(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20250723BHJP
【FI】
G01R27/02 E
(21)【出願番号】P 2022022152
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2024-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆志
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
(72)【発明者】
【氏名】岡本 道孝
(72)【発明者】
【氏名】米丸 佳克
(72)【発明者】
【氏名】松本 聡碩
(72)【発明者】
【氏名】福島 陽
(72)【発明者】
【氏名】坂本 諭
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-500605(JP,A)
【文献】特開平10-293181(JP,A)
【文献】米国特許第5587659(US,A)
【文献】特開2019-138732(JP,A)
【文献】国際公開第2022/007499(WO,A1)
【文献】特開2016-133408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
G01N 27/00
G01V 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面の上を移動する本体部と、
前記本体部から前記地面に近接し、前記地面の土の比抵抗を測定する電極部と、
を備え、
前記電極部は、前記地面への近接と前記地面からの離隔とを繰り返し、前記地面に近接したときに前記地面の土の比抵抗を測定
し、
前記電極部は、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記本体部を前記地面の上で移動させる複数の脚部を有し、前記脚部が前記地面に接触したときに前記地面の土の比抵抗を測定し、
前記本体部は、第1分体部と、前記第1分体部から離隔した第2分体部とを有し、
前記電極部は、4対の前記脚部を有し、
4対の前記脚部における一方の2対の前記脚部は、前記第1分体部に配置され、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記第1分体部を前記地面の上で移動させ、
4対の前記脚部における他方の2対の前記脚部は、前記第2分体部に配置され、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記第2分体部を前記地面の上で移動させ、
前記第1分体部に配置された一方の2対の前記脚部と、前記第2分体部に配置された他方の2対の前記脚部とは、互いに同期して前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行し、
前記第1分体部に配置された一方の2対の前記脚部における2つの前記脚部と、前記第2分体部に配置された他方の2対の前記脚部における2つの前記脚部とが前記地面に接触したときに、前記電極部は前記地面の土の比抵抗を測定する、
比抵抗測定装置。
【請求項2】
地面の上を移動する本体部と、
前記本体部から前記地面に近接し、前記地面の土の比抵抗を測定する電極部と、
を備え、
前記電極部は、前記地面への近接と前記地面からの離隔とを繰り返し、前記地面に近接したときに前記地面の土の比抵抗を測定
し、
前記電極部は、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記本体部を前記地面の上で移動させる複数の脚部を有し、前記脚部が前記地面に接触したときに前記地面の土の比抵抗を測定し、
前記電極部により測定された前記地面の土の比抵抗の値を管理する測定管理部をさらに備え、
前記測定管理部は、複数の前記脚部のそれぞれが前記地面に接触した時間の差が閾値よりも大きいときは、前記電極部により測定された前記地面の土の比抵抗の値を削除する、比抵抗測定装置。
【請求項3】
前記電極部は前記地面に対向する誘電体と前記誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極を有し、前記誘電体は前記地面への近接と前記地面からの離隔とを繰り返し、前記誘電体が前記地面に近接したときに前記電極部は前記地面の土の比抵抗を測定する、請求項1
または請求項2に記載の比抵抗測定装置。
【請求項4】
前記電極部は、前記地面に対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記地面に接触する接触面と、前記地面に接触しない非接触面とを含み、
前記接触面は、前記地面に平行な平面及び前記地面に対して突出した曲面のいずれかにより構成され、
前記接触面と前記非接触面とは、曲面により連結され、
前記接触面は前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返し、前記接触面が前記地面に接触したときに前記電極部は前記地面の土の比抵抗を測定する、請求項1~
3のいずれか1項に記載の比抵抗測定装置。
【請求項5】
前記本体部の位置を測位する測位部と、
前記電極部により測定された前記地面の土の比抵抗の値と、前記測位部により測位された前記本体部の位置とを関連付けて記憶する記憶部と、をさらに備えた請求項1~
4のいずれか1項に記載の比抵抗測定装置。
【請求項6】
本体部が、地面の上を移動する移動工程と、
前記本体部から前記地面に近接する電極部が、前記地面の土の比抵抗を測定する比抵抗測定工程と、
を備え、
前記比抵抗測定工程では、前記電極部は、前記地面への近接と前記地面からの離隔とを繰り返し、前記地面に近接したときに前記地面の土の比抵抗を測定
し、
