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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250723BHJP
   G01S 5/14 20060101ALI20250723BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G01S5/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022078766
(22)【出願日】2022-05-12
(65)【公開番号】P2023167512
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐貴
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-055362(JP,A)
【文献】特開2019-159560(JP,A)
【文献】特開2021-096119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0312776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向の辺及び車両の車幅方向の辺で形成されている四角形の頂点の各々に対応する位置に設けられた3個以上の無線受信装置の各々から、当該無線受信装置が第1無線発信装置から受信した受信信号の強度を示した第1信号強度情報を取得する第1取得部と、
前記3個以上の無線受信装置の各々から、当該無線受信装置が第2無線発信装置から受信した受信信号の強度を示した第2信号強度情報を取得する第2取得部と、
前記第1信号強度情報に基づいて前記第1無線発信装置が存在する位置を示した第1位置情報と、前記第2信号強度情報に基づいて前記第2無線発信装置が存在する位置を示した第2位置情報と、を算出する算出部と、
前記第1位置情報で示された位置が前記車両の内側の領域に含まれず、前記第2位置情報で示された位置が前記車両の内側の領域に含まれている場合に、報知情報を携帯通信装置に対して出力する出力部と、を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、近距離通信を行うことで、車両周辺に存在する物体までの距離を特定する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、アンテナが受信した受信信号の強度の変化に応じて、信号を発信した携帯通信装置が車両周辺に存在するか否かを判定する技術が開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1では、複数のアンテナを車幅方向にずらして配置することで、電力の減衰曲線における極小値が重なることを抑制することが記載されている。その上で、複数のアンテナの信号強度が増加傾向又は減少傾向かに応じて、携帯通信装置が車両周辺に存在するか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-096119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、信号強度に応じて車両の周辺に携帯通信装置が存在するか否かを判定する技術であって、アンテナが受信した信号の方向を考慮していないので、携帯端末の具体的な位置を特定することは難しい。例えば、検知対象が複数存在する状況に対して、特許文献1に記載された技術を適用した際、複数の検知対象が同じ距離に存在すると判定された場合に、複数の検知対象が同じ場所に存在しているのか否かを判別するのは難しい。
【0006】
このように、複数の無線発信装置を検知対象とした場合に、いずれか一方が車両の外に移動する際に、他方が車両の内側に存在したとしても、アンテナからは同じ距離に存在すると判定することも考えられる。このため、特許文献1に記載された技術を、ユーザが車両から出る際の忘れ物の検知に用いるのは難しい。
【0007】
