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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250723BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20250723BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20250723BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20250723BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20250723BHJP
【FI】
G08G1/16 C
A61B5/16 120
A61B5/18
B60W30/14
B60W50/08
G08G1/16 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022174772
(22)【出願日】2022-10-31
(65)【公開番号】P2024065756
(43)【公開日】2024-05-15
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘和
(72)【発明者】
【氏名】大八木 大史
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 慎也
(72)【発明者】
【氏名】浅原 則己
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008575(JP,A)
【文献】特開2021-113041(JP,A)
【文献】特開2020-128167(JP,A)
【文献】特開2017-049629(JP,A)
【文献】特開2022-084440(JP,A)
【文献】特開2020-164108(JP,A)
【文献】特開2018-180983(JP,A)
【文献】特開2021-037795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 50/08
B60W 30/14
A61B 5/18
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備える運転支援装置であって、
前記プロセッサは、
自車両における車線維持を行うための運転支援介入時における運転者による前記自車両に対する操作情報、前記自車両の周辺における他車両を含む環境情報および前記運転者の生体情報を取得し、
前記操作情報、前記環境情報および前記生体情報に基づいて、前記運転者の感情を推定し、
前記運転者の感情の推定結果に基づいて、運転支援介入時における介入量に関する制御パラメータを推定し、
前記制御パラメータとして前記自車両が走行する車線の走行位置を制御するためのパラメータを推定し、
前記制御パラメータに基づいて、前記自車両を制御し、
前記自車両の制御後に、前記運転者の感情の推定結果、前記操作情報および前記環境情報を基づいて、次回の運転支援介入時における前記制御パラメータを推定し、
前記自車両の制御後に、前記環境情報に基づいて、前記自車両と前記他車両の距離が所定距離以内であるか否かを判定し、
前記自車両の制御後に、前記運転者の感情の推定結果がネガティブであるか否かを判定し、
前記自車両の制御後に、前記自車両と前記他車両の距離が所定距離以内であると判定した場合において、前記運転者の感情の推定結果がネガティブであると判定されたとき、前記他車両に対して回避動作を行う、
運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記生体情報は、
前記運転者を撮像した画像情報、脈拍、体温および発汗の有無を含む、
運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、隣接車線の車両が所定より近い位置の場合、隣接車線の車両から離れるように自車の走行位置を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-321299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、運転者の感情を考量しておらず、運転者が意図しない走行位置へ自車が移動するため、却って運転者へ恐怖を与えてしまうという問題点があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者の感情を反映した運転支援を行うことができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る運転支援装置は、プロセッサを備える運転支援装置であって、前記プロセッサは、自車両における車線維持を行うための運転支援介入時における運転者による前記自車両に対する操作情報、前記自車両の周辺における他車両を含む環境情報および前記運転者の生体情報を取得し、前記操作情報、前記環境情報および前記生体情報に基づいて、前記運転者の感情を推定し、前記運転者の感情の推定結果に基づいて、次回の運転支援介入時における介入量に関する制御パラメータを推定し、前記制御パラメータに基づいて、前記自車両を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、運転者の感情を反映した運転支援を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施の形態に係る車両の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、一実施の形態に係る運転支援装置の各部における情報の流れの概要を模式的に示す図である。
