(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/658 20140101AFI20250723BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20250723BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250723BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20250723BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250723BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20250723BHJP
H01M 50/249 20210101ALN20250723BHJP
H01M 50/251 20210101ALN20250723BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/6554
H01M10/625
H01M10/627
H01M50/204 401H
H01M50/224
H01M50/249
H01M50/251
(21)【出願番号】P 2022048536
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2024-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江幡 和夫
(72)【発明者】
【氏名】村田 崇
(72)【発明者】
【氏名】内山 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 陽
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-251127(JP,A)
【文献】特開2015-041605(JP,A)
【文献】国際公開第2007/043392(WO,A1)
【文献】特開2015-211001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/60-10/667
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階を含む階層構造を有する蓄電装置であって、
前記複数の階のうちある階
の床の上に配置された電池スタックと、
前記ある階の上に位置する上階
の床の上に配置された部品と、
前記上階の前記床と前記電池スタックとの間において、前記電池スタックに対向するように配置された遮熱部材と
、
前記遮熱部材と前記上階の前記床との間の一部に介在する連結部材と、
前記連結部材以外の位置において、前記遮熱部材と前記上階の前記床との間に介在する断熱層としての空気層と
を備える
蓄電装置。
【請求項2】
請求項1
に記載の蓄電装置であって、
前記上階の
前記床は、アルミ部材である
蓄電装置。
【請求項3】
請求項1
に記載の蓄電装置であって、
前記遮熱部材は、鉄である
蓄電装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記上階の
前記床と前記
部品との間に配置された床上遮熱部材を更に備える
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の階を含む階層構造を有する蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車載電池パックを開示している。車載電池パックは、ケーシング内において上下2段に配置された2つの電池スタックを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、複数の階を含む階層構造を有する蓄電装置に関して、次のような課題を初めて認識した。それは、階層構造の場合、ある階で発生した熱の影響が上階に波及しやすいということである。例えば、ある階に配置された電池スタックの電池セルにおいて熱暴走が発生した場合、その電池セルから高温ガスが発生し、その高温ガスが上階に配置された部品に対して熱害を与えるおそれがある。
【0005】
本開示の1つの目的は、複数の階を含む階層構造を有する蓄電装置において熱害を抑制することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、複数の階を含む階層構造を有する蓄電装置に関連する。
蓄電装置は、
複数の階のうちある階に配置された電池スタックと、
ある階の上に位置する上階と電池スタックとの間において、電池スタックに対向するように配置された遮熱部材と
を備える。
【0007】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
蓄電装置は、遮熱部材と上階との間の断熱層を更に備える。
【0008】
第3の観点は、第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
断熱層は、空気層である。
【0009】
第4の観点は、第1~第3の観点のいずれかに加えて、次の特徴を更に有する。
上階の床は、アルミ部材である。
【0010】
第5の観点は、第1~第4の観点のいずれかに加えて、次の特徴を更に有する。
遮熱部材は、鉄である。
【0011】
第6の観点は、第1~第5の観点のいずれかに加えて、次の特徴を更に有する。
蓄電装置は、上階の床とその上に設置される部品との間に配置された床上遮熱部材を更に備える。
【発明の効果】
【0012】
第1の観点によれば、遮熱部材が、ある階の電池スタックと上階との間において電池スタックに対向するように配置される。この遮熱部材は、上階への熱移動を抑制する。従って、仮に電池スタックにおいて熱暴走が発生して高温ガスが生じたとしても、その高温ガスの熱が上階に与える影響が抑制される。すなわち、上階に対する熱害が抑制される。
