(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】希土類永久磁石及びこれを備える回転電機
(51)【国際特許分類】
H01F 1/057 20060101AFI20250723BHJP
H01F 1/053 20060101ALI20250723BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20250723BHJP
H02K 1/276 20220101ALI20250723BHJP
H02K 15/035 20250101ALI20250723BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20250723BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F1/053
H01F7/02 C
H02K1/276
H02K15/035
C22C38/00 303D
(21)【出願番号】P 2021042485
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2020054504
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】早川 拓馬
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/123251(WO,A1)
【文献】特開2011-216836(JP,A)
【文献】特開2010-135529(JP,A)
【文献】特開2017-055074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/053-1/059、7/02、41/02
H02K 1/276、15/035
C22C 38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面を有する希土類永久磁石であって、
前記第1表面の重心を含む部分a1の保磁力をA1とし、
前記部分a1から、前記第1表面の重心における法線方向に対し垂直なY方向に離れた前記第1表面の端を含む部分b1の保磁力をB1とし、
前記部分a1から、前記第1表面の重心における法線方向及び前記Y方向に対して垂直なX方向に離れた前記第1表面の端を含む部分c1の保磁力をC1とし、
前記部分a1から、前記X方向とは反対の-X方向に離れた前記第1表面の端を含む部分d1の保磁力をD1としたときに、
A1<B1、A1≧C1、及び、A1≧D1を満たし、
前記第1表面の表層部に重希土類元素が存在し、
前記第1表面の表層部において、前記部分a1、前記部分b1、前記部分c1、及び、前記部分d1に前記重希土類元素が存在し
、
前記部分a1において、前記第1表面に向かうほど保磁力及び前記重希土類元素の濃度が高くなる、希土類永久磁石。
【請求項2】
B1-A1≧10kA/mである、請求項1に記載の希土類永久磁石。
【請求項3】
前記第1表面と対向する第2表面を有し、前記第2表面の表層部に重希土類元素が存在し、
前記第2表面の重心を含む部分a2の保磁力をA2とし、
前記第2表面の重心を含む部分a2から、前記X方向に離れた前記第2表面の端を含む部分c2の保磁力をC2とし、
前記第2表面の重心を含む部分a2から、前記-X方向に離れた前記第2表面の端を含む部分d2の保磁力をD2としたときに、
A2≧C2、及び、A2≧D2を満たす、請求項1
又は2に記載の希土類永久磁石。
【請求項4】
前記第2表面の重心を含む部分a2から、前記Y方向に離れた前記第2表面の端を含む部分b2の保磁力をB2としたときに、
A2<B2を満たす、請求項
3に記載の希土類永久磁石。
【請求項5】
前記第2表面の重心を含む部分a2から、前記Y方向とは反対の-Y方向に離れた前記第2表面の端を含む部分e2の保磁力をE2としたときに、
A2<E2を満たす、請求項
3又は
4に記載の希土類永久磁石。
【請求項6】
前記第1表面の重心を含む部分a1から、前記Y方向とは反対の-Y方向に離れた前記第1表面の端を含む部分e1の保磁力をE1としたときに、
A1<E1を満たす、請求項1~
5のいずれか一項に記載の希土類永久磁石。
【請求項7】
前記Y方向は、前記第1表面の長手方向である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の希土類永久磁石。
【請求項8】
前記第1表面の重心における法線方向は、前記希土類永久磁石のc軸と平行である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の希土類永久磁石。
【請求項9】
ロータと、ステータと、前記ロータ又は前記ステータに設けられた請求項1~
8のいずれか一項に記載の希土類永久磁石と、
を備える、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類永久磁石及びこれを備える回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つの主面又は対向する2つの主面のみに重希土類元素を塗布することで、主面の中央部の保磁力が、主面の端部の保磁力より大きい、重希土類元素を含むR-T-B系焼結磁石が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁石の用途によっては、一方の端面における耐食性を向上させたい場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、一方の端面における耐食性が向上した希土類永久磁石、及び、これを備える回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る希土類永久磁石は、第1表面を有し、第1表面の重心を含む部分a1の保磁力をA1とし、上記部分a1から第1表面の重心における法線方向に対し垂直なY方向に離れた第1表面の端を含む部分b1の保磁力をB1とし、上記部分a1から第1表面の重心における法線方向及びY方向に対して垂直なX方向に離れた第1表面の端を含む部分c1の保磁力をC1とし、上記部分a1からX方向とは反対の-X方向に離れた第1表面の端を含む部分d1の保磁力をD1としたときに、A1<B1、A1≧C1、及び、A1≧D1を満たし、第1表面の表層部に重希土類元素が存在している。
【0007】
本発明によれば、A1<B1を満たすため、Y方向の一方の端部において耐食性が向上した希土類永久磁石を提供することができる。
【0008】
希土類永久磁石の端部において腐食が発生する機構と、希土類永久磁石がA1<B1を満たすことにより希土類永久磁石の端部における耐食性が向上する理由について、本発明者は以下のように考えている。すなわち、希土類永久磁石の粒界に存在する、主相に比べて希土類元素Rの含有量が多い相(Rリッチ相)は、酸化されやすい。粒界に存在するRリッチ相のRは、使用環境下の水蒸気などに由来する水により腐食されて水酸化物に変わり、その過程で水素を発生する。この過程は、下記式(I)のように表される。
【0009】
2R+6H2O→2R(OH)3+3H2・・・(I)
【0010】
この発生した水素が、腐食されていないRリッチ相に吸蔵される。この過程は、下記式(II)のように表される。
【0011】
2R+xH2→2RHx・・・(II)
【0012】