図3図3は、一実施の形態に係る運転支援装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る運転支援装置を備える車両について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものでない。また、以下において、同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
【0010】
〔車両の機能構成〕
図1は、一実施の形態に係る車両の機能構成を示すブロック図である。図1に示す車両1は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)およびFCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)等が想定される。また、車両1は、先行車に所定の車間距離で追従しながら自動で速度を一定に維持するクルーズコントロール(Cruise Control)または運転者のステアリング操作等に対して運転支援を行って車両1の車線維持を行うステアリング操作サポートが可能なものが想定される。車両1は、センサ群10、駆動部20、記憶部30および運転支援装置40を備える。
【0011】
センサ群10は、温度センサ、脈拍センサ、撮像装置、ミリ波レーダ、速度センサ、加速度センサおよびジャイロセンサ等を用いて構成される。センサ群10は、車両1に関する各種情報を検出し、この検出情報を運転支援装置40へ出力する。その検出情報には、車両1内における運転者の生体情報、運転者を撮像した画像情報、運転者による車両1のハンドル操作およびアクセル操作等の操作情報、車両1の周辺の環境情報が含まれる。生体情報は、運転者の脈拍、発汗の有無および体温等である。また、環境情報には、車両1が走行する車線の道幅および車両1が走行する車線の車線数、車両1の周辺に位置する先行車両、後続車、隣接車両等の他車両および構造物までの距離、並びに、車両1の周辺に位置する他車両の速度が含まれる。ここで、先行車両、後続車、隣接車両等の他車両は、自動車以外に、トラック、自動二輪車、自転車および電動キックボード等のマイクロモビリティが含まれる。また、構造物は、ガードレール、電柱および信号機等が含まれる。
【0012】
駆動部20は、エンジンまたはモータ等を用いて実現される。駆動部20は、運転支援装置40の制御のもと、駆動することによって車両1を加速する。
【0013】
記憶部30は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)およびHDD(Hard Disk Drive)等を用いて実現される。記憶部30は、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブルおよび各種データベース等を記憶する。また、記憶部30は、後述する感情推定部41および制御パラメータ推定部42の推定結果を記憶してもよい。また、記憶部30は、後述する感情推定部41および制御パラメータ推定部42において用いられる機械学習された学習済みモデル(訓練済みモデル)を記憶してもよい。
【0014】
運転支援装置40は、ハードウェアを有するプロセッサを用いて実現される。そのハードディスクは、例えばメモリ、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)およびGPU(Graphics Processing Unit)等である。運転支援装置40は、車両1を構成する各部を制御する。運転支援装置40は、記憶部30に格納されたプログラムをメモリの作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。運転支援装置40は、感情推定部41、制御パラメータ推定部42、運転制御部43および判定部44を備える。
【0015】
感情推定部41は、車両1を運転する運転者の生体情報を取得し、この生体情報に基づいて、運転者の感情を推定する。具体的には、感情推定部41は、機械学習によって予め学習された学習済みモデルまたはルールに基づいて、車両1を運転する運転者の感情を推定する。感情推定部41に学習済みモデルを用いる場合、入力データは、センサ群10から取得した運転者の生体情報、操作情報および環境情報である。ここで、生体状態は、例えばセンサ群10によって測定された運転者の心拍、発汗の有無、体温、表情情報および視線情報等が含まれる。表情情報は、運転者の顔と所定のパターン(例えば笑顔)に基づく一致度の数値である。また、運転者の感情は、ポジティブ(快適)、ノーマル(普通)およびネガティブ(不快)のいずれかである。
【0016】
なお、実施の形態1では、感情推定部41は、運転者の感情を3段階で出力しているが、これに限定されることなく、少なくとも快適および不快の2段階であればよい。もちろん、感情推定部41は、運転者の感情を3段階以上、例えば「ポジティブ(快適)」、「ややポジティブ(やや快適)」、「ノーマル(普通)」、「ややネガティブ(やや不快)」および「ネガティブ(不快)」の5段階で出力してもよい。また、感情推定部41は、運転者の感情を3段階で出力しているが、これに限定されることなく、例えば運転者の快不快の数値(確率)を出力してもよい。なお、快不快の数値とは、例えば快適または不快を示す数値指標のことを示している。また、快不快の確率とは、快適または不快を示す特定の感情についての確率のことを示している。
【0017】
また、感情推定部41で用いる学習済みモデルを構築する手法は、特に限定されることなく、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法等の種々の機械学習手法を用いることができる。
【0018】
