(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-28
(45)【発行日】2025-08-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20250729BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250729BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20250729BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250729BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250729BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
G03G15/16
G03G21/00 370
G03G15/00 448
(21)【出願番号】P 2021209077
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2024-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 邦彦
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-330353(JP,A)
【文献】特開2020-131516(JP,A)
【文献】特開2020-104435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 2/01
B41J 2/165-2/20
B41J 2/21-2/215
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 15/02-15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 15/00
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
B65H 5/02- 5/02
B65H 5/06- 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印字する一以上の印字部と、
前記用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、
前記ベルトを送るローラーと、
前記ベルトの位相を検知する位相検知部と、
前記ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、
決定した前記載置位置に用紙を搬送する給紙部とを備
え、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含み、
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの蛇行速度の変化が最小または前記予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含む、画像形成装置。
【請求項2】
用紙に印字する一以上の印字部と、
前記用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、
前記ベルトを送るローラーと、
前記ベルトの位相を検知する位相検知部と、
前記ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、
決定した前記載置位置に用紙を搬送する給紙部とを備え、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含み、
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの蛇行量の変化が最小または前記予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含む、画像形成装置。
【請求項3】
用紙に印字する一以上の印字部と、
前記用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、
前記ベルトを送るローラーと、
前記ベルトの位相を検知する位相検知部と、
前記ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、
決定した前記載置位置に用紙を搬送する給紙部と、
入力部および通信部とを備え、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含み、
前記一以上の印字部は、複数の色の各々の印字部を含み、
前記制御部は、前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択し、
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間は、前記用紙が、前記選択された一以上の印字部を通過する期間であり、
前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択することは、前記入力部または前記通信部を介して受け付けた色の指定入力に基づいて、前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択することを含む、画像形成装置。
【請求項4】
用紙に印字する一以上の印字部と、
前記用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、
前記ベルトを送るローラーと、
前記ベルトの位相を検知する位相検知部と、
前記ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、
決定した前記載置位置に用紙を搬送する給紙部とを備え、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含み、
前記一以上の印字部は、複数の色の各々の印字部を含み、
前記制御部は、前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択し、
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間は、前記用紙が、前記選択された一以上の印字部を通過する期間であり、
前記制御部は、前記用紙に印字される画像データを解析し、
前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択することは、前記画像データの解析結果に基づいて、前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択することを含む、画像形成装置。
【請求項5】
用紙に印字する一以上の印字部と、
前記用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、
前記ベルトを送るローラーと、
前記ベルトの位相を検知する位相検知部と、
前記ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、
決定した前記載置位置に用紙を搬送する給紙部とを備え、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含み、
前記一以上の印字部は、複数の色の各々の印字部を含み、
前記制御部は、前記複数の色の印字部の中から印字処理に使用する一以上の印字部を選択し、
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間は、前記用紙が、前記選択された一以上の印字部を通過する期間であり、
前記挙動検知部は、複数の挙動検知部を含み、
前記複数の挙動検知部の各々は、
前記複数の色の各々の印字部の近傍に設けられ、
前記複数の色の各々の印字部の近傍の前記ベルトの挙動を検知する、画像形成装置。
【請求項6】
用紙に印字する一以上の印字部と、
前記用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、
前記ベルトを送るローラーと、
前記ベルトの位相を検知する位相検知部と、
前記ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、
決定した前記載置位置に用紙を搬送する給紙部とを備え、
前記制御部は、前記ベルトの挙動の検知結果に基づいて、前記ベルトの劣化を推定する、画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの送り方向の速度の変化が最小または前記予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含む、請求項