水素吸蔵することでRリッチ相がより腐食され易くなると共に、水素吸蔵されたRリッチ相と水とによる腐食反応により、Rリッチ相に吸蔵された量以上の水素を発生する。この過程は、下記式(III)のように表される。
【0013】
2RHx+6H2O→2R(OH)3+(3+x)H2・・・(III)
【0014】
上記式(I)~(III)の連鎖反応により、磁石の端部において発生した腐食が磁石の内部に進行していき、Rリッチ相がR(OH)3及びRHxに変化していく。この変化に伴う体積膨張によって応力が蓄積され、磁石の主相を構成する結晶粒(主相粒子)の脱落に至る。そして、主相粒子の脱落によって、磁石の新生面が現れ、磁石の腐食はさらに磁石の内部に進行していく。
【0015】
ここで、磁石がA1<B1を満たす、つまり磁石の端部における例えばRリッチ相中に重希土類元素が増えることで、Rリッチ相の合金新生面での腐食電位が向上する。これにより、上記式(I)での水素発生が抑制され、その結果、上記式(II)以降の反応が起こりにくくなり、+Y方向の端部において磁石としての耐食性が向上する。
【0016】
また、上記磁石は、B1-A1≧10kA/mを満たすことができる。
【0017】
また、上記磁石は、上記第1表面と対向する第2表面を有し、上記第2表面の表層部に重希土類元素が存在し、上記第2表面の重心を含む部分の保磁力をA2とし、上記第2表面の重心を含む部分a2から上記X方向に離れた上記第2表面の端を含む部分c2の保磁力をC2とし、上記第2表面の重心を含む部分a2から上記-X方向に離れた上記第2表面の端を含む部分d2の保磁力をD2としたときに、A2≧C2、及び、A2≧D2を満たすことができる。
【0018】
また、上記磁石が上記第1表面と対向する第2表面を有し、上記第2表面の全面に重希土類元素が存在し、A2≧C2、及び、A2≧D2を満たす場合、上記磁石は、上記第2表面の重心を含む部分a2から上記Y方向に離れた上記第2表面の端を含む部分b2の保磁力をB2としたときに、A2<B2を満たすことができる。
【0019】
また、上記磁石が上記第1表面と対向する第2表面を有し、上記第2表面の全面に重希土類元素が存在し、A2≧C2、及び、A2≧D2を満たす場合、上記磁石は、上記第2表面の重心を含む部分a2から上記Y方向に反対の-Y方向に離れた上記第2表面の端を含む部分e2の保磁力をE2としたときに、A2<E2を満たすことができる。
【0020】
また、上記磁石は、上記第1表面の重心を含む部分から上記Y方向に反対の-Y方向に離れた上記第1表面の端を含む部分e1の保磁力をE1としたときに、A1<E1を満たすことができる。
【0021】
また、上記Y方向は、上記第1表面の長手方向であってよい。
【0022】
また、上記第1表面の重心における法線方向は、上記磁石のc軸と平行であってよい。
【0023】
本発明に係る回転電機は、ロータと、ステータと、上記ロータ又は上記ステータに設けられた上記磁石と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一方の端面における耐食性が向上した希土類永久磁石、及び、これを備える回転電機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る希土類永久磁石を表す外観図である。
【
図2】希土類永久磁石の粒界及び結晶粒子に元素が拡散する様子を示す模式図である。
【
図3】
図3(A)~(D)は、第1~第4実施形態に係る希土類永久磁石のZY断面における保磁力分布を表す模式図であり、
図3(E)は、従来技術の希土類永久磁石のZY断面における保磁力分布を示す模式図であり、いずれも色が濃いほど保磁力が強いことを示す。
【
図4】
図4(A)は、第1実施形態にかかる希土類永久磁石のZX断面の保磁力分布を示す模式図であり、
図4(B)は、第2~第4実施形態にかかる希土類永久磁石のZX断面の保磁力分布を示す模式図であり、いずれも色が濃いほど保磁力が強いことを示す。
【
図5】本実施形態に係る保磁力測定用のチップを表す概略斜視図である。
【
図6】
図6の(A)~(C)は、それぞれ、本発明の変形態様にかかる希土類永久磁石を表す概略図である。
【
図7】
図7は、塗料が塗布される焼結体の斜視図である。
【
図8】
図8(A)~(E)は、それぞれ、第1~4実施形態及び従来技術にかかる希土類永久磁石の製造工程において、拡散処理工程前に、塗料が塗布された焼結体のZY断面を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る回転電機の一例を表す概略図である。
【
図10】
図10(A)及び
図10(B)は、実施例において、切り出された部分保磁力測定用のチップの位置及び座標を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態が説明される。図面において、同等の構成要素には同等の符号が付される。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
【0027】
<希土類永久磁石>
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る希土類永久磁石100(以下、「磁石100」ともいう)を表す外観図である。
図1に示すように、本実施形態に係る磁石100は、直方体形状を有する。磁石100は、Z=0であるXY平面上に配置された第1表面10、XY平面と平行に配置されて第1表面10と対向する第2表面11、及びXY平面に垂直な4つの側面(端面)12~15を有する。
【0028】
第1表面(主面)10と第2表面(主面)11とは、それぞれ、長手方向がY方向とされ短手方向がX方向とされた矩形形状を有し、Z方向に直交し互いに対向する。側面13及び15は、ZY平面と並行に配置されて互いに対向し、側面12及び14はXZ平面に平行に配置されて互いに対向している。
【0029】
第1表面10及び第2表面11は、側面12~15のいずれよりも面積が大きい。第1表面10は、短辺10b、10eと、長辺10c、10dを有する。第2表面11は、短辺11b、11eと、長辺11c、11dを有する。
【0030】
ここで、第1表面10の重心a1’を含む部分を中央部a1とし、中央部a1からY方向に離れた端を含む部分を端部b1、中央部a1から-Y方向に離れた端を含む部分を端部e1、中央部a1からX方向に離れた端を含む部分を端部c1、中央部a1から-X方向に離れた端を含む部分を端部d1とする。
【0031】
同様に、第2表面11における重心a2’を含む部分を中央部a2とし、中央部a2からY方向に離れた端を含む部分を端部b2、中央部a2から-Y方向に離れた端を含む部分を端部e2、中央部a2からX方向に離れた端を含む部分を端部c2、中央部a2から-X方向に離れた端を含む部分を端部d2とする。
【0032】
図1に示される磁石100において、端部b1は、辺10bの中点b1’を含む部分である。端部c1は、辺10cの中点c1’を含む部分である。端部d1は、辺10dの中点d1’を含む部分である。端部e1は、辺10eの中点e1’を含む部分である。
【0033】
図1に示される磁石100において、端部b2は、辺11bの中点b2’を含む部分である。端部c2は、辺11cの中点c2’を含む部分である。端部d2は、辺11dの中点d2’を含む部分である。端部e2は、辺11eの中点e2’を含む部分である。
【0034】
