(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-18
(45)【発行日】2025-07-29
(54)【発明の名称】集積ダイオード・メモリ・デバイス
(51)【国際特許分類】
H10B 63/10 20230101AFI20250722BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20250722BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20250722BHJP
H10N 99/00 20230101ALI20250722BHJP
【FI】
H10B63/10
H10N70/00 A
H10N70/20
H10N99/00
(21)【出願番号】P 2023522782
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2021080809
(87)【国際公開番号】W WO2022117279
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2024-04-11
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ティモシー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ブリュー、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クレベンガー、ローレンス
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110707209(CN,A)
【文献】特開2012-084765(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0025977(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0271089(US,A1)
【文献】国際公開第2021/042422(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0091423(US,A1)
【文献】国際公開第2020/045845(WO,A1)
【文献】特開2010-225224(JP,A)
【文献】特開2008-294207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0161544(US,A1)
【文献】国際公開第2019/226000(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 63/10
H10N 70/00
H10N 70/20
H10N 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリ構造体であって、
相変化材料を
含む相変化メモリと、
前記相変化材料の第1の表面と直接接触し、前記相変化材料の幅に等しい幅を有する第1の電極と、
前記相変化材料の第2の表面と直接接触する相変化材料(PCM)ヒータであって、前記相変化材料の前記第2の表面が、前記相変化材料の前記第1の表面とは反対側にある、前記PCMヒータと
を含み、
前記第1の
電極と前記
PCMヒータが異なる材料である、
不揮発性メモリ構造体。
【請求項2】
不揮発性メモリ構造体であって、
相変化材料を含む相変化メモリと、
前記相変化材料の上面と直接接触する第1の電極と、
前記相変化材料の側壁および最下面と直接接触する相変化材料(PCM)ヒータと
を含み、
前記第1の電極と前記PCMヒータが異なる材料である、
不揮発性メモリ構造体。
【請求項3】
前記
PCMヒータの材料の仕事関数が、前記相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低い、請求項
1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記第1の
電極の材料が、
アルミニウム、タングステン、銅、窒化チタンおよび窒化タンタルからなるグループから選択され、前記PCMヒータの材料が、モリブデン
、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムからなるグループから選択される、請求項
3に記載の構造体。
【請求項5】
前記
PCMヒータの材料の仕事関数が、前記相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高い、請求項
1または2に記載の構造体。
【請求項6】
前記第1の
電極の材料が、
アルミニウム、タングステン、銅、窒化チタンおよび窒化タンタルからなるグループから選択され、前記PCMヒータの材料が、モリブデン
、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムからなるグループから選択される、請求項
5に記載の構造体。
【請求項7】
前記PCMヒータに直接接触する第2の電極であって、前記第1の電極および前記第2の電極は第1の材料から作られ、前記PCMヒータは第2の材料から作られる、請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
前記PCMヒータの底面に直接接触する第2の電極であって、前記第1の電極および前記第2の電極は第1の材料から作られ、前記PCMヒータは第2の材料から作られる、請求項2に記載の構造体。
【請求項9】
不揮発性メモリ構造体であって、
第1の電極と第2の電極の間に置かれた相変化材料を備え、前記第1の電極の上面が前記相変化材料の底面と直接接触し、前記相変化材料の底面が前記第2の電極の上面と直接接触し、前記第1の電極と前記第2の電極が異なる材料である、
不揮発性メモリ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不揮発性メモリに関し、より詳細には、ニューロモーフィック・コンピューティング(neuromorphic computing)用のメモリスタ・デバイス(memristive device)に関する。
【背景技術】
【0002】
