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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-17
(45)【発行日】2025-07-28
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/06 20060101AFI20250718BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20250718BHJP
   B60N 2/30 20060101ALI20250718BHJP
【FI】
B60N3/06
A47C7/50 A
B60N2/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021188988
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075835
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村藤 寿志
(72)【発明者】
【氏名】松井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓司
(72)【発明者】
【氏名】志村 慎太朗
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-000300(JP,A)
【文献】特開2010-137717(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017295(WO,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0382546(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0091705(US,A1)
【文献】特開2011-015867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/06
A47C 7/50
B60N 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上下方向に変位可能とされ、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、
前記シートクッションに支持されていると共に前記シートクッションに対して変位可能とされ、着座乗員の脚部をシート下方側から支持するオットマンと、
前記シートクッションと共に変位可能に設けられた第1部材と、
前記シートクッションがシート前下方側へ変位された際に前記第1部材にシート上方側から当接されて押圧されることでシート幅方向の軸線周りに変位されて、前記オットマンが変位される第2部材と、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
前記シートクッションは、乗員が着座可能な着座位置と前記着座位置よりもシート下方側の格納位置との間において変位可能とされ、
前記第2部材は、前記オットマンと共に変位可能に設けられ、
前記第1部材は、車両のフロア側と前記シートクッションの骨格を構成するシートクッションフレームとを接続する接続部と、前記接続部と一体に設けられていると共に前記第2部材を押圧する押圧部と、を含んで構成されている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートクッションが前記着座位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部が前記接続部に対してシート前方側へ突出しており、
前記シートクッションが前記格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部が前記接続部に対してシート下方側へ突出している請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記第2部材は、前記オットマンに固定されたオットマン固定部と、前記オットマン固定部から延出すると共に前記押圧部に押圧される被押圧部と、を含んで構成され、
前記シートクッションが前記着座位置に配置された状態かつ前記オットマンが格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記被押圧部が前記オットマン固定部に対してシート後方側へ突出しており、
前記シートクッションが前記格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記被押圧部が前記オットマン固定部に対してシート下方側へ突出している請求項3に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記シートクッションが前記着座位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部と前記被押圧部とがシート上下方向に並ぶように配置され、
前記シートクッションが前記格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部と前記被押圧部とがシート前後方向に並ぶように配置される請求項4に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記第2部材は、前記オットマンと前記第1部材との間に設けられ、