そこで、上記課題に鑑み、複数の無線発信装置から受信した受信信号に基づいて、複数の無線発信装置の各々の位置情報を算出することで、一方の無線発信装置を所持するユーザが車両の外側に移動する際に、他方の無線発信装置が設けられた物体が車両の内側に存在する場合に、ユーザに報知を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、車両の進行方向の辺及び車両の車幅方向の辺で形成される四角形の頂点の各々に対応する位置に設けられた3個以上の無線受信装置の各々から、当該無線受信装置が第1無線発信装置から受信した受信信号の強度を示した第1信号強度情報を取得する第1取得部と、前記3個以上の無線受信装置の各々から、当該無線受信装置が第2無線発信装置から受信した受信信号の強度を示した第2信号強度情報を取得する第2取得部と、前記第1信号強度情報に基づいて前記第1無線発信装置が存在する位置を示した第1位置情報と、前記第2信号強度情報に基づいて前記第2無線発信装置が存在する位置を示した第2位置情報と、を算出する算出部と、前記第1位置情報で示された位置が前記車両の内側の領域に含まれず、前記第2位置情報で示された位置が前記車両の内側の領域に含まれている場合に、報知情報を携帯通信装置に対して出力する出力部と、を備える情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、ユーザが車両の外側に移動する際に、車両の内側に物体が存在する場合に報知を行うことで、車両の内側に忘れ物が存在する状況を抑制する技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る車両に設けられた物体位置検知システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る車両の物体位置検知システムの構成を例示したブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る位置算出部における、電波の強度に基づいた位置の算出手法を例示した図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る車載装置による、忘れ物を検知した場合の報知に関する制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
[第1の実施形態の構成]
図1は、第1の実施形態に係る車両に設けられた物体位置検知システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す物体位置検知システムは、車両10に設けられた4個の受信装置(無線受信装置の一例)20_1~20_4、車載装置30、及び無線通信装置31を有する。
【0013】
図1に示される例では、ユーザ(例えば、車両の運転者)は、携帯通信装置100と、車両10のスマートキー110と、を所持している。さらに図1に示される例では、財布111を車内に存在している。
【0014】
携帯通信装置100は、無線通信による信号を送受信可能な端末であって、例えば、ユーザが所持するタブレット端末、スマートフォン等の汎用の携帯端末である。また、携帯通信装置100は、ラップトップ型のコンピュータ端末、又はデスクトップ型のコンピュータ等の汎用の定置端末であってもよい。
【0015】
スマートキー110(第1無線発信装置の一例)は、車両10のドアの施錠及び開錠が可能な端末であって、車両10に設けられた受信装置20_1~20_4との間で無線通信による信号を送受信可能な無線送受信装置を含んでいる。本実施形態に係るスマートキー110は、受信装置20_1~20_4との間で所定時間毎に、無線通信による信号を送受信する。
【0016】
財布111には、無線発信タグ111Aを格納している。無線発信タグ111Aは、無線通信による信号を送信可能な無線発信装置(第2無線発信装置の一例)である。本実施形態に係る無線発信タグ111Aは、受信装置20_1~20_4との間で所定時間毎に、無線通信による信号を送受信する。
【0017】
車両10は、ユーザが搭乗可能な車両であればよい。図1では、車両10として4輪を備えた自動車を例に説明する。また、車両10は、ガソリンエンジンを備えた自動車に制限するものではなく、ハイブリッド車や、電気自動車であってもよい。また、車両10は、自動車に制限するものではなく、他の車両(例えば、鉄道車両)であってもよい。
【0018】
図1に示される車両10においては、ユーザは乗り降り可能のするために、左右両側にドアが設けられている。ユーザは、車両10に設けられたドアを開くことで、自由に乗り降りすることができる。
【0019】
受信装置20_1~20_4の各々は、受信アンテナを有し、スマートキー110及び無線発信タグ111Aが発信する電波を検出可能に構成されている。本実施形態に係る受信装置20_1~20_4は、受信アンテナが電波を受信したときに、受信した電波の強度(RSSI)を取得する。
【0020】
4個の受信装置20_1~20_4は、右前側受信装置20_1と、左前側受信装置20_2と、右後側受信装置20_3と、左後側受信装置20_4とで構成されている。具体的には、4個の受信装置20_1~20_4の各々は、車両10が走行する面と略平行な面において、車両10の進行方向(X軸方向)の辺、及び車両10の車幅方向(Y軸方向)の辺で形成される四角形の頂点近傍に設けられている。
【0021】