【0013】
第2の観点によれば、断熱層が遮熱部材と上階との間に介在する。この断熱層により、高温ガスによって熱せられた遮熱部材から上階の床へ直接的な熱伝導が抑制される。従って、上階に対する熱害が更に抑制される。
【0014】
第3の観点によれば、断熱層を低コストで実現することが可能となる。
【0015】
第4の観点によれば、上階の床はアルミ部材である。上述の通り、高温ガスの熱が上階に与える影響が抑制されるため、上階の床としてアルミ部材を積極的に採用することができるのである。アルミ部材を用いることにより、剛性を確保しつつ、蓄電装置を軽量化することが可能となる。また、蓄電装置は階層構造を有するため、床面積が縮小され、蓄電装置はコンパクトになる。軽量且つコンパクトな蓄電装置は、持ち運びやすさの観点から好ましい。
【0016】
第5の観点によれば、遮熱部材を低コストで実現することが可能となる。
【0017】
第6の観点によれば、上階の床とその上の部品との間に床上遮熱部材が配置される。これにより、下階からの熱が部品に伝わることが更に抑制される。すなわち、上階に配置された部品に対する熱害が更に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】階層構造を有する電池パックの一例を示す概略図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係る電池パックの一例を説明するための概略図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係る電池パックの他の例を説明するための概略図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係る電池パックの構成例を示す斜視図である。
【
図7】本開示の実施の形態に係る電池パックの構成例を示す斜視図である。
【
図8】本開示の実施の形態に係る電池パックの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0020】
1.階層構造を有する蓄電装置
図1は、蓄電装置である電池パック1の一例を示す概略図である。電池パック1は、1以上の電池スタック20を有している。1つの電池スタック20は、多数の電池セルが積層されることにより構成される。例えば、電池スタック20は、リチウムイオン電池である。
【0021】
図1に示される電池パック1は、複数の階を含む階層構造を有している。そして、2以上の電池スタック20が、2以上の階のそれぞれに配置されている。つまり、複数の電池スタック20が異なる階に分散して配置されている。このような階層構造は、電池パック1の床面積の縮小に寄与し、持ち運びやすさの観点から好ましい。
【0022】
尚、以下の説明において、Z方向は、複数の階の積層方向である。典型的には、Z方向は鉛直方向である。XY面は、Z方向と直交する水平面である。
【0023】
図1に示される例では、電池パック1は、1階LV1~3階LV3からなる3階層構造を有している。1階LV1~3階LV3は、Z方向に順番に積層されている。つまり、2階LV2は1階LV1の上に位置し、3階LV3は2階LV2の上に位置している。1階LV1においては、床10-1の上に電池スタック20-1が配置されている。2階LV2においては、床10-2の上に電池スタック20-2が配置されている。3階LV3においては、床10-3の上に高電圧部品30が配置されている。
【0024】
床10-1~10-3を含む電池パック1のケーシング(筐体)は、金属部材である。例えば、電池パック1のケーシングは、アルミニウム合金等のアルミ部材である。アルミ部材を用いることにより、剛性を確保しつつ、電池パック1を軽量化することが可能となる。階層構造を有し、且つ、アルミ部材を多く含む電池パック1は、軽量且つコンパクトであり、持ち運びやすさの観点から好ましい。
【0025】
2.熱害の抑制
本願発明者は、上記のような階層構造を有する電池パック1に関して、次のような課題を初めて認識した。それは、階層構造の場合、ある階で発生した熱の影響が上階に波及しやすいということである。
【0026】
例えば、
図2は、1階LV1に配置された電池スタック20-1の電池セルにおいて熱暴走が発生した場合を示している。この場合、電池スタック20-1から高温ガスが発生し、その高温ガスが2階LV2の床10-2に吹きかかる。その結果、2階LV2の床10-2の温度が上昇し、床10-2の上に配置された電池スタック20-2の温度も上昇する。このように、1階LV1の電池スタック20-1の熱暴走に起因する熱が2階LV2に伝わり、2階LV2の電池スタック20-2に熱害が加えられる。許容できない熱害が電池スタック20-2に加わると、電池スタック20-2においても熱暴走が発生するおそれがある。
【0027】
特に、軽量化のための床10-2としてアルミ部材が用いられている場合、1階LV1の熱が2階LV2に伝わりやすい。また、高温ガスによって、アルミ部材の床10-2が溶け落ちるおそれもある。床10-2が溶け落ちると、高温ガスが1階LV1から2階LV2に直接流れ込むおそれがある。
【0028】
他の例として、
図3は、2階LV2に配置された電池スタック20-2の電池セルにおいて熱暴走が発生した場合を示している。この場合、電池スタック20-2から高温ガスが発生し、その高温ガスが3階LV3の床10-3に吹きかかる。その結果、3階LV3の床10-3の温度が上昇し、床10-3の上に配置された高電圧部品30の温度も上昇する。このように、2階LV2の電池スタック20-2の熱暴走に起因する熱が3階LV3に伝わり、3階LV3の高電圧部品30に熱害が加えられる。許容できない熱害が高電圧部品30に加わると、被覆等の保護部材が溶損し、短絡が発生するおそれがある。
