(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-23
(45)【発行日】2025-07-31
(54)【発明の名称】インターホン装置及び該インターホン装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20250724BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20250724BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2021122145
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2024-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 恭裕
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102882(JP,A)
【文献】特開2020-78036(JP,A)
【文献】特開2020-198566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
H04M3/16-3/20
H04M3/38-3/58
H04M7/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動端末のIP(Internet Protocol)アドレスを収集するクラウドサーバと通信するように構成されたインターホン装置であって、
呼び出しベルとスピーカとを含み、屋外に設置される子機と、
前記子機に接続され、屋内に設置される親機とを備え、
前記親機は、
前記呼び出しベルが操作されるのに応じて、前記親機の外部のルータを介して前記クラウドサーバと通信することによって、前記IPアドレス又は前記IPアドレスに基づいて生成された端末位置情報を取得する第1通信部と、
前記第1通信部によって取得された前記IPアドレス又は前記端末位置情報に応じたメッセージを前記スピーカに出力させる制御信号を前記子機へ送信する第1制御部とを含
み、
前記第1制御部は、
前記IPアドレスがプライベートIPアドレスである場合、又は、前記端末位置情報により前記移動端末が前記屋内に存在することが示されている場合に、第1メッセージを前記スピーカに出力させる制御信号を前記子機へ送信する一方、
前記IPアドレスがグローバルIPアドレスである場合、又は、前記端末位置情報により前記移動端末が前記屋外に存在することが示されている場合に、第2メッセージを前記スピーカに出力させる制御信号を前記子機へ送信する、インターホン装置。
【請求項2】
前記子機は、
前記屋外を撮影し、画像データを生成するカメラと、
前記親機の前記第1通信部と無線通信する第2通信部とをさらに含み、
前記親機は、2線式の伝送路を介して前記子機に接続されており、
前記親機及び前記子機間においては、前記伝送路を介して電力及び制御信号の送受信が行なわれ、前記第1及び第2通信部間の無線通信を介して前記画像データの送受信が行なわれる、請求項
1に記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記第2通信部は、前記移動端末と無線通信可能であり、
前記子機は、前記第2通信部を制御する第2制御部をさらに含み、
前記親機においては、前記IPアドレスがプライベートIPアドレスである場合、又は、前記端末位置情報により前記移動端末が前記屋内に存在することが示されている場合に前記画像データを前記子機から前記親機へ送信させるか前記子機から前記移動端末へ送信させるかの設定が可能であり、
前記第2制御部は、前記設定の内容に応じた送信先へ前記画像データを送信するように前記第2通信部を制御する、請求項
2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記画像データが前記移動端末に送信されるのに応じて前記移動端末から許可信号又は不許可信号が前記第1通信部を介して受信された場合に、受信された信号に応じて、宅配業者に対する指示を示すメッセージを前記スピーカに出力させる制御信号を前記子機へ送信する、請求項
3に記載のインターホン装置。
【請求項5】
ユーザの移動端末のIP(Internet Protocol)アドレスを収集するクラウドサーバと通信するように構成されたインターホン装置の制御方法であって、
前記インターホン装置は、
呼び出しベルとスピーカとを有し、屋外に設置される子機と、
前記子機に接続され、屋内に設置される親機とを備え、
前記インターホン装置の制御方法は、
前記呼び出しベルが操作されるのに応じて、前記親機の外部のルータを介して前記クラウドサーバと通信することによって、前記IPアドレス又は前記IPアドレスに基づいて生成された端末位置情報を前記親機に取得させるステップと、
取得された
前記IPアドレスがプライベートIPアドレスである場合、又は、取得された前記端末位置情報により前記移動端末が前記屋内に存在することが示されている場合に、第1メッセージを前記スピーカに出力させる制御信号を前記子機へ送信するステップと、
取得された前記IPアドレスがグローバルIPアドレスである場合、又は、取得された前記端末位置情報により前記移動端末が前記屋外に存在することが示されている場合に、第2メッセージを前記スピーカに出力させる制御信号を前記子機へ送信するステップとを含む、インターホン装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン装置及び該インターホン装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-078036号公報(特許文献1)は、インターホンシステムを開示する。このインターホンシステムにおいては、例えば、訪問者によって呼び出しのための操作が行なわれた場合に、ユーザの公衆網用情報端末に呼び出しが送られる。したがって、このインターホンシステムによれば、ユーザが不在であっても、ユーザは、公衆網用情報端末を介して呼び出しに対応することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているインターホンシステムにおいては、訪問者によって呼び出しのための操作が行なわれた場合に、例えば、近距離無線通信を利用して宅内の非公衆網用情報端末に呼び出しが送られる。この呼び出しへの対応が行なわれない場合には、公衆網を利用して公衆網用情報端末に呼び出しが送られる。このように、このインターホンシステムにおいては、ユーザの不在時に二段階の呼び出しが行なわれる。しかしながら、二段階の呼び出しには時間を要するため、居住者からの反応が遅いと二段階の呼び出しを行なっている間に訪問者が去ってしまうことも考えられる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、訪問者が待っている間に早急に反応し、訪問者に適切な対応を促すことが可能なインターホン装置及び該インターホン装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従うインターホン装置は、ユーザの移動端末のIP(Internet Protocol)アドレスを収集するクラウドサーバと通信するように構成されている。このインターホン装置は、子機と親機とを備えている。子機は、呼び出しベルとスピーカとを含み、屋外に設置される。親機は、子機に接続され、屋内に設置される。親機は、第1通信部と第1制御部とを含む。第1通信部は、呼び出しベルが操作されるのに応じて、親機の外部のルータを介してクラウドサーバと通信することによって、移動端末のIPアドレス又はIPアドレスに基づいて生成された端末位置情報を取得する。第1制御部は、第1通信部によって取得されたIPアドレス又は端末位置情報に応じたメッセージをスピーカに出力させる制御信号を子機へ送信する。