1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することは、前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間において、前記ベルトの送り方向の速度の変化の累積が最小または前記予め定められた閾値以下となるように、前記用紙の載置位置を決定することを含む、請求項
1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記一以上の印字部は、複数の色の各々の印字部を含み、
前記用紙が前記一以上の印字部を通過する期間は、前記用紙が前記複数の色の各々の印字部の全てを通過する期間である、請求項2~
8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像データの解析結果は、前記複数の色の各々の画像データにおけるカバレッジを含む、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、前記ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、前記ベルト上の複数の区間を前記ベルト上の用紙の載置位置として選択することを含む、請求項1~
10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記ベルトの劣化の推定結果に基づいて、通知を出力する、請求項
6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、より特定的には、印字用のベルトにおける用紙の載置位置を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印字手段と用紙搬送手段とを連動させて画像を形成する装置として、インクジェット方式の画像形成装置が知られている。インクジェット方式の画像形成装置は、無端ベルト(ループ状のベルトであり、以下「ベルト」と呼ぶ)上に載置された用紙を搬送し、搬送されている用紙の表面にインクを吐出して画像を形成する。
【0003】
ベルトは、片方の端部ともう片方の端部とを接続されることでループ形状となっている。そのため、例えば、ベルトの繋ぎ目がベルトの搬送ローラーに接触した場合等に、ベルトの送り速度に変化が生じる、および/または、ベルトが送り方向に対して垂直方向に動く(以下、ベルトが送り方向に対して垂直方向に動くことを「蛇行」と表現する)ことがある。このような、ベルトの速度変化および/または蛇行が印刷の質に影響をもたらす可能性がある。
【0004】
ベルトの制御に関し、例えば、特開平10-139202号公報(特許文献1)は、「用紙搬送ベルトの側端部の位置を用紙搬送ベルトに形成されるホームポジションマークの検知タイミングに基づいて入力し、前周回に同一地点で検知した位置との差分データを演算する。この差分データをベルト蛇行周期に基づいて補正した蛇行データに基づいて蛇行制御を行う」制御装置を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術によると、印刷品質への蛇行の影響をある程度抑制することはできるかもしれないが、ベルト上の用紙の載置位置(例えば、ベルトの繋ぎ目付近等)によっては、ベルトの蛇行または送り速度の変化が印刷品質に影響を及ぼす可能性がある。したがって、ベルトの蛇行または送り速度の変化の印刷品質に対する影響をより安定して抑制する技術が必要とされている。
【0007】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、ベルトの蛇行または送り速度の変化の印刷品質に対する影響をより安定して抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施の形態に従うと、画像形成装置が提供される。画像形成装置は、用紙に印字する一以上の印字部と、用紙を印字位置に搬送するループ状のベルトと、ベルトを送るローラーと、ベルトの位相を検知する位相検知部と、ベルトの挙動を検知する挙動検知部と、ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、ベルト上の用紙の載置位置を決定する制御部と、決定した載置位置に用紙を搬送する給紙部とを備える。
【0009】
ある局面において、ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することを含む。
【0010】
ある局面において、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することは、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの送り方向の速度の変化が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することを含む。
【0011】
ある局面において、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することは、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの送り方向の速度の変化の累積が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することを含む。
【0012】
ある局面において、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することは、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの蛇行速度の変化が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することを含む。
【0013】
ある局面において、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することは、用紙が一以上の印字部を通過する期間において、ベルトの蛇行量の変化が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定することを含む。
【0014】
ある局面において、一以上の印字部は、複数の色の各々の印字部を含む。用紙が一以上の印字部を通過する期間は、用紙が複数の色の各々の印字部の全てを通過する期間である。
【0015】
ある局面において、一以上の印字部は、複数の色の各々の印字部を含む。制御部は、複数の色の印字部の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部を選択し、用紙が一以上の印字部を通過する期間は、用紙が、選択された1つ以上の印字部を通過する期間である。
【0016】
ある局面において、画像形成装置は、入力部および通信部をさらに備える。複数の色の印字部の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部を選択することは、入力部または通信部を介して受け付けた色の指定入力に基づいて、複数の色の印字部の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部を選択することを含む。
【0017】
ある局面において、制御部は、用紙に印字される画像データを解析する。複数の色の印字部の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部を選択することは、画像データの解析結果に基づいて、複数の色の印字部の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部を選択することを含む。
【0018】
ある局面において、画像データの解析結果は、複数の色の各々の画像データにおけるカバレッジを含む。
【0019】
ある局面において、挙動検知部は、複数の挙動検知部を含む。複数の挙動検知部の各々は、複数の色の各々の印字部の近傍に設けられ、複数の色の各々の印字部の近傍のベルトの挙動を検知する。
【0020】
ある局面において、ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、ベルト上の用紙の載置位置を決定することは、ベルトの位相ごとの挙動に基づいて、ベルト上の複数の区間をベルト上の用紙の載置位置として選択することを含む。
【0021】
ある局面において、制御部は、ベルトの挙動の検知結果に基づいて、ベルトの劣化を推定する。
【0022】
ある局面において、制御部は、ベルトの劣化の推定結果に基づいて、通知を出力する。
