(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-24
(45)【発行日】2025-08-01
(54)【発明の名称】密閉電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20250725BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20250725BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20250725BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20250725BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20250725BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20250725BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/536
H01M10/04 W
H01M10/0587
(21)【出願番号】P 2022508307
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2021009989
(87)【国際公開番号】W WO2021187349
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2020048656
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 仰
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-151527(JP,A)
【文献】特開2005-340005(JP,A)
【文献】特開2019-023975(JP,A)
【文献】特開2007-234276(JP,A)
【文献】特開2012-054203(JP,A)
【文献】特開2004-199938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00-10/39
50/00-50/198
50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極リードを有する電極体と、前記電極体を収容する有底筒状の外装缶と、前記外装缶の開口部を塞ぐ封口体とを備え、前記封口体および前記外装缶の少なくとも一方の内面に前記電極リードがエネルギー線溶接された密閉電池であって、
前記電極リードは、前記封口体または前記外装缶の内面に接する第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを含み、
幅方向断面において、前記第1主面と前記第2主面が非平行に形成さ
れ、
前記第1主面と前記内面とを接合する溶接部を含む溶融痕が、前記第1主面の垂直方向に対して傾斜するように形成されている、密閉電池。
【請求項2】
前記電極リードの幅方向断面において、前記第1主面に沿った仮想線αと、前記第2主面に沿った仮想線βとがなす角度θが1~45°である、請求項1に記載の密閉電池。
【請求項3】
前記電極リードの最小厚みT1に対する最大厚みT2の比率(T2/T1)は、0<T2/T1≦100である、請求項1または2に記載の密閉電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、密閉電池に関し、特に封口体および外装缶の少なくとも一方の内面に電極リードが溶接された密閉電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極リードを有する電極体と、電極体を収容する有底筒状の外装缶と、外装缶の開口部を塞ぐ封口体とを備えた密閉電池が広く知られている。電極リードには、正極に接続された正極リード、および負極に接続された負極リードが含まれ、例えば、円筒形電池では、正極リードが封口体の内面に、負極リードが外装缶の内面にそれぞれ接合されている。特許文献1には、電極リードが封口体の内面にレーザ溶接された密閉電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、封口体等に対する電極リードの接合部分は、振動や衝撃で電極リードが外れないように強く接合していることが好ましい。また、接合力だけでなく抵抗発熱を抑制するためにも、ある程度の接合面積を確保する必要がある。
【0005】
封口体等に対する電極リードの接合面積を確保するためには、リードの幅を大きくすればよいが、この場合、電池のエネルギー密度が低下するという問題がある。また、電極リードは剛性が高く変形し難いので、リードを拡幅すると、特に巻回型の電極体を備えた円筒形電池において、電極体にゆがみやずれが発生し易くなり、電池性能が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である密閉電池は、電極リードを有する電極体と、前記電極体を収容する有底筒状の外装缶と、前記外装缶の開口部を塞ぐ封口体とを備え、前記封口体および前記外装缶の少なくとも一方の内面に前記電極リードがエネルギー線溶接された密閉電池であって、前記電極リードは、前記封口体または前記外装缶の内面に接する第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを含み、前記第1主面と前記第2主面が非平行に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、幅広の電極リードを用いることなく、封口体等に対する電極リードの接合面積を拡大することが可能な密閉電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の一例である密閉電池の断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の一例である封口体および電極リードの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態の他の一例である電極リードの幅方向断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の他の一例である電極リードの幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の一例について詳細に説明する。