(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-23
(45)【発行日】2025-07-31
(54)【発明の名称】固体イオン伝導性膜を含む電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20250724BHJP
H01M 6/18 20060101ALI20250724BHJP
H01M 8/18 20060101ALI20250724BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20250724BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20250724BHJP
H01M 12/08 20060101ALN20250724BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20250724BHJP
H01M 8/124 20160101ALN20250724BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M6/18 Z
H01M8/18
H01M10/054
H01M10/0562
H01M12/08 K
H01M8/12 101
H01M8/124
(21)【出願番号】P 2023579801
(86)(22)【出願日】2021-06-27
(86)【国際出願番号】 US2021039293
(87)【国際公開番号】W WO2023277858
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】523304696
【氏名又は名称】アンプセラ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フイ・ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エメリー・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】スミン・ジュ
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11881553(US,B1)
【文献】特開2012-129150(JP,A)
【文献】国際公開第2005/112180(WO,A1)
【文献】特表2020-522854(JP,A)
【文献】特開2014-110240(JP,A)
【文献】特開2015-076573(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181673(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/025649(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/146088(WO,A1)
【文献】特開平04-301321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/13- 4/62
H01M 6/18
H01M 8/18
H01M 8/12
H01M 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それらの間に電場を画定するアノード及びカソードと;
前記アノードと前記カソードとの間の固体イオン伝導性膜とを含む電池であって、
前記固体イオン伝導性膜は、多結晶微細構造を含み、前記多結晶微細構造は、前記多結晶微細構造の隣接粒子間の粒界を画定し、前記多結晶微細構造の
隣接粒子間の粒界領域の大部分は、前記アノード及びカソードによって画定される前記電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、電池。
【請求項2】
前記多結晶微細構造の
隣接粒子間の前記粒界領域の大部分が、前記アノード及びカソードによって画定される前記電場の前記方向から35度以内の直交方向を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記多結晶微細構造の
隣接粒子間の前記粒界領域の大部分が、前記アノード及びカソードによって画定される前記電場の前記方向から25度以内の直交方向を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記多結晶微細構造の
隣接粒子間の前記粒界領域の大部分が、前記アノード及びカソードによって画定される前記電場の前記方向から15度以内の直交方向を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記固体イオン伝導性膜の前記多結晶微細構造が部分的に非晶質である、請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記アノードが、インターカレーション機構、非インターカレーション機構又はそれらの組み合わせを通じてイオンと相互作用する、請求項1に記載の電池。
【請求項7】
前記カソードが、インターカレーション機構、非インターカレーション機構又はそれらの組み合わせを通じてイオンと相互作用する、請求項1に記載の電池。
【請求項8】
前記多結晶微細構造が、ガーネット構造酸化物材料、NASICON構造材料、ペロブスカイト型酸化物材料、反ペロブスカイト型酸化物材料、チオホスフェート材料及びアルジロダイト構造硫化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電池。
【請求項9】
液体システム、ゲルポリマーシステム、全固体システム、半固体システム、ハイブリッドシステム、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の電池。
【請求項10】
イオン伝導セパレータとして前記固体イオン伝導性膜を含む一次電池又は二次電池である、請求項1に記載の電池。
【請求項11】
フロー型二次電池であり、イオン伝導膜として前記固体イオン伝導性膜が使用される、請求項1に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、固体イオン伝導性膜を含む電池の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
固体イオン伝導性膜は、電池技術における液体電解質の安全な代替品となる。しかし、固体イオン伝導性膜は、金属樹枝状結晶の形成、成長及び貫通を被りやすく、短絡を引き起こして電池のサイクル寿命を制限する。
【0003】
したがって、当業者は、固体イオン伝導性膜を含む電池の分野で研究開発を続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、電池は、それらの間に電場を画定するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間の固体イオン伝導性膜とを含む。固体イオン伝導性膜は、多結晶微細構造を含み、多結晶微細構造は、多結晶微細構造の隣接粒子間の粒界を画定し、多結晶微細構造の粒界領域の大部分は、アノード及びカソードによって画定される電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。
【0005】
別の実施形態では、電池用の固体イオン伝導性膜を製造する方法は、イオン伝導性材料を溶融し、基板上に噴霧して、多結晶微細構造を有する固体イオン伝導性膜を形成する工程であり、多結晶微細構造は、多結晶微細構造の隣接粒子間の粒界を画定する、工程、及び固体イオン伝導性膜をアノードとカソードの間に配置する工程を含み、多結晶微細構造の粒界領域の大部分は、アノード及びカソードによって画定される電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。
【0006】
他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】比較例による電池の分解斜視断面図であり、ここで、電池は、それらの間に電場を画定するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間の、従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜とを含む。
【
図2】
図1の従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜の垂直断面図である。
【
図3】本記載に係る電池の分解斜視断面図であり、ここで、電池は、それらの間に電場を画定するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間の、本記載の固体イオン伝導性膜とを含む。
【
図4】
図3の固体イオン伝導性膜の垂直断面図である。
【
図5】本記載に係る自立型固体イオン伝導性膜の作製プロセスの概略図である。
【
図6】本記載に係る多孔質支持基板上に支持された固体イオン伝導性膜の概略図である。
【
図7】本記載に係る平坦な表面上に形成された固体イオン伝導性膜の概略図である。
【
図8】本記載に係る二次電池電極上に形成された固体イオン伝導性膜の概略図である。
【
図9】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は自立型固体イオン伝導性膜である。
【
図10】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、多孔質支持基板上に支持されている。
【
図11】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、多孔質支持基板上に支持されている。
【
図12】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、二次電池電極上に形成されている。
【
図13】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、二次電池電極上に形成されている。
【
図14】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む空気電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は自立型固体イオン伝導性膜である。
【
図15】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む空気電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、多孔質支持基板上に支持されている。
【
図16】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含む空気電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、多孔質支持基板上に支持されている。
【
図17】本記載に係る固体イオン伝導性膜からなるアノードレス二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、平坦な基板上に形成されている。
【
図18】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は自立型固体イオン伝導性膜である。
【
図19】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、多孔質支持基板上に支持されている。
【
図20】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、多孔質支持基板上に支持されている。
【
図21】本記載に係る固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は、予備成形電池電極上に形成される。
【
図22】従来の手段により調製された固体イオン伝導性電解質膜の垂直断面走査型電子顕微鏡画像である。
【
図23】本記載に係る固体イオン伝導性膜の平面図走査型電子顕微鏡画像である。
【
図24】本記載に係る固体イオン伝導性膜の垂直断面走査型電子顕微鏡画像である。
【
図25】本記載に係る自立型固体イオン伝導性膜の上面図デジタル画像である。
【
図26】本記載に係る自立型固体イオン伝導性膜の側面図デジタル画像である。
【
図27】多孔質基板上の本記載に係る固体イオン伝導性膜の断面走査型電子顕微鏡画像である。
【
図28】多孔質支持構造体上の本記載に係る固体イオン伝導性膜の傾斜平面図デジタル画像である。
【
図29】溶射されたリチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)固体イオン伝導性膜のX線回折スペクトルであり、標準LLZO PDFカード番号7215448と比較されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、比較例による電池2の分解斜視断面図を示し、ここで、電池2は、それらの間に電場8を画定するアノード4及びカソード6と、アノード4とカソード6との間の、従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜10とを含む。
図2は、
図1の従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜10の垂直断面図である。従来の方法で焼結された固体電解質膜10は、電池の故障につながる短絡を引き起こす金属樹枝状結晶の形成及び成長を被りやすい。
【0009】
本発明者らは、従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜における金属樹枝状結晶の形成及び成長は、粒界における電子の存在によって駆動されると考えている。
図1及び
図2に示すように、従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜は、典型的には、実質的にランダムに配向した最密充填六角形の形態の粒界を有し、粒界領域の多くは、電池の電場の方向と実質的に平行に配向している。
図2に示すように、電池の使用中、電場は、電子を駆動して、電子に電場の方向と実質的に平行な粒界を通過させる。すると、これらの粒界は電子で帯電するか、高速導電性チャネルとして機能する。イオン(例えば、リチウムイオン)がこれらの同じ粒界を通過するとき、これらのイオンは電子によって還元されて、これらの粒界に沿って金属樹枝状結晶を形成及び/又は成長させ、それによって電池の故障につながる短絡を引き起こす又は短絡の一因となる。本記載は、従来の方法で焼結された固体イオン伝導性膜を含む電池の前述の問題に対処する。
【0010】
本開示によれば、本記載に係る電池は、それらの間に電場を画定するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間の固体イオン伝導性膜とを含む。固体イオン伝導性膜は、多結晶微細構造を含み、多結晶微細構造は、多結晶微細構造の隣接粒子間の粒界を画定し、多結晶微細構造の粒界領域の大部分は、アノード及びカソードによって画定される電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。
【0011】
図3は、本記載に係る電池2の分解斜視断面図を示し、ここで、電池2は、それらの間に電場8を画定するアノード4及びカソード6と、アノード4とカソード6との間の、本記載の固体イオン伝導性膜10とを含む。
図4は、
図3の固体イオン伝導性膜10の垂直断面図である。
図3及び
図4に示すように、固体イオン伝導性膜10は、多結晶微細構造12を含み、多結晶微細構造12は、多結晶微細構造12の隣接粒子16間の粒界14を画定し、多結晶微細構造12の粒界領域の大部分は、アノード6及びカソード8によって画定される電場8の方向に対して実質的に垂直に配向している。
【0012】
電池の電場には、電子を駆動して電子に電場の方向に対して実質的に垂直な粒界を通過させる傾向がない。多結晶微細構造の粒界領域の大部分を電場の方向に対して実質的に垂直になるように配向することにより、電場は、電子を駆動して電子にこれらの粒界を通過させる傾向がなくなり、金属樹枝状結晶の形成及び/又は成長に関する前述の問題は最小限に抑えられる。多結晶微細構造は、固体イオン伝導性膜を形成するために使用される製造方法によって、例えば、以下に更に説明する噴霧プロセスによって固体イオン伝導性膜を形成することによって、本開示の所望の粒界配向を備えることができる。
【0013】
多結晶微細構造の粒界領域の「大部分」という用語は、粒界領域の少なくとも50%が電場の方向に対して実質的に垂直に配向していることを指す。好ましくは、粒界領域の少なくとも55%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましくは、粒界領域の少なくとも60%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましくは、粒界領域の少なくとも65%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましい態様は、粒界領域の少なくとも70%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましくは、粒界領域の少なくとも75%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましくは、粒界領域の少なくとも80%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましくは、粒界領域の少なくとも85%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。より好ましくは、粒界領域の少なくとも90%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している。電場の方向に対して実質的に垂直に配向された粒界領域の量は、固体イオン伝導性膜の製造方法中のパラメータの選択によって制御することができる。一例では、噴霧プロセスのパラメータを制御して、完全に溶融した原料の量を削減して、電場の方向に対して実質的に垂直に配向される粒界領域の量の削減を達成することができ、又は、噴霧プロセスのパラメータを制御して、完全に溶融した原料の量を増加させて、電場の方向に対して実質的に垂直に配向される粒界領域の量の増加を達成することができる。別の例では、延性がより低い原料を選択して、電場の方向に対して実質的に垂直に配向される粒界領域の量の削減を達成することができ、又は、延性がより高い原料を選択して、電場の方向に対して実質的に垂直に配向される粒界領域の量の増加を達成することができる。電場の方向に対して実質的に垂直に配向される粒界領域の量を増加させることにより、電場が、電子を駆動して電子に粒界を通過させる傾向が減少することになる。
【0014】
多結晶微細構造の粒界領域が電場の方向に対して実質的に垂直であることに関して「実質的に垂直」という用語は、多結晶微細構造の垂直断面における粒界面に対する直交ベクトルが、電場の方向から40度の角度A以内であることを意味する。より好ましくは、粒界面に対する直交ベクトルは電場の方向から35度以内である。より好ましくは、粒界面に対する直交ベクトルは電場の方向から30度以内である。より好ましくは、粒界面に対する直交ベクトルは電場の方向から25度以内である。より好ましくは、粒界面に対する直交ベクトルは電場の方向から20度以内である。より好ましくは、粒界面に対する直交ベクトルは電場の方向から15度以内である。粒界の垂直性は、固体イオン伝導性膜の製造方法中のパラメータの選択によって制御することができる。一例では、噴霧プロセスのパラメータを制御して、より平坦な粒子を達成し、粒界のより高い垂直性を達成することができ、又は、噴霧プロセスのパラメータを制御して、より平坦ではない粒子を達成し、粒界のより低い垂直性を達成することができる。電場の方向に対する粒界領域の垂直性の程度を高めることにより、電場によって電子が粒界を通過する傾向が減少することになる。
【0015】
したがって、本開示によれば、多結晶微細構造の粒界領域は、粒界領域の少なくとも50%(又は少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%)が、アノード及びカソードによって画定される電場の方向から40度以内(又は35度、30度、25度、20度、15度以内)の直交方向を有するように、配向される。
【0016】
電場の方向に対して実質的に垂直に配向された粒界領域のパーセンテージは、多結晶微細構造の垂直断面から決定できる。
図4の垂直断面を参照すると、粒界14の各部分について直交ベクトル20を決定することができる。
図4では、直交ベクトルは、粒界14のそれぞれの部分に対して垂直な垂直断面として示されている。固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造の粒界領域の大部分は、粒界領域の少なくとも50%(又は好ましくは少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%)が、角度Aが電場の方向から40度以内(又は35度、30度、25度、20度、15度以内)の直交方向を有する場合、電場の方向に対して実質的に垂直である。
図4では、固体イオン伝導性膜の図示された多結晶微細構造の粒界領域の大部分が、電場の方向に対して実質的に垂直であることが視覚的に明らかである。
【0017】