前記電極部は、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記本体部を前記地面の上で移動させる複数の脚部を有し、前記脚部が前記地面に接触したときに前記地面の土の比抵抗を測定し、
前記本体部は、第1分体部と、前記第1分体部から離隔した第2分体部とを有し、
前記電極部は、4対の前記脚部を有し、
4対の前記脚部における一方の2対の前記脚部は、前記第1分体部に配置され、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記第1分体部を前記地面の上で移動させ、
4対の前記脚部における他方の2対の前記脚部は、前記第2分体部に配置され、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記第2分体部を前記地面の上で移動させ、
前記第1分体部に配置された一方の2対の前記脚部と、前記第2分体部に配置された他方の2対の前記脚部とは、互いに同期して前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行し、
前記第1分体部に配置された一方の2対の前記脚部における2つの前記脚部と、前記第2分体部に配置された他方の2対の前記脚部における2つの前記脚部とが前記地面に接触したときに、前記電極部は前記地面の土の比抵抗を測定する、
比抵抗測定方法。
【請求項7】
本体部が、地面の上を移動する移動工程と、
前記本体部から前記地面に近接する電極部が、前記地面の土の比抵抗を測定する比抵抗測定工程と、
を備え、
前記比抵抗測定工程では、前記電極部は、前記地面への近接と前記地面からの離隔とを繰り返し、前記地面に近接したときに前記地面の土の比抵抗を測定
し、
前記電極部は、前記地面への接触と前記地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより前記本体部を前記地面の上で移動させる複数の脚部を有し、前記脚部が前記地面に接触したときに前記地面の土の比抵抗を測定し、
前記電極部により測定された前記地面の土の比抵抗の値を管理する測定管理部をさらに備え、
前記測定管理部は、複数の前記脚部のそれぞれが前記地面に接触した時間の差が閾値よりも大きいときは、前記電極部により測定された前記地面の土の比抵抗の値を削除する、
比抵抗測定方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地面と接触する電極により地面の土の比抵抗を測定する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、地面の土の比抵抗を測定するための電極を搭載した車両が開示されている。油圧ジャッキにより電極が一定の圧力で地面に接するように保持された状態で車両は走行する。車両の走行中に、一定の圧力で地面に接した複数の電極により地面の土の比抵抗が測定される。これにより、車両を移動させつつ多くの測定箇所で地面の土の比抵抗を測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術では、地面の不陸により、車両の走行中に電極と地面との接触面積が変動することがある。電極と地面との接触面積が変動したときには、電極により測定される地面の土の比抵抗の測定値にもばらつきが生じてしまう問題がある。
【0005】
そこで本発明は、地面の不陸の影響を低減させつつ移動しながら地面の土の比抵抗を測定できる比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、地面の上を移動する本体部と、本体部から地面に近接し、地面の土の比抵抗を測定する電極部とを備え、電極部は、地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、地面に近接したときに地面の土の比抵抗を測定する比抵抗測定装置である。
【0007】
この構成によれば、地面の上を移動する本体部と、本体部から地面に近接し、地面の土の比抵抗を測定する電極部とを備えた比抵抗測定装置において、電極部は、地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、地面に近接したときに地面の土の比抵抗を測定するため、車両の走行中に電極と地面とが常に接触している場合と比べて地面の不陸により地面の土の比抵抗の測定値にばらつきが生じ難い。したがって、地面の不陸の影響を低減させつつ移動しながら地面の土の比抵抗を測定できる。
【0008】
この場合、電極部は、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより本体部を地面の上で移動させる複数の脚部を有し、脚部が地面に接触したときに地面の土の比抵抗を測定することが好適である。
【0009】
この構成によれば、電極部は、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより本体部を地面の上で移動させる複数の脚部を有し、脚部が地面に接触したときに地面の土の比抵抗を測定するため、電極部と地面とを常に接触させずに地面の上を移動できる。
【0010】
この場合、本体部は、第1分体部と第1分体部から離隔した第2分体部とを有し、電極部は4対の脚部を有し、4対の脚部における一方の2対の脚部は、第1分体部に配置され、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより第1分体部を地面の上で移動させ、4対の脚部における他方の2対の脚部は、第2分体部に配置され、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより第2分体部を地面の上で移動させ、第1分体部に配置された一方の2対の脚部と、第2分体部に配置された他方の2対の脚部とは、互いに同期して地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行し、第1分体部に配置された一方の2対の脚部における2つの脚部と、第2分体部に配置された他方の2対の脚部における2つの脚部とが地面に接触したときに、電極部は地面の土の比抵抗を測定することが好適である。
