IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図1
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図2
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図3
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図4
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図5
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図6
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図7
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図8
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図9
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図10
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図11
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図12
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図13
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図14
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図15
  • 特許-通信装置、基地局及び通信方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-28
(45)【発行日】2025-08-05
(54)【発明の名称】通信装置、基地局及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20250729BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20250729BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W72/0457 110
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021128623
(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公開番号】P2023023272
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 美沙
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】西 隆史
(72)【発明者】
【氏名】姫野 秀雄
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】Intel Corporation,Enhancements to Multi-Beam Operation,3GPP TSG RAN WG1 #105-e R1-2104888,フランス,3GPP,2021年05月12日
【文献】Samsung,Introducing RACH-less in NR,3GPP TSG RAN WG2 #105 R2-1900997,フランス,3GPP,2019年02月15日
【文献】Panasonic,Summary for the maintenance of TA,3GPP TSG RAN WG1 #94 R1-1809824,フランス,3GPP,2018年08月23日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信部(112)と制御部(120)を備える通信装置(100)であって、
前記受信部は、
第1タイミングアドバンスグループ(第1TAG)の識別子と第2タイミングアドバンスグループ(第2TAG)の識別子とのそれぞれを設定する情報を含む設定情報を、物理セル識別子を有する1つのサービングセルでの前記通信装置の設定として無線リソース制御(RRC)シグナリングを用いて基地局(200)から受信し、
前記サービングセルの物理セル識別子に対応する第1上りリンク送信のタイミング調整のための第1オフセットを設定する情報、及び、前記サービングセルの物理識別子とは異なる物理セル識別子に対応する第2上りリンク送信のタイミング調整のための第2オフセットを設定する情報を前記基地局から受信し、
前記第2TAGの識別子に対応する送信設定指示子(TCI)状態をアクティブ化する情報を前記基地局から受信し、
記制御部は、
前記第1TAGに対応するタイミングアドバンスコマンド及び前記第1オフセットを設定する情報に基づいて前記第1上りリンク送信のタイミングを調整し、且つ、前記第1TAGに対応する第1タイムアライメントタイマを制御し、
前記第2TAGに対応するタイミングアドバンスコマンド及び前記第2オフセットを設定する情報に基づいて前記第2上りリンク送信のタイミングを調整し、且つ、前記第2TAGに対応する第2タイムアライメントタイマを制御し、
前記第2タイムアライメントタイマが満了した場合に、前記アクティブ化されたTCI状態に対応する半永続的なチャネル状態情報の報告に対する物理上りリンク共用チャネルのリソースを消去し、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングの調整値を保持する
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1タイムアライメントタイマがランニングしており、前記第2タイムアライメントタイマが満了した場合に、前記アクティブ化されたTCI状態に対応する前記半永続的なチャネル状態情報の報告に対する物理上りリンク共用チャネルのリソースを消去し、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングの調整値を保持する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記受信部は、ランダムアクセスレスポンスにおいて、前記第2TAGに対応する前記タイミングアドバンスコマンドを前記基地局から受信し、
前記制御部は、
前記第2オフセット、及び、前記第2TAGに対応する前記タイミングアドバンスコマンドに基づいて、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングを調整し、
前記第2タイムアライメントタイマを開始する
請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記第2TAGに対応するSS/PBCH Block(SSB)の設定を前記基地局から受信し、
前記制御部は、
前記第2TAGに対応する前記SSBの設定に基づいて下りリンクのフレームタイミングを決定し、
前記決定した下りリンクのフレームタイミングに基づいて前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングを調整する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
送信部(212)と制御部(230)を備える基地局(200)であって、
前記送信部は、
第1タイミングアドバンスグループ(第1TAG)の識別子と第2タイミングアドバンスグループ(第2TAG)の識別子とのそれぞれを設定する情報を含む設定情報を、物理セル識別子を有する1つのサービングセルでの通信装置(100)の設定として無線リソース制御(RRC)シグナリングを用いて前記通信装置へ送信し、
前記サービングセルの物理セル識別子に対応する第1上りリンク送信のタイミング調整のための第1オフセットを設定する情報、及び、前記サービングセルの物理識別子とは異なる物理セル識別子に対応する第2上りリンク送信のタイミング調整のための第2オフセットを設定する情報を前記通信装置へ送信し、
前記第2TAGの識別子に対応する送信設定指示子(TCI)状態をアクティブ化する情報を前記通信装置へ送信
前記制御部は、
前記第1TAGに対応するタイミングアドバンスコマンド及び前記第1オフセットを設定する情報に基づいて前記第1上りリンク送信のタイミングは調整され、且つ、前記第1TAGに対応する第1タイムアライメントタイマを制御し、
前記第2TAGに対応するタイミングアドバンスコマンド及び前記第2オフセットを設定する情報に基づいて前記第2上りリンク送信のタイミングは調整され、且つ、前記第2TAGに対応する第2タイムアライメントタイマを制御
前記第2タイムアライメントタイマが満了した場合に、前記アクティブ化されたTCI状態に対応する半永続的なチャネル状態情報の報告に対する物理上りリンク共用チャネルのリソースは消去される
基地局。
【請求項6】
前記第1タイムアライメントタイマがランニングしており、前記第2タイムアライメントタイマが満了した場合に、前記アクティブ化されたTCI状態に対応する前記半永続的なチャネル状態情報の報告に対する物理上りリンク共用チャネルのリソースは消去される
請求項に記載の基地局。
【請求項7】
前記送信部は、ランダムアクセスレスポンスにおいて、前記第2TAGに対応する前記タイミングアドバンスコマンドを前記通信装置へ送信し、
前記第2オフセット、及び、前記第2TAGに対応する前記タイミングアドバンスコマンドに基づいて、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングは調整され、
前記第2タイムアライメントタイマは開始される
請求項又は請求項に記載の基地局。
【請求項8】
前記送信部は、前記第2TAGに対応するSS/PBCH Block(SSB)の設定を前記通信装置へ送信し、
前記第2TAGに対応する前記SSBの設定に基づいて下りリンクのフレームタイミングが決定され、
前記決定された下りリンクのフレームタイミングに基づいて前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングが調整される
請求項に記載の基地局。
【請求項9】
通信装置(100)の通信方法であって、
第1タイミングアドバンスグループ(第1TAG)の識別子と第2タイミングアドバンスグループ(第2TAG)の識別子とのそれぞれを設定する情報を含む設定情報を、物理セル識別子を有する1つのサービングセルでの前記通信装置の設定として無線リソース制御(RRC)シグナリングを用いて基地局(200)から受信するステップと、
前記サービングセルの物理セル識別子に対応する第1上りリンク送信のタイミング調整のための第1オフセットを設定する情報、及び、前記サービングセルの物理識別子とは異なる物理セル識別子に対応する第2上りリンク送信のタイミング調整のための第2オフセットを設定する情報を前記基地局から受信するステップと、