【発明の効果】
【0023】
ある実施の形態に従うと、ベルトの蛇行または送り速度の変化の印刷品質に対する影響をより安定して抑制することが可能である。
【0024】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ある実施の形態に従う画像形成装置における用紙への印字処理に関係するハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】画像形成装置100の動作概要の一例を示す図である。
【
図3】ある実施の形態に従う画像形成装置における用紙への印字処理に関係するハードウェア構成の別の例を示す図である。
【
図4】画像形成装置100,300のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】挙動検知部104によって検知された時系列のベルト速度を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。
【
図6】挙動検知部104によって検知された時系列のベルト速度の変化の累積を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。
【
図7】挙動検知部104によって検知された時系列の蛇行速度を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。
【
図8】挙動検知部104によって検知された時系列の蛇行量の変化を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。
【
図9】画像形成装置100,300における用意の載置位置を決定する手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0027】
<A.画像形成装置の構成>
最初に、
図1~
図4を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成および動作概要について説明する。これ以降、画像形成装置は、インクジェットプリンターであることを前提として説明するが、本開示の技術の適用可能範囲はインクジェットプリンターに限定されない。ある局面において、画像形成装置は、レーザープリンターであってもよい。
【0028】
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置における用紙への印字処理に関係するハードウェア構成の一例を示す図である。
図1を参照して、画像形成装置100の用紙への印字処理に関係するハードウェアの構成について説明する。
【0029】
画像形成装置100は、用紙への印字処理に関係するハードウェアとして、複数の印字部101A,101B,101C,101Dと、ベルト102と、搬送用のローラー103A,103B,103Cと、挙動検知部104と、位相検知部105とを備える。ベルト102には、繋ぎ目110が存在する。これ以降、複数の印字部101A,101B,101C,101Dを総称する場合は、印字部101と表現することもある。同様に、搬送用のローラー103A,103B,103Cを総称する場合は、ローラー103と表現することもある。また、
図1に示される印字部101およびローラー103の個数および配置は一例であり、画像形成装置100は、任意の数の印字部101およびローラー103を備えていてもよく、これらの印字部101およびローラー103の配置は、必要に応じて任意の位置に決定され得る。
【0030】
印字部101は、用紙に画像を形成するユニットである。ある局面において、印字部101は、インクジェット方式の印字部であってもよい。この場合、印字部101は、先端のノズルからベルト102上を搬送されている用紙の表面にインクを吐出して画像を形成する。他の局面において、印字部101は、トナー方式の印字部であってもよい。この場合、ベルト102は、例えば、中間転写ベルトであってもよい。印字部101は、感光体を介して、中間転写ベルトにトナー画像を一旦形成する。そして、トナー画像は、中間転写ベルト上を搬送されていき、転写ローラーにより用紙に転写される。
【0031】
印字部101がインクジェット方式の場合、本開示の技術は、印刷品質を一定に保つために、ベルト102上の用紙の載置位置(印字位置)を決定する。他方、印字部101がトナー方式の場合、本開示の技術は、印刷品質を一定に保つために、ベルト102上のトナー画像の転写位置を決定する。これ以降、インクジェット方式を例に、本開示の技術について説明するが、「ベルト102上の用紙の載置位置」を「ベルト102上のトナー画像の転写位置」に読み替えることで、本開示の技術は、トナー方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0032】
ベルト102は、無端ベルト(ループ状のベルト)であり、印字部101の下に用紙を搬送する。用紙は、印字部101の直下に搬送されたタイミングで、その表面に画像を形成される。なお、トナー方式の画像形成装置の場合、画像は、ベルト102(中間転写ベルト)上に直接転写される。ベルト102は、1つ以上のローラー103により、駆動される。
【0033】
ローラー103は、モーター等によって回転し、ベルト102を駆動する。ある局面において、複数のローラー103の全てが、モーターによって駆動してもよい。他の局面において、一部のローラー103が、モーターによって駆動してもよい。この場合、モーターに接続されないローラー103は、例えばプーリーとして機能する。
【0034】
ローラー103またはローラー103を駆動するモーターには、エンコーダーが備え付けられていてもよい。画像形成装置100は、エンコーダーの信号を受信して解析することで、ベルト102の駆動量もしくは用紙の搬送量を推定し得る。ある局面において、複数のローラー103の全てがエンコーダーを備えていてもよい。他の局面において、一部のローラー103がエンコーダーを備えていてもよい。
【0035】
挙動検知部104は、ベルト102の挙動を検知する。「挙動」とは、ベルト102の送り方向に対する動作(速度変化(加速度)、速度変化の累積、移動量等)、および、ベルト102の蛇行方向に対する動作(速度変化、速度変化の累積、移動量等)の両方を含み得る。これ以降、ベルト102の送り方向の速度を「ベルト速度」と呼ぶこともある。また、ベルト102の送り方向に対する垂直方向を「蛇行方向」、ベルト102の送り方向に対する垂直方向の速度を「蛇行速度」、および、ベルト102の送り方向に対する垂直方向の移動量を「蛇行量」と呼ぶこともある。さらに、ベルト102が蛇行方向に動くことを「蛇行する」と呼ぶこともある。
【0036】
ある局面において、挙動検知部104は、レーザー、赤外線、カメラ等の任意の方式のセンサーを含んでいてもよい。また、他の局面において、挙動検知部104は、複数のセンサーを備えていてもよい。この場合、各センサーは、1箇所に配置されてもよいし、離れた場所に配置されてもよい。
【0037】
挙動検知部104は、ベルト102の挙動に関する情報を画像形成装置100のCPU(Central Processing Unit)401(
図4参照)に出力する。ある局面において、挙動検知部104は、各センサーの信号をベルト102の挙動に関する情報としてCPU401に出力してもよい。他の局面において、挙動検知部104は、内蔵される制御部等の回路により、各センサーの信号に基づいて算出されたベルト102の挙動量のデジタルデータをCPU401に出力してもよい。
【0038】
位相検知部105は、ベルト102の位相を検知する。「位相」とは、ベルト102の位置であるとも言える。例えば、繋ぎ目110を基準位置とした場合に、ベルト102の位相は、繋ぎ目110が現在どの位置にいるかを示し得る。ある局面において、位相検知部105は、受光センサー、エンコーダー等の任意の方式のセンサーを含んでいてもよい。また、他の局面において、位相検知部105は、複数のセンサーを備えていてもよい。この場合、各センサーは、1箇所に配置されてもよいし、離れた場所に配置されてもよい。また、他の局面において、ローラー103またはローラー103に接続されたモーターに備え付けられたエンコーダーが、位相検知部105の一部として使用されてもよい。または、位相検知部105が、エンコーダーを備えていてもよい。さらに、他の局面において、位相検知部105は、挙動検知部104の一部として、ベルト102の送り方向に対する挙動(速度変化(加速度)、速度変化の累積、移動量等)を検知するために使用されてもよい。
【0039】
位相検知部105は、ベルト102の位相(位置)に関する情報を画像形成装置100のCPU401に出力する。ある局面において、位相検知部105は、各センサーの信号をベルト102の位相に関する情報としてCPU401に出力してもよい。他の局面において、位相検知部105は、内蔵される制御部等の回路により、各センサーの信号に基づいて算出されたベルト102の位相のデジタルデータをCPU401に出力してもよい。
