(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-28
(45)【発行日】2025-08-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/143 20220101AFI20250729BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20250729BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250729BHJP
【FI】
H04L67/143
G06F3/12 303
G06F3/12 329
G06F3/12 336
B41J29/38 401
(21)【出願番号】P 2021052886
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】野川 英樹
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-073128(JP,A)
【文献】特開2009-152849(JP,A)
【文献】特開2011-053985(JP,A)
【文献】特開2009-049481(JP,A)
【文献】特開2004-080331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部と、
端末装置と通信可能な通信部と、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶する外部装置から、通信先リストを取得する取得処理と、
前記1つ以上の端末装置に対し、前記取得処理により取得した前記通信先リストに前記端末装置が含まれるか含まれないかに応じて、前記端末装置からの指示に対して前記指示に対応する処理をするか、前記指示に対応する処理を制限するかの何れかを実行する指示対応処理と、
を実行し、
前記通信先リストは、
1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含み、
前記制御部は、
前記指示対応処理において、前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれる前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行し、前記通信先リストに含まれない第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限し、
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
取得した前記通信先リストに前記中継端末装置が含まれていない場合、前記通信先リストを取得した後、前記中継端末装置との通信を切断する切断処理を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
画像形成部と、
端末装置と通信可能な通信部と、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶する外部装置から、通信先リストを取得する取得処理と、
前記1つ以上の端末装置に対し、前記取得処理により取得した前記通信先リストに前記端末装置が含まれるか含まれないかに応じて、前記端末装置からの指示に対して前記指示に対応する処理をするか、前記指示に対応する処理を制限するかの何れかを実行する指示対応処理と、
を実行し、
前記通信先リストは、
1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含まず、
前記制御部は、
前記指示対応処理において、前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれない前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行し、前記通信先リストに含まれる第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限し、
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
取得した前記通信先リストに前記中継端末装置が含まれている場合、前記通信先リストを取得した後、前記中継端末装置との通信を切断する切断処理を実行する、画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、
可搬型の画像形成装置である、請求項
1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通信先リストは、
少なくとも1つ以上の前記端末装置について、MACアドレス及びBluetooth(登録商標)のPublic Addressのうち、少なくとも一方の情報を含む、請求項1から請求
項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
前記中継端末装置から取得した前記通信先リストについて、前記サーバから送信した前記通信先リストであるか否かを、前記サーバへ問い合わせる問い合わせ処理を実行し、
前記問い合わせ処理の結果、前記サーバから送信した前記通信先リストである場合、前記通信先リストに基づいて前記指示対応処理を実行する、請求項1から請求
項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記画像形成装置は、
前記サーバから送信したデータであるか否かを判断するための確認情報を有し、
前記制御部は、
前記取得処理において、前記中継端末装置から前記通信先リストを取得し、
前記中継端末装置から取得した前記通信先リストについて、前記サーバから送信したデータであるか否かを、前記確認情報に基づいて確認する確認処理を実行し、
前記確認処理の結果、前記サーバから送信した前記通信先リストである場合、前記通信先リストに基づいて前記指示対応処理を実行する、請求項1から請求
項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
前記中継端末装置が前記第1端末装置及び前記第2端末装置の何れであるか否かに係わらず前記通信先リストを前記中継端末装置から取得する、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記画像形成装置の電源が投入される条件、前記取得処理により前記通信先リストを取得してから所定時間だけ経過する条件、及びユーザから前記通信先リストを取得する指示を受け付ける条件のうち、少なくとも1つの条件が成立した場合に、前記取得処理を実行する、請求項1から請求
項7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記取得処理において、複数の前記通信先リストを前記外部装置から取得し、自装置の状態に応じて前記指示対応処理で使用する前記通信先リストを選択する、請求項1から請求
項8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
前記取得処理において、前記中継端末装置から前記通信先リストを取得し、
前記中継端末装置は、
複数の前記通信先リストを前記サーバから取得し、前記画像形成装置の状態に応じた前記通信先リストを選択して前記画像形成装置へ送信する、請求項1から請求
項9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記指示対応処理において、前記第1端末装置から取得した画像形成指示に基づく前記画像形成部による画像形成を実行し、前記第2端末装置から取得した画像形成指示に基づく前記画像形成部による画像形成を実行しない、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記指示対応処理において、前記第1端末装置から前記通信部に対して接続要求を取得した場合、接続を許可し、前記第2端末装置から前記通信部に対して接続要求を取得した場合、接続を許可しない、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記取得処理を実行した後、取得した前記通信先リストに含まれない前記第2端末装置との間で通信を接続していた場合、その通信の接続を切断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記通信先リストは、
少なくとも1つ以上の前記端末装置の識別情報と、前記端末装置からの指示に対して許可する処理とが対応付けられており、
前記制御部は、
前記指示対応処理において、前記第1端末装置から指示された処理が、前記通信先リストで許可された処理に該当する場合、その指示に対応する処理を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記外部装置は、
サーバであり、
前記サーバは、
少なくとも1つ以上の前記端末装置について、機能の制限、及びデータの消去のうち、少なくとも一方が可能である、請求項1から請求項
14の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
画像形成部と、
端末装置と通信可能な通信部と、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶する外部装置から、1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含む通信先リストを取得する取得処理と、
前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれる前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行し、前記通信先リストに含まれない第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限する指示対応処理と、
を実行し、
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
取得した前記通信先リストに前記中継端末装置が含まれていない場合、前記通信先リストを取得した後、前記中継端末装置との通信を切断する切断処理を実行する、画像形成装置。
【請求項17】
画像形成部と、
端末装置と通信可能な通信部と、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶する外部装置から、1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含まない通信先リストを取得する取得処理と、
前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれない前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行し、前記通信先リストに含まれる第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限する指示対応処理と、