具体的には、右前側受信装置20_1の受信アンテナは、車両10の右前側端部近傍に設けられている。左前側受信装置20_2の受信アンテナは、車両10の左前側端部近傍に設けられている。右後側受信装置20_3の受信アンテナは、車両10の右後側端部近傍に設けられている。左後側受信装置20_4の受信アンテナは、車両10の左後側端部近傍に設けられている。つまり、4個の受信アンテナは、車両10の進行方向及び車幅方向において異なる位置に設けられているので、スマートキー110及び無線発信タグ111Aの進行方向及び車幅方向の位置の変化に応じて、受信する信号強度が変化する。
【0022】
換言すれば、本実施形態では、受信装置20_1~20_4の受信アンテナが受信する電波強度の変化に基づいて、車両10の内部又は車両10の周辺における、スマートキー110及び無線発信タグ111Aが存在する位置の変化を検出できる。
【0023】
本実施形態に係る4個の受信装置20_1~20_4の受信アンテナを設ける位置を例示したものであって、当該位置に制限するものではない。4個の受信装置20_1~20_4の受信アンテナは、スマートキー110及び無線発信タグ111Aが発信する電波から位置を特定可能に設置されればよい。例えば、4個の受信装置20_1~20_4の受信アンテナは、車両10の前方のピラー及び後方のピラーに設けてもよい。
【0024】
受信装置20_1~20_4と、車載装置30と、の間は、外部バス25で接続されている。外部バス25は、例えばCAN(Controller Area Network)であってもよいし、他のネットワークで接続されてもよい。
【0025】
無線通信装置31は、外部の通信装置(携帯通信装置100)と無線通信を行う。無線通信としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線による近距離通信回線を含んでもよい。さらには、無線通信装置31は、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格を使用してもよい。
【0026】
車載装置30(情報処理装置の一例)は、受信装置20_1~20_4が受信した信号に基づく受信情報を取得し、受信情報に基づいて様々な処理を行う機能を有する。また、車載装置30は、無線通信装置31と接続し、無線通信装置31を介して外部の通信装置に無線通信による情報を出力可能とする。
【0027】
図1に示される例では、ユーザが、スマートキー110と携帯通信装置100とを所持した状態で、車両10の外に出た状況を示している。その際、ユーザは、財布111を所持することを忘れた状態とする。
【0028】
つまり、車載装置30は、スマートキー110が車両10の外に存在することを検出し、財布111の無線発信タグ111Aが車両の内部に存在することを検出した場合に、車載装置30が、無線通信装置31を介して、携帯通信装置100に対して、車両10の内部に忘れ物が存在している旨を示した報知情報を送信する。これにより、ユーザは、車両10の内部に忘れ物が存在することを認識できる。
【0029】
なお、本実施形態は、忘れ物の報知の一例を示したものであって、上述した状況に制限するものではない。例えば、車載装置30は、財布111が車両10の外に存在することを検出し、スマートキー110が車両の内部に存在することを検出した場合に、車載装置30が、携帯通信装置100に対して、車両10の内部に忘れ物が存在している旨を示した報知情報を送信してもよい。
【0030】
また、本実施形態は、受信装置20_1~20_4による検知対象を、スマートキー110、及び財布111の無線発信タグ111Aに制限するものではなく、無線通信の信号を発信可能な機器であればよい。
【0031】
図2は、本実施形態に係る車両10の物体位置検知システムの構成を例示したブロック図である。車両10は、図1に示したように、右前側受信装置20_1、左前側受信装置20_2、右後側受信装置20_3、左後側受信装置20_4、無線通信装置31、及び車載装置30を有する。
【0032】
車載装置30は、CPU(Central Processing Unit)301、記憶装置302、RAM(Random Access Memory)304、車内通信I/F(インタフェース)305、入出力I/F303を有する。CPU301、記憶装置302、RAM304、車内通信I/F305、及び入出力I/F303は、内部バス306を介して相互に通信可能に接続される。
【0033】
例えば、CPU301は、記憶装置302に格納された各種プログラムを実行することで物体の位置の検出に関して様々な制御を行う。CPU301は、各種プログラムの実行に使用するデータを記憶する作業領域をRAM304に割り当ててもよい。
【0034】
