(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20250723BHJP
【FI】
H01L23/36 D
(21)【出願番号】P 2021013327
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洋昭
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-094643(JP,A)
【文献】特開昭57-121262(JP,A)
【文献】特開平10-178126(JP,A)
【文献】特開2005-311284(JP,A)
【文献】特開2016-203215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面又は両面に放熱層が形成された半導体パッケージと、前記放熱層に接合される放熱部材と、前記放熱層と前記放熱部材とを接合する接合部材を備える半導体装置の製造方法であって、
前記接合部材を前記放熱層又は前記放熱部材
のいずれか一方のみに局所的に接合する工程を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記局所的に接合する工程において、前記放熱層又は前記放熱部材と前記接合部材とを接合する部分をレーザにより接合する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記局所的に接合する工程において、前記放熱層又は前記放熱部材と前記接合部材とを接合する部分を超音波振動により接合する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記局所的に接合する工程において、前記接合部材を前記放熱層又は前記放熱部材に1箇所以上において局所的に接合する、
請求項1から請求項3のいずれかに一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記局所的に接合する工程において、前記接合部材を前記放熱層又は前記放熱部材に、前記接合部材の外周を縁取るように連続的に接合する、
請求項1から請求項3のいずれかに一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
片面又は両面に放熱層が形成された半導体パッケージと、
前記放熱層に接合される放熱部材と、
前記放熱層と前記放熱部材とを接合する接合部材を備え、
前記放熱層又は放熱部材
のいずれか一方のみが、前記接合部材が接合される側に、前記放熱層と前記接合部材との合金層又は前記放熱層の微細化結晶層を
1箇所以上において局所的に有する、
半導体装置。
【請求項7】
片面又は両面に放熱層が形成された半導体パッケージと、
前記放熱層に接合される放熱部材と、
前記放熱層と前記放熱部材とを接合する接合部材を備え、
前記放熱層又は放熱部材のいずれか一方のみが、前記接合部材が接合される側に、前記放熱層と前記接合部材との合金層又は前記放熱層の微細化結晶層を前記接合部材の外周を縁取るように連続的に有する、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に代表されるパワー半導体素子を用いた半導体製品が、近年利用されている。近年の半導体製品においては、大電力化、高集積化、高信頼性化が求められており、製品の大電力化や高集積化に伴い半導体素子で発生する熱を逃がすために高放熱性が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には、絶縁配線基板及び半導体素子を有する半導体モジュールと、半導体モジュールに熱的に接続される冷却器を備える冷却器一体型半導体モジュールが開示されている。特許文献1には、冷却器が、はんだ層を介して、絶縁配線基板の下面側の金属層に直接接合されていることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、半導体素子を焼結材で構成される接合材を介して各金属配線板に接合したことで、熱伝導性をよくして排熱性を向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/198724号
【文献】特許第6741135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体素子の放熱は、半導体素子を搭載する絶縁基板に接続された放熱部材を用いて行われる。特に冷却性能を高めるため、熱伝導率の高い接続方法として、板はんだ等の接合部材が用いられる。
【0007】
半導体素子を効率的に冷却するためには、半導体素子を搭載する絶縁基板と放熱部材との間を十分熱が伝達するように接合する必要がある。半導体素子を搭載する絶縁基板と放熱部材との間の熱伝達を十分行うためには、接合部材を位置精度よく取り付けることが求められる。
【0008】