前記第2TAGの識別子に対応する送信設定指示子(TCI)状態をアクティブ化する情報を前記基地局から受信するステップと、
前記第1TAGに対応するタイミングアドバンスコマンド及び前記第1オフセットを設定する情報に基づいて前記第1上りリンク送信のタイミングを調整し、且つ、前記第1TAGに対応する第1タイムアライメントタイマを制御するステップと、
前記第2TAGに対応するタイミングアドバンスコマンド及び前記第2オフセットを設定する情報に基づいて前記第2上りリンク送信のタイミングを調整し、且つ、前記第2TAGに対応する第2タイムアライメントタイマを制御するステップと、
前記第2タイムアライメントタイマが満了した場合に、前記アクティブ化されたTCI状態に対応する半永続的なチャネル状態情報の報告に対する物理上りリンク共用チャネルのリソースを消去し、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングの調整値を保持するステップと、を備える
通信方法。
【請求項10】
前記第1タイムアライメントタイマがランニングしており、前記第2タイムアライメントタイマが満了した場合に、前記アクティブ化されたTCI状態に対応する前記半永続的なチャネル状態情報の報告に対する物理上りリンク共用チャネルのリソースを消去し、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングの調整値を保持するステップと、を備える
請求項に記載の通信方法。
【請求項11】
ンダムアクセスレスポンスにおいて、前記第2TAGに対応する前記タイミングアドバンスコマンドを前記基地局から受信するステップと、
前記第2オフセット、及び、前記第2TAGに対応する前記タイミングアドバンスコマンドに基づいて、前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングを調整するステップと、
前記第2タイムアライメントタイマを開始するステップと、を備える
請求項又は請求項1に記載の通信方法。
【請求項12】
前記第2TAGに対応するSS/PBCH Block(SSB)の設定を前記基地局から受信するステップと、
前記第2TAGに対応する前記SSBの設定に基づいて下りリンクのフレームタイミングを決定するステップと、を備え、
前記タイミングを調整するステップにおいて、前記決定した下りリンクのフレームタイミングに基づいて前記第2上りリンク送信に対する前記タイミングを調整する
請求項1に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、MIMO(multi-input multi-output)の拡張として、複数送受信ポイント(TRP:Transmission/Reception Point)伝送の導入が検討されている。
【0003】
複数TRP伝送のシナリオにおいて、サービングセルである第1セル及び当該第1セルと同じ周波数(イントラ周波数)に属する第2セルがユーザ装置に設定され、ユーザ装置が第1セルをサービングセルとして維持しつつ、第2セルとのデータ通信を行うモデルが想定されている(非特許文献1乃至3参照)。ここで、第2セルは、第1セルとは異なるTRPにより構成され、且つ物理セル識別子(PCI)が第1セルとは異なるセル(cell having TRP with different PCI)である。
【0004】
ところで、セルから離れた位置にいるユーザ装置は、伝搬遅延を補償するために、セルから近い位置にいるユーザ装置に比べて、早いタイミングで上りリンク信号の送信を行う。具体的には、ユーザ装置は、基地局からのタイミングアドバンスに基づいて、上りリンク信号の送信タイミングを調整する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】3GPP寄書: RP-211190,“Discussion on work scope for Rel-17 feNR-MIMO in RAN2”
【文献】3GPP寄書: R2-2106787,“LS Reply on TCI State Update for L1/L2-Centric Inter-Cell Mobility”
【文献】3GPP寄書: RP-211586,“Revised WID: Further enhancements on MIMO for NR”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の複数TRP伝送シナリオにおいて、ユーザ装置は、第1セル及び第2セルのそれぞれに対して上りリンク信号の送信タイミング調整を行うことが必要であると考えられる。しかしながら、第2セルに対する上りリンク送信タイミングの調整方法は実現されておらず、第2セルに対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御できない懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、サービングセルである第1セル及び当該第1セルと同じ周波数に属する第2セルが設定される場合において、第2セルに対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御可能とするユーザ装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係るユーザ装置(100)は、サービングセルである第1セル(C1)及び前記第1セル(C1)と同じ周波数に属する第2セル(C2)を管理する基地局(200)によって前記第1セル(C1)及び前記第2セル(C2)が設定されるユーザ装置(100)である。前記ユーザ装置は、前記第2セル(C2)と対応付けられた送信設定指示子(TCI)状態をアクティブ化する指示を前記基地局(200)から受信する受信部(112)と、前記指示の受信に応じて、前記TCI状態をアクティブ化する制御部(120)と、を備える。前記制御部(120)は、前記TCI状態をアクティブ化したことに応じて、前記第2セル(C2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整する。
【0009】
第2の態様に係る通信方法は、サービングセルである第1セル(C1)及び前記第1セル(C1)と同じ周波数に属する第2セル(C2)を管理する基地局(200)によって前記第1セル(C1)及び前記第2セル(C2)が設定されるユーザ装置(100)が実行する通信方法である。前記通信方法は、前記第2セル(C2)と対応付けられた送信設定指示子(TCI)状態をアクティブ化する指示を前記基地局(200)から受信するステップと、前記指示の受信に応じて、前記TCI状態をアクティブ化するステップと、前記TCI状態をアクティブ化したことに応じて、前記第2セル(C2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、サービングセルである第1セル及び当該第1セルと同じ周波数に属する第2セルが設定される場合において、第2セルに対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御可能とするユーザ装置及び通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る移動通信システムにおけるプロトコルスタックの構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る移動通信システムにおける上りフレームと下りフレームとの関係を説明するための説明図である。
図4】実施形態に係る移動通信システムにおける想定シナリオを示す図である。
図5】実施形態に係る想定シナリオにおける基本的なプロシージャを示す図である。
図6】実施形態に係るUEの構成を示す図である。
図7】実施形態に係る基地局の構成を示す図である。
図8】実施形態に係る移動通信システムにおける第1動作例のシーケンスを示す図である。
図9】実施形態に係る移動通信システムにおける第1動作例を説明する説明図である。
図10】実施形態に係る移動通信システムにおける第2動作例のシーケンスを示す図である。
図11】実施形態に係る移動通信システムにおける第2動作例を説明する説明図である。
図12】実施形態に係る移動通信システムにおける第3動作例のシーケンスを示す図である。
図13】実施形態に係る移動通信システムにおける第4動作例のシーケンス(その1)を示す図である。
図14】実施形態に係る移動通信システムにおける第4動作例のシーケンス(その2)を示す図である。
図15】実施形態に係る移動通信システムにおける第5動作例のシーケンスを示す図である。
図16】実施形態に係る移動通信システムにおける第5動作例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
(移動通信システムの構成)
図1を参照して、実施形態に係る移動通信システム1の構成について説明する。移動通信システム1は、例えば、3GPPの技術仕様(Technical Specification:TS)に準拠したシステムである。以下において、移動通信システム1として、3GPP規格の第5世代システム(5th Generation System:5GS)、すなわち、NR(New Radio)に基づく移動通信システムを例に挙げて説明する。
【0014】
移動通信システム1は、ネットワーク10と、ネットワーク10と通信するユーザ装置(User Equipment:UE)100とを有する。ネットワーク10は、5Gの無線アクセスネットワークであるNG-RAN(Next Generation Radio Access Network)20と、5Gのコアネットワークである5GC(5G Core Network)30とを含む。
【0015】
UE100は、ユーザにより利用される装置である。UE100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話端末、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール、又は通信カードなどの移動可能な装置である。UE100は、車両(例えば、車、電車など)又はこれに設けられる装置であってよい。UE100は、車両以外の輸送機体(例えば、船、飛行機など)又はこれに設けられる装置であってよい。UE100は、センサ又はこれに設けられる装置であってよい。なお、UE100は、移動局、移動端末、移動装置、移動ユニット、加入者局、加入者端末、加入者装置、加入者ユニット、ワイヤレス局、ワイヤレス端末、ワイヤレス装置、ワイヤレスユニット、リモート局、リモート端末、リモート装置、又はリモートユニット等の別の名称で呼ばれてもよい。
【0016】