記憶装置302には、各種プログラムと初期設定値等のデータとが予め格納される。記憶装置302に格納される各種プログラムとして、車載装置30を制御するための制御プログラムがある。記憶装置302は、CPU301の作業領域として使用され、ワークデータ又はプログラム等を一時的に記憶する。
【0035】
記憶装置302には、アンテナ情報記憶部321と、領域情報記憶部322と、を備えている。
【0036】
アンテナ情報記憶部321は、車両10の所定の位置を基準とした、受信装置20_1~20_4の受信アンテナの位置情報を記憶する。例えば、アンテナ情報記憶部321は、車両10の所定の位置(例えば車両10の重心)を原点として、X軸方向(進行方向)、及びY軸方向(車幅方向)を含む座標系における、受信装置20_1~20_4の受信アンテナの各々の位置座標を示した情報を記憶している。なお、本実施形態で用いる座標系は、X軸方向(進行方向)、及びY軸方向(車幅方向)を含んでいればよく、2次元座標系でもよいし、さらにZ軸方向(高さ方向)を含んだ3次元座標系でもよい。
【0037】
領域情報記憶部322は、アンテナ情報記憶部321が保持する座標系における、車両10内側の領域を示した座標情報を記憶する。さらに、領域情報記憶部322は、車両10内の領域(例えば後左側座席、後右側座席、前左側座席、前右側座席)毎に、当該領域に対応する座標情報を記憶してもよい。
【0038】
車内通信I/F305は、外部バス25を介して複数の受信装置20_1~20_4と接続される。例えば、車内通信I/F305は、CANプロトコルに基づく通信フレームを車載装置30と、各受信装置20_1~20_4との間で送受信する。なお、車内通信I/F305は、イーサネット(登録商標)を使用して通信を実施してもよい。
【0039】
入出力I/F303は、車両10に搭載される無線通信装置31等に接続され、各種情報を送受信する。なお、本実施形態に係る入出力I/F303は、接続先を無線通信装置31に制限するものではなく、例えば、スピーカ、モニタ等と接続してもよい。
【0040】
CPU301は、車内通信I/F305を介して、複数の受信装置20_1~20_4の各々から受信した電波の強度(RSSI)に基づいて、スマートキー110及び財布111の無線発信タグ111Aの位置情報を算出する。
【0041】
本実施形態に係るCPU301は、例えば、記憶装置302にインストールされる一以上のプログラムを実行することにより実現される機能部として、キー情報取得部311と、タグ情報取得部312と、位置算出部313と、判定部314と、出力部315と、を備える。
【0042】
キー情報取得部311(第1取得部の一例)は、複数の受信装置20_1~20_4の各々が受信した電波から、スマートキー110に関する情報を取得する。取得した情報には、受信装置20_1~20_4の各々が受信したスマートキー110(第1無線発信装置の一例)の受信信号の強度を示した第1信号強度情報(RSSI)が含まれている。
【0043】
複数の受信装置20_1~20_4(無線受信装置の一例)が取得した信号のうち、スマートキー110が発信した信号を特定する手法は、周知の手法を問わず、あらゆる手法を用いてよい。例えば、受信装置20_1~20_4の各々が受信した電波に含まれている信号に基づいて、当該電波の発信元を特定してもよい。このため、スマートキー110は発信する電波に、スマートキー110を識別する情報(例えばID)を含めてもよい。
【0044】
タグ情報取得部312(第2取得部の一例)は、複数の受信装置20_1~20_4の各々が受信した電波から、無線発信タグ111Aに関する情報を取得する。取得した情報には、受信装置20_1~20_4の各々が受信した無線発信タグ111A(第2無線発信装置の一例)の受信信号の強度を示した第2信号強度情報(RSSI)が含まれている。なお、複数の受信装置20_1~20_4が取得した信号のうち、スマートキー110が発信した信号を特定する手法は、無線発信タグ111Aが発信した信号を特定する手法と同様とする。
【0045】
位置算出部313は、第1信号強度情報に基づいてスマートキー110(第1無線発信装置の一例)が存在する位置を示した位置座標(第1位置情報の一例)と、第2信号強度情報に基づいて無線発信タグ111A(第2無線発信装置の一例)が存在する位置を示した位置座標(第2位置情報の一例)と、を算出する。
【0046】
例えば、位置算出部313は、タグ情報取得部312が取得した第2信号強度情報(RSSI)、及びアンテナ情報記憶部321に記憶されている、受信装置20_1~20_4の受信アンテナの各々の位置座標に基づいて、無線発信タグ111Aの位置座標を算出する。
【0047】
