(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】画像抽出装置、画像抽出システム、画像抽出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250723BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20250723BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2021168414
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉尾 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 啓明
(72)【発明者】
【氏名】中山 展空
(72)【発明者】
【氏名】元田 彰拓
(72)【発明者】
【氏名】水野 遼
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-013068(JP,A)
【文献】特開2021-048449(JP,A)
【文献】特開2021-026457(JP,A)
【文献】特開2020-184254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像抽出装置と、1又は複数の車両の各々に搭載された車載器と、を備えた画像抽出システムであって、
前記画像抽出装置は、
車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像に対して付与された、前記撮像画像の撮像日時及び撮像場所の撮像情報の少なくとも一方を収集する収集部と、
特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索する検索部と、
検索された前記撮像画像のうち、前記特定ユーザにより入力された条件に係る撮像情報に対応する範囲の撮像画像を抽出する抽出部と、
を備え
ると共に、前記車載器に対し前記検索部で検索された前記撮像画像を要求するよう構成され、
前記車載器は、
前記撮像装置により撮像された撮像画像及び前記撮像画像に付与された撮像情報を記憶する記憶部と、
前記画像抽出装置に対する前記撮像画像の提供を許可する許可部と、
前記許可部により前記撮像画像の提供が許可されている場合、前記記憶部に記憶され
、かつ前記画像抽出装置において抽出された前記撮像画像を前記画像抽出装置に出力する出力部と、
を備える画像抽出システム。
【請求項2】
前記収集部は、前記撮像画像に対して前記撮像情報に加えて付与された前記特定ユーザの車両の識別番号に対応する識別情報を収集し、
前記検索部は、前記識別情報を有する撮像画像を検索する
請求項1に記載の画像抽出システム。
【請求項3】
前記画像抽出装置は、
前記許可部により前記撮像画像の提供が許可されている場合、前記車載器が搭載された車両のユーザに対して利益を提供する提供部
を備える請求項1に記載の画像抽出システム。
【請求項4】
車両に搭載された車載器において、前記車両に搭載され又は固定物に設置された撮像装置により撮像された撮像画像及び前記撮像画像に付与された撮像情報を記憶し、
前記車載器において、画像抽出装置に対する前記撮像画像の提供を許可し、
前記撮像画像の提供が許可されている場合、前記車載器において記憶され
、かつ前記画像抽出装置において抽出された前記撮像画像を前記画像抽出装置に出力し、
前記画像抽出装置において、前記撮像画像の撮像日時及び撮像場所の撮像情報の少なくとも一方を収集し、
前記画像抽出装置において、特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索し、
前記画像抽出装置において、検索された前記撮像画像のうち、前記特定ユーザにより入力された条件に係る撮像情報に対応する範囲の撮像画像を抽出
し、
前記車載器に対し検索された前記撮像画像を要求する
処理をコンピュータが実行する画像抽出方法。
【請求項5】
車両に搭載された車載器において、前記車両に搭載され又は固定物に設置された撮像装置により撮像された撮像画像及び前記撮像画像に付与された撮像情報を記憶し、
前記車載器において、画像抽出装置に対する前記撮像画像の提供を許可し、
前記撮像画像の提供が許可されている場合、前記車載器において記憶され
、かつ前記画像抽出装置において抽出された前記撮像画像を前記画像抽出装置に出力し、
前記画像抽出装置において、前記撮像画像に対して付与された、前記撮像画像の撮像日時及び撮像場所の撮像情報の少なくとも一方を収集し、
特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索し、
検索された前記撮像画像のうち、前記特定ユーザにより入力された条件に係る撮像情報に対応する範囲の撮像画像を抽出
し、
前記車載器に対し検索された前記撮像画像を要求する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を撮像した撮像画像を抽出する画像抽出装置、画像抽出システム、画像抽出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の車両と第2の車両とがすれ違うタイミングで、撮影を指示するカーナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、すれ違う特定の車両からしか撮像画像を取得できず、好きな場面の画像を必ずしも取得できる訳ではない。