【0040】
CPU401は、挙動検知部104から取得したベルト102の挙動に関する情報と、位相検知部105から取得したベルト102の位相情報とに基づいて(位相ごとのベルト102の挙動に基づいて)、ベルト102の挙動の印刷品質への影響を抑制するように、ベルト102上の用紙の載置位置を決定する。ある局面において、CPU401は、ベルト102の挙動が最小となる位相または区間(またはベルトのある位相から有る位相までの区間)を選択し、当該選択された位相または区間に印字処理が実行されるように用紙の載置位置を決定してもよい。他の局面において、CPU401は、ベルト102の挙動が予め定められた閾値以下となる位相または区間を選択し、当該選択された位相または区間に印字処理が実行されるように用紙の載置位置を決定してもよい。すなわち、CPU401は、用紙が印字に使用される一以上の印字部101を通過する期間において、ベルトの挙動が最小または予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定し得る。
【0041】
図2は、画像形成装置100の動作概要の一例を示す図である。
図2を参照して、ベルト102の挙動が印刷品質に及ぼす影響と、画像形成装置100が用紙の載置位置を決定するまでの一連の動作とについて説明する。
【0042】
図2に示される例では、ベルト102は反時計回りに回転する。用紙220は、給紙部408(
図4参照)から、ローラー等により搬送されてきて、ベルト102上に載置される。印字部101A,101B,101C,101Dの各々は、用紙220がノズルの直下を通過するタイミングでインクを吐出する。画像を形成された用紙220は、下流に搬送され、その後、排紙される。
【0043】
各印字部101がインクを吐出するタイミングで、ベルト102の搬送速度が変化、またはベルト102が蛇行した場合、用紙220上に形成される画像が歪むことがある。そのため、ベルト102は、蛇行せずに一定の速度で用紙220を搬送することが望ましい。しかしながら、ハードウェアの誤差、ハードウェアの劣化、ベルト102の繋ぎ目110等の要因が存在するため、ベルト102の蛇行および搬送速度の変化を完全になくすことは現実的ではない。
【0044】
そこで、画像形成装置100は、挙動検知部104から取得したベルト102の挙動に関する情報と、位相検知部105から取得したベルト102の位相(位置)に関する情報とに基づいて、位相ごとのベルト102の挙動を検知する。そして、画像形成装置100は、ベルト102の挙動の影響を受けにくい位置に用紙を載置する。
【0045】
ベルト102の挙動が大きく変化する要因として、繋ぎ目110がローラー103を通過することが挙げられる。繋ぎ目110によりベルト102の表面に歪みまたは段差が発生し得る。繋ぎ目110がローラー103を通過する際に、ベルト102の搬送速度が変化し、または、ベルト102が蛇行することがある。この繋ぎ目110がローラー103を通過する際のベルト102の挙動が、印字処理に悪影響を及ぼす場合がある。
【0046】
そこで、画像形成装置100は、繋ぎ目110がローラー103を通過しないタイミングで印字処理を実行できるように、用紙220の載置位置を決定する。より具体的には、画像形成装置100は、用紙220に印字処理を実行するために、区間210の距離だけ、ベルト102を送る必要があるとする。区間210は、用紙220の先端が印字部101Dのノズルの直下(印字開始位置)に到達し、用紙220の後端が印字部101Aのノズルの直下(印字終了位置)を通過するまでに必要な距離を示す。この場合、画像形成装置100は、繋ぎ目110がローラー103を通過しないタイミングで、区間210の距離だけ用紙220を搬送できるように、用紙220の載置位置を決定する。言い換えれば、画像形成装置100は、ベルト102全体から、ベルト102の挙動の影響を受けにくく、かつ、印字処理に必要な距離を含む区間を選択しているとも言える。すなわち、画像形成装置100は、用紙220が複数の印字部101の各々を通過する期間におけるベルト102の挙動が小さくなるように、用紙220の載置位置を決定し得る。
【0047】
上記のベルト102全体から、ベルト102の挙動の影響を受けにくく、かつ、印字処理に必要な距離を含む区間を選択する処理は、ベルト102の挙動に影響を与えるあらゆる要因に対して有効である。例えば、印字に関係する各部品の製造誤差によりベルト102の挙動が乱れ、または、印字に関係する各部品の劣化によりベルト102の挙動が変化する場合でも、画像形成装置100は、ベルト102全体から、ベルト102の挙動の影響を受けにくく、かつ、印字処理に必要な距離を含む区間を選択する処理により、印刷品質を常に一定に保ち得る。
【0048】
ある局面において、画像形成装置100は、用紙220に印刷される画像に基づいて、区間210の距離を決定してもよい。例えば、画像が用紙220の中央付近に印刷される場合、区間210は、用紙220上の画像の印刷位置の先端が印字開始位置に到達し、用紙220上の画像の印刷位置の後端が印字終了位置を通過するまでに必要な距離を示す。他の例として、画像が特定のインク(印字部101Aのインク等)のみを使用する場合、区間210は、用紙220上の画像の印刷位置の先端が特定の印字部101(印字部101A等)の直下に到達し、用紙220上の画像の印刷位置の後端が印字部101(印字部101A等)の直下を通過するまでに必要な距離を示し得る。すなわち、画像形成装置100は、複数の色の印字部101の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部101を選択し、用紙220が印字処理に使用される1つ以上の印字部101を通過する期間におけるベルト102の挙動が小さくなるように、用紙220の載置位置を決定し得る。
【0049】
一部の印字部101を印字処理に使用する場合、画像形成装置100は、ユーザーからの入力(色の指定等)に基づいて、印字処理に使用する1つ以上の印字部101を選択してもよい。もしくは、画像形成装置100は、画像データの解析結果(使用されるインクの種類等)に基づいて、印字処理に使用する1つ以上の印字部101を選択してもよい。
【0050】
なお、画像データの解析結果は、インクのカバレッジを含んでいてもよい。この場合、画像形成装置100は、インクのカバレッジを参照して、用紙の載置位置を調整してもよい。「インクのカバレッジ」とは、画像に含まれるインクの割合である。例えば、印字処理に印字部101A,101B(インクA,B)が使用される場合において、画像内のインクAの割合が80%であり、インクBの割合が20%であるとする。この場合、画像形成装置100は、インクAの吐出時のベルト102の挙動の影響を優先的に抑制するように、用紙の載置位置を調整し得る。画像形成装置100は、インクのカバレッジに応じて、各印字部101の近傍のベルト102の挙動、各印字部101の近傍のベルト102の挙動が許容される値(閾値)等に係数(例えば、カバレッジに基づく係数等)をかけることにより、優先度に応じて用紙の載置位置を調整し得る。こうすることで、画像形成装置100は、インクの使用量(インクのカバレッジ)に応じて、柔軟に用紙の載置位置を調整し得る。
【0051】
また、他の局面において、画像形成装置100は、ベルト102全体から、印字処理に使用する複数の区間を選択してもよい。この場合、例えば、画像形成装置100は、挙動検知部104から取得したベルト102の挙動に関する情報と、位相検知部105から取得したベルト102の位相(位置)に関する情報とに基づいて、ベルト102の挙動の影響が予め定められた閾値以下となる位相を検知する。そして、画像形成装置100は、ベルト102の挙動の影響が予め定められた閾値以下となる位相のみを含むように、複数の区間を選択し得る。これらの区間は、連続していてもよいし、離れていてもよい。このように、画像形成装置100は、ベルト102の挙動の影響を受けにくい複数の区間を選択することで、効率的に印刷処理を実行し得る。
【0052】
また、他の局面において、画像形成装置100は、検知されたベルト102の挙動に基づいて、ベルト102の劣化を推定してもよい。一例として、画像形成装置100は、ベルト102の送り方向の挙動およびベルト102の蛇行方向の挙動の両方または片方が、予め定められた閾値を超えたことに基づいて、ベルト102が劣化したと判定してもよい。画像形成装置100は、ベルト102が劣化したと判定した場合、画像形成装置100のディスプレイ等を備える出力部407(