ところで、受信アンテナが受信した電波の強度と、受信アンテナまでの距離と、の間には、対応関係がある。例えば、自由空間においては、RSSIは、距離の二乗に反比例して減衰していく傾向にある。このため、位置算出部313は、第1信号強度情報(RSSI)に基づいて無線発信タグ111Aから4個の受信アンテナの各々までの距離を算出する。そして、位置算出部313は、4個の受信アンテナの各々までの距離、及び当該受信アンテナの位置座標に基づいて、無線発信タグ111Aの位置座標を算出する。
【0048】
図3は、本実施形態に係る位置算出部313における、電波の強度に基づいた位置の算出手法を例示した図である。図3に示される例では、受信装置20_1~20_4の受信アンテナを車両10の4隅に配置する。これにより、受信装置20_1~20_4の受信アンテナ内部の領域250の範囲内であれば、車両10の内部に存在すると認識できる。
【0049】
図3に示される例では、右前側受信装置20_1が受信した受信信号の強度(RSSI)から算出された(受信アンテナからの)距離200_1が示されている。また、左前側受信装置20_2が受信した受信信号の強度(RSSI)から算出された(受信アンテナからの)距離200_2が示されている。右後側受信装置20_3が受信した受信信号の強度(RSSI)から算出された(受信アンテナからの)距離200_3が示されている。左後側受信装置20_4が受信した受信信号の強度(RSSI)から算出された(受信アンテナからの)距離200_4が示されている。
【0050】
そして、位置算出部313は、算出された距離200_1~200_4の交点を、検知対象(例えば、無線発信タグ111A)の位置座標として算出する。
【0051】
同様に、位置算出部313は、キー情報取得部311が取得した第1信号強度情報(RSSI)、及びアンテナ情報記憶部321に記憶されている、受信装置20_1~20_4の受信アンテナの各々の位置座標に基づいて、スマートキー110の位置座標を算出する。
【0052】
本実施形態においては、受信装置20_1~20_4の受信アンテナを、車両10の4隅に配置している。これにより、領域250の範囲内に存在するか否かによって、検知対象が車両10の内側に存在するか否かの判定を可能とする。なお、車両10の内側か否かを判定する手法は、当該手法に制限するものではなく、車両10の内側に対応する領域の座標情報を保持していれば判定可能である。
【0053】
本実施形態においては、車両10に設けられる受信装置20_1~20_4間の距離が可能な限り離れるように、受信装置20_1~20_4を上述した配置にした。つまり、受信装置20_1~20_4間の距離が離れているので、検知対象の位置に応じた、受信装置20_1~20_4間の受信信号の強度の違いを、より一層異ならせることができる。したがって、位置算出部313による検知対象の位置座標の算出精度を向上させることができる。
【0054】
図2に戻り、判定部314は、領域情報記憶部322に記憶されている、車両10内の空間を示した領域(例えば領域250)に、スマートキー110及び無線発信タグ111Aの各々が存在するか否かを判定する。
【0055】
例えば、判定部314は、領域情報記憶部322に記憶されている、車両10の内側を表す領域(例えば領域250)に、位置算出部313により算出されたスマートキー110の位置座標が含まれているか否かを判定する。さらに、判定部314は、スマートキー110が、車両10の内側を表す領域に存在すると判定した場合に、スマートキー110が車両10の内側のずれの領域(例えば後左側座席、後右側座席、前左側座席、前右側座席)に存在するのかを特定してもよい。
【0056】
また、判定部314は、領域情報記憶部322に記憶されている、車両10の内側を表す領域(例えば領域250)に、位置算出部313により算出された無線発信タグ111Aの位置座標が含まれているか否かを判定する。さらに、判定部314は、無線発信タグ111Aが、車両10の内側を表す領域に存在すると判定した場合に、無線発信タグ111Aが車両10の内側のいずれの領域(例えば後左側座席、後右側座席、前左側座席、前右側座席)に存在するのかを特定してもよい。
【0057】
出力部315は、無線通信装置31を介して、外部の装置に情報を出力(送信)するための処理を行う。出力部315は、判定部314によって車両10の内部に忘れ物が存在すると判定された場合に、無線通信装置31を介して、携帯通信装置100に報知情報を送信する。
【0058】
例えば、出力部315は、スマートキー110の位置座標で示される位置が車両10の内側の領域(例えば領域250)に含まれず、無線発信タグ111Aで示された位置が車両10の内側の領域(例えば領域250)に含まれていると判定部314に判定された場合に、携帯通信装置100に報知情報を出力する。
【0059】
本実施形態に係る報知情報は、携帯通信装置100が表示可能な画面情報、SNSのメッセージ、又は電子メール等でもよい。
【0060】