磁石100は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含有し、R2T14B結晶から成る粒子(主相結晶粒)及び隣り合う複数の主相結晶粒の間に存在する粒界を有するR-T-B系焼結磁石である。なお、磁石100は、R-T-B系焼結磁石に限定されず、例えば、サマリウムコバルト磁石、サマリウム‐鉄‐窒素磁石、又はプラセオジム磁石であってよい。
【0035】
磁石100において、Rは、希土類元素の少なくとも1種を表す。希土類元素とは、長周期型周期表の第3族に属するScとYとランタノイド元素とのことをいう。ランタノイド元素には、例えば、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が含まれる。希土類元素は、軽希土類及び重希土類に分類され、重希土類元素とは、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luをいい、軽希土類元素はそれ以外の希土類元素である。
【0036】
磁石100において、Rの含有量は、好ましくは28.0質量%以上33.0質量%以下であり、より好ましくは29.0質量%以上32.0質量%以下である。Rの含有量を上記の範囲内とすることで、残留磁束密度(Br)及び保磁力(Hcj)が向上する。
【0037】
磁石100において、Tは、Fe、又はFe及びCoを含む1種以上の遷移金属元素を示す。Tは、Fe単独であってもよく、Feの一部がCoで置換されたものであってもよい。
【0038】
磁石100において、Feの含有量は、磁石100の構成要素における実質的な残部である。
【0039】
磁石100がCoを含む場合、Coの含有量は、好ましくは0.3質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上2.5質量%以下である。Coの含有量を上記の範囲内とすることで、保磁力及び耐食性が向上する。
【0040】
Fe及びCo以外の遷移金属元素としては、Ti、V、Cu、Cr、Mn、Ni、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W等が挙げられる。また、Tは、遷移金属元素以外に、例えば、Al、Ga、Si、Bi、Sn等の元素の少なくとも1種の元素をさらに含んでいてもよい。
【0041】
磁石100において、Bは、Bの一部を炭素(C)に置換することができる。この場合、磁石の製造が容易となるほか、製造コストの低減も図れるようになる。また、Cの置換量は、磁気特性に実質的に影響しない量とする。また、その他、不可避的にO、C、Ca等が混入してもよい。
【0042】
磁石100において、Bの含有量は、好ましくは0.70質量%以上1.10質量%以下であり、より好ましくは0.75質量%以上1.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.80質量%以上1.00質量%以下である。Bの含有量を上記の範囲内とすることにより、残留磁束密度及び保磁力が向上する。
【0043】
磁石100において、Cの含有量は、他のパラメータ等によって変化し適量決定される。さらに、磁石100は、Cu及びAl等を含んでいてもよい。これらの元素の添加により、高保磁力化、高耐食性化及び温度特性の改善が可能となる。
【0044】
磁石100は、第1表面10の表層部に重希土類元素が存在している。具体的には、例えば、第1表面10における、中央部a1、中央部a1からY方向に離れた端部b1、中央部a1から-Y方向に離れた端部e1、中央部a1からX方向に離れた端部c1、中央部a1から-X方向に離れた端部d1のいずれにおいても、さらに、第1表面10の4つの角部においても、第1表面10の表層部、特に表層部にある粒界に重希土類元素が存在している。なお、第1表面10の主相を構成する結晶粒の内部に重希土類元素が存在していてもよいし、していなくてもよい。表層部とは、磁石表面から0.5mmまでの深さにある領域をいう。
【0045】
磁石100は、第1表面10から重希土類元素が内部に向かって粒界拡散された希土類永久磁石であることができる。重希土類元素を粒界拡散した磁石100は、粒界拡散しない磁石100と比較して、より少量の重希土類元素で保磁力を向上させることができる。
【0046】
粒界拡散に関して、拡散の様子をモデル化したHarrisonの拡散分類モデルが知られている。Harrisonの拡散分類モデルによれば、拡散がA型、B型、C型に分類される。
図2(A)~(C)は、磁石100の粒界21及び結晶粒子23に元素が拡散する様子を示す模式図である。
図2(A)がA型、
図2(B)がB型、
図2(C)がC型である。各図でハッチングした部分が、重希土類元素が拡散した部分を表す。なお、
図2(A)~(C)では、図の上から下へと元素が拡散している。
【0047】
図2(A)に示すように、A型の場合には、粒界21とともに結晶粒子23内部にも重希土類元素が拡散する。すなわち、A型の場合には、粒子内への拡散が進行する。これに対し、
図2(C)に示すように、C型の場合には、結晶粒子23内部には重希土類元素が拡散せず、粒界21にのみ重希土類元素が拡散する。
図2(B)に示すように、B型の場合はA型の場合とC型の場合との中間である。
【0048】
粒界21における重希土類元素(Dy及びTbのうち少なくとも一方)の濃度は、結晶粒子23における重希土類元素の濃度と比較して高い方が好ましく、重希土類元素は、粒界21及び結晶粒子23の表面のみに拡散することが最も好ましい。したがって、拡散はB型又はC型が支配的であることが好ましく、C型が支配的であることが特に好ましい。粒界21における重希土類元素の濃度が高い場合には、少ない重希土類元素で効率的に保磁力を向上させることが可能となる。本明細書において、重希土類元素の濃度とは、特に断らない限り、重希土類元素の質量濃度を意味する。
【0049】
第1実施形態では、磁石100は、第2表面11の表層部の粒界に重希土類元素が存在していない。
【0050】
磁石100に含まれる各種成分の測定法は、従来から一般的に知られている方法を用いることができる。各種金属元素量については、蛍光X線分析(XRF)により測定してもよい。酸素量は、不活性ガス融解-非分散型赤外線吸収法により測定してもよい。炭素量は、酸素気流中燃焼-赤外線吸収法により測定してもよい。測定試料が小さいか含有金属元素量が微量の場合は誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)を用いてもよい。
【0051】
1つの態様において、磁石100の磁化容易軸(c軸)は、重心a1’の法線であるZ方向と平行すなわち第1表面10に垂直であるが、他の態様では、Z方向と垂直(例えば、Y方向と平行又はX方向と平行)であってもよく、Z方向に対して斜め方向でもよい。
【0052】
磁石100の寸法は、特に制限されず、用途に応じて適宜変更することができる。磁石100のX方向の長さX1は、1~100mmであってよく、Y方向の長さY1は、10~300mmであってよく、Z方向の厚みZ1は、0.5~30mmであってよく、1~15mmであってもよい。磁石100は、立方体であってもよい。
【0053】
図3(A)は、第1実施形態に示す磁石100を、
図1の中央部a1、a2、端部b1、e1、b2、e2を含むx=0のZY面に沿う切断面で切断した断面の保磁力分布の模式図である。
【0054】
なお、
図3及び後述する