以下では、本開示に係る密閉電池の実施形態の一例として、巻回型の電極体14が有底円筒形状の外装缶16に収容された円筒形電池を例示するが、電池は角形の外装缶を備えた角形電池であってもよい。また、電極体は、複数の正極と複数の負極がセパレータを介して交互に積層されてなる積層型であってもよい。本明細書では、説明の便宜上、封口体17側を「上」、外装缶16の底部側を「下」として説明する。
【0010】
図1は、実施形態の一例である密閉電池10の断面図である。
図1に示すように、密閉電池10は、電極体14と、電極体14を収容する有底筒状の外装缶16と、外装缶16の開口部を塞ぐ封口体17とを備える。また、外装缶16には電解質が収容されている。電極体14は、正極11と、負極12と、正極11および負極12の間に介在するセパレータ13とを含み、電極リードとして正極リード20および負極リード21を有する。電極リードは、一般的に、電極の芯体より厚みのある短冊状の金属板で構成される。また、電極体14は、正極11と負極12がセパレータ13を介して巻回されてなる巻回構造を有する。
【0011】
電解質は、水系電解質、非水電解質のいずれであってもよい。好適な密閉電池10の一例は、リチウムイオン電池等の非水電解質を含む非水電解質二次電池である。非水電解質は、例えば非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水溶媒には、エステル類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、およびこれらの2種以上の混合溶媒等が用いられる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。なお、非水電解質は液体電解質に限定されず、固体電解質であってもよい。電解質塩には、例えば、LiPF6等のリチウム塩が使用される。
【0012】
電極体14は、長尺状の正極11と、長尺状の負極12と、長尺状の2枚のセパレータ13と、正極11に接続された正極リード20と、負極12に接続された負極リード21とを有する。負極12は、リチウムの析出を抑制するために、正極11よりも一回り大きな寸法で形成される。即ち、負極12は、正極11より長手方向および短手方向(上下方向)に長く形成される。2枚のセパレータ13は、少なくとも正極11よりも一回り大きな寸法で形成され、例えば正極11を挟むように配置される。
【0013】
正極11は、正極芯体と、正極芯体の両面に設けられた正極合剤層とを有する。正極芯体には、アルミニウム、アルミニウム合金など正極11の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合剤層は、正極活物質、アセチレンブラック等の導電剤、およびポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の結着剤を含む。正極11は、正極芯体上に正極活物質、導電剤、および結着剤等を含む正極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧縮して正極合剤層を正極芯体の両面に形成することにより作製できる。
【0014】
正極活物質には、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物が用いられる。リチウム遷移金属複合酸化物に含有される金属元素としては、Ni、Co、Mn、Al、B、Mg、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Sr、Zr、Nb、In、Sn、Ta、W等が挙げられる。好適なリチウム遷移金属複合酸化物の一例は、Ni、Co、Mnの少なくとも1種を含有するリチウム金属複合酸化物である。具体例としては、Ni、Co、Mnを含有する複合酸化物、Ni、Co、Alを含有する複合酸化物が挙げられる。
【0015】
負極12は、負極芯体と、負極芯体の両面に設けられた負極合剤層とを有する。負極芯体には、銅、銅合金など負極12の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合剤層は、負極活物質、およびスチレンブタジエンゴム(SBR)等の結着剤を含む。負極12は、負極芯体上に負極活物質、および結着剤等を含む負極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧縮して負極合剤層を負極芯体の両面に形成することにより作製できる。
【0016】
負極活物質には、例えば鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、塊状人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛などの炭素系活物質が用いられる。負極活物質には、Si、Sn等のリチウムと合金化する金属、当該金属を含有する合金、当該金属を含有する化合物等が用いられてもよく、これらが炭素系活物質と併用されてもよい。
【0017】
電極体14の上下には、絶縁板18,19がそれぞれ配置される。
図1に示す例では、正極11に取り付けられた正極リード20が絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、負極12に取り付けられた負極リード21が絶縁板19の外側を通って外装缶16の底部側に延びている。正極リード20は、封口体17の電池の内側を向いた内面に溶接され、封口体17が正極外部端子となる。負極リード21は、外装缶16の底部内面に溶接され、外装缶16が負極外部端子となる。なお、負極リード21が封口体17の内面に接続されてもよく、この場合、封口体17が負極外部端子となる。
