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特許7715105車両、システム、通知制御方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】車両、システム、通知制御方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20250723BHJP
【FI】
G06F8/65
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022144813
(22)【出願日】2022-09-12
(65)【公開番号】P2024040012
(43)【公開日】2024-03-25
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智康
(72)【発明者】
【氏名】井上 博司
(72)【発明者】
【氏名】谷森 俊介
(72)【発明者】
【氏名】菊入 菜那
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220092(JP,A)
【文献】特開2021-077319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECUが搭載されたユーザの車両であって、
前記ユーザの情報処理装置と通信する通信部と、
前記ECUにおいて用いられるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況を前記車両に報知する制御を行う制御部と、を備え、
前記複数の進捗状況は、
前記車両における前記ソフトウェアの更新処理の進捗状況である第1の進捗状況と、
前記車両への前記ソフトウェアの送信の進捗状況である第2の進捗状況と、を含み、
前記制御部は、前記ソフトウェアの前記更新処理が実行中である場合に、記第1の進捗状況を、第1の頻度で前記情報処理装置に通知する制御を行うとともに、前記第2の進捗状況を、前記第1の頻度よりも低い第2の頻度で前記情報処理装置に通知する制御を行う、車両。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の進捗状況が所定の状況となった場合に、前記第2の進捗状況が前記所定の状況であることを前記情報処理装置に通知する制御を行う、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御部は、前記情報処理装置からの要求に応じて、前記第2の進捗状況を前記情報処理装置に通知する制御を行う、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の進捗状況を、前記情報処理装置に通知せずに前記車両に報知する制御を行う、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
ECUが搭載されたユーザの車両と、
前記車両と通信する前記ユーザの情報処理装置と、を備え、
前記車両は、前記ECUにおいて用いられるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況を前記車両に報知する制御を行い、
前記複数の進捗状況は、
前記車両における前記ソフトウェアの更新処理の進捗状況である第1の進捗状況と、
前記車両への前記ソフトウェアの送信の進捗状況である第2の進捗状況と、を含み、
前記車両は、前記ソフトウェアの前記更新処理が実行中である場合に、記第1の進捗状況を、第1の頻度で前記情報処理装置に通知する制御を行うとともに、前記第2の進捗状況を、前記第1の頻度よりも低い第2の頻度で前記情報処理装置に通知する制御を行う、システム。
【請求項6】
前記車両は、前記第2の進捗状況が所定の状況となった場合に、前記第2の進捗状況が前記所定の状況であることを前記情報処理装置に通知する制御を行う、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記車両は、前記情報処理装置からの要求に応じて、前記第2の進捗状況を前記情報処理装置に通知する制御を行う、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
ユーザの車両のECUにおいて用いられるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況の通知を制御するための前記車両が実行する通知制御方法であって、
前記複数の進捗状況を前記車両に報知する工程と、
前記複数の進捗状況のうち前記車両における前記ソフトウェアの更新処理の進捗状況を第1の進捗状況とし、前記複数の進捗状況のうち前記車両への前記ソフトウェアの送信の進捗状況を第2の進捗状況とすると、前記ソフトウェアの前記更新処理が実行中である場合に、前記第1の進捗状況を、第1の頻度で前記ユーザの情報処理装置に通知するとともに、記第2の進捗状況を、前記第1の頻度よりも低い第2の頻度で前記情報処理装置に通知する工程と、を備える、通知制御方法。
【請求項9】