【0011】
この構成によれば、本体部は、第1分体部と、第1分体部から離隔した第2分体部とを有する。電極部は4対の脚部を有する。4対の脚部における一方の2対の脚部は第1分体部に配置され、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより第1分体部を地面の上で移動させる。4対の脚部における他方の2対の脚部は第2分体部に配置され、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより第2分体部を地面の上で移動させる。第1分体部と第2分体部とが個々に4足歩行により地面の上を移動可能であるため、第1分体部及び第2分体部のそれぞれの構造を単純にし、第1分体部及び第2分体部のそれぞれを小型にできる。
【0012】
また、第1分体部に配置された一方の2対の脚部と、第2分体部に配置された他方の2対の脚部とは、互いに同期して地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行し、第1分体部に配置された一方の2対の脚部における2つの脚部と、第2分体部に配置された他方の2対の脚部における2つの脚部とが地面に接触したときに、電極部は地面の土の比抵抗を測定するため、例えば、第1分体部と第2分体部との距離を変更することにより、比抵抗を測定する土の地面から深さを変更できる。
【0013】
また、電極部が複数の脚部を有する場合には、電極部により測定された地面の土の比抵抗の値を管理する測定管理部をさらに備え、測定管理部は、複数の脚部のそれぞれが地面に接触した時間の差が閾値よりも大きいときは、電極部により測定された地面の土の比抵抗の値を削除することが好適である。
【0014】
この構成によれば、電極部により測定された地面の土の比抵抗の値を管理する測定管理部は、複数の脚部のそれぞれが地面に接触した時間の差が閾値よりも大きく、電極部により測定された比抵抗の値の精度が低いことが予想されるときは、電極部により測定された地面の土の比抵抗の値を削除するため、測定の精度が高い比抵抗の値のみを残すことができる。
【0015】
また、本体部は、本体部を地面の上で移動させる移動部を有し、電極部は、移動部により本体部が地面の上を移動させられているときに、地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、地面に近接したときに地面の土の比抵抗を測定してもよい。
【0016】
この構成によれば、本体部は本体部を地面の上で移動させる移動部を有し、電極部は、移動部により本体部が地面の上を移動させられているときに、地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、地面に近接したときに地面の土の比抵抗を測定するため、電極部と地面とを常に接触させずに地面の上を移動できる。
【0017】
また、電極部は、地面に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極を有し、誘電体は地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、誘電体が地面に近接したときに電極部は地面の土の比抵抗を測定することが好適である。
【0018】
この構成によれば、電極部は地面に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極を有し、誘電体は地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、誘電体が地面に近接したときに電極部は地面の土の比抵抗を測定する。キャパシタ電極は、誘電体が地面に近接させられるだけで地面の土の比抵抗の測定が可能であるため、地面の不陸の影響をさらに低減させることができる。
【0019】
また、電極部は地面に対向する対向面を有し、対向面は地面に接触する接触面と地面に接触しない非接触面とを含み、接触面は地面に平行な平面及び地面に対して突出した曲面のいずれかにより構成され、接触面と非接触面とは曲面により連結され、接触面は地面への接触と地面からの離隔とを繰り返し、接触面が地面に接触したときに電極部は地面の土の比抵抗を測定することが好適である。
【0020】
この構成によれば、電極部は地面に対向する対向面を有し、対向面は地面に接触する接触面と地面に接触しない非接触面とを含み、接触面は地面に平行な平面及び地面に対して突出した曲面のいずれかにより構成され、接触面と非接触面とは曲面により連結され、接触面は地面への接触と地面からの離隔とを繰り返し、接触面が地面に接触したときに電極部は地面の土の比抵抗を測定する。このため、例えば、盛土が転圧機により転圧された後の地面の乱れを低減しつつ、移動しながら地面の土の比抵抗を測定できる。
【0021】
また、本体部の位置を測位する測位部と、電極部により測定された地面の土の比抵抗の値と、測位部により測位された本体部の位置とを関連付けて記憶する記憶部とをさらに備えていることが好適である。
【0022】
この構成によれば、記憶部によって、電極部により測定された地面の土の比抵抗の値と、測位部により測位された本体部の位置とが関連付けて記憶されるため、位置と、当該位置における地面の土の比抵抗との関係を把握し易い。
【0023】
一方、本発明は、本体部が地面の上を移動する移動工程と、本体部から地面に近接する電極部が地面の土の比抵抗を測定する比抵抗測定工程とを備え、比抵抗測定工程では、電極部は、地面への近接と地面からの離隔とを繰り返し、地面に近接したときに地面の土の比抵抗を測定する比抵抗測定方法である。
【0024】
