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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-28
(45)【発行日】2025-08-05
(54)【発明の名称】モビリティシステム及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/47 20240101AFI20250729BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20250729BHJP
【FI】
G06Q50/47
G08G1/123 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022211973
(22)【出願日】2022-12-28
(65)【公開番号】P2024095005
(43)【公開日】2024-07-10
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】茂木 俊介
(72)【発明者】
【氏名】横田 修太
(72)【発明者】
【氏名】及川 晋
(72)【発明者】
【氏名】坂本 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 美祐
(72)【発明者】
【氏名】宮下 健丈
(72)【発明者】
【氏名】角谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】小見 聡
【審査官】北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-73351(JP,A)
【文献】特開2019-121303(JP,A)
【文献】特開2020-79996(JP,A)
【文献】特開2019-175183(JP,A)
【文献】特開2020-160530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0349666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティサービスを提供する自律走行可能な複数の移動体と、
複数の前記移動体のそれぞれと通信可能に構成されるサーバと、
を備えるモビリティシステムであって、
前記移動体は、
自移動体の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、自移動体の周辺に存在する交通参加者の位置及びジェスチャを検出し、
前記ジェスチャが停車リクエストであるかを判定し、
前記ジェスチャが停車リクエストであれば、自移動体が、前記ジェスチャを行った前記交通参加者が加入している特定のサービスに対応しているかを確認するために、前記交通参加者の位置情報を含む問い合わせ信号を前記サーバに対して送信するように構成され、
前記サーバは、
前記問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれる前記交通参加者の位置情報と、前記特定のサービスに加入している各ユーザの所持端末から周期的に受信している各ユーザの位置情報と、に基づいて、前記ジェスチャを行った前記交通参加者が前記特定のサービスに加入しているユーザのうちの一人であるかを判定し、前記移動体が、前記ジェスチャを行った前記交通参加者が加入している前記特定のサービスに対応しているかを判定し、当該判定の結果を含む回答信号を前記移動体に対して送信するように構成され、
前記移動体はさらに、
前記回答信号を受信すると、当該信号に含まれる前記判定の結果に応じた行動を実施するように構成される、
モビリティシステム。
【請求項2】
前記移動体は、
前記交通参加者とコミュニケーションを行うためのコミュニケーションツールを備え、
前記ジェスチャを行った前記交通参加者が前記特定のサービスに加入しているユーザのうちの一人であるときは、前記コミュニケーションツールを介して第1の態様によりその旨の通知を行う、
請求項1に記載のモビリティシステム。
【請求項3】
前記移動体は、
前記ジェスチャを行った前記交通参加者が前記特定のサービスに加入しているユーザではないときは、前記コミュニケーションツールを介して前記第1の態様とは異なる第2の態様によりその旨の通知を行う、
請求項2に記載のモビリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モビリティシステム及びサーバ
に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の車両制御システムとして、車外の人物が手を挙げている場合に、車外に向けて、例えば乗り込み可能か否かに関する情報を出力するように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-73351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配車サービスや物販サービスなどのモビリティサービスを利用するユーザが、例えば当該モビリティサービスを定額で利用できるサブスクリプションサービスなどの特定のサービスに加入している場合がある。このような場合において、モビリティサービスを利用するときには、ユーザは当然、自身が加入している特定のサービスに対応しているサービス車両の利用を希望するものと考えられる。
【0005】