図4参照)に通知を出力してもよいし、通信部409を介して、他の装置に通知を出力(送信)してもよいし、出力部407および通信部409の両方に通知を出力してもよい。これにより、画像形成装置100は、印刷品質を一定に保つと共に、ベルト102の劣化をユーザーまたは管理者に通知することができる。
【0053】
図3は、本実施の形態に従う画像形成装置における用紙への印字処理に関係するハードウェア構成の別の例を示す図である。
図3を参照して、画像形成装置300の用紙への印字処理に関係するハードウェアの構成について説明する。
【0054】
画像形成装置300は、画像形成装置100と異なり、複数の挙動検知部104と、複数の位相検知部105とを備える。複数の挙動検知部104および位相検知部105の各々は、各印字部101の近傍に配置される。CPU401は、各印字部101の近傍に配置された複数の挙動検知部104および位相検知部105の各々を使用して、各印字部101の近傍の位相ごとのベルト102の挙動を検知する。
【0055】
画像形成装置300は、検知した各印字部101の近傍の位相ごとのベルト102の挙動と、用紙に印刷される画像とに基づいて、用紙の載置位置を決定し得る。一例として、印字処理に印字部101A(インクA)のみが使用される場合、画像形成装置300は、印字部101Aの近傍に設けられた挙動検知部104および位相検知部105の検知結果に基づいて、用紙の載置位置を決定し得る。また、他の例として、印字処理に複数の印字部(例えば、印字部101A(インクA),101B(インクB))が使用される場合、画像形成装置300は、印字処理に使用される複数の印字部101の各々の近傍に設けられた複数の挙動検知部104および位相検知部105の各々の検知結果に基づいて、用紙の載置位置を決定し得る。
【0056】
ある局面において、画像形成装置300は、画像形成装置100と同様に、用紙220が複数の印字部101の各々を通過する期間におけるベルト102の挙動が小さくなるように、用紙220の載置位置を決定してもよい。また、画像形成装置300は、複数の色の印字部101の中から印字処理に使用する1つ以上の印字部101を選択し、用紙220が印字処理に使用される1つ以上の印字部101を通過する期間におけるベルト102の挙動が小さくなるように、用紙220の載置位置を決定してもよい。その際、画像形成装置300は、ユーザーからの入力(色の指定等)または画像データの解析結果(使用される色またはインクの種類、量、割合等)に基づいて、印字処理に使用する1つ以上の印字部101を選択してもよい。さらに、画像形成装置300は、インクのカバレッジを参照して、用紙の載置位置を調整してもよい。
【0057】
他の局面において、画像形成装置300は、入力部406(
図4参照)を介して入力されたユーザーからの印刷設定(どのインクを使用するか、インクの使用割合、インクの重要度等の任意の設定)に基づいて、上記の係数を決定してもよい。こうすることで、画像形成装置300は、ユーザーの希望(どのインクを特に重要視するか等)に応じて、柔軟に用紙の載置位置を調整し得る。
【0058】
また、他の局面において、位相検知部105は1つであってもよい。この場合、画像形成装置300は、1つの位相検知部105から得られる共通の位相と、各印字部101の近傍毎のベルトの挙動とに基づいて、上記の処理を実行し得る。
【0059】
さらに、他の局面において、画像形成装置100が、1つの挙動検知部104と1つの位相検知部105とを用いて、画像形成装置300と同様の処理を実行してもよい。例えば、画像形成装置100は、挙動検知部104から各印字部101までの距離情報を予め格納しておき、挙動検知部104から取得したベルト102の挙動に基づいて、各印字部101の近傍のベルト102の挙動を推定することで、画像形成装置300と同様の処理を実行し得る。
【0060】
図4は、画像形成装置100,300のハードウェア構成の一例を示す図である。ある局面において、
図4に示される各構成要素は、全てハードウェアとして実現されてもよい。他の局面において、
図4に示される各構成要素の一部は、ソフトウェアとして実現されてもよい。この場合、CPU401は、RAM(Random Access Memory)402上に展開されたソフトウェアを実行することにより、各構成要素を実現する。さらに、他の局面において、ハードウェアとして実現される各要素は、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはこれらの組み合わせ等によって構成されてもよい。
【0061】
画像形成装置100,300は、CPU401と、RAM402と、ROM(Read Only Memory)403と、不揮発性メモリー405と、入力部406と、出力部407と、給紙部408と、通信部409と、位相検知部410と、挙動検知部411と、印刷部412とを備える。また、これらの構成は、バス413によって相互に通信可能に接続され得る。
【0062】
CPU401は、RAM402に読み込まれた各種プログラムおよびデータを実行または参照する。ある局面において、CPU401は、組み込みCPUであってもよいし、FPGAであってもよいし、またはこれらの組み合わせ等によって構成されてもよい。CPU401は、画像形成装置100,300の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。
【0063】
RAM402は、CPU401によって実行されるプログラムと、CPU401によって参照されるデータとを格納する。ある局面において、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)が、RAM402として使用されてもよい。ROM403および不揮発性メモリー405に格納されたデータは、一旦、RAM402に読み出されることにより、CPU401から参照可能となる。
【0064】
ROM403は、画像形成装置100,300のプログラム、各種設定等を格納し得る。ROM403は、通常更新されず、または、極めて更新頻度の低いプログラムまたは設定情報を格納するために使用され得る。ある局面において、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリーが、ROM403として使用されてもよい。
【0065】
不揮発性メモリー405は、画像形成装置100,300の電源が切れた状態でもデータを保存しておくことができる。不揮発性メモリー405は、CPU401が実行または参照する任意のプログラムおよびデータを保存し得る。ある局面において、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)が、不揮発性メモリー405として使用されてもよい。CPU401は、必要に応じて各種プログラムを不揮発性メモリー405からRAM402に読み込み、当該読み込まれたプログラムを実行することができる。
【0066】
入力部406は、ユーザーからの設定入力を受け付ける。入力部406は、入力に対応する信号をCPU401に出力する。CPU401は、設定入力に基づいて、プログラムを実行する。ある局面において、入力部406は、ボタン、タッチセンサー、音声入力、その他の任意の入力手段またはこれらの組合せを含んでいてもよい。タッチセンサーは、出力部407のディスプレイに重ね合わせて配置されてもよい。
【0067】
出力部407は、画像形成装置100,300の設定画面、ジョブの実行状況、エラー情報等の各種情報を表示する。ある局面において出力部407は、液晶モニター、有機EL(Electro Luminescence)モニター等を含んでいてもよい。
【0068】
ある局面において、画像形成装置100,300は、入力部406および出力部407の両方の機能を備える操作パネルを備えていてもよい。この場合、操作パネルは、例えば、複数のボタンと、タッチセンサーを含むディスプレイ(タッチパネル)とを含み得る。
【0069】
給紙部408は、用紙の格納場所から、画像形成装置100,300の搬送路に沿って用紙を搬送する。ある局面において、用紙の格納場所は、トレイであってもよいし、長い用紙を巻き付けるためのローラーであってもよい。搬送される用紙が長い場合等において、画像形成装置100,300は、下流に断裁装置を備えていてもよい。
【0070】
通信部409は、有線または無線のネットワークを介して他の装置と通信する。例えば、通信部409は、ジョブの受信、画像形成装置100,300のファームウェアのアップデートの受信、ログの送信等を行い得る。ある局面において、通信部409は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)モジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信部409は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