【0005】
本発明は、車両で移動中の自分の顔や当該車両の画像のうち、好きな場面の画像を抽出することを可能とする画像抽出装置、画像抽出システム、画像抽出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の画像抽出装置は、車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像に対して付与された、前記撮像画像の撮像日時及び撮像場所の撮像情報の少なくとも一方を収集する収集部と、特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索する検索部と、検索された前記撮像画像のうち、前記特定ユーザにより入力された条件に係る撮像情報に対応する範囲の撮像画像を抽出する抽出部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の画像抽出装置は、車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像を特定ユーザの求めに応じて抽出する装置である。当該画像抽出装置では、収集部が撮像画像に対して付与された撮像情報を収集している。ここで、撮像画像は、撮像日時及び撮像場所の少なくとも一方を含む。そして、当該画像抽出装置では、検索部が特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索し、抽出部が撮像画像を抽出する。この抽出された撮像画像は、特定ユーザにより入力された条件に対応する範囲の撮像画像となる。当該画像抽出装置によれば、車両で移動中の自分の顔や当該車両の画像のうち、好きな場面の画像を抽出することができる。
【0008】
請求項2に記載の画像抽出装置は、請求項1に記載の画像抽出装置において、前記収集部は、前記撮像画像に対して前記撮像情報に加えて付与された前記特定ユーザの車両の識別番号に対応する識別情報を収集し、前記検索部は、前記識別情報を有する撮像画像を検索する。
【0009】
請求項2に記載の画像抽出装置によれば、識別番号に基づいて特定ユーザの車両の撮像画像を抽出することができる。
【0010】
請求項3に記載の画像抽出システムは、請求項1又は2に記載の画像抽出装置と、1又は複数の車両の各々に搭載された車載器と、を備えた画像抽出システムであって、前記車載器は、前記撮像装置により撮像された撮像画像及び前記撮像画像に付与された撮像情報を記憶する記憶部と、前記画像抽出装置に対する前記撮像画像の提供を許可する許可部と、前記許可部により前記撮像画像の提供が許可されている場合、前記記憶部に記憶され、かつ前記画像抽出装置において抽出された前記撮像画像を前記画像抽出装置に出力する出力部と、を備えている。
【0011】
請求項3に記載の画像抽出システムでは、車載器において許可部により撮像画像の提供が許可されている場合、出力部が画像抽出装置において抽出された撮像画像を当該画像抽出装置に出力する。そのため、当該画像抽出システムによれば、第三者への撮像画像の提供を制限することができる。
【0012】
請求項4に記載の画像抽出システムは、請求項3に記載の画像抽出システムにおいて、前記画像抽出装置は、前記許可部により前記撮像画像の提供が許可されている場合、前記車載器が搭載された車両のユーザに対して利益を提供する提供部を備えている。
【0013】
請求項4に記載の画像抽出システムでは、撮像画像の提供が許可されている場合、画像抽出装置における提供部が、車載器が搭載された車両のユーザに対して利益を提供する。当該画像抽出システムによれば、第三者に対して撮像画像の提供を促すことができる。
【0014】
請求項5に記載の画像抽出方法は、車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像に対して付与された、前記撮像画像の撮像日時及び撮像場所の撮像情報の少なくとも一方を収集し、特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索し、検索された前記撮像画像のうち、前記特定ユーザにより入力された条件に係る撮像情報に対応する係る範囲の撮像画像を抽出する処理をコンピュータが実行する。
【0015】
請求項5に記載の画像抽出方法は、車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像を特定ユーザの求めに応じて抽出する方法である。当該画像抽出方法では、撮像画像に対して付与された撮像情報を収集しており、特定ユーザの車両を撮像した撮像画像が検索され、さらに撮像画像が抽出される。この抽出された撮像画像は、特定ユーザにより入力された条件に対応する範囲の撮像画像となる。当該画像抽出方法によれば、車両で移動中の自分の顔や当該車両の画像のうち、好きな場面の画像を抽出することができる。
【0016】
請求項6に記載のプログラムは、車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像に対して付与された、前記撮像画像の撮像日時及び撮像場所の撮像情報の少なくとも一方を収集し、特定ユーザの車両を撮像した撮像画像を検索し、検索された前記撮像画像のうち、前記特定ユーザにより入力された条件に係る撮像情報に対応する範囲の撮像画像を抽出する処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