この場合、電極部は、地面への接触と地面からの離隔とを繰り返して歩行することにより本体部を地面の上で移動させる複数の脚部を有し、比抵抗測定工程では、電極部は脚部が地面に接触したときに地面の土の比抵抗を測定することが好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法によれば、地面の不陸の影響を低減させつつ移動しながら地面の土の比抵抗を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(A)は第1実施形態の比抵抗測定装置の第1分体部及び第2分体部を示す正面図であり、(B)は(A)の側面図である。
【
図2】第1実施形態の比抵抗測定装置を示す側面図である。
【
図3】(A)は第1実施形態の電極部の一例を示す正面図であり、(B)は(A)の側面図であり、(C)は第1実施形態の電極部の他の例を示す正面図であり、(D)は(C)の側面図であり、(E)は第1実施形態の電極部の他の例を示す正面図であり、(F)は(E)の側面図である。
【
図4】第2実施形態の比抵抗測定装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法の実施形態について詳細に説明する。本発明の第1実施形態の比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法は、例えば、土工事の施工過程でロードローラ等の締固め機械により締固められた後の地面の土の比抵抗を移動しながら測定し、比抵抗と相関がある土の乾燥密度又は湿潤密度を導出することによって地面の土の品質を評価し、締固め機械による締固めの効果を確認するためのものである。
【0028】
図1(A)、
図1(B)及び
図2に示されるように、本実施形態の比抵抗測定装置1Aは、本体部10Aと電極部20Aとを備える。本体部10Aは、地面Sの上を移動する。電極部20Aは、本体部10Aから地面Sに近接し、地面Sの土Eの比抵抗を測定する。本実施形態の比抵抗測定装置1Aでは、電極部20Aは、常に地面Sと接触しているのではなく、地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、地面Sに近接したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定する。つまり、本実施形態の比抵抗測定装置1Aは、離散的に地面Sの土Eの比抵抗を測定する。
【0029】
電極部20Aは、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより本体部10Aを地面Sの上で移動させる複数の脚部21,22,23,24,25,26,27,28を有する。電極部20Aは、脚部21,22,23,24,25,26,27,28が地面Sに接触したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定する。つまり、本実施形態では、脚部21,22,23,24,25,26,27,28は、地面Sの土Eの比抵抗を測定する電極として機能する。
【0030】
さらに具体的には、本体部10Aは、第1分体部11と、第1分体部11から離隔した第2分体部12とを有する。第1分体部11と第2分体部12とは、互いに同様の構成を有する。本実施形態の比抵抗測定装置1Aは、第1分体部11及び第2分体部12を一組として地面Sの土Eの比抵抗を測定する。電極部20Aは、全体として4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28を有する。
【0031】
4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28における一方の2対の脚部21,22,23,24は、第1分体部11に配置され、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより第1分体部11を地面Sの上で移動させる。4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28における他方の2対の脚部25,26,27,28は、第2分体部12に配置され、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより第2分体部12を地面Sの上で移動させる。つまり、第1分体部11及び第2分体部12は、自律制御又は遠隔操作により、地面Sの上を四足歩行により移動可能なロボットとして構成されている。
【0032】
第1分体部11に配置された一方の2対の脚部21,22,23,24と、第2分体部12に配置された他方の2対の脚部25,26,27,28とは、互いに同期して地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行する。第1分体部11に配置された一方の2対の脚部21,22,23,24における2つの脚部21,24及び脚部22,23のいずれか一方と、第2分体部12に配置された他方の2対の脚部25,26,27,28における2つの脚部25,28及び脚部26,27のいずれか一方とが地面Sに接触したときに、電極部20Aは地面Sの土Eの比抵抗を測定する。
【0033】
第1分体部11及び第2分体部12のような四足歩行により地面Sの上を移動するロボットは、速度域に応じて足並みを、例えば、常歩(ウォーク)、速足(トロット)及び駈足(キャンター)に変化させる。地面Sの土Eの測定に適した中速域では、第1分体部11は、平面視で対角の前左脚である脚部21と後右脚である脚部24とが同期して接触し、平面視で対角の前右脚である脚部22と後左脚である脚部23とが同期して接触する速足(トロット)歩行により移動する。同様に、中速域では、第2分体部12は、平面視で対角の前左脚である脚部25と後右脚である脚部28とが同期して接触し、平面視で対角の前右脚である脚部26と後左脚である脚部27とが同期して接触する速足歩行により移動する。