本開示は、半導体素子を搭載する絶縁基板と放熱部材とを接合部材で接合する際に、接合部材の位置ずれを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一の態様によれば、片面又は両面に放熱層が形成された半導体パッケージと、前記放熱層に接合される放熱部材と、前記放熱層と前記放熱部材とを接合する接合部材を備える半導体装置の製造方法であって、前記接合部材を前記放熱層又は前記接合部材に局所的に接合する仮接合工程を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の各実施形態によれば、半導体素子を搭載する絶縁基板と放熱部材とを接合部材で接合する際に、接合部材の位置ずれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、半導体装置の一例の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の絶縁基板の下面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図24】
図24は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図25】
図25は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する図である。
【
図26】
図26は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における影響を説明する図である。
【
図27】
図27は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における影響を説明する図である。
【
図28】
図28は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における影響を説明する図である。
【
図29】
図29は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における影響を説明する図である。
【
図30】
図30は、参考例の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0013】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0014】
<<第1実施形態>>
<半導体装置1>
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するために、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例である半導体装置1について説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例である半導体装置1の斜視図である。
図2は、半導体装置1の分解斜視図である。
図3は、半導体装置1の絶縁基板10の下面図である。
【0016】
なお、図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定される場合がある。図面の紙面に対して垂直な座標軸については、座標軸の丸の中にバツ印は紙面に対して奥の方向が正、丸の中に黒丸印は紙面に対して手前側が正であることを表している。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置等の姿勢について限定するものではない。
【0017】
なお、本開示では、特に説明しない限り、X軸は、放熱部材20の載置面と平行な方向、Y軸は、放熱部材20の載置面と平行な方向であってX軸と垂直な方向、とする。Z軸は、当該X軸、Y軸に垂直な方向とする。なお、Z軸方向を上下方向という場合がある。例えば、+Z側を上、-Z側を下という場合がある。+Z側から見た平面図を上面図、-Z側から見た平面図を下面図という場合がある。
【0018】
半導体装置1は、絶縁基板10と、放熱部材20と、接合部材30と、を備える。各構成要素について説明する。
【0019】
[絶縁基板10]
絶縁基板10は、半導体素子を載置する基板である。絶縁基板10は、絶縁体層12と、絶縁体層12の一方の面(+Z側の面)に形成された配線層14と、絶縁体層12の他方の面(-Z側の面)に形成された放熱層16と、を備える。
【0020】
絶縁基板10の配線層14には、半導体素子が載置される。載置される半導体素子は、例えば、IGBTやパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やFWD(Free Wheeling Diode)等である。
【0021】
また、載置される半導体素子は、前述のIGBTやFWDをワンチップ化したRB-IGBT(Reverse Blocking-Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。更に、載置される半導体素子は、前述のIGBTやFWDをワンチップ化したRC-IGBT(Reverse Conducting-Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。
【0022】
(絶縁体層12)
絶縁体層12は、絶縁体で形成された層である。絶縁体層12は、例えば、セラミック又は炭化シリコンにより形成される。絶縁体層12の厚さは、例えば、0.3mmから0.6mmである。
【0023】
(配線層14)
配線層14は、載置された半導体素子に電気的に接続する配線を形成する層である。配線層14は、絶縁体層12の片方の主面に形成される。配線層14の+Z側の面には、半導体素子が載置される。配線層14には、当該半導体素子に接続するための配線が形成される。なお、