しかしながら、例えばモビリティサービスを提供する事業者が複数存在する等の理由により、ユーザが加入している特定のサービスに対応していないサービス車両が存在する場合がある。そのため、サービス車両を利用しようとするときに、当該サービス車両が特定のサービスに対応しているサービス車両であるかを判別できないと、ユーザがサービスの質に対して不満を抱くおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、利用しようとするサービス車両が、特定のサービスに対応しているサービス車両であるかを判別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様によるモビリティシステムは、モビリティサービスを提供する自律走行可能な複数の移動体と、複数の前記移動体のそれぞれと通信可能に構成されるサーバと、を備える。移動体は、自移動体の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、自移動体の周辺に存在する交通参加者の位置及びジェスチャを検出し、ジェスチャが停車リクエストであるかを判定し、ジェスチャが停車リクエストであれば、自移動体がジェスチャを行った交通参加者の加入している特定のサービスに対応しているかを確認するために、交通参加者の位置情報を含む問い合わせ信号をサーバに対して送信するように構成される。サーバは、問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれる交通参加者の位置情報と、特定のサービスに加入している各ユーザの所持端末から周期的に受信している各ユーザの位置情報とに基づいて、ジェスチャを行った交通参加者が特定のサービスに加入しているユーザのうちの一人であるかを判定し、当該判定の結果を含む回答信号を移動体に対して送信するように構成される。そして移動体は、回答信号を受信すると、当該信号に含まれる判定の結果に応じた行動を実施するように構成される。
【0008】
また本発明のある態様による、モビリティサービスを提供する自律走行可能な複数の移動体と通信可能に構成されるサーバは、モビリティサービスの利用を希望するユーザの所持端末から所定の問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれるユーザの位置情報と、複数の移動体のそれぞれから周期的に受信している複数の移動体のそれぞれの位置情報とに基づいて、ユーザが加入している特定のサービスに対応した移動体がユーザの周囲に存在するか否かを判定し、ユーザが加入している特定のサービスに対応した移動体がユーザの周囲に存在する場合は、当該移動体に対して、判定の結果に応じた行動を実施することを指示する指示信号を送信するように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のこれらの態様によれば、利用しようとするサービス車両(モビリティサービスを提供する移動体)が特定のサービスに対応しているサービス車両である場合には、当該サービス車両が何らかのリアクション(行動)をとってくれるので、当該サービス車両が特定のサービスに対応しているサービス車両であるかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態によるモビリティシステムの概略構成図である。
図2】交通参加者が、道路を走行しているサービス車両に対して停車ジェスチャをとったときに、サービス車両及びサービス車両管理装置で実行される処理の内容と流れを説明する図である。
図3】多数のサービス車両が集合する場所において、ユーザが自身の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両を判別する際に、当該ユーザの所持するユーザ端末、サービス車両、及びサービス車両管理装置で実行される処理の内容と流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0012】
(第1実施形態)
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態によるモビリティシステム100の概略構成図である。
【0014】
モビリティシステム100は、配車サービスや物販サービスなどのモビリティサービスを利用するユーザ1が、モビリティサービスを提供している複数のサービス車両2の中から、当該ユーザ1が加入しているサブスクリプションサービスなどの特定のサービスに対応しているサービス車両を判別できるようにするためのシステムである。
【0015】
本実施形態によるモビリティシステム100は、サービス車両2と、サービス車両管理装置3と、を備える。なお本実施形態では、サービス車両2がタクシーである例を挙げて説明する。
【0016】
サービス車両2は、モビリティサービスを提供する自立走行可能な自動運転車両であって、通信装置21と、カメラ22と、車外コミュニケーションツール23と、制御装置24と、を備える。通信装置21、カメラ22、車外コミュニケーションツール23、及び制御装置24は、それぞれコントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0017】
通信装置21は、光通信回線等で構成されるネットワークに接続するための通信インターフェース回路を有し、ネットワークを介してサービス車両2をサービス車両管理装置3と接続して通信を行うことができるように構成される。
【0018】
カメラ22は、所定のフレームレート(例えば、10[Hz]~40[Hz])でサービス車両2の周囲を撮影し、サービス車両2の周囲が写った周囲画像を生成する。カメラ22は、周囲画像を生成する度に、生成した周囲画像を制御装置24に送信する。
【0019】