【0007】
このインターホン装置においては、訪問者によって呼び出しベルが操作されるのに応じて、ユーザの移動端末のIPアドレス又は端末位置情報に応じたメッセージがスピーカから出力される。したがって、このインターホン装置によれば、ユーザの現在位置に応じたメッセージがスピーカから出力されるため、ユーザの現在位置に応じた適切な対応を訪問者に促すことができる。
【0008】
上記インターホン装置において、第1制御部は、IPアドレスがプライベートIPアドレスである場合、又は、端末位置情報により移動端末が屋内に存在することが示されている場合に、第1メッセージをスピーカに出力させる制御信号を子機へ送信する一方、IPアドレスがグローバルIPアドレスである場合、又は、端末位置情報により移動端末が屋外に存在することが示されている場合に、第2メッセージをスピーカに出力させる制御信号を子機へ送信してもよい。
【0009】
このインターホン装置においては、ユーザが屋外又は屋内のいずれに存在すると推定されるかによって、異なるメッセージ(第1メッセージ又は第2メッセージ)がスピーカから出力される。したがって、このインターホン装置によれば、ユーザの現在位置(屋外か屋内か)に応じた適切な対応を訪問者に促すことができる。
【0010】
上記インターホン装置において、子機は、屋外を撮影し、画像データを生成するカメラと、親機の第1通信部と無線通信する第2通信部とをさらに含み、親機は、2線式の伝送路を介して子機に接続されており、親機及び子機間においては、伝送路を介して電力及び制御信号の送受信が行なわれ、第1及び第2通信部間の無線通信を介して画像データの送受信が行なわれてもよい。
【0011】
このインターホン装置においては、親機及び子機間における画像データの送受信が、2線式の伝送路を介して行なわれず、第1及び第2通信部間の無線通信を介して行なわれる。したがって、このインターホン装置によれば、通信帯域に比較的余裕のある通信手段(無線通信)によって画像データの送受信が行なわれるため、親機及び子機間において画像データの送受信をスムーズに行なうことができる。
【0012】
上記インターホン装置において、第2通信部は、移動端末と無線通信可能であり、子機は、第2通信部を制御する第2制御部をさらに含み、親機においては、IPアドレスがプライベートIPアドレスである場合、又は、端末位置情報により移動端末が屋内に存在することが示されている場合に画像データを子機から親機へ送信させるか子機から移動端末へ送信させるかの設定が可能であり、第2制御部は、設定の内容に応じた送信先へ画像データを送信するように第2通信部を制御してもよい。
【0013】
このインターホン装置においては、IPアドレスがプライベートIPアドレスである場合、又は、端末位置情報により移動端末が屋内に存在することが示されている場合(ユーザが屋内に存在すると推定される場合)に画像データを子機から親機に送信させるか子機から移動端末に送信させるかの設定が可能である。したがって、このインターホン装置によれば、ユーザが屋内に存在すると推定される場合に画像データが子機から移動端末に送信されるように設定することによって、ユーザが屋内において親機の近くにいなかったとしても、ユーザは移動端末を介して訪問者を容易に確認することができる。
【0014】
上記インターホン装置において、第1制御部は、画像データが移動端末に送信されるのに応じて移動端末から許可信号又は不許可信号が第1通信部を介して受信された場合に、受信された信号に応じて、宅配業者に対する指示を示すメッセージをスピーカに出力させる制御信号を子機へ送信してもよい。
【0015】
このインターホン装置においては、移動端末から受信された信号に応じて宅配業者に対する指示を示すメッセージがスピーカから出力される。したがって、このインターホン装置によれば、例えば、移動端末において表示された画像を参照してユーザが移動端末を適切に操作することによって、宅配業者に適切に指示することができる。
【0016】
本発明の他の局面に従うインターホン装置の制御方法は、ユーザの移動端末のIP(Internet Protocol)アドレスを収集するクラウドサーバと通信するように構成されたインターホン装置の制御方法である。インターホン装置は、呼び出しベルとスピーカとを有し、屋外に設置される子機と、子機に接続され、屋内に設置される親機とを備える。インターホン装置の制御方法は、呼び出しベルが操作されるのに応じて、親機の外部のルータを介してクラウドサーバと通信することによって、IPアドレス又はIPアドレスに基づいて生成された端末位置情報を親機に取得させるステップと、取得されたIPアドレス又は端末位置情報に応じたメッセージをスピーカに出力させる制御信号を親機から子機へ送信させるステップとを含む。
【0017】
このインターホン装置の制御方法においては、訪問者によって呼び出しベルが操作されるのに応じて、ユーザの移動端末のIPアドレス又は端末位置情報に応じたメッセージがスピーカから出力される。したがって、このインターホン装置の制御方法によれば、ユーザの現在位置に応じたメッセージがスピーカから出力されるため、ユーザの現在位置に応じた適切な対応を訪問者に促すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、居住者(ユーザ)から反応が直ぐに行なわれると訪問者に感じさせることにより、訪問者に適切な対応を促すことが可能なインターホン装置及び該インターホン装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】インターホンシステムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】インターホン装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】クラウドサーバの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】移動端末の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図5】スピーカにおいて第1の音声出力が行なわれるまでのインターホンシステムにおける動作手順を示すフローチャートである。
【
図6】子機及び親機間における通話動作が行なわれるまでのインターホン装置における動作手順を示すフローチャートである。
【
図7】子機及び親機間における送受信が何を介して行なわれるかを示す図である。
【
図8】子機及び移動端末間における通話動作が行なわれるまでのインターホンシステムにおける動作手順を示すフローチャートである。