を実行し、
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記制御部は、
取得した前記通信先リストに前記中継端末装置が含まれている場合、前記通信先リストを取得した後、前記中継端末装置との通信を切断する切断処理を実行する、画像形成装置。
【請求項18】
端末装置と通信可能な画像形成装置のコンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
前記画像形成装置は、
画像形成部と、
前記端末装置と通信可能な通信部と、
を備え、
前記コンピュータに、
前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶する外部装置から、通信先リストを取得する取得処理と、
前記1つ以上の端末装置に対し、前記取得処理により取得した前記通信先リストに前記端末装置が含まれるか含まれないかに応じて、前記端末装置からの指示に対して前記指示に対応する処理をするか、前記指示に対応する処理を制限するかの何れかを実行する指示対応処理と、
を実行させ、
前記通信先リストは、
1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含み、
前記コンピュータに、
前記指示対応処理において、前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれる前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行させ、前記通信先リストに含まれない第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限させ、
前記外部装置は、
サーバから前記通信先リストを取得可能な中継端末装置であり、
前記コンピュータに、
取得した前記通信先リストに前記中継端末装置が含まれていない場合、前記通信先リストを取得した後、前記中継端末装置との通信を切断する切断処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信相手との通信を制限するフィルタリング設定が可能な画像形成装置に係わる技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1の画像形成装置は、通信のポート番号によるフィルタリング設定が可能となっている。プリンタは、特定のポート番号、例えば、印刷に用いるRAWプロトコルのポート番号を、デフォルトの番号から変更する場合に、フィルタリング設定の変更によって有効となるポート番号や無効となるポート番号を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の画像形成装置では、画像形成装置で動作するアプリケーションが使用するポート番号に応じて、通信の接続を有効又は無効にする設定を受け付けている。ところで、画像形成装置に対して接続要求や印刷指示を行い得る端末装置が複数存在する場合、複数の端末装置からの指示に応じて、画像形成装置で実行する処理を変更したい場合がある。このため、画像形成装置と通信し得る端末装置に対して処理を変更する技術が必要となる。
【0005】
本願は、上記した課題を解決する技術を開示するものであり、通信相手の端末装置に対する処理の変更をサーバで管理できる画像形成装置、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される画像形成装置は、画像形成部と、端末装置と通信可能な通信部と、制御部と、を備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶するサーバから、1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含む通信先リストを取得する取得処理と、前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれる前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行し、前記通信先リストに含まれない第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限する指示対応処理と、を実行する。
【0007】
また、本願に開示される画像形成装置は、画像形成部と、端末装置と通信可能な通信部と、制御部と、を備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記画像形成装置、及び少なくとも1つ以上の前記端末装置の状態を取得し記憶するサーバから、1つ以上の前記端末装置のうち、少なくとも第1端末装置を含まない通信先リストを取得する取得処理と、前記取得処理により取得した前記通信先リストに含まれない前記第1端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を実行し、前記通信先リストに含まれる第2端末装置からの指示に対しては前記指示に対応する処理を制限する指示対応処理と、を実行する。
【0008】
また、本明細書に開示の内容は、画像形成装置としての実施に限らず、例えば、画像形成装置と通信可能な端末装置のコンピュータで読み取り可能なプログラムとして実施しても有益である。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の画像形成装置、プログラムによれば、通信相手の端末装置に対する処理の変更をサーバで管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示す印刷システムのブロック図である。
【
図3】通信先リストに記憶されたデータを示す図である。
【
図4】別例の通信先リストに記憶されたデータを示す図である。
【
図5】端末DBに記憶されたデータを示す図である。
【
図6】プリンタDBに記憶されたデータを示す図である。
【
図7】通信先リスト処理におけるサーバ、端末装置、及びプリンタの処理を示すシーケンス図である。
【
図8】通信先リスト処理におけるサーバ、端末装置、及びプリンタの処理を示すシーケンス図である。
【
図9】第2実施形態の通信先リスト処理におけるサーバ、端末装置、及びプリンタの処理を示すシーケンス図である。
【
図10】第3実施形態の通信先リスト処理におけるサーバ、端末装置、及びプリンタの処理を示すシーケンス図である。
【
図11】第4実施形態の通信先リスト処理におけるサーバ、端末装置、及びプリンタの処理を示すシーケンス図である。
【
図12】第5実施形態の通信先リスト処理におけるサーバ、端末装置、及びプリンタの処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本願に係わる画像形成装置、プログラムを具体化した一実施形態である第1実施形態の印刷システム10について図面を参照しつつ説明する。
図1は、印刷システム10の概略構成図であり、
図2は、印刷システム10のブロック図である。
図1及び
図2に示すように、印刷システム10は、サーバ11、管理PC13、複数の端末装置15、及び複数のプリンタ17を備えている。尚、
図2は、図面が煩雑となるのを避けるため、1つの端末装置15と、1つのプリンタ17のみを図示している。また、印刷システム10は、1つの端末装置15と、1つのプリンタ17を備える構成でも良く、1つの端末装置15で複数のプリンタ17を使用する構成でも良く、複数の端末装置15で1つのプリンタ17を使用する構成でも良い。
【0012】
例えば、印刷システム10を利用する会社は、ユーザ(営業を担当する社員など)に端末装置15やプリンタ17を貸与する。ユーザは、端末装置15を操作することで、プリンタ17による印刷を実行することができる。また、サーバ11は、例えば、端末装置15を管理する管理サーバである。端末装置15やプリンタ17の管理者(会社のシステム管理者など)は、管理PC13を操作することで、サーバ11の管理機能を利用し、端末装置15の機能を制限することができる。
【0013】
詳述すると、サーバ11は、例えば、MDM(Mobile Device Management)サーバであり、管理対象である複数の端末装置15を一元的に管理するサーバでる。サーバ11は、サーバ制御部21、通信IF(インタフェースの略)22を備えている。サーバ制御部21等は、通信バス23を介して互いに通信可能となっている。通信IF22は、例えば、LANインタフェースであり、ネットワーク19に接続されている。ネットワーク19は、例えば、インターネットなどの広域ネットワーク、LANの他に、4G、5Gといった移動通信のネットワークを含んでいる。
【0014】
サーバ制御部21は、サーバ11を統括的に制御するものである。サーバ制御部21は、サーバ記憶部24及びサーバCPU25を備えている。サーバ記憶部24は、例えば、RAM、ROM、及びHDDを組み合わせて構成されている。サーバ記憶部24には、サーバプログラム26、通信先リスト27、端末DB(データベースの略)28、及びプリンタDB29が記憶されている。サーバプログラム26は、サーバ11に各種処理を実行させるプログラムである。例えば、サーバ制御部21は、サーバCPU25でサーバプログラム26を実行することで、サーバ11に対するアクセスなどを制御する。また、サーバ制御部21は、サーバCPU25でサーバプログラム26を実行することで、管理PC13から取得した指示に基づいて、MDMの管理対象である端末装置15に対する機能の制限などを実行する。
【0015】
尚、以下の説明では、サーバCPU25でサーバプログラム26を実行するサーバ制御部21のことを、単に装置名やプログラム名で記載する場合がある。例えば、「サーバ11が通信IF22を介して管理PC13から指示を取得する」という記載は、「サーバ制御部21がサーバCPU25でサーバプログラム26を実行することで通信IF22を制御し、通信IF22を介して管理PC13から指示を取得する」ということを意味する。後述する管理プログラム38をCPU31で実行する管理PC13、OSプログラム49やアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという場合がある)50を端末CPU48で実行する端末装置15、プリンタプログラム71をプリンタCPU70で実行するプリンタ17についても同様である。また、本願における「取得」とは、要求を必須とはしない概念で用いる。即ち、サーバ11が要求することなく指示を受信するという処理も、「サーバ11が指示を取得する」という概念に含まれる。
【0016】
通信先リスト27は、サーバ11から各プリンタ17に送付するデータである。プリンタ17は、サーバ11から取得した通信先リスト27(プリンタ側の通信先リスト72)に基づいて、通信相手の端末装置15に対する処理を変更する。端末DB28は、各端末装置15を管理するためのデータである。プリンタDB29は、各プリンタ17の通信先リスト72を管理するためのデータである。通信先リスト27、端末DB28、プリンタDB29の詳細については後述する。
