にガイドされて往復動する往復動部材(50)と、第1シリンダ(11)内において往復動部材(50)と摺接する環状の第1シールパッキン(70)と、第2シリンダ(31)内において往復動部材(50)と摺接する環状の第2シールパッキン(49)と、往復動部材(50)の一部を周方向に囲む略筒形状を有し、第1シールパッキン(70)と第2シールパッキン(49)との間に配置されるシールパッキン押さえ(60)と、シールパッキン押さえ(60)の下方に配置されるオイルパン(100)と、を備え、シールパッキン押さえ(60)の周壁(61)には、第1の貫通孔(67)と、第1の貫通孔(67)よりも軸方向において第2シールパッキン(49)に近い位置に形成される第2の貫通孔(69)とが形成されており、オイルパン(100)は、底壁(101)と底壁(101)の周縁に立設された側壁(103)とによって画成される収容空間(S)と、収容空間(S)を少なくとも第1の収容空間(S1)と第2の収容空間(S2)とに区画するように、底壁(101)によって形成された底面(102)を第1の収容空間(S1)に対応する第1の底面領域(102a)と第2の収容空間(S2)に対応する第2の底面領域(102b)とに仕切る、底壁(101)に立設された仕切壁(1007)と、を備え、第1の底面領域(102a)は、第1の貫通孔(67)の鉛直方向下側に位置し、第2の底面領域(102b)は、第2の貫通孔(69)の鉛直方向下側に位置する。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明の一形態によれば、ポンプ部及び駆動部から漏洩する液体を適切に排液する往復動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】一例のシールパッキン押さえを示す斜視断面図である。
【
図3】一例のシールパッキン押さえを示す縦断面図である。
【
図6】一例の往復動ポンプ(オイルパン)の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、一例の往復動ポンプについて、添付図面を参照しながら説明する。本明細書では、一例の往復動ポンプとして、往復動部材を構成するプランジャが水平方向に3列並設された、いわゆる横型3連プランジャポンプについて説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」は、往復動ポンプが水平面に載置された状態を基準として定義され、「前」、「後」は、往復動部材の軸方向を基準として、ポンプ部側が前、駆動部側が後として定義されている。
【0020】
図1は、往復動ポンプを構成する3つのプランジャポンプのうちの1つを示す断面図である。一例の往復動ポンプ1では、
図1に示すポンプ構成がX方向に沿って3つ並設されている。
図1に示すように、往復動ポンプ1は、駆動部10と、ポンプ部30と、往復動部材50と、シールパッキン押さえ60と、オイルパン100を備える。駆動部10は、第1シリンダ11を含む。一例の第1シリンダ11は、クランクケース13に形成されている。クランクケース13は、中空に構成されている。クランクケース13内には、クランク軸15、クランク軸15に回転可能に連結されたコンロッド17、コンロッド17にプランジャロッド51を回転可能に連結するピストンピン18等が配置され、これらにより、往復動部材50を往復駆動させる駆動機構19が構成される。
【0021】
第1シリンダ11は、円筒状をなしており、クランク軸15の軸方向に直交する軸方向を有する。図示例では、クランク軸15の軸方向はX方向に沿っており、第1シリンダ11の軸方向はY方向に沿っている。第1シリンダ11の内側には、ピストンピン18と、コンロッド17の先端とが配置され得る。
【0022】
クランクケース13内には、駆動機構19の潤滑・冷却用のオイル(第1の液体)が充填されている。そこで、一例のクランクケース13には、内側空間にオイルを注入するための注油口13aと、オイルを排出するためのドレンプラグ13bとが設けられている。また、クランクケース13の外面には、往復動ポンプ1を載置するための脚部13cが形成されている。例えば、水平な床面に脚部13cが当接するように往復動ポンプ1を載置した場合、第1シリンダ11の軸方向は水平面に略平行となる。
【0023】