更なる態様では、多結晶微細構造は、高い長さ対厚さ比を有する複数の高アスペクト比粒子を含み得る。高アスペクト比粒子の長さ対厚さ平均比は、少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも3:1、より好ましくは少なくとも4:1、より好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは少なくとも6:1、より好ましくは少なくとも7:1、より好ましくは少なくとも8:1、より好ましくは少なくとも9:1、より好ましくは少なくとも10:1であり得る。粒子の平均長さは、多結晶微細構造の垂直断面における粒子の長さとして決定することができる。粒子の厚さは、多結晶微細構造の垂直断面における粒子の長さとして決定することができる。複数の高アスペクト比粒子の長さ対厚さ比を増加させることによって、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造は、電場の方向に対して実質的に垂直に配向されている大量の粒界領域を備えることができ、粒界領域の高度な垂直性を提供して、電子を駆動して電子に粒界を通過させる電場の傾向を低減することができる。アスペクト比は、固体イオン伝導性膜の製造方法中のパラメータの選択によって制御することができる。一例では、噴霧プロセスのパラメータを制御して、より平坦な粒子を達成し、より高いアスペクト比を達成することができ、又は、噴霧プロセスのパラメータを制御して、より平坦ではない粒子を達成し、より低いアスペクト比を達成することができる。
【0018】
更なる態様では、多結晶微細構造は、大量の高アスペクト比粒子を含み得る。高アスペクト比粒子の量は、少なくとも10パーセント、より好ましくは少なくとも20パーセント、より好ましくは少なくとも30パーセント、より好ましくは少なくとも40パーセント、より好ましくは少なくとも50パーセント、より好ましくは少なくとも60パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセントであり得る。高アスペクト比粒子のパーセンテージは、多結晶微細構造の垂直断面に対する面積パーセンテージとして決定することができる。高アスペクト比粒子のパーセンテージを増加させることによって、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造は、電場の方向に対して実質的に垂直に配向されている大量の粒界領域を備えることができ、粒界領域の高度な垂直性を提供して、電子を駆動して電子に粒界を通過させる電場の傾向を低減することができる。高アスペクト比粒子の量は、固体イオン伝導性膜の製造方法中のパラメータの選択によって制御することができる。一例では、噴霧プロセスのパラメータを制御して、完全に溶融した原料の量を削減して、高アスペクト比粒子の量の削減を達成することができ、又は、噴霧プロセスのパラメータを制御して、完全に溶融した原料の量を増加ざせて、高アスペクト比粒子の量の増加を達成することができる。
【0019】
したがって、本開示によれば、多結晶微細構造は、長さ対厚さの平均が少なくとも2:1(又は少なくとも3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1)である高アスペクト比粒子を少なくとも10パーセント(又は少なくとも20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント)含むことができる。粒子の平均長さは、多結晶微細構造の垂直断面における粒子の長さとして決定することができる。
【0020】
更なる態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、少なくとも1ミクロン、より好ましくは少なくとも2ミクロン、より好ましくは少なくとも5ミクロン、より好ましくは少なくとも10ミクロン、より好ましくは少なくとも15ミクロン、より好ましくは少なくとも20ミクロンの平均長さを有し得る。高アスペクト比粒子の平均長さを増加させることにより、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造は、電場の方向に対して実質的に垂直に配向された大量の粒界領域と、電場の方向に対して実質的に平行に配向されたより少ない量の粒界領域を備えることができる。多結晶微細構造の高アスペクト比粒子の平均長さは、固体イオン伝導性膜の製造方法中のパラメータの選択によって制御することができる。一例では、噴霧プロセスのパラメータを制御して、より平坦な粒子の量を削減し、高アスペクト比粒子の平均長さをより短くすることができ、又は、噴霧プロセスのパラメータを制御して、より平坦な粒子の量を増加させ、高アスペクト比粒子の平均長さをより長くすることができる。
【0021】
一態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、100ミクロン未満の平均厚さを有し得る。別の態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、50ミクロン未満の平均厚さを有し得る。別の態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、20ミクロン未満の平均厚さを有し得る。別の態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、10ミクロン未満の平均厚さを有し得る。別の態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、5ミクロン未満の平均厚さを有し得る。別の態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比粒子は、1ミクロン未満の平均厚さを有し得る。別の態様では、多結晶微細構造の高アスペクト比の粒子は、500nm未満の平均厚さを有し得る。高アスペクト比粒子の平均厚さを減少させることにより、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造は、厚さ方向に関して高アスペクト比の粒子の増加した密度を備えることができ、金属樹枝状結晶が粒界に沿って形成及び/又は成長するのを抑制することができる。多結晶微細構造の高アスペクト比粒子の平均厚さは、固体イオン伝導性膜の製造方法中のパラメータの選択によって制御することができる。一例では、噴霧プロセスのパラメータを制御して、液滴サイズを小さくして、高アスペクト比粒子の厚さを薄くすることができ、又は、噴霧プロセスのパラメータを制御して、液滴サイズを大きくして、高アスペクト比粒子の厚さを厚くすることができる。
【0022】
更なる態様では、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造は、部分的に非晶質であってもよい。非晶質相(すなわち、ガラス相)の存在は、X線回折によって確認できる。非晶質相は多結晶微細構造の粒子間に形成され、したがって、粒界効果を更に低下させる可能性があると考えられており、粒界効果においては、粒界が電子で帯電するか又は高速導電性チャネルとして機能する可能性がある。非晶質相は、例えば、固体イオン伝導性膜を溶融相から急速に冷却することによって、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造中に形成することができる。
【0023】
本開示の固体イオン伝導性膜は、固体イオン伝導性材料を含んでいた。固体イオン伝導性材料は、電場又は濃度差等の化学ポテンシャルの存在下で、特定の荷電元素を選択的に通過させることができるタイプの材料である。この固体イオン伝導性材料によってイオンの移動が可能になるが、電子を容易には通過させられない場合がある。イオンは、1、2、3、4以上の正電荷を帯びることがある。荷電イオンの例としては、H+、Li+、Na+、K+、Ag+、Mg2+、Zn2+、Al3+、等が挙げられるが、これらに限定されない。対応するイオンのイオン伝導度は、好ましくは>10-7S/cm、より好ましくは>10-4S/cmである。より低い導電度(例えば、<10-7S/cm)を有することが好ましい。
【0024】
固体イオン伝導性材料の例としては、一般式:
Lin[A(3-a’-a’’)A’(a’)A’’(a’’)][B(2-b’-b’’)B’(b’)B’’(b’’)][C’(c’)C’’(c’’)]O12、
を有するガーネット様構造酸化物材料が挙げられるが、これに限定されず、
a.式中、A、A’、及びA’’は結晶構造の八面体位置を表し、i.式中、Aは1つ又は複数の三価の希土類元素を表し、ii.式中、A’は1つ又は複数のアルカリ土類元素を表し、iii.式中、A’’はLi以外の1つ又は複数のアルカリ金属元素を表し、iv.式中、0≦a’≦2及び0≦a’’≦1であり;
b.式中、B、B’、及びB’’は結晶構造の八面体位置を表し、i.式中、Bは1つ又は複数の四価元素を表し、ii.式中、B’は1つ又は複数の五価元素を表し、iii.式中、B’’は1つ又は複数の六価元素を表し、iv.式中、0≦b’、0≦b’’、及びb’+b’’≦2であり;
c.式中、C’及びC’’は結晶構造の四面体位置を表し、i.式中、C’は、Al、Ga、及びホウ素のうちの1つ又は複数を表し、ii.式中、C’’は、Si及びGeのうちの1つ又は複数を表し、iii.式中、0≦c’≦0.5及び0≦c’’≦0.4であり;
d.式中、n=7+a’+2・a’’-b’-2・b’’-3・c’-4・c’’、及び4.5≦n≦7.5である。
【0025】
別の例では、固体イオン伝導性材料には、(Li,La)TiO3等のペロブスカイト型酸化物、又はドープされた若しくは置換された化合物が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、NASICON構造のリチウム膜、例として、LAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)、LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)、及び他の元素がその中にドープされているこれらの材料が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、反ペロブスカイト構造材料及びその誘導体、例として、Li3OCl、Li3OBr、Li3OIの組成物が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、Li3YH6(H=F、Cl、Br、I)族の材料が含まれ、Yは他の希土類元素で置き換えることができる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、Li2xSx+w+5zMyP2zが含まれ、式中、xは8~16であり、yは0.1~6であり、wは0.1~15であり、zは0.1~3であり、Mは、ランタニド、第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第12族、第13族、及び第14族の原子、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、一般式:Li12-m-x(MmY4
2-)Y2-x
2- Xx
-のアルジロダイト材料が含まれ、式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、P5+、As5+、又はそれらの組み合わせ;Y2-=O2-、S2-、Se2-、Te2-、又はそれらの組み合わせ;X-=F-、Cl-、Br-、I-、又はそれらの組み合わせ;及びxは0≦x≦2の範囲にある。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、一般式:Li18-2m-x(M2
m+Y7
2-)Y2-x
2-Xx
-のアルジロダイト材料が含まれ、式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、P5+、As5+、又はそれらの組み合わせ;Y2-=O2-、S2-、Se2-、Te2-、又はそれらの組み合わせ;X-=F-、Cl-、Br-、I-、又はそれらの組み合わせ;及びxは0≦x≦2の範囲にある。イオン伝導性材料は、単結晶であっても多結晶であってもよい。或いは、2つ以上のイオン伝導性材料を予め混合して、2つ以上のイオン伝導性材料の複合体を形成してもよい。
【0026】
固体イオン伝導性膜の形状は限定されない。一例では、固体イオン伝導性膜の形状は平面状であってもよい。別の例では、固体イオン伝導性膜の形状は管状であってもよい。更に別の例では、固体イオン伝導性膜の形状は不規則形状であってもよい。更に別の例では、固体イオン伝導性膜の形状は、アノードの形状及びカソードの形状と一致していてもよい。
【0027】
固体イオン伝導性膜の厚さは限定されない。一例では、固体イオン伝導性膜の厚さは、0<t<400μmの範囲にあってもよい。別の例では、固体イオン伝導性膜の厚さは、100<t<200μmの範囲にあってもよい。膜の厚さを低減すると、目的のイオンのイオン伝導性が増加するため、膜の性能が向上する場合がある。
【0028】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、自立型固体イオン伝導性膜として形成することができる。別の態様では、固体イオン伝導性膜は、非自立型固体イオン伝導性膜として最終基板上に直接形成することができる。
【0029】
本開示の主な概念は、固体イオン伝導性膜を含む電池の場合、固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造の粒界領域の大部分を電場の方向に対して実質的に垂直になるように配向させると、これらの粒界に沿った金属樹枝状結晶の形成及び/又は成長が抑制される可能性がある、という認識である。本記載は、固体イオン伝導性膜を形成するいかなる特定の方法にも限定されない。粒界の配向を達成することができる任意の方法を使用して、固体イオン伝導性膜を製造することができる。
【0030】
別の実施形態では、固体イオン伝導性膜を作製する方法は、イオン伝導性材料を溶融及び噴霧して固体イオン伝導性膜を形成することを含む。溶融イオン伝導性材料の噴霧は、イオン伝導性材料を基板上に叩きつけて、基板の表面に貼り付けられたプレートの形状を形成することを含むことができる。イオン伝導性材料の溶融及び噴霧により、以前に塗布された層の上部にイオン伝導性材料の層が積み重なり続け、イオン伝導性材料がランダムに積み重なったインターロック層(すなわち、シート)の構造が得られる。溶融イオン伝導性材料が急速に冷却されると、次いで固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造中に非晶質相を形成することができる。
【0031】
一態様では、固体イオン伝導性膜を作製するための方法は、溶射プロセスを含む。溶射は、原料又は粉末(すなわち、固体イオン伝導セラミックス)を熱ゾーンに供給し、そこで前記原料又は粉末を表面溶融状態又は塑性変形可能な状態まで急速に加熱し、構造体に向かって加速させ、構造体に衝突させてフィルム又はコーティングを形成する、コーティング又は噴霧技術として定義することができる。原料又は粉末は、インターロッキング層状構造を形成するために使用される粉末形態の固体イオン伝導性材料として定義することができる。溶射には、プラズマ溶射、フレーム溶射、ワイヤーアーク溶射、高速酸素燃料溶射、レーザー補助、誘導補助溶射プロセス等のバリアントが含まれるが、これらに限定されない。溶射にはまた、高温を使用して固体イオン伝導性粉末を溶融して固体イオン伝導性膜を形成する他の任意の溶射プロセスを含めてもよい。
【0032】
溶射のパラメータは当業者には周知であり、溶射のパラメータを変化させて得られる微細構造を改変する方法は周知であり、パラメータは使用される原料に応じて変化し得る。以下は、本記載の固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造を達成するための溶射パラメータの一般的な説明である。
【0033】
溶射プロセスでは、溶射ガンのカソードに電流を印加することができる。印加電流の範囲は100~1000アンペアであり得、好ましい範囲は250~750アンペアである。溶射ガンのアノードとカソードとの間に電圧を印加することができる。印加電圧の範囲は10~200ボルトであり得、好ましい範囲は50~120ボルトである。溶射ガンの動作出力は1~200キロワットの範囲であり得、好ましい範囲は5~90キロワットである。溶射ガンのノズル端と固体イオン伝導性膜が形成される基板との間の距離は、5~100cmの範囲であり得、好ましい範囲は10~25cmの範囲である。固体イオン伝導性膜が形成される基板に対する溶射ガンの角度は、10°~170°の範囲であり得、好ましい範囲は45°~135°である。一次アークガスを溶射ガンに供給して、カソードとアノードとの間にプラズマを形成することができる。一次アークガスには、不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム、又は窒素を含めてもよい。一次アークガスには、10~200psiの範囲の圧力を加えてもよい。一次アークガスの通常の毎分リットル流量は、25~300NLPMの範囲であり得る。二次アークガスを溶射ガンに供給して、カソードとアノードとの間にプラズマを形成することができる。二次アークガスには、例えば水素を含めてもよい。二次アークガスには、10~200psiの範囲の圧力を加えてもよい。二次アークガスの通常の毎分リットル流量は、25~300NLPMの範囲であり得る。キャリアガスを使用して、イオン伝導性材料をフィードストックから溶射ガンの先端の粉末インジェクタポートに送達することができ、そこでイオン伝導性材料がプラズマプルームに導入され、プロセス中に軟化又は溶融される。キャリアガスには、不活性ガス、例として、アルゴン、ヘリウム又は窒素を含めてもよい。キャリアガスには、10~150psiの範囲の圧力を加えてもよい。キャリアガスは、1~25標準立方フィート毎時(SCFH)の範囲の流量を有し得る。イオン伝導性材料は、毎分1~100グラムの範囲の流量を有し得る。イオン伝導性材料は、1~250μmの範囲の粒径を有してもよく、好ましい範囲は5~45μmである。イオン伝導性材料は、単結晶であっても多結晶であってもよい。2つ以上の異なるタイプのイオン伝導性材料を使用して、2つ以上のイオン伝導性材料の複合体を形成してもよい。粉末を予め混合して噴霧すると、均一に混合された複合体が形成され、2つ以上のイオン伝導性材料を連続して噴霧すると層状複合体が形成される。
【0034】
溶射は大気環境又は不活性環境で行うことができることを理解すべきである。不活性環境には、窒素、ヘリウム、アルゴン等を含めてもよいが、これらに限定されない。或いは、真空条件下で溶射を行ってもよい。更に別の代替例では、溶射は、酸素、H2S、オゾン、S蒸気、LiOH蒸気、又は材料の性能を高めることができるその他の必要な任意の反応性ガス等の反応性環境下で実行することができる。更に別の代替例では、溶射は乾燥雰囲気中で行ってもよい。溶射は、手動で行っても、ロボットシステムを使用して行ってもよい。噴霧される標的又は表面は、室温に保っても、加熱しても、冷却してもよい。噴霧される標的又は表面が急速に冷却されると、次いで固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造中に非晶質相を形成することができる。
【0035】
別の態様では、固体電解質膜は、熱補助源なしで噴霧することができる。固体電解質粒子は、キャリアガスによって少なくとも毎秒200メートルの速度に達するまで加速することができ、粒子が基板に衝突すると、粒子は指定どおりの高アスペクト比の粒界構造に変形する。この変形は、材料の延性、又は運動エネルギーによって発生する熱によって形成される可能性がある。キャリアガスには、ヘリウム、アルゴン、又は窒素ガスを使用することができる。
【0036】
したがって、本記載は、溶射又は同様の作製プロセスを使用して、電気化学システムにおいて使用するためのインターロッキング層状構造(例えば、膜)を、固体イオン伝導構造(例えば、膜)として構築するシステム及び方法に関する。本記載は、従来の焼結セラミック固体電解質の問題に対処する。本記載では、イオン伝導性材料を溶融及び噴霧することによって形成されるインターロッキング層状構造について説明する。この構造は、電場に平行な粒界の部分ベクトルを効果的に阻止することができる、インターロッキング層状粒子構造を使用している。膜を横断する電子は、電場に対して垂直な駆動力が不足しているために抑制することができる。したがって、これにより、電池内の膜貫通金属樹枝状結晶の形成が抑制され、電池の性能が向上する。
【0037】
高スループット処理の欠如、及び固体イオン伝導性膜を通る金属樹枝状結晶の貫通及び伝播は、電気化学システムにおけるそれらの統合に課題を提示している。溶射及び他の同様の作製プロセスは、固体イオン伝導性膜を大規模に作製する能力を提供する。リチウム電池に加えて、処理された膜はさまざまな異なる電気エネルギー貯蔵技術にも組み込むことができる。加えて、溶射及び他の同様の製造プロセスは、金属樹枝状結晶の貫通及び伝播を回避又は最小限に抑えるための有利なインターロッキング層状構造を提供することができる。インターロッキング層状構造は、イオン伝導性材料を溶融して基板上に噴霧することにより形成される構造である。溶融イオン伝導性材料の噴霧では、イオン伝導性材料を基板上に叩きつけて、基板の表面に貼り付けられたプレートの形状を形成する。イオン伝導性材料の溶融及び噴霧により、以前に塗布された層の上部にイオン伝導性材料の層が積み重なり続け、イオン伝導性材料がランダムに積み重なったインターロック層(すなわち、シート)の構造が得られる。インターロッキング層状構造を形成することにより、シートを通り抜けて電場に平行な粒界が最小限に抑えられる。粒界を通って移動して樹枝状結晶を形成する電子が存在する場合、それらの電子は、印加電場に対して垂直に電子を駆動する面内ポテンシャルが存在しないため、抑制されることになる。
【0038】
本開示の一態様によれば、溶射処理を使用して固体イオン伝導性電解質を処理することができる。本開示の別の態様によれば、得られる固体電解質は層内粒子構造を有し得る。固体イオン伝導性膜は、例えば、自立していてもよく、多孔質構造体上に支持されていてもよく、又は基板上にコーティングされていてもよい。
【0039】