データから学習する電子システムの主要な機能を広く記述するために、「機械学習」が使用されている。加速機械学習および認知科学において、人工ニューラル・ネットワーク(artificial neural network)(ANN)は、動物、特に脳の生体神経ネットワークから発想を得た統計的学習モデルの一種である。ANNは、多数の入力に左右されるシステムおよび機能であって、一般に知られていないシステムおよび機能を推定または近似する目的に使用することができる。ANNアーキテクチャ、ニューロモーフィック・マイクロチップおよび超高密度不揮発性メモリは、クロスバー・アレイ(cross-bar array)として知られている高密度、低コストの回路アーキテクチャによって形成することができる。基本的なクロスバー・アレイ構成は、一組の導電性行ワイヤと、この一組の導電性行ワイヤと交差するように形成された一組の導電性列ワイヤとを含む。この2組のワイヤ間の交点は、薄膜材料から形成することができるいわゆるクロスポイント・デバイス(crosspoint device)によって分離されている。クロスポイント・デバイスは、いわゆるメモリスタ・デバイスとして実装することができる。メモリスタ・デバイスの特性には、不揮発性であること、可変抵抗値を記憶することができること、および電流または電圧パルスを使用して抵抗をチューンアップまたはチューンダウンすることができることが含まれる。
【発明の概要】
【0003】
不揮発性メモリ構造体は、相変化材料(phase change material)を備える相変化メモリを含むことができる。この不揮発性メモリ構造体は、相変化メモリと直列のショットキー・ダイオードを含むことができ、このショットキー・ダイオードのショットキー障壁は相変化メモリの表面である。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0004】
段落[0003]の不揮発性メモリ構造体は、ショットキー障壁を、相変化材料とコンタクトの間の界面として有することができる。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0005】
段落[0004]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0006】
段落[0004]の不揮発性メモリ構造体は、チタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0007】
段落[0004]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0008】
段落[0004]の不揮発性メモリ構造体は、モリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0009】
不揮発性メモリ構造体は、第1のコンタクトと第2のコンタクトの間に置かれた相変化材料を含むことができ、第1のコンタクトと第2のコンタクトは異なる材料である。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0010】
段落[0009]の不揮発性メモリ構造体は、ショットキー障壁を、相変化材料とコンタクトの間の界面として有することができる。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0011】
段落[0010]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0012】
段落[0010]の不揮発性メモリ構造体は、チタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0013】
段落[0010]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0014】
段落[0010]の不揮発性メモリ構造体は、モリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0015】
不揮発性メモリ構造体は、複数のビット線および複数のワード線を含むことができる。この複数のビット線と複数のワード線の間にPCMメモリ構造体が置かれている。このPCMメモリ構造体は、第1のコンタクトと第2のコンタクトの間に置かれた相変化材料を含むことができる。第1のコンタクトと第2のコンタクトは異なる材料である。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0016】
段落[0015]の不揮発性メモリ構造体は、ショットキー障壁を、相変化材料とコンタクトの間の界面として有することができる。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0017】
段落[0016]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0018】
段落[0016]の不揮発性メモリ構造体は、チタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0019】
段落[0016]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0020】
段落[0016]の不揮発性メモリ構造体は、モリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0021】
不揮発性メモリ構造体は、複数のビット線および複数のワード線を含むことができる。この複数のビット線と複数のワード線の間にPCMメモリ構造体が置かれている。このPCMメモリ構造体は、相変化材料と、相変化メモリと直列のショットキー・ダイオードとを含むことができる。このショットキー・ダイオードのショットキー障壁は相変化メモリの表面である。ショットキー障壁は、相変化材料とコンタクトの間の界面である。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0022】
段落[0021]の不揮発性メモリ構造体は、ショットキー障壁を、相変化材料とコンタクトの間の界面として有することができる。これは、集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0023】
段落[0021]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0024】