【0017】
次に、管理PC13について説明する。以下の、管理PC13、端末装置15、プリンタ17の説明では、上記したサーバ11と同様の内容については、適宜省略する。管理PC13は、例えば、ノート型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータである。管理PC13は、CPU31、記憶部32、ユーザIF33、ディスプレイ34、通信IF35を備える。CPU31等は、通信バス37を介して互いに通信可能となっている。管理PC13は、記憶部32に記憶された管理プログラム38をCPU31で実行することで、各種処理を実行する。管理PC13は、ユーザIF33(マウスやキーボードなど)に対する操作入力に応じてディスプレイ34の表示内容を変更する。また、管理PC13は、通信IF35を介してネットワーク19に接続可能となっている。
【0018】
次に、端末装置15について説明する。端末装置15は、例えば、スマートフォンである。尚、本願の端末装置は、スマートフォンに限らず、タブレット端末やノートPCなどでも良い。端末装置15は、端末制御部41、第1通信IF43、第2通信IF44、タッチパネル45を備える。端末制御部41等は、通信バス46を介して互いに通信可能となっている。
【0019】
端末制御部41は、端末装置15を統括的に制御し、端末記憶部47及び端末CPU48を備えている。端末記憶部47は、例えば、RAM、ROM等を組み合わせて構成されている。端末記憶部47には、OSプログラム49、アプリケーション50が記憶されている。OSプログラム49は、端末装置15を統括的に制御するプログラムであり、アプリケーション50に基本的な機能やサービスを提供する。OSプログラム49は、例えば、Android(登録商標)OSやiOS(登録商標)である。また、端末装置15が例えばノートPCである場合、OSプログラム49は、Windows(登録商標)OSなどである。
【0020】
アプリケーション50は、例えば、プリンタ17のベンダから提供されるプログラムであり、OSプログラム49の機能等を利用して、プリンタ17への印刷指示の送信、プリンタ17の設定情報の取得、プリンタ17に対する設定指示の送信等を実行するプログラムである。端末制御部41は、OSプログラム49やアプリケーション50を端末CPU48で実行し、端末装置15の動作を制御する。
【0021】
従って、サーバ11のサーバプログラム26や管理PC13の管理プログラム38には、Android(登録商標)OS等で動作する端末装置15を制御可能なMDMに対応したプログラムが含まれている。例えば、管理者は、管理PC13を操作し、サーバ11のMDM機能を利用して、端末装置15に対する各種の制御を実行できる。ここでいう各種の制御とは、例えば、管理対象のそれぞれの端末装置15における通信機能等の機能の制限、端末装置15のデータの削除、初期化、画面ロック、紛失ロックなどの制限制御である。尚、サーバ11は、上記した機能の制限、データの削除、初期化、画面ロック、紛失ロックなどの制限制御のうち、少なくとも1つの制御が可能なサーバでも良い。
【0022】
また、サーバ11は、MDM機能に加え、MAM(Mobile Application Management)機能を備えている。サーバ11は、例えば、管理PC13からの指示に基づいて、端末装置15に対するアプリケーション50のインストール、インストール時のパラメータの設定などの制御が可能である。尚、サーバ11は、MAM機能を備えなくとも良い。
【0023】
第1通信IF43は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能な通信インタフェースである。端末装置15は、第1通信IF43を介してプリンタ17の第1通信IF61と通信可能であり、印刷指示等をプリンタ17に送信可能である。第2通信IF44は、例えば、4G、5G等の移動通信システムのネットワークとの通信や、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信が可能な通信インタフェースである。端末装置15は、第2通信IF44を介してネットワーク19に接続される。端末装置15は、第2通信IF44を介してもプリンタ17と通信可能であり、印刷指示等をプリンタ17に送信可能である。尚、端末装置15を、ネットワーク19に有線で接続しても良い。また、上記した通信方式は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、第1通信IF43の通信規格は、Bluetooth(登録商標)規格に限らず、NFC等の他の近距離無線通信の規格でも良い。また、第2通信IF44は、例えば、Wi-Fi Allianceによって策定されたWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式により、プリンタ17の第2通信IF62と通信可能な構成でも良い。
【0024】
また、端末装置15は、タッチパネル45を介してユーザの操作入力を受け付ける。また、端末装置15は、各種情報をタッチパネル45に表示する。尚、端末装置15が備えるユーザIFは、タッチパネル45に限らず、タッチパネル45の他に、又は替えてボタンスイッチやスライドスイッチを備えても良い。また、端末装置15は、LCDなどの表示装置と、キーボードなどの入力装置を別々に備えても良い。
【0025】
次に、プリンタ17について説明する。プリンタ17は、例えば、持ち運び可能な可搬型の印刷装置であり、端末装置15との間で有線通信又は無線通信を介して取得した印刷ジョブの画像データをシート(感熱紙など)に印刷する。プリンタ17は、第1通信IF61、第2通信IF62、電源部63、印刷部64、ユーザIF65、プリンタ制御部67を備えている。第1通信IF61等は、通信バス68を介して互いに通信可能となっている。
【0026】
第1通信IF61は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能な通信インタフェースであり、端末装置15の第1通信IF43と通信する。第2通信IF62は、例えば、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANや有線LANの通信が可能な通信インタフェースである。プリンタ17は、例えば、会社内や出張先のアクセスポイントに第2通信IF62を介して接続することで、ネットワーク19と接続できる。
【0027】
電源部63は、例えば、商用電源の電力からプリンタ17内の各装置へ供給する電力を生成する電源回路やバッテリを備えている。このため、プリンタ17は、商用電源に接続されていない状態でも、バッテリを電源として印刷動作等が可能なモバイルプリンタである。尚、電源部63は、商用電源を利用可能な電源回路又はバッテリの一方のみを備える構成でも良い。また、本願の画像形成装置としては、例えば、ラベルプリンタ、レシートプリンタ等の他の持ち運びが可能な画像形成装置でも良く、バッテリ駆動が可能なFAX装置、スキャナ装置でも良い。また、画像形成装置は、据え置き型のプリンタでも良く、印刷機能、FAX機能、スキャナ機能、コピー機能を備えた複合機でも良い。
【0028】
印刷部64は、例えば、サーマルヘッド等を備え、ダイレクトサーマル方式によりシートに画像を印刷する。尚、印刷部64は、電子写真方式やインクジェット方式で印刷する構成でも良い。ユーザIF65は、例えば、タッチパネル、押しボタンスイッチ等であり、ユーザからの操作入力の受け付けや各種の情報の表示を行う。尚、プリンタ17は、タッチパネルを備えず、押しボタンスイッチやスライドスイッチなどのスイッチのみを備える構成でも良い。
【0029】
プリンタ制御部67は、プリンタ17を統括的に制御するものである。プリンタ制御部67は、プリンタ記憶部69及びプリンタCPU70を備えている。プリンタ記憶部69は、RAM、ROM等を組み合わせて構成されている。プリンタ記憶部69は、プリンタプログラム71、通信先リスト72、テンプレートデータ74、個人情報75を記憶可能となっている。プリンタプログラム71は、例えば、プリンタ17の各部を統括的に制御するファームウェアである。プリンタ制御部67は、プリンタCPU70でプリンタプログラム71を実行し、印刷部64等を制御する。通信先リスト72は、サーバ11から取得した通信先リスト27の情報である。
【0030】
テンプレートデータ74は、例えば、領収書や報告書などの定型的な書類を印刷する際に使用するテンプレートのデータや、会社のロゴなどの書類に定型的に使用するデータである。個人情報75は、例えば、テンプレートに挿入等するデータであり、プリンタ17のユーザの名前・所属、顧客名、顧客の住所などの情報である。プリンタ17は、例えば、印刷ジョブで指定されたテンプレートや個人情報を用いて印刷を実行する。あるいは、プリンタ17は、ユーザIF65に対する所定の操作に基づいて、予め設定されたテンプレートや個人情報を用いた印刷を実行する。尚、
図2に破線で示す確認情報76については、後述する第2実施形態で説明する。第1実施形態のプリンタ17は、この確認情報76を備え、確認情報76を用いた制御を実行しても良く、確認情報76を備えない構成でも良い。
【0031】
(通信先リスト27,72、端末DB28、プリンタDB29について)
ここで、本実施形態のプリンタ17は、第1通信IF43や第2通信IF44を介して端末装置15から印刷指示等を取得することができる。このため、何も制限しない状態では、プリンタ17は、正規のユーザの端末装置15だけでなく、不特定の端末装置15から印刷指示等を取得し、実行してしまう可能性がある。例えば、会社の前任のユーザ等が、過去のプリンタ17の履歴を使って端末装置15をプリンタ17に接続して印刷を実行する可能性がある。また、モバイルプリンタのような可搬型の画像形成装置では、出張先や営業先で、所有者以外の第三者から接続される虞がある。プリンタ17が不正に使用されると、シート等の消耗品が第三者に消費される、サーマルヘッド等の部品が使用によって劣化する、あるいは、個人情報75が印刷等によって漏洩する可能性がある。そこで、本実施形態の印刷システム10では、通信先リスト27,72を用いて、プリンタ17に接続可能な端末装置15を制限し、印刷等の指示が可能な端末装置15を制限する。通信先リスト72は、上記したように、サーバ11側の通信先リスト27をプリンタ17に記憶させたデータである。このため、以下の説明では、主に通信先リスト72について説明し、通信先リスト27についての説明を適宜省略する。
【0032】
図3は、通信先リスト72に記憶されたデータの一例を示している。
