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特許7714217液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置及び液圧シリンダ装置
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  • 特許-液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置及び液圧シリンダ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-18
(45)【発行日】2025-07-29
(54)【発明の名称】液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置及び液圧シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20250722BHJP
   F16J 15/3204 20160101ALI20250722BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20250722BHJP
【FI】
F15B15/14 355Z
F16J15/3204 101
F16J15/10 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021163463
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054546
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】394007849
【氏名又は名称】株式会社堀内機械
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】津田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】細井 耕平
(72)【発明者】
【氏名】荘司 直毅
(72)【発明者】
【氏名】辻本 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】戸波 照喜
(72)【発明者】
【氏名】前田 宗万
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特許第6902298(JP,B1)
【文献】実開昭63-137100(JP,U)
【文献】特開平01-182672(JP,A)
【文献】特開2000-337310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0024682(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1931058(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14
F16J 15/3204
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブと、ピストンと、ピストンロッドと、ロッドブッシュと、ロッド側カバーと、ヘッド側カバーとが備えられ、前記ピストンロッドが前記ロッドブッシュを貫通して延出する液圧シリンダ装置に付設可能な液漏れポート付設装置において、
前記ピストンロッドにおける前記ロッドブッシュからの延出部分が摺動可能な内周部と、前記ロッドブッシュの外周面が嵌合可能な嵌合部と、前記内周部の環状溝に装着されたダストシールと、前記嵌合部のOリング溝に装着されたOリングと、前記延出部分から前記ダストシールと前記Oリングとの間を通っての前記環状溝と前記Oリング溝との間に形成された漏液を導く液漏れ流路と、前記液漏れ流路の端部の液漏れポートとを備えた付設本体が形成され、
前記付設本体に、前記ダストシールを前記環状溝に圧着する圧着プレートが取り付けられて液漏れポート付設装置が形成され、
前記付設本体は前記液漏れ流路の仮想延長線と交差し、かつ前記付設本体は前記ピストンロッドの中心軸を含む平面で2分割されるとともに、前記圧着プレートは前記ピストンロッドの中心軸を含む平面で2分割され、
前記ダストシールは前記ピストンロッドを乗り越えて前記環状溝に装着するためのシール切断部が形成されるとともに前記Oリングは前記ロッドブッシュを乗り越えて前記Oリング溝に装着するためのリング切断部が形成され、
前記2分割された付設本体における2分割された分割面にガスケットを介して一体化された状態で、前記シール切断部を広げて前記ピストンロッドを乗り越えて前記ダストシールが前記環状溝に装着され、2分割された前記圧着プレートが取り付けられるとともに、前記リング切断部を広げて前記ロッドブッシュを乗り越えて前記Oリングが前記Oリング溝に装着されていることを特徴とする液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置。
【請求項2】
前記付設本体の2分割位置と、前記ダストシールのシール切断部とは、前記ピストンロッドの先端側から軸方向に透視したときに、重ならないように前記ダストシールが前記付設本体の前記環状溝に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置。
【請求項3】
前記ダストシールのシール切断部と、前記圧着プレートの2分割位置とは、前記ピストンロッドの先端側から軸方向に透視したときに、重ならないように前記ダストシールと前記圧着プレートとが前記付設本体に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置。
【請求項4】
前記付設本体における前記分割面に介されるガスケットは液状ガスケットから形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置が液圧シ