イオン伝導固体イオン伝導性膜は、限定されないが、以下のようなさまざまな電気化学技術又はシステムで使用することができる:リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、カリウムイオン電池、亜鉛イオン電池、リチウム金属電池、ナトリウム金属電池、マグネシウム金属電池、アルミニウム金属電池、カリウム金属電池、亜鉛金属電池、リチウム-空気電池、ナトリウム-空気電池、マグネシウム-空気電池、アルミニウム-空気電池、カリウム-空気電池、及び亜鉛-空気電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル-金属水素化物電池、ガラス電池、リチウム-イオンポリマー電池、鉛蓄電池、銀-亜鉛電池、リチウム-硫黄電池、硫化ナトリウム電池、臭化亜鉛電池、亜鉛-セリウム電池、レドックスフロー電池、バナジウム-レドックス電池、ハイブリッド-フロー電池、ニッケル-鉄電池、ニッケル-亜鉛電池、シリコン-空気電池、チタン酸リチウム電池、有機ラジカル電池、アルカリ充電式電池、アルカリ電池、アルミニウム-空気電池、乾式単電池、リチウム電池、リチウム-空気電池、マグネシウム電池、オキシ水酸化ニッケル電池、紙電池、酸化銀電池、砂糖電池、空気-亜鉛電池、亜鉛-炭素電池、固体酸化物燃料電池、溶融電池、及び水又は海水電池。
【0040】
電気化学技術は本質的に一次的又は二次的であり得、一次的とは単一の電気化学サイクルを指し、二次的とは再充電可能なシステムを指す。
【0041】
本開示は、説明及び図示されたようなインターロッキング層状構造を有する固体イオン伝導性膜構造の微細構造に関する。インターロッキング層状構造は、イオン伝導材料の溶融及び噴霧から形成することができる。インターロッキング層状構造における層は、溶融イオン伝導材料の連続的又はラスタ噴霧によって形成することができる。熱焼結によって調製された従来の固体電解質の不規則な六角形様粒界構造とは対照的に、インターロッキング層状構造は、面内結晶粒構造を有することができる。インターロッキング層状構造全体に電場を印加すると、電場に平行な粒界ベクトル方向が、電場に垂直な後続のインターロッキング層によって阻止され、電子が膜を横断するのを妨げる場合がある。インターロッキング層状構造を横断する電子の移動が妨げられると、膜を横断する金属樹枝状結晶、特にリチウム樹枝状結晶の貫通及び伝播を阻止することができる。インターロッキング層状構造は部分的に非晶質であってもよく、粒子間にガラス相を形成することによって粒界効果を更に低減させることができる。
【0042】
本開示は、自立型固体イオン伝導性膜の作製に関する。固体イオン伝導性膜は、除去可能な基板上に形成することができる。噴霧後、除去可能な基板を除去して、自立型固体イオン伝導性膜を残すことができる。固体イオン伝導性膜は、除去可能な基板とエピタキシャル関係を有してもよく、又は有さなくてもよい。固体イオン伝導性膜は、除去可能な基板がたまたま非平面状である場合等のいくつかの例外を除いて、一般に平面状であり得る。除去可能な基板の除去プロセスの例を以下に列挙する。一例では、固体イオン伝導性膜を除去可能な基板上に構築することができる。膜と除去可能な基板との間の関係により、除去可能な基板を直接除去することが可能になる場合がある。別の例では、固体イオン伝導性膜を、除去可能な支持基板として機能する溶解可能な結晶塩基板の表面上に構築することができる。次に、単結晶塩基板を水又は他の溶媒に溶解して、自立型層状膜を残すことができる。溶解可能な塩基板の例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、硫化物、炭酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シアン化物、リン酸塩等を挙げることができるが、これらに限定されない。更に別の例では、塩フィルムを除去可能な支持基板の表面上に堆積させることができる。固体イオン伝導性膜を、塩フィルムの上部に構築することができる。除去可能な基板を水等の溶媒に入れて塩フィルムを溶解することによって塩フィルムを除去し、自立型層状膜を残すことができる。塩フィルムの例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、硫化物、炭酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シアン化物、リン酸塩等を挙げることができるが、これらに限定されない。除去可能な支持基板の例としては、ガラス、シリコンウェハ、銅箔、チタン箔、ポリマーシート、カーボンテープ、複合シート等を挙げることができるが、これらに限定されない。更に別の例では、除去可能な支持基板の表面上に樹脂を配置することができる。樹脂の硬化後、固体イオン伝導性膜を樹脂層の上部に構築することができる。次に、樹脂層を適切な水性又は非水性溶媒に入れることによって樹脂を化学的に除去し、自立型層状膜を残すことができる。或いは、熱処理を使用して樹脂を除去又は分解することができる。除去可能な支持基板の例としては、ガラス又はシリコンウェハが挙げられるが、これらに限定されない。樹脂の例としては、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、及びシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。更に別の例では、低融点の金属フィルムが除去可能な基板として機能することができる。金属フィルムの表面に固体イオン伝導性膜を構築することができる。次に、金属を高温で軟化させるか又は脱湿させて、層状膜を除去することができる。低融点金属の例としては、スズ、テルル、ガリウム、又はインジウムが挙げられるが、これらに限定されない。使用される金属は、低~中程度の毒性レベルを有することが好ましい。更に別の例では、金属フィルムを除去可能な基板として使用することができる。フィルム表面に固体イオン伝導性膜を構築することができる。次に、固体イオン伝導性膜を希釈水溶液又は非水溶液に入れることによって、金属フィルムを溶解することができる。例には、銅フィルム上に固体イオン伝導性膜を構築することが含まれる。過酸化水素と塩酸の希釈溶液は、銅を溶解して、自立型膜を残すことができる。更に別の例では、レーザーリフトオフ(LLO)技術を使用して基板を除去することができ、窒化ガリウム、サファイア、又はガラスを除去可能な基板として使用することができる。支持基板の表面に固体イオン伝導性膜を構築することができる。Nd:YAGレーザー又はKrFレーザーが基板を通過すると、膜が剥離して自立型膜が得られる。
【0043】
本開示は、多孔質支持基板上への固体イオン伝導性膜の作製に関する。固体イオン伝導性膜は、支持多孔質基板上に溶射することができる。支持多孔質基板は、本質的にナノ多孔質支持体又はマクロ多孔質支持体として説明してもよい。ナノ多孔質基板は、1≦d≦1000nmの範囲、好ましい範囲は10≦d≦100nmの平均細孔直径(average poor diameter)を有する多孔質支持体として定義することができる。マクロ多孔質基板は、1≦d≦5000μmの範囲、好ましい範囲は10≦d≦500μmの平均細孔直径(average poor diameter)を有する多孔質支持体として定義することができる。多孔質基板の例としては、発泡ニッケル、発泡銅、発泡カーボン、発泡グラフェン、発泡ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、発泡アルミナ、発泡ジルコニア、発泡銀、発泡コバルト、グラファイト、発泡ステンレス鋼等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
以下の説明は、固体イオン伝導性膜を支持する多孔質基板に関する。多孔質基板は、多孔質基板がたまたま非平面状である場合があるいくつかの例外を除いて、一般に平面状であり得る。非平面状多孔質基板は、立方体、管状、円錐形、角錐形、中心が中空の管状等の形状であってもよいが、これらに限定されない。多孔質基板は、導電性、半導電性、又は非導電性であってもよい。導電性又は半導電性の多孔質基板は、薄い非導電性層でコンフォーマルにコーティングされてもよい。非導電性層には、酸化物、ポリマー、セラミック等を含めてもよいが、これらに限定されない。非導電性層は、1≦t≦10000nmの範囲の厚さを有してもよく、好ましい範囲は10≦t≦1000nmである。非導電性又は半導電性の多孔質基板は、薄い導電性層でコンフォーマルにコーティングされてもよい。導電性層には、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス鋼、鉄、酸化鉄、炭素、ニッケル等を含めてもよいが、これらに限定されない。或いは、導電性層には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))、ポリフェニレンビニレン等の導電性ポリマーを含めてもよい。導電性層は、1≦t≦10000nmの範囲の厚さを有してもよく、好ましい範囲は10≦t≦1000nmである。非導電性層又は導電性層の堆積方法としては、スパッタリング、RFスパッタリング、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザー蒸着、原子層蒸着、電気化学メッキ、溶射、プラズマ溶射、フレーム溶射、浸漬、パルス電気化学蒸着、化学蒸着、物理蒸着、蒸着等を挙げてもよいが、これらに限定されない。或いは、固体イオン伝導性膜の形成に続いて、導電性及び非導電性コーティングを堆積させてもよい。
【0045】
以下の説明は、多孔質基板上への固体イオン伝導性膜の溶射に関する。一態様では、固体イオン伝導性膜は、多孔質基板表面に対して垂直なサーマルガンを用いて、裸の多孔質基板上に溶射することができる。別の態様では、固体イオン伝導性膜は、多孔質基板表面に対して90度未満の角度に設定されたサーマルガンを用いて、裸の多孔質基板上に溶射することができる。更に別の態様では、固体イオン伝導性膜を、仮充填材料が予め充填された多孔質基板上に溶射することができる。膜を噴霧した後、一時的な充填材は除去される。サーマルガンは、多孔質基板表面に対して垂直であっても、又は90度未満の角度に設定してもよい。更に別の態様では、固体イオン伝導性膜を、二次電池電極活物質が予め充填された多孔質基板上に溶射することができる。サーマルガンは、多孔質基板表面に対して垂直であっても、又は90度未満の角度に設定してもよい。更に別の態様では、固体イオン伝導性膜を、多孔質基板の未焼成体上に溶射することができる。膜を噴霧した後、未焼成体を多孔質基板に変換することができる。
【0046】
以下は、仮充填材料プロセス又は未焼成体支持体の例である。一例では、多孔質基板を飽和塩溶液に入れる。水を、蒸発によって除去し、固体塩が充填された多孔質構造体が残る。固体イオン伝導性膜が形成されれば、その後に、多孔質基板を真水に入れて塩充填剤を溶解して除去することができる。固体塩の例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、硫化物、炭酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シアン化物、リン酸塩等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
別の例では、多孔質基板には、熱硬化性ポリマー、樹脂、又は熱可塑性プラスチックを充填し、その後これを硬化させることができる。固体イオン伝導性膜がその上部に構築された後、樹脂は化学エッチング又は熱分解によって除去することができる。樹脂の例としては、アクリル、ポリエステル、エポキシ、ポリプロピレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、フェノール及びシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。熱硬化性ポリマー又は樹脂は、限定されないが、噴霧、スピンコーティング、ドロップキャスティング、浸漬等の手段によって多孔質基板上に堆積させることができる。更に別の例では、ポリジメチルシロキサンで多孔質基板を充填し、その後これを硬化させることができる。固体のイオン伝導性膜が上部に構築された後、多孔質基板をエッチング、溶解、又は分解して除去する。次に、ポリジメチルシロキサンは新しい多孔質基板として機能する。一例としては、発泡銅の空隙をポリジメチルシロキサンで充填し、その後これを硬化させることが挙げられるが、これに限定されない。固体イオン伝導性膜を形成した後、過酸化水素と塩酸の混合物を使用して発泡銅を溶解除去する。別の例としては、発泡カーボンの空隙をポリジメチルシロキサンで充填し、その後これを硬化させることが挙げられるが、これに限定されない。膜が上部に構築された後、発泡カーボンは熱分解によって除去することができる。更に別の例では、固体イオン伝導性膜を、多孔質支持体上に構築して未焼成体を形成し、その後、共熱分解処理を行ってもよい。一例としては、発泡炭化ケイ素を調製するために、ポリカルボシラン(polycarosilane)、ジイソシアネート及びエポキシ樹脂から構成される高度に架橋したハイブリッド有機無機ポリマー樹脂マトリックスの使用が挙げられるが、これに限定されない。典型的には、得られたハイブリッドマトリックスを加熱し、その後の熱分解により連続気泡の発泡炭化ケイ素が得られる。熱分解プロセスの前に、ハイブリッドマトリックスの表面上に固体イオン伝導性膜を構築することができる。膜が構築された後、熱分解により連続気泡の発泡炭化ケイ素が得られる。この例では、発泡炭化ケイ素が新しい多孔質支持足場である。
【0048】
本開示は、永久基板上への固体イオン伝導性膜の作製に関する。固体イオン伝導性膜は、永久基板上に溶射することができる。永久基板は、金属、半導電性材料、非導電性材料として定義することができるが、これらに限定されない。金属基板としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、タンタル、クロム、コバルト、金、銀、インジウム、マグネシウム、モリブデン、ニオブ、ニッケル、鉛、パラジウム、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、亜鉛、鉄、金、ナトリウム、白金、スズ、ベリリウム、ロジウム、ビスマス、イリジウム、カドミウム、ウラン、オスミウム、タンタル、カリウム、ルテニウム、レニウム、カルシウム、プルトニウム、スカンジウム、セリウム、ハフニウム、ジスプロシウム、トリウム、イットリウム、ラジウム、ランタン、サマリウム、ガドリニウム、タリウム、ネオジム等、を挙げてもよいが、これらに限定されない。半導電性基板としては、ダイヤモンド、シリコンウェハ、ゲルマニウムウェハ、灰色スズ、炭化ケイ素、灰色セレン、赤色セレン、テルル、窒化ホウ素、リン化ホウ素、ヒ化ホウ素、窒化アルミニウム、リン化アルミニウム、ヒ化アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、窒化ガリウム、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、アンチモン化ガリウム、窒化インジウム、リン化インジウム、ヒ化インジウム、アンチモン化インジウム、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、塩化第一銅、硫化銅、セレン化鉛、硫化鉛(II)、テルル化鉛、硫化錫(II)、テルル化スズ(ten telluride)、テルル化鉛スズ、テルル化タリウムスズ、テルル化タリウムゲルマニウム、テルル化ビスマス、リン化カドミウム、ヒ化カドミウム、アンチモン化カドミウム、リン化亜鉛、ヒ化亜鉛、アンチモン化亜鉛、二酸化チタン、酸化銅、二酸化ウラン、三酸化ウラン、三酸化ビスマス、二酸化スズ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸リチウム、ランタン銅酸化物、単斜晶系酸化バナジウム、ヨウ化鉛、二硫化モリブデン、セレン化ガリウム、硫化スズ、硫化ビスマス、ヒ化ガリウムマンガン、ヒ化インジウムマンガン、テルル化カドミウムマンガン、テルル化マンガン鉛、マンガン酸ランタンカルシウム、酸化鉄(II)、酸化ニッケル(II)、酸化ユウロピウム(II)、臭化クロム(III)、セレン化銅インジウム、硫化銀ガリウム、リン化亜鉛ケイ素、三硫化ヒ素、ケイ化白金、ヨウ化水銀(II)、臭化タリウム、硫化銀、二硫化鉄、硫化銅亜鉛スズ、硫化銅亜鉛アンチモン、硫化銅スズ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
二次電池電極を基板上に形成し、インターロッキング層を前記二次電池電極上に溶射してもよい。このような溶射プロセスが行われる環境(すなわち、不活性)は、電極材料を破壊しないことに関して好適であると想定される。電極は、限定されないが、アルミニウム、銅、炭素、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、メッシュ様構造体等の集電体上にコーティングしてもよい。固体イオン伝導性膜を溶射して、基板表面の全体又は一部のみを覆うことができる。基板は、その片側又は複数の側を固体イオン伝導性膜でコーティングすることができる。例えば、集電体の両側上を電極活物質でコーティングすることができ、固体イオン伝導性膜を電極活物質の両表面にコーティングすることができる。固体イオン伝導性膜は、テープキャスト及び焼結された第2のイオン伝導固体イオン伝導性膜(a second ionic conducting solid-state ionic conductive membrane)上に溶射することができる。例えば、酸化ガーネット構造のLLZOから構成される固体イオン伝導性膜を、自立型テープキャストLLZO膜上に形成することができ、又はその逆も同様である。
【0050】
本開示は、固体イオン伝導性膜を含有する二次電池に関する。二次電池は、再充電することができ、1回の放電サイクルに限定されない電池として定義することができる。二次電池は、イオンベースの電池又は金属電池の形態であってもよいが、これらに限定されない。二次電池は、パウチタイプ、円筒タイプ、コインタイプ、ボタンタイプ、又は角柱タイプのセルの形状又は配向であってもよいが、これらに限定されない。二次電池のタイプには、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、カリウムイオン電池、亜鉛イオン電池、リチウム金属電池、ナトリウム金属電池、マグネシウム金属電池、アルミニウム金属電池、カリウム金属電池、亜鉛金属電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル-金属水素化物電池、ガラス電池、リチウムイオンポリマー、リチウム-硫黄電池、硫化ナトリウム電池、臭化亜鉛電池、チタン酸リチウム電池、水又は海水電池が含まれるが、これらに限定されない。二次電池は、複合カソード、複合アノード又は金属/金属合金アノード、及び固体イオン伝導性膜を含む固体二次電池であってもよい。或いは、二次電池は、カソード又は複合カソード、アノード又は複合アノード又は金属/金属合金アノード、固体イオン伝導性膜、及び液体ベース又はゲルポリマーベースの電解質を含む液体、ポリマー、又は半固体二次電池であってもよい。
【0051】
本記載は、二次電池のカソードに関する。二次電池のカソード又は複合カソードは、安定性を高め、固体イオン伝導性膜との界面抵抗を低減するために、表面を薄い保護層でコーティングすることができる。カソードは、以下の特徴を有することができる。カソードは、インターカレーション活物質、結合剤、及び導電性添加剤から構成することができるが、これらに限定されない。カソードには、インターカレーション活物質、例として、限定されないが、層状YMO2、Y濃縮層状Y1+xM1-xO2、スピネルYM2O4、オリビンYMPO4、ケイ酸塩Y2MSiO4、ホウ酸塩YMBO3、タボライトYMPO4F(式中、MはFe、Co、Ni、Mn、Cu、Cr等である)、(式中、YはLi、Na、K等である)、酸化バナジウム、硫化鉄FeF3、LiSe、を含めることができる。カソードは、非インターカレーション機構を通じてイオンと相互作用することができる。カソードの例としては、酸素、空気、水、又は硫黄を挙げることができるが、これらに限定されない。リチウムインターカレーションの場合、カソードにはリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNixCoyMnzO2、0.95≧x≧0.5、0.3≧y≧0.025、0.2≧z≧0.025)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(LiNixCoyAlzO2、0.95≧x≧0.5、0.3≧y≧0.025、0.2≧z≧0.025)、リチウムニッケルマンガンスピネル(LiNi0.5Mn1.5O4)等を含めることができるが、これらに限定されない。カソードには、結合剤、例として、限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、ロタダー(lotader)、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム等を含めてもよい。カソードには、導電性添加剤、例として、限定されないが、グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、スーパーP、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、又は導電性ポリマー、例として、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリフェニレンビニレン等を含めてもよい。
【0052】