【
図9】スピーカにおいて第2の音声出力が行なわれるまでのインターホンシステムにおける動作手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図9のステップS710において表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
[1.構成]
<1-1.インターホンシステムの構成>
図1は、本実施の形態に従うインターホン装置50を含むインターホンシステム10の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示されるように、インターホンシステム10は、インターホン装置50と、クラウドサーバ300と、移動端末400とを含んでいる。インターホンシステム10においては、ネットワーク(例えば、インターネット)N1を介して、インターホン装置50、クラウドサーバ300及び移動端末400が相互に通信可能である。
【0022】
インターホン装置50は、親機100と子機200とを含んでいる。親機100と子機200とは双方向通信が可能であり、親機100及び子機200間においては通話が可能である。例えば、親機100はユーザの居住スペースや仕事場等の作業エリアの中(屋内と定義する)に設置され、子機200はユーザの居住スペースや仕事場等の作業エリアの外(屋外と定義する)に設置される。親機100は、例えば、ユーザによって操作され、子機200は、例えば、ユーザの家や作業場に来る訪問者によって操作される。ユーザの家に訪問者が来た場合に、ユーザ及び訪問者は、親機100及び子機200のそれぞれを通じて互いに会話することができる。
【0023】
親機100は、例えば、ルータ500を介してネットワークN1に接続する。また、クラウドサーバ300及び移動端末400の各々もネットワークN1に接続する。クラウドサーバ300は、例えば、汎用コンピュータによって構成され、移動端末400は、例えば、スマートフォン、タブレット又はモバイルPC(Personal Computer)によって構成される。
【0024】
移動端末400の所有者は、インターホン装置50のユーザである。移動端末400は、ユーザが屋内に存在する場合に、ルータ500を介してネットワークN1に接続するように設定されている。この場合に、移動端末400のIPアドレスは、ルータ500のプライベートIPアドレスとなる。一方、ユーザが屋外に存在する場合に、移動端末400は、例えば、携帯電話ネットワーク(例えば、3G、4G、5G)を介してネットワークN1に接続する。この場合に、移動端末400のIPアドレスは、グローバルIPアドレスとなる。
【0025】
インターホンシステム10においては、移動端末400のIPアドレス情報が定期的にクラウドサーバ300へ送信される。クラウドサーバ300においては、取得されたIPアドレス情報に基づいて、ユーザが屋内に存在するか屋外に存在するかが判定され、判定結果を示す端末位置情報が生成される。具体的には、取得されたIPアドレス情報がルータ500のプライベートIPアドレスを示す場合にユーザが屋内に存在すると判定され、取得されたIPアドレス情報がグローバルIPアドレスを示す場合にユーザが屋外に存在すると判定される。そして、判定結果を示す端末位置情報が生成される。
【0026】
インターホン装置50において、訪問者が子機200を通じた呼び出しを行なった場合に、親機100は、クラウドサーバ300から端末位置情報を取得する。親機100においては、取得された端末位置情報に応じた制御が行なわれる。このインターホン装置50によれば、ユーザの現在位置に応じた適切な対応を訪問者に促すことができる。インターホン装置50における具体的な制御内容については、後程詳しく説明する。
【0027】
<1-2.インターホン装置の構成>
図2は、インターホン装置50の構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示されるように、インターホン装置50は、親機100と、子機200とを含んでいる。親機100と子機200とは、2線式の伝送路L1を介して接続されている。伝送路L1は、例えば、ツイストペア線によって構成される。
【0028】
親機100は、第1制御部110と、記憶部120と、マイクロホン130と、スピーカ140と、ディスプレイ150と、操作部160と、第1通信部180と、第3通信部170とを含んでいる。
【0029】
第1制御部110は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等(不図示)を含み、親機100の各構成要素を制御するように構成されている。例えば、メモリに記憶された親機100の制御プログラムがCPUによって実行されることにより、親機100における各種機能が実現される。
【0030】
記憶部120は、各種データを記憶するように構成されている。記憶部120は、例えば、ディスプレイ150に表示されるUI(User Interface)を示す画像データ、及び、スピーカ140から出力される呼び出し音を示す音声データを記憶する。記憶部120は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブの少なくとも一部によって構成される。
【0031】
マイクロホン130は、入力された音声をアナログ音声信号に変換するように構成されている。このアナログ音声信号は、例えば、音声処理回路(不図示)によってデジタル音声信号(音声データ)に変換され、子機200に送信される。
【0032】
スピーカ140は、アナログ音声信号を音声に変換して出力するように構成されている。例えば、子機200から受信されたデジタル音声信号(音声データ)が音声処理回路(不図示)によってアナログ音声信号に変換され、スピーカ140は、該アナログ音声信号を音声に変換して出力する。また、スピーカ140は、例えば、親機100が子機200から呼び出し信号を受信している状態において、記憶部120に記憶されている音声データが示す呼び出し音を出力する。
【0033】
ディスプレイ150は、画像を表示するように構成されている。ディスプレイ150は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等のモニタで構成される。ディスプレイ150には、例えば、子機200によって撮影された画像が表示される。
【0034】
操作部160は、ユーザからの操作を受け付けるように構成されている。操作部160は、例えば、タッチパネル又は物理ボタンで構成される。例えば、親機100が子機200から呼び出し信号を受信している状態において、操作部160を介した所定の操作(例えば、物理ボタンの押下)が行なわれると、親機100及び子機200間における通話が可能となる。操作部160がタッチパネルによって構成される場合には、例えば、ディスプレイ150上に所定の操作を受け付ける操作領域が表示され、ユーザからのタッチ操作に応じて先の物理ボタンの操作と同様に親機100及び子機200間における通話が可能となる。
【0035】
第1通信部180は、ネットワークN1(
図1)を介して、クラウドサーバ300及び移動端末400と通信するように構成されている。第1通信部180は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0036】