【0029】
特に、軽量化のための床10-3としてアルミ部材が用いられている場合、2階LV2の熱が3階LV3に伝わりやすい。また、高温ガスによって、アルミ部材の床10-3が溶け落ちるおそれもある。床10-3が溶け落ちると、高温ガスが2階LV2から3階LV3に直接流れ込むおそれがある。
【0030】
図2で示された状態から
図3で示された状態への連鎖も発生し得る。すなわち、1階LV1の電池スタック20-1において熱暴走が発生し、電池スタック20-1から発生する高温ガスが2階LV2に熱害を与える。その結果、2階LV2の電池スタック20-2においても熱暴走が発生し、電池スタック20-2から発生する高温ガスが3階LV3に熱害を与える。このような連鎖により、電池パック1内部が更に高温、高圧となるおそれがある。
【0031】
そこで、本実施の形態は、階層構造を有する電池パック1において熱害を抑制することができる技術を提案する。
【0032】
図4は、本実施の形態に係る電池パック1の一例を説明するための概略図である。本実施の形態に係る電池パック1は、階LVi(i=1,2)から上階LV(i+1)への熱移動を遮るための遮熱部材40-iを備えている。より詳細には、遮熱部材40-iは、階LViに配置された電池スタック20-iと上階LV(i+1)との間において電池スタック20-iに対向するように配置されている。例えば、遮熱部材40-iは、板状の遮熱板であり、XY面と略平行で且つ全面に配置されている。これにより、仮に電池スタック20-iにおいて熱暴走が発生し、高温ガスが生成されたとしても、その高温ガスが上階LV(i+1)の床10-(i+1)に吹きかかることが抑制される。すなわち、階LViから上階LV(i+1)への熱移動が抑制される。その結果、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が抑制される。
【0033】
例えば、1階LV1の電池スタック20-1と2階LV2の床10-2との間に遮熱部材40-1が配置されている。遮熱部材40-1は、1階LV1から2階LV2への熱を遮断する。仮に1階LV1の電池スタック20-1において熱暴走が発生し、高温ガスが生成されたとしても、その高温ガスが2階LV2の床10-2に吹きかかることが抑制される。これにより、2階LV2に配置された電池スタック20-2に対する熱害が抑制される。
【0034】
他の例として、2階LV2の電池スタック20-2と3階LV3の床10-3との間に遮熱部材40-2が配置されている。遮熱部材40-2は、2階LV2から3階LV3への熱を遮断する。仮に2階LV2の電池スタック20-2において熱暴走が発生し、高温ガスが生成されたとしても、その高温ガスが3階LV3の床10-3に吹きかかることが抑制される。これにより、3階LV3に配置された高電圧部品30に対する熱害が抑制される。
【0035】
遮熱部材40は、電池スタック20-iの熱暴走に起因する高温ガスでは溶け落ちないように設計されている。その意味で、遮熱部材40を「耐熱部材」と呼ぶこともできる。典型的には、遮熱部材40は、金属部材である。例えば、遮熱部材40は、鉄部材である。遮熱部材40が遮熱板である場合、例えば、遮熱板は鉄板である。鉄を利用することにより、低コストで遮熱部材40を実現することができる。但し、遮熱部材40は鉄に限定されない。高温に強い材料であれば、どのよう材料でも遮熱部材40として利用可能である。例えば、遮熱部材40は、溶け落ちないほど分厚いアルミ板であってもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態に係る電池パック1の他の例を説明するための概略図である。遮熱部材40-iと上階LV(i+1)の床10-(i+1)とが直接接触している場合、高温ガスによって熱せられた遮熱部材40-iから床10-(i+1)へ直接的な熱伝導が生じる。そのような遮熱部材40-iから上階LV(i+1)の床10-(i+1)への直接的な熱伝導を防ぐために、遮熱部材40-iと上階LV(i+1)との間に断熱層50-iが介在していることが好ましい。そのような断熱層50-iによって、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が更に抑制される。
【0037】
断熱層50は、例えば、空気層である。空気層により低コストで断熱層50を実現することができる。他の例として、断熱層50は、グラスファイバー等の遮熱部材によって構成されてもよい。遮熱部材を利用して断熱層50を形成することによって、断熱性が更に向上する。
【0038】
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、ある階LViから上階LV(i+1)への熱移動が抑制される。仮にある階LViの電池スタック20-iにおいて熱暴走が発生して高温ガスが生じたとしても、その高温ガスの熱が上階LV(i+1)に与える影響が抑制される。すなわち、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が抑制される。これにより、上階LV(i+1)に配置された部品が保護される。
【0039】
また、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が抑制されるため、上階LV(i+1)の床10-(i+1)としてアルミ部材を積極的に採用することが可能となる。アルミ部材を用いることにより、剛性を確保しつつ、電池パック1を軽量化することが可能となる。また、電池パック1は階層構造を有するため、床面積が縮小され、電池パック1はコンパクトになる。軽量且つコンパクトな電池パック1は、持ち運びやすさの観点から好ましい。
【0040】
3.構成例
図6は、本実施の形態に係る電池パック1の構成例を示す斜視図である。
【0041】