複合カソードは、以下の特徴を有することができる。複合カソードは、インターカレーション活物質、結合剤、導電性添加剤、及びイオン伝導媒体から構成することができるが、これらに限定されない。複合カソードには、インターカレーション活物質、例として、限定されないが、層状YMO2、Y濃縮層状Y1+xM1-xO2、スピネルYM2O4、オリビンYMPO4、ケイ酸塩Y2MSiO4、ホウ酸塩YMBO3、タボライトYMPO4F(式中、MはFe、Co、Ni、Mn、Cu、Cr等である)、(式中、YはLi、Na、K等である)、酸化バナジウム、硫黄、硫化リチウムFeF3、LiSe、を含めることができる。リチウムインターカレーションの場合、複合カソードにはリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNixCoyMnzO2、0.95≧x≧0.5、0.3≧y≧0.025、0.2≧z≧0.025)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(LiNixCoyAlzO2、0.95≧x≧0.5、0.3≧y≧0.025、0.2≧z≧0.025)、リチウムニッケルマンガンスピネル(LiNi0.5Mn1.5O4)等を含めることができるが、これらに限定されない。複合カソードには、結合剤、例として、限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム等を含めてもよい。複合カソードには、導電性添加剤、例として、限定されないが、グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、スーパーP、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、又は導電性ポリマー、例としてポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリフェニレンビニレン等を含めてもよい。
【0053】
複合カソード内のイオン伝導媒体としては、ポリマー、イオン伝導性セラミック、又はポリマーセラミック複合体が挙げられるが、これらに限定されない。複合カソード内のポリマーには、イオン伝導ポリマー又は非イオン伝導ポリマーを含めてもよい。ポリマーの例としては、ポリエチレングリコール、ポリイソブテン(例えば、OPPANOL(商標))、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマーの追加の例としてはポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリ(ブテン-1)、ポリ(n-ペンテン-2)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン)、ポリアミン(例えば、ポリ(エチレンイミン)及びポリプロピレンイミン(PPI));ポリアミド(例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリ(ε-カプロラクタム)(ナイロン6)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66))、ポリイミド(例えば、ポリイミド、ポリニトリル、及びポリ(ピロメリットイミド-1,4-ジフェニルエーテル))(Kapton(登録商標))(NOMEX(登録商標))(KEVLAR(登録商標));ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ビニルポリマー(例えば、ポリアクリルアミド、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(2-ビニルピリジン)、ビニルポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリ(イソヘキシルシアノアクリレート));ポリアセタール;ポリエステル(例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシブチレート);ポリエーテル(ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO));ビニリデンポリマー(例えば、ポリイソブチレン、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(塩化ビニリデン)、及びポリ(フッ化ビニリデン));ポリアラミド(例えば、ポリ(イミノ-1,3-フェニレンイミノイソフタロイル)及びポリ(イミノ-1,4-フェニレンイミノテレフタロイル));ポリヘテロ芳香族化合物(例えば、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBO)及びポリベンゾビスチアゾール(PBT));ポリ複素環式化合物(例えば、ポリピロール);ポリウレタン;フェノールポリマー(例えば、フェノールホルムアルデヒド);ポリアルキン(例えば、ポリアセチレン);ポリジエン(例えば、1,2-ポリブタジエン、cis又はtrans-1,4-ポリブタジエン);ポリシロキサン(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ポリ(ジエチルシロキサン)(PDES)、ポリジフェニルシロキサン(PDPS)、及びポリメチルフェニルシロキサン(PMPS));無機ポリマー(例えば、ポリホスファゼン、ポリホスホネート、ポリシラン、ポリシラザン)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリ(n-ペンテン-2)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリ(ε-カプロラクタム)(ナイロン6)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66))、ポリイミド(例えば、ポリニトリル、及びポリ(ピロメリットイミド-1,4-ジフェニルエーテル))(Kapton(登録商標))(NOMEX(登録商標))(KEVLAR(登録商標))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選択することができる。非イオン性ポリマーの場合には、イオン伝導性塩を加えてもよい。イオン伝導塩の例としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)、LiSCN、LiBr、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiSO3CF3、LiSO3CH3、LiBF4、LiB(Ph)4、LiPF6、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO2CF3)2)、LiNO3、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)及びナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、ナトリウムビス(オキサラト)ボレート(NaBOB)、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaDFOB)、NaSCN、NaBr、NaI、NaAsF6、NaSO3CF3、NaSO3CH3、NaBF4、NaPF6、NaN(SO2F)2、NaClO4、NaN(SO2CF3)2、NaNO3、マグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(TFSI)2)及びマグネシウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Mg(FSI)2)、マグネシウムビス(オキサラト)ボレート(Mg(BOB)2)、マグネシウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(Mg)(DFOB)2)、Mg(SCN)2、MgBr2、MgI2、Mg(ClO4)2、Mg(AsF6)2、Mg(SO3CF3)2、Mg(SO3CH3)2、Mg(BF4)2、Mg(PF6)2、Mg(NO3)2、Mg(CH3COOH)2、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(KTFSI)及びカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(KFSI)、カリウムビス(オキサラト)ボレート(KBOB)、カリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(KDFOB)、KSCN、KBr、KI、KClO4、KAsF6、KSO3CF3、KSO3CH3、KBF4、KB(Ph)4、KPF6、KC(SO2CF3)3、KN(SO2CF3)2)、KNO3、Al(NO3)2、AlCl3、Al2(SO4)3、AlBr3、AlI3、AlN、AlSCN、Al(ClO4)3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
複合カソードに使用されるイオン伝導性セラミックは、以下の特徴を有することができる。イオン伝導性セラミックは、固体イオン伝導性材料を含むか、固体イオン伝導性材料から形成される。固体イオン伝導性材料は、以下の特徴を有し得る材料として説明することができる。固体イオン伝導性材料は、電場又は濃度差等の化学ポテンシャルの存在下で、特定の荷電元素を選択的に通過させることができるタイプの材料である。この固体イオン伝導性材料によってイオンの移動が可能になるが、電子を容易には通過させられない場合がある。イオンは、1、2、3、4以上の正電荷を帯びることがある。荷電イオンの例としては、H+、Li+、Na+、K+、Ag+、Mg2+、Zn2+、Al3+等が挙げられるが、これらに限定されない。対応するイオンのイオン伝導度は、好ましくは>10-7S/cmであり得る。より低い導電度(<10-7S/cm)を有することが好ましい。複合カソードは、2つ以上の固体イオン伝導性材料の混合物を含んでもよい。固体イオン伝導性材料の例としては、一般式:
Lin[A(3-a’-a’’)A’(a’)A’’(a’’)][B(2-b’-b’’)B’(b’)B’’(b’’)][C’(c’)C’’(c’’)]O12、
を有するガーネット様構造酸化物材料が挙げられるが、これに限定されず、
a.式中、A、A’、及びA’’は結晶構造の八面体位置を表し、i.式中、Aは1つ又は複数の三価の希土類元素を表し、ii.式中、A’は1つ又は複数のアルカリ土類元素を表し、iii.式中、A’’はLi以外の1つ又は複数のアルカリ金属元素を表し、iv.式中、0≦a’≦2及び0≦a’’≦1であり;
b.式中、B、B’、及びB’’は結晶構造の八面体位置を表し、i.式中、Bは1つ又は複数の四価元素を表し、ii.式中、B’は1つ又は複数の五価元素を表し、iii.式中、B’’は1つ又は複数の六価元素を表し、iv.式中、0≦b’、0≦b’’、及びb’+b’’≦2であり;
c.式中、C’及びC’’は結晶構造の四面体位置を表し、i.式中、C’は、Al、Ga、及びホウ素のうちの1つ又は複数を表し、ii.式中、C’’は、Si及びGeのうちの1つ又は複数を表し、iii.式中、0≦c’≦0.5及び0≦c’’≦0.4であり;
d.式中、n=7+a’+2・a’’-b’-2・b’’-3・c’-4・c’’、及び4.5≦n≦7.5である。
【0055】
別の例では、固体イオン伝導性材料には、(Li,La)TiO3等のペロブスカイト型酸化物、又はドープされた若しくは置換された化合物が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、NASICON構造のリチウム膜、例として、LAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)、LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)、及び他の元素がその中にドープされているこれらの材料が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、反ペロブスカイト構造材料及びその誘導体、例として、Li3OCl、Li3OBr、Li3OIの組成物が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、Li3YH6(H=F、Cl、Br、I)族の材料が含まれ、Yは他の希土類元素で置き換えることができる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、Li2xSx+w+5zMyP2zが含まれ、式中、xは8~16であり、yは0.1~6であり、wは0.1~15であり、zは0.1~3であり、Mは、ランタニド、第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第12族、第13族、及び第14族の原子、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、一般式:Li12-m-x(MmY4
2-)Y2-x
2- Xx
-のアルジロダイト材料が含まれ、式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、P5+、As5+、又はそれらの組み合わせ;Y2-=O2-、S2-、Se2-、Te2-、又はそれらの組み合わせ;X-=F-、Cl-、Br-、I-、又はそれらの組み合わせ;及びxは0≦x≦2の範囲にある。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、一般式:Li18-2m-x(M2
m+Y7
2-)Y2-x
2-Xx
-のアルジロダイト材料が含まれ、式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、P5+、As5+、又はそれらの組み合わせ;Y2-=O2-、S2-、Se2-、Te2-、又はそれらの組み合わせ;X-=F-、Cl-、Br-、I-、又はそれらの組み合わせ;及びxは0≦x≦2の範囲にある。
【0056】
本記載は、二次電池のアノードに関する。二次電池のアノード、金属/金属合金アノード、又は複合アノードは、安定性を高め、固体イオン伝導性膜との界面抵抗を低減するために、表面を薄層でコーティングすることができる。アノードは、以下の特徴を有することができる。イオンベースの二次電池の場合、アノードはまた、活物質、結合剤、及び導電性添加剤から構成することができるが、これらに限定されない。活物質は、限定されないが、インターカレーション、合金化、及びコンバージョン等の種々の機構を通じてイオンと相互作用する場合がある。活物質アノード材料としては、酸化チタン、シリコン、酸化スズ、ゲルマニウム、アンチモン、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、硫化モリブデン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化マンガン、炭素ベースの材料(ハードカーボン、ソフトカーボン、グラフェン、グラファイト(graphite’s)、還元型酸化グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
アノードには、結合剤、例として、限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム等を含めてもよい。アノードには、導電性添加剤、例として、限定されないが、グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、スーパーP、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、又は導電性ポリマー、例としてポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリフェニレンビニレン等を含めてもよい。
【0058】
金属/金属合金アノードは、以下の特徴を有することができる。金属ベースの二次電池の場合、アノードは金属又は金属合金から構成することができる。金属/金属合金アノードは、メッキ及び剥離機構を通じてイオンと相互作用する場合がある。このようなアノードは、リチウム金属、リチウム金属合金、ナトリウム金属、ナトリウム金属合金、マグネシウム金属、マグネシウム金属合金、アルミニウム金属、アルミニウム金属合金、カリウム金属、カリウム金属合金、亜鉛金属、亜鉛金属合金で構成されるが、これらに限定されない。合金としては、インジウム、スズ、マンガン等の材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
複合アノードは、以下の特徴を有することができる。一般に、固体二次電池には複合アノードが使用される。複合アノードは、活物質、結合剤、導電性添加剤、及びイオン伝導性媒体から構成されている。活物質は、限定されないが、インターカレーション、合金化、及びコンバージョン等の種々の機構を通じてイオンと相互作用する場合がある。活物質アノード材料としては、酸化チタン、シリコン、酸化スズ、ゲルマニウム、アンチモン、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、硫化モリブデン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化マンガン、炭素ベースの材料(ハードカーボン、ソフトカーボン、グラフェン、グラファイト(graphite’s)、還元型酸化グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等)が挙げられるが、これらに限定されない。複合アノードには、結合剤、例として、限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム等を含めてもよい。複合アノードには、導電性添加剤、例として、限定されないが、グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、スーパーP、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、又は導電性ポリマー、例としてポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリフェニレンビニレン等を含めてもよい。複合アノード内のイオン伝導媒体としては、ポリマー、イオン伝導性セラミック、又はポリマーセラミック複合体が挙げられるが、これらに限定されない。複合アノードに使用されるポリマーは、イオン伝導ポリマー又は非イオン伝導ポリマーであり得る。ポリマーの例としては、ポリエチレングリコール、ポリイソブテン(例えば、OPPANOL(商標))、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマーの追加の例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリ(ブテン-1)、ポリ(n-ペンテン-2)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン)、ポリアミン(例えば、ポリ(エチレンイミン)及びポリプロピレンイミン(PPI));ポリアミド(例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリ(ε-カプロラクタム)(ナイロン6)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66))、ポリイミド(例えば、ポリイミド、ポリニトリル、及びポリ(ピロメリットイミド-1,4-ジフェニルエーテル))(Kapton(登録商標))(NOMEX(登録商標))(KEVLAR(登録商標));ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ビニルポリマー(例えば、ポリアクリルアミド、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(2-ビニルピリジン)、ビニルポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリ(イソヘキシルシアノアクリレート));ポリアセタール;ポリエステル(例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシブチレート);ポリエーテル(ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO));ビニリデンポリマー(例えば、ポリイソブチレン、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(塩化ビニリデン)、及びポリ(フッ化ビニリデン));ポリアラミド(例えば、ポリ(イミノ-1,3-フェニレンイミノイソフタロイル)及びポリ(イミノ-1,4-フェニレンイミノテレフタロイル));ポリヘテロ芳香族化合物(例えば、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBO)及びポリベンゾビスチアゾール(PBT));ポリ複素環式化合物(例えば、ポリピロール);ポリウレタン;フェノールポリマー(例えば、フェノールホルムアルデヒド);ポリアルキン(例えば、ポリアセチレン);ポリジエン(例えば、1,2-ポリブタジエン、cis又はtrans-1,4-ポリブタジエン);ポリシロキサン(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ポリ(ジエチルシロキサン)(PDES)、ポリジフェニルシロキサン(PDPS)、及びポリメチルフェニルシロキサン(PMPS));無機ポリマー(例えば、ポリホスファゼン、ポリホスホネート、ポリシラン、ポリシラザン)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリ(n-ペンテン-2)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリ(ε-カプロラクタム)(ナイロン6)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66))、ポリイミド(例えば、ポリニトリル、及びポリ(ピロメリットイミド-1,4-ジフェニルエーテル))(Kapton(登録商標))(NOMEX(登録商標))(KEVLAR(登録商標))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選択することができる。