制御パラメータ推定部42は、感情推定部41が推定した運転者の感情、操作情報および環境情報に基づいて、次回の運転支援介入時における介入量に関する制御パラメータを推定する。この制御パラメータは、車両1が走行する車線の走行位置を制御するためのパラメータである。具体的には、制御パラメータは、車両1の運転者による操作に対して、運転支援介入時におけるステアリング操作量およびアクセル操作量等の介入量に関するパラメータである。制御パラメータ推定部42は、機械学習によって予め学習された学習済みモデルまたはルールに従って、運転者の感情、操作情報および環境情報に基づく次回の運転支援介入時における介入量に関する制御パラメータを推定する。制御パラメータ推定部42に学習済みモデルを用いる場合、入力データは、運転者の感情の推定結果、操作情報および環境情報である。そして、出力データは、次回の運転支援介入時における介入量に関する制御パラメータである。例えば、制御パラメータは、次回の運転支援介入時におけるステアリング操作量およびアクセル操作量等である。また、制御パラメータ推定部42で用いる学習済みモデルを構築する手法は、特に限定されることなく、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法等の種々の機械学習手法を用いることができる。
【0019】
運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて、駆動部20を駆動することで、車両1の運転を制御する。具体的には、運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて駆動部20を駆動することで、運転支援介入時における車両1の走行位置を制御する。例えば、運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて駆動部20を駆動することで、車両1(自車両)と他車両との距離を一定に維持しつつ、車両1が走行する車線維持を行う。また、運転制御部43は、後述する判定部44によって車両1と他車両の距離が所定距離以内であると判定された場合において、判定部44によって感情推定部41による運転者の感情の推定結果がネガティブであると判定されたとき、他車両に対して回避動作を行う。
【0020】
判定部44は、センサ群10が検出した環境情報に基づいて、車両1と他車両の距離が所定距離以内であるか否かを判定する。さらに、判定部44は、感情推定部41が推定した運転者の感情の推定結果がネガティブであるか否かを判定する。
【0021】
〔運転支援装置の各部における情報の流れの概要〕
次に、運転支援装置40の各部における情報の流れの概要について説明する。図2は、運転支援装置40の各部における情報の流れの概要を模式的に示す図である。
【0022】
図2に示すように、感情推定部41は、センサ群10から運転者P100の生体情報、運転者P100による車両1に対する操作情報および車両1の環境情報を取得する。そして、感情推定部41は、生体情報、操作情報および環境情報に基づいて、運転者P100の感情を推定する。
【0023】
続いて、制御パラメータ推定部42は、感情推定部41が推定した推定結果、センサ群10から取得した運転者P100の操作情報および車両1の環境情報に基づいて、車両1における車線維持を行うための運転支援介入時の介入量に関する制御パラメータを推定する。さらに、制御パラメータ推定部42は、感情推定部41が推定した運転者P100の感情推定結果、センサ群10から取得した運転者P100による操作情報、車両1の環境情報および運転制御部43から入力される制御信号に基づいて、次回の運転支援介入時の介入量に関する制御パラメータを推定する。
【0024】
その後、運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて、車両1を制御するための制御信号を駆動部20および制御パラメータ推定部42へ出力する。
【0025】
〔運転支援装置の処理〕
次に、運転支援装置40が実行する処理について説明する。図3は、運転支援装置40が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0026】
図3に示すように、まず、感情推定部41は、センサ群10から車両1内の運転者P100の生体情報、運転者P100による車両1に対する操作情報および車両1の周辺における環境情報を取得する(ステップS1)。
【0027】
続いて、感情推定部41は、センサ群10から取得した運転者P100の生体情報、運転者P100による車両1に対する操作情報および車両1の周辺における他車両を含む環境情報に基づいて、運転者P100の感情を推定する(ステップS2)。
【0028】
その後、制御パラメータ推定部42は、感情推定部41が推定した推定結果、センサ群10から取得した操作情報、環境情報および運転制御部43から入力された制御信号に基づいて、運転支援介入時の介入量に関する制御パラメータを推定する(ステップS3)。
【0029】
続いて、運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて、車両1を制御するための制御信号を駆動部20に出力することによって運転支援介入時における車両1の運転を制御する(ステップS4)。具体的には、運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて駆動部20を駆動することで、運転支援介入時における車両1の走行位置を制御する。例えば、運転制御部43は、制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて駆動部20を駆動することで、車両1(自車両)と他車両との距離を一定に維持しつつ、車両1が走行する車線維持を行う。さらに、運転制御部43は、制御信号を制御パラメータ推定部42へ出力する。
【0030】