請求項7に記載のプログラムは、車両に搭載された又は固定物に設置された撮像装置によって撮影された撮像画像を特定ユーザの求めに応じて抽出する場合に実行される。当該プログラムが実行されるコンピュータは、撮像画像に対して付与された撮像情報を収集しており、特定ユーザの車両を撮像した撮像画像が検索され、さらに撮像画像が抽出される。この抽出された撮像画像は、特定ユーザにより入力された条件に対応する範囲の撮像画像となる。当該プログラムによれば、車両で移動中の自分の顔や当該車両の画像のうち、好きな場面の画像を抽出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両で移動中の自分の顔や当該車両の画像のうち、好きな場面の画像を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態に係る画像抽出システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態の車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の車載器におけるROMの構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態の車載器におけるCPUの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態のセンタサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施形態のセンタサーバにおけるCPUの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】第1の実施形態の画像抽出システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】第1の実施形態であって、車載器において実行される応答処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態であって、利用希望者の端末において実行される表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態の画像抽出システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図11】第2の実施形態に係る画像抽出システムの概略構成を示す図である。
【
図12】第2の実施形態の情報収集装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の画像抽出装置を含む画像抽出システムについて説明する。画像抽出システムは、ユーザが運転する自車両を他車両に搭載されたカメラが撮像している場合に、他車両から自車両の撮像画像の提供を受けるシステムである。
【0021】
[第1の実施形態]
(全体構成)
図1に示されるように、第1の実施形態の画像抽出システム10は、車両12と、画像抽出装置としてのセンタサーバ30と、端末42と、端末44と、を含んで構成されている。また、車両12には車載器20及びカメラ28が搭載されている。車載器20、センタサーバ30、端末42及び端末44は、ネットワークNを通じて相互に接続されている。なお、
図1には、1のセンタサーバ30に対して、1台の車両12及び車載器20、1の端末42及び1の端末44が図示されているが、車両12、車載器20、端末42及び端末44の数はこの限りではない。
【0022】
センタサーバ30は、例えば、車両12を製造する製造元や当該製造元が運営する企業等に設置されている。端末42は、車両12の所有者が所持するスマートフォンやパーソナルコンピューターが例示される。車両12及び端末42の所有者は、撮像画像の提供者Pであり、車載器が搭載された車両のユーザに相当する。
【0023】
また、端末44は、車両12によって撮像される車両14の所有者が所持するスマートフォンやパーソナルコンピューターが例示される。車両14は、特定ユーザの車両に相当する。また、車両14及び端末44の所有者は、撮像画像の利用希望者Rであって特定ユーザに相当する。
【0024】
(車両)
図2に示されるように、本実施形態に係る車両12は、車載器20、ECU(Electronic Control Unit)22、車載機器23、カーナビゲーションシステム24、GPS装置25、ドライブレコーダ26及びカメラ28を含んで構成されている。
【0025】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、車内通信I/F(Interface)20D、及び無線通信I/F20Eを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、車内通信I/F20D、及び無線通信I/F20Eは、内部バス20Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0027】
記憶部としてのROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。