【0060】
非イオン性ポリマーの場合には、イオン伝導性塩を加えてもよい。イオン伝導塩の例としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)、LiSCN、LiBr、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiSO3CF3、LiSO3CH3、LiBF4、LiB(Ph)4、LiPF6、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO2CF3)2)、LiNO3、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)及びナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、ナトリウムビス(オキサラト)ボレート(NaBOB)、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaDFOB)、NaSCN、NaBr、NaI、NaAsF6、NaSO3CF3、NaSO3CH3、NaBF4、NaPF6、NaN(SO2F)2、NaClO4、NaN(SO2CF3)2、NaNO3、マグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(TFSI)2)及びマグネシウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Mg(FSI)2)、マグネシウムビス(オキサラト)ボレート(Mg(BOB)2)、マグネシウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(Mg)(DFOB)2)、Mg(SCN)2、MgBr2、MgI2、Mg(ClO4)2、Mg(AsF6)2、Mg(SO3CF3)2、Mg(SO3CH3)2、Mg(BF4)2、Mg(PF6)2、Mg(NO3)2、Mg(CH3COOH)2、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(KTFSI)及びカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(KFSI)、カリウムビス(オキサラト)ボレート(KBOB)、カリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(KDFOB)、KSCN、KBr、KI、KClO4、KAsF6、KSO3CF3、KSO3CH3、KBF4、KB(Ph)4、KPF6、KC(SO2CF3)3、KN(SO2CF3)2)、KNO3、Al(NO3)2、AlCl3、Al2(SO4)3、AlBr3、AlI3、AlN、AlSCN、Al(ClO4)3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
複合アノードに使用されるイオン伝導性セラミックは、以下の特徴を有することができる。イオン伝導性セラミックは、固体イオン伝導性材料を含むか、固体イオン伝導性材料から形成される。固体イオン伝導性材料は、以下の特徴を有し得る材料として説明することができる:固体イオン伝導性材料は、電場又は濃度差等の化学ポテンシャルの存在下で、特定の荷電元素を選択的に通過させることができるタイプの材料である。この固体イオン伝導性材料によってイオンの移動が可能になるが、電子を容易には通過させられない場合がある。イオンは、1、2、3、4以上の正電荷を帯びることがある。荷電イオンの例としては、H+、Li+、Na+、K+、Ag+、Mg2+、Zn2+、Al3+等が挙げられるが、これらに限定されない。対応するイオンのイオン伝導度は、好ましくは>10-7S/cmであり得る。より低い導電度(<10-7S/cm)を有することが好ましい。複合カソードは、1つ又は複数の固体イオン伝導性材料の混合物を含んでもよい。固体イオン伝導性材料の例としては、一般式:
Lin[A(3-a’-a’’)A’(a’)A’’(a’’)][B(2-b’-b’’)B’(b’)B’’(b’’)][C’(c’)C’’(c’’)]O12、
を有するガーネット様構造酸化物材料が挙げられるが、これに限定されず、
a.式中、A、A’、及びA’’は結晶構造の八面体位置を表し、i.式中、Aは1つ又は複数の三価の希土類元素を表し、ii.式中、A’は1つ又は複数のアルカリ土類元素を表し、iii.式中、A’’はLi以外の1つ又は複数のアルカリ金属元素を表し、iv.式中、0≦a’≦2及び0≦a’’≦1であり;
b.式中、B、B’、及びB’’は結晶構造の八面体位置を表し、i.式中、Bは1つ又は複数の四価元素を表し、ii.式中、B’は1つ又は複数の五価元素を表し、iii.式中、B’’は1つ又は複数の六価元素を表し、iv.式中、0≦b’、0≦b’’、及びb’+b’’≦2であり;
c.式中、C’及びC’’は結晶構造の四面体位置を表し、i.式中、C’は、Al、Ga、及びホウ素のうちの1つ又は複数を表し、ii.式中、C’’は、Si及びGeのうちの1つ又は複数を表し、iii.式中、0≦c’≦0.5及び0≦c’’≦0.4であり;
d.式中、n=7+a’+2・a’’-b’-2・b’’-3・c’-4・c’’、及び4.5≦n≦7.5である。
【0062】
別の例では、固体イオン伝導性材料には、(Li,La)TiO3等のペロブスカイト型酸化物、又はドープされた若しくは置換された化合物が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、NASICON構造のリチウム膜、例として、LAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)、LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)、及び他の元素がその中にドープされているこれらの材料が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、反ペロブスカイト構造材料及びその誘導体、例として、Li3OCl、Li3OBr、Li3OIの組成物が含まれる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、Li3YH6(H=F、Cl、Br、I)族の材料が含まれ、Yは他の希土類元素で置き換えることができる。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、Li2xSx+w+5zMyP2zが含まれ、式中、xは8~16であり、yは0.1~6であり、wは0.1~15であり、zは0.1~3であり、Mは、ランタニド、第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第12族、第13族、及び第14族の原子、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、一般式:Li12-m-x(MmY4
2-)Y2-x
2- Xx
-、のアルジロダイト材料が含まれ、式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、P5+、As5+、又はそれらの組み合わせ;Y2-=O2-、S2-、Se2-、Te2-、又はそれらの組み合わせ;X-=F-、Cl-、Br-、I-、又はそれらの組み合わせ;及びxは0≦x≦2の範囲にある。更に別の例では、固体イオン伝導性材料には、一般式:Li18-2m-x(M2
m+Y7
2-)Y2-x
2-Xx
-、のアルジロダイト材料が含まれ、式中、Mm+=B3+、Ga3+、Sb3+、Si4+、Ge4+、P5+、As5+、又はそれらの組み合わせ;Y2-=O2-、S2-、Se2-、Te2-、又はそれらの組み合わせ;X-=F-、Cl-、Br-、I-、又はそれらの組み合わせ;及びxは0≦x≦2の範囲にある。
【0063】
本記載は、液体又は半固体二次電池における液体ベースの電解質に関する。液体ベースの電解質としては、有機ベースの液体電解質又は室温イオン液体電解質た挙げられるが、これらに限定されない。有機ベースの液体電解質の例としては、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、1,3-ジオキソラン(DOL)、及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(1-ethyl-3-methylimidoxzoium chloride)、並びにそれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。室温イオン液体電解質の例としては、イミダゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、アンモニウム、ヘキサフルオロホスフェート、ジシアンアミド、テトラクロロアルミネート、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、パラゾニウム、及びチアゾリウムが挙げられるが、これらに限定されない。有機ベースの液体電解質及び室温イオン液体電解質は、イオン伝導塩を含むことができる。イオン伝導塩の例としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)、LiSCN、LiBr、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiSO3CF3、LiSO3CH3、LiBF4、LiB(Ph)4、LiPF6、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO2CF3)2)、LiNO3、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)及びナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、ナトリウムビス(オキサラト)ボレート(NaBOB)、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaDFOB)、NaSCN、NaBr、NaI、NaAsF6、NaSO3CF3、NaSO3CH3、NaBF4、NaPF6、NaN(SO2F)2、NaClO4、NaN(SO2CF3)2、NaNO3、マグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(TFSI)2)及びマグネシウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Mg(FSI)2)、マグネシウムビス(オキサラト)ボレート(Mg(BOB)2)、マグネシウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(Mg)(DFOB)2)、Mg(SCN)2、MgBr2、MgI2、Mg(ClO4)2、Mg(AsF6)2、Mg(SO3CF3)2、Mg(SO3CH3)2、Mg(BF4)2、Mg(PF6)2、Mg(NO3)2、Mg(CH3COOH)2、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(KTFSI)及びカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(KFSI)、カリウムビス(オキサラト)ボレート(KBOB)、カリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(KDFOB)、KSCN、KBr、KI、KClO4、KAsF6、KSO3CF3、KSO3CH3、KBF4、KB(Ph)4、KPF6、KC(SO2CF3)3、KN(SO2CF3)2)、KNO3、Al(NO3)2、AlCl3、Al2(SO4)3、AlBr3、AlI3、AlN、AlSCN、Al(ClO4)3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本開示は、固体イオン伝導性膜を使用する他の電気化学システムに関する。他の電気化学セルとしては、フロー型電池、リチウム硫黄電池、ナトリウム硫黄電池、溶融塩電池、空気電池、及びリチウム一次電池が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本記載は、フロー型電池に関する。フロー型電池は、当技術分野ではレドックスフロー型電池とも呼ばれ、電気化学システムの1タイプであり、システム内に含まれ固体イオン伝導性膜によって分離されているカソード液及びアノード液と呼ばれる液体に溶解した2つの電気化学成分によって電気化学エネルギーを貯蔵及び供給する。固体イオン伝導性膜は、イオンを伝導すること、及びカソード液とアノード液の間のクロスオーバーを防止することの両方のために使用することができる。フロー型電池は、再生型燃料電池又は二次燃料電池とも呼ばれる場合がある。フロー型電池に貯蔵されるエネルギーは、アノード液及び/又はカソード液の貯蔵タンクのサイズによって決定される。フロー電池のタイプとしては、レドックス電池、ハイブリッド電池、有機電池、金属水素化物、ナノネットワーク、又は半固体が挙げられるが、これらに限定されない。他のタイプのフロー電池としては、有機電池、水性及び非水性両タイプの両方、金属水素化物、及びナノ構造を挙げられるが、これらに限定されない;ここで、フロー電池は、レドックスシステム又はハイブリッドシステムのいずれかと同様の設計を有し、イオン交換膜、イオン選択膜、又はセラミックイオン伝導膜を使用する。電極、カソード液、及びアノード液(analytes)は各システムに特有であり、当技術分野の他の場所で説明されている。
【0066】
本記載は、リチウム硫黄電池及びナトリウム硫黄電池に関する。リチウム硫黄電池は、負極として金属リチウム、及び正極として硫黄を含む二次電池として特徴付けられ得、ここで、リチウム塩と、環状エーテル、短鎖エーテル、若しくはグリコールエーテル、又はそれらの組み合わせ等のエーテルとから構成される液体有機溶液が電解質として作用する。また、固体イオン伝導性膜を使用して、リチウムアノードを硫化物カソードから分離する。或いは、アノードは、炭素、リチウム化炭素、又はシリコンから構成されていてもよい。ナトリウム硫黄電池は、負極として金属ナトリウム、及び正極として硫黄を含む二次電池として特徴付けられ得、ここで、ナトリウム塩と、環状エーテル、短鎖エーテル、若しくはグリコールエーテル、又はそれらの組み合わせ等のエーテルとから構成される液体有機溶液が電解質として作用する。また、固体イオン伝導性膜を使用して、リチウムアノードを硫化物カソードから分離する。或いは、アノードは、炭素、リチウム化炭素、又はシリコンから構成されていてもよい。場合によっては、ポリスルフィドシャトル効果を低減又は防止するために、硫黄カソードを炭素構造体又は同様の設計の構造体内に封入するか、又はポリマーでコーティングすることができる。
【0067】
本記載は、溶融塩電池に関する。溶融塩電池としては、ナトリウム-硫黄電池又はナトリウム-塩化ニッケル(Zebra)電池が挙げられるが、これらに限定されない。ナトリウム-硫黄(NaS)電池は、負極として金属ナトリウム、及び正極として硫黄を含む二次溶融塩電池として特徴付けられ得、典型的には、バッテリ動作中は両方の電極が液体状態にある。NaS電池用の電解質には、典型的には管状の形態のセラミック固体電解質として、インターロッキングベータアルミナ層状膜を含めてもよいが、これに限定されない。ナトリウム-塩化ニッケル(Na-NiCl2)又はZebra電池は、負極として金属ナトリウム、及び正極としてニッケルを含む二次溶融塩電池として特徴付けられ得、ここで、ナトリウムは、電池動作中は液体状態にある。Na-NiCl2電池用の電解質には、限定されないが、溶融テトラクロロアルミン酸ナトリウム(NaAlCl4)を含めてもよく、NaAlCl4と溶融ナトリウムの間のセパレータとして作用するインターロッキングベータアルミナ層状膜を伴ってもよい。本開示は、空気電池に関する。空気電池としては、一次空気電池又は二次空気電池が挙げられる。一次空気電池としては、アルミニウム空気電池及び亜鉛空気電池が挙げられるが、これらに限定されない。二次空気電池としては、リチウム-空気電池、ナトリウム-空気電池、カリウム-空気電池、アルミニウム-空気電池、鉄-空気電池、シリコン-空気電池が挙げられるが、これらに限定されない。二次空気電池は、負極又はアノードとして金属、金属合金、金属酸化物を含有することができる。例えば、リチウム-空気電池は、リチウム金属又はリチウム金属合金を含有することができる。ナトリウム-空気電池は、ナトリウム金属又はナトリウム金属合金を含有することができる。カリウム-空気電池は、カリウム金属又はカリウム金属合金を含有することができる。シリコン-空気電池は、シリコン金属、シリコンウェハ、又はシリコン合金を含有することができる。鉄-空気電池は、金属鉄又は酸化鉄アノードを含有することができる。二次空気電池アノードは、限定されないが、電極/固体イオン伝導性膜界面の抵抗を低減するための保護層又は層としての人工固体電解質界面層として作用する薄層でコーティングすることができる。二次空気電池は、大気中の酸素がシステムに侵入できるように多孔質のカソード構造体を含有することができる。多孔質カソードは、メソポーラスカーボン等の炭素から構成してもよい。或いは、多孔質カソードは、スクリーン、グリッド、又は発泡ニッケル等の発泡材料であってもよく、炭素層でコーティングしてもよい。二次空気電池は、マンガン、コバルト、ルテニウム、白金、銀、又はそれらの組み合わせ等の触媒を含有することができるが、これらに限定されない。触媒は、触媒粒子の場合には炭素上に堆積することができ、又はドーパントとして炭素構造体内に配向させることができる。或いは、二次空気電池にはカソード構造体が欠けている場合があり、シリコン-空気電池の場合と同様に、大気中の酸素がカソードとして機能する。二次空気電池は、限定されないが、非プロトン性、水性、水性/非プロトン性混合、若しくは固体状態の性質又は組成を有する液体電解質を含有することができる。
【0068】
本記載は、リチウム一次電池に関する。一次電池、特にリチウム一次電池は、固体イオン伝導性膜をセパレータとして使用することができる。リチウム一次電池としては、一フッ化炭素リチウム、二酸化マンガンリチウム、酸化銅リチウム、塩化チオニルリチウムを含んでもよいが、これらに限定されない。他の一次リチウム電池は、限定されないが、リチウム銀ロメート(lithium silver chromate)、リチウム銀バナジウム酸化物(lithium silver vanadium oxide)、ビスマス酸鉛リチウム、三酸化ビスマスリチウム、硫化銅リチウム、硫化銅鉛リチウム、ヨウ素リチウム、二酸化硫黄リチウム、塩化スルフリルリチウム等から構成されるカソードを有して特殊化されていてもよい。
【0069】
溶射された固体イオン伝導性膜を使用する電気化学セルの更なる例を、以下の図面で参照する。
【0070】
図1は、加圧成形又はテープキャスティング等の従来の手段で調製され、その後熱処理された固体イオン伝導性電解質膜の概略図であり、ランダムに分布した不規則な六角形様の高角粒界構造を示している。
図2は、ランダムに分布した不規則な六角形の高角粒界を有する従来の固体導電体の、印加電場における粒界ベクトル方向の概略図である。
【0071】
図3は、溶射によって調製された本記載の固体イオン伝導性膜の概略図であり、面内層状粒子構造を示している。
図4は、印加電場の方向に対して垂直な粒界ベクトル方向の概略図であり、後続の層が電子の横断を阻止する。この図は、インターロッキング層状構造がリチウム樹枝状結晶等の金属樹枝状結晶の貫通及び伝播を阻止する能力を説明している。
図4の図は、本記載のインターロッキング層状構造の微細構造の追加の発明の特徴を示す。本記載は、開示された微細構造の任意の図示された態様を含み得る。
【0072】
図5は、イオン伝導性膜(104)を除去可能な基板(102)上に溶射する、インターロッキング層構造の作製プロセスの概略図である。除去可能な基板は固体イオン伝導性膜から除去されて、自立型固体イオン伝導性膜(106)を形成する。
【0073】
図6は、多孔質支持基板(110)上に支持された固体イオン伝導性膜の概略図である。第1の例では、多孔質支持基板上に支持されたイオン伝導性膜(108)を、多孔質支持基板(108)としての裸の多孔質基板上に噴霧する。第2の例では、多孔質支持基板上に支持されたイオン伝導性膜(108)を、仮充填材が予め充填された多孔質支持基板(108)上に噴霧する。第3の例では、多孔質支持基板(108)上に支持されたイオン伝導性膜を、二次電池電極活物質が予め充填された多孔質支持基板(108)上に噴霧する。
【0074】
図7は、平坦な表面(108)上に形成された固体イオン伝導性膜の概略図である。第1の例では、イオン伝導性膜(116)を、平坦な表面(108)としての非導電性基板上に形成する。第2の例では、イオン伝導性膜(116)を、平坦な表面(108)としての導電性基板上に形成する。
【0075】
図8は、二次電池電極上に形成された固体イオン伝導性膜の概略図であり、イオン伝導性膜(122)は集電体(126)上に予備成形された二次電池電極(124)上に噴霧されている。
【0076】
図9は、固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、負極集電体(128)上にコーティングされた二次電池負極(130)と、正極集電体(134)上にコーティングされた二次電池正極(132)との間に組み立てられた自立型固体イオン伝導性膜(106)である。
【0077】
図10は、固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は多孔質支持基板(108)上に支持されており、多孔質支持基板は、埋め込まれた二次電池正極(138)が予め充填された導電性多孔質支持基板(136)である。導電性多孔質支持基板は、それ自体導電性であってもよく、又はコンフォーマルにコーティングされた導電性材料でコンフォーマルにコーティングしてもよい。噴霧後、負の集電体(128)上に二次電池負極(130)がコーティングされた状態で二次電池を組み立てる。
【0078】