図4では、黒色が濃い(ドットが多い)部分ほど保磁力が高く、黒色が薄い(ドットが少ない)部分ほど保磁力が低いことを示す。なお、黒色の濃淡(ドットの多寡)は、各図面内の複数の部分における相対的な保磁力の大小を表す。黒色の濃淡(ドットの多寡)は、異なる図面間での相対的な保磁力の大小を表すものではない。
【0055】
本実施形態では、ZY断面において、第1表面10及びその近傍において、第1表面10に向かうほど保磁力及び重希土類元素の濃度が高くなる領域(傾斜構造領域)を有する。中点e1’(端部e1)から重心a1’(中央部a1)を通って、中点b1’(端部b1)の手前まで、当該傾斜構造領域において、実質的にY方向における保磁力及び重希土類元素の濃度は一定(保磁力は±9kA/m、重希土類元素の濃度は±10%の範囲内)であるが、端部b1の保磁力及び重希土類元素の濃度は、当該一定値よりも高く、端部b1において、傾斜構造は他の部分に比べてより-Z方向に深く伸びている。
【0056】
言い換えると、第1表面10の中央部a1の保磁力をA1とし、中央部a1から、重心a1’の法線Z方向に対し垂直なY方向に離れた第1表面の端を含む端部b1における保磁力をB1とした時に、A1<B1を満たす。
【0057】
端部における耐食性を一層向上できることから、B1-A1は10kA/m以上であることが好適であり、15kA/m以上であることがより好適であり、20kA/m以上であることがさらに好適である。
【0058】
このような状況は、x=0のZY断面のみならず、x=0のZY断面に平行な他のZY断面でも満たされる。すなわち、
図1の辺10dの中点d1’及び辺10cの中点c1’間を結ぶX軸上の線u4をn等分し、各線分を含む部分の保磁力をA1
nとし、第1表面10の辺10bをn等分し、各線分を含む部分の保磁力B1
nとし、これらを同じX軸位置において比較すると、中央部a1以外でも、各線分のX軸方向同位置において、A1
n<B1
nを満たす。差は、好ましくは上述の式を満たす。
【0059】
端部b1など辺10bを含む部分の保磁力及び重希土類金属元素の濃度が、中央部a1などX軸を含む部分の保磁力及び重希土類金属元素の濃度よりも高いことに対応して、辺10bから辺11bに向かって、例えば、Z方向厚みの中央まで、側面12の各部分(例えば、XZ方向に沿う格子状に分けることができる)における保磁力及び重希土類金属元素濃度と、中央部(y=0)のZX断面を含む各部分の保磁力及び重希土類金属元素濃度とを、Y方向に離れて対応する位置で比較した場合、端面12側の方が高くなる。
【0060】
図4(A)は、第1実施形態に示す磁石100を、
図1の中央部a1、a2、端部c1、d1、c2、d2を含むy=0のXZ面で切断した断面の保磁力分布の模式図である。
【0061】
本実施形態では、当該切断面において、第1表面10の重心a1’を含む中央部a1の保磁力は、中点d1’を含む端部d1及び中点c1’を含む端部c1の保磁力以上である。これは、端部c1及び端部d1における重希土類元素の濃度が、中央部a1における重希土類元素の濃度以下であることに対応する。第1表面10の中央部a1の保磁力は、両端部d1及びc1の保磁力を超えることができる。これは、中央部a1における重希土類元素の濃度が、端部c1及び端部d1のそれより高いことに対応する。
【0062】
中央部a1から、重心a1’の法線Z方向及びY方向に対して垂直なX方向に離れた第1表面10の端を含む端部c1の保磁力をC1とし、中央部a1から、X方向とは反対の-X方向に離れた第1表面10の端を含む端部d1の保磁力をD1としたときに、本実施形態の磁石100は、A1≧C1、及び、A1≧D1を満たす。
【0063】
A1及びC1は、A1-C1≧10kA/mを満たすものであってよく、A1-C1≧20kA/mを満たすものであってよく、A1-C1≧30kA/mを満たすものであってよい。
【0064】
A1及びD1は、A1-D1≧10kA/mを満たすものであってよく、A1-D1≧20kA/mを満たすものであってよく、A1-D1≧30kA/mを満たすものであってよい。
【0065】
なお、A1≧C1、及び、A1≧D1の関係は、y=0のZX断面のみならず、y=0のZX断面に平行な他のZX断面でも満たされる。
【0066】
第2表面11には重希土類金属元素は実質的に存在しないか、面内で実質的に同濃度であり、中央部a2及び両端部b2,e2、c2,d2の保磁力は実質的に同一(保磁力は±9kA/m、重希土類元素濃度は±10%の範囲内)であり、Z方向(厚み方向)の中央部a2の保磁力と同等である。
【0067】
本明細書において、第1表面又は第2表面の重心、端、又は角等を含む部分等の、保磁力又は重希土類金属元素の濃度が定義される磁石の部分(チップと呼ぶことがある)の大きさ及び形状に特に限定はない。
【0068】
チップの形状は特に限定されず、例えば、
図5に示すように、直方体であってもよい。チップ30の厚みZ2の例は、0.5~10mmである。一辺X2及び他辺Y2の長さはそれぞれ、0.5~10mmとすることができる。体積の例は、磁石の1/1000~1/10とすることができる。
【0069】
(作用効果)
第1実施形態によれば、従来技術に比べ、端面12における耐食性を、他の端面に比べて選択的に高くすることができる。従って、磁石の使用時に最も腐食を受けやすい端面が端面12となるように磁石を配置することにより、磁石の耐食性を高くすることがでる。
【0070】
従来技術のR-T-B磁石は、XZ切断面において
図4の(B)のような構造を有していても、ZY切断面において
図3(E)のようになり、A1<B1を満たさない。
【0071】
(第2実施形態)
本実施形態に係る磁石は、第1実施形態に対して、保磁力の分布、すなわち、重希土類元素の分布に相違がある。
【0072】
図3(B)は、第2実施形態に示す磁石100を、
図1の中央部a1、a2、端部b1、e1、b2,e2を含むx=0のZY面で切断した断面の保磁力分布の模式図である。
【0073】
本実施形態では、切断面において、第1表面10側の保磁力等の傾斜構造は、第1実施形態と同様である。
【0074】
ZY断面において、第2表面11及びその近傍において、第2表面11に向かうほど保磁力及び重希土類元素の濃度が高くなる領域(傾斜構造領域)をさらに有する。中点b2’(端部b2)から重心a2’(中央部a2)を通って、中点e2’(端部e2)の手前まで、当該傾斜構造領域において、実質的にY方向における保磁力及び重希土類元素の濃度は一定(保磁力は±9kA/m、重希土類元素の濃度は±10%の範囲内)であるが、端部e2の保磁力及び重希土類元素の濃度は、当該一定値よりも高く、端部e2において、傾斜構造は他の部分に比べてより+Z方向に深く伸びている。
【0075】
言い換えると、第2表面11の中央部a2の保磁力をA2とし、中央部a2から-Y方向に離れた第2表面の端部e2における保磁力をE2とした時に、A2<E2を満たす。
【0076】
E2-A2は10kA/m以上であることが好適であり、15kA/m以上であることがより好適であり、20kA/m以上であることがさらに好適である。
【0077】
このような状況は、x=0のZY断面のみならず、x=0のZY断面に平行な他のZY断面でも満たされる。すなわち、辺11dの中点d2’及び辺11cの中点c2’間を結ぶX軸と平行な線u2をn等分(例えば10等分)し、各線分を含む部分の保磁力をA2nとし、端面14の辺11eをn等分し、各線分を含む部分の保磁力E2nとし、これらを同じX軸位置において比較すると、中央部a2以外でも、各線分のX軸方向同位置において、A1n<E2nを満たす。差は、好ましくは上述の式を満たす。