図3に示されるように、本実施形態のROM20Bには、制御プログラム100、画像データ110、画像インデックス120及び識別番号情報130が記憶されている。
【0028】
制御プログラム100は、カメラ28が撮像した撮像画像を収集し、センタサーバ30からの要求に応じて提供する処理を実行する。
画像データ110は、カメラ28が撮像した動画である撮像画像に係るデータである。なお、画像データ110はドライブレコーダ26が記憶していてもよい。
【0029】
画像インデックス120は、カメラ28が撮像した撮像画像の撮像日時及び撮像場所を、当該撮像画像と対応付けたデータである。
識別番号情報130は、車両12を特定する識別番号に係るデータである。ここで車両12を特定する識別番号は、車両12のナンバー、車体番号、及びその他のユニークな番号が例示される。
【0030】
図2に示されるように、RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0031】
車内通信I/F20Dは、ECU22及びカーナビゲーションシステム24と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F20Dは、外部バス20Hに対して接続されている。
【0032】
無線通信I/F20Eは、センタサーバ30と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。無線通信I/F20Eは、ネットワークNに対して接続されている。
【0033】
ECU22は、ADAS(Advanced Driver Assistance System)-ECU、エンジンECU、ボデーECU等が例示される。車載機器23は、ECU22に接続されたセンサ、アクチュエータ等の機器であって、例えば、ECU22がADAS-ECUの場合は、車載機器23として、車速センサ、加速センサ等が例示される。
【0034】
カーナビゲーションシステム24は、車両12の現在位置を地図上に表示したり、走行経路を案内したりする装置である。
【0035】
GPS装置25は、車両12の現在位置を測定する装置である。GPS装置25は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを含んでいる。なお、GPS装置25は、車載器20に対して直接接続されていてもよい。
【0036】
ドライブレコーダ26は、ルームミラー付近に設けられ、撮像装置であるカメラ28によって撮像された動画を記録する装置である。
【0037】
図4に示されるように、本実施形態の車載器20では、CPU20Aが、制御プログラム100を実行することで、取得部200、許可部210及び出力部220として機能する。
【0038】
取得部200は、カメラ28が撮像した撮像画像をドライブレコーダ26から取得する機能を有している。本実施形態の取得部200が取得する撮像画像は動画であるが、これに限らず、静止画であってもよい。
【0039】
許可部210は、カメラ28により撮像された撮像画像をセンタサーバ30へ提供することの可否を決定する機能を有している。提供者Pが所持する端末42から撮像画像の提供を許可する旨のコマンドを受信した場合、許可部210はセンタサーバ30からの求めに応じてセンタサーバ30に対する撮像画像の提供を許可する。一方、提供者Pが所持する端末42から画像の提供を許可しない旨のコマンドを受信した場合、許可部210はセンタサーバ30からの要求に関わらずセンタサーバ30に対する撮像画像の提供を禁止する。
【0040】
出力部220は、カメラ28により撮像された撮像画像をセンタサーバ30に向けて出力する機能を有している。また、出力部220は、許可部210において撮像画像の提供が許可されていない場合、撮像画像の提供ができない旨をセンタサーバ30に向けて出力する。
【0041】
(センタサーバ)
図5に示されるように、センタサーバ30は、CPU30A、ROM30B、RAM30C、ストレージ30D及び通信I/F30Eを含んで構成されている。CPU30A、ROM30B、RAM30C、ストレージ30D及び通信I/F30Eは、内部バス30Gを介して相互に通信可能に接続されている。CPU30A、ROM30B、RAM30C及び通信I/F30Eの機能は、上述した車載器20のCPU20A、ROM20B、RAM20C及び無線通信I/F20Eと同じである。なお、通信I/F30Eは有線による通信を行ってもよい。
【0042】
メモリとしてのストレージ30Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のストレージ30Dには、処理プログラム150及び参照情報DB(データベース)160が記憶されている。なお、ROM30Bが処理プログラム150及び参照情報DB160を記憶してもよい。
【0043】
プログラムとしての処理プログラム150は、センタサーバ30を制御するためのプログラムである。処理プログラム150の実行に伴い、センタサーバ30は各処理を実行する。
【0044】
参照情報DB160は、撮像画像の撮像日時及び撮像場所、並びに、撮像画像に写り込んでいる車両14の識別情報を記憶したデータベースである。参照情報DB160には、撮像画像を撮像した車両12毎に、撮像画像の撮像日時、撮像場所、及び撮像された車両14の識別情報が格納されている。
【0045】