車両を請求項1に記載の車両として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両、システム、通知制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-149323号公報(特許文献1)には、サーバから送信された(車両ECU用の)更新用ソフトウェアを、ユーザの携帯機を経由してダウンロードする車両に搭載される車両制御装置が開示されている。上記特許文献1には明記されていないが、車両制御装置によるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況の各々が携帯機に通知される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-149323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、車両制御装置によるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況の各々が携帯機に通知される場合がある。このため、車両と携帯機との間における通信による電力消費が大きくなる場合がある。そこで、車両と携帯機(情報処理装置)との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することが望まれている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することが可能な車両、システム、通知制御方法、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に係る車両は、ECUが搭載されたユーザの車両であって、ユーザの情報処理装置と通信する通信部と、ECUにおいて用いられるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況を車両に報知する制御を行う制御部と、を備える。制御部は、複数の進捗状況のうち第1の進捗状況を、第1の頻度で情報処理装置に通知する制御を行い、複数の進捗状況のうち第1の進捗状況とは異なる第2の進捗状況を、第1の頻度よりも低い第2の頻度で情報処理装置に通知する制御を行う。
【0007】
本開示の第1の局面に係る車両では、第2の進捗状況が、第1の頻度よりも低い第2の頻度で情報処理装置に通知される。これにより、第2の進捗状況が第1の頻度以上で情報処理装置に通知される場合に比べて、車両と情報処理装置との間の通信量を低減することができる。その結果、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することができる。
【0008】
上記第1の局面に係る車両において、好ましくは、制御部は、第2の進捗状況が所定の状況となった場合に、第2の進捗状況が所定の状況であることを情報処理装置に通知する制御を行う。このように構成すれば、第2の進捗状況が所定の状況以外の場合に情報処理装置に第2の進捗状況が通知されるのを抑制することができる。その結果、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを容易に抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面に係る車両において、好ましくは、制御部は、情報処理装置からの要求に応じて、第2の進捗状況を情報処理装置に通知する制御を行う。このように構成すれば、情報処理装置から要求された場合以外において情報処理装置に第2の進捗状況が通知されるのを抑制することができる。その結果、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを容易に抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面に係る車両において、好ましくは、制御部は、第2の進捗状況を、情報処理装置に通知せずに車両に報知する制御を行う。このように構成すれば、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのをより抑制することができる。
【0011】
本開示の第2の局面に係るシステムは、ECUが搭載されたユーザの車両と、車両と通信するユーザの情報処理装置と、を備える。車両は、ECUにおいて用いられるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況を車両に報知する制御を行い、複数の進捗状況のうち第1の進捗状況を、第1の頻度で情報処理装置に通知する制御を行い、複数の進捗状況のうち第1の進捗状況とは異なる第2の進捗状況を、第1の頻度よりも低い第2の頻度で情報処理装置に通知する制御を行う。
【0012】
本開示の第2の局面に係るシステムでは、第2の進捗状況が、第1の頻度よりも低い第2の頻度で車両から情報処理装置に通知される。これにより、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することが可能なシステムを提供することができる。
【0013】
上記第2の局面に係るシステムにおいて、好ましくは、車両は、第2の進捗状況が所定の状況となった場合に、第2の進捗状況が所定の状況であることを情報処理装置に通知する制御を行う。このように構成すれば、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを容易に抑制することが可能なシステムを提供することができる。
【0014】