【0078】
端部e2など辺11eを含む部分の保磁力及び重希土類金属元素の濃度が、中央部a2などX軸に平行な線u2を含む部分の保磁力及び重希土類金属元素の濃度よりも高いことに対応して、辺11eから辺10eに向かって、例えば、Z方向厚みの中央まで、端面14の各部分における保磁力及び重希土類金属元素濃度と、中央部(y=0)のZX断面を含む各部分の保磁力及び重希土類金属元素濃度とを、Y方向に離れて対応する位置で比較した場合、端面14側の方が高くなる。
【0079】
図4(B)は、第2実施形態に示す磁石100を、
図1の中央部a1、a2、端部c1、d1、c2、d2を含むy=0のXZ面で切断した断面の保磁力分布の模式図である。
【0080】
本実施形態では、第1表面10側の保磁力及び重希土類元素の分布は第1実施形態と同様である。
【0081】
本実施形態では、当該切断面において、第2表面11の中央部a2の保磁力は、両端部d2及びc2の保磁力以上である。これは、端部c2及び端部d2における重希土類元素の濃度が、中央部a2における重希土類元素の濃度以下であることに対応する。第2表面11の中央部a2の保磁力は、両端部d2及びc2の保磁力を超えることができる。これは、中央部a2における重希土類元素の濃度が、端部c2及び端部d2のそれより高いことに対応する。
【0082】
中央部a2から、重心a2’の法線Z方向及びY方向に対して垂直なX方向に離れた第2表面11の端部c2の保磁力をC2とし、中央部a2から、X方向とは反対の-X方向に離れた第2表面の端を含む端部d2の保磁力をD2としたときに、本実施形態の磁石100は、A2≧C2、及び、A2≧D2を満たす。
【0083】
A2及びC2は、A2-C2≧10kA/mを満たすものであってよく、A2-C2≧20kA/mを満たすものであってよく、A2-C2≧30kA/mを満たすものであってよい。
【0084】
A2及びD2は、A2-D2≧10kA/mを満たすものであってよく、A2-D2≧20kA/mを満たすものであってよく、A2-D2≧30kA/mを満たすものであってよい。
【0085】
なお、A2≧C2、及び、A2≧D2の関係は、y=0のZX断面のみならず、y=0のZX断面に平行な他のZX断面でも満たされる。
【0086】
第2実施形態の磁石100は、第2表面11の表層部、特に表層部の粒界に重希土類元素が存在している。具体的には、例えば、中央部a2、Y方向の端部b2、-Y方向の端部e2、X方向の端部c2、-X方向の端部d2のいずれにおいても、さらに、第2表面の4つの角部においても、第2表面11の表層部の粒界に重希土類元素が存在している。なお、第2表面11の主相を構成する結晶粒の内部に重希土類元素が存在していてもよいし、していなくてもよい。磁石100は、第2表面11から重希土類元素が内部に向かって粒界拡散された希土類永久磁石であることができる。
【0087】
本実施形態によれば、端面12及び端面14における耐食性を選択的に高くすることができる。従って、磁石の使用時に最も腐食を受けやすい面を端面12及び/又は端面14に向かせることにより、磁石の耐久性を高くすることができる。
【0088】
(第3実施形態)
本実施形態に係る磁石は、第2実施形態に対して、第2表面11側の保磁力の分布、すなわち、重希土類元素の分布に相違がある。
【0089】
図3(C)は、第3実施形態に示す磁石100を、
図1の中央部a1、a2、端部b1、e1、b2,e2を含むx=0のZY面で切断した断面の保磁力分布の模式図である。
【0090】
本実施形態では、当該切断面において、第1表面10側の保磁力等の傾斜構造は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。さらに、第2表面11及びその近傍において、第2表面11に向かうほど保磁力及び重希土類元素の濃度が高くなる傾斜構造領域をさらに有する。ここで、中点e2’(端部e2)から重心a2’(中央部a2)を通って、中点b2’(端部b2)の手前まで、当該傾斜構造領域において、実質的にY方向における保磁力及び重希土類元素の濃度は一定(保磁力は±9kA/m、重希土類元素濃度は±10%の範囲内)であるが、端部b2の保磁力及び重希土類元素の濃度は、当該一定値よりも高く、端部b2において、傾斜構造は他の部分に比べてより+Z方向に深く伸びている。
【0091】
言い換えると、第2表面11の中央部a2の保磁力をA2とし、中央部a2からY方向に離れた第2表面11の端部b2における保磁力をB2とした時に、A2<B2を満たす。
【0092】
端部における耐食性を一層向上できることから、B2-A2は10kA/m以上であることが好適であり、15kA/m以上であることがより好適であり、20kA/m以上であることがさらに好適である。
【0093】
このような状況は、x=0のZY断面のみならず、x=0のZY断面に平行な他のZY断面でも満たされる。すなわち、辺11dの中点d2’及び辺11cの中点c2’間を結ぶX軸と平行な線u2をn等分し、各線分を含む部分の保磁力をA2nとし、端面12の辺11bをn等分し、各線分を含む部分の保磁力B2nとし、これらを同じX軸位置において比較すると、中央部a2以外でも、各線分のX軸方向同位置において、A2n<B2nを満たす。差は、好ましくは上述の式を満たす。
【0094】
端部b2など辺11bを含む部分の保磁力及び重希土類金属元素の濃度が、中央部a2などX軸に平行な線u2を含む部分の保磁力及び重希土類金属元素の濃度よりも高いことに対応して、辺11bから辺10bに向かって、例えば、Z方向厚みの中央まで、端面12の各部分における保磁力及び重希土類金属元素濃度と、中央部(y=0)のZX断面を含む各部分の保磁力及び重希土類金属元素濃度とを、Y方向に離れて対応する位置で比較した場合、端面12側の方が高くなる。
【0095】
第3実施形態に示す磁石100における、
図1の中央部a1、a2、端部c1、d1、c2、d2を含むy=0のXZ面に沿う切断面の保磁力分布は、
図4の(B)であり、第2実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態によれば、端面12における耐食性を選択的により高くすることができる。従って、磁石の使用時に最も腐食を受けやすい面を端面12に向かせることにより、磁石の耐久性をより高くすることができる。
【0097】
(第4実施形態)
本実施形態に係る磁石は、第3実施形態に対して、-Y側の端部の保磁力の分布、すなわち、重希土類元素の分布に相違がある。
【0098】
図3(D)は、第4実施形態に示す磁石100を、
図1の中央部a1、a2、端部b1、e1、b2,e2を含むx=0のZY面で切断した断面の保磁力分布の模式図である。
【0099】
本実施形態では、磁石の+Y側の保磁力及び重希土類元素の傾斜分布は、第3実施形態と同様である。
【0100】
さらに、本実施形態では、磁石の-Y側の保磁力及び重希土類元素の傾斜分布も、第3実施形態の+Y側と同様となっている。
【0101】
本実施形態によれば、端面12及び端面14における耐食性を他の端面に比べて選択的に高くすることができる。従って、磁石の使用時に最も腐食を受けやすい面を端面12及び/又は端面14に向かせることにより、磁石の耐久性を高くすることができる。
【0102】
(変形態様)
本発明にかかる磁石は、上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。