【0071】
位相検知部410は、
図1~
図3を参照して説明された位相検知部105に相当する。画像形成装置100は、1つの位相検知部410を備える。ある局面において、画像形成装置100は、予備としてまたは位相検知の精度を向上させるために、2つ以上の位相検知部410を備えていてもよい。画像形成装置300は、印字部101と同数の位相検知部410を備える。ある局面において、画像形成装置300は、製造コストを抑えるために、印字部101の数よりも少ない位相検知部410を備えていてもよい。また、他の局面において、画像形成装置300は、予備としてまたは位相検知の精度を向上させるために、印字部101の数よりも多い位相検知部410を備えていてもよい。
【0072】
挙動検知部411は、
図1~
図3を参照して説明された挙動検知部104に相当する。画像形成装置100は、1つの挙動検知部411を備える。ある局面において、画像形成装置100は、予備としてまたは挙動検知の精度を向上させるために、2つ以上の挙動検知部411を備えていてもよい。画像形成装置300は、印字部101と同数の挙動検知部411を備える。ある局面において、画像形成装置300は、製造コストを抑えるために、印字部101の数よりも少ない挙動検知部411を備えていてもよい。また、他の局面において、画像形成装置300は、予備としてまたは挙動検知の精度を向上させるために、印字部101の数よりも多い挙動検知部411を備えていてもよい。
【0073】
印刷部412は、用紙への印刷処理を実行する。一例として、印刷部412は、各印字部101のインクの吐出タイミングおよび吐出量を制御し、さらに、各ローラー103の駆動タイミングおよび駆動量を制御してもよい。
【0074】
<B.ベルト102の挙動に関する情報>
次に、
図5~
図8を参照して、挙動検知部104によって検知される挙動について説明する。
図5~
図8に示されるグラフは、挙動検知部104によって検知された時系列の挙動に関連する各種値を示す。実際には、画像形成装置100,300は、挙動検知部104から、時系列の離散値として挙動に関連する各種値を取得し得る。
【0075】
図5は、挙動検知部104によって検知された時系列のベルト速度を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。ベルト速度はベルト102の送り方向における速度である。グラフ500は、ベルト102が一周する間のベルト速度の変化を示す。ベルト102が連続して稼働している場合、グラフ500に示されるベルト速度の変化が繰り返し検知される。ただし、ベルト102の状態、ベルト102の周囲の温度変化等の影響により、ベルト102が一周する間のベルト速度は、1週ごとに変化することがある。同様に、ベルト102の周囲の温度変化等の影響により、
図6に示されるベルト102が一周する間のベルト速度の変化の累積、
図7に示されるベルト102が一周する間のベルト102の蛇行速度、
図8に示されるベルト102が一周する間のベルト102の蛇行量も1週ごとに変化することがある。
【0076】
図5の例によると、ベルト102が一周するまでにベルト速度が変化している。また、グラフ500によると、ベルト速度が3回急激に変化している。ベルト速度が急激に変化している箇所は、ベルトの繋ぎ目110がローラー103に接触した時点のベルト速度を示す。
【0077】
画像形成装置100,300は、計測されたベルト速度に基づいて、ベルト速度の変化幅が小さくなるタイミングで印字処理が実行されるように用紙の載置位置を決定する。例えば、1色の印字部101のみを使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間510により示される期間(1色のインクを使用して印字する期間全体を通してベルト速度の変化幅が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように、用紙の載置位置を決定する。すなわち、画像形成装置100,300は、挙動検知部104が通過時間510のベルト速度を検知するタイミングで、用紙の印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。例えば、画像形成装置100,300は、挙動検知部104から各印字部101までの距離(オフセット)を予め不揮発性メモリー405に格納しておく。そして、画像形成装置100,300は、挙動検知部104がベルト速度を検知したタイミングと、挙動検知部104から各印字部101までの距離とに基づいて、用紙をベルト102に載置するタイミング(または用紙をベルト102に載置する位置)を決定し得る。
【0078】
他の例として、全色または複数の印字部101を使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間520により示される期間(複数のインクを使用して印字する期間全体を通してベルト速度の変化幅が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように用紙の載置位置を決定する。
【0079】
ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で最もベルト速度の変化幅が小さくなる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中でベルト速度の変化幅が予め定められた閾値以下となる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。また、他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中の複数の期間(または区間)で印字処理を実行するように、複数の用紙の載置位置を選択してもよい。この場合、選択された載置位置は、ベルト速度の変化幅が予め定められた閾値以下となる載置位置である。
【0080】
上記のように、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中でベルト速度の変化幅が小さくなる期間(または区間)において印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。これにより、画像形成装置100,300は、例えば、ベルト速度の変化の影響により画像がベルト102の送り方向に歪むことを抑制し、印刷品質を安定させることができる。
【0081】
図6は、挙動検知部104によって検知された時系列のベルト速度の変化の累積を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。画像形成装置100,300は、ベルト速度の変化の代わりに、
図6に示されるように、印字処理時のベルト速度の変化の累積(積分値)が小さくなるタイミングで印字処理が実行されるように用紙の載置位置を決定してもよい。ある局面において、挙動検知部104は、検知したベルト速度の変化を積算して、積算結果(累積)をCPU401に出力してもよい。他の局面において、CPU401は、挙動検知部104から取得したベルト速度の変化を積算(累積)してもよい。
【0082】
例えば、1色の印字部101のみを使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間610により示される期間(1色のインクを使用して印字する期間全体を通してベルト速度の変化の累積が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように、用紙の載置位置を決定する。すなわち、画像形成装置100,300は、挙動検知部104が通過時間610のベルト速度を検知するタイミングで、用紙の印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で最もベルト速度の変化の累積が小さくなる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中でベルト速度の変化の累積が予め定められた閾値以下となる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。
【0083】
なお、ベルト速度の変化の累積を用いる場合でも、画像形成装置100,300は、挙動検知部104から各印字部101までの距離(オフセット)を予め不揮発性メモリー405に格納しておく。そして、画像形成装置100,300は、挙動検知部104がベルト速度を検知したタイミングと、挙動検知部104から各印字部101までの距離とに基づいて、用紙をベルト102に載置するタイミング(または用紙をベルト102に載置する位置)を決定し得る。
【0084】