図3に示すように、通信先リスト72は、複数のMACアドレスが記憶されている。複数のMACアドレスは、端末装置15の第2通信IF44のLANインタフェース(例えば、Wi-Fi(登録)用の通信インタフェース)のMACアドレスである。プリンタ17は、通信先リスト72にMACアドレスの情報が設定された(以下、「通信先リスト72に記載された」という場合がある)第2通信IF44、即ち、記載されたMACアドレスの端末装置15については自装置の第2通信IF62への接続を許可する。一方、プリンタ17は、通信先リスト72に記載されていないMACアドレスの端末装置15については自装置への接続を拒否する。従って、本実施形態の通信先リスト72は、所謂、ホワイトリストである。
【0033】
また、
図3に示すように、通信先リスト72は、複数のMACアドレスの各々に、処理内容の情報が関連付けられて記憶されている。
図3に示す例では、処理内容として、「印刷」と、「設定変更」の2つの処理内容が記憶されている。この処理内容は、各MACアドレスの端末装置15からプリンタ17に接続があり、接続後の端末装置15からプリンタ17に印刷指示や設定変更指示があった場合に、その指示に基づく処理を許可するか否かを示している。図中の「○」は許可することを示しており、「×」は許可しないことを示している。例えば、プリンタ17は、上から1番目のMACアドレス「01:01:XX:XX:XX:XX」の端末装置15から接続があった場合、接続後の指示として、印刷指示と、自装置への設定変更指示の両方を受け付け、指示に応じた処理を実行する。一方、プリンタ17は、上から2番目のMACアドレス「23:01:XX:XX:XX:XX」の端末装置15から接続があった場合、接続後の指示として、印刷指示は受け付けず、設定変更指示のみを受け付ける。このようにして、プリンタ17は、端末装置15ごとに許可する処理内容を変更できる。
【0034】
尚、
図3に示す通信先リスト72の内容は、一例である。例えば、処理内容は、上記した2つの処理内容に限らず、印刷のプレビュー処理、テンプレートデータ74を用いた印刷処理などでも良い。また、プリンタ17が印刷以外の機能も有している場合には、スキャン機能やFAX機能などを、通信先リスト72の処理内容として採用しても良い。
【0035】
また、
図3に示す通信先リスト72は、第2通信IF44のMACアドレス(LANインタフェース)の場合を図示しているが、他の通信方式でも同様に設定できる。例えば、各端末装置15の第1通信IF43でBluetooth(登録商標)規格に準じた通信を実行する場合、通信先リスト72は、Bluetooth(登録商標)の通信インタフェース固有の物理アドレス(Public Address)が設定される構成でも良い。この場合、MACアドレスと同様に、通信先リスト72に、接続を許可するPublic Addressを記載しても良い。あるいは、近距離無線通信としてNFC方式の通信を用いる場合、NFCIDを、端末装置15を識別する情報として用いて、通信先リスト72に記載しても良い。
【0036】
また、
図3に示す例では、接続を許可するMACアドレスに、処理内容を関連付けて通信先リスト72に設定したが、
図4に示すように、接続を許可するMACアドレスのみを設定しても良い。この場合、プリンタ17は、通信先リスト72に記載された端末装置15のみ接続を許可し、接続後は印刷処理及び設定変更処理を一律に許可しても良い。この場合、プリンタ17は、接続を受けた際に、接続元の端末装置15のMACアドレスのみを通信先リスト72で確認し、通信先リスト72に記載されていれば、以降の処理において、接続した端末装置15からの指示を全て実行しても良い。
【0037】
あるいは、通信先リスト72に、MACアドレスを記載しなくとも良い。プリンタ17は、接続指示を受け付けた端末装置15については、接続を許可するものの、接続後の印刷処理や設定変更処理の実行を、通信先リスト72に基づいて判断しても良い。従って、本願における「第1端末装置からの指示」とは、接続指示に限らず、印刷指示や設定変更指示などの他の指示でも良い。
【0038】
また、
図3、
図4に示す例では、通信先リスト72として、通信先リスト72に記載されたMACアドレスについて接続を許可する、所謂、ホワイトリストを採用したが、これに限らない。通信先リスト72として、通信先リスト72に記載されたMACアドレスについて接続を許可しない、所謂、ブラックリストを採用しても良い。この場合、例えば、
図4のMACアドレスの一覧をブラックリストとして用いた場合、プリンタ17は、通信先リスト72に記載された端末装置15の接続を許可しない。一方、プリンタ17は、通信先リスト72に記載されていない端末装置15については、接続を許可する。また、このようなブラックリストの場合にも、接続後の端末装置15に許可する処理内容を通信先リスト72に設定しても良い。さらに、プリンタ17は、ホワイトリストを使用するモードと、ブラックリストを使用するモードとを切り替え可能な構成でも良い。
【0039】
また、
図5は、端末DB28に記憶されたデータの一例を示している。端末DB28には、端末装置15を管理するためのデータが記憶されている。
図5に示すように、端末DB28には、例えば、端末ID、ユーザアカウント、パスワード、物理アドレス、インストール済みのアプリケーションなどの情報が関連付けて記憶されている。端末IDは、例えば、端末装置15のベンダによって端末装置15に付与されたシリアル番号であり、端末装置15を他の端末装置15と識別可能な固有の情報である。ユーザアカウントは、端末装置15の使用を許可されたユーザのアカウント名である。パスワードは、そのユーザアカウントのパスワードである。物理アドレスは、端末装置15の通信インタフェース、より具体的には、例えば、第1通信IF43のMACアドレスと、第2通信IF44のPublic Addressである。インストール済みのアプリケーションは、端末装置15にインストールされたアプリケーション(アプリケーション50を含む)の種類を示す情報である。端末装置15にインストールされるアプリケーションは、上記したように、MDM機能により、サーバ11によってインストール又はアンインストールされる。サーバ11は、管理PC13から端末装置15に対する指示を受け付けて実行等すると、端末DB28の情報を更新する。尚、
図5に示す例は、一例である。サーバ11は、MDM機能により、端末装置15のデータの初期化や、画面ロックを実施したか否かを示す情報を端末DB28に記憶しても良い。
【0040】
図6は、プリンタDB29に記憶されたデータの一例を示している。プリンタDB29は、プリンタ17の通信先リスト27,72に関する情報が記憶されている。本実施形態のサーバ11は、端末DB28を用いた端末装置15の状態の管理だけでなく、プリンタ17の状態の管理も実行する。
図6に示すように、プリンタDB29には、プリンタID、確認日時、通信先リストが関連付けて記憶されている。プリンタIDは、例えば、プリンタ17のベンダによってプリンタ17に付与されたシリアル番号であり、プリンタ17を他のプリンタ17と識別可能な固有の情報である。確認日時は、後述する真贋処理(
図7のS29)によって通信先リスト27の真贋を確認した日時の情報である。通信先リストは、プリンタ17に送信した通信先リスト27、即ち、プリンタ17が保持している通信先リスト72のリスト名の情報である。
【0041】
尚、サーバ11は、複数の種類の通信先リスト27を所有し、プリンタ17ごとに使用する通信先リスト27を使い分けても良く、全てのプリンタ17で同じ通信先リスト27を使用しても良い。例えば、大規模の会社等であれば、部署ごと異なる通信先リスト27を準備しても良く、小規模の会社等であれば、全てのプリンタ17で同じ通信先リスト27を使用し、通信先リスト27を一括で更新して接続制限や処理内容の制限(接続制限等という場合がある)を実行しても良い。
【0042】
(通信先リスト処理)
次に、上記した印刷システム10が実行する通信先リスト処理について、
図7、
図8を用いて説明する。
図7、
図8は、通信先リスト処理におけるサーバ11、端末装置15、及びプリンタ17の処理を示している。印刷システム10は、通信先リスト処理を実行することで、通信先リスト27,72に基づいてプリンタ17に接続可能な端末装置15の制限や、接続した後の端末装置15からプリンタ17に対して指示可能な処理内容(印刷、設定変更)の制限を実行する。尚、本明細書のシーケンス図は、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU(サーバCPU25、CPU31、端末CPU48、プリンタCPU70)の処理を示す。即ち、以下の説明における「要求」、「送信」、「判断」等の処理は、CPUの処理を表している。CPUによる処理は、プログラムを介したハードウェア制御も含む。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0043】
また、以下の説明では、一例として、Wi-Fi(登録商標)の無線通信インタフェースのMACアドレスが通信先リスト27に設定され、MACアドレスによる接続制限や処理内容の制限を実行する場合について説明する。尚、Bluetooth(登録商標)のPublic Addressなどの他の物理アドレスを用いた場合にも同様に接続制限等を実行することができる。また、3台の端末装置15からプリンタ17へ接続する場合について説明する。各端末装置15を区別するため、端末装置15A,15B,15Cと称して説明する。また、端末装置15を区別せずに総称する場合は、端末装置15と記載する。端末装置15Aは、例えば、システム管理者の端末装置15Aであり、通信先リスト72にMACアドレスの情報が設定されていない端末装置15Aである。また、端末装置15Bは、例えば、プリンタ17の使用を許可されていない社員や、社外の第三者の端末装置15Bであり、通信先リスト72に記載されていない端末装置15Bである。端末装置15Cは、プリンタ17のユーザの端末装置15Cであり、通信先リスト72に記載された端末装置15Cである。また、プリンタ17には、初期状態として、通信先リスト72がプリンタ制御部67に記憶されていないものとする。また、下記の説明では、主に、通信先リスト72がホワイトリストである場合について説明するが、ブラックリストである場合についても同様に実施することができる。
【0044】
まず、
図7のステップ(以下、単に「S」と記載する)11に示すように、端末装置15Aからサーバ11へ、ネットワーク19を介して通信先リスト27を要求する指示を送信する(以下、単に「要求する」と記載する場合がある)。端末装置15は、例えば、アプリケーション50が起動された場合に、S11を実行して通信先リスト27を要求する。あるいは、端末装置15は、アプリケーション50を起動した後、タッチパネル45に対する操作入力に基づいて通信先リスト27を要求しても良い。端末装置15Aは、端末CPU48でアプリケーション50を実行することで、S11以降の処理を実行する。
【0045】
サーバ11は、S11の要求を取得すると、通信先リスト27を端末装置15Aへ送信する(S13)。例えば、全社員で同一の通信先リスト27を使用する場合、サーバ記憶部24に通信先リスト27を一つだけ記憶させておき、サーバ11が、その通信先リスト27を端末装置15へ送信する(S13)。あるいは、サーバ11は、端末装置15Aから端末装置15Aの端末IDやプリンタ17のプリンタIDを取得し、端末IDやプリンタIDに応じた通信先リスト27を特定し端末装置15Aへ送信しても良い。