段落[0021]の不揮発性メモリ構造体は、チタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、p型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0025】
段落[0021]の不揮発性メモリ構造体は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高い仕事関数を有する材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【0026】
段落[0021]の不揮発性メモリ構造体は、モリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムから選択された材料を有するコンタクトを有することができる。これは、n型集積ダイオード-メモリ構造体を形成することができ、この構造体は、構造体のフットプリントに不利益を与えることなく電流の方向性を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】例示的な実施形態による、クロスポイント・アレイの配置を示す図である。
【
図2】例示的な実施形態による、クロスポイント・アレイを通る電流経路の電気図である。
【
図3】例示的な実施形態による、集積ショットキーPCMセルの電気図である。
【
図4】例示的な実施形態による、集積ショットキーPCMマッシュルーム・セルの電気図である。
【
図5】例示的な実施形態による、集積ショットキーPCM充填セル(confined cell)の電気図である。
【
図6】例示的な実施形態による、集積ショットキーPCMブリッジ・セルの電気図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図の要素は必ずしも一定の倍率では描かれておらず、図の要素が本発明の特定のパラメータを表現することは意図されていない。図解を明瞭かつ容易にするために、要素の寸法が誇張されていることがある。正確な寸法については以下の詳細な説明を参照すべきである。図面は、本発明の典型的な実施形態だけを示すことが意図されており、したがって、図面が、本発明の範囲を限定していると考えるべきでない。図面では同じ符号が同じ要素を表している。
【0029】
次に、例示的な実施形態を、それらの例示的な実施形態が示されている添付図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実施することができるのであり、本開示が、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈すべきではない。これらの例示的な実施形態は、本開示が網羅的で完全なものとなるように、また、本開示が本開示の範囲を当業者に知らせるものとなるように提供したものである。この説明では、提示された実施形態を不必要に不明瞭にすることを防ぐため、よく知られた特徴および技術の詳細が省かれていることがある。
【0030】
以降の説明の目的上、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「縦(vertical)」、「水平(horizontal)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」などの用語、およびそれらの用語の派生語は、図面に配置されているときの開示された構造体および方法に関する。「~の上方に(above)」、「~の上にある(overlying)」、「~の頂部に(atop)」、「~の上に(on top)」、「~上に配置された(positioned on)」または「~の頂部に配置された(positioned atop)」などの用語は、第1の構造体などの第1の要素が第2の構造体などの第2の要素上にあることを意味し、第1の要素と第2の要素の間に界面構造体などの介在要素が存在してもよい。用語「じかに接触する(direct contact)」は、第1の構造体などの第1の要素と第2の構造体などの第2の要素とが、それらの2つの要素の界面に中間導電層、絶縁層または半導体層が存在することなく接続されていることを意味する。
【0031】
本発明の実施形態の提示を不明瞭にすることがないように、以下の詳細な説明では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは動作が、提示および例示の目的上、一緒に結合されていることがあり、また、いくつかの例では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは動作が詳細には説明されていないことがある。他の例では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは動作が全く説明されていないことがある。むしろ、以下の説明は、本発明のさまざまな実施形態の示差的な特徴または要素に焦点が当てられていることを理解すべきである。
【0032】
アナログ計算は、情報をメモリ・デバイスのコンダクタンスの範囲として記憶する、メモリスタ(memristor)などのメモリ・デバイスを使用する。このようなメモリ・デバイスはしばしば、格子状パターンに配置された多数のワード線およびビット線を有するクロスポイント・アレイとして配置され、1本のワード線および1本のビット線に電流が流れるのと同時に単一のメモリ・デバイスを読み取ることができる。例えば、
図1は、第1のワード線10A、第2のワード線10B、第1のメモリ・デバイス20A、第2のメモリ・デバイス20B、第3のメモリ・デバイス20C、第4のメモリ・デバイス20D、第1のビット線30Aおよび第2のビット線30Bを有する単純化されたクロスポイント・アレイを示している。
図1に示された例には、第4のメモリ・デバイス20Dの所望の読取りパス(read path)P1が示されている。しかしながら、第4のメモリ・デバイス20Dの読取り状態の間、第1のメモリ・デバイス20A、第2のメモリ・デバイス20Bおよび第3のメモリ・デバイス20Cを通るスニーク・パス(sneak path)P2が存在することがある。読取りパスP1とスニーク・パスP2の組合せが
図2に示されており、
図2には、第1のメモリ・デバイス20Aの第1のコンダクタンスG
A、第2のメモリ・デバイス20Bの第2のコンダクタンスG