図1等の本件の図面においては、配線層14の配線パターンは省略している。配線層14は、導電性材料、例えば、銅により形成される。配線層14の厚さは、例えば、0.3mmから1mmである。
【0024】
(放熱層16)
放熱層16は、配線層14に積層された半導体素子からの熱を絶縁基板10の外に放熱するための層である。放熱層16は、絶縁体層12の片方の主面に形成される。放熱層16は、配線層14と同じ導電性材料、例えば、銅により形成される。放熱層16は、-Z側に面16Sを有する。放熱層16の厚さは、例えば、0.3mmから1mmである。放熱層16は、導電性材料で形成されていることから、静電シールドとしても作用する。
【0025】
なお、放熱層16は、熱を放熱するためと、基板のそりを防止するために、厚く形成されることが望ましい。また、放熱層16と配線層14は、基板のそりを防止するために、同じ厚さにすることが望ましい。
【0026】
[放熱部材20]
放熱部材20は、絶縁基板10からの熱を外部に放出する部材である。放熱部材20は、例えば、金属で形成された放熱板又は内部に冷却液が流れる液冷冷却器(例えば、
図22の放熱部材120及び放熱部材121を参照)である。放熱部材20の載置面20Sに、接合部材30を介して、絶縁基板10の放熱層16が接合される。放熱部材20は、接合部材30を介して、絶縁基板10の放熱層16に接続することにより、絶縁基板10の放熱を行う。
【0027】
放熱部材20として、例えば、金属で形成された放熱板を用いることにより、放熱部材20は載置面からの熱を載置面と反対側の面に伝達させて放熱する。放熱部材20の大きさを絶縁基板10より大きくすることにより、放熱面積を大きくして、放熱効率を向上させて絶縁基板10を冷却する効率を上げることができる。また、放熱部材20として、例えば、液冷冷却器を用いることにより、液冷冷却器の内部を導通する液(例えば、水、不凍液又はクーラント液等)により、絶縁基板10を冷却する効率を上げることができる。
【0028】
[接合部材30]
接合部材30は、絶縁基板10の放熱層16と放熱部材20とを接合する部材である。接合部材30は、例えば、板はんだである。接合部材30は、下面視で略矩形状である。また、接合部材30の厚さは、一様になっている。
【0029】
<第1実施形態に係る半導体装置の製造方法>
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図4から
図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0030】
最初に、絶縁基板10が、放熱層16が上を向くように配置される。そして、接合部材30が矢印A1に沿って移動される(
図4)。接合部材30が矢印A1に沿って移動されることにより、絶縁基板10の放熱層16の面16Sに、接合部材30が載置される(
図5及び
図6)。
【0031】
接合部材30が載置された絶縁基板10について、接合部材30の絶縁基板10側と反対側の面30S1側から、局所接合部50により、放熱層16と接合部材30とが局所的に接合される(
図7及び
図8)。局所接合部50は、例えば、レーザ接合機又は超音波接合機である。
【0032】
レーザ接合機は、接合する部分に局所的にレーザを照射して、接合対象を溶融する。そして、溶融した接合対象が凝固することにより、接合対象同士が接合される。
【0033】
超音波接合機は、接合ツールの先端を超音波振動させることにより、接合部材同士の境界面が擦れ合うことにより、接合ツールの先端部分において局所的に接合される。
【0034】
最初に、スポットSP1に局所接合部50を移動する。そして、局所接合部50により、局所接合部50が位置している部分(スポットSP1)において放熱層16と接合部材30とを局所的に接合する。
【0035】
次に、局所接合部50は、矢印B1に沿って、スポットSP2まで移動される。なお、局所接合部50が矢印B1に沿って移動される間に、局所接合部50は放熱層16と接合部材30との接合を行わない。
【0036】
そして、スポットSP2において、局所接合部50は、放熱層16と接合部材30とを局所的に接合する。
【0037】
同様に、局所接合部50は、矢印B2に沿ってスポットSP3まで移動され、スポットSP3において、放熱層16と接合部材30とを局所的に接合する。また、局所接合部50は、矢印B3に沿ってスポットSP4まで移動され、スポットSP4において、放熱層16と接合部材30とを局所的に接合する。
【0038】
局所接合部50が、スポットSP1、SP2、SP3及びSP4において、放熱層16と接合部材30とを局所的に接合することによって、接合部材30は、放熱層16に仮接合される。
【0039】
なお、上記の説明では、合計4箇所で仮接合したが、1箇所以上であれば、仮接合する箇所の数は限定されない。
【0040】
そして、接合部材30が仮接合された絶縁基板10が、接合部材30が放熱部材20に接触するように、放熱部材20の載置面20Sに載置される(
図9)。そして、絶縁基板10が載置された放熱部材20を加熱することにより、接合部材30により、絶縁基板10と放熱部材20とが接合される。
【0041】
接合部材30としてはんだを用いた接合方法としては、無洗浄を目的に水素やぎ酸などの還元ガス雰囲気で加熱して接合を行う。絶縁基板10と放熱部材20とが接合部材30で接合されることにより、絶縁基板10と放熱部材20とを高い熱伝導率で接続できる。
【0042】