NG-RAN20は、複数の基地局200を含む。各基地局200は、少なくとも1つのセルを管理する。セルは、通信エリアの最小単位を構成する。例えば、1つのセルは、1つの周波数(キャリア周波数)に属し、1つのコンポーネントキャリアにより構成される。用語「セル」は、無線通信リソースを表すことがあり、UE100の通信対象を表すこともある。各基地局200は、自セルに在圏するUE100との無線通信を行うことができる。基地局200は、RANのプロトコルスタックを使用してUE100と通信する。基地局200は、UE100へ向けたNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインターフェイスを介して5GC30に接続される。このようなNRの基地局200は、gNodeB(gNB)と称されることがある。
【0017】
5GC30は、コアネットワーク装置300を含む。コアネットワーク装置300は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)及び/又はUPF(User Plane Function)を含む。AMFは、UE100のモビリティ管理を行う。UPFは、ユーザプレーン処理に特化した機能を提供する。AMF及びUPFは、NGインターフェイスを介して基地局200と接続される。
【0018】
図2を参照して、実施形態に係る移動通信システム1におけるプロトコルスタックの構成例について説明する。
【0019】
UE100と基地局200との間の無線区間のプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤとを有する。
【0020】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤと基地局200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0021】
物理チャネルは、時間領域における複数のOFDMシンボルと周波数領域における複数のサブキャリアとで構成される。1つのサブフレームは、時間領域で複数のOFDMシンボルで構成される。リソースブロックは、リソース割当単位であり、複数のOFDMシンボルと複数のサブキャリアとで構成される。フレームは、10msで構成されることができ、1msで構成された10個のサブフレームを含むことができる。サブフレーム内には、サブキャリア間隔に応じた数のスロットが含まれることができる。
【0022】
物理チャネルの中で、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、例えば、下りリンクスケジューリング割り当て、上りリンクスケジューリンググラント、及び送信電力制御等の目的で中心的な役割を果たす。
【0023】
NRでは、UE100は、システム帯域幅(すなわち、セルの帯域幅)よりも狭い帯域幅を使用できる。基地局200は、連続するPRBからなる帯域幅部分(BWP)をUE100に設定する。UE100は、アクティブなBWPにおいてデータ及び制御信号を送受信する。UE100には、例えば、最大4つのBWPが設定可能である。各BWPは、異なるサブキャリア間隔を有していてもよいし、周波数が相互に重複していてもよい。UE100に対して複数のBWPが設定されている場合、基地局200は、ダウンリンクにおける制御によって、どのBWPをアクティブ化するかを指定できる。これにより、基地局200は、UE100のデータトラフィックの量等に応じてUE帯域幅を動的に調整でき、UE電力消費を減少させ得る。
【0024】
基地局200は、例えば、サービングセル上の最大4つのBWPのそれぞれに最大3つの制御リソースセット(CORESET:control resource set)を設定できる。CORESETは、UE100が受信すべき制御情報のための無線リソースである。UE100には、サービングセル上で最大12個のCORESETが設定され得る。各CORESETは、0乃至11のインデックスを有する。例えば、CORESETは、6つのリソースブロック(PRB)と、時間領域内の1つ、2つ、又は3つの連続するOFDMシンボルとにより構成される。
【0025】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤと基地局200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0026】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤと基地局200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0027】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0028】
PDCPレイヤの上位レイヤとしてSDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤが設けられていてもよい。SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0029】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCレイヤと基地局200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間のRRC接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0030】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、UE100のセッション管理及びモビリティ管理を行う。UE100のNASレイヤとコアネットワーク装置300(AMF)のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0031】
(上りリンク送信タイミングの調整方法)
図3を参照して、実施形態に係る移動通信システム1における上りリンク送信タイミングの調整方法の例について説明する。すなわち、上りリンク送信タイミングの同期を取る方法について説明する。
【0032】
基地局200は、管理するセル内の各UE100から上りリンク信号の受信タイミングを所定の時間範囲内に収めるために、各UE100の上りリンク信号の送信タイミングを制御する。基地局200は、UE100が上りリンク信号の送信タイミングを調整するためのタイミングアドバンス(以下、TA)を決定する。基地局200は、各UE100へ決定したTAを提供する。
【0033】
UE100は、下りフレームタイミングを基準として、上りリンク送信のタイミングを調整する。UE100は、下りフレームに対する上りフレームタイミングを調整するためにTAを使用する。図4に示すように、UE100は、(NTA+NTA,offset)Tの時間だけ、i番目の下りフレームに対して、i番目の上りフレームを前にずらす。UE100は、例えば、以下の式を用いて、下りフレームに対してずらす調整値(TTA)を算出する。
【0034】
【数1】
【0035】
TAは、基地局200(セル)から通知されるTA(T)に基づいて算出される値(TA値と適宜称する)である。NTAは、式2及び式3により算出できる。
【0036】
式2におけるTA(T)は、媒体アクセス制御(MAC)制御要素(CE)に含まれるタイミングアドバンスコマンド(TAコマンド)の値である。UE100は、TAコマンドの受信に応じて、保持しているTA値(NTA_old)から新たなTA値(NTA_NEW)を算出する。式3におけるTA(T)は、ランダムアクセス応答に含まれるタイミングアドバンスの値である。なお、μは、サブキャリア間隔設定である。
【0037】
TA,offsetは、調整値(TTA)を算出するために用いられる固定のオフセット値である。NTA,offsetは、基地局200(セル)から通知されてよい。UE100は、基地局200からNTA,offsetを通知されない場合、デフォルト値としてNTA,offsetを決定してよい。UE100は、周波数帯、MR-DCの有無、NR・NB-IoTの共存の有無などの条件によりオフセット値(NTA,offset)を決定してよい。UE100は、例えば、以下の表1を用いてオフセット値(NTA,offset)を決定してよい。
【0038】
【表1】
【0039】
は、基本時間ユニットである。Tは、予め定められた固定値である。UE100は、Tの情報を予め保持している。Tは、例えば、0.509nsである。
【0040】
上りリンク送信のタイミングを調整する基準となる下りフレームタイミングは、下りフレームの先頭のタイミングである。具体的には、下りフレームタイミングは、下りフレームの(時間内に)最初に検出したパスを基地局200(具体的には、基準セル)から受信した時間として規定される。なお、上りフレーム及び下りフレームを構成する無線フレームは、10個の1msのサブフレームで構成される。各フレームは、5個のサブフレームからなる2個の同じサイズのハーフフレームに分割される。
【0041】
UE100は、BWPにおいて送信される参照信号(SSB:SS/PBCH Block)に含まれる同期信号を用いて、下りタイミングの同期を行うことで、SSBを受信したBWPにおける下りフレームタイミングを把握することができる。
【0042】
なお、SSBは、プライマリ同期信号(PSS)、セカンダリ同期信号(SSS)、PBCH(Physical Broadcast Channel)、及び復調参照信号(DMRS)を含む。例えば、SSBは、時間領域において連続した4つのOFDMシンボルから構成されてもよい。また、SSBは、周波数領域において連続した240サブキャリア(すなわち、20リソースブロック)から構成されてもよい。PBCHは、マスタ情報ブロック(MIB)を運ぶ物理チャネルである。
【0043】
(想定シナリオ)
図4を参照して、実施形態に係る移動通信システム1における想定シナリオについて説明する。
【0044】
基地局200は、TRP201#1と、TRP201#2と、DU(Distributed Unit)202と、CU(central unit)203とを有する。図4において、基地局200がDU202及びCU203に分離されている一例を示しているが、基地局200がDU202及びCU203に分離されていなくてもよい。また、基地局200のTRP201の数が2つである一例を示しているが、基地局200のTRP201の数が3つ以上であってもよい。
【0045】
TRP201#1及びTRP201#2は、分散して配置され、互いに異なるセルを構成する。具体的には、TRP201#1はセルC1を形成し、TRP201#2はセルC2を形成する。
【0046】
セルC1及びセルC2は、同じ周波数に属する。セルC1及びセルC2は、物理セル識別子(PCI)が互いに異なる。すなわち、セルC2は、セルC1に対応するTRP201#1とは異なるTRP#2により構成され、且つPCIがセルC1とは異なるセル(cell having TRP with different PCI)である。図4において、セルC2のカバレッジがセルC1のカバレッジ内にある一例を示しているが、セルC2のカバレッジは、セルC1のカバレッジと少なくとも一部が重複していればよい。
【0047】