B、第3のメモリ・デバイス20Cの第3のコンダクタンスG
C、および第4のメモリ・デバイス20Dの第4のコンダクタンスG
Dが示されている。したがって、
図1に示された例示的なレイアウトでは、第4のメモリ・デバイス20Dのメモリの状態を第4のコンダクタンスG
Dとして読み取る代わりに、式
【数1】
によって表される、第4のコンダクタンスG
Dと、第1のメモリ・デバイス20Aの第1のコンダクタンスG
A、第2のメモリ・デバイス20Bの第2のコンダクタンスG
B、第3のメモリ・デバイス20Cの第3のコンダクタンスG
Cとの組合せの状態が読み取られる。このことは伝統的なPCMメモリ用途の懸念事項であり、それぞれのメモリ・デバイスが離散値(すなわちデジタル)ではなく値の範囲(すなわちアナログ)を表すアナログ計算で図示のクロスポイント・アレイが使用されたときに、この懸念は悪化する。これは、適正な下流計算のために、それぞれのメモリ・デバイスのコンダクタンスの正確な読取りが必要なためである。
【0033】
メモリ・デバイスを流れる電流の方向を限定する手段としてダイオードが使用されることがあり、これによって、スニーク・パスP2を排除する(例えば、第1のメモリ・デバイス20Aを通る逆方向パスを除く)ことができる。しかしながら、伝統的なダイオード設計は、空間および処理に関する追加の考慮事項を生じさせ、それらの考慮事項は設計を高コストにする。本出願に含まれる構造体は、集積ショットキー・ダイオードおよびPCM構造体を提供する。本出願において理解されているとおり、PCMの相変化材料は半導体のように機能することができ、相変化材料の表面のうちの1つの表面だけのコンタクトに対して適当なダイオード・コンタクト材料が選択されたときに、相変化材料の表面がショットキー障壁として機能することを可能にすることができる。例えば、p型構造体に関して、ダイオード・コンタクト材料は、相変化材料の障壁高さよりも低い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、相変化材料よりも0.3~1eV低い仕事関数を有するように、ダイオード・コンタクト材料を選択することができる。n型構造体では、例えば、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも高い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、相変化材料よりも0.3~1eV高い仕事関数を有するように、ダイオード・コンタクト材料を選択することができる。
【0034】
図3は、例示的な実施形態による、集積ダイオード相変化メモリ構造体の断面図を示している。この材料スタックは、底部電極110、頂部電極120、相変化材料130および層間誘電体(ILD)140を含む。
【0035】
ILD140は、集積ダイオード・メモリ・セルを分離するために使用することができる。適当なILD材料は、限定はされないが、酸化シリコン(SiOx)、SiOCHもしくは酸化物超低k層間絶縁体(ultralow-k interlayer dielectric)(ULK-ILD)材料、またはこれらの組合せなどの酸化物低k材料、例えば2.7未満の誘電率kを有する酸化物低k材料を含む。比較すると、二酸化シリコン(SiO2)は3.9の誘電率k値を有する。適当な超低k誘電体材料は、限定はされないが、多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)を含む。
【0036】
例示的な実施形態によれば、底部電極110の上方に相変化材料130を置くことができる。相変化材料130は、例えばカルコゲニド・ベースの材料など、加熱によってアモルファス(高抵抗)状態または結晶(低抵抗)状態にプログラム可能でありうる材料を含むことができる。例示的なカルコゲニド・ベースの材料は、限定はされないが、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTeおよびIn2Se3を含む。相変化材料は、Ge-Sb-Te(ゲルマニウム-アンチモン-テルルまたは「GST」、例えばGe2Sb2Te5)合金を含むことができる。あるいは、相変化材料用の他の適当な材料は、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、およびこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、相変化材料がさらに、窒素、炭素もしくは酸素またはこれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、限定はされないが、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などを含む誘電体材料を相変化材料にドープすることができる。
【0037】
底部電極110および頂部電極120は、相変化材料130の表面とともにショットキー障壁を形成するように選択される。これを達成するため、底部電極110および頂部電極120は、一方が、低抵抗金属を含むことができ、もう一方が、コンタクト・ダイオード材料で形成されているように選択される。低抵抗金属は、Al、W、Cu、TiN、TaNまたは他の適当な材料とすることができる。コンタクト・ダイオード材料は、PCMデバイスがn型デバイスなのかまたはp型デバイスなのかに基づいて選択することができる。p型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも低い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV低い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このようなダイオード・コンタクト材料を、例えばチタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムとすることができる。n型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも高い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV高い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このような材料を、例えばモリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムとすることができる。