第3通信部170は、伝送路L1を介して子機200との間で制御信号の送受信を行なうように構成されている。すなわち、親機100及び子機200間においては、伝送路L1を介した双方向通信が可能である。また、第3通信部170は、伝送路L1を介して子機200に電力を送るように構成されている。この電力は、親機100に接続された電源(不図示)から供給される。
【0037】
子機200は、第2制御部210と、記憶部220と、呼び出しベル230と、マイクロホン240と、スピーカ250と、カメラ260と、第2通信部280と、第4通信部270とを含んでいる。
【0038】
第2制御部210は、CPU及びメモリ等(不図示)を含み、子機200の各構成要素を制御するように構成されている。例えば、メモリに記憶された子機200の制御プログラムがCPUによって実行されることにより、子機200における各種機能が実現される。
【0039】
記憶部220は、各種データを記憶するように構成されている。記憶部220は、例えば、スピーカ250から出力される音声のデータを記憶する。記憶部220は、例えば、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブの少なくとも一部によって構成される。
【0040】
呼び出しベル230は、例えば、訪問者によって押下されるボタンである。訪問者によって呼び出しベル230が押下されると、呼び出し信号が伝送路L1を介して子機200から親機100に送信される。
【0041】
マイクロホン240は、入力された音声をアナログ音声信号に変換するように構成されている。このアナログ音声信号は、例えば、音声処理回路(不図示)によってデジタル音声信号(音声データ)に変換され、親機100に送信される。
【0042】
スピーカ250は、アナログ音声信号を音声に変換して出力するように構成されている。例えば、親機100から受信されたデジタル音声信号(音声データ)が音声処理回路(不図示)によってアナログ音声信号に変換され、スピーカ250は、該アナログ音声信号を音声に変換して出力する。
【0043】
カメラ260は、動画像を撮像し、画像データを生成するように構成されている。呼び出しベル230が押下されると、カメラ260によって生成された画像データは、子機200から親機100に送信される。送信された画像は、親機100のディスプレイ150に表示される。インターホン装置50において、カメラ260は、例えば、屋外の画像を常時撮影する。常時撮影を通じて生成された画像データを記憶部220に記憶させることによって、インターホン装置50に監視カメラの機能を持たせることができる。カメラ260は、例えば、イメージセンサーを含むカメラモジュールで構成される。
【0044】
第2通信部280は、ネットワークN1(
図1)を介して、クラウドサーバ300及び移動端末400と通信するように構成されている。第2通信部280は、例えば、無線LANモジュールで構成される。第4通信部270は、伝送路L1を介して親機100との間で制御信号の送受信を行なうように構成されている。また、第4通信部270は、伝送路L1を介して親機100から電力の供給を受けるように構成されている。
【0045】
<1-3.クラウドサーバの構成>
図3は、クラウドサーバ300の構成を模式的に示すブロック図である。上述のように、クラウドサーバ300は、例えば、汎用コンピュータによって実現される。
図3に示されるように、クラウドサーバ300は、制御部310と、通信I/F(interface)330と、記憶部320とを含んでいる。
【0046】
制御部310は、CPU、RAM及びROM等(不図示)を含み、各構成要素を制御するように構成されている。通信I/F330は、ネットワークN1を介して、インターホン装置50及び移動端末400の各々と通信するように構成されている。通信I/F330は、例えば、有線LANモジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0047】
記憶部320は、例えば、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部320は、例えば、制御プログラムを記憶している。制御プログラムが制御部310のCPUによって実行されることによって、クラウドサーバ300における各種機能が実現される。
【0048】
<1-4.移動端末の構成>
図4は、移動端末400の構成を模式的に示すブロック図である。上述のように、移動端末400は、例えば、スマートフォン、タブレット又はモバイルPC等によって構成される。
図4に示されるように、移動端末400は、制御部410と、通信I/F430と、ディスプレイ450と、操作部440と、記憶部420とを含んでいる。
【0049】
制御部410は、CPU、RAM及びROM等(不図示)を含み、各構成要素を制御するように構成されている。通信I/F430は、ネットワークN1を介して、例えば、クラウドサーバ300及びインターホン装置50の各々と通信するように構成されている。通信I/F430は、例えば、有線LANモジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0050】
ディスプレイ450は、画像を表示するように構成されている。ディスプレイ450は、例えば、液晶モニタ又は有機ELモニタ等のモニタで構成される。操作部440は、ユーザからの操作を受け付けるように構成されている。操作部440は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0051】
記憶部420は、例えば、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置である。記憶部420は、例えば、制御プログラムを記憶するように構成されている。制御プログラムが制御部410のCPUによって実行されることによって、移動端末400における各種機能が実現される。
【0052】
[2.動作]
<2-1.子機のスピーカにおける第1の音声出力動作>
インターホン装置50においては、訪問者に適切な対応を促すために、状況に応じたメッセージが子機200のスピーカ250から出力される。
【0053】
図5は、スピーカ250において第1の音声出力が行なわれるまでのインターホンシステム10における動作手順を示すフローチャートである。
図5を参照して、左側のフローチャートに示される処理は、子機200の第2制御部210によって実行される。中央のフローチャートに示される処理は、親機100の第1制御部110によって実行される。右側のフローチャートに示される処理は、クラウドサーバ300の制御部310によって実行される。
【0054】
図5の左側のフローチャートを参照して、子機200の第2制御部210は、訪問者によって屋外(例えば、玄関)に設置された呼び出しベル230が押下されたか否かを判定する(ステップS100)。呼び出しベル230が押下されていないと判定されると(ステップS100においてNO)、第2制御部210は、訪問者によって呼び出しベル230が押下されるまで待機する。
【0055】