DU202は、TRP201#1及びTRP201#2を制御する。換言すると、TRP201#1及びTRP201#2は、同一のDU202の配下にある。DU202は、上述のプロトコルスタックに含まれる下位レイヤ、例えば、RLCレイヤ、MACレイヤ及びPHYレイヤを含むユニットである。DU202は、フロントホールインターフェイスであるF1インターフェイスを介してCU203と接続される。
【0048】
CU203は、DU202を制御する。CU203は、上述のプロトコルスタックに含まれる上位レイヤ、例えば、RRCレイヤ、SDAPレイヤ及びPDCPレイヤを含むユニットである。CU203は、バックホールインターフェイスであるNGインターフェイスを介してコアネットワーク(5GC30)と接続される。
【0049】
UE100は、RRCコネクティッド状態にあり、基地局200との無線通信を行う。NRは、ミリ波帯といった高周波数帯による広帯域伝送が可能であるが、このような高周波数帯の電波における電波減衰を補うために、基地局200とUE100との間でビームフォーミングを利用し、高いビーム利得を得ている。基地局200及びUE100は、ビームペアを確立する。
【0050】
UE100は、サービングセルであるセルC1(TRP201#1)とのデータ通信を行う。具体的には、UE100は、送信設定指示子(TCI)状態#1に対応するビームを用いてセルC1とのデータ通信を行う。UE100には、セルC1に加えて、非サービングセルであるセル2が設定される。例えば、UE100には、セルC2に対するビーム測定を行うためのSSB(SS/PBCH Block)、及びセル2とのデータ通信を行うための無線リソースがセルC1から設定される。
【0051】
UE100は、セルC2に対するビーム測定の結果をセルC1に報告する。基地局200(DU202)は、UE100からのビーム測定結果をセルC1において受信し、ビーム測定結果に基づいて、セルC2のビームに対応するTCI状態#2をアクティブ化する。
【0052】
このように、実施形態では、複数TRP伝送のシナリオにおいて、サービングセルであるセルC1及び当該セルC1と同じ周波数(イントラ周波数)に属するセルC2がUE100に設定され、UE100がセルC1をサービングセルとして維持しつつ、セルC2とのデータ通信を行うモデルを想定する。
【0053】
図5を参照して、実施形態に係る想定シナリオにおける基本的なプロシージャについて説明する。
【0054】
ステップS1において、UE100は、例えばRRCシグナリングによりセルC1(TRP201#1)から設定情報を受信する。設定情報は、セルC2(TRP201#2)に対するビーム測定に用いるSSBの設定と、データの送受信(セルC2とのデータ送受信を含む)のための無線リソースを用いるために必要な設定とを含む。設定情報は、CU203からDU202及びセルC1(TRP201#1)を介してUE100に送信されてもよい。
【0055】
ステップS2において、UE100は、ステップS1で受信した設定情報(特に、SSB設定)を用いてセルC2(TRP201#2)に対するビーム測定を行い(ステップS2a)、測定結果を含む報告をセルC1(TRP201#1)に送信する(ステップS2b)。DU202は、セルC1(TRP201#1)を介してビーム測定結果を受信する。
【0056】
ステップS3において、DU202は、ステップS2で受信したビーム測定結果に基づいて、セルC2(TRP201#2)と対応付けられたTCI状態をアクティブ化する指示を、セルC1(TRP201#1)を介してUE100に送信する。このようなアクティブ化指示は、レイヤ1(PHYレイヤ)及びレイヤ2(MACレイヤ等)のシグナリングにより行われる。UE100は、セルC1からのアクティブ化指示の受信に応じて、セルC2(TRP201#2)と対応付けられたTCI状態をアクティブ化する。その結果、UE100とセルC2(TRP201#2)とのビームペアが確立される。
【0057】
ステップS4において、UE100は、セルC2(TRP201#2)上のUE専用チャネルを用いてデータをセルC2(TRP201#2)と送受信する。DU202は、セルC2(TRP201#2)を介してデータをUE100と送受信する。
【0058】
なお、UE100は、セルC1(TRP201#1)のカバレッジ内にあり、共通チャネルであるブロードキャストチャネル(BCCH)やページングチャネル(PCH)をセルC1(TRP201#1)から受信する。
【0059】
このようなシナリオ及びプロシージャによれば、UE100は、上位レイヤ(特に、RRCレイヤ)からの切り替え指示に依存せずに、且つ、セルC1(TRP201#1)からセルC2(TRP201#2)へのハンドオーバを行うことなく、レイヤ1(PHYレイヤ)及びレイヤ2(MACレイヤ等)におけるビーム管理により、データ通信をセルC1(TRP201#1)からセルC2(TRP201#2)に切り替えることができる。すなわち、データ通信を行うセルをレイヤ1(PHYレイヤ)及びレイヤ2(MACレイヤ等)によるビーム切り替えによって実現できる。
【0060】
上述のシナリオにおいて、UE100は、セルC1(TRP201#1)及びセルC2(TRP201#2)のそれぞれに対して上りリンク信号の送信タイミング調整を行うことが必要であると考えられる。しかしながら、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク送信タイミングの調整方法は実現されておらず、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御できない懸念がある。後述の一実施形態において、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御可能とする方法について説明する。
【0061】
また、上述のシナリオにおいて、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク送信タイミングを調整する契機が規定されていない。このため、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク送信タイミングの調整を適切な契機で実行できない懸念がある。後述の一実施形態において、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミング調整を適切な契機で行う方法について説明する。
【0062】
また、上述のシナリオにおいて、UE100が、セルC1(TRP201#1)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御する調整タイマ(以下、第1調整値タイマと適宜称する)と、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御する調整タイマ(以下、第2調整値タイマと適宜称する)と、を保持するケースを想定する。このケースにおいて、UE100の動作は規定されていないため、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信を適切に制御できない懸念がある。後述の一実施形態において、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信を適切に制御するための方法について説明する。
【0063】
(ユーザ装置の構成)
図6を参照して、実施形態に係るUE100の構成について説明する。UE100は、通信部110及び制御部120を備える。
【0064】
通信部110は、無線信号を基地局200と送受信することによって基地局200との無線通信を行う。通信部110は、少なくとも1つの送信部111及び少なくとも1つの受信部112を有する。送信部111及び受信部112は、複数のアンテナ及びRF回路を含んで構成されてもよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでもよい。
【0065】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、通信部110を介した基地局200との通信を制御する。上述及び後述のUE100の動作は、制御部120の制御による動作であってよい。制御部120は、プログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。プロセッサは、プログラムを実行して、制御部120の動作を行ってもよい。制御部120は、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサを含んでもよい。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。なお、メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0066】
一実施形態において、UE100には、サービングセルであるセルC1(TRP201#1)及びセルC1(TRP201#1)と同じ周波数に属するセルC2(TRP201#2)を管理する基地局200によって、セルC1(TRP201#1)及びセルC2(TRP201#2)が設定される。受信部112は、セルC2(TRP201#2)と対応付けられた送信設定指示子(TCI)状態をアクティブ化する指示を基地局200から受信する。制御部120は、指示の受信に応じて、TCI状態をアクティブ化する。制御部120は、TCI状態をアクティブ化したことに応じて、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整する。これにより、TCI状態をアクティブ化したことにより、セルC2(TRP201#2)とのデータ通信を行うことが明確になった段階で、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整できる。従って、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミング調整を適切な契機で行うことができる。その結果、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御可能となる。
【0067】
一実施形態において、UE100には、サービングセルであるセルC1(TRP201#1)及びセルC1(TRP201#1)と同じ周波数に属するセルC2(TRP201#2)を管理する基地局200によって、セルC1(TRP201#1)及びセルC2(TRP201#2)が設定される。送信部111は、セルC1(TRP201#1)への上り信号の送信に関する第1リソースを用いてセルC1(TRP201#1)への上りリンク信号を送信し、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信に関する第2リソースを用いてセルC2(TRP201#2)への上り信号を送信する。制御部120は、セルC1(TRP201#1)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御する第1調整タイマを保持する。制御部120は、第1調整タイマが満了した場合、第1リソースを解放すると共に、第2リソースも解放する。