図11は、固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は多孔質支持基板(108)上に支持されており、多孔質支持基板は、埋め込まれた二次電池負極(140)が予め充填された導電性多孔質支持基板(136)である。導電性多孔質支持基板は、それ自体導電性であってもよく、又はコンフォーマルにコーティングされた導電性材料でコンフォーマルにコーティングしてもよい。噴霧後、正の集電体(134)上に二次電池正極(132)がコーティングされた状態で二次電池を組み立てる。
【0079】
図12は、固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は二次電池電極(122)上に形成され、二次電池電極は正の集電体(134)上にコーティングされた二次電池正極(132)である。噴霧後、負の集電体(128)上に二次電池負極(130)がコーティングされた状態で二次電池を組み立てる(142)。
【0080】
図13は、固体イオン伝導性膜を含む二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は二次電池電極(122)上に形成され、二次電池電極は負の集電体(128)上にコーティングされた二次電池負極(130)である。噴霧後、正の集電体(134)上に二次電池正極(132)がコーティングされた状態で二次電池を組み立てる(142)。
【0081】
図14は、固体イオン伝導性膜を含む空気電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、空気電池又は二次電池の、負の集電体(128)上にコーティングされた負極(130)と、これにより酸素ガス又は雰囲気(146)がシステムに入り、それに応じて反応する可能性がある触媒を含有する多孔質正極(144)との間に組み立てられた自立型固体イオン伝導性膜(106)である。或いは、イオン伝導性膜を空気電池の負極上に形成してもよい。
【0082】
図15は、固体イオン伝導性膜を含む空気電池の概略図であり、イオン伝導性膜は多孔質支持基板(108)上に支持されており、多孔質支持基板は、埋め込まれた空気電池又は二次電池負極(140)が予め充填された導電性多孔質支持基板(136)である。導電性多孔質支持基板は、それ自体導電性であってもよく、又はコンフォーマルにコーティングされた導電性材料でコンフォーマルにコーティングしてもよい。噴霧後、これにより酸素ガス又は雰囲気(146)がシステムに入り、それに応じて反応する可能性がある触媒を含有する多孔質正極(144)を用いて空気電池を組み立てる。
【0083】
図16は、固体イオン伝導性膜を含む空気電池の概略図であり、イオン伝導性膜は多孔質支持基板(108)上に支持されており、多孔質支持基板は、これにより酸素ガス又は雰囲気(146)がシステムに入り、それに応じて反応する可能性がある触媒でコーティングされた導電性多孔質支持基板(148)である。噴霧後、負の集電体(128)上にコーティングされた空気電池又は二次電池負極(130)を用いて空気電池を組み立てる。
【0084】
図17は、固体イオン伝導性膜からなるアノードレス二次電池の概略図であり、固体イオン伝導性膜は平坦な基板(116)上に形成され、平坦な基板は負の集電体(128)である。噴霧後、正の集電体(134)上に二次正極(132)がコーティングされた状態でアノードレス電池を組み立てる。組み立てられたアノードレス電池にバイアス(150)を印加し、固体イオン伝導性膜(116)と負の集電体(128)との間に金属アノード層(152)を形成する。
【0085】
図18は、固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、アノード液(158)とカソード液(160)とを分離する自立型固体イオン伝導性膜(106)である。自立型膜の反対側のアノード液側には、負の集電体(128)上にコーティングされたフロー型二次電池負極(154)がある。自立型膜の反対側のカソード液側には、正の集電体(134)上にコーティングされたフロー型二次電池正極(156)がある。
【0086】
図19は、固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、多孔質支持基板(108)上に支持されており、多孔質支持基板(110)には埋め込まれたフロー型二次電池負極(154)と前記支持基板の反対側の負の集電体(128)が予め充填されている。或いは、多孔質支持基板は、導電性多孔質基板(136)であるか、又は絶縁性であるがコンフォーマルにコーティングされた導電性層を伴い、フロー型二次電池負極は、支持多孔質基板上にコンフォーマルにコーティングされている。アノード液(158)は、好ましくは、噴霧及びフロー型二次電池の組み立て後に加える。イオン伝導性膜の反対側には、カソード液(160)と、正の集電体(134)上にコーティングされたフロー型二次電池正極(156)がある。
【0087】
図20は、固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は、多孔質支持基板(108)上に支持されており、多孔質支持基板(110)には埋め込まれたフロー型二次電池正極(156)と前記支持基板の反対側の正の集電体(134)が予め充填されている。或いは、多孔質支持基板は、導電性多孔質基板(136)であるか、又は絶縁性であるがコンフォーマルにコーティングされた導電性層を伴い、フロー型二次電池正極は、支持多孔質基板上にコンフォーマルにコーティングされている。カソード液(160)は、好ましくは、噴霧及びフロー型二次電池の組み立て後に加える。イオン伝導性膜の反対側には、アノード液(158)と、負の集電体(128)上にコーティングされたフロー型二次電池負極(154)がある。
【0088】
図21は、固体イオン伝導性膜を含むフロー型二次電池の概略図であり、イオン伝導性膜は予備成形電池電極(122)上に形成され、予備成形電池電極は負の集電体(128)上に形成された金属又は金属合金アノード(162)である。イオン伝導性膜の反対側には、カソード液(160)と、負の集電体(134)上にコーティングされたフロー型二次電池正極(156)がある。
【0089】
図22は、加圧成形又はテープキャスティング等の従来の手段で調製され、その後熱処理された固体イオン伝導性電解質膜の垂直断面走査型電子顕微鏡画像である。
【0090】
図23は、溶射によって調製された固体イオン伝導性膜の平面図走査型電子顕微鏡画像であり、イオン伝導性セラミック膜の溶融/硬化構造を示している。
図23の走査型電子顕微鏡画像は、本記載のインターロッキング層状構造の微細構造の追加の発明の特徴を示す。本記載は、開示された微細構造の図示された態様のいずれかを含む。
【0091】
図24は、溶射によって調製された厚さ約170μmの固体イオン伝導性膜の断面走査型電子顕微鏡画像であり、構造体の面内層状の性質を示している。
図24の走査型電子顕微鏡画像は、本記載のインターロッキング層状構造の微細構造の追加の発明の特徴を示す。本記載は、開示された微細構造の図示された態様のいずれかを含む。
【0092】
図25は、直径2.5cmの溶射された自立型固体イオン伝導性膜の上面図デジタル画像である。
【0093】
図26は、厚さ約250μmの溶射された自立型固体イオン伝導性膜の側面図デジタル画像である。
【0094】
図27は、多孔質基板上に溶射されたインターロッキング層状構造の断面走査型電子顕微鏡画像である。
【0095】
図28は、多孔質支持構造体上に支持された固体イオン伝導性膜の傾斜平面図のデジタル画像である。
【0096】
図29は、溶射されたリチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)固体イオン伝導性膜のX線回折スペクトルであり、標準LLZO PDFカード番号7215448と比較されている。溶射膜は材料中に非晶質相を示している。
【0097】
図面に関連して、例は、以下の1つ又は複数を含み得る。
【実施例1】
【0098】
自立型固体イオン伝導性膜の作製
一例では、自立型固体イオン伝導性膜は、溶射を使用して形成することができ、イオン伝導材料を、除去可能な基板上に噴霧する。
【0099】
一態様では、溶射技術はプラズマ溶射と呼ばれることもある。
【0100】
一態様では、イオン伝導材料は、リチウムランタンジルコニア酸化物又はLLZOであってもよく、LLZOは、アルミニウム(Al-LLZO)等の安定化元素がドープされており、直径1~100μmの範囲のD50粒径を有する。
【0101】
一態様では、除去可能な基板は、噴霧完了後に水に溶解することができる塩化ナトリウム等の塩から構成される。
【0102】
一態様では、プラズマガンと塩基板との間の噴霧距離は、5~25cmの範囲であってもよい。
【0103】
一態様では、キャリアガスは、ヘリウム又はアルゴン等の不活性ガスであってもよい。
【0104】
一態様では、プラズマエネルギー及び流量は、タンク圧力、調整器、ガンタイプ等の外部パラメータによって決定され、したがって、最適な噴霧条件を達成するために噴霧時に調整することができる。
【0105】
一態様では、プラズマ溶射は、2~50の間のパス数又は反復数で塩基板上にラスタ方式で行うことができる。
【0106】
自立型LLZO(Alドープ)固体イオン伝導性膜の断面走査型電子顕微鏡画像を
図24に示す。
【0107】
自立型LLZO(Alドープ)固体イオン伝導性膜のデジタル画像を
図25及び
図26に示す。
【0108】
プラズマ溶射されたLLZO(Alドープ)のX線回折パターンを
図29に示し、LLZO組成が確認されている。
【実施例2】
【0109】
多孔質基板上での固体イオン伝導性膜の作製
一例では、固体イオン伝導性膜は、溶射を使用して基板上に形成することができ、イオン伝導材料を、多孔質支持基板上に噴霧する。
【0110】
一態様では、溶射技術はプラズマ溶射と呼ばれることもある。
【0111】
一態様では、イオン伝導材料は、リチウムランタンジルコニア酸化物又はLLZOであってもよく、LLZOは、タンタル等の安定化元素がドープされており、直径1~100μmの範囲のD50粒径を有する。
【0112】
一態様では、多孔質支持基板は裸の発泡ニッケルであってもよい。
【0113】
一態様では、プラズマガンと多孔質基板との間の噴霧距離は、10~30cmの範囲であってもよい。
【0114】
一態様では、多孔質基板の表面に対する噴霧角度は5~45°の範囲であってもよい。
【0115】
一態様では、キャリアガスは、ヘリウム又はアルゴン等の不活性ガスであってもよい。
【0116】
一態様では、プラズマエネルギー及び流量は、外部パラメータによって決定され、したがって、最適な噴霧条件を達成するために噴霧時に調整することができる。
【0117】
一態様では、プラズマ溶射は、2~50の間のパス数又は反復数で塩基板上にラスタ方式で行うことができる。
【0118】
発泡ニッケル上に支持されたLLZO(Taドープ)固体イオン伝導性膜の断面走査型電子顕微鏡画像を、
図27に示す。
【0119】
発泡ニッケル上に支持されたLLZO(Taドープ)固体イオン伝導性膜のデジタル画像を
図27及び
図28に示す。
【実施例3】
【0120】
ゲルポリマー二次電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜はゲルポリマー二次電池に使用することができ、二次電池は、イオン伝導層状膜に加えて、イオン伝導ゲルポリマーを含有する。
【0121】
一例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の正の集電体上に形成することができる。層状膜の形成後、多孔質の正の集電体にカソード及びイオン伝導性ゲルポリマーを充填することができる。リチウム金属アノードは、固体イオン伝導性膜の反対側に形成することができる。例の概略図を、
図10に示す。
【0122】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、アルジロダイト(Li6PS5Cl)から構成することができる。
【0123】
一態様では、多孔質の正の集電体は、多孔質発泡アルミニウムであってもよい。
【0124】
一態様では、カソードは、電極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンから構成することができる。
【0125】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーは、ポリエチレングリコール(PEO)及びリチウム塩から構成することができる。
【0126】
一態様では、リチウム金属アノードは、蒸着を使用して層状膜上に堆積することができる。或いは、負の集電体上にコーティングしたリチウム金属アノードは、層状膜上に加圧成形することができる。
【0127】
一態様では、リチウム層の形成前にアルジロダイトを保護層でコーティングして、サイクル性を高めることができる。或いは、アルジロダイトに加圧成形する前に、リチウム金属アノードを保護層でコーティングしてもよい。
【0128】
リチウム金属をアルジロダイト上に加圧成形するシナリオでは、液体電解質をリチウムアノードとアルジロダイトとの間の界面に加えることができる。
【0129】
別の例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の負の集電体上に形成することができる。層状膜の形成後、多孔質の負の集電体にアノード及びイオン伝導性ゲルポリマーを充填することができる。カソードは、界面にゲルポリマーを含む固体イオン伝導性膜の反対側に形成することができる。例の概略図を、
図11に示す。
【0130】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、NASICON構造のLAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)から構成することができる。
【0131】
一態様では、多孔質の負の集電体は、多孔質発泡銅であってもよい。
【0132】
一態様では、アノードは、電極活物質としてのシリコン、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのスチレン-ブタジエンゴムから構成することができる。発泡銅の空隙により、シリコンの体積膨張が可能になる場合がある。加えて、シリコンは保護層でコーティングしてもよい。
【0133】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーは、ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、リチウム塩、及び有機ベースの液体電解質から構成することができる。
【0134】
一態様では、カソードは、アルミニウム箔集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのマンガン酸リチウム(LiMnO4)、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのスチレン-ブタジエンゴムから構成することができる。
【0135】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーは、ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、リチウム塩から構成することができ、有機ベースの液体電解質をカソード/層状膜界面で使用することができる。
【0136】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜を自立させてゲルポリマー電池に組み立てることができ、イオン伝導ゲルポリマーは、アノードとカソードの両方の界面で層状膜の両側に塗布する。例の概略図を、
図9に示す。
【0137】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ニオブドープリチウムランタンジルコニウム酸化物(Nb-LLZO)から構成することができる。
【0138】
一態様では、アノードは、銅集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのグラファイト、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンから構成することができる。
【0139】
一態様では、カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンから構成することができる。
【0140】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、リチウム塩、及び有機ベースの液体電解質から構成することができる。
【0141】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜をリチウム金属表面上に直接形成することができ、イオン伝導ゲルポリマーは、カソード/層状膜界面の反対側に塗布する。例の概略図を、
図12に示す。
【0142】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、リチウム金属上に溶射されたチオホスフェートガラスセラミック又はLPS(Li3PS4)から構成することができる。
【0143】
一態様では、LPS中の硫化物と反応しないように、リチウム金属又はリチウム金属合金を、ステンレス鋼箔上にコーティングすることができる。
【0144】
一態様では、LPSの溶射前に、リチウム金属又はリチウム金属合金を、保護層でコーティングしてもよい。
【0145】
一態様では、カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングして、電極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM-811)から構成することができ、保護層、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンでコーティングすることができる。
【0146】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーは、ポリエチレングリコール(PEO)、リチウム塩、及び有機ベースの液体電解質から構成することができる。
【実施例4】
【0147】
ハイブリッド/半固体二次電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜はハイブリッド又は半固体二次電池で使用することができ、二次電池は、イオン伝導層状膜に加えて、イオン伝導液体電解質を含有する。
【0148】
一例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の正の集電体上に形成することができる。層状膜の形成後、多孔質の正の集電体にカソード及び液体電解質を充填することができる。リチウム金属アノードは、固体イオン伝導性膜の反対側に形成することができる。例の概略図を、
図10に示す。
【0149】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、チオホスフェートガラスセラミック又はLPS(Li3PS4)から構成することができる。
【0150】
一態様では、多孔質の正の集電体は、多孔質発泡アルミニウムであってもよい。
【0151】
一態様では、カソードは、電極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)から構成することができ、保護層、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンでコーティングすることができる。
【0152】
一態様では、液体電解質は、ジメチルエーテル(DME)中の2Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)+リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)等の複塩有機ベースの液体電解質系であってもよい。
【0153】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードは、蒸着を使用して層状膜上に堆積することができる。或いは、負の集電体上にコーティングしたリチウム金属アノード又はリチウム金属合金は、層状膜上に加圧成形することができる。
【0154】
一態様では、リチウム層の形成前にLPSを保護層でコーティングして、サイクル性を高めることができる。或いは、LPSに加圧成形する前に、リチウム金属アノードを保護層でコーティングしてもよい。
【0155】
リチウム金属をLPS上に加圧成形するシナリオでは、液体電解質をリチウムアノードとLPSとの間の界面に加えることができる。
【0156】
別の例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の負の集電体上に形成することができる。層状膜の形成後、多孔質の負の集電体にアノード及び液体電解質を充填することができる。カソードは、界面に液体電解質を含む固体イオン伝導性膜の反対側に形成することができる。例の概略図を、
図11に示す。
【0157】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、硫化物固体電解質Thio-LISICON LGPS(Li10GeP2S12)から構成することができる。
【0158】
一態様では、多孔質の負の集電体は、多孔質発泡銅であってもよい。
【0159】
一態様では、アノードは、電極活物質としてのシリコン、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのスチレン-ブタジエンゴムから構成することができる。発泡銅の空隙により、シリコンの体積膨張が可能になる場合がある。加えて、シリコンは保護層でコーティングしてもよい。
【0160】