<作用・効果>
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法では、接合部材30を絶縁基板10に仮接合してから、絶縁基板10と放熱部材20とを接合部材30により接合する。接合部材30を絶縁基板10に仮接合してから、絶縁基板10と放熱部材20とを接合部材30により接合することにより、絶縁基板10と接合部材30の位置合わせを容易に行うことができる。また、絶縁基板10と接合部材30の位置合わせを行った後に、絶縁基板10に対して、接合部材30が移動して位置がずれることを防止できる。
【0043】
ここで、比較のための参考例について説明する。
図30は、参考例の半導体装置1zの組み立てを説明する図である。
【0044】
参考例の半導体装置1zは、絶縁基板10zと、放熱部材20zと、接合部材30zと、を備える。ここでは、例として、絶縁基板10zに接合層40zを介して半導体素子70zが接合されている例について説明する。
【0045】
半導体装置1zは、絶縁基板10zを放熱部材20zに接合部材30zを用いて接合する場合に、板はんだである接合部材30zの位置ずれを防止する必要がある。参考例の半導体装置1zでは、接合部材30zの位置ずれを防止するために、型枠81zと、型枠82zを使用する。型枠81z及び型枠82zは、例えば、アルミニウム又はカーボンにより形成される。
【0046】
しかしながら、半導体装置1zの部材又は型枠の反りによって、接合部材30zの位置ずれを起こす場合がある。また、型枠81zと型枠82zは精度良く作らなければならないので、製造にコストがかかる。さらに、型枠81zと、型枠82zを使用したり、管理したりするための工数がかかる。さらにまた、位置合わせを行うための時間がかかる。
【0047】
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法では、接合部材30を絶縁基板10に仮接合してから、絶縁基板10と放熱部材20とを接合部材30により接合することにより、接合部材30の位置ずれを防止できる。
【0048】
なお、半導体素子が載置された配線層14と、放熱層16と、を有する絶縁基板10は、片面に放熱層が形成された半導体パッケージの一例である。
【0049】
<変形例>
接合部材30を放熱層16に仮接合する際に、スポットSP1、SP2、SP3及びSP4のように、ポイントで接合する場合に限らない。例えば、仮接合する際に、線状に仮接合してもよい。
【0050】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する図である。局所接合部50を、
図10の左上の角から矢印C1に沿って、連続して接合してもよい。すなわち、矢印C1に沿って連続的に接合してもよい。連続して接合することにより、線状領域SL1において接合してもよい。
【0051】
なお、
図10に示すように、接合部材30の外周を縁取るように、連続的に接合することが望ましい。
【0052】
<<第2実施形態>>
<第2実施形態に係る半導体装置の製造方法>
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図11から
図15は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。第2実施形態に係る半導体装置の製造方法では、接合部材30を放熱部材20に仮接合する。
【0053】
最初に、接合部材30が矢印A11に沿って放熱部材20に向かって移動される(
図11)。接合部材30が矢印A11に沿って移動されることにより、放熱部材20の載置面20Sに、接合部材30が載置される(
図12)。
【0054】
接合部材30が載置された放熱部材20について、接合部材30の放熱部材20側と反対側の面30S2側から、局所接合部50により、放熱層16と接合部材30とが局所的に接合される(
図13及び
図14)。
【0055】
最初に、スポットSP11に局所接合部50を移動する。そして、局所接合部50により、局所接合部50が位置している部分(スポットSP11)において放熱部材20と接合部材30とを局所的に接合する。
【0056】
次に、局所接合部50は、矢印B11に沿って、スポットSP12まで移動される。なお、局所接合部50が矢印B11に沿って移動される間に、局所接合部50は放熱部材20と接合部材30との接合を行わない。
【0057】
そして、スポットSP12において、局所接合部50は、放熱部材20と接合部材30とを局所的に接合する。
【0058】
同様に、局所接合部50は、矢印B12に沿ってスポットSP13まで移動され、スポットSP13において、放熱部材20と接合部材30とを局所的に接合する。また、局所接合部50は、矢印B13に沿ってスポットSP14まで移動され、スポットSP14において、放熱部材20と接合部材30とを局所的に接合する。
【0059】
局所接合部50が、スポットSP11、SP12、SP13及びSP14において、放熱部材20と接合部材30とを局所的に接合することによって、接合部材30は、放熱部材20に仮接合される。
【0060】
そして、接合部材30が仮接合された放熱部材20に、接合部材30が絶縁基板10の放熱層16に接触するように、放熱部材20の載置面20Sの接合部材30の上に載置される(
図15)。そして、絶縁基板10が載置された放熱部材20を加熱することにより、接合部材30により、絶縁基板10と放熱部材20とが接合される。