【0038】
前に述べたとおり、ダイオード・コンタクト材料から作られた電極と相変化材料130との界面に形成されたショットキー障壁がショットキー・ダイオードとして機能することを可能にするために、底部電極110と頂部電極120は異なるコンタクト材料である。したがって、一例では、底部電極110が低抵抗金属であり、頂部電極120がダイオード・コンタクト材料である。したがって、別の例では、頂部電極120が低抵抗金属であり、底部電極110がダイオード・コンタクト材料である。底部電極110および頂部電極120は、これらの電極に取り付けられたワード線およびビット線とは別個の層および材料であってもよく、またはこれらの電極が取り付けられたワード線およびビット線とはっきり区別されないものであってもよい(例えば、ワード線またはビット線は、ダイオード・コンタクト材料もしくは低抵抗金属またはその両方であってもよい)ことに留意すべきである。
【0039】
図4は、例示的な実施形態による、集積ダイオード・マッシュルーム・セル相変化メモリ構造体の断面図を示している。この材料スタックは、底部電極210、頂部電極220、相変化材料230、PCMヒータ231、PCM誘電体232および層間誘電体(ILD)240を含む。
【0040】
ILD240は、集積ダイオード・メモリ・セルを分離するために使用することができる。適当なILD材料は、限定はされないが、酸化シリコン(SiOx)、SiOCHもしくは酸化物超低k層間絶縁体(ULK-ILD)材料、またはこれらの組合せなどの酸化物低k材料、例えば2.7未満の誘電率kを有する酸化物低k材料を含む。比較すると、二酸化シリコン(SiO2)は3.9の誘電率k値を有する。適当な超低k誘電体材料は、限定はされないが、多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)を含む。
【0041】
PCM誘電体232は、相変化材料230の状態を変化させるためにPCMヒータ231によってもたらされる加熱に耐えるように選択することができる。PCM誘電体は、限定はされないが、酸化シリコン(SiOx)などの酸化物低k材料を含むことができる。
【0042】
例示的な実施形態によれば、PCMヒータ231の上方に相変化材料230を置くことができる。相変化材料230は、例えばカルコゲニド・ベースの材料など、加熱によってアモルファス(高抵抗)状態または結晶(低抵抗)状態にプログラム可能でありうる材料を含むことができる。例示的なカルコゲニド・ベースの材料は、限定はされないが、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTeおよびIn2Se3を含む。相変化材料は、Ge-Sb-Te(ゲルマニウム-アンチモン-テルルまたは「GST」、例えばGe2Sb2Te5)合金を含むことができる。あるいは、相変化材料用の他の適当な材料は、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、およびこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、相変化材料がさらに、窒素、炭素もしくは酸素またはこれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、限定はされないが、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などを含む誘電体材料を相変化材料にドープすることができる。
【0043】
PCMヒータ231および頂部電極220は、相変化材料230の表面とともにショットキー障壁を形成するように選択される。これを達成するため、PCMヒータ231および頂部電極220は、一方が、低抵抗金属を含むことができ、もう一方が、コンタクト・ダイオード材料で形成されているように選択される。低抵抗金属は、Al、W、Cu、TiN、TaNまたは他の適当な材料とすることができる。コンタクト・ダイオード材料は、PCMデバイスがn型デバイスなのかまたはp型デバイスなのかに基づいて選択することができる。p型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも低い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV低い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このようなダイオード・コンタクト材料を、例えばチタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムとすることができる。n型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも高い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV高い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このような材料を、例えばモリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムとすることができる。
【0044】
前に述べたとおり、ダイオード・コンタクト材料から作られた電極と相変化材料230との界面に形成されたショットキー障壁がショットキー・ダイオードとして機能することを可能にするために、PCMヒータ231と頂部電極220は異なるコンタクト材料である。したがって、一例では、PCMヒータ231が低抵抗金属であり、頂部電極220がダイオード・コンタクト材料である。したがって、別の例では、頂部電極220が低抵抗金属であり、PCMヒータ231がダイオード・コンタクト材料である。
【0045】
底部電極210は、例えばAl、W、Cu、TiN、TaNまたは他の適当な材料などの低抵抗金属として選択することができる。底部電極210および頂部電極220は、これらの電極に取り付けられたワード線およびビット線とは別個の層および材料であってもよく、またはこれらの電極が取り付けられたワード線およびビット線とはっきり区別されないものであってもよい(例えば、ワード線またはビット線は、ダイオード・コンタクト材料もしくは低抵抗金属またはその両方であってもよい)ことに留意すべきである。