上記第2の局面に係るシステムにおいて、好ましくは、車両は、情報処理装置からの要求に応じて、第2の進捗状況を情報処理装置に通知する制御を行う。このように構成すれば、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを容易に抑制することが可能なシステムを提供することができる。
【0015】
本開示の第3の局面に係る通知制御方法は、ユーザの車両のECUにおいて用いられるソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況の通知を制御するための通知制御方法であって、複数の進捗状況を車両に報知する工程と、複数の進捗状況のうち第1の進捗状況を、第1の頻度で車両からユーザの情報処理装置に通知する工程と、複数の進捗状況のうち第1の進捗状況とは異なる第2の進捗状況を、第1の頻度よりも低い第2の頻度で車両から情報処理装置に通知する工程と、を備える。
【0016】
本開示の第3の局面に係る通知制御方法では、上記のように、第2の進捗状況が、第1の頻度よりも低い第2の頻度で車両から情報処理装置に通知される。これにより、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することが可能な通知制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、車両と情報処理装置との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態による通知システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態による通知制御方法を示すシーケンス図である。
図3】第2実施形態による通知システムの構成を示す図である。
図4】第2実施形態による通知制御方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る通知システム1の構成を示す図である。通知システム1は、サーバ100と、ユーザ200の車両300と、ユーザ200の携帯端末400と、を備える。携帯端末400は、スマートフォン等を含む。なお、携帯端末400は、本開示の「情報処理装置」の一例である。
【0021】
サーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信部103とを含む。プロセッサ101は、通信部103を制御する。メモリ102には、プロセッサ101に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部103は、各種通信I/Fを含む。
【0022】
車両300には、ECU(Electronic Control Unit)310が搭載されている。ECU310は、プロセッサ311と、メモリ312と、通信部313とを含む。メモリ312には、プロセッサ311に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部313は、各種通信I/Fを含む。通信部313は、DCM(Data Communication Module)を含んでいてもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。通信部313は、サーバ100の通信部103および携帯端末400の後述の通信部403の各々と通信する。なお、プロセッサ311および通信部313は、それぞれ、本開示の「制御部」および「通信部」の一例である。
【0023】
また、車両300には、表示端末320が備えられている。表示端末320は、たとえばカーナビゲーションシステム等のHMI(Human Machine Interface)を含む。
【0024】
携帯端末400は、プロセッサ401と、メモリ402と、通信部403とを含む。メモリ402には、プロセッサ401に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部403は、各種通信I/Fを含む。
【0025】
サーバ100のプロセッサ101は、ECU310に用いられるソフトウェアの更新に関する制御を行う。プロセッサ101は、通信部103を通じて、新しいバージョンのソフトウェア(更新用のソフトウェア)をECU310の通信部313に送信する。その後、ECU310のプロセッサ311は、受信した更新用のソフトウェアをインストールして、ソフトウェアの更新を行う。
【0026】
プロセッサ311は、ソフトウェアの更新過程における複数の進捗状況を車両300に報知する制御を行う。具体的には、プロセッサ311は、複数の進捗状況を表示端末320に表示する制御を行う。また、プロセッサ311は、複数の進捗状況を図示しないヘッドアップディスプレイに表示させてもよい。なお、プロセッサ311は、複数の進捗状況を音声により報知してもよい。
【0027】
複数の進捗状況は、第1の進捗状況と、第1の進捗状況とは異なる第2の進捗状況とを含む。第1の進捗状況は、たとえば、車両300におけるソフトウェアの更新処理の進捗状況(インストールの進捗率)を含む。第2の進捗状況は、たとえば、サーバ100から車両300へのソフトウェアの送信の進捗状況(進捗率)を含む。なお、第1および第2の進捗状況の各々は、上記の例に限られない。
【0028】
プロセッサ311は、第1の進捗状況を第1の頻度で携帯端末400に通知する制御を行う。具体的には、プロセッサ311は、第1の進捗状況を携帯端末400に数秒おき(たとえば10秒おき)に通知する制御を行う。なお、上記の数秒とは、後述のシーケンス図(図2参照)におけるステップS3~S9の処理に要する時間である。