【0046】
端末装置15Aは、S13で通信先リスト27を取得すると、ネットワーク19を介したWi-Fi(登録商標)方式の通信により、プリンタ17へ接続要求を送信する(S15)。通信先リスト27の送信先のプリンタ17を指定する方法は、特に限定されない。端末装置15は、例えば、アプリケーション50の印刷設定で設定された、即ち、選択中のプリンタ17やデフォルトのプリンタ17へ通信先リスト27を送信しても良い。あるいは、端末装置15は、例えば、同一LAN内のプリンタ17を検索して一覧を表示し、一覧から通信先リスト27を送信するプリンタ17の選択を、ユーザから受け付けても良い。
【0047】
プリンタ17は、接続要求を受け付けると、自装置が通信先リスト72を保持しているか否かを判断する(S17)。プリンタ17は、通信先リスト72を保持していないため、接続を許可する応答を端末装置15Aへ送信する(S19)。尚、プリンタ17は、既に通信先リスト72を保持している場合、その通信先リスト72に基づいて端末装置15Aの接続を許可するか否かを判断する。この通信先リスト72を用いて接続の可否を判断する処理については後述する。
【0048】
また、プリンタ17は、通信先リスト27を端末装置15Aへ要求する(S21)。従って、本実施形態のプリンタ17は、自装置が通信先リスト72を保持していない状態では、接続の可否を判断せずに、換言すれば、接続要求を送信した端末装置15がサーバ11の通信先リスト27に記載されているか否かに係わらず、接続要求に対して接続を許可し(S19)、その端末装置15(今回は、端末装置15A)へ通信先リスト27を要求する(S21)。これにより、プリンタ17と通信可能な(接続要求を送信できる)全ての端末装置15について接続を許可し、その端末装置15を介してサーバ11から通信先リスト27を取得できる。例えば、プリンタ17が、インターネット(サーバ11)に接続されていない場合、端末装置15を介して通信先リスト27を取得できる。
【0049】
尚、接続の可否を判断せずに端末装置15の接続を許可し、端末装置15から通信先リスト27を取得する条件は、上記した通信先リスト27を保持していない条件に限らない。例えば、プリンタ17は、自装置の電源が投入される条件、通信先リスト27を取得してから所定時間だけ経過する条件、及びユーザから通信先リスト27を取得する指示を受け付けた条件のうち、少なくとも1つの条件が成立した場合に、接続の可否を判断せずに接続を許可する状態に移行し、端末装置15を介して通信先リスト27を取得しても良い。例えば、プリンタ17は、電源がオフされるごとに、自装置の通信先リスト72を破棄しても良い。そして、プリンタ17は、電源が投入されると、接続を許可する状態となり、通信可能な全ての端末装置15からの接続を許可し通信先リスト27を取得しても良い。例えば、プリンタ17が電源を投入されるごとに端末装置15を介してサーバ11に接続されるような環境にあれば、電源がオフされるごとに通信先リスト72を破棄することで、常に最新の通信先リスト27を使用できる。
【0050】
あるいは、プリンタ17は、通信先リスト27を取得し装置の設定に反映してから第1時間だけ経過した場合に、通信先リスト72を破棄/無効等しても良い。そして、プリンタ17は、通信先リスト27を取得してから第2時間だけ経過すると、接続の可否を判断せずに接続を許可する状態となり、通信可能な端末装置15からの接続を許可し通信先リスト27を取得しても良い。この第2時間は、第1時間よりも短い時間であることが好ましい。これにより、通信先リスト72の有効時間を第1時間に設定し、その第1時間が経過するまでに、第2時間の経過に基づいて通信先リスト72を更新することが可能となる。また、プリンタ17は、通信先リスト27のデータが何らかの原因でプリンタ記憶部69から消えてしまった場合にも、端末装置15からの接続を許可し通信先リスト27を取得しても良い。
【0051】
あるいは、プリンタ17は、ユーザIF65に対する操作入力に基づいて、新しい通信先リスト27を取得する指示を受け付けても良い。そして、プリンタ17は、指示を受け付けると、通信先リスト72を破棄する。これにより、プリンタ17は、通信先リスト72を保持しない状態となり、接続の可否を判断せずに端末装置15からの接続を許可する状態となる。また、プリンタ17は、指示を受け付けると、通信先リスト72の保持の有無や保持している通信先リスト72の内容に係わらず、端末装置15の接続を許可する状態に移行しても良い。また、プリンタ17は、電源ボタンを3秒以上長く押すなどの特定の操作に基づいて接続を許可する状態に移行しても良い。また、EWS(Embedded Web Server)などのプリンタ17の内部サーバへアクセスして設定が変更されることを条件に、接続を許可する状態に移行しても良い。これにより、ユーザの操作に基づいて、通信先リスト27を更新することができる。
【0052】
端末装置15Aは、S21の要求を取得すると、S13でサーバ11から取得した通信先リスト27をプリンタ17へ送信する(S23)。プリンタ17は、端末装置15Aから通信先リスト27を取得すると、取得した通信先リスト27の真贋をサーバ11へ問い合わせる真贋要求を、端末装置15Aを介してサーバ11へ送信する(S25,S27)。プリンタ17は、S25を実行することで、端末装置15Aを介して取得した通信先リスト27が、サーバ11から端末装置15Aへ送信した通信先リスト27であるか否か、即ち、正規の通信先リスト27であるのか否かをサーバ11へ問い合わせる。
【0053】
プリンタ17は、S25,S27において、S23で取得した通信先リスト27と、自装置のプリンタIDを、真贋要求と併せてサーバ11へ送信する。サーバ11は、S27で端末装置15から真贋要求を取得すると、通信先リスト27の真贋を判断する(S29)。サーバ11は、端末装置15Aを介してプリンタ17へ、真贋の判断結果を送信する(S31,S33)。プリンタ17は、サーバ11から取得した判断結果を確認する(S35)。
【0054】
例えば、サーバ11は、S29において、自装置のサーバ記憶部24に記憶された通信先リスト27の中に、プリンタ17から取得した通信先リスト27が含まれているか否かを判断する。サーバ11は、含まれている場合、正規の通信先リスト27である、即ち、自装置から端末装置15Aへ送信した通信先リスト27である旨の判断結果をプリンタ17へ送信する(S31,S33)。この場合、プリンタ17は、S35で正規の通信先リスト27であると判断し、端末装置15Aから取得した通信先リスト27を、通信先リスト72として自装置の設定に反映する(S37)。プリンタ17は、以降の端末装置15との間の通信において、設定に反映した通信先リスト72を用いて接続制限等を実行する。また、サーバ11は、S27で取得したプリンタIDと、S29で真贋を確認した確認日時と、真贋を確認した通信先リスト27のリスト名を関連付けてプリンタDB29に記憶する(
図6参照)。これにより、サーバ11は、プリンタDB29に基づいて、プリンタ17の通信先リスト72を管理することができる。
【0055】
また、サーバ11は、S29において、自装置の通信先リスト27の中に、プリンタ17から取得した通信先リスト27が含まれていない場合、正規の通信先リスト27でない、即ち、自装置から端末装置15Aに送信していない通信先リスト27である旨の判断結果をプリンタ17へ送信する(S31,S33)。この場合、プリンタ17は、S35で正規の通信先リスト27でないと判断し、端末装置15Aから取得した通信先リスト27を破棄し設定に反映しない。プリンタ17は、通信先リスト72を保持していない状態を維持し、再度、端末装置15A等からの接続を許可し、通信先リスト27を取得する状態となる。これにより、サーバ11が送信していない非正規の通信先リスト27がプリンタ17の設定に反映されることを抑制できる。正規のユーザがプリンタ17を利用できない状態となることを抑制できる。また、本来使用権限のないユーザが、プリンタ17を不正に利用することを抑制できる。
【0056】
尚、通信先リスト27の真贋を確認する方法は、上記したサーバ11が保持する通信先リスト27であるか否かを確認する方法に限らない。例えば、サーバ11は、S13で通信先リスト27を送信した端末装置15Aの端末IDと、送信した通信先リスト27の情報を履歴情報として残しても良い。そして、サーバ11は、S29において、S27の真贋要求を取得した端末装置15Aの端末IDと、通信先リスト27とが履歴情報に残っていた場合、正規の通信先リスト27であると判断しても良い。
【0057】
プリンタ17は、S37において、通信先リスト27を通信先リスト72として装置の設定に反映させると、接続中の端末装置15Aについて、反映させた通信先リスト72に基づいて接続を許可しても良いデバイスであるか否かを判断する(S39)。上記したように端末装置15Aは、通信先リスト72に記載されていない。例えば、端末装置15Aは、プリンタ17の通信先リスト72を設定するシステム管理者の端末であり、印刷等でプリンタ17を使用するユーザの端末ではないため、通信先リスト72に記載されていない。このため、プリンタ17は、端末装置15Aとの間のWi-Fi(登録商標)方式の通信を切断する(S41)。従って、プリンタ17は、通信先リスト27を取得した後、通信先リスト27に記載されていない端末装置15A(本願の第2端末装置の一例)との間で通信を接続していた場合、その通信の接続を切断する(S41)。また、プリンタ17は、通信先リスト27をサーバ11から取得するために中継した端末装置15A以外の端末装置15が仮に接続されていた場合、通信先リスト72を設定した後に、その端末装置15が通信先リスト72に設定されていなければ通信を切断しても良い。また、プリンタ17は、通信先リスト72を更新した場合、古い通信先リスト72に記載されているが、新しい通信先リスト72に記載されていない端末装置15については、通信を切断しても良い。尚、通信先リスト72がブラックリストの場合も同様に実施できる。この場合、例えば、端末装置15Aは、通信先リスト72に記載された(接続を許可しない)端末装置15となる。プリンタ17は、接続中の端末装置15Aが通信先リスト72に記載されているため(S39)、端末装置15Aとの間の通信を切断する(S41)。
【0058】
また、ネットワーク19(ルータ等)を介した端末装置15とプリンタ17との間の通信において、通信相手の端末装置15のMACアドレスをプリンタ17が取得する方法は、特に限定されない。例えば、プリンタ17は、端末装置15との間で送受信する通信データから端末装置15のMACアドレスを検出できる場合は、そのMACアドレスをS39の判断処理に用いても良い。また、プリンタ17は、ARP(Address Resolution Protocol)のリクエストを送信して端末装置15のIPアドレスからMACアドレスを特定しても良い。あるいは、プリンタ17は、端末装置15のアプリケーション50に、端末装置15のMACアドレスを問い合わせても良い。