【0061】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法では、接合部材30を放熱部材20に仮接合してから、絶縁基板10と放熱部材20とを接合部材30により接合することにより、接合部材30の位置ずれを防止できる。
【0062】
<変形例>
接合部材30を放熱部材20に仮接合する際に、スポットSP11、SP12、SP13及びSP14のように、ポイントで接合する場合に限らない。例えば、仮接合する際に、線状に仮接合してもよい。
【0063】
図16は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する図である。局所接合部50を、
図16の左上の角から矢印C11に沿って、連続して接合してもよい。連続して接合することにより、線状領域SL11において接合してもよい。
【0064】
<<第3実施形態>>
<半導体装置101>
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するために、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例である半導体装置101について説明する。
【0065】
図17は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例である半導体装置101の断面図である。
【0066】
半導体装置101は、半導体パッケージ110と、放熱部材120及び放熱部材121と、接合部材130及び接合部材131と、を備える。各構成要素について説明する。
【0067】
[半導体パッケージ110]
半導体パッケージ110は、放熱層112及び放熱層114と、半導体層115と、封止樹脂116と、を備える。
【0068】
半導体層115は、例えば、IGBT、パワーMOSFET又はFWD等を含む。なお、
図17から
図20及び
図22から
図24においては、半導体層115の内部の詳細な構造については省略して、1つの層として示す。
【0069】
放熱層112及び放熱層114のそれぞれは、半導体層115からの熱を半導体パッケージ110の外部に放熱する。放熱層112及び放熱層114のそれぞれは、半導体層115の内部にある半導体素子と熱的に接続される。半導体層115の内部にある半導体素子により発生した熱は、放熱層112及び放熱層114のそれぞれに伝熱される。放熱層112及び放熱層114のそれぞれは、導電材料により形成される。放熱層112及び放熱層114のそれぞれは、封止樹脂116から外部に露出する。
【0070】
封止樹脂116は、半導体層115を封止して、半導体層115を保護する。封止樹脂116は、半導体パッケージ110の外形の一部を構成する。
【0071】
[放熱部材120及び放熱部材121]
放熱部材120及び放熱部材121のそれぞれは、内部に形成された流路に冷却液が流れる液冷冷却器である。
【0072】
[接合部材130及び接合部材131]
接合部材130及び接合部材131は、例えば、板はんだである。接合部材130は、放熱層112と放熱部材120とを接合する。接合部材131は、放熱層114と放熱部材121を接合する。
【0073】
<第3実施形態に係る半導体装置の製造方法>
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図18から
図24は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0074】
最初に、接合部材130が矢印D21に沿って移動されて、半導体パッケージ110の放熱層112の面112Sの上に載置される(
図18及び
図19)。
【0075】
接合部材130が載置された半導体パッケージ110について、接合部材130の半導体パッケージ110側と反対側の面130S側から、局所接合部50により、放熱層112と接合部材130とが局所的に接合される(
図20及び
図21)。局所接合部50は、例えば、レーザ接合機又は超音波接合機である。
【0076】
最初に、スポットSP21に局所接合部50を移動する。そして、局所接合部50により、局所接合部50が位置している部分(スポットSP21)において放熱層112と接合部材130とを局所的に接合する。
【0077】
次に、局所接合部50は、矢印B21に沿って、スポットSP22まで移動される。なお、局所接合部50が矢印B21に沿って移動される間に、局所接合部50は放熱層112と接合部材130との接合を行わない。
【0078】
そして、スポットSP22において、局所接合部50は、放熱層112と接合部材130とを局所的に接合する。
【0079】
同様に、局所接合部50は、矢印B22に沿ってスポットSP23まで移動され、スポットSP23において、放熱層112と接合部材130とを局所的に接合する。また、局所接合部50は、矢印B23に沿ってスポットSP24まで移動され、スポットSP24において、放熱層112と接合部材130とを局所的に接合する。
【0080】
局所接合部50が、スポットSP21、SP22、SP23及びSP24において、放熱層112と接合部材130とを局所的に接合することによって、接合部材130は、放熱層112に仮接合される。
【0081】
同様に、接合部材131は、放熱層114の面114Sに仮接合される。
【0082】