【0068】
UE100は、セルC1(TRP201#1)との通信にて、報知情報、ページング等の制御情報を取得するため、第1リソースが解放された場合、報知情報、ページング等の制御情報を取得できない。その結果、UE100は、セルC2(TRP201#2)との通信を適切に制御できず、セルC2(TRP201#2)との通信を正常に継続できない虞がある。そこで、UE100は、第1調整タイマが満了した場合、第1リソースを解放すると共に、第2リソースも解放することで、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御できず、セルC2(TRP201#2)との通信を正常に継続できない場合には、セルC2(TRP201#2)との通信を行わない。従って、セルC2(TRP201#2)との通信を適切に制御可能である場合に、セルC2(TRP201#2)との通信を行うことで、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信を適切に制御可能となる。
【0069】
(基地局の構成)
図7を参照して、実施形態に係る基地局200の構成について説明する。基地局200は、複数のTRP201(図7の例では、TRP201#1及びTRP201#2)と、通信部210と、ネットワークインターフェイス220と、制御部230とを有する。
【0070】
各TRP201は、複数のアンテナを含み、ビームフォーミング可能に構成される。TRP201は、パネル又はアンテナパネルと称されてもよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。各TRP201は、分散して配置され、それぞれセルを構成する。
【0071】
通信部210は、例えば、UE100からの無線信号を受信し、UE100への無線信号を送信する。通信部210は、少なくとも1つの送信部211及び少なくとも1つの受信部212を有する。送信部211及び受信部212は、RF回路を含んで構成されてもよい。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでもよい。
【0072】
ネットワークインターフェイス220は、信号をネットワークと送受信する。ネットワークインターフェイス220は、例えば、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して接続された隣接基地局から信号を受信し、隣接基地局へ信号を送信する。また、ネットワークインターフェイス220は、例えば、NGインターフェイスを介して接続されたコアネットワーク装置300から信号を受信し、コアネットワーク装置300へ信号を送信する。
【0073】
制御部230は、基地局200における各種の制御を行う。制御部230は、例えば、通信部210を介したUE100との通信を制御する。また、制御部230は、例えば、ネットワークインターフェイス220を介したノード(例えば、隣接基地局、コアネットワーク装置300)との通信を制御する。上述及び後述の基地局200の動作は、制御部230の制御による動作であってよい。制御部230は、プログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。プロセッサは、プログラムを実行して、制御部230の動作を行ってもよい。制御部230は、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサを含んでもよい。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。なお、メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0074】
なお、基地局200がDU202及びCU203に分離されている場合、通信部210は、DU202内に設けられてもよく、制御部230は、DU202及び/又はCU203に設けられていてもよい。
【0075】
(システム動作)
(1)第1動作例
図8及び図9を参照して、移動通信システム1における第1動作例について説明する。第1動作例では、UE100は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属することを示すグループ情報に基づいて、セルC2への上りリンク信号の送信タイミングを調整する。
【0076】
ステップS101において、基地局200(送信部211)は、セルC1(TRP201#1)への上りリンク信号の送信タイミングを調整するための第1タイミングアドバンス(第1TA)をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信する。UE100(受信部112)は、第1TAをセルC1(TRP201#1)から受信する。
【0077】
基地局200(送信部211)は、第1TAを、MAC CEにより送信してもよく、ランダムアクセスにおいて、UE100からのランダムアクセス(RA)プリアンブルに対する応答(RA応答)により送信してもよい。
【0078】
ステップS102において、UE100(制御部120)は、第1調整値(TTA1)を決定する。セルC1(TRP201#1)への上りリンク信号(以下、第1上りリンク信号と適宜称する)の送信タイミング(以下、第1送信タイミングと適宜称する)を調整するための第1調整値(TTA1)を決定する。
【0079】
UE100(制御部120)は、例えば、式2又は式3を用いて、第1TA(TA1)に基づく第1TA値(NTA1)を算出する。また、UE100(制御部120)は、第1TA値に付与する第1オフセット値(NTA,offset)を決定してよい。UE100(制御部120)は、上述の式1を用いて、第1TA値と、決定した第1オフセット値とにより、第1調整値(TTA1)を決定してよい。
【0080】
UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)からの下りリンクタイミングを第1上りリンク送信のタイミング基準(以下、第1タイミング基準と適宜称する)として用いる。図9に示すように、UE100(制御部120)は、第1タイミング基準から決定した第1調整値(TTA1)だけずらしたタイミングを第1送信タイミングに決定する。
【0081】
ステップS103において、UE100(送信部111)は、決定した第1送信タイミングで第1上りリンク信号をセルC1(TRP201#1)へ送信する。基地局200(受信部212)は、上りリンク信号をセルC1(TRP201#1)において受信する。
【0082】
その後、基地局200(制御部230)は、UE100がセルC1(TRP201#1)をサービングセルとして維持しつつ、セルC2(TRP201#2)とのデータ通信を行うための動作を開始する。
【0083】
基地局200(制御部230)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属するか否かを判定する。
【0084】
基地局200(制御部230)は、例えば、以下の条件(a)及び(b)の両方を満たす場合、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属すると判定してよい。基地局200(制御部230)は、条件(a)及び(b)の少なくとも一方を満たさない場合に、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが異なるタイミングアドバンスグループに属すると判定してよい。
【0085】
(a)セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号(以下、第2上りリンク信号と適宜称する)の送信タイミング(以下、第2送信タイミングと適宜称する)を調整するための第2調整値(TTA2)として、第1TAを適用可能である場合
(b)第2送信タイミングを調整する際に、タイミング基準として第1タイミング基準を用いることができる場合
【0086】
基地局200(制御部230)は、判定結果に基づいて、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属するか否かを示すグループ情報を生成する。グループ情報において、例えば、セル毎にタイミングアドバンスグループ識別子を設定することで、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属するか否かを示してよい。例えば、グループ情報において、セルC1(TRP201#1)とタイミングアドバンスグループ識別子#1とが対応づけられており、セルC2(TRP201#2)とタイミングアドバンスグループ識別子#1とが対応づけられている場合、グループ情報は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属することを示してよい。例えば、グループ情報において、セルC1(TRP201#1)とタイミングアドバンスグループ識別子#1とが対応づけられており、セルC2(TRP201#2)とタイミングアドバンスグループ識別子#2とが対応づけられている場合、グループ情報は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが異なるタイミングアドバンスグループに属することを示してよい。本動作例では、基地局200(制御部230)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属すると判定したとして説明を進める。従って、グループ情報は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属することを示す。
【0087】
ステップS104において、基地局200(送信部211)は、グループ情報をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信する。UE100(受信部112)は、グループ情報をセルC1(TRP201#1)から受信する。
【0088】
基地局200(送信部211)は、図5に示すプロシージャにおけるステップS1からステップS4までの間において、グループ情報をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信してよい。基地局200(送信部211)は、例えば、グループ情報とセルC2(TRP201#2)に対するビーム測定に用いるビーム測定用参照信号を設定するビーム測定設定情報と、を含む設定情報をUE100へ送信してよい。UE100(受信部112)は、グループ情報とビーム測定設定情報とを、セルC1(TRP201#1)から受信する。これにより、UE100がセルC2(TRP201#2)との間でデータの送受信前(すなわち、図5におけるステップS4)に、後述のように第1TAを用いて第2送信タイミングを調整可能か否かを判定できる。また、グループ情報とビーム測定設定情報とを別々に送信する場合と比較して、UE100と基地局200との間のシグナリングを削減できる。