前記シートクッションが変位された際に前記第1部材が前記第2部材の一部を押圧することで前記第2部材が変位され、変位された前記第2部材の他の一部が前記オットマン又は前記オットマンと共に変位する部材を押圧することで前記オットマンが変位される請求項1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、オットマンを備えた車両用シート構造が開示されている。この文献に記載された車両用シート構造では、シートクッションが下方側へ移動した際に、格納位置にあるオットマンの先端位置がシートクッションに対して相対的に高くなるようにオットマン位置を規制するスライド板を設けている。これにより、シートクッションの高さを下げたときに、オットマンの先端がフロアに当たらないようにすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-137717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された構成は、シートクッションの変位に伴いオットマンがフロア等に当たることを抑制するという観点では有用な構成ではあるが、スライド板をフロアに設けること等が必要となり、オットマンの周辺の構造が複雑化する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、構造が複雑化すること抑制しつつ、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の車両用シートは、シート上下方向に変位可能とされ、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、前記シートクッションに支持されていると共に前記シートクッションに対して変位可能とされ、着座乗員の脚部をシート下方側から支持するオットマンと、前記シートクッションと共に変位可能に設けられた第1部材と、前記シートクッションがシート前下方側へ変位された際に前記第1部材にシート上方側から当接されて押圧されることでシート幅方向の軸線周りに変位されて、前記オットマンが変位される第2部材と、を備えている。
【0007】
第1の態様の車両用シートによれば、シートクッションがシート前下方側へ変位されると、シートクッションと共に第1部材が変位されて、第2部材が第1部材にシート上方側から当接されて押圧される。第2部材が第1部材に押圧されることで、第2部材がシート幅方向の軸線周りに変位されると、オットマンが変位される。このように、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる。また、第1の態様の車両用シートでは、シートクッションと共に変位する第1部材を設けると共に、この第1部材に押圧される第2部材を設けるという単純な構成により、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる。
【0008】
第2の態様の車両用シートは、第1の態様の車両用シートにおいて、前記シートクッションは、乗員が着座可能な着座位置と前記着座位置よりもシート下方側の格納位置との間において変位可能とされ、前記第2部材は、前記オットマンと共に変位可能に設けられ、前記第1部材は、車両のフロア側と前記シートクッションの骨格を構成するシートクッションフレームとを接続する接続部と、前記接続部と一体に設けられていると共に前記第2部材を押圧する押圧部と、を含んで構成されている。
【0009】
第2の態様の車両用シートによれば、シートクッションが変位されると、シートクッションと共に第1部材が変位されて、第2部材が第1部材の押圧部によって押圧される。第2部材が第1部材の押圧部に押圧されることで、第2部材が変位されると、第2部材と共にオットマンが変位される。このように、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる。また、第2の態様の車両用シートでは、シートクッションと共に変位する第1部材を設けると共に、オットマンと共に変位する第2部材を設けるという単純な構成により、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる。
【0010】
第3の態様の車両用シートは、第2の態様の車両用シートにおいて、前記シートクッションが前記着座位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部が前記接続部に対してシート前方側へ突出しており、前記シートクッションが前記格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部が前記接続部に対してシート下方側へ突出している。
【0011】
第3の態様の車両用シートによれば、シートクッションが着座位置に配置された状態では、シート側面視で、第1部材の押圧部が接続部に対してシート前方側へ突出している。これにより、シートクッションが着座位置に配置された状態で、第1部材の押圧部が着座乗員の臀部側(上方側)へ突出することを防止することができる。また、第2の態様の車両用シートでは、シートクッションが格納位置に配置された状態では、シート側面視で、第1部材の押圧部が接続部に対してシート下方側へ突出している。これにより、シートクッションが格納位置に配置された状態で、第1部材の押圧部が接続部に対してシート上方側へ突出している構成と比べて、シートクッションの上面側のフラット化を図ることができる。
【0012】
第4の態様の車両用シートは、第3の態様の車両用シートにおいて、前記第2部材は、前記オットマンに固定されたオットマン固定部と、前記オットマン固定部から延出すると共に前記押圧部に押圧される被押圧部と、を含んで構成され、前記シートクッションが前記着座位置に配置された状態かつ前記オットマンが格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記被押圧部が前記オットマン固定部に対してシート後方側へ突出しており、前記シートクッションが前記格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記被押圧部が前記オットマン固定部に対してシート下方側へ突出している。
【0013】
第4の態様の車両用シートによれば、シートクッションが着座位置に配置された状態では、シート側面視で、第2部材の被押圧部がオットマン固定部に対してシート後方側へ突出している。これにより、シートクッションが着座位置に配置された状態で、第2部材の被押圧部が着座乗員の脚部側(前方側)へ突出することを防止することができる。また、第4の態様の車両用シートでは、シートクッションが格納位置に配置された状態では、シート側面視で、第2部材の被押圧部がオットマン固定部に対してシート下方側へ突出している。これにより、シートクッションが格納位置に配置された状態で、第2部材の被押圧部がオットマン固定部に対してシート上方側へ突出している構成と比べて、オットマンの上面側のフラット化を図ることができる。
【0014】