【0059】
次に、
図8を用いて、通信先リスト72を反映した後の処理について説明する。例えば、プリンタ17は、
図7のS41で端末装置15Aとの通信を切断した後、端末装置15Bからネットワーク19を介して接続要求を取得する(S43)。プリンタ17は、接続要求を取得すると、通信先リスト72に端末装置15BのMACアドレスが記載されているか否かを判断し、端末装置15Bが接続を許可しても良いデバイスであるか判断する(S45)。プリンタ17は、端末装置15Bが通信先リスト27に記載されていないため、接続を許可しない旨を端末装置15Bに通知し、接続を拒否する(S47)。
【0060】
例えば、プリンタ17は、端末装置15Bとの間のTCP/IPプロトコルの通信において、端末装置15Bからコネクションの確立要求のパケット(SYNパケット)を取得した場合に(S43)、コネクションの確立を拒否するパケット(RSTパケット)を応答する(S47)。あるいは、プリンタ17は、S43の接続要求を破棄し、端末装置15Bのアプリケーション50へ通信エラー等を通知しても良い(S47)。また、プリンタ17は、S47の端末装置15Bへの通知を実行せず、S43の接続要求を破棄しても良い。また、Bluetooth(登録商標)規格の通信においても、同様に、通信先リスト72に基づいて接続を拒否できる。例えば、プリンタ17は、Bluetooth(登録商標)規格の通信によりペアリングの要求を受け付けた場合(S43)、ペアリングの要求を拒否しても良い(S47)。また、プリンタ17は、接続要求に係わらず、印刷指示や設定変更指示についても、通信先リスト72に記載のない端末装置15Bからの指示は拒否等する。尚、通信先リスト72がブラックリストの場合も同様に実施できる。この場合、例えば、端末装置15Bは、通信先リスト72に記載された端末装置15となる。プリンタ17は、S43の接続要求を受けた端末装置15Bが通信先リスト72に記載されているため(S45)、端末装置15Bとの接続を拒否する(S47)。
【0061】
一方、プリンタ17は、通信先リスト72に記載された端末装置15Cから接続要求を取得した場合(S49)、通信先リスト72に基づいて接続しても良いデバイスと判断し(S51)、接続を許可する(S53)。尚、通信先リスト72がブラックリストの場合も同様に実施できる。この場合、例えば、端末装置15Cは、通信先リスト72に記載されていない端末装置15となる。プリンタ17は、S49の接続要求を受けた端末装置15Cが通信先リスト72に記載されていないため(S51)、接続を許可する(S53)。
【0062】
S53で接続を確立した後、プリンタ17は、端末装置15Cから印刷指示を取得すると(S55)、通信先リスト72に基づいて、印刷を実行しても良いデバイスであるか否かを判断する(S57)。プリンタ17は、通信先リスト72において、端末装置15CのMACアドレスに関連付けられた処理内容を確認する(
図3参照)。プリンタ17は、端末装置15Cの印刷が許可(
図3の「○」)である場合、印刷指示に基づく印刷を実行する(S59)。プリンタ17は、印刷が完了すると、完了通知を端末装置15Cへ送信する(S61)。これにより、通信先リスト72で印刷が許可された端末装置15からの印刷指示のみを実行できる。尚、プリンタ17は、端末装置15Cが通信先リスト72で印刷を許可されていなかった場合、例えば、印刷を実行せずに、印刷エラーを端末装置15Cのアプリケーション50へ通知する。あるいは、端末装置15への応答は実行せずに、自装置のユーザIF65にエラーを表示しても良い。また、
図4に示すような、MACアドレスだけを設定した通信先リスト72を用いる場合、プリンタ17は、S53で接続を確立した後、印刷指示を受け付けた場合(S55)、S57の判断処理(処理内容の判断)を実行せずに、印刷を実行する(S59)。
【0063】
また、通信先リスト72がブラックリストの場合も同様に実施できる。この場合、例えば、ブラックリストの通信先リスト72に、接続を許可した端末装置15に許可する処理内容を、接続を拒否する(ブラックリスト)のMACアドレスとは別に設定しても良い。そして、プリンタ17は、ブラックリストとは別に設定された処理内容の情報に基づいて、接続を許可した端末装置15C等について、印刷を許可するか否かを判断しても良い。あるいは、
図5に示すような、MACアドレスだけを設定したブラックリストの通信先リスト72を用いる場合、プリンタ17は、通信先リスト72に記載されていない端末装置15Cと接続した後、印刷指示を受け付けた場合(S55)、S57の判断処理を実行せずに、印刷を実行しても良い(S59)。
【0064】
また、プリンタ17は、設定の変更指示についても、印刷指示と同様に処理できる。プリンタ17は、端末装置15Cから設定変更の指示を取得すると(S63)、通信先リスト72に基づいて、設定変更を実行しても良いデバイスであるか否かを判断する(S65)。プリンタ17は、端末装置15Cによる設定変更が許可されている場合、指示に基づく設定変更を実行する(S67)。例えば、プリンタ17は、時刻の設定変更、テンプレートデータ74や個人情報75の内容の変更、IPアドレスの変更などを受け付けても良い。プリンタ17は、設定変更が完了すると、完了通知を端末装置15Cへ送信する(S69)。これにより、通信先リスト72で許可された端末装置15のみに設定変更を許可できる。尚、プリンタ17は、端末装置15Cが通信先リスト72で設定変更を許可されていなかった場合、例えば、設定変更を実行せずに、エラーを端末装置15Cへ通知する。尚、設定変更指示においても、上記した印刷指示と同様に、通信先リスト72がブラックリストの場合には、ブラックリストに基づいた制御が実行できる。
【0065】
因みに、プリンタ17は、画像形成装置の一例である。第1通信IF61、第2通信IF62は、通信部の一例である。印刷部64は、画像形成部の一例である。プリンタ制御部67は、制御部の一例である。端末装置15Cは、第1端末装置の一例である。端末装置15Aは、中継端末装置の一例である。端末装置15Bは、第2端末装置の一例である。アプリケーション50は、プログラムの一例である。S13,S23は、取得処理、送信処理の一例である。S47,S53,57,S59,65,S67は、指示対応処理の一例である。S41は、切断処理の一例である。S25は、問い合わせ処理の一例である。
【0066】
(効果)上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のプリンタ17は、プリンタ17、及び少なくとも1つ以上の端末装置15の状態を取得し記憶するサーバ11から通信先リスト72(通信先リスト27)を取得する(S13,S23)。プリンタ17は、S23で取得した通信先リスト72が所謂、ホワイトリストである場合、通信先リスト72に含まれる端末装置15Cからの指示(S49の接続要求、S53の印刷指示、S63の設定変更指示)に対しては指示に対応する処理を実行する(S53,S59,S67)。一方、プリンタ17は、通信先リスト72に含まれない端末装置15Bからの指示(接続要求など)に対しては指示に対応する処理を実行しない(S47)。
【0067】
これによれば、複数の端末装置15の何れかから指示を取得した場合に、プリンタ17で実行する処理内容を、サーバ11から取得した通信先リスト72によって変更できる。例えば、プリンタ17を使用する可能性があるユーザが複数存在する場合や、プリンタ17を持ち出して使用する場合など、不特定のユーザからプリンタ17に接続要求や印刷指示を受ける可能性がある。このような、プリンタ17に対して接続要求や印刷指示を行い得る端末装置15が複数存在する場合、複数の端末装置15A,15B,15Cからの指示に応じてプリンタ17で実行する処理を、サーバ11から取得した通信先リスト72によって変更できる。従って、プリンタ17の処理を、サーバ11で管理できる。システム管理者等は、サーバ11の通信先リスト27を設定・変更等することで、複数のプリンタ17の通信先リスト27(動作)を一括して管理できる。
【0068】
(2)プリンタ17は、S13,S23において、端末装置15Aを介してサーバ11から通信先リスト72を取得する。プリンタ17は、取得した通信先リスト72がホワイトリストであり、且つ通信先リスト72に端末装置15Aが含まれていない場合、通信先リスト72を取得した後、端末装置15Aとの通信を切断する(S41)。これによれば、通信先リスト72を取得するために接続した端末装置15Aについても、その端末装置15Aが通信先リスト72に記載されていなかった場合は、接続中であっても通信を切断する。これにより、通信先リスト72を取得した後は、通信先リスト72に記載された端末装置15のみをプリンタ17に接続させることができる。
【0069】
(3)また、通信先リスト72が所謂ブラックリストの場合にも上記したホワイトリストと同様に接続制限等を実行できる。例えば、プリンタ17は、取得した通信先リスト72に含まれない端末装置15Cからの指示に対してはその指示に対応する処理を実行する(S53,S59,S67)。一方、プリンタ17は、通信先リスト72に含まれる端末装置15Bからの指示に対しては指示に対応する処理を実行しない(S47)。これによれば、複数の端末装置15A,15B,15Cからの指示に応じてプリンタ17で実行する処理を、サーバ11から取得した通信先リスト72によって変更できる。
【0070】
(4)また、端末装置15Aを介してサーバ11からブラックリストの通信先リスト72を取得した場合にも、プリンタ17は、通信先リスト72に端末装置15Aが含まれている場合、通信先リスト72を取得した後、端末装置15Aとの通信を切断しても良い(S41)。これによれば、これにより、通信先リスト72を取得した後は、通信先リスト72に記載されていない端末装置15のみをプリンタ17に接続させることができる。
【0071】
(5)また、プリンタ17は、可搬型の画像形成装置である。モバイルプリンタのような可搬型の画像形成装置の場合、出張先等で不特定の端末装置15から接続等される虞がある。このため、端末装置15からの指示に基づいて実行する処理内容を、サーバ11から取得した通信先リスト72で変更可能な画像形成装置として、可搬型の画像形成装置を採用することは極めて有益である。
【0072】
(6)また、通信先リスト72は、端末装置15のMACアドレス及びBluetooth(登録商標)のPublic Addressのうち、少なくとも一方の情報を含んでいる。これによれば、装置固有の物理アドレスであるMACアドレスやPublic Addressを用いることで、通信先リスト72に基づいて端末装置15を識別でき、接続拒否、印刷許可等の適切な対応を実施できる。
【0073】