【0089】
ビーム測定設定情報は、セルC2(TRP201#2)が送信するSSB又はチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)を示す参照信号情報を含む。
【0090】
なお、基地局200(送信部211)は、グループ情報をセルC2(TRP201#2)においてUE100へ送信してもよい。UE100(受信部112)は、グループ情報をセルC2(TRP201#2)から受信してもよい。
【0091】
UE100(制御部120)は、グループ情報に基づいて、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整する。例えば、UE100は、以下の動作を実行する。
【0092】
ステップS105において、UE100(制御部120)は、グループ情報に基づいて、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属するか否かを判定する。
【0093】
本動作例において、UE100(制御部120)は、グループ情報がセルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属することを示すため、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属すると判定する。
【0094】
ステップS106において、UE100(制御部120)は、第2送信タイミングを調整するための第2調整値(TTA2)を決定する。
【0095】
UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属することを示す場合、第1TAを用いて、第2送信タイミングを調整してよい。すなわち、UE100(制御部120)は、第1TAを用いて、第2調整値を決定してよい。UE100(制御部120)は、第1調整値を第2調整値として用いてもよい。これにより、UE100は、第1TAと異なる第2タイミングアドバンス(以下、第2TAと適宜称する)を基地局200から取得する必要がなくなるため、UE100と基地局200との間のシグナリングを低減できる。
【0096】
UE100(制御部120)は、第2調整値を決定する際に、第2TAとして第1TAを用いつつ、第2オフセット値(NTA,offset)として、ステップS102において決定した第1オフセット値を用いてもよい。これにより、UE100は、例えば、表1を用いて第2オフセット値を決定する処理を省略することができる。その結果、UE100の処理負荷を低減できる。
【0097】
図9に示すように、UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属することを示す場合、第2上りリンク送信のタイミング基準(以下、第2タイミング基準と適宜称する)として第1タイミング基準を用いて、第2送信タイミングを調整してもよい。従って、UE100(制御部120)は、第1送信タイミングと第2送信タイミングとが同じであってもよい。
【0098】
なお、UE100(制御部120)は、セルC2(TRP201#2)からの下りリンクタイミングを第2タイミング基準として用いてよい。従って、UE100(制御部120)は、第2タイミング基準から、決定した第2調整値(TTA2)、すなわち、第1調整値(TTA1)だけずらしたタイミングを第2送信タイミングに決定してもよい。
【0099】
このようにして、UE100(制御部120)は、第1TAを用いて第2送信タイミングを調整する。
【0100】
なお、UE100(制御部120)は、第1TA値と第2TA値とを独立に管理してよい。すなわち、UE100(制御部120)は、第1TA値と第2TA値とをそれぞれ記憶してよい。
【0101】
UE100(制御部120)は、TAコマンドとして第1TAを含む第1MAC CEを基地局200から受信した場合、第1MAC CEに基づいて、第1TA値を管理してよい。すなわち、UE100(制御部120)は、第1TAに基づいて第1TA値を更新し、更新した第1TA値を記憶する。一方で、UE100(制御部120)は、TAコマンドとして第2TAを含む第2MAC CEを基地局200から受信した場合、第MAC CEに基づいて、第2TA値を第1TA値とは独立に管理してよい。UE100(制御部120)は、第2TAに基づいて第2TA値を更新し、更新した第2TA値を記憶する。
【0102】
また、UE100(制御部120)は、第1調整値と第2調整値とを独立に管理してよい。UE100(制御部120)は、上りリンク信号の送信タイミングの調整に関する情報を、セル毎に独立に管理してよい。
【0103】
また、UE100(制御部120)は、第1TA値を第2TA値として用いる場合には、第1TA値のみを記憶し、第2TA値を記憶しなくてもよい。同様に、UE100(制御部120)は、第1調整値を第2調整値として用いる場合には、第1調整値のみを記憶し、第2調整値を記憶しなくてもよい。
【0104】
ステップS107において、UE100(送信部111)は、決定した第2送信タイミングで第2上りリンク信号をセルC2(TRP201#2)へ送信する。基地局200(受信部212)は、上りリンク信号をセルC2(TRP201#2)において受信する。
【0105】
なお、UE100(制御部120)は、TAコマンドとして第1TAを含むMAC CEを基地局200から受信した場合、第1TAを用いて、第1送信タイミングに加えて、第2送信タイミングを調整できる。
【0106】
(2)第2動作例
図10及び図11を参照して、移動通信システム1における第2動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第2動作例では、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが異なるタイミングアドバンスグループに属するケースについて説明する。
【0107】
ステップS111からステップS115の動作は、上述の動作例と同様である。なお、本動作例では、基地局200(制御部230)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属するか否かを示すグループ情報を生成する。基地局200(制御部230)は、生成したグループ情報をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信する。
【0108】
UE100(制御部120)は、グループ情報に基づいて、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが異なるタイミングアドバンスグループに属すると判定する。
【0109】
UE100(制御部120)は、第2TAを取得するための動作を行ってよい。UE100(制御部120)は、例えば、セルC2(TRP201#2)にランダムアクセスを行ってよい。ランダムアクセスにおいて、UE100(送信部111)は、ランダムアクセス(RA)プリアンブルをセルC2(TRP201#2)に送信してよい。
【0110】
ステップS116において、基地局200(送信部211)は、第2送信タイミングを調整するための第2タイミングアドバンス(第2TA)をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信する。UE100(受信部112)は、第2TAをセルC1(TRP201#1)から受信する。
【0111】
基地局200(送信部211)は、第2TAを、MAC CEにより送信してもよく、ランダムアクセスにおいて、UE100からのランダムアクセス(RA)プリアンブルに対する応答(RA応答)により送信してもよい。UE100(受信部112)は、第2TAをセルC2(TRP201#2)から受信してもよい。第2上りリンク信号の送信先のセルから、第2上りリンク信号の送信に用いるTA(第2TA)を受信することで、適用すべきTAを把握し易くできる。
【0112】
ステップS117において、UE100(制御部120)は、第2送信タイミングを調整するための第2調整値(TTA2)を決定する。
【0113】
UE100(制御部120)は、例えば、上述の式2又は式3を用いて、第2TA(TA2)に基づく第2TA値(NTA2)を算出する。
【0114】
UE100(制御部120)は、第2TA値に付与する第2オフセット値(NTA,offset)を決定してよい。UE100(制御部120)は、第2オフセット値として、第1送信タイミングを調整する際に決定した第1オフセット値を用いてよい。UE100は、第1TA値(NTA1)と第2TA値(NTA2)とを独立に管理しつつ、第2オフセット値として当該第1オフセット値を用いてよい。これにより、UE100は、例えば、表1を用いて第2オフセット値を決定する処理を省略することができる。その結果、UE100の処理負荷を低減できる。
【0115】
UE100(制御部120)は、(i)第1TA値と第2TA値とが同じであるか否かに関わらず、第2オフセット値として第1オフセット値を用いてよいし、(ii)第1調整値と第2調整値とが同じであるか否かに関わらず、第2オフセット値として第1オフセット値を用いてよいし、(iii)第1タイミング基準と第2タイミング基準とが同じであるか否かに関わらず、第2オフセット値として第1オフセット値を用いてよいし、(iv)調整後の上りリンク信号の送信タイミングが同じであるか否かに関わらず、第2オフセット値として第1オフセット値を用いてよい。従って、UE100は、セルC1(TRP201#1)と共に、セルC2(TRP201#2)が設定される場合、両セルへ同じオフセット値(NTA,offset)を適用できる。
【0116】
UE100(制御部120)は、上述の式1を用いて、算出した第2TA値と、決定した第2オフセット値とにより、第2調整値(TTA2)を決定してよい。
【0117】
UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが異なるタイミングアドバンスグループに属することをグループ情報が示す場合、セルC2(TRP201#2)からの下りリンクタイミングを第2タイミング基準として用いて第2送信タイミングを調整してよい。具体的には、図11に示すように、UE100(制御部120)は、第2タイミング基準から、決定した第2調整値(TTA2)だけずらしたタイミングを第2送信タイミングに決定する。このようにして、UE100(制御部120)は、第2TAを用いて第2送信タイミングを調整する。これにより、ネットワークは、UE100(制御部120)の第2送信タイミングを柔軟に設定できる。
【0118】
ステップS118の動作は、上述の動作例と同様である。
【0119】
(3)第3動作例
図12を参照して、移動通信システム1における第3動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第3動作例では、UE100がTCI状態のアクティブ化したことに応じて、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整するケースについて説明する。本動作例では、UE100(制御部120)は、第1TAを用いて、第2送信タイミングを調整する。