一態様では、液体電解質は、ジメチルエーテル(DME)中の2Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)+リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)等の複塩有機ベースの液体電解質系であってもよい。
【0161】
一態様では、カソードは、アルミニウム箔集電体上にコーティングして、電極活物質としてのマンガン酸リチウム(LiMnO4)から構成することができ、保護層、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのスチレン-ブタジエンゴムでコーティングすることができる。
【0162】
一態様では、液体電解質は、ジメチルエーテル(DME)中の2Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)+リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)等の複塩有機ベースの液体電解質系であってもよく、カソード/層状膜の界面で使用することができる。
【0163】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜を自立させてハイブリッド又は半固体二次電池に組み立てることができ、イオン伝導液体電解質は、アノードとカソードの両方の界面で層状膜の両側に塗布する。例の概略図を、
図9に示す。
【0164】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、混合ハロゲン配合物を有するアルジロダイト(Li6PS5ClxBry[X+Y=1])から構成することができる。
【0165】
一態様では、アノードは、銅集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのグラファイト、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンから構成することができる。
【0166】
一態様では、カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングして、電極活物質としてのリン酸鉄リチウム(LiFePO4)から構成することができ、保護層、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンでコーティングすることができる。
【0167】
一態様では、液体電解質は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)中の2Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)+リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)等の複塩有機ベースの液体電解質系であってもよい。
【0168】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜をリチウム金属又はリチウム金属合金表面上に直接形成することができ、イオン伝導液体は、カソード/層状膜界面の反対側に塗布する。例の概略図を、
図13に示す。
【0169】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、リチウム金属に溶射されたアルミニウムドープリチウムランタンジルコニウム酸化物(Al-LLZO)から構成することができる。
【0170】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金を、銅又はステンレス鋼箔上にコーティングすることができる。
【0171】
一態様では、Al-LLZOの溶射前に、リチウム金属又はリチウム金属合金を、保護層でコーティングしてもよい。
【0172】
一態様では、カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM-622)、導電媒体としてのカーボンブラック、及び結合剤としてのポリフッ化ビニリデンから構成することができる。
【0173】
一態様では、液体電解質は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート(EC/DMC/DEC1/1/1比)と2%のビニレンカーボネート(VC)との混合物中にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含んでもよい。
【実施例5】
【0174】
固体二次電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜は固体二次電池で使用することができ、二次電池は唯一のイオン伝導媒体として固体イオン伝導材料のみを含有する。
【0175】
一例では、固体イオン伝導性膜は自立型であり、固体二次電池に組み立てることができ、二次電池は、複合カソード、複合アノード又はリチウム金属アノード、及び層状膜から構成される。例の概略図を、
図9に示す。
【0176】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、タンタルドープリチウムランタンジルコニウム酸化物(Ta-LLZO)から構成することができる。
【0177】
一態様では、複合カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのニッケル酸化リチウム(LiNiO2)、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン、及びイオン伝導媒体としてのリチウム塩と混合したポリエチレンオキシド(PEO)から構成することができる。
【0178】
一態様では、複合アノードは、銅集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのグラファイト、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン、及びイオン伝導媒体としてのリチウム塩と混合したポリエチレンオキシド(PEO)から構成することができる。
【0179】
一態様では、複合アノードの代替物、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードを、保護層でコーティングしてサイクル寿命を向上させることができる。
【0180】
別の例では、固体イオン伝導性膜をリチウム金属又はリチウム金属合金表面上に噴霧又は直接形成することができ、複合カソードは、層状膜の反対側の表面上に組み立てられる。例の概略図を、
図13に示す。
【0181】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、アルジロダイト(Li6PS5Cl)から構成することができる。
【0182】
一態様では、複合カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングして、電極活物質としてのリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)から構成することができ、保護層、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン、及びイオン伝導媒体としてのリチウム塩と混合したポリアクリロニトリル(PAN)でコーティングすることができる。
【0183】
一態様では、硫化銅の形成を防ぐために、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードを、ステンレス鋼又はアルミニウム箔集電体上にコーティングすることができる。
【0184】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードは、インターロッキング層状構造の形成前に、サイクル性を高めるために保護層でコーティングすることができる。
【0185】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜を複合カソード上に噴霧又は直接形成することができ、リチウム金属、リチウム金属合金、又は複合アノードは、層状膜の反対側の表面上に組み立てられる。例の概略図を、
図12に示す。
【0186】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、NASICON構造のLAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)から構成することができる。
【0187】
一態様では、複合カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM-811)、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン、及びイオン伝導媒体としてのLAGPから構成することができる。
【0188】
或いは、複合カソードとは対照的に薄層カソードを使用してもよく、薄層カソードは、アルミニウム集電体上にコーティングされたNCM-811等の活物質の薄層である。
【0189】
一態様では、複合アノードは、銅集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのグラファイト、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン、及びイオン伝導媒体としてのリチウム塩と混合したポリエチレンオキシド(PEO)から構成することができる。
【0190】
一態様では、複合アノードの代替物、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードを、保護層でコーティングしてサイクル寿命を向上させることができる。
【0191】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜を複合アノード上に噴霧又は直接形成することができ、複合カソードは、層状膜の反対側の表面上に組み立てられる。例の概略図を、
図13に示す。
【0192】
一態様では、インターロッキング膜は、チオホスフェートガラスセラミック又はLPS(Li3PS4)から構成することができる。
【0193】
一態様では、複合アノードは、ステンレス鋼又はアルミニウム集電体上にコーティングされた、電極活物質としてのグラファイト、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのスチレン-ブタジエンゴム、及びイオン伝導媒体としてのLPSから構成することができる。
【0194】
或いは、複合アノードとは対照的に薄層アノードを使用してもよく、薄層アノードは、銅集電体上にコーティングされた酸化チタン等の活物質の薄層である。
【0195】
一態様では、アルミニウム集電体上にコーティングして、複合カソードは、電極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM-622)から構成することができ、保護層、導電媒体としてのカーボンブラック、結合剤としてのスチレン-ブタジエンゴム、及びイオン伝導媒体としてのLPSでコーティングすることができる。
【実施例6】
【0196】
金属-硫黄二次電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜は金属-硫黄二次電池で使用することができ、二次電池は金属アノード、硫黄アノード、及び層状膜を含む。
【0197】
一例では、固体イオン伝導性膜をリチウム金属又はリチウム金属合金のアノード上に噴霧することができ、二次電池はリチウム-硫黄二次電池である。例の概略図を、
図13に示す。
【0198】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、アルジロダイト(Li6PS5Cl)又はハロゲン混合比を伴うアルジロダイトから構成することができる。
【0199】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードは、サイクルを高めるために保護層でコーティングすることができる。
【0200】
一態様では、硫黄ベースのカソードを層状膜の反対側に組み立てることができる。また、硫黄は、カーボンナノチューブ等の開いた材料に封入してもよい。
【0201】
一態様では、硫黄ベースのカソードは、固体硫黄電池の場合には複合体ベースのカソードであってもよく、アルジロダイトがリチウムイオン伝導媒体として機能する。
【0202】
一態様では、リチウム-金属硫黄電池は、カソードにおけるリチウム輸送を更に促進するために、ゲルポリマー又は液体電解質を使用することができる。
【0203】
一例では、固体イオン伝導性膜をナトリウム金属又はナトリウム金属合金のアノード上に噴霧することができ、二次電池はナトリウム-硫黄二次電池である。例の概略図を、
図13に示す。
【0204】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ナトリウムベースのアルジロダイト(Na6PS5Cl)又はハロゲン混合比を伴うアルジロダイトから構成することができる。
【0205】
一態様では、ナトリウム金属又はナトリウム金属合金アノードは、サイクルを高めるために保護層でコーティングすることができる。
【0206】
一態様では、硫黄ベースのカソードを層状膜の反対側に組み立てることができる。また、硫黄は、カーボンナノチューブ等の開いた材料に封入してもよい。
【0207】
一態様では、硫黄ベースのカソードは、固体硫黄電池の場合には複合体ベースのカソードであってもよく、ナトリウムベースのアルジロダイトがイオン伝導媒体として機能する。
【0208】
一態様では、ナトリウム-金属硫黄電池は、カソードにおけるナトリウム輸送を更に促進するために、ゲルポリマー又は液体電解質を使用することができる。
【0209】
一例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の正の集電体上に噴霧することができ、多孔質集電体は、層状膜の形成後に硫黄が封入される。例の概略図を、
図10に示す。
【0210】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、硫化物固体電解質Thio-LISICON LGPS(Li10GeP2S12)から構成することができる。
【0211】
一態様では、正の集電体は、発泡アルミニウムから構成してもよい。
【0212】
一態様では、硫黄が封入された正の集電体は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))等の導電ポリマーで更に封入してもよい。
【0213】
一態様では、金属又は金属合金アノードは、蒸着を使用して層状膜上に堆積することができる。或いは、負の集電体上にコーティングした金属又は金属合金アノードは、層状膜上に加圧成形することができる。
【0214】
一態様では、金属層の形成前にLGPSを保護層でコーティングして、サイクル性を高めることができる。或いは、LGPS上に加圧成形する前に、金属アノードを保護層でコーティングしてもよい。
【0215】
金属アノードをLGPS上に加圧成形するシナリオでは、液体電解質を金属アノードとLPSとの間の界面に加えることができる。
【0216】
一例では、固体イオン伝導性膜は自立型であってもよく、金属アノードと硫黄ベースのカソードとの間に組み立てられる。例の概略図を、
図9に示す。
【0217】
一態様では、自立型固体イオン伝導性膜は、チオホスフェートガラスセラミック又はLPS(Li3PS4)から構成することができる。
【0218】
一態様では、アルミニウム箔上にコーティングされた硫黄ベースのカソードを金属硫黄電池に組み立てることができる。また、硫黄は、カーボンナノチューブ等の開いた材料に封入してもよい。
【0219】
一態様では、硫黄ベースのカソードは、固体硫黄電池の場合には複合体ベースのカソードであってもよく、LPSがイオン伝導媒体として機能する。
【0220】
一態様では、金属硫黄電池は、カソードにおけるナトリウム輸送を更に促進するために、ゲルポリマー又は液体電解質を使用することができる。
【0221】
一態様では、硫化銅の生成を回避するために、金属又は金属合金アノードを、ステンレス鋼又はアルミニウム箔集電体上にコーティングすることができる。
【0222】
一態様では、金属又は金属合金アノードは、サイクル性を高めるために保護層でコーティングすることができる。
【実施例7】
【0223】
空気型電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜はリチウム空気二次電池等の空気型電池に使用することができ、二次電池は、アノード、層状膜、及び触媒を含有する多孔質カソードを含有する。
【0224】
一例では、固体イオン伝導性膜は自立型であってもよく、層状膜はリチウム金属アノードと多孔質カソードとの間に組み立てられる。例の概略図を、
図14に示す。
【0225】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ニオブドープリチウムランタンアルミニウム酸化物(Nb-LLZO)から構成することができる。
【0226】
一態様では、多孔質カソードは、アルミニウムメッシュ等のメッシュ様構造体上にコーティングされた炭素材料から構成することができる。
【0227】
一態様では、白金等の触媒を、炭素材料上にコーティングするか、炭素材料内に混合することができる。
【0228】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードは、サイクルを高めるために保護層でコーティングすることができる。
【0229】
一態様では、イオン伝導液体又はゲルポリマーを電極とNb-LLZOとの間の界面に配置することができる。
【0230】
別の例では、固体イオン伝導性膜を、埋め込まれたアノード材料を含有する多孔質の負の集電体上に形成することができ、触媒を含有する多孔質カソードが、層状膜の反対側の表面上に組み立てられる。例の概略図を、
図15に示す。
【0231】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、NASICON構造のLAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)から構成することができる。
【0232】
一態様では、負の多孔質集電体は、発泡銅を含んでもよい。
【0233】
一態様では、アノード材料は、電極活物質としてのシリコン、結合剤、及びカーボンナノチューブ等の導電性添加剤を含むことができる。
【0234】
一態様では、イオン伝導液体又はゲルポリマーを多孔質カソードとLAGPとの間の界面に配置することができる。
【0235】
一態様では、LAGPの反対側の表面上に組み立てられた多孔質カソードは、鋼メッシュ等のメッシュ様構造体上にコーティングされた炭素材料から構成することができる。
【0236】
一態様では、酸化コバルト等の触媒を、炭素材料上にコーティングするか、炭素材料内に混合することができる。
【0237】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーを多孔質カソードとLAGPとの間の界面に配置することができる。
【0238】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜を多孔質カソード上に形成することができ、アノードを、層状膜の反対側の表面上に組み立てることができる。例の概略図を、
図16に示す。
【0239】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、(Li,La)TiO3等のペロブスカイト型酸化物から構成することができる。
【0240】
一態様では、まず多孔質カソードを多孔質支持基板上に形成することができ、多孔質支持基板は発泡アルミニウムで構成することができる。
【0241】
一態様では、マンガン等の触媒を、炭素材料上にコーティングするか、炭素材料内に混合することができる。
【0242】
一態様では、アノードは、結合剤及び電子添加剤と混合して、電極活物質としてのグラファイトから構成することができる。
【0243】
一態様では、アノードを層状膜上にコーティングするか、又は銅等の集電体上にコーティングして、空気電池に組み立てることができる。
【0244】
アノードを集電体上にコーティングするシナリオでは、層状膜とアノードとの間の界面にイオン伝導液体又はゲルポリマーを配置することができる。
【0245】
一態様では、グラファイトの代替物は、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードであってもよい。
【0246】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードは、蒸着を使用して層状膜上に堆積することができる。このシナリオでは、サイクルを高めるために、層状膜を保護層でコーティングすることができる。
【0247】
一態様では、銅箔等の集電体上にコーティングされたリチウム金属又はリチウム金属合金アノードを、空気電池に組み立てることができる。このシナリオでは、サイクルを高めるために、金属表面を保護層でコーティングすることができる。
【0248】
リチウム金属又はリチウム金属合金を集電体上にコーティングするシナリオでは、層状膜と金属アノードとの間の界面にイオン伝導液体又はゲルポリマーを配置することができる。
【0249】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜をリチウム金属アノード上に形成することができ、触媒を含有する多孔質カソードが、層状膜の反対側の表面上に組み立てられる。例の概略図を、
図14に示す。
【0250】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、アルミニウムドープリチウムランタンアルミニウム酸化物(Al-LLZO)から構成することができる。
【0251】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードは、サイクルを高めるために保護層でコーティングすることができる。
