(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-17
(45)【発行日】2025-07-28
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/16 20060101AFI20250718BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20250718BHJP
【FI】
A63H3/16
A63H3/36 D
A63H3/36 G
A63H3/36 C
(21)【出願番号】P 2024145831
(22)【出願日】2024-08-27
【審査請求日】2025-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】安部 豊
(72)【発明者】
【氏名】重藤 千隼
(72)【発明者】
【氏名】福原 大輝
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-120877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0336879(US,A1)
【文献】特開平03-264084(JP,A)
【文献】特開2008-253404(JP,A)
【文献】樹脂粘土で改造パーツを作る,ダー様のフィギュア小隊 [online],2015年09月08日,[2025年4月1日検索], インターネット: <URL:https://ratorowa.blog.fc2.com/blog-entry-59.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形に成形することが可能な素材で構成された本体部と、
前記本体部よりも硬質の素材にて構成され、前記所定の形に成形された前記本体部の任意の位置に挿通される副体部と、を備え、
前記副体部の前記本体部に挿通される挿通部は、先端の径が、当該先端よりも基端側の部分の径よりも大きく構成され
、
前記挿通部の先端は、前記本体部に対して回転可能な形状に構成されている、玩具。
【請求項2】
請求項
1に記載の玩具であって、
前記副体部は、前記本体部に挿通された状態で前記本体部を支持可能なパーツを含む、
玩具。
【請求項3】
請求項
2に記載の玩具であって、
前記本体部は、キャラクタの胴体を構成し、
前記副体部の前記パーツは、キャラクタの脚を構成する脚パーツである、玩具。
【請求項4】
請求項
3に記載の玩具であって、
前記副体部は、キャラクタの腕を構成する腕パーツを含む、玩具。
【請求項5】
請求項
4に記載の玩具であって、
前記脚パーツは、前記腕パーツよりも短く構成されている、玩具。
【請求項6】
請求項
5に記載の玩具であって、
前記副体部は、キャラクタの顔に関連するパーツを含む、玩具。
【請求項7】
請求項
6に記載の玩具であって、
前記副体部は、他の部品を取付け可能な部品取付部を備えている、玩具。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の玩具であって、
前記所定の形の前記本体部は、単体で自立可能に構成されている、玩具。
【請求項9】
請求項
8に記載の玩具であって、
前記所定の形の前記本体部は、底面が平坦に構成され、
前記所定の形の前記本体部の横断面の面積は、前記底面が最大になるように構成されている、玩具。
【請求項10】
請求項
9に記載の玩具であって、
前記所定の形の前記本体部は、前記底面から上端にかけて細くなるように構成されている、玩具。
【請求項11】
請求項1
0に記載の玩具であって、
前記副体部は、合成樹脂にて構成されている、玩具。
【請求項12】
請求項1
1に記載の玩具であって、
前記本体部は、任意の形に成形可能な第1形態から、時間の経過によって硬質化した第2形態へと変化可能な素材で構成されている、玩具。
【請求項13】
請求項1
2に記載の玩具であって、
前記本体部は、粘土にて構成されている、玩具。
【請求項14】
請求項1
3に記載の玩具であって、
前記粘土は、紙粘土である、玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具として、例えば、特許文献1においては、任意材質からなる粘土性素材と、粘土性素材に取付け可能な多数の小玩具からなる取付部材からなる、構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、粘土性素材にて構成された部分に対して小玩具を刺して遊ぶ玩具である。しかしながら、ここに開示された玩具は、パーツである小玩具を単に刺すようにして固定するだけであるため、興趣性に乏しいという課題がある。