【0120】
ステップS201からステップS203の動作は、上述の動作例と同様である。
【0121】
ステップS204において、基地局200(送信部211)は、セルC2(TRP201#2)と対応付けられたTCI状態をアクティブ化するアクティブ化指示をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信する。UE100(受信部112)は、アクティブ化指示をセルC1(TRP201#1)から受信する。なお、アクティブ化指示は、グループ情報を含んでいてもよい。
【0122】
UE100(制御部120)は、アクティブ化指示の受信に応じて、TCI状態をアクティブ化する。また、UE100(制御部120)は、TCI状態をアクティブ化したことに応じて、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の第2送信タイミングを調整する。従って、UE100(制御部120)は、TCI状態をアクティブ化したことに応じて、以下の動作を開始してもよい。
【0123】
ステップS205において、UE100(制御部120)は、上述の動作例と同様に、グループ情報に基づいて、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属するか否かを判定する。本動作例では、UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが同じタイミングアドバンスグループに属すると判定する。
【0124】
或いは、UE100(制御部120)は、第1TAを用いて第2送信タイミングを調整するか、第2TAを用いて第2送信タイミングを調整するかを判定してもよい。本動作例では、UE100(制御部120)は、第1TAを用いて、第2送信タイミングを調整すると判定する。
【0125】
或いは、UE100(制御部120)は、上記判定を行うことなく、第1TAを用いて、第2送信タイミングを調整する動作(すなわち、第1動作例におけるステップS106の動作)を実行してもよい。
【0126】
ステップS206において、UE100(制御部120)は、上述の動作例と同様に、第2送信タイミングを調整するための第2調整値(TTA2)を決定する。すなわち、UE100(制御部120)は、第1TAを用いて、第2送信タイミングを調整する。
【0127】
ステップS207の動作は、上述の動作例と同様である。
【0128】
以上によれば、UE100は、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミング調整を適切な契機で行うことができる。その結果、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御可能となる。
【0129】
(4)第4動作例
図13及び図14を参照して、移動通信システム1における第4動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第4動作例では、第3動作例と同様に、UE100がTCI状態のアクティブ化したことに応じて、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングを調整する。本動作例では、UE100(制御部120)は、第2TAを用いて、第2送信タイミングを調整する。
【0130】
図13において、ステップS211からステップS215の動作は、上述の動作例と同様である。本動作例では、UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)とセルC2(TRP201#2)とが異なるタイミングアドバンスグループに属すると判定する。また、本動作例では、UE100(制御部120)は、第2TAを用いて、第2送信タイミングを調整すると判定してもよい。
【0131】
或いは、UE100(制御部120)は、上記判定を行うことなく、以降の動作を実行してもよい。
【0132】
UE100(制御部120)は、第2TAを用いて、第2送信タイミングを調整する場合、第2TAを保持しているか否かを判定してよい。UE100(制御部120)は、第2TAを保持していない場合、ステップS216の処理を実行してよい。一方で、UE100(制御部120)は、第2TAを保持している場合、ステップS216の処理を実行せずに、ステップS218の処理を実行してよい。
【0133】
ここで、UE100(制御部120)は、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御する第2調整タイマ(timeAlignmentTimer)を保持していてよい。UE100(制御部120)は、例えば、基地局200から第2TAを受信した場合、第2調整タイマをスタート(又は再スタート)してよい。
【0134】
UE100(制御部120)は、基地局200から第2TAを受信してから所定時間内は第2TA値を用いて、第2送信タイミングを調整する。UE100(制御部120)は、第2調整タイマを用いて、所定時間を計測してよい。UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了した場合、第2TA値を保持していてよい。
【0135】
なお、UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御する第1調整タイマ(timeAlignmentTimer)を保持していてもよい。
【0136】
本動作例では、UE100(制御部120)は、第2TA値を保持していないとして説明を進める。UE100(制御部120)は、TCI状態をアクティブ化した際に、第2TA値を保持していない場合、第2TAを取得するために、セルC2(TRP201#2)に対するランダムアクセス(RA)を行ってよい。従って、UE100(制御部120)は、以下の動作を開始する制御を行ってよい。これにより、UE100は、第2TAを取得して、第2TA値を算出できる。
【0137】
ステップS216において、UE100(送信部111)は、RAプリアンブルをセルC2(TRP201#2)に送信する。基地局200(受信部212)は、RAプリアンブルをセルC1(TRP201#1)において受信する。なお、RAプリアンブル送信は、RAプロシージャにおけるMsg1と称される。
【0138】
基地局200(制御部230)は、RAプリアンブルの受信に応じて、RA応答を生成する。基地局200(制御部230)は、RA応答に第2TAを含める。
【0139】
なお、基地局200(制御部230)は、セルC2(TRP201#2)に対するRAに用いるべきRAリソースをUE100に割り当ててよい。基地局200(送信部211)は、ステップS216よりも前に、UE100に割り当てたRAリソースを示す情報をセルC1(TRP201#1)においてUE100に送信してもよい。
【0140】
RAリソースは、専用RAプリアンブルは、セルC2(TRP201#2)のために準備されたRAプリアンブル群の中からUE100に専用で割り当てられ、セルC2(TRP201#2)に対するRAにおいて他のUE100と競合しないRAプリアンブルであってよい。或いは、RAリソースは、セルC2(TRP201#2)に対するCBRAに利用可能な1つ又は複数のRAリソース(CBRAプリアンブル群)であってよい。CBRAプリアンブル群に含まれるプリアンブルは、他のUE100と競合し得るRAプリアンブルである。
【0141】
ステップS217において、基地局200(送信部211)は、RA応答をセルC1(TRP201#1)においてUE100に送信する。或いは、基地局200(送信部211)は、RA応答をセルC2(TRP201#2)においてUE100に送信してもよい。UE100(受信部112)は、RA応答をセルC1(TRP201#1)又はセルC2(TRP201#2)から受信する。なお、RA応答送信は、RAプロシージャにおけるMsg2と称される。
【0142】
ステップS218及びS219の動作は、上述の動作例と同様である。
【0143】
図14に示すように、ステップS220において、基地局200(送信部211)は、セルC2(TRP201#2)と対応付けられたTCI状態をディアクティブ化するディアクティブ化指示をセルC1(TRP201#1)においてUE100へ送信する。UE100(受信部112)は、ディアクティブ化指示をセルC1(TRP201#1)から受信する。
【0144】
UE100(制御部120)は、ディアクティブ化指示に応じて、セルC2(TRP201#2)と対応付けられたTCI状態をディアクティブ化する。
【0145】
なお、UE100(制御部120)は、TCI状態をディアクティブ化したことに応じて、第2調整タイマが満了したとみなしてもよい。UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了した(とみなした)場合に、第2TAを破棄してもよい。
【0146】
ステップS221は、ステップS214と同様の動作である。
【0147】
ステップS222は、ステップS215と同様の動作である。UE100(制御部120)は、第2TA値を保持しているか否かを判定してよい。本動作例では、UE100(制御部120)は、第2TA値を保持していると判定したとして説明を進める。
【0148】
UE100(制御部120)は、ステップS216の処理と同様の処理を実行せずに、ステップS223の処理を実行する。
【0149】
ステップS223及びS224は、上述の動作例と同様である。
【0150】
UE100(制御部120)は、第2TA値を用いて、第2送信タイミングを調整する。これにより、UE100は、第2TAを取得するための動作を省略することができ、UE100と基地局200との間のシグナリングを削減できる。
【0151】
以上によれば、UE100は、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミング調整を適切な契機で行うことができる。その結果、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信タイミングを適切に制御可能となる。
【0152】
(5)第5動作例
図15及び図16を参照して、移動通信システム1における第5動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。
【0153】
図15において、セルC2(TRP201#2)と対応付けられたTCI状態は、アクティブ化されている。
【0154】
ステップS301において、基地局200(送信部211)は、セルC1(TRP201#1)への上り信号の送信に関する第1リソースを示す第1リソース情報及びセルC2(TRP201#2)への上り信号の送信に関する第2リソースを示す第2リソース情報をセルC1(TRP201#1)においてUE100に送信する。或いは、基地局200(送信部211)は、第1リソース情報をセルC1(TRP201#1)においてUE100に送信し、第2リソース情報をセルC2(TRP201#2)においてUE100に送信してもよい。UE100(受信部112)は、第1リソース情報及び第2リソース情報をセルC1(TRP201#1)から受信する。UE100(受信部112)は、第1リソース情報をセルC1(TRP201#1)から受信し、第2リソース情報をセルC2(TRP201#2)から受信してもよい。