ポンプ部30は、駆動部10を構成するクランクケース13の前端に連結されている。ポンプ部30は、円筒状をなす第2シリンダ31を含む。一例のポンプ部30は、吐出マニホルドとしての第1マニホルド33と、吸水マニホルドとしての第2マニホルド35とを有する。例えば、第1マニホルド33には、ポンプ室37が設けられている。また、第2マニホルド35は、第1マニホルド33及びクランクケース13に連結されており、ポンプ室37に連通する第2シリンダ31を有している。第2シリンダ31は、円筒状を呈しており、第1シリンダ11の軸線に一致する軸線を有する。
【0024】
クランクケース13に当接する第2マニホルド35には、ポンプ室37に水等の使用液体を導入するための吸入口39が設けられ、第2マニホルド35に当接する第1マニホルド33には、ポンプ室37内で圧縮された使用液体を吐出するための吐出口32が設けられる。吸入口39とポンプ室37とを連通する流路36には、吸入弁38が設けられ、ポンプ室37と吐出口32とを連通する流路41には、吐出弁43が設けられる。
【0025】
第1マニホルド33と第2マニホルド35とは、連通管45を介して接続されている。連通管45は、略円筒状をなす部材であり、第1マニホルド33に形成されたポンプ室37の第2シリンダ31に連通する開口37aと第2マニホルド35に形成された第2シリンダ31とに跨がって配置されている。ポンプ室37と第2シリンダ31との接続部分は、連通管45によって液密に封止されている。第2シリンダ31の内側において、連通管45の後側の位置には高圧シールパッキン47が設けられている。高圧シールパッキン47は、後述のプランジャスリーブ53と摺接して第2シリンダ31内を液密にシールする。
【0026】
第2マニホルド35の第2シリンダ31内において、高圧シールパッキン47よりもクランクケース13側に離れた位置には、高圧シールパッキン47よりもシール圧の低い低圧シールパッキン49(第2シールパッキン)が配置されている。低圧シールパッキン49は、プランジャスリーブ53と摺接して第2シリンダ31内を液密にシールする。また、第2マニホルド35には、高圧シールパッキン47と低圧シールパッキン49との間に、第2シリンダ31内に連通する給水口42及び排水口46が設けられている。給水口42には冷却水が供給され得る。給水口42に供給された冷却水は、第2シリンダ31内において高圧シールパッキン47と低圧シールパッキンとによって封止された空間内を循環する。この冷却水は、高圧シールパッキン47、プランジャスリーブ53及び低圧シールパッキン49を冷却し、排水口46から排水される。
【0027】
往復動部材50は、プランジャロッド51及びプランジャスリーブ53を含む。プランジャロッド51は、第1シリンダ11内に配置される円柱状部分を含んでおり、ピストンピン18を介してコンロッド17に回転可能に連結されている。プランジャスリーブ53は、第2シリンダ31内に配置される円柱状部分を含んでおり、例えばボルト55によってプランジャロッド51の前端に連結されている。一例において、プランジャスリーブ53の直径はプランジャロッド51の直径よりも大きく構成されている。図示例では、プランジャスリーブ53とプランジャロッド51との連結位置において、プランジャスリーブ53の端部に配置された平座金57がプランジャスリーブ53とプランジャロッド51とによって挟持されている。平座金57の直径はプランジャスリーブ53の直径よりも大きい。
【0028】
往復動部材50は、クランク軸15が回転することによって、コンロッド17及びピストンピン18を介して、第1シリンダ11内及び第2シリンダ31内を軸方向に往復動する。往復動部材50が第1シリンダ11内及び第2シリンダ31内を往復動することで、第2シリンダ31の先端側に形成されたポンプ室37でポンプ作用が行われる。この際、プランジャロッド51の後側の端部51a(第1の端部)は第1シリンダ11の内側に配置され、プランジャスリーブ53の前側の端部53a(第2の端部)は第2シリンダ31の内側に配置され得る。プランジャロッド51とプランジャスリーブ53との連結部分は、第1シリンダ11と第2シリンダ31との間に配置されるシールパッキン押さえ60の内側に配置されている。
【0029】
シールパッキン押さえ60は、第1シリンダ11と第2シリンダ31との間に配置されている。シールパッキン押さえ60は、往復動部材50の一部を周方向に囲む略円筒状を有している。例えば、プランジャロッド51とプランジャスリーブ53との連結部分はシールパッキン押さえ60によって囲繞されている。
【0030】