【0005】
本発明は、例えば、興趣性の高い玩具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば玩具であって、所定の形に成形することが可能な素材で構成された本体部と、上記本体部よりも硬質の素材にて構成され、上記所定の形に成形された上記本体部の任意の位置に挿通される副体部と、を備え、上記副体部の上記本体部に挿通される挿通部は、先端の径が、その先端よりも基端側の部分の径よりも大きく構成されている。また本発明は、例えば玩具であって、所定の形に成形することが可能な素材で構成された本体部と、前記本体部よりも硬質の素材にて構成され、前記所定の形に成形された前記本体部の任意の位置に挿通される副体部と、を備え、前記副体部の前記本体部に挿通される挿通部は、先端の径が、当該先端よりも基端側の部分の径よりも大きく構成され、前記挿通部の先端は、前記本体部に対して回転可能な形状に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、興趣性の高い玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一態様の玩具の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す玩具における腕パーツ、及び他のパーツの拡大斜視図である。
【
図3】
図1に示す玩具における脚パーツの拡大斜視図である。
【
図4】本体部に対する挿通部の取り付け状態の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図5】本体部に対する挿通部の取り付け状態の他の例を示す要部拡大断面図である。
【
図6】玩具の組み立て展示状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様である玩具について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の一態様の玩具を示す斜視図である。
図1に示す玩具1は、本体部10に副体部30を取り付けて人形の形態とする玩具である。玩具1は、任意の形に成形可能な素材で構成された本体部10と、この本体部10よりも硬質の合成樹脂などの素材にて構成されて、キャラクタ形状に成形された本体部10の任意の位置に挿通可能な副体部30と、を備えている。本体部10の素材は、任意の形に成形可能な第1形態から、時間の経過によって硬質化した第2形態へと変化可能なものとなっている。このような素材としては、例えば紙粘土などの粘土が挙げられる。
【0010】
副体部30は、例えば、腕パーツ33、脚パーツ34、顔用のパーツ38(
図6参照)、及び武器パーツ39(
図6参照)などの種類がある。また、副体部30のうち、特に腕パーツ33、及び脚パーツ34において本体部10に挿通する部分である挿通部31は、後述のように、その先端31aの径が、当該先端31aよりも基端側の円柱部31bの径よりも大きく構成されている(
図2参照)。
【0011】
図2は、
図1に示す玩具における腕パーツ33、及び腕パーツ33に取付ける他のパーツの拡大斜視図である。
図2に示した腕パーツ33は、腕の長手方向に対して交差する方向に挿通部31が延びている。挿通部31は、本体部10に挿入する部分であるが、その横断面形状が円形に円柱部31bと、円柱部31bの先端部分の球形の先端31aと、から構成されている。この挿通部31は、肩部分に相当する部分として構成されている。ここで、先端31aは、その球形の直径(d1)が円柱部31bの直径(d2)よりも大きく構成されている。また、挿通部31が円柱形に構成されていることで、腕パーツ33は、本体部10への挿通状態において、挿通部31の軸線CLを中心に回転動(R方向の回転)がし易い構造である。
【0012】
腕パーツ33の先端側の手の部分は、腕パーツ33の長手方向に対して交差する方向の貫通孔33bを有する部品取付部33aとして構成されている。すなわち、貫通孔33bに、他のパーツである、例えば武器パーツ39の取付軸39bを挿入して、腕パーツ33に武器パーツ39が取り付けられる。なお、貫通孔33bには、切欠き33kが設けられている。この切欠き33kが形成されていることで、貫通孔33bの孔径が取付軸39bよりも若干小さく構成されていることで、当該取付軸39bを弾性的に確りと保持することができる。
【0013】
図3は、
図1に示す玩具における脚パーツ34の拡大斜視図である。