(7)プリンタ17は、端末装置15Aを介して取得した通信先リスト72について、サーバ11から送信した通信先リスト27であるか否かを、サーバ11へ問い合わせる(S25)。プリンタ17は、問い合わせた結果、サーバ11から送信した通信先リスト27である場合、通信先リスト72に基づいてS45等の処理を実行する。これによれば、例えば、サーバ11側で有効期限が切れた通信先リスト27が、プリンタ17の設定に適用されることを抑制できる。あるいは、通信先リスト27が悪意のある第三者に偽造等されたとしても、不正に作成された通信先リスト27の設定がプリンタ17に反映されることを抑制できる。これにより、本来許可すべき端末装置15以外の端末装置15B等による接続や印刷の実行を抑制できる。
【0074】
(8)また、プリンタ17は、S13,S23において、端末装置15Aを介してサーバ11から通信先リスト27を取得し、且つ、中継した端末装置15が通信先リスト27に含まれる端末装置15Cであるか、含まれない端末装置15Aの何れであるか否かに係わらず通信先リスト27を取得する。これによれば、通信可能な端末装置15であれば、通信先リスト27に設定された内容の制限を受けずに、その端末装置15を介して通信先リスト27をサーバ11から取得できる。例えば、上記実施形態のように、自装置に通信先リスト72を保持していないことを条件に、通信可能な全ての端末装置15から通信先リスト27を取得できる。あるいは、通信先リスト72の有効期限が切れた場合など、仮に通信先リスト72を保持した状態でも、その通信先リスト72の制限を受けずに、通信可能な端末装置15から通信先リスト27を取得できる。尚、プリンタ17は、古い通信先リスト72を保持していた場合、その通信先リスト72で許可した端末装置15のみから通信先リスト27を取得しても良い。
【0075】
(9)プリンタ17は、自装置の電源が投入される条件、通信先リスト27を取得してから所定時間だけ経過する条件、及びユーザから通信先リスト27を取得する指示を受け付ける条件のうち、少なくとも1つの条件が成立した場合に、接続を許可する状態に移行し、通信可能な端末装置15から通信先リスト27を取得しても良い。これによれば、例えば、ユーザが電源を投入するごとに、通信先リスト27を最新の通信先リスト27に更新できる。また、通信先リスト27の有効期限の経過等、所定時間の経過に応じて、最新の通信先リスト27に更新できる。また、ユーザが意図的に更新したい場合に、ユーザ指示に応じて、最新の通信先リスト27に更新できる。
【0076】
(10)プリンタ17は、通信先リスト72に記載された端末装置15Cから取得した印刷指示(本願の画像形成指示の一例)に基づく印刷部64による印刷を実行する(S59)。一方、プリンタ17は、通信先リスト72に記載されていない端末装置15Bには接続を許可せず、印刷指示も受け付けない(S47)。これによれば、通信先リスト72を用いて、通信可能な端末装置15のうち、プリンタ17に印刷を実行させることを許可する端末装置15を、サーバ11の通信先リスト27によって管理できる。
【0077】
(11)プリンタ17は、通信先リスト72に記載された端末装置15Cから第2通信IF62に対して接続要求を取得した場合(S49)、接続を許可する(S53)。一方、通信先リスト72に記載されていない端末装置15Bから接続要求を取得した場合(S43)、接続を許可しない(S47)。これによれば、通信先リスト72を用いて、通信可能な端末装置15のうち、プリンタ17に接続を許可する端末装置15を、サーバ11の通信先リスト27によって管理できる。
【0078】
(13)プリンタ17は、S23で通信先リスト72を取得した後、取得した通信先リスト72に含まれていない端末装置15Aとの間で通信を接続していた場合、その接続中の通信を切断する(S41)。即ち、端末装置15Aが、通信先リスト72を取得するために中継を受けた中継端末装置であるか否かに係わらず、取得した通信先リスト72に含まれていない端末装置15と接続していた場合には、その接続を切断しても良い。これにより、通信先リスト72を取得前に接続していた端末装置15について、取得した通信先リスト72の内容に応じて接続を切断する。通信先リスト72の設定を、設定前から接続中の端末装置15に対しても反映できる。
【0079】
(14)通信先リスト27,72は、端末装置15のMACアドレス(本願の識別情報の一例)と、端末装置15からの指示に対して許可する処理内容とが対応付けられている(
図3参照)。プリンタ17は、S57,S65において、通信先リスト72に記載された端末装置15Cから指示された処理が、通信先リスト72で許可された処理内容に該当する場合、その指示に対応する処理を実行する。これによれば、通信先リスト27に設定した処理内容に基づいて、端末装置15からどのような種類の指示を受け付け、プリンタ17に実行させるのかを設定できる。印刷だけを許可する端末装置15や、印刷と設定変更を許可する端末装置15など設定でき、端末装置15を使用するユーザの権限に応じた設定が可能となる。
【0080】
(15)サーバ11は、MDMサーバであり、端末装置15について、機能の制限、及びデータの消去のうち、少なくとも一方が可能である。このような機能制限等が実行可能なサーバ11によって、端末装置15が使用するプリンタ17の接続制限・処理内容の制限を管理できる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態の印刷システム10について、
図9を参照して説明する。上記した第1実施形態では、端末装置15Aは、プリンタ17に対する接続要求の前に、サーバ11へ通信先リスト27を要求した。これに対し、第2実施形態では、端末装置15Aは、先に接続要求をプリンタ17へ送信する。尚、以下の説明では、第1実施形態と同様の内容については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0082】
図9に示すように、端末装置15Aは、プリンタ17へ接続要求を送信する(S71)。端末装置15Aは、例えば、アプリケーション50に対するユーザの操作入力(プリンタ17の選択操作やアプリケーション50の起動操作など)に基づいて、接続要求を送信する(S71)。プリンタ17は、通信先リスト72を保持していないため(S17)、接続を許可する応答を端末装置15Aへ送信する(S19)。
【0083】
また、プリンタ17は、端末装置15Aを介してサーバ11へ通信先リスト27を要求する(S73,S75)。この際に、プリンタ17は、自装置の状態情報を端末装置15へ送信する(S73,S75)。ここでいう自装置の状態情報とは、例えば、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFCなど、自装置がどのような通信方式で通信が可能なのかを示す情報である。サーバ11は、プリンタ17から取得した状態情報に基づいて、送信する通信先リスト27を選択する(S77)。これにより、例えば、サーバ11が、有線LANインタフェースのMACアドレスを設定した通信先リスト27、無線LANインタフェースのMACアドレスを設定した通信先リスト27、Bluetooth(登録商標)のPublic Addressを設定した通信先リスト27、NFCIDを設定した通信先リスト27など、各通信方式に応じた通信先リスト27を有していた場合、状態情報に基づいてプリンタ17で必要な通信先リスト27を選択して送信できる(S13,S23)。例えば、第2通信IF62を備えず、Bluetooth(登録商標)用の第1通信IF61だけを備えるプリンタ17に対しては、Public Addressを設定した通信先リスト27だけを選択して送信することができる。
【0084】
従って、本願の自装置の状態の情報とは、複数の通信先リスト27がサーバ11に存在する場合に、その通信先リスト27の中から、プリンタ17で使用するのに適切な通信先リスト27を選択する判断基準となる情報である。このため、状態情報としては、通信先リスト27を選択する判断材料となる様々なプリンタ17の状態を示す情報を採用できる。例えば、状態情報は、プリンタ17の型番、シリアル番号でも良い。また、状態情報は、プリンタ17で設定が有効となっている通信インタフェースの情報でも良い。この場合、サーバ11は、通信インタフェースとしては備えているものソフトウェアの設定上で無効になっている、あるいはエラー等で使用できない通信インタフェースに対応した通信先リスト27については、プリンタ17へ送信しない制御が実行できる。また、例えば、印刷機能、スキャン機能、FAX機能など各処理内容が設定された通信先リスト27が存在する場合、状態情報として、通信インタフェースの情報に加え、プリンタ17が備える機能の情報を用いても良い。例えば、印刷機能のみを備えるプリンタ17には、印刷機能と設定変更だけを処理内容に設定した通信先リスト27を送信する。また、印刷機能とスキャン機能とを備えるプリンタ17には、印刷機能、スキャン機能、設定変更を処理内容に設定した通信先リスト27を送信しても良い。これにより、サーバ11は、プリンタ17の状態に応じて必要な通信先リスト27のみを送信できる。
【0085】
また、プリンタ17は、S13,S23で通信先リスト27を取得した後、取得した通信先リスト27について、サーバ11から送信した通信先リスト27であるか否かを確認する(S78)。上記した第1実施形態では、プリンタ17は、サーバ11から送信した通信先リスト27であるか否か(通信先リスト27の真贋)を、サーバ11へ問い合わせた(S25,S27)。これに対し、第2実施形態では、真贋の判断をプリンタ17が実行する。
【0086】
例えば、プリンタ17は、
図2に破線で示すように、プリンタ記憶部69に記憶した確認情報76を用いて真贋を判断しても良い(
図9のS78)。確認情報76は、例えば、ハッシュ値、パスワード、復号化キー等である。プリンタ17は、S23で取得した通信先リスト27について、例えば、所定の演算式でハッシュ値を演算し、演算したハッシュ値と、予めプリンタ制御部67に記憶された確認情報76(ハッシュ値)とが一致した場合に、サーバ11が送信した正規の通信先リスト27であると判断しても良い。プリンタ17は、正規の通信先リスト27と判断した場合に、サーバ11への問い合わせを実行することなく、その通信先リスト27を自装置の設定に反映する(S37)。
【0087】
あるいは、サーバ11は、パスワードをかけた状態で通信先リスト27をサーバ11へ送信しても良い。そして、プリンタ17は、自装置が保有する確認情報76のパスワードで、通信先リスト27のパスワードを解除できた場合、正規の通信先リスト27であると判断しても良い。また、サーバ11から通信先リスト27を所定の暗号化方式で暗号化して送信し、プリンタ17が、自装置が保有する確認情報76の復号化キーで通信先リスト27の暗号化を解除できた場合、正規の通信先リスト27であると判断しても良い。尚、プリンタ17は、上記した第1実施形態の真贋の問い合わせと、第2実施形態の確認情報76を用いた自装置での真贋の判断との両方を実行しても良い。例えば、プリンタ17は、サーバ11へ問い合わせを実行し、問い合わせ結果を取得できない場合に、確認情報76に基づいて真贋を判断し、通信先リスト27を適用等しても良い。
【0088】
因みに、上記した第2実施形態において、S78は、確認処理の一例である。
【0089】