リンダ装置に付設されていることを特徴とする液圧シリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置及び液圧シリンダ装置に係り、特に、液漏れポートが備えられていない既設の液圧シリンダ装置に、液圧シリンダ装置を駆動設備に設置した状態で簡単に液漏れポートを付設できるようにした液漏れポート付設装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、液漏れポートが備えられていない既設の液圧シリンダ装置に、その設置現場で簡単に液漏れポートを付設できるようにした液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置が、本出願人の提案により公知である(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、シールリングに切断部を形成することにより、液圧シリンダ装置の設置現場で、シールリングの交換をするようにしたものも公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6902298号公報
【文献】特許第6735602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置は、液漏れポートが備えられていない既設の液圧シリンダ装置に機械加工を施すことなく、設置現場で液圧シリンダ装置にドライバーで簡単に取付けできるようにしたものである。
しかしながら、特許文献1記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置は、既設の液圧シリンダ装置を、その駆動設備から取り外して液圧シリンダ装置のピストンロッドにおけるロッドブッシュの延出部分の先端から、取り付ける必要があり、液圧シリンダ装置とその駆動設備との脱着に手間がかかるという課題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載のシールリングは、既設の液圧シリンダ装置への液漏れポートの付設ではなく、シールリングの交換であるため、特許文献2のシールリングを特許文献1と組み合わせたとしても、液圧シリンダ装置とその駆動設備との脱着を不要とすることはできないという課題があった。
そこで、本発明は、このような従来の技術が有していた課題を解決しようとするものであり、液漏れポートが備えられていない既設の液圧シリンダ装置に、液圧シリンダ装置を駆動設備に設置した状態で簡単に液漏れポートを付設できるようにした液漏れポート付設装置とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置は、シリンダチューブと、ピストンと、ピストンロッドと、ロッドブッシュと、ロッド側カバーと、ヘッド側カバーとが備えられ、前記ピストンロッドが前記ロッドブッシュを貫通して延出する液圧シリンダ装置に付設可能な液漏れポート付設装置において、
前記ピストンロッドにおける前記ロッドブッシュからの延出部分が摺動可能な内周部と、前記ロッドブッシュの外周面が嵌合可能な嵌合部と、前記内周部の環状溝に装着されたダストシールと、前記嵌合部のOリング溝に装着されたOリングと、前記延出部分から前記ダストシールと前記Oリングとの間を通っての前記環状溝と前記Oリング溝との間に形成された漏液を導く液漏れ流路と、前記液漏れ流路の端部の液漏れポートとを備えた付設本体が形成され、
前記付設本体に、前記ダストシールを前記環状溝に圧着する圧着プレートが取り付けられて液漏れポート付設装置が形成され、
前記付設本体は前記液漏れ流路の仮想延長線と交差し前記ピストンロッドの軸中心位置で2分割されるとともに、前記圧着プレートは中心位置で2分割され、
前記ダストシールは前記ピストンロッドを乗り越えて前記環状溝に装着するためのシール切断部が形成されるとともに前記Oリングは前記ロッドブッシュを乗り越えて前記Oリング溝に装着するためのリング切断部が形成され、
前記2分割された付設本体における2分割された分割面にガスケットを介して一体化された状態で、前記シール切断部を広げて前記ピストンロッドを乗り越えて前記ダストシールが前記環状溝に装着され、2分割された前記圧着プレートが取り付けられるとともに、前記Oリング切断部を広げて前記ロッドブッシュを乗り越えて前記Oリングが前記Oリング溝に装着されているものである。
【0007】
請求項2に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置は、請求項1に記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の構成に加え、前記付設本体の2分割位置と、前記ダストシールのシール切断部とは、前記ピストンロッドの先端側から軸方向に透視したときに、重ならないように前記ダストシールが前記付設本体の前記環状溝に装着されているものである。
【0008】
請求項3に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置は、請求項1又は2に記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の構成に加え、前記ダストシールのシール切断部と、前記圧着プレートの2分割位置とは、前記ピストンロッドの先端側から軸方向に透視したときに、重ならないように前記ダストシールと前記圧着プレートとが前記付設本体に配設されているものである。
【0009】
請求項4に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置は、請求項1~3のいずれかに記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の構成に加え、前記付設本体における前記分割面に介されるガスケットは液状ガスケットから形成されているものである。