【0029】
ここで、複数の進捗状況の各々が携帯端末400に通知されることにより、車両300と携帯端末400との間における通信による電力消費が大きくなる場合がある。そこで、車両300と携帯端末400との間における通信による電力消費が大きくなるのを抑制することが望まれている。
【0030】
そこで、第1実施形態では、プロセッサ311は、第2の進捗状況を、上記第1の頻度よりも低い第2の頻度で携帯端末400に通知する制御を行う。
【0031】
具体的には、プロセッサ311は、第2の進捗状況(サーバ100から車両300へのソフトウェアの送信の進捗率)が100%になった場合に、第2の進捗状況を携帯端末400に通知する制御を行う。言い換えると、プロセッサ311は、第2の進捗状況(ソフトウェアの送信の進捗率)が100%になった場合に、ソフトウェアの送信が完了した旨を携帯端末400に通知する。なお、第2の進捗状況が100%以外の進捗率(たとえば50%)になった場合に、第2の進捗状況が携帯端末400に通知されてもよい。
【0032】
また、プロセッサ311は、携帯端末400からの要求に応じて、第2の進捗状況を携帯端末400に通知する制御を行う。具体的には、プロセッサ311は、携帯端末400から第2の進捗状況の開示を要求する信号を通信部313を通じて取得したことに基づいて、第2の進捗状況を携帯端末400に通知する制御を行う。
【0033】
詳細には、プロセッサ311は、通信部313を通じて取得された1つの信号に対して、第2の進捗状況の携帯端末400への通知処理を1回のみ行う。これにより、後述のステップS3~S7(図2参照)の処理が複数回繰り返されても、1つの上記信号に対して、第2の進捗状況の通知が複数回行われるのを防止することが可能である。
【0034】
また、プロセッサ311における上記制御は、メモリ312に格納されているプログラム312aをプロセッサ311が読み込んで実行することにより行われる。なお、プログラム312a自体が物理的に存在している訳でないが、図1では分かりやすいようにメモリ312のプログラムに符号(312a)を付して図示している。
【0035】
(通知制御方法)
次に、図2のシーケンス図を参照して、上記進捗状況の通知制御方法について説明する。
【0036】
まず、ステップS1において、サーバ100は、通信部103を通じて車両300に、ECU310において用いられる更新用ソフトウェアを送信する。
【0037】
ステップS2では、ECU310のプロセッサ311は、ステップS1においてサーバ100から送信された更新用ソフトウェアのインストール処理が車両300において実行中か否かを判定する。更新用ソフトウェアのインストール処理が実行中である場合(S2においてYes)、処理はステップS3に進む。更新用ソフトウェアのインストール処理が実行中ではない場合(S2においてNo)、処理は終了する。
【0038】
ステップS3では、プロセッサ311は、通信部313を通じて、上記第1の進捗状況を携帯端末400の通信部403に通知する。
【0039】
ステップS4では、プロセッサ311は、車両300の表示端末320に、第1および第2の進捗状況の各々を表示させる。
【0040】
ステップS5では、プロセッサ311は、携帯端末400から第2の進捗状況の開示要求があるか、または、第2の進捗状況が所定の状況であるか否かが判定される。ステップS5における判定がYesの場合、処理はステップS6に進む。ステップS5における判定がNoの場合、処理はステップS7に進む。ステップS6では、プロセッサ311は、通信部313を通じて、第2の進捗状況を携帯端末400の通信部403に送信する。
【0041】
すなわち、プロセッサ311は、第2の進捗状況に関するステップS5の条件を満たす場合にのみ、第2の進捗状況を携帯端末400に通知する制御を行う。これにより、ステップS6の処理によって第2の進捗状況が携帯端末400に通知される頻度(第2の頻度)を、ステップS3の処理によって第1の進捗状況が携帯端末400に通知される頻度(第1の頻度)よりも容易に低くすることが可能である。
【0042】
また、上記所定の状況は、サーバ100から車両300へのソフトウェアの送信の進捗状況(進捗率)が100%に変化(到達)したことを含む。具体的には、前回のステップS7の処理における上記進捗率が100%未満(たとえば95%)で、かつ、今回のステップS7の処理における上記進捗率が100%である場合、プロセッサ311は、第2の進捗状況が上記所定の状況であると判定する。また、プロセッサ311は、初めて実行されたステップS7の処理における上記進捗率が100%である場合でも、第2の進捗状況が上記所定の状況であると判定する。
【0043】
なお、ステップS3~S5の処理の順番は、図2の例に限られない。たとえば、上記の処理が互いに同時に行われてもよい。
【0044】
ステップS7では、プロセッサ311は、更新用のソフトウェアのインストールが完了したか否かを判定する。言い換えると、プロセッサ311は、第1の進捗状況(進捗率)が100%であるか否かを判定する。更新用のソフトウェアのインストールが完了している場合(S9においてYes)、処理はステップS10に進む。更新用のソフトウェアのインストールが完了していない場合(S9においてNo)、処理はステップS3に戻る。
【0045】