シールパッキン押さえ60は、低圧シールパッキン49を前側に押圧し得る。図示例では、シールパッキン押さえ60と低圧シールパッキン49との間に円筒状のカラー48が配置されており、シールパッキン押さえ60はカラー48を介して低圧シールパッキン49を押圧する。カラー48の内径は、例えばプランジャスリーブ53の外径よりも僅かに大きい。また、カラー48の後端には、外径が小さく形成された段部48aが設けられている。
【0031】
また、シールパッキン押さえ60は、オイルシール70(第1シールパッキン)を保持するとともに、オイルシール70を後側に押圧し得る。オイルシール70は、プランジャロッド51の外周面に液密に摺接する部材であり、クランクケース13内のオイルの漏出を抑制する。例えばオイルシール70は、金属環がゴム部材で被覆された部材であり、円環状をなしている。
【0032】
図2は、シールパッキン押さえ60の断面斜視図であり、
図3はシールパッキン押さえ60の縦断面図である。シールパッキン押さえ60は、略円筒状をなす周壁61と、周壁61から径方向内側に向かって突出する環状の端壁63を含む。また、シールパッキン押さえ60の前端には、内径が他の部分より大きい段部65が形成されている。一例においては、シールパッキン押さえ60の段部65には、カラー48の段部48aが嵌合されている。
【0033】
シールパッキン押さえ60の周壁61には、第1の貫通孔67と、第2の貫通孔69とが形成されている。第1の貫通孔67は、周壁61の内側と外側とを連通する。一例の第1の貫通孔67は、第1長孔形状部分67aと第2長孔形状部分67bとが組み合わされた略T字状を有している。第1長孔形状部分67aは、軸方向に交差するX方向を長手方向とするトラック形状をなしている。第2長孔形状部分67bは、軸方向を長手方向とするトラック形状をなしている。X方向における中心位置が互いに一致するように、第1長孔形状部分67aが第2長孔形状部分67bにおける後側に連続することにより、第1の貫通孔67は略T字状をなす。
【0034】
第2の貫通孔69は、第1の貫通孔67よりも軸方向において低圧シールパッキン49に近い位置、すなわち前側の位置に形成されている。一例の第2の貫通孔69は、第1長孔形状部分69aと第2長孔形状部分69bとが組み合わされた略T字状を有している。第1長孔形状部分69aは、軸方向に交差する方向を長手方向とするトラック形状をなしている。第2長孔形状部分69bは、軸方向を長手方向とするトラック形状をなしている。X方向における中心位置が互いに一致するように、第1長孔形状部分69aが第2長孔形状部分69bにおける前側に連続することにより、第2の貫通孔69は略T字状をなす。
【0035】
例えば、第1長孔形状部分67a,69aにおける長手方向(X方向)の大きさは、プランジャロッド51の直径と略同じであってよい。なお、プランジャロッド51の直径と略同じとは、一例としてプランジャロッド51の直径との誤差が±20%に収まることをいう。
【0036】
第1の貫通孔67及び第2の貫通孔69は、往復動ポンプ1が水平面に載置された状態において、シールパッキン押さえ60の周壁61の下面側に位置していてよい。一例では、第1の貫通孔67及び第2の貫通孔69のX方向の中心位置がZ方向から見てプランジャロッド51の中心線に一致している。すなわち、第1の貫通孔67及び第2の貫通孔69はプランジャロッド51の直下に位置している。
【0037】
端壁63は、周壁61の軸方向の後端の位置で周壁61から径方向内側に向かって突出している。一例の端壁63は、円環板状を呈している。端壁63の内径は、少なくともプランジャロッド51の外径よりも大きい。図示例では、端壁63よりも後側に周壁61から軸方向に延在する保持部62が形成されている。保持部62は、略円筒状を有している。保持部62の内径は、周壁61の内径よりも小さく、端壁63の内径よりも大きい。保持部62は、オイルシール70を保持する部分である。したがって、保持部62の内径はオイルシール70の外径と同じであってよく、保持部62の軸方向における長さは、オイルシール70の厚さと同じであってよい。なお、一例の往復動ポンプ1では、シールパッキン押さえ60の後端部が第1シリンダ11の開口部分に嵌合されている。
【0038】
なお、一例において、シールパッキン押さえ60の後端部と第1シリンダ11の開口部分とは、互いに係合する一対の係合部を有し、シールパッキン押さえ60の周方向の位置決めを行ってもよい。一対の係合部は、切欠きと切欠きに係合する凸部、軸方向に形成された凹部と凹部に係合する凸部などのように、周方向の位置決めが可能であれば特に限定されない。このような一対の係合部を含む構成では、第1の貫通孔67及び第2の貫通孔69が周方向の下面側となるように、シールパッキン押さえ60を容易に配置できる。