【0103】
上記実施形態において、
図1に示される磁石100は、X方向が第1表面10及び第2表面11の短手方向であり、Y方向が第1表面10及び第2表面11の長手方向であったが、X方向及びY方向は任意に定めることができ、例えば、磁石100は、X方向が第1表面10及び第2表面11の長手方向であり、Y方向が第1表面10及び第2表面11の短手方向であってもよい。
【0104】
また、第1表面が主面10でなく、側面(端面)12、14、または、側面13,15が主面であってもよい。いずれにしても、耐食性が要求される部分がY方向に露出する面となるようにすればよい。
【0105】
また、磁石の形状は直方体でなくてもよい。
【0106】
例えば、側面12~15のうち、対向する任意の2つの側面は、互いに平行であってもよく、互いに平行でなくてもよい。具体的には、
図6の(A)に示すように、磁石は円板(円柱)でもよい。円柱のZ方向の厚みZ1は、1.5~9mmであってよく、2~7mmであってよい。第1表面10及び第2表面11の直径H1は、10~100mmであってよい。
【0107】
この場合でも、第1表面10の重心a1’を含む部分に中央部a1を設け、第2表面11の重心a2‘を含む部分に中央部a2を設け、重心a1’の法線をZ方向とする座標系を与え、任意の方向をX,Y方向とし、端部b1~e1、及び、端部b2~e2は、直方体の場合と同様に、
図6の(A)のように定めることができる。
【0108】
このような場合の部分及び大きさは、上述のように適宜設定することができ、端を含む場合におけるチップの、縁の形状に合わせて適宜変形することができる。
【0109】
また、第1表面10及び第2表面11は、互いに平行であってもよく、互いに平行でなくてもよい。また、第1表面10及び/又は第2表面11は、曲面であってもよい。
【0110】
例えば、
図6の(B)は、所定の厚みの円筒の一部を軸方向に沿う2つの平面で切り取った形状であり、第1表面10に円筒の外周面が配置され、第2表面11に円筒の内周面が配置されており、C型ともアーチ型とも呼ばれる。
【0111】
第1表面10が曲面の場合でも、曲面の重心a1‘を含む部分に中央部a1を設け、第2表面11が曲面の場合でも、第2表面11の重心a2‘を含む部分に中央部a2を設け、重心a1’の法線をZ方向とする座標系を与え、任意の方向をX,Y方向とし、端部b1~e1、及び、端部b2~e2を定めることができる。
【0112】
図6の(C)は、
図6の(B)において、第2表面11を平面としたものであり、同様に中央部a1,a2、端部b1~e1、及び、端部b2~e2を定めることができる。
【0113】
磁石が曲面を有する場合、チップの形状も対応して、曲面を有する形状とすることができる。
【0114】
<希土類永久磁石の製造方法>
以下、本実施形態に係る磁石100の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう)を説明する。なお、以下では、粉末冶金法で作製され、重希土類元素が粒界拡散された磁石100を例に説明するが、本実施形態の製造方法は、特に限定されるものではなく、他の方法も用いることができる。
【0115】
本実施形態の製造方法には、原料粉末を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、焼結体に重希土類元素を粒界拡散させる粒界拡散工程とを有する。
【0116】
[原料粉末の準備工程]
原料粉末は、公知の方法により作製することができる。本実施形態の製造方法では、単独の合金を使用する1合金法の場合について説明するが、第1合金と第2合金との2合金を混合して原料粉末を作製するいわゆる2合金法でもよい。
【0117】
まず、磁石100の組成に対応する原料金属を公知の方法で溶解した後、鋳造することによって所望の組成を有する合金を作製する。
【0118】
合金を作製した後に、作製した合金を粉砕する(粉砕工程)。粉砕工程は、2段階で実施してもよく、1段階で実施してもよい。粉砕の方法には特に限定はない。例えば、各種粉砕機を用いる方法で実施される。
【0119】
[成形工程]
成形工程では、粉砕工程により得られた粉砕粉末を所定の形状に成形する。成形方法には特に限定はないが、本実施形態では、粉砕粉末を金型内に充填し、磁場中で加圧する。
【0120】
成形時の加圧は、20MPa~300MPaで行うことが好ましい。印加する磁場は、950kA/m~1600kA/mであることが好ましい。粉砕粉末を成形して得られる成形体の形状は特に限定されるものではなく、例えば直方体、平板状、柱状及びアーチ状等、所望とする磁石100の形状に応じて任意の形状とすることができる。
【0121】
[焼結工程]
焼結工程は、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結し、焼結体を得る工程である。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、成形体に対して、例えば、真空中又は不活性ガスの存在下、1000℃以上1200℃以下、1時間以上20時間以下で加熱する処理を行うことにより焼成する。これにより、高密度の焼結体が得られる。なお、この時点では焼結体全体にわたって実質的に均一な保磁力分布であることが好ましい。
【0122】
[粒界拡散工程]
この工程では、焼結工程で得られた焼結体に対して、重希土類元素を含む塗料を塗布し、その後、熱処理して塗料から重希土類元素を磁石内部に粒界拡散させる。
【0123】
ここでは、最終製品となる磁石の第1表面10、第2表面11、端面12~15に対応する、第1表面60、第2表面61、端面62~65を有する直方体の焼結体50に塗料を塗布する場合の例について、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0124】
第1実施形態(
図3の(A)及び
図4の(A))のような保磁力分布を与えるには、
図7及び
図8の(A)において-Y側から+Y側に向かって、または、+Y側から-Y側に向かって、第1表面60の全面に対して、塗料40を塗布する。そして、+Y側の端部M1のみにおいて、塗料を二度塗りし、+Y側の端部M1における塗料40の厚みを、第1表面60の他の部分の厚みよりも厚くする。
【0125】
図8の(A)に示すように、X方向から見て、+Y側の端部M1において、塗料40の単位面積あたりの量が多くなるので、端部M1から拡散する重希土類元素の量が多くなり、
図3の(A)のような保磁力分布を実現できる。また、+Y方向又は-Y方向に塗料を塗布することで、Y方向から見た場合、±X側の両端の単位面積あたりの塗料の量は、中央部と同等または中央部より少なくなるので、
図4のような保磁力分布を得ることができる。
【0126】
端面62~65に塗料を塗布する必要は無い。
【0127】
第2実施形態(
図3の(B)及び
図4の(B))のような保磁力分布を与えるには、
図8の(B)のように、焼結体50の第1表面60の全面に塗料を塗布した後、第2表面61の全面にも塗料を塗布すればよい。このとき、
図7の-Y側から+Y側に向かって、または、+Y側から-Y側に向かって、第2表面61の全面に対して、拡散材を含む塗料40を塗布する。そして、第2表面61において、-Y側の端部M3のみにおいて、塗料40を二度塗りし、-Y側の端部M3における塗料40の厚みを厚くする。第1表面60については、第1実施形態で説明したとおり、+Y側の端部M1のみにおいて、塗料を二度塗りし、+Y側の端部M1における塗料40の厚みを、第1表面60の他の部分の厚みよりも厚くすることで、第2実施形態(