【0155】
第1リソース及び第2リソースは、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)をUE100へ設定するためのPUCCH設定情報、サウンディング参照信号(SRS)をUE100へ設定するためのSRS設定情報、UE100への下りリンク送信のために割り当てられた下りリンク割り当て、UE100への上りリンク送信のために割り当てられた上りリンクグラント、及び、半永続的なチャネル状態情報(CSI)の報告用のPUSCHリソース、の少なくともいずれかを含んでよい。
【0156】
ステップS302において、UE100(送信部111)は、第1送信タイミングで第1上りリンク信号をセルC1(TRP201#1)に送信する。また、UE100(送信部111)は、第2送信タイミングで第2上りリンク信号をセルC2(TRP201#2)に送信する。
【0157】
UE100(制御部120)が、第1調整タイマと第2調整タイマと保持している。第1調整タイマ(timeAlignmentTimer)は、セルC1(TRP201#1)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御するタイマである。第2調整タイマ(timeAlignmentTimer)は、セルC2(TRP201#2)への上りリンク信号の送信タイミングが調整済みであるとみなす時間を制御するタイマである。
【0158】
図16に示すように、ステップS311において、UE100(制御部120)は、第1調整タイマが満了したか否かを判定する。UE100(制御部120)は、第1調整タイマが満了した場合、ステップS312の処理を実行する。UE100(制御部120)は、第1調整タイマが満了していない場合、ステップS314の処理を実行する。
【0159】
ステップS312において、UE100(制御部120)は、第1リソースを解放する。UE100(制御部120)は、第1リソースを解放する動作として、以下の動作を実行してよい。
【0160】
UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC1(TRP201#1)用の全てのハイブリッドARQ(HARQ)バッファをフラッシュしてよい。
【0161】
UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)用のPUCCH設定情報が設定されている場合、MACレイヤにおいて、セルC1(TRP201#1)用のPUCCH設定情報を解放することをRRCレイヤに通知してよい。UE100(制御部120)は、RRCレイヤにおいて、通知に応じて、当該PUCCH設定情報を解放してよい。
【0162】
UE100(制御部120)は、セルC1(TRP201#1)用のSRS設定情報が設定されている場合、MACレイヤにおいて、セルC1(TRP201#1)用のSRS設定情報を解放することをRRCレイヤに通知してよい。UE100(制御部120)は、RRCレイヤにおいて、通知に応じて、当該SRS設定情報を解放してよい。
【0163】
UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC1(TRP201#1)用の下りリンク割り当てを消去してよい。UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC1(TRP201#1)用の上りリンクグラントを消去してよい。UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC1(TRP201#1)用の半永続的なCSIの報告用のPUSCHリソースを消去してよい。
【0164】
UE100(制御部120)は、第1TA(TA1)に基づいて算出される第1TA値(NTA1)を保持してよい。
【0165】
ステップS313において、UE100(制御部120)は、第2リソースを解放する。UE100(制御部120)は、第2リソースを解放する動作として、以下の動作を実行してよい。
【0166】
UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC2(TRP201#2)用の全てのハイブリッドARQ(HARQ)バッファをフラッシュしてよい。
【0167】
UE100(制御部120)は、セルC2(TRP201#2)用のPUCCH設定情報が設定されている場合、MACレイヤにおいて、セルC2(TRP201#2)用のPUCCH設定情報を解放することをRRCレイヤに通知してよい。UE100(制御部120)は、RRCレイヤにおいて、通知に応じて、当該PUCCH設定情報を解放してよい。
【0168】
UE100(制御部120)は、セルC2(TRP201#2)用のSRS設定情報が設定されている場合、MACレイヤにおいて、セルC2(TRP201#2)用のSRS設定情報を解放することをRRCレイヤに通知してよい。UE100(制御部120)は、RRCレイヤにおいて、通知に応じて、当該SRS設定情報を解放してよい。
【0169】
UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC2(TRP201#2)用の下りリンク割り当てを消去してよい。UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC2(TRP201#2)用の上りリンクグラントを消去してよい。UE100(制御部120)は、MACレイヤにおいて、セルC2(TRP201#2)用の半永続的なCSIの報告用のPUSCHリソースを消去してよい。
【0170】
UE100(制御部120)は、第2TA(TA2)に基づいて算出される第2TA値(NTA2)を保持してよい。或いは、UE100(制御部120)は、第2TA値を破棄してもよい。
【0171】
ステップS314において、UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了したか否かを判定する。UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了した場合、ステップS312の処理を実行する。UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了していない場合、処理を終了してよい。
【0172】
以上によれば、UE100(制御部120)は、第1調整タイマが満了した場合、第1リソースを解放すると共に、第2リソースも解放する。これにより、第1リソースが解放された場合に、第2リソースも解放することで、不具合が発生する虞があるセルC2(TRP201#2)との通信が行われなくなる。従って、セルC2(TRP201#2)との通信を適切に制御可能である場合に、セルC2(TRP201#2)との通信を行うことで、セルC2(TRP201#2)に対する上りリンク信号の送信を適切に制御可能となる。
【0173】
また、UE100(制御部120)は、第1調整タイマが満了しても、第1TA値と第2TA値とを保持してよい。また、UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了しても、第2TA値を保持してよい。これにより、UE100(制御部120)は、セルC2(TRP201#2)との通信を行う場合に、第1TA値及び/又は第2TA値を新たに取得する必要がなくなるため、UE100と基地局200との間のシグナリングを低減できる。
【0174】
また、UE100(制御部120)は、第2調整タイマが満了した場合、第2リソースを解放し、第1リソースを保持してよい。これにより、UE100(制御部120)は、第2リソースの解放によりセルC2(TRP201#2)との通信を行わない場合であっても、第1リソースを用いてセルC1(TRP201#1)とのデータ通信を継続して行うことができる。
【0175】
(その他の実施形態)
上述の実施形態における動作シーケンス(及び動作フロー)は、必ずしもフロー図又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。また、上述の実施形態における動作シーケンス(及び動作フロー)は、別個独立に実施してもよいし、2以上の動作シーケンス(及び動作フロー)を組み合わせて実施してもよい。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0176】
上述の実施形態において、移動通信システム1としてNRに基づく移動通信システムを例に挙げて説明した。しかしながら、移動通信システム1は、この例に限定されない。移動通信システム1は、LTE又は3GPP規格の他の世代システム(例えば、第6世代)のいずれかのTSに準拠したシステムであってよい。基地局200は、LTEにおいてUE100へ向けたE-UTRAユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供するeNBであってよい。移動通信システム1は、3GPP規格以外の規格のTSに準拠したシステムであってよい。基地局200は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ドナー又はIABノードであってよい。
【0177】
UE100又は基地局200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又は基地局200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又は基地局200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0178】
上述の実施形態において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。同様に、「~を含む(include)」及び「~を備える(comprise)」は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。同様に、本開示において、「又は(or)」は、排他的論理和を意味せず、論理和を意味する。
【0179】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0180】
100 :UE
110 :通信部
111 :送信部
112 :受信部
120 :制御部
200 :基地局
210 :通信部
211 :送信部
212 :受信部
220 :ネットワークインターフェイス
230 :制御部
300 :コアネットワーク装置
C1,C2 :セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16