車外コミュニケーションツール23は、サービス車両2の周囲の外部の交通参加者と、当該交通参加者の体感覚(例えば視覚や聴覚等)を通じてコミュニケーションを行うために利用可能な機器である。車外コミュニケーションツール23としては、例えば、交通参加者に対して文字や画像などを表示する表示装置(いわゆる外向けHMI)や交通参加者に対して音声を出力する音声出力装置、交通参加者に対して発光する発光装置、交通参加者に向けて指向性を持つ光線を照射する光線照射装置などが挙げられる。車外コミュニケーションツール23は、交通参加者とコミュニケーションを行うための専用のツールであってもよいし、クラクションやヘッドランプ、ハザードランプなどのツールを流用して実現したものであってもよい。
【0020】
制御装置24は、サービス車両2の全体的な動作を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)である。
【0021】
制御装置24は、カメラ22から受信した周囲画像を、例えば入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の畳み込み層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの識別器に順次入力することで、サービス車両2の前方に存在する交通参加者との位置関係や当該交通参加者のジェスチャなどを検出するとともに、当該ジェスチャが例えば手を挙げるなどの停車リクエストであるかを判定し、判定結果に応じたリアクションを、車外コミュニケーションツール23を介して行う。
【0022】
また制御装置24には、前述した周囲画像の他にも、自動運転を実施するために必要な各種のデータ(例えば、測位センサによって取得された現在位置データ)が入力されており、制御装置24は、これらの入力データに基づいて自動運転を実施する。
【0023】
サービス車両管理装置3は、サービス車両2を管理するため装置であって、第1通信部31と、第1記憶部32と、第1処理部33と、を備える。
【0024】
第1通信部31は、光通信回線等で構成されるネットワークにサービス車両管理装置3を接続するための通信インターフェース回路を有し、ネットワークを介してサービス車両管理装置3をサービス車両2と接続して通信を行うことができるように構成される。
【0025】
第1記憶部32は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State DRIVE)又は半導体メモリ等の記憶媒体を有し、第1処理部33での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0026】
第1処理部33は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、第1記憶部32に格納された各種のコンピュータプログラムを実行してサービス車両管理装置3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。第1処理部33が実施する処理の一例を挙げると、例えば第1処理部33は、停車リクエストと推定できるジェスチャ(以下「停車ジェスチャ」という。)をとった交通参加者を検出したサービス車両2からの依頼に基づいて、当該サービス車両2が当該交通参加者の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両であるかを判定し、その判定結果を当該サービス車両2に回答する。
【0027】
図2は、交通参加者が、道路を走行しているサービス車両2に対して停車ジェスチャをとったときに、サービス車両2及びサービス車両管理装置3で実行される処理の内容と流れを説明する図である。
【0028】
なお、本実施形態において、特定のサービスに加入しているモビリティサービスの各ユーザ1は、光通信回線等で構成されるネットワークを介してサービス車両管理装置3と通信を行うことが可能なスマートフォンやタブレットコンピュータ等のユーザ端末4(図1参照)を介して、周期的に自身の位置情報をサービス車両管理装置3に送信しているものとする。すなわち本実施形態において、サービス車両管理装置3は、特定のサービスに加入しているモビリティサービスの各ユーザ1の現在位置を把握できるようになっているものとする。
【0029】
ステップS1において、サービス車両2の制御装置24は、カメラ22から受信した周囲画像に基づいて、自車両の前方に存在する交通参加者の位置を検出するとともに、当該交通参加者が停車ジェスチャをとっているかを判定する。そしてサービス車両2の制御装置24は、交通参加者が停車ジェスチャをとっていて、自車両が停車リクエストを受け付けることが可能な状態(例えば空車状態)であれば、自車両が、停車ジェスチャを行った交通参加者が加入しているサブスクリプションサービスに対応しているかを確認するために、停車ジェスチャを行った交通参加者の位置情報と、自車両の識別情報(例えば車両ナンバーなど)及び位置情報と、を含む問い合わせ信号をサービス車両管理装置3に対して送信する。
【0030】
なお、サービス車両2の制御装置24は、自車両が停車リクエストを受け付けることができない状態であれば、停車ジェスチャをとった交通参加者に対して、その旨を車外コミュニケーションツール23によって通知する。
【0031】
ステップS2において、サービス車両管理装置3は、問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれる停車ジェスチャをとった交通参加者の位置情報と、特定のサービスに加入しているモビリティサービスの各ユーザ1から周期的に受信している各ユーザ1の位置情報と、に基づいて、例えばそれらの一致度合いなどから交通参加者が特定サービスに加入しているモビリティサービスのユーザのうちの一人であるかを判定する。またサービス車両管理装置3は、問い合わせ信号に含まれる識別情報に基づいて、当該信号の送信元のサービス車両2を特定し、特定したサービス車両2については、一時的にその他の停車リクエストやサービス車両管理装置3からの迎車リクエスト(ネット予約など)を受け付けることができない状態にする