また、車載装置30の記憶装置302に、検知対象を識別する情報(例えば電波に含まれているID)と、検知対象の名称と、を対応付けて記憶してもよい。例えば、記憶装置302には、無線発信タグ111Aを識別するIDと、"財布"とが対応付けて記憶されてもよい。これにより、スマートキー110の位置座標が車両10の外側に領域に存在するにもかかわらず、無線発信タグ111Aの位置座標が、車両10の内側の領域に含まれていると判定部314に判定された場合に、出力部315は、報知情報として"財布が車内にありますが、車両から離れております。お忘れでないかご確認をお願いいたします。"と示されたメッセージを、携帯通信装置100に送信できる。
【0061】
さらに、出力部315は、無線発信タグ111Aを存在する位置に関する情報を、報知情報に含めてもよい。例えば、判定部314が、領域情報記憶部322を参照して、無線発信タグ111Aの位置座標が"後左側座席"(車両10の内側の位置に関する情報の一例)で示される領域に含まれていると判定した場合に、出力部315は、報知情報として"財布が後部の左側座席にありますが、車両から離れております。お忘れでないかご確認をお願いいたします。"と示されたメッセージを、携帯通信装置100に送信してもよい。
【0062】
なお、本実施形態は、忘れ物が存在すると判定された場合に、出力部315が、無線通信装置31を介して、携帯通信装置100に報知情報を送信する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、携帯通信装置100に報知情報を送信する例に制限するものではなく、例えば、車両10に設けられたスピーカ等を用いて報知情報を出力してもよい。
【0063】
次に、本実施形態に係る車載装置30における忘れ物を検知した場合の報知に関する制御の流れについて説明する。
【0064】
図4は、本実施形態に係る車載装置30による、忘れ物を検知した場合の報知に関する制御を示したフローチャートである。
【0065】
キー情報取得部311は、複数の受信装置20_1~20_4の各々が受信した電波から、スマートキー110に関する情報(第1信号強度情報含む)を取得する(S3001)。
【0066】
位置算出部313は、キー情報取得部311が取得した第1信号強度情報(RSSI)、及びアンテナ情報記憶部321に基づいて、スマートキー110の位置座標を算出する(S3002)。
【0067】
次に、タグ情報取得部312は、複数の受信装置20_1~20_4の各々が受信した電波から、無線発信タグ111Aに関する情報を取得する(S3003)。
【0068】
位置算出部313は、タグ情報取得部312が取得した第2信号強度情報(RSSI)、及びアンテナ情報記憶部321に基づいて、無線発信タグ111Aの位置座標を算出する(S3004)。
【0069】
判定部314は、領域情報記憶部322に記憶されている、車両10の内側を表した領域に、スマートキー110が存在する(領域250にスマートキー110の位置座標が含まれている)か否かを判定する(S3005)。
【0070】
判定部314は、車両10内の内側を表した領域に、スマートキー110が存在しないと判定した場合(S3005:NO)、領域情報記憶部322に記憶されている、車両10の内側を表した領域に、無線発信タグ111Aが存在する(領域250に無線発信タグ111Aの位置座標が含まれている)か否かを判定する(S3006)。
【0071】
判定部314は、車両10の内側を表した領域に、無線発信タグ111Aが存在すると判定した場合(S3006:YES)、出力部315は、無線発信タグ111Aが付与された物体(例えば財布)を車両10に存在する旨の報知情報を、携帯通信装置100に出力する(S3007)。
【0072】
一方、判定部314は、車両10の内側を表した領域に、無線発信タグ111Aが存在しないと判定した場合(S3006:NO)、ユーザが、スマートキー110及び無線発信タグ111Aが付与された物体を所持して、車両10から移動したと認識して処理を終了する。
【0073】
S3005において、判定部314は、車両10の内側を表した領域に、スマートキー110が存在すると判定した場合(S3005:YES)、領域情報記憶部322に記憶されている、車両10の内側を表した領域に、無線発信タグ111Aが存在する(領域250に無線発信タグ111Aの位置座標が含まれている)か否かを判定する(S3008)。
【0074】
判定部314は、車両10の内側を表した領域に、無線発信タグ111Aが存在しないと判定した場合(S3008:NO)、出力部315は、スマートキー110を車両10に存在する旨の報知情報を、携帯通信装置100に出力する(S3009)。
【0075】
一方、判定部314は、車両10内の空間を示した領域に、無線発信タグ111Aが存在すると判定した場合(S3008:YES)、ユーザが車両10に存在するものとみなして、処理を終了する。