【0018】
外装缶16は、例えば、有底円筒形状の金属製容器である。外装缶16と封口体17との間には、樹脂製のガスケット28が設けられる。ガスケット28によって外装缶16と封口体17の隙間が塞がれ、電池内部が密閉されている。また、外装缶16は、例えば、側面部の外側からのスピニング加工により側面部に形成された、封口体17を支持する溝入部22を有する。溝入部22は、外装缶16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。外装缶16の上端部は、缶の内側に折り曲げられ封口体17の周縁部に加締められている。
【0019】
封口体17は、電極体14側から順に、内部端子板23、下弁体24、絶縁部材25、上弁体26、及びキャップ27が積層された構造を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体24と上弁体26は各々の中央部で接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。異常発熱で電池の内圧が上昇すると、下弁体24が上弁体26をキャップ27側に押し上げるように変形して破断することにより、下弁体24と上弁体26の間の電流経路が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体26が破断し、キャップ27の開口部27aからガスが排出される。
【0020】
本実施形態では、負極12と対応する部分に形成された正極11の芯体露出部に正極リード20が溶接され、電極体14の内部に正極リード20が挿入されているが、正極芯体の一部を上方に突出させて正極タブを形成し、この正極タブに正極リード20を溶接してもよい。
【0021】
以下、
図2および
図3を参照しながら、正極リード20の構成および封口体17に対する正極リード20の接合形態について詳説する。
図2は封口体17および正極リード20の斜視図、
図3は
図2中のAA線断面の一部を示す図である。さらに、
図3では、封口体17の下面23bの底面視における溶接部40を示す。
【0022】
図2および
図3に示すように、正極リード20は、封口体17の構成部材のうち最も電池の内側に位置する内部端子板23の下面23bに溶接されている。正極リード20は、内部端子板23の下面23bに接する第1主面30と、第1主面30と反対側の第2主面31と、リードの厚み方向に沿った側面32,33とを含む。そして、第1主面30と下面23bが接する部分の少なくとも一部に、第1主面30と下面23bを接合する溶接部40が形成されている。なお、内部端子板23には複数の開口23aが形成されている。このため、溶接部40は開口23aにかからないように形成される。
【0023】
正極リード20は、帯状の金属製部材で構成される。正極リード20を構成する金属は特に限定されないが、一例としてはアルミニウムが挙げられる。正極リード20は、例えば、全長にわたって一定の幅を有し、正極11の上端から延出した先端部分が内部端子板23の下面23bに沿うように曲げられている(
図1参照)。また、内部端子板23は、開口23aが形成された円板状の金属板で構成される。内部端子板23を構成する金属は、特に限定されないが、一例としてはアルミニウムが挙げられる。下面23bの正極リード20が溶接される部分は平坦である。
【0024】
正極リード20は、内部端子板23の下面23bにエネルギー線溶接されている。ここで、エネルギー線溶接とは、正極リード20を内部端子板23の下面23b上に配置した状態で、正極リード20の第2主面31側からエネルギー線を照射することにより、正極リード20および内部端子板23を溶融させて接合する溶接法である。このため、正極リード20および内部端子板23には、金属が溶融した後、再び固まった溶融痕41が存在する。なお、溶接部40は、第1主面30と下面23bが接合している部分であって、溶融痕41の一部である。
【0025】
溶接部40を形成するエネルギー線としては、レーザ、電子ビーム等が挙げられる。中でも、レーザを用いることが好ましい。レーザの種類は、正極リード20を溶接できるものであれば特に限定されないが、例えばYAGレーザ、CO2レーザ、YVO4レーザ、半導体(LD)レーザ等が挙げられる。レーザ光は、正極リード20の第2主面31に対して略垂直に照射する必要がある。なお、レーザ光が第2主面31に対して斜めに入射すると、第2主面31で反射するレーザ光が増えてエネルギーロスが多くなり、溶接部40を形成することが困難になる。以下、エネルギー線としてレーザを例に挙げて説明する。
【0026】
正極リード20では、第1主面30と第2主面31が非平行に形成されている。
図3に示す正極リード20の幅方向断面の形状は、三角形状に近い四角形状であって、側面33の長さが側面32の長さと比べて大幅に短くなっている。なお、側面32,33は互いに平行に形成され、第1主面30と直交し、内部端子板23の下面23bに対して垂直に配置されている。
【0027】
正極リード20の幅方向断面において、第1主面30に沿った仮想線をα、第2主面31に沿った仮想線をβとすると、仮想線α,βは非平行であり、短い方の側面33の先で交わる。
図3に示す例では、第2主面31の全体が、第1主面30に対して非平行である。そして、第2主面31の全体が、第1主面30が接する内部端子板23の下面23bに対して傾斜している。
【0028】
正極リード20は、上記のように、内部端子板23の下面23bにレーザ溶接されるが、この際、レーザ光を第2主面31に対して略垂直に照射してレーザ光の反射を抑制する必要がある。正極リード20によれば、第1主面30と第2主面31が非平行であるから、第2主面31に対して垂直にレーザ光を照射すると、第1主面30と下面23bが接する部分に対してはレーザ光が斜めに入射することになる。この斜めに入射するレーザ光により、第1主面と第2主面が平行な従来の電極リードを用いた場合と比べて、溶接部40の面積を拡大することが可能となる。