【0039】
保持部62の外周には、周方向に連続して形成された凹部62aが設けられている。凹部62aには、Oリング66が配置されている。Oリング66は、保持部62の外周と第1シリンダ11の開口部分の内周との間を液密に封止している。
【0040】
また、一例のシールパッキン押さえ60は、円環状の仕切壁68を含む。仕切壁68は、軸方向における第1の貫通孔67と第2の貫通孔69との間の位置において、周方向に連続して形成されている。仕切壁68は、周壁61から径方向内側に向かって突出している。仕切壁68の内径は、少なくとも平座金57の外径よりも大きい。
【0041】
また、仕切壁68から第1の貫通孔67までの軸方向における距離L1は、仕切壁68の高さL2よりも小さい。同様に、仕切壁68から第2の貫通孔69までの軸方向における距離L3は、仕切壁68の高さL2よりも小さい。なお、仕切壁68の高さL2は、周壁61の内面からの突出方向(径方向)における大きさである。
【0042】
また、第1の貫通孔67の周縁の一部は、端壁63に沿って形成されている。一例において、第1の貫通孔67は、端壁63の外縁に沿って形成された周縁を含む。図示例では、第1の貫通孔67を構成する第1長孔形状部分67aの長手方向に沿った周縁のうち軸方向の後側の周縁67a1の位置が端壁63の外縁の位置に実質的に一致している。
【0043】
図4は、
図1の部分拡大図であり、オイルパン100の近傍を示す。
図5は、一例のオイルパンを示す斜視図である。
図6は、一例の往復動ポンプの横断面図である。
図6では、往復動ポンプ1をオイルパン100の孔部111の位置でXY平面に沿って切断した断面を示す。オイルパン100は、第1の貫通孔67及び第2の貫通孔69から排出される液体を収容する液体収容装置である。一例のオイルパン100は、液体を一時的に収容して、収容された液体を排出する。
【0044】
オイルパン100は、シールパッキン押さえ60の第1の貫通孔67及び第2の貫通孔69からそれぞれ排出される液体を収容する収容空間Sを有する。収容空間Sは、底壁101と側壁103とによって画成される。一例において、底壁101は、Z方向から見て略矩形状を呈している。図示例では、X方向に並んだ3つのシールパッキン押さえ60のそれぞれから排出される液体を一つのオイルパン100で収容するため、オイルパン100のX方向における長さは、少なくともX方向の両端のシールパッキン押さえ60の貫通孔(
図6の例では第2の貫通孔69)同士の間の距離よりも長い。
【0045】
側壁103は、底壁101の周縁に立設されており、底壁101の周縁を囲んでいる。すなわち、側壁103は、底壁101の駆動部10側の端縁から立設された第1側壁103aと、底壁101のポンプ部30側の端縁から立設された第2側壁103bと、第1側壁103a及び第2側壁103bを互いに接続する第3側壁103c及び第4側壁103dとを含む。なお、第3側壁103c及び第4側壁103dは、X方向において互いに対向し、YZ平面に沿って延在している。第3側壁103c及び第4側壁103dには、壁面から外側に突出する支持片105がそれぞれ設けられている。一例では、支持片105にボルト孔105aが形成されており、当該ボルト孔105aに挿通されたボルト105bによってオイルパン100がクランクケース13に固定される。オイルパン100がクランクケース13に固定されている状態において、第1側壁103a、第2側壁103b、第3側壁103c及び第4側壁103dのそれぞれの端縁のZ方向の位置(すなわち高さ位置)は、互いに同じであってよい。なお、側壁103の端縁には、部分的にZ方向の位置が異なる部分が形成されていてもよい。
【0046】
また、オイルパン100は、底壁101に立設された仕切壁107を含む。仕切壁107は、収容空間Sを少なくとも第1の収容空間S1と第2の収容空間S2とに区画する。すなわち、仕切壁107は、底壁101によって形成された底面102を第1の収容空間S1に対応する第1の底面領域102aと第2の収容空間S2に対応する第2の底面領域102bとに仕切る。一例の仕切壁107は、X方向を長手方向としてXZ平面に沿って延在している。図示例では、第1の収容空間S1は、収容空間Sのうちの仕切壁107よりも駆動部10側の空間である。また、第2の収容空間S2は、収容空間Sのうちの仕切壁107よりもポンプ部30側の空間である。同様に、第1の底面領域102aは、底面102のうちの仕切壁107よりも駆動部10側の部分である。また、第2の底面領域102bは、底面102のうちの仕切壁107よりもポンプ部30側の部分である。