第5の態様の車両用シートは、第4の態様の車両用シートにおいて、前記シートクッションが前記着座位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部と前記被押圧部とがシート上下方向に並ぶように配置され、前記シートクッションが前記格納位置に配置された状態では、シート側面視で、前記押圧部と前記被押圧部とがシート前後方向に並ぶように配置される。
【0015】
第5の態様の車両用シートによれば、シートクッションが着座位置に配置された状態では、シート側面視で、第1部材の押圧部と第2部材の被押圧部とがシート上下方向に並ぶように配置される。これにより、シートクッションが着座位置に配置された状態における第1部材の押圧部及び第2部材の被押圧部の周辺部分の前後方向への体格の大型化を抑制することができる。また、第5の態様の車両用シートでは、シートクッションが格納位置に配置された状態では、シート側面視で、第1部材の押圧部と第2部材の被押圧部とがシート前後方向に並ぶように配置される。これにより、シートクッションが格納位置に配置された状態における第1部材の押圧部及び第2部材の被押圧部の周辺部分の上下方向への体格の大型化を抑制することができる。
【0016】
第6の態様の車両用シートは、第1の態様の車両用シートにおいて、前記第2部材は、前記オットマンと前記第1部材との間に設けられ、前記シートクッションが変位された際に前記第1部材が前記第2部材の一部を押圧することで前記第2部材が変位され、変位された前記第2部材の他の一部が前記オットマン又は前記オットマンと共に変位する部材を押圧することで前記オットマンが変位される。
【0017】
第6の態様の車両用シートによれば、シートクッションが変位されると、シートクッションと共に第1部材が変位されて、第2部材の一部が第1部材によって押圧される。第2部材の一部が第1部材に押圧されることで、第2部材が変位されると、第2部材の他の一部がオットマン又はオットマンと共に変位する部材を押圧する。これにより、オットマンが変位される。このように、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる。また、第6の態様の車両用シートでは、シートクッションと共に変位する第1部材を設けると共に、この第1部材に押圧される第2部材を設けるという単純な構成により、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両用シートは、構造が複雑化すること抑制しつつ、シートクッションを変位させた際にオットマンをシートクッションに対して変位させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の車両用シートをシート左側から見た側面図であり、シートクッションが着座位置に位置している状態を示している。
図2】第1実施形態の車両用シートをシート左側から見た側面図であり、シートクッションが着座位置から格納位置へ移動される際の中間位置に位置している状態を示している。
図3】第1実施形態の車両用シートをシート左側から見た側面図であり、シートクッションが格納位置に位置している状態を示している。
図4】第2実施形態の車両用シートをシート左側から見た拡大側面図であり、シートクッションが着座位置に位置している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図3を用いて、第1実施形態の車両用シート10について説明する。
【0021】
図1には、第1実施形態の車両用シート10をシート左側から見た側面図が示されている。なお、図中における矢印FRはシート前方側、矢印UPはシート上方側をそれぞれ示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート幅方向の左右を示すものとする。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッション12と、着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバック14と、着座乗員の脚部をシート下方側から支持するオットマン16と、を備えている。ここで、図1図3に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、シートバック14を前方側へ向けて傾倒させることで当該シートバック14とシートクッション12とを上下方向に重ねることが可能となっていると共に、シートバック14を前方側へ向けて傾倒させる際にシートクッション12及びシートバック14が下方側へ変位される機構を備えている。なお、この機構をチルトダウン機構と呼ぶことにする。また、本実施形態の車両用シート10は、シートバック14を前方側へ向けて傾倒させる際に、オットマン16の下端部が車両のフロア18に当接することを抑制するためのオットマン持ち上げ機構20を備えている。
【0023】
図1に示されるように、シートクッション12は、当該シートクッション12の骨格を構成するシートクッションフレーム22を備えている。このシートクッションフレーム22には、表皮材に覆われたシートクッションパッドが取付けられている。なお、後述するオットマン持ち上げ機構20を構成する各部材を見易くするために、図1図3においてはシートクッションパッドの図示を省略している。
【0024】
シートクッションフレーム22は、左右方向に間隔をあけて配置されていると共に前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム24を備えている。左右一対のサイドフレーム24の後端部には、シートバック14が前後方向に傾動可能(回転可能)に支持されている。また、左右一対のサイドフレーム24の前端部には、オットマン支持部材26が固定されている。このオットマン支持部材26には、オットマン16の一方側の端部16Aが上下方向に傾動可能(回転可能)に支持されている。
【0025】
左右一対のサイドフレーム24の前端部と車体のフロアに固定される左右一対のベース部材28とは、左右一対の前リンク30を介して接続されている。ここで、左右一対のサイドフレーム24の前端部と左右一対の前リンク30とは、左右方向を回転軸方向として相対回転可能に接合されている。また、左右一対のベース部材28の前端部と左右一対の前リンク30とは、左右方向を回転軸方向として相対回転可能に接合されている。これにより、シートクッション12を図1に示された着座位置A1と図3に示された格納位置A2との間において移動させることが可能となっている。なお、本実施形態では、シートクッション12が着座位置A1から格納位置A2へ移動する際に、シートクッション12が下降すると共に前方側へ移動するようになっている。