【0034】
速足歩行時には、平面視で対角の脚部21,24等は、ほぼ一定の距離を隔てて地面Sに接触する。つまり、第1分体部11及び第2分体部12それぞれにおける脚部21,24等の地面Sに接触した2つの電極の間隔は常に一定に維持される。また、第1分体部11と第2分体部12との距離を一定に維持し、第1分体部11の脚部21,24等と第2分体部12の脚部25,28等とが互いに同期して地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより、第1分体部11及び第2分体部12における脚部21,24,25,28及び脚部22,23,26,27のいずれか一方の地面Sに接触した4つの電極の間隔は常に一定に維持される。
【0035】
これは、
図2に示す電気探査におけるダイポール・ダイポール法(四極法)と呼ばれる電極配置を構成するものであり、電極部20Aの脚部21,22,23,24,25,26,27,28の内の地面Sに接触する4本の脚部21,24,25,28又は脚部22,23,26,27が電極となり,土Eの比抵抗を測定する。また、比抵抗の測定深さは電極である脚部21等の配置により決定され、4本の電極である脚部21,24,25,28又は脚部22,23,26,27の内の内側の2本の電極である脚部24,25又は脚部23,26の間隔をnaとし、それ以外の互いに隣接する2本の電極である脚部21,24等の間隔をaとしたとき、測定深さはa(n+1)/2となる。
【0036】
図3(A)及び
図3(B)に示されるように、電極部20Aは地面Sに対向する誘電体31と誘電体31に接続された導電体32とからなるキャパシタ電極30Aを有する。誘電体31は地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、誘電体31が地面Sに近接したときに電極部20Aは地面Sの土Eの比抵抗を測定する。誘電体31は、一般的な合成樹脂から成る。誘電体31は、直接に地面Sと接触するため、当該状況に耐え得る素材であることが好ましい。誘電体31は、例えば、高密度ポリエチレン、硬質ポリウレタン及びABS(Acrylonitrilebutadiene styrene)樹脂等によりなることが好適である。導電体32は、導電性を有する金属から成る。
【0037】
電極部20Aの脚部21等のキャパシタ電極30Aは、地面Sに対向する対向面40Aを有する。
図3(A)及び
図3(B)の例では、対向面40Aは球面である。対向面40Aは、地面Sに接触する接触面41Aと、接触面41Aの周囲の地面Sに接触しない非接触面42Aとを含む。接触面41Aは、地面Sに平行な平面及び地面Sに対して突出した曲面のいずれかにより構成されている。
【0038】
図3(A)及び
図3(B)の例では、接触面41Aは、地面Sに対して突出した球面により構成されている。非接触面42Aは、接触面41Aに連続する球面により構成されている。したがって、接触面41Aと非接触面42Aとは、球面である曲面により連結されている。接触面41Aは地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返し、接触面41Aが地面Sに接触したときに電極部20Aの脚部21等のキャパシタ電極30Aは、地面Sの土Eの比抵抗を測定する。地面Sの不陸の影響を低減するため、接触面41Aの面積は可能な限り小さいことが好ましく、例えば、接触面41Aの面積は、0.10m
2以下であり、より好ましくは0.05m
2以下である。
【0039】
なお、本実施形態では、比抵抗測定装置1Aは、
図3(C)及び
図3(D)に示されるような電極部20Bを備えていてもよい。
図3(C)及び
図3(D)の例では、電極部20Bの脚部21等のキャパシタ電極30Bは、円柱の側面である対向面40Bを有する。対向面40Bは、地面Sに接触する接触面41Bと、接触面41Bの前後の地面Sに接触しない非接触面42Bとを含む。接触面41Bは、地面Sに対して突出した円柱の側面により構成されている。非接触面42Bは、接触面41Bに連続する円柱の側面により構成されている。したがって、接触面41Bと非接触面42Bとは、円柱の側面である曲面により連結されている。接触面41Bは地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返し、接触面41Bが地面Sに接触したときに電極部20Bの脚部21等のキャパシタ電極30Bは、地面Sの土Eの比抵抗を測定する。
【0040】
また、本実施形態では、比抵抗測定装置1Aは、
図3(E)及び
図3(F)に示されるような電極部20Cを備えていてもよい。
図3(E)及び
図3(F)の例では、電極部20Cの脚部21等のキャパシタ電極30Cは、橇の底面である対向面40Cを有する。対向面40Cは、地面Sに接触する接触面41Cと、接触面41Cの前後の地面Sに接触しない非接触面42Cとを含む。
図3(E)及び
図3(F)の例では、接触面41Cは、地面Sに平行な平面である。非接触面42Cは、地面Sに対して突出しつつ、接触面41Cから前後方向に離れるほど地面Sから上方に離隔する曲面である。接触面41Cと非接触面42Cとは、地面Sに対して突出した曲面により連結されている。接触面41Cは地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返し、接触面41Cが地面Sに接触したときに電極部20Cの脚部21等のキャパシタ電極30Cは、地面Sの土Eの比抵抗を測定する。
【0041】
図1(A)、
図1(B)及び
図2に示されるように、比抵抗測定装置1Aは、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値を管理する測定管理部50をさらに備える。測定管理部50は、複数の脚部21,24,25,28及び脚部22,23,26,27のいずれか一方のそれぞれが地面Sに接触した時間の差が閾値よりも大きいときは、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値を削除する。閾値は、例えば、要求される比抵抗の測定の精度が高いほど小さい値に設定できる。