【0047】
クランクケース13にオイルパン100が取り付けられた状態において、第1の底面領域102aは、第1の貫通孔67の鉛直方向下側に位置している。また、第2の底面領域102bは、第2の貫通孔69の鉛直方向下側に位置している。
【0048】
一例の仕切壁107の高さ位置は、側壁103の高さ位置よりも低い。なお、側壁103のいずれかにおいて、部分的に高さ位置の低い部分が形成されている場合には、仕切壁107の高さは、その高さ位置の低い部分よりも低く形成されていてよい。図示例では、仕切壁107の高さが、例えば、側壁103の高さの半分程度の高さとなっているが、仕切壁107の高さ位置はこれに限定されない。
【0049】
第2の底面領域102bには、底壁101を貫通する孔部111が形成されている。これにより、第2の収容空間S2は、孔部111を介して収容空間Sの外部と連通する。一例のオイルパン100は、複数のシールパッキン押さえ60に対応して、複数の孔部111を有する。図示例では、3つのシールパッキン押さえ60に対応して、3つの孔部111がX方向に互いに離間して配置されている。Y方向から見たとき、それぞれの孔部111は、対応するシールパッキン押さえ60の第2の貫通孔69(第1の貫通孔67)に対向している。また、孔部111は、X方向から見たとき、第2の底面領域102bにおいてY方向の中央よりも駆動部10側(仕切壁107側)に形成されている。すなわち、孔部111は、Y方向において第2側壁103bよりも仕切壁107に近い位置に形成されている。底壁101の下面(外面)には、孔部111をそれぞれ囲んで下面から突出する筒状部109が形成されている。例えば、筒状部109は、孔部111と同じ内径を有する円筒状をなしている。
【0050】
軸方向が水平面に沿うように載置されたクランクケース13にオイルパン100が接続された状態において、第1の底面領域102aは、水平面に対して一方向に向かって傾斜している。一例においては、第1の底面領域102aを含む底面102の全域が水平面に対して一様に傾斜している。図示例において、底壁101の底面102は、第2側壁103b側から第1側壁103a側に向かって下り傾斜となっている。すなわち、第1の底面領域102aでは、仕切壁107側から第1側壁103a側に向かって下り傾斜となっており、第2の底面領域102bでは、第2側壁103b側から仕切壁107側に向かって下り傾斜となっている。このように、底壁101が傾斜していることにより、仕切壁107と第1の底面領域102aを構成する底壁101とのなす角度も、90度よりも大きくなっている。また、上述の孔部111は、水平面に対して傾斜する第2の底面領域102bにおいて、傾斜方向の中央よりも下側に配置されていることになる。すなわち、孔部111は、第2の底面領域102bにおいて水下側に配置されている。
【0051】
一例においてオイルパン100の材料は、可視光を透過する樹脂材料であってよい。このような材料の一例としてABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)が挙げられるが、オイルパン100の材料はこれに限定されない。
【0052】
以上説明したように、一例の一例のオイルパン100は、往復動ポンプ1に取り付けられるオイルパン100であって、往復動ポンプ1は、第1シリンダ11を含む駆動部10と、軸方向において第1シリンダ11に対向する第2シリンダ31を含むポンプ部30と、第1シリンダ11及び第2シリンダ31にガイドされて往復動する往復動部材50と、第1シリンダ11内において往復動部材50と摺接する環状のオイルシール70と、第2シリンダ31内において往復動部材50と摺接する環状の低圧シールパッキン49と、往復動部材50の一部を周方向に囲む略筒形状を有し、オイルシール70と低圧シールパッキン49との間に配置されるシールパッキン押さえ60と、を備え、シールパッキン押さえ60の周壁61には、第1の貫通孔67と、第1の貫通孔67よりも軸方向において低圧シールパッキン49に近い位置に形成される第2の貫通孔69とが形成されており、オイルパン100は、底壁101と底壁101の周縁に立設された側壁103とによって画成される収容空間Sと、収容空間Sを少なくとも第1の収容空間S1と第2の収容空間S2とに区画するように、底壁101によって形成された底面102を第1の収容空間S1に対応する第1の底面領域102aと第2の収容空間S2に対応する第2の底面領域102bとに仕切る、底壁101に立設された仕切壁107と、を備え、往復動ポンプ1にオイルパン100が取り付けられた状態において、第1の底面領域102aは、第1の貫通孔67の鉛直方向下側に位置し、第2の底面領域102bは、第2の貫通孔69の鉛直方向下側に位置する。