【0010】
請求項5に係る本発明の液圧シリンダ装置は、請求項1~4のいずれかに記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置が液圧シリンダ装置に付設されたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果は、前記ピストンロッドにおける前記ロッドブッシュからの延出部分が摺動可能な内周部と、前記ロッドブッシュの外周面が嵌合可能な嵌合部と、前記内周部の環状溝に装着されたダストシールと、前記嵌合部のOリング溝に装着されたOリングと、前記延出部分から前記ダストシールと前記Oリングとの間を通っての前記環状溝と前記Oリング溝との間に形成された漏液を導く液漏れ流路と、前記液漏れ流路の端部の液漏れポートとを備えた付設本体が形成され、前記付設本体に、前記ダストシールを前記環状溝に圧着する圧着プレートが取り付けられて液漏れポート付設装置が形成され、前記付設本体は前記液漏れ流路の仮想延長線と交差し前記ピストンロッドの軸中心位置で2分割されるとともに、前記圧着プレートは中心位置で2分割され、前記ダストシールは前記ピストンロッドを乗り越えて前記環状溝に装着するためのシール切断部が形成されるとともに前記Oリングは前記ロッドブッシュを乗り越えて前記Oリング溝に装着するためのリング切断部が形成され、前記2分割された付設本体における2分割された分割面にガスケットを介して一体化された状態で、前記シール切断部を広げて前記ピストンロッドを乗り越えて前記ダストシールが前記環状溝に装着され、2分割された前記圧着プレートが取り付けられるとともに、前記Oリング切断部を広げて前記ロッドブッシュを乗り越えて前記Oリングが前記Oリング溝に装着されているから、液漏れポートが備えられていない既設の液圧シリンダ装置を駆動装置に設置したまま、設置現場で簡単に液漏れポートを付設できるのである。
したがって、液圧シリンダ装置とその駆動装置との脱着をすることなく、液漏れポート付設装置を液圧シリンダ装置に付設することができるのである。
【0012】
請求項2に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果は、請求項1に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果に加え、前記付設本体の2分割位置と、前記ダストシールのシール切断部とは、前記ピストンロッドの先端側から軸方向に透視したときに、重ならないように前記ダストシールが前記付設本体の前記環状溝に装着されているから、前記付設本体の2分割位置と、前記ダストシールのシール切断部とからの漏液を防いで、漏液を液漏れ流路の端部の液漏れポートに確実に導くことができるのである。
【0013】
請求項3に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果は、請求項1又は2に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果に加え、前記ダストシールのシール切断部と、前記圧着プレートの2分割位置とは、前記ピストンロッドの先端側から軸方向に透視したときに、重ならないように前記ダストシールと前記圧着プレートとが前記付設本体に配設されているいるから、前記ダストシールのシール切断部と、前記圧着プレートの2分割位置とからの漏液を防いで、漏液を液漏れ流路の端部の液漏れポートに確実に導くことができるのである。
【0014】
請求項4に係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果は、請求項1~3のいずれかに係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果に加え、前記付設本体における前記分割面に介されるガスケットは液状ガスケットから形成されているから、付設本体の分割面のシールを液状ガスケットを塗布することで簡単に行うことができるのである。
【0015】
請求項5に係る本発明の液圧シリンダ装置の効果は、請求項1~4のいずれかに記載の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置が液圧シリンダ装置に付設されているから、請求項1~4のいずれかに係る本発明の液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置の効果を奏することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一の実施の形態に係る液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置を示す分解斜視図と、液圧シリンダ装置を示す斜視図である。
図2】本発明の第一の実施の形態に係る液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置が液圧シリンダ装置に付設された状態を一部省略して示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図及び(c)は断面図である。
図3図2(c)の部分拡大図である。
図4】本発明の第一の実施の形態に係る液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置に使用するダストシールを示す図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は(b)のA-A線断面図及び(d)は右側斜視図である。
図5】本発明の第一の実施の形態に係る液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置を示す図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図及び(d)は底面図である。