【0042】
なお、測定管理部50は、本体部10Aの第1分体部11及び第2分体部12の外部に位置し、第1分体部11及び第2分体部12から測定された地面Sの土Eの比抵抗と複数の脚部21等が地面に接触した時間とを無線通信により受信して、比抵抗の値を処理してもよい。
【0043】
比抵抗測定装置1Aは、本体部10Aの第1分体部11及び第2分体部12の位置を測位する測位部61を備える。測位部61は、例えば、GNSS(GlobalNavigation Satellite System)測量、光学測量機能による自動追尾TS(Total Station)等により、本体部10Aの第1分体部11及び第2分体部12の位置を測位する。比抵抗測定装置1Aは、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値と、測位部61により測位された本体部10Aの第1分体部11及び第2分体部12の位置とを関連付けて記憶する記憶部62を備える。記憶部62は、例えば、ハードディスク等の記録媒体である。
【0044】
なお、記憶部62は、本体部10Aの第1分体部11及び第2分体部12の外部に位置し、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値と、測位部61により測位された本体部10Aの第1分体部11及び第2分体部12の位置とを無線通信により受信して、比抵抗の値と本体部10Aの位置とを関連付けて記憶してもよい。
【0045】
本実施形態の比抵抗測定装置1Aにより地面Sの土Eの比抵抗の測定が行われるときには、例えば、土工事の施工過程でロードローラ等の締固め機械により地面Sの土Eが締固められた後に、本体部10Aが地面Sの上を移動する移動工程と、本体部10Aから地面Sに近接する電極部20Aが地面Sの土Eの比抵抗を測定する比抵抗測定工程とが行われる。移動工程及び比抵抗測定工程では、例えば、比抵抗測定装置1Aが自律制御により地面Sの土Eの締固めを行う締固め機械との無線通信を行い、締固め機械により地面Sの土Eが締固められた位置に対して、自律制御により本体部10Aが移動し、電極部20Aが当該位置における地面Sの土Eの比抵抗を測定してもよい。
【0046】
比抵抗測定工程では、電極部20Aは、地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、地面Sに近接したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定する。上述したように、電極部20Aは、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより本体部10Aを地面Sの上で移動させる複数の脚部21等を有し、比抵抗測定工程では、電極部20Aは、脚部21が地面Sに接触したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定する。
【0047】
移動工程では、例えば、
図2に示されるように、本体部10Aの第1分体部11が移動し、第1分体部11から一定の距離を隔てて追走するように本体部10Aの第2分体部12が移動する。第1分体部11の脚部21等と第2分体部12の脚部25等とが互いに同期して地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行する。
【0048】
例えば、第1分体部11の脚部21,24と第2分体部12の脚部25,28とが地面Sに接触しているときに、第1分体部11の脚部21,24及び第2分体部12の脚部25,28のいずれか一方のキャパシタ電極30Aの一対が一対の電流電極として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電流電極の間に交流電圧が印加されることにより地面Sの土Eに交流電流が流される。第1分体部11の脚部21,24及び第2分体部12の脚部25,28のいずれか他方のキャパシタ電極30Aの一対が一対の電位電極として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電位電極の間の電位が測定される。
【0049】
地面Sに近接させられた一対の電流電極の導電体32に電圧が印加されると、誘電体31と地面Sの土Eとの間に電荷が溜まり電流電極はキャパシタとなる。キャパシタとなった電流電極が充電又は放電しきる前に、電圧の極性が切り替えられれば、抵抗値を有する土Eに連続的に交流電流が流れる。一方、電流電極と同様にキャパシタとなった一対の電位電極の電位が測定される。電流電極の電流の値と、電位電極の電位の値とから、地面Sの土Eの比抵抗が測定される。第1分体部11の脚部22,23と第2分体部12の脚部26,27とが地面Sに接触しているときも同様である。
【0050】
第1分体部11との第2分体部12との距離を変更することにより、比抵抗を測定する土Eの地面Sから深さを変更できる。また、第1分体部11及び第2分体部12のそれぞれにおいて一緒に地面Sに接触する脚部21,24、脚部22,23、脚部25,28及び脚部26,27のそれぞれの間隔(歩幅)を変更することにより、比抵抗を測定する土Eの地面Sから深さを変更できる。なお、第1分体部11に対して第2分体部12は並走してもよい。電極部20Aにより測定された各位置における比抵抗から、比抵抗と相関がある土の乾燥密度又は湿潤密度が導出される。これにより、各位置における地面の土の品質を評価し、締固め機械による締固めの効果を確認できる。
【0051】