【0252】
一態様では、イオン伝導液体又はゲルポリマーを電極とNb-LLZOとの間の界面に配置することができる。
【0253】
一態様では、多孔質カソードは、アルミニウムメッシュ等のメッシュ様構造体上にコーティングされた炭素材料から構成することができる。
【0254】
一態様では、白金等の触媒を、炭素材料上にコーティングするか、炭素材料内に混合することができる。
【0255】
一態様では、イオン伝導ゲルポリマーを多孔質カソードとAl-LLZOとの間の界面に配置することができる。
【実施例8】
【0256】
水性又は海水電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜は海水二次電池で使用することができ、二次電池は、アノード、層状膜、及びカソード又はナトリウムイオン源としての海水を含有する。
【0257】
一例では、固体イオン伝導性膜をナトリウム金属又はナトリウム金属合金のアノード表面上に形成し、層状膜が金属を海水から保護する。例の概略図を、
図13に示す。
【0258】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ナトリウムイオン伝導NASICONから構成される
【0259】
一態様では、ナトリウム金属又はナトリウム金属合金を、銅箔等の集電体上にコーティングすることができる。
【0260】
一態様では、NASICON構造はナトリウム金属を海水から保護することができる。
【0261】
一態様では、海水電池は、ポリマー又は樹脂物質を銅の周囲並びに金属及びNASICON構造の側面にコーティングして更に保護することができる。
【0262】
一態様では、NASICON構造は、ナトリウムイオンの伝導を可能にするが水の侵入を防ぐ薄い保護層でコーティングしていてもよい。
【0263】
別の例では、固体イオン伝導性膜を、多孔質の負の集電体上に形成し、ハードカーボンアノードを、集電体に埋め込む。例の概略図を、
図11に示す。
【0264】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ナトリウムイオン伝導酸化ガーネット構造から構成される。
【0265】
一態様では、多孔質の負の集電体は、発泡銅から構成することができる。
【0266】
一態様では、活物質としてのハードカーボンアノードを、結合剤及び導電性添加剤と混合することができる。
【0267】
一態様では、海水電池は、ポリマー又は樹脂を発泡銅の外側周囲並びに酸化ガーネット構造の側面にコーティングして更に保護することができる。
【0268】
一態様では、ナトリウムイオンの輸送を更に促進するために、イオン伝導液体又はゲルポリマーをハードカーボン混合物に加えることができる。
【0269】
一態様では、酸化ガーネット構造は、ナトリウムイオンの伝導を可能にするが水の侵入を防ぐ薄い保護層でコーティングしてもよい。
【実施例9】
【0270】
アノードレス電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜はアノードレス二次電池で使用することができ、バイアスを印加すると、リチウム金属等の金属が、負の集電体と層状膜との間に形成される。
【0271】
一例では、固体イオン伝導性膜を平坦な集電体又は前処理された集電体上に噴霧することができ、集電体上にコーティングされたカソードを電池に組み立てて、アノードレス電池を形成する。例の概略図を、
図17に示す。
【0272】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、アルジロダイト(Li6PS5Cl)又はハロゲン混合比を伴うアルジロダイトから構成することができる。
【0273】
一態様では、集電体は、銅箔を含んでもよい。
【0274】
一態様では、アノードレス膜は全固体であってもよく、アルミニウム箔上にコーティングされたカソードは、活物質、結合剤、導電性添加剤、及びイオン伝導性媒体としてのアルジロダイトから構成される複合カソードである。
【0275】
一態様では、アノードレス膜は全固体でなくてもよく、アルミニウム箔上にコーティングされたカソードは、活物質、結合剤、及び導電性添加剤から構成される従来のカソードである。
【0276】
一態様では、非全固体アノードレス電池は、アルジロダイトの一方又は両方の界面にイオン伝導液体又はゲルポリマーを含有することができる。
【0277】
別の例では、固体イオン伝導性膜をカソード上に噴霧することができ、負の集電体が層状膜の反対側の表面上に組み立てられてアノードレス構造を形成する。例の概略図を、
図17に示す。
【0278】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ニオブドープリチウムランタンジルコニウム酸化物(Nb-LLZO)から構成することができる。
【0279】
一態様では、アノードレス膜は全固体であってもよく、アルミニウム箔上にコーティングされたカソードは、活物質、結合剤、導電性添加剤、及びイオン伝導性媒体としてのアルジロダイトから構成される複合カソードである。
【0280】
或いは、カソードは、アルミニウム箔上にコーティングされたコバルト酸リチウム(LiCoO2)等の薄い活物質層から構成することができる。
【0281】
一態様では、アノードレス膜は全固体でなくてもよく、アルミニウム箔上にコーティングされたカソードは、活物質、結合剤、及び導電性添加剤から構成される従来のカソードである。
【0282】
一態様では、非全固体アノードレス電池は、Nb-LLZOの一方又は両方の界面にイオン伝導液体又はゲルポリマーを含有することができる。
【実施例10】
【0283】
フロー型二次電池における固体イオン伝導性膜
一態様では、固体イオン伝導性膜は、リチウムフロー型又はレドックスフロー型二次電池におけるイオン伝導性セパレータとして使用することができ、層状膜を、アノード液とカソード液を分離してクロスオーバーを防ぐために使用する。
【0284】
一例では、固体イオン伝導性膜は自立型であってもよく、固体イオン伝導性膜を直接組み立ててフロー電池にして、アノード液とカソード液を分離して、クロスオーバーを防止する。例の概略図を、
図18に示す。
【0285】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、ドープリチウムランタンジルコニウム酸化物から構成することができる。
【0286】
一態様では、LLZO膜は、アノード液及び/又はカソード液を形成する溶媒ではなく、リチウムイオンの伝導を可能にする薄い保護層でコーティングすることができる。
【0287】
別の例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の負の集電体上に形成することができ、多孔質の負の集電体は、アノード材料及びアノード液を含有する。例の概略図を、
図19に示す。
【0288】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、アルジロダイト(Li6PS5Cl)又は混合ハロゲン配合物から構成することができる。
【0289】
一態様では、多孔質の負の集電体は、発泡銅から構成することができる。
【0290】
或いは、多孔質の負の集電体は、導電性金属層でコンフォーマルにコーティングされた発泡酸化アルミニウムから構成することができる。
【0291】
一態様では、負極活物質を導電性多孔質基板上にコンフォーマルにコーティングすることができる。
【0292】
一態様では、多孔質の負の集電体は、平面状であっても、管形状若しくは円筒形状の非平面状であってもよい。
【0293】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜を多孔質の正の集電体上に形成することができ、多孔質の正の集電体は、カソード材料及びカソード液を含有する。例の概略図を、
図20に示す。
【0294】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、NASICON構造のLAGP(Li1-xAlxGe2-x(PO4)3)から構成することができる。
【0295】
一態様では、多孔質の正の集電体は、発泡アルミニウムから構成してもよい。
【0296】
或いは、多孔質の正の集電体は、導電性ポリマー層でコンフォーマルにコーティングされた発泡酸化アルミニウムから構成することができる。
【0297】
一態様では、正極活物質を導電性多孔質基板上にコンフォーマルにコーティングすることができる。
【0298】
一態様では、多孔質の正の集電体は、平面状であっても、管形状若しくは円筒形状の非平面状であってもよい。
【0299】
更に別の例では、固体イオン伝導性膜をリチウム金属又はリチウム金属合金アノード表面上に形成することができ、フロー電池は、より正確には、アノード液を含まないハイブリッドフロー電池と説明することができる。例の概略図を、
図19に示す。
【0300】
一態様では、固体イオン伝導性膜は、硫化物固体電解質Thio-LISICON LGPS(Li10GeP2S12)から構成することができる。
【0301】
一態様では、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードを、ステンレス鋼等の集電体上にコーティングすることができる。
【0302】
一態様では、フロー電池のサイクルを高めるために、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードを保護層でコーティングしてもよい。
【0303】
或いは、リチウム金属又はリチウム金属合金アノードを多孔質導電性集電体上にコーティングしてもよく、多孔質集電体の空隙はアノード液で満たされる。
【0304】
上述のシステム及び方法は、リチウムベースの二次電池、限定されないが、例としてリチウムイオン電池、リチウム金属電池、全固体リチウム電池、水系電池、リチウムポリマー電池等に帰することができる。
【0305】
上述のシステム及び方法は、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、カリウムイオン等を含み得る、リチウムを超える化学的性質を有する二次電池に帰することができる。
【0306】
上述のシステム及び方法は、限定されないが、パウチセル、コイルセル(coil cell)、ボタンセル、円筒形セル、角形セル等の種々の二次電池設計に帰することができる。
【0307】
上述のシステム及び方法は、限定されないが、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、モバイル機器、ハンドヘルド電子機器、家庭用電化製品、医療、医療用ウェアラブル、及びポータブルエネルギー貯蔵用のウェアラブル等の最終用途を伴う二次電池に帰することができる。
【0308】
上述のシステム及び方法は、グリッド規模のエネルギー貯蔵バックアップシステム用の二次電池に帰することができる。
【0309】
上述のシステム及び方法は、寿命が長く、エネルギー密度及び出力密度が高く、安全性が向上している二次電池に帰することができる。
【0310】
上述のシステム及び方法は、一次電池、フロー電池、空気電池、及び溶融塩電池等の代替エネルギー貯蔵技術に帰することができ、固体イオン伝導性膜は、主要なイオン伝導性セパレータである。
【0311】
本記載の種々の態様は、以下の条項によって以下に表される。本出願は、これらの条項に表される態様に限定されない。むしろ、本記載は、これらの態様を、上述の、又は図面に示した任意の1つ又は複数の追加の特徴と組み合わせて含む。本開示には、例えば以下が含まれる:
【0312】
1. それらの間に電場を画定するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間の固体イオン伝導性膜とを含む電池であって、固体イオン伝導性膜は、多結晶微細構造を含み、多結晶微細構造は、多結晶微細構造の隣接粒子間の粒界を画定し、多結晶微細構造の粒界領域の大部分は、アノード及びカソードによって画定される電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、電池。
【0313】
2. 粒界領域の少なくとも55%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0314】
3. 粒界領域の少なくとも60%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0315】
4. 粒界領域の少なくとも65%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0316】
5. 粒界領域の少なくとも70%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0317】
6. 粒界領域の少なくとも75%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0318】
7. 粒界領域の少なくとも80%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0319】
8. 粒界領域の少なくとも85%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0320】
9. 粒界領域の少なくとも90%が、電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、条項1に記載の電池。
【0321】
10. 粒界領域のパーセンテージが、画定された電場の方向から35度以内の直交方向を有する、条項1から9のいずれか一項に記載の電池。
【0322】
11. 粒界領域のパーセンテージが、画定された電場の方向から30度以内の直交方向を有する、条項1から9のいずれか一項に記載の電池。
【0323】
12. 粒界領域のパーセンテージが、画定された電場の方向から25度以内の直交方向を有する、条項1から9のいずれか一項に記載の電池。
【0324】
13. 粒界領域のパーセンテージが、画定された電場の方向から20度以内の直交方向を有する、条項1から9のいずれか一項に記載の電池。
【0325】
14. 粒界領域のパーセンテージが、画定された電場の方向から15度以内の直交方向を有する、条項1から9のいずれか一項に記載の電池。
【0326】
15. 多結晶微細構造が、少なくとも2:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0327】
16. 多結晶微細構造が、少なくとも3:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0328】
17. 多結晶微細構造が、少なくとも4:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0329】
18. 多結晶微細構造が、少なくとも5:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0330】
19. 多結晶微細構造が、少なくとも6:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0331】
20. 多結晶微細構造が、少なくとも7:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0332】
21. 多結晶微細構造が、少なくとも8:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0333】
22. 多結晶微細構造が、少なくとも9:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0334】
23. 多結晶微細構造が、少なくとも10:1の長さ対厚さの平均比を有する複数の高アスペクト比粒子を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の電池。
【0335】
24. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも10パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0336】
25. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも20パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0337】
26. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも30パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0338】
27. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも40パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0339】
28. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも50パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0340】
29. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも60パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0341】
30. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも70パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0342】
31. 高アスペクト比粒子の量が、少なくとも80パーセントである、条項15から23のいずれか一項に記載の電池。
【0343】
32. 高アスペクト比粒子が少なくとも1ミクロンの平均長さを有する、条項15から31のいずれか一項に記載の電池。
【0344】
33. 高アスペクト比粒子が少なくとも2ミクロンの平均長さを有する、条項15から31のいずれか一項に記載の電池。
【0345】
34. 高アスペクト比粒子が少なくとも5ミクロンの平均長さを有する、条項15から31のいずれか一項に記載の電池。
【0346】
35. 高アスペクト比粒子が少なくとも10ミクロンの平均長さを有する、条項15から31のいずれか一項に記載の電池。
【0347】
36. 高アスペクト比粒子が少なくとも20ミクロンの平均長さを有する、条項15から31のいずれか一項に記載の電池。
【0348】
37. 高アスペクト比粒子が100ミクロン未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0349】
38. 高アスペクト比粒子が50ミクロン未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0350】
39. 高アスペクト比粒子が20ミクロン未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0351】
40. 高アスペクト比粒子が10ミクロン未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0352】
41. 高アスペクト比粒子が5ミクロン未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0353】
42. 高アスペクト比粒子が1ミクロン未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0354】
43. 高アスペクト比粒子が500nm未満の平均厚さを有する、条項15から36のいずれか一項に記載の電池。
【0355】
44. 固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造が部分的に非晶質である、条項1から43のいずれか一項に記載の電池。
【0356】
45. 電池用の固体イオン伝導性膜を製造する方法であって、イオン伝導性材料を溶融し、基板上に噴霧して、多結晶微細構造を有する固体イオン伝導性膜を形成する工程であり、多結晶微細構造は、多結晶微細構造の隣接粒子間の粒界を画定する、工程、及び固体イオン伝導性膜をアノードとカソードの間に配置する工程を含み、多結晶微細構造の粒界領域の大部分は、アノード及びカソードによって画定される電場の方向に対して実質的に垂直に配向している、方法。
【0357】
46. 固体イオン伝導性膜の多結晶微細構造が部分的に非晶質となるように、固体イオン伝導性膜を溶融相から急速に冷却する、条項45に記載の方法。
【0358】
種々の実施形態を示し説明してきたが、当業者が本明細書を読めば、改変に想到する。本出願はそのような改変を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0359】
2 電池
4 アノード
6 カソード
8 電場
10 固体イオン伝導性膜
12 多結晶微細構造
14 粒界
16 粒子
102 除去可能な基板
104 イオン伝導性膜
106 自立型固体イオン伝導性膜
108 多孔質支持基板上に支持されたイオン伝導性膜
110 多孔質支持基板
116 固体イオン伝導性膜/イオン伝導性膜
118 平坦な表面
122 イオン伝導性膜
124 予備成形された二次電池電極
126 集電体
128 負極集電体/負の集電体
130 二次電池負極
132 二次電池正極
134 正極集電体/正の集電体
136 導電性多孔質支持基板
138 埋め込まれた二次電池正極
140 埋め込まれた二次電池負極
142 二次電池を組み立てる
144 多孔質正極
146 酸素ガス又は雰囲気
148 導電性多孔質支持基板
150 バイアス
152 金属アノード層
154 フロー型二次電池負極
156 フロー型二次電池正極
158 アノード液
160 カソード液
162 金属又は金属合金アノード