【0076】
本実施形態では、上述した処理を行うことで、ユーザが車両10内に忘れ物した場合に、携帯通信装置100に報知されるので、忘れ物が存在することを認識させることができる。
【0077】
(変形例)
上述した実施形態においては、検知対象がスマートキー110及び無線発信タグ111Aの場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は検知対象を、スマートキー110及び無線発信タグ111Aに制限するものではなく、信号を発信可能な無線発信装置を含んでいればよい。そこで、変形例としては、検知対象に携帯通信装置100が含める例とする。
【0078】
つまり本変形例では、例えば、車載装置30は、携帯通信装置100が車両10の外に存在することを検出し、スマートキー110及び財布111の無線発信タグ111Aのうちいずれか一つ以上が車両の内部に存在することを検出した場合に、車載装置30が、携帯通信装置100に対して、車両10の内部に忘れ物が存在している旨を示した報知情報を送信する。
【0079】
具体的には、車載装置30は、複数の受信装置20_1~20_4の各々が受信した電波から、携帯通信装置100に関する情報を取得する。そして、位置算出部313が、携帯通信装置100の受信信号の強度から、携帯通信装置100の位置座標を算出する。
【0080】
判定部314は、携帯通信装置100が車両10内の空間を示した領域に存在せず、スマートキー110及び無線発信タグ111Aのうちいずれか一つ以上が車両10内の空間を示した領域に存在すると判定した場合、出力部315が、携帯通信装置100に報知情報を送信する。
【0081】
本変形例においては、ユーザは、少なくとも携帯通信装置100を所持していれば、車両10に忘れ物をしたか否かを認識できる。
【0082】
上述した実施形態及び変形例では、(受信アンテナを含む)受信装置を4個設けた例について説明した。しかしながら、上述した実施形態及び変形例は、(受信アンテナを含む)受信装置を4個設ける例に制限するものではない。つまり、少なくとも2次元座標上の検知対象の位置座標を特定できればよいので、例えば、受信装置を3個設けてもよい。また、受信装置を5個以上設けてもよい。
【0083】
上述した実施形態及び変形例においては、車載装置30は、車両10の外側に一方の検知対象が存在し、車両10の内側の領域に他方の検知対象が存在することを判定した場合に、携帯通信装置100に報知情報を送信する。これにより、ユーザは車両10に忘れ物が存在することを認識できる。つまり、ユーザは車両10から忘れ物を回収できる。したがって、第三者が忘れ物をとること等を抑制できるので、安全性の向上を実現できる。
【0084】
上述した実施形態及び変形例においては、検知対象の各々が発信する電波に、当該検知対象を識別する情報を含めている。これにより、車載装置30は、複数の検知対象の位置座標を算出できる。
【0085】
なお、車載装置30は、CPU301の代わりに、他のプロセッサを有してもよく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有してもよい。すなわち、車載装置30の機能は、ハードウェアにより実現されてもよい。また、FPGA又はASICは、通信インタフェースの機能又は入出力インタフェースの機能を含んでもよい。
【0086】
また、上述した実施形態において、CPU301が実行するプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されてもよい。この場合、プログラムは、記録媒体から記憶装置302等のメモリにダウンロードされる。記録媒体として、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等が挙げられる。また、プログラムは、ネットワークを介して車載装置30の少なくともいずれかにダウンロードされてもよい。
【0087】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨をそこなわない範囲で、種々の変形・改良が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 車両
20_1 右前側受信装置
20_2 左前側受信装置
20_3 右後側受信装置
20_4 左後側受信装置
25 外部バス
30 車載装置
31 無線通信装置
301 CPU
302 記憶装置
303 入出力I/F
304 RAM
305 車内通信I/F
306 内部バス
311 キー情報取得部
312 タグ情報取得部
313 位置算出部
314 判定部
315 出力部
321 アンテナ情報記憶部
322 領域情報記憶部
図1
図2
図3
図4