図3に示す左右の脚パーツ34は、脚部35及び足部36の組み合わせにて構成されている。例えば、足部36の上端面に設けられた嵌合孔36hに脚部35の下端軸35bを挿入嵌着して組み立てられる。この構成により、足部36は、脚部35に対して回転して向きを自在に変えることができる。左右の脚パーツ34は、本体部10に挿通され、さらに載置面に載置された状態では、本体部10を支持可能なパーツとして機能する。
【0014】
脚部35の上端側には、挿通部31が設けられており、腕パーツ33と同様に円柱部31b、及び球形の先端31aを備えている。脚パーツ34においても、先端31aの球形の直径(d3)は、円柱部31bの直径(d4)よりも大きく構成されている。また、脚パーツ34においても、本体部10への挿通状態において、挿通部31の軸線CLを中心に回転動(Y方向の回転)が可能である。なお、脚パーツ34の長さ(L34)は、腕パーツ33の長さ(L33)よりも短く構成されている。
【0015】
図4は、本体部10に対する挿通部31の取り付け状態の一例を示す要部拡大断面図である。
例えば、副体部30を本体部10に刺し込むときは、挿通部31の軸線CLに方向に押し込むように操作する。これによって、挿通部31は、
図4に示すように、先端31aが所定深さで本体部10内に入り込んだ状態となる。
ここで、図示の状態においては、先端31aよりも本体部外側(図中左側)に位置し且つ円柱部31bの周りに位置する先端外側部10bは、先端31aが抜けないように構成されている。すなわち、先端外側部10bの間隔(d5)は、先端31aの径よりも小径となっている。これは、挿通部31を刺し込んだときにはこのようになっておらず、挿通部31を押し込んだときには、先端31aの径以上の押し込み径部10aaが形成される。そして、刺し込んだ後に、円柱部31bの周り本体部10の外面を、例えば指先で押すようにすることで先端外側部10bの間隔(d5)の構造が得られる。
【0016】
このように先端31aよりも小径の先端外側部10bが形成されることで、挿通部31は、本体部10から抜け落ち難い状態で保持される。また、粘土が固くなることで、抜け落ち防止効果はより一層確実になる。また、先端31aが球形状であることで、軸線CLを中心にして回転が可能である。
【0017】
図5は、本体部10に対する挿通部31の取り付け状態の他の例を示す要部拡大断面図である。
図5に示した構成の場合、円柱部31bに対面する先端外側部10bが外広がりのテーパ面に構成されている。このテーパ面の構成の場合、挿通部31は、先端31aを揺動中心として所定角度(図中の矢印Z方向)で揺動することができる。このテーパ面の形成は、例えば、挿通部31を本体部10に押し込んだ後に、先端外側部10bを一旦
図4に示すような形状とする。その後、挿通部31を所定角度で傾けた状態で揺動且つ回転させることにより、円柱部31bの外面を使ってテーパ面に成形する。
【0018】
図6は、玩具1の組み立て展示状態の一例を示す斜視図である。
副体部30は、本体部10に挿通された状態で、脚パーツ34が本体部10を支持して載置部60上に展示することができる。脚パーツ34は、前述したように長さが脚パーツ34に比べて短く構成され、更に、足部36の裏面側が平坦に構成され且つ比較的広い面となっていることで、本体部10を安定して保持している。また、足部36の向きも自在に変えることができるので、安定して載置することができる。また、本体部10には、他の副体部30として、キャラクタの顔に関連する目パーツ38が設けられ、キャラクタの表情を楽しむことができる。
【0019】
図7は、本体部10を底面側から見た斜視図である。
本体部10は、
図7に示すように、底面10dが平坦に構成されている。更に、本体部10の横断面の面積は、底面10dが最大になるように底面から上端にかけて細くなるように構成されている。この構成によれば、例えば、本体部10には腕パーツ33や顔のパーツを取り付け、脚パーツ34の無い状態であっても、底面10dを底面として単体で自立可能に構成されている。
【0020】
以上述べたように、本態様の玩具1は、形を自由に成形できる軟質の本体部10に対して挿通可能な副体部30は、本体部10に挿入される挿通部31において、その先端31aの径が基端側の径よりも大きく構成されていることで、本体部10に差し込まれた挿通部31が容易には抜けない様にできる。
【0021】
また、本態様の玩具1では、挿通部31の先端31aが、例えば略球形に形成されて本体部10に対して回転可能に構成されていることで、副体部30の向きを回転させて自在に変えることができる。
【0022】
本態様の玩具1では、副体部30は、腕パーツに比べて短く構成された脚パーツ34を備えているので、本体部10をキャラクタの胴体部分としてそれを安定して支えて自立する人形形態を構成することができる。更に、腕パーツ33が設けられる構成となっていることで、動きのあるキャラクタを構成することが可能である。更に、顔を作るパーツを備えているので、キャラクタを表現することができる。