図3の(B)及び
図4の(B))のような保磁力分布が与えられる。
【0128】
また、第3実施形態(
図3の(C)及び
図4の(B))のような保磁力分布を与えるには、焼結体50の第1表面60の全面に塗料を塗布した後、
図8の(C)のように、第2表面61において、+Y側の端部M4のみにおいて、塗料を二度塗りし、+Y側の端部M4のみにおける塗料の厚みを厚くする。第1表面60については、第1実施形態で説明したとおり、+Y側の端部M1のみにおいて、塗料を二度塗りし、+Y側の端部M1における塗料40の厚みを、第1表面60の他の部分の厚みよりも厚くすることで、第3実施形態(
図3の(C)及び
図4の(B))のような保磁力分布が与えられる。
【0129】
さらに、第4実施形態(
図3の(D)及び
図4の(B))のような保磁力分布を与えるには、
図8の(D)のように、第1表面60及び第2表面61の全面のそれぞれにおいて塗料を塗布した上で、各面において、+Y側及び-Y側の端部の端部M1~M4を二度塗りし、厚みを厚くすればよい。
【0130】
なお、
図8の(E)に示すように、第1表面60及び第2表面61において、一度塗りとするのみでは、
図3の(E)及び
図4の(B)に示すような保磁力分布が得られることになる。すなわち、この場合に、得られる磁石100は、A1<B1、A2<B2、A1<E1、及び、A2<E2を満たさない。
【0131】
塗料を二度塗布する端部のY方向の長さは、適宜調節できるが、たとえば、1~15mmとすることができる。
【0132】
塗料に含まれる重希土類元素は、特に制限されないが、Dy又はTbが好ましく、Tbがより好ましい。
【0133】
重希土類元素は、重希土類化合物として塗料に含有されていてよい。そのような重希土類化合物としては、例えば、合金、酸化物、ハロゲン化物、水酸化物及び水素化物が挙げられるが、水素化物を用いることが好ましい。重希土類元素の水素化物としては、DyH2、TbH2、Dy-Feの水素化物、又はTb-Feの水素化物が挙げられる。特に、DyH2又はTbH2が好ましい。
【0134】
重希土類化合物は粒子状であることが好ましい。また、平均粒径は100nm~100μmであることが好ましく、1μm~50μmであることがより好ましい。
【0135】
塗料に用いる溶媒としては、重希土類化合物を溶解させずに均一に分散させ得るものが好ましい。例えば、アルコール、アルデヒド及びケトンが挙げられ、なかでもエタノールが好ましい。
【0136】
塗料中の重希土類化合物の含有量には特に制限はない。例えば、10~90質量%であってもよい。塗料には、必要に応じて重希土類化合物以外の成分をさらに含有させてもよい。例えば、重希土類化合物粒子の凝集を防ぐための分散剤等が挙げられる。
【0137】
また、2面塗布の場合に、第1表面60の重希土類元素塗布量(又はは密度)と第2表面61の重希土類元素塗布量(又は密度)とを変化させてもよい。
【0138】
なお、重希土類元素を塗布する方法には特に制限は無い。例えば、蒸着、スパッタリング、電着、スプレー塗布、刷毛塗り、ジェットディスペンサ、ノズル、スクリーン印刷、スキージ印刷、シート工法等を用いる方法がある。また、表面のみに重希土類元素を塗布するために、必要に応じて表面以外の面にマスクを行ってもよい。
【0139】
重希土類元素を含む塗料を塗布した後、塗料を乾燥させてから重希土類元素を焼結体内部に拡散処理させる。拡散処理の方法には特に限定はないが、通常は真空又は不活性ガス中における加熱により拡散処理を実施する。なお、上記の例では、塗布を例として説明しているが、塗布以外の方法で、重希土類元素を付着させる場合も同様である。
【0140】
前述したA型、B型、C型の各拡散の内、どの拡散が支配的となるかは、拡散処理温度及び基材組成、組織に依存する。拡散処理温度が高いほどA型が支配的となりやすく、拡散処理温度が低いほどC型が支配的となりやすい。前述の通り、C型が支配的となることが好ましい。また、拡散処理温度が低いほどC型が支配的となりやすいが、拡散処理温度が低いほど拡散速度も低下し、より長時間の加熱を必要とし、製造効率の低下を引き起こす場合がある。
【0141】
本実施形態に係る好ましい拡散処理温度は、磁石100の組成にも依存するが、700~1000℃である。700℃以上とすることで拡散速度が十分に高くなりやすい。また、1000℃以下とすることでC型拡散が支配的になりやすい。
【0142】
また、重希土類元素の塗布量が同量である場合には、C型拡散が支配的となる温度で粒界拡散した場合の保磁力が、A型拡散又はB型拡散が支配的となる温度で粒界拡散した場合と比較して高くなる傾向にある。
【0143】
[加工工程(粒界拡散後)]
拡散処理工程の後には、表面に残存する残渣膜を除去するための処理を必要に応じて行ってもよい。拡散処理後の加工工程で実施する加工の種類に特に制限はない。例えば化学的な除去方法、物理的な切断、研削などの形状加工や、バレル研磨などの面取り加工などを拡散処理後に行ってもよい。
【0144】
以上の工程により得られた磁石100は、めっきや樹脂被膜や酸化処理、化成処理などの表面処理を施してもよい。これにより、耐食性をさらに向上させることができる。
【0145】
さらに、磁石100を切断、分割して得られる磁石を用いることができる。また、磁石100は、単独で用いてもよく、2個以上の磁石100を必要に応じて結合させて用いてもよい。結合方法に特に制限はない。例えば、機械的に結合させる方法や樹脂モールドで結合させる方法がある。
【0146】
具体的には、磁石100は、コンプレッサー、磁気センサー、スピーカ、後述する回転電機等の用途に好適に用いられる。
【0147】
回転電機としては、例えば、小型モータ、大型モータ、発電機及び後述するIPMモータが挙げられる。発電機としては、例えば、風力発電機、水力発電機及び火力発電機が挙げられる。大型モータ、風力発電機及びIPMモータ等の特に大きな希土類永久磁石が求められる用途では、2個以上の磁石100を結合させることで製造される大きな磁石100を用いることができる。
【0148】
<回転電機>
図9に示されるように、磁石100は、モータ110に用いられてよい。
図9に示されるモータ110は、IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)である。モータ110は、円筒状のロータ70(回転子)と、ロータ70を囲むようにロータ70の外側に配置されるステータ80(固定子)とを備えている。
図9は、ロータ70の回転軸方向(Z方向)におけるモータ110の内部構造を示している。ロータ70は、円筒状のロータコア72と複数の磁石100とを有する。ロータコア72の外周面に沿って、所定の間隔で複数の収容穴74が形成されており、磁石100は各収容穴74に収容されている。つまり、各磁石100が、ロータコア72の周面に沿って配置されている。磁石100は、樹脂モールドによって、収容穴74内に固定される。樹脂モールドでは、高い圧力が磁石100へ加えられる。
【0149】
図9で示されるようにロータ70の円周方向に沿って隣り合う磁石100は、N極とS極の位置が互いに逆になるように収容穴74に収容されていてもよい。つまり、円周方向に沿って隣り合う磁石100は、ロータ70の径方向に沿って互いに逆の方向の磁力線を発生する。