一方、呼び出しベル230が押下されたと判定されると(ステップS100においてYES)、第2制御部210は、伝送路L1を介して呼び出し信号を親機100へ送信するように第4通信部270を制御する(ステップS110)。
【0056】
その後、第2制御部210は、伝送路L1を介して親機100からスピーカ250の制御信号(以下、「スピーカ制御信号」とも称する。)を受信したか否かを判定する(ステップS120)。スピーカ制御信号の種類としては、例えば、スピーカ250に第1メッセージを出力させる制御信号と、スピーカ250に第2メッセージを出力させる制御信号とがある。第1メッセージは、例えば、ユーザの移動端末400が屋内に存在する場合(ユーザが家にいる可能性が高い場合)に出力されるべきメッセージであり、第2メッセージは、例えば、移動端末400が屋外に存在する場合(ユーザが家にいない可能性が高い場合)に出力されるべきメッセージである。
【0057】
第1メッセージの一例としては、「しばらくお待ち下さい」といったメッセージが挙げられる。ユーザが家にいる場合には、訪問者からの呼び出しにユーザが即座に応答できる場合が多いため、第1メッセージの内容は簡潔なものでもよい。一方、第2メッセージの一例としては、「外出中ですが携帯電話で呼び出しています。しばらくお待ち下さい」といったメッセージが挙げられる。第2メッセージには、ユーザからしばらく応答がなくても、訪問者にその場に留まってもらうための工夫が施される。また、屋内に誰もいないことがわかることが防犯上良くないケースでは、「ユーザの個人携帯電話を呼び出ししています。つながるまでお待ちください」といった表現でもよい。
【0058】
ステップS120において、スピーカ制御信号が親機100から受信されていないと判定されると(ステップS120においてNO)、第2制御部210は、スピーカ制御信号が親機100から受信されるまで待機する。一方、スピーカ制御信号が親機100から受信されたと判定されると(ステップS120においてYES)、第2制御部210は、受信されたスピーカ制御信号に応じたメッセージを出力するようにスピーカ250を制御する(ステップS130)。すなわち、第2制御部210は、受信されたスピーカ制御信号に応じたメッセージを示す音声データを記憶部220から読み出し、読み出された音声データが示すメッセージ(音声)を出力するようにスピーカ250を制御する。
【0059】
次に、
図5の中央のフローチャートを参照して、親機100の第1制御部110は、伝送路L1を介して子機200から呼び出し信号を受信したか否かを判定する(ステップS200)。呼び出し信号が受信されていないと判定されると(ステップS200においてNO)、第1制御部110は、呼び出し信号が子機200から受信されるまで待機する。
【0060】
一方、呼び出し信号が子機200から受信されたと判定されると(ステップS200においてYES)、第1制御部110は、ユーザの移動端末400の現在位置を確認するための信号(以下、「確認信号」とも称する。)をクラウドサーバ300へ送信するように第1通信部180を制御する(ステップS210)。なお、クラウドサーバ300への確認信号の送信は、ルータ500及びネットワークN1を介して行なわれる。また、ユーザの移動端末400を特定可能な情報(以下、「端末特定情報」とも称する。)は、例えば、予め親機100に登録されている。例えば、確認信号内に端末特定情報が含められる。
【0061】
その後、第1制御部110は、ユーザの移動端末400の現在位置を示す情報(端末位置情報)がクラウドサーバ300から第1通信部180を介して受信されたか否かを判定する(ステップS220)。端末位置情報が受信されていないと判定されると(ステップS220においてNO)、第1制御部110は、端末位置情報が受信されるまで待機する。
【0062】
一方、端末位置情報が受信されたと判定されると(ステップS220においてYES)、第1制御部110は、端末位置情報に応じたスピーカ制御信号を子機200へ送信するように第3通信部170を制御する(ステップS230)。すなわち、第1制御部110は、端末位置情報によりユーザの移動端末400が屋内に存在することが示されている場合には、第1メッセージを子機200のスピーカ250に出力させるスピーカ制御信号を子機200へ送信する。また、第1制御部110は、端末位置情報によりユーザの移動端末400が屋外に存在することが示されている場合には、第2メッセージを子機200のスピーカ250に出力させるスピーカ制御信号を子機200へ送信する。
【0063】
次に、
図5の右側のフローチャートを参照して、クラウドサーバ300の制御部310は、ネットワークN1を介して親機100から確認信号が受信されたか否かを判定する(ステップS300)。確認信号が受信されていないと判定されると(ステップS300においてNO)、制御部310は、確認信号が受信されるまで待機する。
【0064】
一方、確認信号が受信されたと判定されると(ステップS300においてYES)、制御部310は、ユーザの移動端末400に関する端末位置情報を親機100へ送信するように通信I/F330を制御する(ステップS310)。なお、上述のように、クラウドサーバ300においては、ユーザの移動端末400のIPアドレス情報が定期的に収集されている。クラウドサーバ300において、端末位置情報は、IPアドレス情報が収集されるのに応じて定期的に生成されてもよいし、親機100から確認信号が受信されるのに応じて最新のIPアドレス情報に基づいて生成されてもよい。
【0065】
このように、親機100においては、呼び出しベル230が訪問者によって操作されるのに応じて、親機100の外部のルータ500を介したクラウドサーバ300との通信が行なわれ、ユーザの移動端末400の端末位置情報がクラウドサーバ300から取得される。そして、子機200においては、端末位置情報に応じたメッセージがスピーカ250から出力される。したがって、インターホン装置50によれば、ユーザの現在位置に応じたメッセージがスピーカ250から出力されるため、ユーザの現在位置に応じて適切な対応を訪問者に促すことができる。
【0066】
また、インターホン装置50は、ユーザが屋外又は屋内のいずれに存在すると推定されるかによって、異なるメッセージ(第1メッセージ又は第2メッセージ)をスピーカ250から出力する。したがって、インターホン装置50によれば、居住者(ユーザ)から反応が直ぐに行なわれると訪問者に感じさせることにより、ユーザの現在位置(屋外か屋内か)に応じた適切な対応を訪問者に促すことができる。
【0067】
<2-2.子機及び親機間における通話動作>
インターホン装置50においては、移動端末400が屋内に存在する場合(ユーザが家にいる可能性が高い場合)に子機200からの呼び出しを親機100又は移動端末400のいずれに送るかが設定可能である。移動端末400が屋内に存在する場合に子機200からの呼び出しが親機100に送られるように設定されている場合に、子機200の呼び出しベル230が訪問者によって押下されると、子機200からの呼び出しが親機100に送られる。
【0068】
図6は、子機200及び親機100間における通話動作が行なわれるまでのインターホン装置50における動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、