【0053】
上記の往復動ポンプ1では、クランク軸15が回転し、コンロッド17及びピストンピン18を介してクランク軸15に連結された往復動部材50が往復動する。吸水工程において、往復動部材50が駆動部10側へ向かい後退移動することによってポンプ室37が減圧される。これにより、第1マニホルド33の吸入弁38が開となり、吐出弁43がそれぞれ閉となる。使用液体は、吸入口39及び吸入弁38を通してポンプ室37へ吸入される。一方、吐出工程において、往復動部材50はポンプ部30側へ向かい前進移動することによってポンプ室37が加圧される。これにより、吸入弁38が閉となり、吐出弁43が開となる。ポンプ室37の使用液体は吐出弁43を通して吐出口32へ吐出される。すなわち、ポンプ作用が行われる。
【0054】
第1シリンダ11とシールパッキン押さえ60との間に配置されたオイルシール70は、第1シリンダ11内を液密にシールする。同様に、第2シリンダ31とシールパッキン押さえ60との間に配置された低圧シールパッキン49は、第2シリンダ31内を液密にシールする。これにより、オイルシール70は第1シリンダ11内のオイルがシールパッキン押さえ60内に漏洩することを抑制している。また、低圧シールパッキン49は第2シリンダ31内の冷却水及び使用流体がシールパッキン押さえ60内に漏洩することを抑制している。
【0055】
老朽化等によって低圧シールパッキン49及びオイルシール70の封止性能が低下した場合、オイルシール70とプランジャロッド51との間からオイルが漏洩し、低圧シールパッキン49とプランジャスリーブ53との間から冷却水が漏洩し得る。漏洩したオイル等はシールパッキン押さえ60を介して排出される。上記のオイルパン100は、往復動ポンプ1におけるシールパッキン押さえ60の下側に取り付けられることで、シールパッキン押さえ60から排出される液体を収容する。シールパッキン押さえ60の周壁61には、オイルシール70に近い第1の貫通孔67と低圧シールパッキン49に近い第2の貫通孔69とが設けられている。これにより、オイルシール70側から第1シリンダ11内の液体が漏洩した場合、第1の貫通孔67から排液されやすく、低圧シールパッキン49側から第2シリンダ31内の液体が漏洩した場合、第2の貫通孔69から排液されやすい。第1の貫通孔67からの排液は第1の底面領域102aに収容され、第2の貫通孔69からの排液は第2の底面領域102bに収容される。このように、第1シリンダ11内から漏洩した液体と第2シリンダ31内から漏洩した液体とが別々に収容されるので、第1シリンダ11内からの液体(オイル)の漏洩を適切に把握できる。
【0056】
第2の底面領域102bには、底壁101を貫通する孔部111が形成されており、底壁101の下面には、孔部111を囲んで下面から突出する筒状部109が形成されていてもよい。この構成では、第2の底面領域102bに溜まった液体を孔部111から外部に排出することができる。この際、筒状部109に例えばホース等を接続することで、任意の場所に排出できる。また、第1の底面領域102aに溜まった液体は、例えば、仕切壁を越えて第2の底面領域102bの孔部111から排出されてもよい。また、使用者が往復動ポンプからオイルパンを取り外して、第1の底面領域102aに溜まった液体を廃棄してもよい。
【0057】
オイルパン100の材料は、可視光を透過する樹脂であってもよい。この構成では、外部からオイルパン100の収容空間S内を目視により確認することができる。使用者は、オイルパン100の収容空間S内に、オイル又は冷却水が収容されていないか、すなわち、オイルシール70又は低圧シールパッキン49に不具合がないかを容易に知ることができる。なお、オイルパン100の材料は、収容空間S内にオイルが収容されているか否かを判別可能な程度に可視光を透過する材料であればよい。
【0058】