そして、接合部材130及び接合部材131が仮接合された半導体パッケージ110は、接合部材130が放熱部材120に接触するように組み立てられる。また、接合部材130及び接合部材131が仮接合された半導体パッケージ110は、接合部材131が放熱部材121に接触するように組み立てられる。
【0083】
例えば、
図22に示すように、半導体パッケージ110を間に挿入可能な距離で離して設けられた放熱部材120と放熱部材121の間に、半導体パッケージ110を矢印E1に沿って移動させることにより挿入する。
【0084】
また、例えば、
図23に示すように、半導体パッケージ110に対して、放熱部材120を矢印F1に沿って移動させるとともに、放熱部材121を矢印F2に沿って移動させる。
【0085】
半導体パッケージ110と、放熱部材120及び放熱部材121とが組み立てられた状態で加熱されることにより、接合部材130及び接合部材131により、半導体パッケージ110と放熱部材120及び放熱部材121とが接合される(
図24)。
【0086】
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法では、接合部材130及び接合部材131を半導体パッケージ110に仮接合する。そして、半導体パッケージ110と放熱部材120及び放熱部材121とを接合部材130及び接合部材131により接合する。接合部材130及び接合部材131を半導体パッケージ110に仮接合してから放熱部材120及び放熱部材121を接合することにより、接合部材130及び接合部材131の位置ずれを防止できる。
【0087】
なお、第3実施形態に係る半導体装置101を製造する際には、
図30に示す参考例のような型枠81z及び型枠82zを使用できない。したがって、第3実施形態に係る半導体装置101を製造する際には、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法が特に有用である。
【0088】
なお、半導体パッケージ110は、両面に放熱層が形成された半導体パッケージの一例である。
【0089】
<変形例>
接合部材130及び接合部材131をそれぞれ放熱層112及び放熱層114に仮接合する際に、スポットSP21、SP22、SP23及びSP24のように、ポイントで接合する場合に限らない。例えば、仮接合する際に、線状に仮接合してもよい。
【0090】
図25は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する図である。局所接合部50を、
図25の左上の角から矢印C21に沿って、連続して接合してもよい。連続して接合することにより、線状領域SL21において接合してもよい。
【0091】
<局所接合部50による接合の影響>
接合部材を放熱層又は放熱部材に仮接合する工程において、局所接合部50により仮接合した場合の影響について説明する。
図26から
図29は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における影響を説明する図である。なお、ここでは、接合部材30と放熱層16とを接合する場合について説明する。
【0092】
図26は、局所接合部50としてレーザ接合機51を用いた場合における接合する部分の断面図である。レーザ接合機51で接合すると、レーザの集光スポットにおいて、接合部材30及び放熱層16の一部が溶融する。溶融した接合部材30及び放熱層16は、接合部材30及び放熱層16のそれぞれを構成する材料の合金の層である合金層60を形成する。例えば、接合部材30として錫系のはんだ、放熱層16として銅を用いた場合、合金層60として、錫と銅の合金が形成される。
【0093】
図27は、局所接合部50として超音波接合機52を用いた場合における接合する部分の断面図である。超音波接合機52で接合すると、接合部材30に圧痕35が形成される。また、放熱層16の接合した部分付近が陥没するとともに、結晶粒が微細化した微細化結晶層16aが形成される。例えば、放熱層16として銅を用いた場合、放熱層16の接合した部分に銅の結晶粒が微細化した微細化結晶層16aが形成される。
【0094】
レーザ接合機51を用いて接合した場合、合金層60が形成される。また、超音波接合機52を用いた場合、微細化結晶層16aが形成される。半導体装置1から接合部材30を取り除いて放熱部材20を取り外すと、放熱層16には、合金層60又は微細化結晶層16aが残る。
【0095】
例えば、
図8に示すように、点状に仮接合すると、
図28に示すように、放熱層16の面16Sに、点状の仮接合の痕TR1、TR2、TR3及びTR4が形成される。また、
図10に示すように、線状に仮接合すると、
図29に示すように、放熱層16の面16Sに、線状の仮接合の痕TR5が形成される。
【0096】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1、101 半導体装置
10 絶縁基板
12 絶縁体層
14 配線層
16 放熱層
16a 微細化結晶層
16S 面
20 放熱部材
30 接合部材
35 圧痕
50 局所接合部
51 レーザ接合機
52 超音波接合機
60 合金層
110 半導体パッケージ
112、114 放熱層
115 半導体層
116 封止樹脂
120、121 放熱部材
130、131 接合部材
TR1、TR2、TR3、TR4、TR5 仮接合の痕