【0046】
図5は、例示的な実施形態による、集積ダイオード・マッシュルーム・セル相変化メモリ構造体の断面図を示している。この材料スタックは、底部電極310、頂部電極320、相変化材料330、ライナ331、PCM誘電体332および層間誘電体(ILD)340を含む。
【0047】
ILD340は、集積ダイオード・メモリ・セルを分離するために使用することができる。適当なILD材料は、限定はされないが、酸化シリコン(SiOx)、SiOCHもしくは酸化物超低k層間絶縁体(ULK-ILD)材料、またはこれらの組合せなどの酸化物低k材料、例えば3.7未満の誘電率kを有する酸化物低k材料を含む。比較すると、二酸化シリコン(SiO2)は3.9の誘電率k値を有する。適当な超低k誘電体材料は、限定はされないが、多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)を含む。
【0048】
PCM誘電体332は、相変化材料330の状態を変化させるためにPCMヒータ(ライナ)331によってもたらされる加熱に耐えるように選択することができる。PCM誘電体は、限定はされないが、酸化シリコン(SiOx)などの酸化物低k材料を含むことができる。
【0049】
例示的な実施形態によれば、PCMヒータ(ライナ)331の上方に相変化材料330を置くことができる。相変化材料330は、例えばカルコゲニド・ベースの材料など、加熱によってアモルファス(高抵抗)状態または結晶(低抵抗)状態にプログラム可能でありうる材料を含むことができる。例示的なカルコゲニド・ベースの材料は、限定はされないが、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTeおよびIn2Se3を含む。相変化材料は、Ge-Sb-Te(ゲルマニウム-アンチモン-テルルまたは「GST」、例えばGe2Sb2Te5)合金を含むことができる。あるいは、相変化材料用の他の適当な材料は、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、およびこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、相変化材料がさらに、窒素、炭素もしくは酸素またはこれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、限定はされないが、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などを含む誘電体材料を相変化材料にドープすることができる。
【0050】
頂部電極320およびライナ331または底部電極310は、相変化材料330の表面とともにショットキー障壁を形成するように選択される。これを達成するため、頂部電極320およびライナ331または底部電極310は、一方が、低抵抗金属を含むことができ、もう一方が、コンタクト・ダイオード材料で形成されているように選択される。低抵抗金属は、Al、W、Cu、TiN、TaNまたは他の適当な材料とすることができる。コンタクト・ダイオード材料は、PCMデバイスがn型デバイスなのかまたはp型デバイスなのかに基づいて選択することができる。p型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも低い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV低い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このようなダイオード・コンタクト材料を、例えばチタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムとすることができる。n型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも高い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV高い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このような材料を、例えばモリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムとすることができる。
【0051】
前に述べたとおり、ダイオード・コンタクト材料から作られた電極と相変化材料330との界面に形成されたショットキー障壁がショットキー・ダイオードとして機能することを可能にするために、頂部電極320とライナ331または底部電極310は異なるコンタクト材料である。したがって、一例では、ライナ331が低抵抗金属であり、頂部電極320がダイオード・コンタクト材料である。したがって、別の例では、頂部電極320が低抵抗金属であり、ライナ331がダイオード・コンタクト材料である。
【0052】
底部電極310は、例えばAl、W、Cu、TiN、TaNまたは他の適当な材料などの低抵抗金属として選択することができる。底部電極310および頂部電極320は、これらの電極に取り付けられたワード線およびビット線とは別個の層および材料であってもよく、またはこれらの電極が取り付けられたワード線およびビット線とはっきり区別されないものであってもよい(例えば、ワード線またはビット線は、ダイオード・コンタクト材料もしくは低抵抗金属またはその両方であってもよい)ことに留意すべきである。
【0053】
図6は、例示的な実施形態による、集積ダイオード相変化メモリ構造体の断面図を示している。この材料スタックは、第1の電極410、第2の電極420、相変化材料430および層間誘電体(ILD)440を含む。
【0054】
ILD440は、集積ダイオード・メモリ・セルを分離するために使用することができる。適当なILD材料は、限定はされないが、酸化シリコン(SiOx)、SiOCHもしくは酸化物超低k層間絶縁体(ULK-ILD)材料、またはこれらの組合せなどの酸化物低k材料、例えば2.7未満の誘電率kを有する酸化物低k材料を含む。比較すると、二酸化シリコン(SiO2)は3.9の誘電率k値を有する。適当な超低k誘電体材料は、限定はされないが、多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)を含む。
【0055】