軸方向が水平面に沿うように載置された往復動ポンプ1にオイルパン100が接続された状態において、底面102のうち少なくとも第1の底面領域102aは、水平面に対して傾斜していてもよい。この構成では、第1の底面領域102aが含まれる第1の収容空間S1に溜まった液体が傾斜によって一方向に移動し得る。そのため、液体が少量であったとしても、液体を確認しやすい。
【0059】
また、孔部111は、水平面に対して傾斜する第2の底面領域102bにおいて、傾斜方向の中央よりも下側に配置されている。そのため、第2の底面領域102bに収容された液体は、第2の底面領域102bに滞留することが抑制され、早急に孔部111から排出されやすい。
【0060】
仕切壁107と第1の底面領域102aを構成する底壁101とのなす角度は、90度よりも大きい。この構成では、仕切壁107が鉛直方向に沿って配置された場合に、底面102のうちの第1の底面領域102aが水平面に対して傾斜する。
【0061】
仕切壁107の高さは、側壁103の高さよりも低くてもよい。この構成では、第1の収容空間S1と第2の収容空間S2とのいずれか一方が液体で満たされた場合に、当該液体は、仕切壁107を越えていずれか他方の空間に移動する。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的形態は上記の例に限定されない。
【0063】
図7は、オイルパンの他の形状を示す断面図である。一例においては、往復動ポンプ1のオイルパン100に代えて
図7のオイルパン200を利用することができる。オイルパン200は、孔部113を有する点のみにおいて、オイルパン100と相違している。以下、オイルパン200について、オイルパン100との相違点について説明する。
【0064】
オイルパン200は、孔部113を含む。孔部113は、第1の底面領域102aに形成されており、底壁101を貫通する。これにより、第1の収容空間S1は、孔部113を介して収容空間Sの外部と連通する。一例のオイルパン200は、複数のシールパッキン押さえ60に対応して、複数の孔部113を有する。すなわち、3つのシールパッキン押さえ60に対応して、3つの孔部113がX方向に互いに離間して配置されている。それぞれの孔部113は、対応するシールパッキン押さえ60の第1の貫通孔67に対向している。また、孔部113は、X方向から見たとき、第1の底面領域102aにおいてY方向の中央よりもポンプ部30側(仕切壁107側)、すなわち傾斜方向の中央よりも上側に形成されている。換言すると、孔部113は、Y方向において第1側壁103aよりも仕切壁107に近い位置に形成されている。底壁101の下面(外面)には、孔部113をそれぞれ囲んで下面から突出する筒状部115が形成されている。例えば、筒状部115は、孔部113と同じ内径を有する円筒状をなしている。
【0065】
上記の構成によれば、第1の底面領域102a及び第2の底面領域102bに孔部113及び孔部111がそれぞれ設けられているので、第1の収容空間S1に溜まった液体(オイル)と第2の収容空間S2に溜まった液体(冷却水)とを別々に排出することができる。また、第1の底面領域102aにおいて水上側に孔部113が設けられているので、第1の貫通孔67から排出された液体(オイル)は孔部113よりも水下側に溜まりやすい。したがって、第1の貫通孔67から排出される液体が少量であったとしても、液体の漏洩を確認しやすい。一方で、孔部111は、第2の底面領域102bの水下側に設けられているので、第2の貫通孔69から排出された液体(冷却水)は孔部111から速やかに排出され得る。
【0066】
なお、オイルパンは、収容された液体を排出するための孔部111,113を有さなくてもよい。この場合、オイルパンに液体が収容されたときには、使用者が往復動ポンプからオイルパンを取り外して、収容された液体を廃棄してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…往復動ポンプ、10…駆動部、11…第1シリンダ、30…ポンプ部、31…第2シリンダ、49…低圧シールパッキン(第2シールパッキン)、50…往復動部材、60…シールパッキン押さえ、61…周壁、67…第1の貫通孔、69…第2の貫通孔、70…オイルシール(第1シールパッキン)、100…オイルパン、101…底壁、102…底面、102a…第1の底面領域、102b…第2の底面領域、103…側壁、107…仕切壁、S…収容空間、S1…第1の収容空間、S2…第2の収容空間。