【0032】
ステップS3において、サービス車両管理装置3は、停車ジェスチャをとった交通参加者が、特定のサービスに加入しているユーザ1であるか否かの判定結果を含む回答信号を、問い合わせ信号の送信元のサービス車両2に対して送信する。換言すれば、サービス車両管理装置3は、問い合わせ信号の送信元のサービス車両2が、停車ジェスチャをとった交通参加者が加入している特定サービスに対応しているサービス車両であるか否かの判定結果を含む回答信号を、当該サービス車両2に対して送信する。
【0033】
ステップS4において、サービス車両2の制御装置24は、回答信号を受信すると、当該信号に含まれる判定結果に応じたリアクションを、車外コミュニケーションツール23を介して行う。
【0034】
例えば、車外コミュニケーションツール23が交通参加者に対して文字や画像などを表示する表示装置(いわゆる外向けHMI)であり、自車両が停車ジェスチャをとった交通参加者の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両であるならば、その旨の内容(第1の通知)を表示装置に表示することができる。そして、自車両が停車ジェスチャをとった交通参加者の加入している特定サービスに対応していないサービス車両であるならば、その旨の内容(第1の通知とは異なる第2の通知)を表示装置に表示することができる。
【0035】
また例えば、車外コミュニケーションツール23が交通参加者に対して発光する発光装置であり、自車両が停車ジェスチャをとった交通参加者の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両であるならば、その旨を第1の発光態様(色、点滅回数など)で交通参加者に対して示すことができる。車外コミュニケーションツール23が音声出力装置だった場合も、同様にしてその旨を第1の音声出力態様(音声での案内表示やクラクションの回数など)で交通参加者に対して示すことができる。そして、自車両が停車ジェスチャをとった交通参加者の加入している特定サービスに対応していないサービス車両であるならば、その旨を第1の発光態様とは異なる第2の発光態様で交通参加者に対して示すことができる。車外コミュニケーションツール23が音声出力装置だった場合も、同様にして第1の音声出力態様とは異なる第2の音声出力態様で交通参加者に対して示すことができる。
【0036】
また例えば、車外コミュニケーションツール23が交通参加者に向けて指向性を持つ光線を照射する光線照射装置であり、自車両が停車ジェスチャをとった交通参加者の加入している特定サービスに対応しているサービス車両であるならば、停車ジェスチャをとった交通参加者を照射することができる。
【0037】
なお、判定結果に応じたリアクションの結果、停車ジェスチャをとった交通参加者が乗車のキャンセル意思を示した場合(例えば、キャンセル意思を示すジェスチャをとった場合や、停車後も一定時間乗車しなかった場合など)、サービス車両2の制御装置24は、停車ジェスチャをとった交通参加者を乗車させずに走行を再開する。
【0038】
以上説明した本実施形態によるモビリティシステム100は、モビリティサービスを提供する自律走行可能な複数のサービス車両2(移動体)と、複数のサービス車両2のそれぞれと通信可能に構成されるサービス車両管理装置3と、を備える。
【0039】
サービス車両2は、自車両の周辺の状況を表す周辺データに基づいて、自車両の周辺に存在する交通参加者の位置とジェスチャとを検出し、当該ジェスチャが停車リクエストであるかを判定し、当該ジェスチャが停車リクエストであり、自車両の状態が停車リクエストを受け付けることが可能な状態であれば、自車両が、当該ジェスチャを行った交通参加者が加入している特定のサービスに対応しているかを確認するために、交通参加者の位置情報を含む問い合わせ信号をサービス車両管理装置3に対して送信するように構成される。またサービス車両管理装置3は、問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれる交通参加者の位置情報と、特定のサービスに加入している各加入ユーザの所持端末から周期的に受信している各加入ユーザの位置情報と、に基づいて、ジェスチャを行った交通参加者が加入ユーザのうちの一人であるかを判定し、当該判定の結果を含む回答信号をサービス車両2に対して送信するように構成される。
【0040】
そしてサービス車両2は、回答信号を受信すると、当該信号に含まれる判定の結果に応じた行動を実施するように、さらに構成される。具体的にはサービス車両2は、交通参加者とコミュニケーションを行うための車外コミュニケーションツール23を備え、停車ジェスチャを行った交通参加者が加入ユーザのうちの一人であるときは、車外コミュニケーションツール23を介して第1の態様によりその旨の通知を実施し、停車ジェスチャを行った交通参加者が加入ユーザのうちの一人ではないときは、車外コミュニケーションツール23を介して第1の態様とは異なる第2の態様によりその旨の通知を実施するように構成される。
【0041】