図5のステップS220において、親機100が端末位置情報をクラウドサーバ300から受信した後に、(1)端末位置情報によってユーザの移動端末400が屋内に存在することが示され、かつ、(2)移動端末400が屋内に存在する場合に子機200からの呼び出しを親機100へ送る設定がインターホン装置50において行なわれている場合に実行される。例えば、親機100が端末位置情報をクラウドサーバ300から受信した後に、該(1)(2)を満たすことが親機100の第1制御部110によって判定され、判定結果が親機100から子機200へ送信された後に、このフローチャートに示される処理が実行される。
【0069】
図6を参照して、左側のフローチャートに示される処理は子機200の第2制御部210によって実行され、右側のフローチャートに示される処理は親機100の第1制御部110によって実行される。
【0070】
図6の左側のフローチャートを参照して、子機200の第2制御部210は、無線通信を介して、カメラ260によって生成された画像データを親機100へ送信するように第2通信部280を制御する(ステップS400)。例えば、画像データは、ルータ500及びネットワークN1を介して子機200から親機100へ送信される。これにより、呼び出しベル230を押下した訪問者を撮影することによって生成された画像データは、無線通信を介して子機200から親機100へ送信される。
【0071】
その後、第2制御部210は、伝送路L1を介して、親機100から通話開始信号を受信したか否かを判定する(ステップS410)。後述するように、通話開始信号は、親機100の操作部160を介した所定の操作(例えば、物理ボタンの押下)がユーザによって行なわれた場合に、伝送路L1を介して親機100から子機200へ送信される。
【0072】
通話開始信号が受信されていないと判定されると(ステップS410においてNO)、第2制御部210は、通話開始信号が受信されるまで待機する。一方、通話開始信号が受信されたと判定されると(ステップS410においてYES)、第2制御部210は、無線通信を介した通話を開始するための処理を実行する(ステップS460)。ステップS460における通話においては、音声データ及び画像データの両方の送受信が無線通信を介して行なわれる。なお、音声データの送受信が伝送路L1を介して行なわれ、画像データの送受信のみが無線通信を介して行なわれてもよい。
【0073】
次に、
図6の右側のフローチャートを参照して、親機100の第1制御部110は、無線通信を介して画像データが子機200から受信されたか否かを判定する(ステップS420)。画像データが子機200から受信されていないと判定されると(ステップS420においてNO)、第1制御部110は、画像データが子機200から受信されるまで待機する。
【0074】
一方、画像データが子機200から受信されたと判定されると(ステップS420においてYES)、第1制御部110は、受信された画像データが示す動画像の出力を開始するようにディスプレイ150を制御する(ステップS430)。
【0075】
第1制御部110は、ユーザによる通話開始指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS440)。例えば、操作部160を介した所定の操作(例えば、物理ボタンの押下)がユーザによって行なわれたか否かが判定される。ユーザによる通話開始指示を受け付けていないと判定されると(ステップS440においてNO)、第1制御部110は、ユーザによる通話開始指示を受け付けるまで待機する。
【0076】
一方、ユーザによる通話開始指示を受け付けたと判定されると(ステップS440においてYES)、第1制御部110は、伝送路L1を介して通話開始信号を子機200へ送信するように第3通信部170を制御する(ステップS450)。その後、第1制御部110は、無線通信を介した通話を開始するための処理を実行する(ステップS460)。
【0077】
図7は、子機200及び親機100間における送受信が何を介して行なわれるかを示す図である。
図7に示されるように、子機200及び親機100間における各種制御信号の送受信は、伝送路L1を介して行なわれる。また、親機100から子機200への電力の供給は、伝送路L1を介して行なわれる。親機100は、電源(不図示)から電力の供給を受け、伝送路L1を介して、供給された電力の一部を子機200へ供給する。また、子機200及び親機100間における画像データ及び音声データの各々の送受信は、無線通信を介して行なわれる。
【0078】
このように、インターホン装置50においては、親機100及び子機200間における画像データの送受信が、2線式の伝送路L1を介して行なわれず、第1通信部180及び第2通信部280間の無線通信を介して行なわれる。したがって、インターホン装置50によれば、通信帯域に比較的余裕のある通信手段(無線通信)によって画像データの送受信が行なわれるため、親機100及び子機200間において画像データの送受信をスムーズに行なうことができる。
【0079】
<2-3.子機及び移動端末間における通話動作>
上述のように、インターホン装置50においては、移動端末400が屋内に存在する場合に子機200からの呼び出しを親機100又は移動端末400のいずれに送るかが設定可能である。移動端末400が屋内に存在する状態で子機200からの呼び出しが移動端末400に送られるように設定されている場合、又は、移動端末400が屋外に存在する場合に、子機200の呼び出しベル230が訪問者によって押下されると、子機200からの呼び出しが移動端末400に送られる。
【0080】
図8は、子機200及び移動端末400間における通話動作が行なわれるまでのインターホンシステム10における動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、
図5のステップS220において、親機100が端末位置情報をクラウドサーバ300から受信した後に、(A)端末位置情報によってユーザの移動端末400が屋内に存在することが示され、かつ、(B)移動端末400が屋内に存在する場合に子機200からの呼び出しを移動端末400へ送る設定がインターホン装置50において行なわれている場合、又は、(C)端末位置情報によってユーザの移動端末400が屋外に存在することが示される場合に実行される。
【0081】
例えば、親機100が端末位置情報をクラウドサーバ300から受信した後に、該(A)及び(B)を満たすこと、又は、(C)を満たすことが親機100の第1制御部110によって判定され、判定結果が親機100から子機200へ送信された後に、このフローチャートに示される処理が実行される。
【0082】
図8を参照して、左側のフローチャートに示される処理は子機200の第2制御部210によって実行され、右側のフローチャートに示される処理は移動端末400の制御部410によって実行される。
【0083】
図8の左側のフローチャートを参照して、子機200の第2制御部210は、無線通信を介して、カメラ260によって生成された画像データを移動端末400へ送信するように第2通信部280を制御する(ステップS500)。例えば、画像データは、ルータ500及びネットワークN1を介して子機200から移動端末400へ送信される。これにより、呼び出しベル230を押下した訪問者を撮影することによって生成された画像データは、無線通信を介して子機200から移動端末400へ送信される。