他の例として、全色または複数の印字部101を使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間620により示される期間(複数のインクを使用して印字する期間全体を通してベルト速度の変化の累積が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように用紙の載置位置を決定する。
【0085】
上記のように、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中でベルト変化の累積(積分値)が小さくなる期間(または区間)において印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。これにより、画像形成装置100,300は、例えば、ベルト速度の変化の影響により画像がベルト102の送り方向に歪むことを抑制し、印刷品質を安定させることができる。
【0086】
また、画像形成装置100,300は、ベルト速度の変化に基づいて用紙の載置位置を決定することで、ベルト102の速度変化が比較的急激な場合に、効果的に印刷品質を安定させることができる。さらに、画像形成装置100,300は、ベルト速度の変化の累積に基づいて用紙の載置位置を決定することで、ベルト102の速度変化が比較的緩やかな場合に、効果的に印刷品質を安定させることができる。ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の速度変化の大きさに応じて、ベルト速度の変化およびベルト速度の変化の累積のいずれを用紙の載置位置の決定のパラメーターとして使用するのかを選択してもよい。
【0087】
図7は、挙動検知部104によって検知された時系列の蛇行速度を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。蛇行速度はベルト102の送り方向に対する垂直方向(蛇行方向)における速度である。グラフ700は、ベルト102が一周する間の蛇行速度の変化を示す。ベルト102が連続して稼働している場合、グラフ700に示される蛇行速度の変化が繰り返し検知される。
図7の例によると、ベルト102が一周するまでに蛇行速度が変化している。蛇行速度は、ベルト102の繋ぎ目110がローラー103に接触した時点で大きくなる場合がある。
【0088】
画像形成装置100,300は、計測された蛇行速度に基づいて、蛇行速度の変化幅が小さくなるタイミングで印字処理が実行されるように用紙の載置位置を決定する。例えば、1色の印字部101のみを使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間710により示される期間(1色のインクを使用して印字する期間全体を通して蛇行速度の変化幅が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように、用紙の載置位置を決定する。すなわち、画像形成装置100,300は、挙動検知部104が通過時間710の蛇行速度を検知するタイミングで、用紙の印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。例えば、画像形成装置100,300は、挙動検知部104から各印字部101までの距離(オフセット)を予め不揮発性メモリー405に格納しておく。そして、画像形成装置100,300は、挙動検知部104が蛇行速度を検知したタイミングと、挙動検知部104から各印字部101までの距離とに基づいて、用紙をベルト102に載置するタイミング(または用紙をベルト102に載置する位置)を決定し得る。
【0089】
他の例として、全色または複数の印字部101を使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間720により示される期間(複数のインクを使用して印字する期間全体を通して蛇行速度の変化幅が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように用紙の載置位置を決定する。
【0090】
ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で最も蛇行速度の変化幅が小さくなる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で蛇行速度の変化幅が予め定められた閾値以下となる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。また、他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中の複数の期間(または区間)で印字処理を実行するように、複数の用紙の載置位置を選択してもよい。この場合、選択された載置位置は、蛇行速度の変化幅が予め定められた閾値以下となる載置位置である。
【0091】
上記のように、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で蛇行速度の変化幅が小さくなる期間(または区間)において印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。これにより、画像形成装置100,300は、例えば、蛇行速度の変化の影響により画像がベルト102の蛇行方向に歪むことを抑制し、印刷品質を安定させることができる。
【0092】
図8は、挙動検知部104によって検知された時系列の蛇行量の変化を使用して用紙の載置位置を決定する仕組みの一例を示す図である。グラフ800は、ベルト102が一周する間の蛇行量の変化を示す。画像形成装置100,300は、蛇行速度の変化の代わりに、
図8に示されるように、印字処理時の蛇行量の変化が小さくなるタイミングで印字処理が実行されるように用紙の載置位置を決定してもよい。ある局面において、挙動検知部104は、検知した蛇行速度から蛇行量を算出し、計算結果(蛇行量)をCPU401に出力してもよい。他の局面において、CPU401は、挙動検知部104から取得した蛇行速度から蛇行量を算出してもよい。
【0093】
例えば、1色の印字部101のみを使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間810により示される期間(1色のインクを使用して印字する期間全体を通して蛇行量の変化幅が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように、用紙の載置位置を決定する。すなわち、画像形成装置100,300は、挙動検知部104が通過時間810の蛇行量を検知するタイミングで、用紙の印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。
【0094】
なお、蛇行量を用いる場合でも、画像形成装置100,300は、挙動検知部104から各印字部101までの距離(オフセット)を予め不揮発性メモリー405に格納しておく。そして、画像形成装置100,300は、挙動検知部104が蛇行速度(または蛇行量)を検知したタイミングと、挙動検知部104から各印字部101までの距離とに基づいて、用紙をベルト102に載置するタイミング(または用紙をベルト102に載置する位置)を決定し得る。ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で最も蛇行量の変化幅が小さくなる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で蛇行量の変化幅が予め定められた閾値以下となる期間(または区間)において印字処理がされるように、用紙の載置位置を決定してもよい。
【0095】
他の例として、全色または複数の印字部101を使用して印字処理を実行する場合、画像形成装置100,300は、通過時間820により示される期間(複数のインクを使用して印字する期間全体を通して蛇行量の変化が小さくなる期間)に、印字処理を実行するように用紙の載置位置を決定する。
【0096】
上記のように、画像形成装置100,300は、ベルト102の周期の中で蛇行量の変化幅が小さくなる期間(または区間)において印字処理が実行されるように、用紙の載置位置を決定する。これにより、画像形成装置100,300は、例えば、蛇行量の変化の影響により画像がベルト102の蛇行方向に歪むことを抑制し、印刷品質を安定させることができる。
【0097】
また、画像形成装置100,300は、蛇行速度の変化に基づいて用紙の載置位置を決定することで、蛇行速度の変化が比較的急激な場合に、効果的に印刷品質を安定させることができる。さらに、画像形成装置100,300は、蛇行量の変化に基づいて用紙の載置位置を決定することで、蛇行速度の変化が比較的緩やかな場合に、効果的に印刷品質を安定させることができる。ある局面において、画像形成装置100,300は、蛇行速度の変化の大きさに応じて、蛇行速度の変化および蛇行量の変化のいずれを用紙の載置位置の決定のパラメーターとして使用するのかを選択してもよい。