【0026】
シートバック14は、当該シートバック14の骨格を構成するシートバックフレームに表皮材に覆われたシートバックパッド32が取付けられること等により構成されている。シートバック14は、図1に示された着座位置B1と図3に示された格納位置B2との間において移動させることが可能となっている。なお、本実施形態では、シートバック14が着座位置B1から格納位置B2へ移動する際に、シートバック14が前方側へ傾動すると共に下降するようになっている。
【0027】
オットマン16は、一例として板状に形成されたベース部材34に表皮材に覆われたクッション部材36が取付けられること等により形成されている。ここで、図1に示されたオットマン16は格納位置Cに位置している。シートクッション12が着座位置A1に位置している状態で、かつオットマン16が格納位置Cに位置している状態では、オットマン16がシートクッション12に着座した乗員の脚部に接触することが抑制されている。シートクッション12が着座位置A1に位置している状態で、かつオットマン16が格納位置Cに位置している状態では、オットマン16の他方側の端部16Bが車両のフロア18と上下方向に近接して配置されている。なお、オットマン16は、格納位置Cから前方側及び上方側へ傾動されることにより、着座乗員の脚部をシート下方側から支持可能な支持位置に配置される。オットマン16を格納位置Cから支持位置へ傾動させる構成は、手動の構成であってもよいし電動の構成であってもよい。また、オットマン16を所定の位置に保持する構成は、後述するオットマン持ち上げ機構20の動作を妨げない構成であればよい。一例として、オットマン16を格納位置Cから支持位置側へ傾動させる際においては、格納位置Cから支持位置を含む任意の角度まで傾動されたオットマン16の下方側への傾動がロックされ、格納位置Cから支持位置を含む任意の角度まで傾動されたオットマン16を下方側(格納位置C側)へ戻す際においては、保持解除部を操作することにより、オットマン16の下方側への傾動が許容される構成とすればよい。
【0028】
オットマン持ち上げ機構20は、前リンク30を構成する第1部材としてのシートクッション側リンク38と、オットマン16に固定された第2部材としてのオットマン側リンク40と、を含んで構成されている。なお、シートクッション側リンク38及びオットマン側リンク40は、左右の両側に設けられていてもよいし、左右の片側に設けられていてもよい。また、シートクッション側リンク38及びオットマン側リンク40は、左右の中間部に設けられていてもよい。以下においては、シートクッション側リンク38及びオットマン側リンク40が、左側のみに設けられているものとして説明する。
【0029】
シートクッション側リンク38は、左側から見て略L字状に形成されている。このシートクッション側リンク38は、シートクッション12が着座位置A1に位置している状態において上下方向に延びる接続部38Aと、接続部38Aの上端から前方側へ向けて突出するように延びる押圧部38Bと、を備えている。接続部38Aの上端側かつ押圧部38Bよりも下方側の部位は、左側のサイドフレーム24の前端部に左右方向を回転軸方向として相対回転可能に接合されている。また、接続部38Aの下端部は、左側のベース部材28の前端部に左右方向を回転軸方向として相対回転可能に接合されている。
【0030】
オットマン側リンク40は、左側から見て略L字状に形成されている。このオットマン側リンク40は、オットマン16の左側に固定されていると共に当該オットマン16の一方側の端部16Aから他方側の端部16B側に向けて延びるオットマン固定部40Aを備えている。また、オットマン側リンク40は、シートクッション12が着座位置A1に位置している状態かつオットマン16が格納位置Cに位置している状態においてオットマン固定部40Aの上端部から後方側へ向けて突出するように延びる被押圧部40Bを備えている。シートクッション12が着座位置A1に位置している状態かつオットマン16が格納位置Cに位置している状態では、シートクッション側リンク38の押圧部38Bとオットマン側リンク40の被押圧部40Bとがシート上下方向に並ぶ(重なる)ように配置されている。
【0031】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0032】
図1図2及び図3に示されるように、以上説明した本実施形態の車両用シート10では、シートバック14が着座位置B1から格納位置B2側へ変位されることにより、シートクッション12が着座位置A1から格納位置A2側へ変位されると、シートクッション側リンク38が前側へ傾動される。
【0033】
図2に示されるように、シートクッション側リンク38が前側へ傾動されると、オットマン側リンク40の被押圧部40Bがシートクッション側リンク38の押圧部38Bによって上方側から押圧される。
【0034】
図3に示されるように、オットマン側リンク40の被押圧部40Bがシートクッション側リンク38の押圧部38Bに押圧されることで、オットマン側リンク40が変位されると、オットマン側リンク40と共にオットマン16が変位される。このように、本実施形態では、シートバック14及びシートクッション12を変位させた際にオットマン16をシートクッション12に対して変位させることができる。これにより、オットマン16の他方側の端部16Bを車両のフロア18と離間させることができる。すなわち、本実施形態では、シートバック14を前方側へ向けて傾倒させる際に、オットマン16の下端部(他方側の端部16B)が車両のフロア18に当接することを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、シートクッション12と共に変位するシートクッション側リンク38を設けると共に、オットマン16と共に変位するオットマン側リンク40を設けるという単純な構成により、シートクッション12を変位させた際にオットマン16をシートクッション12に対して変位させることができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、図1に示されるように、シートクッション12が着座位置A1に配置された状態では、シートクッション側リンク38の押圧部38Bが接続部38Aに対してシート前方側へ突出している。これにより、シートクッション12が着座位置A1に配置された状態で、シートクッション側リンク38の押圧部38Bが着座乗員の臀部側(上方側)へ突出することを防止することができる。