【0084】
その後、第2制御部210は、伝送路L1を介して、親機100から通話開始信号を受信したか否かを判定する(ステップS510)。後述のように、通話開始信号は、移動端末400の操作部440を介した所定の操作(例えば、ディスプレイ450の所定領域のタッチ)がユーザによって行なわれた場合に、無線通信を介して移動端末400から親機100へ送信され、その後、伝送路L1を介して親機100から子機200へ送信される。なお、通話開始信号は、必ずしも親機100を介して移動端末400から子機200へ送信される必要はなく、例えば、移動端末400から子機200へ無線通信を介して直接送信されてもよい。
【0085】
通話開始信号が受信されていないと判定されると(ステップS510においてNO)、第2制御部210は、通話開始信号が受信されるまで待機する。一方、通話開始信号が受信されたと判定されると(ステップS510においてYES)、第2制御部210は、無線通信を介した通話を開始するための処理を実行する(ステップS560)。ステップS560における通話においては、音声データ及び画像データの両方の送受信が無線通信を介して行なわれる。
【0086】
次に、
図8の右側のフローチャートを参照して、移動端末400の制御部410は、無線通信を介して画像データが子機200から受信されたか否かを判定する(ステップS520)。画像データが子機200から受信されていないと判定されると(ステップS520においてNO)、制御部410は、画像データが子機200から受信されるまで待機する。
【0087】
一方、画像データが子機200から受信されたと判定されると(ステップS520においてYES)、制御部410は、インターホンシステム10において必要とされる移動端末動作を実現するためのアプリケーション(以下、「専用アプリ」とも称する。)を立ち上げ、受信された画像データが示す動画像の出力を開始するようにディスプレイ450を制御する(ステップS530)。
【0088】
制御部410は、ユーザによる通話開始指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS540)。例えば、操作部440を介した所定の操作(例えば、ディスプレイ450の所定領域のタッチ)がユーザによって行なわれたか否かが判定される。ユーザによる通話開始指示を受け付けていないと判定されると(ステップS540においてNO)、制御部410は、ユーザによる通話開始指示を受け付けるまで待機する。
【0089】
一方、ユーザによる通話開始指示を受け付けたと判定されると(ステップS540においてYES)、制御部410は、親機100経由で伝送路L1を介して通話開始信号を子機200へ送信するように通信I/F430を制御する(ステップS550)。その後、制御部410は、無線通信を介した通話を開始するための処理を実行する(ステップS560)。
【0090】
このように、インターホン装置50においては、端末位置情報により移動端末400が屋内に存在することが示されている場合(ユーザが屋内に存在すると推定される場合)に画像データを子機200から親機100に送信させるか子機200から移動端末400に送信させるかの設定が可能である。したがって、インターホン装置50によれば、ユーザが屋内に存在すると推定される場合に画像データが子機200から移動端末400に送信されるように設定することによって、ユーザが屋内において親機100の近くにいなかったとしても(例えば、親機が屋内の1階に設置されており、ユーザが2階にいるような場合)、ユーザは、移動端末400を介して訪問者と容易に通話することができる。
【0091】
<2-4.子機のスピーカにおける第2の音声出力動作>
上述のように、インターホン装置50においては、訪問者に適切な対応を促すために、状況に応じたメッセージが子機200のスピーカ250から出力される。第2の音声出力動作は、特に、訪問者が宅配業者である場合に有効な動作である。
【0092】
図9は、スピーカ250において第2の音声出力が行なわれるまでのインターホンシステム10における動作手順を示すフローチャートである。
図9を参照して、左側のフローチャートに示される処理は、子機200の第2制御部210によって実行される。右側のフローチャートに示される処理は、移動端末400の制御部410によって実行される。なお、上述のように、カメラ260は、例えば、屋外の画像を常時撮影している。
【0093】
図9の左側のフローチャートを参照して、子機200の第2制御部210は、訪問者(例えば、宅配業者)がカメラ260によって撮影されたか否かを判定する(ステップS600)。第2制御部210は、例えば、所定面積以上の動く被写体がカメラ260によって撮影されたか否かに基づいて、訪問者がカメラ260によって撮影されたか否かを判定する。訪問者がカメラ260によって撮影されていないと判定されると(ステップS600においてNO)、第2制御部210は、訪問者がカメラ260によって撮影されたと判定されるまで待機する。
【0094】
一方、訪問者がカメラ260によって撮影されたと判定されると(ステップS600においてYES)、第2制御部210は、カメラ260によって撮影された画像の記憶部220への録画を開始する(ステップS610)。さらに、第2制御部210は、無線通信を介して、カメラ260によって生成された画像データを移動端末400へ送信するように第2通信部280を制御する(ステップS620)。
【0095】
その後、第2制御部210は、伝送路L1を介して親機100からスピーカ制御信号を受信したか否かを判定する(ステップS630)。後述のように、スピーカ制御信号は、移動端末400の操作部440を介した所定の操作(例えば、ディスプレイ450の所定領域のタッチ)がユーザによって行なわれた場合に、無線通信を介して移動端末400から親機100へ送信され、その後、伝送路L1を介して親機100から子機200へ送信される。なお、スピーカ制御信号は、必ずしも親機100を介して移動端末400から子機200へ送信される必要はなく、例えば、移動端末400から子機200へ無線通信を介して直接送信されてもよい。
【0096】
スピーカ制御信号の種類としては、例えば、スピーカ250に第3メッセージを出力させる制御信号と、スピーカ250に第4メッセージを出力させる制御信号とがある。第3メッセージは、例えば、訪問者が宅配業者である場合に出力されるべきメッセージであり、第4メッセージは、例えば、訪問者が宅配業者でない場合に出力されるべきメッセージである。なお、訪問者が宅配業者でない場合には、スピーカ250から何もメッセージが出力されなくてもよい。
【0097】
第3メッセージの一例としては、「屋外に配置された宅配ボックスに荷物を入れて下さい」といったメッセージが挙げられる。一方、第4メッセージの一例としては、「訪問先を間違っている可能性があります。訪問先を再度確認して下さい」といったメッセージが挙げられる。これらのメッセージは、例えば、宅配業者に適切な行動を促すメッセージである。
【0098】