例示的な実施形態によれば、第1の電極410の上方に相変化材料430を置くことができる。相変化材料430は、例えばカルコゲニド・ベースの材料など、加熱によってアモルファス(高抵抗)状態または結晶(低抵抗)状態にプログラム可能でありうる材料を含むことができる。例示的なカルコゲニド・ベースの材料は、限定はされないが、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTeおよびIn2Se3を含む。相変化材料は、Ge-Sb-Te(ゲルマニウム-アンチモン-テルルまたは「GST」、例えばGe2Sb2Te5)合金を含むことができる。あるいは、相変化材料用の他の適当な材料は、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、およびこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、相変化材料がさらに、窒素、炭素もしくは酸素またはこれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、限定はされないが、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などを含む誘電体材料を相変化材料にドープすることができる。
【0056】
第1の電極410および第2の電極420は、相変化材料430の表面とともにショットキー障壁を形成するように選択される。これを達成するため、第1の電極410および第2の電極420は、一方が、低抵抗金属を含むことができ、もう一方が、コンタクト・ダイオード材料で形成されているように選択される。低抵抗金属は、Al、W、Cu、TiN、TaNまたは他の適当な材料とすることができる。コンタクト・ダイオード材料は、PCMデバイスがn型デバイスなのかまたはp型デバイスなのかに基づいて選択することができる。p型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも低い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV低い仕事関数を有するように選択することができる。上述のPCM材料に関しては、このようなダイオード・コンタクト材料を、例えばチタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムとすることができる。n型デバイスに対しては、ダイオード・コンタクト材料が、相変化材料の障壁高さよりも高い仕事関数を有する材料を含むことができ、いくつかの実施形態では、ダイオード・コンタクト材料を、相変化材料よりも0.3~1eV高い仕事関数を有するように選択することができる。上術のPCM材料に関しては、このような材料を、例えばMo、TiN、W、Au、Co、Cu、Ni、Pd、Irまたは他の適当な材料とすることができる。
【0057】
前に述べたとおり、ダイオード・コンタクト材料から作られた電極と相変化材料430との界面に形成されたショットキー障壁がショットキー・ダイオードとして機能することを可能にするために、第1の電極410と第2の電極420は異なるコンタクト材料である。したがって、一例では、第1の電極410が低抵抗金属であり、第2の電極420がダイオード・コンタクト材料である。したがって、別の例では、第2の電極420が低抵抗金属であり、第1の電極410がダイオード・コンタクト材料である。第1の電極410および第2の電極420は、これらの電極に取り付けられたワード線およびビット線とは別個の層および材料であってもよく、またはこれらの電極が取り付けられたワード線およびビット線とはっきり区別されないものであってもよい(例えば、ワード線またはビット線は、ダイオード・コンタクト材料もしくは低抵抗金属またはその両方であってもよい)ことに留意すべきである。
【0058】
本発明のさまざまな実施形態の以上の説明は例示のために示したものであり、以上の説明が網羅的であること、または、以上の説明が、開示された実施形態に限定されることは意図されていない。当業者には、記載された実施形態の範囲を逸脱しない多くの修正および変形が明らかとなろう。本明細書で使用した用語は、実施形態の原理、実用的用途、もしくは市販されている技術にはない技術的改善点を最もよく説明するように、または本明細書に開示された実施形態を当業者が理解できるように選択した。したがって、本発明は、記載および図示された正確な形態および詳細に限定されないこと、および、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、不揮発性メモリ構造体が提供され、この不揮発性メモリ構造体は、相変化材料を備える相変化メモリと、相変化メモリと直列のショットキー・ダイオードとを備え、ショットキー・ダイオードのショットキー障壁は相変化メモリの表面である。ショットキー障壁は、相変化材料とコンタクトの間の界面であることが好ましい。コンタクトの材料の仕事関数は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低いことが好ましい。コンタクトの材料は、チタン、モリブデン、アルミニウム、タンタル、タングステン、マンガン、ジルコニウムおよびハフニウムからなるグループから選択することができる。コンタクトの材料の仕事関数は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高いことが好ましい。コンタクトの材料は、モリブデン、窒化チタン、タングステン、金、コバルト、銅、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムからなるグループから選択することができる。
【0060】
本発明の別の好ましい実施形態では、複数のビット線および複数のワード線を備える不揮発性メモリ構造体が提供され、この複数のビット線と複数のワード線の間にはPCMメモリ構造体が置かれており、PCMメモリ構造体は、相変化材料と、PCMメモリと直列のショットキー・ダイオードとを備え、ショットキー障壁は、相変化材料とコンタクトの間の界面である。コンタクトの材料の仕事関数は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV低いことが好ましい。コンタクトの材料の仕事関数は、相変化材料の仕事関数よりも0.3~1eV高いことが好ましい。