図6に示されるように、本実施形態のセンタサーバ30では、CPU30Aが、処理プログラム150を実行することで、収集部250、検索部260、抽出部270、通知部280及び提供部290として機能する。
【0046】
収集部250は、撮像画像の撮像日時及び撮像場所である撮像情報、及び撮像画像に写り込んだ車両14の識別情報としての識別番号を収集する機能を有している。ここで、車両14の識別番号は、車両14のナンバー、車体番号、及びその他のユニークな番号が例示される。画像情報及び識別番号は、車両12に搭載されたカメラ28によって撮影された撮像画像に対して付与された情報である。収集部250が収集した、画像情報及び識別番号は車両12毎に参照情報DB160に記憶される。
【0047】
検索部260は、利用希望者Rの車両14を撮像した撮像画像を検索する機能を有している。具体的に検索部260は、車両14を撮像した撮像画像を抽出すべく、参照情報DB160において車両14の識別番号が付与された撮像画像を検索する。
【0048】
抽出部270は、検索された撮像画像のうち、特定の撮像画像を抽出する機能を有している。具体的に抽出部270は、車両14が写り込んだ撮像画像のうち、利用希望者Rにより入力された条件に係る撮像情報に対応する範囲の撮像画像を抽出する。例えば、撮像画像が動画の場合、当該動画から条件に合う範囲(つまり、フレーム)を切り出す。
【0049】
通知部280は、ユーザに対して、撮像画像の有無、撮像画像の提供可否についての情報を通知する機能を有している。
【0050】
提供部290は、撮像画像の提供を許可した車両12の提供者Pに対し、利益を提供する機能を有している。ここで、「利益」とは、電子マネー、ポイント、割引クーポン等、物品の購入又は役務の提供に利用可能な価値をいう。提供部290は、撮像画像の提供が許可されている提供者Pの端末44に対して利益に係る利益情報を送信する。
【0051】
(制御の流れ)
本実施形態の画像抽出システム10で実行される処理の流れについて、
図7及び
図10のシーケンス図、並びに
図8及び
図9のフローチャートを用いて説明する。車載器20における処理は、車載器20のCPU20Aが、取得部200、許可部210及び出力部220として機能することにより実行される。また、センタサーバ30における処理は、センタサーバ30のCPU30Aが収集部250、検索部260、抽出部270、通知部280及び提供部290として機能することにより実行される。
【0052】
まず、車両12において撮像された撮像画像を、利用希望者Rの求めに応じて提供する処理の流れを
図7に示す。
【0053】
図7のステップS10において、車載器20は撮像処理を実行する。すなわち、車両12に搭載されたカメラ28により、車両12の周囲が撮像される。これにより、車載器20は、1又は複数の車両14の撮像画像を収集する。
【0054】
ステップS11において、車載器20は撮像画像中の車両14の識別番号を取得する。例えば、車載器20は公知の画像認識技術により、ナンバープレートの数字及び文字を識別番号として取得する。
【0055】
ステップS12において、車載器20は撮像画像に対応する撮像日時及び位置情報を付与する。
【0056】
ステップS13において、車載器20はセンタサーバ30に向けて画像インデックスを送信する。画像インデックスは、ある時刻、ある位置において、車両14が撮像された撮像画像の存在を示す情報であって、撮像画像の撮像日時、撮像場所及び撮像された車両14の識別番号としての識別情報が、撮像画像を撮像した車両12の識別情報と共に付与されている。
【0057】
ステップS14において、センタサーバ30は車載器20から受信した画像インデックスを参照情報としてストレージ30Dに記憶する。すなわち、画像インデックスが参照情報DB160に記憶される。
【0058】
ステップS20において、利用希望者Rが所持する端末44は、利用希望者Rにより入力された検索条件の入力を受け付ける。検索条件は、少なくとも撮像日、撮像日時、撮像地域の何れかが入力される。なお、利用希望者Rの車両14の識別番号は、検索条件として入力してもよいし、予め、後述する検索コマンドに付与してもよい。
【0059】
ステップS21において、検索条件の入力が受け付けられた端末44は、検索条件を含む検索コマンドをセンタサーバ30に送信する。
【0060】
ステップS22において、センタサーバ30は検索処理を実行する。具体的に、センタサーバ30は、参照情報DB160から車両14が撮像された撮像画像を検索する。
【0061】
ステップS23において、センタサーバ30は車両14の撮像画像があるか否かを判定する。センタサーバ30は車両14の撮像画像がないと判定した場合、ステップS24に進む。一方、センタサーバ30は車両14の撮像画像があると判定した場合、ステップS25に進む。
【0062】
ステップS24において、センタサーバ30は端末44に向けて、撮像画像がない旨を示す応答信号を送信する。
【0063】
ステップS25において、センタサーバ30は抽出処理を実行する。具体的に、センタサーバ30は検索された車両14の撮像画像から検索条件に合致する範囲の画像を抽出する。
【0064】
ステップS26において、センタサーバ30は車載器20に向けて、検索された撮像画像を要求する画像要求コマンドを送信する。
【0065】
ステップS27において、車載器20は応答処理を実行する。応答処理の詳細は後述する。
【0066】