ステップS630において、スピーカ制御信号が親機100から受信されていないと判定されると(ステップS630においてNO)、第2制御部210は、スピーカ制御信号が親機100から受信されるまで待機する。一方、スピーカ制御信号が親機100から受信されたと判定されると(ステップS630においてYES)、第2制御部210は、受信されたスピーカ制御信号に応じたメッセージを出力するようにスピーカ250を制御する(ステップS640)。すなわち、第2制御部210は、受信されたスピーカ制御信号に応じたメッセージを示す音声データを記憶部220から読み出し、読み出された音声データが示すメッセージ(音声)を出力するようにスピーカ250を制御する。
【0099】
次に、
図9の右側のフローチャートを参照して、移動端末400の制御部410は、無線通信を介して画像データが子機200から受信されたか否かを判定する(ステップS700)。画像データが子機200から受信されていないと判定されると(ステップS700においてNO)、制御部410は、画像データが子機200から受信されるまで待機する。
【0100】
一方、画像データが子機200から受信されたと判定されると(ステップS700においてYES)、制御部410は、専用アプリを立ち上げ、受信された画像データが示す動画像の出力を開始するようにディスプレイ450を制御する(ステップS710)。
【0101】
図10は、
図9のステップS710において表示される画像の一例を示す図である。
図10に示されるように、ディスプレイ450においては、領域T1にカメラ260の撮影画像が表示され、領域T1の周囲を囲む領域T2の下部にアイコンU1,U2が表示される。アイコンU1は、撮影画像に写っている被写体が宅配業者である場合にユーザがタッチすべきアイコンである。すなわち、アイコンU1は、被写体が宅配業者であることを確認し、宅配ボックスへの荷物の投入を許可した旨をユーザが表明するためのアイコンである。一方、アイコンU2は、撮影画像に写っている被写体が宅配業者でない場合にユーザがタッチすべきアイコンである。すなわち、アイコンU2は、被写体が宅配業者でないことを確認し、宅配ボックスへの荷物の投入を許可しない旨をユーザが表明するためのアイコンである。
【0102】
再び
図9の右側のフローチャートを参照して、制御部410は、操作部440を介したユーザによるアイコン(アイコンU1又はアイコンU2)の選択(タッチ)を受け付けたか否かを判定する(ステップS720)。ユーザによるアイコンの選択を受け付けていないと判定されると(ステップS720においてNO)、制御部410は、ユーザによるアイコンの選択を受け付けるまで待機する。
【0103】
一方、ユーザによるアイコンの選択を受け付けたと判定されると(ステップS720においてYES)、制御部410は、親機100経由で伝送路L1を介してスピーカ制御信号を子機200へ送信するように通信I/F430を制御する(ステップS730)。例えば、制御部410は、ユーザによってアイコンU1が選択された場合に、第3メッセージをスピーカ250に出力させるスピーカ制御信号(許可信号)を親機100へ送信する制御を行なう。また、制御部410は、ユーザによってアイコンU2が選択された場合に、第4メッセージをスピーカ250に出力させるスピーカ制御信号(不許可信号)を親機100へ送信する制御を行なう。親機100へ送信された各スピーカ制御信号は、伝送路L1を介して子機200へ送信される。すなわち、親機100の第1制御部110は、伝送路L1を介して、受信されたスピーカ制御信号(許可信号又は不許可信号)を子機200へ送信するように第3通信部170を制御する。
【0104】
このように、インターホン装置50においては、移動端末400から受信された信号(許可信号又は不許可信号)に応じて、宅配業者に対する指示を示すメッセージがスピーカ250から出力される。したがって、インターホン装置50によれば、例えば、移動端末400において表示された画像(例えば、
図10に示される画像)を参照してユーザが移動端末400を適切に操作することによって、宅配業者に適切に指示することができる。
【0105】
[3.特徴]
以上のように、本実施の形態に従うインターホン装置50においては、訪問者によって呼び出しベル230が操作されるのに応じて、ユーザの移動端末400の端末位置情報に応じたメッセージがスピーカ250から出力される。したがって、インターホン装置50によれば、ユーザの現在位置に応じたメッセージがスピーカ250から出力されるため、ユーザの現在位置に応じた適切な対応を訪問者に促すことができる。
【0106】
[4.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0107】
<4-1>
上記実施の形態に従うインターホンシステム10においては、移動端末400のIPアドレス情報に基づいた端末位置情報の生成がクラウドサーバ300において行なわれた。しかしながら、端末位置情報の生成は、必ずしもクラウドサーバ300において行なわれる必要はない。例えば、呼び出しベル230が訪問者によって操作されるのに応じて、ユーザの移動端末400のIPアドレス情報がクラウドサーバ300から親機100に送信され、親機100においてIPアドレス情報に基づいて端末位置情報が生成されてもよい。また、親機100において、端末位置情報が生成されることなく、クラウドサーバ300から送信されたIPアドレス情報に基づいてスピーカ制御信号の内容が決定されてもよい。
【0108】
<4-2>
また、上記実施の形態に従うインターホン装置50においては、子機200のスピーカ250から出力される音声のデータは、記憶部220に記憶されていた。しかしながら、スピーカ250から出力される音声のデータは、必ずしも記憶部220に記憶されていなくてもよい。例えば、スピーカ250から出力される音声のデータは、親機100の記憶部120に記憶されていてもよい。この場合には、親機100から子機200へ送信されるスピーカ制御信号が、音声信号を含むこととなる。
【0109】
<4-3>
また、上記実施の形態に従うインターホン装置50においては、親機100の第1通信部180と、子機200の第2通信部280との間の無線通信が、ルータ500及びネットワークN1を介して行なわれることとした。しかしながら、親機100の第1通信部180と、子機200の第2通信部280との間の無線通信は、必ずしもルータ500及びネットワークN1を介して行なわれなくてもよい。例えば、親機100と子機200とを予めペアリングしておき、Bluetooth(登録商標)のようなネットワークN1を介さない通信方式よって第1通信部180及び第2通信部280間の無線通信が実現されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 インターホンシステム、50 インターホン装置、100 親機、110 第1制御部、120,220,320,420 記憶部、130,240 マイクロホン、140,250 スピーカ、150,450 ディスプレイ、160,440 操作部、170 第3通信部、180 第1通信部、200 子機、210 第2制御部、230 呼び出しベル、260 カメラ、270 第4通信部、280 第2通信部、300 クラウドサーバ、310,410 制御部、330,430 通信I/F、400 移動端末、500 ルータ、L1 伝送路、N1 ネットワーク、T1,T2 領域、U1,U2 アイコン。