図6】(a)が図5(b)のB-B線断面図及び(b)が図5(b)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
図1図6は本発明の第一の実施の形態に係る図面であり、図1は液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置を示す分解斜視図と、液圧シリンダ装置を示す斜視図、図2は液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置が液圧シリンダ装置に付設された状態を一部省略して示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図及び(c)は断面図、図3図2(c)の部分拡大図、図4は液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置に使用するダストシールを示す図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は(b)のA-A線断面図及び(d)は右側斜視図、図5は液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置を示す図で、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図及び(d)は底面図、及び図6は(a)が図5(b)のB-B線断面図、(b)が図5(b)の斜視図である。
【0018】
本発明の第一の実施の形態を示す図1図6において、1は液圧シリンダ装置100への液漏れポート付設装置である。
液圧シリンダ装置100は、シリンダチューブ101と、ピストン102と、ピストンロッド103と、ロッドブッシュ104と、ロッド側カバー105と、ヘッド側カバー106とが備えられている。
【0019】
ピストンロッド103は、ロッドブッシュ104を貫通してシリンダチューブ101から延出しており、ピストンロッド103の延出部分103aの端部に設備駆動金具107が固定されるとともに、設備駆動金具107に金型などの負荷(図示せず)が取付けられて、液圧シリンダ装置100が稼働されるようになっている。
液漏れポート付設装置1は、付設本体2と、後記する圧着プレート3とから形成されている。
【0020】
付設本体2は、ピストンロッド103におけるロッドブッシュ104からの延出部分103aが摺動可能な内周部4と、ロッドブッシュ104の外周面104aが嵌合可能な嵌合部5と、内周部4の環状溝41に装着されたダストシール42と、嵌合部5のOリング溝51に装着されたOリング52と、延出部分103aからダストシール42とOリング52との間を通っての環状溝41とOリング溝51との間に形成された漏液を導く液漏れ流路6と、液漏れ流路6の端部の液漏れポート7とから形成されている。
前記圧着プレート3は、ダストシール42を環状溝41に圧着するために、付設本体2に取り付けられている。
【0021】
液漏れポート付設装置1の付設本体2に形成された液漏れ流路6は、図3図5(c)に示すように、ロッドブッシュ104の端面に当接する部分が断面半円状の溝に形成されている。
付設本体2は、液漏れ流路6の仮想延長線と直交しピストンロッド103の軸中心位置で、第1分割付設本体2aと第2分割付設本体2bとに2分割されている。
【0022】
そして、付設本体2における第1分割付設本体2aには、図5図6に示すように、液漏れ流路6の端部に液漏れポート7が接続部71を介して備えられている。
液漏れポート7の接続部71は付設本体2の取付座72に2本のビス73で取付座72に形成された雌ネジ(図示せず)に固定され、接続部71の端部に配管継手74が螺合されている。
【0023】
なお、図示していないが、液漏れポート付設装置1に液漏れポート7からの漏液を検知する漏液検知装置を設けて、液圧シリンダ装置100のユーザーが液圧シリンダ装置100の液漏れを検出して液圧シリンダ装置100の保守などができるようにするのである。
また、圧着プレート3は、中心位置で第1分割圧着プレート3aと第2分割圧着プレート3bとに2分割されている。
【0024】
ダストシール42は、PTFEの成形により形成されており、図4に示すように、ピストンロッド103を乗り越えて環状溝41に装着するためのシール切断部43が形成されている。
シール切断部43は、図4(c)において、周方向に対して交差する第一傾斜面43aと、周方向に沿って延びる第一垂直面43bと、周方向に対して交差する第二傾斜面43cと、周方向に沿って延びる第二垂直面43dと、周方向に対して交差する第三傾斜面43eとが連続面を形成するようにされている。
【0025】
そして、ダストシール42は、内周面の中央に窪み部44が形成され、外周部に2つの突起部45が形成され、ロッドブッシュ104側の側周面の中央に断面楔状の環状空所46が形成されている。
このように形成されたダストシール42は、環状溝41に装着された際に、図3に示すように、窪み部44と突起部45と環状空所46などによって圧縮変形がなされて、ピストンロッド103の延出部分103a及び環状溝41に密着して漏液の遮断を確実にしている。
【0026】
また、Oリング52は、ニトリルゴム製であり、ロッドブッシュ104を乗り越えて嵌合部5のOリング溝51に装着するためのリング切断部53(図1参照)が円周に直交して形成されている。
次に、液漏れポート付設装置1を既設の液圧シリンダ装置100に、液圧シリンダ装置100とその駆動装置である例えば金型との脱着をすることなく、付設する手順の一例を説明する。
【0027】
なお、液圧シリンダ装置100への液漏れポート付設装置1の付設に当たっては、図1図2において、液圧シリンダ装置100のピストン102をロッドブッシュ104側に移動させてピストンロッド103の延出部分103aを長くして作業スペースを広くすることもできる。