ステップS8では、プロセッサ311は、車両300の表示端末320に、更新用のソフトウェアのインストールが完了した旨を表示する。
【0046】
ステップS9では、プロセッサ311は、更新用のソフトウェアのインストールが完了した旨を、通信部313を通じて携帯端末400の通信部403に通知する。すなわち、プロセッサ311は、ステップS9において、携帯端末400に第1の進捗状況の最終通知を行う。これにより、第2の進捗状況の通知頻度(第2の頻度)は、第1の進捗状況の通知頻度(第1の頻度)よりも確実に低くなる。
【0047】
なお、図2に示すシーケンスはあくまで一例であり、これに限られない。たとえば、第2の進捗状況の通知頻度(第2の頻度)に基づいて、第2の進捗状況の通知処理(S6)の実行が制限されるようなシーケンスであってもよい。
【0048】
以上のように、第1実施形態においては、ECU310のプロセッサ311は、ECU310において用いられるソフトウェアの更新過程における第1の進捗状況を、第1の頻度で携帯端末400に通知する制御を行い、第2の進捗状況を、上記第1の頻度よりも低い第2の頻度で携帯端末400に通知する制御を行う。これにより、第1の進捗状況を車両300から携帯端末400に通知する頻度(第1の頻度)を維持しながら、第2の進捗状況が車両300から携帯端末400に通知される頻度(第2の頻度)を比較的低くすることができる。その結果、車両300と携帯端末400との間における通信による電力消費が大きくなるのを比較的抑制することができる。
【0049】
[第2実施形態]
図3および図4を参照して、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、車両から携帯端末に第2の進捗状況が通知されない。上記第1実施形態と同じ構成および処理(ステップ)については、同じ符号を付すとともに繰り返しの説明を行わない。
【0050】
図3は、第2実施形態に係る通知システム2の構成を示す図である。通知システム2は、サーバ100と、ユーザ200の車両500と、ユーザ200の携帯端末400と、を備える。
【0051】
車両500には、ECU510が搭載されている。ECU510は、プロセッサ511と、メモリ512と、通信部513とを含む。メモリ512には、プロセッサ511に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。また、車両500には、表示端末520が備えられている。
【0052】
第2実施形態では、プロセッサ511は、第2の進捗状況を、携帯端末400に通知せずに車両500に報知する制御を行う。言い換えると、車両500は、第2の進捗状況を、携帯端末400には通知せずに表示端末520等の報知部により報知する。したがって、プロセッサ511による携帯端末400への第2の進捗状況の通知頻度は0である。プロセッサ511は、第1の進捗状況および第2の進捗状況のうち第1の進捗状況のみを携帯端末400に通知する。
【0053】
プロセッサ511における上記制御は、メモリ512に格納されているプログラム512aをプロセッサ511が読み込んで実行することにより行われる。なお、プログラム512a自体が物理的に存在している訳でないが、図1では分かりやすいようにメモリ512のプログラムに符号(512a)を付して図示している。
【0054】
図4は、第2実施形態における上記進捗状況の通知制御方法を示すシーケンス図である。図4に示すように、第2実施形態におけるシーケンスは、図2に示す上記第1実施形態のシーケンスのステップS5およびS6の処理が省略されたものである。
【0055】
以上のように、第2実施形態においては、ECU500のプロセッサ511は、上記第2の進捗状況を、携帯端末400に通知せずに車両500に報知する制御を行う。これにより、上記第1実施形態に比べて第2の進捗状況が携帯端末400に通知される頻度を低くすることができるので、車両500と携帯端末400との間における通信による電力消費が大きくなるのをより抑制することができる。
【0056】
上記第1および第2実施形態では、第2の進捗状況が所定の進捗率(上記実施形態では100%)になった場合に第2の進捗状況が携帯端末400に送信される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、第2の進捗状況が所定時間以上変化しない場合に、第2の進捗状況が携帯端末400に送信されてもよい。
【0057】
上記第1実施形態では、第2の進捗状況に関する所定の条件が満たされる場合に第2の進捗状況が携帯端末400に通知される例を示したが、本開示はこれに限られない。第1実施形態において、上記所定の条件が設けられておらず、ステップS3(図2参照)の処理が行われる頻度とステップS6(図2参照)の処理が行われる頻度とが等しくてもよい。また、ステップS3の処理がN回行われるのに対してステップS5(図2参照)の処理がN-1回以下だけ行われるようなシーケンスであってもよい。たとえば、ステップS3の処理が連続で複数回行われた後に処理がステップS4に進むようなシーケンスであってもよい。
【0058】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1、2 システム,100 サーバ,200 ユーザ,300、500 車両,310、510 ECU,311、511 プロセッサ,312a、512a プログラム,313、513 通信部。
図1
図2
図3
図4