その後、制御パラメータ推定部42は、センサ群10から取得した運転者P100の生体情報、運転者P100による車両1に対する操作情報および車両1の周辺における他車両を含む環境情報および運転制御部43から入力される制御信号に基づいて、次回の運転支援介入時における運転の介入量に関する制御パラメータを推定する(ステップS5)。
【0031】
続いて、判定部44は、センサ群10が検出した他車両と車両1との距離が所定距離以内であるか否かを判定する(ステップS6)。なお、判定部44は、センサ群10が検出した他車両と自車両との距離が所定距離内であるか否かを判定しているが、他車両以外にも、ガードレール、電柱および植え込み等の構造物と車両1との距離が所定距離内であるか否かを判定してもよい。判定部44によって他車両と自車両の距離が所定距離以内であると判定された場合(ステップS6:Yes)、運転支援装置40は、ステップS7へ移行する。これに対して、判定部44によって他車両と自車両の距離が所定距離以内でないと判定された場合(ステップS6:No)、運転支援装置40は、ステップS9へ移行する。
【0032】
ステップS7において、判定部44は、感情推定部41が推定した運転者P100の感情がネガティブ(不快)であるか否かを判定する。判定部44によって感情推定部41が推定した運転者P100の感情がネガティブであると判定された場合(ステップS7:Yes)、運転支援装置40は、ステップS8へ移行する。これに対して、判定部44によって感情推定部41が推定した運転者P100の感情がネガティブでないと判定された場合(ステップS7:No)、運転支援装置40は、ステップS9へ移行する。
【0033】
ステップS8において、運転制御部43は、駆動部20を制御することによって他車両に対して自車両を回避させる回避動作を行う。ステップS7の後、運転支援装置40は、ステップS9へ移行する。
【0034】
ステップS9において、判定部44は、センサ群10から入力された検出結果に基づいて、車両1が停止することによって運転者P100の運転操作が終了したか否かを判定する。判定部44によって車両1が停止することによって運転者P100の運転操作が終了したと判定された場合(ステップS9:Yes)、運転支援装置40は、本処理を終了する。これに対して、判定部44によって車両1が停止することによって運転者P100の運転操作が終了していないと判定された場合(ステップS9:No)、運転支援装置40は、ステップS1へ戻る。
【0035】
以上説明した一実施の形態によれば、運転制御部43が制御パラメータ推定部42から入力される制御パラメータに基づいて、車両1を制御するため、運転者P100の感情を反映した運転支援を行うことができる。
【0036】
また、一実施の形態によれば、制御パラメータ推定部42が制御パラメータとして車両1が走行する車線の走行位置を制御するためのパラメータを推定するため、運転者P100の感情を反映した運転支援を行うことができる。
【0037】
また、一実施の形態によれば、制御パラメータ推定部42がセンサ群10から取得した運転者P100の生体情報、運転者P100による車両1に対する操作情報および車両1の周辺における他車両を含む環境情報および運転制御部43から入力される制御信号に基づいて、次回の運転支援介入時における運転の介入量に関する制御パラメータを推定する。これにより、制御パラメータ推定部42は、運転者P100の運転介入時の感情を反映した車両1の制御パラメータを推定することができる。
【0038】
また、一実施の形態によれば、運転制御部43が判定部44によって車両1と他車両の距離が所定距離以内であると判定された場合において、判定部44によって感情推定部41による運転者の感情の推定結果がネガティブであると判定されたとき、他車両に対して回避動作を行う。これにより、運転者P100が煽り運転等を行う他車両に対して恐怖を感じている場合に、車両1の運転介入を行うことによって運転者P100の心理負担を軽減することができる。
【0039】
また、一実施の形態によれば、感情推定部41が生体状態としてセンサ群10から運転者を撮像した画像情報、脈拍、体温および発汗の有無を取得するため、運転者P100の感情を精度よく推定することができる。
【0040】
(その他の実施の形態)
なお、一実施の形態では、感情推定部が一人の運転者の感情を推定していたが、これに限定されることなく、車両に乗車した乗員に対して感情を推定してもよい。
【0041】
また、一実施の形態では、運転支援装置が車両に設けられていたが、運転支援装置の機能を一つのサーバによって実現してもよい。また、運転支援装置を構成する感情推定部、制御パラメータ推定部および運転制御部の各々を複数のサーバを分けて実現してもよい。
【0042】
また、一実施の形態に係る運転支援装置では、上記してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、感情推定部は、感情推定手段または感情推定回路に読み替えることができる。
【0043】
また、一実施の形態に係る運転支援装置に実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0044】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施の形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0045】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0046】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両;10 センサ群;20 駆動部;30 記憶部;40 運転支援装置;41 感情推定部;42 制御パラメータ推定部;43 運転制御部;44 判定部
図1
図2
図3