本実施形態によれば、地面Sの上を移動する本体部10Aと、本体部10Aから地面Sに近接し、地面Sの土Eの比抵抗を測定する電極部20Aとを備えた比抵抗測定装置1Aにおいて、電極部20Aは、地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、地面Sに近接したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定するため、車両の走行中に電極と地面とが常に接触している場合と比べて地面Sの不陸により地面Sの土Eの比抵抗の測定値にばらつきが生じ難い。したがって、地面Sの不陸の影響を低減させつつ移動しながら地面Sの土Eの比抵抗を測定できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、電極部20Aは、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより本体部10Aを地面Sの上で移動させる複数の脚部21等を有し、脚部21等が地面Sに接触したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定するため、電極部20Aと地面Sとを常に接触させずに地面Sの上を移動できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、本体部10Aは、第1分体部11と、第1分体部11から離隔した第2分体部12とを有する。電極部20Aは4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28を有する。4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28における一方の2対の脚部21,22,23,24は第1分体部11に配置され、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより第1分体部11を地面Sの上で移動させる。4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28における他方の2対の脚部25,26,27,28は第2分体部12に配置され、地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行することにより第2分体部12を地面の上で移動させる。第1分体部11と第2分体部12とが個々に4足歩行により地面Sの上を移動可能であるため、第1分体部11及び第2分体部12のそれぞれの構造を単純にし、第1分体部11及び第2分体部12のそれぞれを小型にできる。
【0054】
また、第1分体部11に配置された一方の2対の脚部21,22,23,24と、第2分体部12に配置された他方の2対の脚部25,26,27,28とは、互いに同期して地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返して歩行し、第1分体部11に配置された一方の2対の脚部21,22,23,24における2つの脚部21,24又は脚部22,23と、第2分体部12に配置された他方の2対の脚部25,26,27,28における2つの脚部25,28又は脚部26,27とが地面Sに接触したときに、電極部20Aは地面Sの土Eの比抵抗を測定するため、例えば、第1分体部11と第2分体部12との距離を変更することにより、比抵抗を測定する土Eの地面Sから深さを変更できる。また、第1分体部11及び第2分体部12は自律制御による4足歩行によって地面Sの上を移動するロボットであるため、地面Sの土Eの抵抗率の測定が無人化及び省力化される。
【0055】
また、本実施形態によれば、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値を管理する測定管理部50は、複数の脚部21等のそれぞれが地面Sに接触した時間の差が閾値よりも大きく、電極部20Aにより測定された比抵抗の値の精度が低いことが予想されるときは、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値を削除するため、測定の精度が高い比抵抗の値のみを残すことができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、電極部20Aは地面Sに対向する誘電体31と誘電体31に接続された導電体32とからなるキャパシタ電極30Aを有し、誘電体31は地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、誘電体31が地面Sに近接したときに電極部20Aは地面Sの土Eの比抵抗を測定する。キャパシタ電極30Aは、誘電体31が地面にS近接させられるだけで地面Sの土Eの比抵抗の測定が可能であるため、地面Sの不陸の影響をさらに低減させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、電極部20A,20B,20Cは地面Sに対向する対向面40A,40B,40Cを有し、対向面40A,40B,40Cは地面Sに接触する接触面41A,41B,41Cと地面Sに接触しない非接触面42A,42B,42Cとを含み、接触面41A,41B,41Cは地面Sに平行な平面及び地面Sに対して突出した曲面のいずれかにより構成され、接触面41A,41B,41Cと非接触面42A,42B,42Cとは曲面により連結され、接触面41A,41B,41Cは地面Sへの接触と地面Sからの離隔とを繰り返し、接触面41A,41B,41Cが地面Sに接触したときに電極部20A,20B,20Cは地面Sの土Eの比抵抗を測定する。このため、例えば、盛土が転圧機により転圧された後の地面Sの乱れを低減しつつ、移動しながら地面Sの土Eの比抵抗を測定できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、記憶部62によって、電極部20Aにより測定された地面Sの土Eの比抵抗の値と、測位部61により測位された本体部10Aの位置とが関連付けて記憶されるため、位置と、当該位置における地面Sの土Eの比抵抗との関係を把握し易い。