図9に示されるロータ70は6個の磁石100を有しているが、ロータ70が有する磁石100の数(極数)は限定されない。
【0150】
磁石100は、磁石100におけるY方向と、ロータ70の回転軸方向とが一致することが好ましい。特に、第1実施形態では、保磁力の高い端部b1側(+Y側)の端面12が、収容穴74から露出していることが好ましく、第2~4実施形態では、保磁力の高い端部b1側(+Y側)の端面12または端部e1側(-Y側)の端面14が収容穴74から露出していることが好ましい。収容穴74内に固定された磁石100において、収容穴74の内壁に囲まれていない露出面は、水によって腐食されやすい。そのため、このような向きに磁石100を収容すると、収容穴74の内壁に囲まれていない面が磁石100における耐食性の高い側面12となり、モータの耐食性が向上する。
【0151】
ステータ80は、ロータ70の外周面に沿って、所定の間隔で設けられた複数のコイル部82を有している。コイル部82と磁石100とは互いに対面するように配置されている。ステータ80は、電磁気的作用によってロータ70にトルクを与え、ロータ70は円周方向に回転する。
図9に示されるステータ80は8個のコイル部82を有しているが、ステータ80が有するコイル部82の数(スロット数)は限定されない。なお、本実施形態では、ロータに磁石が収容されているが、ステータに磁石が収容されていてもよい。
【実施例】
【0152】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0153】
(実施例1)
[焼結工程]
26質量%Nd-4質量%Pr-0.4質量%Al-0.8質量%Co-0.5質量%Cu-0.35質量%Zr-0.1質量%Ga-0.90質量%B-bal.Feを満足する焼結体が得られるように、ストリップキャスティング法により原料合金を準備した。
【0154】
次いで、原料合金に対して室温で水素を吸蔵させた後、Arガス雰囲気下で、600℃、1時間の脱水素を行う水素粉砕処理(粗粉砕)を行った。
【0155】
次に、原料合金に対して、水素粉砕後微粉砕を行う前に粗粉砕粉末に粉砕助剤としてオレイン酸アミド0.1質量%を添加し、ナウタミキサを用いて混合した。その後、N2ガスを使用するジェットミルを用いて微粉砕を行い、平均粒径が4.0μm程度の微粉砕粉末とした。
【0156】
得られた微粉砕粉末を、電磁石中に配置された金型内に充填し、1200kA/mの磁場を印加しながら50MPaの圧力を加える磁場中成形を行い、成形体を得た。
【0157】
得られた成形体を、1060℃で12時間焼結し、焼結体を得た。その後、得られた焼結体に対して面研磨し、切断し、洗浄し、乾燥して、最終的に20.2×100.2×6.2mmのサイズの焼結体を得た。
【0158】
なお、焼結体全体の残留磁束密度が1390mT、焼結体全体の保磁力が1281kA/mであった。
【0159】
[拡散処理工程]
得られた焼結体に対して、硝酸とエタノールの混合溶液に3分間浸漬させた後にエタノールに1分間浸漬させる処理を2回行うことで、拡散処理工程の前処理を行った。前処理後に焼結体を洗浄し、乾燥した。
【0160】
また、焼結体へ塗布するTb含有塗料を作製した。TbH2原料を、N2ガスを使用するジェットミルを用いて微粉砕してTbH2微粉を作製した。ついで、得られたTbH2微粉をアルコール溶媒に混合し、アルコール溶媒中に分散させて塗料化し、Tb含有塗料を得た。
【0161】
焼結体の2つの主面の全面に対して、Tb含有塗料を、第1表面60は+Y方向に刷毛塗りで塗布し、第2表面61は-Y方向に塗布した。次いで、焼結体の一方の第1表面60における+Y側の端部(
図7の端部M1)と、もう一方の第2表面61における端部(
図7の端部M3)において、塗料を再度塗布した。このとき、塗料が二度塗布された
図7の端部M1及びM3においては、Tbの付着密度が30mg/cm
2となるように塗料を塗布した。塗料が一度塗布された両主面の領域においては、Tbの付着密度が20mg/cm
2となるように塗料を塗布した。このときの基材全体に対するTb付着量は基材重量100質量%に対して,1.0質量%となる。
【0162】
Tb含有塗料を塗布した後の焼結体に対して、乾燥後に、拡散処理を行った。拡散温度は850℃、拡散時間は6時間とした。次いで、拡散処理を行った焼結体に対して、500℃で時効処理を行った。
【0163】
拡散処理工程後の焼結体の6面全てに対して、0.1mmの切削研磨を実施した。その結果、焼結体のサイズがX方向20mm×Y方向100mm×Z方向6mmとなった。研磨後の焼結体に対して、洗浄、乾燥を行い、試料(磁石)を得た。
【0164】
(実施例2)
塗料が二度塗布された
図7の端部M1及びM3においては、Tbの付着密度が31mg/cm
2となるように塗料を塗布し、塗料が一度塗布された両主面の領域においては、Tbの付着密度が22mg/cm
2となるように塗料を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして試料(磁石)を得た。
【0165】
(比較例1)
拡散処理工程において、焼結体の2つの主面の全面に対して、Tb含有塗料を刷毛塗りで塗布した後、焼結体の一方の主面における端部(
図7の端部M1)と、もう一方の主面における端部(
図7の端部M3)において、塗料を再度塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして試料(磁石)を得た。
【0166】
以下、各特性の評価方法について説明する。
【0167】
[部分保磁力]
まず、磁石から、
図10(A)に斜線で図示する各位置で、
図1に示す磁石100における側面12を含むチップを切り出した。本実施形態では、チップの形状を
図5に示すX2=1mm、Y2=5mm、Z2=1mmの直方体とした。各チップは、X方向及びZ方向に等間隔に配置されている。チップの位置を、Z方向の座標α1~α8及びb1’と、Z方向の座標β1~β5との組み合わせで表す。
【0168】
また、磁石から、
図10(B)に斜線で図示する各位置で、
図1に示す磁石100におけるY=0のXZ面を含み、上記と同じ大きさのチップを切り出した。各チップは、X方向及びZ方向に等間隔に配置されている。チップの位置を、Z方向の座標γ1~γ8及びa1’と、Z方向の座標ε1~ε5との組み合わせで表す。
【0169】
切り出したチップの保磁力をパルス励磁型磁気特性測定装置によって測定した。結果を表1に示した。
【0170】
[耐食性]
磁石の+Y側の端部、及び、Y方向における中央部を、Y軸長さ=5mmで切り取り、プレッシャークッカー試験(PCT試験)を行った。具体的には、温度120℃、湿度が100%RH、圧力2atm、飽和PCTモードの環境下で得られた試料を放置し、一定の試験時間ごとに単位表面積あたりの重量を測定した。重量は、電子天秤により測定した。試験開始前(試験時間0時間)の重量からの重量変化(mg/cm
2)を表2に示した。また、試験時間を横軸に、試験開始前(試験時間0時間)の重量からの重量変化(mg/cm
2)を縦軸にとったグラフを
図11に示した。
【0171】
【0172】
【符号の説明】
【0173】
10…第1表面、11…第2表面、12~16…側面(端面)、21…粒界、23…主相結晶粒子、30…試料、70…ロータ(回転子)、80…ステータ(固定子)、100…R-T-B系焼結磁石、110…モータ。