【0029】
本実施形態では、内部端子板23の下面23bに形成された溶融痕41(即ち、溶接部40)の仮想線αに沿った長さL1が、正極リード20の第2主面31に形成された溶融痕41の仮想線βに沿った長さL2より長くなっている。なお、従来の電極リードを用いた場合は、長さL1,L2は略等しくなる。つまり、本実施形態では、第1主面30と下面23bが接する部分に対して斜めに入射するレーザ光によって、従来の電極リードを用いた場合と比べて溶接部40が拡大する。
【0030】
正極リード20の第2主面31に対するレーザ光の照射スポットの形状(溶融痕41の形状)は、特に限定されず、略真円状(
図2参照)であってもよく、正極リード20の幅方法に長い線状であってもよい。例えば、レーザ光を正極リード20の幅方向に沿って走査することにより、幅方向に長い溶接部40を形成できる。一般的には、レーザ光の照射面積が大きくなるほど、溶接部40の面積は大きくなる。第2主面31に対するレーザ光の照射面積が同じである場合、正極リード20を用いることにより、従来の電極リードを用いた場合と比べて溶接部40を大きくすることができる。
【0031】
正極リード20の幅方向断面において、第1主面30に沿った仮想線αと、第2主面31に沿った仮想線βとがなす角度θ1、即ち内部端子板23の下面23bに対する第2主面31の傾斜角度は特に限定されないが、好ましくは5°以上であり、より好ましくは10°以上である。角度θ1を大きくするほど、上記の長さL2に対する長さL1の拡大倍率が大きくなる。
【0032】
角度θ1の上限値は、例えば45°である。巻回型の電極体14の場合、角度θ1を大きくし過ぎると、電極体14にゆがみやずれが発生する場合がある。なお、正極リード20の正極11に接続される部分は第1主面30と第2主面31を平行に形成し、内部端子板23に溶接される先端部は第1主面30と第2主面31を非平行に形成してもよい。この場合、角度θ1を大きくしても上記のような問題は発生しない。正極リード20に先端部だけに別の金属部材を設けて、第1主面30と第2主面31を非平行にしてもよい。
【0033】
角度θ1の好適な範囲の一例は、1~45°であり、より好ましくは5~45°、または5~30°、または10~30°である。
図3に示す例では、第1主面30(仮想線α)と側面32とがなす角度θ2が約90°であり、正極リード20の幅方向断面の形状は略直角三角形状である。角度θ2が直角である場合、第2主面31(仮想線β)と側面32とがなす角度θ3は、例えば45~89°であり、好ましくは45~75°、または50~75°、または50~70°である。
【0034】
正極リード20の最小厚みT1に対する最大厚みT2の比率(T2/T1)は、0<T2/T1≦100であることが好ましい。
図3に示す例では、側面33の長さに対する側面32の長さの比率がT2/T1と等しい。正極リード20の最大厚みT2は、例えば1mmであり、電池のエネルギー密度向上等の観点から、好ましくは0.7mm、より好ましくは0.5mmである。また、正極リード20の最小厚みT1は、例えば0.01mmであり、抵抗発熱の抑制、強度確保等の観点から、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上である。
【0035】
図4および
図5は、実施形態の他の一例である正極リード20x,20yの幅方向断面図である。以下では、上記実施形態と同じ構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。
図3に示す正極リード20では、第1主面30と側面32が直交し、角度θ2,θ3が異なっていたが、
図4に示す正極リード20xでは、第1主面30と側面32xが直交しておらず、角度θ2,θ3が略同一である。正極リード20xは、第1主面30と第2主面31xが略交わるように形成されており、その幅方向断面の形状は、略二等辺三角形状である。この場合も、第1主面30に沿った仮想線αと、第2主面31xに沿った仮想線βとがなす角度θ1は、例えば1~45°であり、より好ましくは5~45°、または5~30°、または10~30°である。
【0036】
また、
図5に示すように、第2主面31yには、第1主面30と非平行な斜面と、第1主面30と平行な平面とが含まれていてもよい。なお、斜面部分は平面部分よりも大面積に形成されることが好ましい。
図5に示す正極リード20yでは角度θ2,θ3が略同一であり、正極リード20yの幅方向断面の形状は五角形状である。この場合も、第1主面30に沿った仮想線αと、第2主面31yの斜面部分に沿った仮想線βとがなす角度θ1は、例えば1~45°であり、より好ましくは5~45°、または5~30°、または10~30°である。
【0037】
以上のように、上述の構成を備えた正極リード20,20x,20yを用いることにより、第1主面と第2主面が平行な従来の電極リードを用いた場合と比べて、内部端子板23に対する正極リード20の接合面積を大きくすることが可能である。
【0038】
なお、正極リード20に加えて、または正極リード20の代わりに、負極リード21の第1主面と第2主面を非平行に形成し、負極リード21に上述した正極リード20の構成を適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 密閉電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、16 外装缶、17 封口体、18,19 絶縁板、20 正極リード、21 負極リード、22 溝入部、23 内部端子板、23a,27a 開口、23b 下面、24 下弁体、25 絶縁部材、26 上弁体、27 キャップ、28 ガスケット、30 第1主面、31 第2主面、32,33 側面、40 溶接部、41 溶融痕、α,β 仮想線、θ1,θ2,θ3 角度