【0023】
本態様の玩具1では、副体部30の腕パーツ33においては、部品取付部33aを備えているので、他の部品を取り付けた構成とするのが容易である。
【0024】
本態様の玩具1では、本体部10は、下端側が大きく底面が平坦に構成されていることで、それ自体でも自立可能に構成されていることで、脚パーツ34等を取り付けない状態でも、キャラクタを表すことができる。また、本体部10は上端側が細くなるように構成されていることで、安定載置が可能となる。
【0025】
また、本態様の玩具1によれば、本体部10は、例えば粘土のように時間の経過とともに固くなるように構成されていることで、形の形成時は成型が容易であり、時間の経過によって成型品を安定した形に保管できる。
【0026】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば上記態様においては、腕パーツ33,及び脚パーツ34において、挿通部31に球形の先端31aを備える構成としたが、この構成に限るものではなく、目パーツ38の挿通部にも、球形の先端31aが設けられた構成であっても良い。この場合、目の向きを変えることが容易にでき、キャラクタの表情に変化を与えることが可能となる。
【0027】
<実施形態のまとめ> 上記実施形態は以下の玩具を少なくとも開示する。
(1)
所定の形に成形することが可能な素材で構成された本体部と、
上記本体部よりも硬質の素材にて構成され、上記所定の形に成形された上記本体部の任意の位置に挿通される副体部と、を備え、
上記副体部の上記本体部に挿通される挿通部は、先端の径が、その先端よりも基端側の部分の径よりも大きく構成されている、玩具。
(2)
(1)に記載の玩具であって、
上記挿通部の先端は、上記本体部に対して回転可能な形状に構成されている、玩具。
(3)
(1)又は(2)に記載の玩具であって、
上記副体部は、上記本体部に挿通された状態で上記本体部を支持可能なパーツを含む、玩具。
(4)
(3)に記載の玩具であって、
上記本体部は、キャラクタの胴体を構成し、
上記副体部の上記パーツは、キャラクタの脚を構成する脚パーツである、玩具。
(5)
(4)に記載の玩具であって、
上記副体部は、キャラクタの腕を構成する腕パーツを含む、玩具。
(6)
(5)に記載の玩具であって、
上記脚パーツは、上記腕パーツよりも短く構成されている、玩具。
(7)
(4)から(6)のいずれか1つに記載の玩具であって、
上記副体部は、キャラクタの顔に関連するパーツを含む、玩具。
(8)
(1)から(7)のいずれか1つに記載の玩具であって、
上記副体部は、他の部品を取付け可能な部品取付部を備えている、玩具。
(9)
(1)から(8)のいずれか1つに記載の玩具であって、
上記所定の形の上記本体部は、単体で自立可能に構成されている、玩具。
(10)
(9)に記載の玩具であって、
上記所定の形の上記本体部は、底面が平坦に構成され、
上記所定の形の上記本体部の横断面の面積は、上記底面が最大になるように構成されている、玩具。
(11)
(10)に記載の玩具であって、
上記所定の形の上記本体部は、上記底面から上端にかけて細くなるように構成されている、玩具。
(12)
(1)から(11)のいずれか1つに記載の玩具であって、
上記副体部は、合成樹脂にて構成されている、玩具。
(13)
(1)から(12)のいずれか1つに記載の玩具であって、
上記本体部は、任意の形に成形可能な第1形態から、時間の経過によって硬質化した第2形態へと変化可能な素材で構成されている、玩具。
(14)
(13)に記載の玩具であって、
上記本体部は、粘土にて構成されている、玩具。
(15)
(14)に記載の玩具であって、
上記粘土は、紙粘土である、玩具。
【符号の説明】
【0028】
1 玩具
10 本体部
30 副体部
31 挿通部
31a 先端
33 腕パーツ
33a 部品取付部
34 脚パーツ
【要約】
【課題】興趣性の高い玩具を提供する。
【解決手段】所定の形に成形することが可能な素材で構成された本体部10と、本体部10よりも硬質の素材にて構成され、所定の形に成形された本体部10の任意の位置に挿通される副体部30と、を備え、副体部30の本体部10に挿通される挿通部31は、先端31aの径が、当該先端31aよりも基端側の部分の径よりも大きく構成されている。形を自由に成形できる軟質の本体部10に対して挿通可能な副体部30は、本体部10に挿入される挿通部31において、その先端31aの径が基端側の径よりも大きく構成され、本体部10に差し込まれた挿通部31が容易には抜けない構成が可能である。
【選択図】
図1