【0098】
上記の
図5~
図8を参照して説明された用紙の載置位置の決定方法は、適宜組み合わせて使用されてもよい。一例として、画像形成装置100,300は、ベルト速度、ベルト速度の累積、蛇行速度、および蛇行量の各々に係数をかけて合計し、ベルト102の挙動を示す値を算出する。そして、画像形成装置100,300は、ベルト102の挙動を示す値が最小となるように、用紙の載置位置を決定してもよい。また、画像形成装置100,300は、ベルト102の挙動を示す値が予め定められた閾値以下となるように、用紙の載置位置を決定してもよい。さらに、画像形成装置100,300は、ベルト102の挙動を示す値が予め定められた閾値以下となる複数の用紙の載置位置を選択してもよい。なお、画像形成装置100,300は、ベルト速度、ベルト速度の累積、蛇行速度、および蛇行量の一部を用いて、ベルト102の挙動を示す値を算出してもよい。
【0099】
このように、画像形成装置100,300は、ベルト102の挙動を示す複数のパラメーターを組み合わせて使用することにより、ベルト102の送り方向および蛇行方向の画像の歪みを抑制し、印刷品質を安定させることができる。
【0100】
また、ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト速度、ベルト速度の累積、蛇行速度、および蛇行量の全てまたは一部を用いて、ベルト102の劣化を推定してもよい。例えば、画像形成装置100,300は、ベルト速度、ベルト速度の累積、蛇行速度、および蛇行量の各々に係数をかけて合計し、ベルト102の挙動を示す値を算出する。そして、画像形成装置100,300は、ベルト102の挙動を示す値が予め定められた閾値以上であるか否かに基づいて、ベルト102の劣化を推定し得る。画像形成装置100,300は、ベルト102が劣化したと推定した場合、ディスプレイ等を備える出力部407に通知を出力してもよいし、通信部409を介して他の装置に通知を出力(送信)してもよいし、出力部407および通信部409の両方に通知を出力してもよい。これにより、画像形成装置100,300は、ベルト102の送り方向および/または蛇行方向の挙動に基づいてベルト102の劣化を推測し、ベルト102が劣化したことをユーザーまたは管理者に通知することができる。
【0101】
<C.フローチャート>
図9は、画像形成装置100,300における用意の載置位置を決定する手順の一例を示すフローチャートである。ある局面において、CPU401は、
図9の処理を実行するためのプログラムをROM403または不揮発性メモリー405からRAM402に読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0102】
ステップS910において、CPU401は、ベルト102の位相を検知する。より具体的には、CPU401は、位相検知部105から取得した信号に基づいて、ベルト102の位相を検知する。画像形成装置300のCPU401は、各印字部101の近傍に設けられた各位相検知部105から取得した信号に基づいて、各印字部101の直下または近傍のベルト102の位相を検知してもよい。
【0103】
ステップS920において、CPU401は、ベルト102の送り方向に対する垂直方向(蛇行方向)への挙動を検知する。より具体的には、CPU401は、挙動検知部104から取得した信号に基づいて、ベルト102の蛇行方向の挙動を検知する。ある局面において、CPU401が検知する蛇行方向の挙動は、ベルト102の蛇行速度、蛇行量またはその両方の情報を含んでいてもよい。
【0104】
ステップS930において、CPU401は、ベルト102の位相ごとの送り方向の速度の変化量を算出する。より具体的には、CPU401は、挙動検知部104から取得した信号に基づいて、ベルト102の位相ごとの送り方向の速度の変化量を算出し得る。一例として、CPU401は、任意の短い区間(例えば、ベルト102の位相Aからベルト102の位相Bまで)における送り方向の速度の変化を算出してもよい。ある局面において、CPU401は、位相検知部105から取得した信号に基づいて(例えば、位相および位相を検知したタイムスタンプを用いて)、ベルト102の位相ごとの送り方向の速度の変化量を算出してもよい。
【0105】
ステップS940において、CPU401は、ベルト102の位相ごとの送り方向の速度の変化の累積を算出する。一例として、CPU401は、任意の短い区間(例えば、ベルト102の位相Cからベルト102の位相Dまで)における送り方向の速度の変化の累積を算出してもよい。その際、CPU401は、ステップS930にて算出したベルト102の位相ごとの送り方向の速度の変化を積算してもよい。
【0106】
ステップS950において、CPU401は、ベルト102の位相ごとの蛇行速度を算出する。より具体的には、CPU401は、挙動検知部104から取得した信号に基づいて、ベルト102の位相ごとの蛇行速度を算出する。一例として、CPU401は、任意の短い区間(例えば、ベルト102の位相Eからベルト102の位相Fまで)における蛇行速度を算出してもよい。画像形成装置300のCPU401は、各印字部101の近傍に設けられた各挙動検知部104から取得した信号に基づいて、各印字部101の直下または近傍の蛇行速度を算出する。
【0107】
ステップS960において、CPU401は、ベルト102の位相ごとの蛇行量を算出する。一例として、CPU401は、任意の短い区間(例えば、ベルト102の位相Gからベルト102の位相Hまで)における蛇行量を算出してもよい。その際、CPU401は、ステップS950にて算出した蛇行速度に基づいて、蛇行量を算出してもよい。
【0108】
ステップS970において、CPU401は、用紙の載置位置を決定する。ある局面において、CPU401は、ベルト速度の変化量、ベルト速度の変化量の累積、蛇行速度、蛇行量のいずれか1つを用紙の載置位置を決定するパラメーターとして使用してもよい。
【0109】
他の局面において、CPU401は、ベルト速度の変化量、ベルト速度の変化量の累積、蛇行速度、蛇行量の任意の組み合わせを用紙の載置位置を決定するパラメーターとして使用してもよい。
【0110】
CPU401は、パラメーターの値が最も小さくなるように用紙の載置位置を決定してもよいし、パラメーターの値が予め定められた閾値以下(未満)となるように、用紙の載置位置を決定してもよい。
【0111】
以上説明した通り、本実施の形態に従う画像形成装置100,300は、印字用のベルト102の位相ごとの挙動を検知する。そして、画像形成装置100,300は、ベルト102の位相ごとの挙動に基づいて、ベルト102上の挙動の影響が小さい位置に用紙を載置する。こうすることで、画像形成装置100,300は、印刷におけるベルト102の送り方向および/または蛇行方向の挙動の影響を抑制することができる。なお、画像形成装置100,300は、ベルト102の位相ごとの挙動を示すパラメーターとして、ベルト102の送り方向の速度変化、ベルト102の送り方向の速度の累積、ベルト102の蛇行方向の速度、ベルト102の蛇行量の一部または全てを使用し得る。
【0112】
ある局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の位相ごとの挙動に基づいて、ベルト102上の挙動の影響が小さい複数の位置に用紙を載置してもよい。こうすることで、画像形成装置100,300は、印刷におけるベルト102の挙動の影響を抑制すると共に、印刷効率の低下を抑制し得る。
【0113】
さらに、他の局面において、画像形成装置100,300は、ベルト102の位相ごとの挙動に基づいて、ベルト102の劣化を推定し、ベルト102が劣化したと推定した場合に、出力部407および/または通信部409に通知を出力し得る。こうすることで、画像形成装置100,300は、ユーザーまたは管理者に劣化したベルト102の交換を促し、ベルト102の品質を一定以上に保つことができる。
【0114】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0115】
100,300 画像形成装置、101A,101B,101C,101D 印字部、102 ベルト、103A,103B,103C ローラー、104,411 挙動検知部、105,410 位相検知部、110 繋ぎ目、210 区間、220 用紙、401 CPU、402 RAM、403 ROM、405 不揮発性メモリー、406 入力部、407 出力部、408 給紙部、409 通信部、412 印刷部、413 バス、510,520,610,620,710,720,810,820 通過時間。