ステップS28において、車載器20はセンタサーバ30に向けて応答信号を送信する。
【0067】
ステップS29において、センタサーバ30は端末44に向けて応答信号を送信する。なお、ステップS29の実行に際し、センタサーバ30は、車載器20における応答処理の結果、すなわち、利用希望者Rの求めに応じて撮像画像が提供されたか否かの情報を記憶してもよい。
【0068】
ステップS30において、端末44は表示処理を実行する。表示処理の詳細は後述する。
【0069】
次に、ステップS27の応答処理の詳細について説明する。
図8のステップS100において、CPU20Aは画像要求コマンドを受信する。
【0070】
ステップS101において、CPU20Aは画像提供が許可されているか否かを判定する。撮像画像の許可に係る設定については、後述する。CPU20Aは画像提供が許可されていると判定した場合(ステップS101でYESの場合)、ステップS102に進む。一方、CPU20Aは画像提供が許可されていないと判定した場合(ステップS101でNOの場合)、ステップS104に進む。
【0071】
ステップS102において、CPU20Aは要求された範囲の撮像画像を抽出する。
【0072】
ステップS103において、CPU20Aは応答信号として抽出された撮像画像をセンタサーバ30に送信する。そして、応答処理は終了する。
【0073】
ステップS104において、CPU20Aは応答信号として画像提供が不可能であることを示す不許可通知をセンタサーバ30に送信する。そして、応答処理は終了する。
【0074】
次に、ステップS30の表示処理の詳細について説明する。表示処理は端末44のCPUにより実行される。
図9のステップS200において、端末44は応答信号を受信する。
【0075】
ステップS201において、端末44は応答信号に撮像画像を含むか否かを判定する。端末44は応答信号に撮像画像を含むと判定した場合(ステップS201でYESの場合)、ステップS202に進む。一方、端末44は応答信号に撮像画像を含まないと判定した場合(ステップS201でNOの場合)、ステップS203に進む。
【0076】
ステップS202において、端末44は受信した撮像画像をディスプレイ(図示せず)に表示させる。そして、表示処理は終了する。
【0077】
ステップS203において、端末44は応答信号に不許可通知を含むか否かを判定する。端末44は応答信号に不許可通知を含むと判定した場合(ステップS203でYESの場合)、ステップS204に進む。一方、端末44は応答信号に不許可通知を含まないと判定した場合(ステップS203でNOの場合)、つまり、応答信号に撮像画像がない旨を示す情報が含まれていと判定した場合、ステップS205に進む。
【0078】
ステップS204において、端末44は検索した撮像画像が利用できない旨をディスプレイ(図示せず)に表示させる。そして、表示処理は終了する。
【0079】
ステップS205において、端末44は検索した結果、撮像画像が存在しない旨をディスプレイ(図示せず)に表示させる。そして、表示処理は終了する。
【0080】
次に、撮像画像の提供者Pが車両12において撮像された撮像画像の提供についての可否を設定すると共に、利益を受ける場合の処理の流れを
図10に示す。
【0081】
ステップS40において、提供者Pが所持する端末42は提供者Pから撮像画像の提供の可否を受け付ける。
【0082】
ステップS41において、端末42は撮像画像の提供の可否に係る許可情報を車載器20に向けて送信する。
また、ステップS42において、端末42は許可情報をセンタサーバ30に向けて送信する。
【0083】
ステップS43において、車載器20は撮像画像の提供の可否に係る設定を反映させる。
【0084】
ステップS44において、センタサーバ30は撮像画像の提供の可否を登録する登録処理を実行する。
【0085】
ステップS45において、センタサーバ30は撮像画像の提供が許可されているか否かを判定する。センタサーバ30は撮像画像の提供が許可されていると判定した場合、ステップS46に進む。一方、センタサーバ30は撮像画像の提供が許可されていないと判定した場合、処理を終了する。
【0086】
ステップS46において、センタサーバ30は端末42において利用可能な利益に係る利益情報を端末42に向けて送信する。
【0087】
ステップS47において、端末42は通知処理を実行する。具体的に端末42では、取得した利益情報の内容が提供者Pに通知される。
【0088】
(まとめ)
本実施形態の画像抽出システム10では、車両12に搭載されたカメラ28によって撮影された撮像画像を利用希望者Rの求めに応じて抽出する。まず、車載器20では、カメラ28によって撮像された撮像画像を収集すると共に、撮像日時及び撮像場所の撮像情報、並びに、写り込んでいる車両14の識別番号である識別情報が、車両12の識別情報と共に撮像画像に対して付与される。
【0089】
一方、画像抽出装置としてのセンタサーバ30では、収集部250が撮像画像に対して付与された撮像情報を車載器20から収集している。そして、検索部260が利用希望者Rの車両14を撮像した撮像画像を検索し、抽出部270が利用希望者Rにより入力された条件に合致する撮像画像を抽出する。この抽出された撮像画像は、利用希望者Rが端末44に入力した条件に合わせて切り出されたフレームの動画となる。本実施形態によれば、車両で移動中の自分の顔や当該車両の画像のうち、好きな場面の画像を抽出することができる。