【0059】
以下、本発明の第2実施形態の比抵抗測定装置及び比抵抗測定方法について説明する。
図4に示されるように、本実施形態の比抵抗測定装置1Bでは、本体部10Bは、本体部10Bを地面Sの上で移動させる移動部70を有する。移動部70は、例えば、車輪又は無限軌道等により本体部10Aを地面Sの上で移動させる。本実施形態では、本体部10Bは一体化され、上記第1実施形態のような第1分体部11及び第2分体部12を有していない。
【0060】
本実施形態の比抵抗測定装置1Bでは、2対の電極部20Dは、移動部70により本体部10Bが地面Sの上を移動させられているときに、地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、地面Sに近接したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定する。
図4の例では、2対の電極部20Dのそれぞれは、地面Sに対して先端を進退動可能な機構により、互いに同期しつつ本体部10Bから地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返す。2対の電極部20Dが地面Sに接触したときに、電極部20Dは地面Sの土Eの比抵抗を測定する。電極部20Dのそれぞれは、地面に対向する平板状をなす誘電体31と誘電体31に接続された平板状の導電体32とからなるキャパシタ電極30Dを有する。
【0061】
本実施形態では、例えば、2対の電極部20Dのキャパシタ電極30Dのいずれか一方の一対が一対の電流電極として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電流電極の間に交流電圧が印加されることにより地面Sの土Eに交流電流が流される。また、2対の電極部20Dのキャパシタ電極30Dのいずれか他方の一対が一対の電位電極として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電位電極の間の電位が測定される。例えば、電極部20Dのそれぞれの間の間隔を変更することにより、比抵抗を測定する土Eの地面Sから深さを変更できる。4本の電極である電極部20Dのキャパシタ電極30Dの内の内側の2本の電極の間隔をnaとし、それ以外の互いに隣接する2本のキャパシタ電極30Dの間隔をaとしたときに、測定深さはa(n+1)/2となる点は、上記第1実施形態と同様である。
【0062】
本実施形態によれば、本体部10Bは本体部10Bを地面Sの上で移動させる移動部70を有し、電極部20Dは、移動部70により本体部10Bが地面Sの上を移動させられているときに、地面Sへの近接と地面Sからの離隔とを繰り返し、地面Sに近接したときに地面Sの土Eの比抵抗を測定するため、電極部20Dと地面Sとを常に接触させずに地面Sの上を移動できる。また、本実施形態では、電極部20Dは本体部10Bの移動には寄与しないため、必ずしも電極部20Dを地面Sに接触させる必要がなく、盛土が転圧機により転圧された後の地面Sの乱れを低減できる。また、移動部70は、車輪等にできるため、移動部70の構成を単純にできる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、上記第1実施形態の比抵抗測定装置1Aにおいて、第1分体部11と第2分体部12とが互いに一体化され、一体化された本体部10Aは、4対の脚部21,22,23,24,25,26,27,28を有していてもよい。この構成によれば、比抵抗測定装置1Aを一体化して運用できる。この場合、一緒に地面Sに接触する脚部21,24等の間隔を変更することにより、比抵抗を測定する土Eの地面Sから深さを変更できる。また、本体部10Aは、9以上の脚部21等を備えていてもよい。
【0064】
また、上記第2実施形態の比抵抗測定装置1Bにおいて、上記第1実施形態の比抵抗測定装置1Aのように、互いに一対の電極部20Dを有する第1分体部11と第2分体部12とを備えていてもよい。この構成によれば、第1分体部11及び第2分体部12のそれぞれの構造を単純にし、第1分体部11及び第2分体部12のそれぞれを小型にできる。この場合、上記第1実施形態と同様に、第1分体部11との第2分体部12との距離を変更することにより、比抵抗を測定する土Eの地面Sから深さを変更できる。また、本体部10Bは、5以上の電極部20Dを備えていてもよい。
【0065】
また、電極部20A,20B,20C,20Dの形状及び構成は、適宜変更できる。また、電極部20A,20B,20C,20Dは、必ずしもキャパシタ電極30A,30B,30C,30Dを有していなくてもよい。また、比抵抗測定装置1A,1Bは、振動ローラ等と一体化されていてもよい。また、比抵抗測定装置1A,1Bにより比抵抗を測定される土Eには、一般の土Eのみならず、CSG(CementedSand and Gravel)工法における建設現場で得られた砂礫等にセメントが添加及び混合された物及びRCD(Roller CompactedDam-Concrete)工法におけるセメントの量を少なくした超硬練りのコンクリートが敷均されて振動ローラ等で締め固められた物も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1A,1B…比抵抗測定装置、10A,10B…本体部、11…第1分体部、12…第2分体部、20A,20B,20C,20D…電極部、21,22,23,24,25,26,27,28…脚部、30A,30B,30C,30D…キャパシタ電極、31…誘電体、32…導電体、40A,40B,40C…対向面、41A,41B,41C…接触面、42A,42B,42C…非接触面、50…測定管理部、61…測位部、62…記憶部、70…移動部、S…地面、E…土。