【0037】
また、本実施形態では、図3に示されるように、シートクッション12が格納位置A2に配置された状態では、シート側面視で、シートクッション側リンク38の押圧部38Bが接続部38Aに対してシート下方側へ突出している。これにより、シートクッション12が格納位置A2に配置された状態で、シートクッション側リンク38の押圧部38Bが接続部38Aに対してシート上方側へ突出している構成と比べて、シートクッションの上面側のフラット化を図ることができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、図1に示されるように、シートクッション12が着座位置A1に配置された状態では、オットマン側リンク40の被押圧部40Bがオットマン固定部40Aに対してシート後方側へ突出している。これにより、シートクッション12が着座位置A1に配置された状態で、オットマン側リンク40の被押圧部40Bが着座乗員の脚部側(前方側)へ突出することを防止することができる。
【0039】
また、図3に示されるように、シートクッション12が格納位置A2に配置された状態では、オットマン側リンク40の被押圧部40Bがオットマン固定部40Aに対してシート下方側へ突出している。これにより、シートクッション12が格納位置A2に配置された状態で、オットマン側リンク40の被押圧部40Bがオットマン固定部40Aに対してシート上方側へ突出している構成と比べて、オットマン16の上面側のフラット化を図ることができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、図1に示されるように、シートクッション12が着座位置A1に配置された状態では、シートクッション側リンク38の押圧部38Bとオットマン側リンク40の被押圧部40Bとがシート上下方向に並ぶように配置される。これにより、シートクッション12が着座位置A1に配置された状態におけるシートクッション側リンク38の押圧部38B及びオットマン側リンク40の被押圧部40Bの周辺部分の前後方向への体格の大型化を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、図3に示されるように、シートクッション12が格納位置A2に配置された状態では、シートクッション側リンク38の押圧部38Bとオットマン側リンク40の被押圧部40Bとがシート前後方向に並ぶように配置される。これにより、シートクッション12が格納位置A2に配置された状態におけるシートクッション側リンク38の押圧部38B及びオットマン側リンク40の被押圧部40Bの周辺部分の上下方向への体格の大型化を抑制することができる。
【0042】
(第2実施形態の車両用シート42)
次に、第2実施形態の車両用シート42について説明する。なお、第2実施形態の車両用シート42において前述の第1実施形態の車両用シート10と対応する部材及び部分には、第1実施形態の車両用シート10と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0043】
図4に示されるように、本実施形態の車両用シート42では、第2部材としての中間リンク44が、第1部材としてのシートクッション側リンク38とオットマン16との間に設けられていることに特徴がある。
【0044】
中間リンク44は、左側から見て略L字状に形成されている。この中間リンク44は、一例としてオットマン支持部材26に左右方向を軸方向として傾動可能(回転可能)に支持されている。中間リンク44においてオットマン支持部材26に支持されている部分からシートクッション側リンク38側へ向けて延びている部分は、被押圧部44Aとされている。また、中間リンク44においてオットマン支持部材26に支持されている部分からオットマン側リンク40側へ向けて延びている部分は、オットマン押圧部44Bとされている。
【0045】
以上説明した本実施形態の車両用シート42では、シートクッション12が着座位置A1から格納位置A2側へ変位されると、シートクッション側リンク38が前側へ傾動される。
【0046】
シートクッション側リンク38が前側へ傾動されると、中間リンク44の被押圧部44Aがシートクッション側リンク38の押圧部38Bによって上方側から押圧される。
【0047】
中間リンク44の被押圧部44Aがシートクッション側リンク38の押圧部38Bに押圧されることで、中間リンク44が変位されると、中間リンク44のオットマン押圧部44Bがオットマン側リンク40を下方側から押圧する。これにより、前述の第1実施形態の車両用シート10と同様に、オットマン16を変位させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、オットマン持ち上げ機構20が、中間リンク44を含んで構成されていることにより、各々のリンク(シートクッション側リンク38、中間リンク44及びオットマン側リンク40)の体格の大型化を抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、中間リンク44のオットマン押圧部44Bがオットマン側リンク40を下方側から押圧することによりオットマン16を変位させた構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間リンク44のオットマン押圧部44Bがオットマン16を直接押圧することによりオットマン16を変位させた構成としてもよい。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 車両用シート
12 シートクッション
16 オットマン
38 シートクッション側リンク(第1部材)
38A 接続部
38B 押圧部
40 オットマン側リンク(第2部材)
40A オットマン固定部
40B 被押圧部
42 車両用シート
44 中間リンク(第2部材)
図1
図2
図3
図4