1階LV1は、床10-1、遮熱紙15-1、電池スタック20-1、及び遮熱部材40-1を含んでいる。床10-1は、XY面と略平行である。例えば、床10-1は、アルミ部材である。電池スタック20-1は、遮熱紙15-1(床上遮熱部材)を介して床10-1の上に配置される。言い換えれば、遮熱紙15-1は、床10-1と電池スタック20-1との間に配置される。遮熱紙15-1は、例えば、タイガーボード等の建築部材である。遮熱部材40-1は、電池スタック20-1と2階LV2の床10-2との間において電池スタック20-1に対向するように配置されている。遮熱部材40-1は、XY面と略平行である。例えば、遮熱部材40-1は、鉄板である。
【0042】
2階LV2は、床10-2、遮熱紙15-2、電池スタック20-2、及び遮熱部材40-2を含んでいる。床10-2は、XY面と略平行である。例えば、床10-2は、アルミ部材である。電池スタック20-2は、遮熱紙15-2(床上遮熱部材)を介して床10-2の上に配置される。言い換えれば、遮熱紙15-2は、床10-2と電池スタック20-2との間に配置される。遮熱紙15-2は、例えば、タイガーボード等の建築部材である。遮熱部材40-2は、電池スタック20-2と3階LV3の床10-3との間において電池スタック20-2に対向するように配置されている。遮熱部材40-2は、XY面と略平行である。例えば、遮熱部材40-2は、鉄板である。
【0043】
3階LV3は、床10-3、遮熱紙15-3、及び高電圧部品30(図示されない)を含んでいる。床10-3は、XY面と略平行である。例えば、床10-3は、アルミ部材である。高電圧部品30は、遮熱紙15-3(床上遮熱部材)を介して床10-3の上に配置される。言い換えれば、遮熱紙15-3は、床10-3と高電圧部品30との間に配置される。遮熱紙15-3は、例えば、タイガーボード等の建築部材である。
【0044】
1階LV1~3階LV3は、Z方向に順番に積層される。カバー70は、1階LV1~3階LV3からなる階層構造を収容する。好ましくは、カバー70は、アルミニウム合金等のアルミ部材である。
【0045】
図7は、1階LV1の遮熱部材40-1の周辺の構成例を示している。遮熱部材40-1の上方には2階LV2の床10-2が存在する。
図7に示される例では、2階LV2の床10-2は、1以上の連結部材60-1を介して、1階LV1の遮熱部材40-1上に設置されている。言い換えれば、1階LV1の遮熱部材40-1と2階LV2の床10-2との間に連結部材60-1が介在している。これにより、1階LV1の遮熱部材40-1と2階LV2の床10-2との間に空気層50A-1が形成される。この空気層50A-1が断熱層50-1として機能する。
【0046】
図8は、2階LV1の遮熱部材40-2の周辺の構成例を示している。遮熱部材40-2の上方には3階LV3の床10-3が存在する。
図8に示される例では、3階LV3の床10-3は、1以上の連結部材60-2を介して、2階LV2の遮熱部材40-2上に設置されている。言い換えれば、2階LV2の遮熱部材40-2と3階LV3の床10-3との間に連結部材60-2が介在している。これにより、2階LV2の遮熱部材40-2と3階LV3の床10-3との間に空気層50A-2が形成される。この空気層50A-2が断熱層50-2として機能する。
【0047】
4.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、遮熱部材40-iが、階LViの電池スタック20-iと上階LV(i+1)との間において電池スタック20-iに対向するように配置されている。この遮熱部材40-iは、階LViから上階LV(i+1)への熱移動を抑制する。従って、仮に階LViの電池スタック20-iにおいて熱暴走が発生して高温ガスが生じたとしても、その高温ガスの熱が上階LV(i+1)に与える影響が抑制される。すなわち、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が抑制される。これにより、上階LV(i+1)に配置された部品が保護される。
【0048】
断熱層50-i(例:空気層50A-i)が遮熱部材40-iと上階LV(i+1)との間に介在していてもよい。この場合、高温ガスによって熱せられた遮熱部材40-iから上階LV(i+1)の床10-(i+1)へ直接的な熱伝導が抑制される。従って、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が更に抑制される。
【0049】
図6に示されたように、遮熱紙15-(i+1)が、上階LV(i+1)の床10-(i+1)とその上の部品(電池スタック20あるいは高電圧部品30)との間に配置されていてもよい。このような遮熱紙15-(i+1)により、下階からの熱が部品に伝わることが更に抑制される。すなわち、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が更に抑制される。
【0050】
また、上階LV(i+1)に配置された部品に対する熱害が抑制されるため、上階LV(i+1)の床10-(i+1)としてアルミ部材を積極的に採用することが可能となる。アルミ部材を用いることにより、剛性を確保しつつ、電池パック1を軽量化することが可能となる。また、電池パック1は階層構造を有するため、床面積が縮小され、電池パック1はコンパクトになる。軽量且つコンパクトな電池パック1は、持ち運びやすさの観点から好ましい。
【0051】
持ち運びやすい電池パック1は、家庭用蓄電池として有用である。但し、電池パック1の適用先は家庭用蓄電池に限定されない。例えば、電池パック1は、車載用蓄電池に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 電池パック(蓄電装置)
10 床
15 遮熱紙
20 電池スタック
30 高電圧部品
40 遮熱部材
50 断熱層
50A 空気層
60 連結部材
70 カバー