このように本実施形態によれば、モビリティサービスを利用しようとするユーザ1がサービス車両2に対して停車ジェスチャをとると、当該サービス車両2が、特定のサービスに対応しているかを知らせるためのリアクションをとってくれるので、ユーザ1は、当該サービス車両2が自身の加入している特定のサービスに対応している車両であるかを容易に判別することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、例えば駅前や商業施設、宿泊施設などの多数のサービス車両2が集合する場所において、ユーザ1が自身の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両2を判別できるようにした点で、第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0043】
図3は、多数のサービス車両2が集合する場所において、ユーザ1が自身の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両2を判別する際に、当該ユーザ1の所持するユーザ端末4、サービス車両2、及びサービス車両管理装置3で実行される処理の内容と流れを説明する図である。
【0044】
なお、本実施形態において、サービス車両2は、自車両の位置情報を周期的にサービス車両管理装置3に送信しているものとする。すなわち本実施形態において、サービス車両管理装置3は、各サービス車両2の現在位置を把握できるようになっているものとする。
【0045】
ステップS11において、ユーザ1は、ユーザ端末4を操作して所定のアプリを起動し、当該アプリ上で、自身が加入している特定のサービスに対応したサービス車両2の検索依頼を実施する。ユーザ端末4は、アプリを介して検索依頼が実施されると、ユーザ1の位置情報を含む問い合わせ信号をサービス車両管理装置3に送信する。
【0046】
ステップS12において、サービス車両管理装置3は、問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれるユーザ1の位置情報と、各サービス車両2から周期的に受信している各サービス車両2の位置情報と、に基づいて、ユーザ1の周囲に存在し、かつ、当該ユーザ1の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両2が存在しているかを判定する。
【0047】
ステップS13において、サービス車両管理装置3は、ユーザ1の周囲に当該ユーザ1の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両2が存在している場合は、当該サービス車両2に対して指示信号を送信するとともに、問い合わせ信号の送信元のユーザ端末4に通知信号を送信する。
【0048】
指示信号は、サービス車両2に対して、自車両が特定のサービスに対応しているサービス車両2であることを周囲の交通参加者に対して通知するための行動を実施することを指示するための信号である。通知信号は、問い合わせ信号の送信元のユーザ端末4に対して、特定のサービスに対応しているサービス車両2がこれから行う行動を、アプリを介してユーザ1に通知するように指示するための信号である。
【0049】
ステップS14において、サービス車両2は、指示信号を受信すると、車外コミュニケーションツール23を介して、自車両が特定のサービスに対応しているサービス車両2であることを周囲に通知する。
【0050】
ステップS15において、ユーザ端末4は、通知信号を受信すると、特定のサービスに対応しているサービス車両2にこれから実施させる行動の内容を、アプリを介してユーザ1に通知する。
【0051】
これによりユーザ1は、周囲に存在している複数のサービス車両2の中から、自身の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両を容易に判別することができる。
【0052】
なお、ステップS12の判定の結果、ユーザ1の周囲に特定のサービスに対応しているサービス車両2が存在していないときは、その旨の通知のみを問い合わせ信号の送信元のユーザ端末4に送信すればよい。
【0053】
以上説明した本実施形態によるサービス車両管理装置3(サーバ)は、モビリティサービスの利用を希望するユーザ1の所持するユーザ端末4(所持端末)から所定の問い合わせ信号を受信すると、当該信号に含まれるユーザ1の位置情報と、複数のサービス車両2のそれぞれから周期的に受信している各サービス車両2の位置情報と、に基づいて、ユーザ1の加入している特定のサービスに対応したサービス車両2がユーザ1の周囲に存在するか否かを判定し、ユーザ1の加入している特定のサービスに対応したサービス車両2がユーザ1の周囲に存在する場合は、当該サービス車両2に対して、判定の結果に応じた行動を実施することを指示する指示信号を送信するように構成される。
【0054】
また本実施形態によるサービス車両管理装置3は、ユーザ1の加入している特定のサービスに対応したサービス車両2がユーザ1の周囲に存在する場合は、ユーザ1のユーザ端末4に、サービス車両2が実施する行動の内容を通知することを指示する通知信号を送信するように構成される。
【0055】
これによりユーザ1は、周囲に存在している複数のサービス車両2の中から、自身の加入している特定のサービスに対応しているサービス車両を容易に判別することができる
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0057】
例えば、上記の実施形態において、サービス車両2の制御装置24やサービス車両管理装置3、ユーザ端末4において実行されるコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 ユーザ
2 サービス車両
3 サービス車両管理装置(サーバ)
4 ユーザ端末(所持端末)
100 モビリティシステム
図1
図2
図3