上記第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(1)また、プリンタ17は、サーバ11から送信したデータであるか否かを判断するための確認情報76(ハッシュ値、パスワード、復号化キー等)を有しても良い。プリンタ17は、端末装置15Aを介して取得した通信先リスト27について、サーバ11から送信したデータであるか否かを、確認情報76に基づいて確認する(S78)。プリンタ17は、S78の結果、サーバ11から送信した通信先リスト27であると判断した場合、通信先リスト27に基づいて接続要求、印刷指示、設定変更指示等を実行する。
【0090】
これによれば、第1実施形態のように、サーバ11へ真贋を問い合わせる必要がない。このため、サーバ11と通信が出来ない場合、例えば、問い合わせ結果をサーバ11から取得できない場合でも、自装置で通信先リスト27の真贋を確認することができる。また、通信先リスト27の確認作業におけるサーバ11の処理負荷を軽減できる。
【0091】
(第3実施形態)
次に、本願の第3実施形態の印刷システム10について、
図10を参照して説明する。上記した第2実施形態では、サーバ11が、プリンタ17にとって適切な通信先リスト27を選択する判断を実行した(S77)。これに対し、第3実施形態では、プリンタ17が、通信先リスト27の選択を実行する。
【0092】
詳述すると、端末装置15Aは、第1実施形態と同様に、通信先リスト27をサーバ11へ要求する(S11)。サーバ11は、S11の要求を取得すると、自装置が保有する全ての通信先リスト27を端末装置15Aへ送信する(S79)。端末装置15Aは、第1実施形態と同様に、S15以降の処理を実行し、S21の要求を取得すると、サーバ11から取得した全ての通信先リスト27をプリンタ17へ送信する(S81)。そして、プリンタ17は、端末装置15Aを介してサーバ11から取得した全ての通信先リスト27の中から、上記した自装置の状態に応じて適切な通信先リスト27を選択する(S83)。例えば、プリンタ17は、自装置がBluetooth(登録商標)用の第1通信IF61だけを備える場合、Public Addressを設定した通信先リスト27だけを選択し、サーバ11への確認処理を実行する(S25)。これにより、プリンタ17は、適切な通信先リスト27を用いて接続制限等を実行できる。
【0093】
因みに、上記第3実施形態において、S83は、取得処理の一例である。
【0094】
上記第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(1)また、プリンタ17は、S83において、複数の通信先リスト27をサーバ11から取得し、自装置の状態に応じて使用する通信先リスト27を選択する。これにより、プリンタ17は、自装置が備える通信インタフェースの種類や通信方式の種類等に応じて、適切な通信先リスト27を選択し接続制限等を実行できる。また、サーバ11によって通信先リスト27の真贋を確認する処理が不要となる。
【0095】
(第4実施形態)
次に、本願の第4実施形態の印刷システム10について、
図11を参照して説明する。上記した第3実施形態では、サーバ11から選択した複数の通信先リスト27の中から、プリンタ17が適切な通信先リスト27を選択した(S83)。これに対し、第4実施形態では、中継を実行する端末装置15Aが、通信先リスト27の選択を実行する。
【0096】
詳述すると、端末装置15Aは、第3実施形態と同様に、全ての通信先リスト27をサーバ11から取得する(S79)。プリンタ17は、第1実施形態と同様に、S15の接続要求を受け、接続を許可した後(S19)、通信先リスト27を要求するとともに自装置の状態情報を端末装置15Aへ送信する(S85)。端末装置15Aは、プリンタ17から取得した状態情報に基づいて、サーバ11から取得した全ての通信先リスト27の中から、プリンタ17に送信すべき通信先リスト27を選択する(S87)。そして、端末装置15Aは、選択した通信先リスト27のみをプリンタ17へ送信する(S89)。このような構成でも、端末装置15Aが、サーバ11から取得した全ての通信先リスト27の中から、プリンタ17の状態に応じて適切な通信先リスト27を選択することができる。
【0097】
上記した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(1)また、端末装置15Aは、複数の通信先リスト27をサーバ11から取得し(S79)、プリンタ17の状態に応じた通信先リスト27を選択し(S87)、プリンタ17へ送信する(S89)。これにより、プリンタ17が備える通信インタフェースの種類や通信方式の種類等に応じた通信先リスト27を、端末装置15Aによって選択できる。また、サーバ11によって通信先リスト27の真贋を確認する処理や、プリンタ17で通信先リスト27を選択する処理が不要となる。
【0098】
(第5実施形態)
次に、本願の第5実施形態の印刷システム10について、
図12を参照して説明する。上記した各実施形態では、プリンタ17は、端末装置15を介してサーバ11から通信先リスト27を取得した。これに対し、第5実施形態では、プリンタ17は、端末装置15を介さずに、サーバ11から通信先リスト27を取得する。
【0099】
詳述すると、例えば、プリンタ17は、装置の電源が投入されると(S91)、通信先リスト72を保持しているか判断し(S17)、保持していなかった場合、サーバ11へ通信先リストを要求する(S93)。プリンタ17がサーバ11へ通信先リスト27を要求する条件は、上記した電源の投入条件や通信先リスト72を保持していない条件に限らない。例えば、プリンタ17は、通信先リスト27を取得してからの経過時間が所定時間以上経過した場合に、サーバ11へ通信先リスト27を要求しても良い。あるいは、プリンタ17は、ユーザIF65に対する操作入力に基づいて、サーバ11へ通信先リスト27を要求しても良い。
【0100】
サーバ11は、S93の要求を取得すると、通信先リスト27をプリンタ17へ送信する(S95)。プリンタ17は、取得した通信先リスト27を自装置の設定に反映する(S97)。そして、プリンタ17は、反映した通信先リスト72に基づいて、端末装置15からの接続要求等を判断する(S99,S101,S103)。このようにプリンタ17は、サーバ11と端末装置15を介さずに通信可能である場合、サーバ11へ通信先リスト27を要求して取得しても良い。また、プリンタ17は、例えば、サーバ11から通信先リスト27の取得に失敗した場合、第1~第4実施形態のような端末装置15を介した通信先リスト27の取得を実行しても良い。
【0101】
また、第5実施形態においても、プリンタ17は、S93において、サーバ11から全ての通信先リスト27を取得して自装置の状態情報に基づいて、設定に反映する通信先リスト27を選択しても良い。あるいは、プリンタ17は、S93で状態情報をサーバ11へ送信しても良い。そして、サーバ11が、状態情報に基づいて、プリンタ17へ送信すべき通信先リスト27を選択しても良い。
【0102】
(変形例)
以上、本願の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
例えば、第1~第4実施形態において、プリンタ17は、端末装置15を介して通信先リスト27を取得した場合に、取得した通信先リスト27について、サーバ11への確認処理を実行せず設定に反映させても良い。
また、プリンタ17は、サーバ11から通信先リスト27を取得することに失敗した場合、過去の通信先リスト72が自装置にあればそれを使用しても良い。
また、プリンタ17は、通信先リスト27を取得するために接続した端末装置15Aについて、取得した通信先リスト27に記載がなかった場合、記載されていない端末装置15Aとの通信を切断したが(S41)、切断しなくとも良い。即ち、通信先リスト27を適用する前に接続していた端末装置15については、接続を維持しても良い。
また、通信先リスト27,72に設定する情報は、MACアドレスやBluetooth(登録商標)のPublic Addressなどの物理アドレスに限らない。例えば、端末装置15のIPアドレス、端末装置15の端末ID、アプリケーション50のアプリケーションID、システム管理者等によって端末装置15に設定された識別情報でも良い。即ち、通信先リスト27,72に設定する情報としては、端末装置15を識別可能な様々な情報を採用できる。
【0103】
上記実施形態の印刷システム10の構成は、一例である。例えば、印刷システム10は、管理PC13を備えなくとも良い。また、印刷システム10は、端末装置15を管理するサーバ11(MDMサーバ)を備えなくとも良い。
また、本願の情報処理端末として、スマートフォンである端末装置15を採用したが、これに限らない。情報処理装置としては、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC等の端末を採用できる。
また、本願の画像形成装置として、プリンタ17を採用したが、これに限らない。本願の画像形成装置は、ラベルプリンタ、スキャナ装置、FAX装置などでも良い。スキャナ装置、FAX装置の場合、画像を読み取る読み取り部(スキャン部)は、本願の画像形成部の一例である。また、画像形成装置は、FAX機能、スキャン機能、印刷機能、コピー機能等を備えた複合機でも良い。
また、本願の制御部として、プリンタ記憶部69を備えるプリンタ制御部67を採用したが、本願の制御部は、記憶部を備えなくとも良い。
また、プリンタ17は、本願の通信部として、第1通信IF61、及び第2通信IF62を備える構成であったが、どちらか一方のみを備える構成でも良い。また、端末装置15は、第1通信IF43又は第2通信IF44の一方を備える構成でも良い。
また、サーバ11は、端末DB28で少なくとも1台の端末装置15を管理しても良い。また、1台のプリンタ17に複数台の端末装置15が通信可能な構成でも良く、1台のプリンタ17に1台の端末装置15のみが通信可能な構成でも良い。
プリンタ17は、テンプレートデータ74や個人情報75を備えなくとも良い。
また、各プログラム(サーバプログラム26、管理プログラム38、OSプログラム49、アプリケーション50、プリンタプログラム71)を記憶する記憶部は、特に限定されず、各記憶部のROMやフラッシュメモリなどでも良い。また、各プログラムを記憶する記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体としては、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体を採用しても良い。
【符号の説明】
【0104】
15 端末装置(第1端末装置、第2端末装置、中継端末装置)、15A 端末装置(中継端末装置)、15B 端末装置(第2端末装置)、15C 端末装置(第1端末装置)、17 プリンタ(画像形成装置)、27 通信先リスト、50 アプリケーション(プログラム)、72、61 第1通信IF(通信部)、62 第2通信IF(通信部)、64 印刷部(画像形成部)、67 プリンタ制御部(制御部)、76 確認情報。