まず、2分割された付設本体2における2分割された第1分割付設本体2aの第1分割面21a又は第2分割付設本体2bの第2分割面21bに、シリコーンRTVガスケットである液状ガスケット22を塗布して、ピストンロッド103における延出部分103a周りに2本の六角穴付ボルト23を雌ネジ孔24に螺合することにより組付けて一体化する。
【0028】
このように、第1分割面21a又は第2分割付設本体2bの第2分割面21bに液状ガスケット22を塗布することで付設本体2の分割面21a、21bのシールを簡単に行うことができるのである。
一体化された状態の付設本体2に、シール切断部43を広げてピストンロッド103の延出部分103aを乗り越えてダストシール42が環状溝41に装着され、2分割された圧着プレート3の第1圧着プレート3aと第2圧着プレート3bとがそれぞれ2個の皿ネジ31を雌ネジ孔27に螺合して取り付けられるのである。
【0029】
また、一体化された状態の付設本体2に、リング切断部53を広げてロッドブッシュ104を乗り越えてOリング52がOリング溝51に装着されるのである。
そして、液漏れポート付設装置1を既設の液圧シリンダ装置100への付設において、
付設本体2の2分割位置(第1分割面、第2分割面)21a、21bと、ダストシール42のシール切断部43とは、ピストンロッド103の先端側となる設備駆動金具107から軸方向に透視したときに、重ならないように、例えばピストンロッド103の軸中心を中心として45度の角度ずらせてダストシール42が付設本体2の環状溝41に装着されている。
【0030】
このように、付設本体2の2分割位置21a、21bと、ダストシール42のシール切断部43とは、重ならないようにすることにより、付設本体2の2分割位置21a、21bと、ダストシール42のシール切断部43とからの漏液を防いで、漏液を液漏れ流路6の端部の液漏れポート7に確実に導くことができるようにしているのである。
また、ダストシール42のシール切断部43と、圧着プレート3の2分割位置32とは、ピストンロッド103の先端側となる設備駆動金具107から軸方向に透視したときに、重ならないように、例えばピストンロッド103の軸中心を中心として45度の角度ずらせてダストシール42と圧着プレート3とが付設本体2に配設されている。
【0031】
このように、ダストシール42のシール切断部43と、圧着プレート3の2分割位置32とは、重ならないようにすることにより、ダストシール42のシール切断部43と、圧着プレート3の2分割位置32とからの漏液を防いで、漏液を液漏れ流路6の端部の液漏れポート7に確実に導くことができるようにしているのである。
液漏れポート付設装置2の液圧シリンダ装置100への取付は。止ネジ25例えばとがり先タイプの六角穴付止ネジを、図3に示すように、Oリング52よりもシリンダチューブ101側の付設本体2における雌ネジ孔26に螺合するのである。
【0032】
以上のように、本発明の第一の実施の形態は、メーカーで製造された液漏れポート付設装置1を、液圧シリンダ装置100に機械加工を施すことなく、液圧シリンダ装置100とその駆動装置との脱着をすることなく設置現場で液圧シリンダ装置100にレンチやドライバーで簡単に取付けることができるのである。
つぎに、本発明の第二の実施の形態について説明する。
【0033】
第二の実施の形態は、図2に示すように、液漏れポート付設装置1が付設された液圧シリンダ装置である。
なお、図1において、108は固定フランジ、109はタイロッド、110はナットであり、図2(c)において、111はピストンパッキン、112はシリンダチューブガスケット、113はブッシュガスケット、114はロッドパッキン、115はダストパッキンである。
【0034】
つぎに、本発明の第一の実施の形態の変形例を説明する。
第一の実施の形態では、付設本体2は、液漏れ流路6の仮想延長線と直交しピストンロッド103の軸中心位置で、第1分割付設本体2aと第2分割付設本体2bとに2分割したが、液漏れ流路6の仮想延長線と直交ではなく、交差でもよい。
【0035】
また、第一の実施の形態では、付設本体2の2分割位置21a、21bと、ダストシール42のシール切断部43とは、ピストンロッド103の先端側から軸方向に透視したときに、重ならないようにダストシール42が付設本体2の環状溝41に装着されているが、重なってもよい。
また、第一の実施の形態では、ダストシール42のシール切断部43と、圧着プレート3の2分割位置32とは、ピストンロッド103の先端側から軸方向に透視したときに、重ならないようにダストシール42と圧着プレート3とが付設本体2に配設されるようにしたが、重なってもよい。
【0036】
さらに、第一の実施の形態では、付設本体2における分割面21a、21bに介されるガスケットをシリコーンRTVガスケット(室温硬化型液状ガスケット)から形成されるようにしたが、他の各種のガスケットとしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 液圧シリンダ装置への液漏れポート付設装置
2 付設本体
2a 第1分割付設本体
2b 第2分割付設本体
21a 第1分割面(2分割位置)
21b 第2分割面(2分割位置)
22 ガスケット(液状ガスケット)
3 圧着プレート
3a 第1分割圧着プレート
3b 第2分割圧着プレート
32 圧着プレートの2分割位置
4 内周部
41 環状溝
42 ダストシール
43 シール切断部
5 嵌合部
51 Oリング溝
52 Oリング
53 リング切断部
6 液漏れ流路
7 液漏れポート
100 液圧シリンダ装置
101 シリンダチューブ
102 ピストン
103 ピストンロッド
103a 延出部分
104 ロッドブッシュ
104a 外周面
105 ロッド側カバー
106 ヘッド側カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6