【0090】
また、本実施形態の画像抽出システム10では、車載器20において許可部210により撮像画像の提供が許可されている場合、出力部220が撮像画像をセンタサーバ30に出力する。そのため、本実施形態によれば、第三者への撮像画像の提供を制限することができる。
【0091】
また、本実施形態の画像抽出システム10では、撮像画像の提供が許可されている場合、センタサーバ30における提供部290が、提供を許可した提供者Pに対して利益を提供する。そのため、本実施形態によれば、カメラの撮像画像を収集する車両12のユーザに対して、第三者への撮像画像の提供を促すことができる。また、画像抽出システム10における提供可能な撮像画像を増やすことで、利用希望者Rの更なる参加を促すことができる。
【0092】
[第2の実施形態]
第1の実施形態の画像抽出システム10は、車両12において撮像された撮像画像を利用希望者Rに提供可能に構成されていた。これに対して、第2の実施形態では、車両12に加えて道路上及び道路周辺の固定物に固定されたカメラにより撮像された撮像画像を利用希望者Rに対して提供可能に構成されている。以下、第1の実施形態との相違点について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の構成を付している。
【0093】
図11に示されるように、本実施形態の画像抽出システム10は、車両12と、画像抽出装置としてのセンタサーバ30と、端末42と、端末44と、情報収集装置50と、を含んで構成されている。
【0094】
情報収集装置50は、例えば、固定物である電柱16に設置されており、撮像装置としてのカメラ50Dによって、道路を走行する車両14を撮像可能に構成されている。車載器20、センタサーバ30、端末42、端末44及び情報収集装置50は、ネットワークNを通じて相互に接続されている。
【0095】
(情報収集装置)
図12に示されるように、本実施形態の情報収集装置50は、CPU50A、ROM50B、RAM50C、カメラ50D及び通信I/F50Eを含んで構成されている。CPU50A、ROM50B、RAM50C、カメラ50D、及び通信I/F50Eは、内部バス50Gを介して相互に通信可能に接続されている。CPU50A、ROM50B、RAM50C及び通信I/F50Eの機能は、上述した車載器20のCPU20A、ROM20B、RAM20C及び無線通信I/F20Eと同じである。
【0096】
本実施形態のROM50Bには、車載器20のROM20Bと同様に、制御プログラム100、画像データ110、画像インデックス120及び識別番号情報130が記憶されている(
図3参照)。なお、識別番号情報130に記憶される識別番号としては、情報収集装置50又は情報収集装置50が設置された電柱16を特定することが可能なユニークな番号が例示される。
【0097】
また、本実施形態の情報収集装置50では、車載器20と同様に、CPU50Aが、制御プログラム100を実行することで、取得部200、許可部210及び出力部220として機能する。
【0098】
本実施形態によれば、道路を走行する車両12に加えて、道路上及び道路周辺の固定物に設置されたカメラにより撮像された撮像画像を利用希望者Rに提供することができ、利用希望者Rが希望するより多くの撮像画像を提供することができる。
【0099】
[備考]
上記実施形態では、センタサーバ30を画像抽出装置としたが、この限りではなく、車載器20を画像抽出装置としてもよい。この場合、車載器20は利用希望者Rの端末44から直接、検索コマンドを受信し、検索処理(ステップS22)及び抽出処理(ステップS25)を実行し、抽出された画像を端末44に提供可能に構成される。
【0100】
また、上記実施形態において、センタサーバ30が収集する撮像情報として撮像日時及び撮像場所を例示したが、撮像日時及び撮像場所の少なくとも何れかを撮像情報とすれば、車両14に係る撮像画像の検索及び抽出は可能である。また、撮像情報として、撮像日時及び撮像場所に加えて、撮像時の天候、車両14の走行速度等を含めて、車両14に係る撮像画像の検索及び抽出を行ってもよい。
【0101】
なお、上記実施形態でCPU20A、CPU30A及びCPU50Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0102】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、車載器20における制御プログラム100はROM20Bに予め記憶され、センタサーバ30における処理プログラム150はストレージ30Dに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0103】
上記実施形態で説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 画像抽出システム
12 車両
14 車両(特定ユーザの車両)
16 電柱(固定物)
20 車載器
20B ROM(記憶部)
28 カメラ(撮像装置)
30 センタサーバ(画像抽出装置)
50D カメラ(撮像装置)
150 処理プログラム(プログラム)
210 許可部
220 出力部
250 収集部
260 検索部
270 抽出部
290 提供部
P 提供者(車載器が搭載された車両のユーザ)
R 利用希望者(特定ユーザ)